平成11年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 ただいま議長から発言を許されましたので、質問に入りたいと思います。
 戦後最悪の経済危機に見舞われている日本丸に果たして明るい未来はあるのか、二年後にやってくる二十一世紀を明るい希望の世紀とするのか、あるいは失望のふちに沈んでしまうのか。本年一九九九年という年はまさに重大な岐路に立つ年であり、また、私たち政治に携わる者にとって極めて重大な責めを負うことになると申せると思います。
 和歌山県もまた、我が国と同じく、今まことに厳しい経済危機、構造的不況下に置かれているのであります。西口知事は去る十七日、二月定例会本会議初日の知事説明の中で、「我々は今、試練の時期を迎えております」と表現されました。まさにそのとおりであります。誤りなく県政をリードし県民を安心させることができるのか、その手腕が試されているのであります。
 そこで、平成十一年度の予算編成と執行について、以下四点にわたりお尋ねをいたします。
 まず第一に、予算編成のかなめとも言うべき税収見込みについていかが把握しておられるのか。
 何よりも、不景気による税収の伸びの鈍化と緊急経済対策等の減税による税収減で税収の落ち込みは明らかでありますが、平成十一年度の税収見込み額は八百六十八億八千七百万円でありますから、県税決算額で見てみますと、ちょうど十年前の平成元年(一九八九年)とその前年の昭和六十三年(一九八八年)の水準にタイムスリップしているのであります。戦後、右肩上がりの経済成長を遂げてきた我が国経済、本県経済が平成二年、三年をピークに失速し陰りが見える中、いかに税収を確保するのか、また法定外普通税、外形課税の導入など、新たな税財源の確保に真剣に取り組むべきだと思うがどうか、総務部長の答弁を求めます。
 第二に、財政調整基金、県債管理基金の取り崩しについてであります。
 次年度の財源確保のため二百八億円の積み立てをしてはおりますが、一方で両基金合計で三百六十二億円の取り崩しを行うこととしており、平成十一年度末残高はついに二百五十億円となるのであります。平成四年度末には九百五十二億円と約一千億円近くあった基金が、明年度当初予算編成時の財源確保のための取り崩しを考えると、平成十二年度には底をつくことが十分予想されるのであります。次年度のこととはいえ、このような危機的財政状況を考えるとき、地方財政再建法に言ういわゆる赤字再建団体に転落するおそれはないのか、新年度で取り崩す三百六十二億円という金額の必然性とあわせ、総務部長の答弁を求めます。
 第三に、県債残高についてであります。
 新年度の財源確保のため百三十二億円に上る県債の増発を行うほか、公債費の償還先送り──いわゆる借りかえ──や単独債の発行等による財源捻出九十七億円を行うこととしております。これにより県債残高見込みは六千三百二十五億円と、過去最悪の水準に達するものと見られております。これは既に和歌山県の一般会計予算総額をはるかに超えており、危険な状態と言えるのではないか。これを県民の一人一人の借金として置きかえると、一人五十七万六千円となるのであります。県財政を預かる総務部としてこのような状況が正常と言えるのかどうか、何らかの手だてはないのか、総務部長のお答えをいただきたい。
 第四に、地方交付税の異常な伸び率についてであります。
 昨年末、十二月二十日、閣議決定による国の平成十一年度予算編成方針の資料中の平成十一年度地方財政収支見通しの概要によれば、地方交付税の伸び率が一九・一%と極めて異常な数値を示しているのであります。このような異常な伸びを示したことが過去にあったのか、加えてこの数値が一体何を物語っているのか、総務部長、率直にお答えをいただきたいと思います。
 次に、地方主権についてお尋ねをいたします。
 私は一年前にも同趣旨の質問をいたしました。地方主権について、西口知事に基本的認識をただしたことを思い出します。今回も地方主権の一日も早い回復を願う立場から、何点かにわたって議論を展開し、当局の見解をただすものであります。本年は地方分権推進計画に基づく法整備が端緒につく年であり、この議論は決してむだにならないと確信するものであります。
 ところで、地方分権推進委員会の第四次、第五次勧告、そしてこの分厚い「地方分権推進計画」という本に少し目を通させていただきまして、私は全く失望を禁じ得ませんでした。それはなぜか。当時の橋本総理大臣の決断のなさと族議員や大蔵官僚の激しい抵抗によって、大事な部分があらかた骨抜きにされてしまったからであります。
 確かに、機関委任事務制度は廃止されることになります。地方自治体の首長を一方的に国の一地方機関、下部組織と位置づけ、各省庁が所管する事務を各大臣の指揮監督のもとで実施させるという制度で、中央集権による官僚の地方統制の典型であり、都道府県の事務の実に七割から八割にも達しているのであります。この五百六十一にも及ぶ機関委任事務は確かに廃止されますが、その四五%に当たる二百七十五項目の事務が、法定受託事務の名のもとに国が地方自治体に対し関与できる余地を大きく残しており、一部では看板のかけかえとの批判も聞かれるほどであります。運用次第によっては、国の関与の色濃い名目だけの地方分権に終わる危険性がないわけではありません。このことについて総務部長はいかがお考えか。大蔵省などに遠慮する必要はありません。率直にお答えをいただきたい。
 第二に、地方自治体の税財源の確保についてであります。
