平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(松本泰造議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時四分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四番松本泰造君。
  〔松本泰造君、登壇〕(拍手)
○松本泰造君 議長のお許しを得て、一般質問をさせていただきます。
 まず、質問に入る前に、去る十月末執行の知事選挙において見事当選の栄に浴されました西口知事に、心からお喜びを申し上げます。おめでとうございます。
 知事におかれましては、二期目選挙に当たり、プロジェクト21を旗印に、自分自身が二十一世紀へのかけ橋となるとして選挙戦に臨まれ、得票率七八・九%と、極めて高い信任票を獲得されました。しかしながら、二十一世紀を目前にして、社会経済体制やシステム全体の大きな変動、激動期にあり、長引く不況の中で県財政の悪化等、県政のかじ取りは大変であろうと推察しますが、今回の選挙結果に自信を持たれ、職務の遂行と健康のバランス保持にご留意の上、元気わかやまのリーダーとしてすてきな笑顔を振りまかれ、県民に安心感を与えて頑張っていただきますよう、ご期待を申し上げる次第であります。
 さて、私は、今回の知事選挙の中で、各界各層多くの市民の皆さん方とふるさとの発展、将来について意見交換する機会を得ました。そうした貴重な意見や声を参考にしながら、通告に従って質問させていただきます。
 まず最初に、県民の意識改革と人づくりについてであります。
 西口知事には、議会初日のあいさつの中で、「子供たちが生き生きと光り輝き学校生活を送ることができる教育の推進に努めてまいります。また、ふるさと教育を推進し、ふるさと和歌山に誇りと自信を持ち、社会に貢献できる人づくりを進めてまいります」と述べられました。
 ところで、十一月二十六日の新聞によりますと、東京都の石原知事は、次代を担う子供たちに正義感や倫理観、思いやりの心をはぐくむ教育に社会全体で取り組むとして、「心の東京改革」推進プランの素案を発表されました。素案では、少年非行が低年齢化、凶悪化している現状や、思いやりの心がなかったり、公共の場での基本的マナーを身につけていない子供が増加傾向にあることを改めて指摘し、その背景として、戦後、精神的な価値よりも金銭的な価値や享楽を優先させる風潮が強まったこと、さらには個人主義や平等主義を履き違えた意識構造が広がり、親や教師など大人の教育効果が低下してきたためと分析をし、その上で、親が手本となるよう責任を持って行動し、子育てしていくとともに、子供を社会の子としてとらえ、地域の人や企業が親と一緒になって子供が健全に育つための環境を整えていく必要があるとしております。具体的には、子育てマニュアル、育児やしつけビデオ、親子教室や父親ハンドブックの作成等若い親への情報提供、学校における道徳教育、ボランティアや自然体験など地域での体験型学習機会の充実などを提唱し、一方、地域社会では、大人も自己中心的な行動を慎み、社会の基本的ルールを伝えながらともに成長する親育ち、子育ち文化をつくり上げるべく努めるべきだと指摘をし、今回の素案をもとに都民から意見を集めて反映させ、来年の六月をめどに心の東京改革推進会議を設置して社会的に大きな動きにしていきたいとしております。「心の東京革命」として大人に対し、毎日きちんとあいさつをさせよう、他人の子供もしかろう、子供に手伝いをさせよう、ねだる子供に我慢をさせよう、先人や目上の人を敬う心を育てよう、体験の中で子供を鍛えよう、子供にその日のことを報告させようと七つの呼びかけを行い、プランの序文で石原知事は、「いかにもわかりきったことを書いていると思うかもしれないが、わかりきったことをしていないことが現在の危機だ」と述べておられます。
 さて、社会秩序の乱れは単に大都市のみにとどまらず、本県においても同様でありまして、目を覆い、耳をふさぎたくなるような事件や問題が発生をしたり、全般にしつけの欠如やモラルの低下、恥の文化や公共心の喪失を感じる昨今であります。本県としてもふるさと教育や感動わかやま21運動などを展開されていますが、総合的見地から広く県民に呼びかけて、家庭や地域における教育力の充実等県民の意識改革、すなわち人づくり運動を展開すべき時期に来ていると思います。知事並びに教育長のご所見を賜りたく思います。
