平成11年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(木下秀男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十三番木下秀男君。
  〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 一般質問も終盤に入りますと重複すること多々ございますけれども、人それぞれ見方が違いますので、重複を承知の上で私は質問をしてまいりたいと思います。
 まず松くい虫の防除対策について伺うわけですが、今もその解説がございました。
 私が住んでおるのは天下に誇る美浜町煙樹ケ浜のあの松林の隣でございまして、毎朝夕浜を通りますので、目をつぶってでもわかるほどであります。その松枯れが最近特にひどくなってまいりましたので、煙樹ケ浜の松くい虫防除対策についてお伺いいたします。
 もみじの秋に先駆けて美浜町にある煙樹ケ浜の松林は、八月の終わりから九月初めにかけて松が色づき始め、今流行しておる茶髪のような色になりまして、松があちこちで枯れ始めております。これは例年のことでございますけれども、ことしも例に漏れず、松林から三尾に行く本ノ脇、もちろん三尾の海岸、日高町の阿尾海岸から産湯、比井と、この海岸も小径木を含めてすべて枯れている現状でございます。
 この松くい虫防除については、地元の美浜町、町議会、そして地域住民を挙げて取り組み、県にもその対策を強く申し入れておるところでありますが、県議会に対しましては、昨年の九月に住民から請願書が提出されております。県当局も種々対策方法をつくり、ことし十一年の六月には国の専門技官や学者一行六名の現地調査団を派遣いただいて防除戦略の策定に取り組んでおりますけれども、被害はますます広がるばかりでございます。特に、空中散布による防除が中止されてからひどくなる一方であります。この状態が続くならば十年後の平成二十年には煙樹ケ浜の松が全滅するであろうというような勢いでございます。
 そこで、次の二点を提言し、その実施を求めるものであります。
 まず第一点は、薬剤散布の徹底であります。方法は、人家のある県道側は地上散布のスパウダー散布、高いところへクレーンでつり上げて消毒するクレーン散布、海岸べりにおいてはリモコンによるヘリコプターでの空中散布であります。これを徹底することによって虫がなくなるであろうと予測されてございますが、林野庁は空中散布をしないようにという指導をしております。被害を受ける現地にあっては何が一番効果があるか。これをするべきであろうと思いますので、提言するものであります。
 第二点は、保安林の植栽事業を取り入れて補植を徹底することであります。県の林業試験場で新品種として松くい虫に強い改良品種が育っていると聞いてございますが、この苗を伐倒木の跡地や空き地に密植することであります。私は素人でございますので詳しくはわかりませんけれども、なぜ密植を提言するかと申しますと、松林の近くにある松原小学校、松原幼稚園、大和紡績付近は民家がありますので消毒はいたしておりませんけれども、そこに補植した木は大変樹勢が強く、成長も早く、効果が上がっておるからであります。もしもこの松林が枯れてしまったとすれば、民家はもちろん、日高町、美浜町、川辺町、御坊市の農家が受ける被害は甚大であります。国に相談をするとか補助がつかないとか言っておるときではありません。かくすればかくなるという実例を被害地である和歌山県が中心になってつくり上げて国に補助制度を認めさせるぐらいの気持ちで取り組み、撲滅を図らなければならないと思います。二十年から四十年の松も、松くい虫に食いつかれたなれば二年で枯れてしまいます。農林水産部長の積極的な取り組みを期待して答弁を求めるものであります。
 続いて、梅の生育不良対策であります。これは私の選挙の公約でありますので解明するまで言い続けなければなりませんし、先ほどの原議員の質問にもありますが、和歌山県の農業の主産物でありますから徹底して解明しなければなりません。私は、今回のこの問題について少し視点を変えて質問をいたします。
 二十一世紀の梅産業を考える上でどのような対策を講じれば維持発展させていくことができるのか。六月議会終了後、南部川筋、切目川筋、日高川筋の各梅畑を見てまいりました。四月に和歌山県へ赴任された平岡技師にも同道いただきまして、現地を見ていただくことと状況を知っていただくために一週間ほど各梅畑を回りました。農家の皆さんと胸襟を開いて語らう中で、農家の皆さんはこの問題に対していろいろな見解をお持ちであるということを再認識したのであります。語らいの中から出てきた多くの意見をまとめて質問いたします。
