平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第五号 平成八年十二月十二日(木曜日)
午前十時開議
第一 議案第百四十三号から議案第百七十号まで及び報第七号(質疑・委員会付託)
第二 一般質問
第三 請願付託
会議に付した事件
一 議案第百四十三号から議案第百七十号まで及び報第七号(質疑・委員会付託)
二 一般質問
三 請願付託
四 休会の決定
出 席 議 員(四十七人)
1 番 大 沢 広太郎
2 番 木 下 善 之
3 番 小 川 武
4 番 吉 井 和 視
5 番 下 川 俊 樹
6 番 井 出 益 弘
7 番 藁 科 義 清
8 番 門 三佐博
9 番 永 井 佑 治
10 番 新 島 雄
11 番 向 井 嘉久藏
12 番 佐 田 頴 一
13 番 和 田 正 一
14 番 阪 部 菊 雄
15 番 西 本 長 弘
16 番 馬 頭 哲 弥
17 番 谷 洋 一
18 番 山 下 直 也
19 番 高 瀬 勝 助
20 番 上 野 哲 弘
21 番 堀 本 隆 男
22 番 宇治田 栄 蔵
23 番 宗 正 彦
24 番 橋 本 進
25 番 神 出 政 巳
26 番 玉 置 公 良
27 番 松 本 泰 造
28 番 東 山 昭 久
29 番 尾 崎 要 二
30 番 野見山 海
31 番 木 下 秀 男
32 番 町 田 亘
33 番 中 山 豊
34 番 井 谷 勲
35 番 鶴 田 至 弘
36 番 森 正 樹
37 番 村 岡 キミ子
38 番 新 田 和 弘
39 番 平 越 孝 哉
40 番 森 本 明 雄
41 番 長 坂 隆 司
42 番 冨 安 民 浩
43 番 飯 田 敬 文
44 番 中 村 裕 一
45 番 松 本 貞 次
46 番 大 江 康 弘
47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
知 事 西 口 勇
副知事 山 下 茂
出納長 高 瀬 芳 彦
知事公室長 野 見 典 展
総務部長 中 山 次 郎
企画部長 藤 谷 茂 樹
生活文化部長 中 村 協 二
福祉保健部長 小 西 悟
商工労働部長 日 根 紀 男
農林水産部長 平 松 俊 次
土木部長 長 沢 小太郎
企業局長 佐 野 萬瑳義
教育委員会委員長
山 本 昭
教育長 西 川 時千代
公安委員会委員 中 尾 公 彦
警察本部長 青 山 幸 恭
人事委員会委員長
若 林 弘 澄
代表監査委員 宮 市 武 彦
選挙管理委員会委員長
谷 口 庄 一
以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 西 畑 彰 久
次 長 中 西 俊 二
議事課長 佐 竹 欣 司
議事課副課長 島 光 正
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主査 山 本 保 誠
議事課主事 大 浦 達 司
総務課長 塩 路 義 和
調査課長 湊 孝太郎
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時三分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
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【日程第一 議案第百四十三号から議案第百七十号まで及び報第七号】
【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第百四十三号から議案第百七十号まで、及び地方自治法第百七十九条による知事専決処分報告報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
37番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。早速、質問に入らせていただきます。
まず初めに、消費税増税について質問を申し上げます。六月議会でも質問をいたしましたが、秋には総選挙が行われ、増税反対の民意が一層明らかになったことなどを踏まえて、再度質問を申し上げたいと思います。
日本共産党は、消費税には一貫して反対の立場をとってまいりました。大企業向けの優遇税制をただし、ゼネコン向けの大型公共事業のむだをなくし、これによって財政再建を進めて消費税は廃止へと進むことができる、我が党はこうした展望を持っております。
さきの総選挙では、消費税の五%へのアップが大きな争点となりました。日本共産党としては、廃止の展望をお示ししながらも、当面は五%への増税阻止へ全力を尽くす、このように訴えてきたところです。
総選挙の結果は、消費税反対の世論を明瞭な形で示しました。五%実施を公約した自民党を支持した有権者は、五人に一人にすぎません。また、自民党の候補者で五%への増税を明言したのは二割にすぎず、与野党を問わず、多くの候補者が五%への増税に異議を唱えたことからも、選挙を通じて五%が信任されたとは到底言えないと思うのです。政府が幾ら増税は既定方針と言っても、当選した人たちの多数は増税を公約しておりません。
「赤旗」の調査によりますと、衆議院全五百議員の選挙中の公約を見てみますと、反対を明言した議員と五%への引き上げに異論を唱えて賛成しなかった議員は、合わせて三百六十人を超えています。和歌山県で当選した方々の公約も例外ではありません。選挙中に新聞紙上に出たアンケートへの回答を見てみますと、行政改革や景気回復などを前提にされる方ばかりで、五%に引き上げるなんて全くナンセンスだなどとして、反対や凍結を表明しておられるのです。日本共産党が躍進し、過去最高の七百二十六万の支持が寄せられたこと、これも「消費税ノー」という国民多数の意思が示されたものと言えるでしょう。投票日翌日のNHKの世論調査でも、六四%が増税反対を表明しております。
知事、あなたは六月議会で「国民の税負担に関する議論が幅広くされることを期待いたします」とお答えになりました。現在、国民の意思は「増税ノー」であると考えます。世論をどのように受けとめておられるのか、お考えをお示しください。
私たちは、地域や街頭で消費税五%アップ反対の署名活動を続けていますが、怒りを込めて署名される方々がふえています。また、四月からの五%の引き上げ反対の一点で各政党や団体にも共同を申し入れているところであることも申し添えておきたいと思います。
政府は、口を開けば、消費税は高齢化社会に備えるためと説明をしてまいりました。しかし、消費税が八九年に導入されて以来、どれだけの税収が高齢者福祉のために投入されてきたのでしょうか。八年間で国庫に入った税収三十一兆円余のうち、高齢者向けの新たな施策に投入されたのは一兆八千八百億円で、わずか六%にすぎないのです。
さきの衆議院代表質問において、橋本首相は我が党の不破委員長への答弁の中で、「増減税一体の税制改革は、高齢社会の進展という我が国の構造変化に対し税制面から対応するものとして、我が国の将来にとって極めて重要だ」と述べました。これは、高齢者の増加に対応するとして、これまでまともに実行もしていない施策を口実に、国民にさらなる負担を押しつけようとするものであります。将来的にも消費税率を上げていくという考えを語ったものと受けとめることができます。消費税は、所得の低い人ほど負担が重くなる税制です。高齢化社会に対応するためと言いつつ、さらなる負担を求めることは筋が通らないのではないですか。
知事は、ことしの六月定例会で、「高齢化の進展等に伴って社会保障の費用の増加が見込まれておる」との認識を示され、「高齢者や障害者など真に手を差し伸べるべき方々が安心して自立した生活が送れるような社会が必要であると思っております」とも述べられました。知事は、庁内の機構改革の中で、高齢者福祉の担当課を「長寿社会推進課」と名づけられました。これは、さきの答弁に示された思いを込められたと私は察するものです。
知事は、その思いが生きるだけの財政投入が国からあったとお考えですか。本県の老人保健福祉計画の達成に必要な財政が国から投入されているでありましょうか、お聞かせください。
県の老人保健福祉計画の九五年度末の実績は、ホームヘルプサービスとデイサービスは目標のおよそ五割にすぎません。訪問看護ステーション、在宅介護支援センター、これも同様です。特別養護老人ホームは比較的整備が進んでおりますが、待機者はふえる傾向にあり、議会が昨年の九月、国への意見書を採択したことは知事もご承知のとおりです。
政府は、臨時国会に介護保険法案を提出しております。この制度の導入予定時期に想定しているサービスの水準は、現行でも不十分な老人保健福祉計画の内容を超えるものでは到底ありません。国民にとっては、消費税率は上がる、そして保険料を払っても必要なサービスが受けられない。負担がふえても福祉が充実したなどと到底実感できるものではありません。こうしたことが十分予想できるのではありませんか。
先日、病院で働く方とお話をする機会がございました。在宅介護支援センターの業務にもかかわっておられる方です。その方は、病院で一命を取りとめても、障害が残って介護が必要となったとき、家族の方々の気持ちとしては、家に帰れることになってよかったと思う反面、それが必ずしも家族の共通した気持ちにならない場合があると言うのです。家族の中では、果たして見ることができるのかという不安が先に立つ場合もございます。悲しいけれど、公的介護サービスが貧弱なもとで、これが現実の姿だと言われておりました。在宅介護のサービスも費用負担を考えるとためらうことになったり、あるいは都市部と山間部ではサービスに格差があることにも、やりきれない思いをすることがたびたびあると、こうおっしゃっていました。
知事、今申し上げてきましたように、国民世論を見ても、高齢化社会のためという根拠が崩れている点を見ても、増税は中止すべきだと考えます。税率アップが県財政に与える影響も考え合わせるならば、増税にはきっぱり反対すべきではないでしょうか。国へ意見を述べられるお考えはございませんか、知事の率直なご答弁を求めたいと思います。
次に、御坊第二火力発電所問題について、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
去る十月、関西電力は県や御坊市に第二火力の環境影響調査書を提出し、火電建設を申請いたしました。現在、御坊市などで調査書の公開縦覧が行われております。関電は三月の電源開発調整審議会にかけられる予定を持っているとの報道もありますが、電気事業者の都合で拙速に事が運ぶことがあっては、将来に大きな禍根を残すことになりましょう。
第二火力は、四百四十万キロワットという大規模発電です。しかも、燃料がオリマルジョンというのは、大規模な商業用発電として運転実績がない発電所でもあります。周辺住民の皆さんの不安も大変大きいものであることから言いましても、また和歌山県の将来の県づくりともかかわる問題でありますから、厳正かつ慎重に対応することは県政を担当する知事として当然必要なことだと私は考えます。
最初に、知事の基本的な見解を伺いたいと思います。
九三年に環境基本法が制定されました。その第三条は、「限りある環境が、人間の活動による環境への負荷によって損なわれるおそれが生じてきていることにかんがみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない」と、今や環境問題が地球規模の問題であり、人類の存続を脅かす事態に立ち至っていることを警告しております。そして、その四条では環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築がうたわれ、環境への負荷をできる限り低減することを強調しているのであります。
問題となっている地球温暖化の中心は二酸化炭素であることが判明しており、九四年に発効した気候変動枠組み条約では、二酸化炭素の排出量を二〇〇〇年までに一九九〇年レベルの水準まで落とすとの提起が行われています。日本政府は九〇年一月の地球温暖化防止計画で、いろいろ問題はありますが、この条約と同趣旨の目標を掲げているわけです。