 次に、農業問題のうち、まずミカンとカキの安値対策についてであります。
 ことしのミカンは表年に当たり、当初から豊作による価格の低迷が案じられてきたところであり、さらに成長期に雨が多く、日照不足とも相まって、昨年産と比べ味がいまいちのまま収穫期を迎えました。本県では九月より出荷がスタートをしたものの、いまひとつ明るさを取り戻せない景況感の中での買い控えもあり、市場からは再三にわたって出荷ストップの要請がかかるなどの悪条件が重なり、京阪神市場における十一月中旬の販売価格は昨年の約半額で、十キロ入り段ボール箱で千四百円という安値で低迷をし、その後も価格下落に歯どめがかからないとのことで、生産に要した経費を差し引くと借金とただ働きだけが残る悲惨な状況下にあります。
 私の地元である有田のミカン農家の間では、このままで推移すると、平成に入って最低の価格だった平成九年のときよりもさらに厳しい結果に終わってしまうと、嘆きが切実であります。この間、国においては五年ぶりに生産出荷安定指針を発動して摘果による全国的な生産調整を推進するとともに、その後も、出荷段階における生食用ミカンの価格安定を図る観点から緊急措置も実施されていると聞き及ぶところであります。
 こうした厳しい状況を踏まえ、県議会としても去る十一月二十二日、JR新大阪駅でUR対策議員連盟によるミカン消費拡大キャンペーンを実施するなど、積極的な取り組みを行ってきたところであります。
 一方、県内産のカキについても前年をやや上回る出荷量でありましたが、出荷も終盤を迎える中で、厳しかった平成九年と同様の価格で推移をしており、カキ生産農家もまた大変厳しい状況下にあるようであります。
 そこで、次の各項目について農林水産部長にお尋ねをいたします。
 まず一点目は、本年産ミカンやカキの豊作が予測される中、生産者団体と一体となって価格の安定を図る観点から、国の政策実施のほか、県も懸命に努力されてきたと思いますけれども、具体的にどのような取り組みがなされてきたのか。
 二点目に、昨年はミカンの発がん抑制効果ベータクリプトキサンチンを強くPRしてきましたが、本年産ミカンやカキの消費拡大に向けてどのような取り組みを行ってきたか。
 三点目に、現状の販売価格では農家自身が来年度への生産意欲を損ないかねない状況にあり、農家を救済する観点での低利融資等の措置が早い時期から必要と考えますが、県としての考えをお伺いいたします。
 次は、摘果ミカンの商品化についてであります。
 去る十一月十七日の産経新聞の生活欄に、ミカンがアトピー性皮膚炎やぜんそく、じんま疹などに強力な効果があるとの記事が掲載されてありました。記事によると、近畿大学薬学部の久保道徳教授は、未熟期の温州ミカンに多く含まれているヘスペリジンという医薬物質が抗アレルギー剤や抗炎症剤に近いような強い効き目があり、有効で、特にこの物質は未熟期のミカンに多量に含まれていることがわかったそうであります。久保教授によりますと、「実験でも、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、じんましんなどのI型のアレルギーに効果が非常に高いことがわかってきた」としたうえで、「ミカン農家は(中略)七月、八月に摘果をし、そのまま捨てるが、その時期の未熟なものにヘスペリジンが多く含まれていることは、今後農作物をさらに有効利用するという視点からも意義がある」と説明されています。まさに夏場のミカン園で多量の摘果ミカンが捨てられていますが、そのミカンほど抗アレルギー剤が多く含まれているとすれば、何とかこれを商品化して金にかえることができないものか、素朴な疑問を感じます。
 こうした実態を見るとき、摘果ミカンを商品化すべく農業ベンチャーを興すことにより、一石二鳥の効果が上がるのではないかと考えます。県として、商品化研究や消費拡大の材料として取り組む等、ミカン農家の経営安定化策について考えをお伺いいたします。
 続いて、農業共済組合への支援についてであります。
