平成8年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(神出政巳議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後二時四分再開
○副議長(下川俊樹君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番神出政巳君。
 〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 やっとお許しを得ましたので、消費税に関する意見書の合間を縫いまして、通告に基づき、順次ご質問いたします。
 先日、今ベストセラーになっている堀紘一氏が書かれた「成功する頭の使い方」という本を読んだのでありますが、その中で「地方公務員は安定した職業か」という項目がありました。後ほどの質問と関係がありますので、冒頭少し引用し、紹介させていただきます。
私はある大学生と向かい合っていた。
 彼はこれから就職戦線に臨むところだったが、聞けば地方公務員になろうかと思っていると言う。私が、「君はなぜ地方公務員になりたいのか」と尋ねると、
「やはり民間企業は不安定です。その点地方公務員は給料も安いし、仕事も地味かもしれませんが、非常に安定していますから」
「僕は安定志向自体を否定はしない。しかし君は本当に安定志向なんだろうか。いったい、地方公務員のどこが安定しているのかね。安定を求める君にとって、地方公務員ほどギャンブル性の高い職場はないと私は思うよ」と私は断じた。
「考えてみてほしい。君はまだ二一か二だろう。例えば二〇年後、三〇年後、君が四〇歳を過ぎ、五〇歳を過ぎたとき、日本の財政が破綻していない保証はどこにありますか。おそらく二〇年も三〇年もかからずに、一〇年にして日本の財政は破綻すると僕は思う」
 なぜなら、(中略)税収の源となる若い、働く層は少なくなり、支出を当てなければならないお年寄りの層は増える一方だからだ。どんどん支出しなければならない福祉負担が膨れ上がるのに、そのための収入は減っていくのだ。お役所はきわめて不安定な状況に追い込まれつつある。
「君が不安定だという民間企業では、バブル崩壊後、リストラクチャリング、リエンジニアリングを図り、新たな採用も抑制することでスリム化の努力をしている。それでも不十分だとかいい加減だという批判はあるが、必死の努力で経営危機を回避しようとしていることは間違いない。
 ところがこの日本という国家の経営を預かる霞が関と地方公共団体はどうか。これら税金で動いているところは、これほど世の中が変わって、所得税にせよ法人税にせよ減ることがわかりきっているにもかかわらず、ただ一つのリストラクチャリング、リエンジニアリングもなく、局も部も課も、部門の一つも減らす気配がない。
 それでは、一〇年、二〇年後に、いまのままの陣容・組織を温存して、人員を維持できるか。答えは明らかに『ノー』だ。こんなにわかりきった話はない。日本中が残業して働いてたくさんの税金を貢いだところで、とても追い付かなくなるだろうと私は思う。
 いま君は二〇歳を超えたばかりの前途ある学生だ。なかなかいい資質を持っていそうだ。しかしここが考えどころだ。一〇年後に崩壊がくるのなら、むしろ幸せと言えるかもしれない。だが、二〇年後、三〇年後に崩壊が来たとしたらどうだろう。四〇過ぎ、五〇過ぎになってから君は再就職しなければならない。
 そのとき君はどういう中年になっているだろうか。地方公務員のカルチャーでは、自分から積極的にことに取り組もうとする意欲に満ちているとはとても思えない。自分の特徴となる専門技術は持っているか。とんでもない。エリートになればなるほど異動が激しい。とくに課長職になると一年おきに部局を変わったりするから専門性も身につかないだろう。
 現在の同じ年頃の公務員を見ていると、その頃の君は多分少し横柄で、鼻持ちならない人間になっていそうだ。頭はいいが、専門性は持たず、ことなかれ主義で、鼻持ちのならない横柄な中年男を中途採用する企業がいったいどこにあるだろうか。企業の側からみれば、四〇歳、五〇歳の地方公務員は、最も雇いたくないタイプの一つに違いない。
 いま君は、四〇歳か五〇歳にして路頭に迷う可能性が最も高い選択肢を選ぼうとしているんだ。私の今日の話をよく考えてみて、お父さんともう一度相談してきなさい」
