平成9年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成九年六月二十六日(木曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十六人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川 武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門 三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島 雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷 洋 一
 18 番 山 下 直 也
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗 正 彦
 24 番 橋 本 進
 25 番 神 出 政 巳
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 松 本 泰 造
 28 番 東 山 昭 久
 29 番 尾 崎 要 二
 30 番 野見山 海
 31 番 木 下 秀 男
 32 番 町 田 亘
 33 番 中 山 豊
 34 番 井 谷 勲
 35 番 鶴 田 至 弘
 37 番 村 岡 キミ子
 38 番 新 田 和 弘
 39 番 平 越 孝 哉
 40 番 森 本 明 雄
 41 番 長 坂 隆 司
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(一人)
 36 番 森 正 樹
説明のため出席した者
 知 事 西 口 勇
 副知事 山 下 茂
 出納長 高 瀬 芳 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 中 山 次 郎
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 生活文化部長 中 村 協 二
 福祉保健部長 小 西 悟
 商工労働部長 日 根 紀 男
 農林水産部長 平 松 俊 次
 土木部長 長 沢 小太郎
 企業局長 佐 野 萬瑳義
 教育委員会委員長職務代行者
 安 藤 精 一
 教育長 西 川 時千代
 公安委員会委員 高 垣 宏
 警察本部長 青 山 幸 恭
 人事委員会委員長
 若 林 弘 澄
 代表監査委員 宮 市 武 彦
 選挙管理委員会委員長
 谷 口 庄 一
 以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 西 畑 彰 久
 次 長 前 晴 夫
 議事課長 佐 竹 欣 司
 議事課副課長 島 光 正
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 川 崎 良 雄
 議事課主事 大 浦 達 司
 総務課長 塩 路 義 和
 調査課長 湊 孝太郎
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 28番東山昭久君。
 〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、西防問題を中心に質問をさせていただきたいと存じます。
 西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会は、去る四月十四日に面積百七十七ヘクタールの埋立地に関する考え方の最終答申をまとめ、西口知事に提出されました。県は五月九日に、和歌山県発電所環境影響調査書及び安全調査書の審査検討結果について、関西電力に環境、安全、地域振興措置などを要請し、これに対する回答とともに、県として、特に問題ないという見解を明らかにしました。また六月十日には、海域環境の保全と創造について、西防波堤沖埋立地利用に係る海域環境の保全・創造検討委員会の報告書を公表したのであります。
 西防問題は今日までさまざまなところで多くの論議が行われ、この県議会の場でも先輩の議員の皆さんが論戦を展開してこられました。私も、中間報告について二回ほど質疑を行い、論議に参加してきたところであります。
 最終報告は、九四年十一月の中間報告で示された利用計画案をそのまま適切とした一方で、新たに、随所で瀬戸内海環境保全上からの要請も充足する必要性を強調しています。しかし、通常からすれば、利用計画案の検討の前に用途変更そのものが妥当かどうか、当初の埋め立て目的の環境保全が十分担保されているかどうか、喪失した公有水面の価値を解消するに足り得る施策とは何かを検討すべきであるのに、答申はあるべき論議を置き去りにしたまま、発電所などの個別・具体的計画を優先させたものになっております。しかし、約三年、十回の委員会が開催され、論議が積み上げてこられたのであります。
 私は、一定の評価をしたいという考えの立場から、以下、質問をしたいと思います。
 尾崎和歌山市長は、去る六月十二日の定例議会で、LNG火力発電所を電源開発基本計画に組み入れることに同意すると、立地推進の考えを示し、議会も同日、LNG火力発電所促進に関する決議案を可決しました。西口知事は、六月十三日の定例記者会見で、電源立地の三原則である適地性・安全性・地元の同意の中で地元の同意をクリアする大きなステップとなることを明らかにし、本定例議会で、利用計画案の実現に向けて環境保全や創造などさまざまな課題に取り組んでいく、電源立地の基本的考え方に基づいて対応すると述べられました。
 検討委員会の答申、その後の和歌山市でのLNG火力発電所立地推進等の動きを知事はどう受けとめられているのか。また、七月末開催予定の経済企画庁の電源開発調整審議会への意見をどうされるのか。今後の方針も含めて知事のご答弁を求めたいと存じます。
 埋立地第二工区へのLNG火力発電所の立地は実現の方向に進みつつありますが、環境保全・創造対策、徹底した安全対策、何よりも県民、市民の理解等を強く県や市、そして事業者にさまざまな施策を求めています。これらの施策が確実に実施されていかなくてはなりません。それをチェックする意味でも、県民に開かれ、情報公開の原則から言っても今後議会の場で徹底した論議が必要になると考えます。
 今日まで論議で明らかになった課題や疑問等について、確認も含めまして、次の五点にわたり質問いたします。
 一点目は、公害防止協定の改定問題であります。
 西防埋立地は、公害源の沖出し移転、産業廃棄物処理という理由で例外的に認められたものであり、瀬戸内海環境保全特別措置法の施行後、最初でしかも最大規模の公有水面の埋立事業でありました。
 私は、平成七年十二月議会で、埋立地の用途変更は瀬戸内海環境保全特別措置法の精神に反するのではないかと疑問を投げかけました。一九八〇年五月七日付の和歌山下津港内公有水面埋め立てに対する環境庁長官の意見によれば、ばいじん、悪臭、騒音、水質に関しての環境配慮を要求しているほか、「今後とも関係地方公共団体と十分に調整を図り、公害の防止・環境の監視等に努める(中略)必要があること」、また「本件埋立は周辺地域の環境の改善を主たる目的としていることにかんがみ(中略)製鉄所周辺の環境に及ぼす影響について、埋立地において予定される事業活動の開始の後、事後評価を行う必要がある」とされています。したがって、用途変更の絶対的な条件として、公害源の沖出しと同等以上の環境保全対策が実施されること、工場周辺の地域住民の合意、理解を得ること、公有水面埋立法や瀬戸内海環境保全特別措置法等の法的問題をクリアすることであると考えます。
 私の入手した資料によりますと、当時の保健環境部長名で環境庁企画調整局環境影響審査課長及び環境庁水質保全局瀬戸内海環境保全室長あてに出された「和歌山下津港内の公有水面埋立について(報告)」によると、その四は、モニタリングの実施と公害防止協定の改定を述べています。その二項は、「現在、県、市と住友金属工業株式会社との間で締結している公害防止協定を、住友金属工業株式会社が実施する環境保全対策の実施状況及びその効果を確認の上、これらの対策とその効果及び住友金属工業株式会社和歌山製鉄所の稼働状況等を反映した公害防止協定に改定等所要の検討をすることとします」とあります。
 現在の公害防止協定は昭和四十六年二月に締結され、四十八年と五十年に変更、締結当時の粗鋼生産量は六百五十八万トン、高炉五基稼働、昭和五十年は六百九万トン、高炉は五基稼働、平成八年度は粗鋼生産量約二百九十万トン、高炉二基稼働で、締結当時と比較して粗鋼生産量は三百五十九万トン、約五四・六%減産となっています。締結当時の稼働状況は大きく変化しておるのであります。県が環境庁に報告したとおり、稼働状況に応じた公害防止協定の改定を早急に行い、その上で改めて環境改善目標値を設定して環境保全対策の再評価をすべきであります。いつ改定されるかを含めて、生活文化部長にご答弁を求めます。
 次に、工場周辺地域住民の理解問題であります。
 環境庁への報告の三では、住友金属工業株式会社の環境保全対策については、「工場移転により確保されると予定されていた環境保全対策と同等以上の対策を実施させるよう同社を指導しますが、具体的には以下の措置を講じるよう指導します。 一、現在実施中の環境保全対策の効果について定量的に把握し、県に報告すること。 二、(中略)その結果を踏まえさらに講ずべき対策について検討の上、所要の対策を実施すること。 なお、これらの環境保全対策が、工場周辺地域に居住する市民への環境影響を緩和するという観点から実施されるものであるという対策の趣旨に鑑み、これら市民の十分な理解を得て進めること」とあります。
 六月五日付の「和歌山新報」の記事によると、「『今も住金の公害に苦しむ住民がおり(中略)窓も開けられない状況。この実態を県は知っているのか。こんな状況で住民の合意が得られていると言えるのか』と厳しく県の姿勢をただした」とありました。工場周辺地域住民に、一部とはいえこのような声があることは、地域住民の理解と合意が得られていないことを示しているのではないでしょうか。県は、工場周辺地域住民の理解と合意を十分得て進める必要があると思うのであります。
 知事は、電源立地の基本方針三原則である適地性・安全性・地元の合意のうち、立地市の市長と議会、さらには隣接する町村の同意が得られれば本件についての地元の同意の原則をクリアすると考えておられるのか。一般的な電源立地の場合は、私はそれでいいと考えますが、本件のように公害工場の沖出し中止、埋立地の用途変更という特殊なケースは、やはり工場周辺の住民の理解、合意が不可欠であると思うのであります。県は、もっと親切に住民の理解を得るように努力すべきであると思います。知事のご答弁を求めます。
 次に、環境庁との関係についてお伺いいたします。
 さきの環境庁への報告のその二の中には、埋立地の土地利用については、「瀬戸内海環境保全特別措置法の趣旨に照らした公共・公益的利用を前提として、今後知事が委嘱する学識経験者等からなる委員会で検討を進めることとしていますが、この検討結果の具体化に先立って、環境庁に協議させていただくこととします」とあります。
 今日までに環境庁の了解は得られたのか。当然環境庁は、埋め立て目的が変更されるわけでありますから、何らかの代償を求めていると思いますが、それはどんなものか、生活文化部長に答弁を求めます。
 次に、海域環境保全・創造事業費の問題について質問いたします。
