平成11年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
37番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。
議長の許可を得ましたので、早速質問に入ってまいりたいと思います。
まず初めに、今社会問題になっています雇用・失業対策についてお尋ねをしたいと思います。
長引く不況のもと、県民の暮らしはますます深刻な状態になってまいりました。平成十年一月から十二月における負債総額一千万円以上の企業倒産は、県内では百五十一件に上りました。その負債総額は約一千七百二十五億二千万円となっております。件数では過去三番目、負債総額で過去二番目の状況にあります。業態別で見てみますと、法人企業が八十九件、個人企業が六十二件、また業種別に見ますと、土木建設、不動産関連業が四十五件をトップに、小売業三十六件、製造加工業二十九件と、まさに不況型倒産と言えるのではないかと思います。全体の五八%に及んでいる状況にもございます。地域的には、和歌山市が七十件、那賀郡、田辺市で二十六件です。中でも十二月の倒産は十九件と大変多く、十二月単位では過去二十三年間でトップとなりました。衣料品販売や紀南地方の観光土産物店の倒産も、新たに二件発生している状況にあります。それゆえに消費の冷え込みをこのことで実感するものであります。
政府が実施してきた減税対策や十六兆円の緊急経済対策等の効果は、全くと言っていいほどあらわれておりません。その上、政府はこれまで消費税率のアップや医療費の患者負担増を国民に押しつけてきましたし、今度の長引く不況対策に十分こたえていないと言えるのではないでしょうか。その結果、県下の労働者の暮らしと雇用も、中小企業の経営もかつてなく深刻な状況に追い込まれ、非常事態と言っても言い過ぎではありません。不況と経営悪化を理由に、企業は人員削減等によるリストラ、首切り、賃金・残業手当の不払いなどを労働者に強要する事態も生まれ始めています。また、大企業では人員削減計画を発表し、出向・配転、早期退職等を推し進め、労働者やその家族の雇用不安を一層高めている状況にあります。
ご承知のように、総務庁の労働力調査で明らかにしているように、昨年十二月の完全失業率は四・三%で、その数は二百九十一万人にも達しています。有効求人倍率も〇・四七倍と、二人の就職希望者に対し一人の求人しかない、最悪の記録が続いてまいりました。
和歌山のハローワークに出向いてもまいりました。状況を見てみますと、極めて困難な状況にあるようです。昨年十二月分の年齢別有効求人倍率は、男性の場合、三十九歳までの求職者三千二百二十人に対して求人数は約半数、千七百四十二人になっております。女子の場合は、もっとひどい状態です。求職者三千六百八十六人に対し求人は千二百九十六人と、わずかです。四十歳から五十九歳までを見てみますと、男性の場合、求職者二千百五十七人に対し求人はわずかに四百六十人という厳しい状況にもあります。同じく女性の場合を見てみましても、求職者千七百九十六人に対し求人はわずかに四百八人です。パートタイムにおいてはいずれも女性に集中いたしておりますし、安上がりの労働力を求める傾向はこれまでと同様の状況にあります。
では、この状況が果たして私たちの周りにどんな形であらわれているのでしょうか。土木建設労働者や業者の方からは、この一年余り全く仕事が回ってこない、ことしになって一日も仕事がない、住宅ローンが払えなくなってきた、国保や税金も払えないので減免をしてほしい、子供が大学に合格したが父親の失業で授業料が払えない、何とか行かせたいがその方法はないだろうか、雇用保険の給付延長をぜひしてほしいと聞かされます。学校では給食費を払えない子供もふえてきている状況にあります。また、生活保護を申請する、あるいは受けざるを得ないというぎりぎりの状況が現在私たちのところに相次いでいます。こうした状況を一刻も放置できない現実にあるのではないでしょうか。
昨年の十一月十六日から二十一日までの五日間、和歌山県の県地評が労働相談一一〇番を行っております。五日間の相談件数は五十九件に上りました。いずれも、切実で深刻な内容の相談ばかりです。中でも、解雇、退職強要、賃金・残業手当の不払いが三十件と、全相談の五〇%を示しています。不況の影響をもろに受けている結果です。
私が申し上げたこのような実態は、まだまだごく一部だと思うわけです。このような県内の雇用・失業状況に対して、失業者の生活保障と再就職、そして職業紹介事業の強化が今ほど国と自治体の責任によって求められているときはないのではないでしょうか。就業機会の確保がどうしても急がれなければなりません。
そこでお尋ねをいたしますが、本県はこうした状況に対して独自の雇用対策をどのように進められているのでしょうか。緊急対策事業を具体化されることを求めたいと思いますが、商工労働部長のご答弁をお聞かせください。
次に、高齢者年についてお尋ねをいたします。
