平成10年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(飯田敬文議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時五分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(下川俊樹君) この際、知事から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 議長のお許しをいただきまして、一言申し述べます。
去る九月二十一日及び二十二日の両日にわたり本県に上陸した台風七号及び八号につきまして、まず、被害を受けられた県民の皆様には心からお見舞いを申し上げます。
特に台風七号は本県を縦断し、全域に相当な被害をもたらしました。現在までに判明しているところでは、幸いにも亡くなられた方はございませんが、三十三人の方が負傷されました。住宅関係では、家屋全壊が六棟、半壊が二十八棟、床下浸水が二十四棟という被害が発生してございます。また農林水産関係では、柿、ミカンを中心とした農作物被害など、また土木関係では道路、河川など、教育関係では県立高校の体育館の破損など、文化財を含め三十市町村で被害が出てございます。
当面の被害の状況は以上のとおりでありますが、県といたしましても、現在、より詳細な被害状況の把握に努めております。災害復旧に全力を尽くしますとともに、対応策について検討するよう指示したところであります。
以上でございます。
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【日程第一 議案第百八号から議案第百三十七号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百八号から議案第百三十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
43番飯田敬文君。
〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、質問をいたしたいと思います。
質問に入る前に、去る九月二十二日、台風七号が和歌山県内を直撃し、多くの負傷者や民家の全壊、約十万戸の停電等、多くの被害を及ぼしました。農産物を初め甚大な損失が心配されますが、被害に遭われた皆様に深くお見舞い申し上げると同時に、当局の一日も早い復旧に全力を尽くされることを期待するものであります。
それでは、通告に従って質問を行います。
まず、県内経済の現状認識と今後の課題についてお尋ねをいたします。
政府は、景気対策や相次ぐ癒着事件の解消に六大改革プラスワンの改革を目指して議論を重ね、未来の我が国のあるべき姿を模索しております。しかし、一部官僚や族議員による抵抗に遭って進展していない現状であり、このことにより国民の間に金融不安を初めとする社会不安が増大し、あらゆる事件・事故が多発しております。
そんな中、民間調査機関の東京リサーチが本年九月十四日に発表した八月度の全国企業倒産状況は、負債総額、前年同月比六〇・七%増加、一兆三百二十四億円となり、八月としては一九九一年に次いで戦後二番目の高水準と報じております。また、八月の倒産件数は一千四百六十三件で前年同月比一三・四%増加し、二十カ月連続して前年同月比を上回っております。さらに、八月の金融機関の貸し渋り倒産も七カ月連続で六十件以上の高水準で推移し、今後も高水準の倒産発生が続く可能性があり、年間ベースでは九七年の年間倒産件数十六万一千四百六十四件を上回るのは確実視されております。
また、国民資産の角度から見てみますと、一九九〇年末と現在とを比較してみると、土地は、その当時二千三百六十五兆円であったものが現在一千七百四十兆円と六百二十五兆円が消滅し、株は、八百九十兆円あったものが四百二十九兆円と、実に四百六十一兆円もの額が減少しているのであります。合計いたしますと、一千八十六兆円を超える国民の資産が消滅したことになります。実に国家予算の十五年分以上という巨額の資産消滅とそれに伴う負債が生じてきているわけであります。
これらのことを総合的に考えてみると、国の金融監督庁が七月十七日、本年三月に実施した金融機関の自己査定の集計結果を公表しましたが、八十七兆円の不良債権の処理は氷山の一角にすぎず、将来にわたって不良債権の処理に追われることは明白であります。
一方、経済企画庁月例報告や日銀月例報告でもこの景気の悪化を認めざるを得ないとしており、現在の需給ギャップは、物価の下方圧力が強まり、デフレスパイラルの懸念と雇用、所得の低下や企業の減産に伴う大幅な悪化が目立つとしております。
この問題の根本的な解決を図るための不良債権の処理の完遂は、個別の銀行の問題ではなく、現在の日本の金融機関全体の制度的な問題であります。程度の差はあれ、すべての銀行が自己資本不足をしているのに根本的な問題があります。その証拠に、日本で最高の財務格付を誇る東京三菱銀行でさえ、円安と株安のためにBIS基準の八%を割っておるという報道がされておるわけであります。その他の金融機関は推して知るべきであることは、言うまでもないことであります。