 税財源の確保は、権限移譲とともに地方主権の車の両輪であり、地方自治体にあっては欠くべからざるものであります。権限だけあっても財源がなければ真の地方主権、地方分権とは言えず、予算配分を通じて国が地方自治体を支配する構造が残ることになります。大蔵官僚や族議員の猛烈な抵抗はこの点に集中したと言っても過言ではないのであります。
 地方自治法第二百五十条には自治体の地方債発行には自治大臣の許可が必要であると明記しており、住民が選んだ首長が住民の要望する施設を建設するための地方債の発行について自治大臣の許可を受けるために自治省にお百度参りをする必要が一体どこにあるのか。いや、もっと言えば、これは地方自治を定めた日本国憲法の第九十二条に違反していると断言したいのであります。このことについて、西口知事、どう思われますでしょうか。率直な胸のうちをお聞かせいただきたい。
 第三に、公明党が四年前の平成七年(一九九五年)に実施いたしました地方分権・規制緩和に関する重点項目調査によれば、個性的な町づくりのための都市計画の権限や農地転用、保安林の指定・解除の権限など、数々の具体的な権限移譲を希望する声が強いことが明らかとなりました。また、税収の配分見直し等による自主財源の確保や国庫補助金の一般財源化を求める意見も極めて多くありました。私は、これが地方自治体の偽らざる意思であり、大多数の県民、国民の声であると思いますがどうか、西口知事にお尋ねいたすものであります。
 ともあれ、憲法に明確に規定されているように、主権は国民にあるのであり、その国民、住民と密着している地方自治体に住民のための事務事業を行う権限が存在するのは理の当然であります。すなわち、地方にこそ主権は存在するのであり、早急な地方主権の確立は緊急命題であることを再度申し上げて、次の質問に移ります。
 三点目の柱は、関西国際空港に関する諸問題についてであります。
 先ごろ、関西国際空港に離着陸する国際・国内便の便数が開港以来初めて減少したことがマスコミ等で報じられておりました。昨今の社会経済情勢下ではやむを得ないのかなとも思いますが、アジアのハブ空港という枢要な位置を占めるべく続けられてきた努力に少し水を差された感がしないでもありません。この便数の減少という事実が関西国際空港のハブ機能の低下につながらないか、まず企画部長の答弁を求めます。
 第二に、巷間伝え聞くところによりますと、土砂採取事業のおくれが懸念されておりますが、同事業のスケジュールは大丈夫なのか、また二期事業の進展に影響はないのか、企画部長にお尋ねをいたします。
 第三に、この土砂採取事業に伴う災害や環境面での不安など、一部に声が上がっていることが新聞紙上でも報じられております。これらの不安の声を解消するために県としてどのような役割を果たそうとされているのか、知事の見解をお伺いいたしたい。
 第四に、関西国際空港が持っているハブ空港としての優位性を生かしてもっと積極的なポートセールスを展開する必要があると思うがどうか。また、関西国際空港株式会社等に任せるのではなく、本県としても、知事や副知事、出納長、さらには各部長も総出でトップセールスに力を入れるべきだと私は思います。全員に答弁を求めたいところでありますが、代表して西口知事からお答えをいただきたい。
 第五に、新飛行ルートの導入に伴い飛行時間の短縮や発着枠の拡大といったメリットが期待されるところでありますが、この導入による騒音等の影響はないのか、企画部長の答弁を求めます。
 四番目に、町並み整備についてお尋ねをいたします。
 この問題について私はこの壇上で何度申し上げたか、数えたこともございませんが、関西国際空港の問題に次いで数多く発言させていただきました。今ここで、過去の私の提言や主張について一々その成果を問うつもりはございません。西口知事がいみじくも当初予算説明の中で言われました。「二十世紀は、物の豊かさを一心に追求した時代でありました」、「他方、この間、心の豊かさという人間にとって本来最も重要なことが、ややもすればないがしろにされてまいりました」、「これまで営々と築き上げてきた繁栄をここで終えんさせることなく、新しい世紀においてさらなる発展を遂げていくためには、英知を結集し、これらの課題解決に全力で取り組んでまいらねばなりません」と、このように申されております。「英知を結集し」──実にいい言葉だと思います。知識の寄せ集めではありません。英知の結集であります。ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 二十一世紀には、県民の皆さん一人一人が心の豊かさを実感でき、快適な生活が営めるように、そして健常者も障害者もともに何の不安もなく日常活動ができる、そんな思いやりにあふれた町を創出することがぜひとも必要であります。
 加えて、観光立県という観点から、県外、国外から本県を訪れた人たちが、和歌山の町はしっとりと落ちついた美しい町であり快適な都市だ、もう一度旅行に来てみたいと言ってもらえるような、そんな町づくりに取り組む必要があると私は考えます。もちろん、観光客を受け入れる場合の重要な問題として、接客態度や言葉遣いなどのソフト面も極めて重要でありますが、その問題については次の機会に譲り、今回は主にハード面に限定することをご了承いただきたいと思います。
 過去の質問でも言及したことでありますが、極めて重要な視点でありますので、覚えておられる方もあろうかと存じますが、再び紹介をいたしたいと思います。それは、大久保利通と嵐山の景観維持に関する逸話であります。今は亡き司馬遼太郎氏の「街道をゆく」第二十六巻の「嵯峨散歩」の中で紹介されている話であります。