ことしは、国際高齢者年です。その精神は、長寿は二十世紀の偉大な成果であり、高齢者のニーズにこたえるとともに、その能力発揮のための十分な取り組みは急務であると言っています。一九九一年、高齢者のための国連原則では、高齢者の独立、参加、保護、自己実現、尊厳を実現することを目指し、各国に具体化を求めているところです。テーマは「すべての世代のための社会を目指して」となっています。しかし、政府はこれまで、高齢者年にふさわしい具体化に背を向けてきていると言わざるを得ません。老人医療制度や年金制度の改悪、保険あって介護なしと言われる介護保険制度の導入など、高齢者にとっては何とも冷たい仕打ちの状況にあります。
我が県は、全国有数の高齢化が進んでいる県でもあります。来年度予算に高齢者年を具体化する事業が組まれているかと期待をいたしましたが、ワンデイ・ボランティアという、それこそ一日限りの事業が新たに組まれているだけです。私は、これを機会に県が高齢者対策の充実を図るとか、行動計画を作成するとかの積極的な姿勢を見せていただきたかったと思うところです。
そこで、まず高齢者年に関連して、高齢者対策として充実を求めたい課題を幾つか挙げたいと思います。
国際高齢者年に関連して県行政としてのさらなる取り組みを求めたいと思います。一つは、民間団体がこれから多彩な行事を計画されることになると思いますので、県としてもそれらの取り組みを支援する姿勢に立っていただきたいと思います。
老人保健福祉計画については、予算化されていました。こうした計画策定には必ず高齢者の方が多く参加されて、その意見が十分に反映されるようにしていただきたいと思います。
また、一年後に始まる介護保険制度に関連してですが、和歌山県は県立の特別養護老人ホームを持っていない県の一つであります。いまだに千人を超える特別養護老人ホームへの入所待機者がいることはご承知のとおりでありますが、県立の特別養護老人ホームをぜひ建設することを改めて求めたいと思います。
今、県内では自治体独自で福祉バスを走らせているところがふえつつあります。高齢者の交通手段として大変喜ばれておりますが、県としてもこうした施策を応援する制度をつくっていただきたい。いかがなものでしょうか。
また、山間部では高齢者が歯の治療に行くにも大変苦労をしておられます。厚生省が提唱する八〇二〇運動を推進する上からも移動歯科診療車の増配備を進め、特に過疎地での歯科診療の機会をふやす努力をお願いしたいと思うわけですが、いかがですか。福祉保健部長の見解を求めたいと思います。
さらに、先ほどの高齢者対策とも関連をしますが、障害者対策についてお尋ねをいたします。
障害のある方のための高齢者対策は、本当に貧困と言えます。障害のある方は実際の年齢よりも老化が早く訪れることは、ご承知のことと思います。四十歳になると健常者の六十歳程度の筋力に落ちる方もおられるとのことです。また、障害は年齢とともに軽くはなりません。重くなるばかりです。和歌山市や紀北地方の重度障害のある方は、特別養護老人ホームにも、障害者ということでなかなか入所もままなりません。
私は、委員会視察の際、和歌山市の方で新宮市高田の施設に入っておられる方にお会いをしてびっくりいたしました。その方が、僕はここしか入れるところがなかったんよというふうに語られたこと、私は非常に胸を痛め、こんなに遠いところまで来なければならないのかと、改めて施設不足を感じたものです。
県下には入所の障害者更生施設が幾つかつくられておりますが、この十年間で新たに設置されたものはわずか五カ所にすぎません。これからふえていく障害のある高齢者の生活の場である入所施設の建設が急がれるところです。重度重複障害者の中高年のための入所施設や更生施設の高齢者棟などの建設を計画すること、また障害者用の特別養護老人ホームを建設することも重要となっています。県としてのお考えをお示しいただきたいと思います。
次に、障害児対策の充実についても幾つか質問をいたしたいと思います。
障害児の早期発見、早期訓練の重要性は、言うまでもありません。特に、障害があって生まれた乳児を早期に治療、訓練することは、障害児が生活力を身につける上で決定的に重要なものです。ところが、保健婦さんなどが障害のある子供を発見しても、十分な訓練が受けられる施設、そういった場所がない状況にあります。児童福祉法第二条では、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と明言しています。一人一人の子供を大切にする責任が県にはあるはずであります。
今、障害児のための通園事業が桃山町のひまわり園で行われており、遠くの町からも母親や父親が車に乗せて通ってきております。障害児のための通園事業は、今、絶対的に不足していますし、急がれなければなりません。
