平成10年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第二号 平成十年九月二十二日(火曜日)
午前十時開議
第一 議案第百八号から議案第百三十七号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第百八号から議案第百三十七号まで(質疑)
二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
1 番 大 沢 広太郎
2 番 木 下 善 之
3 番 小 川 武
4 番 吉 井 和 視
5 番 下 川 俊 樹
6 番 井 出 益 弘
7 番 藁 科 義 清
8 番 門 三佐博
9 番 永 井 佑 治
10 番 新 島 雄
11 番 向 井 嘉久藏
12 番 佐 田 頴 一
14 番 阪 部 菊 雄
15 番 西 本 長 弘
16 番 馬 頭 哲 弥
17 番 谷 洋 一
18 番 山 下 直 也
19 番 高 瀬 勝 助
20 番 松 本 泰 造
21 番 堀 本 隆 男
22 番 宇治田 栄 蔵
23 番 宗 正 彦
24 番 橋 本 進
25 番 神 出 政 巳
26 番 玉 置 公 良
27 番 上 野 哲 弘
28 番 東 山 昭 久
29 番 尾 崎 要 二
30 番 野見山 海
31 番 木 下 秀 男
32 番 町 田 亘
33 番 中 山 豊
34 番 井 谷 勲
35 番 鶴 田 至 弘
36 番 森 正 樹
37 番 村 岡 キミ子
38 番 新 田 和 弘
39 番 平 越 孝 哉
40 番 森 本 明 雄
41 番 長 坂 隆 司
42 番 冨 安 民 浩
43 番 飯 田 敬 文
44 番 中 村 裕 一
45 番 松 本 貞 次
46 番 大 江 康 弘
47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(一人)
13 番 和 田 正 一
説明のため出席した者
知 事 西 口 勇
副知事 山 下 茂
出納長 高 瀬 芳 彦
知事公室長 中 山 次 郎
総務部長 藤 谷 茂 樹
企画部長 中 村 協 二
生活文化部長 大 井 光
福祉保健部長 小 西 悟
商工労働部長 上 山 義 彦
農林水産部長 尾 崎 武 久
土木部長 長 沢 小太郎
企業局長 西 浦 昭 人
教育委員会委員長
山 本 昭
教育長 小 関 洋 治
公安委員会委員長
高 垣 宏
警察本部長 米 田 壯
人事委員会委員長
若 林 弘 澄
代表監査委員 宮 市 武 彦
選挙管理委員会委員長
谷 口 庄 一
医科大学学長 山 本 博 之
以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 新 谷 哲 朗
次 長 前 晴 夫
議事課長 佐 竹 欣 司
議事課副課長 北垣内 敬
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主査 川 崎 良 雄
議事課主事 安 井 伸 彰
総務課長 西 野 光 彦
調査課長 湯 川 忠
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課主査 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
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【日程第一 議案第百八号から議案第百三十七号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百八号から議案第百三十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
3番小川 武君。
〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 九月定例会一般質問の冒頭に質問の機会を与えていただきました先輩・同僚議員に感謝いたしたいと思います。
議長のお許しをいただきまして、最初に、本年七月二十五日、和歌山市園部の自治会夏祭り会場において発生した毒物混入事件についてであります。
この事件では、第十四自治会の谷中会長さんを初め四人の方のとうとい命が奪われ、六十三名の方が入院あるいは通院を余儀なくされるという痛ましい惨事となりました。また九月二日には、この事件の中核として捜査指揮に従事していた村井警視が過労により倒れ、死亡するという悲しい出来事も発生しており、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、入院、通院の被害に遭われました皆様方に心からお見舞い申し上げる次第であります。
全国的に地域の連帯感が薄れていると言われている昨今、園部第十四自治会では、夏祭りを通じて自治会の親睦と連帯感を深めようと、数年前から夏祭りを計画し、実行してきたと聞いております。自治会の多くの皆さんが楽しみにしていた夏祭りで提供されたカレーに毒物を混入し、それを食した方々が大変な被害をこうむるという無差別殺人をねらった悪質きわまりない犯罪に対し、私は強い憤りを感じるものであります。
県議会といたしましても、七月三十一日、県議会毒物混入事件対応連絡会議を設置し、各関係機関等と協議を重ね、その対策に全力を尽くしているところであります。地域社会の安全がかくももろく崩れていくことは、これまでにも阪神・淡路大震災、堺市における病原性大腸菌O157中毒等、前例となる大事件があり、その都度県は、地域防災体制、O157等病原性大腸菌対策等、体制整備を行ってこられたところであります。しかし、今回の事件はさらにいろいろな問題点が浮かび上がっており、県行政としてもこのことを真摯に受けとめ、早急に問題点を整理し、反省すべき点、改善を要する点を明らかにする必要があると思います。
そこで、事件発生以来、県としてどう対応してきたのか、これを教訓として今後どう対応するのか、知事のご所見を承りたいと思います。
この事件では、発生直後から和歌山東署に捜査本部を設置し、多数の捜査員を投入して被疑者検挙に向け懸命の捜査を続けていると伺っております。私は、警察捜査というものは、マスコミ報道と異なり、人権に対する配慮から安易に捜査状況を発表しないことが当然であると考えますし、また何ら語らなくとも着実に捜査を進めているものと確信しております。一部マスコミの報道では、発生当初の警察の初動措置がおくれたのではないか、さらには砒素検出まで時間がかかり過ぎたのではないか等の警察への批判も聞かれるところであります。
そこで、警察本部長に質問いたします。
一点は、警察の初動措置はどうであったか。
二点は、砒素検出まで相当の時間を要しているが、なぜもっと早い段階で検出することができなかったのか。
三点は、毒物混入事件のこれまでの捜査状況はどうか。
以上三点についてお伺いしたいと思います。
次に、事件の推移に従って、私が把握している問題点を指摘してまいりたいと思います。
まず、消防隊は、集団救急事案について、全救急隊十一隊を出動させ、延べ五十人が十二医療機関に搬送されました。事件発生が土曜日の夕方であったにもかかわらず迅速な搬送と医療機関の受け入れがスムーズになされたことは、和歌山市における救急医療体制がうまく機能した結果と考えられます。しかし、もし同規模の事故が県下のほかの地域で発生した場合、同じ対応が可能だったかどうか疑問が残るわけであります。
そこで、搬送体制と受け入れ医療体制について今後どう取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
次に、搬送された患者の治療についてでありますが、運ばれた患者がどんな状態であるかは医者が患者の様子を見て判断するわけでありますが、このような多くの患者が発生し、複数の医療機関にわたったという特異なケースについて、治療過程において医療機関相互の情報交換や効果的な処置方針の伝達など、今後どのような体制が考えられるのか、関係部長の答弁をお願いいたします。
さらに、今回のような毒物事件の場合、県衛生公害研究センター、県警察科学捜査研究所、市衛生研究所などの検査研究機関の連携や役割分担についてどのように考えているのか、お伺いいたしたいと思います。
次に、原因物質が特定されれば、治療のためどのような薬品を投与するかでありますが、ある病院では解毒剤を調整できたが、他の医療機関では確保するのに大変時間がかかったと聞いております。県の病院協会では、いち早く当面の対応として解毒剤を県下三カ所に配置されたと聞いておりますが、有効期限が約半年と短いものがあり、県は解毒剤等の備蓄についてどのように考えているのか、お伺いいたしたいと思います。
最後に、事件に巻き込まれた人はもちろんでありますが、その家族や地域の住民の方々にとってもこのような事件は大変大きなショックで、心に受けた傷はなかなかいやされることはないわけで、心のケアが重要であり、県も専門職員を応援要員として派遣したようであるが、このような人材の育成についてどう考えているのか、お伺いいたしたいと思います。
以上、数点にわたる質問をいたしましたが、何よりも事件が早く解決し、地域住民が安心して暮らせる日が一日でも早く訪れることを祈念いたしております。
次に、経済問題に移ります。
アジアの経済を初めとする国際経済が危機的な状態と言われる中で、日本経済も四月から六月期の国内総生産(GDP)が年率換算で三・三%減少し、戦後初めて三、四半期連続のマイナス成長を記録したとの発表がされております。また、九月八日の関係閣僚会議で堺屋太一経済企画庁長官は九月の月例経済報告書を提出し、景気の現状は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況との総括判断を行い、前月の「甚だ厳しい」を「極めて厳しい」に表現を改め、より厳しさを強調したところであります。さらに、世界的な株安など金融市場が不安定な中で、経済の先行きに対する不透明感の高まりから企業の設備投資や個人消費の落ち込みに拍車をかけ、デフレスパイラルには入っていないが、そのわきを通っており、吸い込まれる危険があると表現し、日本経済が非常に暗い時期に入ったことを指摘しております。
私は、本県の経済を考えますと、国の判断よりも増して、さらに一段と厳しい状況に置かれているのではないかと推察するものであります。それは、一昨年の平成八年十一月の阪和銀行の業務停止に始まり、本年三月の和歌山県商工信用組合の紀陽銀行への事業譲渡の発表という、本県経済の発展を牽引してきた二つの県内大手金融機関が相次いで破綻したということであります。そしてこの七月には、大阪証券取引所一部上場の浅川組が負債六百三億円を抱えて会社更生法の適用を申請し、事実上倒産するという事態にまで発展いたしております。そのほかにも、金融機関の貸し渋りによる倒産という話も聞こえてくる中、本年一月から八月までの一千万円以上の負債額で倒産した業者は百二件、負債累計額は一千五百四十七億円を超し、これは昨年一年間の負債総額の約四倍にも当たる数字であり、和歌山県は大変深刻な状況に陥っているのではないかと考えるところであります。
そこでまず初めに、県経済の状況をどのように認識しておられるのか、また地場産業を中心に中小企業の活性化を図るためどのような施策を講じてきたのか、また今日までのような本県の産業構造を継続していくとなればさらにその先行きが大変懸念されるが、今後どのような施策を講じる必要があるのか、知事にお尋ねしたいと思います。
次に、一連の経済情勢を踏まえて、現在、中小企業者は資金繰りに苦慮している状況であるが、県は不況対策特別資金の融資枠について、四月から五十億円の融資を実施し、六月補正ではさらに五十億円増額いたしました。そして、今議会において百億円の融資枠拡大とのことでありますが、現在の融資の利用状況はどのようになっているのか、また今後の見通しはどうか、それから浅川組または浅川道路と取引のある下請業者など関連企業に対する金融対策にどのように取り組んでおられるのか、また県の融資制度は信用保証協会の保証つき融資となっているが、この信用保証協会の保証取り組みはどのようになっているのか、商工労働部長にお伺いしたいと思います。
次に、先ほども触れました浅川組に関してであります。
九月十日に会社更生手続開始決定を受けたことに関連して、まず他府県の同様の例に比べ早期に開始決定されたことについては、関係者のご努力、ご協力があったことが推察できます。関係された方々に対し、私は個人的にも感謝いたしたいと思います。しかしながら、こうして最悪の事態を避けられたことは、不幸中にも歓迎すべきことでありましょうが、それでもなお経済状況が依然として厳しい状況にある本県の経済に与える影響は、心理面だけを考えても大きいものがあるかと思われます。県としては、この大変な状況にある県の経済にできる限り影響を及ぼさないようにするため、浅川組に対して今後いかなる対応をされるのかについてお聞かせいただきたいと思います。
具体的には、現在、県は浅川組に対して、公共工事の指名を行っていないと聞いております。浅川組の更生管財人も言っておりますように、会社再建のために公共工事、特に県内の大型事業の受注を期待しているとのことであります。この浅川組が再スタートすることによって浅川組の多くの下請業者、関連業者が経営正常化することにより、県の景気浮揚、雇用対策にも影響が見込まれると思われますので、浅川組に対し、県は今後いつ指名を、どのようにして再開するのか、具体的な時期を含めて説明されることを求めます。
次に、旧南紀白浜空港跡地への航空工学系大学の立地構想についてお尋ねいたします。
本構想につきましては、去る九月十四日、九月定例議会開会日において、西口知事みずから積極的に推進していく旨を明らかにされたところであります。その後、このニュースは、県内はもとより全国的に大きな反響を呼んでおります。特に県民の間では、暗いニュースが続く中、久々の明るい話題として好感を持って受けとめられ、また本県の経済の活性化に貢献するものとして大きな期待を寄せられているところであります。
現在、全国で航空工学系の学科を持つ大学は十一大学があり、毎年約七百名余りの卒業生を輩出していると聞くところであります。欧米先進国に比べ比較的低い水準にある現在の日本のこの分野での技術向上と、今後ますます需要が見込まれる航空産業を支える人材が必要になってくると思われます。
西口知事のご説明では、構想の詳細については今後の検討協議により具体化させていくということでありますが、県民の期待の大きい問題であるだけに、基本的な部分について、現在可能な範囲で明らかにしていただきたいと思います。
まず、本構想が実現した場合の、本県そして地域に与える影響についてであります。どのような効果をもたらすものと考えておられるのか、改めて西口知事にお尋ねいたしたいと思います。
また、新たな学校法人の設立、及び大学の開学の時期はいつごろとお考えなのか、またそれに至るスケジュールはどのようなものかについて、企画部長にお答えいただきたいと思います。
次に、財政問題を取り上げたいと思います。
近年、地方財政はまさにあえいでいる状況であります。新聞紙上でも「あえぐ地方財政」と題して、全国の市町村や府県の危機に瀕した財政状況が報じられております。不交付団体として富裕県の代表と言われた、あの大阪府が非常に苦しい財政状況に陥っているという例のように、自治体の財政事情が深刻化しているのを目の当たりにいたしますと、本県の財政運営に対し重大な関心を持たざるを得なくなった次第であります。
もとより、財政はあくまでも行政目的を達成するための手段であり、財政の健全化そのものが目標になってはならないわけであります。地方自治体は、地域住民の生活に密着した行政サービスを日々提供しなければなりません。県財政が破綻するようなことになれば、県民生活への影響は甚大であります。県民に対し財政の現状を率直に開示し理解を求めていく中で、時には必要な痛みを県民とともに分かち合うことも必要であろうと思います。財政危機を克服し、行財政を再構築することにより、我々の子孫に豊かで活力のある社会を残していくことが今日の政治の大切な役割であると思います。我が県は比較的堅実な財政運営を心がけてきたと思いますが、今日のように財政事情が悪化してしまった理由は何でありましょうか。
