平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(東山昭久議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午後一時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
28番東山昭久君。
〔東山昭久君、登壇〕(拍手)
○東山昭久君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行いたいと思います。
ことしは、夏にO157対策、また年末には阪和銀行の業務停止に対する対策など、西口知事を先頭に懸命に頑張っておられる県職員の皆さんに敬意を表しながら、質問の通告に従い、一般質問を行いたいと思います。
まず初めに、総選挙結果と行政改革について質問いたします。
第四十一回衆議院総選挙は、小選挙区比例並立制、全国三百小選挙区(定数三百議席)、比例代表十一ブロック(定数二百議席)の新選挙制度で、去る十月二十日に行われました。結果は、自由民主党二百三十九議席、新進党百五十六議席、民主党五十二議席、共産党二十六議席、社会民主党十五議席、新党さきがけ二議席、民主改革連合一議席、無所属九議席、県内では自民二、新進三という新しい勢力分野が決まりました。投票率は、小選挙区の全国平均は五九・六五%で、過去最低であった前回を大きく下回り、戦後最低の記録となりました。県下でも六七・五四%で、前回九三年七月の七五・四一%より七・八七ポイント下回る結果になりました。年々低下しており、代議制民主政治の根底を揺るがしかねない深刻な課題を残すことになりました。
新選挙制度も中選挙区制から小選挙区制に変わった上に、重複立候補という不自然でわかりにくい制度がつけ加えられ、有権者に戸惑いを与えました。また、その制度に乗って戦った政党や候補者が有権者を引きつけるような魅力を著しく欠いていたということも言えると思います。理念や政策本来で争う、真に民意を反映する選挙制度の確立も重要な課題であることを示しました。
過半数には達しなかったものの多数を得た自由民主党は、社会民主党、新党さきがけの閣外協力で第二次橋本政権を発足させ、自民党単独政権が復活することになったのであります。第二次橋本政権発足に当たって自民、社民、さきがけの三党は、これまでの二年余の与党としての連立政権の成果を積極的に評価するとともに、新たな政策協議を踏まえて政策合意が成立しました。
三党合意の主なものですが、介護保険制度、日銀・大蔵省改革、NPO法案などについては次期臨時国会、通常国会で成立を期する。税制問題は、次期国会で特別委員会を設置し徹底的に論議を行う。最大の課題である行政改革については、首相直属の審議機関を設置し、省庁の機能別再編・統合、国・地方公務員の思い切った合理化、国と地方の役割の見直し、行政に対する国民の信頼の構築と透明性の確保、財政再建法の検討など霞ケ関大改革の断行、具体的には、審議機関設置後一年以内に成案し、平成十年の通常国会で成立を期する。省庁の再編・統合は法案成立後五年以内に実施する。それ以外のものについては、できるものから直ちに実施する。また確認事項として、情報公開法の早期制定、規制緩和の促進、天下りの規制、内閣の機能強化、特殊法人の民営化・統廃合。地方分権については、平成十年までに地方分権推進計画を策定し促進を図る。財政再建は、財政再建法を検討し、財政構造改革を実現する。その他、政治改革、国会改革、消費税改革、平和外交及び沖縄問題、社会政策、環境政策、農業政策、女性政策、子供をめぐる諸問題などについて政策合意がなされたのであります。
橋本政権の政策課題の焦点は、第一に行政改革であります。第二は、消費税五%引き上げに伴う対応策であります。特に行政改革は最大のテーマであり、橋本首相も選挙戦で、政府の役割を、国家の存続・富の確保、国民生活の保障、教育、文化の四分野に分け、現在の二十二省庁を機関に応じて再編、半減させる、予算編成、行政管理の機能を首相官邸に移す、財政、税制などに関する各審議会を統合し首相直属とするとして、これらの総合的な霞ケ関改革実現に向けて首相直属の審議機関を発足させ、一年以内に改革案をまとめると国民に公約したのであります。行革会議がスタートし、論議が始まりました。
