平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十一年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十一年十二月八日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十九号から議案第百四十六号まで(知事説明・質疑)
  第二 議案第百二十号から議案第百三十八号まで、並びに報第四号(質疑)
  第三 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三十九号から議案第百四十六号まで(知事説明・質疑)
   二 議案第百二十号から議案第百三十八号まで、並びに報第四号(質疑)
   三 一般質問
出席議員(四十七人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       松   本   泰   造
     五  番       阪   部   菊   雄
     六  番       堀   本   隆   男
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       大   沢   広 太 郎
     十二 番       木   下   善   之
     十三 番       宇 治 田   栄   蔵
     十四 番       尾   崎   要   二
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       谷   本   龍   哉
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       永   井   佑   治
     二十 番       谷       洋   一
     二十一番       小   川       武
     二十二番       高   瀬   勝   助
     二十三番       木   下   秀   男
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       山   下   直   也
     二十六番       玉   置   公   良
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       野 見 山       海
     二十九番       吉   井   和   視
     三十 番       向   井   嘉 久 藏
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       江   上   柳   助
     三十四番       金   田       眞
     三十五番       森       正   樹
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       新   田   和   弘
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       大   江   康   弘
     四十一番       高   田   由   一
     四十二番       中   山       豊
     四十三番       飯   田   敬   文
     四十四番       鶴   田   至   弘
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       村   岡   キ ミ 子
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
     知事         西   口       勇
     副知事        高   瀬   芳   彦
     出納長        中   山   次   郎
     理事         藤   谷   茂   樹
     知事公室長      大   平   勝   之
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       安   居       要
     生活文化部長     大   井       光
     福祉保健部長     小   西       悟
     商工労働部長     上   山   義   彦
     農林水産部長     島   本   隆   生
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       白   井   保   世
     教育委員会委員長   目   黒   威   徳
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    中   尾   公   彦
     警察本部長      樋   口   建   史
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     宮   市   武   彦
     選挙管理委員会委員長 谷   口   庄   一
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       新   谷   哲   朗
     次長         蓮   池   康   宏
     議事課長       佐   竹   欣   司
     議事課副課長     井   田   光   三
     議事班長       松   谷   秋   男
     議事課主査      井   口   好   晴
     議事課主事      安   井   伸   彰
     総務課長       西   野   光   彦
     調査課長       湯   川       忠
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主査      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課速記技師    保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、報告いたします。
 知事から議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百三十九号から議案第百四十六号まで】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、ただいま報告の議案第百三十九号から議案第百四十六号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明を申し上げます。
 我が国経済は、緊急経済対策を初めとする各般の政策効果の浸透などにより緩やかな改善が続いておりますが、経済の自律的回復に向けた民間需要の動向はいまだ弱く、雇用情勢には依然として厳しいものがあります。国においては、こうした状況を踏まえ、公的需要から民間需要への円滑なバトンタッチを図り、民間需要中心の本格的な景気回復を目指すとともに、二十一世紀の新たな発展基盤を確立するため、総事業規模十八兆円の経済新生対策を決定したところであります。
 本県といたしましても、中小企業向け融資の拡充・円滑化や新産業の創出支援等、県経済の活性化策を講じるとともに、国の緊急雇用対策に呼応して雇用就業機会の創出を図るなど、従来より積極的に景気対策に取り組んできたところでありますが、さらに、今議会におきましても、経済新生対策を早期に実施に移すため補正予算案を直ちに編成し、このたびご提案させていただいたところであります。
 その主な内容についてでありますが、経済新生対策等の関連では、府県間道路等の整備促進、砂防事業等防災対策、公営住宅の建てかえ促進、老人福祉施設の整備促進、中山間地域の農村活性化対策や農業集落排水事業の促進、林業構造改善事業、漁港修築事業等の投資的事業の追加により百七十三億円の増額補正を行うほか、県信用保証協会の経営基盤を強化することによる中小企業に対する金融支援の拡充、関西国際空港二期事業の推進等を図ることとしております。さらに、景気の腰折れを招かないよう、年度間の切れ目のない事業執行を図る債務負担行為として四十五億円を別途措置しております。
 また、県単独の施策として、来年秋の供用開始に向け、南紀白浜空港滑走路延長整備の促進を図るほか、金融再編が進む中、漁協系統金融機関についても健全性確保が迫られていることを踏まえ、各漁協の信用事業を県信用漁業協同組合連合会に順次統合し、系統金融の安定化と漁協経営の改善を図るため、所要の措置をお願いしております。
 これらの措置等の結果、総額で百九十三億五千万円の増額補正となり、平成十一年度一般会計の補正後予算額は六千二百六十八億八千万円となっております。
 なお、今回の補正予算の財源につきましては、国庫支出金、県債等をもって充当することといたしております。
 次に、条例案件でございますが、議案第百四十号から百四十五号は職員等の給与改定に伴う関係条例の改正であり、去る十月十二日に出された県人事委員会勧告を受けて、今年四月一日から給与改定を実施するために所要の措置を講じるものであります。
 また、議案第百四十六号は今回の補正予算に伴う建設事業市町村負担金について議決をお願いするものであります。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 以上で知事の説明が終わりました。
  【日程第二 議案第百二十号から議案第百三十八号まで、並びに報第四号】
  【日程第三 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 次に日程第二、議案第百二十号から議案第百三十八号まで、並びに知事専決処分報告報第四号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 二十二番高瀬勝助君。
  〔高瀬勝助君、登壇〕(拍手)
○高瀬勝助君 おはようございます。
 十二月議会一般質問の初めとして、質問をさせていただきます。
 まず、西口知事の再選と二期県政が多くの県民の期待に支えられスタートしたことに対しまして、心からお祝いの言葉を申し上げます。
 西口知事は本会議の冒頭で就任あいさつをされましたが、知事は、必ず二十一世紀は和歌山県の時代になることを確信している、そのために自分自身が二十一世紀へのかけ橋となって、自信と誇りに満ちた和歌山、夢と希望をはぐくむ和歌山、安心で活力のある和歌山の創造を目指して力の限りを尽くしていくと言われました。私も議場で伺いながら、県民から選ばれた一人として、微力ながらではありますが、和歌山の時代を実現するため西口知事県政を支えていこうとの思いを強くいたしました。
 先般、熊野体験博のテーマである「癒し」という言葉が、ことしの日本新語・流行語大賞のトップテンに入賞し、知事が東京で行われた授賞式に駆けつけられ、小渕首相や松坂投手らとともに受賞されたそうでありますが、このことは和歌山の未来を象徴する大変明るい出来事であり、知事が言われるように二十一世紀は和歌山の時代ということがまさに実現可能だと思うのであります。
 私は、スポーツイベントの誘致と本県の活性化、熊野・高野山の世界遺産への登録、電源立地とエネルギー問題の三点について質問をいたします。
 まず、スポーツの振興、特にスポーツイベントの誘致と本県の活性化について、二点お伺いいたします。
 これまで質問の機会をいただくたびに、スポーツを通じての青少年の健全育成や活力あるふるさとづくりについて提言をしてまいりました。西口知事並びに教育委員会におかれましては、こうした提言を真摯に受けとめていただき、本県スポーツの振興について種々の施策を実施されるとともに、卓球の国際大会を初め、ヨットの国際大会等の開催にもご尽力をいただいているところであります。このことにつきましては、深く敬意を表するものであります。
 まず一点目は、二〇〇二年に日韓両国で共同開催されるサッカーのワールドカップに関してであります。
 前回のワールドカップはフランスで開催され、参加国百六十八カ国・地域、スタンド観戦者は二百七十九万人、テレビ視聴者は延べ約四百億人ともいう、まさに世界最大のスポーツイベントであります。二〇〇二年のワールドカップは二十一世紀最大の大会であり、またアジアの地で開かれる初の大会であります。さらに、日本と韓国の二カ国開催ということで、前回以上の盛り上がりが期待されているところであります。
 さて、この大会に世界各地の代表として選ばれた参加国の事前のキャンプ地について、日本組織委員会が全国に公募したところ、本県を含む四十三都道府県、八十三カ所が立候補したと伺っております。参加三十二カ国の中には韓国でのキャンプも想定され、日本におけるキャンプを希望する国の数は限られてくると思いますが、本県が立候補した以上はぜひとも実現できるよう積極的に関係機関へ働きかけをする必要があると思います。
 和歌山県でキャンプ地を誘致することができれば、その国によっても違うと思いますが、多くのサポーター、マスコミ関係者等が本県を訪れることになり、スポーツの振興はもとより、まさに本県を世界にアピールするまたとないチャンスであると思います。誘致に向けての知事の決意をお伺いいたします。