 答申は、埋立地域周辺のみならず広域的な観点から、総合的かつ計画的に海域環境保全・創造を図ることを義務づけました。これに基づいて海域環境保全・創造検討委員会が設置され、その検討結果が六月十日に公表されました。委員会は五月八日に設置され、以降三回の委員会が開催されたと伺いました。短期間でよくまとめられていると感心すると同時に、事業費等の課題は先送りされているのであります。どんな立派な計画をしても、財政の裏づけがなければ絵にかいたもちにほかなりません。
 さきの報告書によると、事業の推進について、「埋立て事業者と土地利用を図る事業者においては、それぞれの責任の範囲において応分の役割分担をもって適切に対応するものとする」となっており、具体的には、「県、市町、事業者等によって構成する(仮称)海域環境保全・創造推進協議会を設置し、事業の推進を図るものとする」となっています。
 埋め立てによって喪失した公有水面の価値を解消するための環境保全対策は、用途変更の絶対的な条件でもあります。報告書では、「埋立によって失われた環境を修復するため、埋立地内、護岸構造物周辺さらには周辺海域において、緑地、藻場、人工ラグーン、ビオトープ、磯場等多様な生物の生息が可能な空間の確保に努める」とあります。そして、直接的事業二十、支援的事業七の二十七事業を挙げています。これらを実現するためには膨大な事業費が要ると考えられます。これらの事業費はどれくらい想定されているのか、それはどこが負担するのか、生活文化部長にご答弁を求めます。
 次に、第三工区の事業費問題について質問いたします。
 第三工区は、現在も埋め立てが進んでいる、こういう状況になっています。したがって、平成十一年三月が竣功期限となっており、竣功と同時に公共用地として県に帰属し、多目的公共埠頭、環境・保健中核施設、緑地公園を配置するとなっています。
 答申によると、「計画変更と事業者の役割」で、「環境対策や港湾施設の整備等は、埋立事業者と新たに土地利用を図る事業者が、それぞれの責任の範囲において応分の負担をもって適切に対応すべきである」となっております。新しい土地利用者は、第二工区は関西電力株式会社、第三工区は和歌山県ということになります。それからすると、第三工区の事業費は県が負担しなければならないことになりますが、どうなるか。第三工区の事業費はどれくらい想定されているのか、どこが負担するのかも企画部長にご答弁を求めます。
 次に、場外馬券売り場に関して質問させていただきます。和歌山市出島地区に誘致計画がうわさされている日本競馬会の郊外型場外馬券売り場の問題に関して質問いたします。
 昨年十二月、和歌山市定例議会で、西和佐地区八軒家東西両自治会から提出された場外馬券売り場の早期実現を求める請願が賛成多数で採択をされました。隣接する四箇郷地区内には、本当に来るのか、交通停滞が起こるのではないか、教育上、青少年の非行などの問題は、自分たちの意見は聞かないのかなど、さまざまな声や意見が出されております。この問題に関して極めて関心が高く、賛否両論がありますが、ある自治会では誘致反対を決議したと聞いております。
 出島地区へのウインズ計画はもう終息していたと思っていたのに和歌山市議会での早期実現の請願の採択などの動きで再び計画が持ち上がったのではないか、事実はどのようになっているのかを確認してほしい、こういう地元自治会役員の方から強い要請を受けましたので質問をするわけであります。
 中央競馬ブームもあって場外馬券売り場の誘致の打診は、自治体や民間と合わせて年間二百から三百件に上るそうであります。しかも、各地で誘致者と地域住民とのトラブルも数多く起きていると言われています。
 ある新聞の報道によると、鳥取県米子市では、国の農地干拓事業として造成されたが、塩害などで入植が進まず、工業団地に変更したものの企業の進出もなく、土地造成などで膨大な借金を抱えた米子市はウインズの誘致を決定、そして周辺住民はこの計画の中止を求めて対立している、岡山市では、民間業者が自社所有地に建物の建設まで終えながら、地域住民の反対運動を発端にして市議会で事業開始中止を決議、建物は利用されることなく宙に浮いている、最も新しくオープンした高松市のウインズ高松では、住民が営業差しとめを求めて提訴、高松市も環境整備金──年間約三千万円あるそうです──この受け取りを保留しているなど、全国的にも誘致者と地域住民とのトラブルが後を絶たないと伝えていました。
 競馬施行令の競馬場外の設置についての手続では、誘致者、中央競馬会、そして農林水産大臣の承認となっており、その条件として、一、地元の同意(市町村長、町会内)を得ること、二つ目として警察署との協議(交通、防犯関係等)、三つ目としては建築確認の承認を得ること、こういうふうになっております。
 西和佐地区の二つの自治会からも県に対して、早期実現についての陳情書が提出されています。県は広報公聴課課長名で、本計画については以前も地元自治会から照会があったが、県としては法的手続上意見を述べる機会はない旨これまでにも回答しているところですと回答されたと聞いております。
 場外馬券売り場の設置等に関しては、手続上は県には何ら権限がありませんが、住民の声、疑問に答える意味においても、関係部局で調査できる範囲で結構ですので、以下三点についてご意見を伺います。
 一つ目は、出島地区でのウインズ誘致計画は現在も存在するかどうか。中央競馬会はどんな考えを持っているのか。二つ目は、設置条件にある地元の同意の考え方及び地元の範囲はどこまでか。以上二点について農林水産部長にご答弁を求めます。
 三つ目として、仮定でありますけれども、本計画が実施された場合、県の競輪事業への影響はどうか。商工労働部長に答弁を求め、一回目の質問を終わりたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
 まず、西防問題についてでありますが、LNG火力発電所につきましては、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の答申の趣旨を踏まえ、従来から申し上げている三原則に基づいて地域振興の立場で対応してまいりたいと思っております。
 立地の和歌山市が、この発電所計画に同意の意思表示をされましたことは、県として対応を図っていく上で大きな要素であると存じております。
 七月開催予定の電源開発調整審議会への県の対応でありますが、六月二十日付で立地の和歌山市、隣接の海南市、岩出町及び貴志川町に対し、七月十日を回答期限として意見照会を行っているところでございます。
 議員のお話にございました西防埋立地の経緯も踏まえまして、今後、この回答を待ちますとともに、適地性・安全性の考え方をまとめ、地域振興について十分検討を行った上で、県議会にもよくご意見をお伺いしながら県としての意見形成を行ってまいりたいと考えております。
 次に、関連する地元の諸問題であります。
 現在まで機会あるごとに関係各方面の方々のご意見もお伺いをしてきたところでありますが、さまざまなご意見がございます。これらのことは関係市町長の意見にも集約されることだと思いますけれども、今後十分配慮していきたいと思っております。したがいまして、電源立地の県の対応原則である地元同意につきましては、立地及び隣接市町長に意見照会を行っているわけでありますが、和歌山市長のLNG発電所についての推進表明というのは、発電所地元のご理解を含め、総合的な観点から判断されたことであろうと受けとめております。
 なお、住友金属工業株式会社の環境保全対策につきましては、同社が当初埋立計画に定めた環境改善目標値を平成四年以降達成をしていると聞いております。
 また、和歌山発電所の環境影響調査書につきましては、地元で縦覧をされ、一般説明会も開催されております。地元意見も把握されておるところであります。県としては、これらの地元意見も踏まえて環境影響調査書の審査を行い、二十五項目の措置を関西電力株式会社に求め、その回答を得ているところでございます。
 以上でございます。他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 東山議員のご質問のうち、西防問題についての三点についてお答えをいたします。
 まず第二番目の、公害防止協定の改定によって環境保全対策の再評価をという点についてでございますが、本年四月に住友金属工業株式会社和歌山製鉄所から提出された西防波堤沖埋立地利用計画に関連する総合環境アセスメントの内容を基本といたしまして、国の動向を踏まえ、和歌山製鉄所の稼働状況をも勘案して、和歌山市と連携しながら本年度中にも協定の見直しに向けて協議を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に四項目めの、環境庁の了解は得られたのか、求める代償は何かということでございますが、瀬戸内海環境保全特別措置法の趣旨に照らして海域環境の保全と創造について検討された人工ラグーン、ビオトープ、藻場造成など二十の直接的事業及び仮称「環境学習センターなど」など七つの支援事業を盛り込んだ西防波堤沖埋立地利用に係る海域環境の保全・創造検討委員会報告書について、環境庁へ鋭意説明を行っておるところでございます。
 次に五番目の、海域環境保全・創造についての事業費は幾らか、どこが負担するのかという点についてでございますが、県、和歌山市、事業者等によって構成する仮称「海域環境保全・創造推進協議会」を設置し、各事業の実施主体、整備時期、事業費等について協議してまいりますが、埋立地での人工ラグーン、ビオトープの造成及び周辺海域での藻場造成等は基本的に事業者が実施主体になり、したがって事業費も負担することとなってございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 東山議員にお答え申し上げます。
 西防の第三工区の事業費及びその負担についてでございますが、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会答申におきましては、第三工区の利用計画として、多目的公共埠頭、環境・保健中核研究施設、緑地公園及び道路、護岸敷を配置することとされております。
 各利用計画の事業費につきましては、答申を受けて、現在関係部局において具体的な検討を行っているところであり、今後、和歌山下津港港湾計画の改定等を経て新しい土地利用計画が確定する段階で、各施設の内容、規模、事業費、事業主体等が定まるものと考えております。
 また、費用負担につきましては、本答申において課題とされている計画変更と事業者の役割の趣旨を踏まえ、それぞれの責任の範囲に基づく応分の負担について、今後とも関係部局、関係企業等と協議を重ねてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 東山議員の場外馬券売り場に関してのうち、二点についてお答え申し上げます。
 競馬場外の勝馬投票券発売所の設置につきましては、誘致者が中央競馬会に申し入れ、中央競馬会が農林水産大臣の承認を受けることとなっており、議員お話しのとおり、県は手続上、何ら関与する立場にはございませんが、農林水産省当局に確認いたしましたところ、現在、申請書類は提出されていないとのことでございます。
 また、場外設備の設置条件につきましては、競馬法第二条に基づく施行規則、場外設備の位置、構造及び設備の基準を定める件により定められておりまして、農林水産大臣の承認に際しては、農林水産省当局の行政指導により地元の同意等が必要と聞いてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 場外馬券売り場に関するご質問にお答えいたします。
 競馬場外の勝馬投票券発売所が、仮定という前提でございますが、開設された場合の競輪事業への影響についてであります。
