平成11年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第三号 平成十一年二月二十五日(木曜日)
午前十時開議
第一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
二 一般質問
出 席 議 員(四十三人)
1 番 大 沢 広太郎
2 番 木 下 善 之
3 番 小 川 武
4 番 吉 井 和 視
5 番 下 川 俊 樹
6 番 井 出 益 弘
7 番 藁 科 義 清
8 番 門 三佐博
9 番 永 井 佑 治
10 番 新 島 雄
11 番 向 井 嘉久藏
12 番 佐 田 頴 一
14 番 阪 部 菊 雄
15 番 西 本 長 弘
16 番 馬 頭 哲 弥
17 番 谷 洋 一
18 番 山 下 直 也
19 番 高 瀬 勝 助
20 番 松 本 泰 造
22 番 宇治田 栄 蔵
23 番 宗 正 彦
24 番 橋 本 進
25 番 神 出 政 巳
26 番 玉 置 公 良
27 番 上 野 哲 弘
28 番 東 山 昭 久
29 番 尾 崎 要 二
30 番 野見山 海
31 番 木 下 秀 男
32 番 町 田 亘
33 番 中 山 豊
34 番 井 谷 勲
35 番 鶴 田 至 弘
36 番 森 正 樹
37 番 村 岡 キミ子
38 番 新 田 和 弘
39 番 平 越 孝 哉
40 番 森 本 明 雄
41 番 長 坂 隆 司
42 番 冨 安 民 浩
43 番 飯 田 敬 文
46 番 大 江 康 弘
47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(四人)
13 番 和 田 正 一
21 番 堀 本 隆 男
44 番 中 村 裕 一
45 番 松 本 貞 次
説明のため出席した者
知 事 西 口 勇
副知事 山 下 茂
出納長 高 瀬 芳 彦
知事公室長 中 山 次 郎
総務部長 藤 谷 茂 樹
企画部長 中 村 協 二
生活文化部長 大 井 光
福祉保健部長 小 西 悟
商工労働部長 上 山 義 彦
農林水産部長 尾 崎 武 久
土木部長 長 沢 小太郎
企業局長 西 浦 昭 人
教育委員会委員長
安 藤 精 一
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員 中 尾 公 彦
警察本部長 樋 口 建 史
人事委員会委員長
若 林 弘 澄
代表監査委員 宮 市 武 彦
選挙管理委員会委員長職務代理者
中 村 利 男
以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 新 谷 哲 朗
次 長 前 晴 夫
議事課長 佐 竹 欣 司
議事課副課長 北垣内 敬
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主査 川 崎 良 雄
議事課主事 安 井 伸 彰
総務課長 西 野 光 彦
調査課長 湯 川 忠
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時四分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
30番野見山 海君。
〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 おはようございます。
私ごとでございますけれども、二期目の四年間、議員活動を務めてまいりました。先輩議員並びに同僚議員の皆さんのおかげでありますし、また西口知事を初め県行政の皆さん方に温かいおつき合いをしていただきましたことを心からお礼申し上げます。
それでは、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
最初に、県信の事業譲渡についてお伺いいたします。
国は懸命な施策を講じてきましたが、昨年も景気回復の兆しは一向に見えてこなかったと思います。本県では、全国に大きなショックを与えた保険金詐欺事件、毒物混入事件の発生や政界における不祥事の発覚等、県民の方々に不安を与えてその信頼を裏切る事件が相次ぐなど暗いニュースばかりが続きましただけに、ことしこそは和歌山県のイメージを変えなければなりません。ことしは、南紀熊野体験博が四月二十九日から百四十四日間にわたり紀南地域において開催されますが、私も微力ながら、成功に向け、友人、知人に南紀熊野体験博のパンフレットを郵送して一人でも多くの方に参加をいただくよう努力しているところであり、ぜひ成功させたいと思うところであります。
さて、二月五日のNHKテレビで、「町の銀行が消えた」という番組が放映されましたが、多くの方々が注目して見られたと思います。知人からも和歌山県は大丈夫かと心配する電話が入り、頑張るしかないよという話もいたしました。本県のキャッチフレーズとして「産業が元気」「人が元気」「自然と文化が元気」を目標に掲げているだけに、元気のある和歌山県を取り戻すためにも県商工信用組合の紀陽銀行への事業譲渡をスムーズに進行させなければならないと思うのであります。
昨年三月、県信が紀陽銀行に事業譲渡されるという報道がされましたが、昭和二十九年に田辺の地に誕生し、地域の皆さんに親しまれ、三千億円を超える預金量を持つ全国でも屈指の信用組合に成長した県信が消えてしまうことに、私は言いようのない寂しさを覚えました。そして、これから先、貸し出しはどうなるんだろうか、職員の再就職はどうなるか等々、さまざまな不安が頭の中を駆けめぐりました。もちろん、私だけではなく、とりわけ地元田辺市民にとっては、阪和銀行に続き二つ目の地元の金融機関を失うのでありますから、その衝撃と将来に対する不安ははかり知れないものがあります。それから一年がたち、県信の貸出先を紀陽銀行と整理回収銀行に振り分ける作業も終わったように聞いております。県民はもとより、田辺市民も県信の事業譲渡の推移を大きな関心を持って見守っています。
そこで、現在事業譲渡の進捗状況はどのようになっているか、お伺いいたします。
次に、田辺発祥の金融機関が二年もたたないうちに二つも破綻したわけですから、先日のNHKの報道にもあったように、地元の中小零細企業の資金繰りは大変厳しくなっております。紀陽銀行に債権を移行できる企業は別として、それ以外の企業は他の金融機関に移行するために相当な苦労をしているという話を至るところで耳にいたします。このような状況について県はどのように考えているのか、また県信の貸出先の紀陽銀行への移行状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
最後に、これも大変重要なことですが、県信職員の雇用対策についてであります。
従来、田辺地域では県信は有力な雇用の受け皿であったわけです。これがなくなるということは、雇用情勢が冷え込んでいるところへ追い打ちをかけるような状況になっているわけであります。県信職員は中高年者が多く、なかなか再就職先を見つけられないと聞いております。雇用開拓については、まず県信自体が汗をかかなければならないことはもちろんでありますが、現在はそういう状況ではありません。その中で職員も、職を失うという不安を毎日抱えながら事業譲渡の作業を行っていることをご理解いただき、県当局においてもできる限り努力し、県信の雇用開拓の活動を全面的に支援していただきたいと願うものであります。
そこで、職員の再就職状況は現時点でどのようになっているのか、また県はどのような対策を講じているのか、お伺いいたします。
次に、梅の生育不良についてお尋ねいたします。
現在、田辺・南部方面では梅の花が満開でございます。岩代大梅林開きが二月六日、一目百万本の南部梅林開きが二月十一日に、一目三十万本の田辺梅林開きが雪化粧の中、ことしも生育不良が心配されながらも地元石神地域住民の皆さんの温かいもてなしで開催され、観梅シーズンを迎えています。地元三県議も出席をさせていただきました。それだけに、梅の生育不良の原因究明を一日も早く願うものであります。
本県の梅、梅干しは、江戸時代、田辺藩下において重税に悩まされていた農民が、竹や梅しか育たないやせ地は免租地となることから、重税を免れる意味もあってそこに梅を栽培したことが本格的な梅栽培の始まりであります。また、田辺藩がやせ地を利用した梅の栽培を奨励し、保護政策をとったため、田辺・南部地方に広がったとも伝えられております。その後、戦後の社会経済の復興とともに果実類の需要も増加し、梅の栽培も昭和三十年以降は急速に伸び、優良品種の古城、南高の出現と、高度成長時代に入って食生活の多様化による梅の需要の伸びが原因となって、昭和三十五年ごろよりさらに栽培面積が増加したと言われております。また、昭和五十六年ごろより、自然食品、健康食品ブームによって梅干しが消費者に見直され、質・量とも日本一に、また加工面においても、梅干し、梅酒以外にジャム、梅エキス、ジュースと多方面へ活用されています。この歴史と伝統を守り続けている梅生産加工農家の生活を脅かしている梅の生育不良の原因解明を一日も早く実現し、梅関係の方々が安心して梅づくりのできるような環境を整えることが強く望まれています。
ご存じのとおり、梅の生育不良については、昭和六十年ごろより上芳養石神地域の一部の園で発症が報告されております。その後、平成二年ごろより被害が急に拡大し始め、現在もなお標高の高い山間地から平地へ、そして南部町東岩代のパイロットや秋津川パイロット地域へと広がってきております。このような状況の中で、被害の極端な農家では専業農家をあきらめて転業するなど、深刻な問題となってきております。県においても、最重要課題ととらえ、栽培面、病理面、大気環境面等、積極的に対策を講じておられることに対し高く評価するものであります。しかし、現実には被害地域の拡大といまだに幼木、成木等に発生しているだけに、生育不良が発症し始めた時期と御坊火力発電所が稼働した時期が一致することから、被害者農家は火電による排煙が原因ではないかと疑いを強く持っているところであります。梅生育不良の原因解明の対策にはUR議員連盟うめ部会としても取り組んでいますが、なお一層の取り組みをしていかなければならないと考えます。今日までの梅の問題について、知事にとりましては出身地であるだけに、梅農家の苦しみをよくご存じだと思います。
そこで、平成十一年度当初予算編成に当たり梅対策は最重要課題として位置づけられていると思いますが、知事の基本的な考えをお聞きし、以下、関係部長にお伺いいたします。
まず、県うめ対策研究会について、県の各試験研究機関等が調査研究したデータをもとに委員先生方が議論し評価するという形になっておりますが、農家と委員先生方との接点が全くなく、農家の生の声が届かないので、実際に被害を受けている農家の方々を研究会に参加させることはできないものでしょうか。
次に、ばい煙の暴露実験についてですが、御坊火力発電所から排出される低濃度のばい煙が長期的に樹体へ吸収されることによって生育不良が発生するのではないかとの疑念を農家が持っているだけに、ばい煙をそのまま暴露する対応はできないものでしょうか。
最後に、関西電力御坊第一火力発電所の操業以来の燃料に関するデータの公表はできないものか、あわせてお伺いするものであります。
次に、南紀スポーツセンターの整備についてお伺いいたします。
プロ野球の春季キャンプが二月一日から一斉に始まりました。特にことしは、高知県の高知市、安芸市、春野町に注目の三球団が集まりました。野村克也新監督のもとで、本県田辺市出身の浜中治選手に期待をかけて猛虎復活を期する阪神タイガースや注目の新人松坂大輔投手が入団した西武ライオンズ、スパイ疑惑から心機一転の福岡ダイエーホークスが月末までキャンプを張ります。人気のある監督や選手には、報道陣、見物客で大変なにぎわいを見せているのがよくテレビで放映されています。
昨年春の高知県でのプロ野球キャンプには見物客約八万二千人が集まったそうで、ことしはそれを上回る十万人以上になると関係者は見込んでいるそうであります。このプロ野球のキャンプが高知県にもたらす経済効果は昨年が約三十三億円と言われ、ことしは各チームの話題性が高いことから五十億を超える経済効果があると関係者は期待しているそうであります。長引く不況下でプロ野球のキャンプに期待する自治体は高知県ばかりではなく、人気球団の巨人など四球団を迎える宮崎県もその一つであり、一昨年の経済効果は約百七億円にも達し、昨年は長野五輪の影響もありましたが、それでも約六十億円あったと言われております。
かつては、本県においても昭和四十八年から昭和五十三年にかけて南海ホークスが田辺市でキャンプを張った歴史がありますが、わずか六年で終了しました。豊かな自然と温暖な気候に恵まれた田辺市ではありましたが、球場等の施設や受け入れ体制が十分でなかったことがその原因であろうかと考えます。つまり、温暖で自然に恵まれた和歌山県は、施設、宿舎の受け入れ体制の条件さえ整備されれば、プロ野球、Jリーグの各クラブチームなどのキャンプ地誘致の可能性は十分開けるものと考えます。
私は、プロ野球やJリーグ等のキャンプ場誘致構想を、単に野球場やサッカー場の建設という一施設の建設構想だけではなく、地域の住民や広く県内外からスポーツ愛好者が集えるスポーツの一大拠点として、田辺総合運動公園構想の一環として過去二回提起をしてまいりました。各スポーツのキャンプ場として使用可能な球場等を建設すれば、スポーツ都市田辺の知名度も高まり、地域の活性化に弾みがつきます。こうした誘致活動を突破口に、田辺総合運動公園整備構想への関心も高まり、この構想が具体化され進展するものと考えますが、その中核的な施設となるであろう南紀スポーツセンターについてお伺いいたします。
