平成10年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(森本明雄議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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【日程第一 議案第百四十八号から議案第百七十五号まで、及び報第四号】
【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百四十八号から議案第百七十五号まで、及び知事専決処分報告報第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
40番森本明雄君。
〔森本明雄君、登壇〕(拍手)
○森本明雄君 おはようございます。
通告に従って、順次質問を進めてまいります。
最初に、介護保険の諸問題についてであります。
現在、県、市町村において介護保険の実施に向かって多くの課題と取り組んでいると考えます。そうした中、全国町村会は、町村の実施準備が整わない場合は施行の延期を検討するよう政府に求める要望書を提出しています。平成十二年からの施行については、県内市町村が円滑な運営ができるように県も万全を期していただきたいことをお願いするものでありますが、県内市町村の実施準備状況と県の支援策についてお伺いいたします。
多くの方が指摘しているのは、保険あって介護なしという状況になるのではないかということであります。現在においても、高齢者の介護サービスの水準は市町村によって極めて格差が見られます。さらに、在宅サービスが非常にウエートを大きくするわけであります。実際に二十四時間の介護サービスが実現しなければ在宅サービスは本当の意味で実現しないと考えます。保険負担があれば、公平で十分な給付が行われるということが必要であります。老人保健福祉計画に対する達成状況はおおむね順調だとは考えますが、地域やサービスの種類により差があると考えます。このような状況を考えると、平成十二年にどういう状況が我々の目の前にあるのだろうかと懸念をせざるを得ないのであります。問題は、介護保険がスタートした後にさらに高齢化が進むわけで、新たな介護基盤の整備に引き続き努めなければなりません。
厚生省では、来年秋をめどに、新たな介護保険事業計画を策定するためのデータの収集とどのようなサービス水準が本当に望ましいかという視点に立って、計画策定の基本指針とか目標値を示して市町村に指導していると伺っています。しかし、その中身は現行の水準を大きく超えるようなものは想定されていないようであります。そして、本年七月末、全国の介護保険担当者らを集めて、サービス量の多い要介護度五の場合、週当たりどの程度のサービスが妥当であるかというような水準を示しています。これで十分かどうかという点になりますと、絶対水準の問題でございますので、まだ努力が必要だと考えます。したがって、平成十二年に達成される老人保健福祉計画の目指した水準がそれだけで十分なのかどうかという、もう一度このところから改めて考えて二十一世紀の新たな介護基盤整備のための計画を策定すべきであると考えますが、所見をお伺いいたします。
保険料がどれくらいになるのか、各市町村での推計が始まっています。推計の根拠になる試算を見てまいりますと、当初介護保険発足の段階において、介護ニーズは在宅サービス要求としてあらわれてくる割合を四〇%として利用率を想定しています。しかし現実には、市町村の議論を見てみますと施設介護ニーズは当初より極めて高く、高率に試算しているようであります。例えば、老人病院において長期療養しているお年寄り等について、介護が必要であるという人は介護保険の適用にということになっています。そうしたことから、ある県では、現在、六カ月以上病院に入院している方が約六千名、これを全部療養型病床なりそうしたところへ移していく、そうして介護保険で給付したときどれくらいかかるかという試算を始めています。いわゆる介護保険に対するニーズは、当初予想の四〇%というより、費用水準で見ていく場合には、非常に当初から発生しそうだということであります。そうすると、介護度判定を操作して必要な介護を給付しないよう制約していく。市町村の財政等の状況の中でそうした方向に行くようなことがあれば、高齢者の介護と医療とを分断するという原則が崩れてくるおそれがあります。
