平成8年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時三分再開
○議長(町田 亘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(町田 亘君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番新島 雄君。
 〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 お昼御飯がお済みだと思います。おなかの皮が突っ張れば、目の皮がたるんでまいります。そんな気持ちの皆さんもいらっしゃるかもしれませんが、一般質問もオーラスを迎えました。私で終わりでございます。どうか、いましばらくだけご辛抱を賜りたい、そのように思います。
 お許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
 質問は、私の性格と同じように地味ですが、品のある、これからの和歌山のためには必ず考えなければならないことであると考えます。勉強不足から不十分な質問になるかもしれませんが、私の思いや考えの一端をお聞きいただき、先輩、同僚議員の皆さんにはご指導をいただければと思っております。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 和歌山、紀州、紀伊の国──こんなすてきな響きの地域に、私たちは住んでいます。人間は、みずからの繁栄を願う余り、周囲の環境を犠牲にしてきました。私たちは、発展という名のもとに地域の本来のよさに目を背け、自分たちの価値観や使命感を見失いつつあるのではないでしょうか。和歌山の持つ独特の文化を歴史的遺産としてのみ扱い、そのよさを生かした新しい文化の創造に消極的なのではないでしょうか。先人たちが自然や歴史、宗教、そして時代認識に心を配りながら発展を心がけたように、未来に向けて調和のとれた、快適で心休まる人間的な和歌山を創造しなければなりません。そのためには、物事の本質を見抜く目を持って、真の和歌山の姿は何なのか、和歌山らしさとは何なのかを問い続けなければなりません。
 そんな中で、平成八年度予算の中に、輝のくに景観づくり調査として三百三十八万八千円が上程され可決されております。私は、この件について質問をさせていただきます。
 この議案に賛成をした私にとっては、少し不満の残るものであります。なぜならば、予算が少ないということであります。調査委託料百六十万、会議費百七十八万八千円となっております。まず、ここでお断りをしておきます。この質問をするに当たり、担当部局より、この質問をしてくれとか、予算のことを言ってくれとかの圧力を受けた覚えは一切ございません。部局の名誉のためにも申し添えます。また、財政当局におかれましては、厳しい財政事情の中、よくこの施策を取り上げていただいたと感謝をいたしております。こんな大切な、そして先を見越した予算は、知事の西口カラーとして、大胆に思い切って予算を組んでいただきたかったと思っております。何はともあれ、景観というものがこの和歌山でも施策の一つとして取り上げられ、県民に知らされていくことを大変うれしく思っております。
 六月にヨーロッパ各地を訪れる機会を得ました。歴史に息づく各都市には、おのおの町の薫りや町の顔が見られました。こんなことがありました。皆さんご存じの黄色と赤のMのマーク──マクドナルドの広告塔のことであります。何と、お店があるのに広告塔がないのです。縦横一メートル程度の看板が店舗の横にあるだけで、そこには日本で見られた風景はありませんでした。ガイドさんの説明では、屋外広告物に関して大変厳しい規制がなされているということでありました。地域と行政が力を合わせて、住みやすさ、心地よさ、住民の求めている町づくりを進めているのがよくわかりました。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 この輝のくに景観づくりの目指すものは何なのですか、知事自身の熱い思いを込めてお答えをいただきとうございます。
 また、本事業が予算化され、検討をしているという景観条例ですが、条例制定を進める上で対処せねばならない問題も多いと考えます。景観を取り上げれば、自由と規制、または開発と保存、この二つが共生をしていかなくてはならないのです。住民意識の普及や啓発、またイベントの実施、そんなものも必要になります。それにも増して重要なのは、人材の育成であります。このように話を進めていきますと、もう少し予算があってもいいのではないか、そのようにも思います。しかし、ことし一年で終わる事業ではないのも事実であります。来年からはもう少しだけでも予算をふやしていただけたらなあ、そのようにも思います。そして、積極的にこの事業を県民に推し進め、県内五十市町村が私たちのふるさとに愛着を持ち、自信を持ち、住民一人一人がつくり出す、和歌山らしさを大切にした県土づくりを期待しております。英知を集め、すばらしい事業にしていただくようお願いを申し上げつつ、啓発等今後どのように取り組んでいかれるのか、お答えください。
 また、景観に関して、言葉や文字だけでは理解してもらうのが大変だと考えます。目で見て理解をしていただく必要もあろうかと存じます。三年坂通りを見てください。県民の皆さんが美しいなと感じ、夜などはあえてこの道を通って家路につく、そんなことをおっしゃる方も多数いらっしゃいます。そんな観点から、モデル地区を指定し、住民の意見に耳を傾け、各地域の特色を生かしたすばらしい郷土づくりを進める必要があります。この輝のくに景観づくりに関してどのような戦略をお持ちなのか、お教えください。そして、事業がスタートして半年がたちました。これまでの経過と問題点もお答えいただきたいと思います。
 また、余談になるかもしれませんが、景観との関連で不思議に思っていることが一点あります。それは、紀の川河口にあるみなと大橋と青岸橋のことであります。なぜ二つの橋の色が違うのか、景観上おかしいのではないかと思うのは私一人でしょうか、お教えいただきたいと思います。
 以上、輝のくに景観づくり調査に関する質問を終わります。
