平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(町田 亘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番町田 亘君。
 〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 一般質問も、最終日の最後になりました。ご協力をお願いいたします。
 歴史や文化資源の宝庫「紀の国」、自然環境に恵まれた「木の国」、豊かで魅力ある「輝の国」、和歌山を心から愛する一人として、思うところを少し述べさせていただきたいと思います。
 先日、我が和歌山県のために二十年間という長きにわたり和歌山県知事としてご苦労いただいてまいりました仮谷志良前知事が他界されました。謹んで、衷心よりご冥福をお祈りいたします。
 仮谷前知事は、「道の仮谷」と言われたものです。また仮谷前知事は、「道という字は、首という字にしんにゅうを書く。道路に取り組む者は首をかけて取り組まなければならない」とよく言っておられました。
 西口知事、あなたは何をかけますか。同じく、首をかけて道路問題に取り組むおつもりでしょうか。それとも、ほかに何かございますか。和歌山県にとりまして、道路問題は重要な問題だと私も実感いたしております。特に、紀南の地に住む私にとりましては重要な問題であります。しかし、私はあえて知事、あなたには県民のために「心」をかけていただきたいと思うのであります。
 昨年、機会があって、知事、あなたとアメリカへ行ってまいりました。本当によい機会であったと思っております。サンフランシスコ、ロサンゼルスと、時間を惜しむがごとく、お互い精力的に日程をこなしたものです。また、一週間、お互いに心から十分話をする機会が持てました。お互いの心を十分わかり合えることができたと自負いたしております。祖国を遠く離れた異国で日夜頑張っておられる方々に対する思いやりの念、心に感じるところが多々あったと記憶をいたしております。紀淡連絡道を実現するために、サンフランシスコベイエリアにかかる多くの橋を見て勉強しようとする気持ちは、私とて同じ思いをしながら一緒に見て回りました。しかし、私は知事、あなたには「心の西口」と言われるようになってほしいのであります。
 ことしの夏は、気が重くなるような事件が多くありました。神戸の少年の奇怪な事件、加害者や被害者も少年であったということに再度驚かされました。奈良県の事件、中学生が青年によって殺害されたという痛ましい事件。一体、何が原因なのでしょうか。家庭、学校、それとも社会、複雑に入り組んだいろんな要因によって引き起こされた痛ましい事件だと思います。一つを取り上げて、それが原因だと軽々に言うつもりはありません。しかし、一つ言えることは、ややもすると今の社会のいろんな場面で心を忘れかけているのではないだろうか。「効率」、「効果」、「成果」などという言葉も、確かに大切なことであると思います。しかし、この発展した世の中にあってどうしてすさんだことが多く起こるのか、このことを現実として理解する必要があると思うのです。
 「引きこもり」という言葉を聞いたことがありますか。社会に出ることのできない若者がふえてきていると言われております。定かな定義もないようです。我々が携わる行政は、十八歳以上の若者に対してどれだけのことをしてあげているでしょうか。健全な青少年に対する施策はいろいろ行われております。しかし、家庭に引きこもる若者にどのような手だてを講じているだろうか。怠け者、甘えん坊というような簡単な言葉でもって、見向きも余りしてこなかったのではないだろうか。社会に、煩わしい人間関係は切り捨てていこうという意識はないだろうか。「人間関係は本来、わずらわしさを含んだものです。けれど戦後の日本は、わずらわしいつながりを切り捨てることに力を注いできた。そんな時代に育てられてきた子たちが、彼らなんです」。これは、本年二月三日の朝日新聞に掲載されていた、ちょっと気になる記事であります。このような若者が共通して訴えることは、人間関係がつらい、わからない、信じられないということだそうです。取り返しがつかなくなる前に失われつつある心を取り戻すべく、将来を担っていく若者のためにも心ある行政を再度心がけていこうではありませんか。
 この二十世紀は、世界じゅうに誇るすばらしい経済的な発展をなし遂げてきました。しかし、経済効率を優先するが余り、先ほども述べたとおり、心を忘れ去っていたのではないだろうか。物の豊かさよりも心の豊かさ、生活の便利さよりも自然との触れ合いなどを大切にしていこうという方向で人々の価値観も変わってきていると思います。
