平成10年2月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第一号 平成十年二月二十七日(金曜日)
午前十時開会・開議
第一 会議録署名議員の指名
第二 会期決定の件
第三 議案第一号から議案第七十七号まで(知事説明)
会議に付した事件
一 会議録署名議員の指名
二 会期決定の件
三 議案第一号から議案第七十七号まで(知事説明)
四 休会決定の件
出 席 議 員(四十七人)
1 番 大 沢 広太郎
2 番 木 下 善 之
3 番 小 川 武
4 番 吉 井 和 視
5 番 下 川 俊 樹
6 番 井 出 益 弘
7 番 藁 科 義 清
8 番 門 三佐博
9 番 永 井 佑 治
10 番 新 島 雄
11 番 向 井 嘉久藏
12 番 佐 田 頴 一
13 番 和 田 正 一
14 番 阪 部 菊 雄
15 番 西 本 長 弘
16 番 馬 頭 哲 弥
17 番 谷 洋 一
18 番 山 下 直 也
19 番 高 瀬 勝 助
20 番 松 本 泰 造
21 番 堀 本 隆 男
22 番 宇治田 栄 蔵
23 番 宗 正 彦
24 番 橋 本 進
25 番 神 出 政 巳
26 番 玉 置 公 良
27 番 上 野 哲 弘
28 番 東 山 昭 久
29 番 尾 崎 要 二
30 番 野見山 海
31 番 木 下 秀 男
32 番 町 田 亘
33 番 中 山 豊
34 番 井 谷 勲
35 番 鶴 田 至 弘
36 番 森 正 樹
37 番 村 岡 キミ子
38 番 新 田 和 弘
39 番 平 越 孝 哉
40 番 森 本 明 雄
41 番 長 坂 隆 司
42 番 冨 安 民 浩
43 番 飯 田 敬 文
44 番 中 村 裕 一
45 番 松 本 貞 次
46 番 大 江 康 弘
47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
知 事 西 口 勇
副知事 山 下 茂
出納長 高 瀬 芳 彦
知事公室長 野 見 典 展
総務部長 中 山 次 郎
企画部長 藤 谷 茂 樹
生活文化部長 中 村 協 二
福祉保健部長 小 西 悟
商工労働部長 上 山 義 彦
農林水産部長 平 松 俊 次
土木部長 長 沢 小太郎
企業局長 佐 野 萬瑳義
教育委員会委員長
山 本 昭
教育長 西 川 時千代
公安委員会委員長
高 垣 宏
警察本部長 米 田 壯
人事委員会委員長
若 林 弘 澄
代表監査委員 宮 市 武 彦
選挙管理委員会委員長
谷 口 庄 一
以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 西 畑 彰 久
次 長 前 晴 夫
議事課長 佐 竹 欣 司
議事課副課長 島 光 正
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主査 川 崎 良 雄
議事課主事 大 浦 達 司
総務課長 塩 路 義 和
調査課長 湊 孝太郎
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時二分開会・開議
○議長(木下秀男君) ただいまから、平成十年二月定例会を開会いたします。
○議長(木下秀男君) これより本日の会議を開きます。
○議長(木下秀男君) この際、暫時休憩いたします。
午前十時三分休憩
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午前十一時四分再開
○議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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【日程第一 会議録署名議員の指名】
○議長(木下秀男君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
今期定例会の会議録署名議員は、13番和田正一君、20番松本泰造君、44番中村裕一君の三君を指名いたします。
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【日程第二 会期決定の件】
○議長(木下秀男君) 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月二十四日までの二十六日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月二十四日までの二十六日間と決定いたしました。
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○議長(木下秀男君) 次に、諸般の報告をいたします。
お手元に配付のとおり、知事から地方自治法第二百二十一条第三項の規定に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありました。
