平成10年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第百四十八号から議案第百七十五号まで、及び報第四号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百四十八号から議案第百七十五号まで、及び知事専決処分報告報第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 35番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 おはようございます。
 通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 まず、政府の経済対策と県の経済対策についてお尋ねをいたします。
 深刻な不況が一向に改善されないまま月日が経過しております。政府は緊急経済対策を今次国会に提案していますが、恐らく効果的には作用しないであろうと言われています。ある新聞が、世論調査では、この対策に期待できると回答したのが一一%、期待できないと答えたのが七一%となっていると報じております。バブルがはじけて後、宮沢内閣から橋本内閣に至る七年間に七回にわたり、事業規模で七十兆円が景気対策につぎ込まれました。そのうち八〇%が公共投資でした。しかし、結局は景気回復にはつながりませんでした。ことし四月に行われた十六兆円を超える総合経済対策も公共投資中心で、これで経済成長率を二%押し上げるとされていたのですが、その宣伝とは裏腹にマイナス一・八%と修正される羽目になりました。今回の景気対策も、結局同じ公共投資中心型の対策になっている限り、国民の多くが同じ愚をなぜ繰り返すのだろうかと考えるのは当然のことではないかと思います。同時に、この公共投資型景気対策が地方自治体に対して、その事業規模に応じて応分の負担を求め、自治体はその都度借金をせざるを得ないというパターンを繰り返しております。和歌山県においても例外ではなく、ことしに入ってからでも経済対策の名による補正予算で、今回の分を含めますと二百二十六億円の借金がふえる結果になりました。これが景気回復につながるのならまだ評価のしようもあるわけですが、景気回復につながらず、国の押しつけにこたえただけということでは、全く国の無策に憤りを感じるわけであります。
 そこでお尋ねをいたしますが、知事は従来の国の景気対策をどのように評価しておられますか。
 また、県の当初予算以降の借金が国の経済対策に呼応することによってできたものだということをどう考えておられますか。
 自治体が行う景気対策というのは大きな限界があります。国の対策に呼応しなければならないという問題もありますが、こういう形の繰り返しでは県財政も、昨年試算した中期展望さえ大きく狂わせてしまうことになってまいります。実際、中期展望の平成十二年度の数値、債務残高六千三億円にほぼ到達しそうであります。この点、どうお考えですか。
 六月の経済対策のときにもお尋ねをいたしましたが、今回の補正が県下の景気対策にどうプラスに作用すると考えられますか。今までのように、投資したのだからそれなりの効果があるだろうというだけでは済まない状態ではないかと思います。少なくとも、景気対策として二百二十六億円の借金をふやしたのですから、その経済効果についてもどうであったかをしっかりと見きわめるべきではないかと思います。いかがでしょうか。
 次に、来年度の予算編成に関してお尋ねをいたします。
 「平成十一年度の予算編成について」という簡単な文書を読ませていただきました。その中で、基本的視点として一番に「先進和歌山」とあって、「時代の先陣を切り二十一世紀を先導する予算を編成する」とありますが、一体どういう内容を含んでおられるのですか。そのようなスローガンのもとに、往々にして県民が望んでもいなかったビッグプロジェクトや、ないよりはあった方がよいという程度のプロジェクトが企画されたりしますので懸念するところであります。
 二番、今年度の普通建設事業費は約二千三百九十億円と歳出の三七%を占め、県税収入が一千二十四億円ですから、その二〇〇%となっております。こんなことを続けていきますと、財政破綻は当然免れません。真剣に考えるべきときではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 思い切った公共工事の削減と、将来に対して少しでも安心を与える福祉制度の前進を目指す施策等を期待するものですが、いかがお考えでしょうか。
 また、「行政改革新大綱の初年度としての徹底した見直し」ともありますが、中心的にはどのようなことが考えられているのでしょうか。いやしくも、県民福祉を犠牲にするようなことはあってはならないと思いますので、念のためにお尋ねを申し上げます。
 次に、不況対策です。
 不況対策として、融資対策で一定の手直しをされていることは多とするところでありますが、現下の状況での零細業者の不安は一層強まるばかりです。六月議会に続いて、いま一度中小零細業者への融資制度の改善について求めたいと思います。
 一つ、制度融資の返済期間延長の問題であります。
 過日の議会で、せっぱ詰まった窮状の救済のために返済期間の途中からの延長をも考えるべきではないかとただしたところでありますが、そのときの答弁は、「返済期間の延長につきましては、各企業の返済能力に応じた期間設定ができないか、また現下の厳しい景気状況からより一層の企業の負担軽減を検討するなど、今後も中小企業者を初め関係機関などの意見も聞きながら融資制度の充実に取り組んでまいりたい」という答弁がございました。
