平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(東山昭久議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番東山昭久君。
  〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 おはようございます。
 通告に従いまして、一般質問をいたしたいと思います。
 本議会は、一九九八年度の予算案を審議する議会でもありますので、先輩議員の質問と一部重複するものがありますが、お許しをいただきたいと存じます。
 まず、九八年度予算編成に関して質問いたします。
 地方財政は、政府の地方財政計画に大きく依存しており、県の予算編成に当たっては、政府の地方財政計画の主要施策の特徴を生かし、いかに活用しながら県独自施策をどのように出すかであると思います。
 九三年に連立政治が始まって四年余りたちました。五五年以降、ほんの一時期を除いてずっと続いた自民党一党政治が終えんし、連立政治の時代を迎え、政治は大きく変わろうとしています。現政権は自民党が復権をいたしましたが、連立政治のため、かつてのように自民党の政策を強引に実現するようなことはなくなり、多くの政策課題は与党協議というふるいにかけられ、チェックされ、政策が決定されるという与党政策協議が定着をしてきています。九八年度政府予算案は現在国会で審議されていますが、予算編成に連立政治の成果がどう出たのか見てみたいと思います。
 まず、所得税減税として二兆円の特別減税が実施されました。法人税率の引き下げとして、基本税率三%、中小法人税率三%の引き下げ、課税ベースの拡大等で二千から一千四百億円の減税が行われました。さらには政策減税として、教育関係で特定扶養控除額の引き上げ、所得税控除五十三万円を五十八万円、個人住民税四十一万円を四十三万円、介護関係では、特別障害者控除額の引き上げとして所得税控除三十五万円を四十万円、個人住民税二十八万円を三十万円に、同居特別障害者控除額の引き上げとして所得税控除三十万円を三十五万円に、個人住民税二十一万円が二十三万円に、通勤関係では、通勤費の非課税限度額の引き上げとして五万円を十万円に、住宅関係では、住宅財形貯蓄の非課税引き出し限度額の引き下げが百万円を七十万円に、その他の課題として、子供や高齢者などの福祉関係予算の確保として二兆六千二百七十二億円、四・二%の増、少子化社会への対応として、大蔵省原案に対して延長保育補助額を三十億円上積み、児童扶養手当の一部支給に係る所得制限二百七十万円を三百万円に引き上げ、そのための財源として十億円の上積み、薬価の大幅引き下げ九・七%、低所得者層千四百二十三万人を対象に臨時特別給付金の支給、中小企業への貸し渋り対策の拡充など、いわゆる弱者に対する予算面での配慮がなされ、与党政策協議の成果が出ているのであります。
 さて本題に戻りますが、九八年度予算案に関して、順次、四項目にわたって質問いたします。
 昨年十月七日、総務部長名で財政の中期展望及び九八年度予算編成方針が明らかにされたのであります。それによると、国、地方自治体とも財政状況は極めて厳しいとの認識のもと、九八年度から二〇〇〇年度までの財政中期展望──名目成長率三・五%前提──の推計として、歳出では九八年度から五千九百九十七億円、六千百十億円、六千二百二十二億円、歳入では九八年度から五千六百五十五億円、五千七百三十一億円、五千八百五十一億円となり、要調整額は九八年度から三百四十二億円、三百六十九億円、三百七十一億円、県債残高は二〇〇〇年には六千三億円、公債費の急増に加えて基金残高の減少という極めて深刻な財政事情となることを明らかにされ、九八年度予算編成においては、一般行政経費は厳しい要求基準の設定、重要施策については思い切った予算の重点化を図る調整枠の設定、組織横断型編成手法の導入、予算の一層の合理化、効率化を図ることを明らかにされたのであります。その結果として、今議会に一般会計予算総額五千九百六十四億八千九百三十三万五千円が提案されたのであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 財政状況が大変厳しい中、中期展望に立って財源の確保及び財政運営は今後どのようにされていくのか、伺いたいと存じます。
