平成8年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 ただいま議長からお許しをいただきましたので、あらかじめ通告をいたしております三点について、順次、ご質問を申し上げます。
 初めに、関西国際空港に関する諸問題についてであります。
 先ごろ、フィリピン・マニラにおきましてAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が開催されました。この会場の一つとなったのがスービックであります。かつて米軍のアジアにおける重要な基地として知られ、面積は、陸地百四十五平方キロメートル、水面百五平方キロメートル、合わせて二百五十平方キロメートルで、我が国の横須賀海軍基地の約二十四倍の広大さを誇ると言われておりました。首都マニラの西北西約八十キロメートルの近距離に位置し、絶好の立地条件であることも手伝いまして、九二年三月、当時のアキノ大統領が基地転用開発法を承認、同年九月、ラモス大統領がスービック自由港設定を国家の優先事業とする旨を宣言、スービックをフィリピンにおける国家経済立て直しの切り札として、総力を挙げてこの開発に取り組んでいると聞き及んでおります。
 開発といっても、本来、米軍基地として港湾、空港、道路、電力、上下水道、公園、運輸・通信といったインフラはすべて完備しており、加えてゴルフコース、サッカー場、プール、体育館、劇場などのスポーツ・観光施設からホテル、病院、教育施設、住宅などまで、すべてが整っていると言われているのであります。
 フィリピン政府は、落ち込みの激しい経済の巻き返しのために、このスービックに内外の企業の誘致を奨励し、国税、地方税などあらゆる税の原則免除、通関、外国為替管理などでも最大限の優遇措置を講じているのであります。信頼すべき筋の話によれば、フィリピン政府は特に関西などの先端技術を有する優良中小企業の進出を歓迎しており、スービックの元米空軍基地を国際空港として再開発し、我が国の全日空等に働きかけて関西国際空港との定期便の就航を目指すなど、フィリピンの新しい空の玄関口として大きな期待を寄せているとのことであります。
 私はこの話を聞いておりまして、台湾の新竹工業団地のことをとっさに頭に思い浮かべました。新竹工業団地は、台湾が国家の威信をかけてアメリカのシリコンバレーを模範に先端産業の一大基地にしようと取り組んできたものでありまして、今や台湾経済の心臓として機能しているところでございます。スービックはまさにフィリピンにおける新竹工業団地であり、将来、大きく発展していくことであろうと想像いたします。すなわち、アジアのハブ空港を目指す関西国際空港に好敵手がもう一人あらわれたということになるのであります。シンガポール・チャンギ空港、韓国の新ソウル国際空港、中国の上海浦東新国際空港、香港のチェク・ラップ・コック空港、タイの第二バンコク国際空港、マレーシアのセパン新空港、そしてスービック空港であります。
 さて、関西国際空港も二期工事に着手することになりました。そこで、関西国際空港に関する諸問題について、以下、数点お尋ねをいたします。
 第一に、二期工事の早期着手と完成についてであります。
 既にご承知のとおり、第一期工事は、当初、平成五年完成の予定が地盤沈下等を主な理由に一年完成がおくれたわけであります。熾烈なアジアのハブ空港争いにおくれをとることのないように、また金利の増加や関西経済全体に及ぼす影響などからして、二期工事はいささかもおくれが許されないと思いますけれども、西口知事、この点についていかがお考えであり、国等への働きかけなど、どう取り組んでいかれるおつもりでございましょうか、お答えを賜りたいと思います。
 第二に、国の一般会計からの空港整備特別会計への繰り入れ増加についてであります。
 この点に関しましては、過去何度となく大蔵・運輸両省等、申し入れをしてまいりましたし、訴えてまいったところであります。道路整備、下水道、治水、住宅対策、農業農村整備などの特別会計に比べて余りにも繰入額が少ないのであります。空の時代と言われ、二十一世紀にはますます空港の整備が不可欠となってまいることは火を見るよりも明らかであります。経済活動、観光、人的交流、文化交流等のさらなる進展に伴い、空港の整備充実が安定的、継続的に十分に行われますよう、一般会計から空港整備特別会計への繰り入れを増額すべきであると私は考えます。
 そこで、企画部長、大蔵・運輸両省など関係方面への働きかけなど、今後の対応についてどのように取り組んでいくおつもりでありますか、お答えを賜りたいと思います。
 第三に、国際便、国内便の乗り入れ便の充実についてであります。
 関西国際空港の開港当初は、国際便が二十一カ国・地域、四十四都市、四十三便、国内線が二十四都市、六十七便から、今年秋には、国際線が三十四カ国・地域、七十四都市、七十二便、国内線が三十三都市、八十四便へと、順調に実績を伸ばしてきたところであります。
 しかしながら、当初の計画と違い、大阪空港が存続となったことが主な理由となって、発着時間帯などの面で関西国際空港利用客の間に根強い不満の声があるのであります。今後、利用頻度の高い時間帯の増便を中心に、さらなる乗り入れ便の充実に取り組まなければなりませんが、駐機スポット、ターミナルビルの整備拡充などの問題も含めてどのような取り組みをしていくべきであると考えておられますか、企画部長にお尋ねをいたします。
 第四に、神戸沖空港問題と大阪空港の存廃についてであります。
