平成11年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第百三号から議案第百十七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百三号から議案第百十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十九番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。
 九月議会の第一日目、初日のトップバッターとして質問させていただく機会をつくっていただきまして、まことに感謝を申し上げます。
 この議場も、きょうから国旗、県旗の前で質問をさせていただくということですが、私は今から八年前、一番最初にこの国旗、国歌問題について質問させていただきました。そういうことで、大きな感激とそしてまた感慨深いものを今思い出すものであります。そういうことで、この感激と姿勢でもって今から一般質問をさせていただきます。
 まず、西口知事の次期知事選への出馬に関して質問をさせていただきます。
 あなたは、去る六月議会におきまして、宗正彦議員から第二期県政を担当する決意について問われたところ、体調の不完全を理由に態度を保留され、休養宣言という苦渋の決断をされました。走りに走ってこられた西口知事の和歌山県政に対する熱い思い、そしてその行動力は県民だれもが認めるところであり、満を持しての出馬宣言を信じて疑わなかったところであります。それだけに、突然の休養宣言は我々には大きな驚きでありましたが、出馬を保留せざるを得なかった知事の心中を察するに余りあり、「真の心」を信条とする西口知事のあくまで真摯な態度に心を打たれたものであります。しかし、四十日有余の後、八月二日、元気に公務復帰され、八月九日には我々全員協議会の場で、二十一世紀へのかけ橋となって和歌山県勢発展のために役立ちたく、全身全霊力の限り頑張る覚悟と、力強く出馬を宣言され、議員各位からは「頑張れ」という多くの激励の声がかけられました。その後、急速に選挙態勢を整えられ、八月二十一日の事務所開きには、私を含め県内各地から各界各層の大勢の支援者が集まり、熱気あふれる中で万全のスタートを切られました。この上は、勝利への道を勇往邁進、まっしぐらに駆け上っていただくことを祈念申し上げます。
 さて、西口県政第一期の四年間を振り返ってみますと、バブル経済崩壊後の社会経済情勢が大変不安定な中、金融機関の破綻、毒物カレー事件などが発生し、県民生活の安心確保が求められたところでありましたが、危機管理体制を整えられ、迅速な対応により被害や不安感は最小限にとどめることができました。さまざまな形で県民の声を聞いてこられた西口知事の感度の高さとスピードある決断力のあらわれと存ずる次第であります。
 また、県民の期待が高い交通基盤整備では、県内二時間交通圏を目標に、湯浅御坊道路の開通を初め近畿自動車道紀勢線などの高速道路整備を進めるとともに、国道三百十一号の改良工事も完成されました。
 健康福祉面では、長年の課題でありました県立医科大学の統合移転整備を完了するとともに福祉の町づくりを推進され、産業面では、産業情報センターの設置や産業博覧会の開催、さらには果樹立国和歌山の推進など、産業各般にわたり振興されました。
 教育、文化関係では、和歌山ビッグホエールの完成、全国高校分校サミットやアジアこどもフェスティバルの開催など、心豊かな人づくりが進められるとともに、全国さらには世界に向けて和歌山県を情報発信されたところであります。とりわけ、新しい地域づくりとして、輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業により、地域の特色を生かした町づくりを進められ、また間もなく閉幕を迎える南紀熊野体験博をこれまでにないオープンエリア型の博覧会として成功に導かれるなど、その行政手腕は高く評価されるところであります。
 また、私から数度にわたり質問させていただいた地方分権につきましても、全国に先駆け振興局制度を設け、市町村へも権限移譲することで住民に身近な行政を進めてこられました。
 このように、県民の安心、安全を図る事業から、将来の夢と希望をはぐくむ事業まで、実にさまざまな事業が花開き、実を結んでまいりましたが、これからは紀淡海峡大橋などの大事業や少子高齢化、情報化など、二十一世紀の新たな課題にも敢然と取り組んでいただかなくてはなりません。さらに、最悪の状態にある雇用情勢に関しては、即効性、かつ継続性のある施策の展開が希求されているところです。時代の大転換期にあって、困難な今こそ、経験に培われた決断力とリーダーシップを遺憾なく発揮すべきときであります。だれよりも信頼されている西口知事への県民の期待はますます大きくなっていることをご認識いただき、威風堂々の西口県政を百八万県民の先頭に立って進められんことを多くの県民とともに念願するものであります。
