平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程   第四号   平成十年三月十二日(木曜日)
                午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
   二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
     1  番    大    沢    広太郎
     2  番    木    下    善    之
     3  番    小    川         武
     4  番    吉    井    和    視
     5  番    下    川    俊    樹
     6  番    井    出    益    弘
     7  番    藁    科    義    清
     8  番    門         三佐博
     9  番    永    井    佑    治
     10  番    新    島         雄
     11  番    向    井    嘉久藏
     12  番    佐    田    頴    一
     14  番    阪    部    菊    雄
     15  番    西    本    長    弘
     16  番    馬    頭    哲    弥
     17  番    谷         洋    一
     18  番    山    下    直    也
     19  番    高    瀬    勝    助
     20  番    松    本    泰    造
     21  番    堀    本    隆    男
     22  番    宇治田    栄    蔵
     23  番    宗         正    彦
     24  番    橋    本         進
     25  番    神    出    政    巳
     26  番    玉    置    公    良
     27  番    上    野    哲    弘
     28  番    東    山    昭    久
     29  番    尾    崎    要    二
     30  番    野見山         海
     31  番    木    下    秀    男
     32  番    町    田         亘
     33  番    中    山         豊
     34  番    井    谷         勲
     35  番    鶴    田    至    弘
     36  番    森         正    樹
     37  番    村    岡    キミ子
     38  番    新    田    和    弘
     39  番    平    越    孝    哉
     40  番    森    本    明    雄
     41  番    長    坂    隆    司
     42  番    冨    安    民    浩
     43  番    飯    田    敬    文
     44  番    中    村    裕    一
     45  番    松    本    貞    次
     46  番    大    江    康    弘
     47  番    和    田    正    人
欠 席 議 員(一人)
     13  番    和    田    正    一
説明のため出席した者
     知 事     西    口         勇
     副知事     山    下         茂
     出納長     高    瀬    芳    彦
     知事公室長   野    見    典    展
     総務部長    中    山    次    郎
     企画部長    藤    谷    茂    樹
     生活文化部長  中    村    協    二
     福祉保健部長  小    西         悟
     商工労働部長  上    山    義    彦
     農林水産部長  平    松    俊    次
     土木部長    長    沢    小太郎
     企業局長    佐    野    萬瑳義
     教育委員会委員長職務代行者
             安    藤    精    一
     教育長     西    川    時千代
     公安委員会委員 中    尾    公    彦
     警察本部長   米    田         壯
     人事委員会委員長
             若    林    弘    澄
     代表監査委員  宮    市    武    彦
     選挙管理委員会委員長
             谷    口    庄    一
     以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
     事務局長    西    畑    彰    久
     次  長    前         晴    夫
     議事課長    佐    竹    欣    司
     議事課副課長  島         光    正
     議事班長    松    谷    秋    男
     議事課主査   川    崎    良    雄
     議事課主事   大    浦    達    司
     総務課長    塩    路    義    和
     調査課長    湊         孝太郎
 (速記担当者)
     議事課主任   吉    川    欽    二
     議事課主査   鎌    田         繁
     議事課速記技師 中    尾    祐    一
     議事課速記技師 保    田    良    春
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  午前十時三分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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  【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 25番神出政巳君。
  〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 おはようございます。
 お許しを得ましたので、通告に基づき順次ご質問申し上げます。
 冒頭、今回の質問に当たりましてのコンセプト、基本理念について申し述べたいと思います。
 「三位一体」という言葉があります。もとの意味は、父なる神、そしてキリスト、そして聖霊は一体ということでありますが、もう一つの意味としてとられているところの、三つのものが心を合わせて一つになるということであります。長野冬季パラリンピックもあと三日となりましたが、つい先ごろ、日本国民に大きな感動と勇気を与え、成功裏に閉幕した長野冬季オリンピックで、つくづくこの「三位一体」ということを感じました。
 私自身、紀州生まれの紀州育ちということで、余りウインタースポーツにかかわることもなく興味もなかったわけでありますが、長野冬季オリンピック開幕早々、男子スピードスケート五百メートルでの清水選手と女子フリースタイルスキーモーグルでの里谷選手の相次ぐ金メダルに、すっかりオリンピック漬けになってしまいました。両選手の共通点は、父親を亡くされ、お母さん初め家族が大変ご苦労され、献身的に支えられ、晴れの舞台での大活躍になったとマスコミは報じ、美談として大きく取り上げられました。私も、大いに涙したものであります。しかし、よく考えてみると、お父さんがなくても、お父さんにかわるコーチの方、指導者、支援団体が周囲におられたわけであります。男子スケートショートトラック五百メートルで銅メダルをとられた方のコーチは、失業し、雇用保険をもらいながらの指導であったということであります。月並みな言い方かもしれませんが、まず第一に主役として本当によく頑張る選手、第二に献身的に支える家族、そして第三に犠牲的精神で奉仕する指導者の三位が一体となったからこそ偉業をなし得たのではないでしょうか。時代おくれ、古い考え方かもしれませんが、昨今の世相について物思うとき、この「三位一体」という言葉がつい脳裏をかすめるものであります。
 「二十一世紀の故郷(くに)づくり」に置きかえてみると、まず第一に本当によく頑張る主役である県民、第二に献身的に支える西口知事以下県職員、そして第三に犠牲的精神でチェックしアドバイスする県議会議員の「三位一体」こそが基本理念ではなかろうかと私見を前段申し上げ、以下、質問に入ります。
 まず第一点、平成十年度当初予算についてお尋ねいたします。
 全国四十七都道府県の中で、平成十年度当初予算案で平成九年度と比較可能な四十四都道府県のうち三十六都府県の一般会計が実質マイナスとなっております。財政健全化債を発行する府県もあり、非常に厳しい財政運営を強いられております。大変な時代が始まったと言うべきか、楽な時代が終わったと言うべきか、みんなで変わらなければ、みんなが生き残れない時代が来たということは確かであります。
 本県も、一般会計は伸び率二・七%でありますが、地方消費税関連経費を除いた実質的な歳出規模比較ではマイナス〇・四%となっております。しかし、こういった背景の中、西口知事初め事業部局、財政当局のご尽力のたまもの、私どもが要望した事業につきましてはほぼ網羅して予算計上していただき、会派を代表し感謝を申し上げ、大いに評価するものであります。
 さて、当初予算編成の基本的考え方として、財政事情の中期展望に基づき、構造的な財源不足の解消を段階的に図るため、基本要求限度額の設定など一般行政経費の縮減に始まり、最少の経費で最大の効果を上げるべく、行財政改革の推進、事務事業の徹底見直しの実施、重点化調整枠の設置等により、緊急性、必要性の高い分野に重点配分、縦割り型発想を打破するための組織横断型予算編成手法を導入と掲げられました。しかし、一般行政経費の縮減は主に投資的経費の六十八億円の圧縮であり、義務的経費の削減については主たる人件費等、なかなか困難であるように思えます。
 そこで、行財政改革の徹底推進となれば、策定三年目に当たる本年、喫緊の課題として数値目標を上げて本県の行革大綱の見直しを図らなければならないと思いますが、どのようにお考えか、知事にお尋ねします。