 本年十一月、神戸市はポートアイランド沖に計画している神戸沖空港の設置許可を正式に運輸省に対し申請すると表明いたしました。もちろん、兵庫県や地元財界が全面的にこれをバックアップしていることは言うまでもございません。順調にいけば九八年には着工、二〇〇四年秋の開業を目指すとのことであります。
 そこで問題となるのが、大阪湾上空の過密化という問題であります。関西国際空港、大阪空港、神戸空港の三空港に離発着する飛行機が大阪湾上空で錯綜することも十分考えられるわけであります。したがって、神戸沖空港の建設は大阪空港の廃止を大前提としなければならないと私は考えますけれども、企画部長、いかがでありましょうか。
 第五に、先ごろ運輸省から和歌山県など関係方面に対しまして、関西国際空港離発着機の飛行ルートの変更について説明があり、本県と大阪、兵庫の三府県で共同の申し入れをされたと聞いておりますが、このことについてこれまでの経緯と今後の対応について企画部長に答弁を求めます。
 第六に、二期工事用土取り問題についてであります。
 二期工事のための必要土砂量は、一期工事の約一・五倍の二億五千万立方メートルと言われております。既に候補地として大阪府は泉南郡岬町、兵庫県は淡路島とされておると聞いておりますが、本県はいずれの地から土砂を搬出することになるのか。また、その方式や事業主体の問題等、幾つかの関門をクリアしなければなりません。このことについて既にマスコミの一部で、民間委託方式に決まったとか、第三セクター方式で実施するとかといった報道が行われており、あたかもそのとおり決定したかのような印象を県民に与えた向きがあります。まるで県当局か関空会社が記者発表でもしたかと思われるような内容もありました。しかし、現実にはまだ何も決定したわけではないと聞いております。事は極めて重大な問題であり、一期用土取り事業の経験と反省に立ちどう取り組んでいかれるのか、西口知事のご存念を承りたい。また、あわせて土砂単価の問題はどうなっているのか、お答えいただければ幸いであります。
 第七に、南ルートの問題であります。
 去る十一月十四日、県議会関西国際空港対策特別委員会の東京陳情の席上、南ルートの実現について運輸省の鈴木関空課長は、関空会社が主体でルート整備を行うことは困難であり、地元が検討されることは有意義だとの見解を述べておられました。要約すれば、国は知らない、地元で勝手にやれということに聞こえます。
 そもそも関西国際空港は、成田空港と並んで我が国の空の表玄関であり、国の基幹施設であります。本来は国の予算と責任において関西国際空港の整備に当たるのが当然であり、関空会社などという特殊会社をひねり出して地元に費用負担を過剰に押しつけること自体、間違っていると私は思います。このことは、きょう横に置いておきたいと思いますが、関西国際空港が国の重要な基幹施設であることはだれ人たりとも否定できない厳然たる事実であります。したがって、一日たりともその業務が停滞することは許されません。
 ところが、開港以来、道路部で平成六年九月二十九日、平成七年一月十七日、平成八年八月十四日の三度にわたり、台風や大震災の影響によって通行どめとなりました。鉄道部門に至っては、平成六年九月二十九日に台風二十六号の影響で五時間三十八分運転停止となったのを皮切りに、今月十二月一日の運転停止まで二十六回、実に合計五十九時間十二分にわたって列車がストップしたのであります。この間の利用者の不便や経済的マイナス、関空イメージの悪化などは申すに及ばず、阪神大震災の教訓に学ぶまでもなく代替ルートの必要性が焦眉の急であることは論をまちません。橋梁方式の弱点にかんがみ、沈埋トンネル方式等による南ルートの実現にぜひとも取り組むべきであると思いますが、いかがでありましょうか、企画部長からお答えをいただきたいと思います。
 次に、阪和銀行問題についてであります。
 去る十一月二十一日、和歌山市に本店を置く阪和銀行が大蔵大臣より業務停止命令を受けたことが報じられるや、瞬く間に衝撃が県内を駆けめぐりました。バブル崩壊以降、実に多くの企業倒産の報道がなされ、それこそ毎日のように報じられたかの印象があります。しかし、銀行だけはつぶれないというのが世間の常識であり、国民大多数もそう信じていたと思います。ところが、ここ数年、この神話が崩れ、金融機関の不祥事が相次いだのであります。
 バブル華やかなりしころ、土地やマンションといった不動産、株、ゴルフ会員権の売買が巨大な利益を生むというシステムができ上がり、不動産業者や証券会社、ゴルフ会員権ショップのみならず、一般企業や個人、果ては家庭の主婦までもが、砂糖に群がるアリのように、不動産、株、ゴルフ会員権の売買に血道を上げました。そして、バブル崩壊とともに、企業は倒産、個人は家庭崩壊という悲劇につながっていくのであります。
 本来、銀行は、銀行法第一条に記されておりますごとく、業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適正な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とするものであります。特に地方銀行は、地域との密接な関係性からして地域経済の安定と発展のために不可欠の存在であり、まさに地域経済界の信用のシンボル的な立場にあるものとして、だれもが信用してまいりました。しかし、バブル御三家とも言うべき不動産、株、ゴルフ会員権の売買に関しましては、すべてとは言いませんけれども、銀行の一部がその売買の一翼を積極的に担い、マネーゲームの狂騒曲を奏で、企業や一部個人の投資をあおったのであります。固有名詞は申し上げませんが、これらのたぐいの話を私のみならず多くの人が耳にし、目の当たりにされたと思います。中には、これら不動産、株、ゴルフ会員権の入手や売買のノウハウを記したパンフレットを作成して積極的にばらまいていた銀行があったことを、この際申し上げておくにとどめておきたいと思います。