 ついては、その後、どのような改善策が図られたのか、あればお示しいただきたいと思います。
 二番、無担保無保証貸付・特別小口を利用していればその他の制度融資を利用できないという矛盾は、多くの零細な業者の悩みの一つになっております。制度改正を求めたところですが、法的な問題があって困難だという話でありました。国に対しても制度改正を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 三番、不況対策として特別減税が行われ、非課税になった業者があります。その方が制度融資を求めたところ、非課税の者はその対象にならないとされて、制度融資が利用できなくなったというケースがあります。特別減税の制度がなければ借りられたのに、不況対策のそういう措置があったがために借りられなくなったというおかしな矛盾が生まれてきています。これも国に制度改正を求めるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
 四番、年末、年度末に向けて零細業者の資金繰りは一層厳しいものになってくると推察できます。この際、とにかくこの場を乗り切るという緊急避難的な融資制度をつくって困窮する業者の救済に当たってはいかがでしょうか。
 五番、銀行による無慈悲な貸し渋りの話は後を絶ちません。当局として金融機関に対し、中小企業いじめのような貸し渋りなどは許されないことであると厳しく指導されるよう求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 六番、大手企業が受注した県発注工事について、下請させるに当たっては県内企業に当たらせることを常々求めてまいったところでありました。当局も努力されていることを承知しておりますが、まだまだ不十分であります。六月議会に続き、重ねて強力な指導を求めたいと思います。そのためにも、県内業者への下請量がいかほどのものであったかを県自身が把握することが大事だと申し上げたところですが、さきの議会で土木部長の答弁は「大手企業からの県内業者下請量の把握につきましては、関係機関の状況を調査してまいりたい」との話でした。その後どのような調査をされたのか、されておれば明らかにしていただきたいと思います。そして、事業量の把握を全体にわたって具体的に今後とも進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、住金の埋立地の転売問題についてお尋ねをいたします。
 住友金属から関西電力へ西防沖の埋立地の権利移転の申請がなされたと聞きます。報じられるところによりますと、第二工区と第一工区で概算九百億円、うち第二工区の八十一・五ヘクタールで七百七十五億円とされております。私は、今もこの転売そのものが不当だと思っております。公海を埋め立てたものですから、目的が変更されれば県に全体が提供されるべきで、それが有償か無償かは別問題として、県に返還され、県がその使途を定めるべきだと思います。それが原則だと思います。しかし、事は既定のこととして権利移転の方向で進んでおります。八十一・五ヘクタールで七百七十五億円とすると、平米当たり九万五千円となります。果たして、この金額が不当な受益を含まない造成原価なのかどうか、私は大変疑問に思っております。
 マリーナシティは、松下興産に二十七ヘクタールが平米当たり七万六千円で売却されました。西防埋立地は、マリーナシティより二五%高になっております。また、マリーナシティは近在の山を削って土砂を購入し、埋め立ての資材としました。一方、西防は住金自社の産業廃棄物を利用し、また近隣自治体から持ち込まれる廃棄物を埋め立ての資材としました。これらの廃棄物の処理には環境保全公社に一定の料金を払うことになっていましたが、住金は特別に優遇され、他の産廃の七%から一七%の価格で受け入れられました。同時に、埋立地の中の作業代金として環境保全公社から約四十億円が住金に払い込まれました。要するに、住金としては埋立資材には資金の投入が不要であったと考えられます。
 以下、質問をいたします。
 県は、不当な受益の有無をどのようにチェックするのですか。不当な受益と正当な受益の概念をいま一度聞かせてください。何らかの形で益が認められるとすれば、それは土地転がしにつながると考えられますが、いかがでしょうか。
 二番、なお、この権利移転申請に伴う県の審査状況、並びに関係する一切の資料等は公開され、県民に閲覧されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 三番、差し当たり住金の原価計算の内容と護岸の建設費用、並びに売却部分の護岸建設費について明らかにしていただきたいと思います。
 次に、雑賀崎の埋め立て問題についてお尋ねをいたします。
 雑賀崎の埋め立てと大水深バースの建設にかかわって、検討委員会が県の提案した修正案に了承を与えたという報道がありました。報道によると、この修正案では、埋立地をできるだけ双子島より遠ざけ、二〇二〇年に必要と見込まれる港湾機能に限定して機能を縮小し、景観破壊をできるだけ回避したものとされております。現計画は、ベイフロンティア構想実現のための水深十五メートル岸壁の建設を前提として港湾機能の飛躍的な充実を図ろうというものでありました。今回の案は、それに比べると埋立地は規模が相当縮小されたかに見えますが、さきに提示されていた将来構想との関係が見えません。