 また、今後の取り組みやキャンプ地として予定されている紀三井寺競技場の整備について、教育長並びに土木部長に答弁をお願いいたします。
 次に、二〇〇八年オリンピックに大阪市が立候補しておりますが、その際、本県におけるヨット競技の開催について、さきの議会でも質問がありましたが、誘致に向けてのその後の進捗状況についてお伺いをいたします。
 二〇〇八年のオリンピックについては、まだ一度もオリンピックを開催していない中国が同じアジア地域の中で立候補するということが言われており、日本での開催は極めて厳しい状況でありましたが、IOC(国際オリンピック委員会)委員の開催候補地への訪問が禁止になるなど、その選定についての改革案が示されることになり、申請書重視の選定になることが推測されるところであります。大阪市では、会場や交通アクセス等でどこの国にも負けないプランを持っていることから、誘致に関して自信を深めているようでもあり、大阪開催の可能性も高まってきていると伺っております。
 ヨット競技では、海の美しさはもとより、海流や風速などが重要な要素であり、大阪湾よりも本県の和歌浦がより適していると言われていることから、その誘致に向けて県挙げての取り組みがなされると伺っております。その後の進捗状況及び誘致可能性について、教育長にお伺いいたします。
 また、本県においては、和歌山ビッグホエールなど、国際大会にも対応できる施設もあることから、ヨット以外の競技が開催できるのではないかと思っておりますが、その可能性について、あわせて教育長にお伺いいたします。
 次に、熊野・高野山の世界遺産への登録について質問いたします。
 私は平成七年二月議会で、和歌山は自然に恵まれた歴史的風土を誇る県土であり、南には熊野文化、北には高野文化という大信仰の地を有し、数多くの重要な文化財を保有しており、世界に誇り得る文化遺産である、このことから、世界遺産条約の文化遺産リストに登録し、世界にアピールするような発想をしてもおもしろいのではないかと提言いたしました。
 世界遺産は、世界遺産条約により、人間の創造的才能をあらわす傑作であることが文化遺産の定義であり、また、ひときわすぐれた自然美や美的要素を持った自然現象あるいは地域を含むことが自然遺産の定義であると言われております。
 世界遺産に登録されると、国際的な知名度はもちろん、多くの観光客が見込まれるなど、その効果ははかり知れないものがあることから、近年、我が国においても多くの都道府県が国内暫定リストに挙げられるよう積極的な働きかけがあることが新聞等で報道されております。本県におきましても、弘法大師が開いた真言密教の霊場・高野山が世界遺産登録に向けて、町や真言宗総本山金剛峯寺、地元商工会等が本格的に動き出したとのことであります。
 高野山には、金剛峯寺不動堂、金剛三昧院多宝塔の国宝建造物、金剛峯寺大門等の重文建造物などの指定物件、金剛峯寺境内・高野山町石の史跡等、文化遺産の条約にある記念工作物、建造物、遺跡等の条件をクリアできるふさわしいものであります。
 また、熊野におきましても、熊野本宮大社本殿、熊野那智大社本殿、那智山青岸渡寺本堂の重文建造物、名勝那智の大滝、那智原始林・熊野速玉神社のナギ等の天然記念物、特別名勝の瀞八丁等の指定物件を有しており、日本歴史上にもアリの熊野もうでと呼ばれたほどの地であります。本年開催されました南紀熊野体験博におきましても、国内外の多くの人々にそのすばらしさを体験していただいたところであります。
 私は、高野山と熊野は世界遺産としてどちらもふさわしいものと確信しておりますが、これらを一体と考え、和歌山の聖地として一刻も早く世界遺産暫定リストに搭載していただけるよう積極的に関係機関に働きかけるべきだと思いますが、この点について知事の見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、本県の電源立地とエネルギー問題について質問をいたしたいと思います。
 私は、去る十月六日から三日間、県議会総務委員会で沖縄県に調査に行く機会を得まして、来年開催されるサミットの会場や沖縄県のマルチメディアセンター、さらには海水による揚水発電の施設など、現地においてさまざまな特色のある施設の調査を行ってまいりました。中でも、実証試験の段階ではありますが、世界で初めての海水による揚水発電の事例として、国頭村に設置されている沖縄海水揚水実証試験場に興味を持ちました。
 これは、陸上に設置された上部調整池と海面との約百三十メートルの落差を海水が落ちるエネルギーを利用して、最大で三万キロワットの発電を行う実証プラントであり、資源エネルギー庁の委託事業として電源開発株式会社が実証試験を行っているものであります。沖縄は貴重な自然環境に恵まれたところでありますから、当然のことながら、この施設の設置に当たっては景観面や生態系への影響について種々の配慮が行われています。
 我が国は工業先進国として大量のエネルギーを必要としていますが、エネルギー資源に乏しく、また周囲を海に囲まれた国土の狭い国であります。こうした状況を考えますと、我が国の発電形態の新たな一つの事例として、また海に面している本県においても検討の価値があるのではないかと関心を持った次第です。
 いずれにいたしましても、私たちの日常生活の隅々までが電気に支えられている現状であり、また日本の産業がエネルギー問題を抜きにしては語れないということも事実であります。京阪神地域という電力の一大消費地に近く、また海に面した長い海岸線を有するという立地条件にある本県にとりまして、電源立地というエネルギー問題は重要な課題であるとの認識から、以下の二点について企画部長にお尋ねをいたします。
 本県では、ご承知のとおり、関西電力が二つの火力発電所の計画を進めており、現在、工事の着手に向けて最終の段階に差しかかっているようであります。和歌山発電所計画と御坊第二発電所計画については、平成九年七月に開かれた国の電源開発調整審議会で承認され、その後、和歌山発電所計画については本年三月に西防埋立地の権利移転の許可がなされ、また御坊第二発電所計画については去る十一月八日に公有水面の埋め立てが免許され、両計画とも来年の早い時期に工事に着手する予定と聞き及んでおります。
 これらの大規模な発電所計画については、地元では周辺への影響を心配される声も一部にあるようですが、長年にわたる経済の低迷もあり、発電所の建設をきっかけとして本県の景気浮揚や地域の活性化が図れるとの期待が大きいことも事実であります。
 両発電所計画については、既にこれまで県や国において環境保全や安全面から厳正な審査が行われ、今日に至っていることを踏まえますと、今後は、建設に際し、環境保全や安全対策に万全を期することはもちろんのことでありますが、県経済や地域の振興に及ぼすメリットが大きいことも考慮し、この二つのプロジェクトを積極的に推進していくということが現在の本県にとっても必要であると私は考えています。
 来年は西暦二〇〇〇年という区切りの年を迎えますが、まずこれら二つの火力発電所の建設に対する今後の対応についてお尋ねをいたします。
 次に、エネルギー問題や電源開発について、今後の長期的な展望という観点からお尋ねをいたします。
 先日、十一月三十日ですが、NHKの「クローズアップ現代」という番組で、最近の大きな話題でありますコンピューター二〇〇〇年問題が取り上げられていました。電力や通信にトラブルが生じた場合、コンピューターシステムで管理が行われている現代社会のさまざまな分野においてさらにトラブルが生じることとなり、これらの問題に対してどのように対応すべきかという特集番組であります。
 電力は、その大部分を火力発電所や原子力発電所に頼っている現状ですが、規模の大きな発電所が何らかのトラブルで停止しますと、広い範囲の地域で停電となり、日常生活や産業活動に大きな支障が生じることとなります。東京電力の事例が紹介されていましたが、発電所そのものは既に二〇〇〇年問題への対応を終え、年末年始にかけてトラブルで停止することはないとのことでした。しかし、ことしの年末年始は例年とは異なり、二〇〇〇年問題に関連して前もって工場などが極端に操業を落とすような場合があり、電気の需要が急激に落ち込む状況が予想されているようです。このように電力需要が急激な変動をする場合には発電所の調整が追いつかなくなり、最終的に発電所が停止する懸念があるとのことです。
 このようなケースへの対応として、揚水発電所の通常とは異なった視点の活用方策が紹介されていました。揚水発電は、ご承知のとおり、上部のダムに水をためておき、電力が必要な際に下のダムへ水を流し、このエネルギーによって電力を起こすことにより昼間の電力需要のピーク時への対応などが可能となる水力発電の一種であります。しかし、需要が急激に落ち込むような今回のケースでは、揚水発電所で逆に下のダムから上のダムに水をくみ上げて電力を使うことにより電力の需要を安定させ、他の発電所の停止を防ごうと考えているようです。揚水発電が発電所全体の危機管理といった面も持ち合わせているということが番組の中で解説されており、電力の安定供給の仕組みについて認識を新たにした次第であります。
 このような危機管理を含めた電力の安定供給の確保ということがエネルギー政策の重要な柱の一つでありますが、これに加えて近年、化石燃料と二酸化炭素の増加の関連から、地球温暖化問題への対応という視点がエネルギー問題における重要な課題とされています。地球環境問題が世界の重要な課題として取り上げられ、これらの対策について種々検討が進められており、国のエネルギー政策においても、これまで進めてこられた石油への依存度合いを低減していくことに加え、地球環境問題への対応として、省エネルギーの徹底や非化石エネルギー導入の必要性が強く打ち出されています。非化石エネルギーとしては、古くから利用されている水力発電に加えて、近年、公共施設や一般住宅にも普及し始めた太陽熱発電や、最近話題になっており、十二月四日付読売新聞の記事に紹介されていた風力発電などが有力視されているようであります。
 読売新聞の紹介は、平均風速が毎秒七・六メートルと風の強い三重県久居市が、青山高原の標高八百四十二メートルの笠取山頂付近にことし五月に完成させ、運転している風力発電施設の事例であります。この施設は、高さ五十メートルの柱の上で長さ二十五メートルの三枚の羽根がゆっくりと回転をしており、施設四基の合計出力は三千キロワットで、約二千四百世帯への電力を賄えるとのことです。
 久居市は、中部電力との間で一キロワット当たり十一円七十銭の売買契約を締結し、年間約一億円の収入を見込んでおり、十五年ほどで建設費などが回収できるとの見込みだそうです。大規模な発電所の立地は国の電源三法による交付金や産業振興のための各種の支援制度、さらには建設に伴う経済波及効果など、地域の振興という点で大きな効果が期待できるのはまさにそのとおりであると思います。しかし、地球環境問題や本県の重要なテーマの一つである自然との共生ということを考えますと、私は、これからの二十一世紀の時代においては自然エネルギーを有効に活用するという視点がますます求められてくるのであろうと考えております。
 このような観点から、自然エネルギーを利用した水力発電、太陽熱発電、風力発電などについて本県における現在の取り組み状況や課題、将来の展望などについてお尋ねをいたします。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの高瀬勝助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 高瀬議員にお答えをいたしたいと思います。
 最初に、私に対する大変温かいお言葉ありがとうございました。
 ワールドカップサッカーのキャンプ地の誘致についてでございます。
 県では、本年の九月に県営紀三井寺公園を主会場に公認キャンプ候補地として申請をしたところでございます。お話にございましたように、全国で四十三都道府県、八十三カ所の申請がございます。
 本県でのキャンプが実現すれば、議員ご指摘のとおり、和歌山県を全世界に発信する絶好の機会になるものと考えてございます。関西国際空港から至近距離にあり、豊かな自然環境にも恵まれている優位性を持つ本県としては、今後、キャンプ地誘致に向けて関係団体等と連携を図りながら積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、世界遺産についてでございます。
 本県には、北に真言密教の根本道場の地として高野山があり、また南には熊野三山を中心とした熊野信仰根源の地がございます。ともに古代から現代に至るまで日本人の心のよりどころとして脈々と息づいております。これらは地域の資産としてだけではなくて、世界に誇り得る遺産でもございます。
 高野山あるいは熊野をそれぞれ個別に登録してはどうかという声もございまして、私もそのように考えてございましたけれども、その後、教育委員会と国との協議を続けている中では、これらを紀伊半島山岳宗教という一体のものとしてとらえることの方がより登録に際しては有効ではないかというご意見もございます。が、今後、世界遺産への登録を目指しまして、関係の市町村や地域の方々とよく協議をいたしまして、一体になって積極的に進めてまいりたい、そのように考えてございます。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 二〇〇二年ワールドカップキャンプ候補地として予定している紀三井寺競技場の整備について、お答えいたします。