 まず第一点は、県の指導で水が不足と言われておるが、水をやる手だてがないことであります。それで、小規模な水源確保対策についてであります。
 農業にとって水が大切であることは農家の皆さん方も十分承知しておりますが、現地の声を聞くと、南紀用水はありがたい、一日でも早く利用できるようにしてほしいとの強い要望がありましたので、南紀用水の改良区の事務所に参りまして、理事長にできるだけ早く使用できるようにということで、ことしの夏は使用できた地域も随分とふえておるはずでございます。しかしながら、山の上の園地まで水を運ぶことは至難のわざであります。例えば、河川の上流部の一部をせきとめて調整池をつくり水源とするなど、何とか工夫できないものでございましょうか。どのような方法でもよいので、小規模な水源対策を土木部河川課と協議しながら考えてほしいのでありますが、その見解をお尋ねするものであります。
 二点目は、土壌、土質についてであります。
 現地を見てみますと、山あり谷あり、そして傾斜地あり水田ありと、非常に複雑であります。梅の植えられている園地を見ても、保水力のある水田土壌から開畑パイロットのような未熟な土壌まで、これまた非常に多様であります。このような複雑な立地条件のもとでは生育不良の発生要因も微妙に異なるのではないかと考えたわけであります。
 そこで、農家の皆さんに聞いてみました。自分の園地の土壌の状態や土質についてどのように調べているのか、調べてあればどのような処方をしているのかと尋ねました。しかし、ほとんどの農家の皆さんの答えは、知らないということであります。県当局も土壌分析に努力されていると聞いてはおりますが、いま一度原点に立ち返って全梅畑を調査すべきと思います。県の意向を伺うものであります。
 梅はミカンやリンゴに比べて学問的にはマイナーな品目でありまして、生理生態面でのデータも少なく、未知な部分が多いのが実情でありますが、中でも苗木そのものの問題が指摘されております。現地で植栽される苗木には、苗木業者が育成したものと農家がみずから育成したものがあり、その台木となりますと、ミカンのからたち台のように固定されたものではなく、千差万別の状態になっております。南高梅一つをとってみても台木はまちまちであり、樹勢の強いものから弱いもの、着果のよいものから不安定なものまで種々ございます。
 梅の生育不良を考えた場合、急がば回れではありませんが、育種面にいま一度目を向けて、国にお願いすることは国にお願いし、県としても台木の系統選抜を初め育種面に腰を落ちつけて取り組む時期に来ていると思うのでありますが、いかがなものでございましょうか。農林水産部長にお伺いいたします。
 次に、雇用対策についてであります。これについても二人、三人と質問されましたが、私も、この春卒業する高校生の失業難という記事をたびたび新聞紙上で見ておりましたので、このことに質問を集中しております。
 バブル崩壊後の労働者の雇用形態が、終身雇用から契約、派遣社員、パートというような安定から不安定へと変化し、雇用の質の低下が懸念されるような社会状態となり、若者が将来に夢を持てず、あえてリスクに挑戦することもなくフリーターや失業に甘んじる社会は沈滞していくと思うものであります。また、過日東京池袋で発生した事件のように、相次いで起こる二十代の凶悪犯罪の発生に高失業時代のもたらす社会に不安を感じるのは、私一人ではないと思います。現在の雇用問題で最も深刻なのは中高年の失業でありますが、高齢化社会の進展の中で若年雇用の問題が見過ごされ、余り取り上げられていないようにも思うのであります。
 総務庁が発表した全国の完全失業率は四・九%と六月に続いて二カ月連続で過去最悪を記録し、七月の有効求人倍率については五、六月と同じ〇・四六倍と、過去最低の状況が続いております。中でも、近畿圏の四月から六月の完全失業率が六・一%、七月の有効求人倍率が〇・三八倍と、いずれも全国のブロック別では最悪となるなど、非常に厳しい状況であります。
 また、新規学卒とりわけ新規高等学校卒業予定者の七月時点における全国の求人倍率が〇・六二倍と、過去最悪の状態にあるとの報道もなされてございます。本県における七月の有効求人倍率は〇・四六倍と全国平均と同水準で、近畿府県では最も高い求人倍率でありますが、厳しい状況に変わりはなく、雇用の場の確保を図ることが県の重要な課題であると考えるものであります。
 このような中、今月一日、唐突に住友金属工業株式会社が経営改革プランを発表いたしました。同プランでは、和歌山製鉄所の現在三千二百人いる従業員を二〇〇四年を目途に約二千八百名に削減することが盛り込まれています。また、関連会社にもコスト削減を求めており、三〇%のコスト削減をしなければ取引停止になるなどの話が下請業者に出回り、関連会社の従業員の間にさらなるリストラに対する不安が広まっていると聞いております。