財政悪化の直接の原因は、税収の伸び悩みと公債費の増大に集約されると思います。このうち公債費の増大は、もとをただせば平成五年度以降講じてきた累次の景気対策のために公債を大量に発行してきたことが主たる原因と思われます。現下の経済情勢には、確かに厳しいものがあります。ただ、財政政策が実体経済に対する正常な波及効果を回復するためには、まずもって不良債権問題の解消と金融機能の回復を図ることが不可欠であります。残念ながら、これは一自治体レベルで対応し得る問題ではありません。むしろ、二十一世紀においてますますま増大が見込まれる、地域の生活に密着した政策課題を着実にこなしていくことこそ自治体の基本的な役割であり、県財政に与えられた本来の使命であることを想起するならば、財政は政策の持続が可能なように節度を持って運営されるべきものであると考えるのであります。高齢化と少子化が同時進行していく中で、後世代のためにいかにして豊かで活力のある社会をつくっていけばよいのか、そうした社会を希求しながら財政のあり方を議論しなければならないのではないかと私は考えるのであります。
そこで、まず知事に二点ばかりお伺いしたいと思います。
まず一点は、私は県の財政事情について非常に厳しいという認識を持っておりますが、知事はどのように考えておられるか。
また、財政の現状を踏まえ、今後の財政運営について、どのような基本的な考え方で取り組まれるおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
次に、先日発表された九年度決算についてでありますが、見かけ上の収支は七年度、八年度は赤字であったが、九年度決算では二十四億円の実質単年度収支が黒字に転じております。しかし、これをもって財政事情が改善したと判断するわけにはいかないのではないでしょうか。私は、実態は八年度よりもむしろ悪化しているのではないかと見ているわけであります。財政当局はどう分析されているのか、お伺いしたいと思います。
次に、九月補正予算を取り上げたいのであります。
今般の補正予算は、現下の厳しい経済情勢を踏まえ、七十四億円の経済対策を講じる内容となっております。中小企業に対する金融対策等、適切な措置と評価はいたしますが、しかし私はあえて歳入を取り上げたいと思います。
歳入補正の内容を見ますと、県税及び地方交付税について七十億円もの減額補正が行われております。九月補正予算でこれだけの減額補正が行われるのは極めて珍しいことではないかと思いますが、これは税収動向が厳しいことを率直に示したものであると重く受けとめております。ここで懸念されるのは、果たして十年度の収支見通しは立っているのかどうかという点であります。財政調整基金をさらに取り崩さなければ歳入欠陥を生じてしまうのではないかとも心配されるのであります。当局としては、十年度の収支について現段階ではどのような見通しを持っておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
最後に、今後の財政見通しについて議論しておきたいと思います。
私は、率直に申し上げて、今後ともしばらくは税収は伸び悩むのではないかと予想しております。他方で公債費負担はますます高まり、歳出を一段と圧迫すると思います。このままでは、これまで収支不均衡を埋めてきた財政調整基金は激減する一方であり、我が県が財政調整機能を喪失するのも秒読みの段階ではないでしょうか。したがって、一刻も早く今日の歳出構造を見直していかなければならないのではないかと考えます。
そこで、当局は中期的な財政見通しについてどのような展望を持っておられるのか、あるいは危機感を抱いておられるのか、以上の点について総務部長にお伺いいたします。
大阪府では、我が県よりも一足早く危機的な財政状況を迎えており、歳出削減と負担増を徹底的に実行することにより、この危機を克服しようとしております。私は、これはこれで一つの答えの出し方であるとも思いますが、我が県といたしましては、事態がここまで深刻化する前に財政再建に精力的に取り組んでいくべきであると思います。和歌山新時代を担う後世代のために、財政危機の克服を通じて新たな時代の要請に柔軟かつ的確に対応できる行財政を再構築していくことが急務であります。大変な時代であり、このようなときに難局を乗り越え、新時代を切り開くことができるのは、長年の経験、果敢な決断力、県政への情熱、そして和歌山県をこよなく愛する心を備えた西口知事、あなたです。百八万県民とともにご期待を申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの小川武君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 小川議員にお答えをいたします。
最後に激励をいただいて、ありがとうございます。
まず、毒物混入事件についてでございます。
今般の事件につきましては、私も、亡くなられた四人の方々、それぞれ弔問をさせていただき、また入院、通院の方々には県からもそれぞれお見舞いを申し上げたところでございます。
この事件につきましては、大変強い怒りを覚えると同時に、二度とこのようなことを起こしてはならないと痛感している次第でございます。
県といたしましては、発生当初から情報の収集を開始するとともに、庁内に副知事をキャップとした健康危機対策連絡会議を設置いたしまして、和歌山市の対策本部が適切に対応できるよう全面的な支援体制をしくとともに、再発防止のために関係機関等に対しまして注意の喚起、毒物、劇物の適正な取り扱いの徹底を図るための立入監視指導、心のケア支援のために専門職員の派遣等を行ってまいりました。私自身も、厚生大臣に尿中砒素濃度測定検査費用の医療保険適用と心のケア事業を国庫補助事業としての採択を要望したところでございまして、厚生大臣からは即時に決定及び採択していただいたところでございます。また、被害者の方々や地域住民の方々の心身両面にわたるご負担を軽減するために、和歌山市が取り組みをしている諸事業をバックアップするため一千万円の支援金を今議会に提案させていただいておるところでございます。
今後の対応についてでございますけれども、本庁及び地方機関別の危機管理体制、搬送、医療機関での受け入れ、毒物検査、解毒剤の備蓄、専門職員の派遣等の体制整備マニュアルづくりにつきまして、関係機関、団体との調整を図りながら、十月中の策定をめどに取り組んでいきたいと考えてございます。
次に、県経済の現状をどう見るかというご質問でございます。
議員からご指摘がございましたように、我が国の経済は昨年から急激な景気の後退が始まってございまして、個人消費の低迷、企業収益の低下、また雇用環境の悪化等、非常に厳しい状況にございます。さらに、アジア経済危機あるいはロシアの株安の問題などの影響を受けまして各種経済指標がマイナスに推移しているわけでございまして、大変深刻な需要不足に陥っているわけでございます。
本県産業につきましても、従来から鉄鋼、石油などの基礎素材型産業のウエートが大変高いわけでありまして、また繊維、生活雑貨等の生活に関連した地場産業が中心となっておるわけでございます。そういった関係から、本県経済が一段と厳しさを増しているという認識を持ってございます。また、県内の金融機関の破綻などによりまして、中小企業に対する影響につきましても大変懸念しているところでございます。
このような厳しい経済情勢に対応いたしまして、国におきましては、種々の議論の末、財政構造改革法を一時凍結したわけでございまして、さらに過去最大規模の経済対策を実施しておるところでございます。本県におきましても、経済の活性化を最重点の柱に据えまして、中小企業対策の充実、県単独事業や公共事業の追加など、積極的な補正予算措置を講じておるわけであります。
ただいま小渕総理が渡米中でありますけれども、小渕総理とクリントン大統領の会談が大きな成果を上げられればと、個人的には大変期待をしておるところであります。
次に、中小企業の活性化についてであります。
ただいまの景気が非常に苦しいということに関連をいたしまして、我が地場産業を中心とした中小企業の活性化を図るために、現在の目まぐるしい経済変化に耐え得る後継者の育成、新商品、新技術の開発や新たな販売ルートの開発など、創造的な中小企業への創造活動に対しまして、中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法いわゆる創造法でありますが、この法律による企業認定を行いまして、技術面、資金面から支援を行ってまいりました。現在まで、三十三の企業に認定を行っておるわけでございます。また、今年度から地域産業資源創出枠を創設いたしまして、リサイクル技術などの環境を考えた技術開発に対する支援を積極的に行いまして、新たな環境ビジネスの産業創出を図っておるところでございます。
一方、和歌山大学システム工学部、近畿大学生物理工学部など理工系の高等教育機関が大変充実をされてきておりますので、その中で地域産業の高度化を支援する機関として県工業技術センターの充実、あるいは海南にございますデザインセンターの設置を図ってきたところでございます。
今後、教育研究機関の充実を踏まえて、産業界、経済団体も含め、いわゆる産・学・官の総合的な連携を図りながら、産業の高度化、高付加価値化を生み出す新しい産業の創出などの施策に取り組んでまいりたいと考えております。
経済評論家の説によりますと、今の不況を脱するには新しい産業の創出しかないという論もございます。
次に、旧白浜空港跡地の航空大学立地構想であります。
旧南紀白浜空港跡地への航空工学系大学の立地構想については、本議会の冒頭に申し上げたところでありますけれども、県、白浜町、そして日本航空学園の三者が協力して新たな学校法人を設立し、航空機の設計・開発、航空運輸システムの計画・運用に係る最先端の技術、知識を集約した国際的にも誇り得る大学を開設しようとするものでございます。
この構想の実現による本県にとっての効果といたしましては、まず県内の大学の収容力の向上、とりわけ理工系大学への進学機会をふやすことになるわけであります。また、地域産業界への高度な技術や知識の還元によりまして地域産業の発展につながるものと期待をしてございます。
次に、施設建設に伴う経済波及効果はもちろんでありますけれども、多くの教職員や学生が居住すること、また大学の運営管理に伴う雇用機会や消費需要が生まれることなどによる継続的な経済波及効果があるものと考えてございます。また、研究者や民間企業関係者、学生や学生の保護者、航空博物館への来訪者など、県外や海外との交流人口の増加、それに伴う新南紀白浜空港の利用増進、地域の知名度の向上、こういったことが期待できるものと考えております。こうした継続的な地域の活性化につながる本構想の実現のためには多くの課題が残されてございまして、これらを克服していく必要がございますけれども、関係諸機関との協議を進めながら積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
最後に、財政問題についてであります。
県財政の現状認識と今後の財政運営の基本的な考え方でありますが、長引く不況とそれに伴う税収の低迷が長期化する中で、今まで積み重ねてまいりました景気対策などの財源として大量発行を余儀なくされた県債の本格償還が始まったことなどによりまして、近年、財政の収支不均衡が拡大していることは事実でございます。今後も引き続き県税等の画期的な増収が望みがたい状況の中で、公債費などの義務的経費の急激な増大が確実に見込まれることからいたしまして、この不均衡は今後一段と拡大する見通しでございます。
他方で、こうした毎年度の歳入、歳出のギャップにつきましては、従来、税収の好調な時期に積み立ててまいりました財政調整基金等の取り崩しにより埋め合わせてまいったわけでありますけれども、その頼みの綱の基金は既に十一年度の不均衡を調整するにも不足する水準にまで落ち込んでございまして、十二年度以降は基金依存型の財政運営からの脱却を余儀なくされておるわけでございます。
地方公共団体の財政悪化は本県のみの問題ではございませんで、他府県の一部では既に事実上の財政破綻の状態に陥っているところもございます。議員ご指摘のように、県財政が破綻するようなことになれば県民生活に与える影響ははかり知れないものがございますので、そのような最悪の事態となる前に構造的な収支不均衡を解消し、財政を立て直して、二十一世紀に向けて財政の対応力を回復していかなければならないわけであります。
しかしながら一方で、現下の極めて厳しい経済情勢のもとでは、景気への配慮もまた財政運営上の重要な課題でございます。したがいまして、当面する十一年度の財政運営は、二十一世紀に向けて財政の対応力の確保を図りながら、当面の経済情勢にも可能な限りの配慮をしていくという大変難しい課題を背負ったものとなるわけでありますが、文字どおり全力を傾注して取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上であります。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 小川議員にお答え申し上げます。
まず、毒物混入事件における搬送体制についてでございますが、被害者六十七人のうち五十人を救急搬送するという、今まで例を見ない集団救急事案でございました。和歌山市消防局全救急隊十一隊が出動し搬送業務を遂行したところですが、このような事案が他の市町村で発生した場合、単独の消防本部では対応が非常に困難なことと認識いたしてございます。現状では、近隣市町村との応援協定による他の消防本部への出動要請がありますが、県といたしましては、より効率よく搬送するため、それぞれの他の地域での実情に即した集団救急体制等の見直しなどを図り、マニュアルづくりを進めることが大事なことと考え、去る九月九日に県消防長会と共同で県内消防関係者を対象に研修会を開催し、これらの推進を指導しているところでございます。また、消防の広域化や自主防災組織の育成等に力を注ぎ、危機管理体制の強化に努めてまいりたいと存じます。
次に、財政問題でございますが、まず九年度決算についてでございます。
過日公表いたしましたものは、一般会計と企業会計を除く特別会計とを合わせた普通会計ベースでの決算状況を示したものでございまして、自治省が毎年実施しておりますいわゆる決算統計に用いる本県の決算分析結果でございます。これによりますと、九年度の実質単年度収支、これは当該年度の収支決算から前年度からの繰越剰余金、年度中の財政調整基金の積み立てや取り崩し、県債の繰り上げ償還といった実質的な黒字要素や赤字要素を控除した単年度の収支状況を示すものでございますが、九年度は約二十四億円の黒字となっており、七年度、八年度の連年の赤字から一転して黒字となっております。しかしながら、決算統計上の実質単年度収支には財政調整基金と同様に財源不足を補うために活用している県債管理基金の取り崩しが反映されない仕組みになっておりますので、県財政の収支実態を明らかにするためには、これも赤字要素としてカウントする必要がございます。このような観点から再計算いたしますと、議員お見込みのとおり、九年度決算における収支実態は約百二十五億円のマイナスとなっており、八年度は三十一億円のマイナスでございましたので、財政状況は著しく悪化してございます。
次に、十年度の収支見通しについてでございます。
まず、当初予算の段階で約二百六十億円の収支ギャップがございましたが、これに対しては財政調整基金と県債管理基金を充当したところでございます。また、六月及び九月補正予算における追加財政需要、税及び交付税の減収見込みにより、新たに約四十二億円の収支不足が生じておりまして、この補てん措置として減収補てん債の発行、財政調整基金の取り崩しをこの補正予算に計上しているところでございます。
今後も税収の動向には予断を許さないものがあることから、追加財政需要のいかんにもよりますが、現時点における見通しとしては、本年度は最終的には三百億円を上回る収支不均衡になるものと見込んでおり、この収支ギャップは基金のさらなる取り崩しと県債の発行により埋め合わせをせざるを得ないと考えてございます。
次に、県財政の中期的見通しについてでございますが、今申し上げましたように、県財政の現状を踏まえますと、次年度も県税など歳入面での増収に大きな期待がかけられない一方で、公債費などの義務的経費の増大が確実に見込まれるため収支ギャップはさらに拡大し、政策的経費を自然体で見積もった場合には、粗っぽい計算ですが五百億円近い一般財源の不足が生じるものと推計しております。また、十二度以降も当分の間はこのような状態が続くものと思われます。