 両施設が併設されている自治体等へ照会したこともございますが、顕著な影響は出ていないということでございます。また、公営競技愛好者は、他の競技に移行することは比較的少ないと言われてございます。こうしたことから判断いたしますと、開催日が重なった場合には多少の影響が想定されるわけでありますが、大きな影響はないものと判断いたしております。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番東山昭久君。
○東山昭久君 要望を申し上げたいと思います。
 一つは、LNG火力発電所問題に関して。今、知事の方から基本的な考え方のご答弁を聞きました。今回のこの特殊なケース、いわゆる公害源の沖出し中止、埋立地の用途変更というケースはほかにないわけでありますから、より以上慎重に、手続上も含めて違法のないように、きちっとした対応をしていただきたいと思うんです。
 特にその上で、環境対策と同時に安全対策の徹底がより重要だと考えます。例えば、私はいろんな検討結果を見たわけですけれども、LNGタンクが幾つか設置をされますし、そして気化装置も設置されるわけですけれども、その隣にいわゆる高炉滓、転炉滓の処理施設が住金にあるわけです。私は長い間住金に働いておったのでわかるんですけれども、高炉滓、転炉滓というのは、出てきたものはかなり高温であります。そういう設備の隣で引火物が処理される。このことについてどう考えるのかという疑問を持つわけですけれども、そういう課題なんかもございます。したがいまして、安全対策について徹底した安全審査をしていただいて、慎重な検討の上で最終的な決断をされることを知事に強く要望申し上げたいと思います。
 それから二つ目としては、公害防止協定の改定について、本年度中に改定をする明言をされました。ぜひいい内容で改定をしていただいて、地域住民の皆さんが安心できるような環境対策を実施していただくことを求めたいと思います。
 それから三つ目ですけれども、この環境保全・創造事業費あるいは第三工区の事業費、これはやっぱりかなり膨大な金が要る。具体的に事業費の内容を明らかにされませんでしたけれども、今後推進協議会で協議をされ、その負担も含めて検討されるということになっております。
 私は、事業者が、やはり事業者の責任でかなりの部分はやってもらわねばならんと思います。例えば新しい防波堤をつくるためには、埋め立て当時は百五十億円ぐらい要ったんですけれども、今聞けば三百億円ぐらいかかると。膨大な建設費がかかるわけですけれども。そういうものも含めて、今の時期に企業にきちっと責任を持ってもらう。血税を投下するのではなくて。そういうことを強く求めて、そういう立場で対応していただくことを心からお願い申し上げまして、これは要望ですので私の質問を終わりたいと思います。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で東山昭久君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 それでは、お許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
 不況下に苦しむ下請業者を保護して建設労働者の生活を守るという立場から、土木関係について三点質問させていただきます。
 零細な建設業者から、今県の発注している事業で二次、三次の仕事をさせてもらっているけれども余りにも安過ぎてむなしくなるぐらいだという訴えが最近三件、私ども共産党県議団に寄せられました。常々そうした話は聞くこともありましたけれども、民間企業間のことであり、行政としてもなかなか対応しにくい問題であろうと考えておりました。しかし、県のビッグプロジェクトにかかわっていることでもあり、また景気浮揚や下請零細企業の保護育成ということもあり、県当局に検討していただきたく、ここで質問をする次第であります。
 バブル経済が崩壊して以来、ゼネコンと言われるような建設大手も、損失補てんのためか、従来よりも増して下請単価の切り下げが強まっているようです。最近の県の発注した大型プロジェクトでも、仕事が欲しくてたまらない零細企業でさえその仕事を辞退する例が何件かあったと言われるほど、単価切り下げが強まっているようです。私どもに訴えのあった業者も、後々元請や一次下請のお世話にならなければならないから相当つらいのは承知で仕事をさせてもらっているという話でした。
 昨年、ビッグホエールの建設工事で死亡事故が起こったとき、こんな手紙をちょうだいいたしました。ここにございますが、ちょっと内容を紹介いたしますと、その内容の各所に専門用語があるところから零細な建設業者ではないかと推測されます。あの死亡事故は元請共同体の責任ではないのか、下請の安い単価では安全対策も十分できなかったのではないか、発注者にも元請にもそういう意味で喪に服す誠が見られない、これでは死人も浮かばれないと、ここでも下請単価の安さを告発しているわけです。
 県として、実態がどうなのかということを調査してみてはどうでしょうか。県としては発注した事業がその仕様のとおりにできていればいいのでしょうが、いやしくも県が発注した仕事で零細な県下の建設業者がつらい思いをしているというのは本意ではないと思われます。下請単価の低さということについては、県も暗々のうちに聞いていることだとは思います。実態を知るということは適正な施策への前提であろうかと思いますので、ぜひ検討をお願いしたいと思うわけです。
 次に、談合問題についてお尋ねします。
 さきにも申し上げましたように、大手ゼネコンの利潤追求の欲求の矛先が、第一に下請零細企業への単価切り下げに見られているわけですけれども、それが組織的に行われると談合という形になってまいります。まさに、公共事業のゼネコンによる食い物、私物化であります。
 過日、新聞等の報道によりますと、和歌山県の公共事業に縁の深い西松建設の取締役・相談役の平島栄氏が建設省並びに公正取引委員会に対して、関西地区での平成八年度に発注された八百七十二件の工事については百五十六社が談合を行い、みずからも調整を行ってきたとの告発文書を申告したそうであります。平島氏の言動自体、まことに醜怪きわまりないものでありますが、事態は極めて重大であります。その後、日本共産党が入手した平島氏の申告書によりますと、平成八年度業界調整物件八百七十二件の中の和歌山県及び県土地開発公社発注の加太開発整備事業、幹線道路地下埋設工事──これは鹿島JVが落札しております──また県が発注した那智勝浦熊野川線半島振興道路上長井トンネル──これは大林JVが落札しているわけです──この二件が談合されたということが判明いたしました。平島氏の文書によると、そうなっている。また報道によりますと、平島氏が告発した業者には、少なくとも西松、佐伯、大林、奥村、熊谷、大成、佐藤、清水、戸田、鹿島の十社が存在するとされましたが、これらの企業は和歌山県の公共事業の請負においてはおなじみと言っていいような企業群であります。
 以上のような事実並びに報道により私ども日本共産党県議団は、四月十日、県当局に対して、即刻事態を調査し疑惑を解明すべくしかるべき対応をされるよう要望し、その結果を県民の前に公表されることを求めたわけであります。しかし当局は、六月の現在に至るまで何らの調査も行わず、指一本動かしていないようであります。その理由を尋ねますと、一つは、既に入札は終わっており、入札の前ならともかく、今さら手の打ちようもないということ、二つ目は、県には強制的な調査権がなく、疑惑があれば公正取引委員会が行うであろうということ、三番目は、その後、平島氏がその申告を取り下げたらしいということ、この三点でありました。私は、この県の態度に大変疑問を持ちます。少々極端な言い方で言えば、県は大手ゼネコンの談合には甘い態度をとっているのではないかと思うに至りました。
 談合疑惑の真相はなかなか解明しにくいとは理解いたしますが、指一本動かさない県の姿勢は不自然過ぎます。入札の済んだ後だからという理由で調べもしないということは、談合も済んでしまえば免罪されるということです。それでいいのでしょうか。強制的調査権がなければ調査しないというのは、これまた不思議な話です。まず最初は事情聴取から始まるはずです。事情聴取もしないというのは、行政としての任務怠慢じゃないでしょうか。疑惑があれば公取委がするであろうというのも、みずから発注しその事業に責任を持つべき監督官庁として責任を放棄していると言われても仕方がないのではないかと思います。平島氏が取り下げたという件に関しても、それが事実なら、その間の事情を聴取すべきです。平島氏の申告は、その真偽いずれにしても重要な内容を含んでいます。県当局がこのまま何もしないと言うのなら、談合を暗々裏に認めているのではないかという疑惑にも答えられないことになります。見解をお伺いいたします。
 次に、建設労働者の福祉についてお尋ねをいたします。特に建設業退職金共済制度についてでございます。
 この制度は、建設会社や建設現場が移り変わる身分不安定な建設労働者の福祉向上と労働者の生活安定のためよりよい仕事をしてもらおうという趣旨で創設された共済制度で、その制度が適用されていると、十年勤続で百万円、二十年で三百万円、三十七年で最高一千二十七万円の退職金が支払われるそうであります。労働者の福祉にとって大いに役立つ制度であり、また労働者自身が掛金を支払わなくても公共事業においては予定価格の中に掛金相当分が算入されているという、建設業者にとっても十分に配慮された制度であります。しかし、このような制度が必ずしも生かされておらず、大手建設業者の中には、掛金相当分を発注者から受け取りながらこの共済に納金せず、みずからの利益の中に取り込んでしまうというような事象が少なからず見受けられるようであります。
 東京都下でのある調査によりますと、掛金相当額を受け取りながら全く納金しない企業が相当あり──この中には、先ほど紹介した西松建設も含まれておりました──あるいは納金しても必要額の十分の一程度だったり──この中には清水や大成、大林なども含まれております──そういう実態があります。この東京都下の調査では、納付額の最も高いところでも積算額の四〇%しか納付しておらず、あとは元請の利益の中に算入されているようであります。
 そこで、和歌山県土木部が発注した一億円以上の平成七年度の状況を調べてもらいました。それによりますと、発注を受けた契約の中で建退共への加入自体が六五%で、三五%が加入されていませんでした。掛金の状況は、土木部としては掌握されていませんでした。加入はしていても必要な掛金を全額納めないというのが、先ほどの東京の例で申し上げましたが、和歌山県はその実態がわかりませんでした。相当大きな金額が支払われないままになっているのではないかと思い、私なりの試算をしてみたところ、一億円以上の平成七年度の土木部のみの発注工事で四千五百万円ぐらいが労働者福祉制度である建退共に納金されていないのではないかというふうに推定をしたわけです。
 現在進行中の医科大学の建設事業について調べてもらいますと、請負契約二十件のうち三件が、やはり建退共に加入されていませんでした。しかし、請負金額の中には建退共への納金金額が見積もられておるわけです。そして、加入しているところが必要な金額を建退共の方に納金しているかどうかについても、土木部同様、明らかではありませんでした。明らかにならないところに大きな問題があるわけで、いろいろ推測した金額も出てまいるわけですけれども、相当低いのではないかというふうに考えられます。
