平成10年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(上野哲弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番上野哲弘君。
  〔上野哲弘君、登壇〕(拍手)
○上野哲弘君 通告に基づきまして、一般質問を行います。
 三日目になりますと重複するところがかなりありますので、できるだけ簡単に質問したいと思います。
 まず、南紀熊野体験博についてお伺いいたします。
 体験博開催まで約半年余になってまいりました。先日、具体的イベントの内容についてその概要が発表され、いよいよ地域において自然型博覧会の機運が盛り上がってくるものと思います。
 何といっても、体験博の目玉は熊野古道にあろうかと思います。去る十七日、スペイン・サンティアゴの道と熊野古道が姉妹道提携がなされた旨、発表されました。熊野古道を日本だけでなく世界に売り込む意味で、大きく前進されたものと思います。また、これからいかに整備し、日本文化と一体となった熊野古道につくり上げるかが大きな課題となってくるものと思います。京都から熊野三山へ、さらに伊勢、吉野、高野と結べば、日本第一になることは間違いありません。
 このたび、知事は熊野九十九王子を回られ、それを本にまとめられて、熊野古道に対する思いがその中で述べられております。その感想を申し上げ、所見を伺いたいと存じます。
 冒頭に、体験博を開催するに当たり、自問自答の末、熊野九十九王子めぐりを決意したとあり、その決断にまず敬意を表するものであります。人それぞれ、口では何とでも言えますが、実践に移すことは至難のわざであり、知事みずから行動されたことは体験博成功の第一歩になるものと感じております。
 さらに、本書で述べられているように、地域における歴史遺産を大切にする意味で南紀熊野体験博は有意義であると同時に、熊野九十九王子を知らずして熊野は語れないと思った知事の行動に拍手を送りたいと思います。ある集落では熊野古道の保存に地区住民が総出で当たられたところもあると聞いておりますが、ぜひ世界に通用する熊野古道につくり上げていただきたいものであります。
 この際、サンティアゴの道との姉妹道提携と熊野古道に対する思いを、まずお聞かせ願いたいと思います。
 次に、体験博における具体的内容において、県が主催するメーン会場としての田辺、那智勝浦のシンボルパーク、十万人の熊野詣を再現する古道ウオーク等、大いに期待できるものと思いますが、市町村イベントについてお伺いいたします。
 さて、さきの議会において申し上げたように、市町村イベントがどのような体制で行われるのか少なからず心配をしておりますが、この体験博はあくまで十六市町村ということになりますので、それぞれ特徴を生かした、満足のできるイベントに期待しておるところであります。
 その意味から、次の点についてお伺いいたします。
 第一に、現在、市町村イベントは百十一本考えられており、その他地域イベントも考えられているようでありますが、土・日開催、または夏休み期間が多いと思われます。ウイークデー開催はどの程度になっているのか、また空白期間の多い市町村について空白を埋めるイベントは今後考えられるのか、伺います。
 第二に、市町村イベント参加者募集について、お互い整理整とんして行うのか、それとも市町村各自で募集されるのか、伺います。
 第三、体験博を開催する目的の一つとして、地域の特性を生かすことが重要と考えますが、紀州木の国、木材を活用したイベントが少ないように感じられます。森林組合や木協の協力を得て木材加工の分野での体験博を考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 第四、イベントでの誘客方法として熊野に関係する文化団体等の全国組織への呼びかけも考えられると思いますが、どのようになっておりますか、お伺いいたします。
 以上、南紀熊野体験博についての質問であります。特に市町村イベントについて、もう少し肉づけができないだろうかと考えております。よろしくお願いいたします。
 次に、不況対策についてお伺いいたします。これにつきましては同僚議員がさきに質問されておりますので、重複を避けて質問したいと思います。
 バブル崩壊後、日本経済は衰退の一途をたどり、今日に至っております。今が底なのか、さらに悪化するのか、不透明な状況にあります。また、国会での金融法案成立における与野党の対立に経済がより悪化するのではないかとの憶測に、バブル崩壊後の株価が最安値をつけておるところでもあります。企業においては倒産あるいは減益によりリストラが進行し、失業者が大量に生じており、現在、日本経済は一段と厳しくなっております。
