平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 一番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 西口知事さん、当選おめでとうございます。二期目に向けて何かと希望も多いことでしょうが、県民はお体のことを大変心配いたしております。十分ご留意をいただき、県勢発展のためにご尽力を賜りますようお願いを申し上げます。
 お許しをいただきましたので、質問を始めさせていただきます。
 「リストラ」、この言葉を聞くと、何か心に寂しさや暗さ、冷たさ、重苦しさといったものを感じてしまう、きょうこのごろであります。経営者は、リストラをしないと悪いことをしているようで、リストラさえしていれば企業経営をしているとさえ錯覚してしまいそうであります。リストラクチャリング──企業再構築とでも言うのでしょうか、「事業内容や組織を見直して再編成すること」と辞書には載っておりました。しかし私の受けるイメージは、人減らし、経費節減、社員より企業、企業の生き残り策といったことばかりが頭をよぎるわけであります。日産自動車が五つの工場を閉鎖し、二万人以上の従業員を解雇するなどの発表があったとき、外国人が乗り込んできて何もそこまでやらなくても、それぐらいやればだれでもできる、それが本当の経営者なのかと思ってしまったのは、私一人でしょうか。
 和歌山でも、そのリストラにより名門の社会人野球のチームが解散をいたしました。都市対抗や日本選手権での優勝経験もあり、長い歴史と伝統にみずからピリオドを打ったのは大変残念なことであり、寂しい限りであります。ほかに道はなかったのか。私も、野球を愛する者の一人として、また野球を通して勉強をさせていただいた者として大変歯がゆく、何かできないのかと思いつつも何の行動も起こせなかったことを悔やんでおります。もっと早くわかっておれば──後の祭りです。この和歌山の地にはスポーツを愛する若者がたくさんおり、その若者たちの夢が少なからず破れたのかと憂うつにさせる出来事であり、野球団のOBや監督経験者でさえ知らされたのは記者発表の一週間程度前のことだったそうであります。これで、和歌山には社会人野球のチームが一チームだけとなってしまいました。
 今、アマチュアスポーツを支えている企業スポーツにおいて、最近五年間に約百部が休廃部、縮小をいたしております。近畿では、ことし五つの企業が野球部を廃部にしました。これは、アマチュアスポーツの根幹を揺るがすものと考えます。住友金属野球団の解団について、知事の所見を伺います。
 私が初めてこの場において質問をさせていただいたのは、平成七年九月二十八日であります。そのとき、西口知事の姿はこの議場にはありませんでした。今は亡き仮谷知事さんが紀淡連絡道路の私の質問に答え、これまでの可能性調査から平成十年度事業着手に向けての事業化調査へ切りかえ、平成十年には着工にかかっていただきたいと述べておられます。平成五年度からは、建設省だけでなく和歌山県、兵庫県、建設省が共同で現地調査を開始しており、それも七年がたとうとしております。明石大橋もできた、しまなみ海道もできた、さあ次は紀淡だと思います。和歌山の加太の地から友ケ島を通り淡路島へ、早期着工を願い、知事にお尋ねいたします。
 知事は、いつごろ着工と考えておられるのか、また地元の熱意を国に伝えることも大切ですが、一日も早い事業化のためにほかに何が必要か、お示しをいただきたいと思います。
 次に、土木部長にお尋ねをいたします。
 政府要望にも出ておりますが、大阪湾岸道路の南伸であります。
 すごいスピードで、大阪から関空までができ上がりました。関空の開港に間に合わないのではないかと思っていたのが、きちっと間に合うスピードでありました。そして、関空も開港して五年になります。今度は、和歌山から関空への湾岸道路だと考えます。しかし、一向に進みそうにありません。どうなっているのでしょうか。それほど必要がないということなのですか。何とか早い時期に完成をしてほしいと願います。
 そこで、南伸についての障害や問題点があればお示しをいただきたい。また、具体化の見通しについてお尋ねをいたします。
 もう一点、去る六月十五日、東松江地区の自治会長さんや役員の方々が、地区のほぼ総数に当たる四百六十三名の署名を持って知事に陳情に来られました。内容は、湊、中松江、西松江の各地区には既に緩衝緑地が完成しておりますが、東松江地区には、住金と隣接しているにもかかわらず緩衝緑地ができておりません。地元の皆さんは、他の地区と同様、散策路やスポーツ施設のある開放型の緑地を望んでおり、企業側に聞いてみますと、企業単独事業の場合、安全管理上、外周にフェンスを設置した閉鎖型の緑地にならざるを得ないということであります。河西緩衝緑地として都市計画決定されたうち未整備は約十ヘクタール、そのうち東松江地区の皆さんから要望をいただいているところは、県から環境事業団に委託して完成済みの緑地と連続しております。計画幅も五十メートル以上あることから、公共事業として実施可能と思われます。松江緩衝緑地は昭和五十九年に事業着手され既に十五年たっておりますが、東松江地区はいまだ具体化にも至っておりません。企業だけに任せておいてはいつになるかもわからないと思い、早期着工を強く要望するものです。