かつては一部の人だけであったスポーツは、スポーツ施策の振興の効果もあって、今や多数の県民生活の一部となっております。個人でジョギングを楽しむ人、スポーツクラブに所属してエアロビックダンスに汗を流す人、あるいは公民館活動としてバレーやニュースポーツを楽しむ人など、私たちの身の回りにも大変ふえてきております。スポーツは、病気の予防、ストレスの解消、仲間づくりなど、いろいろな意味で県民の元気のもとでもあります。したがって、今後より大きくなるであろうスポーツに対する県民のニーズにこたえ、さらなるスポーツ振興を考えたとき、スポーツ施設の充実や指導者の養成になお一層取り組む必要があると思います。また一方、近年、子供たちの体力、運動能力の低下が指摘される中、学校の週休二日制完全実施が迫り、その受け皿として多様なスポーツ教室の開催や地域のスポーツクラブ育成と、それらの指導者の養成が求められていると思います。
南紀スポーツセンターは、これまで紀南地方の中核施設としてスポーツの振興に大いに貢献し、各種大会の会場としてその場を提供してきました。しかし、設備の老朽化や駐車場の狭さなど、ハード面で時代に追いつけなくなってきており、また週休二日制に対応した各種スポーツ教室の開催など、ソフト面でも新たな発展が求められていると思います。子供たちを元気にして、県民を元気にし、ともに汗を流し、心を通じ合う和歌山にするためにも一日も早い南紀スポーツセンターの改修を求めたいと思いますが、現在の計画の進捗状況、改修のめどについて、そして内容面の充実計画についてお伺いしたいと思います。
最後に、JRきのくに線の利便性の向上についてお伺いいたします。
紀伊半島に位置する観光立県和歌山県は、過去には紀勢本線を利用して温泉の名所である勝浦温泉や白浜温泉に新婚旅行のメッカとして、また会社の慰安旅行など、行楽シーズンには団体で多くの旅行客が訪れてまいりました。蒸気機関車からディーゼル車両へ、線路の複線化に伴って電車へと移り変わり、特急列車もくろしお号からスーパーくろしお号、そしてオーシャンアロー号の新型車両導入により、多くの利用者の皆さんからゆったりとした車両であると高い評価をいただいております。しかし、JR側からすれば、スピードアップや新型車両導入をしてきたが、最近はJR利用客が年々減ってきている状況であると伺っているだけに、観光立県としてJRに要望するだけではなく、本県としてPR等の協力も十分していく必要があると思います。
さて、いよいよ紀南地域を中心に、「いやす」「みたす」「よみがえる」をテーマに南紀熊野体験博が開催されます。県においても、さまざまなPR活動が展開されています。私も成功を望む一人として、全国各地から多くの方々が訪れてくれることを期待していますが、訪れる方々の利便性を図ることが必要であろうかと思います。
そこで、過去の本会議でも多くの議員の皆さんが質問された京都、新大阪への乗り入れがほぼ実現しましたが、あと特急列車数本が残っていますので、あと一押しの努力を願うものであります。また、JRでは以前より「青春十八切符」という乗車券を発売されていますが、この乗車券は快速列車や普通列車で一日二十四時間利用できる乗車券であります。連休やゴールデンウイーク、学校の春・夏・冬休み時期には多くの利用者があると伺っております。それだけに、ことしの南紀熊野体験博に訪れる方々の中にも多くの利用者があると予想されますが、残念なことに、きのくに線の一部の普通列車にトイレがございません。阪和線などは列車運行の本数も多いので問題はないと思いますが、和歌山駅以南は本数も少なく、和歌山─田辺間と田辺─新宮間とも約一時間四十分もかかるのでありますから、ぜひともトイレつきの列車の運行が必要であると考えます。このことについては行政監察局からも指摘されたところであり、県としても強くJR側に要望するよう望むものでありますが、今日までの取り組みについてお伺いいたします。
最後に、長引く不景気の影響で、企業のリストラ、倒産等による和歌山市内への就職活動なり通勤客がふえてきております。その通勤客の強い要望であったスーパーくろしお号の自由席が二月一日より増両され、三両編成となりました。これは、県の働きかけや通勤客の署名活動、労働組合等の要望もあり、JR側の理解もあって実現できました。心から厚く御礼を申し上げまして、一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 野見山議員にお答えをいたします。
梅の生育不良に対する基本的な考え方についてでございます。
梅は本県を代表する果樹の主要品目でございまして、生育不良問題は農業の最重要課題であると考えてございます。
この問題につきましては、これまで地元の農家の方々を初め田辺梅病害虫特別対策協議会等多くの関係者のご協力をいただきながら、暖地園芸センターを中心に県の試験研究機関を挙げて取り組んできたところでございます。この間、原因究明に向けた推進指導体制の強化を図るため、日本を代表する専門家十名をメンバーとする和歌山県うめ対策研究会を組織いたしまして、大気環境を初め、栽培、土壌、病害等の各分野において、総合的な視点から指導、助言をいただいてございます。さらに、国に対しましても、かねてから梅の総合的な対策を要望してまいってきたところでございますが、その結果、暖地園芸センターが国の指定試験地として指定されまして、この四月からは主任研究官クラスが派遣される予定になってございまして、これまでの取り組みがさらに強化されるものと期待をしておるところであります。
何を申しましても、農家の不安を解消し、一日も早い原因究明と対策の確立が大変重要であると考えておりますので、今後とも議員各位を初め多くの方々のご協力をいただきながら、現地との連携をより緊密にしながら、関係機関一丸となって取り組んでまいりたい、その決意でございます。
他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県信の事業譲渡の三点についてお答えします。
まず、事業譲渡の進捗状況についてでございます。
本年五月六日に、預金及び正常資産は紀陽銀行へ、それ以外は整理回収銀行へ譲渡される予定となっており、現在、貸出先と引き受け銀行との債権譲渡契約の締結や資産の処分、関係書類の整理等、膨大な量の譲渡作業を実施しております。限られた期間内に作業を完了しなければならないため、現在、県信、紀陽銀行、預金保険機構、県などの関係機関で構成する事業譲渡推進連絡会を毎週開催し、進捗状況の把握と早期の問題解決に努めているところであります。県といたしましても、国や預金保険機構などの関係機関と連携をとりながら、事業譲渡が円滑に進むよう支援していきたいと考えてございます。
次に、貸出先中小企業の対策についてでございます。
議員ご指摘のように、不況の長期化に加え、本県では阪和銀行、県信と短期間に金融機関の破綻が続き、中小企業者の資金繰りには相当厳しいものがあると考えております。さきの阪和銀行破綻の際、県といたしましては特別資金融資制度を創設し、取引中小企業者の金融円滑化を支援したところであります。今回の県信の事業譲渡におきましても、新規融資等が受けられず事業活動に支障が生じている中小企業者に対し、県信対策特別資金融資制度を創設するとともに、不況対策特別資金の拡充や国の金融安定化特別保証制度等により取引中小企業者の資金繰り支援に取り組んでいるところでございます。
また、県信貸出先の紀陽銀行への移行状況についてでございますが、約一万八千先のうち約半数の八千五百先が紀陽銀行へ事業譲渡される予定であり、整理回収銀行へ移行されることになる残り約九千七百先のうち、一月末現在、既に約二千八百先が県信対策特別資金等を利用して紀陽銀行を初め他の金融機関に移行しております。県といたしましても、今後とも県信と取引のある中小企業者が他の金融機関へ円滑に移行できるよう努力してまいりたいと考えてございます。
次に、職員の再就職対策についてでございます。
二月十六日現在、職員数四百五十三名、うち内定者五十名、自力就職者等六十名となっており、あっせん希望者は三百四十三名となっております。紀陽銀行で約百名、整理回収銀行で約五十名、計百五十名が採用される予定であり、再就職のあっせんが必要な職員は約二百名となってございます。これらの職員に対し、県信内に設置している雇用対策委員会において、役員を中心にして企業訪問など雇用開拓活動を行っているところであります。県信みずからも雇用対策に最大限の努力を行っているところでありますが、県といたしましても、多数の失業者発生を防ぐという観点から、商工労働部内に県信雇用支援会議を設置し、情報収集や連絡調整を行うなど県信の活動を側面から支援しているところであり、引き続き県信と連携を図りながら雇用支援を行ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 野見山議員ご質問の梅の生育不良の二点についてお答えを申し上げます。
まず、被害農家の県うめ対策研究会への参加についてでございます。
県うめ対策研究会につきましては、ただいま知事も申し上げましたように、生育不良の原因究明と樹勢回復対策の確立を早急に図るため、果樹園芸を初め、植物病理、大気環境等、各分野を代表する専門家十名で構成されてございます。委員の方々には、暖地園芸センター等の試験研究機関がおのおの試験内容を検討する段階から指導をいただくとともに、その後、試験途中におきましても、現地に赴かれ、研究者に対する助言をいただいてございます。こうして得たデータをもとに研究会において議論願っているところでございまして、今後、より一層研究会の助言、指導をいただきながら懸命に取り組んでまいりたいと存じます。
なお、研究会は公開を原則としており、マスメディアを初め関係市町村、生産者代表である農協等の関係者の参加を得て実施しております。特に、現地で開催した第二回研究会では、日高、西牟婁地域の農家代表三十名の参加を得るとともに、各委員との意見交換を行っていただいたところであります。今後とも、研究会における委員の方々と農家の皆さんとの意見交換の場をできるだけ多く設けてまいりたいと考えてございます。
次に、発電所から排出されるばい煙を暴露実験できないかということでございます。
専門家の意見をお聞きしますと、発電所のばい煙を直接用いて暴露実験を行うには、ばい煙のサンプリングがばい煙の状態を維持したまま行うことが技術的に困難であると言われておりますことから、現実的な対応ではないと考えてございます。したがいまして、県では現地で暴露実験を行うに当たりまして、田辺梅病害虫特別対策協議会と話し合いを行い、大気環境の調査方法である二酸化硫黄、二酸化窒素、オゾンの複合影響試験を実施することで合意し、その実施に際しましては県うめ対策研究会の助言、指導をいただいております。
その内容でありますが、例えば二酸化硫黄の濃度につきましては、現地の平均濃度である〇・〇〇三ppmを大きく上回る〇・〇〇八から〇・〇四ppmの高い濃度で実施してございます。昨年の試験結果を踏まえ、より多くの成績を得るため、去る二月一日から暴露実験を再開いたしてございます。
一方、地元の梅生育障害対策研究会におきましても、大気環境に関する調査研究が進められており、発電所から排出されるばい煙の成分分析を初め、トレーサーガスを利用したばい煙の大気拡散実験が実施されております。こうしたことから、大気環境の影響につきましては総合的に評価できるものと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 野見山議員ご質問の梅の生育不良のうち、関電御坊火力発電所の操業以来の燃料に関するデータの公開についてのご質問にお答えいたします。
県では、関西電力株式会社との公害防止協定に基づき、発電用燃料に係る月間使用量、燃料の種類及び硫黄分について報告を受けており、これについてのデータ開示は可能でございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長中村協二君。
〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 野見山議員のJRきのくに線の利便性の向上についてお答えをいたします。
紀勢本線におけるトイレなし車両につきましては、長距離区間を利用される県民にとって切実な問題でございますので、県といたしましても、昨年三月、JR西日本和歌山支社長あての要望書を提出するなど積極的な働きかけを行ってきたところでございます。その結果、本年五月十日に予定されているダイヤ改正では改善を考えていると聞いてございます。県といたしましても、引き続き、なお一層トイレつき車両をふやすようJR西日本に対し働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 田辺総合運動公園構想との関連での南紀スポーツセンターの整備についてお答えします。
南紀スポーツセンターは昭和四十四年に設置され、一周四百メートルのグラウンド、体育館、屋外の五十メートルプール、ヨットやカッターなどができる海洋施設、さらに二百名余りを収容する宿泊施設など県内唯一の総合スポーツ施設であり、平成九年度の利用者は県内外合わせて約六万人に上っております。
県有体育施設の今後のあり方や二巡目国体を想定した中で、南紀スポーツセンターの整備は重要な課題として受けとめており、田辺市を初め近隣市町村の施設整備等も視野に入れながら検討していきたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