 経済につきましては、複雑であり、余り熟知しておりませんが、不況の原因として、企業の利益が減少することにより人員整理や経費削減が行われ、それが全体の購買力を低下させる経済メカニズムの悪循環が現在の状況であろうと思います。その悪循環終局の引き金は企業における資金繰りのストップであり、今まさに金融対策が緊急の課題として我々の前に立ちはだかっておるところであります。
 今議会、知事説明にありましたように、不況対策として融資枠を百億円から二百億円に追加するとなっております。この制度を利用して融資を受けたい地元企業がたくさんあろうかと思いますが、二百億円に融資枠を広げることによりどのような申し込み状況になっているのか、まずお聞かせ願います。
 次に、これらの報道が一般県民にどのように受け取られているかと言えば、無条件で融資が受けられるものと考えておる方もおられます。すなわち、無担保・無保証でこの制度融資が受けられるものと思っているわけであります。この融資制度の実態は、県から預託金を受けた銀行が貸し出すものであり、その銀行に対しては無担保でありますが、そのかわり信用保証協会の保証が求められ、その保証がネックとなって貸し出しが進んでいないのが実情であります。県においてこの辺の審査がどのようになっているのか、県、銀行、保証協会の対応についてお伺いいたします。
 なお、先日、ラジオ放送で地元野田代議士が融資枠の増大と保証協会の保証について言及されました。その内容を伺いますと、次のようになっております。中小企業対策として四十兆円の融資枠を考えている、これはすべて国の負担で行い、保証協会へは貸し出しの保証を積極的に行うよう指示するというものであります。さらにつけ加えて、企業は大いに申し込みをされたらよいと述べられており、この発言について県のとらえ方はどのようになっておられるのか、お伺いいたします。
 次に、商店街の振興についてお伺いいたします。
 ある中央紙に「商店街絶滅の危機」との見出しがあり、並行して「地域の顔 再生に期待」と書かれておりました。今まさに商店街の復活が叫ばれておるところであります。この現象は日本全国津々浦々の中小都市に波及しており、県下だけのものではありませんが、我々としては手をこまねいて見過ごすわけにはまいりません。二十一世紀に向けて商店街の再生は、地域住民はもとより行政においても避けて通れない深刻な問題となってきております。
 その衰退の要因として、次のようなことが挙げられます。一番に大型店の進出、続いて後継者不足、店の努力不足、空き店舗の増加、駐車場の不足、業種構成に魅力がない、転廃業の増加、商圏人口の減少、行政における対応の不十分とあり、それらの衰退の原因を要約すると、社会の変化に商店街が対応できなかったということであろうと思います。
 今日まで、歴史はさまざまなことを教えてくれております。すなわち、時代に合わなくなったものは消えてなくなっているということであります。地方都市の顔である商店街が消えてなくなる運命にあるのか、それとも再生が可能なのか、今、地元自治体及び地域住民に問われているところであります。
 それでは、参考として、ある市の状況を申し上げたいと思います。再生に向けての対策として、再開発事業や商店街の充実を図るため、商店街の長さを短縮するなどが持ち上がっている、しかし、その足取りが鈍いのは、この商店街の現状は今点滴で持ちこたえているような状態で、活性化しようにも個々の商店が弱り過ぎていると指摘しております。一方、この町の衰退の原因は大型店の影響である、市の中心部から車で二十分、市境を接する地域に他町による第三セクターのショッピングセンターができ、駐車場収容台数二千台、大型スーパーと食品、衣料など約六十店の専門店が整然と並んでいる、その出店には既存の商店街から進出されており、だれもが生き残りに必死だ、沈みかけた商店街から商店が逃げ続けていると述べられている。
