平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
質疑及び一般質問を続行いたします。
四十六番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。お許しをいただきましたので、通告に従い、質問をさせていただきます。
初めに、合併浄化槽問題についてお尋ねを申し上げます。
本県の公共下水道普及率は、全国最下位という状況からなかなか抜け出すことができないでいます。この事態を改善するため、公共下水道や合併浄化槽の設置計画を積極的に進めていかなくてはなりません。これまで合併浄化槽設置では建物の面積により槽の大きさが決定されてまいりましたが、実際に居住している人員の数を加味して槽が決定されるように改善をされてきたところでございます。また、機種も高性能を持つものにと変わってきているようでありますから、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図る上で大変効果が期待できるものと思っております。
浄化槽の機能を維持管理するため、専門的な知識と技術を兼ね備えた信頼できる事業者が求められるところです。昭和五十八年、浄化槽法の制定によって、和歌山県浄化槽保守点検業者の登録に関する条例が施行をされてまいりました。それに伴って、浄化槽の保守点検は県知事の登録を受けること、そして営業所ごとに専任の管理士を置くことが昨年の二月一日、条例改正で新たに義務づけられたところです。
現在、その登録業者は和歌山市に六十数社、そして和歌山市を除いて県下に二百二十一社・人、存在しております。条例施行後十五年が経過しているところですが、登録申請を行うには、これまで不当にも清掃連合会会長の推薦状などの提出を強要したり、さらに申請書類の提出先を、知事及び和歌山市長であるにもかかわらず、水質保全センターに一本化された上、その水質保全センターの協調確認証明印がなければ、これまた登録申請すらできない状況もございました。
このことで、ある業者はこうした不当性を指摘し、是正するように県に改善を求めました。ところが、逆に登録更新が二回も拒否をされ、その間六年間、本来の保守点検業から排除されるという極めて異常な登録行政が横行していたことを知る文書が私の手元に郵送されてまいりました。その事業者本人にも直接お会いをして当時の実態や思いを聞き、恐らく精神的、経済的にも多大な影響があったであろうことを思えば、私は大変胸が痛む思いでした。
同時に、この不当性を容認した県行政の姿勢に私は大変大きな怒りさえ感じます。時期が遅きに失した感は強いものもありますけれども、条例改正によってこのことが廃止されたことは評価したいと思います。しかし、今なお浄化そう協会などを特化する条文などが残存しております。さまざまな法律の改正など、浄化槽をめぐる情勢が変わってまいりましたから、ぜひこの情勢から見直しをする必要があると私は思います。
その点でぜひとも見直しを求めたいのは、浄化槽設置に関する指導要綱についてであります。この要綱は、浄化槽を設置しようとする場合の取り扱いに関して必要な事項を定め、浄化槽行政を円滑に進め、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を目的としているものです。浄化槽を設置する場合には、建築基準法に基づいて、新築の場合などは建築確認申請、そして浄化槽のみを設置する場合には浄化槽法による届け出が必要となっています。和歌山県の指導要綱三十五条二項の事務手続の定めでは、いろいろな書類を提出する際、その報告を届け出、審査、指導にかかわる書類は、一たん浄化そう協会の指導を受けた後に提出することを原則として義務づけています。いずれもこれは行政が行う業務でありますが、浄化そう協会にゆだねて窓口を一本化するものであると考えるので、ぜひこの点については改正を求めるものです。関係部長の所見をお聞かせください。
次に、県立施設等の浄化槽の保守点検の委託契約についてであります。県立学校の委託契約について、これは教育長に伺います。
これまで県立高校や養護学校などの県立学校は、県浄化そう協会と県清掃連合会の二業者による指名競争入札を行い、契約を続けてきたと聞いております。土木工事の発注などでは、二社による入札などほとんどあり得ないのではないでしょうか。これは、入札が形式だけにすぎないあり方ではないですか。登録業者は、大小の差はあるものの、県に二百二十一社・人もあるわけです。不公平そのものと言わざるを得ません。
今年度から学校の貯水槽、消防施設の保守点検の委託契約を、各学校長の責任で地域の業者の指名競争入札に切りかえられたと聞いております。この際ぜひ浄化槽の保守点検の委託契約も、公平性を確保する立場から競争入札制へと改善されてはいかがでしょうか。
次に、土木部長にお尋ねを申し上げます。