 今、私たちは、二十一世紀の幕あけを間近に控えております。大変な時代、混迷の時代を通り過ぎ、次の時代には何が求められるのか。二十一世紀に求められているものは、経済的な豊かさと相まって、精神的な豊かさを味わうことができる、人間性にあふれた生活の実現であります。すさんだ心がはびこる現代社会にあって、我々はこの際改めて人間の尊厳、存在価値、基本的人権の尊重という基本を再認識すべきであると思います。後世に誇れるすばらしい和歌山県を実現していく明確な方向を指し示さなければならないと思います。その基本になるもの、それが心という尺度であります。健常者もハンディキャップを持った人も、若者も高齢者も、男も女も、ともにすばらしい人生が送れるように、心の行政に努めていこうではありませんか。知事のお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
 次に二番目として、TAC制度(漁獲可能量)についてお尋ねします。
 秋本番であります。サンマをしちりんで焼いて、大根おろしとともに食べることに私は秋を感じ、幸せを感じてきたのであります。また、私が住む紀南地方では、秋祭りになるとサンマずしを家庭でつくり、よく食べたりします。しかし、時代の変化とともに、いつしか家庭からしちりんが消えてしまいました。詳しいことはわかりませんが、ニシン漁でにぎわいを見せていた北海道や東北沿岸部からこのニシンの姿が見えなくなったのはいつの時代でありましょうか。また、韓国産やカナダ産、そして中国産と、外国から輸入されたものに流通の中心を取ってかわられた、これまた秋を代表する高価なマツタケ、身近なところで手に入らなくなったのはいつの時代であったでしょう。乱獲のせいでしょうか、それとも人間が営むさまざまな活動によって起こる環境の変化でありましょうか。
 さて、去年の七月に海洋生物資源の保存及び管理に関する法律が施行され、本年一月から漁獲量管理の手法が導入されていると聞きます。これまで自由に漁獲していた魚の中で、マイワシ、サバ、マアジ、サンマ、スケトウダラ、ズワイガニの六種類に対して漁獲可能量が設定されております。つまり、漁獲量の制限であります。また、この六種類のうち、マアジ、サンマ、サバ、マイワシの四種類については、本県にもかかわりがある魚であります。これらの魚について、和歌山県における漁獲量管理の現状についてお答えを願います。
 また、今後の漁獲量管理の見通しはどうなっているのか、さらに特定海洋生物の指定は今後ふえていくのか。あわせて、私が住む西牟婁郡及び隣の東牟婁郡の漁業者にとって、スルメイカは主要な漁獲物の一つであります。このスルメイカが今後漁獲量管理対象種となるのかどうか、その見通しについてお答えを願います。
 そして、今後の漁業はどのような方向に進んでいくのか、その見通しと本県の対応についてもお答えを願いたいと思います。
 第三問目に、殿山ダムについてお尋ねいたします。
 四十年前の日置川町は、自然美に抱かれ、豊かな水の流れと清流をたたえ、住民は、この母なる日置川とともに産業、経済、文化を発展させ、町の栄枯盛衰は日置川とともにあり、川の流域住民にとっては宝としての共有財産でありました。
 昭和三十二年五月、日置川上流の大塔村殿山に将軍川、前川、日置川の水を集めて関西電力が利水ダムをつくったのであります。このダムによって道路が整備され、観光に、電源開発に、また下流への水の調整にと役立ってくれるであろうという期待を込めて盛大にオープンしたのであります。しかし、翌年の昭和三十三年八月二十五日、台風十七号によって、あけてはならないダムのゲート六門全部を開放した結果、解き放された大量の水によって日置川町は未曾有の被害をこうむり、町は泥海と化したのであります。
 私は当時、大学三年生でありました。日置川町田野井地区には、私の後輩が住んでおりました。後輩の住む家は、屋根まで水につかり、壁は落ち、傾き、店の商品はどろどろになり、手のつけようのないありさまでした。友人を助けるために、夏休みを延長して復旧のため手伝いをいたしました。住民の方たちは、もしダムがなかったらと泣きながら、スコップで泥を取り除く作業を額に汗しながら何カ月もやっておられたその光景を忘れることができません。
 そこで、昭和三十三年にこの県議会において特別委員会が設置され、この被害の真相究明のために調査研究が行われたわけであります。そして、人災か天災かと関西電力と争ったのであります。それ以降今日まで、この議場で、この席で先輩たちが党派を超えて訴え、叫んでまいりました。先輩の竹中節、大江県議のお父さん、浜本純一、町田義友、北条力、山形繁雄、浜本収、そして現在でも大江県議、堀本県議も、同じ災害が起こるたびに当局に訴えてまいりました。また、きょうは選挙区外でありますけれども、共産党の村岡先生にもご心配をしていただいております。