これに対しまして、財政調整基金と県債管理基金の十年度末残高はこの九月補正後時点では約三百五十億円と見込まれますので、この二つの基金による財源調整機能は十一年度予算限りになるものと申し上げざるを得ない状況にあります。したがって、次年度以降の財政運営は、近時例を見ないような困難に直面するものと覚悟せざるを得ず、見込まれる収支ギャップのできる限りの縮減と財源対策について、今後あらゆる方策を検討し、懸命に努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 小川議員ご質問の、毒物混入事件についての四点にお答えいたします。
まず、同規模の事件が他の地域で発生した場合の受け入れ医療機関についてでございますが、救急医療機関の受け入れ体制につきましては、救急告示病院等と二次医療圏単位の病院群輪番制病院で患者を受け入れる体制づくりを行っております。また、二次救急医療機関では対応が困難な重篤救急患者には、和歌山県赤十字救命救急センターや県立医科大学附属病院の高度医療機関で受け入れることとなっております。医療機関の少ない地域におきましては、その少ない医療資源を最大限に活用すべく、医師や医療従事者の応援体制など、医療機関相互の連携をより一層図れるような体制づくりを考えてまいります。
次に、多くの患者が発生し、複数の医療機関にわたったというケースの今後の体制についてでございますが、このような特異な事件で多数の患者が複数の医療機関に収容された場合、患者の症状及びその治療等の情報を一元化し、適切なアドバイスができる体制が不可欠となってまいります。県といたしましては、県立医科大学、和歌山県赤十字救命救急センターを核として、国の研究機関等とも連携を図りながら、適切な対応が図れるような情報ネットワークづくりを検討してまいります。
次に、毒物に対する解毒剤の確保につきましては、県内九十四病院の解毒剤等の保有状況を調査したところ、現在八カ所の医療機関で購入済みとなってございます。そのほかに、県病院協会では三カ所に配置を行っております。なお、配備状況につきましては、医療関係機関に対し情報提供を行ったところです。
県といたしましては、このたびの毒物混入事件を念頭に置いて、恒久的な備蓄体制について健康危機管理に関するマニュアルに盛り込むべく作業を進めてまいります。
最後に、心のケアについてでございますが、地域住民を巻き込んだ大規模犯罪事件や大規模災害等の発生時には、心的外傷後ストレス障害いわゆるPTSDを防止するため、被害者等地域住民に対する心のケアが重要であります。
今回の毒物混入事件におきましては、心のケアに関し、和歌山市保健所が保健婦による訪問相談、現地に設置した相談窓口における医師、精神保健福祉相談員等による相談等を行っており、県としても同保健所に対し、保健婦、精神保健福祉相談員延べ四十九人を派遣して支援を行ったところであります。
今後、同種の事件、災害が発生した際の地域住民に対する心のケアにつきましては、地域の精神保健の拠点である保健所を中心として行うことが適当であると考えており、国が主催する専門研修への派遣や研修会の開催等により、医師、保健婦、精神保健福祉相談員等の保健所職員に対する研修を実施し、専門的対応能力を有する職員の育成に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 小川議員ご質問の毒物混入事件のうち毒物検査体制についてでございますが、警察本部及び和歌山市との連携や役割分担につきましては、ただいま知事からお答えいたしましたとおり、十月中の策定を目途として取り組んでおります体制整備マニュアルづくりの中で検討してまいりたいと考えてございます。
なお、保健所政令市である和歌山市は別途協議することとし、県の毒物検査体制につきましては、患者を診察した医師からの通報に基づき、その医師と保健所長が協議の上、毒物の疑いがある場合には県衛生公害研究センターにおいて分析することといたしております。
なお、分析をする際には、関係各課で構成する毒物検査検討会及び県衛生公害研究センターの各部長から成る緊急対策会議を開催することといたしてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 商工労働部長上山義彦君。
〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 景気対策と浅川問題のうち、三点についてお答えします。
まず、不況対策特別資金の利用状況についてでございますが、八月末現在、融資申し込みベースで八百三十八件、百三十五億円に上り、融資実績は百億円を超える状況となってございます。今後も、現在の景気動向などから不況対策特別資金の需要も当分続くものと予想され、その動向を十分注視しながら、県制度融資を初め、政府系金融機関、信用保証協会等、関係機関と連携を密にし、中小企業者の資金需要にこたえてまいりたいと考えてございます。
次に、浅川組に関連する中小企業金融対策でございますが、不況対策特別資金は倒産企業と取引のある中小企業者も対象としており、浅川組関連を条件とした融資申し込みは、八月末現在で二十九件、約四億五千万円となっております。浅川組の会社更生法申請後、融資相談などについては速やかに取り組むよう各振興局へ指示するとともに、浅川組が八月四日、通商産業省の中小企業信用保険法に基づく倒産事業者の指定を受け、取引のある中小企業者に対し信用保証の別枠保証が適用されたことから、その周知などの対応を図ってきたところでございます。
次に、信用保証協会の保証取り組みについてでございますが、保証協会は厳しい経済状況の中、中小企業者の資金需要にこたえるため、より弾力的かつ迅速に取り組んでございます。その保証実績といたしましては、八月末現在、対前年同月比一二〇・七%、特に八月の一カ月間では一六〇%となっております。さらに、国においては政府系金融機関の融資制度の拡充を図るとともに、信用補完制度の拡充を図るための中小企業信用保険法の改正法案を提出するなど、中小企業金融対策を初め保証協会の経営基盤の強化策等が講じられているところであります。県といたしましても、その動向も見きわめつつ、引き続き関係機関と連携を密にして、県内中小企業者の金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 小川議員の浅川問題についてのご質問にお答えいたします。
株式会社浅川組につきましては、会社更生法の適用を申請するという事態になったところでございますけれども、議員ご指摘のとおり、去る十日に更生手続が開始決定されたところでございます。県といたしましては、この影響を最小限に抑え、株式会社浅川組が再建に向けてスタートできるよう、法的にできる範囲で対応してまいります。
既に株式会社浅川組が受注している県発注工事につきましては、下請業者及び関連業者等のご協力を得てすべて再開し、順調に工事を進めておりますが、今後、施工能力や経営状況等を客観的な指標で評価する経営事項審査及び今後の経営方針等のヒアリングを行い、これらをできるだけ早期に行うことにより、十月中をめどに入札参加資格の再認定を行い、新規の受注への道を開きたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 企画部長中村協二君。
〔中村協二君、登壇〕
○企画部長(中村協二君) 小川議員のご質問のうち、旧南紀白浜空港跡地への航空工学系大学の立地構想に関するご質問にお答えをいたします。
まず、開学の時期につきましては現在検討中であり、未確定でございますが、今後行うべき主な作業を申し上げますと、現在進めております施設計画や運営計画等の調査検討を行い、本年度内に基本構想を作成したいと考えております。
次に、新たな学校法人を設立するための準備団体を設置する必要があり、この設立準備団体が文部省に対し学校法人の設立及び大学の開設に係る認可申請を行い、当該認可を受けて大学を開設することになります。
以上のような作業とそれに要する時間等を勘案いたしますと、大学の開学までに最低でも四、五年の期間を要するものと考えてございます。
○議長(下川俊樹君) 警察本部長米田 壯君。
〔米田 壯君、登壇〕
○警察本部長(米田 壯君) 小川議員のご質問にお答えをいたします。
第一点目は、警察の初動措置はどうであったのかというご質問でございますけれども、警察が本事案を認知いたしましたのは当日の午後七時三十二分、消防からの園部地区で食中毒が発生した旨の通報が最初であります。
通報受理後、直ちに警察官を関係病院並びに現場に派遣し、現場観察、自治会役員等から事情聴取を行っていたところ、搬送される患者が続出いたしましたので収容先の病院等にも警察官を派遣し、患者、医師などから事情聴取を行いました。
その結果、各病院の医師は、病人の症状については、いずれも食中毒である旨の説明でありましたので、警察としては食中毒事案として情報収集を開始したのであります。
午後十時二十四分ごろ、消防救急隊員から、一部の医師が毒物の可能性もあると話している旨の電話通報がありましたので、捜査員を収容先の病院に派遣し、毒物の可能性について医師、患者などから事情聴取を行ったところ、ほとんどが食中毒であるということでありましたけれども、毒物の可能性もあるとの情報もありましたことから、収容先の病院等から嘔吐物の提出を受け、科学捜査研究所職員により検査を行うとともに、現場においてカレールー、カレーなべ等の押収、及び実況見分を行ったのであります。
翌午前五時三十分になって青酸反応を検出したことから、人命第一と判断し、直ちに収容先の全病院に架電し、直結医師に通報するとともに捜査本部を設置したのであります。
警察としては、食中毒発生の通報を受けた段階から、現場臨場の上、自治会関係者、医師等からの事情聴取、証拠品の押収、薬・毒物の検査等を行ったもので、初動措置は適切に行われたものと確信しております。
第二点目の、砒素をなぜもっと早く検出できなかったのかというご質問でございますが、一般的に申し上げまして、あらかじめ特定の毒物の含有が予想される検体であれば、その毒物に着目した検査手順、検査器材を用いることが可能であることから比較的短時間に鑑定できるのが通例でありますが、何が混入されているか全くわからない場合には、あらゆる毒物の可能性を視野に入れながら一つ一つ検査していく必要があるため、物質の特定をするのにかなりの時間を要するものであります。
本事件につきましては、当初、毒物の中でも最も毒性が強いとされる青酸反応が検出されたことから、青酸反応の有無を重点的に鑑定資料の分析、検査を行ったところ、処理すべき鑑定資料が多数に上ったことから、青酸に係る詳細な検査、また他の毒物の可能性に係る検査については高性能の検査装置を有する警察庁科学警察研究所に検査を依頼したもので、所要の時間内であったと理解をしております。
第三点目は、毒物混入事件のこれまでの捜査状況についてのご質問でございます。
当初、病院等から提出があった嘔吐物等を検査した結果、青酸反応を検出したことから、直ちに和歌山市園部における毒物混入事件として和歌山東警察署に刑事部長を長とする百五十名体制の捜査本部を設置し、その後、体制を二百四十六名に増強し、関係者からの事情聴取、現場付近の検索、聞き込み、毒物の入手経路の割り出し等の捜査を行っております。現在までの事情聴取は、自治会関係者、被害者など約三百十名から聴取をしております。また、一般の方々から捜査本部に寄せられた情報件数は県内外から約七百五十件で、そのほとんどが犯人像や薬・毒物に関するものであります。
警察といたしましては、捜査環境の厳しい中ではありますが、引き続き目撃情報等の収集に努めるとともに、犯行の原因、動機、さらに毒物の入手可能な人物を中心に捜査を進め、残虐きわまりない本事件の早期解決に向け全力を尽くす所存であります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(下川俊樹君) 再質問がございませんので、以上で小川武君の質問が終了いたしました。
○議長(下川俊樹君) この際、申し上げます。
当局の答弁は、要を得て簡単明瞭に行うよう留意を願います。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
38番新田和弘君。
〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
まず初めに、毒物に対する健康危機管理体制の整備についてお尋ねをいたします。
去る七月二十五日、和歌山市園部で起きた毒物混入事件は、自治会の夏祭りでカレーライスを食べた人たちが次々と異常を訴えたため、食中毒のような症状者として各医療機関に搬送され、その対応がなされてきました。翌二十六日の午前三時三分に自治会長さんがお亡くなりになり、死因は青酸化合物とのことでありましたが、後に鑑定の結果、砒素化合物が検出され、本県のみならず全国を震撼させる事件となりました。この事件は、四人のとうとい命を奪い、六十三人の方々が中毒症状で入院、通院され、今なお砒素中毒症状による後遺症の不安が残されております。不幸にしてお亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被害者の皆様の一日も早い回復を願う次第であります。また九月二日には、残念なことに事件発生から連日連夜休みなく捜査に当たられた警察官一名が急逝されたことは大変遺憾なことであり、ご冥福をお祈り申し上げます。
本県においては、事件発生より県警による懸命の捜査活動や県立医大病院において毒物中毒患者の治療が行われ、事件の翌日には西口知事が現地に行かれ、七月二十七日には庁内に健康危機対策連絡会議を設置し、事件の対応に当たってきました。具体的には、毒物及び劇物並びに農薬等の適正な取り扱いの徹底についての通知や児童生徒の安全の確保についての通知を行う一方、毒物、劇物販売業者等への立入検査の実施、和歌山市へ保健婦、精神保健福祉相談員の派遣等を実施してきました。八月十八日には、知事が和歌山市長とともに厚生大臣に尿の砒素検査費用の医療保険適用及び心のケア事業に国庫補助の要請を行いました。今日までの知事初め県警、医大、関係各部の皆様のご苦労に対しまして、心より敬意を表するものであります。
今回の事件は、毒物に対する健康危機管理体制が厳しく問われた事件であります。私は、この事件を通じて幾つか問題点を感じた次第です。
第一点目は、事件発生が七月二十五日の午後六時ごろで、市消防局から東警察署に連絡があったのが午後七時三十二分、被害者を病院に搬送した旨、市の保健所に連絡が行われたのが午後七時四十五分、県立医大病院が最初に被害者の受け入れの要請を受けたのが午後八時二十分と聞いています。しかるに、県の生活衛生課が事件を確認したのは午後九時三十分と、東警察署が情報を受けた二時間も後となっていることです。今回の事件に対して、和歌山市では十一台の救急車をフル活動し、受け入れ医療機関にも恵まれて二時間程度で被害者全員を病院に搬送できたと聞いています。緊急時における初動体制及び県、市、関係機関の連携の大切さを実感した次第であります。
二点目は、厚生省が平成九年一月に厚生省健康危機管理基本方針を、同年三月には健康危機管理実施要綱を策定し、O157食中毒、インフルエンザ、血液製剤によるHIV感染などの健康危機に適切に対応できる体制の構築に取り組んできています。しかし、厚生省において毒物中毒症に対する健康危機管理対策が講じられず、平成六年六月の松本サリン事件で七人の死亡者と五十九人の重軽症者を出した猛毒サリンによる中毒死事件の教訓が生かされていなかったことが甚だ残念に思いました。
三点目は、毒物の検査について、犯罪捜査を目的とする警察庁の科学警察研究所や県警の科学捜査研究所で実施され、県民の健康を目的とする県衛生公害研究センターでは毒物の検査が行われなかったことを大変残念に思う次第であります。「厚生白書(平成九年版)」に「松本サリン事件を振り返って」と、山本国立衛生試験所化学物質情報部主任研究官が手記を寄せております。「平成六年六月二十七日深夜に松本市で発生したサリン事件は前代未聞の事件だっただけに十分な情報がありませんでした。二十八日長野県衛生公害研究所(衛公研)では原子質量計で採取試料中にサリンと一致する物質を検出しましたが、物質の特定のためには、標準品が入手不可能なため文献情報と比較して確認するしかありません。その日夜遅く、衛公研の丸山さんから私にサリンについての情報を至急送ってほしいとの電話が入り、すぐに療品部の佐藤さんに連絡して衛公研にファックスしてもらいました。試料中の物質はその文献情報ともよく一致し、その後の原因物質特定の一助となったわけです」と述べています。松本サリン事件では、毒物の特定を県衛生公害研究所が行っているところが注目に値します。
