平成9年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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○議長(町田 亘君) この際、報告いたします。
 過日提出のありました議案第八十九号は職員に関する条例でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
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 和人委第100号
 平成9年6月18日
 和歌山県議会議長 町 田 亘 殿
 和歌山県人事委員会委員長 若 林 弘 澄
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成9年6月17日付け和議会第109号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
 記
 議案第89号 和歌山県退職年金及退職一時金ニ関スル条例及び和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例の一部を改正する条例
 意 見
 上記条例案については、適当であると認めます。
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 【日程第一 議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び報第一号から報第六号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第八十八号から議案第九十八号まで、及び地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号から報第六号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 4番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。
 六月県議会の一般質問の初日、一番バッターに立たせていただきますことを皆さん方に心より感謝申し上げます。
 さて、電源立地計画について、まず一番目に質問をさせていただきます。
 今、二つの火力発電所の計画について、その推進の是非について各方面で議論されております。一つは和歌山西防埋立地におけるLNGの火力発電所、もう一つは御坊市における御坊第二火力発電所であります。今、二つの火力発電所の問題が同時に計画され、その推進の是非を検討しようとされておりますが、問題は、それぞれの発電所計画が諸問題をクリアし、適当であるかが重要であるわけであります。
 今、本県の経済状況は大変厳しいものがあり、国の産業構造から考えてもすぐに和歌山の状況が好転する材料が見当たらない状態であります。そんな中でこの二つの火力発電所計画が同時に推進されるということになれば、その経済効果ははかり知れないものであると考えられます。また、国際都市関西を目指す関係地域の中で和歌山の果たす役割を評価せざるを得ないことになり、和歌山主導のエリアができることを期待することができます。
 しかし、それぞれの問題解決なしにただ推進することは避けなければなりません。もちろん、和歌山、御坊、それぞれを検討し、同時にゴーサインが出されれば大きな起爆剤となり得るわけであります。そこで、この二つの火力発電所計画について、以下、質問をいたします。
 このことにつきましては、本議会冒頭の知事説明にもございましたが、まず、和歌山市で計画されておる和歌山火力発電所計画いわゆるLNG火力発電所計画につきましては、知事の私的諮問機関である西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会において利用計画の一つとして検討がなされ、先般の最終答申において、環境保全及び環境創造の観点にも配慮され、さらに安全性についても十分検討されていると判断されるところであり、利用計画として適当と考えられるとの考えが示されております。また、県の行った環境影響調査書や安全性調査検討書の審査結果も公表され、関係市町村への説明もなされたと聞いております。さらに、この発電所計画について地元和歌山市の尾崎市長は、市議会の質問に対し、LNG火力発電所の立地を推進し、県から意見を求められれば電源開発基本計画への組み入れに同意する旨を表明され、同時に市議会においても推進決議がなされたところであります。