 そして、むだな事業を見直し、歳出削減につなげるための具体的方策として、事業評価システムの導入が他の県で相次いでいるわけでありますが、時のアセスメントの実施、事務事業総点検の制度化、業務棚卸表、客観的事業評価基準づくり等であります。職員の意識を変えるためにも、まずシステム、ルールを変えなければなりません。事業評価はもちろん、担当職員の評価にもつながります。そして、政策研究、政策評価について、民間シンクタンクで取り組まれている著名な方が身近な和歌山大学大学院客員助教授におられます。行政、大学、シンクタンクの三位一体の連携で取り組まれてはいかがかと思います。事務事業の見直しについて、具体的検討内容、今後の見通しについて、あわせ知事にお尋ねします。
 また、縦割り型から組織横断型への予算編成については、生産者から消費者、生活者の立場への視点の転換も考慮され、なされるべきであり、具体的には今回どのような工夫をされたのか、電算システム等を使い、もっとわかりやすく提示すべきではないか、総務部長にお尋ねします。
 次に投資的経費については、知事は議会冒頭、国の財政構造改革等の影響により大変厳しい状況であったと説明されましたが、政府予算案の公共事業費削減はどのように本県当初予算編成に影響があったのか、どれくらいの規模であったのか、政府当初予算成立直後の補正対応の限度も、あわせ総務部長にお尋ねします。
 引き続き、知事が特に強調された「創造力あふれる産業づくり」、新産業の創出についてお尋ねします。
 商工労働部と土木部とで連携実施されるということでありますが、時代を先導する新産業の創造、立地のための環境整備などについて調査検討、必要なインフラ整備の方向づけとありますけれども、具体的にどのように実施されるのか、そして近年のベンチャービジネスへの支援と成果について商工労働部長にお尋ねします。
 一九八三年(昭和五十八年)に野村総研が調査された当時、新しい産業七十二業態のうち五十七業態が関西で生まれたものであったということであります。主なものに、コンビニ、スーパー、引っ越しセンター、人材派遣会社があったそうであります。それが、バブル時に新しい産業が全く起こらずゼロということで、バブル崩壊後の関西圏、特に大阪府周辺の経済の落ち込みを助長したようであります。ここで、何とか和歌山県が再浮上するためにも誇りを持って、ハードに偏らず、住民サービスに八〇%、残り二〇%のうち少なくとも一〇%は地域振興につながるような新産業の創出を願うものであります。
 引き続きまして、県立医科大学跡地利用についてお尋ねします。
 二月二十六日、知事は県立医科大学跡地利用懇話会を設置、有識者十三名の委員により第一回会議を開いたということであります。平成十一年五月に紀三井寺への移転整備が完了予定ということで、新医大への移転スケジュール初め移転後の跡地の敷地条件、県立医科大学及び附属病院の現況の建物配置図、都市計画法及び建築基準法の改正による新用途地域制度についてほか、財団法人和歌山社会経済研究所がまとめられた跡地利用に関する県民意識調査結果の概要、そして跡地周辺の主要施設配置図が資料として配付されたようであります。当日、委員からは活発な意見が出され、次回は五月下旬以降に開催予定、十一月ごろには懇話会としての最終結論を出し、知事に報告する見込みとのことであります。
 そこで、以下四点、企画部長にお尋ねします。
 まず、今回の広く有識者に意見を聞く会を何ゆえ懇話会としたのか、懇話会とした意義についてお尋ねします。
 そして、次回の懇話会には県が活用方法の原案をまとめ提示するということでありますが、どのようなものを考えているのか。
 また、最終結論として出された報告をどのように扱われるのか。
 そして、基本構想策定後、今後の年次計画はどのように考えているのか、お尋ねします。
 県民意識調査や委員の意見にあるように、私は隣接地区を含めた跡地利用を考えるべきだと思います。スクラップ・アンド・ビルド──特に強く思い浮かぶのは、県庁舎の移転先として検討すべきではないかということであります。
 以下、私案を述べたいと思います。
 新しい県庁舎の建設については、先輩議員の本会議での一般質問に対する答弁や月曜会の勉強会での当局よりの説明によると、県庁舎建設事業として各種調査初め基金積み立てが行われているということであり、近々現地再開発か他の場所へ移転かの結論を出すときが迫っているとのことであります。
 事業規模調査では、先進事例を参考に、行政棟、議会棟、警察棟、そして駐車場を合わせ延べ床面積約十一万三千三百平方メートル、現地建設調査では周辺の用地買収、用途地域の変更等が必要、建設費約六百億円、うち二分の一を基金で、残りを起債と一般財源でということであります。しかし、基金積み立てについては、平成元年三億円に始まり、平成九年度末合計で約八十四億円、厳しい財政状況のもと、今年度当初で十億円余りで、なかなか先は困難であります。
 そこで、一つの事例として、現在お隣の大阪府が財政状況逼迫した中、新庁舎建設に取り組もうとしている話があります。一千億円とも、一千六百億円とも予測される事業費だそうでありますが、現庁舎の老朽化に加え、出先機関の年間家賃約二十五億円を考慮すれば、待ったなしのときが来ているということであります。民間活力の導入ということで、新宮康男会長率いる関経連より信託方式で建設してはとの提言を受けているようであります。最新のOA化に対応できるものを二棟建設し、一棟は府庁と関連のある民間企業、団体がテナントとして入れるようにし、年間約八十億円の家賃を徴収し、約三十年で償還、ペイできるようにというものであります。法律で無理でも条例をつくって、世論の後押しを背景にして強く政府と交渉し、具体化に検討すべきかどうかというのが現在の山田勇大阪府知事の心境だそうであります。作家の堺屋太一氏などは、いっそのこと大阪府庁と大阪市役所の合併まで申し入れているようであります。変化の激しい時代にあって将来を見据えるとき、かなり柔軟に臨機応変に対応できる準備が必要かと思います。
 こういった動きの中、本県としても、同じく新庁舎建設を具体化検討する中、和歌山市役所に隣接する県立医科大学跡地は適地ではないかと思うわけであります。具体的には、十二番丁の附属病院別館病棟は昭和五十九年建設で建物も新しく、道路で隔てられている関係もあるので外し、医科大学及び附属病院とそれらの西側に接する和歌山市立伏虎中学校を含めた地区で考えてみたいと思います。伏虎中学校の敷地面積は約一万三千平方メートルありますが、昭和五十七年四月の校区変更や楠見中学校の新設もあり、この二十年で生徒数は四分の一以下に、クラス数で約三割に減っており、近隣の城東中学校や西和中学校、そして本町、城北、雄湊、大新、新南、広瀬の六つの小学校の減少比率においても同様の傾向が見られ、ドーナツ化現象、少子化現象が強く出ています。それぞれの学校には歴史と伝統がありますが、県としては教育委員会、和歌山市役所、和歌山市教育委員会とも諮り、教育の中身の検討にあわせ、小学校は無理としても中学校の統廃合について検討をなされてはいかがと思います。伏虎中学校敷地に合わせた九番丁の医大本部、及び基礎医学舎と七番丁の附属病院第一・第二・第三病棟、診療本館、第五・第六病棟の敷地と南北の市道を含めた面積の合計は約三万平方メートルとなり、現在の小松原通一丁目一の敷地約二万二千平方メートルよりも四割近くふえ、容積率も用途地域の関係で六〇〇%であり、あわせ建物の老朽化の著しい西警察署跡も移管先の和歌山市役所と協議し地区として大きく活用すれば、規模、延べ床面積約十一万三千三百平方メートルの新庁舎は十分満足できるはずであり、テナント等も収容でき、大阪府庁の検討中の話も考慮すれば現実味も帯びてくる構想に思えます。現県庁舎跡地、小松原通一丁目一については、コンベンションホール、都市型ホテル等の建設を考える場合でも、収益を上げるべく民間ディベロッパーや信託会社にゆだねるか、財源とすべく思い切って売却すべきであると思います。また今後、地方振興局や市町村の役所建物の建てかえの際には、両者が同居するか隣接するかの考えと、出入りの関連業者、団体への配慮が重要なポイントとなってくると思います。
 以上、私案を述べまして当局への提言とさせていただき、知事におかれては、県立医科大学の跡地利用については、拙速な判断は避け、十分慎重を期され、考えられる限りの選択肢を検討され、二十一世紀新時代を想定の上、大胆な決断をされることを要望いたします。
 最後に、本日、今、同時刻に行われている公立高校の入試に関連して、四点教育長にお尋ねします。
 「十五の春を泣かすな」、三十二年前の私と同じく、きょうの受験生と同様、この一般質問演説を控え、私も震え、昨日は眠れませんでした。受験生の皆さんの健闘を祈るのみであります。
 それでは、まず入試の出願状況についてでありますが、昨年とほぼ同様、和歌山西、大成、伊都に欠員が多く見られます。三校とも昨年より欠員がふえ、二クラスから三クラス分が余る状況となっています。
 私の住まいに近い大成高校、海南高校について見ますと、大成高校は、昨年は当初六十一名欠員で、二次募集の結果、四十名欠員でスタートとなったわけであります。ことしは八十五名欠員で、二百名の定員に対しては倍率が〇・五八と、かなり低いものとなりました。私どもも、昨年秋、地元中学校PTAの役員さんたちに同行し、教育長初め関係部局へ学級数の維持をお願いしたわけであり、そのまま据え置いていただいたことに大変感謝している次第でありますが、海南高校は、昨年は三十六名オーバー、ことしは四十四名オーバーと、かなりのアンバランスになりました。
 中学校関係者にお話を伺いますと、海南が難しくてもまず海南を受け、不合格であれば大成の二次へは行かず、既に併願で受かっている私立へ行くということであります。消費者すなわち生徒、保護者のニーズに大成は合っていないということであります。昨年の初夏、このことで教育長にお尋ねしますと、大成のことは学校もいろいろ取り組んでいるので、それを大切にしているということであり、大成高校の校長に尋ねますと、教職員一丸となって地域社会全般に目を向け、活性化、再編に努力しているとのことでありました。しかし秋の時点では、教職員一丸となった取り組みにもかかわらず再編方策は決定できず、今春は昨春と同じ轍を踏んでしまう結果となりました。一方、総合学科での和歌山高校、有田中央高校等の成功事例があります。制服一つ取り上げても雰囲気が変わり、生徒の意識が変わりました。そこで、何とか活性化、再編するために、大成の現場からはどのような中間報告が上がってき、教育委員会からはどのような指示が出されているのか、お尋ねします。
 同じく、校区内には海南市立高校と下津女子高校があり、これまた多数の欠員を出しています。一昨日の先輩議員との議論にありましたように、広域的に公立高校の役割分担の明確化や学科の再編、そして先ほど申し上げた和歌山市内中心部の中学校と同様、生徒の減少著しい海南市内の六つの中学校の統廃合を含む海南・海草地方の公立四高校の中での中高一貫教育のモデル校設置についても、あわせ市や町の教育委員会と協議し検討すべきではないのか、教育長にお尋ねします。