こうした中で、バブルの崩壊後、全国で最初の地銀・阪和銀行の業務停止に始まり、県内大手中堅ゼネコンの浅川組の、事実上の倒産と変わらない、会社更生法の適用申請、また和歌山県商工信用組合の紀陽銀行への事業譲渡など、全国的な景気の深刻な影響が我が和歌山県に集中的にあらわれておるわけであります。またこれに伴って、中小零細企業の倒産、県民所得の低下、失業者の増大など、県民の経済生活は破滅のふちに追い詰められており、その不安、不信は頂点に達しております。
私は、今こそこの景気の実態を直視し、県民が安心して生活できる景気の回復、安定を政治が実現しなければならないと考えます。そのためには、根本的原因である不良債権を取り除き、特に金融機関の自己資本不足を早急に解消することが最も重要であり、そのことを抜きにして県民の生活の安定向上は望めないと考えているところであります。
県は、近年の厳しい経済情勢に対応するため、本年当初より予算編成において、経済の活性化を最重点の柱としてその執行に鋭意努力されておりますことに敬意を表するところであります。さらに、六月補正予算において二百七十二億円、そして今回、九月補正に八十一億円の予算編成をしていただきました。現在の県経済にとって多少なりとも有効であろうと思いますが、急変する経済状況に追いつかないところであると考えておるわけであります。
中でも、中小零細企業対策として、不況対策特別融資枠を百億円から二百億円へ倍増したことは当然の措置として評価をいたしますが、追加した百億円の中身は、二十五億円が県予算としても、七十五億円は民間金融機関からの融資枠であり、当然窓口は民間銀行が務めるわけでありまして、過去に行ってきた県保証協会の保証が得られる企業にしか貸し出されない現状では、現在の厳しい経済情勢下の中小零細企業にとって絵にかいたもちも同然であると考えるところであります。
県が支出する予算の二十五億円を県独自予算の特別融資として、例えば無担保融資やそれに見合う融資枠を設定し、県の主導による、実情に合った経済政策的な融資基準を設けるなど、県経済の立て直しに積極的に取り組んでいただきたいと思うわけであります。
政治家個人として、また知事として、西口知事は現在の県下の経済情勢をどのように把握・認識されておるのか。また、全国的な景気の影響が我が和歌山県に集中していることについてご考察をお伺いいたしますとともに、特別融資の新しい基準の設定及び県主導による融資実行の点についてお伺いをいたします。
次に、ビッグバンを控えた金融業界の再編により、全国で初めての業務停止命令が我が和歌山県の阪和銀行に適用されたことは記憶に新しいところであります。このことにより、関連取引企業は新しい金融機関に対して口座を開いていただくためあらゆる努力を試みた結果、なお受け入れを拒まれ、経営困難を引き起こし、倒産が相次ぎました。また、阪和銀行の破綻より以降、全国でも問題になった銀行の貸し渋り現象は、中小零細企業の経営運営にも大きな影響を及ぼしています。
そんな中、六月議会において和田正人議員が質問いたしましたが、県の指導監督下にある和歌山県商工信用組合の紀陽銀行への事業譲渡が電撃的に発表されたことは、県の経済界はもちろんのこと、県民全体にとっても驚くべきことでありました。
現在の景気を考えますと、譲渡合併をすることによる紀陽銀行の耐力の低下を危惧する声があることは事実であります。今後の銀行経営は生き残りをかけたものとなるのは目に見えており、我が県の銀行が健全な経営改善を行い、それに打ちかつことを願ってやみません。
さて、平成六年、県予算における五十億円の公的支援を行ったにもかかわらずこのような結果になったことに対し強い不信を感じますとともに、県信は県の監督指導する金融機関であり、その経営責任は、第一義的にはもちろん県信の経営者であることは当然でございますが、県の監督指導責任は、阪和銀行とは違い、県信は県民の負託を受けて県が直接指導監督しておるわけでありまして、その責任には重大なものがあると思うわけであります。まして、県民の血税を投入してまで対応してきた結果、紀陽銀行へ事業譲渡されることになったのであります。県の監督指導責任をどのように感じておられるのか、お聞きをしたいと思います。
県信の事業譲渡にかかわる、健全経営の中小零細企業の新規銀行取引においてスムーズな移行ができるのかという心配の声も多数に上っており、阪和銀行のときと同じような現象が引き起こるように思えるところであります。
本年七月から五十億円の枠で実施している県信対策資金の融資申し込みが八月末現在百十八件、金額にして十四億三千四百九十二万五千円の実績があったと聞いておりますが、私はこのような低調な利用の中身──先ほども申し上げた、県保証協会の過去の基準による査定により保証協会の段階で融資が受けられなかったことが原因ではなかったかと思うわけであります。
例えば、保証協会と正常な取引があるということを条件に上げておりますが、県下の零細企業はぎりぎりの経営、資金繰りを余儀なくされているのが実態であり、資金繰りが苦しいから融資を求めているのであります。資金に余裕があり、銀行と保証協会と正常な取引をしているならば融資は必要のないことは自明の理であります。