 一方、御坊第二発電所計画について、この二月県議会の中で自民党県議団会長・門議員の質問に対して知事は、現在環境影響調査書について慎重に審査検討を行っている段階であり、関係方面からもさまざまな意見が寄せられていることから今回は知事意見を申し上げることができないと答弁されております。その後、県はこの計画についての環境影響調査等の審査結果の公表を行い、市町村や関係団体への説明がなされたとのことであります。
 ただし、この御坊第二発電所計画については、既設の御坊発電所の排煙との関連で梅栽培地を中心としてさまざまな論議がなされてきたところであります。この梅の生育不良については、県においても和歌山県うめ対策研究会を設置し、既に委員による現地調査も行われております。また、関西電力においても地元の農協等とタイアップし、原因究明に取り組んでいるとのことであります。
 さて、電源立地は当然国のエネルギー政策の一環として位置づけられるべきものであるが、地域の意向を無視して進められるべきものでないことは当然のことであります。そのため、国の電源開発基本計画に組み込む審議の場としていわゆる電調審が開催される際、知事の意見が求められるものであります。電調審は来月にも開かれるとのことでありますが、国としては当然この二つの電源立地計画についても上程すべく準備を進められているものと推測しているところであり、知事意見を求めてくるものと考えられます。
 以上申し上げました状況を踏まえ、我々としてもこの二つの発電所計画について、本県の将来を見据えた判断をしていく時期が来ているとの認識を持っているところであります。そこで、我々自民党県議団として今後判断を行っていくためにも、知事及び関係部長に対して以下の質問を行いたいと思います。
 まず、知事にお伺いいたします。
 LNG火力発電所計画について、地元和歌山市がこの計画を推進すると判断されたことの意義についてどのように考えるのか、お尋ねいたしたいと思います。
 次に、御坊第二発電所計画について、知事は冒頭の知事説明においても、この発電所計画が既設の御坊発電所に加えて大気汚染への負荷の増大をもたらすことから、環境保全対策についてさらなる充実を関西電力に強く求めているところであると述べられております。このことについて、関西電力からその後回答が来たのかどうか、来ているとすれば環境保全対策の内容はいかなるものであるか、さらにそれをどのように評価されるのか、お伺いしたいと思います。
また、梅の産地から梅の生育不良に関連して第二火電についての要望が寄せられております。これについて知事はどのように考えているのか、お尋ねしたいと思います。
次に、企画部長にお尋ねいたします。
 この二つの発電所計画について、現在、国の動向及び県に対して国からどのような働きかけがあるのか、お伺いいたします。
 さらに、二つの発電所がもたらす本県への経済効果についてどのように試算しているか、また、電源立地は地域と共生していくことが大切であると考えるが、このことについてどのように考えているのか、お伺いいたします。
続いて、総務部長にお尋ねいたします。
御坊第二発電所の燃料としてのオリマルジョンの流出について論議がなされておりますが、この流出防止策及び万が一流出した場合の回収方法について、また今後の課題についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
また、LNG火力発電所の安全性について、中央構造線の活断層が論議の的となっておりますが、仮にこの地域にこの活断層が最も大きく動く、すなわち大地震が起こった場合の発電所の安全性についてどのように評価しておられるのか、お伺いいたします。
最後に、農林水産部長にお尋ねいたします。うめ対策研究会の現時点での検討状況及び原因解明の見通しについてお伺いいたします。
以上で、電源立地計画関係について質問を終わらせていただきます。
第二点目に、教育改革について質問をさせていただきます。
「日本は皆さんのおかげで世界有数の経済大国になりました」というようなあいさつを、老人会の来賓あいさつ等、どこでも耳にすることができるのであります。事実、日本は世界の経済大国だという神話がありました。しかしこれも、今や大変危うくなってきております。企業は外国へ脱出して合理化を図り、そのものの体制を立て直しておりますが、国内は空洞化現象が進み、長い不況に拍車をかけております。また、経済と関連して国家財政を見ても、我が国の財政は既に破綻しかけております。国と地方の借金が四百兆円以上、GDPが約四百兆円ですから、それに匹敵する借金を国及び地方が抱えているということであります。こういう事態を何とかしなければならないということで、今、国を挙げて行財政改革が論議されているところであります。
教育長に質問するのに国家財政の話から入りまして、ちょっと変な感じがするわけでありますが、お許しをいただきたいと思います。
