平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(向井嘉久藏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 11番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 初めに、二月八日から和歌山県メキシコ合衆国シナロア州友好提携答礼団として訪墨いたしました報告を代表してさせていただきたいと存じます。
 一九九六年五月二十日、メキシコ合衆国シナロア州知事が本県を訪問され、和歌山県との間で調印された友好提携の答礼といたしまして、またメキシコ移住百周年記念和歌山県人会祝賀会への出席のため、二月八日、関空より出発いたしました。二月九日から十二日の四日間、西口知事、木下議長、下川、尾崎、佐田、大沢、谷、松本、それに私・向井の八議員と県職員合わせて十九名、ほかに県の青年十五名の答礼団として、メキシコ合衆国シナロア州クリアカン市、マサトラン市及びメキシコシティーを訪問いたしました。
 以下、簡単に日程に従って報告させていただきます。
 二月九日、月曜日でございますが、シナロア州の州都であるクリアカン市に到着いたしました。シナロア州庁舎を訪問いたしまして、州知事室で記念品の交換の後、州知事、州議会議長を初め議員、関係者約八十名での交流会が開催されました。後にシナロア州議会を訪問し、シナロア州臨時議会に出席いたしました。午後には、州経済推進副大臣、クリアカン市長のほか、三十名の経済人との昼食会に出席いたしました。その後、市内科学文化センターを視察いたしました。夜は、州知事、州議長、議員、経済人とのパーティーに出席して友好を深めてまいりました。
 二月十日、バスでマサトラン市に移動いたしました。マサトランというのは、避寒地のリゾート地でございました。二百キロのバスの道中でございましたが、その途中、大規模農業用地と施設を視察いたしました。トマト、キュウリ、ナスビ、ピーマン、これらが日本に帰って皆さんに説明したら果たして信用してもらえるかなというほど広大な土地で、地平線が見えるところまで大変な規模で栽培されておるのを視察させていただきました。また、夜はマサトラン市を訪問いたしましたが、マサトラン市議会が開催されておりました。西口知事、木下議長にマサトラン市名誉市民の称号が贈られました。
 二月十一日、市内ホテルでマサトラン市長、経済人との朝食会に出席いたしました。約二時間にわたって各分野の担当者から説明を受け、本県からは知事が和歌山県の全般にわたり説明をいたしました。メキシコシティーへの移動の合間を縫って市内リゾート開発地、港湾施設、商業施設等を視察して、空路でメキシコシティーへ移動いたしました。夜、在メキシコ日本大使館を表敬訪問し、講師からメキシコについての説明を受けました。
 二月十二日、メキシコシティー市内視察と、メキシコ外務省を表敬訪問し、外務次官と会談いたしました。夜、日墨会館で開催中の和歌山県展に出席、引き続いてメキシコ和歌山県人会の祝賀会に出席して、メキシコ公式訪問を終了いたしました。
 今回のメキシコ訪問はいささか強行日程ではございましたが、現地での熱烈な歓迎と人々の活気に接しまして、メキシコ外務省次官、州知事、市長等の発言から、日本に寄せる期待は大きく、我々の責任の重さを痛感して帰ってまいりました。また、各地の視察によってメキシコの現状を見ることができ、大変有意義な訪問となりました。日本から移住した方々の努力により、日本国また日本人に対するメキシコ国民感情が極めてよく、その努力に対して改めて敬意を表する次第であります。今後も、和歌山県とシナロア州が築いた友好関係を大切にし、両者がともに発展できるよう努力していかなければならないと感じた次第であります。メキシコ滞在中の四日間お世話いただきました関係者並びに県人会の方々にここで厚く御礼を申し上げまして、報告といたします。
 続きまして、産業廃棄物の問題について一般質問させていただきます。
 その前に、あらかじめ議運委員長のお許しをいただきまして、参考のために水質検査の環境基準と排水基準の比較表をお手元に配らせていただいております。私の質問の中で出てまいります話の参考にしていただければありがたいと思います。
 それでは質問に入らせていただきますが、橋本市野の産廃中間処理場問題が、ここに来て急速な動きを見せております。
 一つには、野積み産廃の残り三分の二の全量撤去が開始されております。三月末で完了の予定でございます。
