平成11年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時一分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第百三号から議案第百十七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百三号から議案第百十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十六番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
 第一番目に、介護保険問題についてお尋ねをいたします。
 来年四月の介護保険実施まで、あと七カ月余りと迫ってまいりました。最近、テレビ・新聞なども介護保険に関する番組や記事も大変多くなりました。そのせいか国民の関心も高まる中、不安と期待が交錯しているようです。十月一日からは、全国の市町村を窓口にして、介護保険でどの程度の介護サービスを受けられるかを決める要介護認定の申請受け付けが始まります。実施が近づくにつれ、県下各地でシンポジウムや学習会が開かれてまいりました。どの会場も予想を上回る参加者で、その関心の高さを示しています。特別養護老人ホームを申し込んで一年たってもまだ入れない、保険料だけ取られてちゃんと介護してもらえるのか、自立と判定されたら、特別養護老人ホームから退所してくださいと言われても帰るところのない人はどうすればいいのか、少ない年金で、夫婦二人で今でも二日で五百円の食事代で過ごしている、保険料は二人で最低でも一カ月三千円にもなるのか、とても払えないよ、問題だ、利用料一割負担も払えないなど、驚きや怒りの声が多く出され、その改善を求める声が強まってまいりました。実施主体となる全国市長会、町村会を初め千二百を超える市区町村議会からも、保険料、利用料の低所得者への減免制度や基盤整備に対する財政支援措置などを求める緊急決議、意見・要望書が次々と国会へ送られています。また、さまざまな団体からも国会に対して改善を求める署名などが提出されて、今なおその運動は大きく広がっています。本県からは、二十七の市町村議会から意見書が国会に送られているところです。
 七月二十六日、厚生省は第一号被保険者である六十五歳以上の高齢者の保険料を中間集計して、全国平均一人月額二千八百八十五円、年間にすると三万四千六百二十円の負担になることを発表しました。最終的には、この料金はもっと高くなると言われております。また、第二号被保険者である四十歳から六十四歳までの保険料は、大企業で働く労働者の組合健保では本人負担千三百円、中小企業労働者の政管健保では本人千五百円、国保の一人当たり平均保険料は千三百円程度となる見込みと発表をいたしております。これらはいずれも、来年の三月ぐらいに最終決定されますので、当初試算より実質的にはさらに高い保険料になることも予想されます。
 六十五歳以上の高齢者の保険料は、平均二千八百八十五円を基準に、住民税をどれだけ納めているかによって五段階に分かれて、年金からも差し引かれるようになります。その五段階に分かれた内容ですが、一つは、老齢福祉年金月額平均三万四千三百円の受給者や生活保護を受けて住民税非課税のお年寄りは半額の千四百四十三円で、五〇%が減額されます。しかし、同じ国民年金受給者で、老齢福祉年金の額すなわち月額三万四千三百円未満の年金を受け取っている人は半額の対象にならず、二五%減額で二千百六十四円と、これまた納得できない負担となっています。年間わずか四十万円以下の年金から消費税以上の税金に等しい負担を強いられ、低所得者ほど負担が重くなる仕組みであります。年間所得二百五十万円未満でも、住民税を払っていると二五%増しとなり、三千六百六十円の負担です。同じく年間所得二百五十万円以上では五〇%増しで、保険料は四千三百二十八円となります。全体として、六十五歳以上のお年寄りのうち、七六・三%が住民税を納められない低所得者で占められていることも重要視しなければなりません。
 ところが、事もあろうに政府は、来年、高齢者医療費の自己負担増や年金給付の五%カットの方針を検討し始めていると聞いております。これでは、高齢者の負担はふえるばかりです。夫婦二人の一日のおかず代を五百円でと節約してぎりぎりの生活をしている低所得者の実態を知っているのでしょうか。まさに生きる権利さえ奪いかねない国の政策を私は見過ごすわけにはいきません。高齢者社会にふさわしく、老人福祉法を守り、安心して医療と介護が十分受けられる充実した内容に改善することが大事です。住民税非課税の低所得者の保険料は無料にすることも含めて、減免制度をすべての自治体で実施すべきだと切実に考えるものです。
