平成10年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第三号 平成十年九月二十四日(木曜日)
午前十時開議
第一 議案第百八号から議案第百三十七号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百八号から議案第百三十七号まで(質疑)
二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
1 番 大 沢 広太郎
2 番 木 下 善 之
3 番 小 川 武
4 番 吉 井 和 視
5 番 下 川 俊 樹
6 番 井 出 益 弘
7 番 藁 科 義 清
8 番 門 三佐博
9 番 永 井 佑 治
10 番 新 島 雄
11 番 向 井 嘉久藏
12 番 佐 田 頴 一
14 番 阪 部 菊 雄
15 番 西 本 長 弘
16 番 馬 頭 哲 弥
17 番 谷 洋 一
18 番 山 下 直 也
19 番 高 瀬 勝 助
20 番 松 本 泰 造
21 番 堀 本 隆 男
22 番 宇治田 栄 蔵
23 番 宗 正 彦
24 番 橋 本 進
25 番 神 出 政 巳
26 番 玉 置 公 良
27 番 上 野 哲 弘
28 番 東 山 昭 久
29 番 尾 崎 要 二
30 番 野見山 海
31 番 木 下 秀 男
32 番 町 田 亘
33 番 中 山 豊
34 番 井 谷 勲
35 番 鶴 田 至 弘
36 番 森 正 樹
37 番 村 岡 キミ子
38 番 新 田 和 弘
39 番 平 越 孝 哉
40 番 森 本 明 雄
41 番 長 坂 隆 司
42 番 冨 安 民 浩
43 番 飯 田 敬 文
44 番 中 村 裕 一
45 番 松 本 貞 次
46 番 大 江 康 弘
47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(一人)
13 番 和 田 正 一
説明のため出席した者
知 事 西 口 勇
副知事 山 下 茂
出納長 高 瀬 芳 彦
知事公室長 中 山 次 郎
総務部長 藤 谷 茂 樹
企画部長 中 村 協 二
生活文化部長 大 井 光
福祉保健部長 小 西 悟
商工労働部長 上 山 義 彦
農林水産部長 尾 崎 武 久
土木部長 長 沢 小太郎
企業局長 西 浦 昭 人
教育委員会委員長
山 本 昭
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長
高 垣 宏
警察本部長 米 田 壯
人事委員会委員長
若 林 弘 澄
代表監査委員 宮 市 武 彦
選挙管理委員会委員長
谷 口 庄 一
以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 新 谷 哲 朗
次 長 前 晴 夫
議事課長 佐 竹 欣 司
議事課副課長 北垣内 敬
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主査 川 崎 良 雄
議事課主事 安 井 伸 彰
調査課長 湯 川 忠
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時五分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(下川俊樹君) この際、知事から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 議長のお許しをいただきまして、一言申し述べます。
去る九月二十一日及び二十二日の両日にわたり本県に上陸した台風七号及び八号につきまして、まず、被害を受けられた県民の皆様には心からお見舞いを申し上げます。
特に台風七号は本県を縦断し、全域に相当な被害をもたらしました。現在までに判明しているところでは、幸いにも亡くなられた方はございませんが、三十三人の方が負傷されました。住宅関係では、家屋全壊が六棟、半壊が二十八棟、床下浸水が二十四棟という被害が発生してございます。また農林水産関係では、柿、ミカンを中心とした農作物被害など、また土木関係では道路、河川など、教育関係では県立高校の体育館の破損など、文化財を含め三十市町村で被害が出てございます。
当面の被害の状況は以上のとおりでありますが、県といたしましても、現在、より詳細な被害状況の把握に努めております。災害復旧に全力を尽くしますとともに、対応策について検討するよう指示したところであります。
以上でございます。
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【日程第一 議案第百八号から議案第百三十七号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百八号から議案第百三十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
43番飯田敬文君。
〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、質問をいたしたいと思います。
質問に入る前に、去る九月二十二日、台風七号が和歌山県内を直撃し、多くの負傷者や民家の全壊、約十万戸の停電等、多くの被害を及ぼしました。農産物を初め甚大な損失が心配されますが、被害に遭われた皆様に深くお見舞い申し上げると同時に、当局の一日も早い復旧に全力を尽くされることを期待するものであります。
それでは、通告に従って質問を行います。
まず、県内経済の現状認識と今後の課題についてお尋ねをいたします。
政府は、景気対策や相次ぐ癒着事件の解消に六大改革プラスワンの改革を目指して議論を重ね、未来の我が国のあるべき姿を模索しております。しかし、一部官僚や族議員による抵抗に遭って進展していない現状であり、このことにより国民の間に金融不安を初めとする社会不安が増大し、あらゆる事件・事故が多発しております。
そんな中、民間調査機関の東京リサーチが本年九月十四日に発表した八月度の全国企業倒産状況は、負債総額、前年同月比六〇・七%増加、一兆三百二十四億円となり、八月としては一九九一年に次いで戦後二番目の高水準と報じております。また、八月の倒産件数は一千四百六十三件で前年同月比一三・四%増加し、二十カ月連続して前年同月比を上回っております。さらに、八月の金融機関の貸し渋り倒産も七カ月連続で六十件以上の高水準で推移し、今後も高水準の倒産発生が続く可能性があり、年間ベースでは九七年の年間倒産件数十六万一千四百六十四件を上回るのは確実視されております。
また、国民資産の角度から見てみますと、一九九〇年末と現在とを比較してみると、土地は、その当時二千三百六十五兆円であったものが現在一千七百四十兆円と六百二十五兆円が消滅し、株は、八百九十兆円あったものが四百二十九兆円と、実に四百六十一兆円もの額が減少しているのであります。合計いたしますと、一千八十六兆円を超える国民の資産が消滅したことになります。実に国家予算の十五年分以上という巨額の資産消滅とそれに伴う負債が生じてきているわけであります。
これらのことを総合的に考えてみると、国の金融監督庁が七月十七日、本年三月に実施した金融機関の自己査定の集計結果を公表しましたが、八十七兆円の不良債権の処理は氷山の一角にすぎず、将来にわたって不良債権の処理に追われることは明白であります。
一方、経済企画庁月例報告や日銀月例報告でもこの景気の悪化を認めざるを得ないとしており、現在の需給ギャップは、物価の下方圧力が強まり、デフレスパイラルの懸念と雇用、所得の低下や企業の減産に伴う大幅な悪化が目立つとしております。
この問題の根本的な解決を図るための不良債権の処理の完遂は、個別の銀行の問題ではなく、現在の日本の金融機関全体の制度的な問題であります。程度の差はあれ、すべての銀行が自己資本不足をしているのに根本的な問題があります。その証拠に、日本で最高の財務格付を誇る東京三菱銀行でさえ、円安と株安のためにBIS基準の八%を割っておるという報道がされておるわけであります。その他の金融機関は推して知るべきであることは、言うまでもないことであります。
こうした中で、バブルの崩壊後、全国で最初の地銀・阪和銀行の業務停止に始まり、県内大手中堅ゼネコンの浅川組の、事実上の倒産と変わらない、会社更生法の適用申請、また和歌山県商工信用組合の紀陽銀行への事業譲渡など、全国的な景気の深刻な影響が我が和歌山県に集中的にあらわれておるわけであります。またこれに伴って、中小零細企業の倒産、県民所得の低下、失業者の増大など、県民の経済生活は破滅のふちに追い詰められており、その不安、不信は頂点に達しております。
私は、今こそこの景気の実態を直視し、県民が安心して生活できる景気の回復、安定を政治が実現しなければならないと考えます。そのためには、根本的原因である不良債権を取り除き、特に金融機関の自己資本不足を早急に解消することが最も重要であり、そのことを抜きにして県民の生活の安定向上は望めないと考えているところであります。
県は、近年の厳しい経済情勢に対応するため、本年当初より予算編成において、経済の活性化を最重点の柱としてその執行に鋭意努力されておりますことに敬意を表するところであります。さらに、六月補正予算において二百七十二億円、そして今回、九月補正に八十一億円の予算編成をしていただきました。現在の県経済にとって多少なりとも有効であろうと思いますが、急変する経済状況に追いつかないところであると考えておるわけであります。
中でも、中小零細企業対策として、不況対策特別融資枠を百億円から二百億円へ倍増したことは当然の措置として評価をいたしますが、追加した百億円の中身は、二十五億円が県予算としても、七十五億円は民間金融機関からの融資枠であり、当然窓口は民間銀行が務めるわけでありまして、過去に行ってきた県保証協会の保証が得られる企業にしか貸し出されない現状では、現在の厳しい経済情勢下の中小零細企業にとって絵にかいたもちも同然であると考えるところであります。
県が支出する予算の二十五億円を県独自予算の特別融資として、例えば無担保融資やそれに見合う融資枠を設定し、県の主導による、実情に合った経済政策的な融資基準を設けるなど、県経済の立て直しに積極的に取り組んでいただきたいと思うわけであります。
政治家個人として、また知事として、西口知事は現在の県下の経済情勢をどのように把握・認識されておるのか。また、全国的な景気の影響が我が和歌山県に集中していることについてご考察をお伺いいたしますとともに、特別融資の新しい基準の設定及び県主導による融資実行の点についてお伺いをいたします。
次に、ビッグバンを控えた金融業界の再編により、全国で初めての業務停止命令が我が和歌山県の阪和銀行に適用されたことは記憶に新しいところであります。このことにより、関連取引企業は新しい金融機関に対して口座を開いていただくためあらゆる努力を試みた結果、なお受け入れを拒まれ、経営困難を引き起こし、倒産が相次ぎました。また、阪和銀行の破綻より以降、全国でも問題になった銀行の貸し渋り現象は、中小零細企業の経営運営にも大きな影響を及ぼしています。
そんな中、六月議会において和田正人議員が質問いたしましたが、県の指導監督下にある和歌山県商工信用組合の紀陽銀行への事業譲渡が電撃的に発表されたことは、県の経済界はもちろんのこと、県民全体にとっても驚くべきことでありました。
現在の景気を考えますと、譲渡合併をすることによる紀陽銀行の耐力の低下を危惧する声があることは事実であります。今後の銀行経営は生き残りをかけたものとなるのは目に見えており、我が県の銀行が健全な経営改善を行い、それに打ちかつことを願ってやみません。
さて、平成六年、県予算における五十億円の公的支援を行ったにもかかわらずこのような結果になったことに対し強い不信を感じますとともに、県信は県の監督指導する金融機関であり、その経営責任は、第一義的にはもちろん県信の経営者であることは当然でございますが、県の監督指導責任は、阪和銀行とは違い、県信は県民の負託を受けて県が直接指導監督しておるわけでありまして、その責任には重大なものがあると思うわけであります。まして、県民の血税を投入してまで対応してきた結果、紀陽銀行へ事業譲渡されることになったのであります。県の監督指導責任をどのように感じておられるのか、お聞きをしたいと思います。
県信の事業譲渡にかかわる、健全経営の中小零細企業の新規銀行取引においてスムーズな移行ができるのかという心配の声も多数に上っており、阪和銀行のときと同じような現象が引き起こるように思えるところであります。
本年七月から五十億円の枠で実施している県信対策資金の融資申し込みが八月末現在百十八件、金額にして十四億三千四百九十二万五千円の実績があったと聞いておりますが、私はこのような低調な利用の中身──先ほども申し上げた、県保証協会の過去の基準による査定により保証協会の段階で融資が受けられなかったことが原因ではなかったかと思うわけであります。
例えば、保証協会と正常な取引があるということを条件に上げておりますが、県下の零細企業はぎりぎりの経営、資金繰りを余儀なくされているのが実態であり、資金繰りが苦しいから融資を求めているのであります。資金に余裕があり、銀行と保証協会と正常な取引をしているならば融資は必要のないことは自明の理であります。
また、融資時には目いっぱいの担保設定をして借り入れをしており、今日の地価の低下の中で、その担保では新しい融資の担保で担保割れが生じ、追加担保の要請に応じられず、結果的に融資が受けられないため倒産に追い込まれる企業が多発しております。特に、県信の今までの取引先は中小零細企業が大半であり、多くの中小零細企業はこれらの基準に合わず、また銀行自身も自己資本率の低下や不良債権の増大を恐れる余り貸し渋りをせざるを得ず、資金繰りに詰まっているのが現状であります。
県は、不況対策融資の無担保保証の限度額を千五百万円ふやして五千万円まで引き上げておりますが、これにしても、基準に合わないものに対する解決にはほど遠いものと言わざるを得ません。この上は、知事談話にもあったように、預金者保護はもちろんのこと、実情に合った中小零細企業者及び雇用者保護など、地域社会の影響を最小限に食いとめる手だてを講じるとともに経営責任を明確にし、あわせて今後の新しい基準づくりと県が直接に貸し付けを行えるような制度の創設をしなければならないと考えております。なお、現実に県が直接融資している制度が現在もあるわけでありまして、この厳しい状態の中で早急な実施を要望するところであります。
今後、年末に向けて企業の資金繰りが苦しくなる中で、極めて厳しい状況になることが予想されます。今後の県信の紀陽銀行への事業譲渡にかかわって、借り手である中小零細企業に影響を及ぼさないための県の取り組みについて、また県の特別融資が企業に有効利用及び活動できる県の対策についてお聞きをいたしたいと思います。
次に、紀泉百万都市構想の推進についてお尋ねをいたします。
経済の再生は、金融制度の改革のみならず、地域においてのソフト、ハード両面の整備拡充が大事であります。初質問以来訴え続けております紀泉百万都市構想は、地域連携を主眼としているものの、経済的なインパクトを踏まえ、紀泉地域が関西国際空港を中心とした経済集積地域をつくり上げることが目的であります。その第一歩として、先ごろ、大阪府知事ほか、国、経済界首脳など多数の参加のもと、紀泉サミット・紀泉フォーラム21を我が県より呼びかけられ開催し、共同宣言が採択されたことは何よりも喜ばしいことと敬意を表するところであります。
知事は、共同宣言でも明らかなように、全国総合開発計画に位置づけられた太平洋新国土軸構想に見られる二十一世紀に向けた大きなポテンシャルを有する地域として、また世界に開かれた都市圏として積極的にこの紀泉地域を発展させていく決意を述べられ、取り組まれることを誓われました。しかし、端緒に立ったところであり、この意義を踏まえた具体的な計画を樹立させる中で我が県が一歩リードしていくことが大切であります。
紀泉サミットを受けた今後の紀泉百万都市構想の推進は、現在進行中の関西国際空港二期工事完成と京奈和自動車道路の完成時期二〇〇七年におくれることなく知事主導により強力に推進させ、県当局に推進局を設置するとともに、和歌山県長期総合計画に具体的な計画を策定して阪和開発会議とともにサミットを定期的に開催することなど、紀泉百万都市構想がより具体的なものとなる検討を重ねるべきであると考えるところであります。紀泉サミット開催を受けた今後の具体的な推進計画についてお伺いをいたします。
次に、紀泉百万都市構想の推進の中で初質問以来言い続けてまいりました那賀郡の地域は、人口の増加もさることながら、和歌山県の中にあって大阪府、泉南地域と経済交流が盛んに行われ、深い関係があるところであります。
泉南地域との連携は、都市機能を持った住みよい住環境づくりとそれに伴う環境整備を我が和歌山県が率先して整備し、大阪から見た魅力ある地域をつくり上げることがより一層早期な連携へと結びつけ、紀泉百万都市構想の実現に大いに役立つものと考えます。ここでは、紀泉百万都市構想の中において、特に那賀郡地域の交通体系、環境整備など、広域的な事柄について質問をさせていただきたいと思います。
