平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第8号(松本貞次議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時二分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
45番松本貞次君。
〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。
改めて一般質問をしていきたいと思います。
まず、人権問題と同和行政について質問をいたします。
昨年十二月十日に、知事を本部長にした「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部が設置され、現在、具体的な計画を策定中であると伺っております。このことは、我が県における部落問題を初め、さまざまな人権の課題を踏まえて、より具体的で積極的な取り組みを進めようとするものであります。知事の本課題に対する姿勢に深く敬意を表するとともに、今後の取り組みに大きな期待を寄せるものであります。
さて、そこで具体的な内容や関連事項についてお伺いをしたいと思います。
まず、昨年七月に国の推進本部から国内行動計画が発表されておりますが、その内容を見ますと、同和問題を初め女性、子供、高齢者、障害者、アイヌ、外国人、HIV感染者、刑を終えた人等、具体的な人権の課題についての取り組みが基本となっております。これは、人権というのは決して抽象的で観念的なものではなく、具体的なそれぞれの課題が存在しており、それぞれの具体的な課題への取り組みが人権確立の取り組みであるということであろうと思います。つまり、世界人権宣言の趣旨からしても、人権問題というのは、言い方をかえると具体的な事実や実態を持った差別問題であるとの踏まえ方が基本であると思いますが、知事の所見並びに計画の基本姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
次に、人権の確立のためには、それぞれの具体的な課題に基づく積極的な教育啓発が重要であることは当然のことでありますが、同時に、それぞれの具体的な課題に係る制度、対策の充実が不可欠であります。例えば、高齢者の課題を考えても、高齢者を大切にしようと言っても、高齢者自身が生活を含めて大切にされているという状況が必要であります。つまり、福祉という観点から考えても、権利としての福祉、そして人権の観点で現在の制度、対策を検討していく必要があると思います。さらに、人権教育のための国連十年では、人権文化の創造を柱にされております。つまり、日常の生活の中に人権を確立し、息づかせるということであろうと思います。そうした観点からすると、県民の皆さんの日常の生活の場面を拠点とした人権確立のネットワークが重要であります。つまり、今後の県政全体の課題である福祉の町づくりの基本に人権が位置づけられるということが、まさに人権文化の創造につながるものであります。
そうしたことから見ましても、新年度当初にスタートする振興局について、事務処理の統合と県民サービスの充実、さらには地域行政の充実強化のためと伺っておりますが、この振興局の中に人権の位置づけと窓口がぜひとも必要ではないかと考えるものであります。関係部長のご答弁をお願いいたします。
続いて、同和問題についてお伺いをいたします。
同和問題については、これまで知事並びに関係部長から本会議でご答弁をいただいております。そのことと重なりますが、「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部の取り組みがスタートするこの時期に、改めて基本姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
同和問題については、昨年四月に法の内容を一部改正して五カ年のスタートを切っております。また、部落問題の解決を中心とした人権擁護施策推進審議会の審議も本格的に進められております。本県においても、同和対策総合推進プランが策定され、その取り組みが進められております。こうした極めて重要な時期に、一部において同和対策の廃止を主張する意見があるようにも聞いております。特にその中で、あたかも同和対策が特別対策であり、その特別対策があるから差別があるかのような錯覚に陥っているのではないかと思われます。まさに、傘があるから雨が降る、そういうことであります。言うまでもなく、同和問題を解決するためのさまざまな手法の一つに特別対策があるのであって、その手法の一つである特別対策が全体を規定するものではありません。また教育啓発についても、同和教育や啓発をさらに進めるとともに、他の人権の課題については同和教育の実践の中で培われてきた成果や経験をどう生かしていくのかが今問われているのであります。福祉保健部長並びに教育長のご答弁をお願いいたします。