 また町村文部大臣は、二月二十四日の閣議後の記者会見で、完全学校週五日制について、これまでの目標としていた二〇〇三年度を一年繰り上げる方針を明らかにしました。少年事件が相次いだことなどから教育改革を急ぐ必要があるとの判断からで、教育改革プログラムを四月に再改訂するということであります。
 そして、政府は一昨日、公立の中高一貫校を中等教育学校と規定し設置できるよう、学校教育法を初めとする関連法の改正案を閣議決定し、今通常国会に提出しました。成立すれば、来年度から新しいタイプの一貫校を設置することが可能になり、一貫校の新設を提言した中央教育審議会は、受験競争の早期化につながるおそれがあることから、入学時に学力試験を課さないことなどを求めており、法案成立後、文部省は通知などにより都道府県教委に徹底を求めていくとのことであります。現実に、県下にまずモデルケースとして海南市に一校、中等教育学校を設置されてはいかがでしょうか。真にゆとりのある、魅力ある、生徒、保護者のニーズに合う中高一貫校の設置が検討できないものでしょうか、お尋ねします。
 次に、定時制高校の存在アピールと充実強化について見解をお尋ねします。
 十日前の高校の卒業式に、例年どおり、午前中は全日制、夜は定時制に参加させていただきました。夜の定時制の方は、人数こそ寂しいものでありましたが、卒業生、在校生、保護者、教職員一体となった、厳粛な中にも心温まる感動の残る式典でありました。全日制の方は、一月十五日の成人式と同様、がっかりさせられる点も多々あり、時代の流れかなとも思いましたが、なぜこうなるのかなとも思いました。
 定時制には、三修制、昼間もあります。今までの経済成長一本やりで走り続けてきた反省を込めて、年々増加する高校中退者や登校拒否生徒、障害を持つ生徒の受け入れ校としての意義も大であり、定時制の存在アピールと充実強化についてお尋ねします。
 次に、県立校の管理職登用と権限についてお尋ねします。
 今春の人事異動から新方式で管理職が登用される方針とのことでありますが、新しい手法について大いに期待するものであります。どのような組織でも、その組織のリーダーの器以上にはならないというのが世の常であります。思い切った人材登用、抜てき人事が組織を活性化させるものと信じます。学校運営初め人事などに思い切って力が発揮できるよう、責任ばかりでなく権限もきちっと付与していただきたいものであります。主役として真に頑張る子供、献身的に支える家庭、犠牲的精神で奉仕する教職員による三位一体の学校教育には強いリーダーシップを持った学校経営者の養成がまず肝要かと申し上げ、県立校の管理職登用と権限についてお尋ねします。
 以上で、第一問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 神出議員にお答えをいたします。
 まず、行革大綱の見直しについてのご質問でございます。
 ご承知のように、現在の行政改革大綱は、おおむね平成十年度までの三年間の取り組みに係る基本的な考え方を示したものでございます。このため、今後とも継続した取り組みを円滑に進めていくために見直し作業を精力的に行いまして、平成十年のできるだけ早い時期に改定を行うよう指示をしておるところでございます。
 今回の見直しにおきましては、より具体的でわかりやすいものにすること、また財政構造改革や地方分権の推進との整合性を図ることに重点を置く必要があろうと考えてございます。このために、数値目標の設定、実施計画の策定並びに事務事業の評価システムの導入など、新たな具体的方策についても積極的に検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 また、県立医科大学跡地の活用のご要望については、十分承っておきたいと存じます。
 他の問題については、関係部長から答弁をいたします。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 平成十年度予算についての中の二点にお答えします。
 まず組織横断型予算編成についてでございますが、十年度予算編成でこのような手法を導入いたしましたのは、一つには県政の今日的課題を効率的に推進していくためには、所管の枠を超えた施策の総合化といった視点が不可欠でございます。さらには、厳しい財政状況の中で限られた財政資金をより有効に活用していくためには、縦割りの発想から脱却して、部局の枠を超えた予算の重点化と効率化を図っていく必要があるとの認識に基づくものでございます。
 このように組織横断型予算編成は、要求段階から関係課室間で十分な協議と調整を行うというプロセスを重視して、予算に対する発想の転換を企図したものであります。十年度予算は、この方式導入の初年度でもあることから、県政の重要課題である交通、情報等、七つのテーマについて試行的に実施しましたが、議員ご指摘のような点や本年度の成果を踏まえ、さらなる工夫を凝らしながら、次年度以降もより効率的でわかりやすい予算の編成に努めてまいりたいと存じます。
 次に、政府予算の公共事業削減による影響額についてでございますが、県の歳出ベースでは約五十六億円、財源的には国庫支出金で約二十五億円の減少となっております。また、景気対策としての補正予算への対応につきましては、国の動向を注意深く見守りながら、これと軌を一にした適切な対応を図ってまいらなければならないと考えてございますが、現時点では規模や内容などまだ不明でございますので、詳細が明らかになった段階で具体的に検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 平成十年度予算についてのうち、新産業の創出、支援と成果についてお答えします。
 まず新産業の創出に係る調査事業についてですが、本県産業の発展のためには、地域産業の高度化、新分野への進出や新規創業の支援、また新規産業の導入などの取り組みは大変重要なものと考えており、当事業はこのような観点から必要な環境整備の方向性について総合的に調査検討を行うものでございます。
 具体的には、今後の高規格道路や港湾などの交通基盤の整備、進展を踏まえて、企業へのアンケート調査等を実施し、本県に立地可能な成長産業の抽出、また工業団地と幹線道路間のアクセス改善など、企業立地促進に向けての事業環境等について関係部局と連携を図りながら調査検討してまいりたいと考えてございます。また、ベンチャー企業など新産業を育成する上で有効な支援制度についても検討を行うこととしてございます。
 次にベンチャービジネスに対する支援と成果でございますが、県ではこれまで中小企業創造活動促進法に基づき二十七件の企業の研究開発事業計画を認定し、技術面、資金面から四つの支援策を実施してきております。八年度からの実績といたしましては、まず研究開発に対する補助金が十五件、一億百三十万円、次に研究開発に係る設備投資等への低利融資が十九件、五億六千九百三十万円、また専門家の派遣指導に対する補助が五件、七百二十万円余、そして民間ベンチャーキャピタルを通じた間接投資が一件、一億円となってございます。なお、計画を認定した企業のうち、冷凍豆腐の製造を行っている田辺市の株式会社テンドレにつきましては、ことし一月、その技術開発等の独創性が評価され、国の推薦を得、大変歴史のある社団法人中小企業研究センター賞を受賞してございます。県といたしましては、今後ともこのような創造的企業が次々に創出されるよう積極的に支援してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
  〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 神出議員にお答え申し上げます。
 和歌山県立医科大学の跡地利用の検討に当たって懇話会を設置したことについてでございますが、当懇話会は医大跡地利用について各界の方々による幅広い見地からのご意見やご提言をいただくことを主目的として設置したもので、去る二月二十六日には第一回会議を開催させていただいたところでございます。
 次に、次回の懇話会に提出する県としての活用原案についてでございますが、当該地は県都和歌山市の中心に位置しており、和歌山城を前面に臨むというすぐれた立地条件を有してございます。このような立地条件を生かしつつ県勢活性化を図るとともに、県民生活の向上に資するため、次回の懇話会におきましては、これまでの県議会でのご提言や第一回会議における各委員のご意見等を踏まえて、跡地に導入すべき幾つかの都市機能を示してまいりたいと考えてございます。
 次に懇話会よりの最終報告の取り扱いについてでございますが、これにつきましては提出された報告を十分に尊重しつつ、さらには県議会のご意見もお聞きして県としての基本構想を策定してまいりたいと考えてございます。
 基本構想策定等、今後のスケジュールにつきましては、平成十年度中に基本構想を策定してまいりたいと考えてございますが、その後は県立医科大学の移転スケジュール等を勘案しつつ、構想に位置づけられた機能または施設などについて事業化方策の検討や基本計画の詰めなどを行い、実現化に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
  〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育に関する四点についてお答えいたします。
 最初に、高等学校の活性化についてでございます。
 ご指摘の大成高校では、これまで進度に応じた習熟度別授業の導入、進学を希望する生徒向けの特設クラスの設置、さらに地域とのつながりを大切にした学校開放モデル事業等を実施してきております。また昨年来、特色ある学科の新設や単位制の導入等について活発に論議するなど、校長のリーダーシップのもと懸命の努力を続けております。教育委員会といたしましても、生徒や保護者の願いにこたえることのできる魅力ある学校づくりの観点に立って積極的に指導、助言を行ってきたところでございますが、このたびの入学者選抜において、残念ながらご指摘のような出願状況となっております。このことを厳しく受けとめ、学校の活性化に向けて今後ともより一層の支援に努めてまいります。
 次に、中高一貫教育のモデル校設置についてでございます。
 従前からお答えいたしておりますとおり、さまざまな課題があることから、慎重な対応が必要であると考えております。市立、町立の学校への設置については、設置権者である市及び町において判断されるものでございますので、市から協議があった際には必要な助言をさせていただきたいと考えております。
 次に、定時制教育の充実についてであります。
