平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第三号 平成十年三月十一日(水曜日)
午前十時開議
第一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第一号から議案第八十一号まで(質疑)
二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
1 番 大 沢 広太郎
2 番 木 下 善 之
3 番 小 川 武
4 番 吉 井 和 視
5 番 下 川 俊 樹
6 番 井 出 益 弘
7 番 藁 科 義 清
8 番 門 三佐博
9 番 永 井 佑 治
10 番 新 島 雄
11 番 向 井 嘉久藏
12 番 佐 田 頴 一
14 番 阪 部 菊 雄
15 番 西 本 長 弘
16 番 馬 頭 哲 弥
17 番 谷 洋 一
18 番 山 下 直 也
19 番 高 瀬 勝 助
20 番 松 本 泰 造
21 番 堀 本 隆 男
22 番 宇治田 栄 蔵
23 番 宗 正 彦
24 番 橋 本 進
25 番 神 出 政 巳
26 番 玉 置 公 良
27 番 上 野 哲 弘
28 番 東 山 昭 久
29 番 尾 崎 要 二
30 番 野見山 海
31 番 木 下 秀 男
32 番 町 田 亘
33 番 中 山 豊
34 番 井 谷 勲
35 番 鶴 田 至 弘
36 番 森 正 樹
37 番 村 岡 キミ子
38 番 新 田 和 弘
39 番 平 越 孝 哉
40 番 森 本 明 雄
41 番 長 坂 隆 司
42 番 冨 安 民 浩
43 番 飯 田 敬 文
44 番 中 村 裕 一
45 番 松 本 貞 次
46 番 大 江 康 弘
47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(一人)
13 番 和 田 正 一
説明のため出席した者
知 事 西 口 勇
副知事 山 下 茂
出納長 高 瀬 芳 彦
知事公室長 野 見 典 展
総務部長 中 山 次 郎
企画部長 藤 谷 茂 樹
生活文化部長 中 村 協 二
福祉保健部長 小 西 悟
商工労働部長 上 山 義 彦
農林水産部長 平 松 俊 次
土木部長 長 沢 小太郎
企業局長 佐 野 萬瑳義
教育委員会委員長
山 本 昭
教育長 西 川 時千代
公安委員会委員長
高 垣 宏
警察本部長 米 田 壯
人事委員会委員長
若 林 弘 澄
代表監査委員 宮 市 武 彦
選挙管理委員会委員長
谷 口 庄 一
以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 西 畑 彰 久
次 長 前 晴 夫
議事課長 佐 竹 欣 司
議事課副課長 島 光 正
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主査 川 崎 良 雄
議事課主事 大 浦 達 司
総務課長 塩 路 義 和
調査課長 湊 孝太郎
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時三分開議
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(木下秀男君) この際、報告いたします。
お手元に配付のとおり、監査委員から監査の結果報告がありました。
以上、報告いたします。
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【日程第一 議案第一号から議案第八十一号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(木下秀男君) 日程第一、議案第一号から議案第八十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
36番森 正樹君。
〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 おはようございます。
通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
「地方分権」と「規制緩和」、この言葉が今、語られない日はないと言っても言い過ぎではないほど人々の話題に上り、かまびすしく論じられております。テレビ、新聞などのマスメディアが地方分権、規制緩和を取り上げない日はなく、これをテーマとするシンポジウムもあちこちで開催され、書店には地方分権、規制緩和に関する書籍があふれているのであります。
私は今回、この問題を取り上げるに当たり、「地方主権の実現を目指して」というテーマで通告を提出いたしました。繰り返しますが、「地方分権」ではなく「地方主権」であります。
この「地方主権」という言葉は、何も私が今初めて言い出した言葉ではございません。既に、地方財政論の専門家や知事などの地方政治家数人が使っておられますし、我が公明も党の政策の中で正式に言葉として最近使用し出しました。
それでは、なぜ地方主権なのか。皆さん、日本国憲法の前文を思い出していただきたいと思います。「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである」と、明確に規定されているのであります。
経済学者であり、一九七五年から三期十二年間、島根県知事を務められた恒松制治さんも「憲法の前文には、国民に主権が存することを前提としてこの憲法をつくると書いてあります。そう考えますと、国民に主権があるわけですから、従っていわば行政の権限であるとか、あるいは政治のしくみであるとかっていうのは、住民にもっとも近いところの政府にある、と解釈することはけっしてまちがった解釈ではないと思っています。それが地方主権という考え方です」と、あるシンポジウムの席上でかつて述べておられました。
「地方分権」という言葉には、権力、権限は本来国のものであるが、この際少し地方に分け与えてやろうというニュアンス、においがしてならないのであります。確かに、第二次大戦後、敗戦の瓦れきの中から驚異的な復興を遂げた背景に、国民の勤勉さがあずかって大きかったことは異論のないところでありますが、一方で、優秀な官僚による官僚機構が機能的に働き、一定の効果を上げたことも否定すべきではないと思います。
しかし、時代は動き、変わろうとしています。二十一世紀まであと三年。本来の国民主権、地方主権が認められるべきときが到来していると私は申し上げたい。繰り返しますが、主権は国民にあるのであり、地方、地域にこそ存在するのであります。
そこで、知事にお尋ねをいたします。
第一に、今私がるる申し上げた地方主権について、西口知事はどう考えていらっしゃるのでしょうか、基本的認識をお伺いしたい。
第二に、西口知事は一貫して職員の意識改革と組織改革を主張してこられましたけれども、これは時代の要請であるとともに、来るべき地方主権の時代に対応するための施策であると明言されたと思います。一方、北川三重県知事や平松大分県知事など、ユニークで大胆な改革に取り組もうとしている例にもかんがみ、知事は地方主権の実現のために今後どのような構想のもとにいかに行動するおつもりであるのか、忌憚のないご意見をお聞かせいただきたいと思います。
第二に、職員の意識改革と県庁組織の改革・改組についてお尋ねをいたします。
もちろん、この点について議論を進めるに当たりまして、二十一世紀の早い段階で地方主権の時代がやってくると確信しつつ申し上げることを初めにお断りしておきたいと思います。というよりも、知事を初めとする三役の皆さんも、ひな壇に居並ばれている幹部職員の皆さんも、我々議会人も、一日も早い地方主権の到来のために努力を惜しんではなりませんし、一致協力してその実現に取り組むことが求められているのであります。今までのように、何か難しい問題が起こると中央省庁に相談したり省令や通達を判断の基準にして指示を仰ぐということは、許されないのであります。みずからの責任と判断において、自信を持って事務事業に取り組まなければなりません。今までは、ともすると一部に省庁や通達を盾にして責任を回避する姿勢が見受けられたのであります。県民の信託を受けて重い責任と的確な判断に基づいて事務事業を執行していく能力と積極性が強く求められていることについて、一人一人の職員にその意識は果たして浸透しているのか、全体の奉仕者としての自覚は大丈夫か、ごく一部の職員の中にはどのように甘く採点しても到底不合格としか言いようのない者もいることを、残念ながらこの際あえて指摘をしておきたいと思います。職員の質的向上について、道のりは大変厳しいものがあると思われますが、知事におかれてはこの点について今後どう取り組んでいかれるのか、そのご存念を承りたいと思います。
二つ目に、西口知事は常々、職員の意識改革を叫んでこられました。昨年末、十二月二十六日の仕事納めの知事訓示の中で、不適正支出のことに関しての発言の中でありますが、明治維新の志士たちの例を引きながら、「今、幹部の職にある我々が勇気を持って立ち向かい、改革をなし遂げていかなければ、二十一世紀に生きる県民の皆さんにも、また県職員の皆さんにも、永久に悔いを残すということになる」と述べておられました。また、「最も大事なことは、行政を預かる私たち一人一人が与えられた仕事を、どんな小さなことであってもベストを尽くすことが県勢発展につながる」とも言われました。──そうですね、知事さん。間違いございませんですね。
私はその場に居合わせたわけではございませんが、後で西口知事の訓示を聞かせていただきまして、全く同感であり、感動を覚えました。これは決してお世辞でも、お追従でもございません。なぜなら、知事の並々ならぬ決意のほどを感じたからであります。
あの幕末激動の時代、圧倒的な軍事力、産業力を誇る欧米列強の包囲網の中で、久坂玄瑞や高杉晋作、西郷隆盛や坂本龍馬ら志士たちの獅子奮迅の活躍が明治維新という革命を成功させ、明治国家の成立に大きく貢献したことに思いをはせるとき、志士たちのほとんどが維新の途上に倒れ、そのしかばねの上に明治新国家が欧米列強の占領の危機を回避して成立したことに着目し、身を挺して勇気を持って行動に当たることの重要性を知事が訴えられたからにほかならないと思います。
そこで、問題になるのは、西口知事の意を体してどれだけ多くの職員が知事と同じ決意と行動に立てるかであります。知事がいかに笛を吹いても、職員が同じ気持ちで踊ってくれなければ何事も実行は不可能であります。
そこで、知事にお尋ねをいたします。知事が職員の意識改革を説いて三年、その浸透度、進捗状況はどうか、率直な感想をお聞かせいただきたいと思います。
三つ目に、機構改革について。
これまで知事は、福祉保健部、生活文化部の編成と振興局長の発令を実施されました。また、新年度からは振興局の設置などの組織改革に着手することになります。これら機構改革の実は上がっているのか、また今後どのような改革を進めていこうとされているのか。一部に言われているような親方日の丸的な組織から、真に機能的な組織への改革・改組が望まれていると思うのでありますが、この点についての知事の率直なご存念を承りたいと思います。
四点目に、人材の確保と登用についてであります。
新しい時代の要請に対応して有能な人材の確保が不可欠でありますが、本当に仕事のできる、やる気と能力にあふれた人材を確保するために、これまでの筆記試験重視の採用試験だけではなく幅広い人材確保のあり方が求められていると私は考えますが、いかがでありましょうか。知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。
また、従来言われてきました年功序列による登用ではなく、能力主義に基づく思い切った人材登用に努めるべきであると思いますが、この点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
五点目に、財政緊縮の状況と時代の要請の中で、小さな政府で大きな仕事が求められているわけでございますが、職員定数の見直しと削減に取り組むお考えはないか、総務部長にお尋ねをしたいと思います。
第六点目として、外郭団体の件についてお尋ねをいたします。
つい先日、財団法人和歌山県交通公園の解散と他法人への移管のニュースが報じられておりました。そこでお尋ねをいたします。現在、県が出資する外郭団体は幾つあり、その中に休眠法人はないのか、さらに、今後これら外郭団体の整理、統廃合を進め、あわせて人員の削減を図るべきであると思いますがどうか、総務部長の答弁をいただきたいと思います。
最後に、職員研修のあり方についてお尋ねをいたします。
このことについては、従来、職員研修所のもとで内部研修や外部講師を招いての研修が毎年行われてきました。昨日も先輩議員から質問のあったところでありますが、別の観点から申し上げたいと思います。
先ほど紹介した年末の知事訓示の冒頭で西口知事は、一昨々年、仕事納め式を取りやめにした経緯に触れ、長引く不況の中で年末の三十一日まで仕事に汗を流す県民がいることを挙げ、「我々は二十六日で仕事が終わるが、年末ぎりぎりまで一生懸命働いている県民に思いをいたせ」ということを述べておられました。これは、まことに大事な視点であると私は思います。ともすれば官庁のぬるま湯的な体質が指摘される昨今でございますが、不況の荒波をまともに受けている民間企業等の苦しみ、痛みに触れ、社会の現実に直接肌で触れることも含めて、民間企業等への派遣研修をもっとふやすべきであると、そのように私は思います。このことについて知事、ぜひとも早急に人数、対象企業を大幅に拡大して取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか、決意をほどを聞かせていただきたいと思います。