県営住宅団地においても、登録業者の公平性を確保するため、一般競争入札へと改善してください。土木部長は、去る九月議会での金田議員への答弁にありますように、業者にランクづけはない、浄化そう協会以外にも県営住宅浄化槽の保守点検のできる能力を持った業者はいると考えているのですから、ぜひこの答弁を具体化してください。
また、委託契約の研究はどのように進んでいますか、お聞かせ願いたいと思います。
この浄化槽保守点検の問題では、六月、九月議会で私どもが二回にわたって改善を求めてきたところです。これは、いまだに住民と清掃業者の間で契約が結ばれていないわけですから、早期に円満解決をするという点では県の行政の努力が求められるところです。しかし県は、去る八月一日に、浄化そう協会と県との間で、住民の了解あるいは事前連絡もなく、一方的に契約を強行いたしました。住民の皆さんは県が一方的に押しつける業者と高い料金の見直しを求めると同時に、みずから業者を選択することを要望しています。県はこれまで誠実にこたえてきたのでありましょうか。住民の皆さんたちは、誠実にこたえる姿勢にはなかったと言われています。
十二月七日、川永団地住民は改めて西口知事に、団地に住む世帯の七割以上に当たる三百四十世帯分の署名とともに要望書を提出されています。同じ保守点検業務でありながら年間の負担額に余りにも大きな差がある、こういう中で委託業者の変更を求めています。住民の意思はもう明確です。緊急課題として解決のめどをお持ちですか、お聞かせください。
次に、紀伊丹生川ダム問題について質問を申し上げていきます。
建設省の設置した紀伊丹生川ダム建設事業審議委員会は、去る九月二十七日、近畿地建に対して本ダム事業については妥当であるという結論を最終意見として提出いたしました。紀伊丹生川ダムは治水と利水を目的とした計画であり、審議会の意見は治水、利水両方について妥当としております。治水上の有効性については紀伊丹生川ダム建設を考える会が建設省に対して詳細な公開質問状を提出していますように、今後も検討する必要がある問題と考えますが、今回は利水面について私なりに検討を行いましたので、質問を申し上げていきたいと思います。
私は、紀伊丹生川ダム計画の主要な目的である大阪への分水について、その必要性を審議会がどう審議されたのか関心を持って見てまいりましたが、委員会の意見は次のようなものでした。和歌山市及び大阪府の水需要計画については、当該自治体が責任を持ち、長期的な視野に立って作成したものであり、その計画は、水道事業者として供給義務に対する安全性を考慮し、極めて慎重な立場で作成されたものであると思料されることから、本委員会としては基本的にその計画を尊重してよいと考える、となっています。
そもそもこの審議会は、公共事業の再評価の一環としてダム建設事業の必要性そのものを検討する役割を負っていながら、大阪分水や和歌山市の水需要の的確性については審議する必要がないというのでありますから、私は大変びっくりいたしました。さすがに審議会も、水需要予測について、見直しも含めてさらに綿密な調査検討を行うことなどについて委員の間から意見があったこともつけ加えられていますが、知事は審議会の委員として参加されているわけです。この間の論議については十分承知されていると思います。
最初に、大阪府の水需要予測について、審議会が言うように極めて慎重に検討されたと言えるような妥当なものかどうか検討をしたいと思います。
大阪府の水需要計画は、一九八〇年の時点で、九〇年には一日当たりの最大の水需要が府営水道で二百六十五万トンに達するだろうとの第七次拡張計画が立てられました。この二百六十五万トンのうち、紀の川からは二十五万トンを受け入れるということになっています。ところが、最初の目標年次の九〇年には二百三万トンにしかなりませんでした。大阪府は、次に二百六十五万トンになるのは五年先の一九九五年だと延ばしました。しかし、九五年は百九十六万トンでした。次に、大阪府は目標年度を二〇〇三年に延ばしました。これが達成されそうにないことは濃厚です。一昨年、九七年になって今度は二〇一〇年には二百六十五万トンになるだろうとの見直しを行ったところです。審議会に出された大阪府の水需要予測は、このときのものです。
では、水需要の実績を見てみますと──これは大阪府の資料からグラフにしたものですけれども、八〇年からをパネルにしてみました。(図面を示す)皆さんの手元には印刷したものをお渡ししてございますので、それを見ていただきたいと思います。
それでは説明を申し上げますが、九四年の二百十二万トンを最高に、九五年が百九十六万トンです。九六年が百九十九万トン、九七年が百九十八万トン、昨年が二百万トン、そして今年は百八十九万トンになると見られています。十年後にはこれが二百六十五万トンになるという大阪府の予測が、審議会の言うように慎重な立場で作成されたものと言えるのかどうか。私は、今後、大阪府営水道の水需要がこのように急激に伸びるというようなことは到底考えられないのですけれども、知事さん、あなたは審議会委員でもありました。どのようにお考えになられますか。大阪の水問題とはいえ、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