 農業共済制度は、民間からの参入がなく、掛金は農家五〇%、国が五〇%負担し、唯一農業共済組合だけが実施している政策保険であり、台風や暴風雨、病虫害など自然災害によって受けた農業者の損失を補てんして農業経営の安定化を図り、農業の継続と後継者の育成に努め、さらなる農業生産力の発展に資することを目的に設置された制度であります。こうしたことから農業災害補償法に位置づけられ、国、県、団体、農家が一体となって事業運営が進められ、台風銀座と呼ばれる本県農業は幾度となく救済され、有田ミカンの振興にとっても欠かすことのできない制度でありました。
 ご承知のとおり、昨年の台風等でこうむった県下の農作物の損害額は百三十五億円、農業共済が損害補償として農家に支払った共済金は、果樹共済を初め約五十億円、しかし県下では五〇%以下の農家が当該制度に未加入の状況であり、共済制度から支払った額は三七%にすぎなかったようでありまして、農家の経営安定を図る観点からも、組合の経営基盤の強化と共済制度への加入促進を図ることが重要であります。このため、県内三組合構想に基づき、国、県の指導のもと、本年七月、海南、海草、有田が和歌山中部農業共済組合、十月には和歌山、那賀、伊都が和歌山北部農業共済組合、日高、西牟婁、東牟婁が和歌山南部農業共済組合として合併し、新たにスタートをしました。しかしながら、組合を取り巻く状況は依然として厳しく、水田転作の強化やミカン価格の低下、あるいは高齢化による耕作放棄等、共済資源の減少、さらに国庫予算が昭和六十年度から定額横ばいながらも本県共済に対する国庫補助金は年々減額されており、過去五年間の減額実績は三千四百万円に上るそうであります。このような状況に対し、県農業共済団体としても、昭和六十年に百九十六名あった職員を平成十一年度には百九名までリストラを図るなど、経営の合理化に努めてきておりますが、現実には、災害を受けた農家に対する保険金対応に追われているのが状況のようであります。
 ついては、農業の拡大振興と農家経営の安定の見地から、県として組合の運営強化対策に対し積極的な支援をすべきと考えますが、農林水産部長の考えをお聞きいたします。
 通告の三番目は、「半島の中の半島にも光を」と題し、質問と要望を申し上げます。
 歴史をひもとくと、昭和五十七年十二月の和歌山県議会で半島振興法の制定が提唱され、一年後には県議会に半島振興法制定促進議員連盟が発足をし、翌昭和五十九年二月には半島関係八県による半島地域振興対策協議会が設立をされ、同年八月、全国の半島振興法制定促進大会を開催するなど、粘り強い陳情活動を展開され、与野党を超えた国会議員の協力を得て、昭和六十年六月の国会において議員立法により待望の半島振興法が制定をされたのであります。
 新法に基づき、半島振興対策実施地域は、本県を含む十九地域が豪雪地帯や離島と並ぶ特定地域に位置づけられ、特に本県では五十市町村中四十九市町村が対象となり、以来十四年、法の趣旨にのっとって紀伊半島ではいろんな面で法の恩恵に浴してきたところでありまして、法律制定に至る経緯の中で大変なご努力を重ねてこられた先輩各位に深甚なる敬意と感謝をささげるものであります。
 国土幹線軸から離れ、山間僻地を多く抱え、経済的な立ちおくれ、過疎と高齢化が進展する中で、後進性を打破したいというせっぱ詰まった状況、まさに窮鼠猫をかむ思いで法制定に向けた精力的な取り組みがなされ、紆余曲折を経て制定されたのが半島振興法であります。法に基づく半島振興計画の中身としては、交通網や情報通信網の整備、産業の振興や観光開発、水資源の開発や生活環境整備、福祉の充実や教育文化の振興等に加え、金融上の融資制度や税制上の特例措置、そして財政上の措置があり、特に本県では半島循環道路や幹線市町村道の整備、地域総合整備事業債による地方単独事業、農道整備や地方道の改築等、採択基準緩和による事業推進などを駆使して県内の道路網整備に重点を置き、積極的に推進をされ、仮谷県政に引き続き西口知事も先頭に立って県内二時間行動圏構想を掲げ、鋭意取り組まれてきたところでありまして、京奈和自動車道や近畿自動車道紀勢線の南紀延伸を軸として、この十数年間に県下各地で随分利便性が向上してきたことを高く評価するところであります。
 ところで、私の選挙区である有田市は、紀伊半島から紀伊水道に張り出した半島の中の半島のような地理的条件にあり、高速道路から外れ、唯一の幹線である国道四十二号線は慢性的な交通渋滞が続くなど、市民の間では、このままでは陸の孤島になってしまうんではないかとの強い危機感を募らせておるのが実態であります。