 「かれは幕末、──彼というのは大久保利通であります──京で奔走していたころ、ここで舟遊びをしたことがある。 そのときさすがに天下の名勝だと感心したのだが、維新後わずか六年のあいだにすっかり面変りしてしまっていた。 大久保はおどろき、土地の故老にきくと、山水というものは自然にそこにあるだけで美しいというものではないのです、人間の手が入りつづけて美観を保っているのです、旧幕のころは嵐山の保全のためにどういう組織があり、とりきめがあり、これだけの金がおりていました、などといったので、大久保は政治の何たるかを教えられる思いだったという。」という逸話であります。
 実は私、市議会議員時代にもこの逸話を引き質問をしたことがあります。当時、和歌山城は天守閣の周りに樹木や雑草が自然のまま生い茂り、どの角度から眺めてもお城が十分に見えず、決して美しい景観とは申せませんでした。そこで、天守閣や白壁の景観を確保するために樹木の伐採、剪定とライトアップを提案したのであります。そのとき、自然破壊だとか電気代のむだだといった見当外れの批判がありましたが、随分と和歌山城の景観は向上したし、今も続いております。私の主張は間違っていなかったと自負しております。
 世界遺産に登録されているブナの原生林で有名な白神山地や屋久杉が圧倒的な屋久島の自然は、人間が指一本触れてはなりません。しかし、人間が住む町は景観保持のためにたゆまない手入れが必要なのであります。雑草が生い茂り、樹木が無秩序に伸び放題では、決して良好な景観とは言えないのであります。
 私は、かつて姉妹都市提携の調査のためにドイツのフランクフルト、デュッセルドルフ、ブッパータールという三都市を訪れましたが、町並みの美しさに感服をした思い出があります。たばこの吸い殻や空き缶、ごみを投棄する人がいないことはもちろんでありますが、何よりも街路が整然と整備され、歩道が広々としており、電線が地中化され、街路樹が青々と生い茂り、雑草が伸び放題のところは一つもなかったと記憶をしております。国や地方自治体の強い主導のもと都市計画が進んでいることもあずかって貢献していることは、言うまでもありません。
 前置きが長くなりました。本題に入ります。
 第一に、キャブシステム、CCボックスの進捗はいかがであるのか、新年度でどの路線でどの程度着手できるのか、土木部長の答弁を求めます。
 第二に、県庁所在都市である和歌山市の表玄関とも言うべきJR和歌山駅前、南海和歌山市駅前の再開発のめどは立っているのか、土木部長にお尋ねをいたします。
 第三に、和歌山市内の東西幹線とも言うべき都市計画路線の湊神前線、南港山東線、西脇山口線の進捗状況はいかがでありましょうか、土木部長にお尋ねをいたします。
 第四に、三年坂通り、けやき通りなどに続いて歩道の設置、街路樹の植栽、街灯の整備など、町並み景観の向上に取り組むべきだと思うが、その方策とスケジュールについて、これも土木部長からお答えをいただきたい。
 第五に、観光地を初め県内の主要な道路や公園などの景観保持のために、樹木の伐採、剪定や雑草の刈り取りなどに取り組む必要があると思うがどうか、土木部長の見解をお伺いいたします。
 最後に、スポーツ振興についてお尋ねをいたします。
 ローマの詩人ユヴェナリスの風刺詩から出た有名なことわざ「健全なる精神は健全なる身体に宿る」にあるごとく、健康で頑健な身体をつくり出すスポーツの重要性について、今さら改めて申し上げるまでもないと思います。加えて、スポーツに汗を流すことで得られる効用について考えてみますと、礼儀を重んじることを知る、チームワークの精神が身につく、克己心が養われるなど、枚挙にいとまがないと思います。
 ともあれ、青春時代にスポーツに汗を流し打ち込んだ人間に、ネクラで陰気な人間は余りいないのであります。不況の今こそ、百八万県民総スポーツ運動を提唱し、明るく元気な和歌山県を取り戻すべきであると思いますが、西口知事いかがでありましょうか、ご意見を承りたい。
 第二に、スポーツ人口の拡大のためには施設の充実と指導者の育成・配置、そして県民すべてが安心して気軽にスポーツに取り組める環境づくりが何よりも必要であります。このことについて教育長の答弁を求めるものであります。
 ところで、昨年、下川議長の代理として文教委員長のゆえをもちまして、三日間、秋季国体本県選手団の激励と応援のために神奈川県に行ってまいりました。なぎなた、相撲、レスリングなどの競技会場を回り、声をからして声援もし、選手団の活躍に感動も味わうことができ、貴重な体験をさせていただいたと感謝しております。
 ところで、残念ながら、最終成績は天皇杯が四十三位、皇后杯が四十七位と振るわなかったのであります。スポーツは一概に勝つことだけが目的とは思いませんが、やはりやる以上は勝負の世界でありますから、勝つにこしたことはありません。本県スポーツの競技力の向上のために今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長の見解を承りたい。
 最後に、スポーツにおけるメッカづくりについてであります。
 高校野球と言えば甲子園球場、ラグビーと言えば花園ラグビー場、サッカーと言えば国立競技場、テニスと言えば有明の森テニスコートと、即座に思い浮かぶメッカがあります。
 また一方で、イベントから入る地域おこしの観点を申し上げます。これまでのように箱物をつくって人を呼ぶのではなく、イベントを開催することで内外から多くの人に来てもらう、人が集まればお金が落ちる、観光等の収入がふえれば財政も潤う、財政が豊かになれば施設の充実に充てられる、施設が充実すればさらに人が来てくれるという、善循環の波を起こしていくことができると思います。そうした意味で、本年四月下旬からスタートする南紀熊野体験博は、イベントから入る善循環のタイムリーな企画であると私は思います。