 キャンプ期間中は、陸上競技場及び球技場の二面をサッカーコートとして使用することになります。公認キャンプ地最終リストに記載されるためには、公認キャンプ候補地募集要綱の条件を満たす必要があり、芝生の張りかえや陸上競技場諸施設の改修が必要ですので、西暦二〇〇〇年度で調査設計を行い、二〇〇一年度で改修工事を実施するように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) まず、和歌山発電所及び御坊第二発電所の建設に対する今後の対応についてでございますが、議員ご指摘のように、これらの発電所計画につきましては、電源三法による電源立地促進対策交付金、固定資産税や事業税の増収、建設投資に伴う経済波及効果や雇用などにより、地元の地域振興のみならず県全体の景気浮揚を図れるものと期待しているところでございます。
 今後、関係部局と連携を図りながら、工事の着手までに建設協定や環境保全協定を事業者との間で締結し、建設工事や発電所の稼働について環境保全や安全確保に万全を期することはもちろんのこと、地元発注や地元雇用などについても十分配慮するよう事業者を指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、自然のエネルギーを利用した水力発電、太陽光発電、風力発電に関するご質問についてお答えいたします。
 まず、水力発電の現況についてでございます。
 県内では揚水発電はございませんが、関西電力、電源開発、県企業局が通常の水力発電を行っており、現在の合計出力は約二十一万キロワットの規模となっております。最近の状況としましては、中津村にある関西電力の高津尾発電所が最新型の発電設備に更新し、五千八百キロワットから一万三千八百キロワットに出力アップが図られ、ことし七月に完成し、順調に運転が行われております。
 水力発電につきましては、このように今後も順次施設の更新が図られ、技術の進展により出力アップが進められていくものと考えてございます。
 次に、太陽光発電の現状についてでございますが、最近では平成九年度に上南部小学校、十年度に藤並小学校等に太陽光発電パネルが設置され、また今年度は下里中学校にも設置される予定となってございます。
 太陽光発電につきましては、発電コストや発電効率などの課題がありますが、今後も技術革新等によって改善が進められていくものと考えており、県といたしましても、今後、県施設への導入の検討や一般住宅への普及啓発に力を入れてまいりたいと考えてございます。
 最後に、風力発電の現状についてでございますが、吉備町では一昨年に風況調査を終え、県内では初めての二百三十キロワット級の風力発電施設が鷲ケ峰コスモスパークへ設置されることとなり、今年度中の完成に向けて工事が進められてございます。また、風力発電の可能性を検討するため、現在、御坊市で一年間の風況調査が実施されております。
 風力発電につきましては、年間を通じて強い風の吹く場所という制約条件がありますが、電力としてだけではなく観光資源としても期待されているところでございます。
 いずれにいたしましても、自然エネルギーの有効利用ということにつきましては、国全体として取り組むべき課題ではありますが、県としても今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツに関する二つの質問にお答え申し上げます。
 まず、ワールドカップサッカーキャンプ地の誘致についてでありますが、キャンプ地につきましては、JAWOC(二〇〇二年ワールドカップ日本組織委員会)が二〇〇一年六月までに公認キャンプ地最終リストを決定することになっております。
 誘致活動については、本大会に出場する国すべてを対象にするか、本県と友好関係にある国をターゲットに進めるかなど考えられますが、現在、最も効果的な誘致活動について関係部局と検討を進めているところであります。今後とも、県サッカー協会と連携し、青年会議所、その他多くの民間団体、そして県民の皆様方の盛り上がりなど、幅広い支援をいただきながら進めてまいりたいと考えております。
 次に、二〇〇八年大阪オリンピックにおけるヨット競技の誘致についてでありますが、大阪市オリンピック推進本部に対して平成八年度から再三要望を行うとともに、日本セーリング連盟等、関係機関に積極的に働きかけを行っているところであります。
 また、誘致の可能性についてでありますが、これまで本県でレーザー級ヨット世界選手権大会や全日本四七〇級選手権大会などの国際大会、全国大会等を開催する中で、国内外のヨット競技関係者から海洋気象条件や大会運営など高い評価をいただいており、本県開催の可能性もあると期待いたしているところであります。
 なお、ヨット以外のオリンピック競技の開催でございますが、今後、大阪市から正式に依頼があった場合には積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、大阪市が二〇〇八年のオリンピック開催地に決定されることが先決であり、今後とも大阪市のオリンピック招致活動に積極的に協力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十二番高瀬勝助君。
○高瀬勝助君 ご答弁ありがとうございました。
 何点かの要望ということで、サッカーのワールドカップは二〇〇二年ですけれども、今も他の議員のお話の中で、競技場や練習会場の整備を早くやらないと誘致に間に合わないぞと。大変予算も伴うものですけれども、立候補した限りは整備の方も並行してそれに間に合うよう、ひとつ頑張っていただきたいということを要望しておきます。
 それから、もう一点は世界遺産です。
 過日、高野山で、台風の後の杉の木の大変な被害で、たくさんの重要文化財が壊されたのが修復されておりました。鹿児島県の島津公のいわゆる敵味方それぞれのご遺体がその中に納められているのはここだけしかない珍しいことで、今月、その供養をやるということで、私もたまたま少しかかわったことがございましたので高野山に参りましたけれども、お墓にしても、世界遺産として本当に世界に通用するような立派なものがたくさんあるということです。
 プラス熊野博における大成功の中での熊野三山、先ほど知事の答弁の中にあったとおりでございますので、どうか並行して、観光立県と言われている和歌山県の一つの誘致のポイントになればと思っておりますので、ぜひとも世界遺産への登録に対して強力なる働きかけをお願いします。終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高瀬勝助君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十四番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のお許しを得ましたので、一般質問を行います。
 まず、第一項目のコンピューター西暦二〇〇〇年問題と危機管理についてお尋ねいたします。
 「和歌山県コンピューター西暦二〇〇〇年問題危機管理計画書」によれば、計画の目的は「コンピューター西暦二〇〇〇年問題に起因する何らかの問題が発生した場合に、その及ぼす影響を最小限に抑え、和歌山県の業務の遂行及び県民の生活の安全を確保するため、関係機関等と協力、連携のもと、あらかじめ講ずべき対策を定める」としております。
 計画に従う期間として、一九九九年八月十九日からを危機管理計画に従って行動する期間とし、一九九九年から二〇〇〇年へ移行する十二月三十一日から一月四日の期間と、そして二〇〇〇年二月二十八日から三月一日のうるう年の動作確認のとき、さらに一九九九年度から二〇〇〇年度への移行時の動作確認をする三月三十一日から四月三日までの期間を主な行動予定としております。
 計画の全体像では、県行政の運営に直接影響する「行政における問題」と、特に社会経済の基盤となる電力、水道、交通、通信などの生活・生産基盤に生じた問題によって県民生活に影響を与える「地域における問題」の二つに分けられております。
 十月二十九日の高度情報通信社会推進本部の決定では、「二〇〇〇年問題については、金融、エネルギー、情報通信、交通、医療といった影響の大きい重要分野等において官民をあげた徹底した未然防止や危機管理等の対応が進み(中略)日常生活に深刻な影響を与えるようなサービスの停止等大きな混乱は生じないと考えます。しかしながら、日常生活で時には経験するような小規模或いは短期的な不都合を含め、万一の場合に備えて国民の皆様一人一人が念のための準備を行うことは重要なことです」としております。
 こうした中で、二〇〇〇年問題に対するカウントダウンが進み、国民の関心が高まる中において、いたずらに危機感を募らせて社会全体をパニック状態に陥らせたり、住民に戸惑いや不安を抱かせてはならないと思います。しかし、最悪のシナリオを想定して準備を整えることは大切なことであり、県民が混乱しないためにも正確な情報を把握し、情報を公開し提供するなど、最後の一瞬まで粘り強く対策を続けることは必要だと思います。
 すべての危機管理に対して謙虚に取り組む姿勢が大切でありますが、新聞の記事などでは、自治体によっては積極的に準備する自治体とじっと過ぎ去るのを待つ自治体があるとか、関西はのんびりとしており広報も簡単なものしか出していない、これに対して関東ではPRを着々と進め、点検表の配布や説明会を開催しているなどとの報道もされておりました。こうした中で、私はやはり和歌山県は関西的な状態になっているのではないかと感じている次第であります。
 さて、まず最初に、和歌山県のこの二〇〇〇年問題など危機管理に関する取り組み姿勢や現在までの到達状況について、本部長である副知事の見解をお尋ねいたします。
 次に、企画部長にお尋ねいたしますが、二〇〇〇年問題のために人、時間、お金などが費やされているわけですが、どのような実態、規模になっているでしょうか。
 また、コンピューターのシステム修正と模擬テストの実施状況はどのようになっているか、お知らせください。
 また、チェックはほとんど完了したと思いますが、今後の危機管理体制の強化が求められるところであり、万一のときの対応にやはり不安は残ります。そうした不安に追い打ちをかけるように、過日の新聞記事では和歌山県は県庁のネットワークシステムの対応がおくれていたと報道されていましたが、なぜおくれたのか、その原因を明らかにしてください。
 厚生省はこの六日、救命救急センターなどすべての重点医療機関で対応が完了したと発表しましたが、県民の命にかかわる問題として、民間を含めた医療機関の対応状況はどのようになっていますか。
 同時に、中小企業の皆さんへの対応や市町村との連携については心配ありませんか、お尋ねいたします。
 そして、二〇〇〇年問題については、欠陥商品を売りつけられたのではないかとしてメーカーの責任を問う声もありますが、アフターサービスや補償など、メーカーの対応はどのようになっておりますか。
 この項の最後に、二〇〇〇年問題への対応といえばコンピューターの対策と思われがちな面もありますが、行政にとって何よりも大切なことは、県の危機管理計画書においても地域における問題、すなわち県民の日常生活にかかわることが何よりも大切だと思います。しかし、そのことについて、家庭においての点検や対応について周知が不十分であると思われます。県民の皆さんの中にある、具体的にどのようにしたらいいのかという疑問や不安に具体的に答えていくことが求められると思いますが、いかがでしょうか。そのためには、情報を正確、的確に伝える広報活動が重要であると考えます。今後、年末に向けて情報も多くなると予想されますが、県はどのような広報活動を行っていく計画ですか、お尋ねをしてこの項を終わります。
 第二項目の、土地開発公社の長期の土地保有と財政圧迫の問題について質問をいたします。
 和歌山県土地開発公社の資産の大部分を占めているのは、流動資産である公有用地、完成用地、未成土地でありますが、その保有地の状況はことしの三月末で、面積で約二百四十六ヘクタール、簿価で約七百三十六億円です。そのうち、事業開始から五年以上経過している完成土地、未成土地は二百二十九ヘクタールで全体の九三%、金額にすれば六百四十八億円で全体の八八%であります。
 ちなみに、全国市民オンブズマンの資料で見ますと、和歌山県の塩漬け土地保有度は面積で全国第六位、金額にすれば四位、塩漬けの割合では何と七〇・七%で全国一位となっております。また、この五年以上保有している土地の百二十七億円が金利分であり、この利子負担額でも全国第四位と群を抜いている状況であります。
 こうしたことから、公社が長期保有している土地は売るに売れない不良債権化した土地になってしまっているのではありませんか。そのことは、実質的に債務超過、倒産状態になっているのではないかと思いますが、いかがですか、お考えをお尋ねいたします。
 次に、九月議会において土地開発公社の経営悪化の最大の根源はコスモパーク加太の事業の失敗ではないかと指摘し、いろいろな面から反省と教訓を酌み取ることが必要ではないかと提起しました。そして、次に進む上からも総括が行われるべきではないかと質問いたしましたが、答弁がありませんでした。それで、再質問、再々質問でなぜ答弁ができないのかと質問いたしましたが、それにもご答弁をいただくことはできませんでした。
 コスモパーク加太造成については、現在までの開発事業投資額五百六十八億円だけでなく、今後十年間で見込まれている利子八十億円、そして新たに土地区画整備として百七十億円、そして県の事業として幹線道路などの三十二億円を合わせると八百五十億円以上ともなる事業になろうとしております。当然、一九八五年のコスモパーク加太開発構想から一九九七年の新たな土地整備計画策定までの第一期工事を総括して、そこから教訓や反省を引き出して検討を加えた上で第二期工事とも言える土地区画整備にかかることが順当なやり方だと思いますから、総括を求めているわけであります。九月議会のような答弁では納得できませんので改めて質問をいたしますが、どのような総括をなさったのですか。また、総括を行っていないのなら、また行わないのなら、なぜそうなのかの理由を明らかにしてください。