以上、報告いたします。
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○議長(木下秀男君) 次に、今期定例会に提出されました議案は、お手元に配付のとおり、議案第一号から議案第七十七号までの七十七件であります。
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財第236号
平成10年2月27日
和歌山県議会議長 木 下 秀 男 殿
和歌山県知事 西 口 勇
和歌山県議会平成10年2月定例会議案の提出について
地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
議案第 1号 平成10年度和歌山県一般会計予算
議案第 2号 平成10年度和歌山県農業改良資金特別会計予算
議案第 3号 平成10年度和歌山県林業改善資金特別会計予算
議案第 4号 平成10年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計予算
議案第 5号 平成10年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計予算
議案第 6号 平成10年度和歌山県母子寡婦福祉資金特別会計予算
議案第 7号 平成10年度和歌山県東京事務所宿舎特別会計予算
議案第 8号 平成10年度和歌山県職員住宅特別会計予算
議案第 9号 平成10年度和歌山県立医科大学附属病院特別会計予算
議案第10号 平成10年度和歌山県印刷事業特別会計予算
議案第11号 平成10年度和歌山県営競輪事業特別会計予算
議案第12号 平成10年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
議案第13号 平成10年度和歌山県流域下水道事業特別会計予算
議案第14号 平成10年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
議案第15号 平成10年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
議案第16号 平成10年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
議案第17号 平成10年度和歌山県立五稜病院事業会計予算
議案第18号 平成10年度和歌山県電気事業会計予算
議案第19号 平成10年度和歌山県工業用水道事業会計予算
議案第20号 平成10年度和歌山県土地造成事業会計予算
議案第21号 平成10年度和歌山県駐車場事業会計予算
議案第22号 平成10年度和歌山県観光レクリエーション事業会計予算
議案第23号 平成9年度和歌山県一般会計補正予算
議案第24号 平成9年度和歌山県農業改良資金特別会計補正予算
議案第25号 平成9年度和歌山県林業改善資金特別会計補正予算
議案第26号 平成9年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算
議案第27号 平成9年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計補正予算
議案第28号 平成9年度和歌山県物品調達特別会計補正予算
議案第29号 平成9年度和歌山県立医科大学附属病院特別会計補正予算
議案第30号 平成9年度和歌山県印刷事業特別会計補正予算
議案第31号 平成9年度和歌山県営競輪事業特別会計補正予算
議案第32号 平成9年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算
議案第33号 平成9年度和歌山県流域下水道事業特別会計補正予算
議案第34号 平成9年度和歌山県市町村振興資金特別会計補正予算
議案第35号 平成9年度和歌山県自動車税等証紙特別会計補正予算
議案第36号 平成9年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
議案第37号 平成9年度和歌山県立五稜病院事業会計補正予算
議案第38号 平成9年度和歌山県電気事業会計補正予算
議案第39号 平成9年度和歌山県土地造成事業会計補正予算
議案第40号 平成9年度和歌山県駐車場事業会計補正予算
議案第41号 平成9年度和歌山県観光レクリエーション事業会計補正予算
議案第42号 非常勤の調査員、嘱託員等の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
議案第43号 職員等の旅費に関する条例の一部を改正する条例
議案第44号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