 たしかにこれまでは、地方公務員は最も安定した職業の一つであったろう。しかしそれはあくまでも「これまでの話」に過ぎない。いま時代が変わりかけているとき、崩壊するのはサラリーマン神話ばかりではない。その延長上にあり、しかもサラリーマンや企業以上にその変化に鈍感で、危機意識もなければ、危機回避の努力もない世界が安定していると信じる根拠は実は何もないのである。
 何より私を憂鬱にさせたのは、同じ若者が、一方では現在を見つめ、未来への道を探ろうとしているのに対し、他方では現実を見ることをせず、未来を読もうとせず、これまでの常識がこれからもずっと生き続けることを、過去がそうだったからという理由だけで信じ込んでいる、その危うさであった。
 少し長くなりましたが、特に印象に残った部分をご紹介させていただきました。知事初め理事者の方々には心外であるとお思いの箇所があったかもしれませんので、失礼の段はお許しを願いたいのでありますが、私は今後、県の職員試験を受験して入れなかった若者には、以上のような話をして慰め、進路変更を進めようかなとも思ったりしております。著者のねらいは、先を考える力を持て、何を考えればいいかを考えろということではないかと思います。県庁改革の一助になれば幸いです。
 さて、前置きが長くなりましたが、以上のことを踏まえ、知事にお尋ねいたします。
 知事は「本気で変える」と標榜され、私どももその言葉に大いに感動を覚え、県政改革にともに取り組もうと期待をかけております。昨年の晩秋、就任早々、政策推進室を設け、機構改革を初め多くの方策を打ち出されました。次なる打つ手は何か、胸のうちをお聞かせください。
 振り返ればこの一年、せっかくのお取り組みにもかかわらず、職員の不祥事もありました。県民に公平にサービスするという点においては、営利を目的とする民間企業と同じく望むということは危険でありますが、五年先、十年先を考えるとき、トップリーダーであり和歌山県庁に最もお詳しい西口知事が、現実とのはざまで困難と思われることであっても思い切って決断され、リストラに踏み切っていただかなければなりません。間近に控えた総選挙は、行革選挙になると言われております。省庁の再編成から質の改革まで、幾つかの方策が出されております。また一方、全国都道府県でワーストワンの財政状況を抱える大阪府では、八月二十二日、財政健全化方策案がまとめられました。このままでは平成九年度から十一年度まで毎年度二千億円を超える財源不足に陥ると試算され、四十五項目に上る主要事業の見直しを初め歳出の大幅削減を目指すなど、内容はかなり厳しいものがあります。
 本県におきましても、財政状況は県債残高においてここ五年で二倍となって五千億円を超え、安閑としていられないことは同様であります。来年度以降の予算編成の上で、また機構改革の面で、二十一世紀を目の前にして和歌山新時代の創造の中で「本気で変える」という方策はどうかについてお尋ねいたします。
 次に、教育についてであります。
 九月二十日、県教育委員会の発表で、全日制県立高校の中退者が平成七年度に二%に達し、六百三十八名になったとのことであります。一校分の生徒が消えてしまったということであり、国内全般の社会現象とはいえ、ゆゆしき問題であります。異常なまでの受験勉強を強いるゆがんだ大学入試制度と、飽食の時代にあって崩壊しつつある家庭生活が主な原因ではありますが、仕組み・制度の改革強化で対応していかなければなりません。
 また、大学進学に関しても、本県は進学率が全国中位にあるにもかかわらず、収容力、残留率が非常に劣っているわけであります。そういった中で、七月十九日に出された中教審第一次答申を受けて、八月三十一日の毎日新聞に「受験ない『十五の春』に現実味」というタイトルの、都道府県立としては全国で唯一の宮崎県にある中高一貫教育を行っている学校が紹介されておりました。午前中に森本明雄議員も話されましたが、これを見て文部省にも新しい動きが出てきたものとうれしく思いますと同時に、本県におきましても二十一世紀にふさわしい教育体制を取り入れるべきよい機会を迎えたのではないかと感じる次第です。新聞内容とは多少意を異にしますが、本県の豊かな自然、熊野・高野に代表される歴史文化を観光面だけでなく地方の時代にふさわしく教育文化面に生かす取り組みを行ってはと考えます。西口知事は昨年の選挙戦を通じて大学の立地を申されておりましたが、公立の中高一貫の教育機関初め、特色ある高等教育機関の立地を図られてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