 巨額の県費を投入して進められたこの事業は、約三百二十三億円の赤字を生み出した土砂売り渡し価格問題や大手十四社の企業が撤退するなど、土砂採取跡地利用計画、公社に事業を持たせた手法など、その見通しの甘さは私どもも指摘してまいりました。第一期工事の加太開発構想の失敗についてバブルの崩壊を免罪符にするのではなくて、県は県民に対してその責任を明らかにすべきではありませんか。同時に、企業もその責任を問われるのは当然だと思いますが、いかがお考えでしょうか、この点についてもお尋ねをいたします。
 土地開発公社の抱える借金六百五十三億円のうち、百十六億円余りは県の貸付金です。もちろん、事業完了の時点で公社が県に金利も含めて返済することになっていますが、現時点では無利子の貸し付けで返済のめどが立っていないから空約束になる心配があります。
 例えば、コスモパーク加太では「コスモパーク加太土地利用計画」の「計画策定にあたって」によれば、「この構想を進めるために、昭和六十一年以降土地区画整理事業調査等を行い、また進出意欲をもつ民間企業を含め、官民によるコスモパーク加太開発推進機構を設置し、官民共同で土地利用計画等の検討を進めてきた。 しかし、バブル経済崩壊による社会経済の大きな変化の中で、民間の開発意欲が冷え込み、官民共同による計画から行政主導による計画へと平成六年三月に方向転換をしてきた」とされておりますが、民間が手を引くということは、当面成功への見通しがないことを意味するものだと思います。同計画書でも述べているとおり、当面厳しい情勢が続くとしていることからも、今貸している公社の金利負担分約八十二億円、今後の見込み金利分八十億円も返してもらえないのではないかという不安を否定できるのでしょうか。
 加太の開発のみならず、土地開発公社の債務について、公社が経営破綻すれば公社の債務は県の負担になり、それはすなわち県民の負担になるのではありませんか。県は今後の土地開発公社の長期保有の土地対策と経営の健全化に関して早急に対策を講じる必要があると思いますので、当局の考え方をお示しください。
 最後の項目の、県道あけぼの広角線改良事業について質問をいたします。
 昭和六十二年に都市計画道路として決定され、昭和六十三年度から県事業として整備改修が進められているこの路線は、海岸部を通行することにより、市街地中心部に集中する交通の分散化を図り、交通混雑の解消と円滑な交通の確保を図るものとして、地元では早期実現を待ち望んでおります。特に、ジャスコが出店したこともあって市街地中心部を通過する交通量は増加する一方であり、朝夕の慢性的な渋滞だけではなく、土日や祭日も熊野大橋から三輪崎方面に向かう交通の混雑緩和が早急に求められているところであります。
 県当局も、その重要性から、一昨年から補助事業としてその推進をしていただいているところでありますが、今後も順調に事業が促進されることを願って、現在の到達状況と今後の計画の取り組みなどについてお尋ねをいたします。
 次に、この県道あけぼの広角線にかかわる用地取得の方法とその後の管理のあり方についてお尋ねをいたします。九月議会でも取り上げましたが、産業廃棄物の処理場の問題であります。
 第一種中高層住宅専用地域である新宮市清水元において、現在建設業者が産業廃棄物の自社処理を行っており、ことし中間処理業の申請をしていることから、産業廃棄物処理中間処理場及び自家処理場の建設に反対する住民運動が展開されているところであります。その隣接地である建設業者が所有する新宮市字松山の二千百二十六平方メートルが、県道あけぼの広角線の用地として九八年三月三日に県に買収されております。
 しかし、残念ながら、土地を売っておきながら、その建設業者は現在もその用地を通路として使用しているだけではなく、産業廃棄物処理場の一部として使用しており、周辺住民からは、なぜ県は住民に騒音やばいじんなどで迷惑をかけているものに手をかすのかと訴えもあり、行政に対する不信の声まで上がっております。
 こうした行為は許されないことだと思いますが、なぜこういう事態になったのか。早急に塀などの構造物を撤去させるべきではありませんか。また、なぜその用地取得だけが近隣住民には説明もされていない時期に急いで行われたのか、お教えください。
 以上で、私の第一回目の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 金田議員にお答えいたします。
 和歌山県コンピューター西暦二〇〇〇年問題対策本部の見解に関する質問でございます。
 コンピューター西暦二〇〇〇年問題については、年内に対策が完了しなければ県民生活に何らかの支障が生じる可能性がございます。システムの修正、模擬テスト等、対応を迅速に、かつ徹底して行うことが必要です。ただ、対策に万全を期するとはいえ、想定しなかった事態が生じる等、何らかの障害が生じる可能性は皆無とは言えず、そのための備えとして、県としては危機管理計画を定めておくことが必要でございます。
 また、県民の方々も、日常生活において身の回りの電化製品のチェック、日ごろの災害への備えの見直し等、無理なく事前の対応をしていただくとともに、万一の事態が生じても冷静に対処していただけるよう県として広報に努めることが必要であると考えます。
 以上の見地から、県といたしましては本年六月にコンピューター西暦二〇〇〇年問題対策本部を設置し、システムの修正、模擬テスト等、事前対策を進めてまいりました。また、万一事態が生じた場合の対応の手順を示した危機管理計画第一版を八月に、十一月三十日に年末年始の待機体制を盛り込んだ第二版を対策本部として決定したところでございます。
 さらに、県民への広報といたしましては、対応の進捗状況の公表、県の広報紙「県民の友」、テレビ・ラジオの広報番組、インターネットホームページ等を通じた情報提供、啓発活動を行っております。年末年始には対策本部において正確な情報を迅速に県民に提供できるよう、危機管理計画の中で連絡体制を定めているところでございます。
 次に、現在の到達の状況についてでございますが、県や県内市町村のシステム修正や模擬テスト等の事前の対策については、現時点でほぼ終了しております。
 また、今後の取り組みにつきましては、引き続き県民への広報に努めるとともに、年末年始の要警戒期間に向けて危機管理計画に基づき情報収集や情報提供が迅速に、かつ正確に行うことができるよう、関係機関との連絡調整を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) まず、一点目の二〇〇〇年問題への対応でございます。
 その中で、二〇〇〇年問題に対応する費用、時間、人員についてのご質問でございますが、二〇〇〇年問題への対応は、機器の更新やシステム機能の追加時等に合わせてシステム修正等を実施することが多いため、二〇〇〇年問題のみに要した経費や時間、人員をすべて算出することは困難でございますが、例えば情報システム課設置の大型コンピューターについては、二〇〇〇年対応などのシステム修正のために、平成九年度と十年度と合わせて三千五百万円余りを支出してございます。また、年末年始に待機する人員は最大時で四百名程度を予定してございます。
 次に、庁内の模擬テストなどの実施状況でございますが、県が保有するシステム、県内消防本部が保有する主要システム、県内重点医療機関が保有するシステムについては、システム修正、模擬テスト、危機管理計画の策定がともに完了してございます。
 県内市町村が保有するシステムについては、十一月末現在で九九%以上が完了しており、今月中旬にはすべて完了する予定となってございます。
 次に、庁内ネットワークの件でございますが、二〇〇〇年問題に対する修正プログラムは各ソフトメーカーから数度にわたり提供されてございます。このため、本県の修正作業につきましては、修正プログラムの最終版の提供を待って今月初めに処理を終えたところでございます。
 次に、市町村との連携についてでございますが、本年五月に対策本部の設置及び危機管理計画の策定を要請し、定期的にシステムの修正等の状況把握に努めてきたところでございます。今後は、年末年始の連絡待機体制をより充実したものとするため、各市町村で実際に待機していただく方を対象に十二月中旬ごろ連絡体制等の説明会を開催する等、市町村との連携を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、中小企業への対応状況につきましては、昨年八月に県産業情報センターに二〇〇〇年問題相談窓口を設置し、問い合わせや相談に応じるとともに、商工会議所及び商工会の経営指導員を通じ、きめの細かい啓発活動も行ってまいりました。また、年末年始も相談窓口を開設し、中小企業者の問い合わせ等に応じてまいります。
 民間医療機関の対応状況についてでございますが、問題発生を予防する観点から、マイクロチップの交換やプログラムの修正等が必要な医療機器、医療情報システム、一般・医療設備等の修正及び模擬テストの実施、また万一障害が発生した場合の危機管理計画を策定するよう、直接及び関係団体を通じて継続的に指導してまいりました。中でも、救命救急センター、災害拠点病院、ICU等を有する病院を重点医療機関として選定するとともに、透析実施診療所、救急告示診療所を含め、適切な対応を求めてきたところでございます。また、在宅で人工呼吸器などの医療用具を使用している患者を有する病院につきましては、患者の完全な把握、医療用具の安全確認、本人、家族に対する越年時の対応を十分行うよう指導してございます。
 次に、県が導入している各種コンピューターシステムの製造メーカーとの関連等についてでございますが、各メーカーからは二〇〇〇年問題に対応するための情報が随時提供されており、それをもとにシステム修正等の作業を行っております。修正後のシステムが誤作動を起こす可能性は小さいと考えておりますが、今後も各メーカー等と連携をとりながら、より万全を期するよう対応してまいります。
 次に、県民への広報と情報の提供についてでございますが、年末に向け、県民への広報、啓発活動を引き続き行ってまいりたいと考えております。年末年始の要警戒期間は県対策本部事務局で県民からの問い合わせにお答えするとともに、対策本部が収集した情報を広く知っていただくため、県民への情報提供を行ってまいりたいと考えてございます。
 二点目の、土地開発公社に関連するご質問にお答えいたします。
 公社の保有土地の状況でございますが、完成土地につきましては、借入金がなく、簿価につきましても路線価格等を下回っております。また、事業継続中の未成土地につきましても、事業執行額より借入金が少なく、平成十一年三月末現在では土地造成事業会計において資産額が負債額を上回っており、債務超過ではないと考えてございます。
 次に、コスモパーク加太の総括についてでございます。
 コスモパーク加太計画は、関西国際空港第一期埋め立て用土砂採取跡地及びその周辺を一体的に整備し、複合都市機能を形成する計画でございます。当初、民間活力を導入し、民間企業を中心としたコスモパーク加太開発推進機構を中心に構想を進めてまいりました。当時としては、市場の需要にも合致した合理的な方策であったと考えますが、予想を超えた社会経済状況の変化により、民間の設備投資意欲の減退や土地価格の下落等、さまざまな要因の中で民間主導の事業推進が困難となったことは厳しく受けとめてございます。
 この間、加太開発整備事業の一環として位置づけられている土砂採取については、関西国際空港の第一期工事に大いに貢献したものと考えており、また、土砂採取に係る収支の差については加太開発整備事業の土地粗造成費用に相当するものと考えてございます。
 これらの経過を踏まえ、一方、紀淡連絡道路や加太・岬スカイラインの構想、都市計画道路である西脇山口線の整備の促進等、多くのプロジェクトの推進によるコスモパーク加太の立地可能性の高まりの中で、和歌山県、和歌山市及び県土地開発公社の三者で構成する加太地域開発整備推進協議会が土地利用計画を策定したものです。現在は、その実現に向け努力しているところであります。
 次に、コスモパーク加太計画と企業の責任についてでございますが、和歌山県、和歌山市、県土地開発公社及び参画希望企業で構成するコスモパーク加太開発推進機構で整備の構想を検討した経緯がございますが、その実現が困難な状況となったことはまことに残念なことと考えてございます。今後は、加太開発地域整備推進協議会が策定した土地利用計画の事業推進の中で、企業誘致等について強く協力を要請してまいります。
 次に、議員お尋ねの公社の経営の健全化等につきましては、現下の経済情勢は依然として厳しい状況でありますが、公共用地先行取得事業については関係部局と連携を図りつつ一層の拡大を図っているところであり、また土地造成事業については、路線価格等を参考とした分譲単価等の見直しや積極的なPRを展開することなどにより分譲に努めるよう指導等を行っているところでございます。
 さらに、公社の人員の適正化等による組織のスリム化、あるいは事務事業の見直しを含めた合理化等を含め、公社の健全化に向けての計画について現在検討を行っているところであり、中長期的な視点に立った取り組みを進め、健全な経営に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) ご質問の三点目、県道あけぼの広角線改良事業について、その一点目、現状と今後の事業計画についてお答えします。
