平成11年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 西口知事におかれましては、体調を回復され、「二十世紀から二十一世紀への歴史的な転換期にあって、県政の極めて重要な時期に、和歌山の新時代創造に向けてその責任を果たしてまいることが私に与えられた使命」とされ、「来る新しい世紀が和歌山県の時代となりますよう、私自身生まれ変わったつもりで、まさに身命を賭して県勢発展のために全力を尽くす覚悟であります」と、一身をなげうって決意も新たに知事選再選出馬を決断されたことに、心から敬意を表するものであります。
 さて、先月の八月十七日、トルコ北西部を襲った大地震で、不幸にも一万五千三百三人の方々がお亡くなりになり、二万三千九百五十四人の人が負傷し、六十万人が家を失った上、現在、雨季に入り、被災者は困難を強いられております。また、一昨日の九月十三日にもマグニチュード五・八の地震があり、七人の方が亡くなられたそうであります。トルコ地震で亡くなられた方々と被災者の皆様に心からご冥福とお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を念願するものであります。本県では、いち早く義援金をトルコ共和国に贈られました。私は、公明党和歌山県本部の代表の一人として九月十日、東京のトルコ大使館を訪れ、トルコ大地震の被災者を救援する公明党と市民の会が街頭で募った義援金をヤマン・バシュクット駐日特命全権大使に手渡してまいりました。バシュクット大使は、「九月八日のくしもと大橋の竣工式で串本町を訪れたところだ」と、私たちを歓迎してくださり、一八九〇年(明治二十三年)九月にトルコ国軍艦が暴風雨で串本町の樫野崎沖で沈没した際、串本町の地元住民が献身的な救助活動を行った歴史を振り返りながら、「私たちは、百九年前の恩を忘れない。まして、今回の地震に対する支援を忘れることはないでしょう。和歌山とトルコとは兄弟のように感じております。皆さんの力添えを受けて必ず復旧する所存だ」と力強く語っておられました。私たちの募金活動は、串本町からトルコを支援する輪が全県に広がってまいりました。和歌山県民のトルコに対する思いの強さを改めて感じた次第であります。
 それでは最初に、県立医科大学跡地利用について質問をさせていただきます。
 昭和六十三年から進めてこられた和歌山県立医科大学及び附属病院の紀三井寺への移転整備事業は、平成十年七月の事務局移転と同年九月の大学機能移転を経て、本年五月に附属病院とその他の機能移転をもって完了いたしました。この県立医科大学及び附属病院の紀三井寺への移転によって生ずる跡地は、県都和歌山市の中心部に位置し、商業業務の集積地に隣接するとともに、和歌山城や県立近代美術館などの歴史的、文化的施設にも近接する一万七千六十五平米に及ぶ公有地であることから、その有効利用が県民、なかんずく和歌山市民の大きな注目を集めているところであります。
 こうした背景のもと、和歌山県立医科大学跡地利用懇話会が設置され、跡地に導入すべき機能及び事業手法等について議論を重ねられました。取りまとめられた内容によると、跡地利用の基本方針として、魅力ある都市づくりと中心市街地の活性化、都市機能の補完と強化の二点が議論され、跡地の活用に当たっては、宿泊、国際会議開催、地域文化支援、集客、交通拠点機能の五つの個別機能が提言されております。また提言では、事業実施に当たっては、「公共と民間の連携を図り、民間活力を最大限に活用できる手法を検討することが望ましい」としています。現在、県当局において、これらの提言をもとにして医大跡地利用計画を策定中であります。
 一方、和歌山市では、近接する旧和歌山西署跡地の利用計画の検討がなされているところであります。また、医大跡地に隣接する伏虎中学校は、少子化の影響で一学年は三組、城北小学校、本町小学校においては、それぞれ一学年で一組であります。したがって、和歌山市の旧西署跡地利用計画や教育施設の配置も視野に入れた取り組みが必要であり、跡地利用計画の策定に当たっては、県市協調による取り組みが重要であると考えます。
 事業の実施手法に関しては、提言で「公共と民間の連携を図り、民間活力を最大限に活用できる手法を検討することが望ましい」としているように、本県の財政状況が厳しい折から、民間活力を最大限に活用できる手法、すなわち民間資金を社会資本整備に活用する手法のプライベート・ファイナンス・イニシアチブ(PFI)による新たな資金調達の導入も検討すべきだと考えます。
 神奈川県は、二〇〇三年度完成予定の小田原合同庁舎と二〇〇三年度に予定する県近代美術館の二つの県施設をリース方式で建設すると伝えられています。この計画中の二つの施設が、最初に一九九二年にイギリスで導入されているPFIと最も類似した形態と言われています。用地は県有地を確保し、県は地質調査と施設仕様を決定するまでの設計を担当する、これを民間業者に提示して建物を建設する。県は三十年間程度のリース契約を結び、県の施設として使うことになっています。公共的な施設を民間の資金を使い、民間主導で整備する。資金回収は建設した施設の使用料金やサービス料から行うことになるため、施設の収益性や建設、運営の効率化などが大いに期待できるわけであります。