議案第45号 和歌山県職員定数条例の一部を改正する条例
議案第46号 和歌山県税条例の一部を改正する条例
議案第47号 和歌山県議会議員の選挙における選挙公報の発行に関する条例の一部を改正する条例
議案第48号 和歌山県特別会計条例の一部を改正する条例
議案第49号 和歌山県児童福祉施設設置条例の一部を改正する条例
議案第50号 精神保健指定医の費用弁償及び報酬支給条例の一部を改正する条例
議案第51号 和歌山県林業センター設置条例を廃止する条例
議案第52号 和歌山県植物公園緑花センター設置及び管理条例の一部を改正する条例
議案第53号 和歌山県漁港管理条例の一部を改正する条例
議案第54号 和歌山県建設工事紛争審査会委員等の報酬及び費用弁償条例の一部を改正する条例
議案第55号 和歌山県港湾施設管理条例の一部を改正する条例
議案第56号 和歌山県マリーナ条例の一部を改正する条例
議案第57号 南紀白浜空港条例の一部を改正する条例
議案第58号 和歌山県営住宅条例の一部を改正する条例
議案第59号 和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例
議案第60号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
議案第61号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例
議案第62号 平成10年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
議案第63号 平成9年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
議案第64号 当せん金付証票の発売について
議案第65号 県道路線の認定について
議案第66号 一級河川の指定の変更について
議案第67号 訴訟の提起について
議案第68号 財産の取得について
議案第69号 財産の取得について
議案第70号 財産の取得について
議案第71号 財産の取得について
議案第72号 財産の取得について
議案第73号 財産の取得について
議案第74号 財産の取得について
議案第75号 財産の処分について
議案第76号 工事請負契約の締結について
議案第77号 工事請負変更契約の締結について・
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【日程第三 議案第一号から議案第七十七号まで】
○議長(木下秀男君) 日程第三、ただいま報告いたしました議案第一号から議案第七十七号までを一括して議題といたします。
まず、知事の説明を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 平成十年二月定例会にご参集をいただき、厚くお礼を申し上げます。
ただいま上程されました諸議案について提案理由をご説明するに先立ち、県政に臨む私の所信を申し述べ、議員各位を初め、県民の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。
最近の経済状況は、景気が停滞している中、金融システムに対する不安、アジア地域での通貨危機など、大変厳しい局面を迎えており、社会情勢は混沌とした様相を呈しております。我が国は、このような内外情勢の激しい変化に対応しつつ新たな展望を開くため、経済・社会システムの抜本的な改革に迫られております。
これらの厳しい経済・社会環境の荒波は、既に本県に対しても容赦なく押し寄せており、来るべき和歌山の新時代に向け、今まさに産みの苦しみを味わわねばならない大きな転換期に差しかかっております。
しかしながら、我が県には豊かな自然とすぐれた歴史、文化という世界に誇れる財産があり、あわせて豊かな発想と知恵を持ち、エネルギッシュに活動する進取の気性に富んだ県民性があります。これらの恵まれた財産を有する和歌山県にとっては、むしろ今こそ飛躍のときであり、私たちはふるさと和歌山県に自信と誇りを持って、先人の勇気と努力を見習い、大きく着実な一歩を踏み出さなければなりません。
時代はまさに、大きな転換期に入っております。二十世紀は、機能や効率を優先し、物質的な豊かさを追求した時代でありましたが、来るべき二十一世紀は、感性や創造性が重視され、心の豊かさが求められる時代になると考えられます。この大きな歴史的転換期に、私は「二十一世紀の故郷(くに)づくり」を掲げ、新しい和歌山県づくりを目指す所存であります。
そして、その第一歩となる新しい長期総合計画を先日、策定いたしました。この計画では、精神的な豊かさを特に重視し、「ゆとりと充実 輝く和歌山新時代」を基本目標に掲げ、この基本目標を達成するため、「心豊かで個性輝くひとづくり」、「豊かさを実感できる暮らしづくり」、「創造力あふれる産業づくり」、「新時代を支える基盤づくり」の四つの柱を施策の基本方向として位置づけております。