 これからは、学齢人口が大きく減少いたしてまいります。そうした中で和歌山県の発展を図るためには、人材の集積を図るための手だてとして高等教育機関の充実は欠かすことのできない課題であると存じます。しかし、そのためには特色ある魅力ある教育機関の実現を図る必要があります。本県の自然歴史を生かし、関西国際空港によって世界に近接することになった立地性を生かし、県内はもとより県外さらには海外からも学生生徒を迎える未来型の教育機関は、地方の時代にふさわしく、地方からの国際貢献のモデルとなり得るばかりでなく、人材の集積によって新たな地域文化の形成につながり、経済活性化を生み出す源になるのではないかと考えます。
 知事にお尋ねをいたします。この際、国際的な視野に立って、二十一世紀、地方の時代にふさわしいユニバーサルな特色ある高等教育機関の立地を推進されてはと考えますので、ご所見をお聞かせください。
 続きまして、財政運営の一つの手段として基金の繰りかえ運用について提言し、総務部長にお尋ねします。
 六月定例会の直後、西本長弘議員が会長をされている和歌山県議会半島振興議員連盟の視察で秋田県へ連れていっていただいたところでありますが、その際、秋田県では県の当初予算に占める県債依存度が過去最高となり、税収等が落ち込む中、今年度から十二年ぶりに基金の繰りかえ運用を再開したとのことでありました。これは、基金が枯渇した一定期間、県が基金から借り入れて事業費などに充てるもので、これまで活用してきた指定金融機関からの一時借入金に比べると、利率の差からより多くの利益が期待できるものであります。実際に四月末から一カ月間実施したところ、差益は四千四百万円に上っているということでありました。
 繰りかえ運用に活用された基金は、財政調整、減債、地域振興事業、美術品取得の四基金で、いずれも基金管理条例に繰りかえ運用を認める項目が記されています。今回の秋田県の繰りかえ運用では、一、指定金融機関の一時借入金(金利一・八七五%)より基金からの借入金(金利一%)が有利、二、基金の保管の面で指定金融機関への三カ月間の大口定期預金(金利〇・四九%)より県に預ける方が有利という二重のメリットがあったようであります。繰りかえ運用を実施したのは四月三十日から五月三十一日までの間で、今年度の地方交付税や国庫補助金が未納なため資金が乏しくなり、活用したのは財政調整基金と減債基金でともに二百億円。両基金は平成七年度の退職金や工事費などに充てられ、一時借入金と比べて二千六百万円、定期預金とは一千八百万円の差益を生んだようであります。財政課と会計課が協議し、安全確実、期間限定で基金本来の目的を損なわないという面を考慮して繰りかえ運用の再開を決めたようであります。
 本県におきましても、市場金利よりも有利であり、基金の保管も約二倍の金利となり、財政運営には有力な手段となり、得なはずであります。したがいまして、資金繰りの状況により財政調整基金、県債管理基金初めその他の基金から活用できるよう財政課と出納室で協議され、早急に基金管理条例を整備され、基金の繰りかえ運用を実施されてはいかがかと提言いたします。総務部長より答弁願います。
 続いて、先般送付いただきました報告書「関西国際空港を活かした和歌山県活性化に向けて」の委託調査についてお尋ねします。
 関西国際空港も平成六年九月の開港以来順調に需要が拡大いたしておりますことは、まことに喜ばしいことであると感じております。また、二期工事につきましても、今議会冒頭の知事の提案理由説明にありましたように、徐々に具体化をいたしてまいりました。関西国際空港関連の開発計画につきましてはこれまでにも幾度となく提案されておりますが、今回新たに県の委託調査がまとまり提示されましたので、このことに関して質問いたしたいと思います。