 このような厳しい状況の中で住友金属工業が合理化案を実施していくとなれば、より雇用情勢が悪化すると考えられますが、県としてどう対応する所存か、伺うものであります。
 若者の就職は、かつては金の卵ともてはやされ、先生や級友に励まされて就職列車で旅立ったのも遠い昔の語りぐさとなりました。来春卒業する高校生、中学生の就職試験が今月の九月十六日から始まっております。九月十日に発表された労働省の調査によると、求職者数二十六万六千人に対し求人者数十六万六千人であり、求人倍率が〇・六二倍と、十人に四人が職がないという非常に厳しい状況であります。これは、調査開始以来最低の水準だそうでございます。
 このように若年層の就職難は深刻な問題でありますが、これらの現状について日本女子大学の大沢真知子教授が次のように分析をしております。
 一番目には、就業形態の多様化であります。企業が就職経験のない労働者の採用を抑制し、コスト削減の目的で派遣、パートジョブ等非正規な仕事を急激にふやしているということであります。二番目には、経営環境の変化を言っております。日本の就業形態は、長期的視野で終身雇用制度と年功的な賃金体系でありましたが、最近は収益重視の短期的な視野へと経営戦略の変更を余儀なくされていると指摘しております。三番目は、若者の職業観の変化を挙げてございます。仕事の内容や職種にかかわり、自分に合わない仕事や職場に不満があれば簡単にやめてしまって転職を肯定する若者が四五・七%あるとしてございます。この背景には、経済の情報化が進展する中で採用対象者が高学歴化していること、訓練コストを節約するため経験者はスキル──技能のことであります──を持っている労働者を中途採用するようになったこと、学校教育年数の短い熟練度の低い若年労働者の仕事が長期勤務のパートに代替されたことを挙げ、この傾向は九〇年代に急上昇していると指摘しております。実例を挙げますと、文部省が発表した平成九年三月の高校卒業者の学科別就職状況は、工業系が九六%、水産が九四%、商業が九二%、普通は最低であって八六%となっております。
 以上申し上げました点について、雇用全般については商工労働部長、若年層については教育長に、特に高校生の求人状況について、また高校の技術学科の充実についての所信を伺うものであります。
 最後に、住友金属工業株式会社の経営改革プランについて。
 この件につきましては、我が党の吉井議員を初め、先ほどの鶴田議員も質問をされましたが、ちょうど私も今議会の質問として若年層を含めた雇用問題を考えていたところこの計画を知り、取り上げたものであります。質問項目も、あえて吉井議員と同じようにしました。
 私が友人からの電話でこのことを知ったのは、八月十九日の早朝であります。話を聞いてまず感じましたのは、これで和歌山の工業形態が変わる、そう思ったのであります。戦後五十年余り「北高南低」と言われてきたことが崩れてくるのではなかろうかということであります。
 下津港からツバメのマークの丸善が撤退して久しく、また和歌山港から井げたのマークの住金の本拠が鹿島港に移転し、和歌山県の企業が年々縮小され、細るばかりであります。そこへもって八月十八日に住金和歌山工場関係協力会社に提示されました内容は、今後住友金属収益改善のため和歌山の協力会社にも市場原理を導入し、各社競争することで価格の引き下げを図るとして、次の二点を申しつけております。一点は、各社ごとに希望値として三〇%の低減を図る、二番目として、本提示に乖離していると判断した場合、これまでの実績とか枠を超えて別途他社──これは地元以外ということであります──に対し再見積もりをとり、新規会社との契約も視野に入れるとしております。端的に申せば、言うことを聞き入れないものは来るな、やめろと、こういう通告であります。
 今月の十日、小島社長が知事に面会を求め、正式に住金側のリストラ計画を説明したようであります。この後の合同記者会見の席で、高村幸一総務部長が──多分和歌山工場の総務部長であろうと思います──地元関連企業に三〇%のコスト削減を期待値として提示した、人員削減については採用抑制と出向などで対応し、三千二百人から四百人減を目指すと下請関連企業に提示したことを記者会見で公表してございます。私の心配しておりました雇用問題にさらに輪をかける出来事でありました。
 今回の住金のとった一連の行動は、知事を初め県を無視した大企業の横暴以外何物でもありません。経営者としての先見の明もなく、経営能力のなさを棚に上げて下請泣かせ、切り捨て御免のこの行為は大いに恥じるべきであります。