行政改革は、自治体においても避けて通れない重要な課題であります。県は、昨年十一月、新行政改革大綱をまとめ、基本的視点として、一、簡素で効率的な行政、二、役割分担の明確化、三、変化への対応、四、計画性、総合性の確保、五、行政の自立性の実現などを提起し、現在それに基づいて進められていると思いますが、行政改革が人減らしや住民へのサービスの低下にならないようにしなければなりません。自治体の行政改革は、自治、分権、参加を基本にして、国から地方への権限、財源の移譲、市民自治の拡大、生活者の視点に立ち、労使協議の尊重と不当な人員削減や賃金、労働条件の引き下げや住民へのしわ寄せのないようにしなければならないと思うのであります。
そこで、西口知事にお尋ねします。
一点目は、さきの総選挙結果、特に新選挙制度、投票率の低下などについてどのような所見をお持ちなのか、お伺いしたいと存じます。 二点目としては、行政改革に対する基本的考え方、新行政大綱策定一年目の成果、並びに来年度の組織、事務見直しの具体的改革案についてお尋ねいたします。
次に、高級官僚スキャンダルと情報公開について質問いたします。
高齢者福祉事業を舞台とした厚生省トップの岡光事務次官の不祥事は、高齢化社会を迎え、高齢者保健福祉推進十カ年戦略(ゴールドプラン)に基づく補助金支給をめぐる疑惑は底なしの広がりを見せており、ついに官僚トップが逮捕されるに至りました。特別養護老人ホームの建設費は、国が二分の一、県が四分の一を負担するため、建設が認められれば大半は公的資金に頼れる。しかも、厚生省幹部の力をかりて多額の補助金を手に入れ、建設工事も自前の会社が受注し、丸投げで巨額な利ざやを得て、その金で政・官を巻き込んで許認可を自由にしていたことが明らかになりました。
良心的な社会福祉法人は火の車の状態であり、懸命に努力されていると言われています。また、各地域で多くの人たちがボランティアによって福祉を支えています。
一つの例ですけれども、北山村や熊野川町などでは、郵便局に働く職員の皆さんが触れ合い郵便としてひとり暮らしの老人宅を定期的に訪問して声をかけたり、周囲の草刈りや手すりの設置等の周辺整備を行うなど、地域で懸命に高齢者の皆さんを支えている人たちがたくさんおります。その一方で、福祉に名をかりた悪事は絶対に許すことができません。昨年は大蔵省の主計局次長の蓄財疑惑があり、相次ぐ高級官僚のスキャンダルは綱紀の緩みということで片づけるわけにはいきません。行政機構の根幹が腐敗していることにほかなりません。事実の究明とともに、背後にある政・官・業の癒着の構造に深くメスを入れると同時に、許認可を初めとする行政の決定過程をもっとガラス張りにし、国民から監視のできるシステムづくり、より一層の情報公開が必要であると思うのであります。
自民、社民、さきがけ三党は、十一月二十八日の与党政策調整会議で、公務員の綱紀粛正を徹底するために、仮称でありますけれども公務員倫理法の制定に向けて検討することを合意いたしました。
さて、国政の場では政・官・業の癒着による不正が絶えませんが、自治体でも公費乱用、官官接待問題などをめぐる混乱が全国的な広がりを見せています。
群馬県では九四年だけで三億六千七百万円もの空主張が行われて明らかになり、東京都は九五年度の接待費の三分の二近くに不適当な会計処理があったとの調査結果を発表し、秋田県では公費乱用が次々に発覚して知事が辞任を表明するに至りました。食糧費による官官接待問題で、各地で空主張や空雇用による裏金づくりの実態が明らかになり、一部は職員の飲食に使われていたことも明らかになりつつあります。和歌山県にはこのような実態があってはならないし、ないと信じたいと思いますが、全国的に各自治体に蔓延していると言っても過言ではないと思われます。
さて、県内に目を転じてみると、県立医大での贈収賄事件など幾つかの事件が発覚し、県民のため一生懸命まじめに努力している職員の皆さんや県民を裏切る事件が起きたことはまことに残念でなりません。また、ことしになって私のところに投書が何通か寄せられてきました。目を通してみると、県政にかかわる重要な内容であります。事実関係を調査したわけではありませんので具体的内容を明らかにいたしませんが、人事や職員のモラルや入札に関するものでありました。私は事実でないと信じたいと思いますが、変なうわさや投書があること自体に疑念を抱かずにはおれないのであります。実態はどうなのか、心配するものであります。