その中でも特に、紀淡海峡大橋の建設などによる新しい交流圏の形成や県内二時間交通ネットワーク構想の実現、新産業の創出や地域産業の高度化・高付加価値化、福祉の町づくりや地球環境問題、新しい時代を担う人材の育成などは、和歌山県の未来を支える重要な課題であると考えております。
この計画を実現するためのキーワードは、「参加と連携」であります。これからのふるさとづくりには、何よりも県民の方々の主体的な取り組みと地方分権化の進行による既存の行政区域を超えた広域的な連携が必要になってまいります。地方分権の時代にあっては、市町村が栄え、府県が栄えて初めて日本の発展があるのであり、和歌山が輝くことによって日本の再浮上がなし遂げられると考えます。
また、ことしの私の姿勢として、「歩く」ということをテーマに掲げました。追いつき追い越せということでひたすらキャッチアップを目指してきた二十世紀からそのままの姿勢で二十一世紀に向けて走り続けるだけでは、真に豊かな社会の実現は容易でないと考えます。混沌とした世紀末を見通し、「二十一世紀の故郷(くに)づくり」を推進するためには、これまでとは違った新しい感覚と発想で一歩一歩着実に進んでいかなければなりません。その決意を「歩く」に託したわけであります。
私は、このような考え方のもとに来るべき二十一世紀を展望し、これまでの取り組みによる成果と本県の持つ豊かな自然、歴史、文化などの特性を積極的に生かしながら、ゆとりと豊かさが実感でき、和歌山に住むすべての人が住んでよかったと思えるふるさとづくりを進めていく所存であります。
二十一世紀まで、残すところわずか三年であります。これからの三年間は、二つの世紀を結ぶかけ橋を築くべき重要な期間であり、平成十年度予算は、二十一世紀を展望した新しい長期総合計画の第一歩を踏み出す極めて重要な予算となります。
以下、その内容についてご説明申し上げます。
冒頭申し上げましたように、景気はこのところ停滞している状況にありますが、本県の十年度予算編成に当たりましては、県民の間に広がりつつある金融不安や景気後退への懸念を払拭するため、経済の活性化を最重点の柱に据え、作業を進めてまいりました。
中小企業融資につきましては、新たに不況対策特別資金を創設するなど、中小企業者に対する融資枠を質量ともに充実するとともに、貸し渋り対策等にも積極的な施策を展開したところであります。
また、投資的経費につきましては、国の財政構造改革等の影響により大変厳しい状況ではありましたが、十年度予算に九年度二月補正で計上したウルグアイ・ラウンド対策事業や災害関連事業等を加味すれば、昨年並みの事業量は確保したところであります。なお、二月補正では債務負担行為(ゼロ国債)を措置し、年度間の切れ目ない事業執行にも努めております。
さらに、二兆円の特別減税の実施等による経済波及効果も県内に期待されるところであり、それに関連して、臨時福祉特別給付金などの予算計上を九年度二月補正で行っております。
一方、本県の財政状況は、昨年秋に財政の中期展望でお示ししたように、極めて厳しい状況にあります。このため、十年度予算編成におきましては、最少の経費で最大の効果を上げるべく、行政改革の観点から事務事業の徹底した見直しを行う一方、県民の皆様の暮らしや地域の発展に直結するもの、並びに緊急性の高い分野には従来にも増して重点的に予算配分を行っております。
また、重点課題につきましては、縦割り型発想を打破するため新たに組織横断型予算編成手法を導入し、各分野において重点化と効率化を図ったところであります。
具体的には、私が掲げた「二十一世紀の故郷(くに)づくり」を進めるために、新しい長期総合計画の中でお示しした「心豊かで個性輝くひとづくり」、「豊かさを実感できる暮らしづくり」、「創造力あふれる産業づくり」、「新時代を支える基盤づくり」の四つの政策目標を柱に、多岐にわたる事業を盛り込んだところであります。
まず、「新時代を支える基盤づくり」についてであります。
二十一世紀初頭は、大交流時代の幕あけになると言われております。本県でも、交流圏の拡大を図るため、太平洋新国土軸、近畿南北連携軸、紀淡海峡交流圏等の新しい交流軸や交流圏の形成に努めてまいらねばなりません。県といたしましては、これらの交流軸を支える基盤となる近畿自動車道紀勢線、紀淡連絡道路、京奈和自動車道、五條新宮道路などの広域幹線交通軸の整備を引き続き促進するとともに、国道、県道、農林道による県内二時間交通ネットワーク構想の実現を目指した積極的な取り組みを行っていくほか、地籍調査についても一層の促進を図ってまいります。また、都市部の渋滞解消のため、都市計画道路の整備を進めるとともに、海南駅の連続立体交差を本年秋に完成させることとしております。
空港の整備につきましては、関西国際空港二期事業の本格化に向けて所要の措置を講じるとともに、南紀白浜空港の二千メートル化に重点的に取り組み、平成十二年度の供用開始を目指します。