現在、各市町村で介護保険事業計画を策定し、その策定の基盤についての実態調査結果に基づいて、厚生省では各市町村で保険料や給付費等が見込まれるような計算表、ワークシートを示すということで、既に平均利用額が──これは試算でありますが──示されています。施設サービスにつきましては、おおむね一〇〇%の前提で計算がされています。あくまで、一定の水準で客観的に評価できる介護度判定を行って、施設介護が必要である水準に達した人たちについて一〇〇%提供していこうという内容であって、現在老人病院に入院している社会的入院の方も含めてすべて施設サービスをしていこうというものではありません。施設入所か医療機関への老人の入院が基本である状況の中において、四〇%に置いたまま、結果において、現在の老人病院から在宅でとなった場合にそれを受け入れられるか。結局、市町村とすると、施設入所を続けさせるとすれば非常に介護保険料は高いものになっていかざるを得ません。そうした矛盾に、各市町村においても突き当たってきたと考えます。どのように認識されているのか、お伺いいたします。
標準的年金受給者において、基準値を何ぼにするのか。当初二千五百円と言われていましたが、確定はしていません。基準値に対して〇・五、〇・七五という世帯がふえるほど基準値を上げていかなければならないことははっきりしています。とりわけ高齢化が進んでいる過疎地へ行くほど、高齢者の所得は比較的低い方々が多くなります。その地域で〇・五や〇・七五といっても、同時に高齢化が高くてニーズの発生が高くなりますので、基準値をどうするのかということを抜きにしたまま五段階に分けて、三倍の枠の中で分けてしまいますよということにどれだけの意味があるのだろうか。確かに、所得に着目するということも大事ではありますが、基準値を一体幾らにするのか、格差をどれくらいにするのが介護保険にとって大事なのかというメジャーがないままに、所得格差によって五段階ということだけが先行した議論をされているというのは非常に問題があると考えるものであります。
このように言いますと厚生省は、全体の中で二五%の国庫負担をしている、うち五%を調整交付金という形にして後期高齢者の数、所得分布、こういったものを調整すると言います。そして、全国平均をなるべくならしていこうと考えているのではないかと思われます。しかし、多くの施設があって受益の多いところは、それに見合った負担が必要になります。この問題は、保険制度全体の枠組みの中の一七%の世界での議論であります。しかも、国庫負担の中の五%を調整金として使うにもかかわらず、この制度の中において地域的に高齢率が高い、所得が低いところにおいて平均値を上げていかざるを得ない実情について対策があるのか、お伺いいたします。
高齢者の介護保険料については、先ほども少し触れましたように所得階級別の五段階を考えられています。低所得者への負担を軽減する一方で、高額所得者には所得に応じて負担することになります。具体的には、市町村民税が本人が非課税の場合を基準一とし、市町村民税が世帯単位で非課税の世帯に属する方は基準額の〇・七五倍、特にその中で老齢福祉年金の受給者あるいは生活保護の受給者は〇・五、市町村民税の課税対象者は所得に応じ基準額の〇・五から一・五倍と、格差が三倍になります。老人保健の利用率と比べて介護のニーズの発生が低い状況の中で三倍の格差になった場合、介護保険に加入したくないというケースがふえてくるのではなかろうかと考えますが、見解をお伺いいたします。
低所得者対策でありますが、介護保険がスタートした後に、低所得者の人が介護サービスを妨げられるようなことがあってはいけません。とりわけ一部自己負担、一割定率の自己負担が介護保険に導入されますが、低所得者対策はさまざまな形のものを準備すべきであると考えます。現行では、保険料の減免、食費の軽減、高額介護サービス費という三点について示されていますが、自己負担の一部減免をどのような形で行っていくのか、必ずしも具体的な方向性が示されていると思えません。法文では、災害等その他厚生省令で定める特別の事情の場合には減免できると書かれていますが、どの程度の範囲でとらえるのか。限局すれば、低所得者の人が極めて使いにくい制度になるわけであります。どのような支援策が考えられるのか、お伺いいたします。