 昨年八月、予算執行状況調査結果が明らかにされ、ほぼ全庁的に旅費、食糧費、消耗品、賃金など幾つかの科目の一部において適正を欠いた事務処理が行われており、これらの支出金は慶弔費、接待・懇談会経費、会議の負担等を中心として組織の運営費などに充てられていたことが判明した。その額は九四年から九六年度で総額十三億四千四百四十三万八千円であり、幹部職員の責任で返還され、幹部の処分も行われたのであります。改善策の基本的な考え方として、予算の不適正執行は予算及び制度と実態との間に乖離があったこと、公金に対する職員の意識が希薄になっていたことや、組織全体としてのチェック機能が十分に働いていなかったことなど、さまざまな要因が複合的に作用して生み出されたもので、組織全体のあり方、職員の公僕としての倫理観等が大きく問われることとなった、この背景、原因を踏まえ、今後二度とこのような事態が起こることのないよう万全を期すため、一、職員の意識改革、二、予算措置と執行システムの改善、三、情報公開の充実、四、監視機能の強化の改善策を明らかにされ、この改善策の着実な推進を図り、県民に信頼される県政の推進に全力で取り組むことを県民に約束されたのであります。
 そこで、総務部長にお尋ねします。
 改善策として打ち出された予算措置と執行システムは、九八年度予算編成でどのように改善されたのか、また職員の意識改革、情報公開の充実、監視機能の強化をどのようになされたのか、伺うものであります。
 次に、景気・中小企業対策に関して質問いたします。
 「景気の『春』なお見えず 消費・生産・雇用・設備投資 指標、底ばい続く」、これは二月二十八日付の朝日新聞の経済欄の見出しです。「景気判断の目安となる主要経済指標の一月分が二十七日にでそろった。消費動向は、金融不安を機に景況感が一気に悪化した昨年十一、十二月のような急落に一応の歯止めがかかったものの、底を打ったとはいえない。景気を下支えしてきた設備投資も黄信号がともったまま。生産は弱含み、雇用情勢は厳しさを増している。後退色の強い景気の先行きにまだ明るさが見えず、『サクラの咲くころには回復』という目標は達成できそうにない。大型減税などの景気対策を求める声はますます強まりそうだ」と、依然として日本経済は低迷を続け、金融不安がさらに拍車をかけ、厳しい状況であることを報じていました。
 県経済の状況は、紀陽銀行の「経済月報」二月号によると、「県内景気は足踏みを続けている。生産は主力の『鉄鋼業』が伸び悩んでおり、『繊維』など地場の製造業の動きも鈍くなっている。需要面をみると(中略)個人消費は低迷している。大型小売店販売額は(中略)前年割れとなっており、新車販売も前年比大幅なマイナスとなっている。住宅建築は、『分譲住宅』『貸家』で(中略)回復に転じたと言える状況にはない。公共工事は比較的堅調に推移している。雇用情勢は厳しい状況が続いている」としています。
 県内の過去五年間の企業倒産件数は、九三年百九件、九四年百二十件、九五年百六十七件、九六年百二十八件、九七年百六十七件、本年一月末で十五件、二月は九件と年々増加の傾向にあり、県経済は深刻な状況となっております。景気対策は極めて重要な課題であり、特に地場中小企業対策は最重点施策として取り組んでいかなければなりまん。
 知事は、本会議冒頭の議案説明で、「予算編成に当たりましては、県民の間に広がりつつある金融不安や景気後退への懸念を払拭するため、経済の活性化を最重点の柱に据え、作業を進めてまいりました。 中小企業融資につきましては、新たに不況対策特別資金を創設するなど、中小企業者に対する融資枠を質量ともに充実するとともに、貸し渋り対策等にも積極的な施策を展開したところであります」と述べられました。景気・中小企業対策を最重点施策として拡充されたことは評価したいと思います。しかし、現実には民間金融機関の貸し渋り、また県保証協会の審査が厳しい、担保問題など融資を受けるにも簡単にはいかないという声も聞かれます。