ところが、関西電力など電気事業者は、電力需要はまだまだ伸びるし、その設備をどんどんふやさなければならないという立場をとっています。関西電力は、九五年から十年間に約八百万キロワットの供給力の増加を見込んでいます。この増加分の中で関電が和歌山県内からの新たな供給力として予定しているのは、和歌山LNG火力の二基、百四十八万キロワットでありますが、御坊第二火力、四百四十万キロワットと和歌山LNG火力の残りの三基、二百二十二万キロワットは二〇〇六年以降の供給力に予定されています。地球温暖化が心配され、化石燃料の消費をできるだけ抑えることが国際的に要請されているとき、関電が和歌山県内だけでも二つの火電で八百十万キロワットもの大規模な火力発電所計画を進めようとしていることは、世界の流れから言っても時代錯誤だと私は考えるものです。
今議会の冒頭、第二火力計画に触れた中で、三原則と地域振興の立場から苦慮しているとの知事の発言がありましたが、火力に続いて原発をも計画している関電の思うままに電源立地を許すことは、地域の環境だけでなく、広く地球の環境保全からいっても大きな問題があります。三原則に加えて環境保全の原則を新たにつけ加えるお考えはありませんか、また県内の電源立地計画の総量枠を設けるとのお考えはございませんか、見解を伺うものです。
私は、このほど川辺町や印南町の山間部を見て回ってまいりました。南部川村での梅問題のシンポジウムでは、多くの梅農家の皆さんの声を聞きました。梅生育不良の被害は南部川村や田辺市から川辺町、印南町にも広がり、川辺町の山野地区では梅の木の多くが枯れてしまったり枯れ始めていましたし、樹齢百年という山桜やキリの木、たくさんのシイの木が枯れた山が無残な姿となって見えました。印南町では、ヒノキが山一面に枯れ、美里地区では強いとされるソメイヨシノの大木が枯れかかっておりました。梅の木が次々と枯れていく様子は、生活を支えている作物だけに、重大な状況になっていることを改めて確認した思いでした。
紀南農協が関電に提出された要望については、一昨日、同僚議員が紹介されましたので省略をいたします。梅生育不良との関連がはっきりするまで第二火力は凍結してほしいとの農家の願いは、本当に切実そのものであります。
先月二十七日に、知事あてに三万人余りの第二火力計画の撤回を求める署名が提出されました。日高町や美浜町、川辺町では有権者の過半数を大きく超えております。田辺・西牟婁の会の署名は、知事の出身地でもございます上芳養地域では有権者の七九%、五人に四人の方が署名に名前を連ねておられます。知事の地元であるだけに、この数字の持つ重い意味は知事も十分おわかりいただけると思います。
知事は、梅の生育障害の解明ができるまで、火電との因果関係がはっきりするまでは第二火力の建設計画を凍結するよう、みずから関電に求める考えはないのでしょうか。知事がそういう姿勢を示すことが、田辺・西牟婁地方、日高地方の農家の皆さんや梅産業の工場で働く皆さん、住民の皆さんの願いにこたえるものだと私は思うのですが、知事の決意のほどをお聞かせください。
続いて、第二火力の環境影響調査書が公開されておりますので、幾つかの点に限って質問を申し上げたいと思います。
関電の調査書は、通産省の省議決定及び実施方針に基づいて提出をされております。現在、県当局においては、環境基本法に基づく環境基本条例の策定作業が進められておるようであります。九三年公布の和歌山県環境影響評価指導要綱は、電源立地については含んでおりません。そのために、県独自の評価基準を持ち得ていないことになりませんか。広域的な環境汚染を引き起こす特定事業所として、火力発電所ほど大規模なものはありません。電源立地を含む指導要綱を早急に作成し、関電を指導する必要はないのか、関係部長の答弁を求めます。
個別の問題で、幾つか質問を申し上げたいと思います。
関電の人工島ができて、煙樹ケ浜の砂の移動が起きております。これにかかわって、三尾の海岸に砂がたまり、漁業に影響が出ていると言われています。関電の調査書ではこの点が全く触れられず、第二火電ができてもその影響は軽微とされています。報道によれば、その後、関電は煙樹ケ浜の砂の移動については認めたということでありますが、県として、海流の変化による煙樹ケ浜への影響、三尾の海岸への砂の堆積についてどういう見解をお持ちでしょう。関電に再調査させるなり、県独自の現況調査なりを必要とする考えはございませんか。ご答弁を求めます。
オリマルジョンは、界面活性剤を媒体としたオリノコタールと水を混合した物質であるとの説明もあります。これが海上に流出したとき、海洋汚染はどういう状況になるのでしょうか。また、回収はどのようにするのか、関電の調査書では明らかにしておりません。漁業者にとって、海洋汚染は死活問題になります。一昨年秋の下津沖のタンカー事故はまだ記憶に新しいところですが、第二火力で使われるタンカーは、下津沖での事故のタンカーとは比べ物にならない大型のものです。それが流出すると大変な被害が予想され、しかも水とまざるように界面活性剤が混合されているのですから、回収にも困難が予想をされます。紀伊水道の環境保全や漁業面からも、オリマルジョンの性質や安全性は重要な問題です。関電は漏れないようにすると言っているようでありますが、漏れないようにするのは当然です。万一海上に流出した際の対策を持っていることが必要でもあります。県として、オリマルジョンの流出対策があるのかどうか、流出事故に責任を持てると考えているのかどうか、ご答弁ください。
梅生育不良との関係について質問を申し上げます。
六月議会におきまして私は、関西電力が大気環境と梅生育不良は関係ないと主張しているパンフレットに県の果樹園芸試験場の調査結果が引用されていることを指摘し、県として関西電力の主張を認めておられるのか、お聞きしました。そのときの答弁は関係あるともないとも言明されませんでしたが、関西電力は第二火力の説明の中で、再び大気汚染と梅生育不良とは関係がないと説明しております。
ご承知のように、生育不良については、栽培管理面、病理、土壌面、環境、いろいろ手を尽くして原因解明への努力が行われていますが、残念なことにいまだにその原因は判明しておりません。だからこそ、県当局も政府に来年度の重点要求事項として生育不良対策を求めているのだと私は思うのです。
生育不良については、いろいろな分野の専門家の方々がそれぞれ研究をなされております。大気との関連を指摘されておられる方も少なくありません。県としても、原因がわからない現状において、大気との関連も視野に置いた研究を進めているはずであります。そうしたときに、大気環境と梅生育不良は関係がないとの関西電力の主張を野放しにし、黙認しているのでは、生育不良の原因を科学的に追求する県の姿勢が疑われると私は思うのです。県として関西電力の一方的な宣伝をやめさせる指導を求めたいと考えますが、当局の答弁をお聞かせください。
また、関西電力のパンフレットでは酸性雨、酸性霧について触れていますが、関電が研究委託した電力中央研究所は、高濃度の酸性雨・霧に数時間の暴露をした被害症状と現在田辺や南部地方などで発症している症状は異なるから生育不良は酸性雨・霧ではないと結論づけています。この実験は、食用の酢を木に振りかけ、数時間を経過した症状が生育不良ではないとの証明をしただけだと私は思うのです。
田辺市石神地区に降った雨の酸性度、pHが紀南農協の観測で記録されておりますので、紹介したいと思います。
これには一ミリごとに降った雨のpHが記録されていますが、ことしの六月の観測を見てみますと、六月三十日には三・七、三・八というかなり酸性度の強い雨が観測されています。五・六からが酸性雨と言うそうでありますから、三・七、三・八がいかに強度の酸性雨かがはっきりいたします。七月三日、最初の三ミリの雨のpHが三・九、四ミリ目の雨が四・〇、五ミリ目が四・一、六ミリ目が四・二というように、酸性度の非常に高い降り始めの雨が観測されています。七月二十九日には、最初の一ミリがpH三・三という、酢そのもののような酸性雨が降っています。八月二十八日には九ミリの雨が降っていますが、酸性度が最も強い雨でpHが三・三、最低でも三・九と、とんでもない酸性雨が石神地区に降っていることが観測されている記録があります。この酸性度の強い雨が生育不良とどういう関係があるのか、まだわかっておりませんが、秋津川でもpH三から四前後の数値が観測されております。
関電のパンフは、田辺市の酸性雨が全国的な数値の枠内であるから生育不良の原因は酸性雨でも霧でもないと宣伝しているのです。石神地区で観測されたような雨が何カ月も何年も続いた状態から判断したものではありません。前回の質問のときにも取り上げましたが、大気面からの原因解明、特に、酸性雨や酸性雨よりもさらに酸度が強くなるという霧の観測を被害地ごとに実施して、本当に大気と生育不良とは関係ないのかどうか、また病理など、その他の面からも原因解明に取り組んでいただきたいとお願いをするものです。県当局の見解を求めます。
生育不良と火力発電所問題に関連して、最後に現火力の公害対策の強化を求めたいと思います。
御坊火力での協定の四条では、公害防止に関する技術の進展に応じて、すべての公害防止について積極的にその改善を行うとされております。硫黄酸化物の排出濃度を見てみますと、第二火力は二五ppmが予定されています。現在の御坊火力は、関電によると五八ppmとのことです。今の御坊火力にも脱硫装置が設置されれば、排出濃度は少なくとも第二火力並みに減らすことが可能ではないでしょうか。現在、県内で稼働している火力発電所のボイラー、海南火力の四基、御坊火力の三基のうち、脱硫装置のついているのは海南火力の一基だけになっています。硫黄酸化物で見れば、昨年一年間に御坊火力で千八百トン、海南火力は二千五百トンを出しています。よりよい環境を保ち、健康を守る上からも、脱硫装置、脱硝装置の設置を義務づけるのは当然の方向だと考えます。県として、御坊火力の脱硫装置、海南火力の脱硫装置、脱硝装置の設置についてどのような見解を持っているのか、明らかにしてもらいたいと思います。
続いて、患者の安心と働き続けられる看護婦の夜勤体制について伺いたいと思います。
医学の進歩とともに、看護の水準も、患者、地域の多様なニーズに対応できるよう日夜努力している看護職員は、極めて多忙です。疾病の複雑化、多様化という状況のもとで、さまざまな機器の導入への対応や知識、技術の研さんにも励まねばなりません。
看護婦にとって、深夜・交代制勤務は避けられない状況にあります。夜勤は、健康にとっても、生活サイクルの上からも、大きな負担と犠牲を伴うもので、看護婦が人として、女性として、母親として、人間らしい当たり前の生活を営むために、現在の三交代制を基本に三人夜勤で月六日以内、当面複数で八日以内を目指して、看護職員の人たちは運動を今も続けられているところです。患者に安全でよりよい看護を行うため、看護婦の増員と夜勤回数の制限をするため、国民の支持のもとに今日まで長い長い闘いを続けています。
三十年前、一九六五年に人事院判定が下されました。複数で月八日以内の夜勤、これが明確に示されたわけです。しかし、それ以来、多くの病院等で実現の方向には向かっているものの、看護婦不足の中で大変困難をきわめています。しかし、看護婦養成数増や看護婦確保予算増、離職防止対策の充実、診療報酬での看護料あるいは夜勤看護加算料が増額をされるなど、前進も見られるところであります。
今、日本医労連の夜勤実態調査の結果によりますと、一カ月の平均夜勤日数は、八年前の一九八九年は八・六日でした。九五年現在の調査では七・八九日までに大きく改善はされておりますが、全国的にはまだそう至っていない状況にあります。しかし、大変うれしい思いであります。さらに、九二年に制定された看護婦確保法基本指針は、看護婦確保のための労働条件整備を中心として、病院経営者や国、自治体の責務を初めて法律で定めたものです。基本指針は、夜勤は月八日以内、完全週休二日制を明記しています。しかし、これらの裏づけとなる財政対策は不十分であります。さらに、国や病院経営者といったところへの罰則規定がありませんから、今後これらが改善されるべきであります。