 現在、旧医大跡地周辺の地元商店街では、医大移転とともに人通りがめっきり少なくなり、お客さんの数が減って売り上げが減少し、医大移転の影響が大きく出てきております。特に、飲食業におきましては二割から三割、ひどいところになりますと四割の売り上げの減少であります。したがって、医大移転の影響を受けております地元自治会や和歌山市の意見を十分尊重するとともに、いつまでも医大跡地をゴーストタウンにすることなく、県都にふさわしい中心市街地の核となり、にぎわいと地域の活性化を図るための医大跡地利用計画を一日も早く策定し、事業化を図ることが強く望まれているところであります。
 以上のことから、知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
 第一点は、医大跡地利用の方針と、いつまでに医大跡地利用計画を策定するのか、事業化の時期とあわせてお答えください。
 第二点は、九月──今議会でございますが──補正予算で、旧県立医大の建物を解体撤去するための設計費用として三千三百七十八万八千円が計上されておりますが、解体撤去工事のスケジュールと建設廃材の最終処分場は確保できるのかどうか。また、比較的新しい旧医大別館病棟については特別養護老人ホームとか老健施設などへの活用も考えられるが、別館病棟の活用について何か妙案があるのかどうか、お聞かせください。
 第三点は、伏虎中学校や城北小学校、本町小学校などの教育施設の配置や和歌山市の旧西署跡地利用計画等との整合性を図るためにも、医大跡地利用計画策定に当たっては県市協調による取り組みが重要であると考えますが、この点いかが考えるのか。
 第四点は、事業の実施手法については、県の財政状況が厳しい折から、民間活力を最大限に活用できる手法、すなわち民間資金を社会資本整備に活用する手法のPFIによる新たな資金調達の導入も検討すべきだと考えるが、お考えをお聞かせください。
 第五点は、和歌山県立医科大学及び附属病院の紀三井寺への移転整備事業の経費を捻出するために、利用目的や用途を定めた建築協定を交わして、有利な条件で医大跡地を売却、賃貸、信託等の方法が考えられるがどうか。
 以上、五点についてお答えください。
 次に、障害者の自立と社会参加、特に盲導犬、介助犬の普及についてお尋ねいたします。
 先月の八月二十四日、盲導犬の普及を訴えながら、自転車で七月十九日からの夏休みを利用して日本一周の旅を続けていた埼玉県川口市に住む中学一年生の池内志織さんが和歌山県庁を訪れました。池内さんは、父親が徐々に視力を失う病気で失明の危機にあり、将来、父親に盲導犬が必要になるかもしれないという思いから活動を始めたそうであります。県庁に到着した池内さんは、夏の猛暑の中、多くの職員の皆さんの出迎えを受け、小西福祉保健部長に、盲導犬の普及と盲導犬同伴で入れる飲食店や宿泊施設などがふえるよう啓発を求めました。そして、職員の皆さんの激励を受けながら、再び自転車に乗り、次の訪問先の奈良県へ向けて出発いたしました。池内さん、そして出迎えをされた県職員の皆様、大変にご苦労でした。池内さんの和歌山県への訪問は、全国都道府県の中で三十八番目でありました。本県での職員の皆さんの出迎えが他府県と比較して一番多かったそうであります。本県では障害者などへの人権啓発が進んでいる結果ではないかと、意を強くした次第であります。
 ここで、盲導犬の歴史について少し述べさせていただきます。
 日本で最初に盲導犬の訓練、普及に取り組んだのは、財団法人アイメイト協会の創立者塩屋賢一理事長でありました。経済成長に向かう社会の裏側で、塩屋理事長は昭和二十三年から盲導犬の育成、訓練を始めました。それは、まさに視覚障害者の権利を獲得する闘いの歴史にほかならなかったわけであります。昭和三十二年に国産第一号の盲導犬が誕生し、現在では訓練施設も八カ所にふえ、全国で活躍している盲導犬は約八百三十頭になっております。ちなみに、本県では六頭の盲導犬が働いております。和歌山市に四頭、田辺市、有田郡に各一頭であります。盲導犬を伴う社会参加には、飲食店や宿泊施設、交通機関の利用などで多くの問題がありました。犬は店内に入れない、電車に犬を乗せるのは何事だといった苦情が噴出し、盲導犬が危害を与えないことを証明するために、相手の要求に応じてわざと盲導犬のしっぽを踏ませたこともあったそうであります。それは、視覚障害者だけではなく、盲導犬にとってもつらい日々だったに違いありません。現在では、公共交通機関では盲導犬使用者証を持っていれば乗車自由となっております。また、旅館、飲食店などに対しては、昭和五十六年一月と平成元年六月に厚生省から都道府県に通達が出されました。これらの通達は、「盲導犬を伴う視覚障害者の旅館、飲食店等の利用について」というもので、盲導犬はいわゆるペット動物とは違うもので、関係方面の理解が得られるように特段の配慮をされたいという趣旨のものでありました。
 我が国では、唯一、盲導犬の文字が組み込まれている法律は道路交通法であります。盲導犬や白杖を手に歩行する視覚障害者の姿を見たら車は徐行または一時停止で安全を図ることが義務づけられているのみであります。アメリカでは、盲導犬を伴う視覚障害者の権利が法律によって保障されております。もちろん、違反した場合は罰則規定もあります。私たちの身近には、障害者だけではなく病弱な人や高齢者など、ハンディキャップを負って生活する人たちもたくさんおられます。アメリカ障害者法があらゆる差別を禁止したのと同様に、我が国でも障害者や高齢者などすべての人権保障が早く立法化されなければならないと思うものであります。こうした規定の中で、盲導犬を伴う視覚障害者や介助犬を伴う体の不自由な人の権利を盛り込むとともに、盲導犬や介助犬に関することを福祉法の法体系の中で明確に位置づけるべきだと考えます。
