平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第七号 平成十年三月十七日(火曜日)
午前十時開議
第一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
1 番 大 沢 広太郎
2 番 木 下 善 之
3 番 小 川 武
4 番 吉 井 和 視
5 番 下 川 俊 樹
6 番 井 出 益 弘
7 番 藁 科 義 清
8 番 門 三佐博
9 番 永 井 佑 治
10 番 新 島 雄
11 番 向 井 嘉久藏
12 番 佐 田 頴 一
13 番 和 田 正 一
14 番 阪 部 菊 雄
15 番 西 本 長 弘
16 番 馬 頭 哲 弥
17 番 谷 洋 一
18 番 山 下 直 也
19 番 高 瀬 勝 助
20 番 松 本 泰 造
21 番 堀 本 隆 男
22 番 宇治田 栄 蔵
23 番 宗 正 彦
24 番 橋 本 進
25 番 神 出 政 巳
26 番 玉 置 公 良
27 番 上 野 哲 弘
28 番 東 山 昭 久
29 番 尾 崎 要 二
30 番 野見山 海
31 番 木 下 秀 男
32 番 町 田 亘
33 番 中 山 豊
34 番 井 谷 勲
35 番 鶴 田 至 弘
36 番 森 正 樹
37 番 村 岡 キミ子
38 番 新 田 和 弘
39 番 平 越 孝 哉
40 番 森 本 明 雄
41 番 長 坂 隆 司
42 番 冨 安 民 浩
43 番 飯 田 敬 文
44 番 中 村 裕 一
45 番 松 本 貞 次
46 番 大 江 康 弘
47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
知 事 西 口 勇
副知事 山 下 茂
出納長 高 瀬 芳 彦
知事公室長 野 見 典 展
総務部長 中 山 次 郎
企画部長 藤 谷 茂 樹
生活文化部長 中 村 協 二
福祉保健部長 小 西 悟
商工労働部長 上 山 義 彦
農林水産部長 平 松 俊 次
土木部長 長 沢 小太郎
企業局長 佐 野 萬瑳義
教育委員会委員長
山 本 昭
教育長 西 川 時千代
公安委員会委員長
高 垣 宏
警察本部長 米 田 壯
人事委員会委員長
若 林 弘 澄
代表監査委員 宮 市 武 彦
選挙管理委員会委員長
谷 口 庄 一
以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 西 畑 彰 久
次 長 前 晴 夫
議事課長 佐 竹 欣 司
議事課副課長 島 光 正
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主査 川 崎 良 雄
議事課主事 大 浦 達 司
総務課長 塩 路 義 和
調査課長 湊 孝太郎
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時三分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
午前十時四分休憩
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午後三時三十三分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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○議長(木下秀男君) この際、申し上げます。
昨日の鶴田至弘君の一般質問の中の発言の取り扱いについては、本人からの申し出がありましたので、これを議長において善処することといたしたいと存じます。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
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【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
きのうの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
和歌山下津港は、大阪湾の玄関口に位置し、海の国際軸とも言える太平洋航路に近接した有利な立地条件にあるわけでございまして、これを生かしまして、神戸港や大阪港と機能分担をしながら二十一世紀の近畿圏の経済を担う港としての発展を目指すのがベイフロンティア構想でございます。
今回の港湾計画は、そのための第一段階として平成二十年前半を目標年次として策定したものでございまして、お話しのように、港湾整備についてはさまざまな立場からのご意見があることは十分承知をしておりますけれども、この計画の具体化を図ることは和歌山県経済の活性化に大きく寄与するものと考えてございまして、過剰投資には当たらないと存じております。
他の問題は、関係部長から答弁をいたします。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員の幾つかの点に関するご質問にお答えいたします。