今、こうした状況のもとで、国立南和歌山病院、国立療養所和歌山病院では、今実施している三交代に加えて夜勤十六時間勤務の二交代制勤務を執拗に導入しようとしていることが明らかになりました。厚生省は、昨年九月から十二月の八週間、全国十病院、十二病棟を選定して実証的研究を行い、ことしの五月、その研究報告書の一部、十九ページを公表しました。そして十月十七日、厚生省はこの病院に対して、各施設長に施設長の決定権限で二交代制勤務の実施をするよう通知してまいりました。ところが、厚生省はこの間、実証的研究を実施した研究報告のすべてを公表しないばかりか、幾ら求めても応じてきませんでした。再三にわたる要求で、去る十一月二十八日、九十二ページにも及ぶ膨大な全文を公表しましたが、特にこの各研究施設の報告と二交代勤務に参加した看護婦スタッフのアンケート結果──これが二交代勤務導入の重要な判断材料として重視されてきたのでありますが──は多くの問題を提起していることが、明らかになってきました。そういった問題をも解決しないまま、十月十七日に実施をせよという、こういう強攻策であります。
このアンケートの一部分を紹介してみたいと思います。三交代制以外の勤務体制の検討が必要と認識している看護部長は九〇%、婦長・副婦長は六一・二%に対し、実際に現場で働く看護婦は四五%にとどまっていますから、今直ちに三交代制勤務を見直す必要はないというふうな結果を招いています。また、参加した全病棟のスタッフから共通して出されている問題は、十六時間というのは長時間過ぎて疲労感が強く、患者から気遣われることが多かった、退勤時に運転するのがとても不安、家に帰ってもごろごろしているため子供や主人にしかられた、家族で出かけたいが疲労のため出かける気にならない、夜と朝の食事二食分をつくらなければならず、出勤前に既にもう疲れてしまっている、仕事における思考能力が落ち、仕事でのちょっとしたミス、患者への十分な対応、ケアができなかったなど、メリットは非常に少ないようで、問題点ばかりが大きく出ています。このように多くの問題点があることを公表しないまま、また公表後においてもこれらの改善対策もないまま、何が何でも二交代制勤務を押しつけようとするもので、極めて不当で受け入れがたいものであります。
両国立病院では検討委員会なるものが開かれてはいるようでありますが、両病院の看護婦たちは、二交代制勤務の導入に対する賛否の意思表明調査を実施いたしました。この結果は、南和歌山病院では看護婦百四十七名中、反対者が百四十名、和歌山病院では百八十一名中、百四十七名が反対しております。こういった点からも、導入については反対という意思表示が行われているわけですから、拙速にやるのはいかがなものかと思います。両病院は、看護婦の合意ない中で強引に進めるべきではありません。職場に混乱を招くことになりかねないのです。
長時間二交代制勤務の導入は、三交代制を前提に複数・月八日以内に制限している看護婦確保法の趣旨にも反するものであります。厚生省のねらいは、これ以上看護婦をふやさない、ふやしたくないというものなのでしょうか。看護婦や国民の願いとは逆行する姿勢ではないかと思います。
国立病院のことでありますから、直接的な指導、監督などという立場にないことは十分承知をいたしております。しかし、県民や、特に日高地域における主要病院でもありますから、県民の医療、健康を守る立場からも県の対応を求めたいと思うところです。関係部長のご所見をお聞かせください。
最後に、厚生省の相次ぐ汚職問題について知事の所見をお尋ねするものです。
連日、マスコミによる報道で、もう既にご承知でありましょう。国民の怒りは、厚生行政に厳しい目が集中しています。これまでも、国民の生命よりも企業の利益を優先し、情報提供を拒んできた薬害エイズ問題、そして、早くから対策が求められていたにもかかわらず、その対策を怠ってきた、そして死亡者まで出したO157問題、特別養護老人ホーム建設をめぐる補助金汚職、さらに病院給食の医療用食品や病院の寝具の業界からの巨額の献金疑惑といった問題など、とどまるところがありません。もはや、国民の厚生省に対する信頼は完全に失われたものではないでしょうか。その上、高級官僚十数人にも及ぶ飲食・ゴルフ接待から、そして首相を初め厚生大臣への巨額な政治献金という、しかも国民の税金や健康保険会計からの支出財源であることからも、決して許すことのできない重大問題であります。厚生行政を不当な利益の道具にするような悪徳商法の横行は、絶対に許せません。
こうしたことを根絶するために、すべての疑惑にかかわる真相を全面的に解明し、国民に公表すべきだと私は考えるものです。知事、あなたの所見をお聞かせ願いたいと思います。
以上で、第一回を終わります。
○議長(町田 亘君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
まず、消費税に関連して、国民世論をどう受けとめているかということであります。
消費税につきましては、国民の間にさまざまな意見があることは十分承知をしております。また、税負担の問題を初め、各施策に関する世論につきましては、重く受けとめなければならないのは当然のことでございます。
しかしながら、税制は我が国の経済あるいは国民生活に大きな影響を及ぼす国政上の重要な問題でもございますし、さらに歳出面も含めた財政全体で判断すべき問題であろうと、そういうふうに考えてございます。
次に、本県の高齢者施策に十分寄与しているかどうかというお尋ねであります。
議員ご指摘のように、高齢化社会に対応した福祉医療施策の拡充を進めていくためには多くの財源の確保が必要であることは、申し上げるまでもないことであります。
ご承知のように、高齢者対策を担当する地方自治体といたしましては、現在、国の制度による施策以外にも各種の単独事業を実施して、県民のニーズにこたえるよう努力を続けておるわけであります。これらの施策の中には、国の制度に取り上げられるべきもの、あるいは国の財政的措置が必要なもの、そういうふうなものがあると考えております。また、全国的に地方自治体の財政状況も非常に厳しくなってきておりますけれども、その一つの要因には単独事業の著しい増加があるわけでございます。こうした状況でありますから、国の財源措置の拡大と充実、そして地方自治体への財源移譲につきましては今後とも一層努力をしていかなければならない、そのように考えてございます。
また、消費税率五%についてでございますが、開会中の臨時国会においても、十分な審議がなされると思います。政党間でも連日協議がなされておると思いますけれども、今後も引き続き、国民の税負担に関する議論が幅広くされますことを期待しておるところでございます。
次に、御坊第二火力発電所に関連してのご質問であります。
電源立地に対する県の対応としては、先日からもご答弁を申し上げておりますように、適地性、安全性及び地元の同意という基本的な考え方に基づきまして、さらに地域振興の立場から対応していくということを申し上げておるわけであります。
ご質問にございました環境問題でありますが、このうちの適地性ということについては、地形、地質、海象等の自然条件と漁業等の産業活動、交通運輸等の社会条件についても検討をしていくことになっております。環境保全についてもこの適地性に含めて検討されるものと考えておるわけでありますが、議員のご質問にございました環境基本法あるいは地球的規模の環境保全につきましては、国の取り組み方針にも従い、県としても適切に対応していきたいと考えております。
次に、電源立地に総枠をというご質問であります。
いろいろな考え方はあると思いますけれども、電源立地ということは、国民生活、産業活動の基盤整備としてのエネルギー安定供給という国民的な課題にこたえるための具体的な対応の一つでもあります。そういう意味からいたしまして、本来は国レベルの問題として考えていかなければならない、したがって一県だけで議論できない問題でもありますので、ご理解をいただきたいと思います。
次に、梅の生育不良に関して発電所の凍結をというご質問でございます。
先ほどから申しておりますように、発電所問題は電源立地の基本的な考え方に基づいて対応してまいりたいと思っておりますけれども、当面の梅の問題につきましては、地域の実情はだれよりも私、よく存じておるつもりであります。その生育不良の早期解明と一層の振興は県の重要課題であると認識をし、先日も大沢議員にお答えをいたしましたとおり、今後ともなお一層、具体的、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、今回の厚生省の汚職に対する所見であります。
今回の厚生省に係る一連の不祥事につきましては、福祉保健行政に対する国民の信頼を著しく失墜させるものであり、まことに残念なことであります。真摯に取り組んでいる福祉等関係者に大きな打撃を与えるとともに国民に不信感を抱かせるなど、その影響ははかり知れないことであろうと思っております。
こうしたことを踏まえまして、県といたしましては、公務員としての責任感、使命感の自覚をより一層促してまいりたい、そのように考えております。
以上であります。
○議長(町田 亘君) 生活文化部長中村協二君。
〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 村岡議員の御坊第二火力発電所問題のうち、二点についてお答えをいたします。
まず、環境影響評価指導要綱についてでございますが、電源立地に係る環境影響評価については、資源エネルギー庁の発電所の立地に関する環境影響調査要綱に沿って実施することとなってございまして、国の制度がございます。県の環境影響評価指導要綱については、国の環境影響評価制度の対象となっていない、レクリエーション施設の建設、工業団地の造成等、一定規模以上の六種類の事業を対象として、事業者に対して環境影響評価の実施を義務づけたものでございます。
次に、現御坊火力発電所に第二火電並みの公害防除装置の設置をというご質問でございます。
現御坊発電所の公害防止については、さきに大沢議員にお答えしましたように、公害防止協定により厳しい基準を設けて対応してまいったところでございまして、御坊市周辺地域での大気汚染常時監視の結果、現状では発電所の稼働前と比べ特段の変化も見られず、環境基準を下回っている状況でございます。なお、今後とも引き続き厳しく監視するとともに、必要があれば関西電力株式会社に対して強く指導を行ってまいりたいと考えてございます。
また、海南発電所への脱硫装置、脱硝装置の追加設置の件でございますが、海南市の大気環境の状況につきましても、二酸化硫黄、二酸化窒素等について環境基準を下回っている状況でございますので、今後とも大気環境の常時監視により環境基準の達成状況を把握するとともに、必要があれば強く指導を行ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 村岡議員の御坊第二火力発電所の問題について、人工島による煙樹ケ浜など海岸の変化を県単調査でとのご質問にお答えしたいと思います。
煙樹ケ浜は、日高川右岸におよそ四キロメートルにわたって形成された自然海岸でございます。県としては、日高港整備との関連で、昭和五十九年度から毎年、深浅測量や航空写真により汀線や海底勾配の変化を調査しておるところでございます。これまでの調査によりますと、煙樹海岸全体として汀線、海底地形は、年によって多少の変動があるものの、安定しております。
なお、煙樹ケ浜北端の本ノ脇地区付近においては、過去、侵食や堆積が繰り返されております。これは、地形的に見まして、沖合から進入する波が当地区に収れんするためと考えられ、人工島が原因とは考えにくい現象であります。
以上でございます。
○議長(町田 亘君) 総務部長中山次郎君。
〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 御坊第二火力発電所問題についてお答えします。
オリマルジョン流出時の対策についてでございますが、海上衝突防止法の遵守、二重構造船による輸送及び荒天時の桟橋における作業の禁止等により、まず流出の防止を図るよう指導することになります。また、万一に備え、有効なオイルフェンス等の整備を図るとともに、国や関係機関と連携を密にしながら、和歌山県石油コンビナート等防災計画に基づいて万全を期することになろうかと思います。
以上でございます。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 御坊第二火力発電所問題についてのうち、大気と梅生育不良とは関係ないと言う関電についての件でございます。
事業者に関連したお尋ねでございますが、県では、梅の生育不良の原因が明らかになっていない現状に対処し、お話のように多面的な視点からその解明に向けて努力を重ねているところでございまして、今後とも科学的な見地から原因を明らかにいたしたいと存じます。
次に、被害地の酸性雨・霧の調査ということでございますが、これまで、関係部局の協力をいただきながら、酸性雨を初め二酸化硫黄、二酸化窒素等の測定を実施するとともに、本年度から新たに露、霧、樹幹流に関する調査を加えるなど、取り組みの強化を図ってございます。
今後とも、病理面を含め、総合的な視点から取り組んでまいる所存でございまして、お話の調査方法の充実については関係部局とも十分協議してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 村岡議員の、患者の安心と働き続けられる看護婦の勤務体制についてのご質問にお答えいたします。
二十四時間体制で医療サービスを提供する病院にあって、勤務する看護職員が健康で業務に意欲を持って取り組める体制を整えることが満足のいく患者ケアを実現する上で重要であることは、議員ご指摘のとおりでございます。こうした目的を達成するため個々の病院で具体的に看護体制をどのように編成するかは、基本的には各病院において決定されることとなってございます。
二交代制勤務の導入につきましても、各病院において、入院患者にとってメリットがあり、かつ職員にとっても二交代制勤務の方がより望ましいと考えられる看護単位について、施設長の判断により導入できることとされたものでありまして、所要の看護職員の人数を含め、各病院において総合的な判断に基づいて決定されるものであると考えてございます。
県内の二つの国立病院に現段階での検討状況を照会しましたところ、実施に当たっての諸条件について検討中とのことでありまして、各病院が今後、看護婦の健康管理や職場環境に十分配慮した看護体制を整えていただけるものと考えておりますが、必要に応じ、県からも施設長等に働きかけをしてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
37番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。第二火力発電所はまだ縦覧が始まっているだけということにはなるわけですけれども、今、農家の皆さんたちは、現在できている御坊火力について不安を持っているんです。梅の生育障害については、県やいろんな方の指導で、ああせえこうせえということでいろんな努力をしてみたけれども、何をやっても成功しないではないかと。土壌改良をしたりして少しは元気な部分もあるけれども、次から次へと広がっていく現状を見ると、農家の人たちの不安は本当に日に日に募っていると思うんです。これは、知事もずっと一貫しておっしゃっているわけですけれども。
そういうものに、どうやってこたえたらいいのかと。それなりに、前進基地というようなものをつくってやるというふうにおっしゃっていますけれども、それでは農家の方々が、そうなのかということにはならないと思うんです。やっぱり御坊火力についての対策がもう一歩踏み込んでやられないと、住民の皆さんたちの不安は一層強まると思うんです。
そういう立場から私は、第二火電の凍結を申し入れたらどうか、同時に、大沢議員もおっしゃったように、脱硫装置を考えてみたらどうかということなんですから、ここに一歩踏み込んでこたえるべきではないかと思うんです。基準値がどうだこうだということもありますけれども、それでは農家の皆さんたちが被害の状況を判断する、そういうものにはならないんですね。原因がわからない段階での問題ですから非常に難しい部分はありますけれども、もう一歩踏み込んで考えていただきたいということを重ねてお願いしておきたいと思います。
それから、国立病院の問題です。
これはもちろん、国立ですから国が直轄ということはあります。しかし、あそこの病院は、美浜町を初めとして、げた履きで行ける病院なんですよ。それに、全国からも、近畿一帯からも患者さんが訪れる重度心身障害者の病棟を四つも持っています。そういう点では国立病院の役割を果たしているわけですけれども、県の状況から見ても、あそこが本当に安心して患者さんが通えるのか、入院できるのか、そして、看護婦さんたちが本当にゆとりを持ちながら勤務できているのかということを考えたときには、県もやっぱり何か物を言わないとあかんのじゃないかと私は思うんです。医療監査等については県がやるわけですから、そういう点で見れば、何も言えないという状況ではないと思うんです。
特に、現場の皆さんたちがおっしゃっているのは、実際にやった全国の十病院、十二病棟の現場の看護婦さんたちの報告書を見てみると、二交代制は十六時間という長時間労働、拘束十七時間三十分という夜勤になるわけですから、本当にゆとりを持ちながら患者さんに対応できるか、これは一般常識的に考えても大変な問題だと私は思うんです。そういう点で、この二交代制勤務が看護婦さんたちに肉体的、精神的にどのような影響を及ぼすのか、患者さんから見たときにどうなのかということなどを、県としてもぜひきちっと研究をしていただきたいと思います。資料が欲しければ、ここに九十二ページにわたる資料もありますので。国立で始まりますと、必ず県立病院、そして地方自治体病院へというふうに伝染をしてきます。そういう点で、ぜひこの問題については真剣に考えていただきたいと思います。
ここに、実際にやった看護婦さんについて、ある患者さんからのお手紙がありますので、ちょっと読ませていただきます。
「先生や看護婦には大変親切にしていただき喜んでおります。 入院中に感じたことですが、夕方バタバタと忙しそうに働いていた看護婦さんが、翌朝も廻ってきて、検温や身のまわりの世話などされました。その顔は疲れていて、とてもこちらからあれこれ話せる雰囲気ではありませんでした。『早く帰って休まれたらどうですか』と言ってしまいました。 やってほしいことがあっても、夜勤の人の疲労を考えたら頼めなくて、昼間の勤務の人が早く来られないかと待つほどでした。 これが二交替制勤務だということを自分の体調がよくなってから知りました。二交替という勤務は、看護婦さんにも患者にとっても良くないと思います。患者が安心して……
○議長(町田 亘君) 村岡議員、時間ですので簡潔にお願いします。
○村岡キミ子君(続) 「患者が安心して療養できる体制を病院側は考えてほしい」──こういうような訴えがありますので、こういう点も含めて、この国立病院がやろうとしている問題について考えていただきたい、そして対応をしていただきたい、このようにお願いをしておきたいと思います。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
34番井谷 勲君。
〔井谷 勲君、登壇〕(拍手)
○井谷 勲君 議長に登壇することのお許しをいただきましたことを、厚く感謝申し上げます。通告に従い、順次質問させていただきます。
まず初めに、根来山森林体験パーク(仮称)の整備についてお尋ねいたします。
知事は、前の選挙期間中、一貫して和歌山県の活性化を図るためには半島性からの脱却が前提となる、そのためには大阪、京都、神戸と並ぶ関西第四の都市を紀北地域を中心に形成していかなければならないとして、和歌山百万都市圏計画(グリーンダイヤモンド構想)を打ち出されました。和歌山のあすを語るとき、一つの大きな見識であり、県民もこの壮大な構想の実現に大いに期待を寄せております。この構想の中心に位置するのが、岩出町を中心とする那賀地域であります。
これまで那賀地域は、県長期総合計画の中で和泉かつらぎ研究学園ゾーンとして位置づけられ、地域の経済活性化の先導的役割を担う産業、研究開発機能、居住機能、先端産業等の立地を図る南麓サイエンスパーク計画が推進され、その結果、国道二十四号和歌山バイパスを初め、府県間道路泉佐野岩出線、県道泉佐野打田線や紀の川広域農道等の道路整備、松下電池工業株式会社和歌山工場の誘致、近畿大学生物理工学部の開学等の大きな成果を上げているところであります。この間の、知事を初め県当局のご努力に敬意を表するものであります。
さて、このような地域振興策の結果、当地域は急速に都市化が進み、大きな発展を見ているところであります。私は、これからの町づくりにあっては、ただ単に便利さを追求するのではなく、やはり良好な自然環境と調和し、快適で住みよい、質の高い生活環境の創造が重要であると思うわけであります。近年、都市の皆さんは、アウトドアブームということもあって、海や川などに出かけ、自然の中で思い切り遊ぶ楽しさを味わう傾向が見られます。そして、特に本県の場合、森林が多く、キャンプやハイキング、野鳥観察等、山へ出かける機会が大変多いのであります。幸いにこの地域には、このたび金剛山生駒紀泉国定公園として編入された和泉葛城山系を中心とした豊かな森林があります。このような都市に近い森林を、ぜひとも県民の皆様のレクリエーションの場として活用すべきであると考えるものであります。
県においても、これまで植物公園緑花センターを整備し、根来寺等、文化施設と相まって、多くの県民に憩いと安らぎの場を提供されているところでありますが、今般さらに岩出町根来において森林公園を整備するとお聞きし、本議会に財産取得議案を上程されておりますことはまことに時宜を得たものと、大いに賛同するものであります。
この根来山における森林公園の整備についての知事のお考えをお尋ねいたします。
また農林水産部長に、森林公園整備の今後のスケジュールについてお尋ねいたします。
次に、県経済活性化の先導的役割を果たしている南麓サイエンスパーク計画に関連してであります。
今、申し上げたように、この計画の推進によりこれまで大きな成果を上げてきておりますが、岩出町を中心とするこの地域の将来といいますか二十一世紀をイメージするとき、河川を初めとする社会資本の整備に、より一層取り組まねばならないと考えております。
そこで今回は、社会資本の一方の柱をなす河川についてお尋ねします。
南麓サイエンスパーク計画に関連する河川整備については、早くから改修に着手している春日川、木積川、佐川、烏子川と岩出町を流れる住吉川、根来川が対象河川となっております。昨年七月二日、三日の出水により内水被害が発生した状況を見ると、特に住吉川、根来川の改修を急ぐ必要があると考えるのでございます。住吉川、根来川について、今日までの取り組みと今後の方針について土木部長にお聞かせ願いたいと思います。
次に第三点として、紀の川左岸の道路整備について質問させていただきます。前回の一般質問では紀の川右岸側の道路整備についてお伺いしましたので、今回は左岸側の道路についてお尋ねいたします。
那賀郡内の道路整備については、仮谷前知事時代から積極的に取り組んでいただいているところであり、特に左岸側では国道四百二十四号の桃山貴志川バイパスを初め、県道かつらぎ桃山線、和歌山橋本線等の路線において整備促進を図っていただいております。十月十四日には、和歌山橋本線の貴志川大橋を含めた貴志川バイパスの竣工式が行われ、供用が開始されました。貴志川によってこれまで東西に分断されていた町域が一体化され、町民ともども非常に喜んでいるところであります。