 そこで、提案であります。何か一つのスポーツのメッカを和歌山につくってはどうか。全国的規模の大会を誘致してはどうか。例えば、ヨットと言えば和歌山と日本じゅうの人々に言ってもらえるような毎年恒例のイベントを開催し、やがては施設の整備につなげていく、そういう善循環の波を起こしていくお考えはないか、西口知事並びに教育長にお尋ねをいたしたいと思います。
 なお、以上で質問を終えますが、各部長並びに教育長に申し上げます。答弁は、余計な説明や言いわけは一切不要であります。やるなら「やります」、できないなら「できない」と、四文字で済むことであります。「やります」、「できない」の四文字答弁を心がけていただくようお願いをいたします。要を得て簡潔な答弁をお願い申し上げ、私の第一回目の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 森議員にお答えをいたします。四文字というわけにはまいらないかもしれませんが、ご了解いただきたいと思います。
 まず、地方債の許可制度についてでございます。
 この制度は、単に地方公共団体の行為への関与としての許認可ではなく、マクロで地方債資金を確保し、それを税財政基盤の脆弱な団体も含めて個々の団体に配分する枠組みの基礎となっているものでございます。地方財源を保障する地方財政制度の一環をなすものとしてこれまで運用されてきたものと承知をしてございます。
 地方団体間で財政力に大きな格差がある現状を前提にして、すべての地方団体が生活関連社会資本等の整備に欠かすことのできない地方債の確保が円滑にできるようにするという観点からは、殊に財政力、資金調達能力の弱い団体にとりましては一定の成果を上げてきたものと思います。
 しかしながら、地方団体の自主性を高め自己責任のもとに財政運営を行うべきであるという見地からは、これまでもそのあり方について議論のあったところでございます。現行制度の持つ機能を維持しながら、地方団体の自主的、主体的な財政運営に資する観点からの制度の見直しについて種々検討されてきたところでございまして、国におきましては、地方分権推進委員会の意見等を踏まえ、新たに協議制に移行する方向が打ち出されておりますので、各地方団体の円滑な資金調達を保障しながら、地方分権の流れに沿った財政運営の一層の自主性、主体性が確保されていくものと考えてございます。
 次に、地方主権に関連してのご質問であります。
 権限移譲と財源確保についてでございますけれども、地方分権推進計画に基づき機関委任事務のうち約六割が地方公共団体本来の事務である自治事務となるとともに、従来都道府県から要望しておりました保安林の指定・解除、農地転用の許可に関する事務などが都道府県へ移譲されることとなります。しかし、お話にございましたように、率直に申し上げまして、当初の地方分権の趣旨から申しますとほど遠い感は否めません。
 また、地方分権を実効あるものとするためには、権限移譲のみならず、地方が担っている事務量にふさわしい自主財源の確保が不可欠でございます。この点に関しまして地方分権推進計画には、地方税については、地方における歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立ってその充実確保を図ると記載されてはおりますけれども、残念ながら具体性に乏しい内容となってございます。したがいまして、今後とも国庫補助・負担金の整理合理化に対応して地方税、地方交付税等の一般財源を拡充強化することを国に対して強く働きかけていかなければならないと考えております。
 次に、関西国際空港の土取り事業に関連してのご質問であります。
 地元自治会から、今回の土砂採取事業について、住民に防災面、環境面でいろいろ不安や疑問があるということは伺ってございます。事業者が関係住民に計画内容を十分説明して事業への理解を得るのはもちろんでありますけれども、県といたしましても、事業計画や環境影響評価準備書を厳正に審査いたしますとともに、事業に対する環境監視体制の確立を初め、住民の不安を解消するために必要な対策など、努力をしてまいりたいと考えております。
 また、ポートセールスであります。
 最近の関西国際空港の運営状況が、国内あるいは東アジア地域の経済不況の影響を背景とした航空需要の低迷によりまして、全体として就航便数あるいは旅客数が伸び悩んでいる状況にございます。このような状況のもとで、関西国際空港株式会社では空港の利用促進を図るための推進組織を新たに設けまして、今後、具体的な行動を行っていくとのことでございます。
 本県といたしましては、地元地域の発展には関西並びに我が国の空の玄関口である関西国際空港の発展が不可欠と考えてございますので、今後、関係自治体、経済団体等とともに、トップがみずからというお話でございましたが、私も含め、関空会社とも連携をいたして、国内外のプロモーション活動を積極的に展開していきたいと思っております。
 最後に、スポーツ振興についてであります。
 先日、県のスポーツ賞の表彰式を行いましたのでその際にも申し上げたわけでありますけれども、本年一月に私がわかやま元気宣言をさせていただきました。その中の一つに「人が元気」を挙げてございます。スポーツはまさにこのために大きな力を発揮するものだと思っておりまして、健康の保持・増進、体力の向上はもちろんでありますけれども、爽快感あるいは達成感などを通して人間形成にも多大の影響を与えることなど、心身の健全な発達に資するものでございます。