 ご存じのとおり、中紀地方に位置する有田市は、海あり山あり川ありの自然環境に恵まれ、伝統の有田ミカン、沿岸の水産業に加え、地場産業や商工業もそれなりに発達をし、石油精製業の東燃和歌山工場、非鉄金属の三菱電線工業箕島事業所も操業中でありますが、長引く不況や競争力強化のあおりでいずれの産業とも大変厳しい状況が続いており、消費地直送、輸送時間と輸送コストなど流通面の問題、就職面でもリストラや通勤アクセスの問題等、ハンディキャップを余儀なくされております。しかも、中紀の中核都市でありながら県の施設が皆無に等しい状況下にあり、せめて都市機能だけでも充実してほしいという市民の切実な声を代弁して、関係部長に二点ばかり質問と提言、要望を申し上げる次第であります。
 まず、国道四十二号渋滞解消対策についてであります。
 この問題につきましては、関係地域住民の生活道路確保の観点から、県当局の現状認識とご理解を賜り、県から国への重点要望事項に加えていただくなど、当面の渋滞対策、抜本対策等について近畿地方建設局や和歌山工事事務所との折衝に当たっていただくとともに、関係自治体である海南市、下津町、有田市の二市一町と有田郡町村会による国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会を結成し、近畿地方建設局や建設省に対して積極的な陳情活動を展開してきたところであります。
 こうしたことを踏まえ、平成十一年度に国の調査費が計上され、頻繁に走行車両の調査が実施されつつありますが、次の項目について質問をいたします。
 建設省和歌山工事事務所と県では、十月二十六日から三日間、有田市箕島から和歌山市紀三井寺間の国道四十二号線で和歌山交通需要マネジメント、すなわちTDM社会実験を県内で初めて実施し、朝の渋滞が深刻な国道四十二号線を対象に参加者を公募して乗用車と電車の併用、相乗りなどを体験してもらい、実験日当日の交通状況をふだんと比べ、渋滞緩和方法を探る目的で実施されたとのことでありますが、その実施状況と結果についてお伺いをいたします。
 続いて、建設省が本年度から調査費をつけて抜本的対策について一定のめどをつけたいとのことで、先日、関係自治体に対して抜本対策案の打診があったようでありますが、現在までの進捗状況と取り組み、県の見解についてお伺いをいたします。
 なお、国道四十二号線の有田市から海南市間にある幾つかのトンネルでは従前より水漏れが続き、施設の老朽化が懸念されるところであります。最近、JRの新幹線や在来線でトンネル内壁の落下事故が頻発しており、国道四十二号トンネルにおける安全点検は十分に行われているのか。県民の命を守る観点からご報告を願います。
 続いて、近畿自動車道紀勢線へのアクセス道路問題についてであります。
 有田地方では、去る七月二十四日、近畿自動車道紀勢線海南・吉備の四車線化事業の中心くい打ち式が挙行され、いよいよ高速道路時代が本格化し、新たな県土軸として脚光を浴びる中で、県下七市の中でたった一つ有田市だけが高速道路網計画から外れ、高速時代から取り残されていくような孤独感というか、町の将来を悲観する市民の声が悲痛なうめきのように聞こえてまいります。その声は、まさに昭和五十七年当時、時代の流れにおくれまいとして半島振興法制定を念願して奔走した和歌山県民のあのときのせっぱ詰まった心情と同じような条件下にあります。農漁業、商工業や観光業の振興等、流通の高度化が命運を決する時代に突入した今日、県土軸に直結するアクセス道路の連結こそ緊急の課題であります。とにかく、有田市民は、海南・吉備四車線化事業のこの時期を逸したら永遠に県土軸から外れ、市の発展は望めないとの強い危機感から、私ども政治に携わる者への風当たりが強くなってきています。
 私たちとしては、近畿自動車道紀勢線海南・吉備の四車線化事業が進められていく状況の中で、何とか有田市から直接乗り入れのできる道路の検討を強く要望申し上げる次第であります。
 以上、「半島の中の半島にも光を」と題し、有田市民の生の声を代弁してきましたが、知事には、日ごろから、たとえどの地域にあっても住んでよかったと言えるふるさとづくりを標榜されております。有田市民のこうした願いに対し、西口知事はどのような考えをお持ちか、お伺いをいたします。