次に、大阪府の「明日の水資源を考える九八」というパンフによりますと、紀の川利水の必要性を四点挙げています。一点は、南大阪地域での空港立地に伴う水需要増大に対応、二点目は水源複数化による安定供給、三点目は淀川から府南部への遠距離送水の解消、四点目は良質な水源水質の確保となっています。
最後の良質な水源という問題では、今度大阪府が八百八十億円をかけて高度浄水施設を建設し、ことしから本格稼働していることや、水質の点でも近年は淀川と紀の川の水質に大差がないことから、根拠がありません。
では、大阪南部の水需要は新空港が開港してから増加しているかということです。厚生省の資料によりますと、岸和田以南の自治体の一日最大給水量はほとんど変化がありません。岸和田市、貝塚市、泉佐野市、そして熊取町、泉南市、阪南市、岬町を合わせた最大給水量は、九三年が二十五万五千トン、九月に新空港が開港した九四年が二十六万四千トン、次の九五年が二十六万六千トン、そして九六年も二十六万六千トンと、ほぼ横ばいの状態であります。空港立地に伴う水需要の拡大は全くの期待外れでもありました。
次に、水源複数化による安定供給といっても、紀の川から予定している水量は大阪府営水道の一〇%にも満たないものであり、またそれぞれの自治体が自己水源を持っているのですから、理由には当たりません。
そして遠距離送水の解消というのは、紀の川から取水しても淀川からの送水が必要なくなるわけではありませんから、とても解消と言える状況になるものではありません。
この十月二十八日の大阪府の企業水道常任委員会で山田勇知事は、二〇一〇年に二百六十五万トンの水が必要な理由として、一人一日当たりの水需要が伸びるとか、市町村営水道が府営水道に振りかわることなどを挙げています。複数の水源確保を言いながら市町村営水道から府営水道への転換を言うのも、これまた矛盾した話だと私は思うのです。一人一日当たりの水需要が伸びると見込んでいるのは、これも実態には合わない口実です。厚生省の資料から大阪府の一人一日当たりの平均給水量を見てみますと、九二年が四百四十リットルです。九三年が四百三十三リットル、九四年が四百三十四リットル、九十五年が四百二十八リットル、そして九六年が四百三十四リットル。このように、この五年間を見てみましても全く変化がないと言わなければなりません。しかも、大阪府のこの平均給水量は全国平均からいいますと約一〇%も多い数値になっています。一人当たりで、渇水がよく問題になる福岡県と比較いたしますと約四割も多くの水を大阪府民は使っていることになります。
このように大阪府では全国の平均よりもたくさんの水を使っているのでありますから、これがまだまだ伸びると予測するのは、水の利用としてはむだ遣いを促すことにならないでしょうか。そのために紀の川からの水を求めるのは、ちょっと筋違いの話ではないかと私は考えます。
これが大阪府によって慎重に計画された水需要予測だとは、とても考えられません。本来なら、大阪は府民に対して節水を呼びかけ、水源開発費の節約を図るのが当然と思うわけです。大阪府の水供給の実態について、関係部長のご所見をお聞きしたいと思います。
次に、建設省の河川審議会がことし三月に行った提言では、社会経済情勢の変化を挙げて、かつての右肩上がりの経済成長のもとでは水利利用も大幅に増加してきたが、近年の状況は大きく変化しているとし、都市用水の中には経済発展や人口増加の鈍化により計画需要と実需要が乖離し、計画どおりの需要が当面は発生しないところも出てきている、量の確保から水質の安定に向けた要望が増大をしてきていると、このように指摘をしています。また、水資源の有効活用を図る観点から、既存の水利使用に関する情報交換、検討の必要性を協調しています。
十月十七日の朝日新聞によりますと、淀川に設定されている水利権は一日の最大給水量として千七万立方メートルに上っていますが、実際に使われているのは最大の日でも七百二十四万立方メールにすぎず、その二割を活用すれば新たなダムなどの開発を行わなくてもよいとのことです。そして、愛知県や名古屋市、岐阜県、埼玉県でも水需要の見直しを行っているとのことです。こうした流れは大阪にも及んでいくと考えるのであります。淀川流域の水利権を持つところが互いに情報を交換し、水利権の譲渡、調整を行えば新たな水源開発は必要ないことになります。
私は、和歌山県も大阪府とそれぞれの水需要の実態についても情報をうんと交換し、和歌山県としても言うべきことは言うとの姿勢が必要と考えています。分水の必要性そのものについて大阪府と協議するお考えは知事、ありませんか、お聞かせください。