県の障害者プランでは、平成十五年までに県下で十一カ所をつくり上げるという目標をうたっておりますが、これでは七市七郡に一カ所さえできないことになってしまいます。県としてこの状況をどう把握し、改善を図る考えをお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。
次に、住友金属和歌山製鉄所構内での労働災害について伺うものです。
住金和歌山製鉄所は、二月八日、「安全非常事態宣言および特別安全管理強化取組の件」という指示文書を各部長や各室・工場長、各事業所責任者に出しました。私どもは、これまで一九八九の十二月、一九九一年の十二月の本会議で、住金和歌山製鉄所構内で一年間に七名もの死亡災害を出している深刻な実態を取り上げ、県としての対処を要求してきたところであります。住金の中では、人減らしのたびに一人作業がふえています。一人作業での災害は、時間になっても帰ってこないので捜しに行ったら機械に挟まれて既に死亡していた、あるいはパイプの下敷きになって死亡していたなど、労働者と家族にとってこんな悲惨なことはありません。被災しても助けを求められない、仲間を助けることもできない危険な一人作業は、早急になくさせる指導が求められるのではないでしょうか。
私たち日本共産党の住金和歌山製鉄委員会の調査だけでも、昨年十月から現在までの約四カ月で、一件の死亡災害と十二件の休業災害が起きております。このような労働災害が続発する背景は、無理な人減らしによる労働強化と一人作業がふえていること、また二年間で千六百人もの削減計画による雇用不安、不況を理由にした残業カット、下請単価の買いたたきによる減収などがあります。下請企業の労働者からは、今、半値八掛けと言われるような単価に買いたたかれて適正な人員もそろえられない、それで無理な作業になってしまう、これからもこうしたけが人はもっと出るのではないか、最近は救急車の走らない日はない、何とかしてほしいものだと、このような声を私たちのところに訴えられているのも現実であります。
さらに問題なのは、事故発生における通報義務が県の石油コンビナート等防災計画で義務づけられているところですが、消防署への即時通報違反が繰り返されているのも現実であります。
昨年十二月十八日の住金ケミカル株式会社での爆発事故では、消防署への通報が九時間おくれという、明らかな違反行為が行われました。これは読売新聞でも報道されたところであります。一方、昨年十二月二十五日、中径管工場の解体作業中に三千三百ボルトのケーブルの活線を切断してやけどを負った災害では、元請企業に対して業務停止の罰則を科しているという状況もあります。
なぜ、こうも住金で災害や事故が繰り返されるのでしょうか。これらの事例からも、労働者の命や安全、健康よりももうけ第一で人減らし合理化が最優先されていると思わざるを得ません。
住友金属は、県内で最大の事業所でもあります。働く者が安心して安全な職場で働き続けられる模範を示さなければならない企業の責任があります。県民の生命と安全を守る県の労働行政として、県民の安全対策上からも住金和歌山製鉄所構内での安全非常事態をどのように受けとめられますか。とりわけ、労働災害の件数と死亡災害、あるいは一人作業による災害件数を把握されていると思いますので、その点を明らかにされたいと思います。住友金属に対してどのような対応をされるのか、商工労働部長の答弁を求めるものです。
次に、串本から大島にかけられている橋の工事に関連して質問を申し上げます。
大島への架橋は大島の人々の長年の夢であり、一日も早い開通が待たれているものです。九七年十一月より、串本浅海漁場から苗我島に至る防波堤を道路として補強する工事と、苗我島から大島へのループ橋とアーチ橋の建設が進められてきたところです。
ご承知のように、浅海漁場で養殖されていたマダイの稚魚が昨年夏から秋にかけて大量に死ぬ事態が発生をいたしました。八月、九月、十月にかけてはイリドウイルスによるへい死が多く、十月から十一月にかけてはハクテンチュウによる被害が多発したとのことであります。死んだ稚魚は二十万匹以上、金額にすれば二億円を上回る大きな被害とのことでもあります。漁業者の皆さんは、これほどの被害は初めてというふうに、大変な状況になっています。
さて、漁業者の皆さんが大量の稚魚のへい死と県の工事との間に関連があるとして被害補償を求める声を上げられていることは、新聞紙上でも報道されたところであります。
問題となっている工事というのは、浅海漁場から苗我島への防波堤を補強するために防波堤の外海側に捨て石を埋め、防波堤の内側と外海とをつなぐ通水口の周りにU字型のコンクリートブロックを設置したものであります。ブロックは九基まで備えつけられ、既に三基については周囲への捨て石が埋められました。四基から九基までがいまだに工事中となっているところです。このうち倒壊したのが五から八までの四基であります。倒壊がわかったのは、昨年十二月二十九日に串本町の町会議員でもある藤田、北の両町議ら四名の皆さんが現地を調査いたしました。このときに八基目のブロックが倒壊しているのを発見したそうです。その後、一月三日になって四基の倒壊を確認しています。六日には、ダイバーにお願いしてその状況を写真撮影するということを行ってまいりました。