まず、大規模バースへの需要はあるかというご質問でございます。
港湾の取扱貨物についてでございますが、平成五年に運輸省と税関が全国輸出入コンテナ貨物流動調査を行っており、和歌山県内発着の外貿コンテナの貨物量はおよそ八十万トンとなってございます。これらのコンテナ貨物は、当時、和歌山には取り扱い機能がないため神戸港と大阪港にそれぞれおよそ五〇%の比率で依存しておりました。このことは、神戸港や大阪港まで「横持ち」と言われる陸上輸送費用の余分な負担を強いられていることを意味しており、海外とのビジネスチャンスが奪われたり、新たな産業育成の上での妨げになっているものと思われます。今回の港湾計画では、和歌山県内のみならず、和歌山下津港利用の方が優位と考えられる背後圏域のコンテナ貨物の一定量を取り扱うこととして推計しております。
次に、西浜バースについてのご質問でございます。
港湾は、港湾施設利用の実態や背後圏域の経済活動の発展に合わせて整備を行っていくべきものと考えております。ご指摘の水深十三メートルの岸壁はコンテナ貨物の取り扱いを、水深十四メートルの岸壁は輸入外材を主に位置づけており、いずれも必要な施設と考えております。世界的には水深十四メートルから十五メートルのコンテナバースの建設が進められておりますが、今回目標年次としている平成二十年代前半では、いまだ北米、欧州等の航路が和歌山下津港に寄港することは考えにくく、主としてアジア地域の近海航路を対象としておりますので、当面、十三メートル岸壁で対応可能でございます。
次に、関係情報の公開の問題でございます。
今回の計画策定に当たりましては、関係業界や荷主、船会社、港湾利用者、一般住民の方々などにヒアリングやアンケートを実施するとともに、学識経験者や港湾利用者、地元代表としての関係市町や経済界から成る整備構想調査委員会を設置して、平成四年度から平成九年度にわたって計画案の検討を重ね、その上で地方港湾審議会での議論を経て策定したものでございます。この間の調査結果については、随時要請に応じて資料提供をいたしておるところでございます。
地方港湾審議会は、審議会の円滑な運営を図るため、審議会委員の総意を受けて非公開とさせていただいておりますが、審議の内容については終了後に発表させていただいているところでございます。
最後に、事業化へのプログラムについてのご質問でございます。
和歌山下津港の港湾計画につきましては、国の港湾審議会の意見を踏まえて、本港沖埋立計画のうち雑賀崎前面の景観についてさらに検討を行うことといたしております。その検討を踏まえた上で、事業の具体化を図るためには、公有水面埋立法に基づいて縦覧して広く意見を聞くとともに、関係市長の意見聴取や市議会の議決、さらには漁業権者等の権利者の同意が必要であり、これらの手続がすべて完了して初めて事業に着手できるものでございます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 鶴田議員ご質問の同和問題についての五点にお答えをいたします。
まず、長計、推進プランについてと格差イコール同和問題という考え方についてでございますが、一括してお答えをいたします。
国において、地対財特法の一部改正や人権教育のための国連十年の国内行動計画の策定、また人権擁護施策推進法が制定されましたことは、同和問題の早期解決を図るための新たな段階に対応したものであると認識しております。
同対法施行以来、今日まで二十八年間取り組んできた中で、なお教育・啓発、産業・就労等に課題が残されており、また市町村間、地区間における格差があることやその課題が異なることから、その背景を十分に分析して適切な施策を今後とも講ずる必要があり、差別を生み出す要因をなくすために一層の努力を続けなければならないと考えてございます。そのため、同和問題の早期解決に向けた取り組みを積極的に推進するために和歌山県同和行政総合推進プランを本年一月に策定したところでございます。
今後、同和対策を推進するについては、特別対策はもちろんのこと、一般対策の中で対応する場合においても同和問題の早期解決という視点に立って施策を推進していくことが重要であると考えてございます。
次に、残事業等についてでございます。
平成九年三月三十一日に地対財特法が一部改正され、経過的措置として五年間に限り財政上の特別措置を行うこととし、所要の法的措置が講じられたところであり、本県では建設省所管の道路、街路、公共下水道整備事業の三事業でございます。また、政令事業から外れた厚生省、農林水産省所管の同和対策事業は一般対策に工夫を加えて対応することとし、平成九年度以降の五年間に限り補助制度において特段の配慮を行うこととなっております。こうしたことから、県といたしましては、物的事業については早期完了をできるよう適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、市町村の意向の尊重とのことについてでございます。