また、八月二十日付の読売新聞の「論点」に、「毒物の救急体制整備急げ」と題して、日本医科大学高度救命救急センター長の山本保博教授は「原因不明の中毒事件が起きた時、どんな毒薬物が含まれているか分析する体制も、日本の医療機関では十分整っているとは言えない。(中略)米国では州ごとに一か所以上の中毒情報・分析センターがあり、依頼に応じて数時間単位で迅速な分析を行い、治療に役立てている。 日本では、警察庁科学警察研究所や各都道府県警の科学捜査研究所が分析を行っているが、医療機関との連携は義務付けられていない。今後は、警察の各研究所と医療機関が十分な連携をとるとともに、高度救命救急センターに迅速分析ができる機能を持たせることが重要だ」と述べています。山本教授の論によると、今後は警察の各研究所以外にも毒薬物の分析できる機能の必要性を強調されていると思った次第であります。
四点目は、今回の事件では、当初、医療機関では食中毒の対応が行われ、毒物中毒症に対する適切な処置が行われなかったことであります。さきに紹介した山本教授は、「原因不明の化学毒物混入事件として、治療に当たる側から(中略)数分間で嘔吐、下痢、けいれんを伴う急性中毒は、毒薬物の可能性がきわめて高い。細菌性の食中毒症状としては、出現があまりにも早いからである。 中毒を起こす毒薬物は十数万種類もあるとされるが、すべてに解毒、中和作用を持つ薬があるわけではない。しかし、急速に死に至らしめる毒物はそれほど多くない。代表的なのは青酸化合物、ヒ素、サリンなど有機リン系化合物などであろう。 青酸化合物の解毒剤としては、亜硝酸ナトリウムとチオ硫酸ナトリウムが、有機リン系化合物にはPAMや硫酸アトロピンによる治療法が確立されており、ヒ素にはBALというキレート剤が有効と言われている。これらの薬の中には市販製剤となっていないものもあり、常備が義務付けられているわけでもない。しかし、比較的設備の整った三次救急医療機関である全国百四十二か所の救命救急センターには常備し、緊急時にいつでも使用できる体制を整えておく必要がある」と述べています。
厚生省は、国民の生命と健康を守る健康危機管理は厚生行政の原点であると位置づけています。それであるならば、毒物に対する健康危機管理体制が整備され、県、市町村、関係機関の連携や毒物情報、検査体制、さらに解毒剤の常備など、今回の事件を教訓にぜひとも整備を願うものであります。
そこで、西口知事は、今回の事件や全国で発生している毒物連鎖事件をどう受けとめているのか、また本県における毒物に対する健康危機管理体制の整備をどう進められるのか、お尋ねいたします。
次に、関係部長にお尋ねいたします。
一、毒物中毒事件発生時における初動体制並びに連絡体制をどう整備し、マニュアルづくりをするのか。
二、緊急時の毒物検査及び特定する体制をどう整備し、医療機関との連携をどう確立するのか。
三、健康危機管理を担う人材の養成確保にどう取り組まれるのか。
四、毒物に対する解毒、中和作用を持つ薬等を緊急時にいつでも使用できる救命体制の整備はどう図られるのか、また県立医大病院の救急体制はどうか。
五、県民の不安を解消し、安心して生活を送るためにも、犯人逮捕による事件解決を強く望むものでありますが、捜査の状況はどうか。
六、本県の毒物カレー事件より始まった一連の毒物犯罪の連鎖は極めて憂慮すべき状態にあります。続発する毒物犯罪を今後どう阻止するのか。
七、被害者及びその家族に対する支援及び心のケアに対して、県はどう対応するのか。
以上七点、お尋ねをいたします。
次に、産業廃棄物処理の対策についてお尋ねをいたします。
我が国では、経済成長や国民生活の向上などに伴って廃棄物が大量に排出される社会構造になっています。他方、廃棄物を適正に処理するために必要な最終処分場等の廃棄物処理施設については、近年の廃棄物処理によるダイオキシンの発生、不適正処理に対する住民の不安や不信感の高まりを背景として、設置や運営をめぐる紛争が多発し、その確保がますます困難となっています。また、産業廃棄物の不法投棄も後を絶たず、その解決が強く求められています。
こうした状況を踏まえ、廃棄物の減量化、リサイクルの推進、廃棄物処理に関する信頼性及び安全性の向上、不法投棄対策を三つの柱とする総合的な対策を講じ、廃棄物の適正処理の確保に向けた対策を積極的に推進する目的で、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正が平成九年六月に成立いたしました。
改正の主な点は、一、廃棄物の再生利用について、許可にかわる認定制度の新設、二、廃棄物処理施設の設置に関して、生活環境影響調査書の添付、及び申請書の告示・縦覧、関係市町村の意見聴取、三、マニフェストのすべての産業廃棄物への適用、四、不法投棄に対する罰則の強化、五、原状回復のための措置、六、処分場のすそ切りが廃止され、ミニ処分場も規制される等の改善がなされました。
本県では、法改正により規制基準等が強化されたことから、廃棄物処理業者や産業廃棄物処理施設の設置者に対して改正内容の周知を図るとともに、適正処理に関する啓発を行っております。また、不法処理を防止するために、県、県警、和歌山市、社団法人県産業廃棄物協会の構成による産業廃棄物不法処理防止連絡協議会、及び県地方機関、関係警察署、関係市町村の構成による地域産業廃棄物適正処理連絡会議により産業廃棄物処理に関する連絡調整、パトロール等を行ってきています。さらに、公共関与処理として財団法人和歌山環境保全公社は、平成八年九月からフェニックス計画処分場へ紀北地域の廃棄物の搬出を行い、同年三月から和歌山市西浜地区において陸上残土の受け入れと建設廃材の破砕処理を行ってきております。
そこで、西口知事並びに生活文化部長にお尋ねいたします。
一、平成六年四月に廃掃法第十一条第一項の規定に基づいて、第三次和歌山県産業廃棄物処理計画が策定されております。この計画期間は、平成五年度を基準に平成六年から平成十年までの五年間としております。県においては、この計画の見直しを行うため、平成九年度には基礎資料とする産業廃棄物排出状況の実態調査を行ってきています。平成十年度の当初予算においても、計画推進事業費六百三十七万円余が計上されています。加えて、平成九年六月に廃掃法の大幅な改正がなされたことを受けて、第四次の県産業廃棄物処理計画が策定されなければならないと考えますが、知事はいつ行うのか、お尋ねいたします。
二、今回の改正により、すべての処分場が規制の対象となり、排出者にはすべてマニフェストが必要となります。他方、住民の環境への関心の高まりの中、廃棄物の不適正処理や処理施設等の安全性の問題など、一段と県民からの行政に対する要望が増加するものと考えられます。そのため、廃棄物行政に携わる本庁及び各保健所の体制の充実が必要と考えられますが、どう対応されるのか。
三、廃棄物処理施設の設置に関しては、本年の六月十七日以降は生活環境影響調査書の添付、申請書等の告示・縦覧、関係市町村長の生活環境の保全上の見地から意見を聞かなければならないものとする、また昨年八月からは三千平米以下というすそ切りが廃止され、ミニ処分場も規制されることになったわけであります。こうした改正等を受けて、廃棄物処理施設の設置の申請を受けているものに対して県はどう対処していくのか、またミニ処分場への対応はどうか。
四、和歌山市本脇地区で産業廃棄物最終処分場の設置許可申請が昨年十月三日に和歌山市に対して行われ、同年十一月十八日に許可がおりたわけでありますが、その後、地元自治会から強い反対があり、和歌山市議会三月定例議会で反対決議が採択されました。和歌山市長は、本年六月に許可の取り消しを決定しました。取り消しを受けた業者は、本年七月二十三日に県に対して行政不服審査法に基づく審査請求がなされています。知事は関係市町村長の意見を尊重する考えであると伺っていますが、知事の見解はどうか。
五、県警の資料によりますと、一般廃棄物及び産業廃棄物の不法投棄等の検挙状況は、平成八年三十七件、平成九年三十三件、平成十年八月末現在で既に十九件に上っています。廃掃法の改正により、本年十二月からマニフェストの適用範囲をすべての産業廃棄物に拡大するとともに、厚生省で定める期間保存することを義務づけられました。さらに罰則の強化として、一般廃棄物の場合は一年以下の懲役または三百万円以下の罰金、産業廃棄物の場合は三年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金、法人に対しては最高一億円とされています。「ジュリスト」の平成九年十月号によると、不法投棄の内訳は、排出者四〇%、無許可業者が一三%、許可業者が六%、あとは不明その他となっています。本県の不法投棄の現状とその対策はどうされるのか。
六、マニフェストの適用拡大に対して、排出事業者の中にはマニフェストとは何ですかと言う事業者もあると聞いていますが、県は排出事業者、産業廃棄物処理業者に指導徹底を図り、排出事業者からマニフェストを県に提出させるとともに、廃棄物処分業者へ照合を行って不適正処理をなくすべきであると考えますが、マニフェストの適用拡大にどう対応されるのか。
七、最終処分場等の産業廃棄物処理施設は排出事業者や処理業者により整備されるのが望ましいわけですが、民間のみではその十分な確保が困難な状況となっています。そのため、公的関与により住民に理解を得やすい形でその整備を図っていくことも必要であります。平成三年の法改正では、第三セクターの民法法人を都道府県ごとに一つに限り廃棄物処理センターとして指定する制度が創設され、本年四月現在、岩手県、兵庫県など八県で指定が行われています。本県においても、財団法人和歌山環境保全公社を廃棄物処理センターに指定を行って中間処分場の機能を備えることにより民間処理場を補完し、最終処分場への産業廃棄物の減量化を図られてはと考えるが、どうか。
八、不法投棄等の原状回復のための措置については、より迅速に原状回復を可能にするため、行政代執行法の手続を経ることなく、都道府県が原因者に費用負担を求めることができるものとするとともに、不法投棄者不明や原因者の資力不足の場合に、原状回復を行った県に対して、国の補助及び事業者の自主的な出捐による基金で活動する産業廃棄物適正処理推進センターから資金を出捐すると定めています。橋本市における産業廃棄物撤去については、法改正後の平成九年七月から九月に五千万円、平成九年十二月から平成十年四月に一億円が環境保全公社から支払われています。県は、産業廃棄物適正処理推進センターに資金を出捐を求められてはと考えますが、どうか。
九、ダイオキシン対策として、本年十二月より民間の焼却施設に対しても八十ナノグラム以下にすることとなりました。本県において、廃棄物処分場や自社処理を含めたミニ処分場等の焼却施設のダイオキシンの基準値達成に今後どう指導し、対応されるのか。
以上、九点をお尋ねいたしまして、第一問を終わらせていただきます。当局のご答弁を求める次第でございます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新田議員にお答えをいたします。
最初に、毒物混入事件についてであります。
今般の和歌山市の毒物混入事件のように、飲食物に毒物等が混入され、不特定多数の方々が犠牲になるという犯罪は極めて卑劣でございまして、断じて許せるものではございません。また、これを模倣した事件が新潟県、長野県などで発生して社会を不安に陥れている事実を憂慮いたしますとともに、一日も早い解決を望んでいるところでございます。
次に、健康危機管理体制の整備についてのご質問でありますが、地方で取り組めることと国の段階で取り組むこともございますので、財団法人日本中毒情報センターの充実、あるいは救命救急センターの役割の明確化等につきましては、引き続き国に要望を続けてまいりたいと思っております。
県といたしましては、今回の事件を重く受けとめまして、それぞれの課題について健康危機発生時の被害者の搬送から、治療、心のケアに至るまでの一体的な管理体制マニュアルの整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、産業廃棄物問題でありますが、第四次県産業廃棄物処理計画の策定についてでございます。
産業廃棄物処理計画は、産業廃棄物の発生から処分に至る過程における関係者の役割と責任を明らかにするものでございまして、県における産業廃棄物の適正処理のための基本指針となるものでございます。第四次計画につきましては、昨年度に排出状況実態調査を実施いたしまして、現在、計画素案を作成中でございます。今後、施設設置の際の手続、罰則の強化等、規制強化が盛り込まれた法律改正があったこと、環境保全に対する県民意識の動向などを踏まえて関係機関との調整を行い、環境審議会の議を経まして平成十一年度のできるだけ早い時期に策定をしてまいりたいと考えております。
次に、法改正に伴う本庁及び保健所の充実でございます。
昨年は、保健所の組織を見直すなど整備を図ったところでございますが、引き続き法改正に伴う事務量などを勘案しながら検討してまいりたいと考えてございます。
次に、和歌山市の産業廃棄物審査請求に対する私の見解ということであります。
審査請求に対する知事の見解につきましては、和歌山市の許可取り消し処分については県に対し行政不服審査請求が提出されてございまして、和歌山市からの弁明書が既に提出をされてございます。現在、これに対する事業者の見解を求めておるところでございます。双方の言い分を十分聴取の上、処分の妥当性について県としての判断を示していきたいと考えております。
以上であります。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 新田議員ご質問の毒物に対する健康危機管理体制の整備についての五点にお答えいたします。
まず、発生時における初動体制及び連絡体制についてでございますが、今回のように多数の被害者が発生した場合、行政、消防、警察、保健所、医療機関等との連絡体制の整備を初め、集団救急搬送につきましては、各消防本部とのより一層の連携を図ってまいります。また、複数の医療機関に収容された場合、患者の症状及び治療情報を一元化し、医療機関の間での応援体制や適切なアドバイスができる体制が不可欠でありますので、県立医科大学、和歌山県赤十字救命救急センターを核とした情報ネットワークづくりを検討してまいります。
次に、毒物検査後の医療機関との連携についてでございますが、毒物反応検査の状況を即時に関係医療機関に通報するとともに、県立医科大学、和歌山県赤十字救命救急センター、財団法人日本中毒情報センター等との連携を図りながら、臨床指導できるよう体制づくりを検討してまいります。
次に、健康危機管理を担う人材の養成確保についてでございますが、健康危機管理に当たっては、医療機関の医師等医療従事者の役割が重要であり、県医師会及び県病院協会に対し協力の申し入れを行ったところであります。また、県における健康危機管理にあっては、事務、技術の職種の別にかかわらず、すべての職員がその役割に応じた対応を適切に行うことが必要で、中でも保健所、衛生公害研究センター等における医師、保健婦、検査技師等の技術職員の役割が重要でありますので、各種研修の場等をとらえて専門能力の向上に努めてまいりたいと考えております。
次に、解毒剤等の整備につきましては、現在八カ所の医療機関で購入済みであり、そのほかに県病院協会では三カ所に配置しております。なお、県といたしましては、恒久的な備蓄体制についてマニュアルに盛り込むべく作業を進めております。また、緊急時の解毒剤等の搬送につきましては警察及び消防機関と協議中でございます。
最後に、被害者等への支援及び心のケアへの対応についてでございますが、今回のような毒物混入事件の被害者やその家族に対する精神面の支援として心のケアは重要なものと考えております。心のケアに関しましては、県としても和歌山市保健所に対し、保健婦、精神保健福祉相談員延べ四十九人を派遣し相談等の支援を行ったところであります。今後、同種の事件、災害等が発生した際には、地域の精神保健の拠点である保健所等において積極的に心のケアの対応を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 新田議員ご質問の毒物に対する健康危機管理体制の整備についてのうち、毒物の検査体制及び特定する体制の整備についてでございます。
さきの質問にお答えいたしましたとおり、保健所長からの申し入れにより、県衛生公害研究センターで各種の分析を行うこととしてございますが、十月中の策定を目途として取り組んでいる体制整備マニュアルづくりの中でさらに検討してまいりたいと考えてございます。