次に、南紀熊野体験博についてお尋ねをいたしたいと思います。
いよいよ、南紀熊野体験博の開催まであと一年有余と迫ってまいりました。従来のジャパンエキスポは、いずれも一定地域に集中してパビリオンを設置して短期間──通常、二、三カ月でございますが──に多数の人を集めることを競うのが当たり前でございました。それに対して南紀熊野体験博は、南紀熊野という広大な地域を舞台として、和歌山の自然、文化、歴史、人情に触れていただこうという、いわゆる非囲い込み型オープンエリア展開の全く新しいタイプのジャパンエキスポであります。それだけに全国から注目も集めておりますが、前例がない分、成功に向けてのシナリオづくりに関係者の皆さんの苦労がしのばれます。一方で、二十一世紀に向けての本県発展の起爆剤とするためにもぜひとも成功させなければならないという重い責任も課せられているのであります。
そこで、成功のキーポイントはどこにあると考えておられるのか、まず初めに知事の所見をぜひともお伺いしたいと思います。
第二に、従来型ではない博覧会である分、成功に向けてのノウハウは新しく模索していかなければならないと言えます。まことに失礼な言い方でありますが、このひな壇に居並ばれている幹部の皆さんは大体五十代あるいは六十代。もう頭もかたいし、目まぐるしい時代の流れにもついていくことが非常に厳しいと申せると思います。もちろん、これは我々も含めてでありますが、決して役に立たないとは申しませんが、体験博向きではないと、そのように申し上げたいと思います。
そこで、一つの提案でございますが、新しいパターンの博覧会の成功のために、若々しい行動力、柔軟な発想と知恵を生かすために、二十代、三十代の若い職員の思い切った登用で対応・推進すべきではないかと思います。若い職員の皆さんに責任を持たせ、やわらかい頭で新時代のニーズに応じた知恵と思考力でさまざまなアイデアを出してもらうことが必要ではないでしょうか。西口知事の所見をぜひともお伺いしたいと思います。
三点目に、南紀熊野体験博ほど、グリーンツーリズム、エコツーリズムの精神に合致するイベントはないと思います。
聞きなれない言葉でございますので、改めて紹介しますが、グリーンツーリズムとは、都市生活者が農村で滞在型の余暇を過ごそうという旅行形態で、ドイツやフランスを中心にヨーロッパでは長期にわたるバカンスを農家民宿で過ごすグリーンツーリズムが定着していると聞いております。我が国でも農林水産省が一九九五年、農山漁村滞在型余暇活動促進法を施行しておりますが、税の減免措置などが盛り込まれていない点、ヨーロッパに比べておくれているところだと言われております。
しかし、日本古来の農村風景を守り、都市生活者と農村との交流を深めるとともに、農家の助成と農村の活性化を図る絶好の機会でもあります。同法に定められている県基本方針の策定は済んでおりますけれども、その基本方針にのっとっていかに具体的な施策を進め、活発なグリーンツーリズム運動の確立を図るかが大事であります。そして、このことが南紀熊野体験博の成功にもつながると確信をしますが、いかがでございましょうか、農林水産部長の見解をお尋ねしたいと思います。
一方、エコツーリズムとは、旅行を通じて環境保護や自然保護の理解を深めようという考え方であり、環境保護と地域経済の発展の両立を図ることを目的とするものであります。既に日本保護協会ではエコツアーのガイドラインを作成しておりますし、日本旅行業協会でも「地球にやさしい旅人宣言」を決議していると聞いております。具体的には、専門家が同行したり、現地の自然保護のボランティアとの交流や実践活動を行うことなどに重点が置かれていると聞きました。
そこで、提案でございますが、ホエールウオッチング、イルカウオッチング、植林ツアー、リバーカヤック、シーカヤック、森林浴ツアー、サバイバルレースなどを企画してみてはいかがでございましょうか。旅行会社やボランティア団体の協力と参加を得てぜひとも実施すべきだと思いますが、生活文化部長のお答えをいただきたいと思います。
このほか、エコツーリズムの範疇には入らないかもわかりませんが、南紀熊野の自然を生かしたイベントとして、マラソンやトライアスロン、カヌートライアル、マウンテンバイクなどのスポーツイベントの開催を検討してもいいと思います。このこともあわせてお答えをいただきたいと思います。
次に、南紀熊野の地は、奈良・平安の昔から大宮人の熊野もうでの地であり、数多くの歌人によって幾多の和歌等が詠まれてまいりました。「磐代の 浜松が枝を 引き結び 真幸くあらば また還り見む」、「家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る」、この二首は、いずれも悲劇の皇子・有間皇子の詠んだ歌として余りにも有名であります。
西暦六五八年、大化の改新の少し後、朝廷の中の権力争いに巻き込まれ、陰謀によって無実の嫌疑をかけられ、傷心落胆の旅の途中暗殺されてしまうのでありますが、その直前に詠まれた歌と言われております。この有間皇子の一生は、十九歳で生涯を終えますが、波乱万丈、悲劇の一代叙事詩であります。万葉の権威・犬養孝先生も、大阪大学や甲南女子大学で教鞭をとっておられるときに、何度も南部町岩代や海南市の藤白坂などの有間皇子のゆかりの地を多数の学生を伴って訪れておられます。
なお、「万葉集」だけでも、和歌山県で詠まれた歌は百三十首と言われておりますが、これらのゆかりの地を訪ねる万葉ツアーを、犬養孝先生のような万葉研究の権威に案内役になっていただいて企画してみてはどうかと思います。今も書店には「万葉集」を扱った多くの本が並び、隠れたベストセラーと言われておりますし、また全国には万葉ファンが大変多いと聞きます。これら「万葉集」などに詠まれた和歌等の歌碑を整備し、周辺の修景にもあわせて取り組むべきと思いますが、この点も含めて生活文化部長から一括してお答えをいただきたいと思います。
この項の最後に、南紀熊野体験博の成功・失敗はPR宣伝が重要なかぎを握っていると私は思います。現在、テレビの各チャンネルで行われている女優の中村玉緒さんを起用したスポットコマーシャルが大変好評を博していると聞いております。新聞広告も、過日見ました。今後も種々のPR宣伝を大々的に展開していくべきだと考えますが、この点について生活文化部長、商工労働部長のそれぞれからお答えをいただきたいと思います。
最後に、関西国際空港についてお尋ねをいたします。
第一に、先般行われました実機飛行テストの調査結果が公表されました。それによりますと、実際に関西国際空港に離着陸する航空便とテスト機の間に離陸重量の面で隔たりがあることが明らかとなりました。県の問い合わせに対して運輸省は、離陸重量の違いによる騒音値への影響はほとんどないとの回答でありましたが、運輸省の言うとおり全く問題はないのか、企画部長の答弁を求めたいと思います。
第二に、大川地区での測定値のうち一回が予測値を大きく上回り、七十一デシベルを示しておりました。このほかにも予測値を上回る測定値を示した地点が県内で二カ所あった事実について、同じく県から運輸省への問い合わせに対する回答によりますと、一様に「おおむね予測の範囲内」という言葉で、幾つかの理由をつけられておりますが、片づけられております。本当に全く問題はないと言えるのか、企画部長のお考えを承りたいと思います。
第三に、一回の実機飛行テストだけで結論を出すのは私は無理だと思います。第二回、第三回の実機飛行テストの必要性について県当局としてどう考えておられるのか、また運輸省の方針はどうなっているのか、わかればあわせて企画部長にお尋ねをしたいと思います。
次に、二期事業用土砂採取についてお尋ねをいたします。
各方面からの情報を仄聞するところによりますと、関西国際空港用地造成会社と土砂採取に当たる企業や地方公共団体との間で、単価交渉が暗礁に乗り上げていると聞いております。このまま推移しますと二期事業全体の工事のおくれにもつながりかねず、ひいては二〇〇七年の二本目の滑走路の供用開始にも影響が出ることが心配されますが、いかがでありましょうか。企画部長の把握しておられる範囲内で、現状の報告をお願いしたいと思います。
もう一点、一期事業パート二の中で行われているスポット整備が着々と進んでいると聞いておりますけれども、これが早期完成が最大の離着陸回数の実現に不可欠であることにかんがみ、現空港の能力が今ほぼ限界に近づいていることを考え合わせて、現状と今後のスポット整備の進みぐあい等について、企画部長からお答えをいただきたいと思います。
以上で、第一質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 森議員にお答えをいたします。
まず、地方主権についてのご質問でございますけれども、地方主権あるいは地方分権ということについては、さまざまなご意見があることも承知をいたしております。
私は、主権であれ分権であれ、目指しておるところは、基本的に地域住民の自己決定権の拡充を図り、あらゆる階層の住民参加の拡大による民主主義の活性化ということであろうと思いまして、国民主権をより具体化することであろうと思っております。
いずれにいたしましても、地方自治体が権限と責任を持って主体的に住民ニーズに応じた施策を展開できる体制を実現していくことであろうと考えております。
次に、地方主権実現のためにどう行動するのかということでございます。
議員ご提言の地方主権の時代にあっては、地方自治体の自己決定権が拡充するとともに自己責任が拡大することとなりますので、このことに対応できる行政体制の整備を進めるとともに、時代の変化に対応できる創造的能力あるいは政策形成能力を有する意欲ある職員の育成に努めていかなければならないと思っております。また、地方分権、地方主権にいたしましても、住民にとって実のある内容でなければならないと思いますので、その財源問題なども含めて全国知事会を通じ、強く要請をしていきたいと考えております。
次に、職員の質的向上のための取り組みについてであります。
ご指摘のように、地方分権が真に実を上げるためには、職員一人一人がこれからのふるさとはみずからがつくっていくんだという強い意欲を持っていくことが必要になってまいります。そこで、本年の仕事始めにおきまして、これからの地域づくりを進めるためには、いわば一つの国をつくるんだという気持ちが必要だということを訴えました。「二十一世紀の故郷(くに)づくり」は新しい感覚と発想で取り組むことを提唱したわけでありまして、この趣旨のさらなる徹底を図ってまいりたいと考えております。
次に、意識改革についてでございます。
私は、知事就任以来、意欲と行動力あふれるたくましい県庁を目指しまして、そのために職員に対して意識改革の必要性を訴えてきたところでございます。これによりまして、現地主義の重要性の認識、いわゆる現地を見ることの大事さ、あるいは先例にとらわれることのない業務遂行、いわゆるスリーSの浸透を訴えてきたところでありますけれども、ある程度は浸透してきていると思っておりますし、職員一人一人が意欲と誇りを持っていることの手ごたえも感じているわけであります。
しかし、繰り返し申し上げますが、現状に満足することなく、さらに一層の意識改革を進めるために「二十一世紀の故郷(くに)づくり」は新しい感覚と発想でということをテーマにして、さらに努力を積み重ねていきたいと考えております。
機構改革に関しましては、今回の行政改革における組織見直しにおいては地方分権への対応を念頭に、縦割り行政の問題点を除き、部局間の従前の概念にとらわれない総合行政を推進することを大きな目標として取り組んできたわけでございます。平成十年度からは、これまでの本庁の再編に続き、住民に身近な行政は住民に身近な場所で処理し、地域の課題に総合的に対処するために、全国的にはまだ数県でありますけれども、振興局制度をスタートすることにいたしております。これらの機構改革の趣旨を職員に徹底することにより、実を上げていきたいと考えてございます。
次に、人材の確保についてであります。
県民のニーズが多様化・複雑化してまいります一方で、行財政改革等によってより効率的な行政運営を求められる中で、熱意と能力のある職員の確保が重要であると考えてございます。そのためには、ご指摘のように、筆記試験による学力のみに偏らない幅広い優秀な人材の確保に努める工夫をしてまいりたいと考えております。また、人材の登用につきましても、県行政の積極的な展開のために適材適所を基本とした職員の登用を行ってございますけれども、今後とも能力主義による人材配置を積極的に進めていきたいと考えております。
また、職員の民間企業等への派遣研修についてであります。
来るべき地方分権の時代と厳しさを増す財政状況に対応して今後行政運営を進めるためには、みずから主体的に考え実行する、最少の経費で最大の効果を上げるという経営感覚が従来に増して必要となってまいります。この意味で、議員ご提言のとおり、職員を民間企業に派遣して民間の経営感覚を習得させることは大変有意義なことであると考えまして、平成八年度からは民間企業二社への派遣を実施してございます。今後とも機会あるごとに、民間企業のみならず国あるいは他の公共団体を含めた積極的な職員派遣に努め、新しい感覚と発想を持った人材の育成を行ってまいりたいと考えてございます。
次に、南紀熊野体験博に関してであります。
