平成8年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(阪部菊雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(町田 亘君) これより本日の会議を開きます。
  ─────────────────────
 【日程第一 議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び報第六号】
 【日程第二 一般質問】
○議長(町田 亘君) 日程第一、議案第百八号から議案第百三十八号まで、及び知事専決処分報告報第六号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 14番阪部菊雄君。
 〔阪部菊雄君、登壇〕(拍手)
○阪部菊雄君 議長のお許しを得まして、質問をいたしたいと思います。
 去る二十一日、県立体育館において、自由民主党和歌山県連の政経文化パーティーが極めて盛大に開催されました。大変多忙な日程の中、自由民主党総裁橋本龍太郎総理大臣、亀井運輸大臣、片岡遊説局長、前田勲男県連会長、西口知事を初め、次期小選挙区立候補者、三区野田実、二区岸本光造、一区東力の三人の先生の必勝を期して、二千五百有余人の党員・党友が結集いたしました。いよいよ本日より、初めての小選挙区制の戦いが始まろうといたしております。
 さて西口知事、あなたはかなり厳しい選挙を戦い抜いて、見事当選されて約十一カ月余でございます。一三六の公約を掲げて、県政において、清新にして誠実でわかりやすい行政目標を示し、着実に百八万県民の信望を集めており、慶賀の至りであります。特に、県下の道路整備促進、太平洋新国土軸、紀淡海峡大橋の早期実現に向かって極めて強い決意で臨まれており、大いに意を強くしているところであります。
 いよいよ質問の本論を申し上げたいと思います。
 知事は、今月三日、香港駐在員事務所開設にご出席されました。かつて私も何度か商用で行ったものであります。香港は来年──たしか七月と思いますが──中国に返還されることになっており、アジア地域の経済拠点都市として一国二制度のもと、どのように変化、変貌するのか定かではありません。しかし、香港事務所を設置した以上、今後の役割や目的について、またどのような運営をされようと考えておられるか、所見をお伺い申し上げます。
 次いで知事に、伊都・橋本地域の土木行政について質問いたします。
 第一番目は、花園村民百年の夢でありました町村道花園長谷線、すなわち美里町・花園村間の県道昇格と約千九百メートルのトンネルの早期着工についてお伺いいたしたいと思います。
 きょうは、議場の傍聴席には花園村の多くの方々がお越しになり、知事の答弁やいかんと見守っております。これは、西口知事の支持者ばかりでございます。
 私は、平成四年十月七日、一般質問をいたしました。当時の議長は馬頭先輩議員でございました。本問題につきましては多大のご協力を賜り、大変ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。私は、そのときの知事──仮谷知事でございますが──に花園村民の悲痛な願いをこの壇上で切々と訴えました。当時副知事でありました西口知事、あなたは大変記憶力のよい方ですから覚えていると思います。
 去る九月五日、読売新聞に部矢村長の歌集が出版された記事を家内から聞き、早速拝見いたしました。文化人・歌人の部矢村長が、過疎の悲しみ、喜びを歌に託した歌集であります。その中で特に私の琴線にじいんときた歌は、「灯に狂う蛾の如くにも生き来しと 老婆泣きたり離村の夜に」、過疎化しつつある山村の悲哀を詠んでおります。さらに、「犬ひとり行きし跡のみ続く雪 踏みて未明を陳情へ発つ」。歌集「山峡の賦」から二つを紹介させていただきました。
 去る九月十日、美里町長、花園村長、町村議長・議員、関係者、県議会より六名の多数の皆さんが、県道昇格と地蔵峠トンネルの早期実現について陳情いたしました。県道に昇格するには権原取得が必要とされていますが、現状は公図が混乱しているので、百年河清を待つに等しい難題であります。トンネルに至るまでの両町村の土地所有者の登記承諾書をもって、県道昇格とトンネル着工についてゴーサインを出していただきたいのであります。私は、西口知事のご決断をお願いするものであります。
 次に、農林水産部長にお伺いいたします。
 平成四年九月の一般質問で私が提案いたしました、ふるさと農道緊急整備事業として紀の川左岸から慈尊院、紀の川架橋、高野口町道八号線──現在、県代行で続行していただいておりますが──京奈和インターから右岸の広域農道を結ぶ延長千四百五十メートル、全幅十一・五メートルについては事業認定がなされており、平成十一年度までに工事を完了すると聞いておりますが、その後の経過についてご説明をいただきたいのであります。
 さて、土木部長にもお伺い申し上げたいと思います。
 京奈和自動車道橋本・高野口間十一・三キロメートルに、本年度五十億円余の土地買収費等の予算化が実現いたしております。地籍調査については橋本市は大いに頑張っておりますけれども、調査員増員のための人件費が不足で、思ったほど進捗しておらないのが事実であります。また、同時進行として橋本インターより高野口への側道も推進していただきたいのであります。
 部長、あなたは、伊都県事務所での建設常任委員会の県内調査で伊都・橋本より陳情された席上、本問題について、人件費を助成しているところもあり、早急に検討するとの発言がありました。よろしくお願い申し上げますとともに、予算化された用地買収費について、既に全線地籍調査を完了している高野口地内については、橋本地内で消化できないものは早急に調査され、高野口地内の買収に充当されればと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