また、融資時には目いっぱいの担保設定をして借り入れをしており、今日の地価の低下の中で、その担保では新しい融資の担保で担保割れが生じ、追加担保の要請に応じられず、結果的に融資が受けられないため倒産に追い込まれる企業が多発しております。特に、県信の今までの取引先は中小零細企業が大半であり、多くの中小零細企業はこれらの基準に合わず、また銀行自身も自己資本率の低下や不良債権の増大を恐れる余り貸し渋りをせざるを得ず、資金繰りに詰まっているのが現状であります。
県は、不況対策融資の無担保保証の限度額を千五百万円ふやして五千万円まで引き上げておりますが、これにしても、基準に合わないものに対する解決にはほど遠いものと言わざるを得ません。この上は、知事談話にもあったように、預金者保護はもちろんのこと、実情に合った中小零細企業者及び雇用者保護など、地域社会の影響を最小限に食いとめる手だてを講じるとともに経営責任を明確にし、あわせて今後の新しい基準づくりと県が直接に貸し付けを行えるような制度の創設をしなければならないと考えております。なお、現実に県が直接融資している制度が現在もあるわけでありまして、この厳しい状態の中で早急な実施を要望するところであります。
今後、年末に向けて企業の資金繰りが苦しくなる中で、極めて厳しい状況になることが予想されます。今後の県信の紀陽銀行への事業譲渡にかかわって、借り手である中小零細企業に影響を及ぼさないための県の取り組みについて、また県の特別融資が企業に有効利用及び活動できる県の対策についてお聞きをいたしたいと思います。
次に、紀泉百万都市構想の推進についてお尋ねをいたします。
経済の再生は、金融制度の改革のみならず、地域においてのソフト、ハード両面の整備拡充が大事であります。初質問以来訴え続けております紀泉百万都市構想は、地域連携を主眼としているものの、経済的なインパクトを踏まえ、紀泉地域が関西国際空港を中心とした経済集積地域をつくり上げることが目的であります。その第一歩として、先ごろ、大阪府知事ほか、国、経済界首脳など多数の参加のもと、紀泉サミット・紀泉フォーラム21を我が県より呼びかけられ開催し、共同宣言が採択されたことは何よりも喜ばしいことと敬意を表するところであります。
知事は、共同宣言でも明らかなように、全国総合開発計画に位置づけられた太平洋新国土軸構想に見られる二十一世紀に向けた大きなポテンシャルを有する地域として、また世界に開かれた都市圏として積極的にこの紀泉地域を発展させていく決意を述べられ、取り組まれることを誓われました。しかし、端緒に立ったところであり、この意義を踏まえた具体的な計画を樹立させる中で我が県が一歩リードしていくことが大切であります。
紀泉サミットを受けた今後の紀泉百万都市構想の推進は、現在進行中の関西国際空港二期工事完成と京奈和自動車道路の完成時期二〇〇七年におくれることなく知事主導により強力に推進させ、県当局に推進局を設置するとともに、和歌山県長期総合計画に具体的な計画を策定して阪和開発会議とともにサミットを定期的に開催することなど、紀泉百万都市構想がより具体的なものとなる検討を重ねるべきであると考えるところであります。紀泉サミット開催を受けた今後の具体的な推進計画についてお伺いをいたします。
次に、紀泉百万都市構想の推進の中で初質問以来言い続けてまいりました那賀郡の地域は、人口の増加もさることながら、和歌山県の中にあって大阪府、泉南地域と経済交流が盛んに行われ、深い関係があるところであります。
泉南地域との連携は、都市機能を持った住みよい住環境づくりとそれに伴う環境整備を我が和歌山県が率先して整備し、大阪から見た魅力ある地域をつくり上げることがより一層早期な連携へと結びつけ、紀泉百万都市構想の実現に大いに役立つものと考えます。ここでは、紀泉百万都市構想の中において、特に那賀郡地域の交通体系、環境整備など、広域的な事柄について質問をさせていただきたいと思います。
さて、県内高速道路体系は、現在、阪和高速道路が御坊市まで延伸し、あらゆる面において時間の短縮が図られたところでありますが、那賀郡からこの阪和高速道路へ乗り入れるには、停滞する国道二十四号線を走行しなければならず、一部岩出地域を通過する阪和高速道路を近距離に見ながら迂回する形で和歌山市まで走行しなければなりません。岩出町にインターが初めよりあったならば那賀郡地域の発展はおのずと現在と違うものになっていたように思われるのは、私一人ではないと思います。現実に、岩出町に阪和高速道路のインターが欲しいとの地元住民の切実な声もあります。
なお、現在進行中の京奈和自動車道路は、橋本道路の橋本市・高野口間の着工が進んでおり、紀北東道路の高野口・打田間は都市計画が決定され、用地買収に取りかかろうとしているところと聞いております。
