平成9年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時四分再開
○副議長(阪部菊雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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○副議長(阪部菊雄君) この際、知事から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 議長のお許しをいただきまして、謹んでご報告申し上げます。
 本日午後、宮内庁から発表がございます、天皇皇后両陛下の和歌山県行幸啓に関してでございます。
 天皇皇后両陛下には、大阪府での第五十二回国民体育大会秋季大会・なみはや国体開会式へのご臨席に引き続き、本県の地方事情ご視察のため、ご来県されます。
 本県でのご日程は、十月二十六日から二十八日までの三日間で、この間に、和歌山県庁で県勢概要の奏上をお受け賜った後、和歌山ビッグホエールで行われるわかやま産業博覧会、広川町の県立たちばな養護学校、また、田辺市の高齢者複合福祉施設・たきの里や中田食品株式会社の梅加工工場をご視察されます。
 和歌山県への行幸啓といたしましては、昭和天皇の昭和五十二年、植樹祭以来二十年ぶり、今上天皇には皇太子殿下として昭和五十八年に豊かな海づくり大会に皇太子妃殿下とおそろいでご来県いただきましてから十四年ぶりとなります。また、このたびは過去にご視察いただいていないところをというご意向もございまして、有田郡と田辺市へ初めてご訪問いただくことになります。
 こうして天皇皇后両陛下をお迎えできますことは、和歌山県民にとりまして、この上もない光栄であると存じます。この機会に、輝く二十一世紀に向けて発展を遂げております本県の状況をつぶさにごらんいただきますとともに、秋の紀州路をご満喫いただきますよう、心から歓迎申し上げたいと存じます。
 以上であります。
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○副議長(阪部菊雄君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、財政構造改革の推進方策による本県の平成十年度予算編成について、お尋ねをいたします。
 ケインズ経済学では、不況の時代を迎えると、その対策として政府や自治体は公共事業費や減税など財政支出を増加させて総需要を増大させ、日本銀行は公定歩合を引き下げて景気を下支えするのが景気回復の方程式であります。
 平成三年に始まったバブル崩壊による不況に対して国は、平成四年四月に緊急経済対策として公共事業の八〇%前倒しと、その後、一兆円減税を含む約七兆円の大型補正予算を成立させました。平成五年度には、当初予算に加えて四月に新総合経済対策十三兆二千億円、九月に六兆二千億円規模の緊急経済対策を決定しました。平成六年度には、当初予算と五年度の三次補正十五兆二千五百億円を合わせた十五カ月予算を成立させ、加えて減税も総額六兆円が実施されました。このように、政府は四年度から七年度にかけて六回、総額六十六兆円にも上る景気対策を行ってきました。
 本県においても、国の景気対策を受けて平成五年度当初予算で県単独普通建設事業を六百九十億円計上、さらに六月には百七十三億円の大型補正を行い、九月には百七十一億三百万円の大型補正を連続して計上し、景気対策に当たってきました。平成六年度は、当初予算では県単独普通建設事業を対前年伸び率一一%の七百六十七億円計上し、国の三次補正を受けて二百十億七千五百万円の補正予算を計上し、長引く景気の低迷に対応してきました。
 また、地方公共団体に対して交付税措置のある起債を活用した地方単独事業の増加を期待する国の地方財政計画により、地方では交付税措置のある起債の活用と各種基金の取り崩しによって投資的経費を確保することが常態化してきました。
 本県においても、平成七年度当初予算では県単独普通建設事業を伸び率五・四%の八百八億円計上し、さらに平成八年度当初予算では同事業を伸び率一七・一%の九百四十六億円計上してきました。平成九年度の当初予算の説明において西口知事は、交付税措置のある起債の積極的な活用や八年度を大幅に上回る思い切った各種基金の取り崩しにより財源を確保し、全体として地方財政計画よりも高い伸び率となり、投資的経費に係る県単独事業についても前年並みの額を確保したと述べ、県単独普通建設事業を九百二十五億円計上してきています。