さて、本年は先ほどから私が述べてきましたように、人権について極めて重要な年であります。とりわけ本年が、世界人権宣言が国連で採択されて五十周年という意義深い年でもあります。今、国連の提起を受けて、我が国を初め世界各国で取り組みが進められております。特に国連人権高等弁務官から、すべての国、すべての地域、すべての人々が取り組むべき具体的なプログラムが提起されておりますが、こうしたことを受けて、本県においても「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部のスタートとして記念するさまざまな取り組みの方向を示していただきたいと思います。
次に、ごみ処理問題、ダイオキシン対策について質問をいたします。
ごみ処理問題、とりわけダイオキシン対策は全国的に大きな社会問題であり、今や地方自治における重要な政治課題となっております。それは、世界保健機関(WHO)が公式に発がん性を認めたのを初め、昨年は人類がダイオキシンの恐怖を深く胸に刻み込んだ年であったからであります。厚生省や環境庁は、取り締まりの基準値を相当甘く設定し、問題なしとしてきたわけであります。昨年八月、ようやく問題ありという見解に至って規制強化に踏み切りました。それでも、欧米諸国に比較すれば排出基準はまだまだ甘目に設定されています。マスコミがこの問題で騒ぎ出したのは、恐らく昨年八月以降ではないかと思います。今月もなお、毎日のようにマスコミをにぎわしております。
和歌山県下においても、数施設が八十ナノグラムの排出基準を超えていると国から公表され新聞報道に至るなど、県民に大きな不安を与えているところであります。指摘されたそれぞれの施設は、原因の究明をし、部分的な改良を施しながら、基準値をクリアするのに懸命の努力をしている状況であります。私の出身地有田地方には、一市三町で運営している施設と湯浅・広川二町で運営する施設がありますが、きゅうきゅうとした状況は例外ではありません。
そこで私は、ごみ処理、ダイオキシン対策について県知事初め関係当局にお伺いするとともに、行政指導をしていく基本的な考え方をお聞きしたいと思うのであります。
ご存じのとおり、平成九年十二月一日より廃棄物処理法の規制が強化され、ダイオキシンの恒久対策として排ガス一立方メートル当たりのダイオキシン濃度が、新設施設では〇・一から五ナノグラム、既設、既存施設で平成十四年十二月一日以降、一から十ナノグラムと規制されました。市町村の焼却施設は、新ガイドラインで新設炉は〇・一ナノグラム、既設炉で〇・五から五ナノグラムと厳しい指導があります。これを焼却方式の施設で対応するとなれば、厚生省の指導にもあるように、ごみ処理の広域化を図り、二十四時間連続運転の焼却施設として排ガス処理を徹底しなければならないわけであります。そのためには一日当たり三百トン、最低でも百トン以上の処理能力が必要となり、このことを県内で追求することは極めて困難であると考えますが、この辺のご見解について、まずお伺いをしたいと思います。
私が困難であると申し上げたのは、地形的にも道路事情から見ても、一カ所に集中すると焼却施設が遠くなり、生ごみのままの運搬が困難になるからであります。数十キロ先の焼却施設まで、生ごみのまま運搬することは事実上不可能であります。私は、厚生省の新しい規制に対応していくためにはRDF(廃棄物固形化燃料)方式が最も望ましいと考えるものであります。
RDF化方式の利点は幾つかあると思います。まずRDF化すると、ごみ質が均一化され、燃焼管理が容易となり、排ガス中のダイオキシン対策がやりやすくなることであります。また、固形燃料化したものは比較的長期の保管が可能であります。日量数トンから数十トンのRDF化施設で製造したRDFを一カ所で集中して燃料として使うことができるわけであります。そして、地球環境時代にふさわしいエネルギーの有効利用、資源の再利用をする技術であると考えます。県行政として、こうした地球に優しい、人に優しいRDF方式の採用を奨励していくべきではないかと考えますが、ご所見をお伺いしたいと思います。
東牟婁郡太地町では、六トン・八時間当たりのRDF化施設を平成十年度着工していく計画があると聞き及んでおります。湯浅・広川両町のごみ処理をしている有田郡衛生体育施設事務組合でもRDF化処理施設を導入する方向で検討しているようであります。ほかにも計画があると聞きますが、県行政として調査し、これからの自治体や広域団体に積極的な支援と協力をしていく考え方の是非についてお伺いをしておきたいと思います。