 政府は、中小企業への貸し渋り対策の拡充として、信用保証協会の基金補助金を大幅に増額、二十七億円を百億円にするなど信用補完制度を充実、また無担保・無保証のマル経──中小企業経営改善資金融資──の拡充、国民金融公庫などの中小企業向け融資の強化など改善策を打ち出しました。今までの制度では二%、つまり百億円融資したら二億円までは返済がなくてもいいという制度になっていました。そのリスクの範囲で保証協会として保証をしなさい、これが一〇%に引き上げられ、百億円のうち十億円までは返ってこなくてもいいんだということになったのです。貸す方も貸しやすく、借りる方も借りやすくなり、融資を受けて頑張ってみようということで、それによって業績が好転する可能性も多くなります。中小企業の皆さんは、厳しい経済環境の中で経営努力によって乗り切る努力をしてきました。しかし、今日の状況は経営努力だけでは限界があります。中小地場産業の活性化なくしては県経済の回復は見込めません。
 そこで、商工労働部長にお尋ねします。
 景気対策、中小金融対策について、特に貸し渋り対策、県保証協会への指導、融資が受けられやすくするためどんな対策を講じられたのか、答弁を求めます。
 次に、雇用対策、企業誘致事業について質問します。
 総務庁が二月二十七日に発表した労働力調査によると、一月の男子の完全失業率は三・七%で、前月に比べて〇・三%上昇し、現行調査を始めた一九五三年以降で最も高かった九六年五月の三・六%を上回り最悪となった、男女平均の完全失業率は三・五%で、四カ月連続して最悪記録となったことを明らかにしました。完全失業者は二百三十八万人で前年同月に比べて十六万人ふえ、うちリストラによる解雇など非自発的離職は六十五万人で十三万人増加。よりよい労働条件を求めてやめる自発的離職は八十九万人と六万人減った。非自発的離職は四カ月連続して増加し、雇用情勢は質的にも一段と悪化していると言われています。一方、労働省が発表した一月の有効求人倍率は〇・六四倍で前月比〇・〇三ポイント低下し、四カ月連続で悪化した。九六年以降最も低い水準となったことを明らかにしました。
 職業安定課の資料によると、県内の有効求人倍率は、九四年以降、〇・六九倍、〇・六三倍、〇・六六倍、〇・六九倍、〇・六三倍と、雇用情勢は依然として厳しい状態が続いていることがわかります。職業安定課では、雇用促進事業として今日まで一般雇用対策、若年者雇用対策、障害者雇用対策、同和対策就職促進、高齢者雇用対策、地域雇用開発等促進、人材Uターン促進事業に取り組んでこられました。今年度新規事業としてシルバー人材センター連合事業を予算化されております。これらの事業の取り組み状況と今後の雇用情勢の見通しについてはどうか。また、労働省は中高年層の雇用をふやすため三月から求人開拓推進員二百人を都市部の公共職業安定所に配置となっていますが、和歌山県には何名配置されるのか、以上について商工労働部長にご答弁を求めます。
 雇用確保、県経済の活性化のためにも企業誘致事業は極めて重要な課題であります。職業安定課からいただいた高等学校卒業の県内・県外就職状況によると、九四年三月末時点で、三千五百八十六人のうち、県内就職者は二千二百三十四人、六二・三%、県外就職者は千三百五十二人、三七・七%、男女別では男子が千九百一人で、県内は千七十一人、五六・七%、県外へ八百三十人、四三・三%、女子千六百八十五人のうち県内千百六十三人、六〇%、県外五百二十二人、四〇%、九七年では、二千六百四十九人のうち県内千七百四十七人、六五・九%、県外九百二人、三四・一%、ことし一月現在で就職内定者は、二千三百十人のうち県内千四百五十八人、六三・一%、県外八百五十二人、三六・九%となっており、大学進学者も九七年度、四千七百六十五人のうち県内大学へは三百八十人、県外の大学へは四千三百八十五人となっています。大学を卒業して県内へ就職するのは、そんなに多くないと思います。このことは、県内に働く会社や企業が少ない現状をあらわしていると同時に、優秀な労働力が県外へ流出し続けていることを示しております。したがって、企業誘致事業は極めて重要な課題であります。企業を誘致するには、用地の確保、道路網の整備、上下水道の整備など基盤整備が必要となります。各部局が一体となって取り組んでいかなければなりません。
 商工振興課では、企業立地対策として企業誘致活動事業、企業導入促進対策調査事業、企業立地促進助成事業、企業立地促進融資事業、企業誘致促進事業、企業誘致広報事業、紀南地域等企業導入促進事業などに取り組まれ、厳しい環境の中で新規企業の誘致活動に大変な努力をしてこられたと思います。この五年間の誘致企業数、拡大雇用数の実績はどうか、また来年度、誘致企業はどれくらい見込まれるのか、商工労働部長に答弁を求めます。