港湾整備につきましても、現在実施しております和歌山下津港の整備を進めるほか、日高・新宮両港の整備に本格的に着手することとしております。
また、鉄道関係では、南海電鉄貴志川線に「交通センター前」(仮称)新駅を設置するとともに、和歌山大学新駅の設置に向けた調査を新たに実施してまいります。
次に、地域振興対策であります。
二十一世紀は、地域の主体的な活動が強く求められる時代であります。各地域は、それぞれが持つ歴史、文化、自然、産業などの地域資源を活用し、独自の機能を備えることにより、他の地域とは異なる個性、魅力を発揮して多くの人々を引きつけ、他地域との交流連携を深めていくことが重要となります。このためには、地域住民の主体的な取り組みにより、新しい発想で地域に内在する資源を発掘・再評価し、それらを積極的に活用していくことが不可欠であります。
市町村、各地域の発展なくして県全体の発展はあり得ないという私の信念に基づき、平成八年度から各種の地域振興支援施策を実施してまいりましたが、十年度からは振興局の設置に伴い、和歌山県ふるさと未来事業を新たに創設して、地域の持つ特性を十分に発揮し、地域主導のふるさとづくりを推進することとしております。また、従来の地域振興支援施策を統合した輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業の効率的な執行によっても、個性ある町づくりを一層進めてまいります。
次に、「創造力あふれる産業づくり」についてであります。
豊かさを実感でき、ゆとりある県民生活を実現するためには、時代の変化に対応する活力ある産業の育成が何よりも重要であります。県といたしましては、地域産業の高度化・高付加価値化を図るため、創造的な技術開発研究を行う中小企業者に対し積極的な支援を行うとともに、工業技術センターやデザインセンターの研究開発機能を活用して地場産業に対する技術支援を行っていくほか、企業立地促進奨励金を大幅に拡充して本県への企業誘致の一層の促進を図ってまいります。
また、本県物産の海外市場進出の契機とするため、昨年に引き続き米国で物産展を開催するとともに、町づくりの視点から中心市街地における商店街の活性化を図る新たな取り組みを行うこととしております。
農林水産業につきましても、自然との共生の時代を担っていくために、引き続きその振興を図っていく考えであります。
全国一の生産額を誇る本県の果樹農業の一層の発展を図るため、生産基盤や流通加工施設の整備など、産地体制の強化に努めるとともに、新しい時代に対応した試験研究機関を目指し、十年度から果樹園芸試験場の再編整備に本格的に着手することとしております。昨年からの重点課題である梅の生育不良対策についても、引き続き真摯に取り組んでまいります。
また、森林の持つすぐれた広域的機能の向上と紀州材の安定的な供給を図るため、林道等の基盤整備を引き続き促進するとともに、公共建築物の木造化や和歌山方式による大規模木造建築物の低コスト化に取り組むほか、照葉樹林の育成にも努めることとしております。
水産業につきましても、つくり育てる漁業や資源管理型漁業を一層推進するため、魚礁の設置や増養殖場の造成、有用魚介類の放流等を引き続き実施してまいります。
次に、「豊かさを実感できる暮らしづくり」についてであります。
南紀熊野体験博は、熊野古道や熊野三山を初めとする和歌山県の貴重な大自然、歴史、文化を全国にアピールするとともに、各地域が持つ個性、魅力を十分に発揮することによって、訪れる人々に心のふるさとを実感してもらう場となりますが、これはまさに二十一世紀のテーマを先取りした博覧会と言えます。
その南紀熊野体験博の開催まで、あと一年余りとなりました。本年は、その成功に向けて基礎固めを行う極めて重要な年となります。
十年度予算では、シンボルパークの整備や熊野古道への石づくり説明板の設置等を行うとともに、さまざまなメディアを使って体験博を県内外にPRしていくほか、県内の宿泊施設等の整備を促進するための新たな融資制度を創設いたします。
また、サンティアゴの道と熊野古道との姉妹道提携を十年度中に行いたいと考えております。
さらに、体験博のプレイベントとして、奈良、三重、和歌山三県共同で全国フィッシングフェスティバルを開催するほか、CIOFFアジアこどもフェスティバルを初めて和歌山で開催することによって、本県から国内外に文化や国際交流についての情報の発信を行ってまいりたいと考えております。
次に、環境対策であります。
昨年末の地球温暖化防止会議を契機として、国内外で地球環境問題に対する取り組みの機運が高まっております。地球環境問題は、私たち一人一人の社会経済活動がその発生要因として深くかかわっているものであり、みずからの責任として取り組むべき課題であります。
このため、住民、事業者、行政が一体となって、省資源、省エネルギー、リサイクル型へ生活様式や産業構造を転換し、廃棄物の適正処理体制を確立するなど、さまざまな分野で幅広く取り組んでまいらねばなりません。