 また、四十歳から六十四歳の人の場合、長く続く不況の中、倒産・失業した人も多く、国保料を払いたくても払えないで苦しんでいる人も増加している昨今です。多くの自殺者もこれまでに出してまいりました。私たちの調査でも、わずか十一自治体で国保滞納世帯は七千九百四十五世帯となっていますから、国保の収納率も近年は低下の一途をたどっているのではないでしょうか。介護保険制度が始まれば上乗せされる保険料で払えなくなる人は確実にふえるでありましょう。そうなると、国保滞納者に対する制裁措置によって医療も介護も受けられなくなり、まさに保険あって介護なし、これでは介護保険制度として成り立つはずがありません。低所得者の保険料の減免制度の実施は絶対に必要なことです。国に積極的に財政支援を働きかけることを願うものですが、関係部長の意見をお聞かせください。
 八月二十八日、特別養護老人ホーム入所者の利用料と食費の負担を五年間に限って一割負担より低くする減額措置を厚生省は明らかにしたところです。特養ホームには身寄りのない人、所得の低い人が多くいらっしゃいますが、入所者の半分以上の方々の年収も六十八万円以下という実態であります。
 通常の介護費用は、一割の利用料二万七千円、食費二万三千円で、月額平均五万円の負担が必要となっておりました。この金額を大きく上回らないように、所得に応じた利用料に改善がされたわけです。その利用料は、年収を七段階に分けて、年収三十四万円未満は無料にしました。そして、年収三十四万円から四十八万円未満の率を三%に、四十八万円から六十八万円未満の率を五%に、そして六十八万円以上の年収者には一割の負担率を行いました。こういうような減額が行われたわけです。減額した利用料と減額した食費を合わせても、最高額は五万三千円になるところです。こうして一定の改善を見ることができました。五年間の経過措置を打ち切ることなく、その後も減免制度として、そしてこの減免制度を他の老健施設や療養型病床群すべてに拡充していくこと、在宅サービスにおける利用料の減免制度も拡大していくことが必要ではないでしょうか。
 在宅介護の介護報酬の仮単価も発表されてきたところです。営利を目的とした民間事業者の参入を容易に誘導するため、これまでの単価よりも高く設定していると厚生省は言っています。これは、利用者の負担増には変わりない結果になります。現在の福祉制度では、所得に応じた負担が課せられているわけですけれども、訪問介護では利用者の八一・三%が無料となっております。一割負担は大変重過ぎるものになるのではないでしょうか。
 サービスを受けられなくなる人が今後続出する可能性も大です。国は市町村任せにしようとしております。国の財政支援で減免制度に改め、今までどおりに無料にすべきであります。国に強く働きかけていただきたい。いかがでしょう。
 高齢者率二〇%──和歌山県は大変スピードの速い状況で高齢化を迎えています。全国順位で見ますと十六位、近畿府県内では第一位であります。平成十二年度には、高齢化率がさらに〇・三%ふえて二〇・三%になろうとしております。それだけに、安心して老後を迎えられる和歌山にしたいと願うのは、だれしもが共通する要求ではないでしょうか。今実施している高齢者福祉制度のより一層の充実と、介護を必要とするすべての高齢者がひとしく保険のサービスが受けられる介護保険制度に、行政と住民が協力して改善を求めていきたいものであります。
 次に、介護保険でどの程度のサービスが受けられるか、高齢者の実態調査をもとに介護度を推定した数値が県から発表をされたところです。七月に県は、高齢者実態調査結果の概要というものを発表いたしました。これによりますと、介護保険の給付対象者は高齢者人口の一二・八%、その数は二万七千五百九十三人に上ります。在宅高齢者では一〇・八%、二万一千八百六十二人、そのうち特別養護老人ホーム待機者は七百一人ですが、特養ホームに入所できるとした介護度の対象者は六百七十二人で、入所必要なしと判定された人が九十五人も出ました。
 今施設に入所している人を見ますと、五千七百二十七人のうち、三百九十八人の人が五年間の経過措置が過ぎれば退所しなければならないという数値も示されました。この数値は試算でありますので、実数ではありません。実際はもっと待機者が多く、千人を超えていると思います。