 今回の小島社長の訪問は、休養をとっていた知事が全快して公務に復帰したお祝いと二回目の知事選に立候補表明したことの激励に来るのだということを仄聞しておりました。ところが会ってびっくり、先ほど申し上げたとおりであります。わかやま元気宣言をし、来るべき知事選に第一歩を踏み出した西口知事に冷や水を浴びせに来たようなものであります。
 私は、決してリストラを否定するものではありません。時代の先取りをする見通しも改革も、大いに結構であります。しかし、今度の和歌山県や知事に対してとった行動は、絶対に許されるべきことではありません。
 住金創業の歴史を振り返ってみれば、戦前、戦中のことは別として、戦後五十有余年、県は共存共栄を基本として住金に対し最大の協力をしてまいりました。事業所拡張に際しての埋め立て、公害防止計画、西防の埋め立て、沖出し移転の見直し、西防埋立地の用途変更等々無理難題を持ち込み、特に西口知事には公害防止の沖出し中止、西防埋立地の用途変更と、一度ならず二度も苦渋の選択をさせたのも住金であります。倫理観の全く持ち合わせていない経営陣であります。この計画を知ったときの知事の心中は、筆舌に尽くしがたいむなしさを感じたと推察するものであります。
 ここで、同じように企業進出してリストラによって和歌山から撤退した大企業がとった実例を申し上げます。
 由良町に進出した三井造船であります。世界的な不況と海運業界の変革により再編計画を作成して由良工場は撤退を余儀なくされ、今年三月末をもって三井造船の看板をおろし、独立した会社を設立して、以前と変わりなく大型の船が出入りをし、同じように操業をいたしております。このリストラ案発表に当たって、立地町である由良町へ由良工場担当の常務取締役を代表に関係役職員が訪れ、町の三役、担当課長、議会の正副議長に、今日までの撤退計画を練ったその経過と再編計画、また残された工場の処理方針、下請企業や地元雇用した社員の処遇を細やかに説明し、立地町の納得の上で記者発表して惜しまれながら撤退した三井造船とこのたびの住金のとった一連の行為を比較して、かくも違うものかと感じ入った次第であります。
 そこで、次の三点についてお伺いいたします。
 第一点は、県当局がこの事実を知ったのはいつでございますか。できるだけ詳しくお答え願います。
 第二点は、この改革プランが実施された場合、県の受けるダメージはどれくらいか。また、下請、中小、零細企業の受けるダメージはどれくらいか。
 第三点は、県はこれを受けて特定企業対策連絡協議会を編成し、本件に対応すると聞き及んでおります。高瀬副知事を座長に各部局長が入っているそうでありますが、これからの取り組みと決意のほどを副知事にお伺いするものであります。
 これで、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事高瀬芳彦君。
  〔高瀬芳彦君、登壇〕
○副知事(高瀬芳彦君) 木下秀男議員ご質問の、住友金属工業の経営改革プランについての四項目について一括してお答えをいたします。
 去る九月一日に、住友金属工業より経営改革プランが発表されました。この件について八月三十一日に連絡を受け、直ちに和歌山製鉄所の幹部を呼び、事情を聞いたところであります。ニュー和歌山体制は、和歌山製鉄所の存亡をかけてここ数年にわたって多額を投資をしてきており、二十一世紀に確固たる地位を築くための方策と認識しておりますが、しかしこのプランには、住友金属工業の期待値として関係協力会社に対する三〇%のコスト削減が提案されていることから、関係企業や下請企業約百五十社に与える影響を懸念し、知事から住友金属工業の小島社長に対し、下請関連企業の経営安定への配慮について厳しく要請をしたところであります。
 また、私が座長を務めている特定企業対策連絡協議会を九月十三日に開催いたしまして、雇用面への配慮やコスト削減に伴う下請関連企業の個々の実情に対する配慮などについて再度和歌山製鉄所に対し要望いたしました。
 今後、協議会として関連企業等の実情を把握するなど、多方面からの情報収集を行い、下請企業等への影響を最小限にとどめるよう努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 木下秀男議員のご質問にお答えをいたします。
 まず、煙樹ケ浜松林の松くい虫防除についてでございます。
 煙樹ケ浜の松林は、背後の市街地や田畑を潮風などから守る保安林として古くから大切に育てられてきた重要な松林でございます。
 松くい虫被害対策につきましては、これまで空中散布、伐倒駆除、樹種転換等を実施してまいりましたが、空中散布は、国の指導もあり、平成九年度からは地上散布に切りかえ、鋭意取り組んでいるところでございます。