 また一つには、焼却灰から国内最悪レベルの三万ピコグラムのダイオキシンの検出がありました。トロンメル──産廃を焼却しやすくするために、回転するドラムの中へ入れて土とより分ける仕事をするものです──の下からの、県が「土」と言っているところから二百六十ピコグラムのダイオキシンが検出されたということであります。
 ダイオキシンを検査していただいたのは、宮田教授という摂南大学の先生であります。宮田教授の肩書を少しご紹介させていただきますと、今、摂南大学の教授であり、また厚生省、環境庁、通産省のダイオキシンに関する第一人者として審議委員を委嘱されておる方でございます。また、今回環境庁から出された「ダイオキシン類に係る土壌調査暫定マニュアル」というマニュアルづくりにも深く関係された方でございます。その方に学術研究のために現場から持ち出した焼却灰、またトロンメル下の土壌を調査していただいたところ、そこからダイオキシンを検出したということでございます。
 次に、県と住民が共同で水質検査をするという一連の動きがございました。二月十九日には、地元住民百三十二名が県知事、担当部長、また県議会議長に対して申し入れ、要望を行いました。その要旨は、一つには、場内の焼却灰は住民や専門家の意見を聞き、適法・適正な処理ができるよう指導監督し、その処理方法や処分先を公開していただきたい、二つには、場内に埋められた焼却灰や産廃の実態調査のため早急にボーリング調査をすること、また完全撤去の方策を示すこと、三つには、処理場の浸出水の水質検査を住民と県が同一時刻、同一場所で早急に実施すること、四つには、知事は現場を訪問し、現状認識と住民との対話の場を設けること、この四つを申し入れ、また要望いたしました。この申し入れでの話し合いの中で生活文化部長から、昨年十二月定例議会の委員会で決定した水質検査については三月中旬までに実施したいと、こういう回答をいただきました。大変な進展があったと私は理解しております。後日、三月二日に同一場所、同一時刻に県職員と地元住民代表、業者らが、処理場から浸出水の流れている谷底で採取。当日の検体の水温は二十五度でございました。
 これが、最近三カ月の主な動きでございます。
 これより質問に入りますが、一番目、ダイオキシンの問題について質問させていただきます。
 一、高濃度ダイオキシンの検出で、住民はますます脅威と不安を感じております。県当局はこの事態をどのように受けとめているのか、伺いたいのであります。また、その後、県は具体的に調査及び対策をしましたか。厚生省や環境庁への報告や相談の有無、また研究者や機関への問い合わせは行ったか。
 二、県が埋め立てを認めているトロンメル下の土壌──県は土壌と言っておりますが、私は産廃と認識しております──からダイオキシン濃度二百六十ピコグラムを検出いたしました。埼玉県所沢市三富地区の土壌では最大二百ピコグラム、平均値で三十ピコグラムが出ておりますが、その危険性を認識しているか。県独自に谷の堆積物のダイオキシン調査をするつもりはあるか。前回の私の質問に対する答弁では、国は土壌の調査方法を示していないとしておりました。しかし、一月三十日に環境庁から、ダイオキシンの土壌調査暫定マニュアルでありますが、出ました。
 三、焼却灰単独では国内最悪の三万ピコグラムの高濃度ダイオキシンの焼却灰は、今どこへ持ち出されておるのですか。マニフェスト制度では、明らかにすることが義務づけられております。県はこれを公表しないと言っておりますが、福祉環境委員会に提出していただきたい。目の前から消えればよいというものではありません。県として把握しておく義務がある。県民として把握しておく義務がある。また、公社の金を拠出している以上、他の産廃も含め、搬土先は公表しなければならないと思うのでございます。
 二番目、水質検査についてであります。
 一つ目、三月二日、県と地元住民は、有害な重金属の有無などを調べる水質検査のため、共同で同処理場から浸出水を採取いたしました。これは、同時検査を求めていた住民団体の産廃処理場を撤去させる会の要望にこたえたもので、高く評価できると思います。しかしながら、住民側は、当然一般環境で適用される環境基準で判断されるものと考えておりましたが、県は、工場排水などに適用される環境基準の十倍の濃度の排水基準で判断するとしています。その根拠は何か。今、お手元に参考としてお配りさせていただいているものがそうでありますが、県の主張する排水基準での判断では、結果はわかっております。検査結果の発表は基準をクリアしているかいないかの判断だけではなく、検査数値は最低でも環境基準値の十分の一までの数値を実数として計測し、そのまま公表することをここで強く申し入れておきます。