さて、県内高速道路体系は、現在、阪和高速道路が御坊市まで延伸し、あらゆる面において時間の短縮が図られたところでありますが、那賀郡からこの阪和高速道路へ乗り入れるには、停滞する国道二十四号線を走行しなければならず、一部岩出地域を通過する阪和高速道路を近距離に見ながら迂回する形で和歌山市まで走行しなければなりません。岩出町にインターが初めよりあったならば那賀郡地域の発展はおのずと現在と違うものになっていたように思われるのは、私一人ではないと思います。現実に、岩出町に阪和高速道路のインターが欲しいとの地元住民の切実な声もあります。
なお、現在進行中の京奈和自動車道路は、橋本道路の橋本市・高野口間の着工が進んでおり、紀北東道路の高野口・打田間は都市計画が決定され、用地買収に取りかかろうとしているところと聞いております。
前回の質問にも申し上げました紀北西道路建設の同時着工は、阪和高速道路の那賀郡乗り入れインターがないため要望させていただいた経緯があります。しかし、たとえこの要望が受け入れられたとしても、前回の土木部長答弁によれば京奈和自動車道は十年で供用できると伺いましたが、激動する内外経済情勢の中で一日も早く着工し、完成させることを強く訴えるものであります。関西国際空港の二期工事完成におくれることなく、完成供用に向けて積極的な取り組みをお願いするものであります。
また、那賀郡民の多くは、関西国際空港への交通経路に、和歌山インター、泉南インター及び府県間道路の泉佐野打田線、泉佐野岩出線を利用しております。その中でも泉佐野打田線は、和歌山県の中心道路である国道四百二十四号線の延長道路として第二県土軸の中核をなす道路であり、紀泉百万都市づくりの重要な道路の一つとして大阪側につながっています。この泉佐野打田線を利用する打田町以東の県民は上之郷インターより空港方面に乗り入れられない現状であり、土地の買収などに協力した日根野の住民も乗り入れられず、苦情を聞いたことがありました。
県の管轄ではないにしても、利用住民が不便を感じておることから、県としても大阪側と協議しながら乗り入れられるよう要望していただきたいと思うところであります。京奈和自動車道路の現状と紀北西道路の同時着工について、また上之郷インターより空港線乗り入れについてお伺いをいたします。
次に、府県間道路と郡内幹線道路についてお伺いいたします。
府県間道路の泉佐野岩出線の改修は、根来地内において一部供用され、大阪方面においては新しいトンネルの開設により四車線道路としてつながることになります。また、二十四号バイパスまでの用地買収がほぼ完了した旨お聞きしたところであり、全体の供用予定は平成十四年をめどに着工すると決定されております。紀泉百万都市構想にも影響する交通体系のかなめの道路となりますので、予算とともに、目標にされた平成十四年には必ず完成できるよう取り組みをお願いしたいと思います。また、前回にも質問させていただいた、泉佐野岩出線の岩出橋を通り貴志川町から海南市までの南伸計画をも、あわせて明らかにしていただきたいと思います。さらに、国道四百二十四号線のバイパス計画は、全体事業費の十億五千万円のうち三億六千万円が十年度事業として計上されておりますが、用地買収を含めた早期の完成に取り組んでいただきたい。
なお、国道四百二十四号は、府県間道路泉佐野打田線につながり、関西国際空港や大阪府中心部へつながる第二県土軸の中心となる幹線道路であります。この泉佐野打田線の改修は、和歌山県側ではほぼ完了しているものの、未施行区間百十メートルが残されております。その先の県境部分や大阪側の計画はなされていないように思われます。早期に大阪側との話し合いを持ち、和歌山県の中心を走る重要な国道四百二十四号線とそれにつながる泉佐野打田線を完成させていただきたい。
一方、これにつながる県内幹線道路かつらぎ桃山線の拡幅、県道粉河加太線のバイパス新設、垣内貴志川線の拡幅、国道二十四号線打田町以東及び和歌山市内一部完全四車線化など、交通体系の整備に積極的な取り組みをお願いいたします。
以上、紀泉百万都市構想の重要な交通体系の中での那賀郡に関連する道路づくりについてお伺いをいたします。
次に、世界的な環境不順が続く中、世界の都市において洪水、地震などが続発をしております。特に隣国中国や韓国は、大洪水により死者や財産に被害をこうむり、大打撃を受けたところであります。国内においても、阪神大震災から後、各地で床上浸水などの洪水や、東北地方ほか各地で地震が頻発しております。国は、このことを機に災害に対する危機的意識を持ち、大規模な防災訓練や防災対策を実施しておりますが、我が和歌山県も例外ではなく、河川のはんらんなど想定される災害に対処できる整備や体制をつくり上げなければなりません。
さて、那賀郡内の各河川は、建設省や県の災害に対する意識の向上に努められ、この整備改修にご尽力いただいておりますが、自然は、今度の台風七号にも見られるように突発的に起こることを考えれば、早目の措置が必要であります。
岩出町の吉田地区は、市街化の進展により浸水被害が多くなっております。少量の雨量によっても浸水が頻繁に起こり、地域住民は困惑をしております。また、中島地区やその他の地域においても浸水が多発しやすい状況であり、警戒を要することとなっております。さらに、打田町に端を発し、岩出町岡田地区を流れる春日川や打田町の烏子川についても住民より浸水に対する要望が強くあり、早期に予算を含めて改修を行っていただきたいと思うところであります。
また、県が一九九七年度に実施した河川の水質測定で、汚れの程度を示すBODについて、県内の三十五地域のうち十地点で環境基準を超えていたことが九八年版「環境白書」で明らかになっております。これに対し県は、県内下水道普及率が水質汚濁の原因となっており、生活排水対策を一層推進していきたいと説明しております。この結果から明らかなように、河川の汚濁を防止し、環境保護をする上において下水道の普及が極めて大事であり、県内下水道普及率八%という実態を見たとき、早急に対応しなければなりません。
中でも、紀の川流域下水道那賀処理区については、人口急増地域としてその緊急性が求められているにもかかわらず、遅々として進展していないのが現状であります。郡内六町では、広域行政として推進していく取り組みを長年にわたって続けられてきておりますが、都市計画決定も含め、県の強力な指導性が求められております。住みよい町づくりのため災害や環境維持を含めた郡内河川の改修について、また下水道建設の進捗と今後の見通しについてお伺いをいたします。
最後に、世界人権宣言五十周年を受けた県の取り組みについてお尋ねをいたします。
本年一月、和歌山県同和行政総合推進プランが発表され、このプランをどのように具体化させていくかが非常に大事なことであります。当然、和歌山県として、具体的にそれぞれの課題や実態を踏まえ、なおかつ将来的な展望に立って策定されたものであり、適切な対応をされていることと思います。しかし、具体的に事業主体となるのは市町村であり、これまでも指摘させていただいておりますが、市町村の中には同和室の廃止、同和行政の一般化というところがあります。さらに教育啓発にかかわっても、人権一般の中の一つとしてとらえている市町村もあるやに聞いておるところであります。
こうした中で、実際問題、同和行政総合推進プランが本当に具体的に取り組まれるのか危惧をするところであり、今日まで積み上げられてきた成果を無にするおそれがあります。和歌山県同和行政総合推進プランの具体的な取り組みをお伺いいたします。
また、ご承知のように本年は世界人権宣言五十周年という極めて意義深い年であり、来る二十一世紀を人権の世紀とするための取り組みと努力が世界各地で進められております。和歌山県においても、西口知事初め関係各位の深いご理解の中、九月十二日、岩出町において県民の集い・人権フェスティバルを開催するなど、さまざまな取り組みが進められておりますことに対し、敬意を表するところであります。
昨年十二月、知事を本部長とする「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部が設置され、県内行動計画が過日策定されたと聞いており、また国内においても、人権擁護施策推進法やアイヌ新法の成立を受けた人権に関する意識や運動が大きく高揚している中であります。しかしながら、県内において極めて悪質な差別事件、差別事象が続発しているのであります。中でも、和歌山市内の特定の人に対して、連日のように和歌山市内や岩出町で誹謗中傷する差別落書きが発生をしております。これまでの教育啓発や差別事件に対する取り組みのノウハウでは対応できず、県と関係市町村の職員がこの差別落書きに対する確認、処理に追われているのが現状であります。内容は、同和地区に対する極めて露骨で悪意に満ちたものであり、被害者本人も我慢する以外にないという状況であります。
さらに、県民が不安と不信の頂点に達している毒物混入事件にかかわって、何の根拠もなくこの犯人が同和地区の関係者であると、またそのために警察が手を出せず捜査が進展しない旨のことを、あろうことかアマチュア無線によって無差別に流されている事件が発生しております。
この二つの事件を考えてみたとき、差別は罪悪である、人権はかけがえのないものということはだれもが理解し、認識しているものであると信じたいわけでありますが、しかしながら現実はそうはなっておらないわけであります。一方では、これまでの教育や啓発、さらに差別事件に対する処理や対応についての限界や不十分さを痛感しているところであります。特に、差別された被害者は全く無力であり、深い怒りを感じております。
こうしたことを踏まえたとき、人権教育のための国連十年和歌山県行動計画の具体化と相まって、あらゆる差別の撤廃と人権の確立に向けて教育啓発の徹底、差別行為の禁止、被害者救済措置に関する和歌山県条例の制定が急務であると思うところであります。このことについては、国の人権擁護審議会において法制定に向けた審議が現在進められており、県の他の条例も見てみても、国の動向や法と県条例の制定には何ら矛盾することがないと思うわけであります。
和歌山県として、本当に人権や福祉の確立を基調とした社会を創造するために、当然必要なことと確信するところであります。同時に、こうした差別事象を放置すれば次から次へと蔓延していくことが憂慮され、早急に知事が先頭に立って対策本部を設置し、県民世論を喚起して、地方法務局や警察本部と連携して撲滅していただきたいと思うところであります。さらに、園部のカレー事件と同様に、人の命を奪う人権侵害事件として厳しく認識し、人権宣言五十周年を単なる行事に終わらせることなく、県の人権擁護体制を充実強化していただきたいと強く希望するところであります。
県内に発生した差別事件にかかわっての教育啓発の徹底、差別行為の禁止や被害者救済の県条例の制定について、また知事が先頭に立った対策本部の設置についてお伺いをいたします。
以上で、当局の積極的な答弁を期待いたしまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 飯田議員にお答えをいたします。
県経済の現状と制度改革についてのご質問であります。
我が国の経済は、繰り返し申し上げているところでありますけれども、昨年から急激な景気の後退が始まり、個人消費また住宅建設や設備投資など低迷をしておりまして、生産は減少傾向にあり、雇用情勢も依然として厳しい状況の中にございます。
このような中で、本県経済の現状につきましては、産業構造の問題もございますが、七月の鉱工業生産指数は十三カ月連続対前年同月比マイナスとなっておりまして、大型小売店販売額も前年割れとなるなど、生産、消費は全般的に低水準で推移しておるわけでございます。
また雇用状況でありますが、有効求人倍率は、近畿府県の中では比較的高い水準にございますけれども、七月においては〇・五三倍と、依然厳しい状況にあります。県内景気は一段と厳しさを増していると認識をしておるわけでございます。
このような経済状況の中で、売り上げ減少等で大変厳しい経営環境に置かれている中小零細企業者を対象とした不況対策特別資金制度融資を本年四月から実施しております。本制度は、低利で融資期間の長期化を図りまして、さらに県独自の無担保枠を設定し、県及び各振興局に窓口を設けて県があっせんを行うなど、従来の制度と比べ、かなり踏み込んだ制度となっておるわけであります。
現在、多くの中小零細企業者に利用していただいておりますけれども、中小企業向けの金融機関の融資姿勢がより厳しくなっている現状を踏まえて、さらに年末の資金需要などを踏まえ、今後十分対応してまいりたいと考えております。
次に、紀泉百万都市構想の推進についてであります。
紀泉百万都市構想につきましては、和歌山県、大阪府の府県境を挟む地域において、市町村や府県の枠を超えて相互に連携、機能分担をしながら国際化社会に対応できる、また人々の多様なライフスタイルにこたえることができる一体的な都市圏として整備していこうとするものでございます。そのために、地域相互の交流・連携が重要であると考えまして、かつて議員からもご提言がございましたが、七月六日に和歌山市において紀泉サミットを開催いたしました。紀泉地域のさらなる発展に向けて地域連携を強化していくことを共同宣言としたところでございます。
こういった紀泉地域における地域連携の取り組みは、この春に策定された新しい全国総合開発計画の方向性とも合致するものでございますが、議員お話しのように、まだ端緒についたところであると考えてございます。
今後、関西国際空港の二期事業、京奈和自動車道、府県間道路など、紀泉地域の地域づくりの基本となるプロジェクトを積極的に推進するとともに、紀泉地域での広域的かつ一体的な都市圏形成のあり方、その手法の検討など、構想推進のための努力をしたいと考えてございます。
あわせまして、阪和開発連絡協議会などの府県間の提携に加えて、例えば本県那賀地域と大阪府泉南地域の市、町で構成する泉南・那賀首長連絡協議会など市町村間、さらに住民相互の交流・連携がより活発となるように積極的に働きかけてまいりたいと考えてございます。
次に、人権行政の今後の取り組みについてであります。
ことしは、世界人権宣言五十周年という記念すべき年でございます。また、来る二十一世紀は人権の世紀と言われ、人権の大切さが全世界で叫ばれているところでございます。
昨年七月には国において人権教育のための国連十年国内行動計画が策定されたところでございまして、このような状況の中で本県といたしましては、人権行政の推進は県行政にかかわる重要課題であり、昨年十二月に私を本部長とする「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部を設置し、県の行動計画を策定したところであります。また、昨年四月には本庁に、本年四月には各振興局に、それぞれ人権担当職員を配置したところでございます。
今後、これを契機といたしまして、推進本部を人権行政の中心に位置づけて県行動計画を推進し、国の機関や市町村等とのネットワークづくりなど、人権行政の体制の充実に努めていきたいと考えております。
以上であります。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 県内経済の今後についてのうち、県商工信用組合の事業譲渡における企業特別融資制度の基準見直しと金融機関の指導監督についてお答えいたします。
まず和歌山県商工信用組合の指導監督についてでございますが、平成六年度から再建計画をスタートさせ、厳しいリストラを断行させるとともに、取引中小零細企業の保護のため、県、紀陽銀行、全国信用協同組合連合会の三者協調による低利の再建支援融資を実施し、県信の財務改善に一定の寄与をしてまいりました。しかしながら、旧役員体制から引き継いだ多額の不良債権の重圧と長引く景気低迷や地価の下落等の影響を受け、債権回収が計画どおり進まず、現経営陣として早期是正措置を乗り切ることが不可能であると判断するに至ったところでございます。
県は、これまで定期的に検査を実施し、指導面として、県信内に設置した経営改善委員会のヒアリングや県、紀陽銀行、全信組連の三者で構成する再建支援連絡会議を開催し、再建計画の進捗状況を把握すにとともに、不良債権を早期に回収するよう必要な指導を行ってまいりました。
議員もご指摘のように、経営は県信の責任で行うべきものであることは当然でありますが、県といたしましても、県信を取り巻く状況が大きく変化したとはいえ、再建が途中で立ち行かなくなったことについては残念に思っているところでございます。
次に特別融資制度に関してでございますが、現在県では、経営基盤の弱い中小企業の集団化、高度化あるいは設備の近代化といった貸し付け制度において直接貸し付けを行っておりますが、これらの制度は、中小企業近代化促進法など特別な法律に基づき資金使途が限定された貸し付け制度でございます。
県信の事業譲渡につきましては、現在、両者の間で鋭意譲渡作業に取り組んでおりますが、県としても、中小零細企業への影響を少なくして円滑に事業譲渡が進むよう、国や預金保険機構などと連携を密にし、できる限りの努力を行ってまいりたいと考えてございます。
また、県信と取引のある中小零細企業者への影響を最小限に抑えるため、この七月から保証協会とも連携し、県信対策特別資金融資制度を創設し、事業譲渡完了までの間、取り組むこととしてございます。
今後、事業譲渡作業が進む中で、また年末に向け、中小零細企業者の資金需要も見込まれることから、信用保証協会や金融機関に対し金融の円滑化の要請を行うなど、その資金繰りに支障が出ないよう対応してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 飯田議員の、紀泉百万都市構想の推進に関する四点についてお答えいたします。
