平成8年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(木下秀男議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
○副議長(下川俊樹君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
30番木下秀男君。
〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 一年ぶりの登壇でございます。
ことしの夏は、殊のほか暑うございました。近代オリンピック百年、世界各地から史上最多の百九十七カ国の人々が参加してアメリカ・アトランタで開催され、数々の熱闘で私たちに感動を与えてくれましたが、寝不足になった夏でもありました。期待された日本選手団も不振に終わりましたが、そんな中で本県出身の、野球チームの杉浦選手が銀メダル、レスリングの太田選手が銅メダルを獲得したことは、県民の誇りとしてその健闘をたたえるものであります。
全国的には、医者の倫理を問われている薬害エイズ問題、病原性大腸菌O157による集団食中毒事件等が起こりました。県内では、和歌山医大附属病院で起きた乳幼児覚せい剤混入事件、同医大職員の贈収賄事件に次ぐ県職員や教職員の不祥事件、住友金属西防波堤沖埋め立て完成問題等が注目されるニュースで、話題に事欠かない夏でもありました。
通告に従って順次質問に入りますが、明確な答弁を求めます。
まず、知事選挙を振り返って知事にお伺いいたします。
昨年十一月執行された和歌山県知事選挙で、初当選されました。改めてお祝いを申し上げます。あなたは知事選出馬を決意されるや、職を辞され、「私の涙は知事として初登庁のときに流す」との名言を残し、県下五十市町村を回る行脚の旅に出られました。多くの県民と出会い、足を踏み入れたことのなかった地方へも行かれ、感じることも多かったでありましょう。一年余りの功成って、厳しい選挙戦に勝って見事当選されました。県民の良識が勝ったのであります。就任以来、まじめでそつなく県民にこたえているというのが県民の評価であります。
本論に入る前に、国土庁が発表した一九九五年の「過疎白書」のまとめを少し申し上げますと、過疎市町村は全国で四十一市七百七十四町三百八十四村、全国市町村数の三七・一%になります。面積は四七・七%と半数近くを占めながら人口はわずか六・一%で、全国平均三万八千八百二十一人に対し六千四百二十五人で六分の一の状況であります。人口の減少率は六五年から七〇年の一三・一%をピークに鈍化の傾向にあり、人口増の市町村も百十団体となっておりますが、企業立地は九三年度以降は減る一方となってございます。自然との共生志向も反映して観光客は少しふえているようでございます。
本論に入りますが、知事選挙の投票結果を見ますと、前段申し上げました過疎の見本とも言える伊都郡花園村では西口四百二十三票、得票率八五%、東牟婁郡北山村では西口三百五十二票、得票率七〇%と圧倒的な数値を示しており、候補者五人中、得票ゼロの人もあります。この数字を見ましても、いかにあなたに対する期待が大きいかということを如実にあらわしていると思うのであります。
今、最も必要な行政の基本は、過疎・高齢化対策であると思います。この過疎と高齢化対策にどう取り組まれるのか、お伺いいたします。
知事、あなたは県庁生活四十年、県庁の生き字引とも言われている人であります。就任早々、庁内の機構改革を行われました。今は行政改革が言われている時代であります。中央との関係や時代に合った名称も必要かもしれませんけれども、要は内容と取り組む姿勢であります。私は、過疎・高齢を中心とした対策室でも新設するのかと期待していたものであります。過疎を中心に申し上げましたが、今の県政全般を見るとき、数多くある団体や各種委員会、諮問機関等の抜本的な見直しを図る中で、時代を先取りするような組織がえをすべきと考えるものであります。知事のご所見をお伺いいたします。
次に、和歌山医大覚せい剤混入事件であります。
私がこの事件を知ったのは、六月定例議会の最終日でありました。最初直観したのは、「なぜ」ということでありました。明けて十二日、各紙の朝刊とNHKを初めとするテレビの報道で全国に知れ渡った不祥事であります。内容が報道されるにつれ、県民のこの事件に対する見方も、県内最高の医療機関である医大でなぜという見方でありました。
県警の発表によりますと、七月十日に医大から届け出を受け、県警捜査一課に五十名の捜査班を設置し、関係者からの事情聴取、現場調査・確認、薬物検査等を通じてわかったことは、発生したのは七月七日の夜から八日早朝にかけて、小児科で四人の乳幼児に薬物中毒症状が発生したという事件であります。事件発生後、警察に届け出たのは十日で、届け出が二日半おくれたことに「なぜ」という疑問があります。
県警の薬物検査の結果で覚せい剤と判明したのでありますが、この覚せい剤は素人では手に入れるのが非常に困難な代物で、病院には置いていないということ。だから、ここにも「なぜ」があります。
四人の乳幼児が症状を起こした八日午後、原因調査のためにそれぞれ三ccの採血をした四本のうち二本が盗難に遭ったことが県警の捜査で判明。ここにも「なぜ」ということがあります。
県警は届け出を受けてから病院関係者や入院患者の尿の任意提出を受けて検査したところ、一人に覚せい剤反応が確認されたとしてございます。その覚せい剤は一グラム当たり十七、八万円もする高価なものと判明してございます。かような高価な覚せい剤をどのようなルートで手に入れたのか。ここにも、「なぜ」、「どこから」という疑問があります。