この工事は、昨年七月から水温が上昇したことで中止しておりました。漁業者の方の話によりますと、通常は通水口の周りに外海から入る潮が渦を巻くそうですが、一部に渦の巻き方が弱いところがあったということです。今考えてみると、ブロックが通水口の潮の通りを絶ったがために潮の流れが弱くなっていたのではないかと話されております。実際にマダイの稚魚が大量に死んだのは、浅海漁場の一部の方であり、しかも串本側の奥まった海面にいかだがあったところです。水温の高さだけではこの被害状況を説明できません。白点病は、虫が魚に付着しても潮の流れがあれば虫が流れてしまうと聞きました。虫が魚から落ちるかどうかは潮の流れの強さに大きく左右されるのは、だれが見ても明らかであります。
県は、工事と被害との因果関係、ブロックの倒壊との関連があるかないかを調査しているとのことですが、工事中に浅海漁場内の潮の流れをこれまた観測していない。工事の開始に際して、漁業者はどんな事態が起こるかもわからないから影響調査を求めていたとのことであります。しかし、県はその必要性を認めませんでした。事前調査さえしなかったと聞きました。昨年は例年よりも水温が高かったとのことでありますが、浅海漁場内に入る潮の流れはわからないのが実態ではないのでしょうか。この点でも県の責任が問われます。いかがですか。
県は、ブロックが倒壊していることを漁業者から通報を受けるまで知らなかったということです。中断中の工事現場を放置していたことについて、施行者として管理責任が問われるのは当然です。農林水産部長の見解をお示しください。
被害が発生してから工事と被害との因果関係の有無を立証するには、工事前の状況と工事中の観測が不可欠だと私は思います。それがない現状では、県が因果関係はないと結論づけても果たして漁業者の理解を得られるでしょうか。事前の現況調査を行っていなかった点、工事中断後ブロックの倒壊を知らされるまで放置していた責任、ブロックが倒壊していた周辺では潮の流れが弱かったのではないかとの漁業者の指摘をどのように判断されるのでしょう。また、これまで被害を受けた漁業者との直接の対話を拒否しているのは大変遺憾なことです。これらの点について県の答弁を求めます。
以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
商工労働部長上山義彦君。
〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 村岡キミ子議員にお答えします。
まず、失業者の生活保障と就業確保等に対する県独自の緊急対策についてであります。
本県の雇用・失業情勢は、有効求人倍率が平成十年三月には〇・五八倍と十年二カ月ぶりに〇・五倍台となり、十二月にはさらに低下して〇・四七倍となるなど、依然として厳しい状況が続いております。このため、国の総合経済対策を踏まえ、副知事を本部長とした和歌山県景気・雇用対策本部会議において県としての雇用対策を策定したところでございます。具体的には、経済団体、職業安定機関等から成る産業雇用情報連絡協議会を設置し、求人確保のための連携体制の強化を図るとともに、公共職業安定所において、企業訪問による求人開拓や緊急雇用開発プログラムに基づき、拡充された各種助成金制度の周知、活用促進に努め、企業の雇用維持への支援を行っております。
なお、離職者等の再就職の促進につきましては、きめ細かな職業相談・紹介、特定求職者雇用開発助成金の活用、就職面接会などを実施するとともに、この二月にはビッグホエールにおいて大規模な合同求人選考会ハローワーク就職フェア99を開催するなど、職業紹介機能を強化しております。
その効果としましては、助成金関係を例にとると、雇用調整助成金の支給対象者数は、プログラム実施前の平成十年五月の七十九人から十二月には三千七百五十八人と大幅な増加を見せており、また特定求職者雇用開発助成金については、新たに対象となった四十五歳以上五十五歳未満の方について、平成十年七月から十二月にかけて六百五十八人の就職に結びついており、一定の効果が出ているものと考えております。
一方、県内企業へのUターン就職を促進するため、毎年八月のお盆の時期に和歌山市ほか三市において人材Uターンフェアを実施しておりますが、さらに新規大学等卒業予定者に対しては、就職協定の廃止に伴い、今年度から四月にも実施したところでございます。
雇用保険受給者に対しましては、失業給付金の支給を初め、就職が困難な方など一定の要件を満たす方には給付日数を延長する個別延長給付制度の適用を行っているほか、再就職手当日数の加算制度の活用を図ることなど、受給者の生活の安定と再就職の促進に努めているところでございます。今後とも、積極的な雇用対策を推進してまいりたいと考えております。
次に、住金構内における労働災害についてのうち、安全非常事態宣言と対応についてでございます。