ところで、RDF化で問題なのは、RDF化処理施設で生産される燃料、RDFの引き取り先の確保であります。栃木県野木町や大分県津久見市では、製紙会社や合板会社、あるいはセメント会社が無料でRDFを引き取って燃料として活用しているようであります。和歌山県においても、当面の課題として解決しなければならない問題であると考えます。
そこで知事に強く要望をいたしたいのは、県内各地のごみ処理施設が抱えている環境対策問題、特にダイオキシン問題の解決に向けて、県内各地のごみ処理施設がRDF化方式を採用できるように、速やかに何らかの形でRDFを大規模に、かつ安定的に消費できるRDF発電の立地を検討願いたいと思うのであります。
平成十年度国家予算案において、三重県の北川知事が会長をしているRDF全国自治体会議から強く要望してきたこと、すなわち県が実施するRDF発電施設の燃料施設について、市町村の廃棄物処理施設と同様に廃棄物処理施設整備費補助金の対象とすることが新たに認められたことは、ご承知のとおりであります。御坊第二火力発電が稼働すれば、和歌山県は全国でもトップクラスの電力移出県となるわけであります。RDF発電が普及するためには、広域の自治体との合意と発電施設の経済性の向上が必要であることは承知しております。県が和歌山の自然と環境を守る立場から県内各地にRDF化を呼びかけると同時に、一万五千キロワット程度のRDF発電所では採算がとれないようであれば、お隣の大阪府にも働きかけ、一府一県のRDF化施設のRDFを受け入れることによってスケールメリットを出すことも可能ではないかと考えます。
いろいろと申し上げましたが、将来、最大の電力移出県となる和歌山県であります。その見返りに社会資本の整備をする、国策としてやってもらわなければなりません。その社会資本の一つにRDF発電所の設置と諸制度の整備を国に要求していただきたいと考えるが、ご所見をお伺いしたい。
また、企業に対しても──私は、企業とは関西電力を意識して申し上げております──採算性を度外視したRDF発電所について、地元貢献の一方法として前向きに検討するように申し入れていただくことを強く要望しておきます。
最後に、ミカン生産農家に対する経営支援について質問をいたします。
先般、吉井和視議員、松本泰造議員が質問されましたが、重ねてお聞きをいたしたいと思います。
ご承知のとおり、平成九年度産のかんきつ市場価格が極度に低迷し、それに伴って農家所得の減収が深刻な問題となっております。ミカン農家の多い有田地方においては、折からの不況感にさらに追い打ちをかけるような実態にあります。特に、十一月中旬から十二月下旬にかけて最盛期となる温州ミカンについては、例年の売上高に比べて三分の一に落ち込んだと言われており、比較的よいところでも二分の一しか上がらないのが現状であります。豊作の年は単価が安くなる、これは市場の原理であり、過去そういう経験は幾度となくしておるわけでありますが、今回のような極端なことは初めてだという話であります。
有田ミカンは、伝統のあるいわばブランド商品であります。ご承知のとおり、有田市、吉備町、金屋町、湯浅町、広川町を中心に栽培されております。この有田郡市の栽培面積は約四千五百五十ヘクタール、収穫量は十二万トンから十三万トン、例年の売上高は三百五十億円から三百八十億円と言われております。しかし、今期の売上高は約百三十億円という落ち込みようであります。これでは諸経費すら出てこない。こんな年が仮に二年続けば農業経営の維持ができないという、深刻な声があるわけであります。価格が低迷した要因は幾つかのことが複合した結果だと考えますが、県当局はどのように分析しているのか、また来期はどのような展開になるのか、見通しについてお伺いをしたいと思います。
このような状況の中で有田地方の農協は、非常事態ということで、緊急避難的な対策として農家経営維持資金特別融資を実施することを決め、それぞれの市町村の行政と議会に陳情活動を行ったようであります。この特別融資の内容は、貸付限度額二百万円、五カ年の元利均等償還、利率は年三・五%、この利率三・五%のうち市町村が一%を補助、農協が一・五%を補助、本人一%負担ということであります。陳情を受けた市町村は、要請に沿った形で対応するようであります。県当局に対して農協や農業者団体などから同趣旨の要請が来ていないのかどうか、来ているとすればどのようなものなのか、そしてどう対応していくのかをお伺いしたいと思います。
いずれにしても、県として何らかの対策が必要ではないかと考えるものであります。昨日、松本泰造議員から農家の経営安定に向けた経済対策の要望もございましたが、融資制度の拡充等について再度検討できないかをお伺いしたいと思います。