まず、県内高速道路体系と紀泉百万都市構想全体の交通体系についてでございます。
京奈和自動車道の現状につきましては、橋本道路では用地買収を促進しながら今年度より本線工事に着手されることとなっております。紀北東道路は本年八月に都市計画決定を終えたところであり、今後、地元関係者等の了解を得られたところから測量及び地質調査を行うこととなります。紀北西道路は、都市計画決定の手続を進めるための調査などを急いでいるところであります。
紀北西道路の同時早期着工をとのことでございますが、私どもとしては都市計画決定を早期に行うことが重要と考えますので、国と協力しながら努力してまいります。
いずれにしましても、事業の推進に対し、地元の市、町と協力しながら国を支援し、各区間の早期供用を図るべく国に対して強く働きかけてまいります。
上之郷インターにつきましては、これは地元の要望により設置された、阪和自動車道向けのハーフインターであります。関西空港及び湾岸道路方面への乗り入れについては、関西空港自動車道の規格の高い側道部を経由してりんくうタウンにあるジャンクションより乗り入れることができるようになっております。
ご要望につきましては、上之郷インター設置の経緯もあり、今後の交通需要の推移などを見ながら将来的な課題として検討してまいります。
次に、郡内府県間道路の整備計画と主要幹線道路の道路づくりについてでございます。
まず県道泉佐野岩出線の改良についてでございますが、県境から国道二十四号までの六・六キロメートルのうち、押川・根来工区は公図混乱地域であり、地籍調査に着手しております。また根来・備前工区は、現在九〇%の用地を取得しております。今後、両工区とも早期完成に向け、努力してまいります。
さらに、岩出町から海南市までの整備につきましては、今後の当地域を含めた後背地の土地利用及び将来交通需要を勘案しながら事業手法などを検討してまいります。
次に国道四百二十四号の打田・桃山間のバイパスにつきましては、早期完成に向け、当面、用地買収の促進を精力的に進めており、本年度、一部本工事の着手を予定しております。
県道泉佐野打田線の府県境部のうち本県側の約〇・一キロメートルについては、本年度、用地買収を完了しております。また大阪府側の約〇・四キロメートルにつきましては、多数名義の共有山などがあり、用地買収が難航していると聞いておりますが、今年度、一部用地買収の済んだ区間について橋梁の下部工に着手予定と聞いております。
また犬鳴山地内の改良事業につきましては、地元関係者と計画調整が難航していると聞いておりますが、府県境部とあわせて、今後とも阪和開発連絡協議会などで早期整備を強く働きかけてまいります。
さらに、かつらぎ桃山線の善田・黒川地内など及び粉河加太線の山地内で用地促進を、また垣内貴志川線の野田原地内等で整備を進めているところであり、今後、早期完成に努めてまいります。
国道二十四号の打田町以東につきましては、当面、交通混雑対策として、交差点改良などの現道対策事業を進めるよう国に強く働きかけてまいるとともに、今後、沿道の地域整備の動向を見ながら、町づくりの観点も含め、整備計画を検討してまいります。
また和歌山バイパスの完全四車線化につきましては、今年度の一次補正予算などにより四車線化が促進されると聞いておりますが、今後とも完全四車線化に向けて強く働きかけてまいります。
次に、災害及び環境維持を含めた河川改修についてのご質問にお答えします。
岩出町の吉田地区は、近年、市街化の進展に伴い、たびたび浸水被害が生じている現状にあります。吉田地区の浸水対策については、岩出町による地区内の排水路の改修、国及び県による排水先の住吉川の川底の掘削が必要でありますので、関係するこの三者で計画を策定し、現在実施に向けての協議を行っているところであります。
那賀郡内では、県の主要プロジェクトである南麓サイエンスパーク計画に関連する住吉川、春日川、烏子川などの河川の重点整備に努めているところであり、今後とも各河川の改修につき、鋭意努力してまいる所存でございます。
最後に、県内下水道建設の進捗と今後の見通しについてでございます。
下水道は、生活環境の改善を図るとともに、公共用水域の水質の保全を図る上でも重要な事業であります。県内において公共下水道事業を実施しているのは、平成九年度末現在二市十三町であり、そのうち一市八町が供用開始しております。
住宅開発などにより急激に都市化が進む那賀郡六町を対象とした紀の川第二流域下水道那賀処理区につきましては、処理区域及び幹線管渠、終末処理場、ポンプ場などの位置について、関係町と協議を進めているところです。今後につきましては、この協議の結果をもとに地元調整を十分行い、早期に事業着手できるように進めてまいります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 飯田議員にお答えをいたします。
世界人権宣言五十周年を受けた県の対応についてのうち、まず和歌山県同和行政総合推進プランの取り組みについてでございます。
本プランで述べておりますように、同対法施行以来今日まで三十年近く取り組んできた中で、今なお教育啓発、産業就労等に課題が残されており、また市町村間、地区間においてその課題が異なることなどから適切な施策を今後とも講ずる必要があり、差別を生み出す要因をなくすために一層の努力が必要であると考えてございます。
このような考えのもと、市町村に対しまして、それぞれの市町村の抱えている課題についてその背景を十分に分析し、これに対応し得る推進体制の整備について機会あるごとに指導を行っているところでございますが、今後とも一層協議を深めつつ、積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
次に、差別事件への取り組み体制についてでございます。
本県では、これまで県民みんなの同和運動を展開し、啓発活動の積極的な推進とその充実に努めてきたところでございます。その結果、同和問題解決への明るい展望が開けつつあるものの、いまだ正しい理解と認識に至っていない方々もあり、教育啓発の推進は今後も重要であると考えてございます。
特に最近、陰湿な差別落書きなどの差別事件が続発している状況がございます。今回の差別落書きは、議員ご指摘のとおり、関係者の心を著しく傷つけ、極めて重大な人権侵害であると認識してございます。県といたしましては、広域的であること、また多数の人の利用する施設で発生していることなどにかんがみ、県、県同和委員会、県教育委員会、関係市町村、地方法務局、警察本部等と連絡会を持ちながら、迅速かつ的確な処理に努めてまいりたいと考えてございます。
次に、県条例制定についてでございます。
本県におきましても、人権行政は県行政の重要な課題であると考えてございます。現在、国におきましては、同和問題を初めとする人権問題の解決を目指し、差別をなくし、人権尊重の理念を国民に深めるための教育啓発に関する施策、並びに人権が侵害された場合の被害者の救済について、人権擁護推進審議会において議論が行われているところであります。
平成九年の人権擁護施策推進法制定から、教育啓発について二年をめどに、また人権侵害の場合の被害者の救済については五年をめどに答申等が行われることになってございます。この審議により、議員ご指摘の法的枠組みが明確になってくるものと期待しております。本県といたしましても、この審議の動向を注意深く見守りながら対応するとともに、議論を深めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 同和教育に関してお答え申し上げます。
本県におきましては、同和問題解決のため、これまで学校、家庭、地域、行政が一体となって同和地区児童生徒の学力向上や県民の同和問題に対する認識を深めるための取り組みを推進してまいりました。その結果、多くの面で成果を上げてきているところでありますが、今なお高校や大学への進学率において格差が存在していることや、議員ご指摘の差別落書き事象が発生しているなどの状況を私どもは厳しく受けとめなければならないと考えております。
各学校や市町村において同和教育啓発を進めるに当たっては、こうした現状認識に立って、一層創意工夫を凝らした取り組みが重要であると考えてございます。
教育委員会といたしましては、今後とも県同和教育基本方針を踏まえるとともに、本年一月に策定された県同和行政総合推進プランに基づき、残された課題解決のため、学校教育、社会教育それぞれの分野で積極的に取り組んでまいる所存であります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 再質問がございませんので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
4番吉井和視君。
〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。項目に従い、五項目の質問をさせていただきます。
まず、地方分権についてであります。私は、十五回登壇する中で五回、この問題について質問をさせていただくわけでありますが、時の流れというのは非常に速いものでありまして、この問題については緊急を要する課題になってまいってきておるということにかんがみて、再度質問をさせていただきます。
平成五年六月、衆参両院で地方分権の推進に関する決議が行われ、その後、平成七年の地方分権推進法の成立から三年間で地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を受け、本年五月二十九日に地方分権推進計画が閣議決定されたところであります。今後、地方自治法を初め各法律の整備を行い、その完成の期日は平成十二年三月三十一日となっているようであります。問題であった機関委任事務が廃止になり、これから具体的にどのように権限が移譲され、地方分権が進んでいくのかが注目すべきところであります。
分権委員会はまだ解散せずに残された課題に取り組むようでありますが、テーマである「住民に身近な行政はできるだけ地方公共団体で」ということの中で、既得の権限を維持したい役人官僚とのやりとりが大変だったろうと思います。とにかく、この機関委任事務が自治事務と法定受託事務とに分類され、地方分権が推進されるに伴って地方公共団体の自己決定権と自己責任の拡大が図られることにより、地方公共団体の行政体制の整備・確立に早急に取り組まなければならないわけであります。
地方分権計画に盛り込まれている中に、一、行政改革等の推進、二、市町村の合併等の推進、三、地方議会の活性化、四、住民参加の拡大・多様化、五、公正の確保と透明性の向上、六、首長の多選の見直しという六項目が盛り込まれております。今後地方分権がどんどん推進され、国庫補助金、国庫負担金制度が合理化され、地方が本当に求める地方分権制度として充実するためには、行政体制の整備が早急に取り組まなければならない緊急の課題であります。もちろん、機関委任事務が廃止され自治事務となるからには、地方議会の権限も及ぶことから議会の責任は重大であるため、国から言われなくても──余り国から信用がないわけでありますが──議会活性化に向けて議会改革に取り組まなければならないと思います。
まず、地方公共団体の体制整備の中で、行政改革等の推進について県の考えをお聞きいたします。地方分権計画の中に、行政改革大綱を見直すとありますが、その検討は既にされているのかをお尋ねいたします。
次に、行革に関連して振興局制度についてでありますが、本県では西口県政の行革において、来るべき地方分権への対応として、地域の身近な行政は地域で解決させようということで県より百三十余の権限を移譲し、ことしから振興局制度をスタートさせたわけでありますが、現時点でその成果と問題点をお聞かせください。
先日、中山議員が西口県政であるところのこの振興局制度を大変高く評価されておりましたが、問題点があるかないかということについてもお尋ねいたします。
また、これは提案でありますが、県庁と市町村の人事交流は以前からなされております。地域の総合的な行政の運営をしている振興局と市町村の人事交流について今後必要と考えますが、いかがですか。
次に市町村の合併等の推進についてでありますが、分権計画の中で、「交通・情報通信手段の発達、日常社会生活圏の拡大や地域間の連携・協力の促進等により、行政の広域化の必要性が高まってきている。これについては、広域行政機構の活用等により一定の成果があげられてきたところであるが、総合的な行政主体として、人材を確保し、かつ、地域の課題を包括的に解決する観点からは、市町村合併により、意思決定、事業実施等を一つの市町村が行うことが効果的であり」と書かれており、合併の推進を強く要請し、さまざまな措置を講じております。
ことしの二月議会でも、私はさまざまな角度から市町村合併についてお尋ねし、知事の答弁をいただいたところでありますが、分権委員会の勧告やそれに基づくところの分権計画の中では都道府県知事の役割が大きくなってきており、知事の推進力が大きく問われております。知事はこのことをどのように受けとめ、今後どのように対応されるのか、お尋ねいたします。
また、自主的な市町村の合併に対する取り組みについて、先進的な府県においては相当な推進事業を実施いたしております。県の具体的な対応策をお尋ねいたします。
次に、森林・林業関係についてお尋ねいたします。
山村に住んでいる人は、よく「山が泣いている」という表現を使います。山の手入れが全然されず、放置されている状態であります。山村社会に定住する人々が著しく減少し、山村はその成立基盤さえ危うくしかねない状態であります。外材攻撃によって木材価格は低迷し、これが林業経営意欲の極端な低下と林業生産活動の停滞を来しているところであります。このような状態が続くならば、国土の保全、水資源の涵養、環境の保全等、多面的な公益的機能が低下し、国民生活を脅かすおそれがあります。何とかこの危機を救うべく、森林・林業・林産業活性化促進地方議員連盟が平成九年一月に結成されました。全国運動を展開しておるわけであり、馬頭哲弥議員が和歌山県を代表してこの林活議連の副会長に就任いたしております。それは、国民すべてが山林・森林に思いをはせ、山村と都市住民が一体となって国民世論を盛り上げる中から森林の整備を実現しようということからであります。
そこで、地方でできる林業活性化対策についてお伺いいたします。
まず第一点目は、木材需要の拡大についてであります。公共施設への木材利用の促進、また間伐材を含めた木材の公共事業などへの利用促進がぜひとも必要であると考えます。どのように取り組まれておるのか。例えば学校の校舎なんかは、できるだけ多く木を使っていただきたいと考えております。
ここで、清水町の木材業者から私にいただいた一文を紹介させていただきます。これは最近の木材の現状ということでいただいたわけでありますが、「平成十年七月現在の杉丸太の相場は、昭和三十一、二年ごろの相場に落ち込んでいる。その当時の労働者の一日の賃金は五百円から六百円で、杉丸太一石の代金で労働者を五人か六人雇用することができた。しかし現在は、賃金がその当時の二十五倍で、一石の代金で日給の四分の一程度しか支払えない。一例として、五十年生前後の杉立き木を伐採して出材した場合、丸太の代金全部が経費に消えてしまって山林家の手取りはゼロである。それに加えて最近、労働基準局が、危険防止という見地からか、工事用に従来の足場丸太を使用しないよう指導しているとかで、平成九年度から足場丸太の需要がばったりとまってしまった。これは林業経営者にとって大きな問題である。足場丸太は、樹齢五十年までの山林にとっては間伐のメーンであり、それが金にならないと山林家の間伐意欲の喪失を招き、やがて山が荒廃して治山治水上大きな社会問題になる。業界挙げて木材の需要拡大を必死になって叫んでいるとき、従来から需要が定着していた足場丸太の需要を剥奪するという、まさに現実に逆行する措置に怒りを覚える」と、このような主張で、木材業者は今生き残れるかどうかの大変な瀬戸際に立っている現状であります。
二点目は、木のよさについての普及啓発活動の強化についてどのように取り組んでいるか。和歌山県は木の国であり、当然でありますが、地球温暖化防止対策にも木造住宅、木材利用が有効であり、健康と住宅という方面からも普及啓発活動を十分に実施されたい。
三点目は、水源林の整備に関する普及啓発活動を行うため水源林基金等が全国各地で設立され、水源地の森林整備に寄与しているので和歌山県も取り組む必要があると思うが、どのように考えているのか。
各県の状況は、電力会社等に協力を得て基金をつくり、水源林の造成や林業関係事業を助成しているようであります。また、森林を有する山村と人口集中の都市部が、合併等により上流地区、下流地区ともに水源林の整備について努力する必要があります。例えば、水道使用料に応じて受益者負担ということで料金を上乗せし、森林を整備する方法もあるので、今後検討しなければならないと考えます。
四点目は青少年に対する森林・林業教育について、国土の保全、水資源の涵養、環境保全等の多面的な公益性を学校教育の中で、林業体験を通じて学ばせる必要性について教育長にお尋ねいたします。