 いよいよ選挙戦の本番が近づいてまいりましたが、西口知事にとりましては第一期県政の最後の議会でもあります。二十一世紀へのかけ橋になると言われた知事は、二十一世紀は少子化、高齢化、グローバル化、環境制約の時代であるとの認識と、県のあるべき姿と、その実現に向けた政策方針を明確にしなければなりません。この歴史的なときを迎える知事は、県の中長期的な姿を描いていることと思いますが、第二期西口県政ではどういった政策を展開され、県民に何を訴えられるのか、知事の決意のほどをお伺いいたします。
 次に、合併問題について質問をさせていただきます。
 地方分権が進む中で、今、合併問題がクローズアップされております。住民に身近な行政を、できるだけ身近な自治体に移し、地域の創意工夫による行政運営をすることが地方分権の最終的な目標であります。これを円滑に進めるためには、その行財政基盤を強化するために相当な努力が必要とされております。すなわち、地方分権の受け皿づくりであります。そのための市町村合併が今、盛んに論議されております。つい最近も、自自公の連立政権の政権構想の一つとして政策協議されているところであります。
 市町村合併の必要性については、地方分権社会の実現に欠くことのできない大きな問題であり、人口の少子高齢化の進展とその対応、国、地方における財政状況の硬直化、また現在の市町村を取り巻く大きな潮流を踏まえれば、現在の個々の市町村の行政改革の努力だけでは足りず、市町村合併による対応でしか解決することが困難であります。もはや、猶予の許されない緊急の課題となってきておるわけであります。
 そこで、国においても、自治省行政局長の私的研究会にその検討を依頼し、その報告書がことし五月二十四日に提出されております。それを受け、自治省から市町村合併のための指針が策定され、先般各都道府県に通達されておるところであります。その研究会の報告書によれば、戦後五十年以上経過し、我が国は社会全般にわたる構造改革が迫られている、基礎的地方公共団体である市町村においても、そのあり方を一斉に総点検することが必要であり、その際、市町村合併は避けることのできない緊急の課題であると結論をしております。また、都道府県においても、現在の地方行政を取り巻く状況を認識し、市町村合併をみずからの問題としてとらえ、市町村の取り組みを積極的に支援することを要請されております。そして、国の市町村合併の推進についての指針は、都道府県知事に対し、市町村合併の推進についての要綱の作成を具体的に要請してきております。市町村の合併パターンを具体的に地図に作成し、十二年──来年です──のできるだけ早い時期に作成することと期限をつけて迫ってきておるわけであります。閣議決定の地方分権推進計画の中でも、市町村合併についての県の役割が指摘されてきたところであります。また、今回の国の指針により、より明確に県の役割が示されたわけであります。県は、市町村の今後のあるべき姿について中長期的に描く必要があり、また県民に将来の見通しを踏まえた行政体制の選択の議論に対し素材を提供する責任があるわけであります。
 そこで県は、今まで──地方分権計画が出されて県にそういう問題を指摘されたときから、どのようにこの市町村合併について取り組んできたのか、また指針の中の十二年中の合併要綱作成をどのように受けとめ、今後どのように取り組むのか、お尋ねをいたします。
 次に、住金の経営改革プランについてお伺いをいたします。
 住友金属工業は、昨年の中期経営計画の二〇〇〇年計画に続き、去る九月一日に二十一世紀の事業展開力強化に向けた企業体質の構築のための経営改革プランを発表いたしました。そのような中、九月七日には鉄鋼大手六社の中間見通しが出され、住友金属工業が大幅な赤字になっております。住友金属は、昭和十七年の創業以来、地元和歌山の経済に大きな貢献を果たし、和歌山製鉄所の息遣いが和歌山県経済の浮沈にかかわってまいりました。和歌山は、住金とともに生きてきたと言っても過言ではないと思います。
 今回の経営改革プランの基本方針の中身は、和歌山製鉄所にかかわるシームレスパイプ事業の抜本的改革とニュー和歌山体制の確立がうたわれ、トップシェアのシームレスパイプ製造については、海南の小径西ミルを本年度末を目途に休止し、海南の小径東ミルと世界最新鋭の新中径ミルを持つ和歌山製鉄所に集中させ、コスト競争力を強化するため規模を縮小するというものであります。そして、今回の改革プランには、関係協力会社を初めとする企業に対してさらに大幅なコスト削減を求めるという、地域企業の死活問題にかかわる事項までもが提案されております。それは、競争原理を徹底して外注作業費、物流費の削減を図るために、関係協力会社に対し各社ごとに住金のコストダウン希望値として三〇%の低減という内容であり、その希望値からかけ離れていると判断した場合は新規会社との契約も視野に入れるとの話も聞こえてまいっております。このような余りにも厳しい条件に、関係会社からは、住金和歌山の立ち上げから今日までともに一体となって頑張ってきたのにと、一様に会社経営に不安を抱き、そしてまた現状でも四苦八苦しているにもかかわらず大幅なコストダウンを受けたと、大変困惑しているところであります。そして、今回の住金の経営改革プランの実施により住金の経営が上向き、今後安定しても、それまで企業の体力が持たない、また今後の見通しが全くないと苦悩している企業が多いということを聞いております。この改革プランの実施は、和歌山県の経済をかなり厳しい状況にするものではないかと推測いたします。