 私たちは、この夏、県下の自治体や特別養護老人ホーム、デイサービス施設などを訪問いたしまして、介護保険制度についてのさまざまなご意見を聞く懇談会をさせていただきました。特別養護老人ホームでは、入所者の一割から一・五割の人が、またデイサービスでは四〇%の人が保険から排除されるだろう、こう言われています。しかし、この人たちの受け皿が今整備されていません。現状では、特別養護老人ホーム入所者の五年間の経過措置があるとはいえ、施設では随分とご苦労されています。あるいは、デイサービスに来ることによって数多くの人たちが明るくなったり、一定の機能が回復をしたり、また友達と話ができるようになったなどという、その効果のあり方も聞かせていただきました。
 こうした人たちを守るためにも、国が四月一日から実施している在宅高齢者保健福祉推進支援事業を、ぜひ県下全市町村で実のあるように実施するよう県は積極的に支援をしていただきたいし、指導もやっていただきたい。あわせて、国にその実現方を要請していただきたいと思います。
 県は、この事業に本年度の予算で一億四千七百万円を計上いたしております。しかし、その中身がよくわかりません。その具体的な事業はどのようなことになっているのでしょうか。また、今後どのような対応策を受け皿として検討していらっしゃるのでしょうか。お聞かせ願います。とりわけ各市町村では、福祉の後退を許さないために横出しや上乗せサービスの財源に苦労をされています。県の独自事業も考えていく必要を痛感しているところですが、部長のご所見をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、基盤整備の問題であります。これは何といっても施設の整備、特別養護老人ホームの不足であります。ゴールドプランの中で直ちに目標の見直しを急がなければなりません。待機者七百一人という状況のもとでは、施設はどうしても足りません。施設サービスの充実を急いでいただきたい。その目標は、今わかりませんか。国に対し、特別養護老人ホームの補助制度の新設や建設費の補助率引き上げも強く求めていただきたいと思います。部長、いかがでしょうか。
 在宅介護のホームヘルプサービスは、かなめです。ホームヘルパーの目標達成は進んでいるとはいえ、六四・六%の現状になっています。都市部よりも山村地域におけるホームヘルパーの人材養成と研修が重要です。急がなければなりません。養成施設もさることながら、応募してきた人の期待にこたえられずに困っています。二時間もかけて遠くまで受講しに行かなければならない、この状況を解決してください。どのような対策をお持ちでしょうか。
 一方では、全国で、自治体の直営ホームヘルプ事業を廃止してヘルパー全員を解雇するとか、あるいはホームヘルプ事業の見直しを進めている自治体もあると聞きます。みずから公的責任を放棄することではないでしょうか。
 お尋ねをします。本県では、このようなことはないでしょうね。これまで居宅サービス事業者に指定した自治体はありますか。ホームヘルパーの問題では、この際、過疎地域の受講料に対する財政的支援も考えてみてはいかがでしょうか。部長の所見をお聞かせください。
 ホームヘルパーの補助制度も変わり、ヘルパーの賃金も不安定になってまいりました。経験豊かな質の高いヘルパーを確保することと、身分を安定させ、専門職として働きがいを持って介護できるよう、職業の確立を保障するために自治体は頑張らなければなりません。県としてホームヘルパーの労働に関する実態調査をしてみてはと提言をいたします。部長の決意を込めた所見を伺いたいと思います。
 本県は、高齢者福祉制度として、これまで高齢者住宅改造補助事業や生活用具給付事業を独自事業として進めてきたところですが、所得制限の撤廃などの改善の行うことを求めたいと思いますし、前回の議会で私は、この事業に対して所得の上限枠を拡大してほしいと求めたところですが、ぜひともその点も含めてお答え願いたいと思います。
 家族介護者に対する介護手当を創設していただきたいという問題でありますが、介護保険ではホームヘルパーの資格を義務づけています。そして労働時間も、家族の介護だけに絞らないで全労働の半分はよその人の介護も義務づけると、こういうような、到底かないもしないような制度を創設したところであります。しかし実態は、和歌山県においても、年寄りが年寄りを介護するといった事態は一向に解決されておりません。それよりも、ふえている現状にあるのではないでしょうか。ぜひ県単事業として検討を願うものであります。率直なご意見をお伺いしたいと思います。