 当時の資料を見ると、殿山ダムの建設を関西電力から最初に県に申請し、地元に説明した方式は、今のようにダムの横っ腹に六つの穴をあけた、すなわちオリフィスゲート方式ではなくてオーバーフロー方式、つまりダムに水がいっぱいになると自然と天端から流れ落ちる方式で県が承認し、地元住民も納得したのであります。しかし、建設直前になって変更の申し入れがあり、地元住民や木材協同組合の方々から鉄砲水のおそれがあると反対されましたが、オリフィスゲート六門はつくるが、最悪の場合でも四門しか使わないという説明で了解したようであります。当時、電源開発事業というものは国家的事業であり、時代の要求でもあります。また、水量の多い日置川にこのダムをつくったら、一朝大洪水があった場合は、調節のため大きな役目を果たしてくれるであろうという期待を込めて決断をしたと思うのであります。
 昭和三十三年の災害後、許可当時の知事の心境を尋ねたとき、当時の小野知事はこの議場で、議事録のとおり読みますと、「電気が欲しいということで国家的な見地というよりは、むしろ和歌山県に電気が欲しいという気持でございました。ただ、そのときに防災を全然考えなかったかと申しますと、それは考えないことはございません。ダムのできるということは、これは私素人でございますが、幾らかでも下流の災害を防ぎ得るものであるということを考えております」云々と答弁をされております。
 過去はどうあれ、現にダムが存在するのであります。そして、前にも述べたように、完成後、翌年の大災害から四十年の歳月が流れました。その四十年の中で、平成二年九月十九日の台風十九号により、またもや六門のゲートが全部開放された。このときもダムの下流では浸水等の大きな被害が発生し、そして大変残念なことですが、日置川町役場の職員が巡回中とうとい命を亡くされ、今なお遺体がわからないという状態であります。六門開放は、これで二回目であります。完成時には四門あけても被害が大きいと関西電力の技術職員の方が説明されておりますが、今日まで四門開放したのが、本年七月二十六日の開放も含めて全部で七回もあるんです。そのたびに、県道は通行不能、田畑は冠水、泥水で農作物は全滅、人家は床上・床下浸水と、たび重なる被害を受けてきたのであります。
 先日の災害後、八月八日に大沢建設委員長にご足労願い、我々地元の県会議員ともども現場を見せていただきました。平成二年に県は、関西電力、日置川町、大塔村の間で日置川水害対策検討協議会を設置され、今日まで幾たびか会議を開かれ、鋭意努力されていることには敬意を表する次第であります。
 そこで、お尋ねいたします。
 ゲートの改良でありますが、関西電力に対して、現在、調整機能を備えたゲートが六門のうち二門ありますけれども、あと四門残っております。調整機能を備えた設備に改良するよう指導できないだろうか。
 台風九号の出水後、長期にわたって下流の水質が濁っており、下流のアユ釣りの時期と重なり、内水面漁業、民宿等に大きな損害を与えました。そこで、表面取水もしくは選択取水の実現に指導していただきたいと思うのでありますが、部長の答弁を求めます。
 県として、道路及び河川の改修計画とその対応について、また住民及び関係機関への通知徹底について、ダムの安全性についてもお答え願います。
 大雨が降るたびに、これほど災害の起こるダムは全国に例がないと思うのであります。下流の整備が悪いのか、ダムそのもののポケットが小さ過ぎるのか、ダムの上流に防災用のダムをつくる等々考えられないのか。
 また、三門あけたのは過去七回あります。三門あけると、県道の冠水や田畑、家屋の被害はありますか。今日まで、三門以上あけたことが合計十六回もあるのです。要は、このままでは、同じ雨量が降れば同じ被害をこうむるということであります。これは、もう天災などではなくて、まさしく人災であると申しても過言でないと思うのであります。
 私は、殿山ダムの下流の方たちが被害を受けないために、やらなければならないことはたくさんあると思います。第一に、田野井地区、追ケ芝の皆さんのご協力、ご理解を得ながら、田野井地区の河川の大きな改修、各地区に堆積した河床の整備等々を急がなければならないと思います。何といっても地域住民のご協力がなくては進みませんが、現状とその取り組みについてご説明を願います。
 日置の住民の方は、雨が降るたびに心配で寝ることができません。その不安を取り除くために、町民、町当局、関西電力、県当局が一致協力して一日も早く安心して生活できるようにすることが、私たちに課せられた責務であると思うのであります。部長の答弁を求めます。
 最後に、私の住む町を流れている富田川についてお尋ねいたします。