 二つ目、今後も継続して定期的に住民と協議した上で水質検査を実施すること。これは、信頼関係の構築にもつながると思います。
 三つ目、検査項目に、今問題となっているニッケル、硼素、アンチモンも加えること。これは、今、国も基準に加えることを検討しております。
 四つ目、水温、電気伝導度、pHを計測すること。水温は、地元の住民の方々がはかると最高で四十度近く、平均で三十度ほどあります。地元の人は「産廃温泉」というふうに言っておるぐらいです。また電気伝導度は、自然水は二十から三十、日本工業所では平均して四千という数値が出ております。私、この単位がちょっとややこしいので忘れたのですが、とにかく自然水は二十から三十、ところが日本工業所から出てきておるのは平均で四千。これは何でこうなっているのか。いろんな汚いもの、重金属やほかのものもまざっているでしょう。何もまざっていなかったら電気は通らない。ところが電気が通るということは、それだけ不純物がたくさんあるというあかしにもなるわけです。それが四千になっている、自然では二十だと、こういうことです。それからpHは、酸性かアルカリかを調べるものですが、それを調べることによって中にどういうものが埋まっているかというのが大体見当がつくと言われております。これの計測をすること。
 また五つ目に、検査報告書には検査受託者を明記し、受託者の印影を得ておくこと。
 それから三番目、野積み産廃の残り三分の二の全量が三月末に搬出終了した後、県は今後どのように考えているかということについてでございます。
 先日、二月十九日の住民要請の際、県職員が、住民とは本音で話し合えないという発言をしております。今こそ解決策に向けて真剣に協議が必要であるにもかかわらず、このような姿勢でよいのか。住民と定期的に話し合える場所を設けることが不可欠と思っております。また知事には、住民との一体感を持っていただくために、適当な時期に話し合いの場を持たれることを要請しておきたいと思います。
 続きまして、最近の青少年の犯罪についてお伺いいたします。
 馬頭先生、また新田先生からお話がございましたので重複を避けますが、最近の青少年の犯罪は、若年化とともに凶悪化しております。特に刃物を使った犯罪が相次いでおり、傷害殺人事件の報道が後を絶たないわけでございます。
 NHKの調査によれば、中学生男子の五人に一人はナイフを持っております。また、十人に一人は学校へ持っていくと答えております。その調査の中で、なぜナイフを持つのかという問いに対して、自分を守ることができる、持つことによって安心感がある、またナイフを持っていると自分の弱さをカバーできる、格好がよい、持っていれば友人から金品をゆすられないと、こういうことらしいです。そういうアンケート調査の答えになっています。
 そこで、生徒の持ち物検査についてお伺いしたいと思います。
 昔は──昔と言ってもまだここ五、六年だと思うのですが、たばこを持っているかどうか、持ち物検査をされておりました。私がPTAの会長をしておる学校でも、たばこの持ち物検査は頻繁にやっております。こういう時はもうちょっと過ぎておるんかなというふうに思うわけです。今は、凶器また覚せい剤ということに移ってきております。
 そこで、あえてお聞きしたいのは、それでも生徒の持ち物検査をやるおつもりがあるのかないのか。私は、学校の責任者の方に機会あるごとにこのことについてお尋ねいたしました。そうすると、ほとんどの先生方──ほとんどと言うよりも一〇〇%でありましたが、判で押したように、生徒との信頼関係が損なわれるからやらないんだ、私たちがアンテナを高くし、情報をとって目を配っておればそういうことは起こりませんという答えでございます。それだったら一番結構でございますが、現実には事件が起こって、テレビなんかのマスコミで学校の責任者がインタビューされている話を聞きますと、そうじゃない。私らは目を配っておりましたが、何であの子がこんな事件を起こすのでしょう、不思議でたまりませんというのが異口同音に発言される言葉であります。ところが、クラスメートなんかに聞きますと、そうじゃない。全く反対の言葉が返ってくる。あれはやりそうやった、毎日のように刃物をちらちらとちらつかせて脅しをかけとった、いてもうたんのや、殺したんのや、腹立ったらやったんのやという発言があったということも事実であります。