ミステリー的な和医大覚せい剤混入事件が発生して一カ月後の八月八日になっても、密室での犯行からか、確証は得られず、早くも迷宮入りかとささやかれ始めたのであります。被害者である四人の乳幼児には後遺症もなく、退院者二名、入院中二名と、快方に向かっていることは不幸中の幸いであります。
ちょうど、この事件と前後して薬害エイズ事件やO157事件で全国が大騒動となり、忘れ去られたかのように新聞報道やテレビニュースからも消えてしまいました。この事件は医大の信用失墜と警察の捜査に対する大きな不信を残して夏が終わったのでありますが、事件発生現場に勤務する医師や看護婦さんの心中を思うとき、事件解明と信用回復を急がなければなりません。
そこで、以下の点について病院長にお伺いいたします。事件発生状況と対応、警察への届け出が遅かった理由、検査機器の整備、検査用採血二本盗難のその後、各病棟の管理体制。
警察本部長にお伺いいたします。ただいま質問いたしました中の「なぜ」という疑問点を中心に、届け出以降の捜査状況と見通しについてお伺いいたします。
大阪湾環状道路(湾岸道路)の南伸整備についてであります。
今年の暑い夏に、日本のハイクラスの人々が避暑に行く軽井沢で、日本経済界のトップクラスのセミナーがありました。そこで、「公共道路事業は本来の社会資本整備から外れている。過疎地にむだな道路ばかりつくっている。道路事業を見直せ」と、オリックスという会社の宮内社長が発言したというニュースを見ました。この発言は暑さのゆえと聞き流すわけにはまいりません。道路は文化を運ぶ、道路は地域発展の根幹をなすと、みんなが苦労しているのに、この社長さんは目先の景気と企業の業績向上以外は重要でないとお考えでありましょうか。もしこの社長さんと話す機会があれば、あなたは孫悟空のように空を飛んでいるのかと皮肉ってやりたいほど腹が立った事件であります。
大阪湾岸道路のこの路線は、京阪神と関西国際空港を連結するという目的で阪神高速道路公団によって突貫工事で進められ、関空開港と同時に供用されて、大変便利に供与されております。残りの関空から和歌山市まで南伸するための現地調査が進められていると聞いておりますが、現時点での状況をお伺いいたします。
今、和歌山県は太平洋新国土軸の道路計画への明確な位置づけ、紀淡連絡道路計画の推進に知事を先頭に猛運動を展開しているところであります。しかし、この路線の運動はいま一つの感がするのであります。
このルートについて、次のような話があります。昨年の和歌山市長選挙に橋本龍太郎総裁が応援に来てくれました。私は党の命を受けて送迎の大役を務めたのでありますが、和歌山駅頭での街頭演説会を終えて高速自動車道を経て関西空港からお帰りになりました。空港での二十分ほどの待ち時間に総裁は、昨年十一月十六日から十九日まで大阪市で開催されたAPECの裏話を聞かせてくださいました。このような国際会議はほとんど東京と京都で行われてきたのでございますが、大阪では初めてということで、随行者──ご婦人──の接待に大変なご苦労があったようでございます。このとき、大阪を立って一日コースのプランを幾つもつくったそうでありますが、その中に和歌山から高野山というコースもあったそうでございます。豊かな自然と仏都高野山ということで、橋本総裁も推薦してくださった様子でしたが、道がないということでだめになったということであります。このときのコースは、大阪黒門市場、鶴見緑地公園、京都西陣織でありましたが、好評を博したのは黒門市場と西陣の機織りだそうであります。食べ物では、横山ノック大阪府知事推奨のタコ焼きが大好評であったそうです。
このような場合、同じ道を往復しないというのが原則のようであります。別れ際に、「これからは大阪でもこのような会議がたびたび開かれるだろうから、早く湾岸道路を和歌山へ伸ばそうよ。私もお手伝いするよ」と、力強く握手をしてくれたその感激は今も忘れないのであります。
大阪市は、二〇〇八年のオリンピック開催に立候補することを決議し、九月五日にJOC(日本オリンピック委員会)に立候補申請書を提出してございます。開催が決定すれば、あと十年です。十年一昔と申しますが、現在では五年ほどの感覚でありましょう。このようなことは早いほどよいのでありますが、土木部長の答弁を求めます。
次に、国道四百二十四号美山村地内の改良についてであります。
本線は那賀郡打田町を起点に中山間地を通って田辺市に通ずる二級国道でありますが、平成五年七月の林道水上栃谷線の開通で国道三百十一号と通じ、本宮町で国道百六十八号と結んだことによって、新宮方面からこのルートを利用することが時間短縮となりました。さらに、平成六年五月の金屋町・美山村間の白馬トンネル開通によって、またさらに時間が短縮され、利用者が急増しました。
しかし、まだまだ改修を要するところや狭隘な箇所が多くございます。その中で、美山村越方発電所の越方堰堤から上流一キロメートルほどが特に狭隘でありまして、一方が山、一方がダムという危険な箇所であります。ここは子供たちの通学道路であり、車と対向するときは山側の溝の中へ避難している状況でございます。子供たちの通学安全を願って父兄がその対策を村議会に請願を提出し、村と一体となってその実現に取り組んでいるところでありますが、三年たった今も一向にらちがあかず、父兄から県は何をしているのかと直訴されることたびたびであります。事故が発生してからでは遅過ぎます。先手必勝であります。この点について土木部長の答弁を求めます。
