平成10年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後一時四分再開
○副議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(井出益弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
37番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、質問通告に従い、お尋ねしてまいりたいと思います。
まず初めに、毒物混入事件問題であります。
これには、初日から多くの方々が質問に立たれましたので、私は三点に絞って質問を申し上げたいと思います。
この事件によって、地域における人と人との信頼関係までむちゃくちゃにされてしまいました。その上に、住民の心に深い、悲しい傷を残してしまいました。また、九月二日には事件の捜査に従事してきた警察官が過労が原因と思われる状況で亡くなられました。ここに、改めて亡くなられた四人の被害者と警察官のご遺族に心より哀悼の意を申し上げますとともに、被害に遭われた地元住民の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。
全国各地でこの事件を模倣した毒物、異物混入事件が多発し、国民に大きな不安を与えていることを考えますと、本事件の解決が急がれなければなりません。捜査当局のより一層集中した捜査の取り組みによって、一日も早い事件解決を求めたいと思います。逮捕されるまでもなく自首していただきたい。この立場から呼びかけるものです。
今回の事件は、医療機関や救急車など体制整備が進んだ県都和歌山市で発生をいたしました。しかし、郡部で発生した場合、保健所、病院、消防、警察など、住民の期待にこたえ得る健康危機体制が求められますが、どのような体制づくりを考えておられるのでしょうか。関係部長のお答えをお聞かせください。
ところで、今回の事件では毒物中毒に対する検査体制の不備が指摘されてきたところです。日本には毒物を検査・分析する公的専門施設がなく、大学の研究室や民間施設に頼っているところです。情報を提供するだけの情報センターはあるものの検査や実際の治療をする機能はない。各報道機関は国の責任を求めています。また、英国やフランスでは相談、検査、治療の各専門スタッフのそろった国立の中毒センターが複数あることや、アメリカでも各地に整備されていることをも報じています。このような施設が近畿地区にあったなら、死ぬという犠牲者ももしかしたら出なかったかもわかりません。ぜひとも、国立中毒専門施設設置を国に働きかけるべきです。いかがですか。とりわけ近畿地区にぜひとも設置をとお願いするものです。
治療に当たった医師の話ですが、毒物の検査機関がないため原因が特定できず警察に届けられない、病院に搬送された症状だけで原因物質を類推するのは乱暴だと、このようにもおっしゃっています。まことに納得できる内容です。この事件を機に、本県の衛生公害研究センターに毒物中毒の検査体制が整備されることになりましたが、遅きに失した感を持ちます。ぜひ専門性が発揮できることを大いに期待したいと思います。
さて、事件発生からちょうど二カ月になりました。被害を受け入院された住民は全員退院され、通院治療となっています。子供たちも二学期が始まりました。元気を取り戻しつつあると聞いております。有功小学校の先生たちは、事件発生と同時に夏休みを返上で家庭訪問や病院への見舞い、そして初めての体験に戸惑いながらも、校長先生や教頭先生を中心に積極的、果敢に子供たちや父兄に対する対応に取り組んでこられました。ことしの夏は殊のほか暑く、冷房設備のない学校での仕事は大変なご苦労が多かったのではと思うと、その努力に頭が下がります。子供たちも、夏休みの楽しみや家族旅行、学校でのプールも中止となりましたから、学校が始まるのを待ちわびていたそうです。日を追って元気を取り戻し、今、運動会の練習に汗を流しながら励んでいると聞きました。大変うれしい思いです。夏休みを返上しての連日夜中までの勤務は、精神的にも肉体的にも疲労がたまります。限界にあるのではと、先生方の健康を大変心配する地域のお父さん、お母さんも多いと聞きます。通常の授業に支障を来さないために、一定の期間、臨時措置として教員等の加配による支援はできないものでしょうか、教育長の所見を伺いたいと思います。
次に、医療、福祉問題についてお尋ねを申し上げます。