 以下、何点かにわたりお尋ねをいたしますが、先ほど同僚・宇治田議員が多岐にわたってご質問をされましたので、なるべく重複を避けて申し上げたいと思います。しかしながら、問題の重要性にかんがみ、一部重複することもあろうかと存じますけれども、どうか当局におかれましては懇切丁寧に真摯な答弁を賜りたいと存じます。
 阪和銀行の業務停止によって、同行と取引関係にありました中小企業や商店などを中心に、県経済全体に与える打撃は少なくないものと思われます。年末の資金需要の高まりを考えますと、親しく取引していた阪和銀行であれば可能であった融資も、面識のない他行との新しい取引関係では融資が実行されにくいことが十分予測されます。したがって、資金繰り悪化等に伴う連鎖倒産の心配も懸念されるところであります。ただいま、宇治田議員の質問に対する答弁にもありましたけれども、あえてお尋ねをいたします。
 この阪和銀行の業務停止によって、善良で健全な中小企業の皆さんに一人の犠牲者も出してはならない。そのためにも、県はその総力を挙げて支援のためのあらゆる方策を講じるべきであると思いますが、どうでしょう。対策本部長であり、ご苦労いただいておりますが、出納長の答弁をお願いするものであります。
 また、県民生活全般に及ぼす影響も深刻であります。一万一千人と言われる年金受給者はもちろんのこと、阪和銀行に口座を設け、ここを窓口として各種手当等を受けておられた人たち、特別障害者手当、児童扶養手当、在宅重度障害児福祉手当、原爆被爆者各種手当、母子寡婦福祉年金、福祉資金、それに生活保護費等の受給者たちが受ける不便、影響などについて、口座の変更がどの程度進んでいるのか。先ほど約一万件とおっしゃっておられましたけれども、これらの受給者全員が支障なく口座変更ができるようになるのか。例えば、地域によりましては、生活範囲の中に阪和銀行しかなく、他の金融機関への口座の移行が難しい人が出てくるおそれはないのか、きめ細かな対応が望まれるところであります。そこで、これも出納長から、これらの人々に対する支援策並びに現状についてお答えをいただきたいと思います。
 ところで、今月三日、阪和銀行と取引関係にあったとされる関西相互住宅が自己破産を申請し、事実上、倒産をしたことが報じられました。この会社は、県知事認可の積立式宅地建物販売業法に基づく宅建業者で、一部には高利率をえさに金融機関まがいの金集めをしていたとの情報もあり、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律、いわゆる出資法に抵触するのではないかというおそれも指摘されておりましたが、同法違反の容疑で、先ほど県警本部長からも答弁がありましたとおり、橋本社長、岩清水専務等を逮捕、関係先を家宅捜査することで新しい段階に入りました。本来の目的である宅地建物の契約もせず、金融機関がわりに金を預けていた者も多いといううわさでありますけれども、当局はこの実態についてどこまで掌握しておられるのか、また、正規の契約を交わし、マイホームの夢を託していたまじめな人たちの救済についてどう対処していくおつもりであるのか、土木部長の答弁を求めます。
 大蔵大臣の阪和銀行に対する業務停止命令が出されて以来、限られた範囲でありますけれども、私なりに聞き取り調査をしてまいりました。その結果、浮かんできた問題が一つあります。それは、業務停止命令が出る直前まで行員が動員され、新たな預金獲得をしていたことであります。一部の行員が自発的意思で動くならともかく、かなりの数の行員が募金に動員されていた節があります。これは経営陣の指示などがあったのではないかというのが、これら中小企業経営者らの率直な意見であります。銀行法第二十五条による立入検査を受け、その後、大蔵省の指導監督を受けていた経営陣は、このような事態に立ち至ることも十分予測できたはずであります。このことについて、大蔵省の立入検査以来の経過も含め、この際、ご答弁いただければ幸いであります。
 今、県民の間には、阪和銀行の業務停止以来、他行への影響を心配し、同様の事態に立ち至るおそれはないのかといった不安が広がっております。県民の皆さんの心配を払拭するために、県内の他の金融機関の中に阪和銀行の業務停止の影響を受けるおそれのあるところはないのか、商工労働部長にお尋ねをするものであります。
 さて、県当局におかれましては、業務停止命令後、直ちに対応をされ、対策本部が設置されたところであります。対策の一つとして、特別緊急融資を開始されたことはご承知のとおりでありますが、この措置によって救済される中小企業もかなりあると思われます。しかし、事業規模によりましては、この上限三千万円では不足を招くところもあるのではないかと思います。この際、融資限度額の大幅引き上げと、加えて利率の引き下げ、据置期間の延長など、事の重大性にかんがみ実施される考えはないのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 次に、数日前の新聞にこのような記事が掲載されておりました。恐らく、銀行員として入社以来、仕事一筋に打ち込んできた人であろうと思われますけれども、大多数のまじめな行員の苦悩と不安を如実にあらわすものとして読んだ次第であります。内容については省略をさせていただきます。まじめに銀行員として業務に取り組んできて、今、業務停止の命令を受けて、もう何もかも疲れてしまったという、そういう苦悩がありありと読み取れる文面でありました。