 そこで、当局は建退共の意義をどのように考えておられるか。就労が不安定な建設労働者にあって建退共は数少ない福祉制度の一つであり、そのために予定額の〇・二五%から〇・三五%の建退共への納付金が最初から見込まれて発注されているはずです。それが納金されておらず、企業の思惑で別のところへ流れている。このような状況をどう考えておられますか。当局は現状を正確に把握しておられないようです。建設労働者に可能な限り広く運用してもらうようにせねばなりません。県として建退共への納金状況を正確に把握し、企業への行政指導を強める必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
 次に、電源立地についてお尋ねをいたします。
 まず、御坊第二火電についてです。
 御坊第二火電については、関電から排出されるガスの梅に対する影響、オリマルジョンの危険性、地域振興への寄与の度合い等、いろいろ論議され論争されているところですが、梅育成に対する影響については、ようやく調査が開始されたところであり、その研究の成果を待つところであります。しかし、オリマルジョンについては、その安全性、危険性が全く未解明であります。去る二月の議会では、農林水産部長からもその旨の答弁がありました。その後、関電や北電等の依頼を受けた海上災害防止センターからオリマルジョンの防災対策に関する調査研究報告なるものが出まして、県当局も、これを日本で最も権威あるものとしてその報告を尊重していることがうかがえます。ご承知の方もあろうかと思いますが、私、この報告書を一読して幾つかの疑問を抱くに至っております。その疑点を提起して当局の見解を伺いたいと思います。
 オリマルジョンが海上に漏出した場合、それが海中に溶け回収は極めて困難ではないかという疑問に報告書は、縦一メートル、横一メートル、深さ五メートル五十センチの水槽に海水を満たしてオリマルジョンを投入したら二十四時間後に七割程度が浮上してへらや油吸着剤で回収できた、したがって計算上九割のオリノコが回収されたという実験結果を報告しています。県当局も、この報告により、オリマルジョン回収はほぼ十分にできると考えているようですが、一メートル四方の水槽の実験と巨大で複雑な海洋とを同一条件として考えること自体、子供にでもわかるほどのナンセンスではないかと私は思うのです。
 報告書は、一方でこのようにも述べています。オリマルジョンの海水中での挙動は海水の運動に大きく左右され、波浪、潮流、水温分布、密度分布などによって大きく異なる、油吸着剤の透水性のあるフィルターなどであれば容易に透過し、油吸着剤に付着する量も極めて少ないと述べているわけです。つまり、実験水槽であればうまくいったけれども、実際海の中ではどうなるか本当のところがわからないというのが大体読み取れるわけです。
 オリマルジョンの毒性についての実験もあります。定められた実験の基準は、非常に専門的になるわけですが、七匹以上の魚を水槽に入れ、二十四時間後、四十八時間後、九十六時間後の状況を観測して毒性の実験をするというのが規格になっているそうです。ところが、この実験は二十四時間だけにとどまって、四十八時間後、九十六時間後の実験はされていません。水槽には、規定では七匹入れるということになっておりますけれども、五匹にとどまっています。そして、オリマルジョンの濃度が比較的高い水槽の上層、中層を泳ぐ魚が本来実験されるべきなのですが、そういう魚が選ばれておらず、砂の中に潜って生きるヒラメが選ばれています。したがって、ヒラメはオリマルジョンの影響を最も受けないところに生息する魚ということになりますが、それが選ばれて実験されておるわけです。この点、私も環境庁へお伺いして、おかしいのではないかという話をいたしましたところ、実験の基準を満たしていないというお話でありました。さらに、界面活性剤の毒性は微量であるということから実験の対象外にされており、その毒性には触れられていないわけです。
 このように見てまいりますと、この権威あるとされる報告書にも数々の疑問点が生じ、決してオリマルジョンの安全性を証明したものにはなっておりません。当局はオリマルジョンが海に流出した際の回収を万全と考えておられますか、また漏出した場合の海域における影響をどのように考えておられますか、ご答弁いただきたいと思います。
 去る電調審に知事は、御坊第二火電についての意見は保留されました。過日、報道機関に、いつまでも回答を見送ることはできない、賛成・反対の意見を十分踏まえてそう遠くない時期に明確に考えを表明したいという意思を表明したそうでありますが、第二火電への賛否はさまざまな方面から意見が上がっているところです。賛意を表明しているのは、立地予定地の御坊市長と同市議会、同市の一部商工関係者であります。また反対を表明しているのは、御坊市以外では関係地域住民の過半数を超え、首長及び議会の同意は今のところないという状態であります。また、梅生育不良の原因については、ご承知のとおり未解明で、これも恐らく一年や二年で結論を得ることはできないと思われます。さらにオリマルジョンの危険性については、さきに述べたように安全性を立証し得る学術的研究もまだ不十分で、その危険性への危惧は払拭されておりません。そう遠くない時期に意見表明をされるとするならば、当然これらの事情を考慮し、建設に同意されないようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。遠くない時期とは、いつごろを想定していますか。少なくとも梅の生育不良原因が解明されるまでは意見を保留されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、和歌山市に立地予定計画のあるLNG発電所についてお尋ねをいたします。
 この件については、ただいま東山議員が詳細にわたって質問をされました。重複を避けたいとは思いますけれども、私も、論旨の関係上、一通り質問をさせていただきます。若干お聞き苦しい点があるかと思いますが、ご容赦いただきたいと思います。
 知事は過日の議会の答弁で、和歌山市長の火電受け入れ表明について、立地への大きな要素として地元合意の一部が形成されているという旨を発表されました。一方、和歌山市内ではさまざまな団体や市民団体による立地反対の意思が表明されているところでもありますが、中でも和歌山市松江地区では、公害はまだなくなっていないということで、火電立地に反対している方々が少なくありません。
 知事は、二月の議会で、地元合意等は首長や議会に最終的に集約されるとしましたが、和歌山市の場合は、それに加えて住民の直接の合意、とりわけ松江住民の意思は決して軽視されるものではないと考えるわけです。これも東山議員が強調されておりましたけれども、そもそも西防埋立地は、主としてこの地区及びその周辺の公害をどうなくしていくかということから瀬戸内法でも特例として許されたものだからであります。当該地域住民の多くから、住金公害はなくなっていない、火電立地は反対だとの陳情が当局や議員に出されていることはご承知のことと思います。電調審への意見表明に当たっては、これら住民の声を非常に重要な判断材料としなければならないと思いますが、いかがお考えですか。
 火電立地の可否についてさまざまな意見のあることは私もよく承知しているところでありますが、国から回答を求められていると言われる今、いま一度原点に立ち返り、何ゆえに西防沖埋め立てが許可されたのか、公害防除の埋立地に新たな公害発生源を立地することが埋め立てを許可した理念に合致するのか、総括的に検討する必要があるのではないでしょうか。
 沖出し中止が表明されるや、前知事はいち早く、遺憾であるがやむを得ないとの意思表示を行い、火電立地の話が出るや、これまた早々と検討委員会を設置し、そこから火電立地の答申と、予定されたとおりのスケジュールが着々と進められているという感じがいたします。私がその間一貫して感じたのは、瀬戸内法などはほとんど歯牙にもかけない企業の意思と県のそれに対するまことに素直な対応であります。知事は、いま一度瀬戸内法の精神に立ち返り、住民の切なる声に耳を傾け、電調審への回答は否とされるべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、西防沖の環境修復及び保全についてであります。これも東山議員が提起をされましたが、この報告書を一読して疑問に思ったこと、感想などを含めて質問をいたします。
 一番目、この報告書の主題は、埋め立てによって失われた海域環境をどう修復するかということであります。ここには不思議なことに、埋め立てによって失われた環境を論じられてはおりますけれども、LNG火電の建設によって失われる、あるいは破壊される環境という視点がほとんど触れられておりません。計画されているLNG発電所は、CO2もNOx の排出量も決して少ないものではありません。まして従来から指摘されている数々の安全性に対する疑問点など、この瀬戸内の景観を含めた環境への影響が多大であることは言をまたないところであります。したがって、失われた環境修復を言うならば、LNG火電の建設の是非から問うべきが本来ではないでしょうか。そこを全く素通りして環境を論ずるのは、まことにもって不可解であります。当局の所信を伺うものです。
 二番目の問題は、もし火電建設を前提とするならば、火電を抜いた環境保全など空論になるのは当然のことだと思いますが、しかしその点、埋立地の用途及び工事による自然環境への影響の度合いは軽微であると、いともあっさりと無視されているのであります。そして、埋め立てによって影響を受けた部分を修復・回復する、埋め立てによって失われた海域環境を実質的に代償するという観点に絞り込まれているわけです。
 報告書には、わかりやすく、失われた環境とそれを代償する施策がてんびんの図によって解説されております。そのてんびんの片方に、すなわち失われた環境の中にLNG火電の建設が入っていないのはまことに不可解です。当局の見解をお伺いいたします。火電を乗せるてんびんが反対じゃないのでしょうか。
 三番目、てんびんの片方に乗せられた施策、すなわち藻場の創造や教育学習の場の創造などが果たして埋め立てや火電建設による環境破壊を実質的に代償することができるのかという問題です。荒れたままで放置するのではなく、何か少しでもという思いは善意として解釈いたしますが、これらの施策でもって破壊された環境を実質的に代償するというのはまことにもっておこがましい考えであろうと思います。委員の先生方は客観的に論議をされたのかもわかりませんが、埋立事業者や火電立地予定者が、どんな資格かわかりませんけれども、この委員会に参加しておられます。この委員会の性格あるいは方向が何となくうなずけるような気がいたします。報告された施策が環境破壊を本当に実質的に代償し得るのかどうか、三番目の問題として当局の所信を伺うものです。また、この委員会がどれだけ県民の声を聞かれたのか大いに疑問を感じるところですが、いつ、何回ぐらいそのような委員会が開かれて論議されたのか、経過もお伺いいたしておきたいと思います。
 四番目の問題は、施策実施に当たっての財政上の問題です。これも、先ほどお話がありました。報告書では、埋立事業者と土地利用を図る事業者において、それぞれの責任の範囲において応分の役割分担をもって適切に対応するものとするとあります。環境破壊の原因者並びに予測される環境破壊の原因者は、住友金属並びに関西電力であります。新しい環境創造のための財源は原因者が基本的に負担するものと考えるものですが、当局の所信をお伺いいたします。さまざまな施策が提言されておりますが、藻場以外のほとんどが第三工区に関連するものであり、この点を明確にしていただきたいと思うのです。先ほども答弁がありましたが、いまひとつ県の負担が求められることはありませんか。明確にしていただきたいと思います。