医療問題についてですが、私の住む地域で唯一の有床診療所が入院を廃止して、外来のみの診療になりました。これまで多くの患者が頼りにしてきた医院だけに、住民にとっては大変残念なことです。この数年間、地域の医療機関に変化が起こり始めています。相次ぐ医療法の改悪、診療報酬改定による患者負担増と医療収益の減少が続いてまいりました。とりわけ、老人を病院から追い出すための制度的改悪が際立ってひどくなっています。そして、昨年九月実施された健保本人の負担が一割から二割にふえ、同時に保険料も引き上げられました。さらに、薬代が保険外負担となって、患者の受診抑制と必要な薬をも減らして負担を軽くしようとする自衛手段をとっている現状にあります。
このことについて、和歌山県病院協会で三回のアンケートが行われています。このアンケート結果にもあらわれているように、平成九年八月二十五日の改定前と九月一日の改定後の外来患者数の減少は、公・私的七十八病院はともに減少し、双方の減少率は一四・六%に達しております。入院においても一・五%の減となっています。一年前の平成八年十月一日から十月三十一日と、改定後の平成九年十月一日から十月三十一日の外来患者数を比較してみますと、公・私五十九病院で二・三%の減少、入院においては同じく一・五%の減となっております。いずれも私的病院の減少傾向はひどいもので、減少傾向の回復の兆しは一向に見えてこない状況でもあります。その上、追い打ちをかけるように、診療報酬改定でこの十月一日から看護料減額と平均在院日数の短縮が行われます。
その改定内容は、一つは、一般病院に七十歳以上の老人が六カ月以上入院している場合、看護料が大幅に減額されます。これまで、看護職員数に応じ、老人一人当たり一日七千百六十円から三千九十円の看護料が、一律二千五百円に大幅に減額され、年間一人当たり二十一万円から百七十万円の減額になると言われています。看護補助者の加算もなくなってしまいます。ただし、人工呼吸器を装備している老人、がんなどによる放射線治療や抗がん剤服用患者など、厚生大臣の認める七つの状態にある患者にはこの減額は適用しないとしています。
もう一点は、一般病棟の一般患者を含めて、厚生省が決めた平均入院日数を超えると、看護料がこれまた減額されることになります。これまで、患者二人に看護婦一人の場合と、患者二・五人に看護婦一人の配置の場合は、平均在院日数が三十日から二十五日以内と二十八日以内に短縮され、さらに患者三人に看護婦一人、患者三・五人に看護婦一人にも、新たに在院日数が六十日以内と九十日以内という制限を加えました。
国は、老人や長期入院患者を入院させていると病院の経営が悪化していく診療報酬の改定を繰り返し行ってきました。今回の看護料減額も国の医療費抑制の一環と言え、命にかかわる入院治療の必要な患者の実態を全く無視するものです。介護のない家に帰せばどうなるか。帰る家もない、てんかん発作を繰り返す患者に退院を強制できるでしょうか。
四十五床の病院で、三・五対一の看護を採用しています。そして、入院している患者の平均在院日数が九十日です。これをクリアできなければ四対一の看護料になって、年間約八百万円の減収となると計算されています。九十日をクリアするため、どうしても退院を強要することにならざるを得ないし、大変困った問題だと語っておられるのが印象的でした。
また、生協病院では二・五対一の看護を行っています。患者の平均在院日数二十八日は辛うじてクリアしているものの、七十歳以上の長期患者も平均六人は入院しているとのことですから、年間の減収は約一千万円にも達します。これでは、病院経営はますます窮地に追い込まれることになります。
本県は、高齢化が進んでいるところです。県下の一般病院では、経営の悪化の中で病院の経営を守ろうと、一般病床から主として慢性疾患患者の長期療養の療養型病床群に転換する動きも出始めていると聞きます。これは、たとえ転換しても二〇〇〇年に始まる介護保険適用病床に指定されるかどうか、本県が整備目標としている千九百二十二床の枠に指定されるかどうか、これまた不明ですから、難しい選択となります。結果として、都市部を除いて、地域から一般病床や救急病院がなくなるという事態も起こりかねません。独居老人や老人世帯も年々増加しているとき、地域で必要な医療を受けられないということがあってはならないと思うんです。ましてや、健康の危機管理体制にも大きな影響をもたらすものではないでしょうか。県民の命が粗末にされる診療報酬の改定は直ちにやめるべきだと考えるものですが、関係部長の所見をお聞かせください。
医療福祉問題に関連して、難病患者の皆さんの医療費自己負担について質問を申し上げます。