 県道あけぼの広角線のバイパス事業につきましては、昭和六十三年度に事業着手し、平成九年度までに国道四十二号取りつけ部六百八十メートル区間において用地取得が概成し、一部工事を実施しております。残る千三百四十メーター区間については、平成十年度に補助事業に採択され、一部用地取得を進めるとともに、国立公園内及び保安林区域内を通過するため、環境庁及び林野庁と認可についての協議を行っているところでございます。今後、早期にこの協議を終え、用地取得に努力してまいります。
 次に、二点目の用地取得とその後の管理のあり方についてお答えします。
 議員ご質問の事業用地につきましては、平成十年三月に取得したものであり、地権者に対し、買収残地への通行のための用地については工事完了までの間、使用を許可しております。
 ご指摘の点につきましては、一部建設用資材の置き場としての使用があり、関係者に対して通知、指導を行うとともに、早急な撤去に着手させたところであります。今後はこのようなことのないよう、取得用地の管理を徹底してまいります。
 本事業の用地取得は、昭和六十三年度から予算に対応して順次進めておりますが、国立公園内の国有林及び公図訂正が必要な箇所を除いて了解をいただけるところから取得してきたものであり、当該土地だけを急いで買収したものではございません。
 なお、事業期間が長期となっておりますので、今後とも事業計画、進捗状況について、関係地権者等に説明し、ご理解をいただくよう努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番金田 眞君。
○金田 眞君 再質問いたします。
 二〇〇〇年問題については、トラブルが発生しないことを本当に願っているわけでありますが、特に、職員の皆さん方約四百人が年末年始にトラブルに備えて待機するとのことであり、大変ご苦労さまではございますが、どうかよろしくお願い申し上げます。今後の危機管理についても決してむだになることのないように、期待している次第であります。
 また、県民の皆さんの生活にかかわる対応については、本部長のお話では日ごろの災害への備えの見直しをという程度のことでありますが、やはりまだ若干心配するところではあります。特に、今後の取り組みを詰められて広報活動をより一層強化していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、県道あけぼの広角線の改良工事については、来年度においてぜひ大幅な予算を確保されることを心からお願いする次第でございます。
 また、用地取得の方法とその後の管理のあり方については早急な対応をしていただき、本当にありがとうございます。しかし、建設資材の置き場として使用していたと言っておりましたが、それは正確ではなく、塀などをつくって産業廃棄物処理場の一部として使用していたのだと思いますので、この点を指摘しておきます。
 こうしたことが県と業者のなれ合いとも誤解されてしまい、他の地権者に不信感を抱かせたり、地元の人々に事業に対する誤解を与える結果となっております。そのためにもぜひ、あくまでも住民の理解と納得が得られる、住民合意を前提とした事業を積極的に推進されることを心からお願いする次第でございます。
 以上二点は、お願いであります。
 土地開発公社については、企画部長に再度質問をさせていただきます。
 まず最初に塩漬け土地の不良債権化についてですが、確かに不良債権だと言うことはできないと思います。私どもは不良債権化しているのではないか、あるいはそれに近い状態ではないかと思っているわけでありますが、例えば土地造成事業の完成土地において、事業開始年度は昭和五十六年で六十一年に事業完了となっている打田町打田第二の有効面積三千四百八十三平方メートルがいまだそのまま残っていたり、同じ打田町の未成土地であります北勢田についても、昭和五十六年に事業を開始して、有効面積九万平方メートルのうち約一割しか売れていないという状況です。こうしたことを一つ一つ取り上げたら切りがありませんが、こうした状況を見ると、やはり私どもは不良債権に近い状態ではないかと思うわけであります。この点について説明を求めます。
 また、コスモパーク加太についての総括でありますが、ご答弁の内容につきまして、私の理解が非常に不足しているのか知りませんが、私にとっては総括ではなく、これはあくまでも経過報告であり、現在進めている加太地域の土地利用計画の説明の一部だと思いますので、再度総括をお願いしたいし、総括が必要でないのならその理由をお答えください。
 また、企業の責任についてお尋ねをいたしましたが、責任があるともないともお答えがございませんでした。私は少なくとも企業の社会的、道義的責任は追及されても仕方がないと考えますので、この点についても再度ご答弁をお願いして、再質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 再質問についてお答えいたします。
 まず第一点目の塩漬けに関する問題でございますが、ご指摘の打田の二カ所についての質問も含めまして、こういう長期に保有している土地は、宅地用地及び企業用地等についての計画として取り組んできたところでございますが、厳しい経済情勢のもと、その分譲等が当初計画どおり進んでいないということは事実でございます。
 したがいまして、今後は分譲あるいは宅地用地につきまして、路線価格等を参考にした単価の見直しや積極的なPRなどを行うことにより分譲を進めるとともに、特に北勢田等、企業用地等につきましても、社会経済情勢を勘案しながら関係部局と連携を図って分譲促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 二点目のコスモパークの総括についてでございます。
 ご答弁申し上げましたように、このコスモパーク加太構想につきましては長い経緯がございます。その中で、社会経済情勢の変化等により非常に厳しい情勢にあることは事実でございまして、非常に残念には思っている次第でございますが、そういった経過を踏まえまして、私どもといたしましては、先般策定いたしましたコスモパーク加太利用計画等を通じ、あるいはその手法に土地区画整理事業を導入しながら新しく展開を図っていくということで、積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
 三点目の企業責任の問題についてでございます。
 これは、当初、官民共同によりコスモパーク加太構想を推進していこうという形の中で推進機構をつくり、官民共同で土地利用計画を策定し検討を進めてまいったところでございますが、ご承知の社会経済情勢のもとで民間の進出意欲の減退等ございまして、その機構が現在機能していないというのは事実でございますけれども、今後、新しいコスモパーク加太利用計画に基づいて進展を図る中で企業にもその進出等について理解を求め、強力に推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 三十四番金田 眞君。
○金田 眞君 まことに申しわけございませんが、コスモパークの総括あるいは企業の責任について、私の質問に対して答えていただいているとは到底思えません。だから当然納得したわけではありませんが、何回お尋ねしてもこうしたことになると思いますので、これで再々質問は終わりたいと思いますが、一言言っておきます。こうした状況で何の反省も総括もされないで事業を進めるやり方は、私は無責任であると思います。最終的に県民にツケを回してしまう結果になってしまうのではないかと、非常に不安を持つところであります。
 さらに──これは質問であります。分譲の問題です。
 先ほども言いました不良債権化していないかという問題ですが、分譲に努めるというふうにご答弁をいただいています。この質問をしますと、何回質問しても「積極的なPRを展開するなど」というような同じ答弁が毎回返ってまいります。
 それで、お尋ねします。先ほど申した打田町の土地などについて、できるだけ詳しく知りたいということで資料をいただきました。分譲を進めていくと言うのなら、教えてください。分譲価格が書かれていない、決まっていないような土地、こんな土地があってどのようにして分譲を進めていくのですか。
 確かに、社会的ないろんな問題がありました。しかし、考えてみてくださいよ。例えば打田町の場合、昭和五十六年から六十一年度内にこの事業は完了しているわけでしょう。そして現在に至るまでゼロですよ、処分の土地は。この間、一体何をしていたのかということですよね。
 分譲価格を決める、これは物を売るときにまず第一番目にしなきゃならないことじゃないですか。そうしたところが余りにも多過ぎるんですよ。だから、これは売るに売れない土地ではないか、不良債権化してしまっているのではないか、不良債権に近いのではないかと心配しているわけです。我々は別に土地開発公社がつぶれたらいいとか、そんなこと思っているんじゃないんです。何とかして経営を健全化していただいて持ち直してもらいたい。そうしなければ、そのツケが県民に回るわけですからね。私ども必死なんですよ。
 そういう意味で、PRを進めるとか、そうした答弁を繰り返しているようでは非常に信用できないんです、悪いけれども。だから、抜本的に早急に対策を立てる必要があると思います。このことについて再度ご答弁をお願いして、再々質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 再々質問にお答えいたします。
 ただいまご指摘ございました打田町を初めとする完成土地のいわゆる分譲価格等について、価格が決まっていないじゃないかというご指摘でございます。
 これにつきましては、それぞれの土地の状況等がございます。そしてまた、関係する市町と関係団体との調整等が必要でございますので、現在その整理等については当たっておりますが、分譲価格を正確に幾らということについてはまだ至っておりません。
 何度も申し上げますが、そういったことも整理しながら今後とも推進に努めていくということになると思います。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十九分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 一番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 西口知事さん、当選おめでとうございます。二期目に向けて何かと希望も多いことでしょうが、県民はお体のことを大変心配いたしております。十分ご留意をいただき、県勢発展のためにご尽力を賜りますようお願いを申し上げます。
 お許しをいただきましたので、質問を始めさせていただきます。
 「リストラ」、この言葉を聞くと、何か心に寂しさや暗さ、冷たさ、重苦しさといったものを感じてしまう、きょうこのごろであります。経営者は、リストラをしないと悪いことをしているようで、リストラさえしていれば企業経営をしているとさえ錯覚してしまいそうであります。リストラクチャリング──企業再構築とでも言うのでしょうか、「事業内容や組織を見直して再編成すること」と辞書には載っておりました。しかし私の受けるイメージは、人減らし、経費節減、社員より企業、企業の生き残り策といったことばかりが頭をよぎるわけであります。日産自動車が五つの工場を閉鎖し、二万人以上の従業員を解雇するなどの発表があったとき、外国人が乗り込んできて何もそこまでやらなくても、それぐらいやればだれでもできる、それが本当の経営者なのかと思ってしまったのは、私一人でしょうか。
 和歌山でも、そのリストラにより名門の社会人野球のチームが解散をいたしました。都市対抗や日本選手権での優勝経験もあり、長い歴史と伝統にみずからピリオドを打ったのは大変残念なことであり、寂しい限りであります。ほかに道はなかったのか。私も、野球を愛する者の一人として、また野球を通して勉強をさせていただいた者として大変歯がゆく、何かできないのかと思いつつも何の行動も起こせなかったことを悔やんでおります。もっと早くわかっておれば──後の祭りです。この和歌山の地にはスポーツを愛する若者がたくさんおり、その若者たちの夢が少なからず破れたのかと憂うつにさせる出来事であり、野球団のOBや監督経験者でさえ知らされたのは記者発表の一週間程度前のことだったそうであります。これで、和歌山には社会人野球のチームが一チームだけとなってしまいました。
 今、アマチュアスポーツを支えている企業スポーツにおいて、最近五年間に約百部が休廃部、縮小をいたしております。近畿では、ことし五つの企業が野球部を廃部にしました。これは、アマチュアスポーツの根幹を揺るがすものと考えます。住友金属野球団の解団について、知事の所見を伺います。
 私が初めてこの場において質問をさせていただいたのは、平成七年九月二十八日であります。そのとき、西口知事の姿はこの議場にはありませんでした。今は亡き仮谷知事さんが紀淡連絡道路の私の質問に答え、これまでの可能性調査から平成十年度事業着手に向けての事業化調査へ切りかえ、平成十年には着工にかかっていただきたいと述べておられます。平成五年度からは、建設省だけでなく和歌山県、兵庫県、建設省が共同で現地調査を開始しており、それも七年がたとうとしております。明石大橋もできた、しまなみ海道もできた、さあ次は紀淡だと思います。和歌山の加太の地から友ケ島を通り淡路島へ、早期着工を願い、知事にお尋ねいたします。
 知事は、いつごろ着工と考えておられるのか、また地元の熱意を国に伝えることも大切ですが、一日も早い事業化のためにほかに何が必要か、お示しをいただきたいと思います。
 次に、土木部長にお尋ねをいたします。
 政府要望にも出ておりますが、大阪湾岸道路の南伸であります。