 続いて、関連して五点目、これも第三工区の問題です。南北防波堤の建設は第三工区の課題となっておりましたが、この進捗状況、完成の予定、その他この防波堤にかかわる方針の変更の有無などがあれば明らかにしていただきたいと思います。もともとこの防波堤は住金の行う埋立計画の一部でありますが、さまざまな事情の中で方向が変わってきつつあるのではありませんか。県が事業主体になるようなことはありませんか。明らかにしていただきたいと思います。
 次に、情報公開についてお尋ねをいたします。
 情報公開をめぐって感じたことの一つは、開示請求に対する県当局の中途半端さでした。例の官官接待問題では、当初、対応した中央省庁名を開示していましたが、ところが途中から非開示という方向に後退してしまいました。しかし、全国的に全面開示が法廷で争われ、行政当局がほぼ完敗という状況も生まれ、県公文書開示審議会でも関係する銀行口座を除いて全面開示を答申しました。しかし、県は今も個人名や肩書については開示せず、新たな争点となっています。多分、また県の主張は退けられるのではないかと予測されます。
 監査委員事務局職員の出張旅費をめぐっても、開示の拒否、監査の拒否と逃げを打ってばかりで積極的な対応はできず、結局裁判に持ち込まれて監査委員事務局の方から和解の提示という、実質的に指摘されたことを認めざるを得なくなった状態であります。
 空飲食という妙な事象が指摘されました。この件についても、空飲食ではないが不適切な予算執行だったとして、関係する職員で百二十四万円も返還するということになったわけです。しかし、実態調査は素人目にも不十分で、まだ何か裏がありそうです。追及逃れのため目の前を糊塗したのではないかという新たな疑惑を呼びました。ほかにも何件か同じようなことがありますが、一貫しているのは県当局や監査委員事務局の中途半端な姿です。結局追い込まれて、やむを得ず当座をやり過ごすという姿勢が目立ちます。過去の慣習ともなっているような陋習については、改めるにしくはありません。思い切って新鮮な慣行をつくり上げることが新しい知事の仕事でもあろうかと思います。
 今、予算執行調査改善委員会なるものが発足して、すべての公金支出に踏み切り、結果を公表することになっていると聞きますが、目の前を糊塗するだけの調査にせず、うみはうみとして思い切り出してしまうことが自浄する最も近道だと申し添え、期待をしたいと思います。調査結果について質問をされ、またまた新たな疑惑を呼ぶという中途半端なものではなく、自浄能力を実感させるものであってほしいと願うものです。それでこそ県政に対する県民の信頼も一層高まるというものだと思います。当局の所信を聞かせてください。
 なお、この際、一言申し添えておきたいと思いますが、外部から指摘された不祥事の原因の中に、現行の旅費規程が現実に合っていないことや、あるいは残業手当が正当に支払われておらずサービス残業が常態化していることなど、職員の労働に対する適切な配慮の欠如がこのような不祥事の原因あるいは合理化する原因になっているのではないかというふうにも思われます。当局は、労働者の福祉あるいは労働に対する正当な対価を支払うという、そういう前提を確立しなければならないと思います。そういう上で厳正な調査を望みたいと思います。
 次に、情報公開条例のこのような執行状況に対してどこに原因があるのかということですが、公開条例が県民の知る権利の保障をうたわず、県民に県政を理解させる範囲にとどまっているところに最大の問題があると思われます。条例制定後四年を経過し、全国的にも情報公開の運用が司法をも含めて議論されてきた現在、和歌山県の情報公開条例にも知る権利を明記し、福岡県の例に倣い公開範囲を広く条例に明記し、県の条例運用の及び腰、中途半端さを克服してはいかがでしょうか。以上の点をお尋ねいたします。
 この際、さらに一言つけ加えます。議会の情報公開についてです。我が党の見解を申し添えて、機会あれば議員各位の検討の材にしていただきたいと思います。
 県の公開条例では、議会は公開の対象になっておりません。条例を提言した情報懇話会は、議会も公開されることを期待するということを申し述べております。しかし、それは議会自身で決めるとされているわけです。
 県議会は、本会議、委員会において、その議事は公開されております。しかし、議会の予算執行に関しては大変不十分であり、先日、市民オンブズマンからの海外調査に関する執行状況の開示請求がありましたが、十分には公開されませんでした。議会は正々堂々たるところですから、そういう前提に立つならば非公開にする必要は全くありませんし、非公開にすればかえって疑惑を招きます。
 奈良県議会は本県条例とほぼ同じ内容ですが、条例に添えて議会の開示のための要綱をつくっています。本県議会も、実施機関の中に議会を加えるか、あるいは要綱等によって開示請求にこたえるのが筋ではないかと日本共産党県議団は考える次第でございます。そういうことを申し添えまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(町田 亘君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員にお答えをいたします。
 電源立地に関連したご質問でありますが、まず梅の生育不良の原因究明につきましては、先般来ご答弁を申し上げておるとおりでありますけれども、原因究明の取り組み状況から判断して、今後その原因は明らかになると考えてございます。その暁には、迅速かつ適正に対処したいという決意を持ってございます。
 また、地元同意につきましては、御坊市長、それから隣接の四町長に意見照会を行うこととしておりますけれども、その場合、それぞれの住民のご意見も勘案され、総合判断されるものと考えております。
 次に、西防問題についてであります。
 先ほど東山議員にもご答弁申し上げたとおりでありますが、今日まで機会あるごとに関係方面のご意見を伺ってきたところでございます。正直申し上げて、賛否両論、幾多のご意見があるわけであります。そのことはしかし、今後関係市町長のご意見にも集約をされてくるものと考えてございます。
 和歌山発電所につきましては、現在、立地及び隣接市町に意見照会を行ってございますが、今後の対応については、当埋立地の経緯なども十分踏まえた上で県としての意見形成を図っていきたいと考えております。
 次に、瀬戸内法の精神に立ち返った和歌山火電の判断、及び海域環境の保全・創造についてのご質問でございます。
 西防波堤沖埋立地の新たな土地利用計画につきましては、先般答申をいただいた西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会において当初の土地利用用途の変更が余儀なくされたなど、そういうふうな経緯などにもかんがみまして、公共・公益的利用と環境保全及び創造の観点から公有水面埋立法を初めとする法令等に規定する変更許可条件に合致すること、瀬戸内海環境保全特別措置法の趣旨を踏まえた環境保全と創造、良好な港湾機能の活用、本県の活性化と県民福祉の向上などを基本方針として検討された結果、利用計画として、LNG火力発電所、環境・保健中核研究施設、さらに緑地公園等が適当とされたものと理解をしておるわけであります。私といたしましては、瀬戸内海環境保全特別措置法の精神にかんがみ、海域環境の保全と創造に十分配慮しつつ、この答申を尊重してまいりたいと考えております。
 なお、LNG火力発電所につきましては、本答申の趣旨を踏まえ、適地性、安全性、地元の同意の三原則に基づき、地域振興の立場で対応しているところでございます。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 鶴田議員のご質問にお答えいたします。
 まず、一点目の土木行政に関連する何点かでございます。
 下請保護についてでございますが、建設工事請負契約はおのおの対等な立場における両者の合意に基づいて締結されるものであり、下請契約については、発注者がこれに介入することは困難なことであります。しかしながら、建設業は単品受注生産という特殊性から、元請負人が有利な立場にあると見られております。こうしたことから、下請契約における片務性を排除し適正化を図るため下請代金を不当に低くしないこと、下請代金を早期に支払うこと、かつこれをできる限り現金払いとすること、また下請負人の労働災害の防止が図られるような適正な工期を設定し、積算において必要な経費を計上すること等々の指導を元請負人に対していたしているところであります。
 なお、一定規模以上の建設工事につきましては、下請負人に施工させる範囲及び下請代金等を明記した施工体制台帳の整備を義務づけるとともに、この趣旨を関係団体に周知徹底し、また経営事項審査の受け付け時においてもそれらの確認及び指導をしているところであります。
 下請の健全な発展は、ひいては建設業全体の発展にもつながることからも、さらに業者説明会等、機会あるごとにこれらの徹底及び指導強化に努めてまいります。
 次に大手企業の談合問題でございますが、談合問題については、発注者の調達方法及び建設業の根幹にかかわる重要な問題でありますので、従来より慎重かつ厳正に対応しているところであります。特に落札決定後の談合の情報につきましては、確たる調査等に基づき調査すべきものと考えております。
 議員ご指摘の談合疑惑につきましては、これまでのところ確たる証拠等はなく、また平島氏の言動においても申告を取り下げるなど、信憑性に欠けるものと思われます。しかしながら、こうした疑惑が事実であれば、しかるべき調査権限を有する公正取引委員会が調査を行うものと思われますので、その動向を見きわめながら対応してまいりたいと考えております。県といたしましては、今後も建設業界に対してこのような疑惑を招くことのないよう一層モラルの向上を喚起するとともに、機会あるごとに指導に努めてまいります。
 続きまして、建退共──建設業退職金共済制度の問題でございますが、この制度につきましては、建設現場で働く労働者の福祉に関する重要な制度と認識しております。平成六年度から経営事項審査の評点にも加えられ、これまでにもその制度の充実に努めているところであります。また、その履行の確認については、県では工事の発注に際し、入札執行通知書において掛金収納書の提出の必要を明記し、契約時等にその提出を求めております。さらに、毎年実施している業者説明会においてもその必要性、重要性を説明し、経営事項審査の受け付け時において加入証明、証紙購入実績及び手帳への貼付確認等を実施し、個別指導等もいたしております。
 なお、本県の加入状況につきましては、個人経営者においては六七・四%、法人企業では六九・四%、全体では六八・四%の加入率となっております。今後とも一層の加入促進と定着を図るべく、制度の推進に努めてまいります。
 次に、西防埋立地及び周辺海域における海域環境の保全・創造に関する検討の問題のうち、南北防波堤の計画に変更はあるのかというご質問でございますが、この南防波堤及び北防波堤は、住友金属工業株式会社和歌山製鉄所の沖合移転に際して原料桟橋を設置するため、その静穏度を確保することとして、埋立申請の中で事業者、住友金属工業株式会社の行う埋め立てに関する工事として位置づけられているものでありますが、今日まで事業着手に至っておりません。
 今後、国の電源開発基本計画や和歌山下津港港湾計画において新しい土地利用が確定した段階で事業主体や事業工程が決まるものと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) ご質問の三点についてお答え申し上げます。