介護保険に係る事務費についてであります。
国保につきましては、国が一〇〇%でもってスタートしましたが、現在では全部一般財源化をして補助制度はありません。一般財源化と言うと聞こえはよいのではありますが、交付税の総額は決まっています。結局市町村に押しつけられるのではないか、財源は渡さずに事務だけ押しつけられるとの思いがあると思います。特に、老人福祉制度と老人保健制度の一部を再編して構築するという面が強いだけに、介護保険制度の創設に係る市町村の事務に要する経費は、すべてが新規に発生するものばかりではありませんが、新たに生じた事務、特に要介護認定事務を的確にやることが公平な保険給付を行うために重要であります。統一的な水準の確保を図る必要もあります。今後、事務量の実態把握を行い、その結果を踏まえながら、立ち上がり用経費、そのほか必要なものは要求して施行に万全を期していただきたいと考えますが、対応についてお伺いいたします。
介護保険と老人保健が併存する状態になった場合、お年寄りの負担という面をどう考えるのか。自己負担の問題につきましては、介護保険は一割、医療保険は定額負担というシステムになっています。現在、老人医療費約十兆円の中でお年寄り自身が自己負担している金額は約五千億円、そしてお年寄りが世帯として支払っている保険料が約五千億円で計約一兆円、総老人医療費の中の一割を老人の方々、老人世帯が負担しています。介護保険は、制度として一割を本人が負担する、そして保険給付の一七%、トータルに戻しますと一五・三%は老人世帯が負担、合計二五・三%を老人世帯が負担するという内容になっています。すなわち、現状の老人医療においては一〇%であるものが、介護保険においては二五・三%を老人世帯が負担するということであります。ここのところの整合性を図っていくためには、若干の手直しや拠出制度という形で現行の制度を維持していくという枠の中ではこの大きな問題は解決しないと考えます。この点につきましては、厚生省では自己負担額の問題だけの議論であって保険制度全体の中における整合性の議論に今まだ十分入れていないのではないか。入らないとすると、介護保険における給付の内容と医療保険給付の内容において、本来介護保険が目的とした内容が崩されてくる危険性が非常にあると考えますが、見解と対応についてお伺いいたします。
次に、教育問題についてであります。
教育改革につきましては、昨年一月に教育改革プログラムを文部省が公表し、八月に改定、さらに本年四月に改定をいたしました。非常に多岐にわたる内容であります。それは、心の教育であるとか、選択肢の拡大、現場を重視した学校教育制度、研究、大学の活性化などの四本柱が中心でありますが、中高一貫教育に関しては中等教育の選択肢の拡大が一番大きな眼目だと考えます。
特に中等教育の場合、人間の成長の上にとっては、能力、適性、興味、関心、あるいは将来の進路希望が非常に大きく変わる時期であります。それだけに、それに対応できる学校制度が必要だということで、そうした考え方に基づき、六・三・三・四というものを一応基本に置きながら中等教育の中での選択肢の拡大を図るということから、中高一貫教育の選択的な導入、これによって生徒一人一人の個性を尊重した教育が行えるものと考えます。
私が中高一貫教育の導入を主張してきたその大きな目的は、子供が希望する高校への全員入学を保障するという考え方にありました。それは、思春期という心身発達上、大切な時期にもかかわらず、高校受験という関門のために潤いのある豊かな教育を受ける機会を阻害されている現状を憂うとともに、現代社会においては高校まで学習を保障するということが望ましいという立場に立っているからであります。もちろん、保障という意味ですから、中学校を卒業してすぐにということは必ずしも必要ありません。そういう観点からしますと、中高一貫教育の導入、高校入試の廃止ということは、その目的を達成するためのあくまでも手段であると考えています。