 そこで、幾つかの点についてお聞きをいたします。
 将来構想、主として現計画で必要とされていた水深十五メートル岸壁の計画やそれにタイアップする港湾用地などについては今後どのようにされようとしているのか。ベイフロンティア計画との関係にも影響すると思うが、どう考えているのかをお示しいただきたいと思います。
 双子島に隣接していた埋立計画が削除され、三十三ヘクタールの埠頭用地の北側に約五百メートルぐらい延長されることになっています。現行計画ではその用地に十四メートルの岸壁を二バース建設することになっていましたが、この埋立地の変更でおのずから港湾機能も変更されると思いますが、いかがなものですか。県としていかなる原案を持っているのか、お示しをいただきたいと思います。
 港湾機能の拡張について、前回に引き続きいま一度お尋ねをいたしますが、去る九月議会で木材輸入の見通しや大型コンテナ船の就航の可能性などについてお尋ねをし、十四メートル岸壁は不必要だと申し上げたところですが、必要だとする説得力のある答弁は残念ながら聞かれませんでした。現在、水深十二メートル、十三メートルの岸壁が建設されつつありますが、これが機能すれば平成二十年を目標年次とする貨物は十分処理できるはずです。十二メートル、十三メートルあれば、今まで入れなかった三万、四万トン級の船舶も入れます。今までの機能をはるかに上回ります。現に、大阪、神戸で処理されていたコンテナもこれで処理できると言われておるわけです。十四メートル岸壁は、どう考えても納得がいきません。ないよりある方がいいという程度のものに巨額の財政を注ぎ込むべきではないと考えます。新たな埋め立てをしなくても、現在企業局が造成しつつある用地があります。この地の有効活用を検討されるべきだと思いますが、どう考えますか。
 景観の問題に移ります。検討委員会の結論は県の原案をよしとしたそうでありますが、気になることがあります。これは新聞報道によるものですが、委員の方から次のような疑問や意見が出ているということについてです。報道によると、公共事業には費用対効果の厳しいチェックが求められているとか、大きな公共工事には民意の反映が必要だとか、大規模な埋め立ての必要性については異論も多い、あるいは緊急に必要なものか、港湾整備の必要性を議論すべきだ、さらには二十世紀型の経済効率第一の計画は問題がある等々の意見が出されたそうであります。表現にニュアンスの相違はありますが、私がこの場で発言してきたこととほとんど共通します。しかし、そういうことは港湾審議会で議論すべきこととして棚上げし、景観問題ではおおむねよしとしたということであります。委員の方々の質問あるいは意見に立場の違った回答が与えられると、恐らく景観問題に対しても異なった回答が返ってくるのではないでしょうか。例えば、もし港湾機能の拡充はそれほど必要でもなければ急ぐ必要もないという前提に立てば、修正案のような形でもノーという結論を得たかもわかりません。逆に、和歌山県経済の死活問題という前提に立てば、現計画でも可とする意見になったかもしれません。そういう意味では、この委員会の性格自体に、結論が絶対化されることに大いに疑問を持つものです。景観問題はこれで結論が出たとして反対論を無視して見切り発車することなく、今後とも十分検討を重ねるべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、南紀用水事業についてお尋ねをいたします。
 南紀用水は、南部川村島ノ瀬ダムから南部川村、南部町、田辺市の一部地域の樹園地千四百六十五ヘクタールを対象として行われています。九五年までの二十三年間にわたって行われた国営事業は、総事業費二百五十九億円で、ダムの建設やポンプアップ、幹線水路などが進められ、負担率は国六〇、県二〇、地元市町村が二〇とされています。県営事業は八九年から二〇〇一年までの十三年計画、約百九十二億円の事業費で、送水管や樹園地内の支線、ポンプアップ、貯水槽がつくられ、既にかなりの施設が完成しています。負担割合は国が五〇、県が二五、土地改良区がそれぞれ二五となっております。土地改良区、つまり農家の負担は十アール当たり約二十三万円となり、加入農家は現在千五百十三戸ですから、平均しますと一戸当たり三百十七万円の負担になります。毎年の農家の負担は莫大であります。例えば、九七年度では、当初の賦課金が十アール当たり五万二千二百円、それに九月補正で一万三千円、合わせて六万五千二百円とのことであります。平均的に一ヘクタールの畑がありますから、工事負担金だけで約六十五万円もの負担となり、五ヘクタールの農家ではこの一年間だけで三百二十五万円もの負担となっています。
 そこで、質問をいたします。
 このような大きな負担は、特に梅の立ち枯れで収入が激減している農家にとっては大変重いものになっております。これまでも、農林公庫からの融資を受けて賦課金を支払っている方もいますが、県として何らかの対策を検討してしかるべきではないかと思います。いかがでしょうか。
 また、ウルグアイ・ラウンド対策ということで補正予算が国からおりてきて追加事業が押し込まれてきたわけですが、そのようなときには農家の負担がさらに大きなものとなります。この点について県の見解をお示しください。