30番野見山 海君。
○野見山 海君 知事並びに各部長からの答弁、ありがとうございました。要望と、農林水産部長に一点お伺いしたいと思います。
最初に、県信の問題です。
県下各地域における県信は中小零細企業が多いわけでございますから、最大限努力していただきますようお願い申し上げますとともに、再就職対策についてもあわせて全力で頑張っていただきますことを、心からお願いをしておきたいと思います。
梅の生育不良対策ですが、梅農家の方々は生育不良を深刻な問題としてとらえておりますし、また田辺地域におきましては、地域の基幹産業でありますだけに、一日も早い解明を願っているところであります。しかし、今申し上げましたように、年々広がっている状況からして、どうしても大気汚染が原因ではないだろうかという農家の方々のお考えであります。
平成十年十月でしたか、研究会の中間報告が田辺市内で行われました。その内容に対して、田辺市を中心に梅枯れ対策期成同盟が結成をされ、田辺地域の元県議の方々が相談役に就任されまして、この一月三十日に三栖小学校で集会を持たれたそうであります。そういった中で、県知事に対して九項目の回答を求められているということなんですが、この対処の仕方はどのようにされるのか、一点お聞きします。
もう一点は、今では梅は県の最重要課題であると同時に、県も議会もそういった位置づけをしながら、UR議員連盟のうめ部会の中でも一生懸命取り組んでおりますけれども、農林水産部の方からうめ部会に対してこういった問題でこの一年間何ら報告もなかったということは、議会に対する軽視ではないかと怒りを覚える一人であります。なぜかと申しますと、私どもうめ部会の議員は地元として常に一生懸命取り組んでいる状況でありますだけに、ぜひとも部会あるいは委員会の中に十分火が通るような報告をしていただきたいと思います。この件につきまして、農林水産部長のお考えをお聞きしたいと思います。
それから、今回、私は南紀スポーツセンターの整備についてお伺いいたしましたけれども、先ほど申しましたように田辺総合運動公園について二回ほど質問をさせていただきました。その中で土木部長は、「広域的な総合運動公園については、現在、県下の運動施設の現状などに基づき、配置、規模などの運動施設のあり方を検討することとしております。 ご質問の構想については、用地の取得の面で適地が確保できるかどうかという問題がございますが、あり方についての検討を踏まえ、地元市町村及び関係機関と相談させていただきたい」という回答をいただいたんですが、今日まで二年足らずでございますから、なかなか前進はしていないと思います。知事の四年前の百三十六の公約の中にも、総合運動公園と南紀スポーツセンターの整合性ある施設を実現したいというお考えを表明されておりますので、ぜひとも前向きに取り組んでいただきますことを要望しておきたいと思います。
以上です。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
農林水産部長尾崎武久君。
〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 梅の生育不良についての再質問にお答えを申し上げます。
まず、梅問題につきましては、これまでも県議会を初めウルグアイ・ラウンド議員連盟うめ部会、また地元の協議会等、多くの関係者のご協力をいただきながら懸命に取り組んできたところでございます。一方、現地におきましても、農家の皆さんを初め期成同盟等から厳しいご意見や要請もいただいているところであります。なお、ウルグアイ・ラウンド議員連盟うめ部会との連携につきましては、不十分な点が多々あったことも痛感をしているところでございます。
今後、議員お話しの趣旨を踏まえまして、ウルグアイ・ラウンド議員連盟うめ部会を初め県議会のより一層のご協力をいただきながら問題解決に努めてまいりたいと考えてございます。
また、期成同盟からの要請書はいただいてございます。十分理解を得られるよう、今までの試験研究結果も踏まえながら努めてまいりたい、こう考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 再々質問がございませんので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
35番鶴田至弘君。
〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、一般質問並びに質疑をさせていただきます。
まず初めに、今国会で問題になっておりますガイドラインとその関連法案についてお尋ねをしたいと思います。
目下、そのガイドライン関連法案が審議されております。国政に関する重大な問題ですが、地方政治、地方自治にもかかわって具体的な問題も出てまいりますので、ガイドライン関連法と地方自治という趣旨で質問をしたいと思います。ただ、法案の性質上、地方自治の面だけを論じていても意味が通じにくくなる点もありますので、法案の基本的な内容に触れつつお尋ねをいたします。
ご承知のように、この法案は、日本とアメリカの関係において策定されるものですが、アメリカと日本において周辺事態と判断される状況が発生した場合、在日米軍が出動し、日本は自衛隊を含め日本の国及び地方の諸機関によってそれを後方支援するという内容のものであります。そこで問題になるのは、この「周辺事態」とは一体どういうことなのかということです。そもそも「周辺」とはどこを指しているのか、まずそこが法案には含まれていないんです。明記されていないんです。いろいろ論議、質問されておりますが、なかなか出てこない。「周辺」とはどのあたりかと思うのはだれでも当然だと思いますが、不思議な話ながら、政府の答弁によりますと、既にお聞きになっているように周辺というのは地理的概念ではないということであります。普通の人にはなかなかわからない言葉ですね。ある党首は、周辺とは台湾も中国も含むと歯切れよく言い切っておりますけれども、本来はそのように地図によって示されるべきことだと思います。しかし、政府の言葉では全く明瞭ではありません。
そこで、なぜ地域指定をしないかということになりますけれども、「周辺」とは、時の政府がその時々に地域に拘束されずに判断をする、あらかじめ地域を想定しないで自由に判断できるようにしておくためだろうと考えられます。特に米軍の判断が基本になるために、日本がいかなる事態でも共同できるようにするためのものだと思われるわけです。
それからもう一つ、周辺事態の「事態」とはどういう事態なのか、これも明確な規定がありません。近くで軍事衝突があったとか、近隣の国で内乱があったとか、近くに戦争があったとか、どういう事態が周辺事態の「事態」なのか、これも規定がありません。要するに、政府が「周辺事態」と判断したときということになるわけですけれども、これはイコール、アメリカの判断であるということになります。その側面の方が強くなるわけです。
元副総理の後藤田正晴氏が周辺事態について、昨年四月二十九日の朝日新聞に次のように語っています。政府によると、「『周辺事態』は地域の概念ではなく、事案の内容と性格によるというのが政府の説明だ。わけがわからない。 このまま進んでいくと、日米安保の目的と範囲を越えて、在日米軍の行動の範囲そのものが、日本が支援する周辺事態になるのではないか」と言って政府の姿勢を批判しておりましたが、まことに当を得た批判だと思います。
今まで日本は、米軍の世界における戦争行為をほとんどすべて支持してまいりました。過日のイラクに対するアメリカの爆撃に対しても、国連の中で孤立しながらも支持を表明しました。アメリカの戦争行為に常に支持を与え続けてきた日本が、このガイドライン関連法により、単なる支持から具体的な後方支援義務を負うことになり、アメリカの戦争政策に後方支援という形でずるずると引きずり込まれることになる可能性があります。後方支援とは具体的な戦争参加であり、極めて危険な、憲法違反も甚だしい行為でもあるわけです。それは直接、地域住民の危険になってくるわけです。このような性格を持つガイドライン及びその関連法案について知事はどのようにお考えになっているのか、まず所見をお伺いしたいと思います。
次に、地方自治との関係についてお尋ねをいたします。
周辺事態措置法案の第九条に、国と地方の関係についての条項があります。第九条、「関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる」という文言があるわけです。周辺事態の「周辺」も「事態」も明確でなかったように、ここでも地方自治体が何に協力を求められるのか、全く法文上わかりません。「必要な協力」とあるだけです。自衛隊について、協力内容は相当詳しく書かれておりますが、地方自治体には「必要な協力」の一語です。その後、米軍基地を持つ地方自治体あたりからも相当強い意見が出されるという中で、政府は協力を求める項目を例示という形で別途示しました。その示し方がなかなかのもので、政府文書によりますと、地方自治体に依頼する協力の内容については事態ごとに異なるものであり、あらかじめ具体的に確定される性格のものではなく、以下のものに限られるものではないとして、以下具体的な内容が出てくるわけですが、その協力要請が無限大のものであることを示唆しているわけです。そして、次のような例を示しております。それによりますと、地方公共団体の管理する港湾施設の使用、同じく空港の使用、建物、設備等の安全を確保するための許認可、地方公共団体による人員及び物資の輸送に関する協力、地方公共団体による給水、公立病院への患者の受け入れ等々が例示されております。例示されていない部分がどのようなものになるのかわかりませんが、識者によりますと、恐らく朝鮮戦争当時に求められたものは当然入ってくるだろうと言っております。
問題は、それらの要請が単なる要請ではなくて、協力する義務として当然のごとく求められてくるであろうことです。内閣安全保障・危機管理室長は、「正当な理由なく要請を断れば違法状態になる」と言っていますし、秋山防衛事務次官は、「合理的な理由があればともかく、自治体は要請を受けてもらう立場にある」と発言していることから見ても、これは単なる要請ではなく強制力を持っていることを示しています。ここには、地方自治体やその長の主体性などはほとんど考慮されておりません。それは、実質、命令に近い形での要請となるでしょう。しかも、これらの内容は後方支援に関係することばかりです。それは、自治体及びその長、さらには住民がアメリカの戦争行為に直接、間接に協力することになります。自治体の長が兵士や武器、弾薬を運ぶ艦船の出入港を許認可する、公立病院が戦争行為での傷病兵を治療する、いずれも国際法上の戦争行為と認められています。自治体やその長が、戦争行為の一環だからそのようなことはお断りすると言えば違法になる。地方は国があってこそ地方だという名分がかざされて地方は従うしかない、そんな事態が想定されます。その危険を感じた東京の武蔵村山市議会や広島市議会など百余りの自治体、議会が、地方自治を守れという趣旨で意見書を上げるに至っております。
ついては、知事にお尋ねをいたします。
周辺事態法第九条は地方の権限を侵犯し、地方自治を著しく侵す内容を持った地方自治法違反、憲法違反の疑いがありますから、この法案には明確に反対の意を表されることが必要であると思いますが、いかがですか。
また、後方支援は国際法上でも戦争行為とみなされておりますし、地方の施設、港湾、空港、病院等を後方支援に供せられる可能性を持つことになりますけれども、このようなことは知事はいかがお考えになりますか。
ところで、和歌山下津港にもマイナス十三メートルの公共埠頭が間もなく完成いたします。平和の港として繁栄を願うものですが、一昨年、マイナス十三メートルの小樽の港に八万トンの米空母インディペンデンスが入港いたしました。和歌山港も、インディペンデンスのような巨艦の入れる港となるわけです。周辺事態の宣告がなされれば和歌山下津港にも、インディペンデンスでなくてもさまざまな軍艦の入港、出港が想定されます。したがって、知事にあっては、和歌山下津港を初めとした県下の港湾の軍事利用は一切拒否されるよう態度表明されることを求めたいと思います。また、その他、県下公共施設についても同様の措置をされることを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、雑賀崎埋め立ての問題に移ります。
雑賀崎の埋め立て問題については、従来、私も幾度かお尋ねしてまいったわけですが、知事は先日の所信表明で自然との共生の重要性をうたわれておりました。大変大事なことであろうと思います。私はその項を聞きながら、紀伊半島北部の沿岸が共生どころか破壊にさらされていることに新たに思いをいたしました。住金による広大な海の埋め立て、そこへLNG発電を建設する計画の進行、マリーナシティという人工島の造成、御坊火電の新たな埋め立てと建設、そして最悪の燃料オリマルジョン。県民の自慢の景観は、次々と破壊されてきました。そこへ雑賀崎の埋め立てです。その計画のおぞましさは多くの県民の驚きと怒りを誘ったものでしたが、新しい計画案も少しはその破壊性を緩和したものの、少なくとも雑賀崎の景観を守ると言える水準のものではありませんでした。雑賀崎の皆さんのこの計画案に反対する声は一層強まりつつあると聞きます。先日は、環境庁長官が地元の人々の声にこたえて現地を視察したと聞きます。
そこで質問をいたしますが、知事としてはさまざまな意見を考慮されておることとは思います。今、雑賀崎の自治会や自然を守る方々の意見をどう考えておられますか、まずお尋ねをいたします。