 以上で、演壇からの質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの松本泰造君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本議員にお答えをいたします。
 先ほどは、温かいお言葉、ありがとうございました。
 二十一世紀への課題は、まさに人づくりであろうかと思っております。近年、青少年による凶悪事件の多発、薬物の乱用、いじめや不登校など、子供が直面している問題は極めて深刻な状況にございます。このような問題の背景といたしましては、子供を取り巻く環境や大人社会全体の意識の変化、価値観の混乱など、さまざまな変化が子供たちに影響していることと考えておるところでございます。
 ただいまの県民意識改革と人づくりについての議員のご提言は、まさに人づくりに対する貴重なご意見としてお伺いをいたしました。私も、このような社会の激しい変化の中にありまして、子供たちが生き生きと光り輝き、ふるさと和歌山に誇りと自信を持ち、社会に貢献できる人づくりへの熱い思いから、特に昨今は学校、家庭、社会の三位一体になった推進が極めて必要であろうと思いますけれども、そのことについて現在県では、最近の社会変化に的確に対応する二十一世紀の青少年施策を推進するために、わかやまの青少年プランの策定を進めてございます。このプランにご提言の趣旨を生かしまして、さらにプランの実施に当たっては感動わかやま21などの県民運動とあわせて、県民総参加の運動による県民の意識開発、あるいは人づくりを進めるための一大運動を展開していきたいと考えてございます。
 次に、有田市の市民の願いに対する知事の所見ということで、「半島の中の半島にも光を」についてでございます。
 有田市は、昨年二月に策定いたしました県長期総合計画では、わかやま二十一世紀計画の中に、周辺五町を含む有田圏域の中心都市として位置づけておるわけでございます。この有田圏域は和歌山市や京阪神大都市圏の都市近郊地域となってございますが、今お話がございましたように、有田市民の強い願いである高速道路へのアクセスを初めとした国道四十二号の渋滞対策など道路問題等の課題があることは、私も痛いほど承知をしてございます。
 後ほど、具体的には土木部長から答弁いたしますけれども、今後は道路、下水道等の生活基盤の整備を進めるとともに、有田地域の豊かな自然を生かしつつ、基幹作物であるミカンを中心とした農林水産業あるいは地場産業の振興を図ることによって都市との交流や多彩な活動ができる生活圏域の形成に努めまして、議員からもご質問がございましたけれども、私が常に申し上げております、どの地域にあっても、どの立場にあっても住んでよかったと言える故郷(くに)づくりが空文に終わらないようにしっかりと頑張っていきたいと思っておりますので、ご了解をいただきたいと思います。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 松本泰造議員の農業問題の三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ミカンとカキの安値対策についてでございます。
 本年産ミカンにつきましては、例年にない高温多雨によって品質の低下を招き、市場価格が低迷したことから、極わせからわせに切りかわる十月三十日から十一月一日までの三日間、全国各市場への出荷を停止するなど、生産者団体みずからの取り組みも行われ、さらに国においては去る十一月一日、市場価格の回復を図る観点から、本来、市場出荷する果実を加工用に仕向ける果実緊急需給調整特別対策事業の実施が決定されたところでございます。
 本県といたしましても、今議会で加工用の通常枠の増枠をお願いするとともに、緊急対策の実施とあわせ、加工仕向け量を約二万五千トンとするなど、市場価格の回復に懸命に取り組んでいるところでございます。
 カキにつきましても、厳しい環境を打開するため、去る六月十七日、JAグループによるカキ生産者大会が開催されるなど、新たな取り組みも見られております。