続いて、第四次和歌山下津港港湾計画についてであります。
平成七年度をめどに第四次和歌山下津港港湾計画を策定する和歌山下津港港湾整備構想調査委員会──藤野慎吾さんという方が委員長だそうでございます──で検討されておりますが、その計画と内容と委員のメンバーをお聞かせいただきたいと思います。
お聞きするところによりますと、その委員会では第四次港湾計画では住金の埋立地用途の見直しは行わないとの方針を明らかにしておりましたが、県側は計画で埋立地利用を見直すと変更しておると言います。その点はいかがでございますか。この点についても土木部長の答弁を求めます。
最後に、住友金属和歌山製鉄所埋め立て問題についてお伺いいたします。
この埋め立て問題については、本会議場で多くの先輩や同僚から何回となく取り上げられ、その完成を待ってきたのでありますが、大幅な期間延長からおくれにおくれて今年八月二十六日竣功となっておりましたところ、直前の四日前にさらに平成十一年三月までの二年七カ月の延伸願が提出されました。私は、常々、この埋め立てに関心を持っておりました。この埋立計画の経緯と進捗状況を、年次を追って質問いたします。
昭和四十六年六月議会で公害問題として初めて取り上げられておりますが、当時の河西地区上空は大気汚染で赤茶けた空であったことを今も鮮明に覚えております。昭和四十七年七月に住金が埋立計画を発表、それを受けて昭和四十七年十一月、和歌山下津港整備審議会──現在の和歌山地方港湾審議会でありますが──の初会議が開催され、自後三回、合計四回開かれております。北別館で開催された会場に埋め立て反対の漁民や住民が押しかけ、流血騒動のあったことが当時の新聞紙上に報道されてございます。また、当時の模様を何人かの委員の方からお話も伺いました。
昭和四十九年、中央港湾審議会の答申を受けて、和歌山下津港湾の埋め立て、本計画が告示されてございます。住金は昭和五十三年八月、公有水面埋立免許を受け、同年八月二十七日に第一工区が着工され、当時の新聞によりますと、「取り戻せるか青空」、「公害は追放、景気は戻れ」、「公害部門、市街地から離す」、「労使協調をたたえる」、これらの活字が見えます。
本埋立計画は、公害工場沖出し、鉱石や石炭の原料ヤード、コークス炉、鉱滓処理場として住工の分離を図ることを基本目的として、瀬戸内海環境保全特別措置法の厳重な埋立規制の例外として許可されたものであります。また、埋立計画の中に河西緩衝緑化事業があります。緑地を充実して周辺地域の自然環境保全を図る事業としています。
私は、この事業は埋立免許の条件として住金に義務づけられたものと認識しているものであります。埋立計画申請書に緑化目標として、公害発生源(和歌山住金)対策の補完的なものとして樹木の生物学的作用による大気浄化効果がある緑地を充実し、周辺地域の自然環境保全に力を入れなければならない、工場敷地と住居敷地の間に緩衝緑地を設置するとして、住金単独事業として位置づけて始まった本事業が、いつの間に公害防止事業団になったのか、この点をお伺いします。維持管理も住金から財団法人和歌山公園緑地協会となり、県費も出していると聞くのでありますが、なぜ企業の負担をしなければならないのか、この点もお伺いいたします。
この事業は、実施段階で百八億円で実施されてございますが、事業の分担を見ますと、国庫補助金、公害防止事業団からの支出金が約二十九億円、和歌山県の支出金が約三十九億円、住友金属が約四十億円となっております。もし埋め立て中止や転売となった場合、これらに支出した国、県の公金約六十八億円は返還されるものでありましょうか、この点についてもお伺いいたします。
第一工区は、免許どおり昭和五十八年十一月二十六日に完成し、翌五十九年二月二十五日竣功認可されております。引き続き二工区、三工区の埋立事業が続行しておりましたが、二工区の完成がおくれておりますので、昭和六十一年二月議会で私はこの問題を取り上げ、住金だけの事情で中止とか延伸という合理化政策による契約の不履行は許されるものではないと、当局の考えをただしております。私の質問から四カ月後の七月に、二工区、三工区の埋立期間伸長許可申請がおりてございます。
平成三年五月二十七日、突然、埋立地内の二、三工区のうち百ヘクタールを関西電力へ転売との計画を記者発表いたしました。その席上、ばいじん、窒素、硫黄酸化物の量、悪臭、騒音、振動など公害防止協定による環境改善目標値に適合していると発表していますが、平成三年九月発表の和歌山県「環境白書」には公害があるとしています。この時点では二工区も三工区もまだ公有水面であり、住金の所有物ではございません。所有権を得られたのは、埋め立て完成、竣功認可の告示された平成四年十一月であります。公害施設沖出しという目的で瀬戸内海環境保全特別措置法で特別に認められたその基本を忘れ、許認可者である県知事を差しおいてぬけぬけと民民の取引をし、行政を軽視した住金の行為は断じて許されるべきものではありません。同日の新聞のコメントに仮谷知事の談話として、我が国における鉄鋼情勢変化の影響があるとはいえ、計画見直しは極めて遺憾であるとしております。激しい住民の反対を押し切って埋め立て同意をした仮谷知事の心中を思うとき、住金の得手勝手な倫理をわきまえない企業の横暴に無念のほぞをかんだことでありましょう。