現在、高校の進学率は既に九七%です。いつも思うのでありますが、どうして高校入試制度は三%だけが残るのだろうか、こんな上手な制度をだれがつくるのだろうと。三%全員が入りたいのに行けないというわけでありませんから少し正確ではありませんが、少しだけ不満の残る人たちをいつもつくっている制度というのは何だろうと考えます。このように言うと、まだあいているところもあるよと、なかなか議論がかみ合いません。
さて、中高一貫校の整備につきましては、文部省では、中高一貫校は既存の中学校、高等学校に加えて、地方公共団体等の設置者の判断によって設けるものですと言っています。現在、県においても中高一貫校をどのように整備すべきかと検討がなされていると考えます。
中高一貫教育の形として、文部省は三つのスタイルを示しています。一つは、六年間を一貫した中等教育学校という新しい学校種として中高一貫教育を実施する。二つ目は、併設型、同一の設置者が中学校と高等学校を設ける。これは組織としては別ですが、その間は選抜なしにつなぐという形で中高一貫教育を実施。三つ目は、県立の高等学校と市町村立の中学校。現在はそういう形で行われていますが、設置者はかえないままであっても連携を密にするという形で中高一貫教育を行うと考えているようです。
和歌山市は別として、それ以外の市町村で中高一貫教育を導入するとすれば、やはり連携型、一部今の形、そして連携型としても、その中・高間の連携を強めることによって実質的には中高一貫校に近いものができるわけで、そういう意味で中・高間の選抜方法について改善をぜひともしていただきたいと考えます。
高校の選抜につきましては、学校教育法施行規則五十九条に規定されています。学力検査か調査書、どちらかが最低限必要であるということになっています。最近、文部省は、どちらも課さなくても入学させられるよう規則を改正する方針を固めたようであります。早ければ平成十二年春の入試から反映される見通しでありますが、県教委や各高校が導入するかは未知数であります。要するに、市町村立の中学校と県立の高校が連携するわけであります。中高一貫であるという特色を生かすためには、今までと同じ入学者選抜という形では何のための一貫かということになります。
そこで、まず一点に現時点での中高一貫教育の評価、二点目に中高一貫教育の導入計画とその整備について、三点、五十九条規則改正の方針に対する見解と対応について、四点目、高校入試で少しだけ不満の残る人たちをつくることに何の意味もないと考えますが、以上四点についてお伺いいたします。
次に、中小企業の金融対策についてであります。
現下の不況並びに金融システムに対する不安から起きている信用収縮の影響を最も受けているのは中小企業だと考えます。通産省が十二月七日発表した十一月の貸し渋り調査によりますと、金融機関の中小企業に対する融資条件は依然厳しさが続いているようであります。県では、こうした中小企業に対する融資枠の拡大を十二月議会に提案しています。国におきましても、貸し渋り対策として十月一日より別途特別の保証制度、二十兆円の保証制度を発足させました。少し中身を見ますと、二千億円を各県の保証協会に注入します。事故率につきましては通常二%を想定しているようで、実績は二%を割っていますが、今回仮に事故率を一〇%まで上げ、その回収率を五〇%とし、すなわち総保証額の五%で一兆円、八千億円が保険公庫、二千億円が保証協会で約二十兆円の保証が可能という仕組みであります。これはあくまで仮置きの数字だと考えますが、従来の保証協会の事故率は一・五%、最近でも一・七%から二%弱ですので、一〇%の事故率は大胆な想定で、本当にそこまでのことができるかどうかという実務的な問題もあります。また、代位弁済につきましても、厳しい状況の中で回収率五〇%は無理な数字とも考えます。事故率を一〇%に持っていきますと、審査の基準は相当に緩やかになってくるのではないか、またそうでないと貸し渋りがここで防止できないと考えます。しかし、保証協会にしても、いきなり緩めろといっても簡単に物事、考え方というのは転換できません。