 九月十日に、知事は住友金属の小島社長に要請をされましたが、住友金属も地域企業や地域住民と相互繁栄を望んでいると確信しております。
 そこで、ニュー和歌山体制の実施に伴う県の評価はどのようなものであるか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、地元関連事業者に対するコスト削減について県はどのように受けとめているのか、商工労働部長の答弁を求めます。
 次に、ミカン対策についてお尋ねをいたします。
 昨年の十年産ミカンの生産量は九年度産に比べ三〇%程度減であり、味もよく、価格は平均二百八十六円というまずまずの価格で取引され、九年産が百三十二円というかつてない価格であったことを思うとき、ミカン農家にとっては一息ついたところでありました。ミカンの価格は、ここ数年、各年で高値安値ジグザグの値段を繰り返しているところであります。生産量の需給バランスや味のよしあし等さまざまな要素で価格は変動するものでありますが、やはり高品質の味のよいミカンが生産された年はミカンの価格が安定しているようであります。ところが、ことしは表年で着果量が多く、相当多い生産量が予測されており、梅雨の雨が非常に多く、糖度、酸度とも低く、品質が悪かった九年度産並みに推移しているようであります。このままでは、九年度産の二の舞になるように思われます。
 このような状況の中で、この五月に果樹農業振興特別措置法に基づき、温州ミカンに係る生産出荷安定指針が公表され、生産府県それぞれに生産目標が示されたところであります。このような全国的な生産調整と同時に、和歌山県独自のミカン戦略で、ことし予想されるミカンの安値対策を実施されたいと望むわけでありますが、現状と今後の対策をどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 また、昨年確認されたがんに効果のあるベータクリプトキサンチン、これは温州ミカンに含まれている成分でありますが、この大々的な宣伝活動を実施し、ミカンの救世主にすべく取り組みをと考えておりますが、今までの取り組みと今後についてお聞かせを願いたいと思います。
 最後に、教育関係について質問をさせていただきます。
 国旗、国歌の法制化後の教育委員会の取り組みについてであります。
 さきの国会で、国旗、国歌の法案が成立したところでありますが、教育委員会は、これまで国旗、国歌は国民に定着しており、学校においては学習指導要領に基づき児童生徒を指導していると主張してまいりました。今回、国旗、国歌が法制化され、国旗、国歌の位置づけが以前とは異なる状況になったことについて、まず教育委員会の見解をお尋ねいたします。
 次に、文部省調査によると、本県において今春の卒業式で、国歌は小学校で九九・三%、中学校では九八・六%、高等学校では一〇〇%斉唱したとあるが、私の知る限り、とてもその数字どおり国歌を歌っているとは思えないわけであります。教育委員会の調査結果がこれでよいのか。高等学校では、生徒はほとんど歌っていない。にもかかわらず一〇〇%歌っているということは、一体どういうことなのか。こういった調査結果、並びにこの実態を教育長はどのように認識しているのか、お尋ねしたい。また、今後どのように指導されるのか、お尋ねいたします。
 次に、普通科高校の活性化とその学区制についてお尋ねいたします。
 ここ数年来の普通科高校における入試状況を見ますと、一部の高校で大幅な欠員が生じたり、それほど多くはないにしても欠員のある学校がたくさん出ております。このことについて、私は二つの理由があると考えております。一つは、普通科高校の特色化が進んでいるというもののまだ十分でないということと、もう一つは、普通科が主体であった高等学校が理数系や英語、国際系の専門学科を持つようになったこと、さらに私立高校への進学を含めて、生徒の進路先が地元だけでなく非常に多様化してきているということであります。言いかえれば、普通科高校への進学希望者がかつてのようにすべて地元の通学区域内の普通科高校へ進学しなくなってきております。そのため、普通科高校における定員枠の設定が非常に難しくなっていると聞いております。