 この介護保険の質問を終わるに当たって、国は今、特別養護老人ホームや高齢者のデイサービスといったところについても、国の措置制度で五〇%負担をいたしております。しかし、介護保険方式になりますと、負担割合を二五%にばっさりと削ってしまいました。来年度でその削ったお金が三千七百億円にもなりますから、低所得者や多くの悩んでいらっしゃる皆さん方のために減免制度や基盤整備の方へぜひ回して活用していただきたい、また国に働きかけていただきたい、このように思います。
 次に、和歌山県、和歌山市と住友金属和歌山製鉄所との公害防止協定改定についてお尋ねを申し上げます。
 今回の改定は、一九八六年に改定されて以来、十四年ぶりのものであります。この間に住金は公害施設の沖出しを中止し、埋立地を関西電力に譲渡いたしました。しかし、まだ住金公害は解決されておらず、沖出し中止は納得できないという周辺住民の方々の声があり、この点については、県が住金の言い分を丸のみするのでなく、県民の健康を環境を守る立場に立って、住民の同意なしに沖出し中止を認めるべきではないということを私たちはこれまで議会でも繰り返して要求してきたところです。その議論の中で県や和歌山市は、環境基準改善値はクリアしているもののまだ公害があるという認識を示してきたところです。そうした経過を経ての今回の公害防止協定は環境保全協定という名前に変わって改定ということで、まず今回の改定に当たっての県の基本的な立場についてお尋ねを申し上げます。
 新協定の前文は一部改定され、こうなっております。「この協定は、地域住民の健康を守り、快適な生活環境の保全を図るとともに環境への負荷をできる限り低減するため、和歌山県及び和歌山市(以下「甲」という。)と住友金属工業株式会社(以下「乙」という。)とは、乙の和歌山製鉄所に関し、環境保全のために最善の措置を講じ、地域住民の福祉の確保及び地球環境の保全に資することを本旨として、次のとおり締結する」。これは、県、市、住友金属が和歌山製鉄所の公害抑制のために連帯責任を追っているかのような内容になっていると思えてなりません。これは行政の立場としておかしいのではないかと私は思うところです。
 この質問に当たって私たちは、他の鉄鋼各社と行政との公害防止協定を見てまいりました。日本鋼管の神奈川県及び横浜市、川崎市との協定ではこうなっています。「甲(神奈川県)、乙(横浜市)、丙(川崎市)及び丁(日本鋼管)は、地域住民の健康を守り、環境の保全を図ることの重要性を認識し、特に企業の生産活動によって発生する公害の防止については、企業が重大な社会的責任を有するものであり、また地方公共団体は、これらの公害防除について、住民保護の重い責任を持つものであることをそれぞれ認識し、これにより、甲、乙及び丙は、地域住民の意見を十分取り入れた上、丁の指導を行い、丁は、公害の予防、防止及び排除について最善の努力を行うことを約する」。私は、これが企業の公害防止に当たる行政の当然の立場であると考えますが、この点についての当局の見解をお尋ねしたいと思います。
 次に、今回の改定の経緯について質問を申し上げます。
 既に述べたように、住金公害をめぐっては、周辺地域の住民の方からまだまだ深刻な状況にあることが訴えられ、県、市もまだ公害はあるという認識を示されてきました。ところが今回の改定は、公害に苦しんでいる住民の意見を聞くこともなく、説明すらされず、また議会にかけることもなく、締結後に報告されたのみです。
 去る九月一日、河西環境問題連絡協議会という住民団体が県知事に要請した内容を見ますと、住金に隣接する地域は粉じん、悪臭、騒音、振動、低周波などの公害に苦しみ、健康被害も出ている、本来なら、まず私たち地域の公害の実態と住民の健康調査を行い、住民の声を聞き、環境保全協定について住民に説明をした後締結すべきだったとして、地元住民への説明を要求していらっしゃいます。
 和歌山県の御坊市では、関西電力の火力発電所との公害防止協定締結に際しては、地元住民代表、議員、関係団体代表などを含む公害対策審議会で審議がなされてまいりました。当然、建設決定以前の環境アセスメントについての議論を経た上、公害防止協定締結について改めて審議をされたのであります。