 次に、男女共生社会実現の課題について質問いたします。
 九七年刊行の「和歌山県統計年鑑」によると、九六年の県人口総数は百九万八千六百八十二人で、男性五十二万五千百九十九人、女性五十七万三千四百八十三人であります。女性が四万八千二百八十四人多いのであります。また、九五年度の労働力状態別十五歳以上人口は全体で九十万四千六百六十七人で、男性四十二万三千百六十二人、女性四十八万一千五百五人、就業者数は男子三十一万一千百五十二人、女性二十一万四百三十二人となっております。十五歳以上の女性四四%、約二人に一人は何らかの形で働いていることになります。しかも、二十歳代後半の女性労働者が増加傾向にあります。近年、女性の社会進出は拡大してきていますが、社会的条件、賃金、昇進など男女格差はまだまだ解消されていないのが現実ではないでしょうか。
 男女共生社会とは、性によって生き方の選択肢が狭められることなく、だれもがみずからの意思によって忠実に生きることが保障されている社会であり、女性が出産など女性固有の身体的条件や社会的条件によって何ら不利益を受けることなく、性を理由にしたいかなる差別も許さない社会であると思います。これらの社会を創造するためには、これまでの社会の制度、秩序を根本的に見直し、政策についても両性平等の観点から改めて点検を行い、女性差別監視や人権侵害の救済システムなど思い切った対策が必要であります。
 西口知事は、女性の能力が十分に発揮できる社会づくりとして、九六年度新規事業でわかやま女性一〇〇人委員会、女性の交流推進、男女共生社会の推進啓発、きらめく女性地域活動支援、女性白バイ隊員の登用等の各事業を行ってこられました。特に、わかやま女性一〇〇人委員会は女性政策の目玉でもありました。
 九八年度予算案では、男女共生社会の形成で新規事業として男女共生社会づくりプラン策定、女性センター運営、一次保育ルーム促進、喜の国子育て支援、預かり保育推進補助等の事業が計画されています。工夫を凝らしながら男女共生社会の実現に向けて取り組まれ、努力されていることはうかがわれますが、本当の男女共生社会の実現のためには、より一層の思い切った対策が求められます。女性の意見を県政に反映させようという趣旨で、九六年四月にわかやま女性一〇〇人委員会が発足しました。去る二月十九日、二年間の活動結果が専門部会提言書として発表され、県政に対して多岐にわたって貴重な提言が提起されたのであります。私は、この活動に参加された委員の皆さんのご努力に心から敬意を表するとともに、高く評価するものであります。今後、この貴重な提言をいかに県政に生かすかであると思います。女性の能力を発揮できる社会づくりということでさまざまな事業に取り組まれてきましたが、まだまだ不十分であると言わざるを得ません。
 そこで、足元である県職員でその現実を見てみたいと思います。人事課からいただいた知事部局の男女別職員数の推移──九三年から九七年──によると、職員数三千七百二十三人から三千七百七十六人に対する女性職員の割合は一六%弱であります。役付職員数は、九三年百三十九人、百五十九人、百六十五人、百七十七人、九七年は百八十一人と年々ふえ続けていますが、課長級以上では、九三年が四人、男性は四百三十六人、そして六人、六人、四人、九七年が五人、男性は四百三十八人。管理職率は女性職員の〇・七から一%、男性は一一・七から一二%。部長以上は、女性は一人もいないのが現状です。いかに男女の格差があるかということがわかります。知事は、各種審議会、委員会の女性委員の割合を三〇%まで高め、県の政策づくりへの女性の積極的な参加を求めますと公約されているのであります。しかし、現在、各種委員会、審議会への女性委員三〇%の目標は達成されていません。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 わかやま女性一〇〇人委員会の提言をどう反映されるのか、短期的、長期的課題もありますが、来年度予算案でどのように反映し、予算措置を講じられたのか。
 先ほど県職員の男女別推移の現状を述べましたが、女性職員の管理職への登用、各種委員会、審議会等への女性の積極的な登用を強く求め、真の意味での男女共生社会実現への知事の決意も含めてご答弁を求めたいと存じます。