二つ目は、最近、和歌山市長旅田氏が独自の案を提起して県に要望したと報道がありました。地元市長の意見として、県としてはそれなりに尊重されるべきであろうと思いますし、市長は港湾審議会の一員でもありますので、このままでは港湾審議会での新たな議論をし直さなければならないと思うのですが、旅田氏の県への要望をどのように評価しておられますか。
三番、私は、大港湾を建設しても恐らく採算のとれる需要はないであろうという立場と景観問題、その二つの面から反対を唱えてきたところでございますが、港湾需要に対する当局の答弁はほとんど説得力のないもので、単に世界の船舶の大型化とか木材運送船舶会社の希望的観測だけがその根拠とされたものでした。港湾需要の面からだけでも、この計画の根拠は先行投資的と批判されるべきものですが、今新たに県の計画原案に反対する旅田市長案が出されたり住民の納得が得られていないという状況が明らかになってまいりましたので、県としては、メンツを捨てて思い切って現計画案を棚に上げ、計画そのものを白紙に戻して、景観検討委員会でも多数出ていた、本当に埋め立ては必要か、景観を守るとはどういうことかという基本的なことから検討し直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
次に、財政関係についてお尋ねをいたします。
財政の硬直化と、それを打開する行政改革論が盛んです。我が和歌山県の財政も、そのしんどさにおいて十分に従来の行政を反省する必要があろうと思います。これについては、過去の議会で私も議論に加わり、借金財政に陥っている原因や何を反省すべきかという質問をしたところですが、借金で大変だ大変だとは盛んに言われるものの、その原因、反省すべき点については論及されないままでした。
このたびの二月度の補正を見ますと、またまた二百一億円の起債が含まれていますが、今年度の借金の大盤振る舞いには全く驚くばかりです。六月、九月、十二月と議会ごとに借金は膨らみ、今年度の起債総額は過去最高の一千九十億に達すると財政課の資料では述べられておりまして、それは当初予算より七〇%も増加したことになります。そして、その原因に不況による税収の落ち込みとか、基金が枯渇したとかもありますが、何といっても大きいのは国の景気対策に呼応した事業費の高まりだと思われます。平成十年に行われた景気対策が一千四百二十億円ということですから、その七〇%が借金でやられたことになります。これ自体が非常に異常なことです。
借金のふえ方は、今年度の不況対策だけではなく、従来の国の景気対策や国の強引な公共事業促進の地方への押しつけなどが起因して、平成になって以来、和歌山県だけでなく全国的な現象となっており、地方財政は借金漬けの危機的状況を呈するに至っています。県の起債のふえ方を見ますと、平成元年は発行三百四十八億円で、残高二千七百四十九億円であったのが、平成十年度は発行一千九十億円、残高六千二百十七億円と猛烈な増加ぶりとなっており、元年対平成十年の比は発行額において約三倍、残高においても三倍近くになっています。ちなみに、この間の一般会計予算の伸びは一・五倍ですから、借金の伸びが異常に高くなっているのがわかります。
なぜ、こんなに借金が多くなってきたのか。基本的な原因は、国の公共投資拡大の政策にあると考えています。国のアメリカに対する六百三十兆円の公共投資の公約が、景気対策などとして地方にさまざまな形での事業の括弧つきのお勧めとなって持ち込まれ、地方としては必要な事業もあり、次々とその手に乗らされてきたわけです。その中に不要不急なものも多々含まれており、私どももその都度それを指摘してきたわけですが、結局、借金を加速させてきました。そこには、地方を誘導するための起債制限を一〇〇%まで緩和するとか、物によっては元利償還を交付税措置するとか、その時点だけで考えるなら、ある意味では地方にとってよだれの出るような政策もありました。しかし、全体として借金は借金です。地方財政を大きく苦しめる結果になってきつつあります。しかも、景気対策としての効果はあったかというと、現在の景気の現実を見れば、それがそのまま回答になっていると思います。
前々議会でも、県の公共事業が景気回復に役立っていないのではないかとただしました。そのときの答えは、十分役立っている、投資はまた社会資本としても残っているという話でしたが、結局千四百億もの景気対策は──一部は未執行です──すべてとは言いませんけれども、ほとんど功を奏せず、もちろん社会資本としては一部残るものの、本来の景気対策に至らなかった、借金のふえた割には功が薄かったのではないかと思うのですが、当局の皆さんはいかがお考えになっておられますか、お示しいただきたいと思います。
ここ十年、先ほどからも述べたように、借金残高はふえにふえました。その残高は県の当初予算に匹敵します。結果、ますます財政硬直化を強め、起債残高がここまで膨らんだのは国の施策に大きな原因があるとは思いますが、当局の皆さんはどういうふうにお考えになっておられますか。県としては反省すべき点はありませんか。また、この危機的な状況をどう打開していく展望を持っておられるか、お示しをいただきたいと思います。
関連して、行政改革大綱についてお聞きしたいと思います。
県の行政改革大綱を読みました。そこには、地方分権の動きとともに地方財政の悪化が行政改革の必要性の根拠して挙げられていますが、そのような根拠から出てくる改革というものは決して住民サービスの向上という方向ではなく、とりわけ県民福祉の犠牲の上に財政再建を図っていこうとする傾向があらわれてまいります。そのような危惧を抱きながら大綱を読むと、その思いが一層強くなります。実際、財政非常事態宣言を出した東京や大阪等を見ますと、決してそれが杞憂でないと思われます。大綱はまだ大綱であって具体的な課題は示されておりませんが、いかなる方向でそれが進められるのか、基本的な方向をお聞きしておきたいと思います。
まず一番に、行政の質の向上を図る目的から、県行政の守備範囲を絞るとしています。際限のないばらまきサービスを求めるところではありませんが、今日までの行政を見る限り、ごくごく小さなものは別として、財政に影響を与えるようなものは公共事業の圧縮以外になかなか見当たりません。そんな中で守備範囲を絞るとすれば、当局としては例えばどのようなことを想定しておられるのか。我々も検討に加わるという意味でお示しをいただきたいと思います。
また、「行政と民間の役割分担の明確化」ともあります。恐らく、現在県が行っている仕事を民間にゆだねる、あるいはそうできるものは県の仕事とはしないということでしょう。今行っている県の業務でそんなものがあるのですか。あるいはまた、住民福祉の基幹にかかわるようなことまでも民間委託してしまうということにならないでしょうか。これも例示をして、県の考えを敷衍していただきたいと思います。
また、事務事業の見直しの中の一項目に「受益と負担の公平確保」という文言があります。この文言は公共料金の値上げと同義語であると考えますが、負担増による住民の痛みを気にしない行政は決していただけるものではありません。どのようなことをここでは想定されていますか、お示しいただきたいと思います。
さらに、報道等で伝え聞くところによりますと、定員管理計画で期間中に知事部局で百人の人員整理を行うとしているそうですが、仕事の内容も検討しないうちから削減数がまずありきというのは、論理的にもおかしいのではないでしょうか。これでは、仕事に合わせて定員を定めるのではなくて、定員に合わせて仕事を決めるような逆立ちではありませんか。お答えをいただきたいと思います。
次に、同和行政についてお尋ねをいたします。
私は、今まで何回か同和行政の廃止を求めてきたところですが、来年度の予算案においても九十億円を超える莫大な金額が同和関係予算として計上されています。私は、従来と同じ立場と理由によりこの案には賛成できないものですが、今回は同和に関係して行われる教育関係の調査に関して立ち入って質問をいたします。
文部省と県教育委員会は、同和地区を含む学校を対象にして、中等教育卒業者の進学調査、あるいは校区に同和地区を含む学校の状況調査なるものを従来行ってまいりました。この調査の目的は、校区に同和地区を含む学校の同和教育指導に資するためのものとされているのですが、私は二つの理由でこのような調査を行うべきではないと考えますので、その所信を述べて質問をいたします。
今、同和地区と言われてきた地域は、特別対策と地域住民の努力によってその環境が大きく変貌いたしました。もう、その環境の劣悪さによって差別が生まれるということもなくなってきています。同時に、人と人との交流も進み、他の地域の人々が同和地域に居住するようになり、若い世代の多くは同和地域からその他の地域に移り住むようにもなってまいりました。和歌山県下でも混住率は五〇%を超え、ところによっては同和地区に移住してきた世帯の方が多いという地域さえも生まれてきています。その結果、当然のことですが、そこに生まれ住む子供たちも、同和地区に住むから同和の子供だということではありません。要するに、大人の世界同様に子供たちの世界も、同和とか同和でないとか、そういう区別をすること自体が不自然なことになっているのです。同じことですが、同和地区出身の両親を持つ子供たちの多くが、その他の地区で居住しています。このような状況があるときに、あえて行政が指定した同和地区を含む学校で、同和地区に住む子供を他の地区に住む子供と比較するということにどんな意味があるのでしょうか。意味がなくなっているのではありませんか。
もう一つの問題は、そのような調査は子供たちの旧身分をいやが応でも調査せざるを得ないことです。学校が子供たちの一人一人を、この子の出身はどこというふうに調べているとすれば、まことにおぞましいことであります。明らかにプライバシーの侵害であります。もちろん、その情報が意図的に外部に出ることはないでしょうが、そのようなプライバシーは、少なくとも本人または親権者の承諾、了解の上でなければ調査されるべきではありません。しかし、そのようなことはなされたためしがありません。地域指定をしているのであって個人の調査ではないという反論もあるようですが、それだけでは済まないでしょう。もし、純粋に地域指定をした範囲の子供の調査というなら、混住の進む今、調査の意図するところとはかけ離れたものになってしまいます。ある母親がこの調査の話を聞いて、私たちをいつまでも同和関係者と言わないでほしい、まして子供たちをいつまでも同和の子として扱われるのは勘弁してほしい、今までの対策に感謝をしていますが、どうぞもう同和から解放してほしい、特に子供についてはそこまでされたくないと話されていましたが、いずれにしろ、今、子供の世界に同和地区とそうでないところを人為的に行政的に線引きをして施策を進めようとすることはもうやめるべき時期ではないかと思います。いかがでしょうか。
次に、同じく子供の問題で、子ども会についていま一度お尋ねをいたします。
この問題で今まで触れたきたことと同じ趣旨です。私は、従来、同和子ども会は一日も早くやめるべきだと言ってまいりました。最近、各地でその論議が高まり、幾つかの地区で廃止、近隣の子ども会との合流、あるいは一般子ども会への発展という事態が見受けられるようになりました。また、そのための準備の議論が起こってきているところも多数あるようです。しかし、来年度の予算案にも多額の子ども会関係予算が組まれている状況ですので、いま一度質問をいたします。
子ども会の発足は、そもそも差別に負けない子供を育てよう、学力の低位を何とかして補充しようというものでした。当時にあってはそれは当然のことであり、行政の支援も遅いぐらいの感があったほどです。その後、子ども会とそれを支援した行政の功績は決して小さなものではないと私も考えています。私も、青年時代、その一助にもなればと子ども会にボランティアで参加したことを思い出しますが、同和地区は立派に変貌し、子供たちの姿も変わりました。学力の向上も図られ、飛躍しました。地区の子供だけが子ども会で学力補充をしなければならない状況ではありません。学力補充が必要な子供がいるとすれば、そのような子供は同和地区に限らず周辺にもたくさんいるという状況です。放課後に子ども会のような子供の集いがあるということは、本当にいいことです。そんな集いは今では大変貴重なことなのですが、それが特定地域だけに存在し、一般地区にはないということです。低学年では余り意識していませんが、一定の年齢になった子供の中には、なぜ自分たちのところだけ子ども会があるのか、あるいは自分たちのところにはないのか、不思議に思っています。これは事実です。疑問を口にする子もあればしない子もあります。しかし、いずれにしろ、その疑問に答え得る合理的な回答がありません。そこに垣根が生じます。何のわだかりもなくお互いに解け合って生きている子供たちに、子ども会が垣根をつくってはいないでしょうか。子ども会は、もう歴史的な役割を終えています。逆の作用を及ぼす危険も出てきておりますので、速やかに解消の方向で検討すべきではないでしょか。
次に、教員定数についてお伺いいたします。
新聞報道によると、行政改革の一環として、これから五年間で教員を五百人削減すると報道されていました。これには少々驚かされました。生徒が漸減するのはいたし方ありませんが、それに合わせて教員を自動的に削減するというのは、今の教育の現状から考えて、果たしてそれが子供のための行政なのか、子供のことを考えているのだろうかと、そんな疑問さえ抱かされました。学校で教えられる授業は半分しかわからないという子供が半数以上もいるという調査が昨年の秋にありましたが、そんな現状や不登校、学校の荒れ、あるいは学級崩壊など、子供をめぐる状況は実に厳しいものがあります。先生をふやしてほしい、三十人学級を一日も早く実現してほしいという声は決して大げさではなく、県民の切なる思いであります。教育委員会の皆さん方が知らないはずはありません。生徒が減ったから自動的に教師を減らすという極めて機械的な対応は、次代を担う子供たちに対する愛情の問題として、私はどうも納得がいきません。今年度も多数の教員が削減されましたが、来年度も減らすのか、どんな計画なのかをお示しください。