県におきましても、保証協会の運営支援について十分相談をしていただき、額は用意したが実際には保証を行うことはできないということは避けなければならないと考えます。救いは、新しいこの制度におきましては信用保証協会の既存の基金とは別にスペシャルアカウントをつくっていますので、ある意味では後顧の憂いなく保証ができることかと考えます。既に金融機関の貸し渋りに苦しむ中小企業は、保証協会の特別枠に利用が急増しているようであります。和歌山市におきましても、申込者が市の窓口に殺到しているようであります。したがって、二千億で果たして緩むのか。確かに、効果は大きいと考えます。損失を二千億でカバーできる場合はいいですが、それを超える場合も十分考えられます。受け取る保証料につきましては、六を保証協会、四を公庫が、てん補は現在七〇%、八〇%の二つの制度が原則で、例外的に九〇%、一〇〇%があります。このように取り分が逆転していますが、では、てん補率が一〇〇%がよいのかとなりますと、モラルハザードが発生する懸念と、あえてその危険性を冒してでもという議論が必要だと考えます。やはり全体的にてん補率をアップした方が保証がつけやすいと考えます。このてん補率アップにつきましては平成十一年度の政府要望にも入っているところでございますが、金融再生法や金融早期健全化法で六十兆円、さらに信用保証協会の金融安定化特別保証制度に二十兆円の公的資金が投入されながら、貸し渋りがなかなか減少しない状況にあります。銀行が公的資金を受け入れる際、中小企業向けの貸し出し増に加え、保証協会の保証つき融資額も盛り込んだ経営健全化計画を金融監督庁に提出しなければならなくなったことから、少しは緩和されていくのかなと考えます。
次に、経済発展の担い手としてベンチャー企業が極めて重要だと考えます。
言ってみれば、経済の将来はベンチャー企業がいかに力強く創業されていくかという点にかかっていると考えます。中小企業対策につきましては、これまで中小ベンチャー企業支援策を大変重要な柱として位置づけられてきました。その中で、中小創造法に基づく認定件数も数多く認定が行われています。この制度に基づいて、補助金、債務保証、減税措置、ベンチャー財団からの直接金融の活用等が動いています。直接金融への流れは、貸し渋りの状況のもとでかなり大事な流れで、中小企業にとっても、今後金融機関が変質していく過程で、これまで資金調達を間接金融に依存してきましたが、私募債の発行とか直接金融による資金調達手段を検討していくことが必要だと考えます。もちろん、中小企業にとっての直接金融は難しい要素もありますが、ベンチャー企業に関しては、先ほど触れましたように、中小創造法に基づいて中小ベンチャー企業が発行する社債をベンチャーキャピタルが引き受ける際、指定金融機関いわゆるベンチャー財団がその社債に係る債務保証を行う場合に、債務保証の五〇%が中小企業信用保険公庫による再保険の対象になっています。さらに直接金融の道を広げていく必要があると考えます。また、中小企業の発行する社債に信用保証を付す等、中小企業の社債発行の道を開くため、その実現について国に求めていく必要があると考えます。そのためにどの程度の支援が必要なのかという基本的な問題、具体的なニーズの実態把握、どういった制度がいいのかという制度設計等について十分な調査研究を行い、直接金融をスムーズに流していくという枠組みをいかにつくるか等の方策について取り組んでいただきたいと考えます。
以下、質問をいたします。
まず一点、金融機関の中小企業に対する貸し渋りの実態と金融機関の貸し渋りに苦しむ中小企業に対する県の対策について、二点目、保証協会が中小企業に対して後顧の憂いなく保証が行えるよう県の支援策を、三点、保証協会の代位弁済に対するてん補率のアップの実現には相当に強い働きかけを国に対して行っていく必要があると考えますがどうか、四点目、中小企業、ベンチャー企業等の直接金融の道を開き、拡大していくための県の支援策について、以上四点についてお伺いいたします。
次に、地域振興券交付事業についてであります。