本県におきましては、昨年から新県民運動「感動わかやま21」や「ネイチャーフレンドシップ運動」を展開して自然との共生を図るさまざまな取り組みを積極的に進めておりますが、これらの運動をより一層推進するとともに、昨年の九月議会で成立いたしました環境基本条例に基づき、十年度から環境基本計画の策定に着手することとしております。
生活排水対策では、平成十二年度の一部供用開始を目指し、紀の川流域下水道の整備を促進するとともに、合併処理浄化槽の設置や農山漁村における集落排水施設の整備についても積極的に推進することとしております。
また、市町村等が整備するごみ処理施設やし尿処理施設の整備に対する助成を大幅に充実するほか、ダイオキシン対策の一環として、県立学校におけるごみの分別収集に取り組むこととしております。
次に、健康・福祉対策であります。
豊かさを実感できる社会を構築するためには、だれもが健康で安心して暮らすことができ、障害者や高齢者には優しく、子供は健やかに生まれ育つことができる環境づくりが必要であります。
特に十年度においては、県民医療の中核施設となる県立医科大学の工事が完了するとともに、健康・福祉の拠点施設となる総合健康・福祉棟並びに那賀町に建設中の新看護婦等養成所が完成するなど、施設整備が着実に進み、福祉・保健分野における本県の取り組みが新しい段階を迎えることとなります。
本県の財政状況が極めて厳しい中ではありますが、福祉・保健分野については重点的に予算配分を行ったところであります。具体的には、在宅福祉三事業のさらなる拡充や介護保険制度の導入に向けた新たな取り組みを行うとともに、特別養護老人ホームや在宅介護支援センターを整備するほか、障害者が通所する小規模共同作業場に対する助成の充実を図ることとしております。
障害者や高齢者に優しい福祉の町づくりにつきましては、県有施設の改築に順次取りかかるとともに、民間事業者が行うバリアフリー化に対する新たな助成制度を創設したところであります。
また、少子化問題に対する取り組みとしては、喜の国エンゼルプランの一層の推進を図るため、新たに子育て家庭への支援や障害児保育に取り組む保育所への助成を行うとともに、新医大附属病院に子供専門の総合相談室を設置することとしております。
一方、同和対策につきましては、教育、啓発、産業、就労対策等の残された課題解決のため、本年一月に策定した和歌山県同和行政総合推進プランに基づいて積極的な取り組みを継続していきますが、本年は世界人権宣言五十周年に当たりますので、県民の人権意識の普及と高揚に一層努めてまいります。
次に、防災対策であります。
ゆとりと豊かさを実感できる社会とは、あらゆる災害に対処できる総合的な体制が整備されたものでなければなりません。このため、災害時における医療救護を円滑に行うべく、県内八病院に災害拠点病院としての機能を整備するとともに、洪水、高潮、土砂災害等の発生を的確に予測するための情報基盤整備を進めるほか、多くの人が集まる特定建築物や木造住宅の耐震診断の促進を図ることとしております。
また、災害時における初動体制を強化するため、各地域における自主防災組織の育成に努めるとともに、防災ボランティアのネットワーク化に取り組んでまいります。
さらに、本年六月から県内全域において携帯電話からの一一九番通報の運用を開始するほか、犯罪の広域化、スピード化に対応するため、警察本部内に最新式の機器を導入した通信指令システムを整備することとしております。
次に、「心豊かで個性輝くひとづくり」についてであります。
二十一世紀にゆとりと充実の和歌山県をつくる主役は、県民の皆様自身であります。そのために、県民一人一人が持っている個性、能力、創造性を最大限に伸ばし、発揮することができる環境づくりが必要となってきますが、本年十月には放送大学学習センターが開設されますので、同じく本年開設される和歌山大学生涯学習センターとともに、生涯学習の拠点として活用していきたいと考えます。
また、学校教育の分野での情報化を一層推進するため、県立学校へのインターネットの整備を促進する一方、郷土に対する児童生徒の理解を深めるため、新たにふるさと教育の副読本の作成に着手することとしております。さらに、十一年度開設予定の新設養護学校の整備や総合教育センターの建設等に向けて、着実な歩みを続けてまいります。
スポーツの振興につきましては、本年六月、ビッグホエールにおいて開催される国際卓球選手権大会に対する支援を行うとともに、和歌山におけるアウトドアスポーツの定着を図るため、昨年の全国大会に引き続き紀の国アウトドアスポーツフェアを開催することとしております。
また、十一年九月の完成を目指し、橋本運動公園・多目的体育館の建設を促進するとともに、紀三井寺運動公園・陸上競技場等の整備を行うこととしております。