次に、紀伊丹生川ダムは県立自然公園内に予定されていますが、その一部が水没する玉川峡は、県が名勝として指定している潮岬や藤崎弁天、百間山渓谷などの六カ所しか指定されていない名勝地でもあります。県教委によりますと、玉川峡は十六キロの渓谷と二つの滝が戦前の昭和十年(一九三五年)に名勝として指定され、文化財保護条例が施行後、昭和三十三年(一九五八年)、再び名勝指定を受けています。大阪方面から訪れる客もふえて、年間二十五万人を数える状況です。
ダムが建設されると、上流部分三分の一がその中に入ることになります。名勝地の現状変更には文化財保護審議会の審議が必要となるとのことでもありますが、数少ない名勝地をダムによって失うことがあってはならないと考えます。教育長の見解をお聞かせください。
建設審議会ではこの点について、水没等多大な影響を与えることは十分認識しつつも、治水、利水上の必要性から見てやむを得ないと考える、なお事業実施に当たっては自然環境の創出に配慮することが望まれるとしているだけです。利水について、その必要性を十分審議もせず「やむを得ない」と言うのは全く理解できないことですが、県として玉川峡を含む県立自然公園の保全についてどのような見解を持っておられるのか、生活文化部長の見解をお示しください。
三つ目の質問として、産業廃棄物処分場問題についてお伺いをいたします。
御坊市の楠井地区で問題になっている産業廃棄物処分場に関して質問を申し上げます。
この最終処分場は、大栄環境株式会社が同市楠井地区の山間に計画され、公募面積十二万五千四百七十七平方メートル、産業廃棄物の埋め立て予定面積は八万九千平方メートルと聞いています。同社は管理型処分場として、廃プラスチック類、ガラス・陶器くず類、建設廃材、金属くず、ゴムくず、木くず、繊維くずを処分し、中間処理施設としてガラス類の破砕機、木くず破砕機、リサイクル施設が計画されているようであります。
先日、現地を見学してまいりました。地元の方の話によりますと、ゲンジボタルが乱舞する大変美しい自然が残されているとのことです。こうした美しい環境を守ろうと、楠井地区の有志が集まって愛郷会をつくりました。産廃処分場から美しい環境を守ろうと立ち上がっています。計画されている処分場の埋め立て容量は、一期、二期合わせて四百五十万立方メートルであり、これは全国的に問題になっております香川県の豊島のほぼ十倍に及ぶ大規模なもので、二十年間にわたって埋め立てるというのですから、住民の方が心配されるのは当然だと思います。
生活文化部長にお伺いをしますが、こうした大規模な最終処分場は長期にわたるのですから、住民や自然環境に与える影響は大変大きく、企業は住民の理解を得るために十分な説明を行う必要があると考えます。業者に対して住民から計画の説明を求める要請があった際には誠実に対応するよう指導していただきたいと思うのです。答弁を求めたいと思います。
なぜこういうことを申し上げるかといいますと、本当に基本的なことを大栄環境は地元説明会では行っていないということです。今までの説明では、会社のパンフレットを配布しているものの、処分場の具体的な内容についてはいまだに明らかにされていないという状況です。
次に、農林水産部長にお伺いをいたします。
大栄環境は森林組合から借りた山林を処分場に含む計画のようですけれども、この山林は土砂流出防備保安林に指定されていると聞いております。こうした保安林は山腹や下流を土砂災害から守るために指定されているわけですから、産廃処分場をつくるために指定解除することは保安林指定の趣旨からいって不適切と考えますが、農林水産部長の見解をお答え願いたいと思います。
また、現地は海岸から二キロメートル程度と思うところですけれども、印南漁協や御坊市漁協が海への排水を心配し、反対の意思を表明しているとのことです。許可条件には排水海域に漁業権を持つ漁業者の同意が不可欠と考えるものですけれども、部長、いかがなものでしょうか。
関連して、大栄環境は日高川上流の中津村大又地区の山林にも大規模な最終処分場を計画する説明会を開き、村民の皆さんが考える会を結成して計画中止を求める署名運動を行っています。署名によりますと、日高川が六万数千人の飲料水の水源となっていることに心を痛め、処分場建設は断じて容認できないと訴えています。
生活文化部長にお伺いをするわけですが、こうした水源地域については、こうした環境汚染のおそれのある産業廃棄物処分場の設置計画が入り込む余地のないよう、県として水源保護の条例制定などを検討、あるいは市町村への指導を行っていただきたいと考えるものですが、いかがなものでしょうか、生活文化部長の答弁を求めたいと思います。
第一回の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
大阪府の水需給計画についての私の見解ということでございますが、率直に申し上げまして、これは大阪府の責任において計画されたものでございますから、それを尊重すべきであると考えてございます。