 次に消費拡大対策についてでございますが、生産者団体と一体となって、本年もミカンやカキの効用などについてマスメディアを使った消費宣伝を実施してございます。さらに十一月二十二日には、県議会UR議員連盟において新大阪駅でミカン消費拡大キャンペーンを実施していただくとともに、県といたしましても、十一月二十九日、副知事や県議会農林水産委員ご出席のもと、京阪神市場の方々との販売促進懇談会等を実施したところでございます。
 次に低利融資等の措置についてでございますが、本年の低価格がミカン、カキ農家の経営に大きな影響を与えないか懸念しているところでございまして、今後の価格の動向を見守りながら低利の緊急融資について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、摘果ミカンの商品化についてでございます。
 お話の、アレルギーに対して効果があるヘスペリジンにつきましては、専門機関によりますと、採算性や需要の点で問題などがあり、商品化は難しいのではないかと聞いてございます。しかしながら、市場で販売されているミカンにおいても少量ながらヘスペリジンが含まれていることから、ベータクリプトキサンチンのような消費拡大対策として活用できないか、生産者団体の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、農業共済組合の運営強化対策と県の支援についてでございます。
 農業共済制度は本県農業振興にとって大変重要な施策であり、これまでも農業共済組合連合会と連携しながら、共済組合の加入促進や広域合併の推進に取り組んできたところであります。
 本年には、和歌山中部を初め北部、南部農業共済組合が実現したところでございますが、議員のお話のとおり、農業共済を取り巻く状況は依然として厳しいところであります。このため、農業共済事業事務費負担金の維持、増額を国に働きかけるとともに、「県民の友」や県のホームページへの掲載による広報を新たに実施し、未加入農家の介入促進を進めているところでございます。
 今後とも、本県農家の経営安定を図る観点からも、農業共済団体の運営強化を支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 国道四十二号渋滞解消対策についてお答えいたします。
 交通需要マネジメント(TDM)とは、道路を利用する人が出発時刻、走行経路、交通手段を変更したり相乗り等で車を効率的に利用するなどして交通需要を調整し、渋滞緩和を図る方法であり、TDM施策を活用した社会実験が全国的に実施されております。
 今回の社会実験につきましては、交通の集中により渋滞が慢性化している国道四十二号の有田市から和歌山市間において、朝の通勤時間帯の北行き交通を対象にTDM施策の必要性を広報するとともに、渋滞の減少等の効果を把握し、効果的な施策を検討するため実施いたしました。
 この実験には二百二名のモニター参加者があり、十月二十六日からの三日間で延べ五百一名の方々に、パーク・アンド・ライド、パーク・アンド・バスライド、時差出勤、経路変更、相乗り出勤等によるTDM社会実験に参加していただきました。区間によっては多少の時間短縮効果が見られましたが、実験結果及びアンケート調査については現在建設省を中心に取りまとめ中であり、まとまり次第公表する予定でございます。
 国道四十二号の有田市から海南市間の交通渋滞対策につきましては、建設省、県、関係市町、県警で組織する一般国道四十二号有田市─海南市交通渋滞対策協議会の場で検討を行っているところでございます。
 抜本的な対策である四車線化については現在建設省で検討されているところであり、市、町の現状や将来の土地利用計画、また新規プロジェクト等を考慮し、県、市、町の意見を広く聞きながらルート調査を進めていただくこととなっております。
 国道四十二号の有田市から海南市間の渋滞解消は、地域さらには県の発展にとって必要でありますので、今後とも四車線化を強く国に働きかけてまいります。
 次に国道四十二号の有田市から海南市間のトンネルにつきましては、塩津第一トンネルを初め九カ所ございます。現在、建設省におきましては、最近供用のトンネルを除く直轄国道の全トンネルについて点検調査が進められております。既に目視による点検が完了し、異常なしと聞いております。