 次に、教育に関しての質問をさせていただきます。
 十八年前、和歌山市内において学区制なるものができました。現場からの声がそうさせたのか、生徒や保護者の要望なのか、それとも教育委員会がリーダーシップをとってつくったものなのかわかりませんが、現在も続いております。そして十八年。教育の機会均等、学校選択の自由の立場から、私はこの施策に対し当時より疑問に思い、不満を持っている者の一人であります。施策として十八年間の判断を迫られる時期だと私は考えますが、いかがですか。
 なぜ、子供たちが自分の希望する学校へ行けないのか、受験すらできないのか、不思議でなりません。皆さん、そう思いませんか。私は子供のころ、ある学校で野球がしたい、あのユニホームを着たい、そんな思いを持って進学をいたしました。それが、未来を担う子供にはできないのであります。子供の夢を実現させてやることはできないのであります。
 ここで、学区制実施当時の南北学区における中学三年生の生徒数を比較してみます。昭和五十四年当時で、北学区で二千三百三十三名、南学区で二千九百六十名、この差は六百二十七名です。現在までに、新設校ができた関係上、ある中学校が学区を変わりました。本年では、北学区で約一・一八倍の二千七百四十五名、南学区では何と五八%の千七百九名であります。南北生徒数の差は千三十六名にもなります。生徒数の差が逆転をし、なお千名以上の差が出ているのであります。また専門学科、すなわち全県一区とする学科でありますが、昭和六十三年より約二年ごとに普通科高校に併設をしてまいりました。推薦入学者も年々ふえております。専門学科の推薦入学者数を見てみますと、昭和六十三年から導入され、平成八年では和歌山市内で四・八倍、全県では十一・四倍にもなります。これは、多様な生徒の個性を伸ばすことや、各学校における特色ある個性的な教育を展開するためにとられた施策であったと思います。しかし、これらの数字を見る限り、また実施以降私学が二校できたのを踏まえてまいりますと、学区制そのものが崩壊しようとしているように思えてなりません。それとも、全県一区の大学区制へ移行しようとする準備段階なのでしょうか。
 学区制を論じる中で常に使われる言葉に、「学校間格差の是正」があります。これは言葉をかえれば、みんな同じにやりましょうということではないでしょうか。運動会で一生懸命頑張って一着でゴールインした者も最後にゴールインした者も、すべて一緒に、御苦労さん、よく走りましたということではないでしょうか。私は、ある部分ではそれは認めております。しかし、私は小学生のころ、運動会で何冊もノートをもらいました。今は、だれももらえません。学校間格差を是正するということは、自由競争の社会においては、それをも否定してしまうことになりませんか。
 今、和歌山は、知事もかわり、攻めの行政へ変わろうとしております。教育においても、守りより攻め、そんな教育が今必要とされるのではないですか。本年の当初予算を見てみますと、初めて教育費が土木費を追い越しました。これは画期的なことであります。できれば、この質問は教育委員会だけにするのではなく、現場におられる先生方にも聞いてほしい気持ちもあります。そして、これらは私の教育に対する、また学区制に対する持論の一部でありますので、先輩議員や同僚議員にご批判やご指導をいただければ大変幸せでございます。
 今回、この質問をするに当たり過去を調べてみました。県議会議場にて十八年間、この質問は一度も取り上げられておりません。しかし、施策として現在活用されておろうとも、勇気を持ってよりよい方向に導くために、また和歌山の教育が他府県からも一目置かれるよう、レベルアップするよう、心から願っての質問であります。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 十八年前に実施された学区制ですが、どういう経緯でできたのか。また、十八年たった今、説明したように状況が大変変わってきております。私学もふえました。この間の成果並びに問題点を踏まえどう判断なさるのか、十八年間の総括をお聞かせください。
 最後に、教育先進県へ向けて、学区制をも含めこれからの取り組みをどうなさるのか、お教えください。
 以上三点を質問し、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新島議員にお答えをいたします。
 私も常に主張をしているところでございますけれども、和歌山県は私たちが守ってきた後世に残すべき美しい自然、歴史、文化に恵まれておるわけでございます。本県では、これらの資源を生かし、観光、リゾートを中心とした施策を進めてまいってきたところでございますけれども、海外を含め、来県される方々に魅力を感じていただけるように、さらに美しい景観を創造していく必要があろうかと思います。美しい景観は、県民の生活に安らぎと潤いを与え、郷土に対する愛着をはぐくむものであることから、本県にふさわしい景観の施策について輝のくに景観づくり懇談会を設けまして、条例の制定も視野に入れながら推進をしていきたいと考えております。
 なお、予算額につきましては、この調査委託料がすべてではございません。平成八年度予算編成の三次要求として出したものでありますけれども、私自身も前向きな意欲を持っておりますので、今後積極的に対処していきたいと考えております。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 新島議員の、輝のくに景観づくり調査についてのご質問にお答えします。
 まず、住民啓発等、今後の取り組みについてでございますけれども、景観づくりに当たりましては一定の規制も必要となってまいります。このため、県民のご理解を得ることが必要であり、啓発活動としてPRのためのパンフレットの作成や講演会、アンケート調査等を実施してまいりたいと考えております。
 モデル地区指定等の事業計画についてでございますけれども、景観づくりの事業計画として、身近に景観のよさを体感していただくために、建築物や屋外広告物などの形態、色彩の規制、電線類の地中化、緑化、広幅員歩道などのゆとりのある空間づくりを進めるモデル地区の指定を行い、重点的に整備を進めてまいりたいと考えております。またそのほか、公共施設の指針の策定、専門家の参画、市町村との協力体制づくり、住民への啓発活動なども重要だということから、これらを行っていきたいと考えております。