五点目は、林業後継者の育成についてであります。一番重要なことでありますが、林業就業者の減少と高齢化は大変著しく、昭和三十五年に四十四万人あった数が平成七年には八万人になっております。高齢化についても、五十歳以上の人の数は六九%になっております。森林の働きは、公的、社会的機能を有する社会資本であります。この社会資本を守るため、公的資金を導入して間伐等の森林整備を実施し、山村を守り、地場産業の振興を図ることによって林業後継者の育成をするという方法しかないのではないかと考えますが、県はどのように対応するのかお聞かせください。
また、先ほど来同僚議員からメモをいただいたわけでありますが、今、和歌山県の港湾のほとんどが、外材攻撃が盛んであるということで輸入材が港に随分散乱しており、環境を大変汚くしております。輸入業者は、廃業したときなど、港に木材をほうりっ放しにしているという状態もあります。特に津波などが起これば大変なことになりますので、そういう点も十分考慮していただきたいなと思います。後でまた、津波災害のことについてもお尋ねをします。
次に、ミカン対策について質問をさせていただきます。
昨年産のミカンはかつてない低価格であったため、ミカン農家は悲惨な状態で、相当数の農家が県の融資を受けたようであります。ことしこそはという願いから、品質のよいミカンをつくろうとして、異常な干ばつの中で努力いたしております。ミカンの救世主とも言うべき農水省果樹試験場の発表が五月に出されました。温州ミカンにベータクリプトキサンチンという発がん性物質を世界で初めて発見したという発表であります。疫学的には、ミカンはがん予防によいということがわかっていたようでありますが、どの成分が効くのか不明であったのが初めてその成分を突きとめたわけであります。毎日ミカン一個食べるだけでがん予防の効果が期待できるという、本当にありがたいニュースであります。
そこで、ミカンの消費宣伝についてこのことを大々的にPRすることがぜひとも必要であると考えます。既に農協はチラシやポスターでPRの実施をしていると聞いておりますが、県の対応はどのように考えておられるのか。できる限りの手当て、方法を講じていただきたいと考えております。
次に、津波対策についてお尋ねいたします。
「災害は忘れたことにやってくる」という有名な言葉がありますが、忘れなくても災害はやってくるわけであります。忘れないだけで天災は防げるものではありません。そのために、危険に対する防災体制を、意識でなく早急に整備することが言うまでもなく重要なことであります。
和歌山県の沿岸は、過去多くの津波災害に見舞われております。中でも湯浅広湾はV字型地形を有しているため、湯浅町と広川町では幾たびか大きな被害をこうむっております。特に宝永(一七〇七年)、安政(一八五四年)、昭和南海道津波(一九四六年)では、壊滅的な被害を受けております。安政の津波における浜口梧陵の稲むらの火の話が世界的にも有名であります。
広川町では毎年津波祭りを行い、海の神に津波からの安全を祈願することにより防災意識の高揚を図っておりますが、万全ではありません。平成四年からこの地域の津波対策の技術調査が開始され、近く防波堤及び港湾整備計画が実施されると聞いておりますが、その実施計画はどのようになっているのかお聞きいたします。
幾たびかこの地域を襲った程度の津波はこの防波堤で防ぐことが可能でありますが、それ以上の大きな津波やこの港湾の整備が完了するまでに来る津波に対処するため、特に津波災害が予想される地域の防災整備が必要となります。
具体的に申し上げますと、広川町に天皇区という地区があります。この地区は周辺の中でも一段と低位地区で、海と川に面しているところであります。この港の中で一番危険な地区であります。ところが、現地に行って視察したところ、緊急的に避難する道路、避難場所が見当たらないわけであります。また、水門がありますが、緊急時の開閉はその場所に行ってしか行えず、その管理が不十分であります。津波が来れば、一体だれがこの水門を閉めに行くのでありましょうか。
本来、何年もかかるような整備計画の前に、小さな津波被害に対応するため、このような地区の防災整備を行うことが大変重要であると考えます。適当な事業実施を県と町の協議のもとに行っていただきたいと思いますが、どのように考えておられるかお尋ねいたします。
最後に、北朝鮮のミサイル発射問題について要望させていただきます。
弾道ミサイルか衛星ロケットか、いずれにしても、日本を飛び越えて日本付近の公海に落下したようであります。国連安全保障理事会も、日本が提起したことについて、九月十五日、ミサイル発射問題に関する協議を行い、ダルグレン安保理議長が懸念表明を発表いたしました。これは、事前通告なく発射されたことに対する遺憾の表明であります。これに対して北朝鮮スポークスマンは、日本は共和国への敵対行為に執着する限り日本とは絶対に国交を正常化しない、また日朝関係は危険千万な戦争の瀬戸際に立っていると対日警告をし、さらに今後とも商業衛星を発射する計画であると、朝鮮放送で明らかにしております。これはどういう神経の国なのか。そういう国が隣にあるわけであります。
日本の安全保障上、極めて危険な状態であります。ミサイルの先が日本を向いており、核弾頭も保有している可能性もあるわけであります。日本及び日本人は、このような国防上の危機についてもっと緊張しなければならないと思います。
その原因の第一は、いわゆる現行日本国憲法の存在にあると思います。まずもって、その制定過程に問題ありです。日本弱体化のため、マッカーサー率いるGHQが短期間のうちに英文で草案した憲法であります。講和条約締結後、この憲法の改正・見直しや自主憲法制定の動きについては各方面でありましたが、その議論すら平和憲法の名のもとに封殺されてきた歴史があります。このことが、安全危機に対する国民の意識があいまいになってきた原因の一つであります。もっとも、憲法は不磨の大典であるわけでなく、時代の流れに応じて憲法を見直す議論は当然のことであると思います。
私が地方議会でこのようなことについて主張するのは、国民の議論を喚起するためであり、国及び国会議員だけに任すことのできない、重要な問題であるからであります。
そこで、自主憲法はともかく、地方から国の危機体制の構築を叫ぶ必要があります。知事におかれては、国に対し、今回のミサイル発射事件で、領土内において不測の事態が発生したときの対応、危機管理体制の確立を要望していただきたく、ここに要望をさせていただきました。
以上、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
地方分権に関連をいたしまして、行政改革大綱の見直しについてであります。
県では、地方分権時代に対応した行政体制の整備確立を図ることを目標といたしまして、平成七年に策定をした行政改革大綱に基づき、平成八年には福祉・保健施策の連携を強化するために本庁組織の大幅な改編を行いました。さらに本年四月からは、住民に身近なところで総合行政を推進するために県内七カ所に振興局を設置するなどいたしまして、行財政運営全般の見直しを進めてきたところでございます。
ただ、この大綱は、平成七年十一月からおおむね三カ年をかけて実施する行政改革の基本的な考え方を示したものでございますので、本年末で一応の計画期間が終了することになります。このために、二十一世紀に向けての行政体制を整備するための指針となる新しい行政改革大綱を本年末をめどに策定いたしたいと考えておりまして、民間有識者十四名で構成する行政改革推進委員会を設置して、委員の皆様から忌憚のないご意見を賜りながら作業を進めていきたいと考えております。
次に、市町村合併の推進についてでございます。
ご指摘のように、本年五月に示された地方分権推進計画では行政の広域化の必要性が指摘をされておりまして、特に市町村合併については、「市町村が合併を検討する際の参考や目安となる合併のパターン等を内容とする合併推進についての要綱の作成」──大変長い名前ですけれども、そういうふうなことであるとか、市町村合併を推進する上での都道府県の役割が明らかにされておるわけでございます。
もとより合併につきましては、前にもお答え申し上げましたが、市町村の自主的な取り組みが基本でございます。本年実施した県民意識調査では、広域行政の推進を望むという回答は約七五%でありますが、市町村合併に賛成とする回答は約四〇%でございました。合併の機運の醸成がまだまだ必要であると考えられますので、県としては、引き続き情報の提供あるいは議論の場づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
ただ、合併を含めた行政の広域化が求められる大きな潮流がありますので、こうしたことを踏まえて議論を進めていく必要があろうかと思っております。
また現在、国の市町村合併研究会におきましては、都道府県が合併のパターンを作成する際の参考となる指針について研究されていると聞いておりますので、その動向についても注目してまいりたいと思っております。
なお、本年度は、県独自の取り組みといたしまして、本県の各地域の特性に応じた市町村の行政体制整備についても調査研究を実施しておるところでございまして、この結果についても、合併も含めた広域行政推進に生かしてまいりたいと考えてございます。
ご要望でございましたが、北朝鮮ミサイル発射に関しては心して拝聴させていただきました。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 吉井議員にお答え申し上げます。
振興局につきましては、各地域において県民の皆様や市町村の要望に総合的に対応するとともに、それぞれの地域の特性に応じた行政を迅速に行うことができる体制を確立することを目的に設置したものであります。
振興局設置に合わせて、地域の課題は地域で対応できるように振興局ごとの調査研究や計画策定などを独自に行うふるさと未来づくり調整事業と、市町村や民間の地域づくり団体等が行う個性的で魅力ある地域づくり事業に対するふるさと未来づくり補助事業を創設したほか、議員のご質問にもありましたように、百三十項目程度の事務処理権限を本庁から移譲しております。
振興局設置により、従来行政分野ごとに縦割りで行われがちであった事業間の調整や横断的連携がとりやすくなり、社会基盤の整備、生活環境の問題などの課題に対して、それぞれの振興局長のもとで総合的かつ計画的に取り組めるようになったと考えてございます。
振興局はスタートしたばかりの制度ですので至らない部分もあろうかと思いますが、今後とも振興局設置の趣旨の徹底を図ってまいります。
また、市町村との人事交流についてでございますが、現在も相互の職員の資質向上や職場の活性化を図るという観点から幾つかの市町村と人事交流を実施しておりますが、今後地方分権を進める中で、地域行政の円滑な運営を図るためにも県と市町村の相互協力の一層の強化が必要でありますので、引き続き人事交流の拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 吉井議員ご質問の、森林・林業関係四点とミカン対策についてお答え申し上げます。
まず木材の需要拡大についてでありますが、近年の林業・木材産業を取り巻く状況は、全国的な住宅着工戸数の減少、木材価格の低迷等によって一層厳しさを増してございます。このような状況の中、全国的にも木材の需要拡大の取り組みが展開されてございますが、本県では、従来の施策に加え、特に庁内の横断的組織である木の国プロジェクトにより県が行う公共施設等への木材利用推進を図り、さらに関係業界との連携のもと、市町村事業等へも積極的な働きかけを行っているところであります。
具体的な事例といたしましては、県民文化会館小ホールの舞台張りかえ工事や県緑花センターの木橋工事等、また市町村関係では福祉施設や学校施設等で成果が出てきているところでございます。
間伐材を含めた木材は、治山・林道事業を初め農林水産省所管の工事に加え、関係各省庁の工事においても利用されてきたところでございます。
さらに、昨年河川法が改正され、木材利用による護岸工や保護さく工等の環境保全に配慮した工法が採択されており、今後とも関係部局と連携を図り、より一層木材の利用を推進してまいる所存でございます。
次に木のよさの普及啓発につきましては、紀州材需要高度化促進事業や木材利用推進活動事業等、関係業界と一体となって対応しているところでありますが、特に平成八年度から、新たに全県下を対象としたキャラバン活動を実施しているところでございます。また、木材を健康や住環境の面から効果的に普及啓発するため、耐震性木造住宅のパンフレットに加え、新たに作成した「木の住まいと健康」のパンフレットを活用し、十月八日の木の日を中心としたキャンペーンを県下的に実施することとしてございます。さらに、多くの人に木に触れてもらい、木のよさを感じてもらうため、教育・福祉施設等の内装木質化、木造化に対し、その建設費を補助する木のぬくもり施設支援事業を実施しているところでございます。
今後は、来年度開催予定の南紀熊野体験博を紀州材のよさをPRする絶好の機会として積極的にPR活動を展開するとともに、あらゆる機会をとらえ、木材のよさを普及啓発してまいる所存でございます。
次に水源林の整備についてでございますが、水資源など森林の有する公益的機能につきましては、これまで緑と水の森林基金や緑の募金運動への支援等、都市住民に対し、さまざまな機会をとらえて積極的に啓発活動をしているところであります。
ご質問の、水源地域における森林整備につきましては、これまで治山事業による水源地森林整備事業に鋭意取り組んでおりますが、近年では、水源林基金や森林ボランティアによる漁民の森の動きもありますように、上流域のみならず下流域までの幅広い関係者の協力も重要かと考えてございます。このため、今後は、流域ごとに林業関係者で組織されている流域林業活性化センター等を活用して、水利用関係者、企業、都市住民を含めた合意形成を進め、水源林を育てる自主的な取り組みを促進してまいりたいと考えてございます。
次に林業後継者の育成についてでございますが、本県におきましても、林業後継者の減少とその高齢化は、森林の管理、林業生産活動に深刻な影響を与えているところであります。特に近年、木材価格の低迷により林業労働力の確保はさらに厳しい状況となってございます。しかしながら近年、自然志向等から若者のUターン、Iターンによる林業への新規参入が見られ、貴重な林業後継者となってございます。こうしたことから、新規参入者を含め、社会保障制度への加入の促進、定住住宅の整備、高性能林業機械導入による労働の軽減等、林業後継者の育成確保に努めているところでございます。また、本年度は林業労働力確保支援センターを発足させ、技術・技能の向上、就労機会の拡大などの施策に取り組むこととしてございます。
いずれにいたしましても、林業後継者の育成には、林業・木材産業の振興を図り、就労機会の増大等に努めることが重要なことと認識してございますので、なお一層積極的に取り組んでまいる所存でございます。
次にミカン対策についてのお尋ねでございますが、議員お話しの、ミカンに発がん抑制物質という農林水産省の発表につきましては、健康や安全に対する関心が高まる中、ミカンの消費拡大に期待が持てる明るい材料であり、この活用について生産者団体とともに検討を重ねてまいったところであります。
このような中、生産者団体において、県の助成事業を活用してPR用のリーフレットやポスターを作成したところでありまして、出荷時期に合わせて主要市場や量販店等に配布をするとともに、本日、県も一体となってJR和歌山駅と南海和歌山市駅において街頭キャンペーンも行ったところでございます。
一方、主産県の生産者団体等から成る全国柑橘宣伝協議会において、この十月からテレビCM等が流されることとなってございまして、こうした動きとも連携しながら、今後、東京での物産展や市場関係者との懇談会などにおいて、販売促進に向けた一層の取り組みを展開してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 吉井議員にお答えいたします。
湯浅広港の津波対策につきましては、平成四年度から八年度にかけて津波対策検討委員会を設け、湯浅広港の前面に延長九百二十メートルの防波堤を設置することにより背後地を防護する計画を策定したところです。
この防波堤につきましては、本年度、調査設計費が国の補助事業として認められ、地方港湾としては全国で初めてとなる津波対策事業に着手することができるようになりました。今後、関係両町並びに関係機関とさらに調整を図りながら事業推進に努めてまいりたいと考えてございます。
また、この防波堤の整備によって生ずる静穏海域を利用して、湯浅町、広川町及び周辺地域の物流・生産機能の向上と地域の活性化に資することを目的とした港湾施設の整備を計画しているところであり、その具体化に向けて両町と調整しているところであります。
一方、ご指摘の広川町天皇地区を初めとして、各地区において高潮対策事業として前面の防潮堤等の整備を行ってきたところであり、これらは津波発生時にも一定の防護機能を発揮するものと考えております。
また、避難体制につきましては、現在、町において避難施設等の見直しを含めて再検討中であり、議員ご指摘の天皇地区についても、緊急時における河口水門の開閉のあり方を含め、関係部局と連携して、地域防災計画に関する協議の場等を通じ、必要に応じて指導してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 青少年に対する森林・林業教育についてお答えいたします。
森林は、水資源の確保、木材の生産、国土の保全等、人々に多くの恩恵をもたらすばかりでなく、今日地球的な課題となっている地球の温暖化についても、それを抑制する役割を果たしております。また、緑豊かな景観は人々の心に潤いをもたらしてくれます。