 まず、オリマルジョンは安全かということについてでございますが、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に基づいて設立された海上災害防止センターが学識経験者、海事関係者等による委員会を設置の上、オリマルジョンが流失したときの性状、挙動等を実験し、これまでの経験等をもとに効果的な防災対策について検討されたものであり、権威あるものと考えてございます。したがいまして、万一流出した場合の回収は、同センターの報告書により、ほぼ原油と同様の方法が有効と考えてございます。
 次に、情報公開を積極的に行うべきというご質問でございますが、条例の解釈及び運用につきましては、県民の公文書の開示を求める権利を十分に尊重し、原則公開の趣旨に沿って適正に行うよう努めているところでございますが、今後なお一層徹底してまいりたいと考えてございます。
 なお、条例に知る権利を明記してはどうかということでございますが、いわゆる知る権利の概念についてはさまざまな議論のあるところでございます。したがいまして、条例第一条に「県民の公文書の開示を求める権利を明らかにする」と規定することによって、県民の公文書の開示を求める権利を制度的に保障することとしたものでございます。
 次に予算執行調査についてでございますが、今般、県の予算執行状況の全庁的な内部調査を実施するため予算執行調査改善委員会を設置し、現在厳正な調査を行っているところでございますが、調査結果がまとまり次第、公表いたしたいと考えてございます。また同時に、予算執行等に係る問題点を総点検し、改善すべき事項については当委員会において改善策の検討を行い、予算の適正執行に向けて積極的に取り組むとともに、職員の意識改革が図られるよう周知徹底してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) オリマルジョンは安全かということのうち、まず魚類に対する毒性実験は適正かとの質問でございますが、海上災害防止センターが行った今回の実験は、原油等の流出処理を想定し、原油に界面活性剤を加えたものとオリマルジョンの毒性とを比較するために行われたものでございます。一般的に実験結果を比較検討する場合、これまでに行った実験と同じ方法、同じ魚種を用いることが要求されます。実験は、遊泳力が弱く、定着性があり、水槽内での実験に適したヒラメ十匹を二つの水槽に分けて行ったものであると聞いてございます。
 JISによる急性毒性試験では、一般には二十四時間、四十八時間、九十六時間の半数致死濃度を求めることとなっておりますが、さきに同センターが行った原油に界面活性剤を加えた実験データと比較して、二十四時間を経過した時点でオリマルジョンの方が原油に界面活性剤を加えたものより影響が少ないことが判明したため、二十四時間でとめているものと聞いてございます。これらのことから、今回の実験はJISに抵触しているとは考えておりません。急性毒性試験の評価は、同じ魚種、同じ手法で行われておりまして、妥当であると考えてございます。
 次に、界面活性剤の毒性についてでございます。オリマルジョンには微量の界面活性剤が含まれておりますが、海水に遊離した界面活性剤は海中において急速に拡散して薄められることから、魚類への影響は無視できるとの判断は妥当であると考えてございます。
 いずれにいたしましても、海洋汚染防止の立場から事故防止に万全を期することが重要であると存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 鶴田議員のご質問のうち、西防埋立地及び周辺海域における海域環境の保全・創造に関する検討についての三点についてお答えを申し上げます。
 まず二項目め、LNG火電の影響は考慮されているかということについてでございます。
 環境保全・創造に関するバランスについてでございますが、西防波堤沖埋立地利用に係る海域環境の保全・創造検討委員会におきましては、LNG発電所建設に当たっての要素として温排水の発生及び大気環境の負荷を組み入れ、検討を行っております。
 次に三番目の、提言された施策は失われた環境の代償となり得るかという点についてでございますが、海域環境の保全・創造検討委員会は、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の環境関係を専門とする二名の委員に引き続きご参加いただきまして、それに加えて、これまでの海域環境保全・創造の検討を基礎に新たに海岸工学等の専門家四名にもご参加いただき、五月八日、五月二十六日、六月四日の検討委員会において集中的にご検討いただいたものでございます。
 委員会での検討の結果、四つの基本方針、すなわち一番目は多様な生物の生息空間の保全・創造、二番目は水質の保全、三番目は親水性の確保、及び四番目の環境の保全・創造に関する調査研究、教育学習に基づきまして、埋め立てによって失われた海域環境を実質的に補う直接的事業に加え、環境代償措置いわゆるミチゲーションの概念をより広範囲でとらえた支援事業について具体案を取りまとめていただいたと認識いたしております。
 次に、四番目の施策の財源についてでございますが、県、和歌山市、事業者等によって構成する仮称「海域環境保全・創造推進協議会」を設置し、事業の推進を図ってまいりたいと考えてございます。各事業の実施主体、整備時期、事業費等は海域環境保全・創造推進協議会において協議してまいりますが、埋立地での人工ラグーン、ビオトープの造成及び周辺海域での藻場造成等は基本的に事業者が実施主体となり、したがって事業費も負担することとなってございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をいたします。
 いろいろたくさんお答えをいただきまして、ヒラメ論争ももっとやりたいんですけれども、時間がございません。先ほど、私、オリマルジョンのあの実験が本当に海域で適用できる実験なのかという意味で質問をさせていただきましたが、それに対するお答えは、少なくとも私の質問にはお答えになっていないように思います。あれでオリマルジョンが安全だというような判断をされてはとんでもないなという思いがいたします。
 また、海域環境の保全の問題で代償措置ですが、今、中村部長が答えられましたけれども、あれでもって失われた環境の修復ができたと、あるいはその代償措置がとれるんだというふうなお考えは全く成り立たないと思います。失われた環境というのはもっともっと大きなものであり、新たに藻場をつくるとか干潟をつくるとかという問題で済む問題ではないと思いますし、それ自体がまた新たな自然環境を破壊する可能性も出てくるわけです。そういう問題もまだ残っているわけです。そういう点で、これについてはもっと論議を続けていきたいと思います。
 知事にお尋ねをいたしますが、私、住民合意の問題については、市長や市議会、あるいは各市町議会の意思を知事が尊重されるというのは、それ自体、結構なことだとは思っております。しかし現実に和歌山市の場合、あの松江地区の住民にとっては、市長の見解というのは明らかに大きな隔たりがあります。最初の質問でも申し上げましたように、あの地に居住される方々に降りかかった公害をどうなくすかというのがそもそものスタートだったんです。そのスタートの問題がまだ解決されていないから今回の火電立地には賛成できないという人が決して少なくないんです。そういう問題を知事としてどういうふうにくみ上げていくのかというお答えが明確でありませんでした。この点、各方面のお声を聞くというふうには表現されておりましたけれども、一般的な声として聞いていただくのではなくて、やはり公害を最も受けていた人々がそこからどのようにして開放されようかという、そういう問題なんです。それがまだできていないという問題があるわけですから、ひとつ十分お聞きしていただきたいと思うんです。
 それから、七月十日に周辺市町長の回答をもらうというふうにおっしゃられておりましたけれども、私は、このLNG火電の許諾については急ぐ必要はないと思うんです。火電を紀伊半島に二カ所もつくるかどうかという問題は、まさにこの紀伊半島百年の計を左右するような重要な問題です。これを、七月に電調審があるから、あるいは秋に電調審があるからということで、電調審を基準に置いて物事を考えるというのはやめていただきたい。
○議長(町田 亘君) 鶴田議員に申し上げます。
 発言時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○鶴田至弘君(続) 私は、県民の皆さんの安全と合意ということが完全にとられるかどうかが判断の基準であって、そのときに知事の許諾の見解を出すべきだと思います。電調審にとらわれることなく県民の意見を尊重するかどうか、そこの点をご意見としてご答弁をいま一度お願いいたしたいと思います。
○議長(町田 亘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 鶴田議員の再質問でありますが、電調審に対する回答などに住民の意思をという──そのお説はごもっともであります。ただ、急ぐなという鶴田議員のお話であります。一方では、急げというご意見も実はございます。そういうふうなさまざまな意見を総合的に判断してそれを吸い上げるのは、やっぱり最終的には関係市町のご意思を代表する者だと私は理解をしているところであります。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了いたしましたので、以上で鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十五分休憩
 ─────────────────────
 午後一時三分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番新島 雄君。
 〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 議長のお許しをいただきました。議場にはたくさんの皆さんがお見えでございますので、こんなうれしいことはないと光栄に思い、張り切って質問をさせていただきたいと思います。中にはご存じの顔もいらっしゃるようであります。ありがとうございます。
 西口知事、知事はスポーツが好きですか。私は大好きです。昭和四十六年、早いものであれから二十六年が過ぎました。ことしは大阪で開催をされます。もうそろそろ準備にかかってもいいのではないでしょうか。本県においての国体開催について、知事、決意のほどをお聞かせください。
 国体の開催は、地域区分、またブロック区分により輪番に開催されます。本県で開催するには、一番近い開催で平成二十七年となります。先般開催された県の体育協会の総会では、本県で二巡目の国体を平成二十七年に誘致するとの決議がなされたと伺っております。国体の開催は、スポーツの振興だけでなく、文化や経済の発展にもつながるものであり、その波及効果ははかり知れないものがあると思います。誘致開催となれば、その成功に向け中長期的展望の中で計画的な取り組みが必要となってまいります。
 今から十八年後と言えば大変先のように感じますが、決して早いとは言えないと思います。今、声を上げ、スタートを切ろうではありませんか。国体を開催するには、スポーツ施設はもちろんのこと、交通アクセス、宿泊施設、選手強化など、大変多くの整備が必要となってまいります。当然、市町村を初め県民挙げての理解、協力が必要となります。それが和歌山県全体の活力となってくるものと確信をいたします。これこそ、輝け和歌山であります。すばらしい答弁を望みます。