 したがいまして、地域でのスポーツ、学校でのスポーツ、そしてハイレベルの競技スポーツなど、県民みんながスポーツに取り組むことが明るく元気な和歌山県をつくっていくために極めて大切であろうと思っております。
 最後に、特色あるスポーツの大会を和歌山に誘致していくことのお話がございました。和歌山のスポーツを全国あるいは世界にアピールするという観点で大変意義のあることだと思っておりますので、ことしも種々の大会が和歌山で開催をされますが、今後とも競技団体、市町村とも連携をしながら実現を図ってまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 森正樹議員にお答え申し上げます。
 まず、税収見込みと新たな税財源の確保についてのご質問でございますが、多様化する行政需要への対応、地方分権推進ということからも、自主財源の拡充が望まれるところであります。
 平成十一年度の県税収入につきましては、最近の経済情勢、地方税制改正案等を踏まえ見積もり作業を行ったところ、税率引き上げにより県たばこ税で約四億円の増収は見込まれるものの、一方、税制改正による減収が約三十二億円、加えて企業収益の悪化による法人二税や消費の落ち込み等による地方消費税で大幅な減収が見込まれることから、県税全体では前年度当初予算額に比べ百五十四億八千六百万円、率にいたしまして一五・一%減の八百六十八億八千七百万円を見込んでおります。この税収確保のため、より厳正な課税・徴収に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、新たな税財源の確保については、現在の法人事業税は景気の変動に影響されやすいことや法人が種々の行政サービスを受けていること等の観点から、課税標準を現行の所得から売り上げ金額、人件費等の外形的な基準で課税する外形標準課税の導入が政府税制調査会で検討されております。都道府県レベルでも、外形課税に対する協議組織を平成八年に設置し、導入に向けた問題点の整理などの意見交換を行っているところであります。今後とも、幅広い観点から新たな税財源の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、基金の取り崩しと財政再建団体転落への危惧についてでございます。
 平成十一年度予算におきましては、基金繰入金として総額三百八十一億円を計上いたしておりますが、このうち県債管理基金と財政調整基金の両基金で約三百六十二億円の取り崩しを予定してございます。これは、税収等、歳入が伸び悩む中、歳出面では県債の元利償還費が前年度に比べて九十八億円増加するなど、義務的経費の増により前年度当初を上回る収支ギャップが生じたことから、これを埋め合わせるために取り崩さざるを得なかったものでございます。
 議員ご指摘の地方財政再建促進特別措置法によりますと、実質収支の赤字額が標準財政規模の五%を超えるといわゆる財政再建団体となることとなってございます。本県の場合には、決算段階で基金の取り崩し等により埋め合わせることのできない赤字額が約百五十億円を超えることとなった場合には該当することとなりますので、今後の財政運営には予断を許さない厳しいものがございますが、今後とも歳出の合理化、効率化に極力努めるとともに、財源調達のためのあらゆる対策を講じることによりまして、最悪の事態に至ることのないよう努めてまいる所存であります。
 次に、県債残高についてでございます。
 一般会計における平成十一年度末の県債残高は、六千三百二十五億円に達する見通しでございます。これに伴い後年度の公債費負担も増加してまいるわけでございますが、財政構造の弾力性確保の観点からは決して好ましいものではないと認識してございます。しかしながら、目下の急務は現下の不況から一日も早く脱却し景気の回復を図ることであるとの認識のもと、社会資本整備の財源確保のために県債を発行しているところであり、現状の経済情勢からはやむを得ざる措置としてご理解を賜りたいと存じます。
 いずれにいたしましても、県債残高の増大に伴う財政上の問題につきましては強く認識しているところでございまして、今後とも財政運営に著しい支障が生じることのないように努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、平成十一年度地方財政計画における対前年度一九・一%という地方交付税総額の伸びについてでございますが、このような顕著な伸びを示したのは平成元年度の一七・三%以来のことでございます。平成元年度の伸びは、地方交付税の算定基礎となる国税の増に支えられたものとなっております。これに対して今回の場合は、主として景気低迷による地方税の大幅な減収による深刻な財源不足に対処し、地方財政の巨額な収支不足を補てんするための措置であります。
 平成十一年度の地方財政計画におきましては、交付税特別会計における八兆円を超える借り入れ措置等を講ずることにより何とか所要の交付税総額が確保されるものと承知してございますが、地方財政の悪化が極めて深刻な事態にまで立ち至っている現実を如実に示した形となっているものと理解してございます。
 次に、地方主権についてのご質問のうち法定受託事務に関するご質問でございますが、この事務は旅券の発行事務や国政選挙のように、国が直接執行すべきではあるが、国民の利便性等の観点から法律、政令により地方公共団体が受託して行うものであることから、自治事務に比べて国が関与する範囲が広く、議員ご指摘のような批判があることは承知しております。