 最近、厚生省において、盲導犬の育成体制の整備、利用の促進、社会的理解の普及を促進することを目的として、社会福祉事業法や身体障害者福祉法の改正案を策定し、現在厚生省の中央社会福祉審議会で検討中であります。ようやく盲導犬事業が社会福祉法の法体系の中に組み入れられようとしており、大変喜ばしいことであります。
 ここで、和歌山県有田郡広川町にお住まいで、盲導犬とともに暮らしておられる林克之さんの手記「ああ感動の盲導犬物語」の一部をご紹介させていただきます。この林さんの盲導犬はベッキーという名前です。
 ベッキーが我が家にやってきて、もう一年がすぎました。あっと言う間の一年でした。ふりかえれば楽しい事ばかり。きっといやなこともあったはずなのに、いま急にはうかばないほど、本当に楽しい毎日でした。ベッキーのおかげでわが家はそれまでの十倍は幸せになりました。
 ありがとう、ベッキー、そして、これからもよろしく。
 私が視力を失ったのは、今から四年前、三十七歳の時でした。先天性緑内障で、それまでも右は〇・〇七、左はすでに義眼でした。そんな私の目は、白内障の手術のダメージにたえられなかったようです。
 楽観主義の私も、これはこたえました。一気にできないことがふえてしまったのです。
 大好きな本が読めなくなりました。大好きな家族の顔が見えなくなりました。そしてなによりも、一人で自由に出歩けなくなったことが、私の自信をうばいました。
 たくさんの友人がはげましてくれました。なによりも家族が支えてくれました。
 私はそれに応えようと、あせるばかりでした。
 そんな時、幼稚園の保護者会会長の話がまいこみました。私が失明したことをしらない人が多かったのです。当然、私はことわりました。三十分もかけて身の上話までしたというのに、前年の役員さんたちが何度も足をはこんでくれるのです。私はことわりきれずに、ひきうけてしまったのです。
 このことがうしなっていた自信を取り戻すきっかけになりました。
 「まだまだやれる。工夫さへすれば、人の役にもたてる。」
 そして、最終的な私の結論は「失った者をかぞえるのはやめよう。できることを一つでもふやそう」でした。
 点字にも挑戦しました。幼稚園の資料はたどたどしいパソコンで自分でつくりました。
 そして「盲導犬をもらおう」と決意したのです。
 しかし、それからもずいぶん迷いました。
 私は、以前盲導犬をつれていた二人の友人に聞いてみました。
 「盲導犬は便利が十あれば、不便が九やな。」
 一人はそういいました。
 「盲導犬はええぞ、もらえ、もらえ。」
 そう話す友人も、二頭目はもらっていませんでした。
 そしてなによりも、訓練に一カ月もいかなければならないことが一番の課題でした。そんな余裕は、三人の子供をかかえる我が家にはありません。
 訓練所に入る直前まで、この葛藤は続きました。
 「ベッキー、ハップアップ。」──「ハップアップ」というのは急ごうという意味です──あいからわず慎重にあるくベッキーに、私は声をかけた。
 さあ、急ごう。盲導犬が仕事できるのは約十年らしい。たいして長い時間ではない。
 ハップアップ、ベッキー。二人でどこまでいけるものか、私は確かめてみたい。
 さあいこう、ベッキー。できるだけ遠くまで、二人で歩いてみよう。
 このように、視覚障害者の林さんは、最初、盲導犬をもらうことを決意したものの随分迷い、訓練所に入る直前まで葛藤しながらも、現在、盲導犬を伴って楽しく幸せに暮らしておられる様子がうかがえます。
 私が、林さんの手記を読み一番感じたことは、盲導犬に対する正しい理解と普及への啓発が十分に行われていないのではないかということであります。また、視覚障害者が盲導犬を迎えるまでの最大の課題は、四週間以上訓練所に行って歩行指導員のもとで盲導犬とともに訓練を受けなければならないことであります。特に、視覚障害者の多くが三療と言われる鍼、灸、マッサージを仕事とされております。この職業も、近年、健眼者の進出がふえ、大変厳しい状況であり、治療院を一カ月以上も休むと患者さんは離れていってしまいます。このことが、盲導犬普及への障害の一つになっているとも言えると思います。
 一方、介助犬については、七月二十九日、近畿二府四県の民生関係部長会議が行われ、法的に全く認知されていない介助犬について、法的な位置づけや介助犬の訓練施設への支援などを国に対して近畿二府四県が共同で求めていくことが決まりました。介助犬のいない本県でも、バリアフリーの視点から盲導犬とともに介助犬を温かく受け入れる体制づくりが強く望まれているところであります。
 以上のことから、知事並びに福祉保健部長にお尋ねいたします。
 第一点は、盲導犬や介助犬の普及への取り組みと障害者が地域社会の中で自立して自由に社会参加できるような障壁のない社会を築くための方策について、知事のお考えをお聞かせください。
 第二点は、視覚障害者が盲導犬を、体の不自由な人が介助犬を同伴で入れる宿泊施設や飲食店、レストランなどがふえるような啓発活動への取り組みについて、いかがお考えか。また、施設にステッカーを張るなど受け入れ側からの啓発も考えてはどうか。