 住友金属は、関西電力のLNG火力発電所計画にかかわって、九七年四月に総合アセスメントを出していますが、アセスメントは公害発生の将来予測にすぎず、県と市が環境と住民の健康を守る立場で企業に公害発生の抑制を求める環境保全協定とは当然性格が異なるものであり、今回の改定に際しても、住民の意見を十分取り入れた議論が必要であったはずです。今回の改定が、なぜ住民の意見を聞くこともなく、また議会での議論もないまま行われたのか、納得できる理由をお示しいただきたいと思うのであります。また、住民団体からも出ている住民への説明会の要求に、おくればせながらもこたえるべきだと私は考えるものです。いかがですか。
 次に、改定内容について幾つかお尋ねをいたします。
 まず、大気汚染対策であります。
 硫黄酸化物については、住金が出した九七年四月の総合アセスメントで、現況、一時間値四百四十六・七ノルマル立米、将来も同じく一時間値四百四十六・七ノルマル立米としています。協定は、このアセスメントの排出量をそのまま規制値としており、住金は削減の責任をこれまた負わなくてよい内容になっているのではないでしょうか。
 また窒素酸化物については、総合アセスでLNG火力発電所からの発生分を共同火力に排煙脱硝装置を設置することで削減するとしており、やはり協定はそのアセスの排出量をそのまま規制値としています。つまり、これも共同火力以外では削減されないということになるのではないでしょうか。
 住友金属は、粗鋼生産九百万トンから現在の約三百万トン体制となり、その分、大気汚染物質の排出も低くなっていますが、それでも全県で発生する硫黄酸化物の四〇%──二酸化硫黄換算で住金六千八百三十三トン、全県で見ても一万七千四十八トンです──窒素酸化物の二九・八%──二酸化窒素換算で住友金属は六千四十四トン、全県で二万二百六十八トンです──を九四年度に排出しておりますが、これは県内じゅうの自動車を含むどの発生源よりも大きな発生量となっているところです。
 大気濃度が環境基準以下だからよしとするのではなくて、今や酸性雨が続いている問題や光化学オキシダントの問題などもあり、さらに改善が求められるのではないでしょうか。この改定に当たり、県はどういう態度で臨まれたのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
 次に、降下ばいじん排出量についてお尋ねいたします。
 この排出量についても、生産の減少により以前より低くはなっております。住金が公害施設沖出し中止に際して住民に約束をした、窓をあけて生活できる環境は、まだ達成されていません。住金の平成九年度の実績は、排出量一時間当たり百九十八・一キログラム、周辺環境値県測定では年最高値月当たり七・八トン・キロ平米、年平均値一カ月当たり四・一トン・キロ平米です。現状の排出量より削減されなければ、住金の住民との約束は果たされません。しかし、協定値は排出量を一時間値二百八十二キログラム以下とし、周辺測定点でのばいじん量を年最高値月当たり八トン・キロ平米、年平均値月当たり五トン・キロ平米としております。現状を容認するものとなっているところです。特にばいじん被害の深刻な中松江地区では、中松江自治会と住金との間で五月から九月の降下ばいじん平均値の目標値を月四トン・キロ平米とする約束が取り交わされています。これは、影響風向頻度二五・九%ベースにしたときであります。つまり、窓をあけて生活できる環境を保障するための協定がなされなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。
 県当局は、周辺地域の降下ばいじんの現状をどう考えていらっしゃるのでしょうか。住金が住民と約束した環境を実現することを保障しないような規制値を定めたのは、どういうことなのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 次に、悪臭についてでございます。
 これも、平成九年度実績より大幅に緩い規制値となっております。現状でも周辺地域の住民は悪臭に悩んでいるのに、これを改善するものとはなっていないのではないかと考えるものですが、どうでしょうか。
 また、騒音、振動は三カ月に一回、悪臭は二カ月に一回測定するとなっていますが、これらは一時的に極端な状況が発生することもあり、常時測定に改善すべきではないかと思うのです。また、騒音、悪臭について、それぞれ第三条の二、第五条の三で「付近の生活環境を阻害するときは、さらにこれらの排除に努めるものとする」とありますが、阻害するという判断はだれがするのでありましょう。