 これまで、単位制による課程の設置、三年間で卒業できる制度、いわゆる三修制の導入、全日制を含めた幅広い学校間連携などの施策を講じてまいりました。これらの施策や一人一人へのきめ細かな指導により、生徒たちはさまざまな条件を乗り越え、それぞれの目的の実現に向けて生き生きと学習に取り組んでおります。こうした姿を企業関係者を交えた就職懇談会や県産業教育フェア等を通して紹介するなど、定時制のよさや魅力について広く県民に訴えてきているところであります。定時制教育には、生涯学習体系の中で新たな役割が求められていることをも踏まえ、今後一層の充実、振興に努めてまいりたいと考えます。
 次に、管理職の登用と権限についてであります。
 ご承知のように、今日の学校経営には生徒指導を初めとするさまざまな課題に対応できる強力なリーダーシップの発揮が求められてございます。こうした中で、県立学校の管理職登用に当たっては、従前、学校長の推薦に基づいて選考してまいりましたが、さきの文教委員会において幅広く人材を登用する必要があるとのご指摘があり、本年度は教育委員会が指名する者も学校長と協議の上で管理職候補者に加え、選考検査を実施したところでございます。また、個性豊かな教育を行うためには、各学校が創造性を発揮し、主体的に教育活動を推進することが肝要であり、学校長には教育課程編成権や人事の内申権などを与えてございます。今後とも、教育委員会と学校現場が一体となった教育の推進に努めてまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で神出政巳君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番東山昭久君。
  〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 おはようございます。
 通告に従いまして、一般質問をいたしたいと思います。
 本議会は、一九九八年度の予算案を審議する議会でもありますので、先輩議員の質問と一部重複するものがありますが、お許しをいただきたいと存じます。
 まず、九八年度予算編成に関して質問いたします。
 地方財政は、政府の地方財政計画に大きく依存しており、県の予算編成に当たっては、政府の地方財政計画の主要施策の特徴を生かし、いかに活用しながら県独自施策をどのように出すかであると思います。
 九三年に連立政治が始まって四年余りたちました。五五年以降、ほんの一時期を除いてずっと続いた自民党一党政治が終えんし、連立政治の時代を迎え、政治は大きく変わろうとしています。現政権は自民党が復権をいたしましたが、連立政治のため、かつてのように自民党の政策を強引に実現するようなことはなくなり、多くの政策課題は与党協議というふるいにかけられ、チェックされ、政策が決定されるという与党政策協議が定着をしてきています。九八年度政府予算案は現在国会で審議されていますが、予算編成に連立政治の成果がどう出たのか見てみたいと思います。
 まず、所得税減税として二兆円の特別減税が実施されました。法人税率の引き下げとして、基本税率三%、中小法人税率三%の引き下げ、課税ベースの拡大等で二千から一千四百億円の減税が行われました。さらには政策減税として、教育関係で特定扶養控除額の引き上げ、所得税控除五十三万円を五十八万円、個人住民税四十一万円を四十三万円、介護関係では、特別障害者控除額の引き上げとして所得税控除三十五万円を四十万円、個人住民税二十八万円を三十万円に、同居特別障害者控除額の引き上げとして所得税控除三十万円を三十五万円に、個人住民税二十一万円が二十三万円に、通勤関係では、通勤費の非課税限度額の引き上げとして五万円を十万円に、住宅関係では、住宅財形貯蓄の非課税引き出し限度額の引き下げが百万円を七十万円に、その他の課題として、子供や高齢者などの福祉関係予算の確保として二兆六千二百七十二億円、四・二%の増、少子化社会への対応として、大蔵省原案に対して延長保育補助額を三十億円上積み、児童扶養手当の一部支給に係る所得制限二百七十万円を三百万円に引き上げ、そのための財源として十億円の上積み、薬価の大幅引き下げ九・七%、低所得者層千四百二十三万人を対象に臨時特別給付金の支給、中小企業への貸し渋り対策の拡充など、いわゆる弱者に対する予算面での配慮がなされ、与党政策協議の成果が出ているのであります。
 さて本題に戻りますが、九八年度予算案に関して、順次、四項目にわたって質問いたします。
 昨年十月七日、総務部長名で財政の中期展望及び九八年度予算編成方針が明らかにされたのであります。それによると、国、地方自治体とも財政状況は極めて厳しいとの認識のもと、九八年度から二〇〇〇年度までの財政中期展望──名目成長率三・五%前提──の推計として、歳出では九八年度から五千九百九十七億円、六千百十億円、六千二百二十二億円、歳入では九八年度から五千六百五十五億円、五千七百三十一億円、五千八百五十一億円となり、要調整額は九八年度から三百四十二億円、三百六十九億円、三百七十一億円、県債残高は二〇〇〇年には六千三億円、公債費の急増に加えて基金残高の減少という極めて深刻な財政事情となることを明らかにされ、九八年度予算編成においては、一般行政経費は厳しい要求基準の設定、重要施策については思い切った予算の重点化を図る調整枠の設定、組織横断型編成手法の導入、予算の一層の合理化、効率化を図ることを明らかにされたのであります。その結果として、今議会に一般会計予算総額五千九百六十四億八千九百三十三万五千円が提案されたのであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 財政状況が大変厳しい中、中期展望に立って財源の確保及び財政運営は今後どのようにされていくのか、伺いたいと存じます。
 昨年八月、予算執行状況調査結果が明らかにされ、ほぼ全庁的に旅費、食糧費、消耗品、賃金など幾つかの科目の一部において適正を欠いた事務処理が行われており、これらの支出金は慶弔費、接待・懇談会経費、会議の負担等を中心として組織の運営費などに充てられていたことが判明した。その額は九四年から九六年度で総額十三億四千四百四十三万八千円であり、幹部職員の責任で返還され、幹部の処分も行われたのであります。改善策の基本的な考え方として、予算の不適正執行は予算及び制度と実態との間に乖離があったこと、公金に対する職員の意識が希薄になっていたことや、組織全体としてのチェック機能が十分に働いていなかったことなど、さまざまな要因が複合的に作用して生み出されたもので、組織全体のあり方、職員の公僕としての倫理観等が大きく問われることとなった、この背景、原因を踏まえ、今後二度とこのような事態が起こることのないよう万全を期すため、一、職員の意識改革、二、予算措置と執行システムの改善、三、情報公開の充実、四、監視機能の強化の改善策を明らかにされ、この改善策の着実な推進を図り、県民に信頼される県政の推進に全力で取り組むことを県民に約束されたのであります。
 そこで、総務部長にお尋ねします。
 改善策として打ち出された予算措置と執行システムは、九八年度予算編成でどのように改善されたのか、また職員の意識改革、情報公開の充実、監視機能の強化をどのようになされたのか、伺うものであります。
 次に、景気・中小企業対策に関して質問いたします。
 「景気の『春』なお見えず 消費・生産・雇用・設備投資 指標、底ばい続く」、これは二月二十八日付の朝日新聞の経済欄の見出しです。「景気判断の目安となる主要経済指標の一月分が二十七日にでそろった。消費動向は、金融不安を機に景況感が一気に悪化した昨年十一、十二月のような急落に一応の歯止めがかかったものの、底を打ったとはいえない。景気を下支えしてきた設備投資も黄信号がともったまま。生産は弱含み、雇用情勢は厳しさを増している。後退色の強い景気の先行きにまだ明るさが見えず、『サクラの咲くころには回復』という目標は達成できそうにない。大型減税などの景気対策を求める声はますます強まりそうだ」と、依然として日本経済は低迷を続け、金融不安がさらに拍車をかけ、厳しい状況であることを報じていました。
 県経済の状況は、紀陽銀行の「経済月報」二月号によると、「県内景気は足踏みを続けている。生産は主力の『鉄鋼業』が伸び悩んでおり、『繊維』など地場の製造業の動きも鈍くなっている。需要面をみると(中略)個人消費は低迷している。大型小売店販売額は(中略)前年割れとなっており、新車販売も前年比大幅なマイナスとなっている。住宅建築は、『分譲住宅』『貸家』で(中略)回復に転じたと言える状況にはない。公共工事は比較的堅調に推移している。雇用情勢は厳しい状況が続いている」としています。
 県内の過去五年間の企業倒産件数は、九三年百九件、九四年百二十件、九五年百六十七件、九六年百二十八件、九七年百六十七件、本年一月末で十五件、二月は九件と年々増加の傾向にあり、県経済は深刻な状況となっております。景気対策は極めて重要な課題であり、特に地場中小企業対策は最重点施策として取り組んでいかなければなりまん。
 知事は、本会議冒頭の議案説明で、「予算編成に当たりましては、県民の間に広がりつつある金融不安や景気後退への懸念を払拭するため、経済の活性化を最重点の柱に据え、作業を進めてまいりました。 中小企業融資につきましては、新たに不況対策特別資金を創設するなど、中小企業者に対する融資枠を質量ともに充実するとともに、貸し渋り対策等にも積極的な施策を展開したところであります」と述べられました。景気・中小企業対策を最重点施策として拡充されたことは評価したいと思います。しかし、現実には民間金融機関の貸し渋り、また県保証協会の審査が厳しい、担保問題など融資を受けるにも簡単にはいかないという声も聞かれます。
 政府は、中小企業への貸し渋り対策の拡充として、信用保証協会の基金補助金を大幅に増額、二十七億円を百億円にするなど信用補完制度を充実、また無担保・無保証のマル経──中小企業経営改善資金融資──の拡充、国民金融公庫などの中小企業向け融資の強化など改善策を打ち出しました。今までの制度では二%、つまり百億円融資したら二億円までは返済がなくてもいいという制度になっていました。そのリスクの範囲で保証協会として保証をしなさい、これが一〇%に引き上げられ、百億円のうち十億円までは返ってこなくてもいいんだということになったのです。貸す方も貸しやすく、借りる方も借りやすくなり、融資を受けて頑張ってみようということで、それによって業績が好転する可能性も多くなります。中小企業の皆さんは、厳しい経済環境の中で経営努力によって乗り切る努力をしてきました。しかし、今日の状況は経営努力だけでは限界があります。中小地場産業の活性化なくしては県経済の回復は見込めません。
 そこで、商工労働部長にお尋ねします。
 景気対策、中小金融対策について、特に貸し渋り対策、県保証協会への指導、融資が受けられやすくするためどんな対策を講じられたのか、答弁を求めます。
 次に、雇用対策、企業誘致事業について質問します。