 続いて、生涯スポーツの振興について教育長に質問をいたします。
 夕方や朝早く、和歌山城の周りや自宅近くを仲間とともにジョギングやウオーキングを楽しんでおられる方をよく見かけます。テニスやゴルフ、バレーボールやソフトボール、水泳など、さまざまなスポーツを多くの方々が楽しんでおられます。また週末には、フィッシングやボードセーリング、ジェットスキーなどマリンスポーツを愛する人も多くおられ、県外からも多数の方が和歌山を訪れております。私も、ある会の中でマリンスポーツ同好会というものに所属をさせていただきまして、釣りやモーターボート、また磯遊びにと楽しく参加をさせていただいております。
 本県では、来月二十五日から二十七日を中心に第二回全国アウトドアスポーツフェアが開催されます。このフェアは、本県の豊かな自然や歴史を活用したすばらしいイベントであります。多くの県外からの参加者に、和歌山のすばらしさを知っていただく絶好の機会であります。ぜひとも成功させていただきたいと、心から応援をするものであります。このフェアを契機にアウトドアスポーツに対して継続的な取り組みを推進し、一層の普及、振興を図っていただきたいと考えます。そのことが広く生涯スポーツの振興にもつながるものではないでしょうか、ご所見を賜りたいと思います。
 次に、「教育おこし」として質問を進めます。
 ことしは、教育基本法、学校教育法ができて五十年の節目の年であります。この教育基本法の中に、「個人の尊厳」とか「人格の完成」、そんな言葉が出てきます。教育現場においてのいじめや校内暴力の報道を聞くにつけ、これらの言葉が具体的な形で否定をされているのではないかと考えます。私には、原因について明確に提示できる自信はありません。しかし、考えられることは、しつけや道徳教育の基本を見失った戦後の教育が考えられます。そして痛感するのは、いじめや暴力を容認し、抵抗力を失った大人社会、しつけや道徳の乱れを自由と履き違えてきた大人社会があると思います。それが、正直に子供社会へ映し出されたものと考えます。大人社会のつくりかえを、自分自身の問題としても取り組んでいかねばと考えております。政府も、国のつくりかえをしようとしております。財政構造改革や省庁の統廃合、教育改革、規制緩和、いろんな分野でつくりかえを考えております。
 戦後日本は、しゃにむに走り続けてまいりました。そして今、周りに気を配りながら走らねばならない時代になってまいりました。先日のデンバーサミットにおいても、G7表明を見ても、本当に日本の責任の大きさを痛感いたします。他人の痛みを顧みず、自分だけがよければいい、こんな考えや時代が続くはずもありません。ルールの中で切磋琢磨してお互いに相手を認めつつ、大きな目標に向かって進んでいく時代ではないかと考えます。そのためにも、つくりかえが必要です。
 村おこし、町おこし──皆さんはそういう言葉はよく聞かれると思います。私は、あえて今回、「教育おこし」という言葉を使わせていただきました。先ほど質問した国体開催も大きな教育おこしの一つであります。教育おこしは、間近に迫った二十一世紀に正しく対応できる人材を育成するために大変重要であり、これからは教育おこしの時代であります。それは、人への投資です。人的投資というものは、建物や環境整備のように具体的に形に残るものではありません。すぐに効果があらわれにくいものであります。教育とは、そもそも人への投資なのです。次の世代や未来のためへの投資であり、長期的な広い大きな視野に立って考えなければなりません。そんな中、平成十年度政府予算等に関する重点項目の中に、和歌山大学と観光大学について書かれております。
 まず、観光大学について質問をいたします。
 そもそも、この観光大学とは何なのかということであります。運輸省に要望をしていくのですが、観光和歌山をうたう本県にとっては、何か魅力を感じさせる学校のような気がいたします。内容、規模、設置場所などをお教えいただくとともに、何年後を目指しているのか、いつまで要望をなさるおつもりなのかもお教えをいただきたいと思います。
 また、平成六年に運輸省に観光大学問題検討委員会が設置されておりますが、これまでの経過もお教えください。それから、余計な心配なのかもしれませんが、行財政改革が行われる中で可能なのかどうか、大変心配であります。担当部ではどのようにお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。
 これに関連して、和歌山大学について質問をいたします。
 たしか知事は、和歌山大学総合大学化促進期成同盟の会長をなさっておられますね。私も、和歌山大学は総合大学になっていくべきだと考えております。現在、教育学部と経済学部、そして新しいシステム工学部の三学部で構成をされております。私は、ここに観光立県を目指す本県にとっては、総合大学化に向けても観光学部の創設を望むものであります。知事の所見を賜りたいと思います。
 次に、中央教育審議会のまとめの中から公立の中高一貫教育を取り上げてみたいと思います。
 一昨日、先輩の吉井議員が質問をいたしました。教育長は、大変慎重な答弁をなさいました。慎重にならざるを得ない状況もよくわかります。そして、はっきりとした答えを今すぐ出すことができないのもよくわかります。ですから、ここからは私の大きな声でのひとり言だと思ってお聞きをいただきたいと思います。
 先ほど私は、「教育おこし」という言葉を使いました。皆さん、いい言葉だと思いませんか。そうでもないですか。中教審は、この教育おこしをやろうとしているのだと思います。現在、和歌山県では、中高一貫教育をやっているのは私学だけです。それもほとんどの学校が中高一貫であり、和歌山県内にある私学のうちやっていないのは二校程度です。なぜ私学がやるのか、またやれるのか、私学がやれることがなぜ公立でできないのかということであります。しかし、公立が取り入れるとなると、必然的に目的や内容は私学と異なってくるでしょう。
 教育長は、よく「個性を伸ばし、豊かな情操を育て、みずから学び、みずから考え行動する」とおっしゃいます。その考え方を中高一貫教育を通し和歌山の若者たちをどう育てていくのか、それが私たち大人に与えられた大きな命題でもあるのです。受験の合格率や進学実績を優先させることだけが教育の使命ではなく、そのようなやり方は教育の本質に必ずしもかなっているとは言えないのではないでしょうか。
 そこで中高一貫教育ですが、公立で実施をするとなると、なかなか難しい問題が多くあります。県立高校と市町村立の中学校、どこの学校で、どこの地域で、どんな取り組みでと、いろいろと問題が考えられます。
 そこで、提案です。和歌山大学に附属高校を併設するという方法であります。現在、和歌山大学には、教育学部の附属学校として小・中学校、そして養護学校があります。ちょうどいいぐあいに高校がありません。しかし、国立のことですので、県当局、また教育委員会としては大変答えにくいと考えます。そこで、知事や教育長にお願いをしておきます。和歌山大学の学長さんとは深いつながりがあるかと存じます。折につけ、さまざまな機会に大学に対して要望していくことはできないでしょうか。いいえ、していただきたいのです。教育学部の附属学校は、教員の養成はもとより、新しい教育の実験校的役割も持っております。学校週五日制が導入されたときも、それ以前より五日制に対応できるようカリキュラムが組まれていたようです。また、他府県では附属学校の中高一貫教育が実施もされております。そんなことを考えていくと、一番スムーズで一番安全な方法が、和歌山大学に附属高校を併設していくということであります。ひとり言ですので、余り長くなると知事や教育長に忘れられても困りますので、この辺でとめておきます。
 次に、総務部長にお尋ねをいたします。
 公立学校は教育委員会、私立学校は総務部と、担当が分かれております。なぜなのですか、お教えください。また、担当が違うことにより、義務教育である中学校や高校教育において、授業日数やカリキュラム、学校週五日制などにおいても相違点が多くあるように思います。それでよいのですか。また、問題はないのですか。お答えください。
 また、私学の高校入試についてお尋ねをいたします。
 全国的に見て、和歌山は一、二を争うほど早いように思われます。一月に入試が行われております。ということは、二学期中に授業を終わっておけ、そのようにもとれます。三月中旬に公立高校を受験する者にとっては、落ちつきのない三学期になってしまいます。また、中学校の先生方も大変なご苦労をなさっていると聞いております。「ゆとりのある教育」、こんなうたい文句はどこへ行ったのでしょうか。あすの教育おこしのために、何かよい解決方法はありませんか。総務部長の見解をお聞かせください。
 教育おこしの最後として、和歌山県立医科大学看護短期大学部についてお尋ねをいたします。
 今、看護短大では精神看護学教員を募集しております。これは、文部省の通達によりカリキュラムの改定が行われ、看護学の一つの領域として開設をされ、先生が必要となるわけであります。全国公募をしているわけですが、応募者が大変少ないようであります。また、他府県の看護系の大学並びに短期大学の現状や計画を調べてみますと、平成十一年の時点で和歌山県と奈良県だけが短期大学だけしかなく、そのほかは短大から四年制へ、また四年制大学があったり四年制大学の新設を計画しております。看護短大は三年制であり、その上、一年間は実習に割かれます。二年間で受ける授業日数は余りにも少な過ぎるし、短大の二年間で人間的な幅を広げることもできないほど詰め込みにならざるを得ません。医者は病気を診るでしょう。看護婦、また看護士は病人を診ます。ここで大切なのは、人と人ではないかと考えます。この看護ということ、医療ということを突き詰めていくと人間学が本当に大切になるわけでありまして、それには短大では十分ではないのではないか、そのように考えます。
 さきに述べた教員募集の件、よい先生を集めるために、またすばらしい人材を育てるために、全国に負けることなく、現在の看護短大を早く四年制に移行すべきだと考えます。目先のことも大切ですが、十年先、二十年先のために、今行動を起こしてください。四年制になり、福祉総合大学となるのでしょうか、それとも看護福祉大学というのでしょうか、そんなものが早くできればいいな、そのように願うものであります。
 質問の最後であります。
 警察本部長に質問をいたします。
 酒、鬼、薔薇──皆さんもご存じの言葉です。大変痛ましい事件が発生をいたしました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。教育現場を預かる先生方や教育委員会、また地域の保護者の方々や関係者にとって、何とも腹立たしい思いだと、心中をお察しいたします。犯人に対する怒りは尋常ではありません。これは、法治国家に対する挑戦であります。社会的弱者に対する犯罪は絶対に許すことができません。
 ことしに入って、三月には、神戸市須磨区の住宅街で帰宅途中の小学生が何者かに殴られ死亡、さらに現場付近で帰宅中の児童が刺されるという連続通り魔事件がありました。四月には、大阪市浪速区において登校中の児童が刺され死亡するという通り魔事件が起こり、さらに五月には、奈良県月ヶ瀬村で女子中学生が何者かに連れ去られたまま行方不明となっております。そして同じく五月、神戸市須磨区においての凶悪悲惨な殺人事件であります。このように児童生徒に対する事件が相次いで発生し、地域住民を不安に巻き込み、大きな社会問題となっております。
 そこで、本県でもこのような児童生徒を対象とした事件の発生があるのか、また警察としての防犯対策をどのように考えているのかをお聞かせ願いたいと思います。