 第三点は、道路交通法では、盲導犬の定義の中で、ハーネス(胴輪)をつけない犬は盲導犬と認められず、保護の対象にならないとしています。盲導犬は、ハーネスをつけていれば公共交通機関への同乗はもちろん、ホテル、旅館での宿泊、レストランへの入場も自由とされております。ハーネスは、視覚障害者の安全という責任を担っている盲導犬の必着品でもあります。盲導犬のハーネスを給付の対象にすることについてご所見を承りたいと思います。
 第四点は、盲導犬の普及のために、条件つきでも視覚障害者が在宅での訓練ができないものか。また、視覚障害者が訓練所で盲導犬とともに一カ月以上訓練を受けるための支援や、盲導犬の狂犬病などの予防接種の費用を助成することについてご所見を伺いたいと思います。
 以上、四点についてお答えください。
 最後に、都市計画道路の整備促進についてお尋ねいたします。
 本年六月議会におきまして、和歌山市内の交通対策、都市計画道路の整備促進について、御坊市選出の中村裕一議員、和歌山市選出の橋本進議員の二人の先輩議員から質問がございました。中村裕一議員は、御坊から海南インターまで車で二十分、海南インターから県庁まで三、四十分かかる、和歌山市内の道路の整備がおくれている、県都の発展なくして県全体の発展はないと思う、その政策の一つが市内自動車専用道路である、県としてどのように考えているのかと質問されました。土木部長は、「地域高規格道路の和歌山環状道路につきましても、今年度から建設省と県、市が協力して、交通需要及び交通体系から見た環状道路の機能及び経済効果等についての調査を進めてまいります」と答弁されました。
 橋本進議員は、和歌山市内の都市計画道路の整備促進について、基盤整備については、湯浅御坊道路の開通や国道三百十一号の全線改良により県内二時間行動圏の確立に向け前進するとともに、紀伊半島一周の高速道路、京奈和自動車道、紀北東道路、紀淡連絡道路など主要自動車道路構想は着々と進展している、こうした中で難航しているのが和歌山市内の都市計画道路であるとし、事業手法の問題、用地取得の迅速化、地元協力について質問、要望されました。特に用地取得の迅速化について、用地の早期取得が都市計画道路の早期整備に直結する、県も用地の専門家を養成すべく用地主事の採用を行っているが、今後は例えば用地取得の民間委託も検討する必要があるのではないかと質問されました。土木部長は、現在のところ難しいが、用地需要が増大する時期でもあり、今後国及び府県等の動向も踏まえ、事業の促進を図る方策の一つとして検討してまいりたいと答弁されました。
 私も用地取得の民間委託を検討する必要はあると思いますが、ちょうど六月議会で、収用委員会委員七名中五名の選任を、私も初めて無記名投票させていただいたわけであります。私は、和歌山市内の県で事業化している都市計画道路で、収用委員会の裁決申請はどのくらい実施されているのか関心を持ったわけでございます。ところが、県で事業化している和歌山市内の都市計画道路では、収用委員会への裁決申請は昭和五十七年から十七年間、全く行われておりませんでした。では、昭和四十年に都市計画決定した和歌山市内における都市計画道路の整備は順調に進んでいるのか。答えは、ノーであります。用地課の皆さんのご苦労にもかかわらず、ある程度用地買収が進んでいないため収用に至らなかったとも言えると思います。
 都市計画事業以外の他の事業の場合には、建設省は、平成元年七月に「事業認定等に関する適期申請のルール化について」の通達で、用地取得率八〇%となった時期または用地幅ぐいの打設から三年後のいずれか早い時期までに収用手続に移行することを定め、遵守を図ることとしています。しかしながら、都市計画事業については都市計画法において都市計画事業の認可または承認をもって収用法の事業認定にかえるものとされ、都市計画事業の施行期間中は起業者の収用権が継続し裁決申請を行うことが可能とされており、いわゆる建設省のルール化通達の適用がないわけであります。土地収用制度の具体的な活用方策が示されていない都市計画事業についても、裁決申請手続に移行する時期等について具体的な方針を示す必要があると考えるものであります。もちろん、道路の早期整備には用地所有者の協力が不可欠であり、協議による用地買収が前提で、地権者との信頼関係が大切であることは申すまでもありません。人、物、情報を運び、円滑な都市活動を確保するための都市計画道路は、生活や経済を支える大切な基盤であり、快適で元気な和歌山をつくるための重要な役割を持っております。県内主要都市間をおおむね二時間で、また圏域各市町村間をおおむね六十分で結ぶ交通網の整備とあわせ、おくれている和歌山市内の都市計画道路の整備促進に積極的な取り組みが強く求められているところであります。
 以上のことから、知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
 第一点は、和歌山市内の都市計画道路はほとんどが昭和四十年に計画決定されました。都市計画決定から三十四年経過しているにもかかわらず、そのほとんどが全線開通しておりません。ひとえに行政の怠慢としか言いようがないと厳しく指摘する声も聞かれます。今日の車社会の中で、円滑な都市活動を確保するために都市計画道路整備促進は緊急の課題であります。和歌山市内の都市計画道路の整備促進には、財源の確保とあわせて、より積極的な取り組みが必要であると考えるが、ご見解を承りたいと思います。