前回の質問にも申し上げました紀北西道路建設の同時着工は、阪和高速道路の那賀郡乗り入れインターがないため要望させていただいた経緯があります。しかし、たとえこの要望が受け入れられたとしても、前回の土木部長答弁によれば京奈和自動車道は十年で供用できると伺いましたが、激動する内外経済情勢の中で一日も早く着工し、完成させることを強く訴えるものであります。関西国際空港の二期工事完成におくれることなく、完成供用に向けて積極的な取り組みをお願いするものであります。
また、那賀郡民の多くは、関西国際空港への交通経路に、和歌山インター、泉南インター及び府県間道路の泉佐野打田線、泉佐野岩出線を利用しております。その中でも泉佐野打田線は、和歌山県の中心道路である国道四百二十四号線の延長道路として第二県土軸の中核をなす道路であり、紀泉百万都市づくりの重要な道路の一つとして大阪側につながっています。この泉佐野打田線を利用する打田町以東の県民は上之郷インターより空港方面に乗り入れられない現状であり、土地の買収などに協力した日根野の住民も乗り入れられず、苦情を聞いたことがありました。
県の管轄ではないにしても、利用住民が不便を感じておることから、県としても大阪側と協議しながら乗り入れられるよう要望していただきたいと思うところであります。京奈和自動車道路の現状と紀北西道路の同時着工について、また上之郷インターより空港線乗り入れについてお伺いをいたします。
次に、府県間道路と郡内幹線道路についてお伺いいたします。
府県間道路の泉佐野岩出線の改修は、根来地内において一部供用され、大阪方面においては新しいトンネルの開設により四車線道路としてつながることになります。また、二十四号バイパスまでの用地買収がほぼ完了した旨お聞きしたところであり、全体の供用予定は平成十四年をめどに着工すると決定されております。紀泉百万都市構想にも影響する交通体系のかなめの道路となりますので、予算とともに、目標にされた平成十四年には必ず完成できるよう取り組みをお願いしたいと思います。また、前回にも質問させていただいた、泉佐野岩出線の岩出橋を通り貴志川町から海南市までの南伸計画をも、あわせて明らかにしていただきたいと思います。さらに、国道四百二十四号線のバイパス計画は、全体事業費の十億五千万円のうち三億六千万円が十年度事業として計上されておりますが、用地買収を含めた早期の完成に取り組んでいただきたい。
なお、国道四百二十四号は、府県間道路泉佐野打田線につながり、関西国際空港や大阪府中心部へつながる第二県土軸の中心となる幹線道路であります。この泉佐野打田線の改修は、和歌山県側ではほぼ完了しているものの、未施行区間百十メートルが残されております。その先の県境部分や大阪側の計画はなされていないように思われます。早期に大阪側との話し合いを持ち、和歌山県の中心を走る重要な国道四百二十四号線とそれにつながる泉佐野打田線を完成させていただきたい。
一方、これにつながる県内幹線道路かつらぎ桃山線の拡幅、県道粉河加太線のバイパス新設、垣内貴志川線の拡幅、国道二十四号線打田町以東及び和歌山市内一部完全四車線化など、交通体系の整備に積極的な取り組みをお願いいたします。
以上、紀泉百万都市構想の重要な交通体系の中での那賀郡に関連する道路づくりについてお伺いをいたします。
次に、世界的な環境不順が続く中、世界の都市において洪水、地震などが続発をしております。特に隣国中国や韓国は、大洪水により死者や財産に被害をこうむり、大打撃を受けたところであります。国内においても、阪神大震災から後、各地で床上浸水などの洪水や、東北地方ほか各地で地震が頻発しております。国は、このことを機に災害に対する危機的意識を持ち、大規模な防災訓練や防災対策を実施しておりますが、我が和歌山県も例外ではなく、河川のはんらんなど想定される災害に対処できる整備や体制をつくり上げなければなりません。
さて、那賀郡内の各河川は、建設省や県の災害に対する意識の向上に努められ、この整備改修にご尽力いただいておりますが、自然は、今度の台風七号にも見られるように突発的に起こることを考えれば、早目の措置が必要であります。
岩出町の吉田地区は、市街化の進展により浸水被害が多くなっております。少量の雨量によっても浸水が頻繁に起こり、地域住民は困惑をしております。また、中島地区やその他の地域においても浸水が多発しやすい状況であり、警戒を要することとなっております。さらに、打田町に端を発し、岩出町岡田地区を流れる春日川や打田町の烏子川についても住民より浸水に対する要望が強くあり、早期に予算を含めて改修を行っていただきたいと思うところであります。
また、県が一九九七年度に実施した河川の水質測定で、汚れの程度を示すBODについて、県内の三十五地域のうち十地点で環境基準を超えていたことが九八年版「環境白書」で明らかになっております。これに対し県は、県内下水道普及率が水質汚濁の原因となっており、生活排水対策を一層推進していきたいと説明しております。この結果から明らかなように、河川の汚濁を防止し、環境保護をする上において下水道の普及が極めて大事であり、県内下水道普及率八%という実態を見たとき、早急に対応しなければなりません。