労働災害は、本人はもとより、家族を初め同僚や事業所にとっても非常に痛ましいことであり、労働災害のない、安全で快適な職場づくりの推進が働く人々にとって重要な課題であります。住金和歌山製鉄所が構内における重大事故の反省に立ち、安全非常事態宣言を各責任者に出し、労働災害の再発防止に重点的に取り組んでいるものと把握しております。
次に、最近の労働災害の件数と死亡災害、一人作業による災害発生件数についてであります。
住金和歌山製鉄所構内での休業以上の労働災害発生件数は、平成十年には和歌山で十一件、海南で一件、また平成十一年は和歌山で二件、海南で二件となっており、そのうち本年一月には和歌山構内で痛ましい死亡事故が発生しております。
なお、一人作業による災害発生件数についての把握は困難であります。
県といたしましても、労働基準局に対し、労働災害防止のため一層の指導強化を申し入れるとともに、企業に対しても労働災害防止のさらなる推進を要請してまいりたいと考えております。
また、県内の労働災害防止を目的に組織されている県労働災害防止会議においても、事業所、関係団体の労働安全活動の促進を要請してまいる所存であります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員にお答えを申し上げます。
まず、高齢者対策についてでございます。
本年は国際高齢者年と定められ、その目的は、高齢者の自立、参加、介護、自己実現、尊厳を促進するとともに、高齢社会の課題は子供から若者までを含めたあらゆる世代にかかわる問題であるという認識を深めていこうとするものであります。
和歌山県における取り組みといたしましては、国際高齢者年のテーマである「すべての世代のための社会」づくりに向けた啓発を行うとともに、既存事業についてもテーマに沿った展開を図ってまいります。
国際高齢者年を記念する事業といたしましては、広く県民の皆様に介護問題や高齢者への理解を深めていただくために、特別養護老人ホームでのワンデイ・ボランティアの実施や、障害福祉、児童福祉あるいはボランティア活動等の幅広い視点から福祉のまちづくり99フェスタの開催を予定しております。また、民間団体における自主的な取り組み支援につきましては、県のふるさと未来づくり事業等の補助制度を活用していただければと考えております。
老人保健福祉計画の見直しにつきましては、介護保険事業支援計画の策定とあわせて、高齢者を含め、広く一般の方々に専門部会委員にご参加をいただいております。
次に、特別養護老人ホームの整備についてでございます。
既に計画目標を超過している状況から、国の採択を得ることが難しい状況となっています。しかし、依然として相当数の入所待機者がおりますので、国に対し、所要の整備が図れるように強く働きかけております。
また、議員ご提言の県立の特別養護老人ホームにつきましては、民間からの設立要望が多いこと、介護保険制度導入を控え、民間でできるものは民間にゆだね、民間活力の導入を図る必要があることなどの理由から、県で整備する状況にはないと考えております。
次に、高齢者を対象としたいわゆる福祉バスについてであります。
コミュニティーバス等により県内一市七町村において運行されているところであります。高齢者の方々が行動範囲を広めることは非常に有意義なことでありますが、議員ご提言の新たな支援策の実施は、現状では困難と考えてございます。しかし、市町村障害者社会参加促進事業の中で、リフトつき福祉バス運行事業が市町村に対して補助されることとなっておりますので、高齢者の利用も含めて本制度の活用について市町村の理解を求めてまいりたいと考えております。
次に移動歯科検診車につきましては、県が歯科医療機関のない地域を対象に、市町村の要望を受け、県歯科医師会の協力を得ながら僻地歯科巡回診療を実施しております。
議員ご提言の高齢者の歯科診療につきましては、寝たきりの高齢者の方々のための高齢者歯科口腔保健センターの活用や歯科診療の受けにくい地域の方々を対象に歯科診療の確保を図るよう、さらに努めてまいりたいと考えてございます。
次に、障害者対策についてでございます。
高齢者のための入所施設をとのことでございますけれども、現行制度では、重度障害者のうち知的障害者に対する生活型の施設がないため更生施設として整備されておりますが、国において施設体系の検討が行われている状況でございます。
知的障害者入所更生施設につきましては、若い人から中高年まで入所待機者が多くあり、施設が不足していることは県としても認識しております。
現在、知的障害者入所更生施設は県下で十二施設七百三十人分整備されておりますが、昨年三月に策定した紀の国障害者プラン実施計画で、平成十五年度末までに定員を千三十人にふやす目標を設定しております。中高年の知的障害者のための入所施設については、平成八年に新宮市に整備されており、現在紀北地域でも計画されていると聞いております。今後とも、用地の確保など、市町村の協力を得ながら、高齢者向けの施設も含め、施設整備を推進してまいりたいと考えております。