 ところで、関連会社を含めますと九百人になんなんとするこれら従業員の再雇用問題につきまして、家族を含めれば恐らく三千人前後になるのではないか、そのように私は思います。大多数の行員、従業員は、就職以来、まさにまじめに仕事一筋に打ち込んできた人たちであろうと思います。バブル時のマネーゲームに踊らされ、銀行本来の使命、目的を忘れたごく一部の首脳陣が引き起こした経営破綻のために、これらまじめな行員、従業員の中に一人も犠牲者を出してはならないと私は思います。この点に関しましても、先ほど宇治田議員の質問に対し、県としても今後の雇用の確保に大きな懸念を抱いており、大蔵大臣、銀行局長に雇用問題についても積極的に対応するよう強く要請したところであるとの知事答弁がございましたけれども、あえて再度お尋ねをいたします。再雇用問題について、大蔵大臣への、あるいは銀行局長への強い要請以外に何か方策はないのか、商工労働部長からお答えをいただきたいと思います。
 この問題の最後に、九百人近い行員、従業員はもちろん、取引関係にあった中小企業者の中の多くに、みずからの意思であるとないとにかかわらず、おつき合いや義理に絡んで阪和銀行株を持たされていた人たちが非常に多いと聞き及んでおります。今や紙切れ同然という声もありますが、この阪和銀行株の問題について県民の関心も非常に高いところから、今後どのような推移が考えられ、対策方法等があるのか、救済方法があるのか等、商工労働部長のお答えをいただければ幸いであります。
 第三の質問、福祉の町づくりに移らせていただきます。
 二十一世紀を目睫の間に控えて、障害者の皆さんが健常者と同じく自由に活発に社会生活活動を営めるよう、いわゆるバリアフリーの町づくりを目指して、和歌山県福祉のまちづくり条例が平成八年十月十一日に公布をされたところであります。私も当時、県議会厚生委員長として、県知事の諮問を受けて設けられました和歌山県福祉のまちづくり推進検討委員会の一員として、都合六回にわたる会議に出席をさせていただき、可能な限り意見を申し上げたところであります。あの委員会の席上で述べたことですべて尽きておるわけでありますが、あえてこの際、この席上で二、三点申し添えたいことがありますので、質問をいたすものであります。
 第一に、今回、この条例を制定するに当たり、西口知事としてはどういう方針に基づいてどのような理想を持って事に当たられてきたのか。私は検討委員会の席上でお聞きしておりますけれども、できればこの席で百八万県民に向かって再度、取り組む姿勢や決意を披瀝願えれば幸いでございます。全国的にも今、各都道府県におきまして同じく町づくり条例等が制定されつつありますけれども、本県は高齢先進県でもあり、知事選での西口知事の百三十六の公約の柱の一つにもあったと私は記憶しております。全国四十七都道府県の手本となり、先進県として障害者の皆さんのための福祉の町づくりのモデルケース実現に向かう知事の心意気を聞かせていただきたいと思います。
 第二に、今般の条例では、公共的施設などに対する整備基準が定められております。官公庁、病院、デパート、銀行、レストラン、ホテルなどの建築物から鉄道の駅舎、バスターミナル、プラットホームなどの交通機関、それに道路、公園など、多くのところで障害者のための施設整備が進められることとされております。しかし、一方、現実を眺めてみますと、ごく一部の施設以外、ほとんど障害者のための施設はないに等しく、いわゆるバリアだらけの現状であります。
 例えば、目の不自由な人のための点字案内板、点字ブロック、声の案内、聴覚障害者のための光の案内、体の不自由な人のためのエレベーターやスロープ、手すりなど、枚挙にいとまがありませんが、これら今挙げた幾つかをとっても、現在設置されているのは県民文化会館や市民会館、体育館、図書館、美術館などのごく一部の公共施設のみであります。まさに、県内どこに行きましても、障害者にとってはバリアだらけなのであります。
 そこで、お尋ねをいたします。これらの現状を踏まえ、それぞれバリアフリーの町づくりを目指してどう精力的に取り組んでいくのか。ハード面は土木部長から、ソフト面は福祉保健部長からお答えいただければ幸いであります。
 最後に、障害者のための設備の一つとして点字ブロックがございますが、これを例にお尋ねをいたします。
 過去に何度か、目の不自由な方が駅のホームから転落し、入ってきた電車にひかれて亡くなるという何とも痛ましい事故が報道されておりました。まことに悲しいことであります。目の不自由な人にとっては、一歩家を出れば点字ブロックは歩行のための案内標識であり、命綱ともなるものであります。ところが、この点字ブロックが設置されているところが非常に少ない上に、設置の仕方もまちまちであります。加えて、点字ブロックそのものが全体の大きさや突起の形状、色など、メーカーによってまちまちであり、同一メーカーでも異なっている場合もあるのであります。これでは、目の不自由な人たちに迷うなというのが無理であり、混乱の原因ともなっているのではないかと思われます。健常者の私たちには大した違いには見えない差異でありましても、目の不自由な人たちの繊細な感覚には大きな違いに感じられ、戸惑い、混乱のもとになっていると断ぜざるを得ません。目の不自由な人たちが、県内どこにあっても、また全国どこに行っても安心して頼れるような、そうしたきちっとした規格のもとに統一を図るべきであると思います。