 さらに、高野町梨子木峠からかつらぎ町志賀間のトンネル調査費を十二月定例議会に予算化していただきたいものであります。また、国道四百八十号線整備の府県間トンネルの進捗は現在どの程度までになっているのか、さらにまた、紀の川流域下水道の終末処理場の用地買収の現状と供用開始はいつごろになるのか、また、かつらぎ町並びに地元との話し合いをどのように進めているのか、お答え願いたいのであります。
 さて、西口知事のおかげで、橋本・伊都地方が地方拠点法に基づき地域指定を受けました。将来どのようなメリットがあり、どのように発展に寄与するのか、企画部長からお答えをいただきたいのであります。
 もう一つ、それには特に国道三百七十一号のバイパス建設と清水橋架橋が急務と考えておりますが、土木部長に所見をお伺い申し上げ、非常に短うございますが、第一回の質問を終わります。当局の積極的で誠意あるご答弁をお願い申し上げる次第でございます。
 ありがとうございました。
○議長(町田 亘君) ただいまの阪部菊雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 阪部議員にお答えをいたします。
 まず、香港駐在員事務所の開設に関するご質問でございます。
 関西国際空港が開港いたしまして、本県にとりましてアジアがより身近な地域となったわけでございます。このことから、本年をアジア交流元年と踏まえまして、県内企業のアジア地域での国際的な活動を支援し、同時に本県産業、観光のPR活動、現地での和歌山県人会活動など国際経済交流の促進、並びに地域経済の活性化を図るために香港駐在員事務所を開設したところでございます。
 お話にございましたように、香港は来年七月に中国に返還されるわけであります。中国政府は、一国二制度を保障する基本法によりまして、五十年間は現行の経済、行政等の各制度を維持するとのことでございます。返還後もアジアの経済拠点都市としての機能に変わりはなく、投資や経済等の情報収集に関しては最適地であると思ってございます。現地の経済関係の方々に伺いましても、大きな変化はないであろうということであります。これからますます発展するであろうアジアとの交流並びに連携を深めながら、本県の産業振興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、町村道花園長谷線についてであります。
 ご質問にございましたように、きょうは傍聴席に、花園村長さん、議長さんを初め、花園村の方々もお見えであります。その前でいささか事務的な説明になって恐縮でありますけれども、県道認定については、地方的な幹線道路網を構成している路線で、既に市町村道として認定されているもの、また路線の登記事務処理が完了しているものということになっておりまして、確実に登記事務処理ができる見込みのある路線に限って行うということになっておるわけであります。
 ご質問の路線につきましては、花園村と美里町を結ぶ唯一の路線でございまして、全線町村道に認定をされております。また、伊都郡西部を南北に結ぶ地域幹線道路網を形成する路線であると考えられますので、仰せのように登記事務処理をまだ進めていただかなければなりませんけれども、議会のご同意も得て県道認定の方向で進めていきたいと考えております。
 さらに、地蔵峠トンネルの着工についてであります。
 花園村にとってのトンネルの必要性は、私も現地に何回かお伺いをいたしましたし、村長さん、議長さんを初め、村民の方々の大変強い心情は十分理解しているところでございます。それだけに、一日も早く着工したいと思っております。現在、トンネルのルート検討を行っておるわけでございまして、事業の実施には用地買収を伴うため公図訂正の必要がございます。その際には花園村、特に隣接の美里町のご協力をぜひお願いしなければならないと考えておるわけでありますが、県といたしましては早期事業化を図ってまいりたいと考えております。
○議長(町田 亘君) 農林水産部長平松俊次君。
 〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) ふるさと農道緊急整備事業についてお答えをいたします。
 平成七年度に着手いたしましたふるさと農道緊急整備事業、上中・慈尊院地区の全体計画は、九度山町慈尊院から高野口町大野の橋梁を含む六百メートルと、高野口町上中と下中の八百五十メートルでございます。
 このうち橋梁部の進捗でございますが、現在、詳細設計、河川法の手続を行っており、平成九年度より橋梁下部工事に着手できるよう作業を進めているところでございます。また、道路部となる上中・下中間につきましては用地交渉の準備を進めているところであり、予定工期の平成十一年度完成を目指し、努力してまいる所存でございます。
○議長(町田 亘君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 阪部菊雄議員のご質問にお答えいたします。
 まず最初に、京奈和橋本道路についてでございます。
 この京奈和自動車道の橋本道路については、現在、用地買収が鋭意進められているところであります。本年度の事業予算に関しましても、大幅に増額されたところであります。
 ご質問の公図訂正に伴う費用の助成についてでございますが、橋本市域においては、市が事業主体となり、国土庁の補助を受け、地籍調査を鋭意実施しているところでございます。今後とも、公図訂正に伴う人員体制等について、市とも十分調整を図るとともに、建設省等に対しても必要な費用の確保について強く要望してまいりたいと考えております。
 次に、高野口地内の用地買収促進についてお答えいたします。