 今後ともより健全な松林として育てるため、今年度から、被害の要因に基づく効果的な防除の方法について、国営により調査が行われているところでございます。これらの調査結果を踏まえながら、西山地域での樹種転換のほか、地上散布については、松の先端にまで十分薬剤散布ができるようクレーン車やスパウダー等消毒機材の使用法の検討など、より効果的な事業実施に努めてまいります。
 続いて松林への補植についてでありますが、集団的な枯損で保安林機能の低下が懸念される場所については、これまでも保安林改良事業や保育事業で植栽や下刈りを実施してまいりました。また、部分的な枯損の場合は、管理者である町やボランティアによる植栽等が実施され、近年その取り組みも活発化してまいりました。
 今後、保安林機能維持増進のため、枯損箇所に抵抗性松苗等の補植を行い、適正な管理に努めるとともに、植栽については専門知識を有する森林組合作業員等による技術指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 また、町では松林を守り育てるための啓発活動や林内清掃などボランティア活動が行える事業に取り組んでいるところでもあり、今後、県といたしましても、行政と地域住民が一体となった松林の保護育成に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、梅生育不良の対策についての三点のご質問にお答えをいたします。
 まず一つ目の、かん水施設の設置についてでございますが、渓流に小規模な堰を設置し、下流の維持流量や既得水理に影響を及ぼさない範囲で取水や貯留することが可能な場合もあります。しかしながら、貯水量や事業費等は現地の地形条件に大きく左右されますので、事業対応が可能かどうかを含め、具体的な内容をお聞きして検討してまいりたいと考えております。
 次に土壌検査についてでありますが、梅にかかわらず、農作物の栽培に当たり土づくりの重要性は基本と考えております。県下の梅園地を見てみますと、さまざまな園地条件で栽培されておりまして、園地の実態に応じた管理が重要と考えられます。特に、永年性作目である梅等果樹にあっては改善効果が直ちにあらわれがたく、毎年の取り組みが重要であります。これまで普及センターや農協を中心に土壌調査を実施し、園地ごとの土壌カルテづくりを行ってございますが、今後とも土壌分析等による梅園地の実態把握に努め、よりきめ細かい指導、助言を行ってまいりたいと存じます。
 三点目の育苗についてでありますが、議員お話しのとおり、現在流通している梅の苗木はいろいろの特性を持ったものが植栽されていると考えられます。こうしたことから、暖地園芸センターでは、平成八年より五品種の台木による特性調査等、鋭意研究を進めてございます。また県農植物バイオセンターでは、台木の選抜やクローン苗木の増殖技術の開発など、優良種苗の供給体制を整えつつあります。
 梅はもとより農作物を栽培するに当たり、まず優良種苗の導入が不可欠であることから、県といたしましては、国の協力、支援をいただきながら、優良台木や品種の探索、選抜に積極的な取り組みを行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 雇用対策についてのうち、募集の状況についてお答えします。
 議員ご指摘のとおり、本県の雇用・失業情勢は非常に厳しく、雇用の場を確保することが重要な課題であると認識しております。このため、県といたしましては、各職業安定所長を筆頭としたローラー作戦による求人開拓を行っているところであります。また、人材Uターンフェアや合同選考会、ミニ選考会等を定期的に実施するなど、再就職の促進に努めているところであります。さらには、地域の完全失業率の悪化に伴い発動された緊急雇用創出特別基金の活用により新たな雇用創出を図るとともに、各種職業訓練制度の効果的な運用を図り、労働市場のニーズに合った技能者を育成することにより失業者の雇用支援に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 高校生の就職問題に関するご質問にお答えいたします。
 近年の不況が長引く中、昨年度末の就職決定率は八五・八%と、昭和五十一年度に調査を開始して以来最も低い数値となっております。また本年八月末現在の求人数も、昨年同期に比べ四〇%程度も減少するなど、かつてない厳しい状況がございます。各学校においては、生徒の学力の充実を図り、目的意識の向上や職業観の確立、さらには各種の資格取得等に取り組むとともに、新たな求人の開拓に懸命に努力しているところでございます。