政府は、五月から難病指定の特定疾患医療費に自己負担制度を導入いたしました。財政構造改革の名で、最も困っている方にまで新たな負担を押しつけるやり方は、本当に許されないことだと思います。難病患者の方々は、治療方法が確立されていないことから、生涯にわたって病気と闘い、入退院を繰り返しながら生活を続けなければなりません。今度の自己負担の導入で、病状が悪化するまで治療に行かないという受診抑制が起きてきています。また、難病患者の皆さんは合併症が起きることも多く、医療費負担は生活を直撃しているのが現状です。スモンやヤコブ病、重症の急性膵炎、難治性の劇症肝炎の四疾患、及び重症の難病患者については自己負担制度を見送りましたが、県内でこの適用を認められた患者さんは、県の独自指定疾患を含めてわずかに二百二十九人だけです。国と県を合わせた難病患者は三千四百五十八人ですから、自己負担が免除されている方はわずかに六・六%にすぎません。九月八日に、和歌山県難病団体連絡協議会の皆さんと県行政との話し合いが持たれたそうです。医療費の自己負担を福祉手当や難病手当として支給していただきたいとの要望に対して、県側は自己負担が導入された趣旨から見舞金などの支給はできないと答えられたようでありますが、難病患者の皆さんに対する大変冷たい県の姿勢を示していると怒りを感じるものです。
知事は、ことしの年頭に県職員への訓辞で、県職員が医療や福祉の現場に通じ、温かい県政の推進を強調されたことを大変印象深く感じました。既に兵庫県では、経過的な措置としてではありますが、難病の入院患者に対して月一万円の見舞金を支給しております。激変緩和ということで来年は五千円に引き下げるようでありますが、和歌山県がこうした激変緩和的な措置もとらないでいることは大変残念なことであります。
そこでお尋ねをいたしますが、難病患者の皆さんが求められている入院見舞金なり難病手当を実施することは、福祉先進県を目指す和歌山県の姿勢として必要ではありませんか。また、激変緩和措置を和歌山県がとる必要がないと考えたのはなぜなのでしょう。福祉保健部長、お答えください。
次に、南紀福祉センター問題についてお尋ねをしたいと思います。
ご存じのように、南紀福祉センターは、平成三年四月一日、精神薄弱児施設、精神薄弱者更生施設、身体障害者療養護施設を開設、そして平成六年四月一日、重度心身障害児施設として附属病院も併設されています。周辺は、田園風景の広がる静かなたたずまいの中にあります。四施設の定員は二百十名、県の委託事業として社会福祉法人和歌山県福祉事業団が管理運営を行っています。いわば、本県における福祉施設の中核施設でありますから、あらゆる点において模範となり、県下の障害者やそこで働く人々に対して指導、援助センターであることを期待するものです。障害者や家族はもちろんのこと、私たちは、すべての障害者が地域で生きていくために、一人の人間としての尊厳が守られる社会、福祉や医療の谷間のない社会であることを願っています。
今日まで、障害者みずから、あるいは家族、ボランティア、そして支援する団体などの要求運動と行政の努力が相まって一定の前進はしていますが、障害者の方々の願いから見たらまだまだ問題は山積しています。特に職場確保では、不況のもとでは真っ先に影響を受けることになります。この間、知的障害者の人権をないがしろにした暴力や体罰、虐待事件が後を絶ちません。さらに、和歌山でも大きな問題となった障害者年金着服事件があります。京都や神奈川、滋賀県などでも発生をいたしました。いずれも、知的障害者等で意思表示ができない、あるいは弱いことや、親御さんは子供に仕事をさせてもらっている、預かってもらっている、こういう弱みを利用した事件だと私は思います。絶対に許すことのできない問題です。こうした事件は、マスコミに取り上げられたり、支援する団体などによって表面化された事象はわずかではないかという関係者の声が聞こえてきます。
さて、去る九月九日、日本共産党和歌山県議団に一通の投書が届きました。九月一日午前九時ごろ、南紀福祉センター更生課内において、入所者に対する暴行傷害事件が発生した。更生課職員には厳重な箝口令が敷かれている。事情を求めることは不可能だから、恥ずべき事態が起きたことは他の福祉関係者に顔向けできない。将来を考えたとき、今ここで過ちを修正しないと大変なことになるから、調査の上対処してほしい。このような投書が届きました。その投書の本質的な中身はこういう内容であります。
事件の発生、平成十年九月一日午前九時ごろ、場所、南紀福祉センター更生課内、内容として、「当直職員から数名の入所者が夜間の無断外出を繰り返していた、との報告を受けたある管理者が、当該入所者に対し顔面を殴打、さらにそのうちの一名には背後から股間を蹴り上げ、陰茎部に裂傷を負わす。その後、出血が多量なため隣接する南紀福祉センター附属病院へ通院するが、処置できないとのことで、田辺市の専門医へ通院し五針の縫合処置を受ける。尚、原因については単なる事故による怪我として受診しているようです」、こういう投書であります。