 今、世の中は規制緩和へと大きな潮流で流れておりますけれども、こういうことこそ逆に、寸分違わない規制のもとに規格の統一を図るべきであると私は思います。このことについて、全国に先駆けて運動を起こすとともに、国に対しても強く働きかけをすべきであると思いますが、土木部長のお答えをいただきたいと思います。
 以上で、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 森議員にお答えをいたします。
 まず、関西国際空港の二期事業についてでありますけれども、この二期事業については平成八年度政府予算において着工が認められたわけでありまして、現在、平成十年度末の現地着工、さらに平成十九年の滑走路供用を目標にいたしまして、事業主体である関西国際空港株式会社及び関西国際空港用地造成株式会社が実施設計調査を鋭意進めておるところでございます。
 二期事業では、地盤沈下の問題も含め、一期事業の経験や実績を十分に踏まえて計画の策定が進められてございまして、事業期間につきましても一期のときのようなおくれは生じないものと聞いてございます。県といたしましても、二期事業が平成十九年の供用開始に向けて円滑に推進されますように、地元として積極的な協力をいたしますとともに、議員のお話にございましたように、関西国際空港がアジアの各空港整備におくれをとらないように、関係府県と連携をしながら事業予算の確保等について国へ働きかけてまいりたい、そのように考えております。
 次に、関西国際空港二期事業に係る土砂供給につきましては、これまた一期の経験あるいは反省の上に立ち、さらに今日の社会経済状況などを踏まえまして、現在、関係部局におきまして、環境問題、住民のコンセンサス、事業の採算性等を十分に考えながら、事業主体や採取場所等の検討を進めておるところでございます。今後、関係機関とも協議をしながら、最終的な検討の詰めを急ぎたいと考えております。
 また、土砂の単価につきましては、事業主体が決定した後の問題になると存じますけれども、事業主体が事業としての採算性、あるいは環境保全対策等を十分考慮しながら、関西国際空港用地造成株式会社と交渉することになると思います。
 次に、福祉の町づくりについてであります。
 これは、私が県政を担当するに当たり申し上げていることでありますが、和歌山に住むすべての人々が、どの地域にあっても、どの立場にあっても、和歌山に住んでよかったというふるさとをつくることが県政終局の目的であろうということを申し上げてきたわけであります。そういった意味で、障害のある人もない人も、ともに住みなれた地域で生きがいのある自立した生活ができ、さらにみずからの意思で自由に行動し、主体的に社会参加ができる福祉社会を実現することが最も重要であろうと考えております。
 そのためには、議員お話しのように、障害者を取り巻くさまざまなバリアを取り除くとともに、町に住んでいる人々の温かい心が通い合う社会をつくること、さらにお互いの人格が尊重され、ともに生き、交流を深めることができる町づくりを進めることが必要であろうと思います。
 こうした趣旨を踏まえまして、さきの九月定例会でご承認をいただいた和歌山県福祉のまちづくり条例を制定したところでございます。議員お話しのように、障害者の視点に立って進める町づくりは、高齢者を初めとするすべての人々にとっても住みよい町づくりにつながるものであろうというふうに考えておるところであります。
 今後とも、障害者の方々のご意見をお聞きしながら、県、市町村並びに事業者や県民の幅広いご参画をいただきまして、福祉の町づくりの一層の推進のために先頭に立って頑張ってまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(町田 亘君) 出納長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○出納長(高瀬芳彦君) 阪和銀行問題についてお答えいたします。
 まず、中小企業者を初め県経済に与える影響についてでございますが、同銀行は県内に三十二店舗を有するなど、地域に密着した金融機関であり、また、年末を控え資金需要が高まってくることを考えますと、県経済に及ぼす影響が懸念されるところでございます。
 県といたしましては、阪和銀行と取引のあった県内中小企業者が資金繰り等に支障が生じないよう、政府系金融機関を初め、県内の金融機関へ協力を要請したところでございます。また、五十億円の特別対策融資制度を創設するなどの措置を講じたところであり、融資の実行に当たっても早急な対応ができるよう心がけるとともに、関係金融機関とも十分連携をとりながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、県民生活への影響についてでございますが、年金等の振り込み口座の変更については、速やかに関係各部並びに県事務所で県民の方々に周知徹底を行うとともに、テレビ、ラジオ等による広報に努めたところでございます。その結果、現在の時点では口座変更の手続も大部分が完了し、鎮静を見たところでございます。
 また、年金につきましては、最寄りの他の金融機関がない方々については郵便局を通じて支払いを行う措置を講じるとともに、十二月十三日の支給日が十二月二十五日になりますので、この間の生活対策としてつなぎ融資等の協力依頼を行った結果、和歌山銀行協会等、県内金融機関で実施されることとなってございます。