 一方、日本銀行による公定歩合は、平成三年七月に年六%から五・五%に引き下げられて以降、平成七年九月八日の引き下げまで連続九回引き下げられ、史上最低の年〇・五%の超低金利となりました。本年の九月八日で、公定歩合〇・五%という異例な状態が丸二年目を迎えました。しかし、日本の不況には、景気対策としての六十六兆円の財政支出も、二年に及ぶ公定歩合〇・五%の超低金利も有効な処方せんとはならず、経済学理論はもはや通用しない危機的状況にあります。加えて、国民にとってはこうした多額の財政支出のツケが重くのしかかり、平成九年度末で国、地方の長期債務残高が約四百七十六兆円に上り、年間の国民総生産GDPに匹敵するほどの規模に達する見込みであります。また、超低金利のため家計から金融部門への所得移転により、とりわけ年金生活者に打撃が大きく、さらに、年金基金の運用難に陥ったり運用利回りの低下による日産生命の破綻など、副作用が生じてきています。
 二十一世紀に向けて我が国は、急速に進展する少子化、高齢化の中で、抜本的な財政構造改革の実施が急務となっています。政府は、本年一月に財政構造改革会議を発足させ、三月に橋本総理の財政構造改革五原則を受け、六月に財政構造改革の推進方策を取りまとめてきました。
 その推進方策の概要は、当面の目標として二〇〇三年度までに財政健全化目標である財政赤字対GDP比三%、赤字国債の発行ゼロ達成を目指すこと、今世紀中の三年間を集中改革期間と定め、その期間中は一切の聖域なしで歳出の改革と縮減を進めることを決定しました。特に、当面の平成十年度予算においては、政策的経費である一般歳出を対九年度比マイナスとすることとしています。公共投資予算は集中改革期間において各年度その水準の引き下げを図る、特に十年度の公共投資予算は九年度比七%マイナスの額を上回らないこととする、公共事業の建設コストの縮減については九年以降三年間で少なくとも一〇%以上の縮減を目指すとしています。
 社会保障費は十年度予算で八千億円の当然増を三千億円以下にする、十年度の地方財政計画は、国が一般歳出を対前年比マイナスとすることにより地方歳出も対九年度比マイナスを目指す、また、それと相まって投資的経費に係る単独事業は対前年マイナスとする、地方公共団体に対する補助金について制度的補助金は制度改正を含めて削減合理化を図る、その他の補助金は集中改革期間内の毎年度その一割を削減する、ウルグアイ・ラウンド対策費は見直しをする、学校給食用米穀値引きについては廃止の方向で見直しを行う、第六次公立義務教育諸学校教職員定数改善の計画並びに第五次公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画は集中改革期間中その実施を抑制する、十年度までの計画期間を二年間延長する、私学助成については十年度予算を対九年度比マイナスとする、県商工会連合会等の人件費補助のあり方など歳出全般の見直しを行う、などとなっております。
 本県の財政状況も、この国の大型景気対策による普通建設事業等の増加と平成六年度から始まった特別減税による税収不足や国の税収悪化による交付税の振りかえ等により県債発行額が着実に増加し、七年度は普通会計の決算ベースで八百八十億円、八年度は八百八十三億円、九年度は七百七十億円となる見込みであります。このため、九年度末には一般会計分の県債残高が五千五百十二億円となり、九年度当初予算の一般会計の額にほぼ匹敵する額になる予定であります。
 また、公債費も九年度当初は五百四十九億五千四百万円と急増し、十年度以降もピークの十二年度ごろまで急テンポで増大する見込みであり、起債制限比率の悪化が心配されるところであります。国において財政構造改革の推進方策が決定し、平成十年から三年間が集中改革期間となった今日、本県においても抜本的な予算の編成方針の改善を行い、さらなる行財政改革が必要となってきています。
 そこで、西口知事にお尋ねいたします。
 一、財政構造改革の推進方策を知事はどう受けとめるか。
 二、推進方策を受けて知事は新年度予算編成方針をどう作成するか。
 三、平成十年度予算は知事就任より三度目の提案となる予算でありますが、知事公約をどう取り入れるのか。
 四、平成六年から三年間の予算執行状況調査により、不適正執行額が約十三億四千四百万円に上ることが明らかになりました。知事は九月定例県議会の冒頭で、不適正執行額に利息を加えた額約十四億九千七百万円を全額返還するとともに、知事を含め職員六百十人の処分を行い、今後、職員が一丸となって県民の信頼回復に取り組む旨、陳謝がありました。今回の問題は県民にとりましてはまことに遺憾なことであり、今後かかることのないよう再発防止のためどう取り組まれるのか。