沖出し中止発表以来、地元の住金にだまされた、約束を守れの厳しい糾弾と世論の批判と学識者の違法的見解から、急遽、平成六年三月末に住金西防波堤沖埋立地利用計画見直しなる書類を県に提出してきました。またも住金の得手勝手で見直しを申し入れてきましたが、不要であれば埋め立て中止手続をとるべきであります。にもかかわらず、第三工区の期間延長を申し出て埋め立てを続行している状態であります。言行不一致きわまりない行為であります。
平成三年五月二十七日、住金が一方的に沖出し中止を発表してから、住金工場周辺の自治会や住民グループの「約束を守れ」、「中止反対」の声が燎原の火のごとく広がり、住金公害問題発生以来初めて対本社交渉を行ったと当時の新聞が報道してございます。住金は埋め立て同意を求めたとき、地元自治会に西防埋立地沖出しに将来何らかの事由で計画を変更せざるを得ない事態が生じた場合は事前にご説明を申し上げますという文書を、当時の環境管理部長名で交わしてございます。
沖出し中止発表後、住金は隣接地の松江、湊、木ノ本、野崎、西脇の連合自治会の同意を得るべく役職員総出で同意を求めに回ったことは、当時私も住金の幹部から聞きました。住金は関係する自治会の同意を得たとして和歌山市と県に地元同意の報告をしたとしておりますが、和歌山市は議会公害対策委員会の席上、報告を受けたことを明らかにしております。県は、電話で報告を受けたとか、近く事情を聞くとか、住民合意の必要はないとも言ったそうでありますが、住金から同意について事情を聞いたのか、報告書が届いているのか、地元合意は不要なのか。私の調査では届いていないと思いますが、この点について生活文化部長の答弁を求めます。
公害対策については、五基あった高炉のうち三基を休止して、乾燥式消化方法を講じ、建屋を覆う集じん施設をつくることによって九〇%解消できると説明しておりますが、県はこれを理解し了としておるのか、この点もお伺いいたします。
住金からの西防波堤の埋立地利用計画見直しの要請を受けて、県は知事の諮問機関として検討委員会を設置しました。委員は七名で構成されており、内訳は四名が工学部教授、一名が経済学部教授と地理学名誉教授と県からの学識経験者であり、いずれもその道の見識者でありますが、法律の面から検討する法学者が一名もなく、利用計画というよりも関電LNG火力発電所建設を前提とした御用委員会的性格のものと思うのであります。
平成六年十二月、中間報告が提出されました。八項目にまとめ、利用計画の整合性を検討されております。この中間報告を受けて、平成七年四月に関西電力が環境影響調査を始めております。そして平成七年十二月に検討委員会の最終報告書が知事あて提出されましたが、西口知事が就任された直後でございます。最終結論として、一工区を住金が使用、二工区は関電LNG火力発電所建設、三工区は県有地として公共利用するという報告でございます。
平成八年八月二十六日が第三工区の竣功期限であります。期日の四日前の八月二十二日、再々延長願が出てきております。理由は、埋立地の用途変更について県の手続が確定するためとしていますが、またも住金の得手勝手で、発電事業が公益事業であることを前面に立て、関電LNG発電所建設を既定の事実のようにして知事の裁量権が与えられるようにする時間稼ぎと思うのであります。
以上、私が見た住金埋め立ての二十五年間のはしょった経過でありますが、以下、質問項目を申し上げます。
日本は、法治国家であります。この住金の勝手気ままな行為を免許者として何と見るか。沖出し中止発表は事前に県に通知があったのかなかったのか。
二番目。県は埋め立て開始から今日までに住金に対してどのような法的指導をしてきたのか。
三番目、瀬戸内法、埋立法をクリアできますか。
四番目、公害問題は完全に解消できるか。
五、LNG発電所は無公害施設と見るか。
六、地元同意、公害対策について必要がないのか。
七、第四次港湾計画の内容について。
八、県地方港湾審議会をなぜ開かなかったのか。この審議会は昭和四十八年九月十七日以降一回も開かれていないのに、和歌山下津港港湾整備構想委員会、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会なるものをつくり、屋上屋を架すようなものと考えます。前段で申し上げましたが、流血騒動の中で西防埋め立て問題を審議したのが、当時の和歌山下津港整備審議会であります。この県地方港湾審議会に諮り、議論、検討して県民の意見統一を図るのが第一であります。さらに専門的、学術的、法的に必要とあれば、そこで検討委員会なり構想委員会なるものを設置するのが本筋であろうと思うのであります。主客転倒しています。当局は余りにも御用学者に頼り過ぎで、今回の住金対関電の問題も、民民の商取引が先走りをしている常識なき振る舞いに対し、県は毅然たる態度をとるべきであります。
九、緩衝緑地整備事業について。
十、北防、南防の着工はいつか。防波堤というのは、港湾機能を果たす最も基本になるものであります。まして、紀伊水道に面したこの港で、防波堤なしでは埠頭の諸機能は不可能であります。西防埋め立て第三工区工事竣功期間伸長許可申請書に、伸長理由として埋立地利用と密接に関係している桟橋等を施工することができないためとしてありますが、この桟橋等というのは、原料桟橋と南北各百メートルの防波堤であります。またも住金の得手勝手でこの防波堤建設を埋立利用者に転嫁しようとする何物でもありません。公有水面埋立法第二十二条に違反する行為であります。