 報告書を開いてみますと、目的が書いてあります。「関西国際空港の開港を、和歌山県にとって県勢発展の絶好の機会ととらえ、この空港の持つインパクトの波及効果を最大限に活かすための具体的な施策メニューを抽出するとともに、戦略的な視点に基づいた事業の展開方向を設定」するとされております。また、位置づけの中には「各分野の関連計画との連携・調整を図りつつ、総合的、弾力的に展開することが望ましい施策の方向を示すものである」とも書かれております。
 そこで、企画部長にお尋ねします。
 県ではこれまで関空関連地域整備計画に基づき関空インパクトを生かすためのさまざまなプロジェクトを進められてきたと存じますが、今回の報告書と地域整備計画の関連についてどのように考えているのか。
 また、報告書には、例えば「次代を切り拓くグローバルビジネスの展開」あるいは「国際観光交流の進展を視野に入れた環境整備」や「個性ある地域文化の創造」などを施策の柱として挙げ、それに沿って実に多くの施策メニューが盛り込まれております。開港後二年が経過し、関空の至近距離に位置する本県として、そのインパクトを積極的に引き入れるためのさまざまな取り組みが一層求められている時期であります。そうした中、今回の報告書にあるような施策メニューを官民挙げて実現していくことが非常に重要であると思いますが、県として今後その実現化に向けてどのように取り組まれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、防疫体制の整備についてであります。
 六月定例会一般質問で同僚の山下直也議員がご指摘されたように、この夏は病原性大腸菌O157が県民生活に少なからぬ影響を及ぼしました。全国各地においても、予期せぬ事態にかなりの混乱が見られました。本県におきましては、いち早く相談窓口を設けていただき、あわせ融資制度も創設していただきました。今後とも食生活の安定確保のための対策を積極的に推進するとの知事説明がなされたところであります。今回の問題は国内的なものであったようでありますが、国際化の進展によって、伝染病の侵入等のリスクをも考慮に入れた体制の整備が今後早急に必要ではないかと考えます。
 和歌山下津港の国際港湾としての強化、白浜空港の滑走路の再延長計画も国の計画に盛り込まれることになりました。関西国際空港の需要も拡大いたしております。国際交流、地域間交流を活発化させることは県勢の伸展を図る上で真に重要なことであり、積極的な推進を図る必要があると考えます。しかし、それと同時に、県内に居住し、また滞在する人の安全の確保は欠かすことができない課題であります。防疫体制の整備についてはどのような状況にあるのか、福祉保健部長からお聞かせいただきたいと思います。
 次に、防災体制についてであります。
 阪神・淡路大震災の経験を生かし整備に努めておられますが、防災体制のうち、海外からの滞在者に対する震災時などでの対策は国際化を目指す本県として十分な状況であるのかどうか。案内表示やパンフレット等でも不十分なように思いますので、総務部長のご所見をお聞かせください。
 続いて、公共工事のコスト削減の取り組みと今後の考え方についてお尋ねします。
 建設省は、アメリカ合衆国に比べて三割高いと言われる公共事業費を引き下げるため、今年度中に公共工事の建設コスト削減に向けた新しい計画をつくると言われております。現行の計画を抜本的に見直し、コスト削減の数値目標を設定するほか、地方自治体と連携した業務の効率化策を新たに盛り込むということであります。公共事業の経済効果が低下しているとの批判が強まり、具体的な削減目標を示していない従来計画では不十分と判断したところであります。
 建設省が八月に発表した行動計画の実施状況中間報告によると、平成七年度末までの約一年間に同省直轄工事の十分の一に相当する一千四百億円の公共工事について建設コスト削減策に取り組んだところ、削減効果は四%、五十七億円にとどまったということであり、今後、地方建設局と自治体で建設費縮減推進連絡協議会をつくり、公共工事の施工管理基準や発注、積算基準を統一し、業務の合理化を進めることも検討しているようであります。
 そこで、今議会には議案第百二十五号以下十件余、約三百億円の工事請負契約の締結が上程されております。個々の議案については所管の委員会にお任せいたしますが、県ではこれまで建設コスト削減にどのような取り組みをされてきたのか、また今後どのような考え方、体制で公共工事のコスト削減について取り組まれるのか、土木部長にお尋ねします。