 すごいスピードで、大阪から関空までができ上がりました。関空の開港に間に合わないのではないかと思っていたのが、きちっと間に合うスピードでありました。そして、関空も開港して五年になります。今度は、和歌山から関空への湾岸道路だと考えます。しかし、一向に進みそうにありません。どうなっているのでしょうか。それほど必要がないということなのですか。何とか早い時期に完成をしてほしいと願います。
 そこで、南伸についての障害や問題点があればお示しをいただきたい。また、具体化の見通しについてお尋ねをいたします。
 もう一点、去る六月十五日、東松江地区の自治会長さんや役員の方々が、地区のほぼ総数に当たる四百六十三名の署名を持って知事に陳情に来られました。内容は、湊、中松江、西松江の各地区には既に緩衝緑地が完成しておりますが、東松江地区には、住金と隣接しているにもかかわらず緩衝緑地ができておりません。地元の皆さんは、他の地区と同様、散策路やスポーツ施設のある開放型の緑地を望んでおり、企業側に聞いてみますと、企業単独事業の場合、安全管理上、外周にフェンスを設置した閉鎖型の緑地にならざるを得ないということであります。河西緩衝緑地として都市計画決定されたうち未整備は約十ヘクタール、そのうち東松江地区の皆さんから要望をいただいているところは、県から環境事業団に委託して完成済みの緑地と連続しております。計画幅も五十メートル以上あることから、公共事業として実施可能と思われます。松江緩衝緑地は昭和五十九年に事業着手され既に十五年たっておりますが、東松江地区はいまだ具体化にも至っておりません。企業だけに任せておいてはいつになるかもわからないと思い、早期着工を強く要望するものです。
 あわせて、未整備の十ヘクタールの現状とお考えをお示しください。
 次に、大新公園地下駐車場についてお尋ねいたします。
 議場にいらっしゃる皆さん方も、新内へ夜、会合や食事等に行かれるときに一度ぐらいは利用したかと思います。その駐車場であります。ここは、すぐそばに新内という歓楽街を控えており、現在、県警初め自治会や各種団体が違法駐車や環境浄化に努めているところであります。救急車や消防車がいざというときに間に合うのか、また地域住民が自分のガレージから車を出せない、また自分のガレージに車を入れることができない、そんな苦情も大変寄せられております。また、青少年の健全育成、非行防止の立場からも、安全で安心な町づくりが望まれております。
 そこで、現在午前二時まで営業している地下駐車場をあと五時間延長していただいて二十四時間営業にできないものかと考えるわけであります。営業上、採算面を度外視するわけにはまいりませんし、また現在、赤字であることも十分承知をいたしております。しかし、赤字であるからといって手をこまねいているのでは新しい発想も生まれません。また、公共性を考えていくならば、何かにチャレンジしていくことも必要かと考えます。新内には、大新地下駐車場が必要です。これからは、地域住民の皆さんとともに、より必要な駐車場となるよう、二十四時間営業に向け、企業局長の答弁をお願いいたします。
 最後に、教育委員会に質問をいたします。
 少子化が進む中で、一校だけではラグビーや野球などの部活動でのチーム構成ができない中学校や高校が出ているようであります。文部省は、少子化でのスポーツ振興の観点より、複数校でチーム編成をし、大会などへ参加できないか検討を進めています。しかし現実は、学校体育関係団体の方では単一校の参加しか認められておらず、なかなか無理のある考え方ではないのかとも考えます。それよりも、まず考えなくてはいけないことは校区の見直しではないかと思います。
 現在の中学校区などは三十年以上前にできた校区であり、住環境の変化や時代の流れによって大きくさま変わりをしています。和歌山市内を見ても、小中学校では学年に一クラスという小規模校がたくさんあり、隣の学校も一クラスという現実もあります。統合できるところは統合し、未来を担う子供たちに適正な生徒数での教育を望むものであり、そのことに関しては県教育委員会は指導的立場であると考え、次の質問をいたします。
 まず、運動部活動の現状として、クラブ数の推移や加入者数、また現在、複数校にて参加が認められている地域や団体があるのか、あるとすればどこか、条件はどうなのか、お示しください。
 次に、小中学校や地域によっては大変大きくなってしまう学校があります。この大規模校の解消ということはよく言われるわけでありますが、小規模校については何ら言われたことがありません。今、小規模校の見直しについてはどう考えているのか、また統合した場合の公的財産はどのように有効利用されているのかをお教えください。
 次に、学区制についての質問をいたします。
 昨年より教育委員会では、きのくに教育協議会なるものを設立し、二年間、和歌山の教育に関して討議を進めております。その中でも学区制については話し合われていると聞いておりますが、現在九学区に分かれている中学区制をおおむねどのような方向に転換していくのか、小学区制を取り入れるのか、大学区制に移行するのかも踏まえ、また協議会での内容もお示しいただき、教育長のお考えを伺います。
 この件については九月議会において先輩議員より、特色ある学校づくりなどと相まって、この際全廃してはどうかとの質問がありました。私も賛成の立場ですが、学校教育法では学区をつくらなくてはならないと聞いております。ならば、せめて二つ、三つ程度にしてはどうかとも考えます。また、新しい通学区域、学区ができるとして、これからのタイムスケジュールもお示しください。
 保護者の皆さんは、なるべく早く受験に対応したい、受験生を持つ親はこの問題については大変敏感であります。今年度の三月末で、きのくに教育協議会も二年間の使命が終わり、まとめが出ることと思います。そうすれば、一年程度で教育委員会の判断も出ることでしょう。近い将来のことですので、的確に、スピーディーに方向性を示していただきたいと考えます。
 最後は、スポーツの振興についてであります。
 最初に申し上げましたように、住金の野球団が解団をいたしました。これを見ていると、これからの日本のアマチュアスポーツが曲がり角に来ているのかと不安になります。先日、テレビでアンダーツエンティーツーの全日本サッカーチームがオリンピック出場を決めました。彼らのプレーを見ていると、学校体育ではできそうもないプレーを平気でこなしています。地域のクラブチームから生まれた二十一世紀型のプレーヤーたちです。彼らとて、サポーターや企業の応援なくして今のプレーはないはずです。選手が安心して練習できる環境でなければ強化活動にも影響が出てきます。競技水準の維持や向上のためには、企業とスポーツの関係が再検討される時期でもあると考えます。和歌山の若者が、スポーツを通じ人間形成をし、すばらしい人材となり地域社会に貢献するため、教育委員会としても大きなバックアップが必要とされます。
 これからのスポーツ振興に関して、対策等をお示しください。
 以上が、私の質問です。再質問はいたしまん。そのつもりでお答えをいただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新島議員にお答えをいたします。
 体のご心配をいただいて、ありがとうございます。
 さて、住友金属野球団の解団についてでございますけれども、一言で申し上げますならば、まことに残念なことであります。
 ご承知のように、住友金属野球団は、一九五一年に設立をされまして、都市対抗野球大会で一回、社会人野球日本選手権大会で七回の優勝を誇る社会人野球界の名門チームとしてその地位を築き上げてこられました。本県のスポーツ振興という観点からも、企業スポーツの中心的な役割を担い、常に県民に明るい話題と活力を、また少年野球を初めとした球児には夢と希望を与えていただきました。今回、解団という結果になりましたことは、冒頭に申し上げましたように大変寂しい思いをいたしてございます。これまでの住友金属野球団の選手、OB、関係者の皆さんが築いてこられた栄光に対しまして、深く敬意を表するものでございます。
 最後にございましたように、今後、元気わかやまを築く上からも、スポーツ振興のためにも一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、紀淡連絡道路についてであります。
 ご承知のように、太平洋新国土軸、あるいは大阪湾環状交通体系のかなめをなすとともに、関西、四国の新たな可能性を切り開くプロジェクトとして、早期実現に向けた取り組みを県議会の皆さん方を初め関係団体とともに行ってまいりました。平成十年には、新全国総合開発計画並びに新道路整備五カ年計画に「構想を進める」と明確に位置づけられたところで、実現に向けて大きな前進をしたところでございます。
 課題は何かということでありますけれども、これまでの調査検討の結果、今後の課題といたしましては、技術的にはコスト削減でございます。また、架橋によるさまざまな経済波及効果について、広く国民の理解を得ることが必要であると考えてございます。本年八月二十日には、マリーナシティにおいて紀淡海峡交流フェスタを開催いたしまして紀淡連絡道路の実現を強くアピールしたところでございます。財政状況の大変厳しい中ではございますけれども、新時代の国、県づくりを進めるためにも、この紀淡連絡道路の一日も早い実現を目指して、関係府県、団体が今後とも一体となって要望していきたいと考えてございます。
 着工の時期につきましては、二十一世紀のできるだけ早い時期に実現できるように取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、三点目の大阪湾岸道路についてお答えいたします。
 湾岸道路の南伸につきましては、平成六年度に関西国際空港線から第二阪和国道の阪南市自然田地区までが地域高規格道路大阪湾岸道路南延伸に指定されております。この大阪湾岸道路南延伸区間及び第二阪和国道を経て和歌山市に至るルートは関西国際空港と連絡する不可欠な道路であり、県においても機会あるごとに国に要望を行っているところでございます。今後とも、大阪府との連携をとり、大阪湾岸道路南延伸の早期具体化を国に強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、四点目の河西緩衝緑地の未整備区域と現在の状況につきましてお答えいたします。
 河西緩衝緑地として都市計画決定されたうち、未整備区域約十ヘクタールの整備について、地元自治会のご要望を受け検討してきました。東松江地区の五・五ヘクタールにつきましては、地元自治会が望む一般開放型の緑地として実施可能な区域でありますので、企業に応分の負担を求めることを基本とし、すなわち住友金属による事業費の三分の一負担と社有地の無償提供を前提とした公共事業として取り組むべく関係者と協議してまいります。
 地元の皆様方のご要望を踏まえ、良質な緑地をできるだけ早く完成させるため、環境事業団に委託することとし、来年度の事業着手に向け検討してまいります。残りの土入川沿いから南の四・五ヘクタールにつきましては、緑地計画幅も狭く、一般開放になじみにくいため、企業に整備させることとしております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企業局長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○企業局長(白井保世君) 大新公園地下駐車場についてお答えを申し上げます。
 大新公園地下駐車場は、大新地区周辺地域の路上駐車対策、交通渋滞の緩和、都市活動の効率化を図るため、平成八年十月に営業を開始いたしてございます。午前七時より翌日の午前二時まで営業をいたしてございます。
 議員ご指摘の二十四時間営業につきましては、採算面から見ますと厳しい面がございますが、関係方面のご意見もお聞きしながら、営業時間の延長について検討いたしたいと考えてございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、五点についてお答えいたします。
 まず運動部活動の現状についてでございますが、本県の中学校では七三%、高等学校では四〇%の生徒が運動部で活動しております。しかしながら、近年、入部率は変わらないものの、少子化等に伴い、運動部の数及び部員数は平成六年度と十年度を比較しますと、中学校では三十三部、約一千七百人、高等学校では二十四部、約二千人が減少しております。
 複数校合同での大会参加につきましては、県中学校体育連盟や県高等学校体育連盟が主催する大会では現在認められておりませんが、今後さらに生徒や部員数が減少することが予測されますので、各連盟において研究を進めております。県教育委員会といたしましても、文部省や他府県の状況を踏まえながら、複数校の大会参加や日常の運動部活動における学校間の連携、中高の連携、また地域のスポーツクラブとの連携等も視野に入れ、運動部活動の活性化のための対策を進めてまいりたいと考えております。
 次に小中学校の校区の見直しにつきましては、設置者である市町村教育委員会が児童生徒数の増減や通学距離及び児童生徒の安全等を考慮するとともに、地域住民の理解と協力を得ながら行っております。
 また、統廃合に伴う学校施設及び運動場等の公的財産の有効利用につきましては、地域住民に開放したり社会教育施設として活用がなされているところであります。
 県内で小規模学校を合併した最近の事例は、小学校で一例、中学校では三例ございます。学校施設の利用等につきましては、当該学校施設の建築に対して国庫助成がなされている場合は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律等に抵触しないよう留意しながら、児童生徒や地域住民に有効に活用されるよう指導、助言してまいりたいと存じます。