また、特別養護老人ホームは原則として六十五歳以上の方が対象となっておりますが、六十五歳未満の方でも、限定的に初老期痴呆等に該当すれば入所できることになっております。このため、障害者専用の特別養護老人ホームの建設は現行制度では困難でありますので、議員ご指摘の実態を踏まえ、今後新しい制度の創設等を国に対して働きかけてまいります。
次に、障害児通園事業の現状と改善についてでございます。
議員ご質問のとおり、障害児の育成にとって早期治療と指導訓練を行うことは障害の軽減や基本的な生活能力の向上を図り、将来の社会参加を促進する上で極めて重要であります。障害児の療育は、可能な限り身近な地域で適正かつ専門的な療育指導が受けられることが望ましいと考えており、現在、知的障害児通園施設については、和歌山市内に二カ所、桃山町に一カ所、合わせて九十五名分が整備されております。
しかし、本県の地理的条件、人口分布や地域における対象児童の数から、法定施設を県内全域に配置することは困難であると考えております。このため、障害児の身近な療育の場として必要な生活訓練を受けることができる障害児通園事業いわゆるデイサービスが必要であると認識し、紀の国障害者プラン実施計画にも目標数値を掲げ、推進しているところでございます。
障害児通園事業の実施状況につきましては、新たに昨年十月から高野口町が事業を開始しております。また平成十一年度においても新たな事業を計画しているところであり、県も積極的に支援してまいります。今後とも障害保健福祉圏域ごとに事業実施が図られるよう、市町村の理解と協力を求めてまいります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 村岡キミ子議員ご質問の、マダイの大量死についての四点にお答え申し上げます。
大島の地域経済の活性化を図るため、大島と串本を結ぶ大島架橋の早期完成を目指し、土木部と農林水産部が事業分担して整備を進めているところでございますが、農林水産部で担当する工事は、既設の防波堤を県道及び漁港道路として利用するために捨て石投入により基礎を補強する工事と既存の通水口を確保するためブロックを据えつける工事でございます。
まず、施工に伴う事前調査の件についてでございますが、音や振動、光などについて調査しておりまして、潮の流れについては、通水口の形状を変えることなくブロックにて現状を維持することにより潮の流れを阻害しないものとして漁業者と話し合いをし、合意を得てございます。
また施工に際しては、漁業者との間で、汚濁防止膜や水温計などを設置するとともに、海水温度が二十五度に上昇した時点において工事を中断するなどの協定を結び、漁場環境に配慮し、実施しているところでございます。
次に管理責任の件についてでございますが、工事の施工に際し、細心の注意を払って実施してきたところでございます。工事中止期間中においても巡回をし、現場管理を行っておりましたが、水深が深く、ブロック破損の発見がおくれたことについては責任を認識してございます。なお、直ちに復旧工事を行って復旧したところであります。
今後、かかることのないように施工管理を徹底するとともに、あわせて建設業者への指導監督により一層努めてまいる所存でございます。
次に、潮の流れが弱かったかどうかとの漁業者からの指摘の件につきましては、潮流測定結果をもとに、その分析を専門機関に依頼しているところでございます。
漁業者との直接の対話の件につきましては、漁業者からの申し入れ以来、漁業者の代表である串本漁業協同組合長を通じ、積極的に話し合いを重ねているところでございます。今後ともさらに話し合いを重ね、その解決に努力するとともに、工事の早期完成に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただいたわけですけれども、まず住金問題です。
現実的には非常に大変な事態だと、私たちは思っています。ご存じのように、住友金属の労働者の朝の職場での通常のあいさつ言葉というのは、いつも「ご安全に」と言うのが合い言葉になっているわけです。それだけに、住友金属構内の仕事場というのは非常に大変な職場であろうと私たちは想像できるわけです。そしてまた、危険いっぱいなのだろうなと思っています。
しかし、このところ安全非常事態宣言が出されたということは、それだけに事態として看過できない状況でもあると思います。死亡災害が起こる、あるいは休業災害が発生する原因というのはさまざまあると思いますけれども、とりわけ最近、大企業では人減らし、リストラといったことが極めて急速に進められている現状の中で、一人作業がふえてきているということを労働者が訴えていますので、私はそこにメスを入れるべきじゃないかと思うわけです。