 最後に、有本ポンプ場問題に関して質問いたします。
 近年、市街地の拡大により低地部での開発が進み、大雨による雨水の排水がされず、市街地での浸水等の被害が増加しています。四箇郷地区も同様に、少しの雨でも浸水被害が起こる状態であり、今日まで建設省、和歌山県、市が協力して排水、浸水対策を実施してきました。
 建設省は昭和五十四年に有本ポンプ場工事に着手し、平成八年には概成しています。和歌山県は、昭和五十五年から一級河川有本川改修に着手し、昭和六十三年には真田堀川合流点から千二百六十メートルを概成させ、これより上流、有本ポンプ場までの二百七十五メートルについては和歌山市が事業主体となり、平成九年度に概成されました。
 有本ポンプ場は、内川の水質浄化と有本地区の排水、浸水対策の二つの機能を持つもので、水質のよい紀の川から有本川に毎秒四トン、大門川に毎秒四トン、合計毎秒八トンの導水を行い、市内河川の水質改善を図るものであり、大雨によって有本地区の浸水のおそれが生じた場合、毎秒四トンを紀の川に排水する機能を備えていると言われています。浸水に苦しんでいる地域住民の期待も大きいものがあります。
 建設省は有本ポンプ場を概成させたとして、試験運転に関する地元説明会が去る二月十三日に、建設省和歌山工事事務所、和歌山県、和歌山市の三者によって有本地区会館で行われました。二月二十三日には、午前八時から午後五時まで、騒音、振動、水位観測等を目的に第一回目の試験運転が行われたのであります。第二回目は二月二十七日に予定されていましたが、急遽中止されたと聞いています。
 有本ポンプ場は概成した、真田堀川合流点からポンプ場までの有本川の改修も終わったとされていますが、有本川に流水する松島水路、加納、有本支川の水路が未整備であり、現状では効果は期待できません。抜本的浸水対策には、これらの流入水路の整備を急がなければなりません。また、水質浄化と言われていますが、下水道未整備状態では浄化用水の導水等の緊急対策が必要と考えられます。
 そこで、次の三点について土木部長にお尋ねします。
 一点目は、二月二十七日に予定されていた第二回目の試験運転はなぜ中止になったのか、どんな問題があったのか、明らかにしていただきたいのであります。
 二点目は、有本川に流下する水路、松島水路、加納、有本支川の改修は緊急にやらなければならない対策です。早急に改修工事を行うことを強く求めるものであります。和歌山県、和歌山市の分担がありますが、それぞれの完成見通しを明らかにしていただきたいのであります。
 三点目は、内川の浄化のためには下水道整備が不可欠です。和歌山市下水道事業一般平面図を見ると、四箇郷地区は下水道認可区域に入れられておりません。この問題は和歌山市が主体で取り組むものでありますが、県の強力な指導と協力をお願いしたいのであります。抜本的対策としての四箇郷地区の下水道整備を早期に実施されることを強く求め、その見通しについて明らかにしていただきたいと思います。
 以上三点について、土木部長の前向きなご答弁を期待し、有本ポンプ場が水質浄化と排水、浸水対策の機能が十分発揮でき、大雨のたびに浸水に苦しんでいる地域住民が安心して快適に暮らせるように県当局のご努力を強くお願いして、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
 まず初めに、中期展望に基づきまして、今後の財源確保及び財政運営をどのようにしていくのかというご質問であります。
 平成十年度当初予算編成におきましては、財政事情の中期展望により推計した構造的な財源不足をいかに解消していくかが重要な課題の一つでございました。このため、一般行政経費に係る基本要求限度枠の設定、行政の効率化の視点に立った徹底的な事業見直し等、歳出の抑制と歳入の確保によりまして財源不足額の縮減に努めたところでございます。その結果、中期展望で推計いたしました三百四十二億円に上る財源不足額は八十二億円縮小されまして二百六十億円となったところでございます。財源不足の段階的な解消に向けての第一歩を踏み出すことができたものと考えてございます。しかしながら、財政状況は依然として大変厳しい状況にございますので、一部の府県に見られるような財政の危機的状況を回避するために、経済動向等にも配慮しながら、今後も継続して行財政改革に取り組む必要があろうと思っております。また、今議論をされております地方分権を推進していく中で、地方の自主的な財政運営を可能とするためには、税財源の配分などについても抜本的な見直しを行うことが極めて必要であろうと思いますので、国に強く働きかけていきたいと考えてございます。