 最後に、道路の確保についてお尋ねします。
 最近、私の住まいする周辺では火事の発生が非常に多く、自治会ごとに夜間パトロール隊を編成して不審火対策等に取り組むという状況であります。年末の消防団の方々による夜回りのようなことをしているわけでありますが、二十一日深夜の火事について申し上げれば、消防車が火災現場まで接近できないということに非常に歯がゆい思いをしました。道路が狭いためであります。
 消防初め関係部局のご尽力により、近年、消火栓、防火水槽等、施設は充実してきているのでありますが、消防車や救急車の入らなければならない道路が狭いのであります。昨年の阪神・淡路大震災の死亡者六千三百人のほとんどが二次火災によるものだと聞いております。
 そこで、まず戦災に遭わずに残った老朽化した木造家屋が建ち並ぶ町並みの中で何とか四メートルの道路を確保すべく、建築基準法第四十二条第二項の遵守を強く求めるものであります。新築、建てかえの際の建築確認では将来必ず四メートル道路が確保できる申請になっているはずであるのに、なかなか守られていないのが現状であり、一たん緩急あればそら恐ろしいことであります。現状の取り組みと今後の考え方について、土木部長にお尋ねします。
 あわせ、道路の確保ということで言えば、県道初め市町村道など公道として供用している土地において、いまだ分筆登記がされず、登記上公道と私有地に分けられていない箇所がたくさん残っているように思います。また、私有地の権利者が次々と変わらぬうちに急がなければ、登記上面倒なことにもなると思います。現状についてどのように把握されているのか、対応についても土木部長にお尋ねします。
 そして、道路を初め用地買収の現状を見ましても、官民境界がはっきりせず、官が民を取り込んだ、また一方、官が官の土地を民だと思い二重に買収したなどと、住民の不平の声が多く聞かれます。これらすべてに係る問題として、公図訂正初め地籍調査があります。地籍調査事業がすべてうまくできれば多くの懸案は解決するのではと思うのでありますが、現状は県が笛吹けど市町村はなかなか踊らないということであります。近年、県のご努力によりかなりの市町村にまで事業が波及しましたが、まだ取り組めない市町村も県内に多数残っています。今後の地籍調査事業の取り組みを強く要望し、第一問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 神出議員にお答えをいたします。
 まず最初に、堀紘一氏の文を引用されたお話、大変興味深く拝聴させていただきました。今後の参考にさせていただきたいと思います。
 来年度以降の方策についてでありますが、まず予算編成については、昨日、堀本議員にもお答えをしましたけれども、国、県とも非常に厳しい財政状況下でございます。平成九年度の予算編成に当たりましても、必要な財源確保が大きな課題となるわけでございます。
 こうした中で、県職員がいま一度、地方自治の根本である「最小の経費で最大の効果を上げる」ということを再認識し、社会状況の変化、多様化する県民ニーズに対応しながら、行政改革大綱に沿って効率的、効果的な行財政を進めていくことが大変大事であろうと考えてございます。また、財源の重点配分あるいは事業の重点整備化についても、さらに一層取り組みたいと考えてございます。
 また、機構改革についてでありますけれども、県民の期待と信頼にこたえる県政を進めるためには、活力ある県庁組織が不可欠でございます。このために、職員に対しては、絶えず意識改革の必要性を訴えてまいりました。本庁の組織についても、本年の四月に大規模な見直しを行ったところでございます。さらに、来年以降、より県民に身近なところにある地方機関あるいは外郭団体等についても積極的な見直しを行い、組織の簡素効率化、さらにそれぞれの設置目的、県民から信頼される役割を果たし得る体制づくり、さらにやる気とむだをなくする体制づくりというようなことを目指して頑張っていきたいと思っております。
 なお、今後、地方分権の推進あるいは行財政改革を進めるに当たっては、何といいましても、県議会の皆さんを初め、広く県民の皆さん、さらには市町村、関係団体等のご理解とご協力が必要となってまいりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、特色ある高等教育機関の立地推進についてでございます。