 住民からの苦情については、第七条で住金が「公害防止組織で苦情処理体制の一元化を図り、迅速かつ適切にこれを処理する」とあります。さきに挙げた日本鋼管の公害防止協定では、住民の苦情を受けたとき企業はその解決に努めるものとする、とともにその解決が困難であると当該当事者(住民)が申し出たときは、県や市が解決に努め、企業はこれに応じることが定められています。これは、和歌山県と神奈川県との大きな違いだと思うわけです。騒音、振動、悪臭などについて、住民がこれはひどいと感じて住金に苦情を訴えても解決されないときは、住民は県、市に訴え、県、市はそれが協定違反に当たるような量でなくても解決に乗り出して住金を指導することが必要だと私は考えるものです。いかがですか。
 この問題の最後に、地球環境問題と新しい法規制への対応に関してお伺いをいたします。
 この協定の前文では、新たに「地球環境の保全」が加えられました。この点では、温室効果ガスに対する新たな規制が当然含まれるべきだと考えるものです。それが一切規定されていないのはなぜなのでしょうか。この点では、まず住金が現状でどれだけ温室効果ガスを発生させているのかを明らかにする必要があるのではないですか。また、県としては全県の排出量調査とその削減目標を明確に持つことが求められるのではないでしょうか。その上で、住金の温室効果ガス排出の削減を協定してこそ地球環境の保全に資することになると私は考えます。その点についてもお考えをお教えください。
 また、ことし七月に制定されたダイオキシン特別対策法や九七年の大気汚染防止法改正などでダイオキシン発生源への法規制が行われましたが、これへの対応として、新協定では年一回の測定が加えられただけです。発生の規制も当然協定されなくてはならないと考えるものですが、当局の見解をお聞かせください。
 第一回の質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員ご質問の、介護保険問題についての七点にお答えを申し上げます。
 まず、低所得者に対する負担軽減についてでございます。
 保険料については従来からの所得段階別の設定を行い、利用料については所得に応じた高額介護サービス費の上限設定がなされることとなっております。これらにつきましては、災害等による特別な事情がある場合に市町村の条例による減免措置が行われることとなっております。
 また、特別養護老人ホームの経過的な入所者には、緩和措置として五年間、利用料負担及び食事負担が所得に見合う形で賄えるよう具体的な事項が国において審議されており、その実現を期待しているものであります。しかしながら、さらに低所得者に対する減免制度を拡充する場合には、国の強い支援策がない限り、市町村の介護保険運営に影響を与えるものであります。
 このようなことから、県としましても、低所得者に係る減免等の配慮は円滑な保険運営に必要不可欠であり、要件の拡充並びに市町村財政負担の支援など、機会あるごとに国に要望してまいりたいと考えております。
 次に、現在施設に入所している高齢者やデイサービスを利用している高齢者が自立や要支援と認定された場合の対策でございます。
 まず、五年間の経過措置を経た後、ひとり暮らしが困難な高齢者に対する施設サービスとして、ケアハウスや高齢者生活福祉センター等の整備促進を図ることとしております。また一方、在宅の高齢者等に対しましては、在宅高齢者保健福祉推進支援事業により、生活支援事業、生きがい対策事業等で配食サービスや生きがい対応型デイサービスなど、地域の実情に応じて市町村が取り組めるよう総合的に推進していくことにしております。
 次に、基盤整備、特養ホーム、ホームヘルパーについてであります。
 全国一斉に昨年実施した在宅高齢者実態調査によると、本県では特別養護老人ホームに入所が必要と考えられる要介護一から五状態の在宅での待機者は六百七人となっております。県といたしましては、高齢者実態調査の結果等に基づいて、平成十二年二月策定を目途に、現在作業中の老人保健福祉計画及び介護保険事業支援計画において、必要な施設サービスや居宅サービスなどの目標を盛り込むことにしております。
 また、特別養護老人ホーム建設の補助制度につきましては、国の動向も見ながら対応してまいりたいと考えております。
 次にホームヘルパーの確保についてでございますが、本県においては現在三十一カ所で養成研修を行っており、特に山間地等においても平成六年度より養成研修を実施し、古座川町や大塔村などの町村でも実施しているところでございます。今後なお一層人材を養成する必要があると考えられる山間僻地等ではホームヘルパー養成研修を実施できるよう国において種々検討しているところでありますので、その動向に注目してまいります。