 また、生活保護費については口座変更が間に合わなくても受給日に福祉事務所、もしくは町村の窓口で受給できるよう対策を講じたほか、特別障害者手当、児童扶養手当、失業等給付などについても口座変更の手続をするよう周知徹底を図り、給付日に受給できるよう対策を講じているところでございます。
 今後とも、中小企業者を初め、県経済の安定並びに県民生活のため適切に対処し、できる限りの努力を行っていく所存でございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 森議員にお答え申し上げます。
 一般会計からの空港整備特別会計への繰り入れの増加についてのご質問でございますが、昨年八月に出されました航空審議会の第七次空港整備五カ年計画の基本的考え方、いわゆる中間取りまとめにおいて、増大する空港整備費について、これまでのような利用者負担を中心とした財源確保では対応できなくなっており、今後は一般財源の拡充を含めた所要の財源確保に取り組むことが必要であるという考え方が示されてございまして、運輸省におきましてもこうした考え方に沿って財政当局との折衝を行っていると聞いてございます。
 県議会におかれましては、平成五年十二月に空港整備財源の拡充に関する意見書を決議されるとともに、国に対し積極的に要望していただいているところでございます。また、県といたしましても今月初めの政府要望の際にも強く訴えたところでございますが、今後とも県議会のご協力を賜りながら、関係府県とともに働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、国際線、国内線の乗り入れ便の充実についてでございますが、関西国際空港への乗り入れ便をふやすためには、空港の処理能力を高める必要があることは議員ご指摘のとおりでございます。そのため、二期事業と並行して平成七年度から一期パートツー事業として既存施設の能力増強等を進められているところでございます。国の来年度概算要求においては、今年度に着手している北地区のエプロン及び旅客ターミナルビルの拡張を継続するとともに、今後の需要増に対応するため、南地区のエプロン及び旅客ターミナルビルの拡張に着手する経費等が盛り込まれてございます。
 県といたしましては、一期パートツーに係る事業費についても応分の負担を行うとともに、関西国際空港が国際ハブ空港としての機能を十分発揮できるよう、路線、便数のさらなる充実に向けて、国等関係機関に働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、神戸沖空港の建設は大阪空港の廃止が条件であるとのご質問でございますが、国においては、関西国際空港は国際線、国内線の基幹空港、大阪国際空港は国内線の基幹空港として、神戸空港は神戸を中心とする都市圏の航空需要の一部を担う第三種の地方空港として、三空港の基本的な機能分担を位置づけているものと考えてございます。
 七月二十三日、運輸省からの関西国際空港における飛行経路の現状と問題点についての説明を受け、関係府県である大阪府、兵庫県とともに、運輸省の考え方を確認するための質問事項を去る十一月二十五日、三府県担当部長名で運輸省航空局飛行場部長あて文書照会したところでございます。この質問事項の中に、大阪国際空港の存続と関西国際空港の飛行経路の問題点の関連性、及び神戸空港の空域確保と関西国際空港の飛行経路の問題点との関連性について質問してございますので、これが回答内容を踏まえ、関西国際空港の機能が損なわれないよう適切に対処してまいりたいと考えてございます。
 次に、飛行経路についてのご質問でございますが、先ほど申し上げましたとおり、現状と問題点についての理解を深めるとともに、運輸省の考え方を確認するための質問事項を運輸省航空局飛行場部長あて文書照会をしたところでございます。本県としては、航空機による騒音問題が生じない空港づくりという従来からの基本的考え方が堅持されること、及び関西国際空港を国際ハブ空港として整備していくことが重要であると考えてございます。
 最後に、南ルートの実現についてでございますが、本県からの空港アクセスの利便性向上、あるいは太平洋新国土軸との連携、さらには阪神・淡路大震災の経験を踏まえての代替ルート確保等の観点から南ルートの必要性は認識しており、先般の国への要望の中にも盛り込んだところでございます。
 南ルートの具体化につきましては、技術面、採算面、事業主体、関係住民の意向等、さまざまな問題があろうかと存じますが、今後、大阪府及び関係市町村と連携を図りつつ、引き続き国に働きかけてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 森議員の関西相互住宅問題についてのご質問にお答えします。
 まず、債務の実態についてでございますが、これにつきましてはまだ把握いたしておりません。今後、業法に基づき積立金等保全措置を行っている営業保証金の配当権利の確認をしてまいることになりますが、その中で権利の調査を実施し、実態の把握を行うとともに、内容についても判断してまいりたいと考えております。具体的な考え方につきましては、今後、破産管財人と連絡をとりつつ進めたいと考えております。
 この件に関しましては、基本的に民事で解決されるべきものであり、県としては積立式宅地建物販売業法に基づき、定められた販売契約に係る債権者に対して配当することを行ってまいりたいと存じます。
 次に、福祉の町づくりについてのご質問にお答えします。