南紀熊野体験博の開催意義は、一つには歴史、文化、風土といった熊野地域の魅力を私たち自身が再認識するとともに、その魅力を広く国内外に伝えていくことにあると思います。そのために地域の人々、特に若い人々が主役となって体験博に積極的に取り組んでいただくとともに、さまざまな広報宣伝媒体を活用して熊野地域の魅力を余すところなく訴えていくことが大変重要であると考えております。
また、もう一つの意義といたしましては、実際に熊野地域を訪れた人々に、この地が心と体をいやし、満たし、そして新たな活力を生み出す安らぎの地であることを実感していただくことにあろうと思います。そのために、当体験博では地域の人々と来訪者がじかに触れ合う体験イベントあるいはネットワークイベントといったものを企画してございますけれども、こうしたものを通じて交流を重ねていく上で最も大切なことは、この地を訪れた人々に対するもてなしの心を持つことではないかと考えております。もてなしというのは、単にお茶の接待ということではなくて、その土地を十分案内できる心構え、心といったものも大事だと思っております。
いずれにいたしましても、体験博の成功に向けて、県民の皆様のご理解とご協力をいただきながら全力で取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、若い人の起用の問題であります。
ご指摘のように、今回の南紀熊野体験博は、従来の囲い込み型博覧会とは異なりまして、各地の特性やリゾート資源を活用しながら熊野地域全体を広域展開していくオープンエリア型博覧会ということであります。
ご指摘のように、前例のない新しいパターンの博覧会の成功のために、全国からも注目をされておるわけでありますので、ぜひ若々しい行動力と柔軟な発想が必要であり、意欲のある若手職員を登用し、企画運営に参画をしていただき、地域の若い人々と一緒になって体験博に取り組んでもらうことが重要であろうと考えてございます。そして、このことが二十一世紀における和歌山県の地域づくりを担う人材の育成にもつながるものと考えてございます。
ただ、年齢にかかわらず柔軟な頭脳を持つ者もおりますので、その辺をうまく組み合わせてまいりたいと思っております。
以上であります。
○議長(木下秀男君) 総務部長中山次郎君。
〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 職員の意識改革と県庁組織の改革・改組についての中の二点にお答えします。
まず、職員定数に関してであります。
今日的課題である高齢化社会への対応、県内交通網の整備、南紀熊野体験博の実施など、新たな行政需要に対応していくために、スクラップ・アンド・ビルドを基本に、総定員の中で適正な定員管理に努めているところでございます。本県においては、昭和五十年以来削減に取り組み、知事部局では四百四十五名を削減したところでございますが、職員定数の問題については大きな課題として検討してまいりたいと考えてございます。
次に、外郭団体の統廃合等に関してでございます。
県が五〇%以上出資している法人は二十五法人ございますが、これらの法人については積極的な活動を行っているものと認識してございます。このうち、財団法人和歌山県交通公園については、ご質問にもございましたように、類似の業務を行っている法人については統合するという方針に基づき、今年度末をもって解散し、公園管理業務を財団法人和歌山公園緑地協会に委託することとしたところでございます。
これらのいわゆる外郭団体は、効率的、機能的な運営のもと、行政と一体となって県土の開発と県民福祉の向上に寄与することを目的として設置されたもので、さまざまな行政分野で県政の一翼を担ってきたところでございます。
しかしながら、社会経済情勢の変化に合わせ、今後、各団体の設立目的、活動実態等について見直しを行い、より一層の運営の効率化、活性化を図っていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 南紀熊野体験博の成功を目指してのうち、グリーンツーリズムの推進で体験博を成功に導こうということでございます。
昨年八月、農山漁村滞在型余暇活動促進法に基づく県の基本方針を策定して市町村への周知を図りまして、農林漁業体験民宿の登録を推進したところでございます。
議員ご提案のとおり、南紀熊野体験博と、農林漁業体験を通じて長期に農山漁村で余暇を過ごすグリーンツーリズムの精神とは同じくするものと考えてございます。今後ともグリーンツーリズムの趣旨をさらに啓発し、体験民宿の登録拡大に努めるとともに、これまで整備しました宿泊・体験施設の活用促進を図るなど、南紀熊野体験博に向け、より一層取り組みを強めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 生活文化部長中村協二君。
〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 南紀熊野体験博の成功を目指してのご質問にお答えいたしたいと思います。
まず、エコツーリズムあるいはスポーツイベントについてでございますけれども、今回の体験博のイベントの基本は、子供からお年寄りまで、幅広い年齢の来訪者に熊野地域のすばらしい自然環境の中でさまざまな体験型のイベントを提供することにありまして、まさしくグリーンツーリズム、エコツーリズムの具体化に通じるところがあると考えてございます。
議員ご提言の各種のイベントのうち、植林ツアーやホエールウオッチングにつきましては既に熊野古道における植樹イベントや体験イベントの中で実施に向けて具体化しているところであり、また自然と触れ合い親しむイベントについても検討しているところでございます。さらに、スポーツイベントについてはテーマイベントとしてマリンスポーツフェスティバルの実施を計画しているところでございますが、マラソンなどにつきましても、安全性の確保など多方面から検討してまいりたいと考えてございます。
次に、万葉ツアーの企画とゆかりの地の整備を進めよというご提言でございますけれども、和歌山という地名からも推しはかれますように、本県においては、いにしえから数多くの和歌が詠まれております。とりわけ「万葉集」には、和歌山にちなんだ歌が、議員ご指摘のとおり数多くおさめられており、その故地・旧跡も数多くあり、この貴重な資源を生かして本県の活性化と文化振興を図ることの必要性を痛感いたしております。
現在、和歌の浦や藤白の地などで万葉を訪ねるハイキングが催されていることを踏まえ、議員ご提言のこうした歴史的・文化的背景に配慮したイベントを南紀熊野体験博においても検討してまいりたいと存じます。
また、県といたしましては、万葉ゆかりの施策として、紀伊風土記の丘における万葉植物園の整備、紀州おもしろブック「いい碑旅立ち」の発刊、片男波公園における万葉館や万葉の小路の建設、そして現在の女性の思いをつづった「平成女性和歌集」の編さんなど、各種の施策を実施してきたところでございますが、今後とも活力と文化あふれるふるさとづくりに向け、「万葉集」等の貴重な資源の活用についてさらに検討してまいりたいと存じております。
次に、体験博の成功はPR・宣伝が重要なかぎを握るのではないかというご指摘についてであります。
この博覧会の目的の一つは、熊野地域を象徴的に取り上げ、本県のすばらしいリゾート性を国内外に広くPRしていくことにあります。したがって、広報宣伝活動はこの体験博の中でも特に重要な柱であると認識しており、庁内の推進本部における広報宣伝部会と実行委員会とが一体となって積極的に取り組んでまいりますとともに、情報提供には市町村とも十分連携を図ってまいります。
なお、今後の具体的展開でございますが、まず四月二十九日に一年前プレイベントを開催するのを初め、県民意識の高揚を図るイベントや全国展開の誘客キャンペーンを予定しております。また、現在姉妹提携を進めておりますスペインのサンティアゴへの道と関連づけた熊野古道展を、開幕前に合わせて東京、名古屋、大阪等において実施していきたいと考えております。
さらに、各種マスメディアを活用した広報展開を行うほか、公式情報紙や公式ガイドブックを発行して、県民の方々の参加機運のさらなる盛り上がりと県外からの誘客に一層積極的に取り組んでまいる所存でございます。
以上であります。
○議長(木下秀男君) 商工労働部長上山義彦君。
〔上山義彦君、登壇〕
○商工労働部長(上山義彦君) 商工労働部における南紀熊野体験博関連のPR事業についてお答えいたします。
商工労働部といたしましては、観光客のより一層の誘客を図る上において南紀熊野体験博が大きな誘因になると考え、関連PR事業を実施することとしております。
今後のPR・宣伝につきましては、まずテレビコマーシャルを新たに制作し、京阪神はもとより、首都圏、中京圏でも放映を実施してまいりたいと考えております。さらに、このテレビコマーシャルをこれらの地域の街頭大型ビジョンでも放映し、相乗効果を高めてまいりたいと考えております。
また、JRや私鉄の大規模車内広告などを実施するとともに、従来からの大型観光キャンペーンであるふれ愛紀州路・心のふるさとキャンペーンなどの観光PRとあわせ、機会あるごとに南紀熊野体験博のPRを積極的に行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 森議員にお答え申し上げます。
関西国際空港問題に関する諸問題のうち、先般行われました実機飛行テストにおける調査機の重量差による騒音測定値への影響についてでございます。
実機飛行調査に用いられた機材は、国際線を代表する機種であるボーイング七四七・四〇〇型機で、その離陸重量は着陸の際に脚が耐えられる最大重量に飛行中に消費する燃料を加えた約三百九トンでございました。これに対しまして、同機の実際の運用時における最大離陸重量は約三百六十三トンでございます。この重量差は約五十四トンありますが、運輸省によりますと、これらの重量による騒音ピークレベルは、測定地点から調査機までの距離を八千フィート──約二千四百メートルでありますが──とした場合に、重量約三百六十三トンで予測値六十九デシベル、重量約三百九トンで予測値六十八デシベル程度ということであり、重量の違いによるピークレベルの差は一デシベル程度で、ほとんど影響がないとのことでございました。この点につきましては、三月十日から十七日の間、運輸省が友ケ島での現行経路により実際に運用されている航空機ごとの騒音値等を調査いたしますので、その結果を見てまいりたいと考えてございます。
次に、この飛行テストにおいて一部地域の測定値が予測値を上回っていたこと、及び二回目の実機テストについてでございます。
実機飛行調査の騒音測定の結果、和歌山市大川など一部地点で運輸省の予測値を上回る測定値が観測されましたが、運輸省の説明によりますと、一般に風が強いときには音の変動が大きくなり、また風下の方が遠方まで音がよく到達すること、調査日の早朝においては西北西の強い風が吹いていたため、調査機の風下に当たる測定地点では騒音値の変動が大きかったものと考えられるとのことであります。さらに、運輸省から示されていた予測値は騒音ピークレベルの平均値的な値であるということからすると、一回目の調査結果はおおむね運輸省の予測範囲内であったと考えられますが、強い風の影響により測定値にばらつきが見られたこともありますので、ご指摘のように、一回だけの調査で結論づけるのではなく、より多くのデータを収集する必要があると考えてございます。
運輸省としても二回目の実機飛行調査を実施する意向であり、四月中にも実施できる方向で検討しているとのことでございます。県といたしましては、関係市町村の意見も聞いて総合的に判断していきたいと考えてございます。
次に、本県からの土砂採取につきましては、株式会社青木建設と鹿島建設株式会社が協力して取り組むことになってございますが、現在は事業の実施計画等について二社で協議調整を続ける一方、環境アセスのための現況調査等を進めると同時に、関西国際空港用地造成株式会社と土砂単価等についての協議を行っていると聞いてございます。
県といたしましては、用地造成会社と事業者との間で進められている協議の経過に十分注意を払いつつ、平成十年度末現地着工、平成十九年供用開始という二期事業のスケジュールを踏まえ、本県からの土砂供給が遅滞なく実施されるよう指導してまいりたいと考えてございます。
次に、関西国際空港につきましては、近畿圏における航空需要の増大に対応して、年間離着陸回数を十二万回から十六万回にふやすため、平成七年度から既存施設の能力増強等──いわゆる一期パート二事業でありますが──を進められてございます。
議員ご指摘の駐機場整備につきましては、現在五十四スポットで運用されておりますが、平成八年度から実施中の北地区での四スポットの整備、及びこれに伴う旅客ターミナルビルの拡張工事が近く完了し、本年六月ごろの供用により五十八スポットとなる予定でございます。また、平成十年度においては百三十九億円の事業費が政府予算案で認められており、南地区の四スポットの整備及びこれに伴う旅客ターミナルビルの拡張工事を実施いたしますが、その後さらに貨物四スポットの整備を行い、合計六十六スポットを整備する計画でございます。
県といたしましては、県民の利便性の向上を図るとともに、関西国際空港が国際ハブ空港としてその機能を十分発揮できるよう、一期パート二事業の円滑な推進に向けて今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