地域振興券が緊急経済対策の一環として、来年二月、三月ごろに大半の市町村で具体化します。交付対象者は、十五歳以下の子供のいる世帯の世帯主と平成十年度第一次補正予算で臨時福祉給付金を受けた人たち、十五歳以下の子供のいる永住外国人世帯で合計約三千五百万人、支給額は一人二万円、人口十万人で約六億円、第三次補正予算案に七千六百九十八億円が計上されています。ちなみに和歌山市では、対象者は十五歳以下六万四千人、六十五歳以上六万七千人のうち七〇%の約四万七千人、そして外国人等で計約十一万人で、金額にして約二十二億円が支給されることになります。公的機関の発行するいわゆる商品券については、地域の活性化に効果を上げて大変好評な事例が各地で見受けられ、既に多くの地方公共団体で実施されたり計画されています。地域振興券の使用できる範囲が原則として市町村であることを踏まえますと、消費拡大の呼び水として地域経済や商店街の活性化に効果を期待できると考えるものであります。いずれにいたしましても、国が主導しての地域振興券は我が国で初めての試みであります。県民や実施主体となる市町村の間に多少の戸惑いなどあるかと考えますが、県民への周知に努め、所期の効果が得られるよう、そして無事故でスムーズに実施できるよう万全を期していただきたいと考えます。地域振興券交付事業の評価と、事業主体の市町村の体制整備について県としても最大限の支援を講じるようお願いするものであります。
以上で、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの森本明雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 森本明雄議員ご質問の、介護保険についての五点にお答え申し上げます。
まず、県内市町村の実施準備状況と支援策についてでございます。
介護保険制度は、平成十二年四月の施行まで残すところ一年三カ月余りとなり、県内市町村においても円滑な導入に向け、介護認定モデル事業の実施、高齢者実態調査及び施設・在宅需要調査の実施、電算システムの構築などに努めているところであります。県といたしましても、これら実施準備事業に対して、人材養成面では認定事務に関連した訪問調査員、認定審査委員、さらに介護支援専門員等の研修を鋭意実施するとともに、実態調査等に基づいた介護サービス量の的確な把握への支援、広域的な連携、県民啓発など、さまざまな角度から市町村と連携しながら準備を進めているところであります。
次に、二十一世紀の新たな介護基盤整備のための計画の策定についてでございます。
現行の市町村老人保健福祉計画並びに和歌山県老人保健福祉計画は、人口の高齢化が進む中、各地域において必要な老人保健福祉サービス提供体制の整備を速やかに計画的に図らなければならないという要請にこたえ、平成五年に策定したものでございます。現在、平成十一年度末の目標達成に向け、市町村と力を合わせて努力しているところでございます。
しかし、議員ご指摘のように、現計画策定当時には介護保険制度を想定しておりませんでしたので、現在市町村で高齢者の実態調査、ニーズ調査を行っているところでありますが、十一年度にそれらを基本に介護保険制度のもとで保険給付の対象となるサービスの必要見込み量を算出し、老人保健福祉計画の見直し並びに介護保険事業支援計画を策定することとしてございます。新しい計画の策定に当たっては、高齢者及び家族の介護ニーズに対応し得る介護保険給付サービスの確保と県民のだれもが安心して長寿を喜び合える社会基盤の整備を目指したものとして取り組んでまいりたいと考えております。
次に、保険料についてでございます。
現在、各市町村において高齢者実態調査が実施され、必要な介護サービス量から介護保険事業計画等が策定されていくこととなっております。この中で、施設、在宅それぞれのサービス量に応じた適正な保険料が設定されるものと考えております。このようなことから、高齢化率、所得分布による保険料への影響につきましては、国費による調整交付金と全国でプールした四十歳から六十五歳未満である第二号被保険者の保険料による介護給付費交付金とを合わせる中で平準化されることとなっております。
また、保険料における所得段階別の設定と未納との関連ですが、本制度は適切な介護サービスを一元的かつ総合的に提供する仕組みでああり、高齢者が生活実態に応じて負担していただくなど、社会全体で老後の不安を解消するという基本理念に立って構築されたものであります。この意味からも、啓発活動を活発に行い、県民皆様のご理解を求めてまいりたいと考えております。