 平成七年度末時点での橋本市における用地買収の進捗率は、側道部分も含め、面積比率で約二一%であります。残りの用地につきましては、公図混乱地が多いことから、その訂正に時間を要するものと思われます。そのため、今年度の予算を橋本市で消化できない場合も考えまして、公図訂正が完了している高野口町で使うことも、現在建設省で検討していただいているところであります。今後とも、橋本道路全体の進捗を建設省に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、国道三百七十一号の橋本バイパスにつきましては、平成元年度に国道二十四号から府県境まで延長六・五キロメートル間の事業化を行い、現在、用地買収を重点的に進めているところでございます。本体工事の着手前に残土処理場の確保が必要となりますので、その確保に努めるとともに、早期に本体工事に着手できるよう努力してまいります。
 橋本バイパスの延伸部である市脇清水架橋につきましては、高野山から高野龍神スカイライン等を経て紀南に通じる重要な道路の一部として積極的に調査を進めております。具体的には、昨年度までに橋台、橋脚部のボーリング調査を完了し、現在、建設省とルート協議、河川協議等を進めているところでございます。今後は、都市計画決定の変更も含め、関係機関と協議を進め、早期に事業化できるよう努めてまいります。
 国道四百八十号の梨子木峠につきましては、線形が悪く、幅員狭小で、縦断勾配も急です。冬期には凍結するなど、交通の隘路となっております。これを解消するために、トンネルを含めたバイパス計画が最適と判断し、既に概略ルートの検討を実施したところであります。今後、さらに詳細な調査を進めるため、必要な調査費を確保し、早期事業化に努めてまいりたいと考えております。
 同じく、国道四百八十号の府県間道路につきましては、平成六年度に平道路として、また大阪府側も平成八年度から父鬼バイパスとして事業化されております。平道路につきましては、当地域の公図が混乱しているため現在その訂正作業を進めており、完了したところから用地買収に入る予定でございます。府県境をまたぐトンネルの基礎調査は既に完了しておりますけれども、地すべり等が見受けられる箇所もございますので、さらに詳細な地質調査も必要と考えております。今後、大阪府と連携を図りながら必要な地質調査を進め、早期のトンネル工事着手に向けて努力してまいりたいと考えております。
 紀の川流域下水道伊都処理区でございますが、伊都浄化センターの用地につきましては、地権者の方々のご協力を得まして、現在、全体計画面積十九・○ヘクタールのうち十三・七ヘクタールが買収済みであります。また、一期計画面積七・○ヘクタールのうち六・○ヘクタールが買収済みであります。
 浄化センター本体工事につきましては、初期に対応できる用地が確保できましたので本年度中に着工し、平成十一年度中に供用開始を行いたいと考えております。
 また、関連する地域整備につきましては、現在、地元の方々と町及び県で協議を進めているところであり、さらに十分話し合いを進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 阪部議員にお答え申し上げます。
 地方拠点法は、職・住・遊・学の備わった地域圏の形成を目指したものでございますが、これを実現していくための施策として、公共事業の重点実施や地方単独事業に対する支援措置のほか、税制上の優遇措置等が設けられてございます。
 橋本・伊都地方につきましては、これらの活用により、京奈和自動車道を初めとする基盤整備の一層の整備促進や市街地整備の進展などによる都市機能の充実が図られるものと考えてございます。また、地元就労の場の確保等を図り、同時にスポーツ、レクリエーション機能や文化機能の整備が進むことにより、本県北東部玄関口の役割を担う自立した都市圏が形成されていくものと期待してございます。現在、地元市町村において共同して地域の整備のための基本計画を策定中でございますが、県といたしましても、地域の創意工夫を最大限に生かしつつ、個性的で魅力あふれる計画内容となるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(町田 亘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 14番阪部菊雄君。
○阪部菊雄君 香港駐在員事務所の開設について、知事からいろいろとお話を承ったわけでございます。
 実のところ、現在私どもの織物会社の方も、知れてはおりますけれども香港へ輸出いたしております。知事、多分十一月ごろになると思うんですが、大阪の鐘淵化学が高野口町のパイル織物の展示会をやりまして、当社の製品も出すことになっておりますので、そのときには駐在員の方にも十二分にごらんいただきまして、地場産業振興のために知事からハッパをかけていただきたいと思うわけでございます。
 さらに、町村道花園長谷線については、知事から非常に温かい前向きのご答弁をちょうだいいたしまして、恐らくきょう傍聴にお越しになった方も、もう近いうちに実現するのではないかなという大きな希望を持てたと思っております。
 きのう木下秀男議員が、さきの知事選挙の得票率を申し上げておりました。私もちょっとメモしたんですが、それを見ますと、花園村の有効得票の八五%が「西口勇」と書いてあったようでございます。北山村は七○%でございます。非常にあなたに熱いエールを送った。もう本当にかたい地盤でございますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思うわけでございます。
 この地蔵峠にかける花園村民の期待につきましては十分ご承知いただいておりますので、重ねては申し上げません。
 さらにまた、農林水産部長、土木部長、いろいろと前向きのご答弁をちょうだいし、大変ありがとうございました。
 これは要望でございます。
○議長(町田 亘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で阪部菊雄君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