一方、国際交流の分野では、本県における国際交流の中核として、総合健康・福祉棟内に国際交流センターを開設するとともに、中国山東省、フランス・ピレネーオリアンタル県、アメリカ・フロリダ州、メキシコ・シナロア州との友好提携に基づく交流を深めてまいります。
シナロア州につきましては、先日、木下議長を初め、議員各位とともに友好提携締結に対する答礼のため訪問いたしました。州政府や州議会だけでなく、地元住民の皆様から温かい歓迎を受け、本県との友好提携に大きな期待を抱いていることを強く感じた次第であり、今後とも青年交流団による人的交流や文化交流などをより一層進めていきたいと考えております。
以上が、予算案の主な内容であります。
続きまして、条例案件等について、その主なものをご説明申し上げます。
議案第四十三号は職員等の旅費の適正化を図るためのものであり、議案第四十四号及び六十号は、職員及び警察職員の特殊勤務手当の額を改定するものであります。
議案第四十五号及び五十九号は、二十四時間救急医療体制の整備など、新しい県立医科大学の組織の充実を図るため、医師、看護職員等の増員を行うとともに、県立学校等の職員の定数をそれぞれ定めるものであり、議案第四十六号は、社会福祉法人が開設した老人福祉施設の送迎用自動車に対する課税免除を行うとともに、個人県民税の特別減税を実施するための改正であります。
議案第四十七号は、公職選挙法の一部改正に伴い、和歌山県議会議員の選挙における選挙公報掲載文の字数制限を撤廃するためのものであります。
議案第五十三号は、漁港管理の適正化を図るため、漁港施設内の放置車両等を新たに移動命令の対象とするためのものであり、議案第五十五号は、港湾利用の活性化を図るため、岸壁等の使用料を一部引き下げるなどの改正であります。
議案第五十六号は、新たに供用を開始するクルーザーマリーナの使用料の額を定めるためのものであり、議案第五十七号は、南紀白浜空港の着陸料等の額を改定するためのものであります。
議案第五十八号は、県営住宅岡団地が本年三月完成することによる所要の改正であり、議案第六十一号は、昨年実施された国の改定に準じ、県立高校の入学金等の額の改定等を行うものであります。
議案第六十二号及び六十三号は、建設事業施行に伴う市町村負担金について議決をお願いするものであり、議案第六十六号は、一級河川新宮川の名称を、従来から県民の間で親しまれてきた「熊野川」に変更するためのものであります。
議案第六十八号から七十五号までは、動物愛護センターや新看護婦等養成所の建設用地のほか、南紀白浜空港の滑走路延長に伴う事業用地の取得等についてであります。
議案第七十六号は、新設養護学校の建設工事に係る契約の締結について議決をお願いするものであります。
最後に、法人の経営状況に関する書類を別途提出しております。
何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。
以上であります。
○議長(木下秀男君) 以上で、知事の説明が終わりました。
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○議長(木下秀男君) この際、一月二十日、商工労働部長に就任しました上山義彦君をご紹介申し上げます。
商工労働部長上山義彦君。
〔上山義彦君、登壇〕(拍手)
○商工労働部長(上山義彦君) 一月二十日付をもちまして商工労働部長を拝命いたしました上山義彦でございます。
もとより微力ではございますが、本県産業の振興並びに労働行政の推進に向け、誠心誠意努力をいたす所存でございますので、よろしくご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げまして、簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
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○議長(木下秀男君) 次に、事務局長から新任の職員を紹介させます。
○事務局長(西畑彰久君) ご紹介申し上げます。
審議監 日 根 紀 男 君
現在病気療養中のため、本日欠席でございます。
以上でございます。
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○議長(木下秀男君) 次に、お諮りいたします。三月二日から六日まで及び三月九日を議案調査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、三月二日から六日まで及び三月九日を休会とすることに決定いたしました。
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○議長(木下秀男君) 次会は三月十日再開し、質疑及び一般質問を日程といたします。
○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
午前十一時四十分散会