 国営事業でできたダムや幹線の水路の維持管理は国の補助の対象になっておりませんが、末端の樹園地に通じる支線が完成しない間は国営施設の維持費は国に求めるのが筋ではないでしょうか。また、ダム湖にたまった流木の撤去が改良区の責任にされているとのことです。農家負担の過重の折から県の援助が求められていると思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、教育関係についてお尋ねをいたします。
 中教審答申と指導要領の改正について、幾つかの点で教育長にお尋ねをいたします。
 今、学校と子供たちをめぐる状況の中には、我々大人世代が到底理解できないような、考えられないようなことが頻発し、教育現場や父母を困惑させています。校内暴力、不登校、そして最近とみに顕著にあらわれ出した学校の荒れ、あるいは学級崩壊、学校教育の根幹を問い直されるような事象が相次いでいます。学級崩壊等は、東京や大阪のような大都市の問題、対岸の問題と考えられる向きもありましたが、詳細に聞いてみると県下にも数多く発生しており、その萌芽のような兆し、崩壊とまではいかないが、兆しのような事象は無数に見受けられると聞き及びます。その原因についてさまざまな議論がありますが、家庭の問題、社会の問題、学校の問題等々が複合してその原因を複雑に構成していると言われております。
 私は、この場で原因の一つを構成している学校教育の中にある問題をできるだけ早く解決されたいとして、授業内容をもっと削減し、授業にゆとりを持たせ、子供たちが十分理解できるようにすること、また教師がすべての子供たちに十分の目配りができるよう、教員をできるだけ多く配置されたいと求めてきたところであります。授業内容が多過ぎて理解できない子供がたくさんいるという指摘は、相当以前より父母の間から、何よりも子供を指導する教師の間から上がっておりました。みんな教えようと思えばわからない子を残し、みんなにわからせようと思えば教えなければならないことが残ってしまうという矛盾は多くの教員を苦しめており、今もそれは変わりありません。だれよりも子供自身が苦しんでいます。
 全国で約一千の自治体、議会が指導要領の見直しを求めて国に意見書を上げました。県下でも、三割近い自治体から同趣旨の意見書が上がりました。文部省はそのような世論をほとんど無視し、おおむねうまくいっているとして、積極的な対応はほとんどしてきませんでした。ところが、今回文部省が学校教育に関する意識調査なるものを行い、その結果を発表しました。それによりますと、小学生の三割、中学生の六割が授業がわからないということになっています。父母、教師の言っていたことが客観的に証明されたわけであります。そういう中で、過日、学校教育の指導要領の改訂が発表されました。
 マスコミは、見出しで「学習内容の三割削減」、「学級崩壊に配慮 分かる授業を強調」と報じるとともに、今回の改訂のもう一つの大きなセールスポイントとして総合的な学習の時間の導入を新しい特徴として紹介しております。私は、これらの改訂が児童生徒の発達段階に対応した合理的なものであれば大いに歓迎したいところであります。しかし、必ずしも歓迎の言葉だけではありません。新聞では、「詰め込み解消ほど遠く」とか、「果たしてゆとりは生まれるのか」「児童生徒間の学力格差の拡大や学習塾通いの一層の増加」、あるいは「教育内容の削減は抜本的な厳選にはなっていない」などの批判が相次いでいるようであります。
 こんな研究があります。今回の改訂で、学校五日制に加えて総合的な学習の時間が新設されたり、中学校では選択教科がふやされたりするため、各教科の授業時間が必然的に大幅に減らされます。したがって、ゆとりなどは生まれないだろうというのです。また、ある教科書指導会社が作成した教師用指導書によると、今回の改訂で小学校一年生から上の学年に移る内容は全部で七時間分だそうですが、授業時間そのものも二十二時間減らされる、単純計算しても十五時間分詰め込みがひどくなる可能性があるのではないか。やはり教師用指導書によって中学校の内容を検討しているものを見ますと、小学校から移ってくる内容は五十七時間分、中学校から高校へ移るのが三十五時間分、削除されるのが十一時間分、差し引き十一時間分内容がふえている。その上、授業時間は七十時間削減される。こんな例を示されますと、本当に今回の指導要領の改訂でゆとりが生まれるのかという疑問がわいてまいります。
 私は専門家ではありませんので細部にわたる問題はわかりませんが、そういう極めて単純な問題のほか、国語の漢字の話で、小学校二年生が「話」という漢字を習います。「話」という漢字の構成要素であるごんべんに「舌」という漢字は五年生で習うという不思議、議会の「議」という字は四年生で習いますが、その構成要素である義務の「義」の字を五年生で習うなど、どうも認識の発展に即していないこと等もあって、全体として三割削減がイコールゆとりにつながると素直に信じがたい思いであります。それどころか、選択教科の大幅増が子供の小さいころからの選別、差別の流れの中に組み込まれてしまうのではないかという危惧さえするわけです。今回の改訂が果たして本当に精選された内容とそれによるゆとりが子供たちに与えられるのかどうか、教育長の所信をお尋ねいたします。
 次に、教員定数の問題に触れたいと思います。
 子供たちが、学校の授業がわからない、先生の指導を十分に受けとめられない、そこからさまざまな矛盾が生まれてきていることについて、現在の四十人学級を三十人学級にされたい、そして差し当たり三十五人学級へ県独自の取り組みをされたいと求めてまいりました。残念ながら、財政事情が許さない、あるいは文部省の隠然たる圧力がそれを許さないということで、かなえられるところとはなりませんでした。しかし、子供たちの世界の現実は、この問題に猶予がないことを物語っています。