 次に、わかやま女性一〇〇人委員会についてであります。
 女性の意見を県政に反映させようという趣旨で委員を公募いたしまして、平成八年四月に発足したわけでございます。私も、委員会にはできる限り出席をいたしまして、委員の皆さん方、特に今まで発言する機会のなかった方々のご意見をお聞きすることができまして、非常に有意義であったと思ってございます。また、女性の県政への関心の高さ、社会参画への意欲などにつきましても改めて強く感じたところでございます。
 二年間の熱心な討議の結果といたしまして、先般、産業交通、福祉医療、教育文化、生活環境の四つの専門部会の提言書としてまとめていただきました。これらの貴重なご提言につきましては、今後、可能な限り県政に反映をさせていきたいと考えてございます。平成十年度におきましては、このご提言のうちで新たな観点から、防災ボランティア活動推進、木のぬくもり施設支援、痴呆対応型老人共同生活援助、児童権利擁護──ちょっと事業名だけ申し上げるとわかりづらいわけでありますが、大体十事業を予算化したところでございます。
 次に、女性職員の管理職への登用についてであります。
 私も、知事就任以来、幹部となる女性職員の人材育成を強く意識してきたわけでございます。そのため、係長級、課長補佐級等への昇格、班長などのポスト職への登用、幅広い分野での女性職員の職域開発などに努力をしてきたつもりでございます。平成九年度の現状を見てみますと、女性職員の管理職率は〇・八%、役職率は年々向上いたしておりまして三〇・二%となってございます。今後、さらに女性職員の人材育成を積極的に進めまして、管理職率の倍増を目標としてまいりたいと考えております。
 次に、県における審議会、委員会等への女性の登用の問題であります。
 私は、就任直後、目標を三〇%ということで申し上げ、計画的に登用に努めてきたわけでございますが、三〇%というのは全国的に見ましてもなかなか高い目標でありますので、大変苦労いたしております。平成八年一月で約一〇%でございましたけれども、人材の把握等に努め、現在では約一七%という状況になってございます。目標を達成するためには、先ほども申し上げましたように大変困難な面もございますので、現在、女性の人材情報あるいはリストの整備を進めております。このような情報整備等を通じて適当な女性の方々を開拓することによって女性の登用をさらに促進していきたいと考えております。
 また、女性施策の総合的な推進でありますけれども、お話しのように、このことは極めて大事なことでありますので、男女共生社会の実現のための基本方針となる行動計画を平成十年度、十一年度の二年間で策定をすることにしております。今後とも、男女共生社会の実現を目指して、より一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 予算の不適正執行の改善策についての四点にお答えします。
 まず予算での改善策についてでございますが、予算措置の面におきましては、予算と実態との間の乖離を是正するという観点から、十年度予算では旅費など行政事務の執行に必要な基礎的な内部管理的経費を標準事務費として枠配分しまして、各部局の主体的判断のもとに所掌する事務事業の実情に即した適正な予算計上と課室間の不均衡是正を図るとともに、現下の財政事情を勘案してマイナス二〇%の要求基準を設定し、一層の節減合理化による総額抑制を図ったところでございます。
 また執行システムの改善につきましては、食糧費等について厳格な執行基準を設けるとともに、出張命令や復命の書式等の改正、物品購入の迅速化などについても既に対処しているところでございます。
 次に職員の意識改革につきましては、幹部職員研修、出納員研修を初めとする臨時特別研修を実施するとともに、各職場において全職員を対象とした職場研修を実施して趣旨の徹底を図ったほか、職員研修所におきましても、十年度から公務員倫理研修を拡充するとともに、新たに意識改革研修を取り入れるなど、研修の一層の充実を図ることとしてございます。