職員の服務に関しては、一九五一年に職員の服務の宣誓に関する条例が制定されています。その一条に「新たに職員となった者は、任命権者に対し、別記様式による宣誓書により宣誓をしなければならない」と定めてあり、一般職員の場合、「私は、ここに、日本国憲法を尊重し、擁護することを誓います。 私は、地方自治の本旨を体するとともに、公務を民主的且つ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、県民全体の奉仕者として誠実公正に職務を執行することを誓います」となっており、それに署名・捺印して提出するようになっています。
多くの職員の皆さんは、宣誓されたとおりまじめに一生懸命働いておられます。しかし、一部に不正が起きることは残念でなりません。同時に、不正を未然に防ぐためにも綱紀粛正の徹底が求められております。公共事業をめぐるゼネコン汚職が発覚して以来、談合や不正防止のため、入札制度の改革などさまざまな取り組みがなされてきました。県でも公正な入札に努力されてきたのでありますが、依然として公共事業の入札をめぐって談合などのうわさが飛び交っているのも事実です。不正防止には、入札制度のさらなる改革が必要であると思うのであります。
そこで、西口知事にお尋ねします。
厚生省を初めとする一連のスキャンダルや地方自治体による公費乱用問題に対する所見、綱紀粛正の取り組み、透明度の高い事業入札制度改革に今後どう取り組まれていくのか、お尋ねいたします。
去る六月議会で、特別養護老人ホームの整備と許認可の不透明な点について取り上げられました。今後の特別養護老人ホームの整備については、整備充実委員会のような場で推薦していくなど、今後の選定のあり方の改善表明がなされました。今回の埼玉県での福祉施設の建設、運営を手がけている社会福祉法人の理事長や厚生省から出向していた前埼玉県高齢者福祉課長が逮捕されるという事態は、福祉を利用した利権絡みの行政であり、許認可を初めとする行政の決定過程をガラス張りにし、監視を強めるシステムづくりが急務であることを示唆しています。
そこで、三点について県当局の見解を伺います。
一点目は、今回の事件を教訓に、国から県への指導はどのようなことが来ているのか、建設に当たっての入札や運営等についてのチェックはどのようになされているのか。
二点目は、一人が何カ所も建設していることは異常だと言われているが、県内では一人の理事長が福祉施設を何カ所も持っている実態はあるのか。あるとすれば、どんな理由で許可されたのか。
三点目は、六月議会以降、県として許認可の指導や取り組みはどのようになされているのか。
以上三点について、福祉保健部長の答弁を求めます。
不正防止に最大の監視機能を果たすのは住民による直接監視であり、徹底した情報の公開であります。
県では、平成五年三月に県民の県政に対する理解と信頼を深め、県政の参加を促進し、もっと開かれた県政を一層推進することを目的に和歌山県公文書の開示に関する条例が公布されておりますが、一定の条件がついており、真に開かれた県政にするためにはさらなる情報公開が必要であります。
宮城県では十一月から、都道府県レベルでは沖縄県に続き二例目となる県政オンブズマン制度を発足させました。民間の有識者から選ばれたオンブズマンは、県民にかわって県の関係機関に説明を求めたり、関連文書や記録、資料などの閲覧、提出を要求できたりするほか、実地調査などを通じて県政への苦情の処理、苦情の背景にある制度の改善について勧告や意見表明などを行うのが任務となっております。川崎市は、一歩進んで市民オンブズマン条例を制定しています。管轄は、市の機関の業務の執行に関する事項及び当該業務に関する職員の行為とするとして、管轄外としては、判決、採決等による確定した権利関係、議会に関する事項、市個人情報保護条例に規定されている個人情報保護委員の職務に関する事項、職員の自己の勤務内容、市民オンブズマンの行為に関する事項となっています。
そこで私は、住民の監視機能を持ったオンブズマン条例を制定すべきであると提案したいのであります。徹底した情報公開に向けての決意とオンブズマン条例制定の提案に対するご答弁を総務部長に求めます。
次に、九七年度予算編成に向けて。
国の九七年度概算要求は、八月三十一日までに各省庁から大蔵省に提出され、総額八十一兆四千四百四十八億円となっており、十二月末の政府案決定まで予算要望、折衝などの予算編成作業が続くわけであります。県においても、来年度予算編成に向けて政府新年度予算へ三十八項目の重点要望、各部、各委員会内での予算案づくりに真剣に取り組まれていることと思います。
地方自治体の財政は、政府の地方財政計画に大きく依存しています。したがって、この地方財政計画の特徴を最大限活用することが必要となります。私どもは、地方財政の確立に向けて九七年度地方財政重点施策をまとめ、与党政策調整会議などの協議機関で政府案にできるだけ多く反映させるため努力を行っているところであります。