 しかしながら、機関委任事務制度廃止に伴い、国による包括的かつ権力的な指揮監督が廃止され、国の関与の基本類型が一般ルール法で設定され、国の関与の手続が定められることとなっております。あわせて、地方公共団体に対する国の関与に関する係争について公平中立な立場から審査し勧告等を行う機関として国地方係争処理委員会が設置されるなど、国と地方公共団体の関係の公正、透明性等を確保するための手段が講じられる予定でございます。したがいまして、機関委任事務廃止後において国が行う関与の内容が、国と地方公共団体の関係を対等なものとする地方分権推進委員会の勧告の趣旨に反する場合には、このような制度を活用してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 森議員にお答えをいたします。
 関西国際空港に関する諸問題のうち、一番、国際・国内便の便数減少はハブ機能の低下につながらないかということでございます。
 関西国際空港の就航便数につきましては、開港後順調に推移してまいりましたが、最近では我が国や東アジア地域の景気低迷の影響等により国際線は伸び悩み状況となっておりまして、国内線も平成八年中ごろから減少傾向となっているなど、ハブ機能の低下が懸念されているところでございます。
 関西国際空港は、国内外のネットワークが充実し、国際線と国内線の乗り継ぎの利便性が高いという優位性を持っておりまして、関西ひいては我が国の発展を図っていく上でさらなる空港機能の拡充と利便性の向上が必要であると考えてございます。県といたしましては、関西国際空港のハブ機能が損なわれることのないよう、国や関係者に対して国内外での路線形成や増便を強く働きかけてまいりたいと存じております。
 次に、土砂採取事業のスケジュールにおくれはないのか、また二期事業の進展に影響はないのかというご質問でございます。
 事業者は、平成十二年夏の土砂搬出開始をめどに、現在、鋭意地元関係者への事業説明や許認可手続を進めております。事業者からは今のところ大きなおくれはないと聞いておりますが、地元の状況からして今後相当厳しい日程になるものと思われます。まだ二期事業のスケジュールにも流動的な部分がございますので、関西国際空港用地造成株式会社とも情報交換をしつつ、埋立工事に支障が出ないよう調整を図ってまいりたいと存じております。
 今後とも地元の意見や要望に誠意を持って対応していくことが重要であると考えてございますので、県といたしましても、二期事業を推進する立場から、地元の理解や協力が得られるよう最大限の努力をしてまいりたいと存じます。
 次に、新飛行ルートの導入による騒音等の影響はないのかというご質問でございます。
 関西国際空港の新たな飛行経路につきましては、昨年十二月三日から運用が開始されたところでございます。騒音等の測定結果によりますと、航空機騒音は十二月のWECPNL、いわゆるうるささ指数でございますけれども、和歌山市大川で最大値六三、日高町高家で五五となっておりまして、いずれも航空機騒音の環境基準でございますWECPNL七〇を下回ってございます。また、地元等においては特に混乱もなく、現在のところ苦情等も聞いてございません。
 なお、今回の新飛行ルートの導入に当たりましては、県からも要請したところでございますけれども、関西国際空港により従来の和歌山市大川に加えて新たにルート直下となりました日高町高家に航空機騒音の常時観測局が設けられてございます。県といたしましては、今後ともこれら測定結果を踏まえまして、関係機関と連携しながら環境監視に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 森議員の町並み整備についてのご質問にお答えいたします。
 まず一点目でございますけれども、これは潤いのある生活環境をつくり出すとともに、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の向上、災害に強い町づくりを進めるため、キャブシステムあるいはCCボックスなどの電線類の地中化を進めているところでございます。
 平成十一年度につきましては、和歌山市内の国道四十二号ほか七路線で三千六百七十八メートルを整備することにいたしておりますが、これによりまして、平成七年度から十一年度までの第三期電線類地中化五カ年計画において予定されておりました一万一千百六十八メートルが完成いたします。今後とも、道路管理者としてより一層の整備に向け電線類の管理者と積極的に調整を図ってまいりたいと考えております。
 二点目でございます。
 JR和歌山駅前における市街地再開発事業につきましては、和歌山市がけやき大通り第二街区において平成九年度に事業推進計画を作成し、現在、関係権利者と事業化に向けた協議を行っているところでございます。また、南海和歌山市駅前における市街地再開発事業につきましても、同様に和歌山市が昭和六十年度に事業推進計画を作成し、それに基づき平成七年度に準備組合が設立され、現在、関係権利者の合意形成と保留床処分計画の策定に取り組んでいるところでございます。
 三点目でございます。
 都市計画道路湊神前線、南港山東線、西脇山口線は、和歌山市内の東西幹線道路として重点的に整備促進を図っているところでございます。現在、湊神前線については、国体道路から東側のJR紀勢本線をまたぐ跨線橋を含め前後の取りつけ工事を行っておりまして、全体として平成十三年度完成の予定であります。また、新堀橋のかけかえ工事につきましても平成十二年度完成の予定であります。