私は、一日も早く三十人学級を実現してほしいと願う者の一人ですが、県教委にあっては、今の子供たちの状況を考えたとき、教員定数を望ましい姿としてどのような規模を考えていますか、どのような教員配置が望ましいと考えておられますか。もちろん、国の基準もあり和歌山県の財政事情もあるでしょう。困難な面もあるでしょうが、現在の子供たちの状況を考えたとき、教員定数は発表されたように五百人もの削減をするのが教育委員会の本音なのでしょうか。教育委員会の良識にかけて、一度本音で答えてください。そして、その立場から考えたとき何名の教師が過不足になるのか、お示しいただきたいと思います。
私は、教育委員会が本気になれば、県費負担でもある程度の教員増は可能だと思っています。県単で百名を超す教員が同和加配として加配されているところを見ればわかります。同和加配だったらやれるのに、ほかの理由ならやれない、そういうことはないはずです。もし、教育の現状を考え、今の教員定数は何としてもふやしたいと考えるなら、生徒減の今こそ教師を削減しないで県独自でも確保していきたいと頑張るのが教育委員会の良識であろうと思うし、財政当局がそれに呼応するというのが地方政治、地方行政のあるべき姿と思うのですが、教育長はいかがお考えですか。今の姿は、文部省の言うとおり、財政当局には値切られっ放し、全く教育委員会としての強い主体性が見えません。頑張ってくださいという一語を添えて、第一問とさせていただきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
まず、ガイドライン関連法案についてであります。
ガイドライン関連法案は、ご承知のように国の安全保障及び外交に係る問題でございまして、現在、国会等の場で慎重かつ幅広い議論がなされておるところでございます。同法案につきましては、さきに全国知事会において法案の具体的な解釈についての各地方公共団体への説明を行い、さらに日米防衛協力のための指針の具体化に向けての取り組みに当たっては、適時・的確な情報提供に努め、地方公共団体の意向を十分に尊重されるように決議をいたしまして、国に対して要望しておるところでございます。
住民の立場で同法案に反対をということにつきましては、県民の安全と幸せを守ることを私は常に念頭に置いて県行政を進めておるところでございまして、そのためにも国の安全と平和を強く願う一人でございます。
第九条に関連をいたしまして、県内の港湾等の公共施設の利用についてのご質問がございました。現在のところは、本県に対しましては特に具体的な話はなく、また協力依頼の内容等も明らかでない状況でございます。いずれにいたしましても、国の安全保障及び外交にかかわる同法案の動向につきまして注意深く見守っていきたいと考えておりますが、県民の安全と幸せを守る立場につきましては、当然のことながら堅持をいたしたいと思っております。
次に、雑賀崎問題についてであります。
私は、本県のすぐれた自然景観を守り、はぐくんでいくということは県政の上で極めて重要なことであると常に考え、申し上げておるところでございます。しかし、一方で、本県の大部分が海に面しているという地理的な特性を考えましたときに、港を生かすということもまた今後の和歌山の発展にとっては必要なことだと考えております。
こうした中で、地元の方の意見につきましては、昨年から景観検討委員会で意見聴取をやらせていただいたり、私自身も直接お会いをしたり、その他にも手紙、ファクスなどさまざまな方法、機会を通じて意見をいただいておるところでございます。昨年十一月二十八日の第三回景観検討委員会におきましては、市民の方にも傍聴いただきまして、景観保全に配慮した案につきましても委員にご議論をいただいたところでございます。
今後は、最終の景観検討委員会のご議論を踏まえ、引き続き地元の方々、あるいは関係者の方々にご理解を得られるような努力をしてまいりたいと考えております。
他のことにつきましては、土木部長から答弁いたします。
行政改革大綱についてのご質問でございます。
今回の行政改革は、行政の質の向上を図ることを目標としてございます。しかしながら、限られた財源のもとで行政の守備範囲を広げれば、かえって行政の質の低下を招くことになるのではないかと考えるわけでございます。県民の皆さんにとって真に必要なサービスを安定的に提供し、活力に満ちた魅力ある地域社会と県民福祉の向上を実現するという県の責務を果たすためには、県が担うべき行政の守備範囲を明確にいたしまして、行政でなければ行い得ない分野のサービスを最も効果的かつ効率的に提供することが必要だと考えております。そのために、県と民間などとの役割分担の明確化、簡素で効率的な行政の確立等の観点から、事務事業全般にわたって見直しを行い、必要な新規施策の展開につなげてまいりたいと考えてございます。いずれにいたしましても、行政改革は単に行政のみの努力で達成し得るものではありません。具体的な内容につきましては、県民の皆さんのご理解とご協力を十分得ながら進めてまいりたいと考えてございます。
また、受益と負担の公平確保ということについてでございますけれども、受益者の特定される行政サービスにつきましては、受益者に適正な負担をお願いすることが納税者たる県民の間の実質的公平に資するものでございまして、ひいては限りある財政資金を効率的、効果的に活用して、より質の高い行政サービスを実現していくことにつながっていくという考え方に基づくものでございます。
次に定員管理計画についてでございますけれども、知事部局において、平成十一年度から十五年度までの間で約百名を削減する計画でございます。これは、事務事業の整理合理化、行政手続の簡素化、事務改善を積極的に推進することによって行うことにいたしたいと考えております。
他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員の、雑賀崎埋め立て問題についての二点のご質問にお答えいたします。
まず、旅田和歌山市長の提案についてというご質問でございます。
和歌山下津港本港沖地区計画については、平成四年から和歌山市の助役も委員として参画いただいた構想調査委員会で検討を重ね、一昨年に具体的な案を提示させていただいた上、地方港湾審議会を経て策定されたものでございます。
また、昨年四月からの計画の見直しにつきましては、景観面で配慮しつつ、県、和歌山市の関係する課、室で連絡組織をつくり、調整を図りながら進めてございます。昨年七月、八月に開催いたしました地方港湾審議会では、和歌山市長にも出席いただきまして、景観検討委員会の状況を報告するとともに、港湾機能面から意見を伺ってございます。
今後とも、市民の方のご意見をお聞きするとともに、これまでと同様、和歌山市と調整を図ってまいりたいと考えてございます。
次に、県の計画案を白紙に戻したらどうかということでございます。
和歌山下津港を初めとする県内の港湾整備は、輸送コストの低減、県内企業の市場競争力の向上、消費物資の価格低下につながるものであり、流通産業の集積を初めとする産業立地の促進、地元雇用機会の増大、県経済活性化のためにも、また必要が迫られている建設残土処分場の観点からも重要なものと考えてございます。このような観点から本港沖地区計画については必要なものと考えておりまして、今後は最終の景観検討委員会を開催し、そのご議論を踏まえ、地元の方々、関係の方々のご理解を得られるような努力をいたしまして、その後、地方港湾審議会や国の港湾審議会でご審議いただく必要があると考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
まず、景気対策は功を奏したかということでございます。
我が国経済は、資産市場の低迷や不良債権問題の深刻化などバブルの後遺症を抱える中、金融システムの安定性に対する懸念や雇用不安などを背景に、家計や企業のマインドが冷え込み、個人消費、設備投資といった最終需要が低調な動きとなるなど、極めて厳しい状況にあります。
こうした中で、本県といたしましては積極的な社会資本整備の展開を通じて需要喚起を図るとともに、信用収縮に対して適時適切に対応するため、中小企業者に対する融資制度を創設、拡充するなど、地方公共団体としてとり得る限りの対応を図ってまいったところでございます。確かに、いまだ経済情勢ははかばかしい回復を見せておりませんが、これだけ民需が低迷している中で、これまでの公共投資がなかったならば景気は一層悪化していたものと確信しております。
また、ご指摘のように県債残高が累増しましたが、税収の低迷など厳しい財源事情の中で地域経済を支えるために必要な対策を講じるためにはやむを得なかったところであり、国と地方がいわば車の両輪としてそれぞれの役割を適切に果たしてきた結果であると考えております。
また、たびたび申し上げていることではございますが、この間、本県の重要課題である道路等の基盤整備が着実に進捗し、県民生活の向上にも大きく寄与したものと考えております。しかしながら、県債残高の累増による後年度負担の増大につきましては、財政構造の弾力性確保の観点から強い問題意識を持っているところでございまして、経済情勢の推移や県財政における負担能力を見きわめつつ、行財政改革の着実な推進等を通じて適切な財政運営に努めてまいる所存であります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 鶴田議員ご質問の、同和教育子ども会について回答いたします。
同和教育子ども会は、これまでもご質問にお答えしているとおり、子供たちの学力補充や基本的生活習慣の確立、自分の命の大切さ、他人の命の大切さを学び、身近な差別に気づき、みんなの問題として話し合い、解決していくという差別を取り除く人間の育成を図るため開設され、子供たちを取り巻く課題解決のための活動に取り組んできたところであり、相当の成果を上げてきたものと考えております。
しかしながら、これまでの調査から見ましても、地域によって実情が異なっているものの、全県下的には学力格差と家庭環境とのかかわりを初めとする幾つかの課題が残されていることから、今後とも地域の実情に応じて事業を継続していくことが必要であると考えているところであります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず初めに、校区に同和地区を含む学校の状況調査についてでございます。
教育行政にあっては、差別の現実を正しくとらえるとともに、教育の機会均等の確保に努め、学校や地域社会に対し同和教育充実のための施策を講じることが責務であると考えております。こうした立場から、同和教育を進める上での基本的な調査として、校区に同和地区を含む学校の状況調査を昭和四十六年から継続的に実施してまいりましたが、同和地区におきましては、今なお高校や大学への進学率、長期欠席の状況等に格差が存在している事実がございます。
本県における同和教育は、子供たちと地域の実態から学ぶことを基本姿勢として取り組んでまいりましたが、残された課題解決のため、県民の皆様方のご理解とご協力を得ながら、プライバシーの保護に十分配慮しつつ、調査を継続してまいりたいと考えているところであります。
さきの地対協意見具申におきましても、同和問題は過去の課題ではない。この問題の解決に向けた今後の取り組みを人権にかかわるあらゆる問題の解決につなげていくという広がりを持った現実の課題であると指摘されておりますが、このことを教育行政として重く受けとめてまいりたいと考えております。
次に、教職員定数についてでございます。
今後の定数の推移につきましては、児童生徒数の大幅な減少に伴い、平成十一年度から五カ年間に五百名程度減少すると見込んでおり、来年度は児童生徒数が県全体で二千四百名程度減少することから、小中学校、県立学校合わせた教職員定数は七十九名の減を予定しております。
教職員定数の確保に当たっては、いじめ、不登校や中途退学を初めとする多くの教育課題に対応するため、チームティーチングや生徒指導のための教員加配など定数改善に努力をしたところであります。また今日の教育では、児童生徒の個性尊重という基本的な考え方に立ち、各学校において一人一人の子供を大切にしたきめ細かな教育が今まで以上に大切となっております。とりわけ、個に応じた教育を一層推進していくためには、指導方法の柔軟な工夫改善を促したり、中学校、高等学校での選択履修幅の拡大を図ることなどができるよう、人的な条件整備を進めることが肝要であると考えております。今後も、国の定数改善計画の動向を見ながら、定員管理計画に基づく適正な教職員配置を進める中で、指導方法の改善等のための定数を一層効果的に活用し、本県教育の充実に努めてまいる所存であります。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 ガイドライン関連法案について、知事から答弁をいただきました。知事のよって立つ政治的立場から考えて、明快に反対ということは恐らくなかろうとは考えておりましたが、もっと積極的に地域住民を守るという立場から、せめて地方公共団体が管理する港湾あるいは公共施設は戦争行為の一環である後方支援のためには供しないということぐらいは明確にしてやってほしい。それでこそ住民は安心できるというものだと思うんですけれども、いかがですか。その点、一点確認をしておきます。まだ具体的に求められていないからということでありましたけれども、一般論としてでも答弁が行われてしかるべきではないかと思います。