また、審議委員会では十二回の審議を経まして、基本的にはその計画を尊重してよいと考えるという意見を取りまとめてございます。また情報交換につきましては、両府県で設置した阪和開発連絡協議会あるいは阪和水問題検討会において、水需要を含めた府県間の水問題について協議検討しておるところでございまして、今後も誠意をもって協議を進めてまいりたいと考えてございます。
以上です。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡キミ子議員のご質問にお答え申し上げます。
まず、合併浄化槽問題についての浄化槽に関する指導要綱についてでございます。
現在の指導要綱では、議員お話しのとおり、保健所等に提出する書類の一部につきましては浄化そう協会の指導を受け、経由することとしてございますが、必ずしも浄化そう協会の経由を義務づけたものではございません。
本要綱につきましては、県、和歌山市、浄化槽工事業者団体である浄化そう協会など関係団体と協議を重ね、昭和六十三年八月から施行されたものでございますが、その後、建築基準法や浄化槽法の改正、厚生省による単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への全面的な切りかえなど、浄化槽を取り巻く諸情勢の変化がございますので、現在、本要綱の改正に向けて県や和歌山市の関係課、関係団体などと協議を始めたところでございます。この議論の中で、それぞれの役割分担につきましても検討を行ってまいりたいと考えてございます。
続きまして、紀伊丹生川ダム計画における玉川峡の保全についてであります。
この地は昭和四十三年に指定されたかつらぎ高野山系県立自然公園の一部として、その保護と利用が図られてまいりました。今後、ダム計画により見直しが必要な場合には自然環境保全審議会に諮問するとともに、その答申を踏まえ対処してまいりたいと考えてございます。
続きまして、産業廃棄物処分場問題についてお答えいたします。
まず一点目の、住民に対する企業の誠意ある対応についてお答えいたします。
大栄環境株式会社が御坊市で計画している産業廃棄物処理場のことにつきましては、現在、事前調査によって関係行政機関等から出された意見に基づき、県が対応を指導しているところでございます。
地区住民への説明につきましては、御坊市長は、事業計画の内容について事前に楠井地区住民へ説明を行うこと、またその際、住民から意見、質問、危惧等が寄せられた場合は事業者の責任において誠意をもって回答し、不安を払拭するよう努め、十分な理解を得るとともに区としての同意を得ておくことという意見を述べていることから、この意見を踏まえて事業者に対して指導しているところでございます。現在、事業者はこの指導に基づき対応しているものと考えておりますが、説明等が不十分であれば改めて県として指導してまいる所存でございます。
最後に、処分場の下流域に水道取水源を持つ住民のために保全条例の創設をという質問にお答えいたします。
住民の命の源である水道水について安全で豊富な水を提供することは、水道事業体の責務となってございます。このための条例につきましては、本年六月、串本町で水道水源保護条例が制定されましたように、それぞれの地域事情に沿って水道事業体である市町村が制定するのが適当であると存じます。このため、県での条例の制定は考えてございません。
しかしながら、水道水の安全については住民の健康にかかわる重大な問題であると認識しておりますので、水道事業体として市町村と緊密な連携を図りながら対応してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 浄化槽問題についての三点にお答えいたします。
まず契約のあり方の研究についてですが、県営住宅の浄化槽の維持管理業務契約につきましては、維持管理業務が適正に実施されるか、費用が妥当か等の観点から、現在採用している方法より適切な方法があるかどうか、今後の研究課題として取り組んでいるところであります。
次に、登録業者が公平に参加可能な入札制度についてですが、県営住宅の浄化槽の維持管理業務につきましては、浄化槽の規模が大きいこと、事故が起こった場合に被害をこうむる住民が多数に上るため、常時適正に稼働していることが不可欠であること等から、一般競争入札により業者を選定することは不適当であると考えております。
次に、川永団地問題の早期解決についてですが、浄化槽の維持管理に要する費用は、県営住宅条例第二十条により入居者の方々に支払っていただくことになっております。既に便益が発生しているところであり、条例に基づき適正に負担していただく必要があります。川永団地の浄化槽の問題につきましては、入居者の方々にご理解をいただき、早期に解決するよう努力してまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 一人一日当たりの水使用量につきましては、それぞれの地域においてそれぞれ違うと思うわけですが、大阪府の平均給水量が全国平均を上回っているということは承知してございます。