 南港山東線につきましては、国体道路から東側の中島地区でJR紀勢本線を地下式で立体交差する整備を行っておりまして、平成十四年度完成の予定であります。一方、西脇山口線につきましては、和歌山市磯ノ浦から西脇地区と県道梅原和歌山市停車場線の延時から大谷地区の楠見小学校付近の整備事業を行っておりまして、両地区とも平成十四年度完成の予定でございます。今後とも、関係者のご協力を得、早期に整備が図れるよう努力してまいります。
 四点目でございますけれども、議員が申されました三年坂通り、けやき通り、あしべ通りにつきましては、周辺の町にふさわしい歩道、植栽等の整備を行っておりまして、好評をいただいております。現在、各地で都市計画道路等、順次整備中でありますが、これにつきましても町並みの景観等に十分配慮しながら事業を進め、地域に合った町づくりを進めてまいりたいと考えております。
 五点目でございますが、街路樹の剪定につきましては、年一回、それぞれの木の種類に適した時期を選んで行っているところでございます。また、雑草につきましては、地元道路愛護団体等の自主的な参加も含めまして、年二回、特に那智山道──これは県道那智山勝浦線でございますけれども──これらの観光地の道路では特に年三回のペースで刈り取りを行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興についてお答えいたします。
 まず、スポーツ施設の充実と環境づくりについてでありますが、スポーツの振興を図る上で、県民が身近に利用したり、トップレベルのスポーツが可能な場としての施設の充実が大切であります。現在、県有施設の整備のあり方について検討いたしておりますが、あわせて市町村におけるスポーツ施設の充実促進のための国庫補助金確保を含めた支援を一層進めてまいりたいと考えております。
 次に、指導者の育成及び競技力の向上についてであります。
 競技力向上のために指導者の果たす役割は大きく、その資質によって選手の競技力に大きな影響を与えるものであります。県では、競技団体のコーチ、スポーツドクター、スポーツ医科学委員会等が一堂に会したビクトリーサミットを開催しており、また文部省、日本体育協会などが主催するスポーツコーチサミットに本県コーチを参加させるなど、技術指導のみならず科学的なトレーニングの研修にも取り組んでいるところであります。また、新年度にはがんばれ!「スポーツ和歌山」推進事業として、国際大会等で活躍した選手、指導者を招いてのシンポジウムや中央のトップコーチをアドバイザーコーチとして委嘱し、高度な技術、戦術の指導を受けるなど、なお一層指導者の育成に力を入れるための予算をお願いしているところであります。
 最後に、スポーツの拠点づくりについてであります。
 本県の特性を全国にアピールするものとして、豊かで恵まれた海、山、川の自然環境を生かしたアウトドアスポーツが挙げられます。その中でも特に本県の海域はヨットレースに最適と言われ、平成六年に世界レーザー級ヨット選手権大会を開催した際には、各国の競技者に本県の海のすばらしさを認識していただいたところであります。平成十一年度は、県内の海に面した地域を中心に第三回全国マリンスポーツフェアを開催し、さまざまなマリンスポーツを展開することといたしております。
 今後、各市町村と連携しながら、なお一層アウトドアスポーツの普及振興を図り、全国に発信いたしてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番森 正樹君。
○森 正樹君 まず初めに、予算の問題であります。
 新年度で取り崩す三百六十二億円という金額の必然性をお聞きしたのはなぜか、であります。平成十一年度末には二百五十億円の残に対して、平成十二年度もこの新年度と同様三百五十億円程度取り崩すと仮定するならば、新たに百億円積み足しても基金はゼロになるのであります。全国の都道府県は一体どうなっているのか、特に予算規模で類似する県の状況はどうであるのか、この際、総務部長から報告をしていただきたい。
 基金が底をつくというのは非常事態と申さなければなりません。そのような状況がわかった上で、本年三百六十二億円も取り崩す必然性は那辺にあるのか、そういう意味でお聞きをしたんです。したがって、そういう意味で、ただいま申し上げた点、もし答えられるのであればその範囲でお答えをいただきたい。
 地方主権についてであります。
 税財源の地方への移譲について、これに激しく抵抗したのが実は大蔵省であります。これは新聞報道ですが、ちょっと参考までに紹介したいと思います。
 「税財源の分権に抵抗したのが大蔵省だ。政府の巨額の借金を背景に『税財源を政府から地方自治体に移すという言葉はもちろん、具体的な税の名前も報告に書き込んでもらっては困る』と分権委──これは先ほど申し上げた地方分権推進委員会のことであります──に圧力をかけた。 分権委は『財政事情が厳しいからといって足元ばかり見ていてはだめだ。地方財政の在り方について将来のビジョンを示さなければ勧告の意味がない』と応戦したが、結局、勧告には『移す』という言葉さえ記されなかった。 民間有識者による分権委が大蔵省と衝突した時も、当時の橋本首相は傍観していた。最高責任者がリーダーシップを発揮しなかったことが、税財源の分権が進まなかった最大の原因だ」と、このような新聞の報道でありました。
 まさに今、我が国の財政も危機的状況であります。もう既に五百五十兆円近い借金があって、GDPを超えているわけです。和歌山県も同じであります。そういう中で、国にあっては政府がよほど決意を持って大蔵省に対抗して──財政課長に申しわけありませんが、大蔵省に対抗する姿勢を示さない限り、税財源の地方への移譲は進まない。また、各都道府県にあってももちろん同じであります。県から市町村へのそういう分権もしなけりゃいけない。我々は、そこら辺の問題をぜひ真剣に考えていかなければならないと思います。これはもう言いっ放しで答弁は結構でございます。