次に、保険料及び利用料の減免につきましては災害等その他特別な事情が発生した場合とされており、具体的には、主たる生計維持者が入院等により著しく収入が減少したことなどが想定されております。さらに、高額な利用料負担につきましては所得に応じた高額介護サービス費等が設定されます。また、生活保護対象者の利用料の一部負担につきましては創設された介護扶助の中で支給されることとなっております。今後、低所得者への配慮等必要な施策については国の審議会等の動向を見守りながら引き続き国に要望をしてまいりたいと考えております。
次に、介護保険に係る事務費についてでございます。
市町村におきましては、施行準備経費への補助とともに介護認定事務等交付金が創設されておりますが、引き続き市町村に過度な負担が生じないよう国に働きかけてまいりたいと考えております。
最後に、介護保険と老人医療との整合性についてでございます。
本制度は老人医療とは別に、高齢者の介護問題を一元的かつ効率的にとらえるという観点から創設されたものであり、家庭での介護負担の軽減等に寄与するとともに、高齢者にとっても利便性の高いサービスが受けられるものであると考えております。今後とも、他の制度との整合性について、国の動向等を見きわめながら対処してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 中小企業に対する金融対策についてお答えします。
まず、金融機関の中小企業に対する貸し渋り実態と金融機関の貸し渋りに苦しむ中小企業に対する県の対策についてでございます。
金融機関の貸し渋り実態については、県の融資相談窓口での相談内容、また経済団体、金融機関、国、県を含めた地域融資動向に関する情報交換会、信用保証協会、政府系金融機関との連絡会議などを通じて状況把握に努めているところでございます。中小企業の方々からは、最近になってより厳しい状況になってきたとの声が出ていることや、市町村長が認定する特別保証制度の認定件数は十一月末現在一千件を超えていることなどから、依然として金融機関の厳しい融資姿勢が続いており、また長引く景気低迷による売り上げ減少とも相まって、中小企業の資金調達は厳しくなっているものと考えてございます。これまで県といたしましては、機会をとらえ、各金融機関に対し文書あるいは直接訪問し、金融の円滑化を要請するとともに、信用保証協会に対しても、より弾力的な保証を要請してきたところでございます。
県といたしましても、売り上げ減少や取引企業の倒産等から資金調達に支障が出ないよう不況対策特別資金制度を創設し、これまで二度の補正予算により融資枠を二百億円に拡大して取り組んでまいりましたが、これまでの利用状況や年末に向けた中小企業の資金需要に対応するため、全融資制度の新規融資枠を見直し、不況対策特別資金の融資枠をさらに二百億円拡大するとともに、今後とも各金融機関に対して、中小企業者の資金需要に積極的に対応していただけるよう働きかけてまいりたいと考えてございます。
次に、保証協会が中小企業に対して十分な保証が行えるような県の支援策についてでございます。
国においては、数次の経済対策の一環として、信用補完制度の強化拡充策に取り組んでおり、十月一日からは中小企業貸し渋り対策大綱に基づく中小企業金融安定化特別保証制度を創設しております。一方、県といたしましては、保証の弾力化を求める中、信用保証協会の経営基盤の強化を図るため、これまで出捐金をもって基本財産の強化を図ってまいりましたが、特に本年度においては緊急出捐金約二億四千万円を既に実行しているところであります。また、通常の出捐金についても約一億六千万円の予算措置を図ってございます。さらに、保証料減収分の補てんや不況対策特別資金等の特別制度につきましては代位弁済に伴う損失補償を実施するなど、保証の弾力化を行えるよう措置を講じているところであります。
次に、保証協会の代位弁済に対するてん補率のアップについてであります。
代位弁済が年々増加傾向にある中、信用保証協会におきましては、県の要請や国の経済対策を受け、保証の弾力化に取り組んでいただいているところでありますが、長引く景気低迷から信用保証協会としても後年度の負担増を憂慮してございます。先日、十一年度の政府予算要望も行ったところでございますが、信用保証協会の経営状況も注視しつつ、引き続き国に対し、てん補率の引き上げの要望を行ってまいりたいと考えてございます。