 中央教育審議会は、七月にその答申を発表しましたが、その中で教員の配置は地方の教育委員会の裁量で行えることを提示しています。この答申は、教員定数をいつまで何名にするのか、その財源を国の責任でどうするのかを示さない致命的な弱点を持っておりますが、地方の裁量を認めた点は前向きに評価できるところだと思います。この裁量権を大いに活用し、三十人学級の実現に独自の努力を求めたいものであります。
 差し当たり、教育困難校に教員を加配することから始め、国の教員定数拡大を先取りして教員配置での先進県をスタートさせてはいかがでしょうか。財政を理由に教員配置をおくらせるようなことがあっては百年の計に誤りを来します。財政難の中ですが、教育への財政配分を高くして教員増を図るべきだと思います。ぜひ努力していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、同和加配教員も同和に拘束することなく県下全体を見渡し、本来必要とされるところに重点配置を考えるなどされるのが望まれていると思いますが、いかがでしょうか。
 以上で、第一問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 まず、国と県の経済対策などについてであります。
 まず、公共投資を中心とする景気対策についてでございます。
 民間需要の低迷が続く中では公的需要による景気下支えの必要があるわけでございます。加えて本県におきましては、道路等の基盤整備が県政の重要課題となっておるわけでございます。こうした公共投資の大部分は地方において執行されますので、一連の景気対策においては、国と地方がいわば車の両輪としてそれぞれの役割を適切に果たすことが求められてまいったわけでございます。その間、確かに公債残高が累増し、後年度の負担の増大を招くこととなりましたが、税収の低迷など厳しい財源事情の中で地域経済の回復を図るためにはやむを得なかったところでございまして、またこの間、県民の要望の大きい道路整備など社会資本の整備が着実に進捗したところでございます。
 今議会の冒頭でも若干申し上げましたが、現在の景気低迷は先行きに不安を抱く家計等のマインドの冷え込みによるところが大きいわけでございます。したがって、県民が雇用や老後に不安を抱かずに生活できるよう、明るく安心して暮らせる地域社会を築いていくこともまた極めて重要であると認識をしてございます。
 私は、県民生活や地域の振興に責任を持つ立場にある者として、県民の将来のためにこれまで懸命の努力をしてまいりましたし、今後もまたその努力を続けていきたいと考えてございます。
 次に、平成十一年度の予算編成についてでございます。
 中期的視点に立って、新たな時代における県のあるべき姿を見据えながら、県勢の活性化と県民生活の安定向上を目指す予算づくりを行いますとともに、行政改革を一層推進いたしまして、行政の質の向上を図ることにより県民の負託にこたえてまいる所存でございます。
 行政の守備範囲というのもございますけれども、それを十分見きわめながら、今後とも本県の実情に即し、複雑多様化する県民のニーズに適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 不況対策の質問のうち、二点についてお答えします。
 まず、制度融資の幾つかの改善についてであります。
 県では、中小企業金融の円滑化に向け、融資制度の充実に取り組んできているところであります。融資相談や不況対策特別資金の申し込み時に、長引く景気の低迷から売り上げが減少した、あるいは売り上げが横ばいでも利益幅が減少しているといった切実な中小企業者からの声が多くなってきている現状があります。これまでも、県では信用保証協会を初め、各金融機関に対して中小企業者の個々の経営状況に応じた弾力的な対応をお願いしているところであります。
 議員ご質問の返済期間の延長につきましては、各関係機関とも協議を行っておりますが、種々の問題があり、困難であると考えてございます。しかしながら、企業の経営状態は個々異なっており、それぞれの窓口では返済期間、返済条件等について中小企業者の希望も十分聞きながら取り組みを行っていただいているところでございます。
 次に、特別小口資金と他制度との併用につきましては、十月の中小企業信用保険法の改正に伴い、特別小口資金の融資限度額を七百五十万円から一千万円に引き上げ実施しているところであります。この特別小口資金の利用状況が平均約三百万円という実績から見ましても、対象としている中小零細企業者の資金需要には対応できているものと考えてございます。
 また、特別減税による取り扱いについてでございますが、中小企業信用保険法に基づく特別小口保険制度では、通商産業省令により源泉徴収による所得税以外の所得税、事業税または都道府県民税もしくは市町村民税のいずれかについて、保証委託の申し込みの日以前一年間において納期が到来した税額があるものであって、かつ当該税額を完納していることとなっております。したがって、特別減税により市町村民税の所得割額がゼロとなっていましても、ことし三月の確定申告による所得税を完納されている場合は特別小口資金の保証対象となっており、信用保証協会においてもそのような取り扱いを行ってございます。ただ、今後につきましては、中小零細企業者の声を国に対し伝えてまいりたいと考えてございます。