 総務庁が二月二十七日に発表した労働力調査によると、一月の男子の完全失業率は三・七%で、前月に比べて〇・三%上昇し、現行調査を始めた一九五三年以降で最も高かった九六年五月の三・六%を上回り最悪となった、男女平均の完全失業率は三・五%で、四カ月連続して最悪記録となったことを明らかにしました。完全失業者は二百三十八万人で前年同月に比べて十六万人ふえ、うちリストラによる解雇など非自発的離職は六十五万人で十三万人増加。よりよい労働条件を求めてやめる自発的離職は八十九万人と六万人減った。非自発的離職は四カ月連続して増加し、雇用情勢は質的にも一段と悪化していると言われています。一方、労働省が発表した一月の有効求人倍率は〇・六四倍で前月比〇・〇三ポイント低下し、四カ月連続で悪化した。九六年以降最も低い水準となったことを明らかにしました。
 職業安定課の資料によると、県内の有効求人倍率は、九四年以降、〇・六九倍、〇・六三倍、〇・六六倍、〇・六九倍、〇・六三倍と、雇用情勢は依然として厳しい状態が続いていることがわかります。職業安定課では、雇用促進事業として今日まで一般雇用対策、若年者雇用対策、障害者雇用対策、同和対策就職促進、高齢者雇用対策、地域雇用開発等促進、人材Uターン促進事業に取り組んでこられました。今年度新規事業としてシルバー人材センター連合事業を予算化されております。これらの事業の取り組み状況と今後の雇用情勢の見通しについてはどうか。また、労働省は中高年層の雇用をふやすため三月から求人開拓推進員二百人を都市部の公共職業安定所に配置となっていますが、和歌山県には何名配置されるのか、以上について商工労働部長にご答弁を求めます。
 雇用確保、県経済の活性化のためにも企業誘致事業は極めて重要な課題であります。職業安定課からいただいた高等学校卒業の県内・県外就職状況によると、九四年三月末時点で、三千五百八十六人のうち、県内就職者は二千二百三十四人、六二・三%、県外就職者は千三百五十二人、三七・七%、男女別では男子が千九百一人で、県内は千七十一人、五六・七%、県外へ八百三十人、四三・三%、女子千六百八十五人のうち県内千百六十三人、六〇%、県外五百二十二人、四〇%、九七年では、二千六百四十九人のうち県内千七百四十七人、六五・九%、県外九百二人、三四・一%、ことし一月現在で就職内定者は、二千三百十人のうち県内千四百五十八人、六三・一%、県外八百五十二人、三六・九%となっており、大学進学者も九七年度、四千七百六十五人のうち県内大学へは三百八十人、県外の大学へは四千三百八十五人となっています。大学を卒業して県内へ就職するのは、そんなに多くないと思います。このことは、県内に働く会社や企業が少ない現状をあらわしていると同時に、優秀な労働力が県外へ流出し続けていることを示しております。したがって、企業誘致事業は極めて重要な課題であります。企業を誘致するには、用地の確保、道路網の整備、上下水道の整備など基盤整備が必要となります。各部局が一体となって取り組んでいかなければなりません。
 商工振興課では、企業立地対策として企業誘致活動事業、企業導入促進対策調査事業、企業立地促進助成事業、企業立地促進融資事業、企業誘致促進事業、企業誘致広報事業、紀南地域等企業導入促進事業などに取り組まれ、厳しい環境の中で新規企業の誘致活動に大変な努力をしてこられたと思います。この五年間の誘致企業数、拡大雇用数の実績はどうか、また来年度、誘致企業はどれくらい見込まれるのか、商工労働部長に答弁を求めます。
 次に、男女共生社会実現の課題について質問いたします。
 九七年刊行の「和歌山県統計年鑑」によると、九六年の県人口総数は百九万八千六百八十二人で、男性五十二万五千百九十九人、女性五十七万三千四百八十三人であります。女性が四万八千二百八十四人多いのであります。また、九五年度の労働力状態別十五歳以上人口は全体で九十万四千六百六十七人で、男性四十二万三千百六十二人、女性四十八万一千五百五人、就業者数は男子三十一万一千百五十二人、女性二十一万四百三十二人となっております。十五歳以上の女性四四%、約二人に一人は何らかの形で働いていることになります。しかも、二十歳代後半の女性労働者が増加傾向にあります。近年、女性の社会進出は拡大してきていますが、社会的条件、賃金、昇進など男女格差はまだまだ解消されていないのが現実ではないでしょうか。
 男女共生社会とは、性によって生き方の選択肢が狭められることなく、だれもがみずからの意思によって忠実に生きることが保障されている社会であり、女性が出産など女性固有の身体的条件や社会的条件によって何ら不利益を受けることなく、性を理由にしたいかなる差別も許さない社会であると思います。これらの社会を創造するためには、これまでの社会の制度、秩序を根本的に見直し、政策についても両性平等の観点から改めて点検を行い、女性差別監視や人権侵害の救済システムなど思い切った対策が必要であります。
 西口知事は、女性の能力が十分に発揮できる社会づくりとして、九六年度新規事業でわかやま女性一〇〇人委員会、女性の交流推進、男女共生社会の推進啓発、きらめく女性地域活動支援、女性白バイ隊員の登用等の各事業を行ってこられました。特に、わかやま女性一〇〇人委員会は女性政策の目玉でもありました。
 九八年度予算案では、男女共生社会の形成で新規事業として男女共生社会づくりプラン策定、女性センター運営、一次保育ルーム促進、喜の国子育て支援、預かり保育推進補助等の事業が計画されています。工夫を凝らしながら男女共生社会の実現に向けて取り組まれ、努力されていることはうかがわれますが、本当の男女共生社会の実現のためには、より一層の思い切った対策が求められます。女性の意見を県政に反映させようという趣旨で、九六年四月にわかやま女性一〇〇人委員会が発足しました。去る二月十九日、二年間の活動結果が専門部会提言書として発表され、県政に対して多岐にわたって貴重な提言が提起されたのであります。私は、この活動に参加された委員の皆さんのご努力に心から敬意を表するとともに、高く評価するものであります。今後、この貴重な提言をいかに県政に生かすかであると思います。女性の能力を発揮できる社会づくりということでさまざまな事業に取り組まれてきましたが、まだまだ不十分であると言わざるを得ません。
 そこで、足元である県職員でその現実を見てみたいと思います。人事課からいただいた知事部局の男女別職員数の推移──九三年から九七年──によると、職員数三千七百二十三人から三千七百七十六人に対する女性職員の割合は一六%弱であります。役付職員数は、九三年百三十九人、百五十九人、百六十五人、百七十七人、九七年は百八十一人と年々ふえ続けていますが、課長級以上では、九三年が四人、男性は四百三十六人、そして六人、六人、四人、九七年が五人、男性は四百三十八人。管理職率は女性職員の〇・七から一%、男性は一一・七から一二%。部長以上は、女性は一人もいないのが現状です。いかに男女の格差があるかということがわかります。知事は、各種審議会、委員会の女性委員の割合を三〇%まで高め、県の政策づくりへの女性の積極的な参加を求めますと公約されているのであります。しかし、現在、各種委員会、審議会への女性委員三〇%の目標は達成されていません。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 わかやま女性一〇〇人委員会の提言をどう反映されるのか、短期的、長期的課題もありますが、来年度予算案でどのように反映し、予算措置を講じられたのか。
 先ほど県職員の男女別推移の現状を述べましたが、女性職員の管理職への登用、各種委員会、審議会等への女性の積極的な登用を強く求め、真の意味での男女共生社会実現への知事の決意も含めてご答弁を求めたいと存じます。
 最後に、有本ポンプ場問題に関して質問いたします。
 近年、市街地の拡大により低地部での開発が進み、大雨による雨水の排水がされず、市街地での浸水等の被害が増加しています。四箇郷地区も同様に、少しの雨でも浸水被害が起こる状態であり、今日まで建設省、和歌山県、市が協力して排水、浸水対策を実施してきました。
 建設省は昭和五十四年に有本ポンプ場工事に着手し、平成八年には概成しています。和歌山県は、昭和五十五年から一級河川有本川改修に着手し、昭和六十三年には真田堀川合流点から千二百六十メートルを概成させ、これより上流、有本ポンプ場までの二百七十五メートルについては和歌山市が事業主体となり、平成九年度に概成されました。
 有本ポンプ場は、内川の水質浄化と有本地区の排水、浸水対策の二つの機能を持つもので、水質のよい紀の川から有本川に毎秒四トン、大門川に毎秒四トン、合計毎秒八トンの導水を行い、市内河川の水質改善を図るものであり、大雨によって有本地区の浸水のおそれが生じた場合、毎秒四トンを紀の川に排水する機能を備えていると言われています。浸水に苦しんでいる地域住民の期待も大きいものがあります。
 建設省は有本ポンプ場を概成させたとして、試験運転に関する地元説明会が去る二月十三日に、建設省和歌山工事事務所、和歌山県、和歌山市の三者によって有本地区会館で行われました。二月二十三日には、午前八時から午後五時まで、騒音、振動、水位観測等を目的に第一回目の試験運転が行われたのであります。第二回目は二月二十七日に予定されていましたが、急遽中止されたと聞いています。
 有本ポンプ場は概成した、真田堀川合流点からポンプ場までの有本川の改修も終わったとされていますが、有本川に流水する松島水路、加納、有本支川の水路が未整備であり、現状では効果は期待できません。抜本的浸水対策には、これらの流入水路の整備を急がなければなりません。また、水質浄化と言われていますが、下水道未整備状態では浄化用水の導水等の緊急対策が必要と考えられます。
 そこで、次の三点について土木部長にお尋ねします。
 一点目は、二月二十七日に予定されていた第二回目の試験運転はなぜ中止になったのか、どんな問題があったのか、明らかにしていただきたいのであります。
 二点目は、有本川に流下する水路、松島水路、加納、有本支川の改修は緊急にやらなければならない対策です。早急に改修工事を行うことを強く求めるものであります。和歌山県、和歌山市の分担がありますが、それぞれの完成見通しを明らかにしていただきたいのであります。
 三点目は、内川の浄化のためには下水道整備が不可欠です。和歌山市下水道事業一般平面図を見ると、四箇郷地区は下水道認可区域に入れられておりません。この問題は和歌山市が主体で取り組むものでありますが、県の強力な指導と協力をお願いしたいのであります。抜本的対策としての四箇郷地区の下水道整備を早期に実施されることを強く求め、その見通しについて明らかにしていただきたいと思います。
 以上三点について、土木部長の前向きなご答弁を期待し、有本ポンプ場が水質浄化と排水、浸水対策の機能が十分発揮でき、大雨のたびに浸水に苦しんでいる地域住民が安心して快適に暮らせるように県当局のご努力を強くお願いして、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