 次に、県立高等学校の通学区域につきましては、普通科に関して県内を九つの通学区域として以来、二十年余りが経過しております。一方、通学区域がいわゆる全県一区である専門学科の新設や職業学科の学科改編を行い、生徒の学校選択の幅を拡大してまいりました。しかし近年、人口動態や交通事情も変化し、生徒や保護者のニーズ、価値観も多様化する中で、各方面から現行の通学区域を見直す必要があるとのご意見もいただいており、このたび通学区域のあり方について検討すべき時期であるとの観点に立って、きのくに教育協議会に協議していただくことといたしました。同協議会においては、生徒や保護者の間に幅広い学校選択に関するニーズが高まってきており、普通科の特色づくりとも関連して、学校選択の自由と学校間格差の是正との調和を図りながら検討する必要があるというご意見をいただいております。こうしたご意見を参考にしながら、今後、県教育委員会として検討を進めてまいりたいと考えております。
 最後にスポーツの振興についてでございますが、スポーツは心身の健全な発達や人と人との交わりを広げるための重要な活動として親しまれており、今後、余暇時間の増大等に伴い、スポーツ志向はますます高まっていくものと思われます。そのため、生涯スポーツ、競技スポーツ、学校体育の振興、スポーツ施設の整備充実を重点施策として取り組んでおります。生涯スポーツにつきましては、コミュニティースポーツの推進、スポーツレクリエーション大会等のプログラムの提供や指導者養成などの事業を行っております。また競技スポーツでは、体育協会を初め中体連、高体連等との十分な連携のもとに、各競技団体が行う強化事業の支援、小・中・高一貫した指導システムの構築、高等学校強化モデル校の指定などの諸事業を行っております。
 そのほか、国際大会等のスポーツイベントの誘致を積極的に行うなど、今後ともなお一層スポーツの振興に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十三番木下秀男君。
  〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 議長のお許しをいただきましたので、質問に入ります。
 まず、きょうという日は、五十八年前の昭和十六年十二月八日、太平洋戦争が勃発した記念する日であります。また、あと二十三日たてばミレニアムの年二〇〇〇年を迎える、一九九九年最後の議会であります。この記念すべき日に和歌山県議会議政壇上に立てたことは、私の無上の喜びとするところであります。この機会を与えていただきました議員同僚の皆さんに感謝を申し上げます。
 今議会開会日の冒頭に、西口知事から第二期県政への就任のごあいさつがありました。二十世紀から二十一世紀への大きな転換期に当たって、県民の先頭に立って新しい時代の扉を開き、希望に満ちた和歌山をつくると力強く宣言されました。緊急の課題、新しい課題、見直しや継続してやっていかなければならない課題等々について取り組む決意を表明されました。厳しい経済情勢と激変する社会の中で困難なことが多々あると思いますが、あなたなら必ずなし遂げるものと意を強くしたところであります。
 以下、数項目にわたって、知事並びに各部局長にお伺いいたします。
 まず、梅の生育不良問題についてであります。
 この十二月議会は、西口知事の第二期県政のスタートの議会でもあり、非常に重要な意味を持つものと考えております。知事は四年前に、第一期県政を推進するに当たって、この梅の生育不良問題について、最重要課題として早期解決に全力を挙げて取り組む決意を示されたことは記憶に新しいところであります。そして知事は、その決意どおり第一期県政の四年間、懸命に努力し、汗もかかれたことは十分承知いたしております。これまでの農業問題とは違い、迅速に対応され、問題解決に当たり、全国から専門家を集めて和歌山県うめ対策研究会を組織して、県の試験研究機関と一体となって取り組まれるとともに、国の指定試験として初めて専門家の派遣を受けるなど、その努力は高く評価するものであります。また農業予算を見ましても、梅生育不良を最重要課題としてとらえ、県単独施策を初め、集中的に予算投資をされるなど、努力の跡をはっきりと見てとれるのであります。この間の知事の努力に対し衷心より敬意を表するとともに、大いに評価をいたしたいと思うものであります。
 しかしながら、知事を初め県当局の懸命の努力にもかかわらず、いまだ原因究明に至っていないのもまた事実であります。このことは、それだけ梅の生育不良の現状には厳しいものがあるということであります。
 最近の生育不良の発生状況を見てみますと、地域を選ばず拡大を続けており、新規開畑地を初め、優良園と見られていた園地においても見受けられるようになっております。今月一日に開会した県議会のうめ部会に報告された生育不良発生状況を見てみますと、県下栽培面積の一一・八%、面積にして五百二十六ヘクタール、被害木十五万七千八百本と被害額が急増している現状であります。農家の方々の心情に思いをいたすとき、一日も早い解決が望まれていることは論をまたないところであります。
 私も、県議会議員としてこの生育不良問題と長くかかわってきており、その経験と体験から、生育不良は一つの要因だけではなく、多くの要因が複雑に重なり合って発生しているのではないかと考えるものであります。この問題は、ある面では長期戦になることも覚悟しなければならないと思います。当然、短期的には、これまでの成果を踏まえ、現地での実証を初め、日々の試験研究の積み重ねが大事であることは申し上げるまでもないことではありますが、一方、長期的な視点からの取り組みもより一層重要になるのではないかと考えるものであります。
 私が以前からこの本会議場において梅の専門試験研究機関の設置を強く訴えてきたことは、知事もご承知いただいていることと思います。この問題は簡単なものではありません。梅栽培そのものを原点に立ち返って見直し、生理生態面を初め、一から再構築していく覚悟がなければこの問題は解決しないと思います。全国に冠たる紀州の梅産地にふさわしい専門の試験研究機関を新たに設置し、全国の梅産地をリードしていく使命が和歌山県にあると思いますが、いかかでございましょうか。
 第二期県政のスタートに当たり、知事として、政治家として決断する時期であると考えますが、知事のご所見をお伺い申し上げます。
 続いて、農産物原産地表示の法制化についてであります。
 梅の生育不良による十六万本余の梅立ち枯れで、その原因究明と対策に頭を痛めているところへ、紀州南高梅等と偽って表示した商品が市場に出回り、本場の紀州梅のブランドが脅かされ、加工販売業者が圧迫されております。これは、和歌山県漬物協同組合連合会に未加盟業者が約百二十社あるそうでございますが、この一部がコスト低減を図るために中国産の塩漬け梅を輸入し、加工、販売を始めたものと言われております。このような出来事は、昭和五十年ごろから安値の台湾産梅が大量に輸入され、紀州産梅が圧迫され、ピンチに立たされたことがあり、以後、生産の市町村、農協、加工業者が一体となって原産国表示の法制義務化を国に働きかけを続けてきたところであります。
 最近は、輸入先が台湾産から中国福建省産に変わり、平成十年度の輸入量は台湾産約五千八百トン、中国福建省産は約三万トンで、日本の生産量の三五%が輸入梅で市場を圧迫しているのが実態であります。加工食品の原産地表示は、加工した国名を表示することがルールとなっております。外国産を輸入し、和歌山県内で加工して販売元が和歌山県内であれば国内加工になるため、所在地となる加工業者のモラルに頼るしかないのが実情であります。
 しかし最近、消費者、生産者のニーズを踏まえ、食品等の表示、規格制度の見直しをするべく、農林水産省に加工食品原料原産地表示検討委員会なるものが組織されまして、梅澤昌太郎日本大学教授を座長として十名の委員で構成され、現在、見直し検討されているそうであります。梅干し、ラッキョウ漬けは今年度中に、他の加工品目は二〇〇一年三月までに意見集約する予定と聞いております。農協、生産地の自治体、議会、加工協同組合等から県当局に陳情や要望書が多く出されておると思います。
 農林水産部長に、この件に関しての今日までの取り組みの経過と、間近と言われる今月中の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、行財政改革についてであります。
 今年早々、一月四日付で「和歌山県行政改革大綱 「ゆとりと充実 輝く和歌山新時代」を目指して」という書面を拝受いたしました。しかし、四月の統一選挙に向かって多忙のために詳しく読む機会もなく、大事にとっておきまして、九月議会終了後に何回も読み直しました。新しい世紀を迎えるに当たって、将来のあるべき姿、社会と人間にゆとりと充実を目指して、微に入り細にわたって検討され、新しい時代を目指す方向づけをされた大綱であります。三部九項目にまとめてあり、いずれも実現させなければならないことばかりであります。
 新世紀の幕あけを目前に控え、我が国が経験したことのない少子高齢化社会を迎えました。経済不況、金融不安で多くの失業者を抱える中で、国際化、情報化が急激に進み、国内外にリストラが世界的規模で行われ、まさに激変の時代であります。このような時代の転換期に対応するため行政改革に取り組むことは、当を得たと思うものであります。
 そこで、次の三点についてお伺い申し上げます。
 行政改革を推進し、財政健全化に取り組むために、去る八月に財政運営プログラムを作成し、発表されたところでありますが、その後の取り組み状況についてお伺いいたします。
 二点目に、「組織機構の見直し」の項に、女性委員の登用を西暦二〇〇〇年までに三〇%とすることを目標とする、また附属機関以外の審議会も同様として行うとなってございますが、これも同じように目的が達成されているのかどうか、その後どう取り組むのか、お伺いいたします。
 三点目は、「外郭団体の見直し」となっておりますが、この項については特に年月日の定めは設けてございませんけれども、設立の目的、活動の実態機能の見直しを行い、経営の効率化、活性化に努めるとなっております。この項は、早急に取り組むべきことと思います。
 ここで一例を申し上げますと、先ほども質問にありましたが、和歌山県土地開発公社と企業局の土地造成事業は重箱事業であります。開発公社の加太の土取り跡地を「虫取り広場」と言い、企業局が現在造成中の日高港湾を「釣り堀港湾」とやゆするようなことがあるそうでございます。かような汚名を払拭するように関係者の一層の努力を期待するものであります。特に企業局にあっては、造成地がふえ、その宅地が売れず、借入金も百七十億円近くになっている現状から見直しの時期にあると思うのでありますが、この件については企業局長の見解を求めます。
 以上、三点について答弁を求めるものであります。
 続いて、県内のコンクリート構造物は安全であるかということであります。
 日本の住宅が木造から鉄筋、鉄骨を使ったセメントの家に変わりつつあります。一九六〇年(昭和三十五年)ごろから、住宅政策や経済の発展、建築技術の向上によって、高層ビル化してセメントの家屋やビルが急激にふえてまいりました。ちょうどそのころから高速道路の建設が始まりました。新幹線も建設が始まりました。大都市では地下鉄の工事も始まりました。地方の公共施設や教育施設も、ほとんどがセメントの家になりました。
 このコンクリート構造物には耐用年数がありまして、大蔵省令第十五号で鉄筋、鉄骨コンクリートづくりは六十年から六十五年、橋梁は五十年と定められています。鉄道の在来線で六十年、新幹線で七十年、本四連絡橋で百年と設定してございます。
 一九九五年(平成七年)一月十七日、阪神大震災が起こりました。私は、その年の二月中旬にお見舞金を持って兵庫県庁を訪問いたしました。震災直後のため船で神戸まで行き、車がないため徒歩で市内の被害を見ながら、半日かけて兵庫県庁に参りました。岸壁が瓦解し、ビルが傾いたり、民家が倒壊したりで、コンクリート建築物の弱さをじかに感じたものであります。直径二十ミリほどの鉄筋の柱もくの字に曲がり、十階建てのビルが傾いたり、ビルとビルがもたれ合ったものもありました。もちろん、高架、高速道路は倒壊し、地震の大きかったことを実感したものであります。
 ことしは、トルコと台湾で大地震がありました。いずれも、倒壊したビルの瓦れきの下敷きとなった人々の救出のニュースが連日放映されました。今、台湾では日本が統治中に建築した木造住宅が地震に強いことに感心し、検証に入っていることのニュースも流れております。
 一方日本では、JR西日本を中心に各地でコンクリート塊の落下物の報道が連日あります。また今月五日には、北海道室蘭線でコンクリート塊の落下物に列車が乗り上げ脱線したというテレビのニュースもありました。JR西日本を中心に技術者が原因究明に取り組んでおりますけれども、手抜き工事、不良骨材と海砂の使用、鉄筋、鉄骨の溶接の技術が未熟なことが原因とされています。
 和歌山県にも中高層の公営住宅やマンション、高速自動車道、公共道、トンネル、JR、港湾、漁港等、コンクリートの構造物が非常にふえております。テレビのこれら連日の報道に不安を感じているのは私一人ではないと思います。東京大学名誉教授でコンクリート工学の日本の権威者と言われております小林一輔先生が、ことし五月「コンクリートが危ない」という本を出されておりますけれども、その中に和歌山県下の高速道路の高架橋に溶解状態の欠陥があると指摘されております。
 以上申し上げたことについて県はどのように対処をしてきたのか、安全か、欠陥の有無について土木部長の答弁を求めます。