 次に、総務部長にお尋ねいたします。
 一、財政構造改革の推進方策では、平成十年度から三年間を集中改革期間としていますが、当然、地方財政計画においても集中改革期間と位置づけられると思います。本県においてはどう対応されるのか。
 二、財政構造改革の推進方策の実施により本県の新年度予算にどのような影響が生じると考えているのか、またその対応はどうか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、中高一貫教育の導入についてお尋ねいたします。
 現在の六・三・三制ができ上がって、今年でちょうど五十年目を迎えます。戦後五十年、目覚ましい経済発展により私たちの未来がバラ色に見えた社会でありましたが、ふと気がついてみると、利己的でモラルを喪失した社会がいつの間にかでき上がってしまっていた感がいたします。偏差値を目安に競争へ追い立てられ、人に勝ち、競争に次ぐ競争で、いつしか仲間を思いやる心も失せてしまう。絶えず他人と比較され、敗れた者は底知れぬ敗北感に挫折し、勝った者も次の重圧感に苦しめられる。反抗や非行、いじめ、不登校は自分たちのことをわかってほしいという子供たちのうめき、意思表示に違いないと、識者は指摘しています。
 子供たちの心身の成長や変化の著しい時期にある中等教育についてはその改善の必要性が強調され、中学校教育と高等学校教育とを入試を課すことなく六年間一貫した教育を行う中高一貫教育には、早くから広く関心が持たれてきました。今日までの教育改革論議においても中高一貫教育が検討され、昭和四十六年の中教審答申においては漸進的な六・三・三制の学校体系の改革を推進する第一歩として先導的に試行すべき旨、提言されました。その後、昭和六十年の臨教審の第一次答申で六年制中学校の設置が提言され、これを踏まえて調査研究も行われましたが、平成三年の十四期中教審答申では受験競争の低年齢化を招くおそれがあるとして、最終的な結論が持ち越されてきました。
 しかし、今日の中高一貫教育の導入状況を見ると、本県においても私学の場合は十数年前から導入され、中高一貫教育は常態化しています。平成六年四月には宮崎県立五カ瀬中学校・高等学校が文部省の研究開発学校の指定を受け、中高一貫を実施してきております。同校は全寮制の中高一貫教育学校で、生徒数は中学生百二十名、高校生百二十名の一学年一学級の学校であります。県のフォレストピア構想に基づいて開校され、二十一世紀を担う豊かな人間づくりを教育方針に据え、教師と生徒が一体となって自然の中で個性重視の教育を行っております。本年三月に第一期生四十二名が卒業、全員が進学を志望、うち九〇%が国公立を含む大学に進学しております。
 山住正己東京都立大学総長は、県立五カ瀬中学・高校に対して産経新聞の「教育『新時代』」で、「受け入れるのは、全県下の各市町村から一人ずつぐらいでしょう。ですから、『受験エリート校』になる恐れはありますね。ただし、今年で開校四年目ですから、本当の中高一貫のメリット、デメリットが出てくるには、あと三年待たなければなりません」と述べ、さらに、余り小さいと学年としての集団の力が発揮できないから、一学年一学級では規模が小さ過ぎると指摘をしております。
 本年七月に中教審の第二次答申が提出され、同答申では子供たちの個性をゆとりある教育の中ではぐくむことを目指すとともに、学校制度の複線化構造を進める観点から中高一貫教育を選択的に導入することを提言し、そのモデルとして体験学習、地域に関する学習、国際化や情報化に対する学習、環境に関する学習、伝統文化等の継承のための教育、じっくり学びたい子供たちの希望にこたえる教育などを軸に据えた、特色ある教育の展開を期待しています。実施形態としては、同一設置者が中・高を併設する方式と、市町村立中学校と県立高校の連携の二つを挙げています。さらに、受験競争の低年齢化を招かないように、公立については学力検査を行わず、抽せん、面接、推薦などを適切に組み合わせて選抜するとしています。