十一、公有水面埋立法第二十七条(通達第千五百八十一号)を適用する場合、県議会に知事として諮るのかどうか。この条項と通達は、知事が公共性、公益性を認めた場合、譲渡が可能としています。いわゆる知事の裁量権であります。賢明なる西口知事ですから既にお見通しのことと思いますが、埋立地の用途変更、譲渡の法規則、住金和歌山製鉄所沖出し中止、関電LNG発電所誘致問題と題して行政法の権威者である神戸大学阿部泰隆教授が長文の論文を発表されています。この質問をするに当たり、資料を集め、多くの人々からお話も伺いましたが、当局の皆さん方は、こんな大事なことは当然議会に諮りますとのことでありました。県民の声を聞くという意味から私も当然とは思いますが、知事のご所見をお伺いするものであります。
ありがとうございました。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 木下秀男議員にお答えをいたしたいと思います。
まず、知事選挙の結果についてどう思うかというお尋ねでございますけれども、お話がございましたように、私は一昨年、副知事を辞職いたしまして、約一年間、県内各地を歩いたわけでありますが、その間に県民の方々とひざ突き合わせて意見を交わし、対応をさせていただく中で、私の県政に関する考え方なり私の訴えに対しご理解をいただきまして、花園村、北山村に見るような結果につながったのではないかと考えております。改めて、私に対する期待の大きさと、同時に知事としての重責を痛感しておるところでございます。
私は、地域づくりの基本は、すべての地域がそれぞれの魅力を発揮し、そこに住むすべての方々が心から住んでよかったと思えるような地域づくりにあると思っております。そうした認識のもとで、過疎地域の振興策としては交通・通信体系の整備、あるいは生活産業基盤の整備が基本であると考えておりまして、各種施策を進めてきたところでございます。さらに今年度からは、新しい視点での過疎対策として山村21創造事業などの県単独事業を創設いたしまして、グリーンツーリズムの推進、あるいは地場産業の振興、高齢者の労働環境の改善、それに若者の定住促進などに積極的に取り組んでいるところでございます。
また、高齢化の問題については、本県の高齢化率は全国平均よりも十年早く進んでおりまして、大変重要な課題であると存じております。特に過疎地域ほど高齢化が進み、過疎町村が高齢化率の上位を占めている状況でございます。そうした中で、とりわけひとり暮らしや寝たきり老人等に対する在宅施設サービスの基盤整備の一層の充実を図りますとともに、生きがい対策として高齢者が培ってきた知識、経験、そういったものを地域で生かすことのできる施策を進めていきたいと思っております。
次に、庁内の行政改革についてであります。
本年四月に県民の立場に立って本庁組織の大規模な再編を実施いたしました。その際、県政における過疎・高齢化対策の重要性を考えた上で、今日的な課題に対応するために従来の山村対策課、高齢社会政策課の組織、所掌する事務事業を拡充強化いたしまして、名称についても内容にふさわしいものとして、山村振興課並びに長寿社会推進課としたわけでございます。しかし、いずれの課題も総合政策が必要な行政課題でありますので、今後とも県政の総合的な立場で積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、県政の一端を担う公社、財団などの外郭団体、諮問機関等についても、設置目的、果たすべき役割を明確にし、その実現のための見直しを強力に進めますとともに、地方機関等についても積極的な見直しをこれから行っていきたい、そのように考えております。
次に、住金埋め立てに関連するご質問でありますが、約十一項目にわたってのご質問がございました。それぞれの項目について関係部長からお答えをしますけれども、最終、私に対するご質問でございました公有水面埋立法第二十七条の許可に関連してのご質問でございます。
やや事務的になりますけれども、少しご説明をいたしますと、西防波堤沖埋立地への電力の立地については、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の平成六年十一月の中間報告に基づき、現在、事業者により環境影響調査が進められているところでございます。今後、所要の手続を経て最終的には国の電源開発調整審議会の場で審議されることになりますけれども、県としては、従来から申し上げている電源立地の基本的な考え方に基づき、地域振興の立場から対応してまいりたいと考えてございます。
その結果、電力の立地が確定した場合には公有水面埋立法第二十七条の所有権移転許可申請が出されることになるわけであります。しかし、同法の規定に基づき、権利の移転により不当に受益しないか等について慎重に審査をいたしまして、適正な判断をしてまいりたいと考えております。
なお、この件については議決事項ではございませんけれども、県議会とも十分連携をとりながら適宜対処してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上であります。
○副議長(下川俊樹君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 木下秀男議員のご質問にお答えいたします。
まず、大阪湾岸道路についてでございます。