中でも、紀の川流域下水道那賀処理区については、人口急増地域としてその緊急性が求められているにもかかわらず、遅々として進展していないのが現状であります。郡内六町では、広域行政として推進していく取り組みを長年にわたって続けられてきておりますが、都市計画決定も含め、県の強力な指導性が求められております。住みよい町づくりのため災害や環境維持を含めた郡内河川の改修について、また下水道建設の進捗と今後の見通しについてお伺いをいたします。
最後に、世界人権宣言五十周年を受けた県の取り組みについてお尋ねをいたします。
本年一月、和歌山県同和行政総合推進プランが発表され、このプランをどのように具体化させていくかが非常に大事なことであります。当然、和歌山県として、具体的にそれぞれの課題や実態を踏まえ、なおかつ将来的な展望に立って策定されたものであり、適切な対応をされていることと思います。しかし、具体的に事業主体となるのは市町村であり、これまでも指摘させていただいておりますが、市町村の中には同和室の廃止、同和行政の一般化というところがあります。さらに教育啓発にかかわっても、人権一般の中の一つとしてとらえている市町村もあるやに聞いておるところであります。
こうした中で、実際問題、同和行政総合推進プランが本当に具体的に取り組まれるのか危惧をするところであり、今日まで積み上げられてきた成果を無にするおそれがあります。和歌山県同和行政総合推進プランの具体的な取り組みをお伺いいたします。
また、ご承知のように本年は世界人権宣言五十周年という極めて意義深い年であり、来る二十一世紀を人権の世紀とするための取り組みと努力が世界各地で進められております。和歌山県においても、西口知事初め関係各位の深いご理解の中、九月十二日、岩出町において県民の集い・人権フェスティバルを開催するなど、さまざまな取り組みが進められておりますことに対し、敬意を表するところであります。
昨年十二月、知事を本部長とする「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部が設置され、県内行動計画が過日策定されたと聞いており、また国内においても、人権擁護施策推進法やアイヌ新法の成立を受けた人権に関する意識や運動が大きく高揚している中であります。しかしながら、県内において極めて悪質な差別事件、差別事象が続発しているのであります。中でも、和歌山市内の特定の人に対して、連日のように和歌山市内や岩出町で誹謗中傷する差別落書きが発生をしております。これまでの教育啓発や差別事件に対する取り組みのノウハウでは対応できず、県と関係市町村の職員がこの差別落書きに対する確認、処理に追われているのが現状であります。内容は、同和地区に対する極めて露骨で悪意に満ちたものであり、被害者本人も我慢する以外にないという状況であります。
さらに、県民が不安と不信の頂点に達している毒物混入事件にかかわって、何の根拠もなくこの犯人が同和地区の関係者であると、またそのために警察が手を出せず捜査が進展しない旨のことを、あろうことかアマチュア無線によって無差別に流されている事件が発生しております。
この二つの事件を考えてみたとき、差別は罪悪である、人権はかけがえのないものということはだれもが理解し、認識しているものであると信じたいわけでありますが、しかしながら現実はそうはなっておらないわけであります。一方では、これまでの教育や啓発、さらに差別事件に対する処理や対応についての限界や不十分さを痛感しているところであります。特に、差別された被害者は全く無力であり、深い怒りを感じております。
こうしたことを踏まえたとき、人権教育のための国連十年和歌山県行動計画の具体化と相まって、あらゆる差別の撤廃と人権の確立に向けて教育啓発の徹底、差別行為の禁止、被害者救済措置に関する和歌山県条例の制定が急務であると思うところであります。このことについては、国の人権擁護審議会において法制定に向けた審議が現在進められており、県の他の条例も見てみても、国の動向や法と県条例の制定には何ら矛盾することがないと思うわけであります。
和歌山県として、本当に人権や福祉の確立を基調とした社会を創造するために、当然必要なことと確信するところであります。同時に、こうした差別事象を放置すれば次から次へと蔓延していくことが憂慮され、早急に知事が先頭に立って対策本部を設置し、県民世論を喚起して、地方法務局や警察本部と連携して撲滅していただきたいと思うところであります。さらに、園部のカレー事件と同様に、人の命を奪う人権侵害事件として厳しく認識し、人権宣言五十周年を単なる行事に終わらせることなく、県の人権擁護体制を充実強化していただきたいと強く希望するところであります。
県内に発生した差別事件にかかわっての教育啓発の徹底、差別行為の禁止や被害者救済の県条例の制定について、また知事が先頭に立った対策本部の設置についてお伺いをいたします。
以上で、当局の積極的な答弁を期待いたしまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 飯田議員にお答えをいたします。
県経済の現状と制度改革についてのご質問であります。