 お話のように、活力ある和歌山新時代を築くためには、次の世代を担う高度な専門的知識・能力を備えた人材を育成いたしまして、地域の学術、文化、国際交流、科学技術、産業振興の拠点となる高等教育機関の整備が極めて重要であろうと思っております。このような考えのもとに、和歌山大学システム工学部の増設、近畿大学生物理工学部の学科増設などを促進してきたところでございますけれども、今後とも和歌山大学システム工学部大学院、さらに情報科学センターの設置、県立医科大学の移転整備、和歌山工業高等専門学校の学科改組など、既存大学の整備充実をまず図っていきたいと思います。
 また、議員のお話にございましたように、国際化、高齢化に対応し、海洋、観光など本県のすぐれた地域特性を生かした高等教育機関の立地につきましては、私も意欲を持って関係方面と折衝を重ねておるところでございます。現下の諸情勢の中でいろいろと難しい課題も多いわけでありますけれども、引き続き私立大学などの立地促進に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 総務部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○総務部長(中山次郎君) 行財政と防災対策の二点についてお答えいたします。
 まず、行財政の基金の繰りかえ運用への管理条例整備についてでございますが、県の資金繰りについては、近年、バブル経済崩壊による税収の落ち込み等の影響もあり、特に年度末にかけて非常に厳しくなってきているのは事実でございます。その間の資金調達の方法としては従来から一時借入金を行っているところでございますが、県の財政状況が厳しい中、調達コストの低減を図ることが財政運営の観点から非常に重要なことだと考えてございます。
 議員ご指摘の基金の繰りかえ運用については、税収の落ち込み等により県の資金繰りが困難になったときに用いる制度でございまして、一時借入金との選択が可能であると理解してございます。したがって、現下の県の資金繰り状況にかんがみ、全国における繰りかえ運用の実施状況や一時借入金との比較等を踏まえ、今後その実施に向けて検討してまいりたいと存じます。
 次に防災体制について、海外からの滞在者に対する震災時等の対策についてでございますが、県では平成二年度から外国語を併記した地震防災知識の普及啓発用冊子を配布してございます。本年度においても、日本語のほか英語、ハングル語、北京語、ポルトガル語を併記した同冊子を全市町村に配布したところでございます。
 今後、市町村等に対し避難誘導標識や防災マップ等についても外国語を併記するとともに、観光地のホテル、旅館等の従業員に対しても防災教育を行うなどの指導を行ってまいりたいと存じます。
 また、ボランティア通訳等による外国人救援活動及び災害情報の提供が円滑に実施できるような組織づくりについても検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 神出議員のご質問にお答え申し上げます。
 関西国際空港の活用策に係る調査報告書についてのご質問でございますが、県では昭和六十一年に関西国際空港関連地域整備計画を策定し、主に産業基盤、交通基盤といったハード面の整備を重点的に進め、その結果、鉄道や高速道路による国土軸への直結あるいは六十社を超える企業誘致等の成果を上げてまいりました。
 今回の調査報告書は、関西国際空港関連地域整備計画に沿って整備された各種基盤を活用して、関西国際空港がもたらすインパクトをいかに受けとめ県勢の発展につなげていくかという視点から、ソフト面の施策を中心に、県事業だけではなく市町村や民間が主体となるものも含め、提言として取りまとめたものでございます。
 そこでは、「新たな産業の開拓とグローバルビジネスの創出」あるいは「豊かな自然や歴史文化を活かした魅力ある観光圏の形成」、「多彩な文化との交流・融合による新文化の創造」等を基本目標に掲げ、それを実現するための施策メニューが多数盛り込まれてございます。