 それでは、商店街を再生するにおいて、まず問題点を整理する必要があります。これまで多くの商店街は、大店法に守られて経営者のレベルアップを怠ってきたこと、商店街には不動産など商店以外の安定収入を持つ兼業商店が多く、本業での営業努力の不足が見受けられ、またどこの商店街へ行ってもアーケードや街路がかわりばえしないのは国、県の補助事業にあるなどと言われております。このような状況の中、他県では新たな打開策を考える上で、経済の研究グループがスーパーとコンビニ店しかない町に地域の担い手や新しい文化が育つのだろうかと心配する、消費者団体や行政、産業界に呼びかけ、商店街の再生を目指す県民会議の結成に立ち上がっている、また、二〇〇〇年には大店法が廃止されることが決まり、商店街を取り巻く状況はさま変わりする、さきの国会で成立した大店立地、中心市街地活性化、改正都市計画の三法は、政策の柱を従来の出店調整から欧米流の地域の実情に即して商店街や大型店のあり方を都市計画の中に位置づけるという手法に改めるものだ、もはや行政による保護は期待できないが、関係者に意欲とアイデアがあれば地域づくりの中で商店街の再生を図ることができる、その環境は整いつつある、すぐれた商店街を抱えることで地域は潤いや個性を保てる、これからの商店街にはこうした役割が期待されていることも見落としてはならないと結んでいる。
 厳しい社会状況の中、商店街の将来は悲観的であると分析されておりますが、前段で指摘されたように、新たな発想や創意工夫が商店街に活力を与えるものと考えます。現在、県当局及び地元自治体が商店街の振興に向けてどのような対策を考えておられるのか、また商店街自身どのような考えを持っておられるのか、伺うものであります。
 また、このことに関連して、県立医大跡地の利用計画が隣接する中心商店街の再生に向けて大きなインパクトになるものと考えますが、県当局はどの程度の計画を考えておられるのか、さらに実施時期について、本来なら医大移転即利用計画の実施が望ましいわけでありますが、目標とされる時期についてお伺いいたします。
 次に、一般廃棄物についてお伺いいたします。
 最近、環境破壊及び人体への影響として、ごみ焼却によるダイオキシン問題がテレビ等で報道されているところであります。また和歌山県におきましても、橋本市の産業廃棄物処分場の免許を取り消すなど、社会問題化しております。今議会においてもこの問題は質問されましたが、重複を避けまして、市町村における一般廃棄物処理についてお伺いいたします。
 まず、ダイオキシン発生のメカニズムから、処理場施設の建設許可が百トンとなっております。大都市周辺ならいざ知らず、地方の山間部や小都市ではその基準に達しません。当然、広域処理となります。現在、厚生省においてどのような指導がなされているのか、また補助事業の内容についてお伺いいたします。
 次に、新宮市が計画している施設はごみを焼却する方法でなく固形燃料化するRDFと聞いておりますが、この場合どのような最終処理を考えているのか、またそれについて県はどのような対応を考えておられるのか、広域処理とあわせてお伺いいたします。
 続きまして、フリースクールについて。 
 少子化が急速に進む一方で、小中学校の不登校児童生徒がふえ続け、昨年は十万人を超えてしまったと言われております。その原因はいじめや子供の価値観など複雑に絡み、教育現場でその対応に苦慮しているとなっております。現在、学校としては学校嫌いの児童生徒に対して無理に学校に来させているのか、あるいはその子の自主性を尊重しておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
 これらの問題における報道では、学校嫌いの児童生徒が民間のフリースクール等に通っているとなっていましたが、和歌山県の現況について、また文部省はフリースクールにもある程度の補助制度を設ける旨の発表がありましたが、その内容についてお伺いいたします。
 フリースクールが社会の要請によって認知されるのであれば、現在、過疎地域において廃休校になっている校舎を開放して利用推進を図ってもいいのではないか。さらに、人生八十年の時代、教育のノウハウを有した人材を六十歳代で埋もれさすのはもったいない話であります。その方々の実績を生かすためにも一考すべきであると思います。
 また、バブルが崩壊した日本社会はいま一度、精神的にも江戸時代に戻るべきであると指摘する学者もおりますが、フリースクールが江戸期の寺子屋になるとしたら、それも一つの発想になると思います。現在の不登校児童生徒への対応についてご所見を伺うものであります。
 以上、一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの上野哲弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 上野議員にお答えをいたします。
 南紀熊野体験博に関連をして、サンティアゴの道との提携、及び熊野古道に対する私の思いはどうかというお尋ねでございます。