なお、大阪府におきましても、これまでの渇水経験もございますことから、パンフレットによる節水の呼びかけや府民の浄水場見学会を実施するなど、節水啓発に努めていると聞いてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 村岡議員の産業廃棄物処分場問題に関連してお答えをいたします。
まず保安林の解除についてでございますが、ご質問の当該保安林は昭和三年に指定された土砂流出防備保安林で、指定・解除の権限が国に属する保安林であります。公益上の必要が生じた場合には、必要最小限度において解除されることもあります。
したがいまして、今回の民間事業者による開発計画において保安林の解除は非常に困難と考えられますので、生活文化部に提出されました産業廃棄物に関する調査書に対しては計画から保安林を除外するよう意見書を提出しております。また、事業者に対しては振興局において保安林を除外するよう指導しております。
次に漁業権との関係についてでございますが、漁業権者の権利内容に影響を及ぼすと判断されるときは、事業者から漁業権者に事業内容を説明し、十分な理解を得るよう指導するとともに、その徹底に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 県立学校の浄化槽保守点検についてお答えいたします。
県教育委員会といたしましては、よりよい学習環境を保つためには、各学校の自主性に基づき施設の適正な保守管理を行うことが肝要であると考えております。こうした観点から、消防用設備の保守点検などの委託事務については、本年度から各学校で行うこととしたところであります。今後、浄化槽の保守点検につきましても、各学校においてその事務を行うことができるよう検討してまいりたいと考えております。
次に、文化財に関する質問についてお答えをいたします。
橋本─高野山を結ぶ林道の開通を契機に、昭和十年に県の指定を受けた名勝玉川峡は、その後、県文化財保護条例の制定に伴い、昭和三十三年に改めて指定されております。
紀伊丹生川水系へのダム建設計画に伴う県指定名勝の現状変更等につきましては、県文化財保護審議会に諮り、その結論を待って対処してまいる考えであります。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
四十六番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただいたわけですけれども、特に早く解決をしなければならない川永団地の浄化槽問題です。
これは、今部長からの答弁を聞いておりますと、入札制度も不適当だと。県が緊急的措置として協定を結んだからには、条例二十条によって住民の皆さんに負担していただくことになっているから、早期に解決をしていきたい、こういう答弁なんですけれども、住民は払わないとは言ってないんです。業者の選定について、あるいは料金が余りにも高過ぎるではないかと。同じ業務をやるのに一気に高くなるので、これは何とかならないのかということです。
そのために住民の皆さんたちは、一社だけの業者では自分たちが選択することができない、だから、どこでもいいから同じ点検業をしている方に計算してもらえないだろうかと見積書をとって比べたところ、余りにも差が大き過ぎるではないかと。
住民の皆さん方の生活の経済的な状況から考えても、安い方を選定するのは当然だと思うんですけれども、そういう点で見ますと、県下の住宅団地においてはすべてこの浄化そう協会と清掃連合会に集中しているということです。串本と橋本については地域の業者に委託をされているようでありますけれども。
しかし、これは住民が払うわけですから、業者も料金についても、県が決めるのではなくて、そこの団地の払う人たちが決定をすべきだと思うんです。今までの選択する余地を与えないような県の行政のあり方というのを今、住民は問うているわけです。そのことについて、金を払わんからというようなことだけで事が解決するには至らないと思うんです。
この七日に課長を含めて担当課の皆さん方と住民の皆さん方と話し合いが持たれたようでありますけれども、そこでも同じような態度でした。県営住宅に住む皆さんたちは、本当に納得をして払える制度に変えていただきたいということなんです。住民が払うわけですから、押しつけられるものではないと思うんです。そういう点が解決の道を閉ざしているわけで、研究をするとずっと言い続けてきているんですが、今、その研究の成果が全く見られないということになっていますね。
川永団地の場合には、県が一方的に委託契約を結ばれているわけです。この契約期間が来年の三月三十一日となっておりますから、可能な限りそれまでにその研究を終えることが今の課題になっているのではないのでしょうか。その点の研究について、土木部長、いつの時点で問題を解決しようと思っていらっしゃるのか、もう一度お答えください。