学校教育の場において、子供たちに森林を守り育てようとする態度を育成するとともに、森林と人間との関係について理解を深めさせることは極めて大切であります。
本県の学校におきましては、地域の人々の協力を得て学校林の育成活動を行ったり、間伐材を利用したいす、プランターボックスなど木工品の製作、さらに森林林業教室への参加など、森林資源を生かした体験活動に取り組んでおり、これらは林業の振興にもつながるものと考えております。
今後とも関係部局と連携を図りながら、森林を初めとした本県の豊かな自然環境を教育に活用してまいる所存であります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
4番吉井和視君。
○吉井和視君 少し要望させていただきます。
地方分権は、今後具体的にはまだまだ大変難しい点があると思います。それで、まず我々がやらなければいけないことは市町村の合併であろうと思います。市町村の合併が自主的に行われないのであれば知事がやりなさいというふうに国が言っているように思います。副知事、そうでしょう。そうだと思います。和歌山県は相当おくれているように思います。そういうことで、今後先進県を目指していろんな事業を展開していっていただきたい。このことをお願いします。
次に防波堤ですけれども、この防波堤は四十数億円のお金がかかるわけでありますが、私が申し上げた天皇区の問題についてはたかだか──たかだかと言っては申しわけないですけれども、二千万か三千万あれば避難道路、避難場所というのは確保できると思います。まず、この天皇区の数十戸の命と、そしてまた財産を守るために、町と協議して県が主導権をとってこの整備をやっていただきたい。このように要望いたします。
最後に林業の問題でありますが、私は特に質問の中で、学校等については木を使っていただきたいと申し上げたのは、学校の「校」という字は、木の交わりと書くわけであります。今の学校の状況を見れば、石の交わりになっているんではないかと思います。私の家業は生コン業者でありますが、やっぱり木を十分に使った学校をつくっていただきたい。
以上要望申し上げて、終わります。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十分休憩
─────────────────────
午後一時四分再開
○副議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(井出益弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
37番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、質問通告に従い、お尋ねしてまいりたいと思います。
まず初めに、毒物混入事件問題であります。
これには、初日から多くの方々が質問に立たれましたので、私は三点に絞って質問を申し上げたいと思います。
この事件によって、地域における人と人との信頼関係までむちゃくちゃにされてしまいました。その上に、住民の心に深い、悲しい傷を残してしまいました。また、九月二日には事件の捜査に従事してきた警察官が過労が原因と思われる状況で亡くなられました。ここに、改めて亡くなられた四人の被害者と警察官のご遺族に心より哀悼の意を申し上げますとともに、被害に遭われた地元住民の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。
全国各地でこの事件を模倣した毒物、異物混入事件が多発し、国民に大きな不安を与えていることを考えますと、本事件の解決が急がれなければなりません。捜査当局のより一層集中した捜査の取り組みによって、一日も早い事件解決を求めたいと思います。逮捕されるまでもなく自首していただきたい。この立場から呼びかけるものです。
今回の事件は、医療機関や救急車など体制整備が進んだ県都和歌山市で発生をいたしました。しかし、郡部で発生した場合、保健所、病院、消防、警察など、住民の期待にこたえ得る健康危機体制が求められますが、どのような体制づくりを考えておられるのでしょうか。関係部長のお答えをお聞かせください。
ところで、今回の事件では毒物中毒に対する検査体制の不備が指摘されてきたところです。日本には毒物を検査・分析する公的専門施設がなく、大学の研究室や民間施設に頼っているところです。情報を提供するだけの情報センターはあるものの検査や実際の治療をする機能はない。各報道機関は国の責任を求めています。また、英国やフランスでは相談、検査、治療の各専門スタッフのそろった国立の中毒センターが複数あることや、アメリカでも各地に整備されていることをも報じています。このような施設が近畿地区にあったなら、死ぬという犠牲者ももしかしたら出なかったかもわかりません。ぜひとも、国立中毒専門施設設置を国に働きかけるべきです。いかがですか。とりわけ近畿地区にぜひとも設置をとお願いするものです。
治療に当たった医師の話ですが、毒物の検査機関がないため原因が特定できず警察に届けられない、病院に搬送された症状だけで原因物質を類推するのは乱暴だと、このようにもおっしゃっています。まことに納得できる内容です。この事件を機に、本県の衛生公害研究センターに毒物中毒の検査体制が整備されることになりましたが、遅きに失した感を持ちます。ぜひ専門性が発揮できることを大いに期待したいと思います。
さて、事件発生からちょうど二カ月になりました。被害を受け入院された住民は全員退院され、通院治療となっています。子供たちも二学期が始まりました。元気を取り戻しつつあると聞いております。有功小学校の先生たちは、事件発生と同時に夏休みを返上で家庭訪問や病院への見舞い、そして初めての体験に戸惑いながらも、校長先生や教頭先生を中心に積極的、果敢に子供たちや父兄に対する対応に取り組んでこられました。ことしの夏は殊のほか暑く、冷房設備のない学校での仕事は大変なご苦労が多かったのではと思うと、その努力に頭が下がります。子供たちも、夏休みの楽しみや家族旅行、学校でのプールも中止となりましたから、学校が始まるのを待ちわびていたそうです。日を追って元気を取り戻し、今、運動会の練習に汗を流しながら励んでいると聞きました。大変うれしい思いです。夏休みを返上しての連日夜中までの勤務は、精神的にも肉体的にも疲労がたまります。限界にあるのではと、先生方の健康を大変心配する地域のお父さん、お母さんも多いと聞きます。通常の授業に支障を来さないために、一定の期間、臨時措置として教員等の加配による支援はできないものでしょうか、教育長の所見を伺いたいと思います。
次に、医療、福祉問題についてお尋ねを申し上げます。
医療問題についてですが、私の住む地域で唯一の有床診療所が入院を廃止して、外来のみの診療になりました。これまで多くの患者が頼りにしてきた医院だけに、住民にとっては大変残念なことです。この数年間、地域の医療機関に変化が起こり始めています。相次ぐ医療法の改悪、診療報酬改定による患者負担増と医療収益の減少が続いてまいりました。とりわけ、老人を病院から追い出すための制度的改悪が際立ってひどくなっています。そして、昨年九月実施された健保本人の負担が一割から二割にふえ、同時に保険料も引き上げられました。さらに、薬代が保険外負担となって、患者の受診抑制と必要な薬をも減らして負担を軽くしようとする自衛手段をとっている現状にあります。
このことについて、和歌山県病院協会で三回のアンケートが行われています。このアンケート結果にもあらわれているように、平成九年八月二十五日の改定前と九月一日の改定後の外来患者数の減少は、公・私的七十八病院はともに減少し、双方の減少率は一四・六%に達しております。入院においても一・五%の減となっています。一年前の平成八年十月一日から十月三十一日と、改定後の平成九年十月一日から十月三十一日の外来患者数を比較してみますと、公・私五十九病院で二・三%の減少、入院においては同じく一・五%の減となっております。いずれも私的病院の減少傾向はひどいもので、減少傾向の回復の兆しは一向に見えてこない状況でもあります。その上、追い打ちをかけるように、診療報酬改定でこの十月一日から看護料減額と平均在院日数の短縮が行われます。
その改定内容は、一つは、一般病院に七十歳以上の老人が六カ月以上入院している場合、看護料が大幅に減額されます。これまで、看護職員数に応じ、老人一人当たり一日七千百六十円から三千九十円の看護料が、一律二千五百円に大幅に減額され、年間一人当たり二十一万円から百七十万円の減額になると言われています。看護補助者の加算もなくなってしまいます。ただし、人工呼吸器を装備している老人、がんなどによる放射線治療や抗がん剤服用患者など、厚生大臣の認める七つの状態にある患者にはこの減額は適用しないとしています。
もう一点は、一般病棟の一般患者を含めて、厚生省が決めた平均入院日数を超えると、看護料がこれまた減額されることになります。これまで、患者二人に看護婦一人の場合と、患者二・五人に看護婦一人の配置の場合は、平均在院日数が三十日から二十五日以内と二十八日以内に短縮され、さらに患者三人に看護婦一人、患者三・五人に看護婦一人にも、新たに在院日数が六十日以内と九十日以内という制限を加えました。
国は、老人や長期入院患者を入院させていると病院の経営が悪化していく診療報酬の改定を繰り返し行ってきました。今回の看護料減額も国の医療費抑制の一環と言え、命にかかわる入院治療の必要な患者の実態を全く無視するものです。介護のない家に帰せばどうなるか。帰る家もない、てんかん発作を繰り返す患者に退院を強制できるでしょうか。
四十五床の病院で、三・五対一の看護を採用しています。そして、入院している患者の平均在院日数が九十日です。これをクリアできなければ四対一の看護料になって、年間約八百万円の減収となると計算されています。九十日をクリアするため、どうしても退院を強要することにならざるを得ないし、大変困った問題だと語っておられるのが印象的でした。
また、生協病院では二・五対一の看護を行っています。患者の平均在院日数二十八日は辛うじてクリアしているものの、七十歳以上の長期患者も平均六人は入院しているとのことですから、年間の減収は約一千万円にも達します。これでは、病院経営はますます窮地に追い込まれることになります。
本県は、高齢化が進んでいるところです。県下の一般病院では、経営の悪化の中で病院の経営を守ろうと、一般病床から主として慢性疾患患者の長期療養の療養型病床群に転換する動きも出始めていると聞きます。これは、たとえ転換しても二〇〇〇年に始まる介護保険適用病床に指定されるかどうか、本県が整備目標としている千九百二十二床の枠に指定されるかどうか、これまた不明ですから、難しい選択となります。結果として、都市部を除いて、地域から一般病床や救急病院がなくなるという事態も起こりかねません。独居老人や老人世帯も年々増加しているとき、地域で必要な医療を受けられないということがあってはならないと思うんです。ましてや、健康の危機管理体制にも大きな影響をもたらすものではないでしょうか。県民の命が粗末にされる診療報酬の改定は直ちにやめるべきだと考えるものですが、関係部長の所見をお聞かせください。
医療福祉問題に関連して、難病患者の皆さんの医療費自己負担について質問を申し上げます。
政府は、五月から難病指定の特定疾患医療費に自己負担制度を導入いたしました。財政構造改革の名で、最も困っている方にまで新たな負担を押しつけるやり方は、本当に許されないことだと思います。難病患者の方々は、治療方法が確立されていないことから、生涯にわたって病気と闘い、入退院を繰り返しながら生活を続けなければなりません。今度の自己負担の導入で、病状が悪化するまで治療に行かないという受診抑制が起きてきています。また、難病患者の皆さんは合併症が起きることも多く、医療費負担は生活を直撃しているのが現状です。スモンやヤコブ病、重症の急性膵炎、難治性の劇症肝炎の四疾患、及び重症の難病患者については自己負担制度を見送りましたが、県内でこの適用を認められた患者さんは、県の独自指定疾患を含めてわずかに二百二十九人だけです。国と県を合わせた難病患者は三千四百五十八人ですから、自己負担が免除されている方はわずかに六・六%にすぎません。九月八日に、和歌山県難病団体連絡協議会の皆さんと県行政との話し合いが持たれたそうです。医療費の自己負担を福祉手当や難病手当として支給していただきたいとの要望に対して、県側は自己負担が導入された趣旨から見舞金などの支給はできないと答えられたようでありますが、難病患者の皆さんに対する大変冷たい県の姿勢を示していると怒りを感じるものです。
知事は、ことしの年頭に県職員への訓辞で、県職員が医療や福祉の現場に通じ、温かい県政の推進を強調されたことを大変印象深く感じました。既に兵庫県では、経過的な措置としてではありますが、難病の入院患者に対して月一万円の見舞金を支給しております。激変緩和ということで来年は五千円に引き下げるようでありますが、和歌山県がこうした激変緩和的な措置もとらないでいることは大変残念なことであります。
そこでお尋ねをいたしますが、難病患者の皆さんが求められている入院見舞金なり難病手当を実施することは、福祉先進県を目指す和歌山県の姿勢として必要ではありませんか。また、激変緩和措置を和歌山県がとる必要がないと考えたのはなぜなのでしょう。福祉保健部長、お答えください。
次に、南紀福祉センター問題についてお尋ねをしたいと思います。
ご存じのように、南紀福祉センターは、平成三年四月一日、精神薄弱児施設、精神薄弱者更生施設、身体障害者療養護施設を開設、そして平成六年四月一日、重度心身障害児施設として附属病院も併設されています。周辺は、田園風景の広がる静かなたたずまいの中にあります。四施設の定員は二百十名、県の委託事業として社会福祉法人和歌山県福祉事業団が管理運営を行っています。いわば、本県における福祉施設の中核施設でありますから、あらゆる点において模範となり、県下の障害者やそこで働く人々に対して指導、援助センターであることを期待するものです。障害者や家族はもちろんのこと、私たちは、すべての障害者が地域で生きていくために、一人の人間としての尊厳が守られる社会、福祉や医療の谷間のない社会であることを願っています。
今日まで、障害者みずから、あるいは家族、ボランティア、そして支援する団体などの要求運動と行政の努力が相まって一定の前進はしていますが、障害者の方々の願いから見たらまだまだ問題は山積しています。特に職場確保では、不況のもとでは真っ先に影響を受けることになります。この間、知的障害者の人権をないがしろにした暴力や体罰、虐待事件が後を絶ちません。さらに、和歌山でも大きな問題となった障害者年金着服事件があります。京都や神奈川、滋賀県などでも発生をいたしました。いずれも、知的障害者等で意思表示ができない、あるいは弱いことや、親御さんは子供に仕事をさせてもらっている、預かってもらっている、こういう弱みを利用した事件だと私は思います。絶対に許すことのできない問題です。こうした事件は、マスコミに取り上げられたり、支援する団体などによって表面化された事象はわずかではないかという関係者の声が聞こえてきます。
さて、去る九月九日、日本共産党和歌山県議団に一通の投書が届きました。九月一日午前九時ごろ、南紀福祉センター更生課内において、入所者に対する暴行傷害事件が発生した。更生課職員には厳重な箝口令が敷かれている。事情を求めることは不可能だから、恥ずべき事態が起きたことは他の福祉関係者に顔向けできない。将来を考えたとき、今ここで過ちを修正しないと大変なことになるから、調査の上対処してほしい。このような投書が届きました。その投書の本質的な中身はこういう内容であります。
事件の発生、平成十年九月一日午前九時ごろ、場所、南紀福祉センター更生課内、内容として、「当直職員から数名の入所者が夜間の無断外出を繰り返していた、との報告を受けたある管理者が、当該入所者に対し顔面を殴打、さらにそのうちの一名には背後から股間を蹴り上げ、陰茎部に裂傷を負わす。その後、出血が多量なため隣接する南紀福祉センター附属病院へ通院するが、処置できないとのことで、田辺市の専門医へ通院し五針の縫合処置を受ける。尚、原因については単なる事故による怪我として受診しているようです」、こういう投書であります。
この投書の内容が事実かどうか、私ども県議団は県の担当者に調査を求め、きょうまで数回にわたってその結果を聞いてまいりましたが、何回聞いても不思議なことがあります。一つは、事象の扱いの問題です。九月一日の午前中に発生したのにもかかわらず、事業団や県に報告があったのが、私どもに投書が届けられたのと同じ九日であったとのことです。しかも、その日に複数のマスコミが取材に入ったとのことです。課内に箝口令を出したこととあわせて、納得できかねる対応です。更生課内では、事象の翌々日の三日になって報告し、家族にも謝罪をしたとのことですが、本当に謝罪する気持ちがあるのであれば電話ででも直ちに連絡できますし、県へも報告できるはずです。また、事実がいまだに明確にならないということはどういうことでしょうか。問題の場所には、傷を負わせたとされる本人以外に三人の職員が同席していたとのことですが、県の調査に対し、三人全員が何があったのか見ていない、わからないと答えたとのことです。しかし、毎日新聞の十一日付は、「職員が落ちつかせようと近付いたところ逃げようとしてテーブルの角に当たり、下腹部に裂傷を負ったという」と報道をしております。つまり、暴力などではなく、本人が逃げようして傷を負ったということが話されたことになります。このように新聞に報道されたわけですが、真実はどこにあるのか、ぜひとも明らかにしていただきたいと思います。