 まず初めに、中期展望に基づきまして、今後の財源確保及び財政運営をどのようにしていくのかというご質問であります。
 平成十年度当初予算編成におきましては、財政事情の中期展望により推計した構造的な財源不足をいかに解消していくかが重要な課題の一つでございました。このため、一般行政経費に係る基本要求限度枠の設定、行政の効率化の視点に立った徹底的な事業見直し等、歳出の抑制と歳入の確保によりまして財源不足額の縮減に努めたところでございます。その結果、中期展望で推計いたしました三百四十二億円に上る財源不足額は八十二億円縮小されまして二百六十億円となったところでございます。財源不足の段階的な解消に向けての第一歩を踏み出すことができたものと考えてございます。しかしながら、財政状況は依然として大変厳しい状況にございますので、一部の府県に見られるような財政の危機的状況を回避するために、経済動向等にも配慮しながら、今後も継続して行財政改革に取り組む必要があろうと思っております。また、今議論をされております地方分権を推進していく中で、地方の自主的な財政運営を可能とするためには、税財源の配分などについても抜本的な見直しを行うことが極めて必要であろうと思いますので、国に強く働きかけていきたいと考えてございます。
 次に、わかやま女性一〇〇人委員会についてであります。
 女性の意見を県政に反映させようという趣旨で委員を公募いたしまして、平成八年四月に発足したわけでございます。私も、委員会にはできる限り出席をいたしまして、委員の皆さん方、特に今まで発言する機会のなかった方々のご意見をお聞きすることができまして、非常に有意義であったと思ってございます。また、女性の県政への関心の高さ、社会参画への意欲などにつきましても改めて強く感じたところでございます。
 二年間の熱心な討議の結果といたしまして、先般、産業交通、福祉医療、教育文化、生活環境の四つの専門部会の提言書としてまとめていただきました。これらの貴重なご提言につきましては、今後、可能な限り県政に反映をさせていきたいと考えてございます。平成十年度におきましては、このご提言のうちで新たな観点から、防災ボランティア活動推進、木のぬくもり施設支援、痴呆対応型老人共同生活援助、児童権利擁護──ちょっと事業名だけ申し上げるとわかりづらいわけでありますが、大体十事業を予算化したところでございます。
 次に、女性職員の管理職への登用についてであります。
 私も、知事就任以来、幹部となる女性職員の人材育成を強く意識してきたわけでございます。そのため、係長級、課長補佐級等への昇格、班長などのポスト職への登用、幅広い分野での女性職員の職域開発などに努力をしてきたつもりでございます。平成九年度の現状を見てみますと、女性職員の管理職率は〇・八%、役職率は年々向上いたしておりまして三〇・二%となってございます。今後、さらに女性職員の人材育成を積極的に進めまして、管理職率の倍増を目標としてまいりたいと考えております。
 次に、県における審議会、委員会等への女性の登用の問題であります。
 私は、就任直後、目標を三〇%ということで申し上げ、計画的に登用に努めてきたわけでございますが、三〇%というのは全国的に見ましてもなかなか高い目標でありますので、大変苦労いたしております。平成八年一月で約一〇%でございましたけれども、人材の把握等に努め、現在では約一七%という状況になってございます。目標を達成するためには、先ほども申し上げましたように大変困難な面もございますので、現在、女性の人材情報あるいはリストの整備を進めております。このような情報整備等を通じて適当な女性の方々を開拓することによって女性の登用をさらに促進していきたいと考えております。
 また、女性施策の総合的な推進でありますけれども、お話しのように、このことは極めて大事なことでありますので、男女共生社会の実現のための基本方針となる行動計画を平成十年度、十一年度の二年間で策定をすることにしております。今後とも、男女共生社会の実現を目指して、より一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 予算の不適正執行の改善策についての四点にお答えします。
 まず予算での改善策についてでございますが、予算措置の面におきましては、予算と実態との間の乖離を是正するという観点から、十年度予算では旅費など行政事務の執行に必要な基礎的な内部管理的経費を標準事務費として枠配分しまして、各部局の主体的判断のもとに所掌する事務事業の実情に即した適正な予算計上と課室間の不均衡是正を図るとともに、現下の財政事情を勘案してマイナス二〇%の要求基準を設定し、一層の節減合理化による総額抑制を図ったところでございます。
 また執行システムの改善につきましては、食糧費等について厳格な執行基準を設けるとともに、出張命令や復命の書式等の改正、物品購入の迅速化などについても既に対処しているところでございます。
 次に職員の意識改革につきましては、幹部職員研修、出納員研修を初めとする臨時特別研修を実施するとともに、各職場において全職員を対象とした職場研修を実施して趣旨の徹底を図ったほか、職員研修所におきましても、十年度から公務員倫理研修を拡充するとともに、新たに意識改革研修を取り入れるなど、研修の一層の充実を図ることとしてございます。
 また情報公開の充実につきましては、行政情報の透明性をより一層高めるため、食糧費等の支出関係公文書の開示方針を定めるとともに、庁内に公文書開示検討委員会を設置しまして、開示請求に対する迅速適切な対応を図ることとしたほか、各課室及び地方機関に情報公開責任者を置きまして、情報公開の円滑な実施を促進することとしてございます。さらに監視機能の強化の面でも、これも庁内に各部局の次長等を構成員とする事務適正化推進会議を設置しまして、改善策の進行管理と内部点検を徹底、その万全を期しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長上山義彦君。
  〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 十年度予算編成に関して、景気、中小企業対策と、雇用対策、企業誘致事業の四点についてお答えいたします。
 まず景気、中小企業対策についてですが、新年度予算におきましては、経済の活性化対策を最重点と考え、中小企業向けの金融対策を初め、新産業の創出支援、企業立地の促進、地域商業の振興など、各般にわたり施策の拡充を図ったところでございます。
 金融対策のうち、貸し渋り対策についてでございますが、昨年十二月から開設しております融資相談窓口の相談件数はこれまでに約六百件に上り、その相談状況や年末の緊急調査の結果などによりますと、金融機関の慎重な融資姿勢や担保不足から今後の資金調達を不安視する声が多く出ております。このため、県独自の無担保枠千五百万円を設定した融資枠五十億円の不況対策特別資金を創設するとともに、既存制度の融資枠を拡大して取り組むこととしております。
 また信用保証協会の指導についてでございますが、保証債務残高は平成十年一月末現在二千三百十五億円、対前年同月比一〇一・五%となっており、また代位弁済は長引く景気低迷を受けて増加傾向が続いており、対前年同月比で一三八%となっております。このような中で、保証の弾力化に向けて昨年十一月、国の緊急経済対策により信用保証協会の経営基盤強化のための基金補助金が三倍強に増額されたところであります。県においても、新年度では出捐金を前年度の約一・五倍と増額し、信用保証協会の経営基盤の強化に努め、保証の弾力化に取り組んでいくこととしております。今後、これらの対策が迅速かつ弾力的に運用されるよう、信用保証協会初め各金融機関に対し積極的に要請してまいりたいと考えてございます。
 次に、議員ご指摘のとおり、最近の雇用情勢は、県内においても長引く景気低迷の影響を受け、依然として厳しい状況が続いております。このため雇用促進事業としましては、各ハローワークにおいて計画的、効果的な求人開拓を実施するとともに、未就職者を対象とした合同就職面接会を平成六年度から実施しております。本年度は、二月二十四日に和歌山ビッグホエールにおいてハローワーク就職フェア98を開催した結果、参加企業百三十社に対し千六百余名の参加者があり、大規模な合同求人選考会となったところでございます。また、県内企業への若年者を中心とした人材確保を図るため、平成三年度から毎年八月に人材Uターンフェアを実施しております。しかし、平成九年度から就職協定が廃止され、企業の採用活動が早くなっているため、従来の人材Uターンフェアに加え、平成十年度から新たに新規大学等卒業予定者を対象とした同フェアを四月に開催する予定としております。さらに、新規高等学校卒業予定者に対して、企業見学会や企業説明会を実施し、県内企業への就職促進を図っているところでございます。
 今後の雇用情勢につきましては、景気の先行きの不安感から景況感に厳しさが見られる中で、雇用環境は引き続き厳しい状況が続くものと予想されますが、さらに経済団体、事業主団体、主要企業等への雇用の維持・確保の要請を行うとともに、各ハローワークにおける求人開拓等を機動的に行うなど積極的に雇用対策を推進してまいります。
 また求人開拓推進員につきましては、三名配置する予定であり、今月中に委嘱し、求人開拓を実施することとしております。
 次に企業誘致につきましては、大阪や名古屋における企業立地説明会の開催やアンケートによる企業ニーズの調査などを実施するとともに、企業訪問などを精力的に行い、昭和五十七年度からことし三月までに県が誘致した企業数は六十八社で雇用者数は三千二百十九人となっております。この五年間の企業誘致の実績ですが、バブル崩壊後ということもあり、誘致企業数九社、雇用者数七百四十人となってございます。また来年度につきましては、今後の経済状況も大きく影響してくるわけでございますが、企業誘致を円滑に推進するため、優遇制度の拡充を図るとともに、各部局と連携して基盤整備などに努め、平成九年度誘致実績の三社を上回るよう積極的な誘致活動を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員のご質問にお答えいたします。
 有本揚排水機場に関する三点のご質問でございます。
 まず一点目の有本揚排水機場の試験運転についてでございますが、これは浄化用水導入の本格的な運用に先立ち、導水の効果や導水による下流部の流水の状況等を確認するため実施しているものでございます。
 議員ご質問の第二回目の試験運転につきましては、その内容をより充実したものとする必要があることから、第一回目の結果を十分に検討した上で実施することにしておりますが、実施の際には関係者の方々に対して必要な事前説明をいたします。