 また情報公開の充実につきましては、行政情報の透明性をより一層高めるため、食糧費等の支出関係公文書の開示方針を定めるとともに、庁内に公文書開示検討委員会を設置しまして、開示請求に対する迅速適切な対応を図ることとしたほか、各課室及び地方機関に情報公開責任者を置きまして、情報公開の円滑な実施を促進することとしてございます。さらに監視機能の強化の面でも、これも庁内に各部局の次長等を構成員とする事務適正化推進会議を設置しまして、改善策の進行管理と内部点検を徹底、その万全を期しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 十年度予算編成に関して、景気、中小企業対策と、雇用対策、企業誘致事業の四点についてお答えいたします。
 まず景気、中小企業対策についてですが、新年度予算におきましては、経済の活性化対策を最重点と考え、中小企業向けの金融対策を初め、新産業の創出支援、企業立地の促進、地域商業の振興など、各般にわたり施策の拡充を図ったところでございます。
 金融対策のうち、貸し渋り対策についてでございますが、昨年十二月から開設しております融資相談窓口の相談件数はこれまでに約六百件に上り、その相談状況や年末の緊急調査の結果などによりますと、金融機関の慎重な融資姿勢や担保不足から今後の資金調達を不安視する声が多く出ております。このため、県独自の無担保枠千五百万円を設定した融資枠五十億円の不況対策特別資金を創設するとともに、既存制度の融資枠を拡大して取り組むこととしております。
 また信用保証協会の指導についてでございますが、保証債務残高は平成十年一月末現在二千三百十五億円、対前年同月比一〇一・五%となっており、また代位弁済は長引く景気低迷を受けて増加傾向が続いており、対前年同月比で一三八%となっております。このような中で、保証の弾力化に向けて昨年十一月、国の緊急経済対策により信用保証協会の経営基盤強化のための基金補助金が三倍強に増額されたところであります。県においても、新年度では出捐金を前年度の約一・五倍と増額し、信用保証協会の経営基盤の強化に努め、保証の弾力化に取り組んでいくこととしております。今後、これらの対策が迅速かつ弾力的に運用されるよう、信用保証協会初め各金融機関に対し積極的に要請してまいりたいと考えてございます。
 次に、議員ご指摘のとおり、最近の雇用情勢は、県内においても長引く景気低迷の影響を受け、依然として厳しい状況が続いております。このため雇用促進事業としましては、各ハローワークにおいて計画的、効果的な求人開拓を実施するとともに、未就職者を対象とした合同就職面接会を平成六年度から実施しております。本年度は、二月二十四日に和歌山ビッグホエールにおいてハローワーク就職フェア98を開催した結果、参加企業百三十社に対し千六百余名の参加者があり、大規模な合同求人選考会となったところでございます。また、県内企業への若年者を中心とした人材確保を図るため、平成三年度から毎年八月に人材Uターンフェアを実施しております。しかし、平成九年度から就職協定が廃止され、企業の採用活動が早くなっているため、従来の人材Uターンフェアに加え、平成十年度から新たに新規大学等卒業予定者を対象とした同フェアを四月に開催する予定としております。さらに、新規高等学校卒業予定者に対して、企業見学会や企業説明会を実施し、県内企業への就職促進を図っているところでございます。
 今後の雇用情勢につきましては、景気の先行きの不安感から景況感に厳しさが見られる中で、雇用環境は引き続き厳しい状況が続くものと予想されますが、さらに経済団体、事業主団体、主要企業等への雇用の維持・確保の要請を行うとともに、各ハローワークにおける求人開拓等を機動的に行うなど積極的に雇用対策を推進してまいります。
 また求人開拓推進員につきましては、三名配置する予定であり、今月中に委嘱し、求人開拓を実施することとしております。