 この答申を受けて、本年八月に文部省は教育改革プログラムを改定いたしました。新プログラムでは、平成十一年に公立の中高一貫校が新設できるよう制度改正を行う旨を明記しました。加えて、公立校の中高一貫教育をスムーズに導入できるように、十年度に各都道府県で地域の実情に合った一貫教育のあり方を実践研究する方針を固めました。各県では、中学校と高等学校計三校程度をモデル校に指定し、カリキュラムに一貫性を持たせるなど、具体的な連携方策を模索するとしています。いよいよ、文部省が教育改革の選択肢の一つとして平成十一年に公立高校へ中高一貫教育を導入するため、本格的に動き出したと実感する次第であります。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、中高一貫教育を教育長はどう評価しているか。
 二、本県の公立学校への中高一貫教育の導入はどう進められるのか。
 三、中・高連携推進支援モデル事業は平成八年度から二カ年間、伊都、西牟婁の両地方で英語、数学などの教科における中・高のつながりを重視した指導等を研究協議してきております。こうした中・高連携推進支援モデル事業を発展させて同地域から中高一貫モデル校を選定されるという考え方はどうか、以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、特殊教育の改善充実に向けた施策についてお尋ねいたします。
 昨年、北海道にある雨竜高等養護学校を舞台にした山田洋次監督の映画「学校・」が上映され、大きな反響を呼びました。撮影の舞台となった雨竜高等養護学校は、滝川市の北東に位置する人口三千五百人程度の小さな雨竜町にあり、十四年前に設立され、現在、百六十名の生徒に百三十名の教職員が指導に当たっているとのことです。私も、「学校・」をビデオで鑑賞しましたが、映画のクライマックスの場面で、主人公の養護学校の二人の生徒が北海道の大雪原から鮮やかな色の熱気球に乗って広がる大空に向かって上昇していく姿は、人間は障害があるなしにかかわらず、みんな無限の可能性を秘めているのだ、そして教師や親の気づかない間にぐんぐん成長しているのだと訴えているように感じ、感動した次第であります。
 山田監督は、「養護学校の先生は、懸命になって子供たちを理解しようと努力し、その子供たちと共感できることを探ります。決まり切ったワンパターンの教育は絶対にあり得ません。この映画が学校や教育のあり方について、もう一度考え直すきっかけになればと考えました」と語っておられたと伺いました。
 文部省は、今後の特殊教育の改善充実に資するため、平成八年九月以来、幅広い観点から検討を行って、本年一月に特殊教育の改善充実に関する調査研究協力者会議の第一次報告を取りまとめました。その報告の冒頭において、障害のある幼児、児童、生徒については、その障害の種類と程度に応じて特別な配慮のもとに手厚くきめ細かな教育を行い、一人一人の可能性を最大限に伸ばし、社会参加、自立を実現していく必要があると述べています。さらに近年は、障害に関する医学の進歩に伴い、障害の重度重複化、多様化の傾向が見られるようになり、それに応ずるため一層きめ細かな配慮が要求されるようになってきています。
 こうした認識から、第一次報告では早急な対応が求められるものとして、一、盲・聾・養護学校の高等部の拡充整備と訪問教育の実施、二、交流教育の充実、三、早期からの教育相談の充実の三点を挙げています。本県における特殊教育諸学校の状況は、大正七年に和歌山盲学校、和歌山ろう学校が設置され、その後、県当局初め関係の皆様のご尽力によりまして、昭和四十二年に南紀養護学校が上富田町に誕生、昭和四十八年に紀北養護学校が和歌山市に、昭和五十年には同校の園部分校も設置、昭和五十二年にははまゆう養護学校が上富田町に設置されました。昭和五十四年の養護学校教育義務制の実施により、県下全域への養護学校設置を目指して取り組みが行われ、昭和五十四年にみはま養護学校が美浜町に、昭和六十一年にきのかわ養護学校が高野口町に、平成二年にみくまの養護学校が新宮市に、平成三年にたちばな養護学校が広川町に設置され、県下全域で自宅より通学できる特殊教育の充実が図られてきております。
 現在、新設養護学校が和歌山市に平成十一年開校を目指して建設準備を進めております。また、近年では、盲・聾・養護学校中等部及び中学校特殊学級の卒業者の高等部への進学が年々増加しております。高等部の受け入れ体制は今後一層充実されなければならないと同時に、学校へ通学して教育を受けることが困難な生徒に対しては、小中学部のように高等部においても訪問教育を実施していくことが望まれています。文部省は高等部における訪問教育の試行的実施を提言し、本県でも今年四月より紀北養護学校で実施しているところであります。