 第二点は、和歌山市内の都市計画道路の進捗状況と県の都市計画道路で事業化している箇所の進捗状況をお聞かせください。また、今後の具体的な道路整備計画について、いかがお考えか。
 第三点は、大幅におくれている和歌山市内の都市計画道路の整備を促進するためには、その財源を確保し、用地交渉を積極的に進めるべきであります。また、一定の事業単位ごとに裁決申請最長期間を設定することや裁決申請手続に移行する時期など、都市計画事業にかかわる土地収用制度の具体的な方策等を示し、適切な時期に裁決申請手続に移行できる土地収用制度の活用を視野に入れた対応を検討すべきだと考えますが、ご見解を承りたいと思います。
 第四点は、地権者との用地交渉をスムーズに行い、用地を早期に取得するためには、土地買収、物件移転補償事務の人員の配置を含む組織、体制の強化を図るべきであると考えるが、この点いかがお考えか。
 第五点は、公共事業の用地取得に時間がかかる一因となっている地籍調査の進捗状況と今後の取り組みについて、民間委託も検討する必要があるのではないか、伺いたい。
 以上五点について、明快なご答弁を求め、私の第一問といたします。よろしくお願いします。
○議長(下川俊樹君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 江上議員のご質問にお答えいたします。
 最初に、私に対しまして温かいお言葉ありがとうございました。
 医大跡地の利用に係る基本的な方針と利用計画の策定、並びに事業化の時期についてのご質問でございます。
 医大跡地の利用計画につきましては、立地条件がよいという関係もございまして、中心市街地の活性化や居住環境の向上など元気で魅力ある町づくりにつながる施設整備を行うこと、また民間活力の導入を図ることなどを基本的な方針として検討を進めてきたところでございます。
 その結果、具体的には、高い集客力を持つ商業施設、二つ目には都市型ホテル、三つ目には駐車場施設等を民間事業者が事業主体となって整備するという、県としての素案を取りまとめたところでございます。今後、この素案をもとにいたしまして、関係機関、関係団体等との具体的な協議を進めまして、撤去事業が完了次第、速やかに事業着手できるよう、できるだけ早く県の最終的な方針を決めたいと考えてございます。
 私としては、事業をできるだけ早期に実施できるよう言っているところでありますけれども、具体的な設計、撤去作業等にかなりの時間がかかるということを事務当局からは聞いてございます。私自身も、大変残念に思っているところです。
 次に、障害者の自立と社会参加についてでございます。
 ノーマライゼーションの理念に基づきまして、県では紀の国障害者プラン実施計画によりまして障害者施策の総合的な展開を図っているところでございます。また、福祉のまちづくり条例に基づき、すべての人がみずからの意思で自由に行動し、主体的に社会参加ができ、ともに地域社会で快適に暮らせる福祉の町づくりを目指しまして、県有施設のバリアフリー化を初め、啓発面までさまざまな事業を実施しているところでございます。私が就任いたしてからも、県庁の本館にエレベーターをつけさせていただきました。
 盲導犬の普及につきましては、本県では昭和五十四年度から給付事業を実施しておりまして、現在六頭が活躍しておりますけれども、今後とも各種メディアを活用いたしまして周知徹底を図ってまいりたと存じております。
 なお、障害者の日常生活を助けるための介助犬につきましては、お話にございましたように、法的な位置づけ等が未整備でございますので、国に対して要望を続けてまいりたいと考えてございます。
 それから、最も残念なことでございますけれども、お話にございました都市計画道路の整備でございます。
 都市計画道路というのは、都市内の円滑な自動車交通を確保し、さらに上下水道、電気、電話のライフラインが収容され、あるいは防災される空間として大変大事な機能を有しており、今後とも積極的に整備を進めていく必要があるということは、私も十分承知をいたしてございます。
 まことに残念ながら、市街地の人家連檐区域などもございまして交渉が難航するということもございます。収用法をかけようとしたら話がついたという例もあるわけでございますけれども、成果はまだまだ十分とは言えませんので、和歌山市内の都市計画道路につきましては、和歌山市や建設省と連携をとりながら、また都市局の事業だけでなくて道路局の事業とあわせ財源確保ができるように努めてまいらなければならないと考えてございます。また、事業の重点化を図るとともに、用地取得を円滑に進めるためには、体制の充実あるいは土地収用法を活用し、都市計画道路の整備促進に努めてまいりたいと考えてございます。体制の充実についても、既に実施した部分もございますけれども、詳細については土木部長から答弁をいたします。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県立医科大学跡地利用に関するご質問の中で、解体撤去工事のスケジュールと建設廃材の最終処分場の確保、別館病棟の活用についてご答弁を申し上げます。