 南紀熊野体験博の理念は、自然と歴史、文化を肌で感じて心をいやしてもらおうということにございます。私自身も、熊野九十九王子社の古跡をめぐってみて、歴史の重みを感じるとともに、熊野古道がいかに重要な役割を果たしてきたかを痛感し、また忘れられ、消え去ろうとしている王子跡のあることを思い、この貴重な歴史文化遺産を大切にしなければならないと感じたわけであります。また、九十九王子めぐりを思い立ちましたのは、熊野博に関連をいたしまして知事として私に何ができるか、それはみずから広告塔の役目を果たすべきだと思ったからであります。
 今回、姉妹道提携を締結する世界文化遺産として名高いスペインのサンティアゴの道とは、長い歴史の中で栄え、今なお人々の心をいやす道として愛され、文化・観光資源としても地域振興の重要な財産であるという共通点があるわけでございます。こうしたことから両道が姉妹道提携をして交流を図っていくということは大変意義深いことでありまして、私もサンティアゴの道を少し歩きたいと思っておりますけれども、熊野古道を国内のみならず、さらに世界にアピールすることができる絶好のチャンスと思っております。そのことがまた南紀熊野体験博の成功に大きな弾みになるだろうと、そういうふうに思っている次第であります。
 以上であります。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 上野議員ご質問の、南紀熊野体験博と一般廃棄物処理についてご答弁いたします。
 まず南紀熊野体験博でありますけれども、そのうちの第一点目の市町村イベントについてであります。
 議員ご指摘の市町村が実施するイベントは、地元の方がつくったその土地ならではの体験ができるリゾート体験イベントであり、土・日及び夏休み以外に実施が予定されているのは五件程度でございます。これは、リゾート体験イベントの内容が南紀熊野地域の特定の場所で短期間滞在型──一泊か二泊──のプログラムを用意し、それぞれの来訪者が自分に合った楽しみ方を見出せるようなメニューを提供するものであります。来訪者側の便宜を考慮すれば、土・日や夏休みに実施せざるを得ないものであると考えてございます。
 次にイベントの充実についてでございますが、南紀熊野体験博のイベントが期間的にも地域的にも、また連続的に実施されることも重要であると考えております。そこで、リゾート体験イベントのほかに、伝統的な祭りや行事に加え、この博覧会を契機として住民の方々が地域の特性を生かした新たなイベントを創出することにより次の世代への伝統をつくっていこうとする地域イベントが期間中、合計百五十三本実施される予定でございます。今後も、さらにイベントの充実を図るため努力をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、市町村イベント参加者募集についてであります。
 市町村イベントのうちリゾート体験イベントにつきましては、原則的には南紀熊野体験博実行委員会がインターネットや公式ガイドブック等で一括して募集し、参加申し込みの受付は実行委員会予約センターで一括して行います。一方、地域イベントにつきましては、基本的にはだれもが参加できる行事や祭りを中心として構成されておりますが、例えばアクアスロン大会のような募集型イベントにつきましては、インターネットや公式ガイドブック等で募集を行うと同時に、それぞれの地域実行委員会においても募集をしながら受付事務を行う予定でございます。
 続きまして、木材を活用したイベントについてであります。
 地域の特性を生かすための木材を活用したイベントとして現在実施を予定しておりますのは、リゾート体験イベント等のプログラムの一部としての木工体験、あるいは木工作品づくり、カヌーづくり等がございます。こうしたプログラムは、木材に触れることが少なくなった現代人、特に子供たちにとって非常に魅力的で貴重な体験になるものではないかと考えてございます。また、一般の人でも組み立てられる間伐材を利用したログハウスキットの開発を県で行っているところでございますが、それを取り込んだイベントも現在計画中でございます。さらに、熊野古道において設置される休憩所や各シンボルパークにおける施設等についてできるだけ木材を活用するなど、森林組合等と連携を図ってまいりたいと考えてございます。
 続きまして、全国組織への呼びかけについての質問でございます。