36番森 正樹君。
○森 正樹君 数点、申し上げたいと思います。
まず、地方主権ということについてであります。
実は、先ほど申し上げました元島根県知事の恒松制治さんは、本の中でこういうふうに言われております。これは共著なんですが、「現行憲法の中には第八章に『地方自治』という一章を設けております。その最初の条文第九二条に『地方公共団体の組織及び運営に関する事項は地方自治の本旨にもとづいて、法律でこれを定める』と書いてあります。(中略)一つの法律という枠内のなかでしか、地方自治を認めませんよということを憲法がうたっているわけです。地方自治という一章を設けながら──そんなにたくさん章はございません。その中で第八章として一章を設けながら──そういうことをうたっていること自体がもうすでにおかしいんではないかと、これは地方自治の本旨にそわないとさえ思っております」と、そういうふうにおっしゃっておりました。
それから、中央が地方を規制することのばかばかしさを、こんなふうにも言われております。島根県で知事をされているときに、ある年、大変な冷害があって、そのときに県下全部を回られたら、同じ気候条件であるのに、そこそこ平年並みの米ができている田んぼもある。ところが、片方では全くやられてしまってだめなところもある。それで知事が不思議に思って、何でこれだけ作柄に違いが出るんだということを地元農民に聞かれたそうであります。そうしたら、そのときに地元の人がいわく、「それはやる気の相違です」と。「米作りというのは、ただ単に天候が悪いんじゃなくて、天候が悪ければ、それに対応したような努力をし、土作りをし、あるいは管理をよくするということで、不作を絶えず少ない範囲でとどめることができるんですよ」と、こういうふうにある農民に言われた。きちっとそういう管理をされて、土づくりからいろんな汗を流して努力された結果、平年に近い作柄を守ることができたと農民の方が言われているわけです。
ところが今、東北なんかでもそうですけれども、青立ちといって、もみの中に実が入らない。真夏日が一日もなかったなんていうことが岩手県でもあったことがありますが、そういう中で、農家が非常に農業に対するやる気をなくしている。それはなぜそうなるのか。そのことを恒松さんは、減反政策に原因があると。「自分のたんぼで、自分の労力で、自分の資本で耕そうと思っているのに、そこを耕してはいけないといわれる。これほど農家のやる気を失わせるものはないだろう」と。「そういういらざる規制を政府がやりすぎることがいかに、私たちの社会を貧しいものにして行くかということを、この事例で知ることができるわけです」と結んでおられます。
私も記者時代に、秋田県の大潟村──あの八郎潟という大きな湖を干拓して、塩抜きをして、あそこを日本ではかつてない大型農場にするということで、全国から農業に意欲を燃やす若い夫婦がたくさん応募して、大変な競争の中であそこに入植されました。ちょうどそのとき私は記者時代で、取材に何回か行ったことがあります。
数年かかって塩抜きをやって、やっと来年から米をつくるというときに政府が何をやったか。減反政策であります。北は北海道から南は沖縄まで、みんな農業に意欲を燃やして、農業に夢をかけてあの大潟村に入植したんです。ところが、立派な農場が目の前に──本当にすごい、延々見はるかす田んぼでありますが、いよいよ来年から米ができるというときに減反政策なんですよね。こんなばかなことを中央が地方に押しつけること、これは本当に僕は問題だと思います。
そのときに取材で、大潟村でこれから希望に燃えて農業をやろうといういろんな農家の方に話を聞きましたが、皆さん大変な怒りをぶつけておられました。もう二十年以上前の話ですが、そのことは今でもありありと覚えております。──そうですよね、農林水産部長。
農業問題をここでは語るあれではないので、これ以上は申し上げませんが、だからこそ「地方主権」なんです、知事。「地方分権」じゃないんですよ。やっぱり「地方主権」なんです。本来、主権は国民なんです。県民にあるんです。市民にあるんです。だから、その一番近い政府──市町村とか県に主権があって当たり前なんであります。そういうことをこの際、改めて訴えたいと思います。
それから、職員研修で、先ほど知事は答弁の中で、現地を見ることの大切さ、重要さを訴えてきたとおっしゃっておりました。まさにそのとおりであります。民間企業への派遣研修をぜひともふやしていただきたい。
知事が年末の訓示の中で、三十一日まで働いている人がいるんだ、この不況の中で汗を流している県民がおることに思いをいたせと言われた。あのことを職員の皆さんがどこまで覚えているか。私は、あれは本当に大事な視点だと思います。そういう他人の痛み、苦しみがわかる行政マンでなければならない、そのように思います。
したがって、そういう意味で、現地を見ることの大切さを知事が言われました。一年でも二年でも結構だと思いますが、やはり民間企業なりいろんなところへ行ってそういうものを肌で感じてくる。我々も、例えば海外へ行きますけれども、幾ら本で何百冊読んでもわからない、現地に足を踏み入れて、その土を踏んで初めてわかることというのはあるんですよね。これは皆さん経験があると思います。そういう意味で、民間企業への派遣研修はぜひとも大幅にふやしていただきたい。机上での空理空論をもてあそんでも、全く意味がないとは言いませんが、それよりも僕は現場を踏んでの派遣研修が大変大事だと思いますので、よろしくお願いします。
それから、組織の縮小、改革・改組と人員削減であります。
先ほど挙げられた外郭団体以外にも、いっぱいあると思います。県がいろんな許認可を与えている中には休眠状態のものもあると聞いておりますが、まあそのことは申し上げません。
ただ一点だけ例を挙げますと、県印刷所、これなどは今、果たして機能をしているのかと。全くしていないとは言いませんが、やはりこういうところを一つ削っていくことによって──大変な痛みを伴います。痛みを伴うことではありますが、二十一世紀に向かって、百八万県民のためにそういうところをある程度削減、縮小整理することが本来の県民福祉の増進を確保することにもつながります。そういった視点で、ぜひとも厳しく取り組んでいただきたいと思います。
それから、僕は決してひな壇におられる方がすべて頭がかたくてもう使い物にならんと言っているのではなくて、やはり人間の体というのは生理的に、四十代、五十代、六十代になると、当たり前のことなんですが、どうしても発想も古いし、頭も回転しにくくなると。そういう意味で──このままいくと県庁組織のピラミッド型がこの体験博の推進機構になると思いますが、そういうここにおられる部長が主催者になって会議をやっても、若い職員が意見を出しにくい場合もあるわけですよ。だから、そういう意味で、思い切って若い人たちだけに声を出す場を与えてあげて、いろんなアイデア、知恵を出してもらうということが大事だと思います。それは、職員だけじゃなくて、先ほど知事もちょっと言われておりましたけれども、広く県民の中にもそういうアイデアを募ってやっていくことが大事だと思います。というのは、そういうアイデアを出したり参加することで、県民の間にも主催者意識といいますか、参加意識が芽生えてくるんです。それが非常に僕は大事だと思います。そういう意味で、ぜひともこれも取り組んでいただきたい。
それから、万葉ツアーについて一つだけ申し上げます。
犬養孝先生の本の中に、こんな部分がありました。先ほど私が読み上げた歌についてですが、「この歌に出てくる磐代という地名を考えてみましょう。問題の所は、和歌山県日高郡南部町大字岩代小字西岩代という所です。この磐代という地はどういう所かといえば、ここは”熊野”に入る口元にあたる大事な所です」と、そういうふうに言われております。
いわゆる大宮人というのは奈良あるいは京都にあって、海のない地域におる人ですよね。そういう人が初めてあの太平洋の大海原を目の当たりにして、感動するわけです。だからこそ、そうした歌がいっぱい生まれたわけです。「その海のない人々がこの紀の国の海、熊野などの海に出てきて、そのみごとで男性的な景観を見て、ものすごく感激するわけです。だから『万葉集』の紀の国の歌、約一三〇首ほどの歌を見ると、南へ行けば行くほど、景観と共に心躍る歌ばかりになる。初めて海を見るような人達ですから、その南国的な景観に夢中になるんです。今、旅人が、磐代の所へ来たら、黒潮の風に揺れている海岸の松の枝を見ただけでも『ワァー、すばらしいなあ』と、身にしみて思うに違いありません」と、このように本の中で言われております。
私は昔、NHKが企画した万葉ツアー──犬養孝先生が引率をされておったんですが──が放映されているのを見ました。幅広い年齢層のいろんな人が参加をされておりました。やはりそれだけ根強いファン、人気があるんですよね。そういう意味で、ぜひともこれは実現をしていただきたい、そのように申し上げます。
最後に、グリーンツーリズムについて。
日本とフランス、ドイツなんかとの決定的な違いは、ちょっと第一質問の中でも申し上げましたが、実は税の減免措置のあるなしなんですよ。幾ら法律をつくっていろんな企画を出しましても、やはり農家から考えますと、そうした税の減免措置なんかがなければ実際にはできないんです。だから日本では、農林水産省が数年前に法律をつくっても余り乗ってきてくれる農家がないというのが現状なんです。それに対して、フランス、ドイツではこれはもうきっちりと国民の間に定着をしている。それはやはり、税の減免措置があるからなんです。
そういう意味で、ぜひとも農家民宿に取り組む農家に対する税の減免措置などを国に対して強く働きかけを今後していただきたい、そのように申し述べたいと思います。
以上、すべて要望でございます。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
19番高瀬勝助君。
〔高瀬勝助君、登壇〕(拍手)
○高瀬勝助君 通告に従いまして、質問をさせていただきます。
私はまず初めに、青少年の健全育成とスポーツ活動についてお尋ねいたします。この質問は昨日の新田議員と重なり合うところがありますけれども、よろしくお願いをいたします。
私は、これまでスポーツについて、さまざまな視点からそのすばらしさを取り上げてまいりました。過日の長野市での冬季オリンピック大会が、日本選手団の大活躍により、大きな感動のうちに終了いたしました。中でも、私が最も感激したのは、スピードスケート五百メートルで金メダルを獲得した清水宏保選手の一挙手一投足であります。落ちついた中にも喜びを精いっぱい表現した言葉や、父を亡くした後の母への感謝、思いやり、「他の同僚や先輩がいたからこそ、この成績が残せた」という謙虚な言葉、そして、世界平和に役立つようにという願いを込めて、地雷防止キャンペーンへの金メダル報奨金の寄附の申し出等々、実に敬服するものであります。体が小さくても、自分の可能性を信じ、ただひたすらに努力すれば目標を達成することもできるし、また、その過程において人間性も高めることができるということを教えてくれたと思います。
先般、文部省の調査では、全国の公立中学・高校での校内暴力は、中学校で八千百六十九件、高校で二千四百六件の合わせて一万五百七十五件という過去最大に達し、特に教師への暴力が前年の一・五倍に当たる千三百十六件という実態が示されました。
その校内暴力の特徴として、一人で突然ムカつきを爆発させ、その結果、学級が崩壊し、授業が成り立たないというケースもふえ、さらに、悩んで休職に追い込まれる教師もふえているとも指摘されており、本年一月末には、中学生が先生から注意され、ナイフで刺して死亡させたという痛ましい事件も発生いたしております。つい先日の九日には、埼玉県の東松山市で中学生同士が、けんかからナイフで同じ一年生の生徒が刺し殺されるといったショッキングな事件が起きました。また、私の住んでいる和歌山市では、先月の二十七日、和歌山市の北部にある中学校で、三年生の生徒が校長室で机のガラスをたたき割った上、ストーブにかけていたやかんを投げつけ、校長が熱湯でやけどを負い、この中学生が今月六日、和歌山北警察署に逮捕されるといった事件が起こっております。一方、いじめ問題を見てみますと、いじめの件数は、前年度を下回ったとはいえ、小・中・高・養護学校を合わせて約五万一千五百件という、まさに教育の危機的状況が浮き彫りにされました。
中央教育審議会では、二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方の審議のまとめで、今後における教育のあり方の基本的な方向として、豊かな人間性、正義感や公正さを重んじる心、みずからを律しつつ他人と協調し他人を思いやる心、人権を尊重する心、自然を愛する心など、こうしたことを養うことは、いつの時代においても、どんなに社会が変化しようとも不易なものであり、大切にされなければならない、これらの問題を解決するに当たっては、家庭、学校、地域社会の役割と連携を図ること、教師の質の向上、教育委員会や学校における取り組みの充実、スクールカウンセラー等の専門家の協力が必要であるとも提言されております。
本県でも、校内暴力やいじめに対してさまざまな対策、施策が講じられていると存じますが、ここで本県における校内暴力、いじめの実態とその対策、さらにその対策の成果について、教育長にお伺いいたします。
さて、私は昭和三十年過ぎから、青少年の健全育成の一助になればと思い、少年野球クラブの指導に携わってまいりました。子供たちは、仲間とともに一つのボールを必死に追い求めて、泥だらけになりながら練習に打ち込み、試合においては練習の成果を思い切り発揮して戦い、勝ったときの喜びや感動、負けたときの悔しさを体験し、日々たくましくなっていきます。