重点施策として、一、地方分権と住民の参加、協力、共同の自治体改革の推進のため機関委任事務制度の廃止、国の関与等の廃止、規制緩和、地方への権限移譲等地方分権の推進、住民投票制度、外部監査制度の導入、二つ目として、地方分権を保障する地方税財源の充実、自治体の財政需要を的確に反映させ、豊かで魅力ある地域社会づくりを進めるため、環境、リサイクル、森林、山村、農山漁村、教育、文化、スポーツ、情報化、国際化、防災、快適な都市生活環境づくり、高齢者に優しい町づくりの推進のための財源の充実を図る、三つ目として、地域福祉の推進のための財源の保障、公的介護保険の創設、新ゴールドプラン、障害者プラン、エンゼルプランなどの実施のための財源措置、四つ目として、環境と人に優しい地域公共交通の推進、排ガス抑制、省エネルギー、電気自動車導入など地域公共交通体系の確立、不採算バス路線、福祉バスに対する助成の強化、五つ目として、災害に強い安全な町づくりの推進、防災計画の改善、都市防災機能の向上など自治体の災害対策の充実、消防施設、設備の整備、消防職員の確保など消防力の充実強化、阪神・淡路大震災対策、O157対策、病院、学校等の給食などの整備のための財政措置など、その実現に全力で取り組んでいるところであります。
さて、知事は就任一年目の九六年度当初予算案の基本目標として、和歌山新時代の創造を実現するため、飛躍への基盤づくり、明るい社会づくり、活力ある産業づくり、快適な暮らしづくり、心豊かな人づくりの五つの政策目標を掲げ、交通ネットワークの整備、高齢化社会に対応して、安心して暮らせる社会づくり、産業の情報化、農林漁業の生産基盤、生活基盤の整備と充実、行政改革の一環としての組織の見直しを重点として取り組まれたのであります。二十一世紀を目の前にして、県民生活向上、福祉の充実のための施策を積極的に推し進めていかなければなりません。
そこで、西口知事の九七年度予算編成に当たる基本方針、重点施策の考え方についてお尋ねします。
最後に、学校における環境衛生管理の課題について質問いたします。
この夏、大阪堺市で発生した学校給食での病原性大腸菌O157の集団食中毒は全国的に広がり、多くの患者を出すと同時に、学校給食の衛生管理、地域経済に大きな課題を残しました。県内でも六十七名の患者が出ましたが、十月二十五日に全員完治しました。県は直ちに対策本部を設置し、患者の救済、学校給食の安全対策、中小企業への融資制度の実施など問題点の処理と対策を行ってきましたが、県経済に与えた影響は大きく、さらに阪和銀行の業務停止が追い打ちをかけ、地域経済に大きなつめ跡を残しました。
衛生の管理運営基準は厚生省の所管する食品衛生法で規定されていますが、文部省管轄の学校給食施設は食品衛生法の対象外となっているなど、法整備の不備も明らかになりました。また、学校給食は学校保健の学校における環境衛生管理基準で運営されていますが、今回の食中毒は学校給食の衛生管理の不備が感染拡大の要因の一つとして指摘されています。
さて、学校における環境衛生については、平成四年六月二十三日の文部省通知「学校における環境衛生管理の徹底について」で環境衛生の基準が全面的に改正され、それで運営されております。
文部省通知では、「一、学校においては、学校保健法第二条の規定に基づき、環境衛生検査について計画を立て、これを実施しなければならないこと。 二、環境衛生検査は、他の法令に基づくもののほか、毎学年定期に、飲料水の水質、水道等の施設・設備の衛生状態、浄化消毒等の設備の機能、その他学校保健法施行規則の定める項目について行わなければならないこと。 また、必要があるときは、臨時に行うとともに、日常、常に環境衛生の維持・改善を図らなければならないこと。 三、学校においては、環境衛生検査の結果に基づき、必要に応じて施設・設備の修繕等の事後措置を講じなければならないこと。 四、本基準に基づく環境衛生検査の実施、事後措置等については、学校薬剤師等の指導・助言を得ること。 五、学校給食の共同調理場においても、本基準『学校給食の食品衛生』を参考の上、環境衛生の徹底を図ること」などについて、知事は所管の私立学校へ、教育長は市町村教育委員会に対して趣旨を周知徹底することになっております。