 最後に、道路交通体系の整備についてでありますが、私が議会に出たころと現在とを比べてみますと、道路整備は格段の違いが見られます。砂ぼこりをかぶりながら選挙カーで走った道も舗装され、農道や林道も各地に新設開通して、知事の提唱する県内主要都市二時間圏内、市町村六十分目標達成は着々と進んでおります。行政の努力と金の力をまざまざと感じているところでありますが、新しく国道に昇格した路線で急がなければならない箇所が数多く見受けられます。
 主として私の選挙区内でありますが、まず国道四百二十四号線の海南から金屋に抜けるトンネル計画、金屋町修理川から宇井苔間のバイパス計画、美山村に入って美山村野々古口のバイパス計画、龍神村福井から切目辻を経て南部川村軽井川間と清川─滝間の改良計画、国道四百二十五号線の龍神村福井から北野間の二橋二トンネル──この間にかかる福井橋はまんじ型に急激に曲がっており、大型観光バスの通行は非常に困難であります。また、通称小家谷坂と申しますが、小家谷口から唐尾トンネル間、また印南町川又から田ノ垣内間、印南町古井─大峠間の整備促進が必要であります。川又─田ノ垣内間につきましては、ダム建設計画等で放置されたような状態で十年余りを経てきていますが、ダム建設を推進するのであれば、地域住民の同意と協力を得るために早急に道路整備計画を立てるべきであります。古井─大峠間は、美里─古井間のルート変更により、昭和六十三年バイパス工事の用地買収に際し、地主と県の交渉の中で古井─大峠間の道路整備を引き続き行うという約束をしておるのに、十年余りもたった今も放置しているため、地域住民の県に対する不信感が非常に強い状態であります。
 ことしの四月から九月に開催された熊野体験博覧会は大成功裏に終了いたしましたが、その間にあった土木部行政の不始末を今後に生かしていただくために、あえて申し上げます。
 博覧会を体験するために大阪方面から大型観光バスが四百二十四号線を経て龍神村を経由し、国道三百十一号線中辺路町の大会場へ向かうべく龍神村小家口まで来たところ、四百二十五号線が道路工事中で大型バスの通過が危険なため、やむなく四百二十五号線を迂回して国道四十二号線に向かうべく真妻地区の上洞まで来たところ、道路が狭隘なためカーブを回ることができず、車体を山側のがけで傷をつけながら、時間をかけて方向転換できるところまでバックをしてほうほうのていで引き返すという出来事がありました。日常はもちろんのこと、熊博が開催するまでに所管の道路状態を調査し、事前に対処しておけばこのような失態が防げたと思うのであります。私は、このことを現地の知人から電話を受け、早速現場に走り、その実情を日高振興局に電話して大型観光バス通行不可の看板を立てたという次第であります。これらの事業計画には一貫性がなく、経過の引き継ぎがほとんどされていないのが実情であります。公共事業を進める中で一番大事なことをなおざりにしていたことがこのような事態を起こしたと思うのであります。
 また、公共事業を進める中で用地買収が済めば九〇%はできたものと言われておりますけれども、計画性がなく、地元との交渉が成立しないという理由で放置することによって地価の変動等で以前の買収値と大きな開きが起こったり、道路事業、河川事業、農林土木事業等の買収価格に大きな差が各地で見られますが、買収価格の評価の決定の仕方についてもお聞かせいただきたいと思います。
 いろいろと申し上げましたが、この件については土木部長の答弁を求めるものであります。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下秀男議員にお答えをいたします。
 梅の生育不良問題についてでございます。
 お話にございましたように、これまで地元生産者、市町村、農協の協力のもとに、農林水産部を中心に関係部局が連携を図りながら、大気環境面を初め各分野にわたり調査研究を進めるとともに、さらに本年四月からは国の専門家の派遣を受けまして、梅の生理生態面を含めた幅広い研究に取り組んでまいりました。しかしながら、生育不良は依然として拡大を見てございまして、私もこの厳しい現実を深刻に受けとめておるところでございます。
 二十一世紀への橋渡しをするため、第二期県政を推し進めるに当たりまして、この問題の早期解決に向けて、より一層努力しなければならないと決意を新たにしておるところでございます。また、専門家で構成しております和歌山県うめ対策研究会におきましては、これまでの試験成績等をもとに、今年度末を一つのめどに一応の取りまとめをしていただけるものと考えてございます。さらに、長期的な視点から本県の梅産地の将来を展望するとき、技術の革新と開発の基礎となる試験研究の充実が最も大切であると認識してございます。地元から梅の専門研究機関の設置が望まれていることも承知してございます。私といたしましては、行財政改革を初め多くの克服すべき課題もたくさんあるわけでございますけれども、生育不良の原因究明はもとより、梅産業全体の振興を図る観点から、ご提言の専門研究機関の整備も視野に入れた取り組みをしてまいりたいと考えてございます。
 次に、行財政改革のうち財政運営プログラムについてでございます。
 本年一月に策定いたしました県の行政改革大綱に基づき、去る八月に財政運営プログラムを策定し公表したところでございます。本プログラムでは、平成十二年度から平成十五年度までの四カ年を特に財政健全化期間と位置づけまして、職員の給与や定数及び事務的経費等の内部的経費の見直しはもちろんのこと、すべての経費について施策の根本にまで立ち返った見直しを行うことによりまして、時代の変化に即応し、新たな行政需要にも的確に対応できる弾力的な財政構造の確立を目指すこととしたところでございます。本プログラムの具体化に向けまして、現在庁内にワーキンググループを設置し、検討させているところであり、十二年度当初予算につきましても、十五年度までの財政中期見通しによる財源不足額を勘案の上、厳しい予算要求基準を設定したところでございまして、今後の予算編成過程においてもプログラムに示した考え方をできるだけ反映させていきたいと考えてございます。
 次に、附属機関等における女性の登用率につきましては、三〇%の目標を掲げまして、審議会等委員への女性の登用推進要綱に基づきまして登用を進めているところでございますけれども、平成十一年六月一日現在では、女性の登用率は一七・四%という状況になってございます。目標を達成するためには大変厳しい状況でございますけれども、今後は専門知識を持つ女性の人材発掘、さらに組織や役職にこだわらない女性委員の登用を進め、目標達成に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、附属機関等の組織が活性化し、その機能を十分に発揮することができるように、附属機関等の統廃合などの見直しを行うとともに、委員の構成についても検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 農産物原産地表示の法制化につきましてお答えいたします。
 梅干しの原料原産地表示についてでありますが、これまで地元市町村、あるいは議会からJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)に基づく原料原産地表示を実現するよう強い要望をいただいておりまして、県としても地元の声を十分踏まえ、国に対しその実現を強く働きかけてまいったところでございます。この結果、国においては加工食品の原料原産地表示検討委員会を設置し、そのあり方等について調査検討に入ってございます。
 去る十月二十九日には、県や南部川村、また漬物業界の代表者からの意見聴取を中心とした第三回目の検討委員会があり、この場で県としては原料原産地表示の必要性を強く訴えたところであります。また、県漬物協同組合連合会では、輸入梅を使ったものは紀州及び和歌山の表示をしないなどの自主的な申し合わせを平成十年六月に行うとともに、県としても県産の良質原料を使用した梅干し等をふるさと認証食品として認定し、ブランド化の推進に努めているところでございます。
 今後、国では本年度末を目途にこれまでの検討委員会の意見を取りまとめる予定と聞いてございますので、引き続き国に対し原料の原産地表示を強く求めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 私からは、まず四点目の県内のコンクリート構造物の安全に関するお尋ねにお答えいたします。
 一九七〇年代、昭和四十五年から五十四年のコンクリート構造物については、コールドジョイントによることが原因と思われる破損状況が新聞等で報道されており、和歌山県においても当時建設されたトンネル三十三カ所、内訳として県管理二十三カ所、市町村管理十カ所を調査いたしました。その結果、三カ所においてコールドジョイントが発見されましたが、現時点では落下のおそれはないと判断しております。
 なお、この三トンネルのうち、亀裂、空洞箇所があり、早期に補修が必要な一トンネルについては、補正予算でその対策をお願いしているところです。残る全トンネル九十カ所及び橋梁関係二十四橋についても現在調査中であり、亀裂等が見つかれば必要に応じて補修を行う予定であります。
 また、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、平成七年に港湾施設において耐震診断を行いました。さらに、平成八年には中高層の県営住宅で耐震診断の一環として外壁のモルタルなどの落下のおそれがあるかどうかの点検を行いました。いずれについても問題がないと結論を得ています。
 続きまして、和歌山県内における高速道路五十二・六キロメートルについては、日本道路公団が継続的に点検を実施しているところであります。過去の点検は目視で行っていましたが、現在は鉄道及び道路等の交差箇所、高架下利用箇所についてたたき点検を行っており、点検は年内いっぱいかかる見通しと聞いています。
 なお、東京大学名誉教授の小林先生ご指摘の阪南から海南間の件については、日本道路公団の点検により発見されたもので、先生の指導を受けながらその補修方法を検討し、平成二年度に工事を実施し、その後の調査でも問題は発生していないと聞いています。
 次に、五点目の道路交通体系の整備についてでありますが、和歌山県内の主要幹線道路の整備方針といたしましては、県内主要都市間の時間短縮を目標とする県内二時間行動圏構想を基本に進めているところでございます。このうち、議員ご指摘の国道四百二十四号と四百二十五号の二路線のうち、国道四百二十四号の龍神村小家谷拡幅工区と金屋町修理川バイパス工区などは、第二県土軸を構成する区間として道路ネットワーク上の観点からも特に重要な箇所であり、集中的に事業を促進しているところであります。
 さらに、龍神村福井地内の未整備区間につきましては、地籍、公図調査を進めているところであり、他の事業の進捗を見ながら事業化に向けて努力してまいります。
 このほか、国道四百二十五号の印南町田ノ垣内から上洞地内につきましては、切目川ダム事業と整合をとりながら道路計画の調整を行ってまいります。また、印南町印南原地内通称大峠は、単独事業で現道対策を進めながら必要な調査等を進めてまいります。
 大型車通行不可の案内の件につきましては、道路管理者として案内標識の不備で大変ご迷惑をおかけいたしました。今後このようなことのないよう、道路を利用する人の身になって取り組んでまいります。
 買収価格の評価決定についてでありますが、土地評価事務処理要領に基づき、当該地域の土地利用状況等から、まず同一状況地域ごとに標準地を選定し、その価格を鑑定評価によって決定し、さらに標準地に対する買収地各筆の比準を行って算定することが原則となっております。また、土地評価は原則的には事業着手時に行いますが、時点修正及び状況の変化等、必要が生じたとき再評価を行うこととしております。
 今後につきましても、公共事業の投資効果を早期に発揮するため、沿道地域住民の皆様と当該市町村のご理解とご協力のもと、道路整備の促進に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 企業局長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○企業局長(白井保世君) 企業局関連の土地造成事業についてお答えを申し上げます。
 ご承知のとおり、企業局におきましては、県経済の活性化を図るため、港湾計画に基づく臨海土地造成事業と企業誘致の受け皿となる内陸土地造成事業を実施してございます。しかしながら、昨今の経済情勢の中、造成地の売却は当面の最大課題となってございます。保有している造成地の処分、また継続中の事業につきましては、より一層の努力を重ねてまいる所存でございます。
 特に議員からお話がございました日高港土地造成事業における企業誘致につきましては、御坊市長を会長とする日高港企業立地推進協議会を設けて取り組んでおり、会長を先頭として、より積極的に推進してまいります。
 今後の新たな造成計画につきましては、経済情勢を十分見きわめながら、公営企業としての適合性、採算性等の観点から、より慎重に対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十三番木下秀男君。
○木下秀男君 丁寧な答弁をいただきましたが、要望でございます。
 行政改革というのは、改革なくして前進はないと言われておりますので、思い切った勇断を持ってこの厳しい状況に対処し、県民の期待するような改革が達成できるように、知事以下各部局長に一層の精励を要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十八分散会

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