次に、中小企業、ベンチャー企業の直接金融の道を開き、拡大を図るための国への働きかけと県の支援策についてでございます。
直接金融としては、現在、県では創造的中小企業者に対し、中小企業事業団、県の高度化資金貸付制度を利用して、ベンチャー財団がベンチャーキャピタルを通じて行う投資や社債投資の債務保証とその再保険等を行っており、長期の安定的な資金調達のための支援をしているところであります。さらに、来年度に向け、主として投資を行った企業に対して、ベンチャー財団が直接割賦販売またはリースを行うベンチャーリース制度を検討してございます。また、平成八年度からの事業開始以来、投資企業が一社、今年度の投資予定企業が一社という状況であり、今後、手続や投資の利点の説明もするなど、より一層制度の周知を図るとともに、ベンチャー支援セミナー等の啓発活動、移動ビジネスプランサポートセミナーの導入といった支援活動を充実し、中小企業の需要の掘り起こしに努めてまいりたいと考えてございます。
なお、国においては、中小企業やベンチャー企業への直接金融の拡大を図るべく現在種々検討がなされており、県といたしましては、これらの動向を十分注視しながら、今後も中小企業者の資金調達の円滑化を図るための制度充実について国に対し要望を行ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 森本明雄議員にお答え申し上げます。
地域振興券交付事業につきましては、若い親の層の子育てを支援し、あるいは老齢福祉年金等の受給者などの経済的負担を軽減し、もって個人消費の喚起、地域経済の活性化を図り、地域振興に資するものとして国の緊急経済対策に盛り込まれたものであり、市町村がその実施主体とされたところであります。この制度の仕組みから、本事業の実施により消費拡大につながり、ひいては地域振興に資するものと期待しております。
県といたしましては、この事業がスムーズに進められるよう、去る十一月三十日、市町村職員に対して、地域振興券の交付対象者、申請及び交付、偽造防止措置、取扱民間事業者等についての説明会を実施したところであります。今後とも、市町村に対し適切な指導、助言を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、四点についてお答えいたします。
中高一貫教育についてでございますが、中等教育の多様化を一層推進するため、現行の中学校及び高等学校の制度に加えて、このほど生徒や保護者が中高一貫教育校をも選択できるようになりました。この制度の趣旨は、入学者選抜から来る生徒の心理的な負担を解消し、六年間の計画的、継続的な指導を可能にするなど、ゆとりの中で個性を大切にした教育を進めることをねらいとしたものであります。一方、受験競争の低年齢化や大学進学に偏ったエリート校になるのではないかなど、危惧される面があります。
本県では、全国的にも特色ある取り組みとして、平成八年度から伊都、西牟婁地方で中・高連携推進支援モデル事業を実施しております。これは、中学校と高等学校の教員が合同で授業を行う教科指導など、中・高の連携のあり方について研究を進めるものであり、本年度は日高、東牟婁地方を加え、四地方に拡充したところでございます。
中高一貫教育の導入につきましては、今後この事業の成果等を踏まえるとともに、現在本県教育のあり方について協議をしていただいておりますきのくに教育協議会における幅広い意見を参考にしながら研究検討していく必要があると考えております。
また、学校教育法施行規則五十九条に係る入学者選抜の方法についても、国の規則改正の内容と趣旨を踏まえて研究していきたいと考えます。
最後に、高校進学に係るご指摘についてでありますが、本県では今年度の高校入試における志願者数と最終の高校入学者数はほぼ同数になっており、希望したほとんどの生徒が高校に入学している状況にあります。
高等学校への入学については、生徒みずからの進路希望や適性、興味、関心等を十分に踏まえた適切な進路指導が何よりも大切であると考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 以上で、森本明雄君の質問が終了いたしました。