先ほどの答弁でも申し上げましたように、現在は同和問題の早期解決を図るための新たな段階にあると認識しております。市町村に対しましても、このような考えのもと、それぞれの市町村の抱えている課題に対応し得る体制の整備が必要であると考えており、市町村と協議を行っているところでございます。
最後に、同和啓発についてでございます。
同和問題につきましては、基本的人権にかかわる重大な問題であると認識してございます。平成八年五月に出された地域改善対策協議会意見具申では、教育及び啓発の推進について、差別意識の解消を図るに当たっては「すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓発として発展的に再構築すべきであると考えられる。その中で、同和問題を人権問題の重要な柱として据え、この問題に固有の経緯等を十分に認識しつつ、国際的な潮流とその取組みを踏まえて積極的に推進すべきである」と述べられており、昨年策定されました人権教育のための国連十年に関する国内行動計画におきましても、この地対協意見具申の内容を尊重し、積極的に推進することとされてございます。
本県におきましても、この趣旨を踏まえ、また人権擁護推進審議会の審議の状況等、国の動向も見きわめながら、今後も差別意識の解消を図るため、工夫を凝らしたより効果的な啓発を推進してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 同和問題の残事業等のうち、同和教育子ども会についてのご質問にお答えをいたします。
同和教育子ども会は、子供たちの学力補充や基本的生活習慣の確立、子供たちの長所を伸ばすといった、いわゆる生きる力をつけるための活動、また、自分の命の大切さ、他人の命の大切さを学び、身近な差別に気づき、みんなの問題として話し合い解決していくという、差別を取り除く人間の育成を図るため、市町が開設しているものでございます。
県といたしましては、学習状況調査から見ても、地域によって実情が異なっているものの、全県下的には学力格差と家庭環境とのかかわりを初め幾つかの課題が残されているとの認識を持っているところであり、地域の実情に応じて事業を続けてまいりたいと考えております。
そうした中で、平成九年度より同和教育子ども会育成補助事業を取りやめ、地域子ども会育成事業へ移行したいとする市町が出てきているのも事実でございます。県といたしましては、そのような申し出のあった市町に対して、子供たちの抱えている問題をどう認識しているのか、今後どのような活動を展開していくのか等について市町と地区が話し合いをし、その結果、同和対策ではなく一般施策の地域子ども会へと移行していくのであれば、その申し出を認めたところでございます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題、三点についてお答えいたします。
まず国の財政構造改革法の影響についてでありますが、今回提出しております教育予算につきましては、国の予算との関係で補助事業等、厳しい内容もございますが、平成十年度に予定している施策に必要な額は確保できるのではないかと考えております。また教職員定数につきましては、平成十年度で完成予定の第六次定数改善計画が二年間の延長となり、教職員定数の減が見込まれる中で厳しいものと受けとめてございます。
次に、三十五人学級につきましては、現在、小中学校の学級数は全体で四千二百三十一クラスで、そのうち三十五人以下の学級は三千九百十三クラスとなっており、全体の九二・五%を占めております。平成十年度においてすべての小学校、中学校の学級定員を三十五人以下にするためには約二百九十の学級増が必要であり、約三百三十人の教員が必要でございます。このことから、現時点ですべての学級での三十五人学級の実現は非常に困難でございます。
国の定数改善の方針は、チームティーチングの導入や登校拒否、いじめなどへの対応等、よりきめ細かな指導を行うことを通して児童生徒の個性の重視、興味・関心等に応じた授業展開を目指すべきだとの観点に立ってございます。本県といたしましても、こうした教員の定数の確保だけにとどまらず、教員みずからが積極的に指導方法の工夫改善に取り組むよう指導してまいりたいと考えております。今後とも、教職員定数の確保には全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
次に、同和教育についてであります。
同和教育の目的は、個人の尊厳を重んじ、合理的精神と社会連帯意識を身につけ、部落差別を取り除く人間を育成することであるととらえてございます。このことは憲法、教育基本法に基づく教育の目的に沿うものであり、その実践においては、地区児童生徒の課題解決を中心に据えながら、性差別や民族問題など、さまざまな差別や不合理の問題とのかかわりと違いを正しくとらえ、取り組んできた歴史があります。したがいまして、同和教育は、学校教育、社会教育において国民的課題の解決を目指し、人権教育への広がりと普遍性を持った教育であると考えてございます。