知事はこれまでずっと答弁の中で、昨日も言われましたけれども、何よりも県民の安全と幸せを守っていくんだとおっしゃっているわけですから、そういう観点に立てば、こういう死亡災害等の労働災害が頻繁に起こっている企業に対しては積極的に、もっと厳しく受けとめて対応をする必要があると思います。直接的な監督指導というのは労働基準監督署でありますけれども、労働行政の観点から考えてももっと厳しい対応が求められると私は思います。そういう点について、ぜひもっと厳しい対応で企業に対しても臨んでいただきたい。一人の命が奪われるということはどれほど重要な問題かということをしかと受けとめていただきたいと思います。これは住友金属等に対して要請をされることになりましたので、ただ単なるお願いというような要請の仕方はやめていただきたい。具体的な要請の仕方──内容がおのずと違ってくると思いますから、そういう点についても検討を加えていただいて要請をいただきたいとお願いしておきます。
それから、特養の問題です。
これは、平成十二年度まででしたか、三千床を目標としているわけですね。もう既にこれは達成をしてオーバーしているという現状の中で、国の採択が難しいというのはもちろん理解できます。しかし、県下には千名余りの方々が、入りたくても入れないという、そして一年から二年の待機が求められているという状況を見たときに、目標自体が恐らく少なかったんだろうと言わざるを得ないんです。その甘さがあったと私は思います。国自体も目標が少なかったということになると思うわけですけれども、その国の目標の枠の中でやっているのですから、また今度は見直しされるわけですから、そういう点では目標の立て方をもっと細かに、そして待機者が一日も早く入所できるような方法をとらなければいけないと思います。
それと、県立の特養ホームの建設については必要がないときっぱりと言われているわけですけれども、それでいいのかと疑いたくなります。民間頼みの施設のつくり方というのは、ある程度はいいでしょう。しかし、民間からの設立要望が多いとあなたたちはおっしゃいますが、今の入所待機者の状況を見たときにこれでいいかということです。じゃ、民間からの設立要望は現実にどれだけありますか。ベッド数はどうなりますか。それをまず答えてください。
家庭介護に頼るという基本に立っているからそういう考え方になるんだと私は思うんです。今は家庭介護の力がないという現実があるわけですから、そこのところを在宅介護で済ませるという問題ではないと私は思っています。
それから障害者についても、今、知的障害者については県立でも由良あかつき園などの更生施設があるわけですけれども、しかし、ここを高齢者の住みかとしているような現状になっていると思うんです。特別養護老人ホームみたいな形になってしまっているという実態も多くあると思うんです。だから、そういう点では、いわゆる障害者の皆さん方の施設については、せめても県立の特別養護老人ホーム的なもの、あるいはそういう更生施設といったところに高齢者棟というものを考えていくときではないかと思います。
六十歳の人が八十歳、七十歳の障害者の方の老後を不安に思うという、こういう形がたくさん出てきているわけですから、そういう点では、今どうしても中高年者をも含めた高齢者の入所施設が急がれなければならない時期に来ていると思いますので、こういう点についても、検討していくとおっしゃっていますから、ぜひとも実現をしていただきたいと思いますし、国にも積極的に申し入れをしていただきたいと思います。
さっきの一点については、ご答弁を願いたいと思います。
それから、歯科治療です。
今、食べることもお話しすることもまず歯を丈夫にすることが何よりですよということで、厚生省や日本歯科医師会では予防として、八十歳になっても自分の歯を二十本以上残して老後を元気に生きようと提唱しているところですね。歯科検診車が現実にあるということですけれども、これは県下に一台という状況ですから、全市町村を回ろうと思えば年に一回あるかないかでしょう。一台ですから。これではやっぱり不十分です。そういう点で、車の増車もしてほしい。しかもそれが治療もできるよう、車の中に整備をしていただきたいと思います。この点についてはどのようにお考えになりますか。
それから、高齢者歯科口腔保健センターがありますと胸を張って言われました。今、県下で一体何カ所できているのでしょうか。そして、寝たきりの皆さんたちがどの地域に住んでいてもこの治療を受けることができる状態に今あるのですか。このことについてもお答えください。
お医者さんたちの協力がどうしても必要でありますけれども、郡部に行けば歯科のお医者さんが非常に少ないというのが現実だと思います。そういう点では、県の行政として、巡回診療をするにしても協力を求めなければなりませんけれども、この巡回診療は各郡市の求められるところで一体何回ぐらい行われていますか。このことについてお答えをいただきたいと思います。
それから、串本の問題です。
漁業者の皆さんに聞きますと、みんな、県が言うておるのは違っているぞとおっしゃっているんです。それで、これはどっちが本当かということが問題になるわけですけれども。