以下、次のことについてお答えください。
障害者の福祉施設でありますから、いかなる場合でも障害者が中心でなければなりません。障害者福祉の理論に沿った障害者福祉施設にふさわしい管理方針を確立すること、職員の民主的な討論のできる環境であること、障害者や子供たちの提言が受け入れられること、自由に物の言える職場、お互いが高め合えることが信頼し合える人間関係を築き上げていくことだと思います。このことを強く願うものです。障害があっても、健常者と同じ感情があり、人間としての尊厳は守られなければなりません。暴力的な指導はいかなる場合でも決して許されるものではありません。福祉保健部長の答弁をお聞かせください。
次に、合併浄化槽問題についてお尋ねをいたします。
生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的として、一九八七年から厚生省は合併処理浄化槽設置整備事業を行い、和歌山県においても現在四十五の市町村がこの事業を導入して合併処理浄化槽の設置促進に努めておられます。今年度は、二次内示までに二千四百八十一基を予定しているとのことであります。この設置に当たっては、何人槽を設置するかという処理対象人員の確定は、建築基準法に基づいて日本工業規格(JIS)の人員算定基準によって計算されることになっております。JISの計算方法は、家の延べ面積が二百二十平方メートルを超える場合には十人槽とすることになっているなど、家の延べ床面積によって決められ、実際にその家に住んでいる人数と関係なく決まる仕組みになっています。このことから、山間部では都市部よりも大きな家が多い反面、住む人の数が少なく、お年寄りが二人だけ住む家でも、家の延べ面積が二百二十平方メートル以上あると十人槽を設置しなければならないという不合理な事態が起きてきたわけです。
JIS規格は、実情に沿わない場合には人員を増減することができるただし書きをつけているのですが、会計検査院が九二年、九三年度中に設置した一万千百三基について調べたところ、JISのただし書きを適用して処理対象人員を増減していたものはごくわずかであったとのことです。そこで、実際には七人槽や五人槽で十分賄えるのに十人槽などが設置され、国や県、市町村の補助金がむだになっている事例が多いことを指摘し、厚生省にその改善を求めました。厚生省から九五年十月、JIS規格のただし書きを正しく適用するようにとの通達が出された経緯があります。
そこで、和歌山県でも、JIS規格のただし書き規定に基づく新たな人員算定基準が九六年一月十七日付で出され、九六年四月一日から実施をされてまいりました。これは、和歌山市を除く県下各市町村では五十歳以上の高齢者を含む実人員が三人以下の世帯であること、ただし、将来、実人員の増加が予想されるものを除くというふうに改善をされました。こうした世帯においては、JIS規格よりは緩やかな規定とされているわけです。しかし、この規定も実態とはまだまだかけ離れたものと言えます。例えば、四人以上の家庭や家族に五十歳以上の人が一人でもいないとJIS規格がそのまま適用されることになります。五十歳代以上の人がいても、家の面積が二百二十平方メートルを超えると、一人世帯で六人槽、二人世帯で七人槽、三人世帯で八人槽となってしまいます。ご承知のように、十人槽の浄化槽を設置した家に二人か三人しか住んでいない場合など、一定の汚物がなければバクテリアが活発に働くことができず浄化されませんから、汚れた水が出ることになります。税金をむだにしないためにも、実態に適合した人槽とすることが必要だと思います。和歌山県の策定しているただし書き規定をさらに実情に見合ったものに改定することを求めたいと思いますが、土木部長の答弁を求めたいと思います。
また、兵庫県上月町では、このただし書きを兵庫県のただし書きに沿った、その上に地元の区長さんらが入った環境整備事業推進協議会という団体がつくられ、そこで人員決定から発注までを行っていると聞いています。それぞれの家庭の実情を十分知った人たちで論議して決めるのが最も合理的だと考えるものです。市町村独自の決定方法を尊重することも検討の対象に加えていただきたいと願うものです。
次に、国の補助金の基準額がことしから改定をされました。五人槽では昨年までの三十万九千円が三十五万四千円に増額されました。六人槽と七人槽では四十六万三千円から四十一万一千円に、五万二千円の減額となっています。八人から十人槽では八十二万四千円から五十一万九千円に、実に三十万五千円も減額をされたところです。ほとんどの自治体では、この基準額のそれぞれ三分の一を国、県、市町村が負担をし、残りを個人負担とすることになります。厚生省が補助基準を減額したことは大変残念なことだと考えますが、六人槽以上では個人負担がそれだけ増加することになります。例えば、十人槽を二百万円の費用で設置した場合、昨年までの国庫補助基準では個人負担が百十七万六千円で済んだものが、今年度からは百四十八万一千円も負担しなければならないことになります。個人消費や住宅建設の落ち込みが不況を長引かせている現在ですが、この補助金の削減が悪影響を与え、合併浄化槽の設置をおくらせることになるのではないかと大変心配をいたします。
川辺町では九四年から、日高町では来年度から、町内を農・漁業集落排水事業と合併浄化槽を実施する区域に分け、個人負担については集落排水、合併浄化槽とも同額にするとの方針を立てて、町内全域の水洗化事業に取り組んでおられます。川辺町の場合、個人負担は何人槽であっても十八万五千円で、昨年度の補助基準では五人槽で町の負担が五十八万三千円、六人槽で五十七万九千円、八人槽で七十一万九千円、十人槽で百三十万九千円となっています。これが、補助基準が改定されたことで、六人槽の場合には町の負担増は一基三万四千円で済みますが、八人槽の場合には町の負担が九十二万二千円となり、昨年より二十万三千円も増加することになります。さらに、十人槽になりますと十九万四千円の増額となってしまいます。川辺町や日高町は、生活環境の保全と公衆衛生の向上に町として積極的に取り組む方針から、合併浄化槽の設置に町の上乗せ負担を行っているものと考えられ、県の方針とも合致するのではないでしょうか。近畿の中でも、奈良県や滋賀県においては、合併浄化槽の設置に県単独の補助金制度をつくり、積極的に生活環境の整備などに取り組んでいるとのことです。和歌山県としても、合併浄化槽の設置を積極的に進める立場から県単独の補助制度を創設することを求めたいと思いますが、生活文化部長の見解をお願いしたいと思います。
以上で、第一回終わります。
○副議長(井出益弘君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員にお答えを申し上げます。
毒物混入事件についての二点について、まず地方における健康危機管理体制でございますが、医療資源につきましては、二次医療圏ごとに状況も異なりますので、その与えられた医療資源を最大限に活用すべく、病院や診療所との連携あるいは医師や医療従事者の応援体制の確立が必要となってまいります。また、搬送につきましても、それぞれの消防本部との連携が非常に大切なこととなりますので、県全体での体制づくりとあわせ、各医療圏ごとの実態に即し、関係機関、関係団体等との調整を図りながら、管理体制マニュアルの整備に取り組んでまいります。
次に、近畿地区に国立中毒専門施設の設置をということについてでございますが、今回のように毒物が特定できず、多くの患者が発生し、受け入れ医療機関も複数にわたる場合には、症状や治療等の情報を一元化し、各医療機関がそれを共有できる体制と、これら医療機関に適切な情報を提供できる体制が不可欠であります。このため、今後、発生のまれな、あるいは高度な専門技術を要する事例に対応できるような施設の整備、または現施設の体制の強化について国に要望してまいります。
次に、医療、福祉問題の四点についてお答えを申し上げます。
まず、十月一日実施の診療報酬改定の中止をとのことについてでございますが、今回の改定は、入院治療を要する患者の症状については、一般的に急性期を過ぎて慢性期へと移行し、その病状、病期にふさわしい評価、及び我が国においては入院日数が長いとの問題を是正するため、中医協での議論を踏まえて行われたものでございます。患者の皆さんに対し、真に必要な医療を適正に提供することの重要性を踏まえ、介護を主たる理由とする一般病棟の長期入院患者について、心身の状況にふさわしい環境で処遇できる評価を目指したものと聞いております。
病院の経営状況との関連につきましては、一般病棟に六カ月を超え入院される患者に対して、看護職員の基準を緩和し、介護職員の充実を図るとともに、看護や投薬、注射、検査等を包括した形での、いわゆる包括点数の導入が行われております。
なお、今回の包括点数の設定のみで病院経営が困難になると判断することは難しいと聞いております。
次に、患者が病院経営を理由に必要な医療を受けられなくなるのではないかとの点につきましても、看護職員基準を緩和して介護職員の充実が行われていることから、経営上の理由で退院させられることはないものと考えております。また、必要な医療の提供につきましては、患者が心身の状態にふさわしい処遇が受けられるような医療機関において医療が受けられるようにするものであり、患者の医療を受ける権利を損なうようなことはないと考えております。
次に、難病患者に入院見舞金あるいは難病手当金を、また激変緩和措置の必要がないとした理由についてでございますが、特定疾患治療研究事業につきましては、重症患者に重点を置いた施策充実の必要性や公費負担対象外の難治性疾患との不公平感等の実態を踏まえ、難病対策を見直し、本年五月一日から一部患者負担を導入したところでございます。県といたしましては、一部患者負担の導入に伴って、入院見舞金や難病手当金を支給することはしておりませんが、難病患者の療養生活を支援するため、本年度より難病患者居宅生活支援事業を新たに実施するとともに、昨年度実施した特定疾患患者療養生活実態調査においてニーズの高かった医療相談、訪問診療、訪問指導等の充実を図っているところでございます。
なお、一部患者負担の導入に際しましては、患者の療養に支障を来さないよう関係機関への説明会の開催等による周知に努めたところでございます。また、診断書等必要書類の見直しを行うなど、患者の負担軽減にも努めているところでございます。
次に、南紀福祉センター問題についてでございますが、南紀福祉センターにおいて、職員が指導上とはいえ、入所者にけがを負わせたことは非常に残念であり、また報告がおくれたことは遺憾でございます。
南紀福祉センターでは、企業実習や生活自立訓練等を積極的に行っており、社会参加の促進に努めているところでございますが、議員ご指摘のとおり、障害者施設は障害者を中心に据えた運営がなされるべきものであると認識しております。そのためには、施設において自由に論議し、全体の共通認識のもとに指導、運営されることが重要であります。今後、事業団施設全体の問題として本部との連携を密にし、連絡体制の整備、職場研修や管理職への指導教育、管理体制の見直しを行うとともに、保護者会や地域との連携をさらに強化するよう指導してまいります。
以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 村岡議員の、合併浄化槽問題についてのご質問にお答えいたします。
合併浄化槽の人員算定につきましては、JISの建築用途別処理対象人員算定基準により取り扱っているところでございますが、近年、高齢者のみの世帯が増加するなど小世帯化が進み、住宅の延べ面積を基準としている現行の人員算定基準が実情にそぐわなくなっている場合もあります。このため、生活環境の向上による便所の水洗化、公共水域の汚濁防止、及び合併浄化槽の設置を推進するよう、人員算定の見直しについて関係課室及び関係機関と協議調整を行い、議員ご案内のように、平成八年四月一日から実人員の少ない専用住宅で、将来も人員の増加が見込まれないものを対象に軽減を図ったところでございますが、人員算定のさらなる合理化につきましては全国的な動きを勘案しながら鋭意検討してまいります。
以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 村岡議員ご質問の合併浄化槽問題についてのうち、県独自の補助金上乗せについてでございますが、合併処理浄化槽整備事業の国庫補助制度の趣旨は、生活排水の汚濁除去を積極的に推進するため、合併処理浄化槽設置費のうち、公費負担とすべき社会的便益に相当する分に対して補助するものでございます。したがいまして、県におきましても、国と同じ考え方に基づきまして、国庫補助基準額の三分の一を補助してございます。さらに、合併処理浄化槽の設置推進を図ることが最も重要であるとの考えのもとに、本年度から県独自の補助事業として国庫枠を超える分につきましても、その二分の一を補助することとしたところでございます。県補助の今回の実施によりまして、市町村の要望をほぼ充足できるものと考えてございます。今後、公共用水域の水質保全及び生活雑排水対策の推進を図るため、合併処理浄化槽の一層の普及に努めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 有功小学校の児童及び教職員の心のケアにつきましては、現在、和歌山市教育委員会が学校の要請に応じて教育相談員を派遣するなど対応いたしております。私ども県教育委員会といたしましても、県教育研修センターの教育相談主事等を派遣できるよう、その体制を整えているところでございます。
なお、教員の加配につきましては、和歌山市教育委員会と協議してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 最初に合併浄化槽の答弁ですけれども、これは、ただし書きのいい見直しができるのではないかと期待をするものですが、ぜひとも期待に沿ってください。
田舎の方に行きますと、お年寄りばかり住んでいらっしゃるところがたくさんありますので、そこへ十人槽のものをつくっても役に立たないし補助金のむだ遣いですから、そういう点では、一刻も早く改善策をお願いしたいと思います。ぜひ、年内ぐらいには見直しをしていただきたいと要望をいたしておきます。
それから、南紀福祉センターですけれども、これは障害者が入所するところでありますから、障害者が何よりも中心に座らなければいけないと思います。そして、そこの職員の皆さん方、あるいは専門家の皆さんたちから、質の高い内容が県下全域に発信できるような施設になってほしいと思うわけです。
何と申しましても、こういう投書が来るということそのものに問題があるわけです。何回、県の担当者も行って事情聴取してもわからないというところも確かにありました。そういう点で見れば、投書が来たことそのものをきちんと受けとめるべきだと思います。そして、こういう投書が来ると犯人捜しをするということが起こります。しかし、犯人捜しをすること自体が大間違いだと思うんです。犯人捜しをするならば、ぜひとも今の置かれている問題がどうしてこういう状況になったのかということを施設全体で考えて、そしてレベルの高いところでの意思統一をしていただきたいと、このようにお願いしておきたいと思います。
それから、医療問題です。
福祉保健部長、えらい流暢にご答弁なさいましたけれども、やはり地域の実態、そして医療現場の実態が余りにもわかってないと私は思いました。
それでお尋ねをいたしますけれども、昨年の九月から始まりました健康保険法の改悪と、薬代の患者負担、保険料の引き上げ、こういったことが行われました。それに加えて消費税の増税もあるわけですけれども、こういう状況のもとで、先ほどからもるる申し上げておりますように、病院にかかる患者さんが随分減ってきている、行くにもお金がなければ行けないということで、二週間分の薬を自分で勝手に都合して四週間にしてしまうとか、あるいはインシュリンを注射しているけれども、高いのでインシュリンをもらいに行くことができないと、そういうような危篤状態に陥ってきている現実があるわけですが、そういった県下の病院や患者さんの実態をどのように見ていらっしゃいますか、その認識を教えてください。
それから、この十月一日から始まります診療報酬の改定で、またお年寄りが入院の期限を区切られることになりました。七十歳以上の方が六カ月以上病院にいると、看護婦さんは足りていても看護料が大幅に引き下げられるというようなことがあります。そして、その後また六十九歳以下の若い人たちも含めて、すべての長期に入院する患者さん、しかもその看護基準に定められた申請を採用している看護基準、新看護、そういったものとは関係なく、今度は入院日数によって看護料が一ランク下げられる、クリアしなければ一ランク下げていかなければならない、こういうようなことで大幅な減収になるということと、患者さんに病院から退院してくださいと、こういう声がだんだん病院側から強められてくるということが考えられると思うのです。
もう既に、普通の中小病院の経営者の方々からは、大きい病院は二十八日を過ぎると、受け取ってくださいといって紹介状をどんどん持ってくる、そうすると中小病院は、今度は自分のところに長くいらっしゃる患者さんを受け入れてもらえるところがないと悩んでいらっしゃるんです。