 そういうことで、神戸市須磨の少年少女の殺害、また栃木県の黒磯市の教師の殺害、東京都での警察官の襲撃、また神戸では郵便強盗と、そういう相次ぐ少年の犯罪を見過ごすわけにはいかない。私は何でここで、持ち物検査をやっていただけませんかと言うのかと言うと、少年を犯罪者に仕立てないためであります。予防的措置でもって、なぜ持ち物検査をしないのか。持ち物検査をすることによって少年が犯罪者にならないんじゃないか。このことを申し上げて、教育長にお尋ねしたいと思うのでございます。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 向井議員の橋本市の産廃についてのご質問にお答えをいたしたいと思います。
 高濃度ダイオキシンの検出をどのように受けとめているかについてでございます。
 議員お話しのダイオキシン類の検査結果につきましては、国において灰、土壌等の評価基準が示されていないことから、その危険性等の評価については今のところできかねますが、日本工業所の焼却灰については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定める基準に従って三月末までに撤去するよう指導いたし、現在撤去作業中でございます。
 次に、トロンメル下の土壌からダイオキシンが検出されたが、その危険性を認識しているかという点についてでございます。
 土壌のダイオキシン類の検査につきましては、さきの議会で、調査方法及びその評価基準が定まった段階で調査する旨、答弁をいたしております。過日、サンプリング方法について国から示されましたが、評価基準についてはいまだ示されてございません。したがいまして、現時点においてその評価はいたしかねるところでございます。今後、県といたしましては、土壌についての評価基準が国から示された段階で調査してまいる所存でございます。
 次に、焼却灰はどこへ持ち出しているのか、またマニフェストを委員会に公開することという点についてお答えをいたします。
 焼却灰につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の基準に従って県外の処分場に搬出していることをマニフェストにより確認してございますが、具体的な搬出先を明らかにすることについては差し控えさせていただきたいと存じます。したがいまして、マニフェストも搬出先を明らかにすることとなり、公開することはできかねますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、水質検査についてのご質問のうち、水質検査結果を県が排水基準で判断することの根拠についてのお尋ねでございます。
 環境基準は環境基本法に基づいて定められているもので、大気や水質について、生活する上で望ましい基準として定められております。水質の場合で申しますと、利水目的によって環境基準の類型指定を行い、行政目標といたしておるところでございますが、工場、事業場等の個別規制については、水質汚濁防止法に基づく排水基準によって規制しているところでございます。したがいまして、日本工業所に対しては厳しく監視・指導するためにも水質汚濁防止法の排水基準で行うことが適当であると考えてございます。
 次に、検査結果の公表についてでございます。
 水質の検査につきましては、環境庁の告示に従い、全国的に統一された方法で実施しているものでございます。その分析結果につきましては、水質汚濁防止法の定める測定方法に基づく検出限界値まで、すべて実数を住民の皆さんに提示いたしており、今後の測定についても同様に行う考えでございます。
 次に、水質検査を定期的に住民と協議の上実施することという点につきましては、水質検査は今後も継続して実施することとし、住民との協議についても必要に応じて行ってまいりたいと存じます。
 次に、検査項目にニッケル、硼素、アンチモンを加えること、また水温、電気伝導度、pHを計測することという点につきましては、水温及びpHは水質検査の基本項目でありますので当然行っておりますが、その他のニッケル、硼素、アンチモン及び電気伝導度については、排水基準及び環境基準に規定されていない項目でございますので、今回は実施いたしておりません。
 次に、検査報告書には検査受託者、受託者印影を得ることという点でございますが、分析を委託した民間の分析業者からの県への検査報告書には、検査受託者、受託者の印影を得てございます。