この投書の内容が事実かどうか、私ども県議団は県の担当者に調査を求め、きょうまで数回にわたってその結果を聞いてまいりましたが、何回聞いても不思議なことがあります。一つは、事象の扱いの問題です。九月一日の午前中に発生したのにもかかわらず、事業団や県に報告があったのが、私どもに投書が届けられたのと同じ九日であったとのことです。しかも、その日に複数のマスコミが取材に入ったとのことです。課内に箝口令を出したこととあわせて、納得できかねる対応です。更生課内では、事象の翌々日の三日になって報告し、家族にも謝罪をしたとのことですが、本当に謝罪する気持ちがあるのであれば電話ででも直ちに連絡できますし、県へも報告できるはずです。また、事実がいまだに明確にならないということはどういうことでしょうか。問題の場所には、傷を負わせたとされる本人以外に三人の職員が同席していたとのことですが、県の調査に対し、三人全員が何があったのか見ていない、わからないと答えたとのことです。しかし、毎日新聞の十一日付は、「職員が落ちつかせようと近付いたところ逃げようとしてテーブルの角に当たり、下腹部に裂傷を負ったという」と報道をしております。つまり、暴力などではなく、本人が逃げようして傷を負ったということが話されたことになります。このように新聞に報道されたわけですが、真実はどこにあるのか、ぜひとも明らかにしていただきたいと思います。
以下、次のことについてお答えください。
障害者の福祉施設でありますから、いかなる場合でも障害者が中心でなければなりません。障害者福祉の理論に沿った障害者福祉施設にふさわしい管理方針を確立すること、職員の民主的な討論のできる環境であること、障害者や子供たちの提言が受け入れられること、自由に物の言える職場、お互いが高め合えることが信頼し合える人間関係を築き上げていくことだと思います。このことを強く願うものです。障害があっても、健常者と同じ感情があり、人間としての尊厳は守られなければなりません。暴力的な指導はいかなる場合でも決して許されるものではありません。福祉保健部長の答弁をお聞かせください。
次に、合併浄化槽問題についてお尋ねをいたします。
生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的として、一九八七年から厚生省は合併処理浄化槽設置整備事業を行い、和歌山県においても現在四十五の市町村がこの事業を導入して合併処理浄化槽の設置促進に努めておられます。今年度は、二次内示までに二千四百八十一基を予定しているとのことであります。この設置に当たっては、何人槽を設置するかという処理対象人員の確定は、建築基準法に基づいて日本工業規格(JIS)の人員算定基準によって計算されることになっております。JISの計算方法は、家の延べ面積が二百二十平方メートルを超える場合には十人槽とすることになっているなど、家の延べ床面積によって決められ、実際にその家に住んでいる人数と関係なく決まる仕組みになっています。このことから、山間部では都市部よりも大きな家が多い反面、住む人の数が少なく、お年寄りが二人だけ住む家でも、家の延べ面積が二百二十平方メートル以上あると十人槽を設置しなければならないという不合理な事態が起きてきたわけです。
JIS規格は、実情に沿わない場合には人員を増減することができるただし書きをつけているのですが、会計検査院が九二年、九三年度中に設置した一万千百三基について調べたところ、JISのただし書きを適用して処理対象人員を増減していたものはごくわずかであったとのことです。そこで、実際には七人槽や五人槽で十分賄えるのに十人槽などが設置され、国や県、市町村の補助金がむだになっている事例が多いことを指摘し、厚生省にその改善を求めました。厚生省から九五年十月、JIS規格のただし書きを正しく適用するようにとの通達が出された経緯があります。
そこで、和歌山県でも、JIS規格のただし書き規定に基づく新たな人員算定基準が九六年一月十七日付で出され、九六年四月一日から実施をされてまいりました。これは、和歌山市を除く県下各市町村では五十歳以上の高齢者を含む実人員が三人以下の世帯であること、ただし、将来、実人員の増加が予想されるものを除くというふうに改善をされました。こうした世帯においては、JIS規格よりは緩やかな規定とされているわけです。しかし、この規定も実態とはまだまだかけ離れたものと言えます。例えば、四人以上の家庭や家族に五十歳以上の人が一人でもいないとJIS規格がそのまま適用されることになります。五十歳代以上の人がいても、家の面積が二百二十平方メートルを超えると、一人世帯で六人槽、二人世帯で七人槽、三人世帯で八人槽となってしまいます。ご承知のように、十人槽の浄化槽を設置した家に二人か三人しか住んでいない場合など、一定の汚物がなければバクテリアが活発に働くことができず浄化されませんから、汚れた水が出ることになります。税金をむだにしないためにも、実態に適合した人槽とすることが必要だと思います。和歌山県の策定しているただし書き規定をさらに実情に見合ったものに改定することを求めたいと思いますが、土木部長の答弁を求めたいと思います。