 和歌山県にはたくさんの川がありますが、大きな川と言えば、北から紀の川、有田川、日高川、富田川、日置川、古座川、熊野川ぐらいであろうと思います。しかし、上流にダムのない川、また人為的に自然を改造していない川、これが母なる富田川であります。この富田川にも、いろいろな言い伝えがあります。安珍清姫の道成寺絵巻の清姫の墓があり、下流には洪水のため人柱を建てたと言われる彦五郎堤、オオウナギの生息地等々、ロマンのある川であります。川や渓谷は四季折々の美観から私たちの心を魅了し、中でも自然の眺めはすばらしく、緑したたる山に夕霧が立ち、流れる水の音とともに聞こえてくるカジカガエルの声、ロマンチックです。その情景は、古来多くの人々の胸を打ち、時にはそれを筆で書きあらわし、時には歌となって残されています。
 前置きが長くなりましたが、本論に入ります。
 私は、県議会議員として、また富田川の下流に住む住民の一人として当局に質問いたします。
 大塔村と中辺路町の境に北郡という地区があります。国道三百十一号に沿って緩やかに流れる富田川は、山の自然に沿って大きな曲線を描いて流れているのであります。夏にはアユ釣りのメッカとして、少なくなったふちは子供たちのキャンプでにぎわう絶好の場所でもあります。その大きく曲がった川を、河道を修正してショートカットしようとすることであります。
 それは、ことし二月二十八日付で中辺路町から、河川改修の目的で、河川法第二十条による工事許可申請が提出されました。その申請理由は、「中辺路町にとって林業は町の生活基盤となっており、その重要な施設である工場を洪水から守るため」云々と理由書が添付され、提出されたのであります。
 そこで県では、この申請に対し河第三百七号、平成九年八月十九日付──先月であります──中辺路町に対し河川課長名で、河川法第二十条の妥当性について了承する、また、ほか四項目について記し、すなわち町でやりなさいと回答したのであります。道路のショートカットはよく聞きますが、河川のショートカットは余り聞いたことがありません。
 土木部長にお尋ねします。
 まず第一は、申請理由書の中に、中辺路町は林業の町で、町営木材加工場が冠水のおそれがあり洪水から守ることとあり、県も治水安全を図るという意味で了承するとありますが、この工場、いつごろつくったか、土木部長知っていますか。昭和六十年ごろですよ。十年ぐらい前なんです。何百年も前から流れている川に町が工場をつくるとき、浸水するか否かの調査をしているのが当然ですよね。今日まで災害で土木部長に要望がありましたか。私は、今日まで災害で申請したと聞いた覚えは一つもありません。一歩譲って、工場を災害から守るというのであれば、県管理の二級河川でもあり、カットせずに災害が起こらないように県で工事をやるべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、お尋ねいたします。先ほど申し上げたように、河川課長名で、ほか四項目について条件をつけておられますが、これほどの河川河道の変更でありながら、下流の同意云々は一言もありません。低水護岸や砂利かごを設置するのではありません。富田川の川幅は、生馬橋付近で二百八十メートルもあるんです。この北郡付近でも百五十メートル近くもあるのです。百五十メートルの幅の川が、台風で堤防いっぱいに増水した濁流が、今までは緩やかに、自然に強さを和らげ、下流に流れていたのであります。その大きな川の流れを変え、直流させるのですよ。これでも、下流に対して軽微な改良ですか。工事費約一億円以上もかかるのですよ。例えば、砂利採取業者が何十キロ上流で少しの砂利を採取するにも、事前に、下流はもちろんのこと、川口にある海苔組合の同意書までとらせる県が、下流の指導をどうしてしないのでしょうか。お答えください。
 事前協議の段階であるから必要ないと言われるのでしょうか。では、下流の意見はどの段階で聞いてくれるのでしょう。同意が必要な関係町村はどこまでの範囲でしょうか。また、その他の関係する団体はどこまででしょうか。
 次に回答書の五番目に、廃川敷地すなわち直流することにより大きな土地が生ずることになります。その利用計画、利用方針について明確にしておくこととあります。河川課長は、本当に内容を知って回答したのですか。地元では、中辺路町と建設業界が第三セクター方式で建設残土の処分場をつくることが第一の目的と言っているが、本当でしょうか。また、そこに存在する砂利についてはどのように処理をするのですか。
 我々の地域において道路を改良するとき、川幅が広いのでせめて五十センチでも川の方へ広げたいと願っても、川は人命にかかわると毅然とした態度で認めない河川課が、本音と建前が違う本件をどのように考えているのか。本音を県も承知しながら、下流の地区に本当のことを知らしめずに進めていることに怒りを感じるのであります。中辺路町にとっては、確かに一万坪余りの土地が確保できることは利用価値もあり、平たん地の少ない当町にとっては大変な宝であります。