我が国の経済は、繰り返し申し上げているところでありますけれども、昨年から急激な景気の後退が始まり、個人消費また住宅建設や設備投資など低迷をしておりまして、生産は減少傾向にあり、雇用情勢も依然として厳しい状況の中にございます。
このような中で、本県経済の現状につきましては、産業構造の問題もございますが、七月の鉱工業生産指数は十三カ月連続対前年同月比マイナスとなっておりまして、大型小売店販売額も前年割れとなるなど、生産、消費は全般的に低水準で推移しておるわけでございます。
また雇用状況でありますが、有効求人倍率は、近畿府県の中では比較的高い水準にございますけれども、七月においては〇・五三倍と、依然厳しい状況にあります。県内景気は一段と厳しさを増していると認識をしておるわけでございます。
このような経済状況の中で、売り上げ減少等で大変厳しい経営環境に置かれている中小零細企業者を対象とした不況対策特別資金制度融資を本年四月から実施しております。本制度は、低利で融資期間の長期化を図りまして、さらに県独自の無担保枠を設定し、県及び各振興局に窓口を設けて県があっせんを行うなど、従来の制度と比べ、かなり踏み込んだ制度となっておるわけであります。
現在、多くの中小零細企業者に利用していただいておりますけれども、中小企業向けの金融機関の融資姿勢がより厳しくなっている現状を踏まえて、さらに年末の資金需要などを踏まえ、今後十分対応してまいりたいと考えております。
次に、紀泉百万都市構想の推進についてであります。
紀泉百万都市構想につきましては、和歌山県、大阪府の府県境を挟む地域において、市町村や府県の枠を超えて相互に連携、機能分担をしながら国際化社会に対応できる、また人々の多様なライフスタイルにこたえることができる一体的な都市圏として整備していこうとするものでございます。そのために、地域相互の交流・連携が重要であると考えまして、かつて議員からもご提言がございましたが、七月六日に和歌山市において紀泉サミットを開催いたしました。紀泉地域のさらなる発展に向けて地域連携を強化していくことを共同宣言としたところでございます。
こういった紀泉地域における地域連携の取り組みは、この春に策定された新しい全国総合開発計画の方向性とも合致するものでございますが、議員お話しのように、まだ端緒についたところであると考えてございます。
今後、関西国際空港の二期事業、京奈和自動車道、府県間道路など、紀泉地域の地域づくりの基本となるプロジェクトを積極的に推進するとともに、紀泉地域での広域的かつ一体的な都市圏形成のあり方、その手法の検討など、構想推進のための努力をしたいと考えてございます。
あわせまして、阪和開発連絡協議会などの府県間の提携に加えて、例えば本県那賀地域と大阪府泉南地域の市、町で構成する泉南・那賀首長連絡協議会など市町村間、さらに住民相互の交流・連携がより活発となるように積極的に働きかけてまいりたいと考えてございます。
次に、人権行政の今後の取り組みについてであります。
ことしは、世界人権宣言五十周年という記念すべき年でございます。また、来る二十一世紀は人権の世紀と言われ、人権の大切さが全世界で叫ばれているところでございます。
昨年七月には国において人権教育のための国連十年国内行動計画が策定されたところでございまして、このような状況の中で本県といたしましては、人権行政の推進は県行政にかかわる重要課題であり、昨年十二月に私を本部長とする「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部を設置し、県の行動計画を策定したところであります。また、昨年四月には本庁に、本年四月には各振興局に、それぞれ人権担当職員を配置したところでございます。
今後、これを契機といたしまして、推進本部を人権行政の中心に位置づけて県行動計画を推進し、国の機関や市町村等とのネットワークづくりなど、人権行政の体制の充実に努めていきたいと考えております。
以上であります。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県内経済の今後についてのうち、県商工信用組合の事業譲渡における企業特別融資制度の基準見直しと金融機関の指導監督についてお答えいたします。
まず和歌山県商工信用組合の指導監督についてでございますが、平成六年度から再建計画をスタートさせ、厳しいリストラを断行させるとともに、取引中小零細企業の保護のため、県、紀陽銀行、全国信用協同組合連合会の三者協調による低利の再建支援融資を実施し、県信の財務改善に一定の寄与をしてまいりました。しかしながら、旧役員体制から引き継いだ多額の不良債権の重圧と長引く景気低迷や地価の下落等の影響を受け、債権回収が計画どおり進まず、現経営陣として早期是正措置を乗り切ることが不可能であると判断するに至ったところでございます。
県は、これまで定期的に検査を実施し、指導面として、県信内に設置した経営改善委員会のヒアリングや県、紀陽銀行、全信組連の三者で構成する再建支援連絡会議を開催し、再建計画の進捗状況を把握すにとともに、不良債権を早期に回収するよう必要な指導を行ってまいりました。