その練習や試合には、子供や保護者、また地域の指導者が一体となって参画しており、小学校時代の四、五年の間ではありますが、この間に子供たちは、正義感や思いやりの心、クラブを支えてくれた監督やコーチを初め周囲の方々への感謝等々、実にさまざまな経験を通し、心身ともにバランスのとれた成長を遂げていくように思います。まさに中央教育審議会答申の提言にある、これからの教育の目指す方向に沿ったものではないでしょうか。
ところが、中学校へ入学いたしますと、運動部活動は学校教育活動の一環として位置づけられ、そこでは、小学校の地域スポーツクラブとは違って保護者や地域社会との連携が余りとられていないのではないでしょうか。従来から学校は、地域や保護者等が直接運動部活動等にかかわるのを好ましく思っていないような雰囲気もあり、また地域や保護者も学校活動に余りタッチしない方がよいのではという感じを持っている気がいたします。しかし、中学校における生徒の暴力、いじめや不登校が指摘されている中、おのおのの学校だけではなく、学校間の連携を深めるとともに地域スポーツ活動との連携を促進し、年長者や年少者との触れ合い、また幅広い仲間との交流を図り、人間的成長を促すような抜本的な改革が必要ではないでしょうか。
プロサッカー・Jリーグが掲げた「地域に根差したスポーツ文化づくり」という理念は、地域社会に根差したクラブを舞台に豊かな生活の一部としてスポーツを楽しむという、新しいスポーツライフのあり方を提示していたと思います。また、このことは、今まで主として学校や企業を中心に進められてきたスポーツ振興に、地域という観点からスポーツを振興するという新しい視点をもたらしたと思います。以来、各都道府県や市町村はスポーツクラブづくりに目を向け、公共スポーツ施設、学校施設等を巻き込みながら、子供から高齢者まで、また、種々のスポーツを取り入れたスポーツクラブづくりが進められておりますが、まだまだ十分なものであるとは言えないのではないでしょうか。
現在、一九八〇年代初頭に吹き荒れた校内暴力とは違った形で、「キレる」とか「ムカつく」という言葉で表現される新しい形での問題が特に中学校で起こっていることに対し、私は、スポーツ活動を通して何とか解決を見出すことができるのではないかと思うものです。
今後、学校における運動部活動と地域社会におけるスポーツ活動とのかかわりを含め、スポーツ活動と青少年の健全育成について教育長の見解をお伺いいたします。
続いて、昨年の十二月、大阪花園ラグビー場では全国高校ラグビーフットボール選手権大会が開かれ、本県代表の県立熊野高校は栃木県代表の強豪チームである国学院栃木高校と対戦し、十二対六十で緒戦敗退したものの、学校やラグビー協会の関係者は「あの強豪を相手によくやった」と、選手らの善戦ぶりをたたえていました。
本県のラグビーフットボール協会の会長さんは、毎年欠かさず県の代表校の応援のために花園に足を運ばれ、試合後はいつも「和歌山の子供は中学校での経験もないのに、よく鍛えられている」と、選手に声援を送られます。しかし、「あの難しい楕円形のボールのさばき方など、中学時代からやらせたらなあ」と、常に口にしておられます。
さて、本県では、昭和四十六年の黒潮国体の開催を契機に数多くのスポーツが強くなり、「野球王国」や「相撲王国」とまで言われてきましたが、現在では、高齢化が進むとともに少子化等による生徒の減少等で、中学校での運動部は年々減少してきているとのことです。このような中、昨年の十一月、県営紀三井寺公園球技場では近畿中学校総合体育大会ラグビーフットボールの部が開催され、和歌山県を除く近畿五府県の代表校が戦いを繰り広げ、本県の役員や関係者は運営だけの参加にとどまり、肩身の狭い思いをしたと聞いております。
身体の最も成長期にある中学校時代にそれぞれの能力や個性に合ったスポーツを身につけていくことは、生涯スポーツや競技力の向上につながっていくものであり、このためには幅広いスポーツの機会を生徒に提供させてやることが重要ではないでしょうか。また、学校の運動部活動では指導者の確保も大きな問題であります。参加する生徒は、頂点を目指す生徒や仲間との触れ合いを求めるなど、多様な目的を持っていることは承知しておりますが、技術の向上を目的とする生徒の要求にこたえるためには指導者もある一定の技術や指導力を有する必要がありますが、現実的にはそのような先生は少ないのではないでしょうか。
お伺いしたところ、県教育委員会では運動部活動の振興策として、地域社会から指導者を招く制度である運動部活動外部指導者派遣事業を実施しており、この事業は今年度から運動部活動地域連携促進事業として枠が拡大されたと聞いております。運動部活動を推進する上で指導者の不足が大きな問題と言われている中で、このような制度を一層充実することはもちろんのこと、あわせて学校で指導に当たる先生の指導力を高めていく方策も講じる必要があると思います。
さきの花園ラクビー場の話に戻りますけれども、この大会で上位進出を果たしている大阪の啓光学園を初めとする強豪チームのほとんどは、キック専任、フォワード専任、バックス専任という、それぞれのコーチやトレーナー、チームドクター等、何人ものコーチングスタッフを備え、チーム力の強化を図っております。これでは、監督が何役ものコーチを兼ねている本県のチームとの格差はますます広がるばかりであると懸念されるところであります。
ここで、他府県で実施されているが本県の中学校では設置されていないラグビーを初めとする競技について、積極的に導入していただき、また外部指導者の積極的な登用を初めとする指導者の育成に努めていただきたいと存じますが、教育長の見解をお伺いいたします。
次に、スポーツ国際交流について知事にお尋ねをいたします。
本県では、平成六年に開催した世界リゾート博で、西サモアがこの博覧会に正式出展し、それを契機に西サモアの観光・大蔵大臣が来県し、その後、民俗芸能の伝統舞踊ショーなどの交流、さらに昨年五月には、西サモア政府観光局が和歌山マリーナシティに和歌山支局を開設し、国際交流を深めています。
この西サモアの人たちはラグビーに関して特に興味や関心、身体能力が高く、そのボールさばきは「フィジアンマジック」、「南太平洋マジック」とも呼ばれ、そのプレーには目をみはるものがあり、ワールドカップ等の国際大会への出場、さらに、優秀な選手は日本やヨーロッパなどのチームで大いに活躍しております。
そこで、本県に西サモアの大学生や高校生のラクビー選手、それにコーチングスタッフ等を中長期的に受け入れ、ラグビーを通しての交流を図ることは、スポーツの振興はもちろん、国際親善の面でも意義あることではないでしょうか。知事の見解をお伺いいたします。
続いて、トラック等の過積載等の取り締まり状況と事故防止について質問をいたします。
近年、大型トラック及び大型トレーラーによるところの交通事故が多発していることにかんがみまして、なぜこのような事故が起こるのか、その要因は過労や過積載かどうか、私なりに考えたところであります。
我が国の産業経済を初めとして、身近なところでは宅配、引っ越しなど、県民生活を支えているトラック輸送について、私たちはもう一度改めて認識をしておかなければなりません。また車両の性能も、戦後の経済の発展に合わすかのように著しく向上しました。大型車両を見てみますと、過去においては現在のようなパワーステアリングやエアブレーキ、ABSシステムといった装置はなく、荷物の積み過ぎが原因で起こる交通事故が多発し、とうとい命が失われるといったケースも数多くありました。しかし、車両の性能が向上した現在、事故は昭和三十年代に比べると大きく減少したものの、相変わらず発生をしています。これは、大型車両がスムーズに通行できる道路網整備を初め、過労運転、過積載等、さまざまな要因が挙げられます。中でも、過積載による大型車の事故は重大な事故につながります。
我が国では、交通事故防止に向けて大型車に対する道路交通法、車両運送法等が次々に改正されるなど、貨物輸送に携わる事業所は協会や会社を挙げて事故防止や輸送秩序の確立に取り組み、また企業イメージの向上に向けて取り組んでいます。この四月からは道路交通法が改正され、その中で大型貨物車に対する規制では、高速道路での大型車両の左側線の走行や過労運転、大きな速度超過に対する処分の強化等について改正が行われたと聞いております。
そこで、過積載による事故防止対策についてお伺いいたします。
自動車検査証いわゆる車検証に記載されている最大積載量を超える不法な過積載は大きな事故につながることから、平成五年の道路交通法の改正によってその対策が強化されたと聞いております。また、事故を起こしたドライバーはもちろんのこと、車両の使用制限や荷主等の背後責任等についても対策が強化されたということですが、本県では改正後五カ年余りたった中、これらの取り締まり状況は他府県との比較も含めてどうか、また悪質なケースについてはどのような処置を講じたかについても、警察本部長にお尋ねをいたしたいと思います。
次に、貨物輸送におけるハード面での道路整備促進についてであります。私はこの問題について、議場で登壇させていただくごとに整備促進を訴えてまいりましたが、ここで改めて、都市計画道路湊神前線について申し上げます。
昭和六十二年の事業認可以来、JR紀勢線を立体交差するために、宮前地区の東側地域では既に橋脚五基や橋台一基が完成し、本年九月ごろを目途に架設が終了するほか、紀勢線をまたぐ長さ三十五メートルの橋梁架設工事についてもことしじゅうに完成する運びと聞いております。この工事は、西側区間の用地問題解決後、橋脚などの設置事業にかかるということであります。これは、地区住民及び産業経済界挙げての悲願であると言っても過言ではありません。
さきの議会でも述べましたように、和歌山市では朝夕のラッシュ時に大きな交通渋滞が生じているほか、県が進めている和歌山下津港のベイフロンティア構想や西防沖の埋め立てに伴うLNG基地やサテライト型基地等の大型プロジェクトが計画されている中、大型貨物車による交通量が今後ますます増加するのは間違いなく、この湊神前線や南港山東線、松島本渡線等々の道路整備による交通ネットワークづくりは必要不可欠なものであります。県当局におかれましては、一日も早い完成を目指して努力されることをお願いいたします。なお、この道路整備促進については要望とさせていただきます。
これで、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの高瀬勝助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 高瀬議員にお答えをいたします。
スポーツの国際交流についてであります。
スポーツを通じて国際交流を図ることは、スポーツの普及振興に寄与することはもちろん、諸外国の相互理解あるいは友好親善に大きな役割を果たすものと考えてございます。
本県では、現在、日中友好スポーツ交流事業、あるいは日独のスポーツ少年団交流事業を行ってございまして、それぞれの国の伝統的なスポーツを体験することによって国際理解と友好親善を図っておるわけであります。また国際大会の開催では、平成六年に世界レーザー級ヨット選手権大会を和歌山マリーナシティで開催し、本年六月には国際卓球選手権大会をビッグホエールで開催することとなってございます。
お話のより高い競技力を目指す選手にとりましては、世界のトップレベルの選手のわざや精神力を身近に見たりともにプレーをすることができれば、技術の向上に極めて効果があるものと思うわけでございます。
ご質問にございました、西サモアに関連してのトップレベルの選手を本県で受け入れて交流を深めるということにつきましては、今後、県スポーツ振興審議会を初め、関係者の意見を聞きながら研究をしたいと考えております。
以上であります。
○議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 青少年の健全育成とスポーツに係る三点についてお答えいたします。
本年一月末、栃木県で中学生が女性教諭を死亡させるなど、全国的に衝撃的な犯罪が相次いで発生しており、校内暴力につきましても増加する傾向にあります。本県では、平成八年度、校内暴力は小中高等学校で十四件が報告されており、いじめは二百六件となってございます。
教育委員会におきましては、教育相談やカウンセラー派遣等を行い、子供の心理的問題の解決に努めるとともに、関係機関連携推進会議を設置し、学校、家庭、地域社会が連携し、子供の健全育成のための取り組みを進めてきてございます。こうした取り組みと子供の教育に携わる多くの関係者の努力によりまして、本県においてはこれまで刺殺事件のような深刻な事態には至っておりません。
児童生徒にとっては、楽しく学び、生き生きと活動できる場、一人一人が尊重され、好ましい人間関係の中で自分の存在感や自己実現の喜びを実感できる場が大切であります。こうした意味で、学校や地域社会において子供たちが積極的にスポーツ活動などに参加することは、人間的な成長を図り、問題行動を防止する上で大きな意義があると考えます。
次に、学校での運動部活動と地域スポーツ活動とのかかわりでございます。
スポーツ活動は、成就感や達成感、爽快感などを味わうとともに、挫折を乗り越えるなどの経験を通して問題を解決する能力や自立心を養うなど、人間として成長していくものであります。また、年齢の異なった集団の中で互いに協力し合い、高め合いながら自主的、自発的に行うことによりまして、友情や連帯感あるいは集団生活のルール等を身につける場でもあります。