十数年前に中曽根首相の臨時行政調査会をスタートさせて行政改革に取り組んだ折、行政改革を断行した後、次は教育改革だと言っておりました。それは、二十一世紀のすばらしい国家像を創造するという次元からであったようであります。国鉄民営化の第二臨調から十年、今まさに行政・財政改革なくば二十一世紀の日本は惨めな姿になるという危機意識から、そのことが論議されておるわけであります。そして今、グローバルな国際化、情報化の中で、二十一世紀の国づくりという観点から、待ったなしの行財政改革と同時に教育改革を実施しなければならないときであります。
 行財政改革というのは、支出を抑える作業が中心であります。教育費の効果的な運用も当然吟味されるべきであり、社会福祉、教育という国民に密着しているものも聖域でないわけであります。しかし、二十一世紀の揺るぎない日本を構築するに当たり、行財政改革のテーマの公共事業等と同じ感覚で教育改革を論じるわけにはいかないと思います。
 道路をつくる、港湾をつくる、空港をつくる、鉄道をつくるという社会資本の整備をよく取り上げますが、私は、教育改革こそが目に見えない一番重要な社会資本の整備であると考えます。よく「国家百年の大計」という言葉を使いますが、本当にこの教育改革こそが大変重要な課題であります。今の日本の社会現象を見るにつけても、この見えない社会資本の整備が急務であります。行財政改革とは支出を少なくすることで、教育改革とは今以上にお金をつぎ込むことであります。一概にそういうふうにも言えませんが、それぐらいの意気で教育改革に取り組む必要があるわけであります。
 そこで、教育改革についてお伺いいたします。
 昨年七月、中央教育審議会の第一次答申が出されました。それに基づき、二十一世紀を展望した我が国の教育のあり方について、第二次答申の中間報告になる審議会まとめがこの五月三十日に公表されました。第一次答申は子供に生きる力とゆとりをということから始まり、学校、家庭、地域社会を通じて我々大人一人一人が子供たちをいかに健やかに育てていくかという視点と同時に子供の視点に立って審議を行い、今後における教育のあり方として、ゆとりの中で子供たちに生きる力をはぐくんでいくことが基本であると考えた、また社会全体で社会のあらゆる場で取り組んでいくべき課題であると考えたという基本で始まっております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 昨年出された第一次答申及び第二次答申に向けてのいわゆる審議会まとめについて、特に中高一貫教育等の全体の評価と、そしてまた教育長が考えておられる、持っておられる感想についてお聞きしたいと思います。
 次に、第二次答申に向けての審議会のまとめの中に、教育における不易を大切にするという言葉があります。倫理・道徳教育であろうと思いますが、教育は人づくり、特に最近言われる国際社会の中で立派な日本人をつくることだと思います。自国の歴史、文化、伝統を踏まえて行動し、自分の国に対して誇りを持てる人でなければ国際社会で通用しないものであります。
 私が前の議会で取り上げさせていただきました教科書問題でありますが、自虐史観でいっぱいの歴史教科書では信頼される国際人をつくることはできないのであります。
 大変評価いたしたいわけでありますが、県教育委員会が発行している平成九年度「学校教育指導の方針と重点」という冊子があります。「文化と伝統を大切にし、国際理解教育を推進する」という項目の中で、このように書かれております。「国際社会に生きる日本人としての自覚を養い、わが国の国旗及び国歌の意義を理解し尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗及び国歌についても同様に尊重する態度を育てる」とあります。
 私は、国歌というものはその国の歴史、文化、伝統の象徴であると考えます。審議会まとめの中にもありますが、我が国の伝統と文化を尊重する心を養っていくといったことは、いかに社会や時代が変化しようとも大切なことであると改めて強調しておきたいと書かれております。
 教育の不易な価値という大きなものに含まれている個々のものを再発見していくことが、非常に大切であると考えます。そして、それを教育の現場で教師がいかに実践していくかということが非常に重要であると考えます。教育長が考えておられる不易なものとはどういうことか、教育長のお考えをお尋ねしたいと思います。
 また、教育長は、過去数年にわたり教育改革に取り組んでこられたと思います。皆さんもご承知のように、和歌山県は全国でも教育改革あるいはまた特別な教育ということで大変評価されており、先進県であると聞いております。そういうことで、二十一世紀に向けてさまざまな改革が必要であると考えますが、今どのような教育改革が必要であるか、教育長が考えておられることをお尋ねしたいと思います。和歌山県における教育改革について、教育長は多岐にわたって考えられると思いますが、その取り組みについてお尋ねしたいと思います。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