また、兵庫県上月町では、このただし書きを兵庫県のただし書きに沿った、その上に地元の区長さんらが入った環境整備事業推進協議会という団体がつくられ、そこで人員決定から発注までを行っていると聞いています。それぞれの家庭の実情を十分知った人たちで論議して決めるのが最も合理的だと考えるものです。市町村独自の決定方法を尊重することも検討の対象に加えていただきたいと願うものです。
次に、国の補助金の基準額がことしから改定をされました。五人槽では昨年までの三十万九千円が三十五万四千円に増額されました。六人槽と七人槽では四十六万三千円から四十一万一千円に、五万二千円の減額となっています。八人から十人槽では八十二万四千円から五十一万九千円に、実に三十万五千円も減額をされたところです。ほとんどの自治体では、この基準額のそれぞれ三分の一を国、県、市町村が負担をし、残りを個人負担とすることになります。厚生省が補助基準を減額したことは大変残念なことだと考えますが、六人槽以上では個人負担がそれだけ増加することになります。例えば、十人槽を二百万円の費用で設置した場合、昨年までの国庫補助基準では個人負担が百十七万六千円で済んだものが、今年度からは百四十八万一千円も負担しなければならないことになります。個人消費や住宅建設の落ち込みが不況を長引かせている現在ですが、この補助金の削減が悪影響を与え、合併浄化槽の設置をおくらせることになるのではないかと大変心配をいたします。
川辺町では九四年から、日高町では来年度から、町内を農・漁業集落排水事業と合併浄化槽を実施する区域に分け、個人負担については集落排水、合併浄化槽とも同額にするとの方針を立てて、町内全域の水洗化事業に取り組んでおられます。川辺町の場合、個人負担は何人槽であっても十八万五千円で、昨年度の補助基準では五人槽で町の負担が五十八万三千円、六人槽で五十七万九千円、八人槽で七十一万九千円、十人槽で百三十万九千円となっています。これが、補助基準が改定されたことで、六人槽の場合には町の負担増は一基三万四千円で済みますが、八人槽の場合には町の負担が九十二万二千円となり、昨年より二十万三千円も増加することになります。さらに、十人槽になりますと十九万四千円の増額となってしまいます。川辺町や日高町は、生活環境の保全と公衆衛生の向上に町として積極的に取り組む方針から、合併浄化槽の設置に町の上乗せ負担を行っているものと考えられ、県の方針とも合致するのではないでしょうか。近畿の中でも、奈良県や滋賀県においては、合併浄化槽の設置に県単独の補助金制度をつくり、積極的に生活環境の整備などに取り組んでいるとのことです。和歌山県としても、合併浄化槽の設置を積極的に進める立場から県単独の補助制度を創設することを求めたいと思いますが、生活文化部長の見解をお願いしたいと思います。
以上で、第一回終わります。
○副議長(井出益弘君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員にお答えを申し上げます。
毒物混入事件についての二点について、まず地方における健康危機管理体制でございますが、医療資源につきましては、二次医療圏ごとに状況も異なりますので、その与えられた医療資源を最大限に活用すべく、病院や診療所との連携あるいは医師や医療従事者の応援体制の確立が必要となってまいります。また、搬送につきましても、それぞれの消防本部との連携が非常に大切なこととなりますので、県全体での体制づくりとあわせ、各医療圏ごとの実態に即し、関係機関、関係団体等との調整を図りながら、管理体制マニュアルの整備に取り組んでまいります。
次に、近畿地区に国立中毒専門施設の設置をということについてでございますが、今回のように毒物が特定できず、多くの患者が発生し、受け入れ医療機関も複数にわたる場合には、症状や治療等の情報を一元化し、各医療機関がそれを共有できる体制と、これら医療機関に適切な情報を提供できる体制が不可欠であります。このため、今後、発生のまれな、あるいは高度な専門技術を要する事例に対応できるような施設の整備、または現施設の体制の強化について国に要望してまいります。
次に、医療、福祉問題の四点についてお答えを申し上げます。