 次の、野積み産廃搬出後はどのように考えているかという点でございますが、野積みされていた産業廃棄物については現在搬出作業中で、三月末までには予定どおり撤去されるものと存じます。撤去後の対応については、今後も引き続き橋本市と協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) ナイフ等の持ち物検査についてお答えいたします。
 学校においては、学校生活に必要のないものを持ってこないよう、平素からその指導の徹底を図っているところでございます。しかしながら、最近、生徒の凶器を使った暴力事件などが相次いで発生しておりますことは、まことに憂慮すべき事態であります。
 教育委員会といたしましては、二月五日、各学校、市町村教育委員会に、児童生徒の安全と命の大切さ等に関する指導について通知を出したところであります。その中で持ち物検査については、危険な状況が懸念されると判断した場合は、教育的な配慮のもとに学校長が適切に実施するよう指導してございます。また、その後の状況を踏まえ、校長会、教育事務所長会等において重ねてその趣旨を図ったところであります。
 命を守ることは、何物にも増して優先しなければならないことであります。取り返しのつかない事態を避けるため、どこまでも子供の命を守る視点から、校長が必要と判断したときは持ち物検査についても毅然とした態度で臨むことが肝要と考えます。
 今後とも、学校から一人の被害者も加害者も出さないという決意を持って取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 再質問させていただきます。
 まず、産廃、ダイオキシンについて質問させていただきます。
 県担当者の一連の発言、またその行動から判断すれば、ダイオキシンについて理解が余りされていないのではないかという疑問を持たざるを得ないのでございます。
 ダイオキシンは、ご存じのように、オウムが使用したサリンガスのようにまかれると、殺傷力ということで比べると恐怖感というのは少ないかもわかりません。しかし毒性からすれば、サリンの数倍と言われております。そして、人間の場合、体内に蓄積される期間は十年と言われております。十年余りも残留するのであります。微量で子供ができなくなるという生殖機能の障害や、またもう少し進むとがんになる可能性を多く秘めているということが研究発表されているのがダイオキシンであります。
 このダイオキシンについては前回の一般質問で詳しく述べたので割愛させていただきますが、目に見えない、においもしないものに我々は鈍感になっているのと違うかなと、こういう心配をしております。ダイオキシンが検出されたにもかかわらず、それが県と何のかかわりもない一大学教授によって検出されたという程度に理解されているのであれば、その無関心さは何と言ったらよいのでしょうか。
 全国各地の産廃問題で悩み、ダイオキシンの検査をするのは、住民サイドでございます。しかし、一たんダイオキシンの検出があった場合、それまで無関心であった自治体でも、その後の動きは機敏であります。国のダイオキシン土壌調査方法が決まった今、県は日本工業所処分地の内外を含めて調査する義務があると思うのですが、いかがですか。
 また、数値が示されていないということでございますが、埼玉県の三富地区では、やはり住民がダイオキシンの調査に乗り出して検出され、それが公表された。そうすると、埼玉県は直ちに動いた。そのときにはまだ、一月三十日に示されたような暫定マニュアルさえなかった。にもかかわらず動いて、大変な数値が発表された。最大二百六十、平均値でも三十ピコグラムという数値がやっぱり同じように検出されて、その数値を厚生省に報告しておる。厚生省はその数値を見て、これは大変だと、こうなったわけです。まだ暫定マニュアルもつくられていないときですよ。それで厚生省は、これはほうっておいたらあかんということで、急いで暫定マニュアルをつくって各自治体の指導に乗り出したというのが実情でございます。