 交流教育については、本県では心身障害児理解推進校の指定を通して、盲・聾・養護学校と小中学校の交流が実施されてきています。さらに、高校との学校間連携において、県立和歌山商業高等学校と和歌山ろう学校間で文書処理、社会福祉など、平成八年度より開始し、九年度も実施し、注目を集めております。
 文部省は、平成九年度から交流教育地域推進事業を全都道府県で実施し、地域や学校の実情に応じた交流教育の推進をすることとしています。また、障害のある子供に対して早期から教育的対応を行うことは、保護者の不安や悩みにこたえ、乳幼児期の発達を促進し障害の状態の改善に寄与するなど、極めて大切なことであることから、早期からの教育相談や幼稚部教育の充実を図っていくことが必要とされています。このため、特殊教育センターを中心に、ゼロ歳からの相談や教育、医療、福祉関係機関が一体化した相談を行う体制のあり方について、本年から七都道府県で実施研究に取り組んでいると伺っております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、本県における特殊教育の改善充実をどう図られるのか。
 二、盲・聾・養護学校の高等部の拡充整備と訪問教育の充実をどう進められるのか。
 三、盲・聾・養護学校及び特殊学級と小・中・高校との交流、さらに、完全学校週五日制の実施に向けて地域における交流をどう進められるのか。
 四、障害のある乳幼児や保護者のニーズにこたえた、早期からの教育相談を実施できる教育、医療、福祉の機関が一体化した特殊教育センターの本県への設置と養護学校幼稚部の導入についてどう対応されるのか。
 五、病気療養児の院内学級の充実については、県立医大の新設の状況もあり、今後どう進めていかれるのか。
 以上、五点をお尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新田議員にお答えをいたします。
 まず、国の財政構造改革をどう受けとめているかということでございます。
 国の財政構造改革は、危機的な状況にございます我が国財政の現状を打開し、二十一世紀においても安心で豊かな福祉社会、活力ある経済を実現していくための、いわば待ったなしの課題に挑戦するものであり、その姿勢は高く評価するものであります。
 しかしながら、我が国全体として真に活力ある国土を生み出していくためには、基盤整備のおくれた地域に対する配慮も不可欠のことでございまして、私も去る九月十二日に開かれた政府主催の全国知事会議においてもこのことを強く要請したわけでありますが、今後ともあらゆる機会を通じて主張してまいりたいと考えております。
 次に、平成十年度の予算編成方針についてであります。
 国におきましては、公共投資の七%カット、あるいは補助金の原則一割削減など、財政構造改革の指針に基づいて一般歳出マイナス〇・七%という極めて厳しい概算要求の状況となってございます。また、年末に決定される地方財政計画においても、単独施策の抑制などにより、国と同一基調の抑制方針が打ち出されることが予測をされてございます。
 一方、本県の財政状況も他の府県と同様に、県債元利償還費の増嵩による財政構造の悪化、あるいは財政調整基金などの減少による財源調整能力の非弾力化など、大変厳しい財政運営を強いられる事態に立ち至ってございます。したがいまして、当面する十年度予算におきましては、今申し上げました諸条件からその規模を抑制していかなければならないものと考えてございます。
 しかしながら、当面の政策課題に適切に対応して和歌山新時代の展望を開いていくことが、県政に課せられた緊要の課題でもございます。それに対応するためにも、十年度の予算編成に当たりましては、中長期的な視点に立った財政の安定的運営に十分配慮をしながら、限られた財源の中で各種施策の優先順位の厳しい選択、徹底した予算の重点化、部局の枠を超えた事業間の連携強化など、予算の効率化に最大限の努力を払いまして、県民の皆様の要請にこたえられるめり張りの効いた予算づくりを目指してまいりたいと思います。
 また、公約実現への取り組みについてでございますが、近畿自動車道紀勢線あるいは京奈和自動車道等の高速交通体系の整備促進、あるいは国道、県道、農林道のネットワーク化による県内二時間交通圏構想の推進、さらに、県経済の活性化、福祉の町づくり、さらには南紀熊野体験博など、県政喫緊の課題に対しましては、予算全体の重点化、効率化を図る中でその着実な推進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、このたび実施をしました予算執行状況調査の結果、まことに遺憾ながら、旅費等の科目の一部において不適正な執行が明らかになりました。今後、二度とこのような事態を起こさないように、全職員一丸となって、予算の適正執行はもとより、信頼される県政の推進に取り組んでまいります。