そういった問題が今出てきていますが、一日から始まる診療報酬を現場に照らしてみたときにどうなのかということを、もう一度お答えいただけますか。
○副議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) まず一点の、昨年九月以降の保険料改定に伴う状況をどのように見ているかという点でございますけれども、議員もご指摘のとおり、病院協会等のアンケート調査にもございました。また、全国的な診療報酬の請求状況を見ましても、対前年度比では伸びが一・五%ということで、その前の年度の伸び六・〇に対して約四・五ポイント減少しているという状況は十分認識してございます。大変厳しい状況にあるという理解をしてございます。
二点目の、大幅な減収や退院が強制されるのではないかという点でございますけれども、これにつきましても、さきにお答えをさせていただきましたが、今回の改正につきましては、国において今検討が行われております抜本的な医療保険制度の運営ということで、今回も緊急課題として実施されたものであると聞いてございます。その基本的な考え方につきましては、近年の経済基調の大きな変化による保険料収入の伸び悩みの中で医療費が増大している、また少子高齢化が進む中で現役世代の負担がますます過重になるという、医療保険制度そのものが危機的な状況に陥りかねない状況から来たと聞いてございます。
私も、二十一世紀の本格的な少子高齢化社会を迎える中で、すべての県民、国民が安心して良質な医療サービスが受けられるような国民皆保険制度を維持し、次世代へ受け継ぐために行われる改正については、それぞれの立場で十分理解、認識していただきたいと思うわけでございます。
○副議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 何か、他人任せな答弁ですね。本当に県民の健康や福祉、命という点について、もっと重みを持っていただきたいと思うんですよ。
というのは、あなたがおっしゃったように、制度について十分理解をしていただきたいとおっしゃるけれども、理解をするにもさほど資料も提供されないし、そして国会でろくな論議もされないというような状況のもとでは、国民が知る由もないんです。知らない間にこういうふうになっちゃって大変だ、こういうようなことが今までまかり通ってきたんですね。だから今度は、あなたもおっしゃったように、十分な理解をするためにどのようなことが必要なのか。
今、開業医の中では、中小病院の中では、今の状況のもとではこれから一般病院として地域で経営は成り立たないとおっしゃっているんです。そのためにはどうするとかいったら、長期療養型のベッドに切りかえなければだめなのじゃないか。でも、長期療養型という病床群になりますと、お医者さんの数も少ない、そして看護婦の数も少ないというような基準になるわけですね。そうすると、入院している患者さんたちが果たして安心して療養できるのかどうか、まともな治療が受けられるのかどうか、こういう不安は大いに出てきます。
あわせて、今和歌山県の病院協会のをお教えいただいたんですが、病院協会の皆さんたちがアンケートをとられたそうです。五十床以上の病院で、六十六の病院から回答をいただいたということで、一般病院から療養型の病床へ移行しようかしまいかと、今、思いあぐねていらっしゃる方々がたくさんあります。六十六病院のうち七病院は、もう既に療養型へ転換されています。そして、十五病院が今計画をしていて、二十一病院が今考えているところだと。全く療養型に持っていくことは考えていませんよというのは、わずかに二十病院です。二十病院というのは、皆さん大体頭にひらめくと思いますけれども。これで見ますと、この六十六病院のベッド数が五千五百五十四床だそうです。このうち、十五病院と二十一病院と七病院を見ますと二千三百三十三ベッド、これを療養型へ移行しようという状況になるわけです。地域によっては、一般病院がなくなるということもあり得るわけですね。
そういう点で見ますと、十月一日から始まる診療報酬の改定というのは、地域医療そのものが危険になるし、そして救急病院すらもなくなっていくと、こういうことが出てくるんじゃないかと大変危惧していらっしゃるわけです。療養型病床群、これも和歌山県で枠があります。千九百二十二床ですから、これで見てみますと二千三百三十三ということになればはるかにオーバーする。こういうような現実から見ても、どうしてもこの問題については中止してほしいということを切に国に申し上げていただきたいと、要望いたしておきます。
○副議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
○副議長(井出益弘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
26番玉置公良君。
〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 通告に従いまして、二つの問題に絞って質問をしてまいりたいと思います。
まず、介護保険制度の当面する重要課題について質問をしてまいります。
介護保険法が平成十二年四月一日から施行されることが決まり、現在、保険者となる各自治体ではその準備が開始をされています。介護保険の特徴は三つあると思います。
第一は、介護を必要とする高齢者の自己決定権を明確にしたことであります。当事者の意見が福祉サービス提供の際に決定権を持つことは、与えられる福祉から権利としてサービスを受けることを制度的に保障されたものであり、今までのシステムが一歩前進した制度となっています。
第二は、地方分権の試金石とも言える市町村が実施主体となっていることであります。全国に三千余りの介護保険会社ができたのであります。道路を隔てた隣の町のサービスと自分の町のサービスについて大幅な格差が生じないかという危惧はありますが、ある意味では自治体間の競争が生じ、サービスの向上が図られると思います。サービスのおくれている市町村の首長は選挙で落選をさせられるかわかりません。
第三は、サービスの提供主体を民間などの参入を広く求めている点であります。今までは、サービスを実施するのは行政ないし措置を委託された公益法人という公的部門が中心でありました。介護保険法では、事業者にはほとんどが民間の企業やNPOなどによって占められることになるとされています。このことは、営利、非営利を問わず、民間の創造的なサービスが多彩に登場することになるという意味では画期的であります。それゆえに、公的部門の役割もより一層重要になるとも考えられます。
介護保険法は、まだ多くの問題点を抱えた法律でありますが、一九八〇年代末から始まった福祉改革の集大成とも言える社会保障制度と福祉制度の構造改革の新たな始まりであると評価をするものであります。私は、豊かで安心できる社会システムの確立に当たって、公的な介護保険は極めて重要な制度であると認識し、介護の社会化の具体化に向けて大きな一歩を踏み出したものとして、この介護保険法を評価する立場から質問をしてまいりたいと思います。
平成十二年四月の施行に向けて、国と県の支援体制と市町村の施行体制の整備が求められています。とりわけ介護基盤整備は、介護保険制度が十分に機能するための最も重要で緊急な課題であります。介護保険制度では市町村が保険者でありますが、サービス事業者の指定、介護保険事業支援計画の策定、公費負担など、県としての役割も重要な課題であります。
以上を踏まえて、当面の重要課題についてのみ質問をしてまいります。
まず第一は、介護保険事業計画に広く県民の皆さんの意見を取り入れるため、市民参加を図るよう徹底されたいことであります。その方法としては、当事者、その家族、高齢者介護にかかわってきたボランティア、住民参加型事業体等、介護の現場にいる方々の参加を促すことであります。介護保険事業計画は、地域ケアシステムの設計図であり、五年を一期とし、三年ごとに見直すこととされています。したがって、平成十二年三月までに平成十二年度から平成十六年度の五カ年計画を策定いたします。市町村ごとに、支援の必要な人、介護の必要な人たちがどれだけ存在し、どのようなニーズを持っているのかを調査し、必要なサービスを計画的に調達するとともに、どれだけの財源が必要なのかを計算して、六十五歳以上の第一号被保険者の保険料を決定するもので、我が町をどのような福祉の自治体に育て上げていくのかという基本が決まる大変重要な計画であります。また、介護保険法は、衆議院の修正で保険者たる市町村に介護保険事業計画への被保険者の意見反映を義務づけていることを念のため申し添えます。
第二点目は、県の介護保険事業支援計画策定への市民参加を保障することとあわせて、市町村の介護保険事業を円滑に実施するためには、県からの広域的な支援措置や人材確保、育成などの措置が重要であるため積極的な支援措置を図られたいことでございます。
第三点目は、介護支援専門員の確保と育成についてであります。来る十月四日に県内では約二千五百人の応募の中で試験が行われ、厚生省が合否を決めるとされていますが、実際のケアプラン作成の中心を介護支援専門員が担うことになるため、その質が問われてきます。そして、その合格者に対する実務研修が予定されていますが、大変重要な意味を持っていると思います。県段階での現状把握と認識について伺いたいと思います。
第四点目は、県に設置される介護を必要とする人の認定に関する不服審査会及び国保連合会に設けられる苦情処理の機能充実と市町村の相談窓口との連携強化など、住民サービスの向上に努められたいことであります。
第五点目は、在宅サービスの質的、量的向上を図るため、多様な事業主体の参入を促進することであります。とりわけ、各市町村社会福祉協議会への支援を促進し、公的部門の充実を図ること。
第六点目は、平成十一年度を目標年度とする現行の老人保健福祉計画の完全達成に向け、ホームヘルパー等の介護、福祉関連の人材確保、育成などを積極的に推進すること。
最後の第七点目は、介護保険だけでは提供することができない福祉のニーズがあることを認識し、自治体は責任を持ってサービスの提供を図ることを徹底されたいことであります。これは、給食の配食、人を運ぶ移送サービス、要介護、要支援とならない高齢者の家事援助や話し相手、社会参加等、福祉ニーズのある市民の生活向上へ向けて積極的に取り組んでいくべきであると思います。そして、平成十一年に策定が進められています新老人保健福祉計画には、広く市民のニーズを反映させるため、介護保険事業計画同様、市民参加を積極的に進められたいし、介護保険除外のサービスを提供する非営利事業体、住民参加型事業体への支援を考慮に入れられたいことであります。
以上七点でありますが、全国的にも高齢化率の高い私たちの和歌山県、中央とは違った地域の実情に応じたきめ細かなシステムをつくることが当然必要になってきます。そうした立場に立った県当局の答弁を求め、介護保険制度に関する質問を終わります。
続きまして、南紀熊野を世界遺産にランクアップし、その中で二十一世紀の健康福祉タウンの実現を目指すことについて県知事の見解を求め、質問をしてまいります。
私は、県会議員に当選以来、南紀に住む人々の生活向上とその環境整備に取り組んできました。中でも福祉施策の充実や福祉大学、専門学校の南紀地域への整備等について、本会議の場で県当局のご見解をお伺いしてまいりました。幸いにも、西口知事初め県当局のご理解により、さまざまな施策として実現しているもの、また前向きなご答弁をいただいたものが多く、感謝申し上げます。来年には南紀熊野体験博が開催されますが、南紀地域のスケールの大きい大自然を二十一世紀、そして未来へ、親から子へ、子から孫へと保全していくためにも、この博覧会を起爆剤として地元が今後どのような取り組みをしていくのかが大きな課題であると考えています。
このような基本的な考え方をもとに、私自身を含めて地元住民の熱心な議論により、南紀熊野体験博後の南紀を考え、その大いなる価値の認識と恩恵を満喫する健康福祉タウン構想を取りまとめております。この構想の内容に対して、ぜひとも県当局のご理解をいただきたいと考えております。さらに、今後の構想実現に向けてのさまざまな取り組みに対する県当局のご支援をいただきたく質問をするものであります。
まず、健康福祉タウンの中身についてであります。
南紀の現状について、次のように私は考えております。
高齢化が全国より二十年早く進んでいる。言いかえれば、二十年先を行く健康福祉政策を立て、進めていくことが必要である。
二つ目は、若者の大学県外進学率が九〇%を超えており、その多くは地元へは帰ってこない。
三つ目は、観光の面で言えば、高速道路が御坊まで南伸してまいりました。大変ありがたいことですが、その反面、便利になったことで宿泊客が減少しているというデメリットもあります。もっと、南紀の今後の観光のあり方を根本に見直さなければならないこと。
四つ目は、開発の手が余りつかなかった地域という逆のメリットを十分生かし、二十一世紀において国際的に通用する地域づくりができる潜在能力を持つ地域であること。
これらのことを十分認識し、南紀を発展させるかぎは、この地域が持つ豊かな、そして奥深い自然を生かした産業の振興とともに、健康、福祉、環境といった二十一世紀の町づくりの基本となる施策を組み合わせることにあると考えています。
ご存じのとおり、今や世界は砂漠化が進み、残された緑の地帯は地球規模で保全し、破壊から守ろうという動きが大きくなってきています。我が和歌山県は、その規模においても、その懐の深さにおいても、ほかの地域の自然を凌駕する自然遺産や文化遺産を持っています。このことを誇りと思い、これを二十一世紀に生きる人々に寄与すべき行動を始めるべきだと思います。つまり、和歌山県の南紀地域は、かつての単なる開発ブームの対象となった小さな自然ではなく、地球上の存在すべき人類の宝、世界遺産なのであります。独特の海岸美や熊野の神秘的な森林は、太古の昔から大自然がつくり上げた人類の偉大な宝であります。これらにはぐくまれた熊野古道を初めとする歴史、文化を人類の宝物として未来へ引き継いでいくために必要なことは、南紀の大自然と文化と歴史を単に地元のみならず、日本の、そして世界においてかけがえのないものとして守らなければならないと思います。
今や、地方自治体は財政難で、国の公共事業にどっぷりとつかって、地方分権とは名ばかりになっています。今後も、国の財政を期待できる状況は大変難しいと考えられます。これからの時代には、地方自治体なりの創意工夫で財政を健全化させ、その地方の価値を再認識し、引き出し、それをもって世界に発信し、国内はもとより外国からの観光客等を誘致するとともに、その資源を守っていくのが地方自治体の責務だと思います。
世界遺産登録運動は、日本国内だけでなく、これを世界的な運動として昇華することによって、二十一世紀の地球が人類に求めている地球環境への取り組みの具体的一歩が、つまり京都会議の趣旨が日本の和歌山から始まるのであります。知事が先頭に立って、世界遺産を守ろうと訴えようではありませんか。そして、いろんな世界の動き、そういう環境団体の会合へも積極的に参加していこうではありませんか。この世界遺産登録について名乗りを上げていく、その旗振り役を知事にお願いをするものであります。
次に、健康福祉による町おこしとして、国連大学、福祉系大学院、専門研究施設を誘致し、福祉実践の場として地域住民を含めた一大健康福祉タウンを誕生させようと考えております。これは、世界の人々が大いなる研究心を持って集まる国連大学、福祉大学院等をつくり、これらを核として医療、保健、福祉、さらには観光などの産業がそれらをバックアップしていく総合的な町づくりを考えております。これが構想の基本であります。国連大学や福祉大学院はどのような機能を果たすのか。大きく言えば、二十一世紀のこれからの人間の生き方をきわめるような場所にしていけないかと思います。もっと具体的に言えば、この南紀熊野地域は、心のいやしとか精神のいやしとかを昔から持っている地域でございます。今問題になっている心の介護とか家族間の断絶等、そういったいろいろな問題について具体的なアドバイスをしていく、つまり臨床心理センター的なものをつくれないかと思っています。このような機能を持つところへ、心のいやしを求めて世界から人々が訪れる。なおかつ、この機能を学習、即実践できる環境を地元のネットワークの中でつくり上げていくことを考えているわけであります。また、環境産業というのを南紀の地につくっていきたい。先般行われたシンポジウムの先生方から、南紀は最適地であると言っていただきました。これらの経済波及効果は、定住人口がふえること等により、一過性の公共投資より継続的に多大なものと見込まれます。この構想を和歌山県の今後をどう考えるかという地域振興のあり方の選択肢の一つとして、知事初め県当局のご理解を得たいと考えております。
知事に見解を求める第一点目は、南紀熊野を世界遺産に登録していく運動についてであります。
世界遺産とは過去から引き継がれてきた人類の宝物であり、今日私たちがともに生き、そして未来の世代にそのままの価値を引き継いでいかなければならないものであります。世界遺産は、普遍的な価値を有している文化遺産、自然遺産及び複合遺産に分けられ、一九九七年十二月現在、登録された文化遺産は四百十八、自然遺産は百十四、その両者に当てはまる複合遺産は二十の合計五百五十二に上ります。国内では、自然遺産として屋久島や白神山地の二カ所、文化遺産として法隆寺地域の仏教建造物、古都京都の文化財、原爆ドームなどの六カ所が登録されております。自然遺産と文化遺産をあわせ持つ、日本で初めての複合遺産としての南紀熊野を世界遺産として登録すべきであると考えておりますが、知事のご見解をお伺いします。