 次に、居宅サービス事業者についてでございます。
 居宅介護支援事業者に引き続き八月から受け付けを開始しており、九月十日に第一回目の指定を行ったところであり、訪問介護等十九事業者を数えているところでございます。ただし、市町村の事業者申請はない状況にあります。
 ホームヘルプサービス等居宅関係は、従来より市町村が社会福祉協議会等へ委託して実施してきた経緯があり、民間事業者が今後とも中心になるものと考えております。
 介護保険制度では、保険者である市町村が被保険者管理、保険財政の運営等、円滑な遂行を担うことが主体であり、居宅サービスの拡充については民間事業者の進出希望を的確に把握し、利用希望に沿った質的に高い事業者を確保できるよう、市町村と協議を進めてまいりたいと考えております。
 次に、ホームヘルパーの労働条件の実態調査ということについてであります。
 ホームヘルパーが安心して就労できる環境整備は必要であると考えております。このため、労働条件は年々改善されてまいったところでございます。今後、ホームヘルパーについては、介護保険制度の中で新しい状況が生ずるものと予想されますが、その重要性は一層高まってくるものと考えられます。こういった意味で、必要に応じて実態調査を行うことも考えております。
 次に、高齢者住宅改造、日常生活用具事業の拡充をということについてでございます。
 介護保険制度の中で、住宅改修や福祉用具の貸与、購入費の支給サービスが位置づけられております。このような国の動きの中で、県単独事業の高齢者住宅改造補助事業や要援護老人生活補助用具給付事業を行っておりますが、介護保険制度との整合性を図りながら、事業の存続も含めて検討することとしてございます。
 最後に、家族介護手当制度についてでございます。
 国の調査によりますと、家庭で介護する方の九三%は女性であり、五〇%は六十歳以上です。また、高齢化の進展に伴い、介護は重度化、長期化しております。このような家庭における介護の状況を打開し、介護の社会化を進めるという趣旨から介護保険制度が創設され、より専門的な介護サービスを提供できるように現在基盤整備を進めているところでございます。しかしながら、過疎地域等においてはサービス基盤整備が進みにくいという実情から、国においては、僻地等に地域を限定し、一定の条件のもと、家族の介護を保険給付の対象とすることについて検討を行っているところでございます。こうした国の動向と介護保険制度の趣旨にかんがみ、県単独の家族介護手当の実施については現在のところ困難であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員ご質問の、住友金属と県、市の環境保全協定についての六項目にわたるご質問にお答えいたします。
 まず、一点目の理念についてでございます。
 今回の住友金属工業株式会社との五回目の協定改定に当たりましては、従来からの公害防止協定の趣旨を踏まえながら、時代の要請をも考慮して、温室効果ガスの削減等の取り組みなど、地球環境の保全についても盛り込み、名称を環境保全協定としたところでございます。
 このたび締結いたしました協定について、行政及び企業のそれぞれの責務、またその関係が明確でないとのお話でございますが、県におきましては、環境基本条例において環境保全についての基本理念を定め、その中で県の責務及び事業者の責務を明確に定義しているところでございます。このことは、本協定にも当然適用されるものであります。したがいまして、議員お話しの神奈川県の協定における理念と大きく異なるものではないと考えてございます。
 続きまして二点目の、地元住民の意見も聞かず説明もない、議会の審議ということであります。
 このたびの環境保全協定の改定に当たっての地元説明は行っておりませんが、今回の環境保全協定の見直しの契機となった和歌山発電所に係る環境影響調査書については平成九年一月六日から二月五日までの縦覧がなされ、住民の意見が提出されるとともに、環境影響調査書の審査に際しては、電源立地アドバイザーの助言も受け、審査結果を県議会議員の皆様方に事前に送付させていただいたところでございます。
 環境保全協定は、甲である県及び和歌山市と、乙である事業者との双方の合意形成がなされて初めて成立するものであります。今回の改定に当たりましても、住民の意見を踏まえながら、行政の責任のもとで和歌山市と連携し、改定を行ってまいりました。
 なお、地元住民からの要請につきましては、和歌山市と協議してまいりたいと考えてございます。