大阪湾岸道路については、現在、大阪湾ベイエリアの各地域を連絡する大阪湾環状道路の一環として阪神高速道路湾岸線があります。この湾岸線の南伸については、紀淡連絡道路を含め大阪湾環状交通体系の形成に不可欠な道路であり、本県としても機会あるごとに国に要望しておりますが、今後ともコスモパーク加太、和歌山下津港等の地域整備を視野に入れ、早期具体化に向けた調査を引き続き国に対して強く働きかけてまいります。
次に、国道四百二十四号美山村地内の改良についてでございます。
国道四百二十四号の美山村内の改良計画についてでございますが、越方ダム付近から熊野川地区にかけては幅員狭小で大型車が対向できない状況にあり、早急に整備をする必要があると考えております。なお、当地域は公図が混乱していることもあり、早期に公図訂正の作業を進め、用地買収を実施し、現道拡幅の工事に着手したいと考えております。
次に、下津港湾計画の委員のメンバーと今日までの検討内容についてでございます。
和歌山下津港の港湾計画についてでございますが、現在の港湾計画は昭和六十年八月におおむね平成七年を目標年次として策定されておりますが、その後の和歌山下津港を取り巻く情勢の変化を踏まえて平成三年度より計画改定のための基礎調査を開始したところでございます。港湾計画の改定に当たっては各種の調査検討を行っており、その一環として社団法人日本港湾協会にも調査を委託しております。日本港湾協会は、幅広い意見を集約した計画とするために、学識経験者六名、港湾利用者・地元関係者五名及び関係行政機関十名で和歌山下津港港湾整備構想調査委員会を組織し、多方面からの意見をいただいているところでございます。
委員会は現在まで二回開催されておりまして、検討内容としては、一回目が和歌山下津港の現況の整理、二回目は整備の主要課題等の整理が行われたところでございます。なお、その間に平成六年三月に住友金属工業株式会社が沖合移転を中止し、埋立地の新たな土地利用を公共性、公益性の観点から県において検討してほしい旨申し出があったため、県としては遺憾ではあるがやむを得ないと判断し、新たな西防波堤沖埋立地の土地利用の検討に着手したものであります。
一方、港湾計画改定作業の今後の予定については、和歌山下津港開発利用の重要課題として西防問題を包含することが不可避のため、別途設置された西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の検討結果を見きわめつつ進めてまいる所存であります。
次に、住金埋め立てについて、沖出し中止に関し事前に県に通知があったか否かというご質問でございます。
西防波堤沖埋立地の土地利用計画の見直し希望については、平成三年五月二十七日に住友金属工業株式会社と和歌山市が報道機関に表明したものでありますが、その際に住友金属工業株式会社から土地利用計画の見直しを検討したい旨、また和歌山市から地域振興の面からLNG火力発電所などの立地について検討したい旨、県に対して非公式に話がありました。この段階では、あくまでも住友金属工業株式会社及び和歌山市の意向表明であり、県としては住友金属工業に対し、当時、遺憾なことであると知事より伝えております。
その後、両者が検討を進めた結果、平成六年三月に住友金属工業株式会社から県に対して正式に沖合移転の中止と新利用計画の策定の申し入れがなされたところです。県としては、遺憾ながらやむを得ないこととして、新たな土地利用計画について西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会にお諮りし、目下ご検討いただいているところでございます。
次に、埋め立て開始から法的にどのような指導をしてきたのかというご質問でございます。
昭和五十五年八月の埋め立て開始以来、一工区については昭和五十九年二月、二工区については平成四年十一月、公有水面埋立法にのっとり竣功を認可しているところであります。三工区については、土地利用の見直し中とはいえ、貴重な廃棄物処分場として極めて重要な役割を果たしていたことから埋め立てを継続させたものであり、竣功後は県に帰属させた上で公共の用に供することとしております。
いずれにいたしましても、土地利用の変更に際しては西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会での検討結果を待って港湾計画への位置づけを図り、その上で公有水面埋立法上の手続を進めてまいる所存であります。
次に、埋立法、瀬戸内法をクリアできるか否かというご質問でございます。
西防波堤沖埋立地の新しい土地利用計画が確定し、公有水面埋立法に基づき用途変更の申請があったときは、公有水面埋立法第二十九条第二項の規定に基づき審査し、瀬戸内海環境保全特別措置法の精神も十分踏まえながら適正な判断をしてまいりたいと考えております。
次に、第四次港湾計画の内容についてでございます。
和歌山下津港の港湾計画の改定内容については現在作業中でありますが、県としては和歌山下津港が大阪湾外に位置し、国際航路の主軸である太平洋に直接面しているというような立地特性を生かし、大水深の岸壁や十分な広さのコンテナヤードなどを有する外貿ターミナルを位置づけ、大阪湾諸港と機能分担しつつ二十一世紀の近畿圏の経済を担う港としての発展を目指してまいりたいと考えております。
なお、西防波堤沖埋立地については、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会での検討結果や電源立地にかかわる諸手続の動向をも見据えた上で港湾計画への位置づけを検討してまいる所存でございます。
次に、県地方審議会が開かれない理由というご質問でございます。