続きまして、産業廃棄物処理対策につきましての六点のご質問にお答えいたしたいと思います。
まず、産業廃棄物処理施設及びミニ処分場への対応につきましては、今回の法改正に伴い、産業廃棄物処理施設の許可申請書に生活環境影響評価書の添付が義務づけられ、焼却炉と最終処分場については、これらの図書の告示・縦覧、利害関係者、市町村長及び専門家の意見聴取の手続が必要となりました。現時点では新しい制度に基づく許可申請書は提出されてございませんが、事前調査段階の施設が十一件ございますので、許可申請書が提出されれば改正法に基づき厳正に審査してまいる所存でございます。
なお、従来、許可対象となっていなかったミニ処分場につきましては、法改正の周知を図るとともに、無許可設置を見逃すことのないよう監視してまいります。
続きまして、不法投棄の現状とその対策についててございますが、産業廃棄物の不法投棄と認められた事例の件数は、平成八年度二十五件、平成九年度二十件、本年八月末現在で二十四件となってございまして、不法投棄等の不適正処理を発見したときには不法処理防止連絡協議会等で対応を協議し、警察、関係市町村、関係部局が連携して環境保全上の支障の除去に努めているところでございます。不法投棄対策は、早期に発見し、小規模のうちに対応することが最も有効であると考えてございますので、市町村の協力を得て、環境月間あるいは環境衛生週間に一斉パトロールを実施するほか、さまざまな機会をとらえて管内をできるだけきめ細かくパトロールすることとしてございます。
続きまして、マニフェストの適用拡大への対応についてでございますが、マニフェストにつきましては、従来、感染性廃棄物等の特別管理産業廃棄物にしか義務づけられておりませんでしたが、法改正により、本年十二月からすべての産業廃棄物に義務づけられることとなりました。関係部局、関係団体の協力を得て排出事業者に対する周知を図るとともに、実施状況を抜き打ち検査するなど普及に努めてまいる考えでございます。
続きまして、廃棄物処理への公的関与についてでございますが、紀北地域につきましては、フェニックス計画への参加により公共関与の最終処分を実施いたしております。フェニックスの最終処分場で埋め立てられない産業廃棄物、例えば家屋の解体廃棄物のように木くず等が混入したものや、水面に浮くプラスチックなどにつきましては一定の前処理を行う必要がありますので、中間処理機能の整備が課題となっております。また、紀中、紀南の最終処分機能につきましても課題となっているところであります。こうした課題に対処するためには一定の公共関与が必要であると考えてございますので、財団法人和歌山環境保全公社の将来構想とも連動しつつ、廃棄物処理センターに求められる機能の整備について検討してまいりたいと考えております。
続きまして、産業廃棄物適正処理推進センターへの請求についてのご質問でございますが、株式会社日本工業所の事例は、地元からの強い要求により焼却中止を要請指導したため、廃棄物が未処理のまま現場に残されることになりました。そのため、これを搬出・処分する必要が生じたことから、財団法人和歌山環境保全公社の協力を得てその費用の一部を支援したものでございます。
産業廃棄物適正処理推進センターからの出捐を求めるのは、法による措置命令を執行し、事業者が応じない場合に県がかわって措置する場合となりますが、今回のケースはこれに該当してございません。
最後に、民間焼却施設のダイオキシン対策についてでありますが、産業廃棄物処理施設として設置許可した焼却炉は十七施設ございますが、今回の法改正により小規模施設も許可対象となりましたので、既設の小規模施設は許可されたものとみなされることとなり、その結果、現在二十九施設が法対象となってございます。これらの施設は、本年十二月までにダイオキシンの測定を実施し、十二月以降の規制をクリアする必要がありますので、現在、設置者に対し早急に測定を実施するよう指導しているところでございます。
なお、測定結果を報告させ、基準を超えている場合には必要な対策を指導してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 医科大学学長山本博之君。
〔山本博之君、登壇〕(拍手)
○医科大学学長(山本博之君) 新田議員のご質問のうち、県立医科大学における救急体制についてお答えいたします。
医科大学附属病院では、現在、救急処置室二室と救急ベッド四床を確保し、救急患者に対応してございます。今回は、各病棟のベッドも有効に活用いたしまして、搬送されてまいりました十七名の患者さん全員を受け入れました。現在、災害等を含め、救急患者が集中して多数搬送されてくることなどを想定いたしまして、マニュアルづくり、体制づくりを行っているところでございます。
なお、来年五月に開院いたします新医大附属病院では、救急医療体制の充実を重要な柱の一つと考えてございまして、組織上、救急・集中治療部を整備し、専任スタッフを増員するとともに、救急ベッドは十五床に、救急処置室も四室にふやし、充実強化してございます。
次に、附属病院の毒物中毒への体制でございますが、今回の事件では、最初に搬送されてまいりました患者さんの症状や問診から農薬中毒を疑いまして、胃洗浄を行うとともに、パラコートと有機燐の検査をいたしました。しかし、農薬は検出されませんでした。毒物中毒の多くの場合はその原因毒物がわかっておりまして、その治療薬として、議員ご指摘の亜硝酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、PAM、硫酸アトロピン、BALなどを常に備えてございます。しかしながら、今回の事件のように原因毒物が不明である場合には、その毒物を迅速に特定することは困難でございます。
今後、県立医科大学といたしましては、関係諸機関と連携し、本学の有する機能を最大限に活用し、毒物中毒の救急体制の充実に寄与してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 警察本部長米田 壯君。
〔米田 壯君、登壇〕
○警察本部長(米田 壯君) 新田議員のご質問にお答えをいたします。
第一点目、事件の捜査状況でございますが、先ほど小川議員にお答えをいたしましたとおりでございまして、現在、和歌山東警察署に刑事部長を長とする二百四十六名体制の捜査本部を設置し、鋭意捜査を行っております。現在まで、関係者約三百十名から事情聴取を得、また県内外から約七百五十件の情報が寄せられております。警察といたしましては、引き続き強力に捜査を推進し、残虐きわまりない本事件の早期解決に向け全力を尽くす所存であります。
第二点目は、類似事件の発生をどう阻止するのかというご質問でございますけれども、園部地区及びその周辺におきましては、同種事件の再発防止と県民の不安感の解消を図るため、発生現場を管轄する有功交番に制服警察官を増員して体制強化を図るとともに、地域警察官の勤務体制を三交代制勤務から二交代制勤務に変更し、制服警察官による見せる警戒活動を強化しております。県内の警察署におきましても、同様に勤務体制の変更や祭り等の催し場所での警戒活動を強化するとともに、関係団体である地域安全推進員、少年補導員、交番駐在所連絡協議会、自治会等と連携を図り、パトロール等を強化しているところであります。
また、全国的に続発しております毒物等混入事件の再発防止対策につきましては、各警察署においてスーパー店頭、街頭等における広報啓発活動やパトロールの強化等に努めているほか、県下の大型量販店防犯連絡会、コンビニエンスストア防犯協議会、清涼飲料水自動販売機業者等の代表者との連絡会議を開催するなど関係業界とも連携を図っているところであり、今後も引き続き再発防止に努めてまいる所存であります。
三点目の、被害者及びその家族に対する支援及び心のケアに対して警察はどう対応するのかというご質問でございますが、警察といたしましては、被害に遭われた方々などの精神的被害等の軽減、解消を図るためには、一日も早く事件を解決することが何よりであると思っております。
今までとりました具体的な被害者対策といたしましては、事件発生当初の七月二十七日、毒物混入事件被害者対策班を編成し、被害者の方々の相談に備える体制を整えたところであります。また、同種事件の再発防止と住民の方々の不安感の除去を目的として、有功交番の警察官を大幅に増員するとともに、ホットライン有功一一〇番を設置したほか、被害者家族宅を訪問するなどして各種相談窓口や犯罪被害給付制度等の説明を実施しております。さらに、被害者対策に当たる警察職員や関係団体の担当者に対しまして犯罪被害者に対するカウンセリングについての研修を実施するなど、関係機関、団体との連携をとりながら、被害者の視点に立った諸対策の推進に努めているところであります。今後も、被害者等のニーズに沿った対策を確実に推進してまいる所存であります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
38番新田和弘君。
○新田和弘君 簡潔に、二点だけ要望させていただきたいと思います。
まず一点目でございますが、毒物カレー事件に対しまして、関係の皆さんが大変なご努力をされておるわけでございますが、今回の事件を教訓にいたしまして、この危機管理体制の確立をぜひともやっていただき、県民の生命と健康を守っていただきたいことを要望いたす次第でございます。
あわせて、県民のこの不安を解消するためには犯人逮捕による事件解決ということが強く県民の願うところでございますので、県警の皆さんのさらなるご努力を要望いたしたいと思う次第でございます。
二点目でございますが、先ほど生活文化部長から、橋本の産業廃棄物の撤去に関しまして、産業廃棄物適正処理推進センターへの請求については、今回の場合は該当しませんというお答えでございました。これは、地元住民の早急に解決をしてほしいということの中でとられた措置であったかと思うわけでございますが、この環境保全公社からのお金を県に寄附金ないしは繰入金として受け入れて県が支出をする、そして業者に対しては措置命令を出すことによって撤去をさせる形をとった上で県が撤去しておれば、適正処理推進センターに対して請求ができたのではないか、そうすれば一億五千万の半額が県に返ってくる、こういうことができたのではないかと思いますので、今後こういった不適正処理の原状回復等に当たりましては県の費用をできるだけ少なくできるように、当局としても十分勘案をして対処されることを要望いたしておきます。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(下川俊樹君) この際、暫時休憩いたします。
午後零時七分休憩
─────────────────────
午後一時三分再開
○議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
28番東山昭久君。
〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問を行います。
まず、園部のカレー毒物事件に関して質問をいたします。
この問題については、午前中に先輩議員の方から詳細にわたって質疑が行われました。重複するかもしれませんけれども、重大な事件にかんがみ、お許しをいただきたいと存じます。
猛暑の夏が過ぎて、さわやかな秋風の季節となりました。ことしの夏もいろんな出来事がありました。特に七月二十五日、和歌山市園部第十四自治会の夏祭りでのカレー毒物混入事件は、平穏な住民生活を根底から突き壊す凶悪な事件であり、全国民を震撼させたのであります。
この事件で犠牲になられた四名の方々並びに事件の早期解決のために連日の激務によって急死された村井警視のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、ご家族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。一日も早くもとの生活に戻られることを願ってやみません。
この事件は住民生活を根底から破壊する許しがたい凶悪事件であり、それに連動する形で毒物・異物混入事件が各地で続発しており、社会不安を大きくしているのであります。和歌山県警捜査本部におかれては、事件発生当時より、事件の早期解決に向け総力を結集して懸命なご努力をなされているわけでありますが、その努力にもかかわらず、今日なお犯人の逮捕、事件の全容解明がなされていないのは残念でなりません。事件の早期解決、再発防止こそが犠牲になられた方々に報いることであり、連鎖事件を断ち切ることになると思うのであります。まず、和歌山県警に事件の早期解決のためより一層ご努力されることを強く要望申し上げたいと存じます。
今回の事件で、毒物検出の情報伝達のおくれ、行政や警察、病院などの関係機関の連携不足等が指摘されています。また、原因物質の特定に時間がかかるなどの各検査機関の鑑定能力などの問題点も明らかになりました。
そこで、今後県として取り組む課題について、次の二点に絞ってお尋ねいたします。
第一は、緊急時の毒物検査体制の確立についてであります。
今回の事件では、初めは食中毒が疑われ、その後青酸化合物による中毒と断定し、その七日後になって砒素化合物が検出されるなど、二転三転しました。毒物・劇物の中からその物質を緊急に特定することが求められます。
和歌山市では、来年度に市衛生研究所に青酸や砒素などの毒物を分析する検査装置を導入することを明らかにされています。県としての毒物等の分析・検査体制については、午前中の質疑で生活文化部長から、毒物の疑いがある場合には県衛生公害研究所において分析する、毒物検査検討会、衛生公害研究所の各部長から成る緊急対応会議を開催するという体制について明らかにされました。緊急の場合に一刻も早く毒物を特定しなければなりません。そのためには検査装置が優秀でなければなりません。話を聞くところによると、迅速に物質を特定できる高性能の装置があると伺います。財政的問題もあると考えますが、早急に導入すべきであると考えます。生活文化部長にご答弁を求めます。
二点目は、健康危機管理体制の確立の問題についてであります。
行政や警察、病院などの関係機関のより一層の連携の強化を含めて体制を確立する必要があります。知事は、本会議の知事議案説明の中で、「保健婦や精神保健福祉相談員の派遣等により被害者の方々への心のケアに対する支援を行うとともに、健康危機管理体制の整備により一層取り組んでまいる」ことを明らかにされたのであります。午前中の知事の答弁で、健康危機管理体制については十月中の策定をめどに取り組んでいくことを述べられました。迅速に判断をして機敏に次の対応をするためには、どうしても専門家をきちんと配置する必要があると私は考えます。知事はどのような体制に整備されていくのか、ご答弁を求めたいと存じます。
次に、防災対策に関して数点にわたり質問させていただきます。
毎日うだるような暑さが続いていた八月二十八日の夜、いつもと変わりなく帰宅すると、河川の渦巻く濁流の中で家が流されていく、車が冠水した道路の中で取り残されている、堤防の土のう積みを必死で行い、応急対策に追われる住民の姿がテレビ中継で映し出されていました。
当時、和歌山では晴天続きで、雨の降る気配はありませんでした。その一方で、豪雨による大きな被害。自分ではどうすることもできない、ただひたすらに雨がやむのを祈るだけでした。自然の恐ろしさ、人間の非力さを改めて思い知らされたのであります。
東日本と北日本を中心に記録的な豪雨が各地を襲い、数日間で年間雨量の半分以上の降雨量を記録した地域もあり、数日間に千ミリを超える雨量を記録したのであります。堤防の決壊や川のはんらんによる洪水、土砂崩れ、土石流によって死者十九名、行方不明者三名という大きな犠牲を出し、物的損害も甚大な被害となったのです。
自然災害と言えば、地震、洪水、津波などによる人的、物的被害のことを言いますが、それは自然条件の地質的、地形的、気象的に大きく左右されます。我が国の自然条件は特殊であることを忘れてはなりません。本県も例外ではないのであります。
「脆弱国土」という言葉があります。一億二千万人を超える人々が、国土面積三十七万平方キロメートルの、四季折々に美しい豊かな恵みをもたらす国土に暮らしています。この国土にはさまざまな特性があることはよく知られています。南北に細長い島国、中央に山脈が走り、気候の変化が著しく、しかも降水量が多い。国土面積が世界の陸地面積の〇・二五%であるにもかかわらず、世界じゅうの地震の一〇%程度が日本とその周辺で発生するという世界有数の地震国であり、世界の活火山の一〇%以上が存在する有数の火山国であると言われています。
