平成8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(小川 武議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、知事から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) お許しをいただきまして、一言おわびを申し上げます。
 昨日午後、職員が平成五年九月ごろの県立医科大学の医療廃棄物の処理に伴う容疑により逮捕されました。今後、捜査の状況等を見守りながら厳正に対処いたしたいと思いますが、まことに遺憾でございまして、議員各位を初め、県民の皆様方に深くおわびを申し上げます。
 今後、全職員に対し、なお一層綱紀粛正の徹底を図ってまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
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 【日程第一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び知事専決処分報告報第一号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 3番小川 武君。
 〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 おはようございます。
 通告に従いまして、質問に入ります。
 去る六月二日から六月十六日までの十五日間、平越孝哉議員を団長とする県議会欧州視察団の一員として参加させていただきました。飛行距離二万二千百十一キロ、バス移動千二百キロ、船による移動二百七十キロ、電車移動四百五十キロ、歩行距離九十六キロ、計二万四千百二十七キロメートル、全行程を天候に恵まれ、病気や事故もなく視察することができ、先般、無事帰国いたしたわけであります。
 今回の視察団は、平越孝哉議員を団長とし、下川俊樹、尾崎要二、宇治田栄蔵、佐田頴一、新島雄、谷洋一、野見山海、高瀬勝助、井谷勲の各議員と私を含めた十一名の議員団であり、欧州視察の興奮と記憶がさめやらぬ間、先輩・同僚議員の了解を得まして、以下、簡略にご報告申し上げます。
 まず、最初の訪問先であるピレネーオリアンタル県についてであります。
 六月三日の午前九時、フランス・ピレネーオリアンタル県の県都ペルピニアン市に向け、スペインのバルセロナをバスで出発いたしました。バルセロナからペルピニアンまでは高速道路でつながっており、二時間ほどで到着いたしました。途中、スペインからフランスへ国境を越えましたが、バスをおりることもなく、パスポートをチェックされることもなく、バスが徐行するだけで国境を通過することができました。EUすなわち欧州連合発足後、EU各国間の移動は非常に簡単になっていることを体験いたしました。
 友好提携都市のピレネーオリアンタル県については、知事も以前に訪問されているのでご存じのことと思いますが、フランス南端に位置し、ピレネー山脈のふもと、地中海に面し、スペインと接していて、面積は和歌山県より少し狭く、九十六県あるフランスの県の中でも小さい方であります。標高二千七百八十四メートルのカニグー山を初めとするピレネー山脈の山々と紺碧の地中海の海岸が続き、自然に恵まれ、広く長く続く純白の海岸では、シーズン前ではありましたが、たくさんの人々がパラソルを広げておりました。聞くところによりますと、七月から八月のシーズン時期には百万人以上の人々がヨーロッパ各地から同地を訪れ、あふれる太陽を肌にたっぷり受け、長期のバカンスを楽しむということであります。
 また、歴史的遺産も多く見られ、今回訪れたマジョルカ宮殿も、フランス地中海沿岸西側一帯を領土としたマジョルカ王の王宮として十三世紀に建てられたもので、正面には歓迎のため日の丸も掲げられ、心温まる気配りに触れた気がいたします。また、ペルピニアン市内では、市庁舎などで彫刻家・マイヨールの作品を見ることができ、芸術を通じた交流なども今後大いに期待できると感じました。
 当地は、歴史的には十七世紀まではスペインのバルセロナを首都としたカタロニア王国の支配下にあったため、人種的、文化的にも今もつながりが深く、ピレネーオリアンタル県では、フランス語とともにカタロニアの言葉・カタラン語やスペイン語を話す人も多いと聞かされました。ピレネーオリアンタル県の県都ペルピニアンにも、スペインのバルセロナにも、同じカタロニアの旗が掲げられており、当地方独特の歴史を感じさせられたところであります。
 県庁舎で行われた会談では、ピレネーオリアンタル県側よりルネ・マルケス議長、マリー・セシル・ポンス議員、ピュイ官房長官が出席し、マルケス議長と平越孝哉議員を代表とする我々十一名があいさつをし、これからも両県の友好を深めていくことを確認し、それぞれの県についての意見交換をいたしたところであります。
 それによりますと、ピレネーオリアンタル県の人口は約三十六万人で、県都ペルピニアン市の人口は十万五千人であります。議員数は三十名で、うち女性議員は三名、任期は六年で、三年ごとに半数が改選されます。選挙区数は三十で、すべて一人の小選挙区制であります。議会の開催は年六回から八回で、会期は八日間程度、必要に応じ招集されるとのことであります。知事イコール議長であり、任期は三年、議員の中から選ばれ、行政の責務はすべて議長が負うとのことで、同じ地方自治を担当する立場でありながら、フランスと日本ではその制度に違いがあることを感じました。現在のマルケス知事は一九八八年から知事の職にあるとのことであります。
 市街の状況は、建物の高さがほぼ一定であり、町並み保存のため新築・改築の場合は国の許可が必要で、海とか山の方になるほど制限が厳しくなっており、建築できる場所・できない場所が厳しく分けられております。農業では、和歌山で桃の生産が盛んなように、桃の生産はフランスで一番とのことでありますが、あいにくことしは天候の関係で十日以上生育がおくれているとのことでありました。