 県立医科大学解体撤去のスケジュールについては、今議会に設計委託の経費をお願いしておりまして、今年度で設計業務を進めるとともに、地元及び関係機関と協議を行い、意見や要望を踏まえた上で、平成十三年度当初予算に解体工事費を計上できるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に建設廃材の最終処分場の件でございますが、解体に伴って発生する廃棄物の種類やその量を的確に把握し、その処分についても可能な限り再利用を図り、減量化に努める必要がございます。このことから、解体設計の中で再利用、減量化できるものや最終処分場の確保等も含め総合的な対策を検討し、適正に実施できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 また別館病棟の利用につきましては、昭和五十九年に建築され、築後十五年ということもあり、公共的な利用を基本として、今後再利用の方向で、さまざまな面から検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長安居 要君。
  〔安居 要君、登壇〕
○企画部長(安居 要君) 県立医科大学の跡地利用の県市協調による取り組みについてお答え申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、医大跡地の利用につきましては、和歌山市との協調、協力が不可欠であると考えております。このため、これまで和歌山市との協議検討を続けてまいりましたが、本年六月に和歌山市から昨年度の「医大跡地利用懇話会でまとめられた五つの個別機能は、本市としても望ましい機能である」との意見をいただいております。また、伏虎中学校敷地等との一体的な土地利用を行うべきといったご意見につきましては、現在のところ和歌山市の基本的な方針が示されておらず、具体的にはなおかなりの時間を要するものと見込まれます。このため、早期の事業化を図るためには一体的な利用計画の策定は困難であると考えてございます。
 次に、プライベート・ファイナンス・イニシアチブいわゆるPFI方式による資金調達の導入についてでございますが、県といたしましては、民間のノウハウ、資金力等を活用するため、医大跡地の利用計画の事業化につきましては、民間活力の導入により進めたいと考えております。
 具体的に申し上げますと、事業コンペ方式により事業主体となる民間事業者を選定することが望ましいのではないかと考えているところでございます。議員ご指摘のPFI方式につきましては、庁内研究会を立ち上げまして、同方式の導入に係る問題点の整理、具体的な公共施設の整備事業への導入可能性などについての研究を進めているところでございます。
 ただ、医大跡地につきましては、公共施設の整備についても総合的に検討を行ってまいりましたが、敷地面積などの条件面で具体化が難しいこと、面積的に充足できても具体化に長時間を要すること、また和歌山市から公共施設についての具体的な要望がなかったことなどから、素案には盛り込まなかったところでございます。このため、公共施設の整備を前提とするPFI方式につきましては、導入できない内容となっております。
 次に、医大跡地の売却、賃貸、信託での利用についてでございます。
 土地の提供方法についてのご質問でございますが、県といたしましては、事業コンペの実施を行う場合には、一定の条件のもとに、売却、賃貸、信託のいずれの土地使用方法も認める方向で考えているところでございます。また土地の価格につきましては、路線価や土地鑑定評価などに基づき、民間事業として事業化ができる範囲での適正な価格を設定するとともに、土地価格を公開して事業コンペを行うことが望ましいと考えております。
 次に、都市計画道路の整備促進の観点で地籍調査の進捗状況でございます。
 現在、県下五十市町村のうち三十六市町村が地籍調査を実施しており、既に完了している町などと合わせ三十九市町村が着手済みであります。平成十年度末における調査済み面積は三百二十七平方キロメートルで、県下の要調査面積に対する進捗率は七・三%でございます。今後、未着手の十一市町村が早期に調査着手されるよう指導するとともに、実施中の市町村が調査区域の拡大を図るよう指導してまいりたいと考えてございます。また調査の促進を図るために、現在市町村が限られた職員で対応している一筆地調査について、民間技術者を活用した外注化制度の導入を国に要望しているところであり、その制度化を待って取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
  〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 江上議員ご質問の、障害者の自立と社会参加に関するご質問の三点にお答えをいたします。
 まず、盲導犬、介助犬を同伴して利用できる施設やお店がふえるための啓発についてでございますが、盲導犬を伴う障害者の宿泊施設、飲食店等の利用につきましては、以前より関係部局を通じ、宿泊施設、飲食店等に対し、同伴できるよう協力を求めてきたところであります。しかしながら、まだまだ十分理解が得られていない部分もありますので、盲導犬が利用できる施設である旨のステッカーの表示を含め、宿泊施設、飲食店等にさらなる協力を求めてまいります。