 まず、和歌山発電所計画いわゆるLNGの火力発電所計画についてであります。
 今月十二日に尾崎和歌山市長が、LNG火力発電所の立地を推進する旨の表明をなされたわけでございます。電源立地の県の対応原則である地元同意につきまして、立地の和歌山市が同意の意思表示をされましたことは、この発電所計画の対応を図っていく上で大きな要素であると考えてございます。
 次に、御坊第二発電所計画に関連しての環境保全対策についてであります。
 かねてから、関西電力株式会社に対し、私自身も一層の改善策を強く求めてきたものでございます。昨日、六月二十三日でありますが、既設の御坊発電所の三号機に排煙脱硫装置を設置することによりこの発電所からの硫黄酸化物の排出量を三〇%削減する、また一から三号機の排煙脱硝装置の設備改善により窒素酸化物の排出量を二〇%削減する、さらに同じく一から三号機の電気集じん装置の設備改善によりばいじんの排出量を三三%削減するとの回答があったところであります。私といたしましては、関西電力株式会社がこのような大気環境保全対策を講じることについては、地域の大気環境を保全するために私どもの要望に対し種々検討を重ねた結果の対応であると受けとめているところであります。
 次に梅の関連でありますが、御坊第二発電所計画についての梅産地からのご要望につきましては十分承知をしておりますけれども、議員のお話にございましたように、現在、県においてもうめ対策研究会を設置するなど、この原因究明と樹勢回復対策に懸命に取り組んでいるところでございます。また、先般の政府要望におきましても県の重点事項としてこの原因究明等をお願いしたところであります。一方、関西電力株式会社も、そのグループの総力を挙げ、関係農協との連携を強化しながら原因究明等への努力をしておると聞いております。
 私といたしましては、ただいま申し上げたような取り組み状況から判断をいたしまして、今後その原因は明らかになるものと考えているところでございます。その暁には、迅速かつ適正に対処してまいる決意であります。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 吉井議員にお答え申し上げます。
 御坊第二発電所及び和歌山発電所計画についての国の動向でございますが、経済企画庁から電源開発調整審議会の議を経て平成九年度の電源開発基本計画に新規に組み入れることについて関係省庁において検討を始めた旨の文書が六月十二日付で、この二つの発電所計画についての知事意見を求める旨の文書が六月十六日付で届いているところでございます。また資源エネルギー庁からは、平成七年十月に御坊第二発電所について、平成八年六月に和歌山発電所について、それぞれ発電所立地推進への文書による協力依頼がなされております。さらに、先般は同庁電源立地対策室長が本県を訪れ、この二つの発電所計画は平成十年代後半の国にとっての重要な電源であることからその推進に協力願いたい旨の要請があったところでございます。
 次に発電所の経済効果についてでありますが、一つには発電所の建設時及び運転開始後の地元発注であります。建設による地元発注について財団法人和歌山社会経済研究所の調査によると、和歌山発電所については約四千億円の県内経済波及効果が見込まれる試算としております。また、御坊第二発電所については、本年三月の議会においてご答弁いたしましたように、県内経済波及効果は約五千億円と見込まれると試算しております。運転開始後の地元発注については、修繕工事や緑地管理、清掃、社員送迎の委託、備品購入の消費や交通機関の利用等が考えられます。
 二つには、建設時及び運転開始後の地元雇用であります。事業者によりますと、建設時には和歌山発電所で年間平均千百人、御坊第二発電所で千二百五十人の雇用が見込まれ、運転開始後には和歌山発電所で年間四百人、御坊第二発電所で五百五十人の雇用が見込まれております。また、定期点検時には和歌山発電所で二百三十人、御坊第二発電所で二百六十人の雇用増が見込まれております。
 三つには、発電用施設周辺地域整備法などの電源三法による生活産業基盤の整備があります。和歌山市には総額二十七億七千五百万円、御坊市には総額七十二億六千万円が交付され、公共用施設等の整備に充当することができます。また、県内では和歌山市隣接一市二町に対して総額で十八億五千万円、御坊市の隣接四町に対して総額七十二億六千万円が交付されます。その他、企業導入及び産業近代化施策に充当される電源移出県等交付金の増加や産業育成支援事業等の適用があります。なお、税収の増加として法人事業税、固定資産税、法人県民税及び法人市民税等の税収等が見込まれます。