こうした取り組みの結果、同和問題を初め、幅広い人権問題に対する意識の高揚と、高校進学率など教育における格差の解消に大きな成果を上げてまいりました。しかしながら、各種の調査結果等を見ましても、学力や認識等の面で依然として課題が残されている実態があることは、昨年の二月議会でお答えしたところでございます。
児童生徒の問題発言についてでございますが、学習の過程で生じる発言については、不十分な認識を補う教育の機会として学校が主体的に取り組むこととしており、原因や背景に親の意識の影響がある場合などにおいては、保護者や地域の方々とともに学習し、連携して取り組むことが必要な場合もございます。
同和教育推進教員の配置と役割につきましては、同対審答申を受けて昭和四十六年から設置され、平成八年の地対協意見具申を踏まえて国の制度として存続されているものであり、同和教育上の課題解決のため、引き続き有効な活用を図る必要があると考えてございます。
今日、幅広い人権教育の推進が課題となっておりますが、同和問題については、地対協意見具申においては過去の課題ではなく依然として我が国における重要な課題であると明記され、また、人権教育のための国連十年に関する国内行動計画におきましては、人権問題の重要な柱と位置づけられております。したがいまして、同和問題を抜きにした人権教育はあり得ないと考えます。
今後とも、子供や地域の実態に即して、創意工夫を加えながら、県同和教育基本方針に基づいて推進していくことが重要と考えてございます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
まず、和歌山下津港の問題でございます。
計画されたバース自体は過剰ではない、十分需要があるんだというようなお答えでございましたが、余り確かな論拠ではないなと、聞きながら思っておりました。
もう一つは、今の計画が第一段階だと言われておりますが、あの埋立地自体は、第二段階に恐らく想定されるであろう水深十五メートルバースを前提としたものであるわけですね。そのバース自体が、私、昨日一定の時間を費やして、大きな先行投資になるのではないかということを指摘申し上げたわけです。この点については、私の質問でも埋め立て問題については触れておりませんでしたので、本日のご答弁でもございませんでしたが、いずれにしろ、ここでは明らかな過剰投資が今からでも十分読み取れるところだと思います。
知事は、マスコミに答えて「長い目で見ていかなければならない」とおっしゃいました。確かに、経済見通しというのは、いずれにしろ非常に難しい問題です。長い目で見ることも必要だと思いますけれども、和歌山の現在の立地条件、あるいは産業の条件、それから近隣都市との関係で見てみますと、第二段階に予定される水深十五メートルあるいは十六メートルバースを前提としたあの埋め立てというのは明らかに大きな財政負担を伴う過剰な投資になるのではないかと思いますので、いま一度、所見を聞かせてください。
次に、長期総合計画と推進プランの問題でございます。
第一問でも申し上げましたように、今、同和事業、同和対策を終了させようかという時点に立っているわけです。そこで、なぜ十四年間の計画が長期計画の中に位置づけられなければならないのかと。これは、明らかに流れとの関係では矛盾ではないかと指摘したわけです。こういう計画があるところから、残事業でない新しい事業がいろいろと出てくるということの裏づけになってくるのではないかと思うわけです。
私は、いわゆる同和地区にもたくさんの生活要求があるということはよく知っています。同時に、同和地区以外の一般地区にもたくさんの要求がある。それが今は共通の深刻な課題になっているのだから、特定のいわゆる同和地域と指定したところだけの特別対策は、現在の時点では逆差別を生む可能性があるのではないかという指摘をしたわけです。格差があるから同和対策という観点ではだめなのではないか、和歌山県全域を覆っているいろんな矛盾が全体にあらわれてきているんではないか、そういうふうに考えて対応することこそが県民全体の思いを生かしていく筋道ではないかと思います。格差があるから同和対策だという考えでは現時点では合わないのではないかと思いますので、その点について再度、ご答弁をいただきたいと思います。
次に、同和教育の問題に一言触れておきます。
格差があるから同和教育を進めるという、いつもの答弁が基調でありました。私は、今は既に、その格差の質と量が、他の一般対策と同じように、同和地区以外の地域にもあらわれている問題と同じような課題になってきているのではないかとお尋ねをしているわけです。そこの論拠について回答がございませんので、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