 次に、緊急避難的な融資制度につきましては、先日の森本議員のご質問でもお答えしましたように、不況対策特別資金を創設し取り組んできているところであります。十月末現在、件数で千二百九十六件、金額で百七十八億五千万円となっており、この利用実績から見ても、中小零細企業者の緊急的な資金需要にも対応できているものと考えてございます。
 次に、貸し渋りについてであります。信用組合を除く金融機関の指導監督は国が行っており、県は行政指導できる立場にございませんが、現下の厳しい経済情勢を踏まえ、これまで各金融機関に対し文書等で中小企業金融の円滑化を要請してまいりました。また、国の中小企業金融対策として創設された中小企業金融安定化特別保証制度の実施に当たっても、各金融機関に対し本制度の趣旨の周知徹底を図るとともに、運用に万全を期するよう要請しているところであり、今後も信用保証協会を初め、各金融機関と連携を図り、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 議員のご質問にお答えいたします。
 まず、不況対策のうち、大型公共工事と下請事業量の把握についてでございます。
 建設業の健全な発展を図るためには、適正な元請、下請関係の形成は最も重要な課題の一つととらえております。こうした観点から、平成十二年度より稼働予定であります和歌山県土木工事事務管理システムの中で県発注工事における下請条件について、県外企業が受注した工事も含め、一次下請まですべて把握可能になるように検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、西防埋立地の転売についての幾つかのご質問でございます。
 一点目といたしまして、不当な受益のチェックについてでございます。
 公有水面埋立法上、不当受益の有無は譲渡価格が適正であるかと否かにより判断することになりますが、本埋立地の場合、譲渡価格が埋め立てに要した費用の範囲内であるかどうかにより判断することになります。
 次に、関係情報の公開の問題でございます。
 権利移転許可申請につきましては、現在担当課の方で検査中でありますので、現段階での権利移転許可申請書等の公開は困難であると考えております。
 なお、審査結果が出た段階で、審査内容を含めて何らかの形で明らかにすることを考えております。
 次に、原価計算と護岸の建設費についてでございますが、申請につきましては、先ほど申し上げましたけれども、現在審査中であります。
 申請書に記載されている計算方法としましては、護岸工、附帯工、造成費等の西防埋立地全体の事業費を各工区へ面積案分等により割り振った後、建設期間中の金利を加えた額を造成原価としております。
 なお、造成原価の詳細な内訳につきましては、現在審査中の段階であることから、公表することにつきましては差し控えさせていただきたいと考えております。
 次に、雑賀崎の埋め立てと港湾建設に関する幾つかのご質問でございます。
 まず、修正案と将来構想についてでございますが、大水深の十五メートル岸壁につきましては、将来の需要動向を見きわめながら取り組むべき事項であり、昨年十一月に改定された港湾計画に位置づけられたものでないことは、これまで申し上げてきたとおりであります。
 なお、ベイフロンティア構想と申しますのは、和歌山下津港を含む紀伊水道地域において、さまざまな分野での連携を通してこの地域を発展させようという将来ビジョンを理念として掲げているものであります。したがいまして、これは長期的に取り組むべき課題であると考えております。
 次に、修正案のもとでの港湾機能についてでございますが、港湾機能の内容についての県の基本的な考え方を申し上げさせていただきますと、まず一点目といたしまして、港湾計画改定の基本方針であります物流需要の増大、及び船舶の大型化に対応し、物流コストの低減を図るためには大水深の外貿ターミナルが必要であることから、マイナス十四メートル岸壁二バース、及び埠頭用地は現計画どおり確保していきたいと考えております。しかしながら、二点目といたしまして、港湾関連用地等については景観保全の観点から縮小せざるを得ず、その不足分につきましては本港沖地区外での確保などの検討を行いたいと考えております。
 次に、十二メートル、十三メートル岸壁で十分ではとのご質問ですが、貨物需要の増大、及び船舶の大型化に対応するためには、既設の水深十メートル、十二メートルの岸壁、建設中の水深十三メートル岸壁、あるいは造成中の用地では対応できず、水深十四メートル岸壁が新たに必要だということから、今回の和歌山下津港港湾計画改定におきましてはこの十四メートル岸壁を本港沖地区に計画し、必要な面積を確保するものでございます。
 なお、西浜地区の水深十二メートル、水深十三メートルの岸壁につきましては、外貿コンテナ貨物を中心に多目的に取り扱う計画としております。
 景観についてのご質問でございますが、景観問題につきましては景観検討委員会で検討してきていただいております。
 先日行われました第三回の景観検討委員会におきまして、それまでの二回の委員会での景観面からの検討、及び八月に行われた地方港湾審議会の意見を踏まえ、景観保全に配慮したものを提案したところでございます。その提案に対しましては、景観の専門家として景観上許容できるとの意見をいただくとともに、港湾機能については地方港湾審議会で議論されるべきものという意見もいただいておるわけでございます。