 電源立地と地域との共生でありますが、議員お話しのように大切であると考えているところでございまして、地域と事業者が共存共栄していくためには、事業者として地域に対して積極的な協力や貢献が必要であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 電源立地についての二点にお答えします。
 まず、オリマルジョンの流出防止対策についてでございますが、荷役時の対応として、突風等により船体が移動した場合に荷役配管を自動的に切り離し漏洩を防ぐ緊急離脱装置の設置、荒天時の荷役中止等のハード・ソフト面から対策を実施することとなってございます。また、船舶運航中の衝突等による流出防止策として、船体が二重になっているタンカーの採用、万一の事故時には船舶周囲へのオイルフェンスの設置等による流出拡散の防止に努めることとしてございます。
 一方、流出した場合の回収につきましては、海上災害防止センターのオリマルジョンの防災対策に関する調査研究報告書によりますと、ほぼ原油と同様の方法が有効であると報告されてございます。今後、より効率的な拡散防止策、回収方法等について関係機関と協議するとともに、万全を期するよう事業者を指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、LNG発電所の地震に対する安全性についてでございますが、事業者から提出された安全性調査検討書によりますと、耐震性については中央構造線系活断層により現在考えられる最大の高レベル地震動として、紀淡海峡から根来断層、五条谷断層の長さ七十キロメートルが活動するマグニチュード約七・九の地震動を想定し、これに十分耐え得る設計となってございます。これは、阪神・淡路大震災のマグニチュード七・二を上回るものでございます。また、事業者はLNGタンクの八分の一のモデルによる振動試験を実施し、安全性を確認してございます。
 一方、液状化対策につきましても、発電所本体、タンク周辺はもちろんのこと、LNG配管基礎等、防災上必要な箇所は地下水位を低下させる工事などを実施することとなってございます。
 これらのことから、安全性については十分対応しているものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 電源立地についてのうち、梅対策についてお答え申し上げます。
 梅の生育不良につきましては、県農業の最重点課題として位置づけてございまして、原因の早期解明と樹勢回復対策の確立を図る観点から、果樹園芸を初め植物生理や大気環境など、それぞれの分野を代表する国の試験研究機関や大学の専門家十名による県うめ対策研究会を設置するなど、懸命の取り組みを行っているところでございます。
 この研究会の検討状況についてでございますが、これまで現地調査を含め、研究会を去る三月六日と五月二十二日、二十三日の二回開催いたしまして、土壌の物理性や化学性の問題を初め、適正着果や整枝剪定など栽培管理や植物生理の問題、また病原菌の関与や大気環境の影響等について各分野から多くの貴重なご意見、ご提言をいただいてございます。
 県といたしましても、これを受け、暖地園芸センターを中心に関係機関との連携を図りながら、梅の光合成能力と貯蔵養分調査、また地質や母岩別の水分管理法、さらに現地での大気の複合汚染に関する暴露実証試験などに取り組んでおりますが、梅など果樹の持つ特性から、原因の解明にはある程度の期間を要するものと考えてございます。
 また、事業者に対しても原因究明に必要な調査に全力を傾注するよう強く求めているところでございまして、今後とも原因の早期究明に向け、関係機関と連携を図りながら最大限の努力をしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育改革に関連する三点についてお答えいたします。
 戦後、我が国の経済的な繁栄は高い教育水準に支えられた労働力によってもたらされたものであることは、ご承知のとおりであります。その一方、形式的平等の考え方や画一化した教育が広がるとともに、強い高学歴志向が受験競争を過熱化させ、偏差値偏重の教育と言われるような弊害を生み出してきたことは否定できません。結果、子供を取り巻く状況の変化と相まって、校内暴力や登校拒否、深刻ないじめによる自殺など、さまざまな病理的現象が生じてきております。また、人間的な触れ合いや自然体験の不足は子供たちから個性や創造性、問題解決の能力などを失わせてきたと指摘されてございます。そのことへの厳しい反省と危機感が、ゆとりの中でたくましく生きる力を育てるという中央教育審議会の答申につながっているものと理解されます。そうした意味におきまして、このたびの答申や審議のまとめの内容は高く評価できるものであります。