 環境庁から「『ダイオキシン類に係る土壌調査暫定マニュアル』の送付について」ということで、平成十年一月三十日、環境庁水質保全局土壌農薬課長から各自治体の担当部長あて送られております。その送付されてきたかがみの中に、こういうことが書いてあります。「ダイオキシン類は、環境汚染物質の中でも社会的関心の高い非意図的生成物質であり、健康影響の未然防止の観点から、早急な対策が必要となっている」と。最後には、「なお、今後のダイオキシン類に係る土壌環境保全対策に資するため、本マニュアルに則って実施された調査の結果については、適宜、当方あてご報告願いたい」となっておる。ということは、その報告結果に基づいて安全なのか危ないのか判定しますよということです。にもかかわらず、県は依然として動こうとしない。大変なことが起こっているのにもかかわらず動こうとしない。これについて私は疑問に思います。改めて、ここのところをお伺いしたいと思います。なぜ動かないのか。
 それから、水質検査についてお伺いします。
 県は、同検査を排水基準に沿って実施するとのことでありますが、水質汚濁防止法で定められた排水基準は、その趣旨として、工場からの排水濃度を規制したものであります。日本工業所の焼却炉では、使用する水は施設内で循環され、外に出るような設計にはなっておりません。
 平成八年二月二十二日、申請時に、産業廃棄物処理施設設置許可申請書の中で、放水はいたしませんと明記しております。それに基づいて県は許可をおろしております。処理場内の深さ三十メートルの谷を埋めてしまっておるのを、地元住民が産廃であると指摘しているにもかかわらず、県はこれを、土壌ですと言明しているわけです。そして、日本工業所処理場について、私の過去四回にわたる質問に対して県は一貫して、工場ではないというふうに回答してきております。もし工場と考えるならば、当初に構築物の建築確認申請がなければなりません。それがないまま許可を与えてしまっており、法の無視につながります。
 また、焼却炉稼働時にあれだけの排煙があったのは、まだ記憶に新しいところであります。その時点で、四十三年ぐらいに決められた県の大気汚染防止条例に沿って調査をしていただきたいと質問をいたしましたが、これは工場に対する条例であるので対象外であります、こういう回答をしております。この回答は、今も鮮明に私は覚えております。住民側の水質検査で有害な重金属などが検出されているのは、雨水などが廃棄物層を通過したためか、もしくは本来は流れ出すはずのない焼却炉の使用水が紛れ込んでいると考えざるを得ません。
 県は排水基準に固執しているが、それは、日本工業所が本来の施設設計を守っていない、または、してはならないことをしているのを追認しているのと違いますか。県が排水基準を適用する論拠が不明であります。希薄であります。住民が納得のいく説明と検査方法でなければならないと思います。
 環境基準より十倍緩い排水基準を適用するとなれば、当然、検出せずの結果が出るのは火を見るより明らかであります。本来の検査基準より一けたも甘い物差しではかり、その結果を公表すれば、それがあたかも安全宣言であると県民に誤解を与えかねません。野球で例えるなら、一イニング三アウトでチェンジのルールのチームと、一イニング三十アウトせなあかんようなルールのチームが対戦しているのと同じでございます。結果は、わかっております。
 最後に、当然のことながら、検査結果が環境基準を超えた場合には、県は直ちに日本工業所に対して指導を行うとともにボーリング調査を行うこと。県の主張に沿えば、谷に埋まっているものは無害な土砂である。しかも、焼却炉からの放流はない。ならば、あの谷の下からわき出ている浸出水は自然環境のもとの水と何ら変わらないと私は思います。すなわち、検査の基準は環境基準であるべきであります。工場などに適用する排水基準で検査するということは、従来の県の主張の誤りをみずからが認めることと言わざるを得ない。明確な釈明をお聞かせいただきたいと思うのであります。私たちの自然に恵まれた橋本市の環境を破壊するのを県の方々は座して見ているのですか。どうぞ、お力をかしていただきたい。
 もう一つ最後に、子供のナイフのことで、平成十年三月十日、町村文部大臣が「文部大臣緊急アピール 子どもたちへ」というアピールをしております。これを最後に読み上げまして、和歌山県の子供さんにわかっていただきたいなと思うのであります。
 大臣は、このようにアピールしております。「子どもたちへ ナイフを学校に持ち込むな 命の重さを知ってほしい 私は、いま、全国の子どもたちに訴える。 最近、君たちの仲間によるナイフを使った事件が続いている。 人を傷つけること、まして命を奪うことは、絶対に許されない。 命を奪われた人たちは、二度と帰ってはこない。 亡くなった人や傷ついた人たちのお父さん、お母さんや家族の悲しみがどんなに深いものなのか、それを知ってほしい。 そこで君たちに訴える。 ナイフを持ち歩くのはもうやめよう。 学校に持ってくるのもやめてほしい。 君たちが明るく前を向いて行動してくれることを、切に願っている。 君たちにもう一度言おう。 悩みや不安は遠慮なく友達やお父さん、お母さん、先生など大人たちに相談しよう。 私たちは、君たちの言葉を受け止めたい。」──これが文部大臣のアピールであります。県下の青少年の皆さん方にこの文部大臣のアピールを理解していただきまして、こういう不幸な事件が起こらないように祈ってやみません。