次に、総務部長にお尋ねをいたします。
景気対策の問題と、起債残高の上昇の問題についてです。
先ほども触れましたように、ここ十年来の莫大な起債の増加は、主として政府の公共投資を地方へ求めてきた結果であると考えているわけですが、それを地方の方としても唯々諾々と受けてきたところに最大の問題があるのではないかと思います。ここまで財政硬直を呼んできた原因の一つである起債の問題、責任の所在は明確にしていかなければならないと思いますので、そこはどう考えておられるのか、財政危機を生んできた一番の原因はどこにあるのかというあたりをはっきりと答えていただきたいと思います。それが一つ。
二つ目は、借金をしながらいろんな事業をやった、だから資産は残っているということなんですけれども、ローンで家を建てて住民が栄養失調になるというようなことになると、これは全く話にならないわけです。行政改革という新しい課題がまた新たに起こってきておりますけれども、まさにそういう状態になりつつあるのではないかと思うんですが、それはどういうふうにお考えですか。
三つ目、国と地方は車の両輪のごとく経済対策に当たってきたんだという話でしたけれども、現在の不況の原因というのは、これは主として国の責任であって地方の責任ではないんです。そこをはっきりしましょう。そうすると、経済対策、経済対策と言いながら、例えば今年度だけでも一千億を超える起債をしなければならなかったという問題は、本来は国が大きな責任を持たなければならん問題ではないかと思うんですが、それはどういうふうにお考えですか。それをお答えください。
時間が来てしまいました。教育問題、それから子ども会の問題、その他幾つかの問題について再質問する時間がありませんでしたが、答弁に同意したという意味ではありませんので、ご理解ください。
それでは、総務部長と知事に。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
先ほどもお答えをいたしましたけれども、ガイドラインに関連してのご質問、私は県民の安全と幸せを守る立場を堅持したいということを申し上げました。ご理解をいただきたいと思います。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 鶴田議員の再質問にお答え申し上げます。
経済政策は、基本的には国政の課題であると考えております。他方、地方公共団体といたしましても、地域経済の振興に責任を持つ立場にあります。したがいまして、先ほどもご答弁を申し上げましたが、地域経済を支えるためには国と地方がそれぞれの役割を適切に果たしていく必要があると認識しているところであります。
次に、県債残高の累増につきましては、財政の弾力性確保の観点からも問題があるという認識を持ってございます。このため、行財政運用につきましては効率化、適正化の推進に努めてまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「不十分ですが、いいです」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十七分休憩
──────────────────
午後一時三分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
19番高瀬勝助君。
〔高瀬勝助君、登壇〕(拍手)
○高瀬勝助君 私は、二巡目の国民体育大会誘致とスポーツ振興、ビッグホエールとビッグ愛による和歌山の活性化、マリーナシティ等を活用した観光の三点につきまして質問をさせていただきます。
まず初めに、二巡目の国民体育大会誘致とスポーツの振興についてお伺いをいたします。昨日、森議員、中山議員からも関連の質問がございましたので重なるところがあるかもわかりませんが、お許しをいただきます。
私は、質問の機会をいただくたびにスポーツに関するさまざまな内容を取り上げてまいりました。かねてから、地域社会が発展するためにはこれを支えるための有為な人材育成が大切であり、豊かな人間形成や未来を担う青少年の健全育成のためには非常に重要な役割を持っているスポーツを通じて地域の活性化づくりをする必要があると申し上げてまいりました。最近、和歌山は余り元気がありませんが、こういうときこそ、スポーツを振興することによって元気を取り戻す、乗り越えるということが大切だと思うものであります。
縁がありまして、私は以前から多くの仲間とともに軟式野球界のお世話を続けさせてもらっておりますけれども、他のスポーツ団体とも少なからぬ交流を持っております。こうした経験を通して、スポーツの持つすばらしさに魅せられ、スポーツを通しての人間形成が私の信念とするところになっているわけであります。したがいまして、私は今後もスポーツの普及振興をライフワークとして取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
さて、国民に夢と感動を与えた長野オリンピックからはや一年。スピードスケートの清水選手の大活躍、多くの期待を背中に受けながら残念な結果に終わった堀井選手の涙、また女子競技で見事日の丸を掲げた里谷選手や岡崎選手のさわやかな笑顔、多くの期待を受けるという重圧の中で立派に期待にこたえたスキージャンプ陣の活躍など、一つ一つのシーンが今でも私たちの脳裏に鮮やかに浮かんでまいります。また、サーカーのワールドカップにも心熱くなるものがありました。スポーツの感動は、頂点を目指し必死に自分と相手に打ちかつために日ごろたゆまざる努力を積み重ねている選手のその生きざま、そして多くの期待を背負いながらも精いっぱい戦い抜く姿であります。
ところで、昭和四十六年に本県で開催した黒潮国体では、県、市町村、スポーツ団体、指導者、選手が県民と一体となって取り組み、見事天皇杯を獲得いたしました。当時から、本県のスポーツ振興は国体終了後にこそ始まるものであるとの考え方から、ポスト国体として全国に先駆けてさまざまな振興策が展開され、その後の国体においても常に上位の成績をおさめ、あわせてだれもが気軽に参加できる県民スポーツの振興など、まさにスポーツ王国和歌山としてその名を全国に知られるところとなっていました。
また、競技会場となった市や町、例えば有田市のホッケー、田辺市の弓道、新宮市のサッカー、日置川町の硬式テニス、かつらぎ町の軟式テニス等、その競技が地域に定着し、現在でも活発な活動が行われています。一方、当時は活発であったものの現在はその面影すらなくなったという地域もあり、残念ながら最近の本県スポーツ界は競技スポーツという面では全体として低迷していると言わざるを得ないと思います。
昭和六十三年から国体も二巡目を迎え、さきの県議会における知事の答弁にもありましたように、平成二十七年に本県で開催することを目指し、誘致のための計画が進められていると推察いたします。国体につきましては、後利用を含めた施設のあり方など、その是非について議論もなされているところでございますが、私は二十一世紀を迎えようとする今、国民の願いは心と体の健康、生きがいのある豊かな人生、他人を思いやり、また多くの人々と助け合っていくということであり、このためにはスポーツの振興は欠かすことのできないものと確信をしております。
二巡目の国体開催に向けては、今後、競技力の向上はもとより、施設整備等に県や各市町村の経費負担は当然必要になりますが、現在の国体開催県では、その後の利用として市町村のスポーツ振興や学校体育施設の有効活用が図られるなど、広くスポーツ振興、市町村の活性化に大きな役割を果たしていると伺っております。
平成二十七年といえば、残すところあと十六年であります。十六年といえば長いようには思いますが、施設の整備は本県の施設の現状等からいたしましても、十年から十五年という長期の準備期間も必要ではないかと考えております。この辺で具体的なスポーツ施設の整備構想をつくり上げていくべきではないかと思いますので、この点について知事のご所見をお伺いしたいと思います。
次に、競技スポーツの向上策についてお伺いいたします。
昨年末から、サッカー、ラグビー、駅伝などのウインタースポーツがテレビ等で放映され、多くの県民が声援を送ったところでありますが、さきにも申しましたように、このところ本県スポーツ界は全体としていささか低調であります。二巡目国体の誘致・開催を目指す中で本県競技スポーツの再構築を図るということも一つの方法だと思いますが、当面の競技スポーツの向上策について教育長にお伺いいたします。
二点目に、ビッグホエールとビッグ愛による和歌山の活性化についてお伺いいたします。
二十一世紀は二十世紀のような経済成長は望めず、少子化などにより投資余力の減少が見込まれることから、重点的、効率的な公共投資を余儀なくされると思います。また、今までの投資を効果あるものとするために既存施設を有効に利用する必要があり、アイデアを出し、情報を発信していくことがより重要になってくると思います。
さて、和歌山市手平の旧国鉄和歌山操車場の跡地に平成九年七月に和歌山ビッグホエールが、また昨年十二月に和歌山ビッグ愛がオープンいたしました。この広大な用地の活用に当たっては、県民の期待と注目を集める中、検討が進められ、健康ふれ愛和歌山計画が策定されました。この計画によりますと、保健の充実、福祉の充実、健康増進、地域社会の担い手の活性化を柱とした健康福祉、触れ合い交流の拠点づくりを図るものでございます。こうしてビッグホエール、ビッグ愛の両施設が誕生したところであり、計画を策定したときはちょうど景気が下降局面にかかるという時期にもかかわらず、計画どおり二つの施設とも予算を確保し、デザイン的にもすぐれ、全国どこに出しても恥ずかしくない立派な施設ができ上がったと思っております。地元選出の議員といたしましても、関係者の皆様のご努力に敬意を表する次第でございます。
ビッグホエールは、太平洋に旅立つ鯨をイメージした躍動感あふれる特徴的な外観が反響を呼び、マスコミにも取り上げられ、全国から視察が相次いだと伺っております。また、オープニングイベントでは多くの観客を集めましたが、収容能力が大きく、これまで県内で開催されなかった大規模な展示会や室内競技会が開催できるようになり、昨年も国際卓球選手権大会やCIOFFアジアこどもフェスティバルなど、国際的なイベントが開催されました。その他にも、地域のスポーツ大会や集会、展示会など、多目的に利用されていると聞いています。
一方、ビッグ愛は三百人収容の大ホールや展示ホール、各種会議室を有し、歯科口腔保健センター、精神保健センター、成人病センター、研修センターなどの保健福祉の拠点施設や国際交流センター、青少年活動センター、女性センターなどの県民活動を支援する施設が入居しております。こうした入居機関が十六あると聞いており、またホテルやレストランも併設されています。開館後三カ月しかたっていませんが、女性センターなど新しくできた施設は、講演会や相談業務など活発に事業展開しているようであります。また、歯科口腔保健センターや成人病センターなどビッグ愛に移転してきた施設も、最新鋭設備を導入し、治療や検査を受ける人に好評のようであります。会議室の利用者も多く、レストランも繁盛していると聞いております。私も何度か訪ねましたが、いつもロビーは来館者でにぎわっていました。
しかし、ビッグ愛の施設自体まだ知らない人も多いかと思います。もっと県民への広報を行うことによって利用が図られると思います。また、道順や駐車場の位置がわかりにくいと感じましたが、案内表示についてもご検討願いたいと思っております。
そこで、ビッグホエールのオープン以来の利用状況、並びに開館後まだ三カ月もたっておりませんが、ビッグ愛の利用状況と利用促進のためのPR方法について、生活文化部長並びに福祉保健部長にお尋ねをいたします。
今後、ビッグホエール、ビッグ愛の両施設の利用促進に取り組むことと思いますが、そのための課題が幾つか残されているように思います。ビッグホエールで催し物をやりたい、催し物を見に行きたいが駐車場が少ないので困るという話をよく聞きます。このたび、ビッグ愛の駐車場が設けられ、また現在中央部分で駐車場の整備を進められているようですが、全体の駐車計画はどうなっているか、示していただきたいと存じます。また、出入り口が国体道路一カ所となっていることから交通渋滞が予想されています。JR宮前駅の踏切口に誘導できないものか、駐車計画とあわせて生活文化部長にお尋ねをいたします。
ビッグホエールにつきましては、民間企業による展示会や県民の集会、スポーツ大会などの利用促進策を考えていく必要があると思います。また、ビッグ愛につきましては、福祉保健関係施設の利用促進や県民の学習、文化、集会、交流などで参加を促進していくことが重要になると考えています。特に、ビッグホエールとビッグ愛の両施設が連携し、相乗効果を発揮することが大事になると思います。そのためには、県を挙げて全国的な会議やイベントを誘致するなど、集客に努めていただきたいと思います。そのことが元気ある和歌山を実現し、和歌山県の活性化につながると確信いたします。
そういった意味から、これは要望でもありますけれども、和歌山の活性化のためにこの二つの施設をどう連携させ活用していくか、関係部局が今後さらに連携を密にして対策を考えてほしいと思っています。
最後に、和歌山マリーナシティ等を活用した和歌山市の観光振興についてお尋ねをいたします。