 二点目の有本川に流入する水路整備についてでございますが、これらは松島水路の一部を除き和歌山市が事業主体となってございます。和歌山市では、単独事業により四箇郷地区の浸水対策を実施しておりますが、議員ご指摘の加納、有本支川下流部約五百メートルにつきましては、平成十年度より三カ年程度をかけて整備を進めるとのことでございます。また、県が管理している松島水路下流部の有本川として指定されている区間につきましては、地元の方々や上流部の管理者である和歌山市とも協議いたしまして、平成十年度より整備に着手したいと考えております。
 三点目の和歌山市の公共下水道につきましては、市街化区域ほぼ全域の六千七十九ヘクタールを中央処理区、和歌川処理区、北部処理区の三処理区に分けて計画されております。このうち約二分の一に当たる三千三十九ヘクタールの区域で事業認可を受け事業実施中であり、現在まで三分の一強の整備を完了してございます。議員ご質問の四箇郷地区の下水道整備の実施の見通しでございますが、県としましても四箇郷地区は浸水における抜本的な対策、また有本川の水質改善等、下水道整備が必要な地区と認識しているところでございますので、既に認可されている区域の整備を促進し、早い時期に事業認可を受け、着手できるよう市と協議してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番東山昭久君。
○東山昭久君 ご答弁をいただきましてありがとうございます。
 知事から、男女共生社会の実現に向けて前向きのご答弁をいただきました。知事も、就任以来、この女性政策についてはかなりウエートを置かれて今日まで取り組んでこられました。それは、私は高く評価をしたいと思います。そして、職員の役職率もこの五年間で約六%ぐらい上がっているわけですけれども、これも知事の努力だということで評価をいたします。しかし、残念ながら私が寂しく思うのは、この議場に村岡先生がいらっしゃいますけれども、ほかには女性が一人もいない。大変寂しい限りでございます。管理職の女性についても、これは順番がありますからかなり時間がかかると思いますが、女性を特別にするという意味じゃなくて、これまでの女性に対するいろんな施策がやっぱり不十分であったためにそういう地位に置かれているということでありますから、特別な配慮が必要だと思います。ぜひ今後とも一層のご努力を心からお願い申し上げたいと思います。
 それから、商工労働部長に。
 今日の厳しい経済環境の中で、特に中小企業に対する融資制度で思い切った施策を打ち出されてきております。これも評価をしたいと思うんですけれども、融資を受ける人は大変困っているわけですね。迅速に対応してもらって、融資が早く受けられるような環境をぜひつくっていただきたいと思います。審査が長かったり、ごたごたしていたら、その間に倒産する可能性だってありますので、ぜひとも事務の簡素化も含めて努力していただきたいことを要望して、質問を終わりたいと思います。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十六分休憩
      ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 4番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 それでは、一般質問をさせていただきます。
 「地方の時代」という言葉が言われて、大変長い時間がたちます。もう四半世紀以上たつのではないかと思うわけでありますが、その地方の時代という提唱のもとに、時代の大きなうねりの中で地方分権が叫ばれ、これからは自治体の一つ一つがみずからの顔を持つという認識のもとで現行の地方自治を変えるため、中央に集まった財源、権限、人間の「三ゲン」を地方に戻す必要があるということで地方分権推進法が制定されたわけであります。地方から国の推進計画策定に向けて一日も早い真の地方分権を推進するため、地方分権に関しての質問を、これで四回目になりますが、させていただきます。
 九五年七月に地方分権推進法が施行され、推進委員会の第四次勧告が昨年十月に橋本総理に提出されております。これまでの四次にわたる勧告により、地方分権推進法で示された地方分権推進のための課題のすべてについて具体的指針が一通り明らかにされたことから、政府は閣議において、次の通常国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成し、地方分権を総合的かつ計画的に推進することを決定、これにより実行の段階に移そうとされております。
 中央集権システムの中核であった国の機関としての機関委任事務の廃止が実現する運びとなり、自治事務と法定受託事務に整理されるわけであります。国の機関委任事務五百六十一件のうち、大部分の三百九十八件がいわゆる自治事務となったわけで、これは地方自治法の大改正であり、また我々地方議会の権限もこれからは物すごく大きくなってくると想像されます。そしてまた我々の責任も、それに比例して大きくなるものと想像されるわけであります。
 機関委任事務が廃止され、自治事務と法定受託事務になるわけでありますが、我々が分権の中で問題としてきたのは国から地方への財源移行の問題であります。地方財源の問題については、分権が推進される中で具体化していかなければならないと考えます。地方分権は、地域の問題は地域住民の選択と意思で決めることであり、自分の住んでいる町づくり、福祉、文化、教育といったいろいろなあり方を住民が最終的に決めるシステムをつくることであります。私たちが望んでいた地方分権は、地域住民が自分たちの考え方で、地方に合った発想で自治体の運営ができるということであります。
 地方自治法の大改正による事務、権限の移譲に伴って国庫補助負担金制度が廃止されることになるだろうと思いますが、地方の一般財源がどのように確保されるのかが非常に心配であります。地方公共団体が自主的、主体的な財政運営をしていくことができるような地方財政制度をつくるよう、我々は要求していかなければなりません。機関委任事務廃止に伴う財政運営、すなわち地方財源の安定的確保の動きはどうなっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、分権推進計画の中で、各省庁で実施される補助金事業及びその補助金制度がどのように整理されるかがこれからの地方分権にとって大変重要な問題であります。
 かつて伊藤光晴京都大学名誉教授は、補助金の現状と廃止の間で弊害を少なくする現実方法として、一件ごとの補助金制度を、目的別あるいは省庁別に補助金を束にして、その内部であったなら何に使おうと自由、その使用は地方の判断に任せる一括補助金制度または総括補助金制度を提唱したことがありました。また、補助金を地方交付税による一般財源化とする方法でも、とにかく、補助金事業でない、地方の裁量で支出できるような財源の移行をするのが地方が望む本当の地方分権であります。
 こういう問題について、地方六団体や全国知事会等で議論されていると思いますが、知事はどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 地方が望んでいるような地方分権が果たしてこれから行われるのかどうかという前に、将来の地方分権に向けての対応をする必要があります。すなわち、分権に対応できる自治体づくりであります。今まで、国の補助金行政を続けさせる理由の一つとして、地方、市町村には行政能力が十分でないため補助金によるコントロールが必要であるということが言われております。各省庁が分権に抵抗する理由は、多くの自治体が弱体であり、仕事を任せられないというものであります。そこで市町村の合併ということが問題提起され、必要になってくるわけであります。
 明治二十年の合併で、全国で七万一千五百市町村から一万五千九百団体に、そして昭和三十年に行われた昭和の大合併で約三千三百団体に統合されました。今、第三次の市町村合併、平成の大合併が各界で論議されております。また推進委員会の第二次勧告の中でも、市町村合併について、今まで以上に積極的に市町村合併を推進するとして、都道府県等の役割が大きく提言されております。内容の一つとして、合併推進のため、都道府県は広域市町村圏や老人保健福祉圏域などを参考に市町村合併のパターン提示、先進事例の紹介などの助言、調整というものを提言しております。小沢一郎議員は全国三百市への統合、日本青年会議所は四百から五百市という藩構想を提案しております。また元出雲市長の岩国議員は、千団体程度を目標に合併推進すべきであると提案しております。最近、自民党本部が五百から七百程度の市町村合併を検討しているということであります。このように、合併に対する提案が各方面から出され、市町村の財政難からも全国的に論議されているところであります。
 さきの議会答弁で知事は、市町村の合併については市町村の自主的な判断に任せるということでありますが、地方分権について急展開されておる今日、その受け皿づくりとしての市町村についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 また、地方の問題で一番深刻な過疎・高齢問題があります。本県の高齢化率は一八・八%であります。かつて私が質問をしたときには、二〇%以上の市町村がたしか二十四市町村であったわけでありますが、今は三十七市町村が二〇%を超えておるわけであります。そのうち半数の十九市町村が二五%、そしてまたその半数近くの十町村が実に三〇%の高齢化率を示しておるわけであります。非常に高い数値であり、村落の崩壊あるいはまたコミュニティーの崩壊という危機がここ十年もすればやってきそうであります。いかに人口の流出を食いとめ、若者を定着させ、産業を生き返らせ、この危機を救うかという対策がなされているが、もうそれぞれの町や村だけの力では困難な状況であろうと考えられます。
 また、平成十二年に実施される介護保険についても、市町村が保険者となっていろいろの仕事をやっていくわけでありますが、問題とされる要介護認定という作業は、小さな自治体で対応するのは非常に困難と予想されております。これも、広域的な取り組みが必要とされております。また、水や緑の環境問題等、広域的な対応が欠かせないことについても、住民に最も身近な市町村が基礎体力をつけることが重要であります。
 私は、過疎・高齢対策、環境保全を含め、合併による方が効果があるように思うのでありますが、県はどのように考えているのか、今後どのように取り組むのか、お伺いいたします。
 次に、ミカン対策について質問をさせていただきます。
 私も初めは楽観しておったわけでありますが、最近、有田川農協における有田管内の融資の申し込み状況を見ると六百件以上出ておるという状況にかんがみまして、このミカン対策について質問をさせていただきます。