本県小学生の地域スポーツクラブへの参加状況は、野球、剣道、バレーボールなど二十三種目、五百八十四クラブで約一万五千人が参加いたしております。中学生では学校の運動部活動が中心となっており、地域スポーツ活動への参加は十二種目、六十四クラブ、約一千人となっております。
これからのスポーツ活動は、学校における運動部活動と地域スポーツ活動との連携を図ることが大切であり、今後とも生徒の多様なニーズにこたえる環境の整備に一層取り組んでまいります。
次に、本県の中学校における未設置種目と指導者についてであります。
ご指摘のとおり、ラグビーフットボールにつきましては、残念ながら運動部が設置されておらない状況でございます。こうした競技については、地域スポーツ指導者や各競技団体等と連携を図り、また、中学校の理解も得ながら部の設置を促進し、中高一貫の指導体制の確立に向けて努力してまいります。
次に、外部指導者の導入についてであります。
今年度は、中学校で十九校十九人、高等学校では十三校十七人の指導者を外部からお願いするとともに、運動部活動指導者研修会はもちろんのこと、外部指導者研修事業も実施し、指導者の資質の向上に努めております。今後とも、運動部活動の一層の活性化を図るために、指導者の確保充実につきまして重点的に取り組んでまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 警察本部長米田 壯君。
〔米田 壯君、登壇〕
○警察本部長(米田 壯君) 高瀬議員のご質問にお答えをいたします。
いわゆる過積載につきましては、重大交通事故を防止することを目的として平成五年度に道路交通法が一部改正されまして、より一層対策が強化されたところであります。
警察といたしましては、この改正の趣旨に基づき、大型車両の過積載、とりわけ超過割合の高い違反に重点を置いた取り締まりを強化しておりまして、昨年中は三百六十四件を検挙いたしております。この改正法施行後の平成六年以降は、年平均三百四十二件の検挙ということでございます。改正法施行前の五年間の年平均は二百四十九件でございまして、改正後は相当数、検挙件数が増加しております。また、平成八年末現在の当県の貨物自動車台数は全国第三十四位、二十四万七千四百十八台でありますけれども、過積載の検挙件数は全国で第二十七位となっております。他府県と比較してみても相当高いレベルであると言えるかと思います。
なお、表面的な過積載の検挙のみにとどまらず、それを引き起こす要因にまで踏み込んだ諸対策を推進しているところでございまして、特に平成五年の法改正によって新設された幾つかの制度、すなわち公安委員会による違反車両の使用者に対して過積載防止のための必要な措置をとることの指示、それからこの指示違反に対する車両の使用制限、荷主等の過積載要求行為に対する再発防止命令を厳正に行っているところであります。
ちなみに、昨年は指示が四十五件八十八台──これは全国で第十六位でございます──使用制限一件一台、再発防止命令一件となっております。このほかにも、公安委員会から陸運局に対して営業用車両の過積載の通知を行い、同局においても適正な処分が行われていると承知しております。
過積載はひとり警察のみの力によって防止できるものではなくて、関係機関・団体等による総合的な諸対策が必要不可欠であります。今後とも、陸運局を初め、関係機関・団体等との連携を密にして過積載防止を図ってまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
19番高瀬勝助君。
○高瀬勝助君 答弁ありがとうございました。
今いただいた中で、特に学校の暴力事件というのはかなり深刻な問題であるということは、もうきのうからの質問の中でもご承知のとおりだと思います。
きのうも、ご承知のとおり、中学校の卒業式に大阪府警が二千人で警戒というような──徹夜パトロールということで、府内五百二十三校の卒業式で、和歌山県警の全警察官の数を上回る二千人体制で少年補導員を配置して暴力事件の防止等に向けて警戒したというような記事が朝日新聞の一面トップに載っておりました。卒業式の前夜からもパトロールをするほか、学校に泊り込みで徹夜の警戒だとか、毎年、学校からの出動要請を受けて警戒に当たっているということで、全国的に目立つ大変な時期だと思っております。
この記事にあるように、学校での暴力事件は深刻な局面であるということですけれども、よく耳にすることで、親と子のコミュニケーションが最近だんだん少なくなっているのは事実だと思います。すべて学校の方に子供をゆだねて、「学校が悪いんだ」ということで処置をする場合をよく聞くわけですけれども、そういう意味で、私が訴えたスポーツ振興ということは、スポーツクラブに参加することによって、決められた規則を守り、そして団体で行動することでのお互いの協調・共存ということが大事ではなかろうかと。特に、中学時代が少女にとっても一番の青春時代でもございます。小学校のときは私服で行くわけですけれども、中学校になると制服に変わる。そういうことから、学校の中での閉鎖的な行動が、いろんな形で家庭とのコミュニケーションをなくすし、またいろんな事件が起こっている原因にもなっているのではなかろうかと。それを何とか突破・改善するために、スポーツというものがもう少し幅広くできたらなと。それが私の、中学での暴力事件に対するスポーツの観点からの訴えでございます。
どうぞ教育委員会の立場では、学校教育の中で、特に中学教育について再考していただき、いろんな方向で、子供たちの成長期の一番大事なときをすくすくと育てるような、学校へ行ってよかったというように、ひとつ頑張っていただきたいことを要望いたします。
それから、先ほどトラックの過積載についていろいろお話をさせていただきました。私は過積載を特に重視するわけではないんですけれども、交通安全ということで、大型化の中で、また和歌山県のような、交通量が多く道路幅員が小さいところなんかでは特にそういうことがございます。過日もトラック協会でいろいろと勉強をさせていただきましたが、その中で過積載ということが出たわけです。現在、経済情勢が大変悪化もしておりまして、運賃のダンピングとか、競争が激しいトラック事業の今日でございます。そういう意味で、交通安全ということの中から、安全運転でそういうものをしてもらいたいと。
伺えば、先ほどから話が出ておりました南紀熊野体験博に向けて、和歌山県のトラック協会も地域の安全のためにということで、点滅した光で知らせて事故防止をするという自発光式のものを相当な金額で寄附して協力したというお話も伺っております。そういうことで、自動車業界挙げて取り組んでいただくとともに、和歌山県の交通事情をしっかりと見ていただきまして、我々の生活に安全な交通体制をつくってもらいたいと、そのことを要望いたしまして、終わります。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高瀬勝助君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時四十三分休憩
─────────────────────
午後一時二分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
37番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
まず、大規模開発問題についてであります。
最初に、フォレストシティ計画についてお尋ねを申し上げます。
県は、昨年一月二十二日、住民の切実な声を無視して、金融不安に揺れる紀陽銀行や企業擁護を優先してフォレストシティ計画に開発許可を出しました。フォレストシティ計画の事業主体である和興開発株式会社は、前田喬前社長を先頭に、計画地の用地買収にかかわって国土法違反、所得税法違反で逮捕され、実刑判決が下されました。企業のもうけのためなら手段を選ばぬ、法を平然と犯すという反社会的企業体質を露呈してまいりました。企業としての社会的信用は、この時点で確実に失ってしまいました。にもかかわらず県は、社長初め役員の刷新によって信頼はもはや回復された、資金力についても紀陽銀行であるからと、だれもが首をかしげる理解できない許可でした。開発許可を不服として和泉山系の開発を考える会と圓明寺は開発審査会に取り消しを求める審査請求を行いましたが、県と同様の理由を述べて、本年一月八日、請求を棄却いたしました。ところが、棄却後四十一日の二月十八日、和興開発株式会社は会社更生法の適用を和歌山地裁に申請する事態が発生しました。二月十九日の各新聞報道によりますと、開発許可の前提条件となる資力と信用にかかわる重大な問題を指摘しています。和興開発は、これまで紀陽銀行と紀陽ビジネスファイナンスから五百七十億円の融資を受けてきましたが、その金利支払いが九三年十二月から滞って、以後、融資も受けられなくなったと記しています。このことから、許可された昨年一月二十二日においても、また開発審査会が棄却した本年一月八日においても、資金的能力から見ても許可条件を十分満たしていたとは到底言いがたいと考えるものです。事業を適正に完遂するどころか、事業が中断、放置される危険性が大であったと、県も開発審査会も判断するのがごく自然と考えるものです。したがって、こうした問題について十分調査をし、そのことを承知の上で許可をされたのでしょうか、知事のご所見を伺うものです。
続いて、燦黒潮リゾート構想に関連してお伺いをいたします。
バブル期に制定されたリゾート法が施行されて十年が経過いたしました。そして、本県は燦黒潮リゾート構想がスタートして八年目を迎えています。その計画での完成は、ほぼ十年後の平成十二年となっています。あとわずかとなってまいりました。県は、このリゾート構想を地域振興策はこれ以外のものはないとばかりに、住民の強い反対運動も軽視して、ゴルフ場を初め宅地造成などの大規模開発計画を次々と許可してきました。しかし、バブル崩壊とともに営利目的の民間企業は経済情勢の危機を理由にさっさと計画から撤退をしていくもの、金融破綻や企業倒産などによる計画そのものがとんざする現状が続いています。バラ色の計画もすっかり色あせた燦黒潮リゾート構想になってしまっているのではないでしょうか。その代表的な計画としての田辺湾総合開発から事業主体の丸紅が撤退をしています。巨額の県費を投入して進められてきたコスモパーク加太計画から大手十四社の企業が撤退し、関空開港三年が経過した現在においても広大な二百六十五ヘクタールの土地利用計画の展望がいまだに見えてきません。何よりも、コスモパーク加太計画のおくれは県行政の主体性の欠如と企業頼みの開発に望みを託した結果であり、失政であることを指摘せざるを得ません。そして、大企業の採算本位の得手勝手さにも怒りを覚えるものです。
そこで、お尋ねをいたします。
コスモパーク加太にこれまでどれくらいの費用が使われてきたのでしょうか。また、利子相当分としての貸付額は。今、どのような土地利用計画が検討されているのでしょうか、見通しなどお聞かせいただきたいと思います。
燦黒潮リゾート構想計画では、民間投資額は五千七百億円、雇用は六千人の増大、余暇を楽しむために来県するリゾート客は千二百万人の増加が見込まれておりました。その進捗率はいかがなものでしょうか。平成十二年までの達成の見通しはいかがですか。関係部長の答弁を求めます。
大規模開発と言われる宅造許可は、柏栄不動産の和歌山ニュータウン計画や村本建設、三共土地開発など、許可後、会社更生や企業倒産などによって事業が中断されており、放置されたままの土地や事業継承されたものの一向に進まぬ土地が目立ってきています。その中には、ごみ捨て場になったところも見受けられます。また、ゴルフ場の許可においては、森林法改正が平成四年六月十日から新基準となり、ゴルフ場開発による二次災害の危険性を避けるため、開発にかかわる切り土、盛り土の土砂の移動量を制限しました。旧法はその制限がなかったことから、二十二件ものゴルフ場開発許可申請が駆け込み式に行われてまいりました。この二十二件の申請事象に対しては、法施行後五年経過しているにもかかわらず旧法の適用となるのですから、日本は法治国家と言われていますが、果たして本当に法治国家と言えるのでしょうか。私は疑問を抱きます。
平成三年三月以降、県は増設も含めて十七件の許可を行いましたが、完了したのはわずか三カ所。工事中が五カ所でありますが、この工事中においても、御堂開発や紀和観光開発株式会社の事業が中断されたままです。また、経営難のため未着手となっているものが九件もございます。
こうした状況のもとで、地元自治体に多大な影響を及ぼしている計画もあることから、地域開発すら計画できないで困っているという訴えも続いてまいりました。許可後、三年、五年、八年以上も未着手の事象もあることを考えたとき、県行政にあっては許可さえ与えたら後はどうなってもと、企業任せになってはいないでしょうか。企業状況把握はもちろんのこと、一定期間を定めた許可条件制度を設けることを検討してみてはいかがでしょうか。許可後長い間放置されたり、方向すらわからない計画には行政の指導性と責任が問われるのではないでしょうか。ましてや、旧森林法が際限なく適用されるなら、許可条件の一項に加えることを強く求めるものです。農林水産部長のご所見を伺います。
次に、県土地開発公社の問題について幾つか質問をしてまいりたいと思います。