 あわせて、未整備の十ヘクタールの現状とお考えをお示しください。
 次に、大新公園地下駐車場についてお尋ねいたします。
 議場にいらっしゃる皆さん方も、新内へ夜、会合や食事等に行かれるときに一度ぐらいは利用したかと思います。その駐車場であります。ここは、すぐそばに新内という歓楽街を控えており、現在、県警初め自治会や各種団体が違法駐車や環境浄化に努めているところであります。救急車や消防車がいざというときに間に合うのか、また地域住民が自分のガレージから車を出せない、また自分のガレージに車を入れることができない、そんな苦情も大変寄せられております。また、青少年の健全育成、非行防止の立場からも、安全で安心な町づくりが望まれております。
 そこで、現在午前二時まで営業している地下駐車場をあと五時間延長していただいて二十四時間営業にできないものかと考えるわけであります。営業上、採算面を度外視するわけにはまいりませんし、また現在、赤字であることも十分承知をいたしております。しかし、赤字であるからといって手をこまねいているのでは新しい発想も生まれません。また、公共性を考えていくならば、何かにチャレンジしていくことも必要かと考えます。新内には、大新地下駐車場が必要です。これからは、地域住民の皆さんとともに、より必要な駐車場となるよう、二十四時間営業に向け、企業局長の答弁をお願いいたします。
 最後に、教育委員会に質問をいたします。
 少子化が進む中で、一校だけではラグビーや野球などの部活動でのチーム構成ができない中学校や高校が出ているようであります。文部省は、少子化でのスポーツ振興の観点より、複数校でチーム編成をし、大会などへ参加できないか検討を進めています。しかし現実は、学校体育関係団体の方では単一校の参加しか認められておらず、なかなか無理のある考え方ではないのかとも考えます。それよりも、まず考えなくてはいけないことは校区の見直しではないかと思います。
 現在の中学校区などは三十年以上前にできた校区であり、住環境の変化や時代の流れによって大きくさま変わりをしています。和歌山市内を見ても、小中学校では学年に一クラスという小規模校がたくさんあり、隣の学校も一クラスという現実もあります。統合できるところは統合し、未来を担う子供たちに適正な生徒数での教育を望むものであり、そのことに関しては県教育委員会は指導的立場であると考え、次の質問をいたします。
 まず、運動部活動の現状として、クラブ数の推移や加入者数、また現在、複数校にて参加が認められている地域や団体があるのか、あるとすればどこか、条件はどうなのか、お示しください。
 次に、小中学校や地域によっては大変大きくなってしまう学校があります。この大規模校の解消ということはよく言われるわけでありますが、小規模校については何ら言われたことがありません。今、小規模校の見直しについてはどう考えているのか、また統合した場合の公的財産はどのように有効利用されているのかをお教えください。
 次に、学区制についての質問をいたします。
 昨年より教育委員会では、きのくに教育協議会なるものを設立し、二年間、和歌山の教育に関して討議を進めております。その中でも学区制については話し合われていると聞いておりますが、現在九学区に分かれている中学区制をおおむねどのような方向に転換していくのか、小学区制を取り入れるのか、大学区制に移行するのかも踏まえ、また協議会での内容もお示しいただき、教育長のお考えを伺います。
 この件については九月議会において先輩議員より、特色ある学校づくりなどと相まって、この際全廃してはどうかとの質問がありました。私も賛成の立場ですが、学校教育法では学区をつくらなくてはならないと聞いております。ならば、せめて二つ、三つ程度にしてはどうかとも考えます。また、新しい通学区域、学区ができるとして、これからのタイムスケジュールもお示しください。
 保護者の皆さんは、なるべく早く受験に対応したい、受験生を持つ親はこの問題については大変敏感であります。今年度の三月末で、きのくに教育協議会も二年間の使命が終わり、まとめが出ることと思います。そうすれば、一年程度で教育委員会の判断も出ることでしょう。近い将来のことですので、的確に、スピーディーに方向性を示していただきたいと考えます。
 最後は、スポーツの振興についてであります。