 続きまして三点目の、大気汚染対策についてであります。
 今回の協定の改定に当たっての基本的な考え方は、総合環境アセスメントの数値を織り込むこと、及び法律などの新規規制項目に関する事項を盛り込むことであります。
 協定に盛り込んだ排出量はさらなる改善が必要なものであり、数値については、県として地域総合シミュレーション調査を実施して環境基準を上回らないことを確認し、地域の環境保全が図られるよう努めているところでございます。
 続きまして四項目めの降下ばいじんについて、窓をあけて生活できる環境をという質問でございます。
 降下ばいじん量につきましては、法律には基準値はありませんが、県独自の行政目標値といたしまして、一カ月、一平方キロメートル当たり十トンとしてございます。今回の改定では、粉・ばいじん対策の強化などによりまして、新たに月間値の年平均値を五トン、月間値を八トンとする目標値を定めたところでございます。
 続きまして五項目めの、騒音、悪臭、振動につきましてお答えいたします。
 騒音、悪臭、振動につきましては、従来より厳しい数値で見直しを行ったところであります。これらに対する公害苦情につきましては、第一次的には市町村が責任を持って当たることとなってございます。県への苦情に対しましては、誠意ある対応が図られるよう事業者を指導してまいりたいと考えてございます。
 最後に、六項目めの地球環境問題と新しい法規制についてでございます。
 地球温暖化対策の推進に関する法律においては、地方自治体は、その事務及び事業に関し、策定する温室効果ガスの排出抑制等のための措置に関する計画、すなわち実行計画を策定することとなってございます。一方、事業者につきましては、適切で効果的、効率的な対策を自主的かつ積極的に実施することや地球温暖化への取り組みに関する計画などの公表についての措置を求めており、いずれも努力義務となってございます。
 温室効果ガスの排出抑制につきましては、国全体で取り組むべき課題であり、今後、国の動向を見ながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 また、ダイオキシンの測定義務及び測定の頻度につきましては、大気汚染防止法には定められておりませんけれども、今回の環境保全協定の改定において測定頻度及び報告義務を定めたところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十六番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 時間がありませんので。
 介護保険の問題ですけれども、随分頑張っていらっしゃるということについては評価をしたいと思います。
 ただひとつ、保険サービスを受けられない人、すなわち特別養護老人ホームに入っていたり、あるいはデイサービスを受けている人たちが、介護度によって自立というふうになった場合には、全く施設にも入られなければサービスも受けられないということになるわけです。特に、施設から五年後には出ていかないとあかんという人が非常に大きな問題を呼ぶと思うんです。
 部長の答弁ですと、ケアハウスとかに入っていただくと言いましたけれども、ケアハウスには容易に入れません。例えば、老齢福祉年金だけで暮らしていらっしゃる人などは、年間大体六十八万円の収入ですから。しかし、ケアハウスは和歌山県内はどこも、最初に入るとき契約時に五百万円が必要です。そして、今は所得によって違いますけれども、最低でも毎月七万円は要るわけですから。こういうような状況で、気軽にケアハウスと言わんといてほしいなと思うんです。もっといろんな形での、グループホームをつくるとか、託老所や養護施設の問題などを細かに考えていくべきだろうというふうに思いますので、そういう点は大いに頑張っていただきたいと思います。
 それから、ホームヘルパーの養成はどうしても急がなければなりません。養成はするけれども働く場所がないというのが現実だと思うんです。そういう点でも、今後働く場を確保するということと条件を確立するということをきちんとやっていただきたいと思います。
 住金の問題では、ぜひ住民の皆さん方の願いにこたえていただきたい。そして、ぜひ説明会を持っていただきたいというふうに要望をしておきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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