 また、議員のご質問にありましたように、埼玉県の中学一年生、池内志織さんが盲導犬の全国普及キャンペーンで本県を訪れた模様につきましては、テレビ、新聞等の報道関係機関に大きく取り上げていただきました。さらに県では、普及啓発のため八月二十八日、二十九日、ビッグホエールを中心に開催した福祉のまちづくりフェスタ99におきましても、盲導犬の理解を深めるための体験コーナーやステージを設けました。実は、私も盲導犬による歩行体験をしましたが、実際に体験すると日常生活のパートナーとして一体感を感じたところでございます。今後とも、盲導犬に対する理解を深めていただくよう、さまざまな機会を利用して啓発に努めてまいりますとともに、介助犬の受け入れ体制等についても研究してまいります。
 次に、盲導犬のハーネスを給付の対象にとのことについてでございますが、議員のご質問のとおり、ハーネスをつけない犬は盲導犬と認められませんので、ハーネスをつけて盲導犬を給付してございます。なお、ハーネスが古くなった場合等の更新につきましては、現在給付対象となっておりませんが、今後、補装具として認められるよう国へ要望してまいりたいと存じます。
 最後に、在宅での訓練と盲導犬の予防接種費用の助成をとのことについてでございますが、自宅で盲導犬との訓練ができるということは、盲導犬の活用を希望している方々にとって大変便利であると考えられます。しかし、十分な訓練効果が得られるかどうかなどの課題もございますので、今後関係機関と十分検討してまいりたいと存じます。
 また、訓練を受けるための支援や狂犬病等予防接種の費用の助成につきましては、国や関係機関とも十分協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 都市計画道路の整備促進のご質問のうち、まず二点目の和歌山市内の都市計画道路の進捗状況と今後の具体的な道路整備計画についてのご質問にお答えいたします。
 和歌山市内の都市計画道路網は、まず戦災復興土地区画整理事業により、和歌山城を中心とする市街地の整備がされ、その後、国体道路、本町和歌浦線及び建設省による和歌山バイパス等の整備により、平成九年度末現在、和歌山市内の都市計画道路四十路線、約百八十九キロメートルの整備率は約四八%であります。ちなみに、県平均は五三%、全国平均は五九%となっております。
 また、現在県において事業中の主な箇所の進捗率ですが、平成十年度末現在で、西脇山口線の坂田・磯ノ浦工区が約八〇%、同平井工区が約九五%、湊神前線東工区が約九〇%、同中工区、西工区合わせて約三〇%、南港山東線が約七〇%となっております。このうち、西脇山口線平井工区の一部区間約六百メートルを来年春ごろに供用する予定であり、またその他の路線も相当に進捗していることから、早期に供用するよう努力しているところであります。今後、さらに市駅小倉線、南港山東線、西脇山口線、松島本渡線等の未着手区間についても重点的に整備を図ってまいりたいと考えております。
 次に、三点目の土地収用法の活用についてでありますが、用地取得はあくまで任意交渉が原則と考えており、努力しておりますが、任意交渉による取得の見込みがない場合、供用時期を考慮して適切な時期に収用裁決申請を行うことにしてまいりたいと考えております。
 具体的には、都市計画法の趣旨にのっとり、また地権者間の公平性の確保の観点から、収用裁決申請の書類作成の開始時期を用地取得率がおおむね八〇%程度を目安とする方向で検討してまいりたいと考えております。また、裁決申請をするかどうかにつきましては、交渉経緯、交渉内容などに基づき判断することになりますので、より一層の用地交渉の充実に努めてまいります。
 次に、四点目の土地買収、物件移転補償事務の人員配置を含む組織、体制の強化についてでありますが、都市計画道路の用地取得は住家、商店等が連檐した場所がほとんどであり、地権者の生活再建措置、とりわけ希望する移転先の確保等に相当な時間を要するなど、大変厳しいのが実情でございます。
 このため、今年度は海草建設部に熟練した三名の課長級職員を路線ごとに配置し、集中して用地交渉が行えるよう人員の配置を行ったところです。また、事業の促進を図るため、一部路線について用地取得を県土地開発公社に委託しております。今後も、より円滑な用地取得を図るための人員配置及び体制の充実に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま知事並びに関係部長からご答弁をいただきましたので、再質問させていただきます。
 最初に、県立医科大学跡地利用の議論をさせていただいたのでございますが、一昨日から新聞報道等のマスコミで、ちょうど当時の医大で起きた事案で医科大学のカルテのフロッピーが盗難に遭った、ホームページにアクセスされているという、大変ゆゆしきことでございます。「新しい酒は新しい皮袋に盛れ」ということわざがございますように、この県立医科大学が県民の期待にこたえていただきたい。また、全国的にも立派な建物、施設でございますし、医療行政の柱となる機関でもございますが、問題は中身なんです。今、盗難届も出されておりますし捜査当局の手にゆだねられているわけでございますが、この不祥事を乗り越えていただいて、県民の期待、また医療行政に対する信頼を回復していただきたい、取り戻していただきたい、このように要望させていただきます。