 さらに、トンネル全断面の打音による点検が実施されております。当該区間については、現在、九カ所中三カ所で打音調査を終え、それらについて異常なしと聞いております。引き続き、残りのトンネルについて打音調査を進めているところです。異常が認められれば、補修方法について検討の上、速やかに補修を行うと聞いております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 松本議員にお答え申し上げます。
 子供の健全な育成は、申すまでもなく、学校、家庭、地域社会の連携のもと、社会全体の枠組みの中で図るべきものであると考えております。
 日常生活の場で子供たちの行き過ぎや誤った行動、態度に対して親や大人ははっきりとそれを否定すべきであり、社会生活においては絶対に守らなければならないルールや規律があることを自信を持って示し、教えることが大切でございます。そのためには、何よりも大人自身や社会全体のモラルの向上を図るとともに、家庭や地域社会の教育力を高める必要があると考えております。
 こうしたことから、教育委員会では、子育てやしつけについて二十四時間の電話相談を実施しているほか、家庭教育に関するテレビ番組を制作したり、全国子どもプランの一環として家庭教育手帳の配布を行うなど、家庭教育を支援し、推進する各種の事業を実施しているところであります。
 今後とも、あらゆる教育の出発点としての家庭教育を一層充実するとともに、県民の方々にさまざまな学習の機会を提供し、地域社会全体の教育力の向上に努めてまいる所存でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四番松本泰造君。
○松本泰造君 各問題について答弁をいただきました。それぞれについて要望を申し上げて、質問を締めくくりたいと思います。
 まず、県民の意識改革と人づくりの問題についてでありますけれども、知事と教育長から答弁をいただきました。県並びに教育委員会としてそれぞれに取り組んでいただいていることがよくわかりました。私は、県民の意識改革と人づくりのために、県民全体に対する意識や行動のあるべき姿、目標を設定すべきではないかと前から考えております。例えば、市町村に参りますと、中には市民憲章や町民憲章を制定して、住民意識の高揚を図るために役所の玄関に憲章が掲示されておったり、あるいはまた市や町の広報に定期的に憲章が掲載をされて住民の意識喚起を図っておるというふうな──そんなに大きなスペースをとるのではなくて、常に住民の目に触れるような施策を講じておる姿を見ますと、私は、県としても、県民が和歌山県民として誇りを持てる不変の目標を示すために県民憲章を制定したらどうかなと、こんなに思うところであります。
 聞くところによりますと、県民憲章を制定している県はほかにないそうでございますけれども、私はそれだけに、全国で初めて和歌山県が和歌山県としての理想を掲げる、そんな県民憲章を制定して内外にPRをするべきではないのかなと思うところでございまして、県民憲章制定の是非についてご検討をいただくように要望しておきたいと思います。
 第二点目に、農業問題についてであります。いろいろと要望を申し上げましたが、本県産業の基幹品目であるミカン、カキが採算割れの安値に遭遇をして大変困っているようであります。こうした状態が続きますと、平成元年以来続いてきた果樹王国和歌山を守っていけるのかどうか、大変危惧するところであります。本県の基幹産業を守るという見地からより一層のご尽力をいただきますよう、要望を申し上げる次第であります。
 最後に、「半島の中の半島にも光を」と題して市民の声を代弁させていただきました。先日の知事選挙では、西口県政に対する有田市民の強い期待感が数値で示されました。実は、きょうは十月九日、障害者の日だそうであります。和歌山県のスローガンは「つれもていこら」であります。どうか、半島の中の半島にある有田市の問題についても、県勢発展の仲間外れにならんようにひとつよろしくお願いを申し上げまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松本泰造君の質問が終了いたしました。

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