和歌山の主要な産業であるミカン生産農家を守る立場で、国に対して減収農家への優遇措置や農産物輸入自由化による影響の再調査を実施するよう要求すべきではないかと考えますが、ご所見をお伺いしたい。また、県行政として、販路拡大の支援や付加価値を高めるミカンづくりなど、営農指導のあり方を含め、発想の転換をする時期、時代に来ているという感じを強く持つものであります。お考えをお示し願いたいと思います。
以上で、質問を終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 松本貞次議員にお答えをいたします。
人権問題と同和行政に関連をいたしまして、行動計画の基本姿勢についてのご質問であります。
ふるさと和歌山に人権感覚があふれ、県民みんなが真に豊かで安心して暮らせる社会をつくっていかなければならないという熱い思いから、昨年十二月に人権教育啓発を総合的に推進する「人権教育のための国連十年」和歌山県推進本部を設置し、現在、本県としての行動計画づくりを進めているところでございます。
計画の基本姿勢についてでありますが、県行政はもとより、県民が一体となってさまざまな人権問題の解決を進め、差別のない人権尊重の社会をつくることを基本に置き、同和問題を初め、女性、子供、障害者、高齢者等の人権を重要課題として取り上げるとともに、総合的に人権教育啓発を推進していく基本的な方針を盛り込んだ計画にしていきたいと考えてございます。この計画の推進を通じまして、人権が文化として根づく社会の創造に取り組んでまいりたいと考えてございます。
他の問題につきましては、関係部長から答弁をいたします。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 松本議員ご質問の、人権問題と同和問題についての三点にお答えをいたします。
まず、行動計画実施のための振興局の体制についてでございますが、人権教育啓発を通じて人権尊重意識の県民全体への浸透を図っていくためには、振興局と市町村やそれぞれの地域での自主的な取り組みとの連携も必要でありますので、振興局における総合調整のための担当の設置について現在協議しているところでございます。
次に同和対策の基本姿勢についてでございますが、国におきまして昨年三月末に地対財特法が一部改正され、経過的措置として五年間の延長がなされたところでございます。また、人権擁護施策推進法に基づく人権擁護推進審議会も審議が始まって一年を迎え、同和問題を初めとする人権問題について幅広い角度から審議がなされているところでございます。
本県におきましても、なお課題が残されていることから、これまでの取り組みの成果等を踏まえ、和歌山県同和行政総合推進プランを策定したところでございます。今後、このプランに基づき、県民の皆様のご理解をいただく中で、同和問題の早期解決と県民一人一人の人権が保障された差別のない社会の実現を目指してまいる所存でございます。
最後に、世界人権宣言五十周年の取り組みについてでございますが、議員のお話のとおり、本年は五十周年という意義深い年であります。本県におきましても、県民の方々に世界人権宣言の意義を周知するとともに、人権メッセージ事業などの記念事業を初め、人権問題を身近なものと受けとめられるようなイベント、地域リーダーの養成など、工夫を凝らした教育啓発事業を関係機関と協力しながら実施し、世界人権宣言五十周年にふさわしい年にしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 松本貞次議員にお答えをいたします。
ごみ処理問題、ダイオキシン対策についてでございます。
まず、厚生省規制強化に関する市町村の広域行政への指導についてのご質問でございます。
ごみ問題につきましては、市町村の固有事務として実施してまいったところでございますが、昨年五月末に至り、ごみ処理の広域化計画を遅くとも平成十年度末までに県で作成するよう厚生省から指導がございました。その後、九月には一日三百トン、最低でも百トン規模でないと補助対象にならないこと、また本年一月には広域化計画に位置づけしないと百トン未満の施設は起債及び交付税の上乗せ措置がなされないこと等が次々と明らかになってまいりました。建てかえ時期が間近に迫っている市町村もあることから、県といたしましては、早急にごみ処理の広域化計画を策定する必要が生じ、現在、広域化ブロック区割りの素案を作成し、市町村へ示しているところでございます。今後、市町村の意見を聞きながら、広域化計画を早急に策定してまいりたいと考えてございます。
次に、二番目のRDF方式採用の奨励、三番目のRDF化の調査研究等についてあわせてお答えをいたします。