 今後、関係部局と連携を図るとともに、市町村や経済団体等の協力も得ながら、提言された施策メニューの具体化に向けて積極的に検討、取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 福祉保健部長小西 悟君。
 〔小西 悟君、登壇〕
○福祉保健部長(小西 悟君) 神出議員にお答えをいたします。
 防疫体制の整備についてでございます。
 海外渡航者の増加、渡航先の多様化に伴い、海外でコレラ、赤痢等の伝染病に感染して帰国する人も増加しているところでありますが、我が国では検疫法に基づき主要海空港に国の機関として検疫所が設置されており、伝染病の予防に必要な措置を講ずることを目的として、乗員乗客の健康状態の確認、検査、予防接種、相談業務等の検疫業務を行っています。
 県でも、乗員乗客に下痢、腹痛、発熱等の症状がある場合、検疫所から連絡通報を受け、伝染病予防法に基づいて、患者の収容、二次感染防止の観点から患者接触者の状況の把握、消毒の実施の指導等を行っているところでございます。
 県といたしましては、今後とも検疫所と連携のもと、海外からの伝染病の予防対策に鋭意取り組んでまいりたいと存じます。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 神出議員にお答えします。
 まず公共工事のコスト削減についてのご質問でございますが、公共工事実施に際しては、よいものを安くつくることが国民のニーズとして近年、強く求められているところであります。
 県としても、年間工事の平準化による企業コストの低減と品質向上のための債務負担行為の活用、施工の効率化及び資源の有効利用を図るための再生資源の活用、より効率的な工法の採用等に取り組んでいるところであります。
 公共工事のコスト削減については、建設省において平成六年十二月に輸入資材の活用による資材費の低減、生産性の向上による建設費の縮減、技術開発による建設費の縮減を三本柱として公共工事の建設費の縮減に関する行動計画を発表しているところであります。私どもとしても、この趣旨を十分に踏まえ、建設省や他府県との連携も図りながら建設費の一層の縮減化に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、道路の確保についてのうち建築基準法の遵守についてでございますが、議員ご指摘の建築基準法第四十二条第二項と申しますのは、将来幅員四メートルの道路として整備されることを期待して、建築物を建築する際に、その建築物が四メートル未満の道路に接する場合において建築物を後退して建築することを義務づけているものでありまして、建築主に当該部分を道路の形状で維持管理することを義務づけているものではありません。
 しかしながら、このような機会をとらえて道路の整備を行うことは、安全な町づくりへのきっかけになるものとして重要であると考えております。このようなことから、今後とも法律の趣旨にのっとり、建築時の指導、関係団体への周知を適切に実施するとともに、より安全な町づくりが図られるよう勉強してまいりたいと存じます。
 最後に、道路の確保に関して公道と私有地の分筆登記についてでございますが、まず現状を申し上げますと、県道敷等で分筆登記がなされていないものとしては、道路改築時に発生したものと道路法施行以前のものがございます。道路改築時に発生したものについてはその早期解消に鋭意努力してきたところでございますが、相当年数も経過しているものもまだございますことから、その実態を把握すべく各筆調査を実施しているところであり、この調査等を踏まえ、その解消に努めてまいります。また、現道路法施行以前のものについては、さらに年数が経過していることから全体の把握や早期の処理は困難でありますが、当該路線の拡幅等の計画が実施される際に用地測量等、登記に必要な手続を行うことによって処理していくこととしております。
 なお、分筆登記がなされていない土地に対する固定資産税については、該当市町村に課税の減免措置を依頼しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(下川俊樹君) 再質問がございませんので、以上で神出政巳君の質問が終了いたしました。

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