本日、台風七号が紀伊半島に上陸したようであります。ことしはまだ八号と少ないわけでありますが、日本は台風の常襲地域に位置し、豪雨、豪雪にも見舞われやすく、気象的、地形的、地質的にも自然災害に対して脆弱な国土であると言われ、我が国の自然条件は特殊であることがわかります。
現代日本、とりわけ大都市部では自然との共生が難しくなるのであります。そして美しく豊かな国土は、同時に災害列島でもあることを忘れてはならないのです。日本のどの都市や地域も、天災、人災、大火、台風や洪水、大地震や津波と無関係ではないのです。
台風、地震等の自然災害によって毎年多くの人命や財産が失われてきました。戦後に限っても、一九四五年の枕崎台風、四八年の福井地震は、それぞれ死者・行方不明者が三千人以上を超す大災害で、五九年の伊勢湾台風は五千九十八名の死者・行方不明者を出し、各地に多大な損害をもたらしました。その後、人的災害は減少、被害額総計は毎年一兆円前後で推移してきましたが、ここ数年間は、一転して雲仙普賢岳噴火、北海道南西沖地震など重大災害が相次ぎ、九五年の阪神・淡路大震災には六千四百三十名の犠牲者を出すに至っています。
自然災害には、天災と人災の側面があります。治山治水など国土保全事業の進展、防災関連諸制度の整備、気象観測体制と施設整備、災害情報伝達体制、防災意識の高まりなど、被害との間に関連があるからです。
「わかやま二十一世紀計画」の第四節「安全・安心な生活の実現」の項では、県の防災体制の整備充実の基本方向として、「自然災害及び地域開発に伴う環境の変化や都市構造の複雑化などによる多種多様な災害に対処するため、防災拠点施設の整備、情報収集・伝達網の充実、災害時における緊急輸送路の確保を図るとともに、県・市町村・防災関係機関及び県民が一体となった総合防災体制を推進します。 また、『自分の身は自分で守る』という防災意識の高揚及び防災知識の普及啓発を図るとともに、地域ぐるみの自主防災組織の強化・育成に努めます」とあり、そして施策体系として、総合防災センターの設置、通信体制の整備充実、地域防災施設の整備充実、広域防災体制の整備、防災意識の高揚を図るための啓発事業の実施、防災ボランティア活動の推進とあります。
安全で安心な生活を実現するために、県の自然条件などを正しく認識し、総合防災体制を確立していかなければなりません。そのためにも、総合防災センター構想の早期実現を強く望むものであります。
そこで、知事にお尋ねします。
県の総合防災体制の基本方針について、総合防災センター構想はいつまでに、どこに、どんな設備のものを計画されているのか明らかにされたいのであります。知事にご答弁を求めたいと存じます。
次に、災害弱者の防災対策についてお尋ねいたします。
九月九日の読売新聞の朝刊でありますけれども、「検証・東日本の豪雨被害 人災の側面も浮上」という記事が目にとまりました。新聞記事によると、「東日本を中心とした先月末の大雨は(中略)想定を超える『異常な豪雨』が猛威を振るった結果だが、つめ跡生々しい現場を歩くと、連絡体制の不備、川の上流部の開発に伴う出水量の増加、堤防整備の遅れなど人災の側面も浮かび上がってくる。 先月二十七日早朝の土砂崩れで五名が死亡した福島県西郷村の障害者救護施設『からまつ荘』は、総合社会福祉施設『太陽の国』の中にある。からまつ荘を含む八つの施設には当時、約七百五十人が入所していた。しかし、村の災害対策本部から太陽の国には大雨に関する情報や警戒を促す連絡は全くなかった。 『県が避難などの指示を出しているだろう』(村幹部)と判断したためだ。村は同日午前三時、災害対策本部を設置し、消防車で村内の巡回を始めた。からまつ荘で土砂崩れが起きる二時間前だ。(中略)県の外郭団体が運営する太陽の国の入所者の大半は、村に住民登録をしていない。村にとって、管理や指導の及ばない『別世界』(村幹部)だったのだ。その認識が災いした。 村が対応を期待した県からの連絡・指示も太陽の国にはなかった。『土砂崩れは想像出来なかった。雨量は予想を超え、事故は突然起きた』。県保健福祉部の担当者は唇をかむ。(中略)県の地域防災計画には、社会福祉施設への連絡方法や施設側の対応は定められていない。同村の防災計画にも、太陽の国での災害発生を想定した取り決めはなかった。 太陽の国自体も、災害への備えが不十分だった」と、地域の地域防災計画の不備、連絡体制の不備による人災の側面があると指摘しているのであります。
災害弱者、いわゆる自力で避難が困難なお年寄りや障害者は一般住民よりも配慮されなければなりません。その対策は万全なものでなければなりません。県、市町村との連携などを含めて、社会福祉施設、災害弱者の防災対策は確立されていますか。総点検、見直しなどを早急に確立されることを強く求め、総務部長並びに福祉保健部長に答弁を求めます。
日本は世界有数の森林国だと言われています。和歌山県も、平成七年度では県土面積四十七万二千四百二十九ヘクタールの七七・一%が森林面積となっております。この森林を守り育てることが日本ひいては地球の環境保全、国土の保全に果たしている役割は、極めて重要であります。国際的にも森林の保全を求める世論が高まっております。しかし、日本の国有林を含む林業の実情は、長年にわたる林業経営の不振、労働力不足、不在地主の拡大などにより、「林業白書」が述べているように、二十一世紀に向けて山村と森林、林業を再生していけるかどうか岐路に立っていると言っても過言ではありません。
上流域のリゾート開発、森林伐採、宅地造成など、開発の仕方が水害に大きな影響を与える。乱開発が進めば被害が起こる。この河川行政だけではなく、都市開発や農地事業なども含めた総合的な対策をとらなければなりません。
さきの栃木県の那珂川の支流・余笹川のはんらんによる災害は、上流部の開発による保安林伐採も大きな要因と言われております。さきの九月九日の新聞によると、これまでに「住民が犠牲になるほどの水害はなかった。しかし、ここ十数年間、那須連山に源を発する上流部では開発による変化が進んでいた。 同町の別荘は八四年四月の約二千九百戸から昨年四月には六千戸と二倍以上に増加。九四年末には上流部に水源涵養保安林を伐採して造られたスキー場がオープン。県道整備を含めると、開発で失われた保安林は五十六・五ヘクタールに上る。今回の現場から約二十キロ上流だ」と、森林伐採、開発などが下流の河川はんらんに拍車をかけ、人災の側面もあると指摘しているのであります。
二十一世紀も安全で安心して暮らせる社会に向け、良好な環境と豊かな森林を保全し、これを支える林業を初めとする第一次産業を維持発展させるため、思い切った公的資金を大幅に投入するなど、財政援助を強化すべきときだと私は考えます。
「国破れて山河あり」の言葉のとおり、優しく人を包み込んで支えてきた日本の風土の根幹をなしているのは森林ではないでしょうか。その森林を守り再生することが防災対策の第一歩だと私は考えます。森林を守り再生させるため、県の施策等について農林水産部長に答弁を求めます。
次に、耐震診断・改修についてお伺いいたします。
あの阪神・淡路大震災から四度目の「防災の日」を挟んでのことしの防災週間は、台風の接近、豪雨、首都圏を初め全国各地で地震が相次ぎ、災害の恐ろしさを思い知らされました。しかし、年々防災意識は低下してきたのではないでしょうか。地震国日本──和歌山県も紀北地域に中央構造線が走り、南部においてもプレート境界での巨大地震の可能性、危険性が指摘されています。地震予知について研究が続けられていますが、予知することは極めて難しい問題であります。したがって、地震に強い建築構造物、地震に耐え得る建物にしていかなければなりません。
三年前に、建築物の耐震改修の促進に関する法律いわゆる耐震改修促進法が施行されました。しかし、現行建築基準法の水準に満たない建物の改修は進んでいないと言われています。現行基準に満たない既存不適格の建物は、建設省の調査によると、全国で八一年以前の建物の約六割、一千四百二十万棟に上ると言われています。
耐震改修促進法は、所有者が改修計画をつくり、所管自治体に認定されれば住宅金融公庫などから低利融資を受けられると定めていますが、認定件数は昨年度末全国で公共四百九十二件、民間九十件で合計五百八十二件、そのうち学校が四百五十九件を占めていると言われています。学校の場合は、文部省の地震防災緊急事業五カ年計画で補強工事費の半額を国庫負担とあります。耐震改修はほとんど進んでいないのが現状であることを示しています。
法施行後、耐震診断・改修に対して独自に助成制度をつくる自治体も出てきており、本県でも県単独事業で、本年度から特定建築物と木造住宅の診断に補助を実施することになっています。
県では、平成七年から耐震診断が実施されてきたのでありますが、その結果はどうか。その後の改修が進んでいるのでしょうか。
そこで、次の五点についてお尋ねします。
一つ目、本庁舎、警察、市町村役場、消防機関、病院など公的機関等の耐震診断の状況は。その結果は。今後の改修計画について。
二つ目、県営住宅並びに市営住宅の耐震診断の状況は。その結果は。今後の改修計画について。
三つ目、避難所である小中学校、高校、公民館などの診断状況は。その結果は。今後の改修計画は。
四つ目、耐震診断の結果で避難所の見直しが行われたのか。今後の見直し計画はあるのか。
五つ目、市町村や民間が実施する耐震診断・改修に対する支援策について。
以上、総務部長並びに土木部長にご答弁を求めます。
次に、一九九六年二月、北海道の豊浜トンネルでの岩盤崩落事故は、走行中のバス一台、乗用車一台を巻き込み、二十名の犠牲者を出しました。この事故は、一週間に及ぶ処理作業、崩落した岩盤を取り除く作業、それらの状況がテレビ中継されたので脳裏に深く焼きついています。また、一九九七年八月の第二白糸トンネルの岩盤崩落事故等もあり、自然の恐ろしさ、人間の無力さをまざまざと思い知らされた自然災害でもありました。
建設省は、この崩落事故直後、全国で緊急危険箇所での点検を実施しました。その結果、対策を必要とする箇所は全国で、国、県、市町村管轄を合わせると二千二百四カ所であることを明らかにしてきました。これらについては随時対策が進められていると思いますが、県内では対策を必要とする箇所は何カ所であったのか、その対策はどうなっているのか、土木部長にご答弁を求めます。
最後に、浸水対策としての和歌川水系の河川改修についてお尋ねいたします。特に、大門川の改修についてお尋ねしたいと存じます。
日本の河川は短くて急流であると言われ、山間部での集中豪雨があるとあっという間に流れ、下流部では洪水の危険性をいつもはらんでいます。都市部は河川のはんらん区域に立地し、国土の一〇%に当たるはんらん区域に人口の五〇%、資産の七五%が集中していると言われています。
和歌山市も紀の川のはんらん区域及び三角州に立地しており、和歌川は和歌山市内の中心部を流れ、和田川、市堀川、大門川など十一の川とつながっています。和歌川水系は古くから数々の水害が起きており、和歌山市周辺の主な水害は、県の資料によりますと戦後一九五〇年以降三十一回を数え、多大な被害が出ているのであります。そのため、昭和七年から旭橋付近の河川改修、昭和二十四年から大門川の一部、昭和三十三年から和田川の改修、昭和六十一年からは一級水系として和歌川広域基幹河川改修事業に採択され、全体として改修工事が進められてきました。
和田川、市堀川、和歌川の改修はほぼ完了し、内川美化推進会、内川をきれいにする会等の皆さんの運動の成果もあり、以前に比べて美しい河川によみがえりつつあります。河川や下水道のポンプ場の整備とともに、浸水対策も進んできました。しかし、大門川の改修は大幅におくれているのが現状ではないでしょうか。市の東部地区の四箇郷地区、中之島地区及び宮北地区の浸水対策としても、下水道の整備とともに、この大門川の早期改修を周辺住民は強く望んでいるのであります。
話を聞くところによると、狭窄部である雑賀橋の改修がおくれているとのことでありますが、問題点を早急に解決されて工事に着手されることを強く求めるものであります。大門川の改修が進み、下水道の整備が進めば、和歌山市東部の浸水対策は大きく前進することと考えられます。
そこで、次の四点についてお尋ねいたします。
一、和歌川水系の浸水対策の基本方針について。
二、雑賀橋の改修の見通しはどうか。
三、大門川いわゆる雑賀橋上流の今後の改修計画について。
四、真田堀川の今後の改修計画について。宇治ポンプ場との関連で将来計画はどのように考えておられるのか。
以上について、土木部長のご答弁を求めます。
以上で質問を終わりたいと存じますが、県民みんなが安全で安心して暮らせる和歌山県をつくるため前向きのご答弁を期待し、私自身の防災意識を高めることの決意を申し上げまして、質問を終わりたいと存じます。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
まず、毒物混入事件に関連してのご質問であります。
健康危機管理体制の確立についてということで、私どもは今回の事件を重く受けとめてそれぞれの課題を分析するとともに、行政、消防、警察、保健所、医療機関との連携を一層強化して、その総合体制など、健康危機発生時から心のケアに至るまでの一体的な管理体制マニュアルづくりについて本年十月中を目途に取り組んでいきたい。けさほどから答弁したとおりであります。
次に防災対策に関連をして、総合防災体制の基本方針についてのご質問であります。
本県は遠い昔から幾たびとなく地震、台風等に襲われてまいりまして、そのたびに大きな被害をこうむってきたところでございます。自然の猛威をなくすることはできませんけれども、私たちの努力によって被害を軽減することは可能でございます。
県民の生命、身体、財産を災害から守ることは知事としての責務でもございまして、私は、治山治水事業あるいは防災総合訓練などを通じて、ハード及びソフトの両面にわたって安心できる県土づくりを目指して努力をしているところでございます。
今後も、市町村その他の防災関係機関と力を合わせて、安全、安心な生活の実現に力を尽くしてまいりたいと考えてございます。
次に、お尋ねの総合防災センターについてであります。
平時から県民の防災意識を高め、災害時に応急対策を迅速に実施するためには、防災の中枢となる拠点が必要でございます。庁内で総合防災センターについての検討を進めてまいりました。
非常時に災害対策本部としての機能を担うためには、あらゆる災害に対して堅牢な構造であると同時に、災害対策本部機能を支える情報通信部門の整備が不可欠であろうと考えております。
こうしたことから、総合防災センターの設置については私も十分認識して検討しているところでございますけれども、県庁本庁舎機能との関連もあり、一体的な整備を図るためには立地場所が限定されるなどの事情もございまして、そういった課題をどう克服するか、引き続き十分研究をしてまいりたいと考えております。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 東山議員のご質問にお答えいたします。
毒物混入事件に関する質問のうち検査体制についてはさきの質問でお答えいたしたとおりでございますが、検査装置の配置計画につきましては、さきに申し上げました毒物検査検討会及び緊急対策会議の中で迅速かつ的確な検査方法とあわせ検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 総務部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 東山議員にお答え申し上げます。
災害弱者の防災対策についてであります。
高齢者、障害者、乳幼児等のいわゆる災害弱者に対しましては、防災知識の普及、避難誘導その他の面で配慮が必要であり、災害時はもとより、平常時から支援体制の整備が求められております。
本県では、県下各地域の災害弱者に対する災害時の対応体制を整備するため、平成九年度の地域防災計画の修正で、新たに住民の自立と相互の助け合いを基調とする福祉コミュニティーづくりや、それを支える保健・医療・福祉サービスの連携・供給拠点の体系的な整備を内容とする災害弱者対策計画を策定いたしました。
また、災害時に地域の災害弱者を地域の住民自身が支援するシステムを構築するため、市町村の自主防災組織育成事業に対して本年度から新たに補助事業を開始いたしました。
迅速かつ的確な情報の提供は防災の基本であり、市町村に対しては、それぞれの地域防災計画において社会福祉施設等への情報連絡体制を位置づけるようきめ細かく指導に努めるとともに、関係部局との連携を深めて災害弱者対策を幅広く推進してまいりたいと存じます。
次に、公的機関等の耐震診断・改修の状況についてであります。