同和教育を抜きにした人権教育はあり得ないという答弁でした。そのとおりだと思います。私も、それは否定はいたしません。ただ、私が申し上げるのは、数ある人権の中で、同和問題が今特別に強調される時期なのかということをお尋ねしているわけです。同和教育が柱だというふうな表現がございましたが、柱でない人権というものはないと思うんですよ。すべての人権が大事な問題です。そこで同和の問題だけを突出させるということが、今の時期では問題ではないかと思うのです。質問が昨日と重複しているようですが、そこの関係が明らかにされませんでした。ご答弁をいただきたいと思います。
次は、学級編制基準の問題です。
三十五人学級は現時点では困難だとおっしゃられました。何も、平成十年度にやってしまってほしいというわけではございません。本年の教員定数削減分百十三人のうち、ことしまで県が負担してきていた分だけで六十人の教員を確保できるはずなんです。予算的にふやせと言っているのではないんです。減らすなと言っているだけなんです。
必要なときには、加配というのを今まで教育委員会はやってきているわけです。定数確保への努力、三十五人学級への努力というのが今非常に必要とされていることではないかと思いますので、その点をお尋ねいたします。
三十五人学級を目指せと私はしきりに言っているわけですが、国の観点はそうではないと。TTの配置だとか、そのほかの教員の配置で進んでいるんだという答弁がありましたが、国の方向は確かにそうだと思います。三十五人の学級編制基準を目指していくことを基本方向にしていただきたいという私の願いについて教育長はどのようにお考えになっておられるか、再質問をいたしまして、私の質問を終わります。
○議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員の再質問にお答えをいたします。
本港沖地区の埋め立てにつきましては、水深十四メーターの外貿機能を確保するとともに、処分場が逼迫している紀北地域の建設残土等の海面処分場を確保するために計画をしたものでございます。
ご指摘のございました水深十五メーター岸壁につきましては、今回の港湾計画にはございませんけれども、将来の需要動向を見きわめながら、北米・欧州航路の寄港も視野に入れて将来の構想として取り組むべき事項であろうと、そういうふうに考えております。
以上であります。
○議長(木下秀男君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 再質問にお答えをいたします。
議員もご承知のとおり、同和対策は永続的に講じられる性格のものではなく、迅速な事業の実施によりできる限り早期に目的の達成を図られ、一般対策へ移行されるべき性格のものであるという考え方を基本としてございます。
先ほどご答弁いたしましたとおり、格差だけではなく残された課題があり、この残された課題を早期に解決することが重要であり、このような趣旨で長計や和歌山県同和行政総合推進プランを作成したところであり、同和問題の早期解決に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 同和問題は今特別に強調されなければいけないのかというご質問だったと思います。
私も、差別すなわち人権問題の事実に軽重はないと思っています。しかし、それぞれの人権問題には独自性がございます。この独自性は、議員ご承知のとおり、同和問題については封建社会においてつくられた身分制、それが我が国の歴史的発展の過程においてつくられ、我が国の経済の二重構造と民主化の不徹底さの中から残されてきて、これが昭和四十年の同対審答申において、ほうっておけない問題だということで、国民的課題であり、国の責務であり、早急な解決が必要であると明記されました。そしてその後、特別措置法が出されて今日に至り、地対財特法が延長される中で、地対協意見具申の中において、これは過去の課題ではなくて現在もなお重要である、このように明記されておりますし、また、国連十年の国内行動計画の中では人権教育の大きな柱としなさいと書いております。
もう一方の側面は、子供の実態です。教育の面で、子供の実態を見てみましたら、議員言われるとおり、単親家庭の子供もあれば貧困家庭の子供もあります。そういう子たちの問題は同和地区に集中されているという事実もあります。この二つの側面から見て、今同和問題が大きく解消してきている中において、山で言えば八合目のところへ来ているところで、あと一歩同和教育を強力に推進していただければこれは解決できるものという展望を持って答えました。
次に三十五人学級についてですけれども、学級定数につきましては標準法定数というのがございます。その標準法定数に従って定数を決めていただいているわけでございまして、私たちはそのもとで今後もやっていきたいと思います。
三十五人学級は、平成八年度には県下の小中学校で九一・九%まで実施しております。そして平成九年度には、先ほども申しましたように九二・五%になっています。平成十年度には、九三・二%に近づける努力をいたしております。この努力の跡をご理解いただきたい、そのように思います。
以上です。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後四時七分散会