 まず、バリアフリーの町づくりにつきましては、現在、道路、建築物等における段差解消や歩道の拡幅、建築物出入り口におけるスロープ、エレベーター、障害者用トイレ等の整備を促進しているところであります。今後は、福祉のまちづくり条例の制定を受け、国や市町村とも連携を図りながら、障害者、高齢者等がみずからの意思で自由に行動し、安全かつ快適に利用できるよう施設の整備に一層努力してまいります。
 次に、点字ブロックの規格の統一についてでございますが、機能的には一貫性のあるように設置しているところでございます。ただ、同じ機能を持つブロックでも、設置する場所により、大きさ、点字等の形状、色などが異なっているところがあるのはご指摘のとおりであります。
 これらのブロックはそれぞれ特徴があり、すべて同一のものに統一するのは困難でありますが、視覚障害者の方々の立場に立って、より一層安心、信頼して歩行できるよう、設置場所、状況等に応じてできる限り標準化に努めてまいるとともに、国に対しても要望してまいります。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 商工労働部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 阪和銀行問題について、お答えをいたします。
 業務停止直前まで預金獲得が行われていたことについてでございますが、ご承知のとおり、同行は大蔵省の指導監督のもとに銀行業務を行っているところでございますので、ご理解をいただきたいというふうに思います。
 次に、県内他行への影響はないかということでございますが、本年六月、ご承知のように金融三法が成立し、新たな金融システムの枠組みができたところでございますが、各金融機関においては、こうした制度を踏まえて、現在、経営の健全性確保に向けて最大限の努力がなされていると認識いたしてございます。
 金融機関のうち、銀行及び信用金庫については国が、また県信など県内四つの信用組合については県が、それぞれ検査、指導を行って経営状況を把握しております。今回の阪和銀行の影響でございますけれども、県内各信用組合については平常業務に混乱は見られませず、特に大きな影響はないものと判断してございます。
 次に、特別緊急融資の限度額の拡大、利率の引き下げ、据置期間の延長についてでございます。
 今回の特別融資制度は、中小企業者の緊急の運転資金、つなぎ融資等に対応する目的で創設したものでございます。融資限度額については、従来の一般振興資金の運転資金の平均利用実績が一件当たり九百万円程度であること、また年末を控えて短期の運転資金の需要が多くなるという見通しで、その限度額を三千万円としたところでございます。十二月五日現在、六十二件の申し込みがございましたが、一件当たり平均約二千百万円となってございまして、中小企業者の当面の資金需要に対応できているものと考えてございます。
 しかし、経営規模等により多額の運転資金を必要とする企業も考えられますので、この特別対策資金以外にも一般振興資金との併用や政府系及び地元金融機関との協調のもとに、これらに対応してまいりたいと考えてございます。
 また、利率の問題でありますが、短期運転資金として一般制度融資より低い二・五%に設定するとともに、県の保証協会の協力を得て、保証料を本年度、通常〇・七%を今回は〇・五一%と引き下げております。なお、据置期間についても、一般的な運転資金では設定しておりませんが、この特別対策資金では負担の軽減を図るため六カ月以内と設定し、償還期間については短期の運転資金という性格でございますけれども、五年間という、やや中期的な期間としたところでございます。県の保証協会、銀行等金融機関の協力もいただきながら、事務処理の迅速化を図り、早急な融資実行に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、関連会社を含め九百人を超える従業員の雇用問題についてでございますが、知事から大蔵大臣に強く要請しているところでございます。また、知事の指示を受けまして、後日、知事名の要望文書を持って再度大蔵省銀行局あるいは近畿財務局等に強く要請をしてまいったところでございます。
 この問題につきましては、阪和銀行みずからが従業員の雇用の確保に努めていただくことはもちろんのことながら、県としても、雇用失業情勢の厳しい折ではございますが、同行の従業員対策の動向を見きわめつつ、大蔵省を初め関係機関と連携を図り、雇用の確保にできる限りの支援をいたしてまいりたいと考えております。
 次に、阪和銀行株の問題につきましては、株主の方々にはもろもろの事情により株式を取得されたと思われますが、阪和銀行の株式は大阪証券取引所の発表によると来年二月に上場が廃止される予定と聞いてございます。今後は、商法等の規定により処理されるものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 福祉の町づくりについてお答えをいたします。
 議員ご指摘のとおり、現状においてはまだまだ障害のある方々にとって住みやすい社会環境が形成されているとは言えません。このため、本年十月十一日に施行した和歌山県福祉のまちづくり条例では、県、市町村、事業者、県民の責務を明確にし、それぞれの立場の中で町づくりについて積極的な取り組みをお願いしているところでございます。
 また、本条例では、歩道や点字ブロック上への自転車等の放置など、通行の妨げとなる行為の禁止規定を設けていますけれども、この規定を実効のあるものにするためには、県民一人一人のモラルを高めていく必要があり、県民の皆様にはご協力をいただきたいと思います。