そこで土木部長に、国道四百二十四号、県道かつらぎ桃山線の二路線についてお尋ねいたします。
国道四百二十四号は、田辺市の四十二号を起点として、県の内陸部を縦断して打田町に至る広域幹線道路であり、那賀郡内においては関西国際空港の開港に伴い工業団地も沿線に立地するなど、流域の産業経済活動にとって非常に重要な路線となっております。当路線は、郡内ではそのほとんどが整備されておりますが、打田町の竹房橋南詰めから桃山町市場までの現在の道路は幅員が狭く、大型車が対向できない状況にあります。当該区間ではバイパス計画があると聞いておりますが、その事業進捗はどうか、お伺いいたします。
また、県道かつらぎ桃山線は、かつらぎ町志賀から桃山町市場に至る那賀郡の南部山間地を貫く幹線道路であり、竜門山によって紀の川沿いの地域から隔てられた南部の地域にとっては、産業経済のみならず生活道路としても不可欠な重要な路線であります。またこの路線は、かつらぎ町内で現在整備が進められている国道四百八十号へ連絡することになっており、那賀郡内から高野山に至る観光道路として重要性がより一層増してくるのではないかと考えております。こうした視点に立って、かねてから重点的にこの路線の整備を進めていただいていると思いますが、なお残されている区間も多くございます。
そこで、現在、桃山町神田地内、黒川地内、また粉河町下鞆淵地内等で行われている整備の進捗についてお伺いいたします。
また、粉河町下鞆淵から桃山町黒川に至る黒川峠を越える区間は幅員が狭く勾配も厳しいため、この路線の最大難所となっております。ぜひともこの改修をお願いするところであります。この区間の整備の見通しも、あわせてお聞かせ願いたいのであります。
次に第四点として、農業関係の試験研究機関の整備についてお尋ねいたします。
農業関係の試験研究機関は、現在、貴志川町の農業試験場を初め吉備町の果樹園芸試験場、すさみ町の畜産試験場、古座川町の山村産業試験場など六機関が、地域性も加味され配置されております。そして、これまで先輩諸氏を初めとする関係者の熱意ある取り組みもあり、本県農業の発展に大きく寄与してきたことは既にご承知のとおりでございます。私も、長らく農協系統組織に身を置き、農業生産と深いかかわりを持ってきた一人として、試験研究機関の重要性については人一倍認識しているものと自負もいたしております。この間、県の試験研究機関が果たしてきた成果と申しますか実績を見てみると、改めて感慨深いものがございます。
その主なものとしては、傾斜地の果樹園が他府県に比べて非常に多い地域の実態から、いかに省力化し労働の軽減を図るかということで全国に先駆けて開発された多目的スプリンクラー施設があります。この施設はかなり県下に普及しており、ふだんの農薬散布に加えて、干ばつ時における畑地かん水など多目的利用が図られており、中でも最近の異常干ばつには最大の威力を発揮し、農家の期待に十分こたえる結果となっております。このほか、渋柿の脱渋技術の確立に向けた取り組みや、最近では採卵鶏の産卵能力を向上させる技術として超音波を照射する方法などが開発されてございます。
時間の関係もあり、紹介はこれぐらいにいたしますが、いずれにいたしましても、こうした技術開発が日々積み重ねられ、その結果として果実の粗生産額が全国一となり、果樹王国和歌山が築かれたのであります。山が多く、傾斜地を利用した農業振興を余儀なくされる本県では、国が言う米を中心とした規模の大きな土地利用型農業の展開には難しいものがあります。やはり、先人たちの英知と努力によって営々として営まれてきた果樹を中心とした集約的農業、言いかえれば、もうかる農業しか生きる道はないと考えるのでございます。しかしながら、農業につきましても、従来に増して厳しさがより一層加わりつつある今日であります。ウルグアイ・ラウンド農業合意に代表されるように、国際化の波が押し寄せ、外国も視野に入れながら、産地間競争に打ち勝っていかねばならない多難な時代を迎えております。
その一方で、農業生産の担い手はと言うと、後継者が減少し、高齢化も一段と進むという厳しい状況に直面しております。また、人々の価値観も時代とともに大きく変化しております。経済や効率といったものから生活や環境が重視される中で、農業についても、つくるだけに重点を置いていた時代から、新しい観点での農業、農村が見直される時代へと重心を移してきております。
こうした情勢の中で、先般、国では科学技術基本法に基づき、今後十年を見通した農林水産業の研究方向とも言うべき農林水産研究基本目標が示されたのであります。そのポイントは、表現としてかたいものがありますが、一、国際化の進展という新たな国際環境のもとで、生産性の向上や高品質化、省力化技術など生産現場に直結した技術の確立、二、広い視野に立ち、革新的技術を活用した新しい産業の創出、三、地球規模の食糧、環境、資源問題の解決を目指した取り組みなどが挙げられ、それに伴い、国では試験研究機関の体制整備が進められようとしております。その具体的な動きとして、平成八年度は本県とかかわりの深い果樹試験場で二カ所の分場を統合し、新たにかんきつ部を新設する、また生産現場に近い地域農試において技術と経営の専門家を入れた総合研究部が新設されるなど、再編強化が図られつつあります。
一方、本県の現状はどうかと見ると、生産基盤である樹園地の大半が急傾斜地であるという地域の実態や、農業就業人口のうち約六割が女性で占められ、また四一・七%が六十五歳以上の高齢者という厳しい農業環境にあります。また、紀南地域の基幹産業である梅において、生育不良という大きな問題を抱えております。次の時代を見据え、本県農業の新たな展望を切り開いていくためには、松本議員も申されたように、まず「隗より始めよ」であります。農業振興の基礎を担う試験研究の一層の充実こそが一番重要ではないかと考えているものであります。
そこで、県として将来を見据えた試験研究機関の整備についてどういう考えをお持ちか、農林水産部長のご所見をお伺いいたします。
次に第五点として、農業分野先端技術に関する共同研究の推進についてお尋ねいたします。
先ほども少し触れましたが、本県農業はミカン、柿、梅等の果樹、エンドウ等の野菜、最近ではカスミソウやスターチス等が日本一の産地になるなど、他県に類を見ない園芸産地として発展していることは周知のとおりでございます。一方、生産現場では、現在、以前のような米を中心とした単一の技術の時代から、品目や品種も多様化し、消費者の要求も、おいしさに加え、安全性や健康面が強く求められるようになっており、こうしたことに対する技術面での迅速な対応がますます重要性を増してきております。しかし、このままでは消費者ニーズの変化に対応した農業生産の速い動きに技術が対応し切れない事態が来るのではないかと危惧するものであります。特に、技術の時代と言われる二十一世紀を間近に控える今日、先端技術の開発普及は重要なかぎを握るものであり、新技術を取り込んだ新しい経営体の育成等を積極的に進める必要があろうと思います。新しい時代には新しい技術が似合うものであります。しかしながら、先端技術の開発には汗を流さねばなりません。従来の研究体制の殻を破り、人的交流も含んだ大学などの専門機関との共同研究を積極的に推進することが、多様な時代を迎えるに当たって非常に肝要であります。一方、県単独ではなかなか難しいのではないかと思うのであります。
そこで、農業分野の先端技術であるバイオテクノロジー研究における共同研究の取り組みの現状について、また今後の考え方について、農林水産部長にお聞かせ願いたいと思います。
以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの井谷勲君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 井谷議員のご質問にお答えをいたします。
根来山森林体験パークにつきましては、岩出町根来の県植物公園緑花センターの北側にございます国有林約百九十五ヘクタールを取得し、整備しようとするものでございます。
議員のお話にございましたように、私は和歌山百万都市圏計画としてグリーンダイヤモンド構想などを提唱いたしておりますけれども、その実現のためには、さまざまなプロジェクトを実行していかなければならないと考えてございます。その中で、那賀郡を中心とする一帯は豊かな自然環境を有してございまして、森林公園を初め学術研究施設を整備いたしまして、二十一世紀を先取りした、自然と共生する新しい町づくりを進めていきたい、そのような構想を描いておるわけであります。このために、根来山森林体験パークをその核として位置づけて整備を図ってまいりたいと考えております。
他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 根来山森林体験パーク(仮称)の整備計画についてでございます。
今後のスケジュールでございますが、今年度中に用地取得ができるよう今議会にお願いしてございます。来年度、基本設計を樹立するとともに、事業に着手し、できるだけ早い機会にオープンできるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
整備の考え方といたしましては、都市に近いという特色を生かし、県民が気軽に訪れ、森林内の作業に直接参加したり、青少年や子供たちが、森の中で泥まみれ、汗まみれになって冒険遊びができるような、自然と触れ合える都市近郊型、体験型の森林公園にいたしたいと考えております。
次に、試験研究機関の整備についてのご質問でございます。
農業における試験研究機関については、技術開発は本県農業の発展を図る上で大きな役割を果たすものであると考えてございまして、行政や普及組織との連携に努めながら、農家との結びつきを第一義とした試験研究機関の充実が重要であると認識してございます。
こうした中で本県の試験研究機関は、有田川流域のミカンを初め、産地を背景とした専門試験場として立地しており、これまで地域に密着した技術開発に取り組み、幾つかの成果も上げてきてございます。しかしながら、議員お話しのとおり、農業についても国際化の進展や多様化する消費者ニーズがあり、また本県では担い手の減少や急傾斜地に広がる果樹園という厳しい現実に加え、紀南地域における梅の生育不良といった課題もございます。こうした情勢を踏まえつつ、二十一世紀における三H農業の展開も視野に入れる中で、産地の実態を反映した研究はもとより、技術革新の波にも対応できるよう、人材の育成はもちろんのこと、試験研究体制の整備充実に向け積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
次に、農業分野先端技術の共同研究の推進についてでございます。
議員ご指摘のとおり、新技術を活用し、本県農業のより一層の発展を目指すことは大変重要なことではないかと考えてございます。農業分野のバイオテクノロジーに関する研究については、本県特産の果樹、花卉等の新品種を育成するため、暖地園芸センターを中心に、国や他府県を初め、農協連合会等との共同研究を推進してまいりました。平成八年度からは、新たに近畿大学生物理工学部との共同研究により、遺伝子診断技術を活用した高品質果樹及び花卉の新品種の育成に取り組んでございます。これまでの成果の一例としては、カスミソウで紀州パール、スイートピーでオーロラブルーの新品種を育成したほか、イチゴなどで優良苗の増植、配布をしてございます。
また、近赤外線利用によるミカンの選果システム、省力化のための機械等についても民間との共同開発に取り組んでございます。
今後とも、関係機関、大学、民間等との共同研究を重ねてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 井谷議員のご質問にお答えします。
まず、住吉川、根来川の改修整備についてでございます。