学校環境衛生の基準は、照度及び照明環境、騒音環境及び騒音レベル、教室等の空気、温熱及び空気清浄度、飲料水の管理、施設・設備、学校給食施設、水泳プールの管理、排水の管理、机・いすの整備、学校の清潔、黒板の管理、水飲み・洗い口・手洗い場の管理、便所の管理、ごみの処理、ネズミ、衛生害虫等について、検査回数、検査事項、検査方法などが細かく規定されているのであります。
学校における環境衛生管理は基準どおり実施されているのか、教育委員会として指導・点検はどうなされているのか、お尋ねします。教育長に答弁を求めます。
次に、先ほど申し上げましたように、学校における環境衛生基準は十六項目にわたって細かく設けられています。私は、かねがね子供たちが泥んこで遊んでいる砂場は安全だろうか、大丈夫だろうかと思っていました。 そこで、保健体育課から「学校環境衛生の基準」を手に入れて調べてみると、砂遊び場の管理基準はありませんでした。また、県条例の「環境衛生」では、昭和四十二年に和歌山県魚介類行商条例が制定されていますが、砂場に関しては何の管理基準、規定もない状態であることが明らかになりました。
幼稚園、保育所、学校、公園、団地の公園の砂遊び場にはたくさんの子供が遊んでいます。小さいときから土となじむことは大変大切であります。しかし、砂場は犬や猫などの動物のトイレになっているのが現状です。恐らく、大腸菌などのばい菌が蔓延していると思われます。ペットブームの中で、ペットから感染する病気が近年増大化しつつあります。犬や猫の回虫は、ふんと一緒に排出され、人体に感染すると言われており、子供に被害が出ていると言われています。また、目や脳の神経に障害も起こし、失明の危険性があると指摘されています。砂遊び場の安全性について疑問が広がりつつあります。
砂場の安全性が問題となっている中で、文部省は平成八年九月二十四日に「砂遊び場(砂場)の衛生管理の徹底について(通知)」を発して、「一、砂場遊び等の際には、砂を口に入れないこと、及び、砂場遊び等を終えた場合は、速やかに石けんを使用した手洗いを行うよう指導すること。 また、砂場に持ち込む遊具等の衛生管理についても、適切な指導を行うこと。 二、(中略)砂場の衛生面における維持管理に十分留意すること。 三、砂場を使用していない場合には、必要に応じ、動物進入の防止のため、砂場にシートを被覆するなど適切な措置を行うこと」として、衛生管理を徹底するように要請しております。子供たちが安心して遊べるには、手洗いだけでは不十分であります。危険性のある条件を取り除くことが大切であり、砂場を清潔にすることが必要であると思います。
そこで、次のことについて要請並びに質問をいたします。
一点目は、砂遊び場の実態調査を行っていただくことを要請いたします。幼稚園、保育所、学校、都市公園、団地の公園等の砂場について、早急に環境衛生検査の実施を行っていただくことを強く要望したいと思います。
二点目は、環境衛生検査は来年四月までに終え、その結果に基づき、必要に応じて対策を立て、事後措置を講じること、そのために来年度予算で財政措置を行っていただきたいと存じます。
三点目は、子供たちが安心して遊べるように、砂遊び場の衛生管理基準を設けることを強く要請して関係部長の答弁を求め、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの東山昭久君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 東山議員にお答えをいたします。
まず、先般実施された衆議院総選挙についてでございます。
午前中、宇治田議員にお答えを申し上げたとおりでありますが、制度の是非を含め種々の意見があることは、十分承知をしておるところでございます。また、投票率の低下ということにつきましては、健全な民主主義の発展にとって好ましからざる現象であると私も危惧しておるところでございます。しかし、そういったことをも含めて、今後国政の場において十分ご議論いただけるものと思っておるところでございます。
次に、行政改革についてでございます。
県におきましては、ご承知のように、昨年十一月に行政改革大綱を策定いたしました。おおむね三カ年をかけて行財政運営全般にわたる総点検を行っているところでございます。
今回の行政改革は、地方分権の時代を迎えて、社会の変化に対応した簡素で効率的な行政を確立するために、本県の行財政運営全般にわたって県民の立場に立った見直しを主体的に行いまして、県勢の活性化と県民福祉の一層の向上を図ることができる行政体制を整備することを目的といたしております。