 それから、先ほど知事の方から、医科大学の跡地利用の方針につきまして都市型ホテルをということでございました。事業コンペ方式というふうに部長から答弁をいただきましたが、都市型ホテルはたくさんございますので、私は恐らくこれは懇話会報告書にございます国際会議開催機能を持った都市型ホテルと、このように理解をしたいと思います。そのとおりだと思います。
 それから、旧医大の別館病棟の活用ですけれども、「公共的な利用を基本として、今後再利用の方向でさまざまな面から検討してまいりたい」と。検討の段階はもう過ぎているのではないか。最近、その利用計画が決まりましたけれども、この医大移転は昭和六十三年から計画が進められているわけですね。そして、昭和五十九年に別館病棟ができました。三十億円のお金がかかっています。現在、十五年経過しております。鉄筋、鉄骨ですと五十年の耐用年数がありますから、あと三十五年あるわけですよ。使えるものをもっとなぜ早い段階から検討しなかったのか。もう今の段階ですと、しっかりと関係機関、また関係方面へ利用について打診をし、かつ取り組んでいきますと。「検討」という言葉は、余りにも県民、市民を無視したことじゃないかなと思います。
 一問でも申し上げましたように、医大跡地周辺の商店街、今、本当に大変な状況に置かれております。医大があるときには医大の利便に供してきたわけです。そして、その地域が社会的な貢献を医大に果たしてきたわけです。もう移転しました、計画はゆっくりつくります、これではこの貢献に対してこたえることができないんではないか、私はこのように思います。
 したがって、一日も早くしっかりした医大の跡地利用方針を決めていただいて、そして事業化に入っていただき、また別館病棟についても利用できるように汗をかいていただきたい、このように要望させていただきます。
 それから、障害者の自立と参加の関連で盲導犬の問題です。
 私は、盲導犬を持っておられる方と何回かお話をする機会がございました。そのときにおっしゃっていたことは、私たちは少数派なんですと。実際、和歌山県に六頭しかいません。少数派ですから、余り強いことを言えないんですと、こうおっしゃっていました。
 私、ある本を読んだことを思い出しました。それは「しっぽのはえたパートナー」、星野有史さんという方で、福祉の分野で、「援助する者と受ける者は同じ立場であるはずなのに、現実には優位な立場で「やってあげる」とか「させる」といった相手の意志を確認しないで上から下への関係で押し付ける障害者不在の援助がはびこっている。これでは障害者は常に何かしてもらうだけの存在で終わってしまう。援助を受ける側の意志にかなった行為こそが、ほんとうの援助といえるのではないだろうか」と、このように書かれているんです。やはり、利用される側、援助を受ける側からもいろんな要望、意見を聞いていただきたいと、このように思います。
 和歌山県の六頭は日本ライトハウスの盲導犬でございます。盲導犬の訓練所は八カ所ございまして、アイメイト協会、そして関西では関西盲導犬協会があるわけでございますが、そういった盲導犬も利用できるようにしていただきたいと思います。法的には、盲導犬は物であります。物も、できのいい悪いがございます。車と一緒で、メーカーによって特徴もございます。したがって、視覚障害者からの選択の自由も与えていただきたい、このことを要望させていただきます。
 それからもう一つ、今、知事から盲導犬の普及に取り組んでいただけるということで、大変ありがたく思っておりますが、受け入れ側の体制についても取り組んでいただきたいと思います。私は、何件か施設、飲食店等をお訪ねしたんです。そうしたら、私はいいけれどもお客さんが嫌がる、お客さんで嫌いな人がいるんだという言葉が返ってきました。また、ある飲食店の方に「盲導犬が来たらどうしますか」と聞いたら、「私、逃げます」と言うんです。「何で逃げるんですか」と聞いたら、「どうもうな犬が来るから逃げる」と言うんです。どうもうじゃなくて盲導なのですが、こんな盲導犬に対して笑い話にもならないような意識なんです。したがって、受け入れ側だけにお願いするのではなくて、県民全体に対しての啓発が大変重要であると思います。この点も強く要望させていただきます。
 最後に、平成元年に都市計画事業のルール化通達がございましたけれども、これが都市計画事業には適用されない。しかし、きょう、土木部長からすばらしいご答弁をいただきました。八〇%を目安に検討していくと。これは、大変画期的なことだと思います。都市計画事業で八〇%というのはなかなか難しいことなんです。これは、地域住民と密着しております。事業そのものの規模が大きいし、そしてまた必要が高い。公共性が高い。しかし、実際に用地交渉に入るというのは大変難しい。用地課の皆さんは大変ご苦労されていると思います。
 したがって、今八〇%とおっしゃっていただいたことを前向きにとらえて、全国の模範となるような用地交渉の裁決申請の一つのルールを本県としてつくっていただきたいと、このように強く要望させていただきます。すべて要望でございます。どうぞ、よろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十一分休憩
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