県庁舎関係では、県庁東館、北館及び本館増築部、警察関係では本部建物及び交通センターの耐震診断を実施いたしましたが、いずれも耐震改修の必要性を指摘されております。しかしながら、耐震改修には多額の経費を要し、かつ工事費用が割高となることから、それぞれの関係部局において既存の施設の耐用年数を考慮しつつ、最も合理的な対応策を検討しているところであります。
また県立学校では、五十二校のうち三十六校七十三棟について耐震診断を行い、耐震改修の必要があると判断された六十三棟のうち、既に十九棟の耐震改修を実施いたしました。また平成十年度には、耐震診断は二十校二十棟を、耐震改修は十八校二十五棟を予定しております。
市町村役場、消防機関、病院等につきましては、主に経費面での制約が大きく、残念ながら耐震診断・耐震改修ともにいまだ少数にとどまっている現状でありますが、今後、関係部局とも連携して普及啓発に努めたいと存じます。
次に、避難所の耐震診断等の状況についてであります。
避難所である小中学校等につきましては、三町村の六施設が耐震診断を実施しておりますが、うち三施設については既に改修済み、残りの三施設は今後順次に改修される計画となっております。また、今年度新たに二町で、避難所である学校施設の耐震診断を実施する予定となっております。
避難所である高校につきましては、耐震診断を実施した二十校のうち八校十二棟については既に耐震改修を実施しており、さらに平成十年度において九校十二棟の耐震改修を予定しております。
災害時における避難所は、立地条件や構造設備等を考慮して市町村長が指定することとなっておりますが、本県では阪神・淡路大震災以降、市町村防災担当課長会議その他の機会を通じて各市町村に対し、防災体制見直しの重要項目の一つとして、安全性の面から避難施設及び避難ルートの再検討を指導してまいりました。
避難施設の耐震診断及び耐震改修を実施する市町村はいまだ少数ですが、震災以降、学校、公民館以外のコミュニティーセンター等の指定施設が急増しており、見直しを進める中で、地域の状況に応じてより安全な施設の指定が進みつつあるものと理解してございます。
今後、引き続き避難施設について耐震性の検討を指導するとともに、あわせて水害、地震等の災害の種別に応じて避難施設を指定するよう指導してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 防災対策に関しての災害弱者の防災についてでございますが、社会福祉施設につきましては、高齢者や児童、心身障害者等の災害時に特に配慮を要する方々が入所・利用していることから、各種の災害に備えた十分な防災対策を期す必要があります。
このため福祉保健部では、施設指導監査等を通じて、一つには災害が発生した場合における通報連絡、避難誘導等に係る消防計画の策定、二つには年二回以上の避難訓練等の実施、三つには消防用設備の点検などについて指導を行っているところでございます。
今後とも、総務部や関係市町村等と密接な連携を図りながら防災対策に万全を期してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 東山議員にお答え申し上げます。
防災対策に関してのうち、森林を守り再生することが防災の第一歩とのご質問でございますが、森林は、木材生産のほか、水資源の涵養、土砂流出防止、保健休養など、県民生活に重要な公益的機能を有してございます。また最近、地球温暖化対策から二酸化炭素吸収源として森林整備の重要性が認識されつつあります。
こうしたことから、本県におきましては、健全な森林造成のため、間伐などの森林の手入れや林道の整備、新規雇用等、担い手対策事業など林務関係予算百九十億円を措置して適切な森林管理を実施し、循環型資源としての森林の整備を積極的に進めているところでございます。
また、森林の開発を行う場合には、必要最小限の開発であることはもちろんのこと、防災施設の設置を義務づけるなど、開発に起因する災害の未然防止に努めているところでございます。
さらに、保安林の適正配備や治山事業等の実施により保安林機能の維持強化を図るなど、災害から県民の生命と財産を守るため、今後ともより一層豊かな森林の保全に努めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員の防災対策に関するご質問にお答えいたします。
まず、耐震診断・改修についてのご質問でございます。
まず県営住宅ですけれども、このうち昭和五十六年度以降のものは新耐震基準に基づき建設されておりますし、また昭和五十六年度以前に建設したものの大半も鉄筋コンクリート造で、耐震性能にすぐれた壁式構造としておりまして、予備診断をした結果、これらすべての住宅で耐震診断の必要がないとの判定が出ております。
一部の木造やブロック造等の県営住宅は、現在、建てかえ事業により順次耐震性の向上に努めております。また、市営住宅においてもほぼ同様の状況でありますが、一部耐震診断の必要な形状の市営住宅については検討するよう通知しております。
次に、耐震診断・改修に対する支援策についてでございます。
議員ご案内のとおり、県では本年度から木造住宅や多数の者が利用する特定の建築物を対象に耐震診断に対する助成を行うことといたしており、現在、鋭意制度のPRに努めているところでございます。
また、市町村が行う市街地の耐震化に関する計画作成及び耐震診断に対する助成制度や民間が行う耐震改修に対する住宅金融公庫の低利融資制度も実施されております。
今後とも、これらの制度の活用等により、耐震診断・耐震改修の促進を図ってまいりたいと考えております。
次に、道路の岩盤崩落等の対策についてでございます。
北海道の大規模な岩盤斜面崩落事故を踏まえ、県内でも緊急的にトンネル坑口部や岩盤斜面等の点検を実施いたしました結果、対策の必要な箇所は国、県合わせて二十九カ所ございました。
これらの対策工事につきましては、平成八年度から緊急度の高いところより順次整備に着手しておりまして、平成十年度末までには十七カ所実施し、そのうち十一カ所が完了する予定としてございます。残る十二カ所についても、できるだけ早く対策工事を実施して安全な道づくりに努めてまいります。
次に、浸水対策としての和歌川水系の河川改修についてのご質問でございます。
まず、和歌川水系の河川改修の基本方針ですが、和歌川流域は紀の川下流の低地帯に位置しているため、これまでたびたび浸水被害をこうむっており、また近年、特に紀の川左岸の和歌山市東部の水田地帯等の市街化が進み、遊水機能が減少し、浸水被害及び内水被害も増加してきております。
現在、和歌川水系の市街地に係る各河川は、百年に一度起こる確率の規模の洪水を将来的に安全に流下させ得るように計画的に改修を進めてきておりますが、浸水被害を解消するためには、これとともに、下水道事業や湛水防除事業などによるポンプ施設や排水路を用いて改修された各河川に計画的に排水することが重要でございますので、今後とも関係部局と連携を密に図りながら和歌川水系の浸水対策を講じてまいる所存でございます。
続きまして雑賀橋の改修の見通しについてでございますが、和歌山市内の雑賀橋付近は大門川の狭窄部となっており、洪水を安全に流下させるため、雑賀橋のかけかえ及びこの付近の川幅を広げる必要がございます。
当該地域は和歌山市内の中心的な商店街の一部として商店、住宅が密集しておりますが、昭和六十三年度に地元に対し事業説明を行って以来、二十四名の地権者の方々との補償交渉を鋭意進め、これまでに二十三名の方々の同意を得て家屋等の物件の補償を完了したところでございます。また、残る一名の方についても現在鋭意交渉中であり、早期に同意が得られるよう努力してまいる所存でございます。
なお、この雑賀橋のかけかえ及び川の拡幅工事は、今年度着手し、平成十三年度の完成を目途として進めてまいる予定でございます。
次に雑賀橋から上流の大門川の今後の改修についてですが、鳴神橋までの約四千メートルについて川底を掘削し、洪水を安全に流下させ得る断面を確保していくこととしております。この計画に基づき、昭和六十一年度に事業着手し、当面、大門川橋までの千二百三十メートルについて掘削するため、これに先行して当該区間の護岸を概成させたところでございます。
今後は、雑賀橋のかけかえ及び川の拡幅が終わり次第、引き続き当該区間の川底の掘削を行うことで上流域の浸水被害を早期に解消してまいる所存でございます。
続きまして、真田堀川の今後の改修計画についてお答えいたします。真田堀川は、洪水を流下させる機能と内川の浄化用水の導水路としての機能を有しておりますので、この二つの点からお答えいたします。
まず、洪水を流下させる機能についてでございます。真田堀川は、現在は洪水時に有本川及び真田堀川の流域の雨水を集め、大門川の方に流入しておりますが、将来的にはこれらの洪水を宇治ポンプ場地点にある嘉家作樋門を改築して、ここから紀の川へ直接排水する計画としております。
次に、浄化用水の導水路としての機能についてでございます。現在、昭和三十九年に建設省が設置した宇治ポンプ場を通じて紀の川から取水した浄化用水を真田堀川に導水し、内川の水質改善が図られているところでございますが、将来的には、老朽化が進んでいる宇治ポンプ場を撤去し、平成九年度に建設省が設置した有本揚排水機場を通じて浄化用水を取水し、有本川を経て真田堀川に導水する計画となっております。
なお、宇治ポンプ場については、有本揚排水機場の試験通水等を通じて導水による内川の浄化効果が十分得られることなどが確認された後に撤去することとなっております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
28番東山昭久君。
○東山昭久君 ご答弁をいただいたので、要望を二点だけ簡潔に申し上げます。
一つは、総合防災センターの設置構想であります。先ほど知事の方からご答弁がありまして、恐らく県庁舎の改築等も含めて将来的に考えていく課題だと思うんですけれども、できるだけ早く危機管理の一環として実現できるようにご努力をしていただきたいなというのが一点であります。
それから、大門川の改修について。雑賀橋のかけかえについて、あと一名の方が残っていると。これも、今年度中にけりをつけて工事に着手するという土木部長の答弁をいただきました。ぜひ一日も早く工事が着手されて和歌山市内の東部地区の浸水対策が少しでも改善されることを心からお願い申し上げまして、要望にかえさせていただきます。
以上です。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。
○議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
33番中山 豊君。
〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 台風七号が進路を紀伊水道にとって和歌山県北部を直撃するような、そういう状況下にあるようです。あらしを呼ぶような論戦はまず避けて、これが慈雨になるように念じながら、極めて身近で地域的な問題を取り上げるためにさりげなく穏やかな尋ね方をするやに聞こえるかもしれないけれども、当局の皆さんは心を込めてご答弁いただくよう切に求めて質問に入りたいと思います。
まず、厚生病院の重油流出事故に関連してです。
八月十九日正午前までに重油タンクにA重油を充てんした後、その夜半、地域の住民は十時ごろと申していますが、油臭いと、関心を示し合うという事態になります。その翌日八月二十日、早朝六時半と聞き及んでいるけれども、貴志川に油が流出しているのではと住民から海南警察署に通報され、それから当局にはしかるべき組織と機関が対応してくれた結果、野上厚生病院から流出していると判明されたとのことであります。
野上厚生病院が発生源と特定されるまでの間、住民が油臭いと関心を示し出してから十五、六時間も経過しているところが問題だと指摘申し上げながら、幾つかの教訓とすべきところをはっきりさせるためにお尋ね申し上げます。
まず一つに、県管理河川に油が流出したとの事故発生が認知されて以後の県の対応は素早く的確になされ、評価すべきだと思うけれども、何ゆえにこんなことになったのか。日常不断に災害防止の管理が行き届いていると思うけれども、どうなっていたのか。県からの設置者への指導とチェックはどうなのか。県下に幾つかこれに類するような施設があるのではないかと思うので、特に足元を固めながら着実に防災対策をとっていくことが常日ごろから大事ではないかという立場からお尋ね申し上げておきたいと思います。
二つ目、聞くところによれば、防災に係る危機管理についての体制及び意識が設置者において極めて弱かったようにも聞き及んでいるが、今日までの指導と今後についての所見をお聞かせください。
三つ目、貴志川から取水して簡易水道を設け、各家庭に給水しています。給水戸数は千二百九十戸で、十九日の夜半から二十八日まで十日間、給水車で各戸に給排水するという大変な苦労を強いる結果となりました。設置者は当然被害を受けられた方々に当たられるところでしょうけれども、その過程で県当局に相談があれば何らかの協議に応じられるよう要望しておきたいと思います。
四つ目、事故にかかわるてんまつをやや詳細に申し上げれば、タンクの油圧系の装置の一部が破損した上、周りに万一に備えて設けている防油壁内部の会所にひび割れがあって、そこから地下に浸透し、老朽化している排水口に流れ込み、貴志川へと及んでいるようであります。年度ごとのチェックはそんなところにまで及んでいなかったのでしょうか。これが石油コンビナートで発生するようだと大変なことだと思ったりもしました。念には念を入れて災害発生のないように進められるようお願いを申し上げながら、決意を述べていただきたいと思います。
二番目、紀勢本線海南駅付近連続立体交差事業完成に向けてのお話であります。
十月十日に高架事業完成式を計画されているところですが、よくぞここまでやり上げてくれたかの実感を禁じ得ないものがあります。しかし、上り下りが高架上を電車が走るようになったからと言って事業がすべて終わったわけではありません。そこで、まさに完了させるために幾つかのお尋ねを申し上げたい。
まず一つは、残事業の大方は、側道の整備を初め環境にまつわる事業ではないかと思われます。そこで、残る事業の全体計画を示されたいわけであります。
以前にもお聞きした藤白地区内の側道及び四十二号へのつながり等、地域住民の要求に対して回答もされているようだけれども、ほぼ同意のとれるところにあるのでしょうか。なお折衝が必要とされるのでしょうか。
二つ目、日方は山崎町の側道すなわち芦原踏切から海南踏切までの整備について、住民は計画変更を求められています。地元で説明会を持たれたようだが、さらに不満が増幅しているやに聞きます。どうなさるのか。海南市は住民の要求実現に向けて県当局に求めてこられかねないところにあるのではないでしょうか。
計画は交通体系または地形的に困難との話もあるようだけれども、鉄道高架は鉄道踏切で遮断され、市民生活の上からも産業発展の上からも交通困難を解消させるというところから高架事業がそもそも始まったわけであり、それが使命であるはずであります。その完成からして、交通体系上、地形上無理と今さら申されるとしても納得できないわけであります。そのような条件をどう克服して絵をかくかというところで計画が策定されなくてはならないはずであります。決めた計画が受け入れられない事態に出くわして、あれこれと申しわけをし、言を左右にして計画を押しつけるというようなことは、断固許されないわけであります。計画変更のし直し、絵をかき直すしかないと思うのですが、お考えをお述べください。
三点目、道路整備についてです。
道路問題の解決は、用地問題が済めば大方はできたようなものだとよく聞かされております。例えば、まだバイパスの全体が解決して着工できる状態ではないけれども、それを促進するためのインパクトをつけるということの効果を期待してか、県道和歌山野上線野尻地区において一部を既に着工させ、県当局のやる気を示し、地区住民の共感を呼んでいるところもあって喜ばれているかと思えばそうではなく、全く逆な事態、すなわち国道四百二十四号冷水地区内で長年問題になっているところでありますが、用地交渉が済み、契約が済み、年度末までに着工と言われながらも手つかず、夏までにはとのことだったけれどもそれにもならず、今日に至っている。どんな理由があるのか詳細わからないけれども、こんな場合、いかなる理由があるにせよ、着工することにならないのか。遅延させればさせるほど関係周辺住民の協力が得られにくくなり、すべての工事に大きな支障となる。これは有田方面からも問題視されているところであることをつけ加えて申し上げながら、所見をお伺いしたいと思います。