 なお、今後の予定といたしましては、最終の景観検討委員会のご議論を踏まえ、地元の方々や関係者の方々に理解を得られるよう努力し、地方港湾審議会や国の港湾審議会で審議していただく必要があるものと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
  〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 鶴田議員のご質問にお答え申し上げます。
 南紀用水についてでございますが、南紀用水事業は、田辺市ほか二町村にまたがる樹園地千四百六十五ヘクタールにかんがい施設及び防除施設を設置することを目的としてございます。ダム及び幹線水路等を整備する国営事業につきましては平成七年度に完了し、現在、支川及び圃場内のスプリンクラーを設置する県営事業を鋭意進めているところでありまして、平成十年度までの進捗率は六九・七%となってございます。
 地元負担金についてでございますが、国営事業の地元負担につきましては全額市町村が負担しており、県営事業につきましては二五%を農家が負担しております。地元負担金につきましては、南紀用水土地改良区が負担団体として組合員から賦課金を徴収しておりますので、今後、改良区の意見も伺ってまいりたいと考えています。
 次に、事業執行についてでございますが、改良区から事業の早期完成を強く要望されており、国の補正予算等を積極的に確保し、事業推進に鋭意努めているところでございます。補正予算に対する地元負担については、改良区が農林金融公庫から借り入れをし、農家の支出金の平準化に努めているところでございます。
 次に、施設の維持管理費の軽減についてでございますが、国営事業で造成されたダム等の施設につきましては、現在、改良区が管理しております。南紀用水地区については国の補助事業の要件に該当しないため、制度拡充について強く要望してまいったところでございますが、引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。
 なお、現在供用を開始していない国営造成施設の管理費については地元市町村が改良区に助成しているところですが、今後、施設の管理について改良区、市町村の意見を聞きながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) このたび公表されました新しい学習指導要領案は、完全学校週五日制のもと、ゆとりの中で特色ある教育を展開し、子供たちに生きる力をはぐくむことをねらいとしております。
 今回の改訂では、授業の時間数を減らす以上に教科内容を厳選するとともに、総合的な学習の時間、選択幅の拡大など、各学校が創意工夫を生かした教育を推進するようになっております。さらに、子供たちが基礎的、基本的な内容をじっくり学ぶとともに、個性や興味、関心等に応じた体験的、問題解決的な学習に取り組むことを重視しており、これからの教育にとって意義あるものと受けとめているところでございます。こうした趣旨を実現するためには、ともすれば知識を教え込むことになりがちであった授業から、子供たちの自発性を生かし、わかりやすく楽しい授業を目指す必要があります。
 教育委員会といたしましては、新しい学習指導要領の趣旨や改善点について各学校が十分に理解を深めるとともに、主体的に研究を進め、子供たちにゆとりの中で生きる力をはぐくむことができるよう指導してまいりたいと存じます。
 次に、本年九月に出された中央教育審議会答申に関してでございますが、さきに松本泰造議員にお答えしましたように、都道府県や市町村の裁量によって学級編制や教職員配置の弾力化などの見直しを行うとの方向が示されました。しかしながら、国庫負担による教職員定数は従来のままであること、また地方財政が大変厳しいことなど大きな課題があり、実施に向けた工夫等についてさまざまな角度から慎重に研究する必要があると考えております。
 なお、議員からお話のありました学校への教員加配は、現状では困難でございます。また、同和教育加配教員につきましては、同和教育上の課題解決のための特別施策として配置しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問並びに要望をさせていただきたいと思います。
 県の経済対策の問題と借金の増大の問題について意見を申し上げたいと思います。
 国の経済対策が発表されるごとに、県の借金が六十億、八十億というような単位で、その都度ふえていくわけですね。地方が国に一定の協力をしなければならないというのは、今の体制の中ではやむを得ない側面はあろうと思いますけれども、しかしそういうことで漫然と借金をふやしていくというやり方は当然納得できないところだと思うんです。昨年も、県民全体に対して「県民の友」を通じ、県にはこんなに借金ができたんだ、大変なんだという広報をされたと思うんですけれども、その中で、県としてはこれからは考えるべきところは考えていかなければならないと言われているわけです。この調子でいきますと、本当に雪だるま式以上の膨大な借金ができる、財政破綻が近く到来するのではないかという懸念が起こります。来年の予算で、ことし補正でふやした分だけの借金を減らしていくんだということであればまだ話はわかりますが、恐らくそういうことにはならんでしょう。またまた上積みの借金が出てくるというようなことになれば、それこそ財政が危機的状況になると思います。もっと、主体性を持った検討が必要ではないかと思います。道路ができ、建物ができ、社会資本が蓄積されるという大義はありますけれども、それだけでは将来、県民全体への負担を増加させ、教育や福祉の方への行政サービスの低下を必須のものにしていくだろうと思います。意見として申し上げ、来年度の予算編成に当たって十分の検討をしていただきたいと思います。