ユネスコ関係者のお話では、世界遺産に登録されたところは国際的な認知が非常に高くなるので、観光客が大きくふえるというのはどこの遺産地域でも起こっているということであります。日本の世界遺産だけでも二千億円以上の経済波及効果があると言われています。遺産に指定されることにより、いろいろマスコミが取材に来ます。それが相乗効果となって自分たちの遺産を守ると同時に、世界の観光客が大きくふえ、かけがえのない遺産を守ってくれるのであります。いろいろな人が来ることによって、人類の知恵が吸収され、国際化につながっていきます。また、郷土愛や愛郷心、愛着が生まれ、Uターン現象や過疎化の解消などが始まっているのであります。人口の減少がとまり、若い人たちが地域に誇りを持って暮らしていけるということであります。
続いて見解を求める第二点目は、世界遺産の指定にふさわしい健康福祉タウン構想の実現とそれに向けての調査研究を進めていただきたいことであります。
従来の地域振興の発想は、企業誘致や公共事業の投資等による活性化を求めてきた傾向にあります。一企業に頼る町づくりや一過性の投資に頼る町づくりは、全国各地においてその限界が明らかになってきております。これからの町づくりを考えていくために、一人一人が町づくりの主役になるということが一番大切だと思います。そして、誇りを持って我々の知恵と発想によって、南紀の地をどのように守り、どのように発展させていくのかを考えなければならないと思います。今までの地域開発というのは、えてして地元の地域事情を十分理解していない開発業者により、その企業倫理が優先して行われてきました。住民の間に利害対立が生まれて、地元住民が当然享受できるはずの豊かな生活と充実した福祉が遠ざかっている嫌いがあります。それによって、開発への不信感が募るという悪循環が生まれ出ています。行政は、従来の開発のあり方と住民感情との関係にさらに留意をし、新しい開発行政に取り組むべきではないでしょうか。
二つ目は、ここに住んでいる人々が利益を得なければならないということであります。地元住民であるなら、だれしもが開発によって受けられるはずの生活の向上や福祉の充実が理想や施策どおりには働いていないという現実があります。これまでの開発という名の歴史を振り返ってみますと、ごく一部の開発業者及びその周辺に利益が集中しがちの構図がつくり上げられるという見方を住民が根強く持っているという現実があります。不特定多数の小さな声しか持たないが、ふるさとをこよなく愛し、その情熱においては人一倍の責任と実行力を持った住民にその恩恵が及ばないのはおかしいと言わざるを得ません。行政を行う者にとって猛反省すべき開発の実態であります。こうした点を踏まえ、この世界遺産に登録する動きを契機として、開発行政に大胆にメスを入れ、転換をすべきだと思います。
三つ目は、南紀の自然、歴史、文化をどのように上手に利用し、生かしていくかが大事だと思っております。もっともっと多くの世界の人々に南紀熊野地域を訪れてもらって、人々との交流によってこの地域が栄えていく、そんな町にしていきたいと思います。そして、その核となるのが国連大学、福祉系大学院、研究施設等であります。健康、福祉、医療の既存施設や地域とのネットワークを構築することにより、日本一安心して暮らせる地域を目指したいと考えております。これらを実現していくことにより、この地域への居住者がふえるとともに、大学関係者や学生、福祉関連産業の従事者、さらには福祉工学関係産業の振興による従事者の増加等が波及的に起こり、確実に定住人口がふえることを予測しております。大阪地方自治研究センターの永峰幸三郎先生の試算によりますと、これらの経済波及効果は生産額の増加で二千四百四十六億六千二百六十六万円、粗付加価値額の増加で一千百九十八億五千九百六十万円、さらに雇用開発効果で三万五千九百六十一人の増加と試算がされています。このような町づくりを地域住民とともに考え実行していきたいと考えておりますが、県当局のご見解をお伺いしたいと思います。
去る七月二十五日に、白浜町で二十一世紀を担う健康福祉タウン構想シンポジウムが実行委員会方式で開催され、三百五十人余りの参加者で盛り上がりました。シンポジストには、南紀熊野体験博実行委員会を初めユネスコの世界遺産担当者等、関係各方面の専門家が集まり、熱心に南紀の地域振興について意見や提言を多くいただきました。また、参加者へのアンケートの結果によりますと、この構想への興味と今後の行政等の取り組みに対する期待が多く寄せられておりました。この構想について準備会やシンポジウムを開催してきましたが、住民の意識の変化を感じ、驚いています。町づくりや開発の主人公は地元に住んでいる住民なんだ、そういった意識になっているということであります。これまではともすれば、行政がやってくれる、任せておけば大丈夫、また大きな企業が来てくれる、私たちは何もしなくて大丈夫、そういった考えがありました。しかし、リゾート開発等による利害対立などにより、みずから住む地域をどう開発するかは地元の住民がみずから考えなければならないことを教えられました。この反省により、誇りを持って、地元の知恵と発想を持って、南紀の地を守り発展させていこうという気概が満ちてきています。先祖が残してくれたすばらしい南紀の自然、歴史、文化を壊さず、守り残していくことがいかに大切であるかを感じています。この考え方が、世界遺産登録運動を初め、世界遺産にふさわしい町づくりを始めようという意識に昇華してきております。また、ユネスコ関係者や福祉大学関係者は南紀について大変注目しております。この十月には、第三回目の地元での集会も予定されております。今後、この構想を具体的に煮詰め実現をさせていくためには、県当局のご理解とご支援が不可欠であります。南紀が活性化すれば、和歌山県全体が活性化します。
現在の地方行財政制度の中でのやりくりには限界があります。これからは、積極的に和歌山を売り出す、自分で稼ぐ、知恵を出して自分たちの和歌山県自身を高く売れる方法を考える時代であります。私たちの和歌山県は世界に売れる目玉を持っているのであります。そのためにも、世界遺産にふさわしい南紀の町づくり構想を考えるための調査研究を進めていただきたい。また、南紀熊野体験博後の地域の将来像を考えるためにも、実現に向けての方策を検討していただくよう県当局の見解を求めます。そして、この構想によって、南紀のすばらしい遺産をよみがえらせ、生き返らせ、地元住民主体でこの町づくりをしていけるよう県当局のご理解を求めて、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(井出益弘君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 玉置議員にお答えをいたします。
まず、南紀熊野を世界遺産に登録とのご提言でございます。
お話にもございましたけれども、本県の南部を占める熊野地域は、古代より豊かな大自然を崇拝し、信仰の対象となった霊場でございまして、日本を代表する独自の宗教圏を形成していると思っております。特に平安中期以降、来世の救済を求める浄土信仰の高まりとともに、神仏習合の形となって熊野権現を祭る熊野三山が成立をいたしまして、多くの人々が心のよりどころとしての聖地に参詣をしたわけであります。熊野参詣道に沿う熊野九十九王子、また熊野三山には信仰が生んだ精神文化が連綿と受け継がれてございまして、一千年の歴史を持つ有形無形の文化財が数多く残され、歴史の重みを感じさせるわけでございます。これらの文化財の保存と活用が地域の活性化、中でも町づくりの上で大きな資源となることは議員ご指摘のとおりでございまして、明年、南紀熊野体験博を開催する目的の一つでもございます。
今、南紀熊野古道を世界文化遺産にという民間団体の盛り上がりもあるわけでございまして、南紀熊野体験博の開催を機会にいたしまして、世界文化遺産登録あるいは地域活性化等につながる諸施策を研究してまいりたいと考えております。
十月に、世界文化遺産でもあるサンティアゴの古道との友好提携を締結する予定にしておりますけれども、このこともその一つにつながるものと思っております。
次に、健康福祉タウン構想についてであります。
今日の高齢化社会の進展とライフスタイルの多様化の中で、地域づくりに大変意義のあるものと認識しておるわけでございまして、これからの町づくりの主役は一人一人の住民であるという議員のご指摘につきましては、私も常にその主張を繰り返しておるわけでありますが、住民が自由な発想のもと、自分の意思と責任において地域づくりに参画することが重要であろうと思うわけであります。都会に住む勤労者が自然豊かな田園で老後を過ごしたいという願望、あるいはこういった環境の中で人生を送りたいという人々が大変増加をしておるわけでありまして、こうした社会変化をとらえて、私も和歌山の変革と発展を目指すプロジェクトの中に太陽の街建設構想を提唱しておるわけでありますが、実現のためにはなかなか困難な点もたくさんございますけれども、ただいまの健康福祉タウン構想も参考にさせていただきながら、調査研究を進めてまいりたいと思っております。
以上であります。
○副議長(井出益弘君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 玉置議員ご質問の、介護保険制度についての七点にお答えをいたします。
まず、介護保険事業計画策定につきましては、地域住民にかかわる問題であり、そのため行政機関だけではなく、福祉、保健、医療等の関係者や被保険者代表の積極的な参加を求め、事業計画策定を進めていくことが大変重要なことと認識しております。
こうしたことから、市町村に対し、事業計画策定に際しては広く住民の意見を反映できるよう強く働きかけてまいりたいと考えております。また、県で策定する介護保険事業支援計画につきましても、現在、策定検討組織の設置に向け鋭意検討中でございますが、その構成員として市町村同様、被保険者代表の参加は不可欠であるとの認識をしております。
次に、市町村への支援につきましては、平成十二年度の円滑な実施に向け、公平厳正な介護認定を行っていくための要介護認定モデル事業の実施、介護保険事業計画策定のための調査経費、事務処理システム構築への支援などさまざまな支援措置を講じており、その中で訪問調査員、介護認定審査会委員など、介護保険に携わる人材の育成にも努めているところであります。
次に、介護支援専門員の確保と育成についてでございますが、議員ご指摘のように、さまざまな役割を担う重要な人材であると認識しております。十月四日に実施する第一回目の介護支援専門員実務研修受講試験は二千四百三十九名もの多くの受験生を数えており、その合格者に対して実務研修を順次実施していくこととしております。実務研修は演習を主体とした科目構成となっており、また受講者も介護サービス計画を作成する居宅介護支援事業者に従事する予定の者から優先的に対象とすることとしております。介護支援専門員は広範な医療、保健及び福祉分野に精通した貴重な人材であり、制度実施までにはでき得る限り多くの有為な人材を育成確保したいと考えております。
次に、県の介護保険審査会、国保連の苦情処理機関、市町村の相談窓口との連携強化などにつきましては、介護保険制度では要介護認定、保険料の賦課徴収等に関する不服審査機関として、県に介護保険審査会が来年秋には設置されることとなっており、その際、身近な市町村の相談窓口と密接な連携が図れるよう、その設置形態を考慮しながら機能の充実に努めたいと考えております。また同時に、国保連に苦情処理制度が創設されますが、住民が迅速かつ適切にその制度の効能を享受できるよう関係機関を指導してまいりたいと考えております。
次に、在宅サービスの質的、量的な向上についてでございますが、現在、ホームヘルプ事業、デイサービス事業、ショートステイ事業などの在宅福祉サービスには、社会福祉協議会を初めとする社会福祉法人、医療法人、それに農業協同組合などが参入しておりますが、今後、民間活力も積極的に活用してまいりたいと考えております。また、市町村社会福祉協議会につきましては、介護保険だけではなく、生きがい対策等さまざまなサービスが必要であり、その役割も大きくなると思われますので、県としては和歌山県社会福祉協議会と連携を強めながら在宅福祉の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、人材確保についてでございますが、ホームヘルパーの平成十一年度の目標は約千五百人であり、平成九年度末では八百八十人という状況でございます。県といたしましても、ホームヘルパーの確保のため養成研修を実施しているほか、知事が指定を行っている十六の関係団体等の実施する研修により、現在では合わせて約二千四百人の方々が研修を修了しております。今後とも、ホームヘルパー養成研修を積極的に推進してまいりたいと考えております。このほか、介護福祉士等介護サービスにかかわりの深い人材についても、今後とも確保育成に努めてまいりたいと考えております。
最後の、介護保険制度対象外のサービス提供についてでございますが、介護不安の解消のためには、介護保険制度に基づく基本的なサービスを早急に確保するとともに、要介護状態にならないための予防策も重要であります。高齢者の生きがいとなる社会参加活動の促進や健康増進を図る老人保健事業の充実、また配食サービス等の保険給付以外の事業、あるいは市町村社会福祉協議会や民間ボランティア団体等が行う地域の助け合い活動等を組み合わせる工夫が必要と思われます。そのため、平成十二年度を初年度とする新しい老人保健福祉計画では、これらのことを考慮しながら、介護保険給付対象のサービスとそれ以外のサービスを適切に組み合わせ、住民のニーズ、地域の実情に即した総合的な計画となるよう検討してまいりたいと考えてございます。
また、計画の策定に当たっては、介護保険事業計画と同様、住民の参画を図る予定としてございます。この計画を推進するに当たり、市町村は責任を持ってサービスを提供する必要があり、このサービスを提供する事業者の一つとして民間ボランティア等の住民参加型非営利団体の活用も必要であると考えております。
以上でございます。
○副議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
26番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁ありがとうございました。
三点についてのみ要望を申し述べて質問したいと思います。
一つは介護保険制度でございますけれども、当面、一番重要課題になってくると思います介護保険事業計画の策定計画であります。
今、「市町村に対し、事業計画策定に際しては広く住民の意見を反映できるよう強く働きかけてまいりたい」という答弁をいただきました。とりわけ和歌山県は、人口が比較的多い北部と過疎化してきた南部では当然幾つか異なった形態があると思います。そういった意味においても、肩書の代表ばかりだけでなく、私が先ほど言いましたように、当事者や家族の方、ボランティア団体など介護の現場にいる市民の参加を強く要望しておきたいと思います。
二点目は、知事の方から世界遺産登録運動についての答弁をいただきました。南紀熊野体験博の開催を機会に世界遺産登録を視野に入れて取り組むという答弁であったと思います。
今、南紀熊野体験博を成功させるために一生懸命それぞれが取り組んでおります。先ほども知事の方から若干ご紹介ございましたけれども、世界遺産登録運動に多くの民間の方々の運動も広がっております。先ほど知事が申されました熊野古道を世界遺産に登録するプロジェクト、そして先日、貴志川町にお住まいの樫葉好次さんという方が、世界遺産に登録されることを願って「熊野路旅情」を作詞作曲されまして、ボニージャックスの皆さんが歌われるということを聞いております。このように南紀だけでなく紀北の方からも、和歌山県全体でこの南紀熊野体験博を盛り上げていこうという輪が着実に広がってきていると思っております。
来月、スペインの方へ行かれて姉妹道提携の調印を行っていただくと聞いておりますけれども、熊野古道や南紀熊野を世界に十分PRする絶好の機会であると思いますので、そういった意味において、ご苦労でございますけれども、世界遺産に向けてよろしくお願いをしたいと思います。
最後に三点目、健康福祉タウン構想について答弁いただきました。県が行った最近の一番新しい県民意識調査で、高等教育機関の中で一番多い要望が福祉関係でございました。健康福祉タウン構想もその中に中心として取り入れておるわけでございますけれども、どうか今後の南紀の町づくり、和歌山全体を考えてもそういった視点でよろしくお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○副議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
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○副議長(井出益弘君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後二時四十六分散会