まず、十月一日実施の診療報酬改定の中止をとのことについてでございますが、今回の改定は、入院治療を要する患者の症状については、一般的に急性期を過ぎて慢性期へと移行し、その病状、病期にふさわしい評価、及び我が国においては入院日数が長いとの問題を是正するため、中医協での議論を踏まえて行われたものでございます。患者の皆さんに対し、真に必要な医療を適正に提供することの重要性を踏まえ、介護を主たる理由とする一般病棟の長期入院患者について、心身の状況にふさわしい環境で処遇できる評価を目指したものと聞いております。
病院の経営状況との関連につきましては、一般病棟に六カ月を超え入院される患者に対して、看護職員の基準を緩和し、介護職員の充実を図るとともに、看護や投薬、注射、検査等を包括した形での、いわゆる包括点数の導入が行われております。
なお、今回の包括点数の設定のみで病院経営が困難になると判断することは難しいと聞いております。
次に、患者が病院経営を理由に必要な医療を受けられなくなるのではないかとの点につきましても、看護職員基準を緩和して介護職員の充実が行われていることから、経営上の理由で退院させられることはないものと考えております。また、必要な医療の提供につきましては、患者が心身の状態にふさわしい処遇が受けられるような医療機関において医療が受けられるようにするものであり、患者の医療を受ける権利を損なうようなことはないと考えております。
次に、難病患者に入院見舞金あるいは難病手当金を、また激変緩和措置の必要がないとした理由についてでございますが、特定疾患治療研究事業につきましては、重症患者に重点を置いた施策充実の必要性や公費負担対象外の難治性疾患との不公平感等の実態を踏まえ、難病対策を見直し、本年五月一日から一部患者負担を導入したところでございます。県といたしましては、一部患者負担の導入に伴って、入院見舞金や難病手当金を支給することはしておりませんが、難病患者の療養生活を支援するため、本年度より難病患者居宅生活支援事業を新たに実施するとともに、昨年度実施した特定疾患患者療養生活実態調査においてニーズの高かった医療相談、訪問診療、訪問指導等の充実を図っているところでございます。
なお、一部患者負担の導入に際しましては、患者の療養に支障を来さないよう関係機関への説明会の開催等による周知に努めたところでございます。また、診断書等必要書類の見直しを行うなど、患者の負担軽減にも努めているところでございます。
次に、南紀福祉センター問題についてでございますが、南紀福祉センターにおいて、職員が指導上とはいえ、入所者にけがを負わせたことは非常に残念であり、また報告がおくれたことは遺憾でございます。
南紀福祉センターでは、企業実習や生活自立訓練等を積極的に行っており、社会参加の促進に努めているところでございますが、議員ご指摘のとおり、障害者施設は障害者を中心に据えた運営がなされるべきものであると認識しております。そのためには、施設において自由に論議し、全体の共通認識のもとに指導、運営されることが重要であります。今後、事業団施設全体の問題として本部との連携を密にし、連絡体制の整備、職場研修や管理職への指導教育、管理体制の見直しを行うとともに、保護者会や地域との連携をさらに強化するよう指導してまいります。
以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 村岡議員の、合併浄化槽問題についてのご質問にお答えいたします。
合併浄化槽の人員算定につきましては、JISの建築用途別処理対象人員算定基準により取り扱っているところでございますが、近年、高齢者のみの世帯が増加するなど小世帯化が進み、住宅の延べ面積を基準としている現行の人員算定基準が実情にそぐわなくなっている場合もあります。このため、生活環境の向上による便所の水洗化、公共水域の汚濁防止、及び合併浄化槽の設置を推進するよう、人員算定の見直しについて関係課室及び関係機関と協議調整を行い、議員ご案内のように、平成八年四月一日から実人員の少ない専用住宅で、将来も人員の増加が見込まれないものを対象に軽減を図ったところでございますが、人員算定のさらなる合理化につきましては全国的な動きを勘案しながら鋭意検討してまいります。