 現在の取り組み状況でございますけれども、現在、輝のくに景観づくり懇談会の開催に向けて鋭意準備を進めているところでございます。また、既に実施した市町村に対するアンケートに加え、有識者や住民の方々の意識調査も今後実施することとしております。
 最後に、紀の川河口にかかるみなと大橋と青岸橋の色彩についてのご質問でございますけれども、青岸橋は和歌山下津港の中心に位置しております。そういうところから赤色を採用いたしまして、港の玄関口としてのシンボル性や美観性を強調いたしております。これに続くみなと大橋については淡いグレー色を用いておりますが、これは先ほどの青岸橋を一層際立たせるということと、周辺への景観にも配慮したものでございます。
 近年、土木施設についてシビックデザインという概念が全国的に普及しておりますけれども、今後とも土木構造物等の造形や色彩について、従前にも増して地域の歴史や文化、周辺環境等に配慮して景観形成の先導的役割が果たせるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学区制に係る三点についてお答えいたします。
 学区制につきましては、高等学校教育の普及とその機会均等を図る観点や通学事情等を勘案し、一つの学区に普通科高校二校ないし三校程度の中学区制を採用しております。また、専門学科につきましては全県一区とする大学区制をとってきているところでございます。
 議員ご指摘の和歌山市の南北学区につきましては、昭和五十二年の高校教育協議会の報告において、学校間格差の是正と学校選択の自由との調和を図るとともに、他の学区とのバランスを図る必要があると示されたことを受けて、昭和五十四年度から実施しているものでございます。
 この南北学区については、地域住民にも定着してきていると考えております。社会の変化や生徒の学習ニーズの多様化に対応するため、中学区制をベターとしながらも、全県一区の総合学科、国際交流科、環境科学科などを新たに設置してきたことにより学区間の壁は低くなり、生徒の学校選択の幅は、当時に比べ拡大してきたと考えてございます。これからは、生徒一人一人の個性や可能性を伸ばすことのできる、より柔軟で選択幅の広い教育が一層求められております。
 教育委員会といたしましては、今後とも特色ある学校づくりを初め、単位制の導入や学校間連携などを推進し、本県教育の充実発展を図ってまいりたいと考えております。こうした取り組みを進めるとともに、学区制の今後のあり方につきましても、これまでの経緯を十分踏まえながら、生徒や保護者等の要望、中学校、高等学校教育に与える影響、さらには今後の教育改革の進展や社会情勢の変化などを見きわめ、総合的かつ慎重に研究してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
○議長(町田 亘君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
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○議長(町田 亘君) この際、報告いたします。
 さきに議長に委任いただきました議案第百三十九号の数字等の整理の結果については、お手元に配付のとおり報告いたしますから、ご了承願います。
○議長(町田 亘君) 次に、知事から、お手元に配付の公文書写しのとおり、議案第百三十九号が議決されたことに伴う議案第百八号の予算につき、数字訂正の申し出があります。
 お諮りいたします。本件については、知事からの申し出のとおり、これを承認することにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
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○議長(町田 亘君) 次に、ただいま議題となっております全案件のうち、議案第百三十八号平成七年度和歌山県公営企業決算の認定について、及び本日議決いたしました議案第百三十九号平成八年度和歌山県一般会計補正予算を除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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 【日程第四 請願付託】
○議長(町田 亘君) 次に日程第四、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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○議長(町田 亘君) 次に、お諮りいたします。十月一日及び十月二日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(町田 亘君) ご異議なしと認めます。よって、十月一日及び十月二日は休会とすることに決定いたしました。
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○議長(町田 亘君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員から、これを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会  第一委員会室
 福祉環境委員会 第二委員会室
 経済警察委員会 第三委員会室
 農林水産委員会 第四委員会室
 建設委員会  第五委員会室
 文教委員会  第六委員会室
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○議長(町田 亘君) 次会は、十月三日再開いたします。
○議長(町田 亘君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時三十六分散会

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