 平成九年七月十五日、つい先日のことでありますが、千葉県で産業廃棄物ではなく建設残土等の埋立規制に関する条例ができました。すなわち、建設残土に含まれる有害物質による地下水や土壌の汚染を懸念してであり、また建設残土の中に故意に混入されている産業廃棄物の不法投棄に歯どめをかける考えからであるそうです。和歌山県も当然、条例等を考えていると思いますが、お答えを願います。
 もし、この事業が多くの皆さんの同意が得られ、完成した後、万一下流で災害が起こったとき、先ほど殿山ダムの質問をしましたが、人為的につくったために、それが原因であるか否かと問われたとき、だれが責任をとるのか、土木部長の責任ある答弁を求めまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(木下秀男君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 町田議員にお答えをいたします。
 心について、大変貴重なお話をいただきました。私は知事就任以来、人を大切にした、人に優しい、心の通う県行政を推進していこうという思いを込めまして、「真」を政治信条に、「人、皆心あり」、人の心の痛みのわかる政治姿勢を掲げまして、これまで数々の施策に取り組んでまいったところでございます。議員お話しのように、今、時代は大きな転換期にございまして、経済効率を優先した物中心の社会から感性や創造性が重視される時代へと移りつつあるわけでございます。そうした潮流の中にあって心の大切さが求められるという点については、私も全く同感でございます。
 お話にございました、昨年、町田議員とともに米国カリフォルニア州を訪問させていただきましたけれども、その際、遠く祖国を離れてご苦労を重ねられながらも、ふるさと和歌山のことを心配される県人会の方々の心に接しまして、町田議員が感じられたと同じように、私も人の心の大切さを痛感したところでございます。これからも、和歌山に住んでいるすべての人々が、どの地域にあっても、どんな立場にあっても、心のゆとり、豊かさを実感し、生活のできる、感動のある、心の通う県政を目指して努力を続けたいと思っております。
○議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) TAC制度について、特に和歌山県における漁業資源の管理についてでございます。
 議員お話しの、六魚種を対象にそれぞれの漁獲量が設定されてございます。この制度により、従来の操業規制から総量的な漁獲管理へ移行することになり、永続的な漁業の発展と水産物の安定供給が図られることになると考えてございます。
 次に本県における漁獲量管理の現状でございますが、漁業者からの漁獲報告等をもとに的確な数量把握に努めてございます。また今後の漁獲管理の見通しにつきましては、それぞれの資源動向を勘案し、毎年見直しが図られることになってございます。
 議員お話しの特定海洋生物の指定は、今後も追加されることが予想されます。スルメイカにつきましても、平成十年から新たに漁獲対象種に加えられることが見込まれてございます。実施に当たっては、本県漁業者の意向が十分反映され影響がないよう、国へ要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、今後の漁業の見通しと対応でございます。
 国連海洋法条約発効という新しい海洋秩序のもと、資源管理型漁業やつくり育てる漁業の推進等の基本的課題を踏まえ、本県においても資源の減少、就業者の高齢化等に対応した漁家の経営の安定、漁村の活性化など、漁業の振興に努めてまいりたいと存じます。
 以上であります。
○議長(木下秀男君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 町田議員のご質問にお答えいたします。
 まず最初に、殿山ダムの問題についてでございます。
 一番目のご質問として、ダムの樋門調節機能の改良ということについてでございます。
 殿山ダムのオリフィスゲートの機能についてでございますが、現状は六門中二門が部分開放可能となってございます。ダム操作を容易にさせることから、残りのゲートについても部分開放が可能となるよう指導してまいりたいと考えております。
 また、殿山ダムの表面取水等の実現についてでございますが、現在、関西電力では貯水池内の水質調査等を実施しており、その調査結果等を踏まえた上で、良好な水環境を維持できるよう指導してまいりたいと考えております。
 二点目の、道路、河川改修計画とその対応でございます。
 これについて、平成二年九月の台風十九号による県道の冠水箇所の整備状況については、日置川大塔線の宇津木地区は本年度で完成予定でございます。また、上富田すさみ線の宇津木地区及び日置川大塔線の大地区については、現在、測量実施中であります。その他の地区についても、町及び地元の協力のもとに順次整備を図ってまいりたいと考えております。