 このような悲しい事件が幾たびも起こらないよう、心から願うものであります。輝くあすの和歌山のため、警察関係者には日ごろのご労苦に感謝を申し上げ、安全で、安心できる県土づくりのため、さらなる精進を期待し、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新島議員にお答えをいたします。
 まず、二巡目国体の本県誘致についてであります。
 去る六月十二日に開催された県体育協会の総会において、平成二十七年の第七十回国民体育大会を本県に誘致することが全会一致で決議されたわけであります。その際、私は県体育協会会長の立場として、県議会を初め関係の皆さんのご賛同を得て全力を挙げて取り組んでまいりたい旨の決意表明を行ったところであります。
 なお、国民体育大会の開催については、議員のお話にございましたが、地域やブロック別に九年ごとの開催となっておるわけでありまして、近畿地区では本年は大阪府、九年後の平成十八年は兵庫県開催の合意ができてございます。本県開催の最も早い時期は平成二十七年となっておるわけであります。
 国民体育大会は、スポーツの振興、あるいは文化の発展に寄与するものでございまして、また明るく活力に満ちた郷土づくりと県勢の活性化にも大いに貢献するものであります。今後、誘致に関しては、県議会を初め各市町村、並びに競技団体等のご理解、ご支援をいただきながら、主催者である日本体育協会、及び文部省に対し積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、国体開催へ向けてのスポーツ施設を初めとする諸条件の整備はどうあるべきかなどについても、今後十分研究をしていきたいと考えております。
 次に、大変いいお名前の「教育おこし」に関連して、和歌山大学への観光学部の設置などについてのお尋ねであります。
 和歌山大学は、平成七年十月にシステム工学部の創設が実現いたしました。現在、システム工学部設置に伴う校舎の整備、システム情報学センターなど、学内の教育研究施設の充実に向けて積極的に取り組んでおるわけでございます。
 議員からご提言の観光学部を含む新しい学部増設については、ご承知のように、国の財政が非常に厳しい状況の中でありますけれども、和歌山大学とも連携を図りながら、また和歌山大学総合大学化促進期成同盟会の委員の皆さんのご意見も十分お聞きをしながら検討いたしたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 教育おこしについてのご質問の中で、観光大学についてのこれまでの経過と可能性などについてでございます。
 平成六年に、運輸省に観光大学問題検討委員会が設置され、そこで大学の位置づけや学生募集の対象などの検討がなされました。翌平成七年には、国の観光政策審議会の答申の中で、観光大学など高等教育研究機関の設立による人材育成と観光学の振興がうたわれまして、これを受けて昨年及び本年の二カ年にわたって、観光産業における人材育成等に関する調査が実施されているところでございます。その中で、有識者から成る懇談会や研究会を設けて、大学だけに限らず、高等教育研究機関という幅広い見地から人材育成等のあり方についての論議がなされておりますが、設立時期、場所、規模等、具体的な内容については現在検討段階にあるということでございます。
 そのような状況ではございますが、観光立県を目指す本県といたしましては、他府県に先駆けて誘致の要望活動を行っているところでございます。昨今の国の厳しい財政状況の中でありますので、大学の設置については非常に厳しいと受けとめてございます。
 しかしながら、今後とも国の調査の経緯を見守りながら、積極的に対応してまいりたいと考えております。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) ご質問の二点についてお答え申し上げます。
 まず、公立学校と私立学校の所管の問題についてでございます。
 学校教育法において、高等学校以下の学校については、公立学校は教育委員会で、私立学校は知事の所管と定められてございます。それを受けて総務部で所管しているものでございます。
 私立学校も公教育の一翼を担うものであり、学校教育法及び関連の規定等に基づき運営されているところでございまして、教育内容が学習指導要領に基づき編成されていることは、公立、私立とも同様でございます。しかしながら、私立学校においては、それぞれの建学の精神や独自の校風に基づく特色を生かして教育内容の充実を図っているところでございまして、その結果、学校間で授業日数やカリキュラム等の差があることも事実でございます。
 例えば、学校週五日制の実施状況についても、公立学校では月二回実施しておりますが、私立学校は、高等学校では八校のうち四校、中学校では七校のうち三校が月一回実施しているところでございます。また、毎週五日制を実施している学校も、高等学校、中学校、小学校それぞれ一校ございます。
 いずれにいたしましても、公立、私立の違いはございますが、公私それぞれの目的を踏まえ、切磋琢磨しながら、より望ましい教育を目指していくことが大切であると考えてございます。
 次に、私立高等学校の入試時期の問題についてでございます。
 昨年、中学校長会などからの要望を受けて、公立学校と私立学校の代表者等で構成する公私立高等学校協議会で協議を重ねて、十日程度繰り下げて実施したところでございます。今後とも、中学校教育に配慮しながら、公立、私立間の連携について関係者で協議を深めてまいりたいと考えてございます。
 次に看護短期大学部については、県民の保健医療の向上と福祉の増進を図るため、看護に関する高度な専門的知識、技術と豊かな教養及び人格を兼ね備えた人材を育成するために、昨年四月に開学したところでございます。医療の高度化、専門化の進行はもとより、高齢化が進む中で看護の果たす役割がますます重要となってきておりますので、資質の高い看護職員が求められてございます。
 全国的には四年制大学に移行する動きもございますが、本県においては、教育内容のより一層の充実を図り、すぐれた人材を育成してまいりたいと考えてございます。
 なお、看護短期大学部の四年制大学への移行については、時代認識を十分持ち、今後の検討課題としてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 生涯スポーツの振興についてお答えいたします。
 生涯スポーツを推進することは、県民一人一人が生涯を通じて健康で活力ある生活を営む基盤となり、心の触れ合いや生きがいづくりに極めて有意義なものであると考えてございます。また近年、県民の方々のスポーツへの取り組みは、その目的も活動内容も多様化してきております。この多様化するスポーツを推進するための環境づくりに努めることはもちろん、スポーツを実践する人に対しても、マナーの向上や安全意識の高揚など、その指導、啓発にも努めてまいりたいと考えております。特に、本県の豊かな自然や歴史を生かしたアウトドアスポーツの普及につきましては、二十一世紀へ向けた本県のスポーツ振興の重要な柱として位置づけ、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 第二回全国アウトドアスポーツフェアはこのような考えのもとに誘致したものであり、各市町村の協力や企業等の協賛をいただきながら、アウトドアスポーツの一大祭典となるよう、現在その準備に万全を期しているところでございます。特に七月二十五日のオープニングセレモニーにおいては、文部省初め県議会、関係市町村等、関係者に出席をしていただき、マリーナシティ特設ステージで華やかにイベントを開催いたします。このフェアを契機に、今後とも継続的なイベントの実施や関係団体の育成等に努め、本県を全国にアウトドアスポーツの発信県として位置づけるとともに、広く生涯スポーツの普及、振興を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 警察本部長青山幸恭君。
 〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 新島議員のご質問にお答え申し上げます。
 本県においては、昭和六十三年、和歌山市園部において新聞配達中の女子高校生が刺殺されるという事件が発生しておりますが、この事件については現在も引き続き鋭意捜査中でございます。このほか、幸い大事には至っておりませんが、児童生徒に対してつきまとったり、痴漢等のわいせつ事犯を把握しているところでございます。これらは、いずれも性犯罪や誘拐等、凶悪犯罪につながることが懸念されますので、警察としては、従来、身近な犯罪防止のためのパトロールの強化や広報啓発活動を初め、子供に対する声かけ運動等、地域ぐるみによる活動を推進してきたところでございます。
 さらに今回、この種凶悪事件の未然防止の徹底を図るため、県や教育委員会、PTAを初め、防犯協議会等の関係機関、団体等と連携を図りながら、地域住民に積極的参加を呼びかけ、県民一体となって防犯対策を講じているところでございます。とりわけ、地域住民の防犯意識の高揚と児童生徒の警戒心の醸成を図るため、各警察署管内の小学校をモデル校に指定して、その校区内の通学路付近に緊急避難場所として県警察のシンボルマスコットである「きしゅう君の家」の指定、父兄、ボランティア等との合同パトロールの実施、有線放送、ファクスネットワークによる情報提供等、地域ぐるみによる対策を推進しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 10番新島 雄君。
○新島 雄君 ご答弁ありがとうございました。
 知事、平成二十七年の国体であります。今、県民一丸となって第一歩を踏み出した、そのように認識をいたします。和歌山らしい、すばらしい大会が開催できるよう、県勢発展のためにも関係諸団体に、より一層の積極的な活動を望みます。
 あわせて、第二回全国アウトドアスポーツフェアのご成功、心よりお祈りいたします。
 また、教育おこしの中でひとり言の提案をいたしました。実は、和歌山大学の附属高校の問題でありますので、担当部署がありません。和歌山大学については企画部、県立は教育委員会、私立は総務部、また観光大学は商工労働部、そして和歌山大学の附属高校に関しては担当部署がないのであります。担当部署がないからできない、考えられないでよいのでしょうか。県立学校はもとより、私立、国立も含めて教育委員会で所管できないものでしょうか。国の宝である子供たちがこの紀州から世界へ大きく羽ばたくための大きな問題として、知事並びに教育長に投げかけておきます。
 また看護短大の件ですが、医療、福祉、看護等の分野は大変高度化をしております。まして、全国におくれをとるわけにはまいりません。どうか、早期に四年制への移行を望むものであります。
 最後に、警察本部長にお願いを申し上げます。もっと元気よく、県民が安心をできるほど元気よく答弁をいただけたらうれしかったな、そのように感じております。
 今回の事件は、教育現場を預かる者や小さい子供を持つ親にとって、残忍きわまりない事件であります。先ほども申し上げましたが、子供は国の宝です。このような事件が繰り返されないよう、学校や地域との連携を強化し、より一層の犯罪防止に努めていただくよう要望し、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十一分散会

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