 熊野に関係する文化団体を初めとした全国組織に呼びかけを行い、あわせてそれに関連したイベントを誘致することは誘客手段としては非常に効果的であり、体験博の盛り上がりにつながるものでありますので、南紀熊野体験博実行委員会はもちろんのこと、県組織である南紀熊野体験博推進本部のイベント部会におきまして積極的に取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みの成果として、現在まで文化関係といたしまして、地域伝統芸能全国フェスティバル、あるいは世界押し花デザイン展、スポーツ関係では、プロサーフィン世界選手権大会、全国マリンスポーツフェスティバル、全日本マスターズ駅伝大会、そのほか南紀熊野の特徴を生かすものとして、緑の少年団全国大会あるいは全国木炭サミット等の誘致を行うことができました。さらに、代表的なテーマイベントである十万人の熊野詣に参加していただくべく、日本歩け歩け協会に対しても働きかけを行っているところであります。今後も誘客に効果的な全国組織への呼びかけ、並びにイベントの誘致につきましては積極的に実施してまいる所存でございます。
 続きまして、一般廃棄物のごみ処理問題についてのご質問であります。
 さきに今議会においてお答えしたとおりでございますが、厚生省から平成十年度末までに最低でも百トン規模以上のごみ処理の広域化計画を作成するよう指導がございます。また、補助事業の内容といたしましては、施設規模一日百トン以上でなければ国庫補助の対象にならないということ、また広域化計画に位置づけがなければ交付税の上乗せ措置がないこと等が示されてございます。
 また、ダイオキシン対策といたしましても、広域化は施設の規模や維持管理の面からも望ましい方向であると考えております。そのため、県におきましては市を含めた郡単位で広域化を指導しているところであります。
 新宮市の計画を具体的に申し上げますと、串本町を含めた東牟婁郡との広域化を検討してございまして、その処理方法の一つとして、ごみの固形化いわゆるRDF化及び発電の可能性について、現在、新宮市において調査費を予算化し、検討している状況と伺っております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 不況対策についてと商店街の振興についてのうちの一点について、お答えします。
 まず不況対策について、金融対策における申し込み状況についてでありますが、不況対策特別資金の利用状況は、さきに小川議員にもお答えしましたように、融資申し込みベースで八月末現在八百三十八件、百三十五億円に上り、その融資実績は百億円を超える状況であり、業種的には建設業、木材産業、繊維工業を中心に、幅広い業種にわたって多くの中小企業者の方々に利用していただいているところでございます。
 次に、申し込みにおける審査についてでございますが、現在、十五種類の融資制度を実施しており、このうち、不況対策特別資金制度のように一定の資格要件を必要とする制度は十制度でございます。これらの制度の利用に当たっては、当該融資制度の融資対象者であるかどうかなどの審査を行う必要があり、その審査を県及び各振興局において行ってございます。
 この審査要件に該当した申込者に対し、県から融資あっせん書を発行し、それをもって金融機関が貸し付け審査を行います。融資実行に当たって、最終的には保証協会が企業の経営内容、返済計画などを審査し、保証決定がされているところであります。保証決定に当たり、現在の金融情勢に対応するため、より弾力的かつ迅速に対応していただいているところであり、その結果が不況対策特別資金の利用状況にもあらわれてきているものと考えてございます。
 次に、現在国において検討されている中小企業貸し渋り対策としては、特別保証制度の創設や保証限度額の引き上げなど、保証総額の拡大と政府系金融機関の融資制度の拡充等といった中小企業金融対策であり、県としてもその動向を十分見きわめつつ情報収集に努めるとともに、信用保証協会を初め関係機関と連携を密にし、県内中小企業の金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、商店街の振興のうち具体的振興策についてでありますが、議員ご指摘のとおり、現在、商店街を取り巻く環境に厳しいものがございます。このため、今年度から市町村が中心市街地活性化基本構想を策定するための本県独自の支援措置や、町づくりに必要な人材養成に対しても支援を行っているところでございます。