 こうした中にあって、専門的な技術、技能を身につけることのできる工業系の学科などに対する求人及びその就職決定率は、他の学科に比べかなり高くなっており、産業教育とりわけ工業教育の重要性を改めて認識しているところでございます。
 本県では、平成元年度以来、職業系高校十三校において電子機械科や情報処理科を初め二十の学科を新設・改編するとともに、幅広い職業系の科目を持つ総合学科を二校設置してきております。
 今後とも、時代と産業界の動向を初め、生徒や保護者、地域のニーズ等を見きわめながら職業学科の改編や施設設備の充実等を進め、職業教育の一層の充実発展に努力してまいる所存でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十三番木下秀男君。
○木下秀男君 ご答弁、ありがとうございました。
 今、教育長から答弁をいただきましたが、教育委員長、教育長、これから言うことに来年から十分取り組んでほしい。
 私どもが高等学校に在席する時分には、四月の学級編制後、就職担当の先生が直ちに就職希望者を調査した上で、自分たちが送り出した子供たちの就職先、そしてまた地元からよそに出て成長された企業などを訪問して、自分たちの預かる子供たちの就職受け入れを要請して回ってきたことを記憶してございますが、最近の就職担当の先生は、職業安定所から求人数を持ってきて、それを割り振りして試験を受けさせに行くというだけだと、こういうことを聞きます。もうことしは遅過ぎますが、来年からは就職担当の先生──何名置いてあるか知りませんけれども、職場訪問をする中で自分のところの子供たちの行き先、募集枠を広げてもらうという努力をするようなお取り組みをしていただくことを強く要求しておきます。
 それと、農林水産部長の件でございますが、細部については農林水産委員会において質問いたします。
 ここに一通の文書がございます。副知事も見られたと思いますけれども、時間がございませんので急いで読みます。「住金和歌山の立上げからここまで住金と協力会社が一体となって頑張ってきたがここにきて、対前年比二〇%以上の受注量減の中で、非現実的とも思われる位のコスト削減の住金からの提示は協力会社各社とも、一様に会社経営に不安を抱き、進退の領域での判断を迫られているのが現実である。そしてまた元請はもとより下請け、二次下請けの従業員の雇用問題、家族への波及等々を考えたときに、状況が伝わっている範囲ではパニック状態になっている」と。私どもも「住金との連携は各社とも確保していきたいの気持ちを持ちながら、この状態を乗り切るための諸施策を模索しているが、数値があまりにも大きいのと、これまでのさみだれ式のコスト合理化協力と各会社毎の合理化も相当底をついていることと、経済の先行きも不透明な現状からこれまた最悪の状況である」、「今日の住金の経営の悪化は、協力会社並びに下請けの責任では全く無い。これまでの住金自身の見通しに問題がある。指示に従って協力してきた協力会社にその責任の一部を担わす事は不条理である」。こういうことを下請の皆さん方、孫請の皆さん方が考えておる現実を知って、副知事を中心にしたこの連絡協議会が中小零細企業に働く労働者の皆さん方の期待にこたえて住金に強く当たっていただくことを要望するものであります。
 最後に、「自然との共生」をメーンテーマに、日本で初めてのオープンエリア方式で開催されたジャパンエキスポ南紀熊野体験博も、参加者目標を百万人も上回る約三百万人が海、山、川の大自然と熊野の歴史遺産を体験し、二十一世紀のリゾートのあり方を提言して、盛会裏に百四十四日間の幕を閉じました。本博覧会の提唱者であり実行委員会会長である西口知事も、さぞご満足であろうと思うのであります。ご成功を、心からおめでとうと申し上げます。
 辛い評論で有名な竹村健一先生は、オープン型エリアの中で自然というものを取り入れたこの博覧会が今世紀における最後の博覧会として成功したことは喜ばしいと評論をされてございますし、和歌山出身で慶応義塾大学の教授をなさっている竹中平蔵さんも、NHKの深夜放送の中で、和歌山で生まれ育ったのは短いけれども、この体験博を通じて私の育った和歌山県が人間と自然との調和した二十一世紀に求められる和歌山であることを初めて知った、大変誇りに思うという評論をなされてございました。
 今議会終了後は、知事選挙でございます。この上は知事には健康にご留意されて、那智勝浦町のシンボルパークでともされた二十一世紀の希望の灯を高々と掲げて二十一世紀の扉をあけてください。西口知事のご奮闘を祈念申し上げまして、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十分散会

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