以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員ご質問の合併浄化槽問題についてのうち、県独自の補助金上乗せについてでございますが、合併処理浄化槽整備事業の国庫補助制度の趣旨は、生活排水の汚濁除去を積極的に推進するため、合併処理浄化槽設置費のうち、公費負担とすべき社会的便益に相当する分に対して補助するものでございます。したがいまして、県におきましても、国と同じ考え方に基づきまして、国庫補助基準額の三分の一を補助してございます。さらに、合併処理浄化槽の設置推進を図ることが最も重要であるとの考えのもとに、本年度から県独自の補助事業として国庫枠を超える分につきましても、その二分の一を補助することとしたところでございます。県補助の今回の実施によりまして、市町村の要望をほぼ充足できるものと考えてございます。今後、公共用水域の水質保全及び生活雑排水対策の推進を図るため、合併処理浄化槽の一層の普及に努めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 有功小学校の児童及び教職員の心のケアにつきましては、現在、和歌山市教育委員会が学校の要請に応じて教育相談員を派遣するなど対応いたしております。私ども県教育委員会といたしましても、県教育研修センターの教育相談主事等を派遣できるよう、その体制を整えているところでございます。
なお、教員の加配につきましては、和歌山市教育委員会と協議してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 最初に合併浄化槽の答弁ですけれども、これは、ただし書きのいい見直しができるのではないかと期待をするものですが、ぜひとも期待に沿ってください。
田舎の方に行きますと、お年寄りばかり住んでいらっしゃるところがたくさんありますので、そこへ十人槽のものをつくっても役に立たないし補助金のむだ遣いですから、そういう点では、一刻も早く改善策をお願いしたいと思います。ぜひ、年内ぐらいには見直しをしていただきたいと要望をいたしておきます。
それから、南紀福祉センターですけれども、これは障害者が入所するところでありますから、障害者が何よりも中心に座らなければいけないと思います。そして、そこの職員の皆さん方、あるいは専門家の皆さんたちから、質の高い内容が県下全域に発信できるような施設になってほしいと思うわけです。
何と申しましても、こういう投書が来るということそのものに問題があるわけです。何回、県の担当者も行って事情聴取してもわからないというところも確かにありました。そういう点で見れば、投書が来たことそのものをきちんと受けとめるべきだと思います。そして、こういう投書が来ると犯人捜しをするということが起こります。しかし、犯人捜しをすること自体が大間違いだと思うんです。犯人捜しをするならば、ぜひとも今の置かれている問題がどうしてこういう状況になったのかということを施設全体で考えて、そしてレベルの高いところでの意思統一をしていただきたいと、このようにお願いしておきたいと思います。
それから、医療問題です。
福祉保健部長、えらい流暢にご答弁なさいましたけれども、やはり地域の実態、そして医療現場の実態が余りにもわかってないと私は思いました。
それでお尋ねをいたしますけれども、昨年の九月から始まりました健康保険法の改悪と、薬代の患者負担、保険料の引き上げ、こういったことが行われました。それに加えて消費税の増税もあるわけですけれども、こういう状況のもとで、先ほどからもるる申し上げておりますように、病院にかかる患者さんが随分減ってきている、行くにもお金がなければ行けないということで、二週間分の薬を自分で勝手に都合して四週間にしてしまうとか、あるいはインシュリンを注射しているけれども、高いのでインシュリンをもらいに行くことができないと、そういうような危篤状態に陥ってきている現実があるわけですが、そういった県下の病院や患者さんの実態をどのように見ていらっしゃいますか、その認識を教えてください。
それから、この十月一日から始まります診療報酬の改定で、またお年寄りが入院の期限を区切られることになりました。七十歳以上の方が六カ月以上病院にいると、看護婦さんは足りていても看護料が大幅に引き下げられるというようなことがあります。そして、その後また六十九歳以下の若い人たちも含めて、すべての長期に入院する患者さん、しかもその看護基準に定められた申請を採用している看護基準、新看護、そういったものとは関係なく、今度は入院日数によって看護料が一ランク下げられる、クリアしなければ一ランク下げていかなければならない、こういうようなことで大幅な減収になるということと、患者さんに病院から退院してくださいと、こういう声がだんだん病院側から強められてくるということが考えられると思うのです。
もう既に、普通の中小病院の経営者の方々からは、大きい病院は二十八日を過ぎると、受け取ってくださいといって紹介状をどんどん持ってくる、そうすると中小病院は、今度は自分のところに長くいらっしゃる患者さんを受け入れてもらえるところがないと悩んでいらっしゃるんです。