 ところで、地方分権の際にいつも出てくる言葉がありますが、これは宮澤弘さんという参議院議員の発言で、「機関委任事務制度の廃止には根強い反対がある。その理由として、地方公共団体特に市町村の事務処理能力の欠如の問題があげられる」と。こんな失礼な発言はないと私は思うのであります。要するに、地方に任しておいたら何をするかわからん、危ない、だから地方には任せられないんだと、そういう発言とも場合によってはとれるのであります。
 法定受託事務の件でございますけれども、確かに機関委任事務は廃止されます。これは本当にすばらしいことだと思います。五百六十一もの機関委任事務が廃止されるということは、大変喜ばしいことであります。しかし、法定受託事務という名のもとに約四五%が残るわけです。しかも、国が関与する余地を残してしまった。先ほどの地方への税財源の移譲のところでも申し上げたとおり、大変激しい抵抗をした族議員と大蔵省。この問題についても、中央が地方に対して口出しできる形をそう簡単になくすとは私は思えません。そうした意味で失望したということを先ほど質問の中で申し上げたわけでありますが、今後、粘り強く地方の声として──先ほども申し上げましたように、主権は国民にあるんです。住民にあるんです。だから、地方主権であり、地方分権なんです。そういう意味で、ぜひとも地方の声を中央に上げていっていただきたい、これも要望であります。
 それから、土木部長に一言申し上げたい。
 ちょっと勘違いをされているんじゃないかなと思ったんです。というのは、例えば、片男波海岸とか白良浜とか那智の滝とか高野山とか、そういうところだけが観光地じゃないんですよ。和歌山県というのは観光立県──これは確かに間違いありませんね、知事。観光立県を目指しているんですよね。そういう県にあっては、県域すべてが観光地なんです。外から来たお客さんに、和歌山県はすばらしいところだ、美しい町だと言ってもらえるように、あらゆるところのそうした景観保持のために──そのために私は大久保利通の話をわざわざ引用いたしました。江戸幕府の権力が残っているときには、京都で幕末の志士が走り回る大変な幕末騒乱の中であっても、嵐山の景観、渡月橋を挟んで刻々と変わっていくあの美しい姿が見事にちゃんと保持されていたんです。それはちゃんとしたそうしたシステムがあって、お金がたくさんおりていて、それを維持する人があって、景観は維持されていたんです。ところが、明治政府に変わったために、予算もおりなければ、人もいなくなったし、そうした仕組みもなくなった。だから、わずか六年で嵐山の景観が本当に見る影もなく壊れてしまって、六年ぶりに訪れた大久保利通が愕然とした。そういう意味で、大久保利通は政治の何たるかを教えられる思いだったと、そのように言っているわけです。
 それと同じことを、私は土木部長にもぜひ申し上げたい。観光地はそうした一部のところだけじゃないんです。和歌山県域全体が観光地なんです。そうしたところの景観をきちっと保持していくために、町並みの修景の向上のために、ぜひとも努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、スポーツ振興について一点だけ。
 私、これも議長の代理で武道連盟の式典に参加させていただきました。県立武道館であったんですが、あばら家と言ってしまえば大変失礼かと思いますが、県立の施設としてはとてもお粗末であるということを実感として見させていただきました。この改良にも──ぜひとも新しい、もっと立派なものをつくるべきだと。
 僕は去年、神奈川県に行かしていただいたときに鎌倉市のなぎなた会場に行かしていただきました。そこにすばらしい市の施設の武道館がありました。それと比較対照して見ると余りにも和歌山県立武道館がお粗末であると。過去に宇治田栄蔵議員、長坂隆司議員も発言されておりますが、この県立武道館を含めて施設の改良新設、施設の充実に取り組んでいただきたい。
 それから、スポーツのメッカづくりについてであります。
 一回だけの大会というのは意味がないんです。これは二年置きでも結構ですし、毎年だったらなおいいですが、恒久的な形で続いていくからこそ意味があるのであって、そうした意味でやってほしいと言っているんです。単発では意味がないので、その点だけは重ねて申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 森議員の再質問にお答えを申し上げます。
 まず、他府県の財政状況についてでございます。
 特段把握してございませんが、地方財政をめぐる状況は総じて厳しいものと認識をしてございます。一般会計規模の全国平均では、マイナス四・五%であると理解をしてございます。
 それから、平成十二年度の財政運営についてであります。
 議員ご質問のとおり大変厳しい状況にありますが、歳出の重点化あるいは効率化に取り組んで財政運営に努めてまいりたい、そのように考えます。その場合に、この残る基金も有効に活用しながら予算編成に努めてまいりたいと考えます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 再々質問がございませんので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十六分休憩
      ──────────────────

このページの先頭へ