 県といたしましては、すべての県民がお互いに思いやりに満ちた社会環境を築くため、今後とも県民の皆様に福祉に対する理解と認識を深めていただくための広報、啓発、教育活動を実施するとともに、相互扶助の精神をはぐくむ環境づくりを進めるためのボランティア活動の育成強化等に努めてまいります。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番森 正樹君。
○森 正樹君 二、三点、申し上げたいと思います。
 一つは、土取りについてであります。
 一期は、一立方メートル千二百二十五円、六千四百万立米ですから、ほぼ七百八十億円と聞いております。二期事業においてはさらに約五〇%増しの土砂が必要だと言われておりますが、例えば企業等であれば、これだけの収入があるとすれば、いかに支出を抑えて利益を上げるか。それによって従業員を賄い、会社を運営していくわけであります。ところが、一期土取り事業は、残念ながらそうした視点が欠落していたのではないか。したがって、今、五百十五億円と言われる赤字を残しているのであります。最終的にこれが全部、県民に負担転嫁されるということにつながるのではないか。
 そういう点で、我々はやはり、企業倫理といいますか、そうした経営手腕を発揮して、経営的感覚を持っていかに──大幅な利益を生む必要はございません──県民に負担をかぶせないか、そうした視点をもってこれに当たるべきだと。したがって、土砂単価も当然、関空会社に対して、造成会社に対して、この値上げを交渉すべきだし、かかる経費の支出の削減、軽減を図るべきだ、そうした経営感覚を持ってこれに当たるべきだということを厳しくこの際申し上げておきたいと思います。要望です。
 それから、南ルートについて。
 鉄道部門のストップが、先ほど申し上げましたように、実に約六十時間。ということは、三日間に近いわけであります。二十四時間空港と言いますが、夜間は清掃等のために閉鎖になりますから、そういう意味でいきますと四日にも五日にもなるわけであります。その間、ストップしたんです。国の基幹空港であります。日本の空の玄関であります。それが四日も五日もストップしたというこの現実。これでは、いかに日本のハブ空港だとか、アジアのハブ空港だとか、空の玄関だとか言っても、それは通りません。やはり、何としても至急に南ルートの実現が必要なのであります。
 あの阪神大震災の教訓に学ぶまでもなく──あのとき、神戸という日本の太平洋ベルト地帯を扼する神戸の町の震災によって、完全に日本が二つに分断されました。その影響はまさに多岐にわたり、日本経済に大きなダメージを与えたのであります。そうした意味で、この関西国際空港は日本の空の玄関であり基幹空港でありますから、一日も早い南ルートの実現が必要であると、私は声を大にして申し上げたい。
 これは大阪府が中心になって進めなければならない問題かもしれませんが、もし大阪の腰が重いのであれば、和歌山がリーダーシップをとって大阪を動かしていく。今、泉南市だけがこの問題についてかなり積極的に動いておられるようでありますけれども、大阪、和歌山一体となってこの南ルート実現に取り組んでいただきたいことを要望として申し上げておきます。
 それから、最近の日本経済新聞の報道によりますと、本年一月から九月の間の個人の自己破産件数が四万百八十六件と報道されておりました。実にすごい数であります。九月までですよ、これは。その内容は、バブルの崩壊による賃金収入の減少とか保有不動産の資産価値の目減りだとか、そうしたものが理由だと言われておりますが、要するにほとんどがローンの支払いに行き詰まっての自己破産であります。この個人向けローンに一番力を注いでいるのが金融機関であって、これが今、金融機関を襲っている不良債権問題となっているのであります。
 そうした意味で、この阪和銀行の業務停止、要するに事実上の倒産、これによって県民百八万の中にその犠牲をこうむることのないように真剣に取り組んでいただきたい。
 先ほど答弁の中で、一万一千件の年金者に対して約一万件の口座振替が済んだのでほぼ鎮静化したという答弁がありましたけれども、とんでもない。あと一千人残っているじゃないですか。この一千人の人たちは何か事情があるんじゃないですか。もう年末ですよ。もう年金を受ける日が近づいているんです。そして、一部の金融機関には、この年金者に対するつなぎ融資を渋っているところがあると聞いています。年金者はこれで生活しているんです。つめに火をともすような年金をもって毎日を生きているんです。その年金者の中から一人でも、絶対に犠牲者を出してはならない。
 そのために、あと一千件は至急調査をして、年金をスムーズに受けられない者が一人も出ないように取り組むべきじゃないですか。全体の九〇%を超えて、一万一千件のうちの一万人は口座振替が済んだからもうそれでいいって、そんなばかな話はありません。この一千人という人がまだできていないということに注目すべきであります。
 そうした意味で、どうか──一生懸命取り組んでおられることはよくわかります。しかし、こういう社会的弱者のために今こそ県が総力を挙げて、一人も犠牲者が出ないように救済に取り組むべきであることを強く訴えて、これも要望でございますが、以上で再質問を終わります。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(町田 亘君) この際、暫時休憩いたします。
 正午休憩
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