議員もご指摘のように、経営は県信の責任で行うべきものであることは当然でありますが、県といたしましても、県信を取り巻く状況が大きく変化したとはいえ、再建が途中で立ち行かなくなったことについては残念に思っているところでございます。
次に特別融資制度に関してでございますが、現在県では、経営基盤の弱い中小企業の集団化、高度化あるいは設備の近代化といった貸し付け制度において直接貸し付けを行っておりますが、これらの制度は、中小企業近代化促進法など特別な法律に基づき資金使途が限定された貸し付け制度でございます。
県信の事業譲渡につきましては、現在、両者の間で鋭意譲渡作業に取り組んでおりますが、県としても、中小零細企業への影響を少なくして円滑に事業譲渡が進むよう、国や預金保険機構などと連携を密にし、できる限りの努力を行ってまいりたいと考えてございます。
また、県信と取引のある中小零細企業者への影響を最小限に抑えるため、この七月から保証協会とも連携し、県信対策特別資金融資制度を創設し、事業譲渡完了までの間、取り組むこととしてございます。
今後、事業譲渡作業が進む中で、また年末に向け、中小零細企業者の資金需要も見込まれることから、信用保証協会や金融機関に対し金融の円滑化の要請を行うなど、その資金繰りに支障が出ないよう対応してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 飯田議員の、紀泉百万都市構想の推進に関する四点についてお答えいたします。
まず、県内高速道路体系と紀泉百万都市構想全体の交通体系についてでございます。
京奈和自動車道の現状につきましては、橋本道路では用地買収を促進しながら今年度より本線工事に着手されることとなっております。紀北東道路は本年八月に都市計画決定を終えたところであり、今後、地元関係者等の了解を得られたところから測量及び地質調査を行うこととなります。紀北西道路は、都市計画決定の手続を進めるための調査などを急いでいるところであります。
紀北西道路の同時早期着工をとのことでございますが、私どもとしては都市計画決定を早期に行うことが重要と考えますので、国と協力しながら努力してまいります。
いずれにしましても、事業の推進に対し、地元の市、町と協力しながら国を支援し、各区間の早期供用を図るべく国に対して強く働きかけてまいります。
上之郷インターにつきましては、これは地元の要望により設置された、阪和自動車道向けのハーフインターであります。関西空港及び湾岸道路方面への乗り入れについては、関西空港自動車道の規格の高い側道部を経由してりんくうタウンにあるジャンクションより乗り入れることができるようになっております。
ご要望につきましては、上之郷インター設置の経緯もあり、今後の交通需要の推移などを見ながら将来的な課題として検討してまいります。
次に、郡内府県間道路の整備計画と主要幹線道路の道路づくりについてでございます。
まず県道泉佐野岩出線の改良についてでございますが、県境から国道二十四号までの六・六キロメートルのうち、押川・根来工区は公図混乱地域であり、地籍調査に着手しております。また根来・備前工区は、現在九〇%の用地を取得しております。今後、両工区とも早期完成に向け、努力してまいります。
さらに、岩出町から海南市までの整備につきましては、今後の当地域を含めた後背地の土地利用及び将来交通需要を勘案しながら事業手法などを検討してまいります。
次に国道四百二十四号の打田・桃山間のバイパスにつきましては、早期完成に向け、当面、用地買収の促進を精力的に進めており、本年度、一部本工事の着手を予定しております。
県道泉佐野打田線の府県境部のうち本県側の約〇・一キロメートルについては、本年度、用地買収を完了しております。また大阪府側の約〇・四キロメートルにつきましては、多数名義の共有山などがあり、用地買収が難航していると聞いておりますが、今年度、一部用地買収の済んだ区間について橋梁の下部工に着手予定と聞いております。
また犬鳴山地内の改良事業につきましては、地元関係者と計画調整が難航していると聞いておりますが、府県境部とあわせて、今後とも阪和開発連絡協議会などで早期整備を強く働きかけてまいります。
さらに、かつらぎ桃山線の善田・黒川地内など及び粉河加太線の山地内で用地促進を、また垣内貴志川線の野田原地内等で整備を進めているところであり、今後、早期完成に努めてまいります。
国道二十四号の打田町以東につきましては、当面、交通混雑対策として、交差点改良などの現道対策事業を進めるよう国に強く働きかけてまいるとともに、今後、沿道の地域整備の動向を見ながら、町づくりの観点も含め、整備計画を検討してまいります。
また和歌山バイパスの完全四車線化につきましては、今年度の一次補正予算などにより四車線化が促進されると聞いておりますが、今後とも完全四車線化に向けて強く働きかけてまいります。
次に、災害及び環境維持を含めた河川改修についてのご質問にお答えします。
岩出町の吉田地区は、近年、市街化の進展に伴い、たびたび浸水被害が生じている現状にあります。吉田地区の浸水対策については、岩出町による地区内の排水路の改修、国及び県による排水先の住吉川の川底の掘削が必要でありますので、関係するこの三者で計画を策定し、現在実施に向けての協議を行っているところであります。