 そのために、今回の調査の結果明らかになりました不適正執行の背景、原因を踏まえ、職員の意識改革を図るための全職員を対象とした各種研修の実施、より実態に即した予算の対応、統一的な執行基準の策定、予算執行制度・運用等の見直しを行うこととしてございます。今議会に提案をしております物品調達制度の改正についても、その一つでございます。さらに、情報公開の充実、監視機能の強化を図るための内部審査、点検の徹底などにも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 なお、監査機能の独立性、専門性等を一層充実するために、地方自治法の改正により外部監査制度が導入されることに伴い、本県においても平成十一年四月に向け、鋭意検討を重ねてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(阪部菊雄君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 財政構造改革の推進方策による本県の新年度予算編成についてのうち、二点にお答えをします。
 まず、平成十二年度までの集中改革期間における本県の改革方針についてでございますが、先ほど知事から答弁がありましたように、本県の財政状況は他の府県と同様、極めて厳しい状況に至ってございます。また、今後の見通しにつきましても、県債の元利償還金すなわち公債費の急激な増加が確実に見込まれるため、財源不足がさらに拡大していくことが懸念されるところでございます。
 したがいまして、今後も県民の福祉の向上と地域の発展に向けて積極的な施策の展開を図っていくためには、中期的な視点に立った合理的な財政運営を行い、慢性的な財源不足を解消することにより、他の一部府県で見られるような財政の危機的状況を事前に回避することが緊要かつ重要な課題であると認識してございます。
 その対応を図っていく上での基本的な方策といたしましては、一、歳出を歳入に見合った規模まで抑制すること、二、事務事業についてスクラップ・アンド・ビルドの徹底など抜本的な見直しを行うこと、三、県債発行額の適正化、長期債の導入等により公債費の増大を抑制すること、四、歳入の確保と経費節減に最大限の努力を行うこと等を考えておりますが、今後、国の財政構造改革の推進方針及び年内に発表される見込みの地方財政計画を参考にしながら、この方針にのっとった具体的な方策を講じていく所存でございます。
 次に、財政構造改革の推進方策による本県の平成十年度当初予算への影響とその対応策についてでございます。
 まず、来年度の県当初予算への影響につきましては、先日発表された国の平成十年度概算要求方針及び概算要求の集計結果から見ますと、公共事業関係費のマイナス七%の縮減、社会保障費の伸びの圧縮、さらに、教育関係経費における義務教育国庫負担金や私学助成費の抑制などの影響が大きいものと考えてございます。それ以外の経費につきましても基本的に前年度同額以下との方針が徹底されており、奨励的補助金を中心にその影響が出るものと見込まれます。また、地方財政計画等で今後明らかになるものと思いますが、地方単独事業費についても前年度同額以下に抑制されるほか、地方債の充当率の引き下げ、発行額の抑制等の方針が示されるものと思われます。
 こうした国庫財源の縮減への対応策としては、抜本的な事務事業の見直しによる歳出規模の適正化、スクラップ・アンド・ビルドや予算の重点化による限られた財源の活用、国の重点化枠に応じた施策展開による国庫財源の獲得などの措置を講じ、県民の皆様の要望にこたえられる効率的な予算の編成、そして中期的な視点に立った合理的な財政運営に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 中高一貫教育についての三点と、特殊教育に係る五点についてお答えいたします。
 まず中高一貫教育についてでありますが、さきの中央教育審議会の第二次答申の中で、中高一貫教育については特に受験準備に偏らない教育を目指した普通科タイプを初め、総合学科タイプ、専門学科タイプの三つの類型が示され、特色ある教育活動を展開するためのさまざまな提言がなされてございます。その趣旨は、入学者選抜から来る生徒の心理的な負担を解消し、六年間の計画的・継続的な指導を可能とするなど、ゆとりの中で個性を大切にした教育を進めることをねらいとしたものであります。