廃棄物固形化燃料であるRDF方式には、議員ご指摘の利点がございますが、その処理方法が問題となってございます。RDFの処理方法として幾つか考えられますが、県といたしましては、最も実現可能な方法として、ごみ発電について、現在、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の補助を受け、調査検討を行っておりますが、各市町村においてその焼却施設の建設時期、施設機能の違いから、いつRDFへの移行ができるのかといった問題、そのことと連動して、発電能力や採算性等の解明しなければならない課題がございます。したがって、調査結果がまとまるまでは広域で百トン規模へ集約する焼却方式とRDF方式との両面で対応できるように、現在、市町村とともに検討を進めているところでございます。
四番目のRDF化処理施設設置の国への要望についてのご質問でございますが、昨年末に県といたしましては、百トン未満の施設補助への弾力的運用、既設炉廃止に伴う国庫補助金返還の配慮、ごみ発電への優遇措置等について政府要望を行ったところでございます。各府県からのこれらの要望の結果、国においても百トン未満の施設への交付税措置とともに、ごみ発電への補助制度が実現されたところでございます。また、NEDOの調査の中で、事業主体についても公共団体、第三セクター方式、民間等、どのようなあり方が最も適しているかについても検討を行っているところでございます。今後とも、これら諸制度の整備につきまして国へ強く要望してまいりたいと存じます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) ミカン生産農家に対する経営支援に関してでございますが、まず今回の価格低迷は、生産量が前年産を上回り、需給バランスが崩れたこと、次に景気の低迷等から末端消費の冷え込みが見られたこと、三番目に極わせミカンの品質低下によりまして価格が低調に推移し、これ以降の価格にも影響を与えたこと等によるものではないかと考えております。十年産につきましても、予断を許さない状況ではないかと思っております。
また、県に対しまして二つの町議会から減収農家に対する所得補償等に関する意見書をいただいてございますが、先日、松本泰造議員にもお答えいたしましたように、昭和六十三年当時と異なりまして現在は低金利時代であり、今回、市町村や農協が実施している利子補給により末端金利が一%と農家が利用しやすい低金利となっておりますことから、県といたしましては、各般の事情を総合的に勘案し、国と協議の上、ジュースなど加工用の緊急枠として新たに二千トンの枠を確保し、それに要する事業費六千六百万円のうち、県負担分の千六百五十万円を二月補正予算として今議会にお願いするなど、農家の苦しい経営状況等を視野に入れた取り組みを行っております。
農家の救済対策につきましては、先日の吉井議員、松本泰造議員からご質問もあり、そしてきょうまた松本貞次議員にもご質問をいただきましたことに対しましては厳しく受けとめてございまして、なお一層努力してまいりたいと存じます。
いずれにいたしましても、果樹産業は本県農業の基幹でございまして、国に対しましても本県の厳しい実情を訴えるとともに、全国みかん生産府県知事会議等の機会をとらえ、減収農家に対する必要な措置等について要望してまいりたいと存じます。また、今後とも二十一世紀を見据え、新しい時代にマッチした生産、流通、加工体制の整備充実に向けて関係者が一丸となって取り組み、果樹王国和歌山の堅持に努めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和教育の基本姿勢についてお答えいたします。
本県におきましては、これまで県同和教育基本方針に基づき、学校教育、社会教育の場におきまして、部落差別とそれを支えているさまざまな不合理な問題とのかかわりや違いを正しくとらえる学習を重視してまいりました。こうした取り組みにより、国民的課題としての同和問題解決への自覚を深めるとともに、広く人権尊重の精神を高める上で大きな成果を上げてきたと考えております。しかし、子供の学力や進路等について、また県民の意識調査結果を見ましても、解決に向けて取り組むべき課題が残されていることも事実であります。さらに現在、国際化や高齢化等、社会が大きく変化してきている中でさまざまな人権問題が生じており、これらの問題への対応が重要な課題であると考えております。
教育委員会といたしましては、こうした状況を踏まえ、人権教育の推進に当たっては、学校教育指導の方針と重点にも明記しているとおり、今後とも同和問題を人権問題の重要な柱と位置づけ、積極的に取り組んでまいります。また、他のさまざまな人権問題に対しても、これまでの本県における同和教育の歴史と成果に深く学び、差別の現実を直視した取り組みを推進してまいる所存であります。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で松本貞次君の質問が終了いたしました。