 次に、港湾関係についてお尋ねをいたします。
 私、十二メートル、十三メートルのバースがどれだけの機能を果たすのかという設問と、それだけあれば当初、目標年度にしていた貨物の取り扱いはできるのではないかとお尋ねをするわけですけれども、なぜそういう施設だけでは不足なのかということが、回答としては幾度お尋ねしても出てこないわけです。とにかく、そのときには対応できなくなるから十四メートルが必要なんだ、埋立地が必要なんだという話しか返ってこないんです。十二メートル、十三メートルという今までにない大きな機能を持つ岸壁ができるわけですから、十分に対応できるはずだと思うんです。ところが、できないと言う。できないという根拠が全然出てこないんですね。こういう点を少し明らかにしてください。とにかく十四メートルが将来必要なんだ、船が大きくなるから必要なんだということだけでは納得いきません。莫大な公共投資が必要とされる計画ですから、それなりの明確な根拠のないまま突き進むということは許されないことだろうと思います。
 景観問題について一言触れておきたいと思うんですけれども。
 あの修正案で是とする人ももちろんおられるでしょうが、地元自治会の皆さん方、あるいは景観保存の運動をされている方々は、これでは納得がいかないということで運動を続けておられて、それは認めることはできないという意見が出されているわけです。県として、そういう意見に対して十分話し合いをするということは大いに望ましいことですが、見切り発車をするようなことは絶対あってはならないと思うんです。年度内に港湾審議会にかけてしまうというスケジュールがあって、それに合わせて事を運んでいくというようなことがあれば、それは県民の願いを踏みにじっていくことになります。とりたてて急がなければならない計画でもないと思いますので、十分県民の意見を聴取されるように、そういう場を保障されることを望みたいと思います。
 私自身としては、その必要性そのものが認められるとは思いませんので、修正案自体も認められないという立場でございます。十分検討していただきたいと思います。
 それから西防の権利移転の問題についてですが、県と住友の間で情報を独占したまま、県民の目の届かないところで審査を、事を進めるというのは同意できません。公海を埋めて、その目的を変更し転売するというんですから、不当な受益をその中に含んでいないと自信を持って住金も言われるのであれば、正々堂々と公開をして事を運ぶべきだと思います。住金と県との話の決着がついてから情報を公開しようというのでは、これも情報公開の精神に反することだと思います。現時点からでも全面的に公開されることを望みます。
 港湾関係については、二点質問です。
 教育関係については、幾つかの要望をしたいと思いましたが、時間が来てしまいました。
 過去の指導要領に対応した県の教育委員会が、この指導要領で十分だということを再三言われてきたんです。ところが実態は、子供たちの荒れを生み、学級崩壊を生むような結果の一因をもつくっていると。ごく最近まで、あの指導要領で十分いけんるだと文部省も言い、県教委も言っていたんです。そういうような状態がありますので、今回の指導要領の改訂についても、これで十分だというふうな立場に立たないで、これからいろんな意見が出てまいりますから、それを十分酌み取って本当にわかりやすい授業、楽しい授業が子供たちに与えられるようになれば、それはそれでいいんですけれども、そうではないという意見もたくさん出ておりますし、私自身も危惧するところです。十分これから研究をされて、子供たちに豊かな教育が与えられるよう教育委員会として指導していただきたいことを要望して、終わります。
○議長(下川俊樹君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えします。
 質問は、水深十四メートル岸壁の問題と西防の公開するかどうかというふうに解してよろしいでしょうか。
 まず、水深十四メートル岸壁の方ですけれども、我々も平成二十年代の前半に貨物量が五千八百七十万トンになるという推計をしているということが一点と、現在でもそうなんですけれども、船舶が大型化しておって、もちろん西浜の水深十二メートル、十三メートルという新しい岸壁、そういう既定計画に位置づけられている岸壁も十分利用したいということも前提にして計画しておるわけでございます。
 なお、その事業着手につきましては、既存岸壁の利用状況、貨物の需要動向、費用対効果などを勘案して実施しなくてはならんと考えております。
 それから、申請内容を公開しないのはおかしい、公開すべきだというご議論ですけれども、現在審査中ということで、審査結果が出ておりません。我々は、公正な審査をしたいと思っております。公開の問題は公正な審査を妨げるおそれがあると私たちは考えておりまして、そういうところから困難だと申し上げたわけでございます。先ほど申し上げましたように、審査結果が出た段階で対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。

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