 教育委員会といたしましては、これまでも中教審の審議の過程を踏まえながら、全国に先駆けてさまざまな改革を積極的に進めてきているところでございます。ただ、審議のまとめの一部、中高一貫教育などについては、進学競争の過熱などにつながるおそれもあることから、今後慎重に研究していく必要があると考えてございます。
 次に、不易なものについてであります。
 他人を思いやる心、道徳や正義を尊重すること、我が国の歴史や伝統、文化を大切にする心などは、時代を超えて重視しなければならないと考えます。戦後、我が国の教育は、戦前の教育への反省の余り、日本が持っていたよさの多くを見失ってきた面がございます。とりわけ国際化が急速に進展する今日、ご指摘のあった国旗、国歌の指導につきましては、国際的な自覚と責任感を身につけた信頼される日本人を育てることにつながるものであります。このため、従来からさまざまな機会を通じて学習指導要領に基づく適切な指導の徹底を図ってきているところであります。
 第三点目の教育改革の進め方についてでございますが、これまでも教育における不易なものを大切にしながら、生徒の個性に対応するため、学科の新設・改編、総合学科の設置など、特色ある学校づくりを推進してまいりました。また、多様化する生徒のニーズに対応するため、学校間の壁を低くし、自分の学校にない科目を他校で学習できる学校間連携を和歌山市や西牟婁地方、伊都地方において、定時制、通信制、特殊教育諸学校も参加して実施しております。今後、こうした連携を全県的に拡大してまいりたいと考えます。
 国際化に対応するためには、ALT(外国語指導助手)の活用、高校生の海外生活体験など、国際理解教育を積極的に進めるとともに、郷土のよさや歴史に関する学習を重視してまいります。
 情報社会に対応するためには、マルチメディアやインターネットを積極的に導入するとともに、情報を活用し発信することのできる子供の育成に努めてまいります。
 さらに、生涯学習体系を確立するため、学校教育と社会教育との区分を超え、関係部局等とも連携して総合的な教育システムを構築してまいりたいと考えます。また、その中で家庭、地域が連携し、社会全体で子供を育てる体制を整備し、社会問題ともなっている登校拒否やいじめ問題などの解決を図ってまいりたいと考えます。
 さらに、こうした教育を推進していく上で教員の意識改革と資質の向上が不可欠であることから、各種研修の充実を図り、二十一世紀を創造性豊かに、たくましく骨太く生き抜くことのできる子供を育成してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 4番吉井和視君。
○吉井和視君 二つの火力発電所についてであります。
 エネルギー政策というのは国の政策、いわゆる国策であります。そういうことで、もし知事が決断され、二つの発電所を同時に推進するということになれば、いわゆる大阪湾岸ベイエリアの中で、そしてまた国際都市関西の中で、このエネルギーカードを行使して、和歌山県の大きな飛躍発展につながるように国に働きかけていただきたい、そのように考えております。今後ともそういう面について我々も十分、個人的に協力させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから、教育の問題につきまして。
 私は、前の質問のときにも教科書の問題について質問をさせてもらいました。そしてまた、今回も一部触れさせていただきました。
 私の子供がちょうど中学三年生で、最近、私は二年生の歴史教科書を初めからずっと読んだわけですけれども、どうしてこんな教科書になったのだろうかというのが印象です。皆さんも読んでもらえばわかると思うんですけれども、先ほども申し上げましたように、非常に自虐的な史観、そしてまた特に社会主義国家への道が正しかったような表現内容のところが見受けられます。私は、こういうのは少し問題があるのではないかと思います。文部省の検定審議会といったものがありながら一体なぜこういう教科書ができ上がるのか、その辺が心配というよりも不思議でならないわけであります。
 そういうことについて、今後我々は父兄の立場で、県民の立場で、国民の立場でこういった教科書問題について取り組んでいかなければ二十一世紀の教育は変なところに行ってしまうというような危惧をいたしております。そういうことで、今後こういう問題についてもどんどん問題提起させていただきたいと考えております。
 以上で、要望にかえさせていただきます。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。

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