最初に、上富田町内で県土地開発公社が一九八五年から事業を開始した上富田企業用地にかかわる問題です。
九一年九月に公社が町に売却をした上富田町字朝来三八九四番地、面積が一万一千六百二平方メートルの用地が、総額四千二百万円で上富田町に売却されました。一平方メートル当たり三千六百二十円という破格の安値です。このような安値になったことについて、公社は開発地の中に町有地がもともとあり、その部分を含めて町に売却したのでこの値段になったと、不思議な説明をしています。ここに町が同和対策事業として菓子加工作業所を建設し、田辺市にあった三万五千石という菓子会社が協力企業として進出しておりましたが、一昨年の暮れに撤退し、その後に紀州ミートという会社が進出して今作業をしております。上富田町では、先ほど述べた一万一千六百二平方メートルのうちの約六割、面積の六千九百八十九平方メートルが作業所の用地とされ、作業所の事業費の中に用地費として二億六百十九万七千円が計上されております。公社が四千二百万円で売った土地の六割の面積しかないのに、その約五倍、単位面積当たりでは何と八倍の値段にはね上がっているのです。町が県の開発公社から買ったのは上富田町の宅地造成事業会計であり、上富田町の一般会計が宅地造成事業会計から二億円余りの値段で買い取ったということです。その土地売買契約書も見ましたが、買う方も売る方も当時の山根町長の名前となっております。
県当局は、町が県土地開発公社から買った土地に何倍もの値段をつけて同和共同作業所の用地費の国庫補助金を受け取ったことについてどのような見解をお持ちですか、関係部長の答弁を求めたいと思います。
次に、この一月に県土地開発公社が同じく上富田町に売却した上富田企業用地内の土地一万三千百三十五平方メートル、二億円の土地売却についてであります。
上富田町では、十二月議会に宅地造成事業会計で二億円の土地購入予算が可決されました。一月十九日には臨時議会が開かれ、開発公社からの二億円の用地買収が議決され、契約が成立しました。この土地は、上富田企業用地の二十区画のうち最後に残っていた区画です。この土地以外の十九カ所の売却価格は、先ほどの同和作業所用に売られた一件を除くと、最高価格が一平方メートル当たり四万二千二百九十円、最低価格が二万千六百二十九円となっています。ところが、今回公社が上富田町に売った土地は一平方メートル当たり一万五千二百二十六円と、これまた大変安い価格となっています。もちろん、近年の土地価格の低下傾向や自治体への売却ということから問題がないように見えますが、私は上富田町の議会議事録を読ませていただきました。大変重要な問題をはらんでいるのではないかと強く感じたのです。
さきの質問で、同和作業所の三万五千石が撤退して紀州ミートが進出していることをお話し申し上げましたが、三万五千石の撤退にかかわって、土地の地盤沈下が関連し、その補償や地元地区と三万五千石、そして紀州ミートとの間の三者協定に基づくものが一件、それらを合わせて一億円プラスアルファの金銭の要求が開発公社の方に行われたとのことです。山根前町長は昨年十二月定例議会で、今回町が開発公社から購入した土地について次のように語っておられます。「県の土地開発公社から譲っていただいた土地がああいうぐあいに沈下したのであるから、県の土地開発公社がこれに対する償いをやってもらわなくては困るということで、強力に開発公社に働きかけをしてまいりました」と、町が公社に対し土地を造成した責任を問うたと発言をされました。
議会という公式な場であります。働きかけた本人が説明しているのですから、間違いのない事実だと思います。そして、山根前町長は、その結果「県開発公社が譲れるだけの原価を割って、今度上富田へ提供してやろうというのが先ほどから説明している二億円の土地だ」と述べておられます。開発公社が二億円で上富田町へ売却した土地は、町が関係者に支払うお金をつくり出すように公社が原価を割って払い下げたのではないかという疑問を強く抱くものです。山根前町長は、「地盤沈下したためにこうむった諸問題を解決する。その後始末を今度の物件で全部解決したいというのが我々の願いです」とも議会で述べておらます。また、一月臨時議会で山根前町長は次のようにも答えておられます。「県の土地開発公社から買った土地が沈下したのだから公社に一生懸命お願いをした。当初は難しかったが、開発公社も了解していただき、その補てんに今の大きな土地を割安で提供してあげるので、議会の議決をいただいて上富田町の所有地にした上でそれを売買しなさい。その補てんの財源にこれを充ててくださいなどというのが開発公社のお話でした」というのです。
私は、この経過を見て幾つかの問題点があるのではないかと思います。一つは、公社が町に対して補償金などの資金づくりのために安値で土地を売却するようなことが許されるのかどうかという点です。公社の土地造成事業は自治体の金づくりのために行われるようなものでないことは、ご承知のとおりであります。町に売った土地でお金をつくり、補償をしなさいというようなことが実際にあったのかどうか、企画部長の答弁を求めたいと思います。
次に、仮に地盤沈下が実際に商品価値の低下につながったとしても、それが補償の対象になるかどうか、それは厳密に検討されてしかるべきではないでしょうか。施設が完成して五年も経過した段階でも補償の対象になるのでありましょうか。また、補償の責任があるとしても、その責任は土地の所有者である町が持つのか、開発公社にあるのか、十分な検討が行われてきたのでしょうか。また前町長の答弁では、公社に対して同和共同作業所の撤退に関連して金銭の支払い要求があったとのことですが、公社としてどのように対処をされたのか、お答えください。
次に、打田町で県土地開発公社が進めている特定企業用地の買収問題について質問を申し上げます。
先日私は、打田町の農家の方からお手紙をいただきました。そこには、次のように書かれていました。「一昨年来、県と町が推し進めてきた北勢田に対するT工場誘致の件は、農業基本法の第一条の精神を完全に無視した無定見な計画であると言わざるを得ない。なぜなら、何を栽培しても豊かな収益をもたらしてくれる農地と、一生懸命農業に従事している農家の実態も見詰めず、ただ工場誘致のことだけしか考えていないからである。私は、工場誘致そのものには反対ではありませんが」云々と、農業で懸命に暮らしを立てておられる方から、県土地開発公社などへの怒りのお手紙をいただきました。また、別の農家の方は、土地買収が進められる中で農家間の関係が悪化していることなどを憂えて、次のようなお手紙を寄せられています。「戸別に交渉することは、いたずらに農家同士の不安感、不信感をあおり立てるものであり、信頼関係を切り裂かれ、人間関係をも悪化させている」。また、「今まで汗水垂らして苦労してつくったものを高く売れなかったにせよ、長年我が子のように愛情を注ぎ込んだ農地を奪われた者にとっては、今度の町、県の農業に対する消極的な取り組みに失望した」とも訴えられています。もちろん、これらの方も、企業が和歌山に進出し、そこで働く人がふえることを願っていらっしゃいます。しかし、先祖伝来、営々と農業を続けてこられた農家の皆さんが、突如として降ってわいたT工場の誘致のために農地と宅地を売り払えと言われても、到底納得できないのも当然ではないでしょうか。
そこで、お尋ねをします。
先ほどの農家の皆さんのように、農業こそ生涯の仕事と考え、土地を手放したくないと言われる農家の方に、今後とも農地を手放せと迫っていくおつもりですか。打田町北勢田の農地は優良農地であり、農業を県の基幹産業と位置づけている和歌山県にとって大事にしなければならない農地だと考えますが、いかがですか。
次に、T社の大阪工場では、冷凍車などの特装車をつくっておられるようです。企業活動は時々の経済活動に左右されるものであり、行政としてはどのような事態になっても県民の税金をむだにするようなことは避けなければなりません。土地開発公社によれば、この事業は九十二億円以上の費用を見込み、今年度末までに約二十五億円のお金がT工場の進出用地を確保するために使われようとしています。
そこで、県土地開発公社がなぜ特定企業の進出のための用地買収に乗り出しているのですか。万一にも、用地の買収が虫食い状態になってT工場の進出ができなかった場合、あるいはT社側の事情で進出してこなかった場合、どのようになさるおつもりですか、お答えをいただきたいと思います。
第一回の質問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
フォレストシティ開発については、平成五年九月三日に申請された許可申請書に基づきまして、長期にわたり審査を行い、昨年一月二十二日に許可を行ったものであります。このたび、当開発計画の事業者である和興開発株式会社が会社更生法手続の申請をしたことについては、遺憾ながら近年の金融状況等、諸条件の悪化がその一因であると思われます。県としては、今後、開発計画の審査に当たってはさらに慎重を期してまいりたいと考えております。
以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 村岡議員にお答え申し上げます。
県土地開発公社を事業主体として行っている加太開発整備事業についてでございます。
平成九年三月末現在、総執行額から土砂売却収入等を差し引いた額は、用地費、造成費等として五百二十五億円になってございます。それに対する借入金は四百九十四億円であり、うち民間金融機関から四百二十八億円を借り入れてございます。また、公社の民間金融機関からの借入金を抑制するため、平成四年度から発生利息相当額として県から六十六億四千三百万円を貸し付けてございます。
次に、土地利用計画の検討についてでございます。
現在、和歌山市及び県土地開発公社と共同で、平成十年度末を目途に土地利用計画の策定に取り組んでいるところでございます。この土地利用計画に基づき、所要の都市計画決定等を行うとともに、県土地開発公社が事業主体となり、土地区画整理方式で基盤整備に取り組んでまいることといたしてございます。
次に、燦黒潮リゾート構想の進捗でございます。
平成九年四月現在では、特定民間施設に対する投資額はおおむね八百十五億円で、承認時に予想した用地費を除く投資額四千五百億円に対し約一八%となってございます。なお、供用及び整備中を含めた施設数での進捗率は二〇%で、ほぼ全国平均と把握いたしてございます。
雇用については、これも平成九年四月現在で千三百五名の雇用が発生しており、承認時予想六千人に対し約二一%となってございますが、このほか構想策定に際して直接雇用とされていたリネンサービスやメンテナンス等の業種のように外部委託されて雇用を生み出しているものも相当数ございます。
また、特定施設の利用状況では、平成七年から八年度の平均で年間四百十万人を超える利用者があり、承認時予想千二百万人に対し三四%となってございますが、これらの施設で販売されている地場産品も年間十一億円を超えるなど、本県の地域振興に大きな貢献をするとともに、県内外の人々の余暇活動の受け皿として重要な役割も果たしております。
平成十二年度までの進捗見通しについては、現在の社会経済状況から大幅な進捗は困難かと存じますが、串本町の温水プールが本年一月に供用を開始し、和歌山マリーナシティのリゾートホテルが本年四月完成予定であることなど、緩やかではありますが、着実に進展を見せております。本県の地理的条件や豊かな歴史、文化遺産等から考え、リゾート整備は重要な地域振興策の一つと認識してございまして、今後とも民間活力を活用したリゾート整備についても、環境の保全と調和に配慮しつつ長期的な視点に立って推進してまいりたいと考えております。
次に上富田企業団地についてでありますが、ご質問の本件土地売却は、県土地開発公社としては当該団地における唯一の残された所有地であり、現在の経済情勢では早期処分が難しいこと、また町当局の地域の活性化に資したいとの熱意により、分譲したものであります。価格については、本物件をもって当該団地の販売が終了することや用地取得、造成、分譲に至るまでのこれまでの町当局の協力、当該団地全体の収支等から分譲価格を決定したものであります。
地盤沈下等に対する責任については、当該土地は平成三年、県土地開発公社から町に分譲した物件であり、共同作業場の建設にゆがみが生じていることは聞き及んでいたところでありますが、町当局からその原因究明を求められたり、地盤沈下によるものとの判断も聞いておりません。公社において、補償等の責めを負うものではないものと考えております。
次に、打田町東部地区工業用地造成事業は、打田町及び県の要請を受けて、県土地開発公社が用地取得造成事業を実施しているところであります。
事業計画地は大部分が農地でありますが、企業誘致によって雇用の確保等、地域の活性化を図ってまいりたいとの町当局の要請を受け、事業着手することとなったものであります。平成八年十月より用地取得交渉に入り、現在約七〇%の用地を取得しておりますが、地権者の方々のうち農業継続を希望される方には代替地を確保し、営農に支障を来さないよう配慮を行うなど、誠意をもって交渉に当たり、ご理解をいただくべく努力しているところであります。また、事業の完遂については半数以上の方々のご協力を得ており、町当局も公社とともに地元に入り、ご協力をお願いしているところであり、引き続き未契約者に対してご理解を求め、目的達成のために努力してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 農林水産部長平松俊次君。
〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) ゴルフ場開発許可に期限をつけたらどうかというご質問でございますが、森林法に基づく林地開発行為の許可に当たっては、森林の持つ公益的機能を維持するために必要最小限の条件を付すことができることになってございます。しかしながら、法的には許可条件として期限を定めることにより事業の実行性を担保することは無理があろうかと思います。
なお、県では許可済みの案件について、事業者に対し事業の自主的廃止を含め、今後の見通しを立てるよう定期的に指導しているところでございます。
以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員ご質問の上富田町の大型共同作業場建設については、平成三年度事業として、工事費、用地費が国庫補助対象となっており、国庫補助金が工事費二億八千八百八十万九千円、用地費一億三百九万八千円、計三億九千一百九十万七千円であります。この用地の補助対象事業費としては、町から不動産鑑定書に基づき補助申請がされ、補助対象となったものでございます。
ご指摘の点については、このような事実は承知しておりませんので、事実関係等調査してまいりたいと考えております。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 ご答弁をいただきました。
フォレストシティの問題です。
知事は、遺憾に思う、今度会社更生法をしたのは金融不安があるんだ、経済情勢の変化だとお答えになったわけですけれども、しかし新聞報道等どれを見ても、許可された去年の一月二十二日時点においても、もう和興開発は今までの五百七十億の融資の利払いさえもできなくなっていた、そして許可される直前に五億円の融資を受けたけれども、それ以後は銀行の方から融資は断られたとなっているわけです。ということは、この許可する以前の一九九三年十二月、この時期はちょうど前田喬前社長が国土法違反や所得税法違反で、和興開発株式会社と専務理事や社長たちが大阪地検に告発されて、九三年十一月十一日時点で既に逮捕されているわけですね。こういう事態になっているときに、あえて許可がおろされた。
もう一点は、この融資以外のお金もさることながら、簿外債務が四十一億円にも上っている。さらには、昨年の夏となっていますから、最もこの工事を推し進めていく工事施工者である大手ゼネコンの東急建設が許可されて半年後にはもう撤退をするという事態に至っているわけですから、許可後一年もたっていない時期にこういう事態が発生したということを考えてみると、本当に資金力、社会的信用といったものが許可基準に合うていたのかどうか、このことはどうしても疑わざるを得ません。知事は、一月二十二日の記者会見の中で「苦渋の選択をした」と言っておられるわけですけれども、この時点では少なくとも利払いはもう滞っておったということは把握しておられたんでしょう。その問題をお答えください。
それから、直接的な原因にはならないかもわかりませんけれども、簿外債務がどれほどあるということもおわかりになっていたのか。
そして、開発審査会に住民団体の皆さんや圓明寺の皆さんたちが、こういった問題を含めて取り消しを求める訴えをいたしました。開発審査会の真っ最中に東急建設が撤退をしていっているという問題、これは見逃していらっしゃったのか。開発審査会がこういう事態も含めてもっと慎重に審査をしていたならば、あのような棄却の内容にはならなかったはずです。棄却になったとしても、中身のある棄却になっていたのではないでしょうか。
もう一度お尋ねをいたしますけれども、新聞報道に載っているこういった問題について知事は十分ご存じの上で、あるいは開発審査会もこういった問題を把握した上で許可や棄却に至ったのか、このことを教えてください。
今でも、知事はあの判断は間違っていなかったと思っていらっしゃいますか、そのこともあわせてお答えください。
それから、ゴルフ場の問題です。
先ほども申し上げたように、十七件の許可が行われて、しかし完成しているのは三カ所だけで、あとは未着手になっているところ、あるいは中途半端に終わっているところがあるわけです。しかし、この許可された事象は全部旧法が適用するわけですね。既に許可されてから八年を経過しているものもあります。三年、五年、六年と、かなりの期間を経ているものもあります。こういうことが旧法という形で幽霊的に存在していいものかどうか、旧法を一体いつで打ち切るのか、未来永劫にこの旧法を続けていくのかどうか。こういった問題も、この許可に当たっては十分考えなければならない問題だと思います。今、まだ審査されているものがあります。この審査している事象については少なくとも新法で行われるのが当然だと思うわけですけれども、旧法が依然として生きることには納得がいきません。その点についてお答えいただきたいと思います。
それから、開発公社の問題です。
町当局に対して異常なほど安値で売却されているということは、だれもが不思議に思うことだと思います。この地盤沈下が開発公社の造成工事によって起こった、その補償を求められているということなんですけれども、こういった問題について先ほどの企画部長の答弁では、県は何も聞いておりません、ましてやそういうものに補償する必要はないとおっしゃっております。これは、求められてこなかったのかどうか。そういう話は一切聞いていないということになるのか、地盤沈下が起こったことについては報告があったのかどうか。そして開発公社が造成をしたわけですから──地盤沈下が一定度起こることは予想されて造成工事が行われると思うんです。しかし、営業に大きくかかわる状況があった、あるいは商品価値がなくなって営業ができなくなって撤退をした。それに対して補償をしてくださいということが言われているわけですけれども、これは全く聞いていないということになりますか。それとも県は、聞いたけれども調査する必要はないし、開発公社は責任を持つ必要はないという判断に立ったのでしょうか。このことについて具体的にお答えください。
これは、私どもが勝手に言っているわけではありません。町長が議会の中で述べられている内容でありますから、事実であります。この町長がおっしゃっている文言については否定をされるのか、それとも関係ないと突っぱねられるのか。このことについてもお答えください。
それから、打田町の問題です。
打田町の皆さんたちは、企業が来ることについて決して否定的な態度をとっていらっしゃるわけではありません。ただ、自分は生涯ここで農業を営んでいきたい、そういう思いの中で土地を売買することにちゅうちょしていらっしゃる状態です。和歌山県は農業県として、農業を守り、維持発展させていく、そして農業だけでも経営が成り立つように農家の育成に努力をするというのが行政の姿ではないでしょうか。そういう点から見ても、今の打田町北勢田の用地買収のあり方は問題がありませんか。そういう点についてもお答えいただきたいと思います。
以上で、第二問を終わります。
○副議長(阪部菊雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員の再質問にお答えをいたします。
先ほどフォレストシティの問題についてはお答えを申し上げたわけでありますけれども、申請が出されたのは平成五年でありますから、許可をおろした平成九年とはかなりの年の隔たりがあるわけであります。その間の情勢変化というのは、いろいろあったと思います。
書類上については、担当部局が長期間にわたって審査をしたわけでありますので、その内容の細かい点については一々承知をしておりませんけれども、最終的に私が総合判断を下したのは、「苦渋の決断」と申し上げたように、経済活性化のために何としてもプロジェクトが欲しいというご意見と自然保護を初めとしたさまざまな方々のご意見と相対立する中で、私としては何らかの決断をしなければならんという中で、あえて和歌山の活性化を図ることのために、出された書類の審査をまって、正しいものと確信をして決断をしたところであります。
なお、開発審査会については私から答弁をする性格のものではありませんので、差し控えます。
○副議長(阪部菊雄君) 農林水産部長平松俊次君。
〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 開発許可の問題について、新法、旧法の関係でございますけれども、確かに旧法で解決しなければならない問題がございます。法制度上の問題でございますので、私どもが判断する立場にはないと考えます。
○副議長(阪部菊雄君) 企画部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 上富田町の上富田企業団地問題についてでありますが、地盤沈下については承っておりますけれども、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、売却価格については、本物件をもって当該団地の販売が終了すること、あるいは用地取得、造成、分譲に至るまでのこれまでの町当局の協力、当該団地全体の収支等から分譲価格を決定した上で売却したものであります。したがいまして、公社において補償等の責めを負うべきものではないと考えております。
それから打田町の工業団地造成事業についてでありますが、公社といたしましては、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、土地所有者のご協力が得られるように、今後も引き続き用地の取得に努力してまいりたいと考えてございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(阪部菊雄君) 再々質問を許します。
37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 知事、すりかえないでほしいんです。資力信用の問題でいけば、和興はもう確実に破綻していたんですよね。ただ、紀陽銀行がお金を出すから紀陽銀行を信用してゴーサインを出したということには変わりがないと思うんです。しかし、先ほども申し上げたように、申請時期から許可時点までに国土法違反やさまざまな問題が生じて、そこで慎重審査をせざるを得ないという状況に至ったわけですけれども、この許可を与えるまでの間、あるいは一月二十二日の時点、それ以後においても九三年十二月から利払いさえもできなくなっているような企業、こういったところが果たしてこの工事を──あるいはまた、その時点においても東急建設はもう撤退をするということがうわさとして流れていたわけですね。そして、事務所にも東急建設の人たちがいなくなっていたということが現実にあったわけです。それを、私たちは交渉の中でも再々主張をしてまいりました。しかし、そういったことにあなた方は耳をかさなかったわけです。工事施工者である東急建設も去り、和興開発という企業も利払いさえもできなくなり、さらには簿外債務が四十一億円もあるというような事態で、本当にこの計画そのものを完遂することができるような状況にあったのかどうかというところが最も大きな判断の基準になると思うわけです。そういった点から見て、知事は紀陽銀行があるから大丈夫だということのみが判断基準になったのではないかと思うわけですが、その知事の判断は正しかったと今でもお思いになっていらっしゃるんですか、そこのところをきちっと答えてください。
それから、農林水産部長。法のもとで農林水産部長が判断する立場にないと。それは、もちろんそうです。判断する立場になければ、じゃ、何年も何年も放置された状況が、そのまま法で何ともできませんから仕方ありませんということで何にもしなくていいかということになるわけですよ。ただ、あなた方は行政指導として企業にどうするのかということをちょこちょこやっているという話ですけれども、しかし、いつまでも旧法が生き続けること自体の方が問題なんです。
そういう点で、国に対して法律でできない部分について、行政自体も困っている問題、あるいは企業が勝手気ままにやっているところについて通達とか通知とかで規制を加えていく。そういうことが今求められているときだと思うんです。
今、どこも資金繰りが立ち行かないから中断したり未着手になっているというのはよくわかるわけですけれども、しかし行政としてはそれだけで済む問題と違うでしょう。許可したことについては責任を持たなければいけませんよ。遂行できるということがはっきりなっていて許可をしたわけでしょう。計画の中には、いつぐらいまでに完成させますということまで含めて審査対象になっているはずですよ。そのことを抜きにして、あなたが今言ったような答弁をしたらいけませんよ。できないところについては、行政として何をするのか、国に対してどうするのかということまで含めて考えていただきたいと思うんです。それは、要望にしておきます。
知事、もう一回答えてください。
○副議長(阪部菊雄君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
ご質問に対して少し誤解があるかもしれません。許可の時点では、必要とされる書類は全部整っておったわけであります。それを総合判断して苦渋の決断をしたと申し上げたわけであります。その時点では間違っていなかったと思っております。
以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(阪部菊雄君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後一時五十七分散会