 次に企業誘致につきましては、大阪や名古屋における企業立地説明会の開催やアンケートによる企業ニーズの調査などを実施するとともに、企業訪問などを精力的に行い、昭和五十七年度からことし三月までに県が誘致した企業数は六十八社で雇用者数は三千二百十九人となっております。この五年間の企業誘致の実績ですが、バブル崩壊後ということもあり、誘致企業数九社、雇用者数七百四十人となってございます。また来年度につきましては、今後の経済状況も大きく影響してくるわけでございますが、企業誘致を円滑に推進するため、優遇制度の拡充を図るとともに、各部局と連携して基盤整備などに努め、平成九年度誘致実績の三社を上回るよう積極的な誘致活動を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員のご質問にお答えいたします。
 有本揚排水機場に関する三点のご質問でございます。
 まず一点目の有本揚排水機場の試験運転についてでございますが、これは浄化用水導入の本格的な運用に先立ち、導水の効果や導水による下流部の流水の状況等を確認するため実施しているものでございます。
 議員ご質問の第二回目の試験運転につきましては、その内容をより充実したものとする必要があることから、第一回目の結果を十分に検討した上で実施することにしておりますが、実施の際には関係者の方々に対して必要な事前説明をいたします。
 二点目の有本川に流入する水路整備についてでございますが、これらは松島水路の一部を除き和歌山市が事業主体となってございます。和歌山市では、単独事業により四箇郷地区の浸水対策を実施しておりますが、議員ご指摘の加納、有本支川下流部約五百メートルにつきましては、平成十年度より三カ年程度をかけて整備を進めるとのことでございます。また、県が管理している松島水路下流部の有本川として指定されている区間につきましては、地元の方々や上流部の管理者である和歌山市とも協議いたしまして、平成十年度より整備に着手したいと考えております。
 三点目の和歌山市の公共下水道につきましては、市街化区域ほぼ全域の六千七十九ヘクタールを中央処理区、和歌川処理区、北部処理区の三処理区に分けて計画されております。このうち約二分の一に当たる三千三十九ヘクタールの区域で事業認可を受け事業実施中であり、現在まで三分の一強の整備を完了してございます。議員ご質問の四箇郷地区の下水道整備の実施の見通しでございますが、県としましても四箇郷地区は浸水における抜本的な対策、また有本川の水質改善等、下水道整備が必要な地区と認識しているところでございますので、既に認可されている区域の整備を促進し、早い時期に事業認可を受け、着手できるよう市と協議してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番東山昭久君。
○東山昭久君 ご答弁をいただきましてありがとうございます。
 知事から、男女共生社会の実現に向けて前向きのご答弁をいただきました。知事も、就任以来、この女性政策についてはかなりウエートを置かれて今日まで取り組んでこられました。それは、私は高く評価をしたいと思います。そして、職員の役職率もこの五年間で約六%ぐらい上がっているわけですけれども、これも知事の努力だということで評価をいたします。しかし、残念ながら私が寂しく思うのは、この議場に村岡先生がいらっしゃいますけれども、ほかには女性が一人もいない。大変寂しい限りでございます。管理職の女性についても、これは順番がありますからかなり時間がかかると思いますが、女性を特別にするという意味じゃなくて、これまでの女性に対するいろんな施策がやっぱり不十分であったためにそういう地位に置かれているということでありますから、特別な配慮が必要だと思います。ぜひ今後とも一層のご努力を心からお願い申し上げたいと思います。
 それから、商工労働部長に。
 今日の厳しい経済環境の中で、特に中小企業に対する融資制度で思い切った施策を打ち出されてきております。これも評価をしたいと思うんですけれども、融資を受ける人は大変困っているわけですね。迅速に対応してもらって、融資が早く受けられるような環境をぜひつくっていただきたいと思います。審査が長かったり、ごたごたしていたら、その間に倒産する可能性だってありますので、ぜひとも事務の簡素化も含めて努力していただきたいことを要望して、質問を終わりたいと思います。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十六分休憩
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