 和歌山市、橋本市、有田市の三市につきましては、既に中心市街地活性化基本構想の策定を進めており、また来年度以降、基本構想を策定する予定の市もございます。今後、商店街がその活性化を図っていくためには、商店街の環境整備や街路、駐車場、公益施設等のインフラ整備など、広範な対策を一体的、有機的連携を持って進めることが重要であります。そのため、県といたしましては、これらの事業を担当している関係部局が相互に連携協力していくべく庁内組織として街づくり推進協議会を設置し、情報交換や市町村等への指導・助言を行っているところでございます。
 また、従来から商店街の要望にこたえて、ハード、ソフト両面からのさまざまな施策を実施してきたところでありますが、今後とも各商店街の実情を十分に把握し、商店街の振興施策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 上野議員の商店街振興のご質問のうち、県立医科大学跡地の利用方策についてお答えをいたします。
 医大跡地の利用方策につきましては、現在、本年二月に設置いたしました県立医大跡地利用懇話会におきまして、種々ご議論をいただいているところでございます。これまで、三回の懇話会を開催いたしておりますが、年内には懇話会の最終報告書を取りまとめていただけるものと考えてございます。県といたしましては、当該報告書をいただいた後、基本構想の策定作業に入りたいと考えております。
 これまでの懇話会における検討では、和歌山市中心市街地の集客力を高めるために魅力ある施設整備が必要であるとのご意見を多くいただいております。具体的には、導入すべき機能として、宿泊機能や商業機能、国際会議開催や文化活動を支援する交流機能、それらに対応した駐車場などをあわせ持つ複合型施設を整備する方向で意見が集約されつつあると受けとめております。また、事業の実施時期につきましては、事業実施のために必要な準備作業はできるだけ早期に整えておきたいと考えておりますが、県立医大の現施設の撤去に要する期間や県の財政状況、景気・経済状況に伴う投資環境等を勘案し、検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) フリースクールについてお答えします。
 近年増加傾向が見られる不登校の児童生徒につきましては、その原因や背景にさまざまな要因が複雑に絡み合っている場合が多く、画一的な方法によって解決を図ることは困難であるため、一人一人に応じた指導を行っていくことが大切であります。
 現在、こうした子供たちの学校以外の居場所の一つに適応指導教室があります。現在、県内では市町村教育委員会により十二の施設が設置されており、このうち六施設が文部省の調査研究委託を受けております。さらに、これまで教育委員会に限られていた委託先を一定の条件を満たす民間施設にも広げる予定であるとの国の動向を見きわめ、今後、委託について検討してまいる所存であります。
 また、不登校の児童生徒が自然体験、社会体験等を通じて生きる力をはぐくむ活動を経験する上において、議員ご提言の休校や廃校になった校舎をこうした施設として利用することにつきましては、地域の実情を踏まえた選択肢の一つであると考えられます。
 以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番上野哲弘君。
○上野哲弘君 一点だけ、企画部長に。
 きのうの新聞で、大阪の通天閣のわきにフェスティバルゲートというものが去年つくられて、一年三カ月ほどで一千万人を超えたという見出しがありました。和歌山の場合、新世界のところとは参考にはならんと思いますが、大阪でもそういう施設をつくっておるわけです。しかしながら、一千万人も来る中で、三百億円かけて現在八億円の赤字が出たという見出しなんですね。だから、いろんなことをやってもなかなか厳しい状況なのかと思います。
 しかしながら、それでは何もしなくていいかということにもならないと思います。ぜひとも全国に通用するような市街地の活性化に向けて、ぜひ和歌山市が名乗りを上げて整備していただくことを願いまして、終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野哲弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は九月二十八日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
      ─────────────────────
○議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十六分散会

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