那賀郡内では、県の主要プロジェクトである南麓サイエンスパーク計画に関連する住吉川、春日川、烏子川などの河川の重点整備に努めているところであり、今後とも各河川の改修につき、鋭意努力してまいる所存でございます。
最後に、県内下水道建設の進捗と今後の見通しについてでございます。
下水道は、生活環境の改善を図るとともに、公共用水域の水質の保全を図る上でも重要な事業であります。県内において公共下水道事業を実施しているのは、平成九年度末現在二市十三町であり、そのうち一市八町が供用開始しております。
住宅開発などにより急激に都市化が進む那賀郡六町を対象とした紀の川第二流域下水道那賀処理区につきましては、処理区域及び幹線管渠、終末処理場、ポンプ場などの位置について、関係町と協議を進めているところです。今後につきましては、この協議の結果をもとに地元調整を十分行い、早期に事業着手できるように進めてまいります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 飯田議員にお答えをいたします。
世界人権宣言五十周年を受けた県の対応についてのうち、まず和歌山県同和行政総合推進プランの取り組みについてでございます。
本プランで述べておりますように、同対法施行以来今日まで三十年近く取り組んできた中で、今なお教育啓発、産業就労等に課題が残されており、また市町村間、地区間においてその課題が異なることなどから適切な施策を今後とも講ずる必要があり、差別を生み出す要因をなくすために一層の努力が必要であると考えてございます。
このような考えのもと、市町村に対しまして、それぞれの市町村の抱えている課題についてその背景を十分に分析し、これに対応し得る推進体制の整備について機会あるごとに指導を行っているところでございますが、今後とも一層協議を深めつつ、積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
次に、差別事件への取り組み体制についてでございます。
本県では、これまで県民みんなの同和運動を展開し、啓発活動の積極的な推進とその充実に努めてきたところでございます。その結果、同和問題解決への明るい展望が開けつつあるものの、いまだ正しい理解と認識に至っていない方々もあり、教育啓発の推進は今後も重要であると考えてございます。
特に最近、陰湿な差別落書きなどの差別事件が続発している状況がございます。今回の差別落書きは、議員ご指摘のとおり、関係者の心を著しく傷つけ、極めて重大な人権侵害であると認識してございます。県といたしましては、広域的であること、また多数の人の利用する施設で発生していることなどにかんがみ、県、県同和委員会、県教育委員会、関係市町村、地方法務局、警察本部等と連絡会を持ちながら、迅速かつ的確な処理に努めてまいりたいと考えてございます。
次に、県条例制定についてでございます。
本県におきましても、人権行政は県行政の重要な課題であると考えてございます。現在、国におきましては、同和問題を初めとする人権問題の解決を目指し、差別をなくし、人権尊重の理念を国民に深めるための教育啓発に関する施策、並びに人権が侵害された場合の被害者の救済について、人権擁護推進審議会において議論が行われているところであります。
平成九年の人権擁護施策推進法制定から、教育啓発について二年をめどに、また人権侵害の場合の被害者の救済については五年をめどに答申等が行われることになってございます。この審議により、議員ご指摘の法的枠組みが明確になってくるものと期待しております。本県といたしましても、この審議の動向を注意深く見守りながら対応するとともに、議論を深めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 同和教育に関してお答え申し上げます。
本県におきましては、同和問題解決のため、これまで学校、家庭、地域、行政が一体となって同和地区児童生徒の学力向上や県民の同和問題に対する認識を深めるための取り組みを推進してまいりました。その結果、多くの面で成果を上げてきているところでありますが、今なお高校や大学への進学率において格差が存在していることや、議員ご指摘の差別落書き事象が発生しているなどの状況を私どもは厳しく受けとめなければならないと考えております。
各学校や市町村において同和教育啓発を進めるに当たっては、こうした現状認識に立って、一層創意工夫を凝らした取り組みが重要であると考えてございます。
教育委員会といたしましては、今後とも県同和教育基本方針を踏まえるとともに、本年一月に策定された県同和行政総合推進プランに基づき、残された課題解決のため、学校教育、社会教育それぞれの分野で積極的に取り組んでまいる所存であります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 再質問がございませんので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。