 昨年産のミカンは本当にめちゃくちゃな値段で、友人の農家の話では、肥料や農薬代を払ったら手元に何も残らない始末で、一年間全くただ働きであったのではないかと、そのように嘆いております。もっとひどいのでは、市場への輸送費と段ボール代を支払ったら何も残らないという話もあります。
 私もミカン取りのアルバイトをしたことがありますが、かつて、ミカン取りの作業中の人と話をする中で、こんな話がありました。私は、ミカン取りの作業自体大変しんどいでしょうという話をさせていただいたら、ミカン取りは、一年間苦労してようやく収穫できる時期であるので、この作業がつらいという農家はおりませんよという話であります。しかし、ことしのように手元には何も残らないという中でのミカンの集荷・出荷作業は本当につらく、コンテナいっぱいにもぎ取ったミカンの重さは手がちぎれる思いで、ふだんの年であれば一年じゅうで最も楽しい、期待に膨らんだ時期であるはずが、ことしのミカン取りは非常につらいものであったという話でありました。
 ミカン価格が超安値であった原因については、まず景気の低迷、昨年は一段と景気が冷え込んだこと、次にわせミカンの出足の味が悪かったこと。中ごろから味も乗ってきてまあまあの味であったわけですが、初めの味不足が最後まで足を引っ張ったようであります。また、豊作で過剰生産となったことが大きな原因であったと思われます。このように、トリプルの悪要因が昨年産のミカン暴落を誘ったものであります。
 農家は、自然相手によいミカンをつくるため努力をしているわけでありますが、適正な生産調整ができなかったかと、今さらに思うわけであります。そのことをお尋ねいたします。もし適正な、十分な生産調整が県あるいはまた国でできておったならばこういう安値がなかったのではないか、もしそういう調整ができておらなければこれは人災であると、私はそのように思うわけであります。
 また、ジュースの加工用ミカンはコンテナ一杯で三十円程度にしかならず、ガソリン代にもならなかったため、畑や川に捨てたという人が相当多かったように思います。せっかく一年間手間暇かけてつくったミカンを捨てなければならないということは、大変つらい、惨めなことであろうと思います。こんなことを少しでも解消してほしいという切なる要望が充満しておる昨今であります。
 そこで、農林水産部長にお伺いいたします。果樹農家が安心してミカンづくりに励めるような今後の対策について、お聞かせ願います。
 次に、国道四百八十号・旧県道有田高野線について質問させていただきます。
 旧有田高野線が国道四百八十号に昇格されて数年たち、徐々に改良が進んでおるものの交通量が大変多く、土曜・日曜は大変なもので、渋滞箇所がふえております。特に現道を変更すべき箇所として清水町三田バイパスについては、間もなく着工されようとしております。特に清水町の自然景観を損ねないように計画されておると聞きますが、その実施計画をお聞かせ願います。
 次に、バイパスが必要という地元から熱い強い要望のある箇所は、金屋町岩野河付近であります。区間は八百メートル程度でありますが、特にこの付近は道路幅が狭く、普通車同士の対向も不十分であります。付近には家並みがあり、どうしてもバイパスが必要と考えられます。このバイパスはどのぐらいのめどで計画されるのか、お聞かせください。
 また今、公共事業、特に道路関係予算が削減される状況でありますが、特にこの路線は過疎に悩む中山間地域への路線であり、特別の配慮が必要と考えられますので、何とぞよろしくお願い申し上げまして、この路線の中長期的な計画をお聞かせください。
 以上で質問を終わるわけでありますが、ついでに要望させていただきます。
 ついでに要望というのは、実は有田高野線の中で岩野河付近のバイパスについて地元の人がよく言うわけでありますが、もともと予算がついておったが、ある国会議員がその予算を回したからできないんだということがまことしやかにうわさされている状況であります。私は、そんなことは絶対ありませんよという話をしているわけでありますが、とにかくこういう道の問題になると、特に衆議院選挙前になると、すぐできますよというような話の中で、そういういろんな誤解が誤解を生んで話が出てくるわけであります。そういうことで、そのようなことがないようにこの計画について明快な答弁を求めて、私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
 まず、地方財源の安定的確保の動きと、これに関する私の所見についてのご質問でございます。
 ご質問にもございましたように、四次にわたる地方分権推進委員会の勧告によりますと、国庫補助金と国庫負担金については原則的に廃止、縮減、重点化を進める一方で、地方税財源については充実・確保を図るという基本的な方向が打ち出されてございます。地方の自主的、主体性を高めるという意味においては、その基本的な考え方は容認できるところでございます。
 しかしながら、その具体化に際しては、今後、二つの大きな問題を解決する必要があるものと考えてございます。一つは、国と地方との税源配分のあり方についての抜本的な見直しを前提とした地方税体系を新たにつくり上げることであります。二つ目は、地方交付税については地方自治体が関与できる機会をつくって、算定方法の簡素化を進めることにより地方自治体の自主的、主体的な財政運営を可能にすることであります。こうした二つの考え方に基づき、あらゆる機会をとらえて訴えてきたところでございますけれども、今後も全国の自治体との連携・協力により、国に対して早急かつ抜本的な取り組みを行うよう強く求めてまいりたいと考えてございます。
 次に、地方分権に関連して、市町村合併についてということであります。
 地方分権の推進という時代の大きな流れの中で、住民の方々に身近な地方公共団体である市町村がその行財政能力を強化していくということは、議員のご指摘のように大変重要な課題であろうと思っております。今後の市町村の行政体制の整備のあり方につきましては、市町村合併もその選択肢の一つとして議論することがまた必要なことであろうと思っております。しかしながら、合併という問題につきましては、これまでも申し上げてきましたように、個々の市町村の住民の方々が各地域の地理的、歴史的条件を踏まえながら判断することが大切でございます。もちろん、現実の問題としては、自主的に推進するには具体的にいろいろな困難なこともあろうかと思いますけれども、原則としては、今申し上げましたように自主的な合併が基本であると考えてございます。
 県といたしましては、これまでも広域行政推進セミナーなどを開催して情報提供を行ってきたわけでありますけれども、今後も引き続き情報の提供を行うとともに、地方制度調査会などの動向もしっかりと見守りながら、広域行政推進事業の一つとして市町村の行政体制整備のあり方について調査研究を行ってまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 農林水産部長平松俊次君。
  〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) ミカン対策でございます。
 果樹農家が安心してミカンづくりに励める生産対策等についてでございますが、全国的に適正な需給関係を回復することが第一であろうかと考えてございます。現在、国では果実需要の長期見通しに照らして全国の適正生産量を百四十万トンとして、春先の開花時期から収穫期にかけて生育段階に応じた生産量予測を三回実施してございます。これに基づいて、適正生産量を上回る場合には強力な摘果や出荷調整等を内容とする生産出荷安定指針が発動されることになってございます。
 九年産につきましては、当初百四十万トン前後が見込まれたことからこの指針の発動には至りませんでしたが、県といたしましては、高品質果実生産のためのきめ細かな摘果推進等の技術指導に取り組んだところでございます。しかしながら、その後の気象条件等もあり予想を上回る状況となったことや景気停滞等によって、お話のような価格の低下を来したものと考えてございます。
 こうした中で、県といたしましては、ジュースなど加工用として、通常枠一万七百トンに加えて緊急枠一万一千七十三トンを確保してございましたが、農家経営の安定とミカン価格の回復を図る観点から、国と協議の上、さらに二千トンの増枠を確保し、それに要する経費を今議会にお願いするなど、積極的な取り組みを行っているところでございます。
 今後とも全国的にきめ細かな対応を行い、適正な需給バランスが図られるよう、制度の円滑な運用について、全国みかん生産府県知事会議等を通じて国に働きかけるのはもちろんのこと、関係府県との連携をより緊密にして対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 土木部長長沢小太郎君。
  〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 吉井議員の、国道四百八十号の整備に関するご質問にお答えいたします。
 まず一点目の国道四百八十号の三田バイパスについてでございますが、現道拡幅部五百四十メートルを含む千五百メートルを平成四年度に事業化し、本年度には現道拡幅部が完成する予定であります。
 来年度から用地買収に着手するバイパス区間は、美しい扇状台地で知られる蘭島棚田の背後を通ることから、学識経験者及び地元代表者等で構成される国道四百八十号景観委員会でその対策の検討を行ったところであります。その結果、アーチ橋と箱げた橋の二つの橋梁で有田川を横断することとし、その色彩は薄い緑を採用することによって周囲の風景に溶け込むよう、景観に配慮した計画となっております。今後、この委員会の意向に沿うよう関係機関と事業計画の協議を行ってまいります。
 次に金屋町の岩野河地区につきましては、これは有田川右岸堤防を利用したバイパス計画として計画しておるものでございますけれども、こういう場合に準拠しなければならない河川の工作物設置許可基準というのが改正されたこともございまして、以前に実施した予備設計の見直しを行っております。今後、この作業を急ぎ、さらに詳細な設計を実施するなど、早期事業着手に向けて努力してまいります。
 三点目の、全体の今後の中長期計画についてでございますが、国道四百八十号は、三・五軸広域幹線道路網の東西五軸を構成する重要な路線として位置づけております。その整備につきましては、公共事業を取り巻く環境は、現行において非常に厳しいものがありますけれども、今後とも必要な予算を確保し、まず事業中の区間を早期に完成させるとともに、引き続き未改良の区間についても順次事業に着手していきたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(阪部菊雄君) 再質問がございませんので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時三十一分散会

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