 そこで、普通科の特色化の推進とともに、この際、学区制についても見直す必要があるのではないかと考えるわけであります。本県の普通科高校の学区は、現行の中学区制が昭和三十三年に設定されて以来、昭和五十四年の和歌山市の南北学区の二分割等を除いて、基本的には当時の通学区域の設定が踏襲されてきております。しかし、高校進学率が九七%を超え、ほぼ全員入学に近いことと、交通事情の変化の中で現行中学区制は実態に合わない状況になっているのではないかと思います。
 そこで、教育長にお尋ねします。
 普通科高校のより一層の特色化と活性化を今後どのように進めるつもりなのか。
 また、普通科の特色と相まって、この際、学区制を全廃することが適当と考えますが、これに対する教育長の見解をお示し願いたいと思います。
 最後に、和歌山市内の小学校で起こったいじめをめぐる事件についてお尋ねいたします。
 この事件は全国的に非常に深刻な問題であると思いますので、あえて本会議で質問させていただきます。
 この事件は、小学校一年生の男子生徒がいじめに遭っていると主張する父親と、いじめがなかったとする学校側とが対立し、父親が自分の主張をインターネットのホームページに掲載したことについてであります。
 最初に、県教育委員会はこの事件の事実について、どのように把握されておるのか。
 自分の子供の顔写真を載せるとともに、校長とのやりとりの様子をビデオカメラで撮影し、インターネットの画面に流したのであります。この衝撃的な出来事は新聞等でも大々的に報道され、ホームページのアクセスは瞬く間に三十万件を超える状況であります。校長は、この事件の対応に疲れ、八月末で辞職したとのことであります。いじめたと名指しされた児童の名前や学級担任、学校長名が公開されたことについて、個人のプライバシー保護の観点からも問題があると思われるが、県教育委員会は、市教育委員会に対しどのような指導助言をなされたのか、お伺いします。
 学校長が辞職に至るまで何らかの対応ができなかったのかどうか、甚だ疑問に思うところであります。県教育委員会はどのような認識を持っていたのか、お伺いいたします。
 最後に、教育長はこの事件はなぜ起こったと考えているのか、ご見解があればお示し願いたいと思います。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員のご質問にお答えをいたします。
 まず、私に対しまして大変温かい励ましをいただき、知事選出馬に関する政策などについてご質問がございました。責任の重さに改めて身の引き締まる思いがいたしてございます。
 私は、知事に就任して以来、一貫して和歌山県に住むすべての人が、どの地域にあっても、どんな立場にあっても、住んでよかったと言えるふるさとづくりを進めることが県政究極の目標であろうと申してきたわけでございます。これは、私にとりまして不変の命題でございます。この考えのもとに、「真の心」を政治信条といたしまして、新しい時代を切り開く「挑戦の県政」を勇気を奮って進めてまいりたいと考えてございます。
 基本ビジョンには、二十一世紀の新しいふるさとづくりとして、「元気わかやま故郷(くに)づくり21」を掲げてございます。この基本ビジョンのもとに、二十一世紀の課題である少子高齢化、グローバル化、高度情報化、環境問題などに対応して、まことに抽象的な表現で恐縮でありますけれども、生き生きとした暮らしづくり、活力ある産業づくり、新時代を支える基盤づくり、潤いのある環境づくり、こころ豊かに輝くひとづくりなどを目標に設定いたしまして、二十一世紀をリードするプロジェクトの数々を展開してまいりたいと考えてございます。そのため、激動の時代に耐え得る行財政改革、自主自立のための地方分権の推進、県民の参加と他の自治体との連携の推進、この三つの手法を講じることにいたしまして、目標に向かって邁進していきたいと考えてございます。そのことを県民の皆さんに訴えてまいりたいと思います。
 幸いにも、これまでに議員所属の自由民主党を初めとする多くの政党、団体からご推薦をいただき、まことに光栄に存じておるところでございます。この上は、大多数の県民の皆さんからご賛同を賜ることによって、自信と誇りを持ってふるさと和歌山のために力の限りを尽くしてまいりたいと考えている次第でございます。
 次に、住友金属和歌山製鉄所の問題に関連してであります。
 住友金属和歌山製鉄所の動向は、長年にわたって地元経済に大きな影響を与え、その中心的な役割を果たしてきたものと考えてございます。しかしながら、私も議員がご指摘ございましたように、今回の経営改革プランの実施に際しましては、関係協力会社の中には大きな不安が広がっていると思いますし、地域経済に及ぼす影響が大変懸念されておるところでございます。
 このプランの発表を受けて、直ちに下請関連企業の経営安定などについても小島社長に申し入れを行いますとともに、九月十日には直接小島社長と面談をいたしまして、下請関連企業の経営安定への配慮、住金関連企業の進出、新たな産業分野への取り組みなどについて強く要請をしたところでございます。その結果、小島社長からは、自社努力を含めて地元企業と誠意を持って協議するとの回答をいただいたところでございます。