 また、安居地区右岸の下流部の築堤護岸工についてでございますが、平成七年度に測量設計を実施し、平成八年度から護岸工に着工し、整備の促進を図っております。また、大地区左岸の無堤区間について築堤工を実施するため、平成八年度より測量及び詳細設計を行い、平成十年度から本工事に着手する予定といたしております。
 三点目の、ダム放流通知徹底及び安全性についてでございます。
 住民の方々及び関係機関への周知徹底でございますが、専用電話及び専用ファクスの設置等、また一般に周知させるための措置として警報装置の二重化、警報車の増車等を行うなどの見直しを行ってございます。
 殿山ダムの安全性についてでございますが、日置川水害対策検討協議会の中でダムの安全性を確認しておりますとともに、県が三年ごとに行う定期検査を八年度に実施いたしましたけれども、安全性に問題がないことを確認いたしております。
 また災害対策として、殿山ダム上流に防災用のダムをつくる是非についてでございますが、日置川の総合的な治水対策は河道改修で対応する計画となっておりまして、早期に河道改修を進めてまいります。
 殿山ダムのゲートを三門あけて放流した場合どうなるのかということでございますが、高さの不足箇所が七カ所で約九・七ヘクタールの田畑の冠水が発生いたしますけれども、県道の冠水及び家屋の浸水は生じません。
 四番目の、田野井地区の改修と河床整備についてでございます。
 これについては、河川改修について、平成二年度から地元関係者と調整を行いながら、測量調査と概略設計を実施してまいりました。現在、護岸等の詳細設計を実施しておりまして、平成十年度より用地買収に着手する予定としており、町及び地元地権者の方々の協力を得ながら事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
 また日置川の堆積土砂の除却については、河川管理者としても必要があると認識しており、町が事業主体となって河床整備を実施するべく協議を進めているところでございます。河川管理者としても、申請があった場合、早急に許可してまいりたいと考えております。
 引き続きまして、富田川の河道変更の問題でございます。
 一番目に、変更する理由についてのご質問でございますが、今回の河道改修計画は、中辺路町の主要産業が林業であり、その重要な施設である町営木材加工場が湾曲部の上流左岸側に位置していることから、この湾曲部による影響で洪水時には上流で水位が上昇し、町営木材加工場が冠水するおそれが生じることから計画されたものです。また、河川工事により広大な土地が生じることから、この地域の公共事業の建設残土の受け入れ場所として活用することが可能となり、さらにこの土地を地域振興に役立つ施設の用地として利用できることから、河川法二十条に基づき、河川工事の必要性を主張する町が行うことを協議しているものでございます。
 二番目の、建設残土処理条例でございます。
 この条例の制定については、現在、和歌山県には建設残土等の埋め立てに関する条例はございませんが、工事の施行に当たり、環境保全上の支障を来すことのないよう、関係部局とも十分協議してまいりたいと考えております。
 三番目の、下流地区の同意でございます。
 河川工事を行う場合の下流地区の同意については、事前協議では明記しておりませんが、工事規模も大きいことから、今後、下流町村等の同意について指導してまいりたいと考えております。
 この地区を建設残土受け入れ場として活用する場合には、適正な管理を行えるような仕組みを検討してまいりたいと考えております。
 富田川の河道変更については、議員ご提言の趣旨を十分踏まえて、当河川工事の本申請までに流域の関係町村等と協議を図り、理解を得られるよう中辺路町を指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 32番町田 亘君。
○町田 亘君 殿山ダムについては、先ほど申し上げたように、七月十幾日でしたか、あれと同じ雨量の雨が降れば四門があけられる、それと同じ災害が起こるということでありますから、地元住民のご理解、ご協力もさることながら、県で特段の努力をしていただきたい。
 知事、お考えありがとうございました。お礼を申し上げます。
 富田川ですけれども、少し本音を聞いたように思うんです。要するに、最初の発想は、建設の残土をどこかへ捨てるところがないかということ。今はもうできましたけれども、逢坂トンネル、水上栃谷トンネル、この話があったのが平成二年ごろです。生臭い話をすると、ある業者がカットする土地を押さえてしまったといううわささえある。要するに、建設残土を捨てたい。それには、どこかいいところがないか、これだけ曲がったところがある、そうすると、そこには砂利がたくさんあるやないか、その砂利を売ることができる、砂利を売った後へお金を取って残土を捨てれば一万坪の土地ができる、これが正直言って発想だったと思うんです。