初年度に当たる本年四月には、こうした趣旨を踏まえて本庁組織の大規模な改編のほか、事務事業の見直し、人材育成のための研修体制の見直し等を実施したところでございます。来年度以降も、行政改革大綱の視点に沿いまして、県民から信頼される役割を果たし得る体制づくりを目指して、特に地方機関等の見直しを行うとともに、事務処理の迅速化や行政サービスの向上を図るために地方機関等への権限移譲を行ってまいりたい。そういうふうなことを中心にした積極的な見直しを行いたいと思っております。
次に、最近、報道等されている国家公務員による不祥事についてでございます。
全体の奉仕者であり、国民の福祉の向上に全力を注がなければならない立場にある者としては、あってはならないことだと考えてございます。また、地方自治体においても種々の問題が発生していることは、私も非常に残念に感じております。本県においては、かかることのないような適正な予算の執行に努めているところでございます。
なお、ご指摘の県立医大など本県職員に係る不祥事があったことについては、まことに遺憾に思っているところでございます。このことを厳しく受けとめて、全職員に対し、職場研修等あらゆる機会をとらえて、服務規律の遵守、綱紀の厳正保持の徹底を図るよう指示したところでございます。今後とも、県職員に対する綱紀粛正により一層努めてまいりたいと考えております。
さらに、公共事業の入札につきましては、その根幹である発注者は公正で中立であるという立場を堅持して取り組んでいるところでございますが、入札に伴う不正行為の防止につきましては、従来、綱紀の粛正に努め、その根絶を図っているところでございます。また、業者指導にも努めておるところでございます。
平成五年度に、信頼のできる業者を選ぶ、そして不正が起きにくいシステムを構築するために、土木部長を会長とする入札契約制度検討委員会を設置いたしまして、以来十二回の審議を重ねてまいったところでございます。その結果をもとにいたしまして、本年四月より一般競争入札及び公募型指名競争入札の実施をいたしまして、より一層の透明性、客観性、競争性の確保に取り組んでおるところでございます。今後とも、県民の信頼を失うことのないよう、不正を起こさないシステムの確立に向けてさらに努力を重ねたいと思っております。
次に、来年度の予算編成方針などについてであります。
現在、編成作業を進めているところでありますけれども、これに先立つ予算編成方針につきましては、来年度を財政構造改革元年にするんだという国の財政状況、あるいは厳しい概算要求基準、また同時に本県においても県税収入の動向や累増する県債残高等を踏まえて、経常的経費については昨年度と同様のシーリング一○五%を設定いたしまして、既存事業についてはそのうち九五%といたしております。また、投資的経費のうち県単独事業につきましては、実質的に前年度並みとなる要求枠一○二%の設定を行っているところでございます。
しかし、このような厳しい財政運営を余儀なくされている状況下にありましても、和歌山新時代に向けて着実に布石を打ち、未来への投資を進めていかなければならないこともまた事実であります。県行政として避けて通ることができない多くの課題もあるわけでありますので、このことに対しては志を高く持って、真正面から取り組んでいかなければならないと思っております。このために、私は県職員の皆さんにも、固定観念にとらわれない新しい発想を持って、真摯に行政の効率的運営に努め、それを来年度予算に反映するように強く指示しているところであります。しかし、こうした努力の上に立っても、なお県民の皆さんには辛抱をしていただかなければならない面も出てくるかと思うわけでありますので、皆様方のご理解とご協力をぜひお願い申し上げたいと思っております。
以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 東山議員の質問の、特別養護老人ホームの件についてお答えします。
一点目の今回の事件後における国からの県への指導については、現在、特段の指導は行われておりませんが、先般、厚生省内において綱紀粛正や制度面を含めた防止策を検討している旨の通知文が届いており、さらに新聞等により、採択の基準、選定の手続の見直しなどについても検討されていることを聞き及んでおります。また、特別養護老人ホーム建設に係る発注先については、社会福祉法人の経理規程に基づき入札により決定されており、さらに契約や工事についても竣工時に検査を実施しております。
次に運用については、毎年県が行っている実地による指導監査を通じ、適正な運営が確保できるよう指導しているところであります。