それから水の問題で、紀伊丹生川ダムの問題です。
これは大阪府の問題だということなんですが、確かにそれはそうだと思うんです。けれども、和歌山県の九度山や橋本にこれがつくられようとしている。しかも今、名勝地として非常に多くの人たちが自然を求めて、いやしのためにおいでになる地域です。紀北ではこことあと二カ所ぐらいありますけれども、県下でも数少ない貴重な県の財産だと思うんです。そういう点で見れば、大阪に水を上げるのに本当にこういうところが──先ほども述べましたように、大阪の水需要が今ほとんど横ばいの状態で、ましてや節水すればもっと要らなくなるという状態のもとで、あの地に本当にダムが今必要なのかどうかということを考える上で私は提起をしたわけです。
そういうことで、いろいろな検討会とか、副知事も参加していらっしゃる協議会とかもあるわけですから、そういうところでもう一度、ぜひこういった観点からも、和歌山県から積極的に大阪の水の問題について提起をしていただきたいと思うんですけれども、いかがなものでしょうか。お答え願いたいと思います。
まず、そういう点についてお答え願いたいと思います。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員の再質問にお答えいたします。
私が大阪の計画に対してとやかく申し上げることは僣越だと思いまして、申し上げたわけでございます。
ただ、先日、十一月に開催した阪和開発連絡協議会におきましても大阪からまた要請がございました。さらに、九月の定例会においてはその計画を見直す考えはないという大阪の答弁がありますので、目下のところは大阪の主張を尊重していくべきだと考えております。
ただ、紀伊丹生川ダム全体の問題につきましても、これからそういうことも含めて十分研究をしなきゃならないと、そうは思っております。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 村岡議員の再質問にお答えいたします。
浄化槽の維持管理費用につきましては、近畿の他県における浄化槽の維持管理費用の調査状況等から、妥当なものであると判断しております。
また、一般に費用が安くなればサービスの質が低下するリスクが増大すると考えられまして、費用についてだけではなく、維持管理業務が適正に実施されるかどうかという観点からも、慎重に研究する必要があると考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
四十六番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 知事、そういう観点で、大阪の状況はそうだとしても、やっぱり県の重要な地域につくられるという点からも、今後全体問題としてぜひもっと研究をしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
それから、教育長や生活文化部長、文化財あるいは自然公園という点から見ても非常に大事なところだと思います。審議会にお願いするときに、審議会の討議の中でもぜひ現地を十分に見ていただいて、そして貴重なものは残していくという立場を──それを壊してまでダムをつくらなければいけないのかどうかというところは、現地を十分に見ていただくということにしていただきたいと思います。これからその審議会は始まるわけで、これまでまだ行われていないという状況ですから、その点についてはお願いをしておきたいと思います。
それから、土木部長。どうもあなたの答弁は納得いきません。住民の皆さん方の願いからすれば何にも進まないじゃないですか。住民を押さえつけておいて行政が事を進めるという、その対応の仕方の問題として今は問われているんです。よその県と比べたら徴収の仕方はいいんだとか、条例で規定してあるとおりに住民が払うんだからいいんだとかというような、それは押しつけじゃありませんか。そのことを今問うているのと違いますよ。住民が払う場合に本当にどのような方法がいいのか、そして点検についてはどういう業者を選定するのか、登録業者が仕事をしていく上で本当に平等に公平性が保たれているのかどうかが今、川永団地で問題提起されているということなんですよ。ここのところにちゃんと焦点を当てて研究をしないと、今までどおり条例に基づいてやっているんだということでは住民に選択の余地を一切与えないことになるわけです。県が決めたものを押しつけるという今までのやり方は、もう今の時代にはそぐいません。
そういう点で、土木部長の言っていることには到底納得できるものではありませんけれども、その研究について、ぜひ住民の願いにこたえられるような成果を期待し、ここで求めておきたいと思います。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十七分休憩
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