住吉川については、紀の川の合流地点から県道粉河加太線までの間、延長四千四百三十メートルについて、平成六年から小規模河川改修事業により取り組んでいるところでございます。今年度、下流側からおおむね国道二十四号バイパスまでの測量設計を完了する予定でございます。平成九年度から用地測量を実施し、一部用地取得に着手することを予定しておりますので、地権者の方々のご協力をお願いしたいと考えております。
また根来川につきましては、山田川合流地点から根来新橋までの間、延長千五百メートルについて、平成三年から堤防改修事業により取り組んでいるところでございます。平成八年度までに四筆の用地買収を行っております。平成九年度も引き続き用地取得の促進を図り、早期に護岸工事に着手したいと考えております。
続きまして、紀の川左岸の道路整備のうち、国道四百二十四号の整備状況についてでございます。
国道四百二十四号の打田町竹房橋南詰めから桃山町市場までのバイパス計画につきましては、平成六年度から打田桃山バイパスとして事業化いたしております。当計画区間には公図の混乱地域が多く、現在、地籍調査を進めているところでございます。来年の秋ごろには、この作業が完了した箇所から本格的に用地買収に入る予定としております。今後は、地元関係の方々のご協力を得ながら、早期に工事に着手できるよう努力してまいります。
続きまして、県道かつらぎ桃山線の道路整備につきましては、現在事業中の桃山町神田地区延長二・三キロメートルのうち、現道拡幅の一・三キロメートルを平成二年度に完了いたしましたが、残る一キロメートルのバイパスについても平成九年度末完了の予定でございます。さらに、桃山町黒川地区の延長八百四十メートルについては平成十一年度末、粉河町下鞆淵地区の延長五百メートルについては平成十年度末の、それぞれの完成を目標に工事の促進を図っているところでございます。また、桃山町と粉河町町界の黒川峠付近の未改良部分約四キロメートルにつきましては、現在概略調査を進めているところであり、今後、両町及び地元のご協力を得ながら、早期事業着手に向け努力してまいります。
以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、井谷勲君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十九分休憩
─────────────────────
午後一時四分再開
○議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
31番木下秀男君。
〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 本会議の質問も最終になりますと質問項目も限られてまいりまして、なるべくなら重複を避けるべきでありましょうけれども、私はあえて重複に重複するような形で質問をしていきたいと思います。
梅の生育不良についてでありますが、これは急を要し事が重大であるために知事初め関係部長に質問をいたしたいと思います。
この梅の生育不良に関する質問が今議会だけではなしに本議場においてたびたび行われてまいりましたが、確たる原因が解明されないまま歳月を重ね、衰弱から枯死という状態が主産地である南部郷を中心に広がりつつあるのが現状でございます。今議会で大沢議員、またきょうの午前中には村岡議員も質問されましたが、私も主産地の選出議員の一人として、その取り組みと今後の対応について質問と提言を続けてまいりたいと思います。
初めに梅の歴史についてでありますが、少し触れてみたいと思います。
日本古来説と中国からの渡来説がございますが、中国華中から華南地方が原産地であって、五三〇年ごろ、大和時代に呉という国の高僧が奈良の都に梅の木を持参したのが始まりとも、遣唐使が持ち帰ったものとも言われておりますけれども、いずれも定かではございません。
「夫れ梅のものたる。花は則ち雪を昌し春に先んじて風騒の友となり、実は則ち酸を含み渇を止め軍旅の用となる。嗚呼、備ふる有る者は患ひなし」──この文は、水戸偕楽園の創始者である徳川斉昭公の「種梅記」という本の一文でございますが、梅の花は風流の友であり、実は保存食であり戦用となる、病む人もなしと、こういう意味だそうでございまして、花は風雅としてめでられて、果実は戦用と家庭用の健康薬として重宝されたようでございます。この時代から梅というものが重要視されてきたということでございます。
紀州の梅は、一六一九年(元和五年)、初代紀州藩主・徳川頼宣公入府に随行してまいった田辺藩主となった安藤直次公が藩内の南部郷に租税を免じて梅の生産を奨励したのが始まりと、かようにされてございます。自来三百五十年余にわたる先人たちの血と汗の結晶が今日の全国一を誇る紀州の梅となったのであります。自然との闘い、豊作・凶作の喜怒哀楽を繰り返しながら新しい技術、新しい科学を取り入れ、ようやく安定して和歌山県の基幹産業として発展しつつあるやさきに、原因不明の梅の木の衰弱、立ち枯れという奇態が生じたのであります。
前段が少し長くなりましたが、本論に入ります。
梅生育不良──衰弱症とも言いますが、昭和六十年(一九八五年)ごろから主産地である南部町、南部川村で少し見られるようになり、その後、平成二、三年ごろには田辺地方、西牟婁・日高郡の各地にもあらわれ始め、平成四年には梅生産市町村や各農協等で梅病害虫特別対策協議会を組織して、病理面から、あるいは栽培管理・栄養面から、さらに大気環境等の面から調査を実施いたしてございます。この調査研究には、県の総力を挙げて果樹園芸試験場、暖地園芸センター、衛生公害研究センター、林業センターの技術者を中心に、田辺市の要請で、大学側からは京都大学、広島大学、三重大学、東京農業大学、さらに関西電力の協力を得て調査研究をいたしております。そのまとめとして、病理面──ウイルスでございます──では検出されず、栽培管理・栄養面では、着果過多いわゆるなり過ぎということと土壌の乾燥──日焼けでございます──酸性化が原因とされてございます。大気環境調査では、環境基準や他地域と比較しても低い数値を測定しているとされてございます。以上が県から報告を受けた調査のまとめでありますが、梅生育不良は広がるばかりであります。この調査に協力をいただいた大学の先生方もいろいろと説を立てられておるようでありまして、大気汚染による樹幹流説、農薬による有機燐説、土壌等による果樹根説等々言われてございますが、栽培管理や病理、大気環境といった複合的要因と、こういうことが最終的なまとめのようでございます。この梅枯れ症の現状は、農家の生産意欲を失望させることはもちろん、梅産業や地域経済に深刻な影響を与える問題であります。
私は、梅の生産地である南部町、南部川村、印南町、田辺市、上富田町の五市町村における平成八年十一月末の現状調査を行いました。五市町村で、被害面積は約百八ヘクタール、枯死状態になっているのが三万五千四百四十八本、樹齢は、差はあるものの大体は十年生から十五年生が多い、このような報告を受けてございます。さらに、中程度の症状を受けているものを加えるとこの数量の倍になると、こう予想されます。
今日までの調査はまだまだ初歩的な段階であると思いますが、これまでの調査の経過と成果についてお聞きいたします。
昔から、霧がおりると梅にすすがつくという古老の話がございまして、その霧によって害があると予測されます。この、ミストと言うそうでございますが、霧の流動方向や霧に含んでいる濃度の調査、また酸性雨、オゾン、亜硫酸ガス、窒素酸化物の複合汚染調査、空気浄化実験調査、さらに光合成の影響調査、このような高度な調査が必要とされているのであります。
人間社会には「疑わしきは罰せず」という言葉がございますけれども、物言わぬ植物の場合には徹底究明が必要であると思うのであります。この問題の完全な原因究明をするためには、科学技術庁を初め国、大学の研究者、その道の権威者の協力を得て、高度な、専門的な調査研究体制を組織することが急務と考えるものであります。
ことしの梅の生産は裏年ということで不作であり、総生産量は四万八千百トンと平年作の七五%程度でありましたが、和歌山県の農業の基幹産業であるミカンと並んで主産物であります。しかし、梅に関する研究機関は皆無に等しく、暖地園芸センターに一部あるのみで、お粗末そのものであります。この梅枯れ災禍を機に、本格的な調査研究機関の新設を提言するものであります。
私は、十二月八日夜七時から南部川村で開かれた成人教養講座へ特別参加をして勉強してまいりました。聴衆は、近隣町村の梅農家の皆さん方を含めて六百人ほどという集まりでありました。梅の生育不良問題に対する関心のあらわれをまざまざと見たのであります。演題は「大気汚染と植物生育障害」、講師は三重大学の生物資源学部教授の谷山鉄郎先生であり、約九十分間講演され、いろいろと各地で調査研究されたデータや他の研究者のデータと比較しながら話されておりました。四日市公害という、稲枯れによる公害がございます。もちろん、気管支炎という人間の病気もあります。また、多奈川公害というのもあります。これはお隣の大阪でありますが、ここで桃の木が枯れた公害が出ております。もちろん、ぜんそくも出てございます。水島公害は中国地方でありますが、ここで畳表のイグサの生育がとまったというイグサ枯れの症状がございます。今また福井県では、三国公害というか、三方五湖の周辺で杉枯れという症状が出ております。このように公害が各地で起こってございますが、ほとんど大気の複合汚染であるとされておりました。講演終了後、聴衆者との一問一答の中で、関西電力の調査は酸性雨だけの調査で学説を納得させるような資料ではない、さらに高度な調査研究をすべきだと結論づけておりました。質問者から、梅生産の県営パイロット事業に参加して植栽費や土地購入資金の借入金の返済に困っているという問題、また改植、減収による営農資金の問題等々話されておりましたが、これらのことは県で解決できることでありますので、早急に対処するよう要望するものであります。
続いて、森林交付税──これは仮称であります──についてであります。
森林の荒廃が叫ばれ出して久しいが、年を経るごとにその声が大きくなり、また大きく叫ばなければならないほど危機が迫っているのが昨今であります。戦後の乱伐と昭和三十年ごろの国が奨励した拡大造林施策によって経済性の低い広葉樹林や照葉樹林を伐採し、経済性の高い杉、ヒノキ、カラマツ等の針葉樹林を植林したのであります。
木を育てるには、間伐、除伐、枝打ち等、大変な労力と年月がかかります。ところが、社会構造の大変革で住民のニーズも同様に大きく変わり、経済性の高い生活を求めて都会へ流出し、過疎という現象を生み出したのであります。日本の森林、林業経営という経済性だけを考えていては崩壊しかねない状況が起きてきたのであります。
昭和三十七年に策定された第一次全国総合開発計画、昭和四十四年に策定された第二次全国総合開発計画では、森林は生産の場であり、レクリエーション的に利用するという程度の位置づけしかされなかったのであります。昭和五十二年に策定された第三次全国総合開発計画で定住圏構想が打ち出され、ようやく森林の価値が認識され始めたところでございます。昭和六十二年に策定された第四次全国総合開発計画で、森林の持つ公益的機能、国土保全、大気浄化、水源涵養、酸素供給、保健・休養等が大きくクローズアップされて、森林は国民全体で守り育てる国民的資産であると初めて位置づけされたのであります。しかし、この計画どおりに進んでいるかと言うと、決してそうではありません。日本の急速な経済成長と社会構造の変化で都市と山村の格差の拡大と人口流出をもたらし、山村地域の過疎化、高齢化が進み、適正な森林施業を不可能にしているのが実情であります。