本年四月二十九日から百十四日間にわたって、南紀熊野体験博が紀南地域を中心に開催されます。風光明媚なリゾート地や歴史遺産に恵まれた南紀熊野をリゾート実感してもらおうと、県や紀南を中心とした市町村などが実行委員会をつくり、和歌山こそが心をいやし、満たし、よみがえらせる日本人の心のふるさとであると国内外にPRするとともに、県民にはすばらしい和歌山、特に熊野地方の魅力を再発見していただこうということで、この体験博を将来に向けた二十一世紀の和歌山づくりのステップにしようと取り組まれています。また、体験博では二百万人の参加を目標に取り組まれていますが、西口知事はこの体験博の機会をとらえてわかやま元気宣言を行われました。
しかし、景気が低迷する中、観光立県の推進に取り組む本県にもこの影響は如実にあらわれています。日本経済新聞の記事によりますと、県内の代表的なテーマパークである白浜のアドベンチャーワールドでは、平成九年十二月から昨年十一月までの一年間に九十万一千人が訪れたものの前年に比べて一七・八%の減少で、七年ぶりに年間百万人の大台を割り込みました。また、県内のもう一つの代表的なテーマパークであるマリーナシティにあるポルトヨーロッバでも、今年度の入場者数は七十八万八千人と前年度実績九十六万八千人を一八・五%も下回ると予想され、平成六年の開業以来、初めて八十万人を割り込むと見られています。特にポルトヨーロッパへの来園者の落ち込みは、景気の低迷はもちろんのこと、明石海峡大橋の開通などで日帰り客の落ち込みが目立ったということであります。
また、県観光課がまとめた県内の主な観光地の人出状況を見ますと、この期間中、天候に恵まれたことから日帰り客は前の年より五・九%、およそ四万人ふえたものの、宿泊客は前年度より一〇・三%、およそ一万二千人減少しています。日帰り客は、国道三百十一号線などの幹線道路が大きく整備された本宮町で一六・七%ふえ、大みそかのイベントがヒットしたポルトヨーロッパを中心にした和歌山市で五・七%増となっています。
しかし、景気は依然として低迷している中、この先、南紀熊野体験博が行われる紀南地方やその周辺は別として、和歌山市を中心とした観光地の先行きにはかなり大きな不安があります。厳しい財政状況にある和歌山市が市政施行百十周年記念イベントを中止したこともその一つであります。県におかれましては、和歌山市とその周辺の観光地、マリーナシティを初め和歌山城、和歌浦、加太、友ケ島等々の観光地をどのようにPRしていくのか。和歌山市が南海電鉄に観光事業用に貸している友ケ島は年々観光客が減少し、平成九年度は三万人にまで落ち込んでいます。今年度は三万人を割り込むのが必至という状況になっています。
この友ケ島は、県の燦黒潮リゾート構想の中で加太地区が国際リゾート都市として位置づけられていたほか、計画が決定した紀淡海峡大橋が完成すれば大きな観光スポットとして注目されるのは間違いありません。またマリーナシティは、十八世紀の地中海の港町をイメージしたテーマパークであるポルトヨーロッパを初め、近海や関西国際空港経由の世界の魚介類を買うことができる観光魚市場、県の情報発信施設であるわかやま館、リゾートホテル、夕日のきれいなサンセットビーチ、さらに大型クルーザーの発着場やヨットハーバーなど、マリンリゾートの発進基地として十分に整備されており、この秋に完成の温泉施設も含め、大阪市内から一時間半以内で行ける海洋型の複合リゾート都市であります。しかし、大阪市内にアメリカ映画のテーマパークであるユニバーサルスタジオが建設中であり、今後厳しい環境にさらされることも考えられます。
そこで、このマリーナシティや和歌浦湾、友ケ島などの資源を生かした和歌山市を中心とした観光のあり方について県はどのように考えておられるか、商工労働部長にお伺いしたいと思います。
以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの高瀬勝助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 高瀬議員にお答えをいたします。
スポーツ施設の整備構想についてでございます。
近年の国民体育大会は、開催県のすべての市町村が競技会場あるいは関連イベントの会場となってございまして、まさに県挙げての取り組みがなされてございます。議員のお話にございましたように、国体開催を機にその地域のスポーツ振興はもとより地域に根差したスポーツが芽生えるなど、市町村の活性化にも大きな役割を果たすものと考えてございます。
お話にございましたスポーツ施設の整備につきましては、現在、関係部局であらゆる角度から検討を行っておりますけれども、国体についての文部省通知にもございますように、できるだけ既存の施設を有効に活用するとともに、新設する場合でも大会後広く地域の方々が利用しやすい施設であることなどに配慮する必要があろうかと思いますので、その点も考慮しながら考えていきたいと思っております。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 高瀬議員質問の、ビッグホエールとビッグ愛による和歌山の活性化についての二点の質問にお答えいたします。
まず、ビッグホエールの利用状況についてでございます。
議員お話しのように、開館以来、各種スポーツ、式典、集会、見本市、興行など、多彩なイベントにご利用いただき、入場者数は本年一月末までで約五十七万人を数えてございます。また、利用率の面から見ますと、同期間で約五七%でございます。これは、類似の立地条件にある他府県の施設と比べてやや上回ってございますが、今後とも活発に利用されるよう積極的に各方面へ働きかけてまいりたいと考えてございます。
続きまして、駐車場計画等についてでございます。
駐車場につきましては、現在、中央部分で新たに約四百台収容の駐車場を整備中でございます。この駐車場には、樹木を植栽するなど、できるだけ緑を多く取り入れ、安らぎのある空間になるよう計画いたしております。なお、これが完成いたしますと、既にあるビッグホエールとビッグ愛の駐車場を含め約千台の駐車が可能になり、大きな催しにも対応できるのではないかと考えてございます。
また、JR宮前駅方面への出庫の件でございますが、JR宮前駅の踏切口へ車を誘導できるよう、今後関係機関と十分協議してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 高瀬議員ご質問のビッグホエールとビッグ愛による和歌山の活性化について、お答えを申し上げます。
県民交流プラザ和歌山ビッグ愛の利用状況とPR方法でございますが、ビッグ愛は、人生八十年時代における健やかな地域社会づくりを目指し、保健福祉、触れ合い交流の拠点施設として昨年十二月にオープンいたしました。現在、十六の施設、機関が入所しており、連携を図りながら積極的な活動を行っているところでございます。また、大ホール、展示ホール、各種会議室を設けており、県民の学習や交流の場として広く利用していただけるものとなっております。
オープン以来、会議室等の利用率は、十二月が約三一%、一月が約五六%となっております。最近では県民の皆様からの問い合わせが多くなり、二月、三月の利用も増加してきている状況でございます。
また、議員ご提言のビッグホエールとの連携につきましては、関係機関、団体に働きかけるなど、一体的な会議や催し物を開催していきたいと考えております。本年八月には、福祉保健の関係機関や社会福祉法人、ボランティア団体との共催で、ビッグホエール、ビッグ愛の両施設を使った福祉のまちづくり99フェスタを計画しているところでございます。
今後とも、ラジオ、テレビやパンフレット、チラシによる広報活動に努め、行事予定の情報提供を行うなど、企業や民間団体、県民の方々に広くPRを行い、利用促進を図ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) マリーナシティ等を活用した観光についてお答えします。
和歌山市周辺は、瀬戸内海国立公園の一角として、温暖な気候、豊かな自然と相まって、万葉の時代から景勝地として親しまれてまいりました。平成六年の世界リゾート博の開催、また同年の関西国際空港の開港、平成七年の大河ドラマ「八代将軍吉宗」の放映などによりまして、地域の活性化に大きな効果がもたらされました。
しかし、現在の厳しい経済環境下にあって、また旅行形態の変化などにより団体客を中心とした旅行需要が大幅に落ち込み、観光産業も全国的に深刻な問題となってきており、ゆとり型や体験型など、多様な商品提供が望まれているところであります。
マリーナシティは海洋都市リゾートとして整備されてきておりますが、議員ご質問のとおり、加太、和歌浦湾、友ケ島などの周辺観光地を含めた広域的な観光が今後の観光のあり方としてとらえていく必要があると考えております。二十一世紀は観光産業が基幹産業の一つであると言われており、もてなしの心をもって観光客を温かく迎え、来てよかった、また来たいと言われる観光地づくりが必要と考えております。
そのためには、地元の皆様の熱意が何にも増して大切であります。県といたしましては、平成七年度から、県内の主要観光地と共同で大手旅行代理店とのタイアップキャンペーン、雑誌での観光PR、三大都市圏での観光キャラバンの実施を中心とした「ゆうわく和歌山キャンペーン事業」を進めてまいりましたが、平成九年度からは和歌山市もこれに参画し、より広域的な観光PRに努めてございます。
今後とも、和歌山市内への観光客の増加に努めるのはもちろんのこと、県内への観光客の誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興についてお答えいたします。
競技スポーツの向上策についてでありますが、ご指摘のとおり、最近の本県スポーツの状況を見てみますと、世界大会や全日本で活躍している選手もありますが、全体的には必ずしも満足できるものではありません。
スポーツを観戦する人が多くなっている中で、本県を代表する選手が国際大会や全国大会で活躍することは、明るい話題と勇気、郷土愛をはぐくむことにもつながり、その果たす役割は大きいものと思います。
当面の強化対策といたしましては、各競技団体でことしの熊本国体、来年の富山国体を目指した強化の取り組みを行っているほか、平成十年度から高等学校十二校三十クラブを対象としたハイスクール強化モデル校指定事業を進めているところであります。また、平成十一年度は元気予算として、国際的な大会で活躍した選手や指導者をアドバイザーコーチとして委嘱し年間を通じて高度な技術や戦術の指導を受けるなどの、がんばれ「スポーツの和歌山」推進事業に要する予算をお願いしているところであります。また、ジュニア選手の発掘のために本県の優秀な選手や指導者が県内各地方を巡回し模範演技や技術指導等を行う事業など、中長期的な対策をも講じてまいる所存であります。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
19番高瀬勝助君。
○高瀬勝助君 ご答弁ありがとうございました。要望ではございますけれども、少し申し上げます。
特に、ビッグホエールとビッグ愛が大変好評だということで、利用者もふえてきているようですけれども、今のところ、駐車場へ入る標識といったものがまだ少し不足しているようです。あの道路は大変交通渋滞になる地域でもございますので、標識とか誘導については十分配慮されながら、交通事故につながらないような方法を考えていただきたいと思います。
また、過日行かしていただいたときに、ビッグホエールとビッグ愛の中間に変電用の送電線がJRの方から入ってきておりまして、ちょうど両方を分断しているような形でございましたので聞きましたところ、JRの送電線の電圧を上げるために置いているということです。見れば、二百坪ぐらいあるんですかね。ちょっと伺えば交渉中の話もあるということですので、何とか機会をとらえて用地買収なり場所を移していただければ、両施設の有効利用がなおスムーズになるんじゃなかろうかと思います。その点、どうか当局として頑張っていただいて、JRさんと交渉して何とかそれを取れるように要望いたしておきます。
もう一点、世界リゾート博であれだけ成功したマリーナシティの関連なんですが。
今の和歌浦を含めた加太、友ケ島は、大変観光客が落ち込んでいるようです。観光地としては白浜とかありますけれども、このマリーナシティにも温泉がわき出てまいったわけですから、和歌山市の観光面からすれば大変この地域が魅力的に──かつて昭和二十五年に日本観光地百選で海岸美日本一になった歴史背景もありますし、また四十五年にも海岸美日本一と言われておりますし、これから紀淡海峡への大橋とかの考えもあるわけですから、それに関連した形で友ケ島あたりの利用も含めてこれからもっと考えるべきじゃなかろうかと。そうした中で、和歌浦から加太、友ケ島に至る海岸のシーサイドロード施設などをつくることによってコスモパーク加太の発展につながる大きな拠点もできるんではなかろうかと感じております。
どうか、観光立県をうたうとき、まず和歌山市がそういう形で栄え、たくさんの観光客に来てもらえる存在になるよう、和歌山市の選出議員として特にそういうことを要望して、終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高瀬勝助君の質問が終了いたしました。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
27番上野哲弘君。
〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 通告に基づきまして、一般質問を行います。