 ニュー和歌山体制の確立は、住友金属和歌山製鉄所が確固たる地位を築くための努力であると認識をしてございまして、今後は和歌山製鉄所の競争力強化と地元との共存共栄を基本方針として、地元経済の繁栄に貢献されることを強く期待いたしておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併についてのご質問にご答弁申し上げます。
 市町村合併を含む広域行政の推進につきましては、県においてこれまで広域行政に関する県民意識調査や市町村の行政体制のあり方についての基礎的な調査研究を行い、引き続き本年度も調査研究を行うこととしておりまして、市町村合併を含めた広域行政の推進に向けた機運の醸成に努めているところでございます。
 国におきましては、地方分権の推進に伴う行政体制の整備確立を図るため市町村の合併を一層推進するものとされているところでございまして、議員ご指摘のとおり、去る八月には市町村の合併の推進についての指針が策定され、県に対しまして、市町村が合併を検討する際に参考や目安となる要綱を策定するよう要請があったところでございます。
 もとより、市町村合併につきましては、市町村の自主的な取り組みが基本であり、地理的条件、歴史的経緯を踏まえ、地域において自主的に判断されることが重要であると考えております。しかし、少子高齢化の時代を迎えようとしている現在、地方分権の推進とも相まって、市町村合併の推進が求められる大きな潮流があることを踏まえますと、市町村の将来のあり方について検討、議論を深めていただくことは重要なことと認識いたしております。
 県といたしましては、各市町村において検討、研究していただくなど、市町村がみずから取り組みを進められる際に参考としていただくとともに、市町村合併の推進に向けた機運を醸成するため、市町村の合併パターン等を内容とする市町村の合併の推進についての要綱を平成十二年中をめどに作成すべく努力してまいりたいと考えているところでございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 住友金属工業の経営改革プランについてのうち、地元関連事業者に対するコスト削減をどのように受けとめているかについてお答えします。
 地元関連事業者に対するコスト削減についてでございますが、昨年の中期経営計画二〇〇〇年計画に続き提案されたものであり、競争原理を取り入れ、コスト競争力の強化を行うものであると聞いてございます。このプランの実施には、下請関連企業の経営など地域経済に与える影響が懸念されているところであります。
 先ほど知事からもお答えしましたように、住友金属に対し強く要請し、小島社長から地元企業との共存共栄を基本としていくとの回答をいただいております。また、九月十三日には、副知事を座長とする特定企業対策連絡協議会を開催し、和歌山製鉄所から今後の進め方などについて説明を受けるとともに、地元企業への配慮を要望したところでございます。今後は、情報収集等の活動を行いながら、当面する問題について協議、調整を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) ミカン対策の現状と今後の対策につきましてお答えいたします。
 本年産温州ミカンにつきましては、表年に当たり、開花時点において全国で百五十万トンの大豊作が予想されたことから、去る五月二十七日、果樹農業振興特別措置法に基づく生産出荷安定指針が五年ぶりに発動されたところでございます。これを受け、県といたしましては、目標生産量の達成に向け、樹上選別等による摘果の徹底を図るとともに、高品質生産のため、マルチ被覆を積極的に進めてございます。さらに、ミカン価格の安定を図る観点から、ジュース等、加工用として通常枠一万二千三百七十七トンに加え、市場価格が大きく下落した場合の緊急枠として一万二百四十七トンを加工に仕向ける経費を今議会でお願いしているところでございます。
 また、消費拡大対策につきましては、県ではこれまでも生産者団体と連携し、量販店等における県産青果物のキャンペーンやラジオCM、市場関係者との懇談会の開催なども行ってきたところでございます。さらに、昨年度は県議会UR議員連盟のご協力をいただきながら、リーフレットやポスター等を活用した街頭啓発を実施するなど、ミカンの持つ発がん抑制効果を強くPRしてまいったところでございます。
 温州ミカンは本県果樹の基幹品目であることから、本年度も引き続き積極的なPR活動を展開するとともに、健康、安全をベースとした新たな消費拡大対策に向けても生産者団体と一体となって取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に関する三点のご質問にお答えいたします。