二点目の複数施設につきましては、社会福祉法人が複数の施設を経営することにより施設間の人事交流や経営の安定化などのメリットを生かす理念から、県内には複数の施設を経営している法人が幾つかございます。しかしながら、今回の事件のようなケースは特異なものと認識しておりますが、こうした問題も十分念頭に入れながら今後対処してまいりたいと考えております。
三点目の六月以降の特別養護老人ホームについての県の取り組みでございますが、今後の整備における条件を市町村に通知するとともに、箇所の選定については整備すべき圏域を決定し、その後、圏域で整備を必要とする特別養護老人ホームを推薦していただくなど、箇所選定について努力しているところでございます。
以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 情報公開とオンブズマン条例についてお答えします。
まず情報公開についてでございますが、平成五年三月に公文書の開示に関する条例を制定し、また平成七年十一月から幅広く県民からの提言を受け入れ、県政に反映することを目的に、ファクスによるきのくにホットライン、パソコン通信によるパソコンホットラインを設け、開かれた県政の推進に努めているところでございます。
情報公開制度は、基本的には公開を原則としているところでございますが、ご承知のように、行政情報の中には個人のプライバシーの保護を初め、第三者の権利、利益の保護や公正かつ円滑な行政運営の確保等の観点から公開に適さない情報も含まれてございます。条例上も公開の原則に対する例外的な措置といたしまして、必要最小限の範囲で非開示事項が規定されているわけでございますが、条例の解釈、運用に当たっては、開かれた県政の推進のため、県民の公文書の開示を求める権利を十分に尊重し、適正な運用に努めてまいりたいと考えてございます。
次に、議員ご提案のオンブズマン条例についてでございますが、現行の監査委員の権能との問題等、制度上の整理が必要なところであり、今後の課題と考えてございます。
以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 東山議員にお答えします。
砂遊び場(砂場)の衛生管理についてでございますが、都市公園は、ゆとりと潤いのある生活環境を形成するため、スポーツ、レクリエーションの場として整備を進めており、安全で快適な利用が図れるよう管理に努めているところであります。
ご質問の都市公園等の砂場について、衛生管理基準として策定されたものはございませんが、毎日の清掃業務の中で点検やごみの除去等に努めるとともに、公園内での犬の放し飼いの禁止等により衛生管理に努めているところです。これにつきましては財政的措置を考慮しなければなりませんが、砂遊び場の実態調査については実施するように考えております。また基準等については、今後の課題として検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校における衛生管理についてでございます。
学校保健法に基づく学校環境衛生の基準によりまして定期検査や臨時検査を行い、望ましい環境の維持、向上に努めているところでございます。
議員ご指摘の砂遊び場の衛生管理につきましては、学校環境衛生の基準において、これまで具体的に示されていなかったこともあり、本年九月、文部省から「砂遊び場(砂場)の衛生管理の徹底について」の通知が出されました。これを受けて、各学校に対し周知徹底を図ったところでございます。さらに、実態把握のためのアンケート調査も実施いたしました。その結果、各学校では、シートをかけるなど犬や猫の侵入防止や朝夕の点検、清掃、消毒など、衛生管理に努めてきております。また、児童生徒には砂遊び後の手洗いの励行等の指導も行っているところであります。
学校における砂遊び場の汚染状況の調査につきましては、今後、文部省通知を踏まえ、財政措置をも考慮しなければなりませんが、実施してまいりたいと考えます。
砂遊び場の環境衛生基準を設けることにつきましては、教育委員会としても強い関心を持っておりまして、去る十二月五日の近畿学校体育スポーツ主管課長会議においてもこれを議題として協議いたしましたし、今後も国に対して働きかけてまいりたいと考えます。
以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(下川俊樹君) 以上で、東山昭久君の質問が終了いたしました。