 最初に申し上げましたように、住金の野球団が解団をいたしました。これを見ていると、これからの日本のアマチュアスポーツが曲がり角に来ているのかと不安になります。先日、テレビでアンダーツエンティーツーの全日本サッカーチームがオリンピック出場を決めました。彼らのプレーを見ていると、学校体育ではできそうもないプレーを平気でこなしています。地域のクラブチームから生まれた二十一世紀型のプレーヤーたちです。彼らとて、サポーターや企業の応援なくして今のプレーはないはずです。選手が安心して練習できる環境でなければ強化活動にも影響が出てきます。競技水準の維持や向上のためには、企業とスポーツの関係が再検討される時期でもあると考えます。和歌山の若者が、スポーツを通じ人間形成をし、すばらしい人材となり地域社会に貢献するため、教育委員会としても大きなバックアップが必要とされます。
 これからのスポーツ振興に関して、対策等をお示しください。
 以上が、私の質問です。再質問はいたしまん。そのつもりでお答えをいただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新島議員にお答えをいたします。
 体のご心配をいただいて、ありがとうございます。
 さて、住友金属野球団の解団についてでございますけれども、一言で申し上げますならば、まことに残念なことであります。
 ご承知のように、住友金属野球団は、一九五一年に設立をされまして、都市対抗野球大会で一回、社会人野球日本選手権大会で七回の優勝を誇る社会人野球界の名門チームとしてその地位を築き上げてこられました。本県のスポーツ振興という観点からも、企業スポーツの中心的な役割を担い、常に県民に明るい話題と活力を、また少年野球を初めとした球児には夢と希望を与えていただきました。今回、解団という結果になりましたことは、冒頭に申し上げましたように大変寂しい思いをいたしてございます。これまでの住友金属野球団の選手、OB、関係者の皆さんが築いてこられた栄光に対しまして、深く敬意を表するものでございます。
 最後にございましたように、今後、元気わかやまを築く上からも、スポーツ振興のためにも一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、紀淡連絡道路についてであります。
 ご承知のように、太平洋新国土軸、あるいは大阪湾環状交通体系のかなめをなすとともに、関西、四国の新たな可能性を切り開くプロジェクトとして、早期実現に向けた取り組みを県議会の皆さん方を初め関係団体とともに行ってまいりました。平成十年には、新全国総合開発計画並びに新道路整備五カ年計画に「構想を進める」と明確に位置づけられたところで、実現に向けて大きな前進をしたところでございます。
 課題は何かということでありますけれども、これまでの調査検討の結果、今後の課題といたしましては、技術的にはコスト削減でございます。また、架橋によるさまざまな経済波及効果について、広く国民の理解を得ることが必要であると考えてございます。本年八月二十日には、マリーナシティにおいて紀淡海峡交流フェスタを開催いたしまして紀淡連絡道路の実現を強くアピールしたところでございます。財政状況の大変厳しい中ではございますけれども、新時代の国、県づくりを進めるためにも、この紀淡連絡道路の一日も早い実現を目指して、関係府県、団体が今後とも一体となって要望していきたいと考えてございます。
 着工の時期につきましては、二十一世紀のできるだけ早い時期に実現できるように取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、三点目の大阪湾岸道路についてお答えいたします。
 湾岸道路の南伸につきましては、平成六年度に関西国際空港線から第二阪和国道の阪南市自然田地区までが地域高規格道路大阪湾岸道路南延伸に指定されております。この大阪湾岸道路南延伸区間及び第二阪和国道を経て和歌山市に至るルートは関西国際空港と連絡する不可欠な道路であり、県においても機会あるごとに国に要望を行っているところでございます。今後とも、大阪府との連携をとり、大阪湾岸道路南延伸の早期具体化を国に強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、四点目の河西緩衝緑地の未整備区域と現在の状況につきましてお答えいたします。
 河西緩衝緑地として都市計画決定されたうち、未整備区域約十ヘクタールの整備について、地元自治会のご要望を受け検討してきました。東松江地区の五・五ヘクタールにつきましては、地元自治会が望む一般開放型の緑地として実施可能な区域でありますので、企業に応分の負担を求めることを基本とし、すなわち住友金属による事業費の三分の一負担と社有地の無償提供を前提とした公共事業として取り組むべく関係者と協議してまいります。