過疎化、高齢化と林業不振にご苦労されている東牟婁郡本宮町長・中山喜弘氏が平成四年十一月、緑の森林保全のための「森林交付税」(仮称)の創設を提唱し、森林交付税創設促進連盟なるものを組織してみずからその会長となり、同じ考えを持つ全国の市町村に呼びかけていることは、ご承知のとおりであります。私も、農林水産委員会に所属するとき、中山町長を講師にお招きしてご高説を拝聴したことがございます。私ども県議会といたしましても、この取り組み支援の意見書を提出いたしてございます。この創設運動が全国的な広がりを見せ、三十六町村で発足しましたが、現時点では全国三千三百市町村のうち四六%弱の六百七十四町村が加盟し、先月十一月七日に信州松本市において第五回のフォーラムが盛大に開催されてございます。
ここで知事にお伺いいたしますが、この森林交付税創設に中山喜弘町長とともに先頭に立って知事会や国に働きかけ、実現に取り組むべきと思考するものでありますが、知事のご所見をお伺いいたします。
また、この問題について、歴代の農林水産部幹部の取り組む姿勢はまことに緩慢であったと思うのでありますが、農林水産部長には今日までの取り組みと部長としての所見を伺うものであります。
続いて、県産材の利用促進についてであります。
和歌山県は「木の国」と言われるごとく、県土約四千七百二十三平方キロメートルのうち、林野と称するものが約三千六百三十五平方キロメートルの面積を有しております。そのうち人工林面積は約二十二万ヘクタールで、伐期に来ている森林は約一万六千ヘクタールと言われ、二十万ヘクタールの森林はまだまだ育林をしなければ用材には無理であります。
以上が、和歌山県における林業の実態であります。前段申し上げましたが、森林・林業を取り巻く状況は非常に厳しく、輸入材との競合、過疎と高齢化で山林労働者も少なくなるばかりであります。しかし、森林の持つ公益性の意義を認識して林業の振興策を講じなければなりません。
そこで、次の三点についてお伺いいたします。国内産材の安定供給について、杉材の新製品及び新規用途の開発について、製材工場従業員等の職場環境整備費の融資制度の創設について。以上、農林水産部長の答弁を求めます。
市町村一施設木造建築運動についてでありますが、建築構造の変化から、住宅はもちろん、公共施設から学校施設まで鉄筋・鉄骨の建物がほとんどで、特に学校はRCづくりの校舎が多くなりました。林野庁の統計によりますと、平成七年の住宅建築戸数は百四十七万戸で、そのうち木造住宅は七十万戸であり、年々緩やかに──向上じゃない、低下する傾向にあります。消費者のニーズは洋風化の傾向にあり、価格よりも耐震性、耐久性などの安全性を重視するようになり、木造住宅であっても陶製品や非木質系資材が多く使用され、板類や柱類の需要量が減少し、特に床、壁、屋根の下地材として使用されてきた板類の需要量の減少が低下の主たる原因となっているようであります。このような住宅建設の変化に的確な対応が必要と考えますが、農林水産部長の見解をお伺いするものであります。
大分県では、一村一品運動という産品振興運動があります。和歌山県土木部建築課にはふるさと建築景観賞という表彰規程がありますが、私は木の国一村一木施設運動を提唱いたします。知事並びに教育長のご所見をお伺いするものであります。
最後に、港湾整備についてであります。港湾については、昨日、長坂議員も貴重な提言をされておりましたが、私も港湾の私見を申し述べたいと思います。
知事は、和歌山21懇話会を十二月三日に発足させました。委員は、和歌山県にゆかりのある官界、経済界、学術界の著名な人々十五名で構成され、委員の持つそれぞれの知識や経験、アイデアを和歌山県の活力にするという、県民にとっても頼もしい方針であります。第一回のテーマに四大構想を提示し、各委員のご意見を聞かれたようでございます。その四大構想の中に海洋立県というのがあります。この点について質問と提言を行います。
ご承知のとおり和歌山県の地形は、半分が海に面し、半分は山が連なっているという、木の国であり海の国であります。日ノ御埼を境にして、北は瀬戸内の海域で、南は外洋に面しております。このような地形に百余りの漁港を持ち、沿岸漁業と勝浦港を基地とする遠洋漁業があります。いずれも水産業でありますが、今回は港湾に絞って質問いたします。
「海国日本」と言われ、四方を海に囲まれて何の資源もない日本は、外国から鉱物や化石エネルギー等の天然資源を輸入し、高度な技術で加工し商品化して輸出するというパターンでありましたが、さらに食料品や衣料雑貨、電気製品等を逆輸入するという時代になったのであります。昔は、海外に出る場合はほとんどが船で、一カ月も二カ月もかかってヨーロッパや北米、南米に行ったものでありますが、現在は全部と言ってよいほど飛行機となり、人流については、船の時代は完全に終わり飛行機の時代になったと思います。
関西国際空港が開港されて「空飛ぶマグロ」という言葉も生まれました。航空貨物として輸入されておりますが、やはり日本の物流は海運が主流であります。統計を見ますと、日本の貿易量の九九%は海上貨物であり、物流は船であります。
今、世界は激動する中で市場経済へ移行しつつあり、特に中国、ASEAN諸国が急速な発展を遂げております。これらの国々は、二〇一〇年には総生産量が現在の三倍と予測され、アジアを中心とする世界の交易量が急激に増加するものと予想されてございます。また、ガットがWTOへの役割を拡大し、広範な分野で国際自由貿易の枠組みが形成されることにより、貿易がさらに拡大されるものと予想されております。
このように、社会構造や経済環境が大きく変化し、人・物・情報の交流から国・地域・個人の間へと重層的に行われ、さまざまな社会において各国の文化が高密度で交流することにより新しいものを生み出していく、大交流時代に対応できる港湾の整備が必要に迫られているのであります。
その輸送に当たる船でありますが、タンカーや鉱石船、自動車船の専用船以外の輸出入はコンテナ船で、比率は二対八の割合で、コンテナ船の時代に入ってございます。輸入先の中国とASEAN諸国で急増しているのが現状であります。今までもこれからも、日本への輸入の玄関口は港湾であります。コンテナ船も五〇〇TEV型から四〇〇〇TEV型、五〇〇〇TEV型と、一挙に十倍に増大しています。ちなみに、オーバーパナマックス──パナマ運河を通過できる船の基準でございます──は、船長三百メートル、船幅三十メートル、重量が大体四万トン、水深十五メートル以上の岸壁が必要とされてございます。
私は、関空特別委員会でシンガポール、香港へ二回視察に行ってまいりました。そのときの目的は空港でありましたが、港湾にも特に関心を持っておりました。どちらの国も、急激に発展しているASEAN諸国の小さな島国であるからであります。シンガポールでは、新しくコンテナヤードを建設するため、エンパイア・ドックの西側の無人島を中心に埋立工事の最中でありました。香港では、ダイコックを中心に七つのターミナルがありますが、これでも処理能力不足ということで、ストーンカッター島に八番目のターミナルを建設中でありました。ここは、香港の中国返還を見越して、中国の資本も入って行っております。この視察のときに案内をいただいた日系の女性ガイドさんの「これからはお隣の深せんですよ」との言葉をいつも思い続けておりましたが、先月十一月八日から、これからのアジアということで、馬頭哲弥議員、橋本進議員と三人で上海・深せんの現地を見てまいりました。
上海は中国最大のコンテナ港でありまして、黄浦江の左岸の河口部にある宝山、張華浜、軍工路というところに七つのバースを持つコンテナ専用埠頭があり、香港資本の参加で五バースを大改造し、四千TU、六千TUのバースを完成いたしております。また、開発の進む浦東地区のカオチャオというところでは多目的バースが稼働中で、九六年から日本商船の商船三井、日本郵船という船会社のコンテナ船も寄港いたしております。
深せんは、ご承知のとおり中国の経済特区として目覚ましい発展をしている地域でありますが、人口は約三百六十万人、面積は東京都と同程度、平均年齢二十六歳、進出企業一万八千社という、まさに生産の町であります。ここに二つの港がありまして、香港とは船で直行すれば十分足らずということでございます。一つは蛇口港で、二バースありまして、水深十四メートル、広さ二十平方メートル、処理能力が五十万TUでありますが、目下、二〇〇〇年を目途として百万TU処理施設を建設中でありました。もう一つは、赤湾港であります。一九八九年に米国の資本で機能整備をされつつあり、コンテナ港としては新しい港でありますけれども、十六バースのうち第六バースがコンテナ専用基地で、現在、岸壁の全長二百十七メートル、水深十二・五メートルを建設中でありました。深せん港も赤湾港も広州の入り口に当たりますので、これから発展する港湾であることを確認したものであります。
日本の港湾を見ますと、コンテナ船の入港できる港湾は二十港ありますけれども、いずれも水深が浅く、これからの大型船の入港は不可能であります。神戸港に水深十五メートルバースが二カ所ありますが、一九九五年一月の阪神・淡路大震災により港湾機能が完全に麻痺しているのが現状であります。二〇〇〇年を目途に東京湾に三カ所、横浜港に二カ所、大阪港に三カ所、神戸港に五カ所、合計十三所が計画されておりますが、いずれも十五メートル以上であります。運輸省港湾局は、国際物流の諸機能が集積している東京湾、伊勢湾、大阪湾、北九州港を国際中枢港とする整備計画を持っているようであります。
県は、ことし、東京でポートフォーラム96を、さらに中国青島でポートセールスを行い、十二月には和歌山21懇話会で海洋立県構想を諮り、海に対する意欲満々とお見受けするものであります。これからの港湾整備には、従来の輸出対応型とは異なる、コンテナヤードを持つターミナルを整備し、さらに国内二次輸送、内航コンテナ船、TSL等の輸送ネットワークと連携するフィーダーターミナルを併設した港湾づくりが要求されているのであります。
私は、九月議会で、住友金属の北港埋め立てについて当局をただしました。この埋立地の二工区、三工区の護岸は、全長千三百六十メートル、奥行き九百メートル、面積百二十ヘクタール、水深十九メートルあります。内海は京阪神地区、外海は太平洋という絶好の地であり、これからつくるのではなくて、既に完成しているのであります。ここに東洋一のハブポートを設置してはと提言するものであります。
太平洋新国土軸構想も、来年夏ごろには五全総に明記される見通しとなりました。知事の提唱する紀淡連絡道路も照準の中に入ってきたと思います。和歌山ハブポートを建設することによってここが近畿、中国、四国の物流の集散地となり、架橋建設に大きく弾みがつくものと思うものであります。
二十一世紀まであと四年。期間は短いですけれども、港湾施設を急ピッチで仕上げ、来る二〇〇一年の新世紀の年頭には、和歌山港から七つの海へ、そして世界の海から和歌山港へ出船入り船する情景を思い浮かべながら、知事の所信をお伺いするものでございます。
これで、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下議員にお答えをいたします。
まず、梅の生育不良に関する調査研究についてであります。
何回かお答えを申し上げておりますけれども、これまで地元の市町村等の協力をいただきながら積極的な取り組みをしております。しかしながら、現段階において原因究明に至っておりませんで、その現実を私も厳しく受けとめておるところでございます。
本年四月に暖地園芸センター内に梅対策チームを設置し、研究体制の充実に努めるとともに、さらに当面の対応策として、職員の駐在も含めた現地前進基地の設置を現在検討中でございまして、今後、地元市町村と協議をしてまいりたいと思っております。
一方、県議会のご協力もいただきながら、過日、農林水産省を初め国に対しても農家の切実な思いを訴えるとともに、梅などの地域特産果樹に対する国の研究体制の一層の強化と試験研究予算の確保について強く働きかけを行ったところであります。
いずれにいたしましても、農家の心情を考えるときに、生育不良の原因の早期解明は最も緊急を要する課題であると認識をしておりまして、現在、国の研究機関あるいは大学の専門家から助言・指導を受ける体制づくりとして、例えば梅生育不良調査研究会などのような組織の設置について検討しております。今後、さらに関係機関との共同研究も視野に入れながら早期に試験研究体制の充実強化を図っていきたいと考えております。