初めに、わかやま元気宣言と地域振興ということでございますが、それに先立ちまして、一言申し上げたいと思います。
和歌山県議会議員として二期八年間、県政の勉強をさせていただきました。新宮市民はもとより県当局並びに先輩・同僚議員の皆さんに対し、深く感謝を申し上げるところであります。この質問をもって最後の和歌山県議会議場での登壇となりますので、気力を振り絞って質問したいと思います。
昨年は、日本の経済社会において暗雲が立ち込め、暗い世相が映し出されたところであります。特に和歌山県においては、犯罪史上に取り上げられるような毒入りカレー事件を初め、不名誉な事象が重なり、県民一同、嫌な気分の一年でありました。そのような中、本定例県議会に提出された知事説明の冒頭、わかやま元気宣言が打ち出されましたことは、時宜を得た提言と受けとめているところであります。我々はもとより、元気な和歌山の創設に向けて県民が一体となって取り組むべきものと思います。
その第一弾として南紀熊野体験博が本年四月より開催されますことは、元気宣言の実践の場として大いに期待しているところであり、心から成功を願うものであります。知事の所見をお伺いいたします。
さて、現在、五十の市町村が和歌山県を構成しておりますが、県勢が向上するためには、それぞれの自治体の努力と県全体の構想がマッチしなければならないと思います。この場は県会議場でありますので、県の役割について質問したいと思います。
その構成の一角であります新宮地域の課題、特に熊野川流域の課題について県当局の所見をお伺いいたします。
熊野川流域は、ご存じのとおり、三重、奈良、和歌山県が接しており、行政の一体化が難しいところであります。昭和五十六年から三県サミットが開催され当地域の振興策が話し合われておることは、一条の光として地域住民は期待をしているところであります。その基本政策の柱として五條─新宮間の地域高規格道路が考えられております。この道路は京奈和道路に接続し、紀伊半島縦貫道として大いに活用できるものと考えられます。また、地域の産業育成にも寄与でき、特に新宮港の将来に大きく影響するものと考えます。この事業をさらに進展さすには奈良県の対応が重要と考えますが、奈良県側の意欲と県当局の所見をお伺いいたします。
次に、熊野川流域の広域行政についてお伺いいたします。
今日、地方行政は年々厳しくなってきており、都市から大きく離れた市町村は、過疎化や少子高齢化等で地域社会の崩壊がますます進行しているところでもあります。国においては行政の効率化のため三千余の市町村を大幅に削減しようとしており、市町村合併を推進しております。合併は、大都市周辺の市町村においては問題が少ないと思いますが、過疎が進行している自治体の合併は余りよい結果が生まれないと思います。すなわち、衰退したところはますます衰退してしまうということであります。合併がだめなら広域連合ということになりますが、そうなれば、その推進役を県がすべきものと考えます。私は、三重、奈良、和歌山の三県にまたがる広域行政もあり得るものと考えております。事実、一部事務組合ができております。
そこで、広域行政における医療、福祉、環境等の分野で県の役割としてどうあるべきか、お伺いいたします。
次に、中心市街地活性化法の活用についてお伺いいたします。
近年、全国の中小都市で市街地の崩壊が叫ばれております。その中心をなす商店街が、モータリゼーションの波に追いつけず、空き店舗が増大し、何らなすすべもなく商店街の空洞化が進行しているところであります。
ここで新宮市の例をとりますと、他市と同様、中心商店街から離れた場所に大型店が進出し、現在急ピッチで建築されております。さらに、商店街に隣接していた市民病院の移転が決定し、先日、新宮市郊外でその移転着工がなされたところであります。このような状況から商店街の衰退が現実化されようとしており、この現状を打破すべく、市街地活性化に向けての具体的施策についてお伺いいたします。
まず、国において「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律」が昨年七月に施行されました。「この法律は、都市の中心の市街地が地域の経済及び社会の発展に果たす役割の重要性にかんがみ、都市機能の増進及び経済活力の向上を図ることが必要であると認められる中心市街地について、地域における創意工夫を生かしつつ、市街地の整備改善及び商業等の活性化を一体的に推進するための措置を講ずることにより、地域の振興及び秩序ある整備を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」となっております。
以下、各項目について所見を伺うものであります。
市町村は、国の基本方針に基づいて事業を執行するに当たり、その基本計画を策定できるとあります。平成十年度において和歌山県下で和歌山、橋本、有田市が手を挙げられたそうでありますが、その策定経過についてお伺いいたします。
次に、この事業に対する国の支援のあり方として、市町村の基本計画に定められたすぐれた事業に対しては重点的に支援を行うとありますが、どのようなことを指しているのか、お伺いいたします。
全体で一兆円程度の事業が組み込まれているようでありますが、これらの事業を実施するに当たり、国の基本方針からそれぞれの事業の連携と集中実施が求められております。ここで市町村が問題とするところは、事業に対する補助率であります。この法による事業実施には補助率について特別な配慮がなされているのか、また地元負担軽減対策としての交付税措置は考えられているのか、お伺いいたします。
次に、これらの事業を推進する上で市町村等に対する統一窓口を設置するとありますが、県の対応についてお伺いいたします。
続きまして、県においても同様の体制整備を行い、それぞれの事業の連携促進を図ることが望ましいとありますが、県における市町村への支援についてお伺いいたします。
以上、中心市街地の活性化について県当局の所見を伺うものであります。
最後になりましたが、和歌山県を構成する各地域がその特色を生かし発展することが和歌山県の発展であると考えます。来る二十一世紀には新たな価値観が生まれ、人々の意識が地方に必ず向けられるものと思います。近い将来、和歌山の時代が到来することを願いまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 上野議員、最終のご質問ということでありますが、敬意を表しながらお答えを申し上げたいと思います。
わかやま元気宣言を実効あるものとするために、その一つとして南紀熊野体験博の成功が望まれているということは、議員お話しのとおりだと認識をしてございます。
本議会の冒頭にも申しましたけれども、わかやま元気宣言では、すばらしい故郷(くに)づくりを進めていく覚悟であることを宣言するとともに、県民の皆さん一人一人が心を一つにして元気な和歌山を取り戻し、夢と希望を持って明るい新時代を迎えようと呼びかけたところでございます。
宣言では、人が元気、産業が元気、自然と文化が元気といった要素を示したわけですが、南紀熊野体験博の開催は、博覧会に参加する地域の方々、また体験に訪れる方々を元気にし、さまざまな波及効果が地域を活性化させ、豊かな自然、文化を再発見し生かすことを趣旨にしていることから、体験博の成功が元気宣言を実のあるものにしてくれるものと考えているわけでございます。
本県の大自然を舞台とした数々の体験イベントや地域イベントは、必ずや訪れる人々の心をいやし、ゆとりと安らぎを取り戻していただけるものと確信しておりますが、開催までの残された期間、全力を傾注して準備を進め、元気な和歌山県を南紀熊野体験博の成功を通して全国に発信してまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 上野議員のご質問にお答えいたします。
五條新宮道路につきましては、平成六年に地域高規格道路の計画路線に指定され、その後、平成九年には新宮市の五新から相賀間の五キロメートルの区間が越路道路として、また昨年十二月には本宮町大居から土河屋の四キロメートルの区間が本宮道路として、それぞれ整備区間指定されたところでございます。
このうち、越路道路につきましては平成十年度に新規着工準備費が計上され、事業化に向けて必要な調査を進めておりまして、今補正予算において追加事業費が認められたところでございます。また、本宮道路につきましては十一年度政府予算案に新規着工準備費が認められており、今後必要な調査を進め、早期事業化を図ってまいりたいと考えております。さらに、残る区間につきましても、越路道路や本宮道路の事業進捗等も勘案しながら、順次、調査区間、整備区間指定を国に要望してまいりたいと考えております。
奈良県側につきましては、十津川村内において八キロメートルの区間が直轄代行事業及び補助事業で事業中であり、また大塔村内においても昨年十二月に四キロメートルの区間が整備区間指定されるなど、重点的に整備が進められております。
今後とも、奈良県と協力いたしまして、国にも積極的に働きかけながら整備促進に取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 上野議員にお答え申し上げます。
広域行政の推進についてでございますが、ご指摘のように、少子・高齢化の時代を迎えようとしている現在、地方分権の推進とも相まって、市町村の合併も含めた行政の広域化が求められている大きな潮流がございます。
合併の問題につきましては、もとより市町村の自主的な取り組みが基本でございますが、ご承知のとおり、昨年五月に策定されました地方分権推進計画において都道府県が一定の役割を果たしていくよう要請されているところでもあり、県といたしましても、本年度より各地域の特性に応じた市町村の行政体制のあり方についての調査研究を実施しているところであります。
また、ごみ処理や介護保険等、広域的な取り組みが要請されている課題につきまして、広域連合の設置や施設の共同設置の調査等を実施する市町村に対する補助制度を設ける等の支援策を講じているところでございます。国におきましては、都道府県が合併パターン等を検討する際の参考となる事項を明らかにした指針を平成十一年上半期に示す予定と聞いてございます。今後、こうした動きを注意深く見守ってまいるとともに、必要な対応をしてまいりたいと考えております。
県といたしましては、平成十一年度においても、過疎市町村も含めた県内市町村の望ましい行政体制のあり方の検討を行い、将来の市町村のあり方についての議論を深めるための一助として情報提供に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 中心市街地活性化法の活用についての四点について、お答えします。
まず、平成十年度における中心市街地活性化基本計画については、議員ご質問のとおり、和歌山市、橋本市、有田市において策定中でございます。現在、それぞれの市において地元商店街の代表者や学識経験者などで構成する基本構想策定委員会を設置して、中小小売商業の活性化を含めた町づくりのあり方の検討を行っているところでございます。三市とも本年三月末で基本計画の策定作業が完了し、四月上旬には県及び国に対して基本計画を提出できる予定であります。
次に、国による重点的支援についてでございます。
市町村が策定した基本計画の内容について、実効性や独自性及び先進性、熟度等の四つの視点による統一基準が設けられてございます。この統一基準によってすぐれた内容の基本計画であると判断された場合には、商店街活性化事業や居住環境整備事業など、さまざまな事業に対して関係十三省庁の予算を重点配分されることとなっているところでございます。
次に、事業の補助率と交付税措置についてでございます。
関係十三省庁には、さまざまな支援事業がございます。例えば、通商産業省における補助制度につきましては、事業の実施主体により補助率及び補助上限額の引き上げや中心市街地活性化事業に伴う補助制度が新設されているところでございます。また、中心市街地活性化事業に係る地方単独事業につきましては、地方債が許可され、後年度に財政力に応じてその元利償還金の三〇%から五五%に相当する額が普通交付税により措置されることとなってございます。今後も、国に対して支援策の充実を図るよう引き続き要望してまいります。
次に、支援体制の統一窓口についてでございます。
国におきましては、関係団体からの問い合わせなどに対応する窓口として、通商産業省、建設省、自治省の幹事省を中心に中心市街地活性化推進室を昨年七月に設置されてございます。県におきましては、この法律の内容及び基本計画策定等については商工振興課が窓口となり、対応しているところでございます。さらに、この事業を推進するため庁内関係五課から成る連絡組織として街づくり推進協議会を設置して、国の支援施策等についての情報交換や市町村への指導、助言を行ってございます。また、今月には紀北、紀南の地域に分け、中心市街地活性化法による支援施策の説明会を実施したところでございます。
今後とも、県庁内の連携を図りながら対応してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 再質問がございませんので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
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○議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後二時一分散会