 ここにおられる平越議員から、先日、ある資料をもらいました。それは、昭和五十一年に、平越議員のお父さんが九度山町の町長をなさっているときに、やはり同じように二十条申請して大きなカットをした。そこで、立派な土地ができる。それは何だと言うと、学校の用地をつくりたい、その申請であったんです。学校用地をつくりたいということで、堂々とその二十条の許可を得た。
 だから私が言いたいのは、残土を捨てたいからの発想ではなくて、一万坪余り──確かに、この工事は一億円かかる。今、部長の答弁で、その工場を災害から守るんだと言うんなら、先ほど質問したように、県でカットせずに工場がつからんように工事をようしないんですか。そのような工事できるでしょう。今までつかったことないんですよ。先ほど申し上げたように、一歩譲って、中辺路町の産業である林業を本当に守ってあげようと言うのなら、一億円もかけんと県で十分できるでしょう。それは、下流の人は皆知っているんですよ。
 私が言いたいのは、工場の災害だとか工場を守るんだというようなこそくな理由じゃなしに、本音を出して下流の皆さんの同意をとる。下流といっても──先ほど事前のときには同意云々はないと言いますけれども、カットして突き当たったところが大塔村ですよ。カットして当たったところが、もう大塔村です。一番最初に大塔村の皆さんに、せめて役場へ行って話をしてくるのが当然だと思うんですが、それもしてないんですよ。だから、大塔村、上富田町、白浜町の町村はもちろんのこと、内水面、水利組合等々の同意書を必ずとっていただきたい。私は、決してやるなと言っているのではない。発想の仕方が間違っているんだということを申し上げたいんです。
 今議会では、産廃の質問等が多くありました。この富田川でも、将来、建設残土の中に、不純物がもし故意に入れられたりしたときに、先ほど申し上げたように、だれが責任をとるのか。ここで中村生活文化部長にまた質問をしなくてはならないようなことがないように、管理者である県の方で十分な管理、対応をしていただきたいと思います。
 最後に、事前申請といっても、これだけ大きなことをやるのに、我々下流に住む住民はもちろんのこと、西牟婁郡の県会議員のだれ一人にも説明もない、これが一番の憤慨であります。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)──そのとおりであります。次回にもう一度質問するとして、今回は厳重に申し添えて要望にしておきます。
 以上です。
○議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で町田亘君の質問が終了いたしました。
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○議長(木下秀男君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 次に、ただいま議題となっております全案件のうち、議案第百二十号平成八年度和歌山県公営企業決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 ─────────────────────
 【日程第三 請願付託】
○議長(木下秀男君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 ─────────────────────
○議長(木下秀男君) 次に、お諮りいたします。九月三十日及び十月一日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木下秀男君) ご異議なしと認めます。よって、九月三十日及び十月一日は休会とすることに決定いたしました。
 ─────────────────────
○議長(木下秀男君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員から、これを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会 第一委員会室
 福祉環境委員会 第二委員会室
 経済警察委員会 第三委員会室
 農林水産委員会 第四委員会室
 建設委員会 第五委員会室
 文教委員会 第六委員会室
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○議長(木下秀男君) 次会は、十月二日再開いたします。
○議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十六分散会

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