 どうもありがとうございました。終わります。
○議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 二点の再質問についてお答えをいたします。
 まず、ダイオキシンの調査でございますが、県においてもすぐに調査すべきではないかというお話でございました。
 これにつきましては、調査方法は示されましたが、評価方法が示されていない現在、たとえ調査をしても、その数値が環境上どのような影響を及ぼすのか判断できなければいたずらに不安を招くのみだと考えておるところでございます。したがって、評価方法が示された段階において調査を行いたいと存じます。
 次の、なぜ環境基準で調査をしないのかということでございます。
 先ほどもお答えをいたしましたように、環境基準はその地域一帯について類型指定を行い、その地域が環境として望ましい状態であるのかどうかということを調査するものでございます。したがいまして、個々の事業場等につきましては、そこから出てくる水については排水基準で調査をして、その結果が非常に問題となる数値が出てきた場合には水質汚濁防止法によって強く指導ができるということのために、この排水基準を適用して調査を行うものでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 11番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 ちょっとまだ時間がありますので。
 今、部長から、数値についてどこまでが危険なのかわからんからやらんのやという答弁がありましたが、私には理解できない。なぜ理解できないか。先ほども言いましたように、埼玉県では、そのときは理解できなかってもダイオキシンの数値を調べた。その数値を厚生省へ報告しておる。和歌山県がその出た数値を判定できないんであれば、調べて厚生省へ送って、そこで判定していただいたらどうですか。そこが大事なところですよ。恐らく厚生省は、こりゃ大変だということになると思いますよ。
 それと、もう一つは水質検査についてでございますが、自然の中にある、自然のままのところから出ている水が汚されておる。これが何で排水基準なんですか。指導するために調査するんじゃない。環境が破壊されているかどうかを調査するんだと思いますよ。そこに住民が住まいできるかどうか、これが問題ですよ。そのためにも環境基準で調査しなければならない。調査基準がオーバーしたらボーリング調査して、そこに何が埋まっておるかを調査するための水質検査でないんでしょうか。なかなかオーバーをしない、今のままの排水基準で調査すれば、まだまだ数値的には余裕があるんですよ。どうぞまだまだ汚してくださいというお墨つきを県は業者に渡すんですか。私は、そのことの答弁を明快にしていただきたいなと思います。
 終わります。
○議長(木下秀男君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 生活文化部長中村協二君。
  〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 評価基準がまだ出されておらないということで、その場合には厚生省へ持っていって評価してもらえばどうかというお話でございましたが、国においても評価基準ができておらない現在、県と同様、評価できないものというふうに考えております。
 それから排水基準でございますけれども、この数値がオーバーした場合にボーリング調査を行うということについては、従来から答弁をしてまいったところでございます。したがいまして、この日本工業所についても、そういった従前からの答弁を尊重しながらやっていきたいということでございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。

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