そういった問題が今出てきていますが、一日から始まる診療報酬を現場に照らしてみたときにどうなのかということを、もう一度お答えいただけますか。
○副議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) まず一点の、昨年九月以降の保険料改定に伴う状況をどのように見ているかという点でございますけれども、議員もご指摘のとおり、病院協会等のアンケート調査にもございました。また、全国的な診療報酬の請求状況を見ましても、対前年度比では伸びが一・五%ということで、その前の年度の伸び六・〇に対して約四・五ポイント減少しているという状況は十分認識してございます。大変厳しい状況にあるという理解をしてございます。
二点目の、大幅な減収や退院が強制されるのではないかという点でございますけれども、これにつきましても、さきにお答えをさせていただきましたが、今回の改正につきましては、国において今検討が行われております抜本的な医療保険制度の運営ということで、今回も緊急課題として実施されたものであると聞いてございます。その基本的な考え方につきましては、近年の経済基調の大きな変化による保険料収入の伸び悩みの中で医療費が増大している、また少子高齢化が進む中で現役世代の負担がますます過重になるという、医療保険制度そのものが危機的な状況に陥りかねない状況から来たと聞いてございます。
私も、二十一世紀の本格的な少子高齢化社会を迎える中で、すべての県民、国民が安心して良質な医療サービスが受けられるような国民皆保険制度を維持し、次世代へ受け継ぐために行われる改正については、それぞれの立場で十分理解、認識していただきたいと思うわけでございます。
○副議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 何か、他人任せな答弁ですね。本当に県民の健康や福祉、命という点について、もっと重みを持っていただきたいと思うんですよ。
というのは、あなたがおっしゃったように、制度について十分理解をしていただきたいとおっしゃるけれども、理解をするにもさほど資料も提供されないし、そして国会でろくな論議もされないというような状況のもとでは、国民が知る由もないんです。知らない間にこういうふうになっちゃって大変だ、こういうようなことが今までまかり通ってきたんですね。だから今度は、あなたもおっしゃったように、十分な理解をするためにどのようなことが必要なのか。
今、開業医の中では、中小病院の中では、今の状況のもとではこれから一般病院として地域で経営は成り立たないとおっしゃっているんです。そのためにはどうするとかいったら、長期療養型のベッドに切りかえなければだめなのじゃないか。でも、長期療養型という病床群になりますと、お医者さんの数も少ない、そして看護婦の数も少ないというような基準になるわけですね。そうすると、入院している患者さんたちが果たして安心して療養できるのかどうか、まともな治療が受けられるのかどうか、こういう不安は大いに出てきます。
あわせて、今和歌山県の病院協会のをお教えいただいたんですが、病院協会の皆さんたちがアンケートをとられたそうです。五十床以上の病院で、六十六の病院から回答をいただいたということで、一般病院から療養型の病床へ移行しようかしまいかと、今、思いあぐねていらっしゃる方々がたくさんあります。六十六病院のうち七病院は、もう既に療養型へ転換されています。そして、十五病院が今計画をしていて、二十一病院が今考えているところだと。全く療養型に持っていくことは考えていませんよというのは、わずかに二十病院です。二十病院というのは、皆さん大体頭にひらめくと思いますけれども。これで見ますと、この六十六病院のベッド数が五千五百五十四床だそうです。このうち、十五病院と二十一病院と七病院を見ますと二千三百三十三ベッド、これを療養型へ移行しようという状況になるわけです。地域によっては、一般病院がなくなるということもあり得るわけですね。
そういう点で見ますと、十月一日から始まる診療報酬の改定というのは、地域医療そのものが危険になるし、そして救急病院すらもなくなっていくと、こういうことが出てくるんじゃないかと大変危惧していらっしゃるわけです。療養型病床群、これも和歌山県で枠があります。千九百二十二床ですから、これで見てみますと二千三百三十三ということになればはるかにオーバーする。こういうような現実から見ても、どうしてもこの問題については中止してほしいということを切に国に申し上げていただきたいと、要望いたしておきます。
○副議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。