 本県においては、従前から特色ある学校づくりに努めるとともに、県立学校において学校間の壁を低くし、生徒がそれぞれの学校のよさを認め合い、主体的に学習できることを目的とした学校間連携を推進してきております。また、中学と高校の連携を一層密にし、より適切な進路指導を行うことや学習内容の円滑な接続等を目的とする中・高連携推進支援モデル事業を実施するなど、積極的に教育改革を進めてきております。
 こうした中で、中高一貫教育の早期の導入は、答申の本来の趣旨を実現するよりも受験競争の低年齢化や大学進学に偏ったエリート校づくりになることが危惧されます。このため、当面は学校間連携や中高連携等の取り組みを全県的に拡充させることを検討するとともに、地域・学校等の実情を踏まえながら中高一貫教育の導入については慎重に研究してまいりたいと考えます。また、文部省が委嘱事業として計画している中高一貫教育の推進に係る実践研究につきましては、本県で実施している中・高連携推進支援モデル事業等との関連性を十分に勘案し、受託について検討したいと考えております。
 次に、特殊教育に係る五点についてお答えいたします。
 まず、本県における特殊教育の改善充実についてでありますが、これまで地理的な条件を勘案するとともに、肢体不自由と精神薄弱それぞれの障害に応じた養護学校の適正配置を進めてまいりました。さらに、平成十一年四月には新設養護学校の開校を予定しており、教育内容とともに施設についてもより充実したものにしてまいりたいと考えます。
 一方、小中学校に在籍する障害のある児童生徒につきましては、就学指導等を十分に行う中で、障害に応じた特殊学級の開設や軽度の言語障害児を対象とした通級指導教室の設置にも努めてまいりました。また設備面におきましても、昨年度から和歌山ろう学校に集団補聴システムを導入し、今年度は和歌山盲学校に、さまざまな情報を拡大したり音声化や点字化ができる視覚障害児童生徒授業支援システムを全国で初めて導入いたしました。さらに、情報化への対応が教育課題と言われる中、みはま養護学校においてインターネットのホームページを開設し、専門機関との連携を図りながら児童生徒一人一人に応じた教育を研究しているところでございます。これらの施策は、障害のある子供たち一人一人を大切にする教育として全国から注目を受けてございます。今後一層、特殊教育の改善充実に努めてまいる所存であります。
 第二点目の、高等部の拡充整備についてであります。
 全国の特殊教育諸学校における高等部の設置率は七一・九%となっておりますが、本県においては一〇〇%、すべての学校に高等部を設置してございます。高等部の訪問教育については、昨年十二月の県議会においてご賛同をいただき、本年度から全国に先駆けて紀北養護学校において実施してございます。平成十年度以降についても、各養護学校に在籍する対象生徒について順次訪問教育を実施すべく、関係各課と協議を行ってまいります。
 第三点目の交流教育につきましては、すべての子供の豊かな人間形成を図り、バリアフリーすなわち障壁のない社会づくりを目指す上で極めて重要な活動と位置づけ、これまでも各地域の心身障害児理解推進校を中心に積極的に交流教育を推進してまいりました。その活動を通して、盲・聾・養護学校の児童生徒には自分の生き方に対する自信や積極的な姿勢が生まれ、また小中学校の児童生徒には思いやりの心が育つとともに、みずからの生き方などを考える機会となってございます。同時に、保護者の方々の特殊教育に対する理解を進める上でも大きな成果を上げてきてございます。
 とりわけ、全国初の試みとして実施されたろう学校と県立和歌山商業高校との学校間連携は二年目を迎え、相互に学び合う中で、着実にその成果を上げてきているところであります。また紀北農芸高校では、きのかわ養護学校の生徒と一緒に太鼓の練習に取り組み、箕島高校でも教育活動の一貫としてたちばな養護学校との交流を続けてございます。さらに新しい試みとして、那賀郡桃山町において障害のある子供たちと、通常学級の児童生徒だけでなく、地域と一体となった交流教育の実践に取り組んでいるところであります。
 完全学校週五日制の実施に向けましては、こうした事業の定着を図るとともに、特殊教育諸学校の保護者の方々が中心となって運営されている学校外活動推進事業や本年度から地域の協力を得てスタートさせたオープンスクール事業などの充実を図り、各関係機関とも連携して地域における交流の一層の推進に努めてまいる所存であります。