さらに高度な研究機関の設置ということでございます。
梅の置かれている厳しい現状を考えるときに、原因究明に向けた取り組みにさらに全力を挙げなければならないということから、県の基幹産業である梅の振興については、食品産業という視点も加味しながら、先日大沢議員にもお答えをいたしましたけれども、高度な研究機関も含め、将来の試験研究機関のあり方について今後さらに地元関係者とも協議をしていきたいと思っております。
次に、森林交付税についてであります。
県といたしましても、これまで森林・山村対策を積極的に展開してきたところでありますけれども、今日の森林及び山村の厳しい状況を見るときに、山村地域への財政支援措置の充実強化は非常に重要なことと考えております。
森林は極めて公益性の高いものと評価をされておりまして、その機能は、水源の涵養など国民生活にも大変重要な役割を果たしていることは申すまでもないことであります。しかしながら、近年における木材価格の低迷、山村において過疎化及び高齢化が進んでおる中で、山村地域における従来の財源のみでは、こうした公益的機能を高度に発揮させ、国土を守っていくことは非常に難しいということを認識しております。
こうした中で、本宮町が平成三年から提唱しているいわゆる森林交付税につきましては、平成五年の県議会において創設に関する意見書を採択していただいておるところでございます。森林交付税などの財源の付与について、先般も国会議員との懇談の際に新たな動きがあるということもお聞きをしておりますので、その動向を注視しながら、山村及び森林を守るための財源確保に向けて積極的な働きかけを行っていきたいと考えております。
次に、木の国一村一木施設というご提案であります。
林業が大変厳しい中で県産材の利用をいかに進めていくかが林材行政の当面する大きな課題でもあろうと思います。木の国一村一木施設は木材需要拡大の点から大変興味のあるご提案だと思いますが、私も、県産材の需要拡大を図るために、さきの部長会議の席上で、県産材の利用推進に全庁的に取り組むよう強く指示したところでございます。
人に優しい木の文化の復権、あるいは紀州木の国の統一イメージの発信をも兼ね備えた木の国プロジェクト推進会議をスタートさせたところでございます。さらに、市町村に対しても、議員ご提案の趣旨も踏まえ、こうした県の考え方をご理解いただくように要請をいたしまして、県産材の利用促進を進めてまいりたいと考えております。
最後に、和歌山下津港あるいは西防へのハブポート等の推進といった大変貴重なご意見についてでございます。
実は、お話にございましたように、十二月三日、東京で和歌山21懇話会を開きました。官界、学会、経済界などの著名な方々に委員におなりをいただいて、和歌山の将来方向に対するご意見をいただいたわけであります。その中で、これからのアジアの時代に対応して和歌山県も海洋立県としての特性を発揮すべきであろうというお話や、特に、先ほどお話のございました香港、シンガポール、青島、上海というアジア各国の港の整備、マイナス十五メートル以上の岸壁整備とか、あるいは大型のコンテナ船の入港・出港ということに対する対応も大変大事であろうというお話もいただいたわけでございます。
そういうふうなこともございまして、ただいま賜りました貴重なご意見については今後大いに参考として検討していきたいと思いますけれども、港全体、和歌山下津港全体については、将来構想としてなお具体的な検討をしなければならない課題もございますので、ただいまのご提言も含め、十分研究させていただきたいと思っております。
以上であります。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 梅生育不良に関する調査の経過とその成果についてでございますが、平成二年度から生育不良樹の発生の増加が見られましたので、平成三年度から暖地園芸センターと果樹園芸試験場が中心となり、国の研究機関や大学の専門家のご指導もいただきながら、栽培管理面を初め病理面、環境面など、総合的な視点から調査研究に取り組んでございます。
栽培面では、剪定による樹勢の維持、かん水、有機物の施用による土壌改良に加え、樹勢回復をねらいとした現地試験を行うとともに、病理面では、ウイルスや細菌などについて種類の特定試験や現地での薬剤試験などを実施してございます。また環境面では、これまで関係機関の協力をいただきながら、移動測定車による観測や酸性雨調査を継続して実施するとともに、平成八年度から新たに、地元の対策協議会とも協議し、大気の暴露試験に着手しているところでございます。
この間、樹勢回復対策などを盛り込んだ技術指針を平成四年、六年、八年と三回、地元の対策協議会等を通じて提示するなど、現地での対応に努めてございます。その結果、現在、実証展示圃等において、一部に土壌改良などにより樹勢回復の兆しが見受けられるなどの成果もございます。一方、大気環境につきましては、県内及び全国の平均的な状況と大差ない調査結果となってございます。
いずれにいたしましても、現段階において原因が明らかになってございませんので、県といたしましては、当面、一部に成果も見られる土壌改良による樹勢回復対策や改植推進に一層努力するとともに、地元の協力もいただきながら酸性霧などを含む大気環境調査を引き続き実施するなど、今後とも原因究明に向け、総力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
次に森林交付税についてでございますが、平成三年九月に本宮町が提唱されて以来、森林交付税創設促進連盟主催のフォーラムに職員を参加させるなど、町と連携を密にし、ともに議論を深めてまいりました。創設以来、連盟への参加市町村は年々増加し、現在六百七十四団体が参加するに至っておりまして、制度創設に向けた動きが活性化しております。
こうした連盟の動きを踏まえ、これまで県といたしましては、新たな財源の付与等も含め、山村地域への財政支援措置の充実強化について要望活動を実施したところでございます。その間、国においても、森林・山村に対し、地方債措置や交付税措置を初めとして財政措置の充実強化が図られ、大きな成果をおさめてきたものと認識してございます。
今後とも、本県山村・林業地域の活性化のために、ただいま知事が申し上げましたように、森林交付税を含め、より有利な財源の確保を目指し、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
次に国産材の安定供給でございますが、木材需要の中心をなす住宅建設の動向は、近年、木造率が四〇%台にとどまるとともに、ツーバイフォー工法やプレハブ住宅の増加、洋風化に伴う代替材の進出などが顕著となり、県産材の需要は低迷を続けてございます。
こうした住宅建設の変化に対処して県産材の理想促進を図っていくには、高品質の製品を定時、定量かつ安定した価格で供給する必要があり、特に製材原木の安定供給が最も重要な課題であると考えてございます。このため、森林組合から木材市場、製材工場に至る流れを太くすることを目的に、本年度から県独自の県産材流通安定促進事業を実施してございます。
市場出荷量につきましては、市況が低迷する中にあっても、昨年の同期に比べ二割程度出荷量が増加しており、着実に事業効果があらわれてきたものと考えてございます。
今後とも、森林組合による林家への働きかけを強化するとともに、作業道の緊急整備や高性能林業機械の普及など、木材の安定供給に向けてより一層取り組んでまいる所存でございます。
次に本県の主要木材である杉材でございますが、建築構造材としては米ツガや集成材との競合、また板材としては非木質系資材の攻勢を受け、その用途は近年著しく縮小されてございます。
こうした状況の中で、杉材の需要拡大のためには、新しい用途開発に向けての取り組みが重要でございます。このため、林業センターでは、既に開発した杉の圧密処理や化粧木材の実用化試験に取り組んでいるところでございます。
今後、その成果を見きわめながら杉処理材の内装材、床材、家具用材への用途を開発するとともに、紀州材のよさが生かせる規格化の研究など、建築用材としての利用拡大を積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
次に融資制度の創設というお話でございますが、製材工場の従業員の休憩所や食堂などの職場環境整備は非常に重要なことと考えてございまして、こうした職場環境に対する助成制度については、林業関係や商工関係にそれぞれ適切な融資制度がございます。今後、関係課が連携して制度の啓発等を行い、職場環境の向上を促してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育施設への木材利用と林業振興にかかわる教育の二つの点からお答えいたします。
木造の教育関係施設の設置についてでございますが、最近の施設の高層化、鉄筋化が進む中でこれからの教育を考えるとき、温かみと潤いのある環境づくりのためにも木材を使用することは意義のあることと考えてございます。
最近では、県内で三町村が木造の学校施設を建設しております。しかしながら、木造建築物については、安全性や維持管理面、とりわけ建築単価面での財政負担の増など、種々の問題点のあることも実情でございます。
このような中で、木材の持つすぐれた特性を考慮しながら、腰壁、床などに利用するなど、その有効利用についてより一層工夫を加えてまいりたいと考えております。また、市町村教育委員会に対しましても、その促進について周知徹底を図ってまいりたいと考えます。
次に、林業の振興と森林の重要さに関する教育についてお答えいたします。
平成四年に学科改編した熊野高校森林科学科において、専門的な人材の育成を進めるとともに、小学校、中学校の教育活動において自然のすばらしさに触れ、その大切さを学ぶ体験的な活動、また森林の保全等について学習する環境教育を進めてきてございます。今後とも、こうした教育の一層の充実に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、木下秀男君の質問が終了いたしました。
─────────────────────
○議長(町田 亘君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
─────────────────────
○議長(町田 亘君) 次に、議題となった全案件のうち、議案第百六十六号平成七年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
─────────────────────
【日程第三 請願付託】
○議長(町田 亘君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
─────────────────────
○議長(町田 亘君) 次に、お諮りいたします。十二月十三日及び十六日は、常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、十二月十三日及び十六日は休会とすることに決定いたしました。
─────────────────────
○議長(町田 亘君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
職員から、これを申し上げます。
〔職員朗読〕
───────────────────
総務委員会 第 一 委 員 会 室
福祉環境委員会 第 二 委 員 会 室
経済警察委員会 第 三 委 員 会 室
農林水産委員会 第 四 委 員 会 室
建設委員会 第 五 委 員 会 室
文教委員会 第 六 委 員 会 室
───────────────────
○議長(町田 亘君) 次会は、十二月十七日再開いたします。
○議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後二時一分散会