四つ目、生きものの生息環境を回復する事業について、すなわち自然共生型地域づくり事業についてであります。これについては、一九九七年より環境庁は補助事業として全国の自治体に呼びかけているところだが、県下のこれに対する取り組み状況と県のこれに対しての促進方についてどうなされているか、ただしたいわけであります。
県下自治体の申し出により進達する程度に済ませているようにお見受けするけれども、県もこれについて積極的に援助をし、豊かな県内の環境保全に独自の取り組みを上乗せしてはどうでしょうか。
この事業は、うまく取り入れたとしたら水田機能の保全に大きく貢献することにもなるし、子供たちの教育上にも効果を期待することができると確信しているところであります。日本の伝統文化の継承発展にも欠かすことのできない要素があると考えているわけであります。単に県が取り次ぎをするということにとどまらず、市町村の取り組み、促進方に努め、農林水産部等々と連携・連帯をして取り組まれることを強く求めて、所信をお伺いしたいと思います。
次は、広域ごみ処理問題についてであります。ここで取り上げようとするのは、一般家庭用ごみの処理についてであります。
ダイオキシン発生が大きくクローズアップされるようになって以来、厚生省はこれの取り組みに対し、一日百トン完全燃焼可能な焼却炉の設置を進める方向を打ち出し、これに基づいて県下でも動きを起こされてきているところであります。県も推進方かなり力を尽くしているように見受けられるけれども、例えば那賀、海草・海南の一市九町の広域にわたって市町での会合が持たれ、検討が加えられているようでもあります。これについても幾つかお尋ねいたします。
まず、この取り組みの現状についてお聞きしながら、県はあくまでも厚生省サイドによる広域処理の方向をとられるのか。
二番目、ダイオキシン対策で考えるなら、必ずしも一日百トンをみずから広域処理という方式によらずとも、県下幾つかの自治体で取り組まれているように小規模な自治体の独自性を尊重され、可能な対策をとれるべく支援・指導なされるとよいと思うけれども、またやみくもにそれぞれの自治体にある幾つか抱えている問題を顧みることのないやり方はどうかと思うのですが、いかがでしょう。県として、一振興局管内にとどまらず二振興局管内にまたがる場合、それらを総括的に進める機構や組織はどうなさるのでしょうか。基本的なところでお聞かせください。
次に、ことしの桃の出来高についてであります。
気象状況が大きく影響してか、ことしの桃はふできで、海南高津のみならず桃山から紀北全域に見られる傾向であるようにも聞いているけれども、いかがでしょうか。
収穫が始まった時点で、これはおかしい、大変だとのことで、県の担当課に対して、まず実態を把握していただき、何ゆえかの原因を究明をされるよう依頼をいたしました。天候に左右されることは農業の常とはいえ、長期予報等勘案して対策をとるよう、技術開発もあろう、蓄積してきている心得から対処する心得もあろう。それらに依拠することなく、あれよこれよで突っ込んでしまった向きもなきにしもあらずといった感がなかったのでしょうか。
果樹試験場に持ち帰ってどういうことなのかをきわめ、今後に備えるということだったけれども、その後の結果から見て、来年にどう対処しようと注意を喚起し指導なさろうとしているのでしょうか。
あの二年前でしたか、せん孔病が爆発的に発生した年以来、桃研究会なる組織をつくり、何かにつけて対処方取り組まれています。これらの取り組みの成果等ともあわせて来年以降に備えてほしいわけですけれども、いかがでしょう。
ことしのようなふできが続けて起こると和歌山の桃の基盤崩壊につながりかねないと思われます。さらに、災害と見て共済の適用はどうなのか。すべての気象災害に共済金支払いの対象とされるとのことですけれども、組合員は十分認識していない向きもあり、PRを含め対処されるようご要望申し上げておきます。
最後に、出先機関充実強化を求めて、以下述べたいと思います。
振興局設置に伴い、地元の課題は地元でとの知事の行政理念は、まさにそのとおり。海南・海草の地元へ工事事務所等出先を移されたことは正解であり、ここ半年とはいえ、短期間に上げた成果には多大なものがあると皆さんからの評価を得ています。それに加えて申し上げたい。基本的には総合庁舎を設置してすべての機関を移されることを求めつつ、当面、可及的速やかに工事事務所内に道路整備、管理、用地の担当を移され充実強化されるよう強く求め、英断を期待して終わります。これは要望といたします。
以上です。ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
総務部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○総務部長(藤谷茂樹君) 中山議員にお答え申し上げます。
野上厚生病院重油流出事故に関連してでございますが、まず災害防止における日常の管理についてでございます。
消防本部では、毎年、順次定期検査を実施し、指導しているところでありますが、野上厚生総合病院では警報装置ブザーで覚知するまで油漏れに気づかず、また野上美里消防本部への通報がなされなかったため、関係機関の捜索により油流出元が発見されるまで時間を要したことにより対応がおくれたものと、消防本部より報告を受けております。
なお、野上美里消防本部は、同病院の危険物施設である屋内タンク貯蔵所に使用停止命令及び施設の改善を命じるなど、適切な措置を行ったところでございます。
次に、今日までの指導と今後についてでございます。
各消防本部の指導と危険物施設管理者等の防災意識の向上により、最近では大きな危険物事故が発生していない状況でありますが、今回の事故は地域住民の生活を脅かすなど、社会的影響の大きさを考えますと、県といたしましては、これを深刻に受けとめ、県民の安全確保のため、あらゆる機会をとらえて危険物施設等の事故防止について指導してまいりたいと存じます。
最後に、石油コンビナートで発生させては大変、念には念をということであります。
石油コンビナート地域で一たび災害が発生した場合に周囲に及ぼす影響が極めて大きいことから、毎年、関係機関と連携して石油コンビナート等総合防災訓練を実施しているところです。今後も念には念を入れて、立入検査や自主的点検等を通じて災害が発生しないよう指導に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 中山議員のご質問にお答えします。
まず、紀勢本線海南駅付近連続立体交差事業完成に向けての三点のご質問にまとめてお答えいたします。
この連続立体交差事業は、来る十月十日に上下線の高架化が実現し、供用開始の運びとなりました。残事業の計画につきましては、側道の整備、旧駅舎の跡地を利用した駅前広場の整備、高架下の整備などであります。このうち側道につきましては、平成十一年完成を目途に整備を図る予定です。
次に、藤白地区内の側道から国道四十二号への接続等につきましては、側道の利用形態等を考慮しながら検討してまいりたいと考えています。
また、藤白地区の地蔵踏切から南側の側道及び芦原踏切から海南踏切を越え、JR日方トンネル付近までの側道計画につきましては、以前から地元説明会等により調整を行ってきております。今後とも、海南市とも十分協議しながら整備を進めてまいりたいと考えております。
次に、道路整備についてのご質問でございます。
議員ご案内のとおり、道路整備を推進していく上で最大の課題は用地取得にあります。しかしながら、地権者の権利意識の高揚もあり、用地取得は極めて困難な状況になってきております。このような中で、議員ご指摘の箇所につきましては、既に一部の地権者との契約も完了しており、物件移転待ちの状況でございます。海南市及び地元関係者の方々の協力を得ながら、早期解決に向け、法的措置も視野に入れ、引き続き努力するとともに速やかに本工事に着手してまいります。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 中山議員ご質問の生きものの生息環境を回復する事業、いわゆる自然共生型地域づくり事業であります。
この事業は、議員お話しのように平成九年度から創設された事業であります。これは、地域の環境の状況を踏まえて、野鳥やトンボなどの多様な生き物が生息する身近な環境を回復整理し、ネットワーク化する事業に対し、その費用の一部を国が補助を行うといった内容でございますが、これに類する事業といたしまして、県においても自然保護意識の普及啓発を図る目的で、平成三年度から平成五年度まで身近な生きものの里づくりとして、本宮町のみんなでつくるトンボの楽園づくりや貴志川町のホタルのとびかうまちづくり等に対して補助を行い、その活動の支援を行ったところでございます。
自然共生型地域づくり事業に対し、現在のところ市町村からの要望はございませんが、その原因が市町村の財政負担上の理由によるものかなど実態調査を行い、その結果を踏まえて県としての対応を検討してまいりたいと考えてございます。
続きまして、広域ごみ処理問題についてのご質問にお答えいたします。
ごみ処理の広域化につきましては、議員お話しのように、昨年九月に厚生省から、最低でも一日百トン規模でないと国庫補助金が受けられないこと、またことし一月には各都道府県の広域化計画に位置づけがなければ交付税の上乗せの対象にならないことなどが示されました。市町村が独自に処理施設を設置することにより規模に満たない市町村が生じた場合には、国庫補助金も交付税の上乗せも受けられないことになります。またダイオキシン対策としても、広域化は施設の規模や維持管理の面からも望ましい方向であると考えてございます。こうしたことから、県におきましては、原則として市を含めた郡単位で広域化を進めるよう市町村と協議しているところであります。
なお、二つの振興局にまたがる海南・海草郡及び那賀郡の場合ですが、一市九町から成る海南・海草・那賀広域ごみ処理施設建設協議会において広域処理の検討を進めておりまして、両振興局長と私がかかわっているところであります。
以上であります。
○議長(下川俊樹君) 農林水産部長尾崎武久君。
〔尾崎武久君、登壇〕
○農林水産部長(尾崎武久君) 中山議員にお答え申し上げます。
ことしの桃の出来高についてのご質問でございますが、平成十年産につきましては、統計情報事務所の六月一日現在の調査によりますと、予想収穫量は前年産を一九%上回る一万三千八百トンとなっております。しかしながら、高温多雨や日照不足等の影響もあり小玉化の割合が多く、農協の取扱実績では前年産の五%増にとどまっていると聞いております。こうしたことから、作柄としては、小玉化は多いものの平年作に近いものと考えてございます。
お話の海南市の件につきましては、農業改良普及センターが現地に出向いて農家との話し合いの場を持ち、せん孔病に対する薬剤の一斉防除や暴風対策等についての助言・指導を行ったところでございます。
今後とも、試験研究機関を中心に普及組織や農業団体との連携を図りながら、高品質果実生産のためのマルチの被覆や優良品種の選抜、さらには病害虫対策の徹底等、技術指導の強化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
また、省力化のための園地整備や生理障害等の課題に対応するため、昨年三月、生産者の方々を初め関係機関の多数の参加を得て、和歌山県桃研究協議会が設立されたところであります。県といたしましても、こうした動きを積極的に支援するとともに、桃農家の経営安定と産地の体質強化に一層努力してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
33番中山 豊君。
○中山 豊君 三、四点、ご要望申し上げておきます。
最後にご答弁いただいた農林水産部長、桃の話ですけれども、収穫量は平年作並みだ、むしろ五%増だったかもわからんというような意味合いの、統計をもってのお話でした。農家の皆さんは、小玉が多かったために、収穫量がそんなにあったからといっても実収入は去年の二分の一以下だという認識に立たれているんですよ。そういうお話だけを聞いていると、うん、桃がたくさんとれたんだなと、こういうふうなことにしかならないので、これはお気をつけてくださる方がいいのじゃないか。農家の皆さんの真意にこたえるような、情感に訴えるような答弁にはなっていないのではないかと思われるのでお気をつけていただいて、農家の皆さんの心持ちをとらまえて農業生産に意欲を燃やしてもらえるような、励ましのあるようなお話をこれからご研究いただくようにお願い申し上げておきたいと思います。
二つ目は、土木部長、側道の問題です。海南市と協議してというお話ですけれども、今までいろいろな問題で投げかけていって、海南市と協議をしてというご答弁をいただいて、さらにそれから具体的に進展したためしはないと僕は実感しているわけなんです。だからこの場合、協議してというのは、計画どおりさせてもらうよというふうな意味合いで協議なさるのではなくて、海南市が地元の皆さんの意向を受けて県へ上げてこられたとき、ご相談に上がったとき、それをどうするかというときに、計画どおりにいくんだという立場での協議なのか、あるいはまた、やはりそうだなということで地元の要求が満たされるような立場で協議を進められるのか。今の答弁だとしたら、そこまで踏み込んで考えてみると不明確なんです。だから、再度そこのところでどうよと尋ねたいところだけれども、それは仁義にもとるのでもう尋ねないで、協議してと言うんだから、協議の内容は地域住民の要求にこたえて方向を出すという、こういう立場での協議をお進めいただくようお願いを申し上げておきたいと思います。
次に生活文化部長、交付税の上乗せ措置も受けられないと言われたから、ああそうか、地方自治体、市町はお金がないので上乗せ措置というふうなことになれば結構だなと、すっと乗っかっていきそうな感じにもなりかねないんだけれども、これはまだ上乗せ措置がどういうものなのか、そしてまたそれらがそれぞれの市町にかかわっていったらどういうことになるのかという点がつまびらかでないので、そのあたりは今後いろいろ研究もし、検討もされ協議もされていくと思うのですけれども、またその過程でお願いをするということだけにとどめておきたいと思います。
さらに生活文化部長、自然共生型地域づくりの話ですけれども、これはどうなんでしょう、本宮とかそのあたりで三年から五年の間に県が独自でお試しになったという──その事業はこういうふうな形でもう五年で打ち切っていますね。その事業はどういう事業だったのか。どういう成果をおさめたのか。そして、地域から見てそのような事業がどういう結果を生み出しているのか。あるいはまた、環境庁がお進めになっているこのたびの事業に参加しよう、取り入れようという市町村が一件もなかったみたいですけれども、それはやっぱりそのPRにもあるのかもわかりません。そして、補助が三分の一だということだから、三分の二は自前でやらなくちゃならんという財政負担も影響しているのかもわからない。そういうふうなことをこもごもに総括し点検をして、ならば県も何ぞこういうふうな事業のために手をかそうではないかというあたりをちょっとご研究くださるように、まずお願いしておきたいと思います。
そして、最後に厚生病院の問題ですけれども、やっぱり初期の対応が極めて幼稚なんですね。これはそのまま置いておいたら、その状態がずうっと引き続いていかざるを得ないような状況ではないでしょうか。たまたま厚生病院でそうなったというだけの話であって、それに類するような施設というのが県下に幾つかあるのではないか。そういうことにもかかわってこようかと思うので、そのようなことにならないように一つの教訓をそこから導き出して、あそこにこういうふうなことがあったから皆さんに大変迷惑をかけたよということで総括していただいて、そして初期の対応と事故が大きく広まらないような取り組みを特にお気をつけていただくようお願い申し上げておきたいと思います。
以上です。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は九月二十四日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
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○議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後二時三十二分散会