 まず、国旗、国歌の法制化につきましては、日の丸、君が代が長年の慣行により、それぞれ国旗、国歌として国民の間に広く定着してきていることを踏まえ、二十一世紀を迎える今日、改めてこれまでの慣習を成文法としてより明確に位置づけるものであります。こうしたことから、法制化は学校教育においても国旗、国歌に対する正しい認識をさらに深める上で意義あるものと受けとめております。教育委員会といたしましては、今後とも学習指導要領にのっとり、国旗の掲揚、国歌の斉唱についても学校行事や平素の教育活動等、さまざまな機会をとらえて指導してまいります。
 また、ご指摘の国歌斉唱の状況につきましては、卒業式等の式次第に位置づけて実施しているものの、必ずしも全員が大きな声で歌えていない状況もございます。今後、入学式、卒業式を初め、日ごろの教育活動全般において指導内容や方法をより充実するよう、引き続き各学校を指導してまいる所存であります。
 次に全日制普通科の活性化についてでございますが、本県においては、これまで進路目的別コースの設置、幅広い選択科目の開設、総合学科の導入、さらには広範な学校間連携等を実施し、普通科教育の活性化を図ってまいりました。しかしながら、普通科教育の魅力づくり、特色づくりに対する県民の期待にはなお強いものがあります。そのため、生徒の学習意欲の向上や特性の伸長を図るカリキュラムづくりとともに、中高一貫教育や全日制単位制課程の設置等について、一層多面的に検討を進めていかなければならないと考えております。
 次に高等学校の通学区域についてでありますが、昭和三十三年に県下の通学区域を八地域とし、昭和五十四年に和歌山市を南北の学区に分割して以来約二十年が経過する中で、各方面から、見直しを含めさまざまなご意見をいただいております。したがいまして、議員ご指摘のように、普通科の特色づくりを一層進める中で、人口動態や交通事情の変化、学校選択に関する生徒や保護者のニーズや価値観の多様化等の観点から、今後の通学区域のあり方について早急に研究する必要があると考えております。
 こうした点を踏まえ、現在、きのくに教育協議会において通学区域のあり方についてご協議いただいているところであり、今後この協議会でのご意見等を参考にして取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後に、和歌山市内の小学校でのインターネットに係る事例につきましては、関係児童等の実名や写真、さらに学校長と保護者の話し合いの場面がそのまま映像や音声で流されるなど、まことに憂慮すべき事例であると言わざるを得ません。この件については、和歌山市教育委員会から一連の経過とともに、いじめはなかったものととらえているとの報告を受けております。県教育委員会といたしましては、今後新たな問題を生むことがないよう、また関係児童を初め全校児童の学校生活を大切にするとともに、当該保護者との間で十分な理解に達することができるよう引き続き努力することを指導しているところです。
 学校長の辞職につきましては、市教育委員会がその理由について十分把握した上で、本人の強い意向を確認し、退職願の受理に至ったとの報告を受け、辞職を承認したところでございます。
 このたびの件は、学校生活やいじめについて保護者と学校の認識の違いがある中で、保護者が一方的にインターネット上のホームページという手段を用いて社会に訴えたことに端を発するものと考えられます。今後、学校教育において、情報モラルを踏まえた情報活用能力の育成を図るとともに、一層、教師と児童生徒、学校と保護者との信頼関係を築き上げていくことが大切であると考えます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十九番吉井和視君。
○吉井和視君 一言だけ言わせていただきたいと思います。
 地方分権に基づく受け皿づくりであるところの市町村合併についてでありますが、これは我々議員にも非常にかわってくる問題であります。というのは、選挙区の問題もあります。そういうことで、知事が十二年度中にそういう要綱を地図上に示して出されることだろうと思うんですけれども、一通り我々の意見も聞いていただきたいなと要望しておきます。
 次に教育委員会ですけれども、いじめの問題。これはインターネットで隠し撮りのビデオまで流されたわけです。例の広島県の東部地方で世羅高校の校長が自殺したわけですけれども、広島県は、私の知る限りでは昭和四十五年から十三人の自殺者、それから自殺未遂者でも三人ぐらいあるわけですね。そういった状況につながりかねないような一つの問題として今提起されておるわけです。ですから、教育委員会の指導に従って頑張った校長先生がそういう簡単なことで──簡単なことと言って申しわけないんですけれども、体を張ってやっているんですから大きなバックアップをしてやっていただきたい、そういうことを要望して、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。

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