 地元の皆様方のご要望を踏まえ、良質な緑地をできるだけ早く完成させるため、環境事業団に委託することとし、来年度の事業着手に向け検討してまいります。残りの土入川沿いから南の四・五ヘクタールにつきましては、緑地計画幅も狭く、一般開放になじみにくいため、企業に整備させることとしております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企業局長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○企業局長(白井保世君) 大新公園地下駐車場についてお答えを申し上げます。
 大新公園地下駐車場は、大新地区周辺地域の路上駐車対策、交通渋滞の緩和、都市活動の効率化を図るため、平成八年十月に営業を開始いたしてございます。午前七時より翌日の午前二時まで営業をいたしてございます。
 議員ご指摘の二十四時間営業につきましては、採算面から見ますと厳しい面がございますが、関係方面のご意見もお聞きしながら、営業時間の延長について検討いたしたいと考えてございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、五点についてお答えいたします。
 まず運動部活動の現状についてでございますが、本県の中学校では七三%、高等学校では四〇%の生徒が運動部で活動しております。しかしながら、近年、入部率は変わらないものの、少子化等に伴い、運動部の数及び部員数は平成六年度と十年度を比較しますと、中学校では三十三部、約一千七百人、高等学校では二十四部、約二千人が減少しております。
 複数校合同での大会参加につきましては、県中学校体育連盟や県高等学校体育連盟が主催する大会では現在認められておりませんが、今後さらに生徒や部員数が減少することが予測されますので、各連盟において研究を進めております。県教育委員会といたしましても、文部省や他府県の状況を踏まえながら、複数校の大会参加や日常の運動部活動における学校間の連携、中高の連携、また地域のスポーツクラブとの連携等も視野に入れ、運動部活動の活性化のための対策を進めてまいりたいと考えております。
 次に小中学校の校区の見直しにつきましては、設置者である市町村教育委員会が児童生徒数の増減や通学距離及び児童生徒の安全等を考慮するとともに、地域住民の理解と協力を得ながら行っております。
 また、統廃合に伴う学校施設及び運動場等の公的財産の有効利用につきましては、地域住民に開放したり社会教育施設として活用がなされているところであります。
 県内で小規模学校を合併した最近の事例は、小学校で一例、中学校では三例ございます。学校施設の利用等につきましては、当該学校施設の建築に対して国庫助成がなされている場合は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律等に抵触しないよう留意しながら、児童生徒や地域住民に有効に活用されるよう指導、助言してまいりたいと存じます。
 次に、県立高等学校の通学区域につきましては、普通科に関して県内を九つの通学区域として以来、二十年余りが経過しております。一方、通学区域がいわゆる全県一区である専門学科の新設や職業学科の学科改編を行い、生徒の学校選択の幅を拡大してまいりました。しかし近年、人口動態や交通事情も変化し、生徒や保護者のニーズ、価値観も多様化する中で、各方面から現行の通学区域を見直す必要があるとのご意見もいただいており、このたび通学区域のあり方について検討すべき時期であるとの観点に立って、きのくに教育協議会に協議していただくことといたしました。同協議会においては、生徒や保護者の間に幅広い学校選択に関するニーズが高まってきており、普通科の特色づくりとも関連して、学校選択の自由と学校間格差の是正との調和を図りながら検討する必要があるというご意見をいただいております。こうしたご意見を参考にしながら、今後、県教育委員会として検討を進めてまいりたいと考えております。
 最後にスポーツの振興についてでございますが、スポーツは心身の健全な発達や人と人との交わりを広げるための重要な活動として親しまれており、今後、余暇時間の増大等に伴い、スポーツ志向はますます高まっていくものと思われます。そのため、生涯スポーツ、競技スポーツ、学校体育の振興、スポーツ施設の整備充実を重点施策として取り組んでおります。生涯スポーツにつきましては、コミュニティースポーツの推進、スポーツレクリエーション大会等のプログラムの提供や指導者養成などの事業を行っております。また競技スポーツでは、体育協会を初め中体連、高体連等との十分な連携のもとに、各競技団体が行う強化事業の支援、小・中・高一貫した指導システムの構築、高等学校強化モデル校の指定などの諸事業を行っております。
 そのほか、国際大会等のスポーツイベントの誘致を積極的に行うなど、今後ともなお一層スポーツの振興に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。

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