 第四点目の早期教育相談につきましては、従来から実施してきた巡回就学相談事業において、早期教育相談の視点を重視して一層の充実を図るとともに、今年度から医療福祉関係機関と特殊教育諸学校が連携して早期教育相談の充実に関する調査研究に着手してございます。ご指摘の特殊教育センターにつきましては、調査費を計上していただいている総合教育センター構想の中で検討してまいりたいと考えます。養護学校の幼稚部設置につきましては、国の調査研究協力者会議の報告においても重視されているところであり、国の動向を見守りながら研究してまいりたいと考えます。
 最後に院内学級の充実でありますが、建設中の和歌山県立医科大学において院内学級の設置が可能となるよう、設置権者である和歌山市と大学当局との間で現在協議されていると伺ってございます。今後とも、子供たち一人一人の障害の状態に応じた一層手厚い、きめ細かな教育を推進してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○副議長(阪部菊雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 38番新田和弘君。
○新田和弘君 三点、要望させていただきます。
 まず第一点目でございますが、本年十月に天皇皇后両陛下が和歌山県に行幸啓いただくと、先ほど伺った次第でございます。県立たちばな養護学校もご視察を賜るとのことでございます。こういった機会を通しまして、養護・特殊教育の改善充実にさらに力を入れていっていただきたいと思う次第でございます。
 二点目でございますが、先ほど西口知事並びに総務部長から、国の財政構造改革推進方策に関する諸質問に対しての答弁をいただきました。確かに、平成十年度から三年間、この集中改革期間という期間を設けられるわけでございまして、福祉、医療、年金、さらにウルグアイ・ラウンドの農業問題、また文部省関係の予算、商工関係の予算、そして公共事業の縮減の問題、さらに地方単独事業への切り込みの問題等、本当に本県にとりましても大変な、この財政に対する改善の状況を迎えなければならないと思う次第でございます。
 そういった意味で、思い切った予算編成方針の改善、そして職員の皆さんの、予算計上に当たって対前年主義の予算計上というようなことではなくして、本当に知事さんの公約をどう実現していくか、県民の皆さんにどうこたえていくかということを重点に置いて優先順位を決めていただいて、お互いにこの県の発展に尽くしていかなければならない時代を迎えるという意味から、本当に大きな意識変革を行って我々も事に当たりたいと思いますので、特段のご努力を要望いたしたいと思う次第でございます。
 それから三点目でございますが、中高一貫教育について文部省が本格的に全国的な導入ということを考えておるわけでございまして、先ほど教育長は慎重に取り組んでいくということでございます。これは今まで長年議論されてきた問題でございますが、教育改革の一つの方策として提案されてきております。
 もっとも、教育長のお考えの中には、十四期教育改革の中で提言された総合学科の導入であるとか、学校間連携の実施であるとか、高校入試の改革・改善、それから特色ある学科の設置、こういった問題を平成三年以降積極的に取り入れられまして、そして今日、総合学科においては和歌山高校に次いで有田中央の二校目が誕生し、大変大きな反響を呼んでおりますし、学校間連携においても県下的な実施が今実施されておるところでございます。また、入試改革も既に実施をして入試が行われておりますので、そういった意味で、高校教育改革についてはここまでやっておるのだから中高一貫を導入しなくても和歌山の高校教育改革はやっていけるんだというお考えもあるのではないかと思う次第でございます。今までやっていらっしゃったことについては私は高く評価させていただきたいと思うわけでございますが、こういう取り組みに対してもまた十分なご検討をよろしくお願い申し上げまして、第二問目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(阪部菊雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。

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