港湾審議会については、各種調査検討を実施の上、県の港湾計画原案を作成し、その内容をご審議いただく場であり、和歌山県地方港湾審議会と国の中央港湾審議会の審議を経て新しい港湾計画が決定されるものであります。現在、和歌山下津港については和歌山下津港港湾整備構想調査委員会における議論や各種の調査検討をもとに次期港湾計画の原案を作成中であり、原案ができ次第、港湾審議会に諮ることといたしております。
次に、北防波堤、南防波堤の着工時期についてであります。
北防波堤及び南防波堤は、住友金属工業株式会社和歌山製鉄所の沖合移転に際して原料桟橋を設置するため、その静穏度を確保することとして埋立申請の中で事業者・住友金属工業株式会社の行う埋め立てに関する工事として位置づけられているものです。住友金属工業株式会社が沖合移転を中止した現時点においては、埋立事業者としての必要性が必ずしも認められないところであります。埋立地の新しい土地利用が確定し、両防波堤が必要とされるならば、その段階で事業主体や事業工程が明らかになるものと考えております。
以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 生活文化部長中村協二君。
〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 住友金属埋め立てについてのうち、まず公害問題は完全に解消できるのかというご質問でございます。
住友金属工業株式会社和歌山製鉄所の環境の状況は、これまでの企業の公害防止対策の取り組みや鉄鋼業をめぐる経済情勢の変化に伴う操業の低下とも相まって、埋立免許のなされた昭和五十五年当時に比べてみても相当環境改善が進んでおり、平成二年度までは降下ばいじんが環境改善目標値を上回った年もございましたが、平成三年度以降は目標値を達成している状況でございます。
今後、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の中間報告で示されたLNG火力発電所等、新たな土地利用の変更に向けては環境保全に万全を期するとともに、既存の和歌山製鉄所も含め、全体として当初の埋立計画で見込まれていた環境改善目標が引き継がれ守られるよう厳しく指導してまいる所存でございます。
次に、LNG発電所は無公害施設かとのご質問でございます。
化石燃料を使用する火力発電所の中では、液化天然ガスを燃料とするLNG発電所が硫黄酸化物やばいじんを出さないという点で公害の少ない形式であると言えます。しかしながら、窒素酸化物が排出されますので、脱硝設備等の公害防止対策を講じることが必要であると認識してございます。
次に、地元同意についてのご質問でございます。
当初の埋立計画が公害対策を主な目的の一つとして許可に至った経緯もあり、地元住民の意見や考えを尊重するのが当然であると認識してございます。設備の沖合移転の中止に関しては、平成六年三月に住友金属工業株式会社から出された利用計画見直しについての申し出の中で関係自治会の理解を得たとの報告を受けてございますし、今後も環境保全に関しては地元住民の理解を得ていくことが必要と考えてございます。
最後に、緩衝緑地整備事業についてのご質問でございます。
河西緩衝緑地は、環境の改善と潤いのある町づくりのためにレクリエーションの機能等を持つ緑地として都市計画決定されたものであり、西防埋め立ての認可要件や工場立地法の緑地面積の条件から都市計画決定されたものではないと聞いてございます。また、緩衝緑地は工業地と一般市街地との間に設けられる緑地で、都市計画施設として公共団体が実施する必要があり、国庫補助事業として良質な緑地が確保できること、早く完成すること、企業に法的に事業費の一部を負担させ得ること等のメリットが多いことから、公害防止事業団事業として実施されたというふうに聞いてございます。
なお、当該緩衝緑地の維持管理については、県民の憩いの場として利用できるよう都市公園として整備したことから県で行い、その約二分の一は企業の負担となっております。
こういった経緯から、西防埋め立ての利用計画が変更となった場合でも、工業地域と住居地域を分離することはよりよい町づくりを進める上で必要であり、また環境保全の観点からも計画どおり進めていくことが必要であると認識してございます。
以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 医科大学病院長西岡新吾君。
〔西岡新吾君、登壇〕
○医科大学病院長(西岡新吾君) 木下秀男議員のご質問にお答えいたします。
事件発生状況と対応、並びに警察への届け出についてお答えいたします。
去る七月七日に小児科病棟において発生した今回の事件について、県議会の皆様を初め県民の方々に大変ご心配とご不安をおかけしましたことは、まことに遺憾に思います。
事件の経過については、七月七日の夜から八日の早朝にかけて、小児四名に多動性の異常な興奮状態が見られ、直ちに小児科で症状の分析及び治療方針が検討され、治療に全力を尽くしてまいりました。八日の夕刻に小児科からの報告を受け、病院内に対策会議を設置し、症状の推移に注意を払いながら、その原因究明と治療に傾注してまいりました。
しかしながら、患者の基礎疾患から考えて通常あり得ない症状であり、しかも複数の者にその症状があらわれたため、学内で協議をした結果、犯罪の疑いが生じてきましたので、七月十日に和歌山西警察署に届け出をいたしました。