事前調査の問題ですが、音や振動、光──光というのは透明度の問題なのでしょうか、私は専門家でないのでよくわかりません──これをやったというようなことをおっしゃっています。これは当然なことですけれども、しかし工事前に事前調査をやってほしい、影響調査をもっとやってほしいという申し入れに対しては、必要がないということで拒否をしてしているという状況ですね。それから水の流れについては、漁業者の皆さんと協議して、いいということになったんですよとおっしゃっていますけれども、漁業者の皆さんは決してそうではないということです。
もう一つ、ブロックが倒れたということについては、先ほど、工事が中断している間にも巡回をしていましたよ、けれども深かったのでブロックが倒れているのはわからなかったと答弁されましたね。ところが、漁業者の皆さんやその現場へ行った町会議員の皆さんたちは、船で何かの調査をしに行かれたときに、あれはおかしいな、あれは何だと言って、船の上からちゃんと目視できたと言うんですよ。深かったからと言うだけで管理者責任がないかと言えば、決してそうではないと思うんです。見えたはずです。見えなかったというのは、うそ。これは漁業者が明確に言っているわけですからね。深かったから見えなかったんだと、こういうような逃げの答弁をしてはいけません。それをちゃんと明確に認めた上で──後で見てもわかることですから。底が濁っていてどうにもならなかった、大あらしのときに行ったらわからなかったと言うのならわかりますよ。
そういう点については、県の言っていることは責任を逃れるために言っている以外にないと私は思います。この点について、もう一度お答えをいただきたいと思います。
それから、漁業者の皆さんたちと直接対話をしていただきたいということです。漁業者の皆さんに会うとこんなに話が飛んじゃって大変だから漁業組合の組合長さんにお話しするんだとおっしゃっていますけれども、しかし被害に遭われた多くの皆さんたちは、直接自分たちの今の実態や、あるいはこれからどうしてほしい、原因究明のために私たちの声も聞いてほしいということを言っていらっしゃるわけです。住民の皆さんは、そりゃ言いたいことがたくさんあります。でも、それをどこが受けとめてあげるんですか。施行者であり、そして漁業を推進させていくという立場に立っている皆さんたちがお聞きしてくださらなかったら漁業者は救われませんよ。ぜひとも漁業者の皆さんたちと直接お話をしていただきたいと思います。その点を要望しておきます。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員の再質問にお答えを申し上げます。
まず一点の、民間からの特養の要望状況でございます。
それぞれの圏域ごとにベッド数を定めておりますが、それぞれの圏域から十数カ所の要望が出てきてございます。
二点目の、歯科検診車でございます。
議員ご指摘のとおり、今、一台という状況の中で運行をしてございます。そういう中で十三市町村の方から要望されまして、それぞれのところにおいて実施をしているわけでございますが、延べ参加者は平成九年度の実績として千百二十一人ございます。この状況の中では、なおこの検診車を利用していただける回数が増加しても配備は可能かと考えているところでございますので、さらなる検診車等の増設は今のところ考えてはございません。
三点目の、歯科口腔保健センターの状況でございます。
県内で一カ所、ビッグ愛の方に現在設置をしておりますが、昨年の十二月にオープンするまで歯科医師会館の中に設置をされておりました。そういう中での利用状況については、昨年の一月は十七人でございましたが、平成十一年一月では六十一人ということで大幅に増加をしております。それから、平成九年の十二月の時点では五十一人、ビッグ愛へ移転した十二月一日からは四十七人ということで十二月の実績は少ないわけでございますけれども、この十一年以降大きく増加をしてきておると考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) ブロックの破損の発見がおくれたことにつきましては、責任を認識しております。今後、水深が深い海中工事の施工管理方法につきましては、十分検討し、再発防止に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間がまいりましたので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は三月一日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
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○議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
午前十一時四十一分散会