病院の対応として、主治医を中心として医師団の編成を行い、患者回復に全力を挙げて取り組みましたところ、四名の異常な興奮状態は数日で完治し、うち三名は既に退院いたしました。県民の皆様の信頼を回復するためには、県内唯一の医学教育機関として、また県内の中核医療施設としてのご期待に沿えるよう、医療の面で最大限の努力を重ねてまいりたいと考えております。
次に、検査用採血盗難のご質問については、捜査上の問題もあり、答弁は差し控えさせていただきます。その旨、ご了解お願いいたします。
次に、覚せい剤関係の検査機器の整備については、現在、覚せい剤は治療上用いることがありませんので、本病院では設置しておりません。ただ、病院として一般的に治療上必要な検査機器については計画的に整備充実しているところであり、今後も必要性、緊急度を勘案しながら整備をしてまいりたいと考えております。
各病棟の管理体制についてでございます。
事件発生後、直ちに教授会、医長会及び婦長会を開催し、ポットや冷蔵庫の管理を強化するなど、安全管理を徹底いたしました。また、準夜・深夜の医師及び看護婦の勤務体制を強化するとともに、守衛の巡回と出入り口の監視、施錠やドアの点検整備も行いました。特に小児科病棟では、監視カメラ及び録画再生装置の設置、警備員の配置等、入院患者の保護と事件の再発防止に努めているところでございます。
以上です。
○副議長(下川俊樹君) 警察本部長青山幸恭君。
〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 木下議員のご質問にお答えいたします。
ご指摘の事件は、去る七月十日に和歌山県立医科大学附属病院から和歌山西警察署に対し、小児病棟に入院中の乳幼児四名が薬物による中毒と思われる症状を起こしたとの届け出があり、認知いたしました。
病院から届け出があった乳幼児四名の尿を鑑定した結果、覚せい剤反応が検出されましたので、覚せい剤使用による乳幼児に対する傷害事件と断定し、直ちに和歌山西警察署に刑事部長を長とする五十名体制の専従捜査班を設置し、捜査に着手したところでございます。また、小児病棟に備えつけられました入院患者共用のポット内の湯からも覚せい剤反応が検出されております。
このため、病院関係者、入院患者の関係者、病院出入り業者等から事情聴取を行い、目撃情報等の収集に努めるとともに、犯行の原因、動機、さらに周辺の覚せい剤入手可能な人物を中心に現在鋭意捜査中であります。
また、検査用血液に関する件につきましては、これが今回の事件との関係があるのかどうかを含めて慎重に捜査を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、今回の事件は他の入院患者やその家族はもとより、県民に与えた社会的不安ははかり知れないものがあると考えておりますので、事件の一日も早い解決を目指して今後も捜査に全力を尽くしてまいる所存であります。
以上でございます。
○副議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
30番木下秀男君。
○木下秀男君 公有水面埋立事業で五十ヘクタール以上の埋め立ては、昭和四十八年の埋立法の改正後、全国で十三カ所認可されておりますが、住金の埋め立ては関西国際空港に次ぐ二番目の面積であります。これらの事業の埋立権者が、埋め立て完了後、所有権の譲渡、用途変更をしたところは一件もありません。また、埋め立て造成中の埋立権の譲渡もありません。用途変更したのは、北海道苫小牧港で作業用地の一部を石炭保管団地に変更した一件があります。
平成五年二月十四日の衆議院建設委員会において、私たちの先輩である貴志八郎議員が質問に立って住金埋め立て問題について当局をただされておりますが、埋立法第二十七条のすべてが満たされない限り許可すべきでないと答弁をされてございます。また環境庁は、瀬戸内法をもとに三点を指摘して、用途変更は認めない方針を打ち出しております。
この公害問題が起きたころの住友金属は、企業責任を認識し、労使一体となって取り組む姿勢を地域住民も県当局も高く評価して埋め立て同意となったのでありますが、最近の住友金属の状態を見ると、ざれごとではございませんが、犬が西向きゃ尾が東向くといったように、労使相反する行為が目立つと思います。
こんなこともありました。和歌山県が関西国際空港に合わせて飛躍発展の起爆剤にしようと取り組んだコスモパーク加太計画に参画した住友銀行はバブル経済の仕掛け人のような不良貸し付け事件を起こし、住友商事は銅の不正取引で今国際スキャンダルに発展しており、信用を失墜していますが、バブル崩壊による経済変動ということを理由にこのコスモパーク加太開発推進機構から一番先に手を引いたのは、住友金属を筆頭にこれら住友グループの五社であります。県の一番苦しいときにとったこの行為は、そして今回の公有水面埋め立ての民民売買をしようとする行為は、県をないがしろにした行為と思うものであります。
もしも知事裁量ということになりましたなら、西口知事あなたは、法を遵守しながら、免許庁の長として、行政庁の長として、地元住民・和歌山県民の納得がいくように厳しく審査し、誤りなき正しい判断をされることを期待して、私の質問を終わります。
○副議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(下川俊樹君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後二時五十三分散会