 県庁での会談後、マジョルカ宮殿や市庁舎等、市内を視察し、ピレネーオリアンタル県の歴史と文化に触れることができました。マジョルカ王宮跡の中庭は千五百人収容できる劇場として利用されております。また、市内中央部にある中世に市内を取り囲んでいた城壁の門に当たる建物は、博物館として使用されております。
 夜には、ルネ・マルケス議長、エミール・パレス第一副議長、ジャン・レド副議長、フランソワーズ・バラト副議長、マリー・セシル・ポンス議員、ピュイ官房長官が出席し、ピレネーオリアンタル県の主催により懇談会が開催され、友好を深めてまいったところであります。友好提携調印から三周年を迎えた和歌山県とピレネーオリアンタル県との交流について、ルネ・マルケス議長を初めピレネーオリアンタル県の皆様には、この姉妹縁組を殊のほか喜んでいただいていることを肌で感じました。我々も、ヨーロッパの他の都市とは違った親近感を持って接することができた次第であります。友好提携後、世界リゾート博を大きな契機として、その後、県民各層の幅広い交わりがあってこそ、こうした親近感が生まれるものであろうと感じたところであります。
 西口知事も三年前、副知事として直接調印に携わってこられたことでもあり、両県の関係についての思いもまた格別なものがあろうかと思いますが、今後、同県との交流をどのように進めていくのか、知事の所見をお聞きしたいと思います。
 次に、花王スペイン工場についてであります。
 花王和歌山工場は、世界じゅうにある花王の工場の中で一番大きい規模ということであり、和歌山県の地元企業の一つと言ってよいと思います。その花王がスペインのバルセロナで優秀な企業に成長していることを視察し、非常にうれしく、心強く思った次第であります。
 六月四日、バルセロナ近郊のサンティガにある花王スペイン工場視察のため、午前九時半にペルピニアン市のホテルを出発し、花王スペイン工場に午後一時に到着いたしました。工場の概要の説明を受けた後、フロッピーディスク製造工場を見学いたしました。
 説明によりますと、花王スペイン工場は一九七〇年に進出して以来、二十六年が経過し、年間の売り上げは約二百億ペセタで、当初はスペイン国内のマーケットのみが対象でしたが、現在はマーケットもEU全体に拡大し、出荷高の三五%がスペイン国内向け、六五%が輸出されている状況ということであり、EUにおける花王の生産基地になれるようにさらに事業規模を拡大するよう努力しているとのことであります。主力商品は柔軟剤の原料とフロッピーディスクで、そのほかに複写機のトナーや古紙のインク除去の薬剤等、各種化学薬品を生産しております。
 勤務時間は、事務部門が八時十五分から十七時十五分までで、工場は交代制で二十四時間操業であるとのことであります。超過勤務は余りしないようで、多くなると役所から雇用人数をふやすよう注意されるということであります。日本人社員は五人だけで、あとは現地の人を雇用しているとのことであります。地域社会への貢献ということに常に注意しているという説明がありました。
 花王が進出を決めたのは、バルセロナを中心とするカタロニア地方は、地の利を生かした海運・商業国家としての古い歴史を持ち、スペインでの産業革命の発祥の地である等、もともと経済先進地域で、現在でもスペインで一番経済が発展している地域であり、教育レベルも高く、勤勉で質の高い労働力も得られ、インフラも整っており、他のヨーロッパ諸国にも近く、また気候や風土、それに人情までが日本と似ており住みやすいという理由によるということであります。
 続きまして、ヨーロッパ諸国の概要についてであります。
 ヨーロッパでは、一九九三年に発効したマーストリヒト条約によりEUが発足し、現在加盟国は十五カ国となり、西欧のほとんどの国が加盟しております。人口が三億人を超える巨大な市場ができ、今後統一が進めば経済も高成長すると思われますが、加盟各国の利害関係の衝突等により、現時点では順調には進んでいないようであります。失業率は西欧平均で約一〇%と依然として高い水準にあり、外国人労働者、経済難民の流入等による治安の悪化も依然として大きな問題であります。東欧では、旧体制崩壊後、政情不安等に悩まされており、市場型経済の導入等、経済改革に取り組んでいるところでありますが、本格的な回復にはまだまだ至っていないといった状況であります。
 次に訪問先の都市の様子でありますが、まずバルセロナは、一九九二年のオリンピック開催によりインフラが整備され、空港は広く明るく新しい。そして、その空港からホテルまでバスで移動しましたが、道路も広く、快適でありました。市内は旧市街と新市街に分けることができ──新市街といっても十八世紀後半に建設されたものでありますが──格子状に道路が整備され、道幅も広いが、駐車場の不足により道の両側に路上駐車され、実際に車が走れる道幅は非常に狭くなっております。旧市街は道幅が狭いのですが、それでも路上駐車がひどく、二重、三重に駐車されている場所も多いわけです。市内には一戸建ての建物はなく、すべて集合住宅であり、一階部分が店舗やオフィスとなっており、二階以上が住居になっております。築後百年を経過している建物が多く、古い建築物がよく保存されております。建築家のガウディの誕生したところであり、彼の設計した建物が公園として残されており、聖家族教会に至ってはいまだに建設中で、完成するまであと百年以上かかると言われております。
 オリンピックが開催された競技場があるモンジュイックの丘は、現在もバルセロナのスポーツと文化の中心地となっており、休日には市民の憩いの場になっております。スペインでは昼休みに時間をゆったりととるため、店舗等もその間閉められ、昼食も自宅でとることが多く、ラッシュの時間帯が一日に四回あると言われております。また、スペインといえば闘牛でありますが、バルセロナでは余り人気がなく、闘牛場も二カ所で、余り開催されていないようであります。バルセロナはカタロニア地方の中心地で、スペイン語と同時にカタラン語も公用語として使われているように、独立の気風が強いと現地ガイドさんの説明にありました。
 ミラノは国土の北部に位置し、イタリア経済の中心地であります。建物は古い石づくりのものであり、薄暗い色が多く、道幅も狭く、曲がりくねっており、雑然とした中にも町の活気を感じました。ここも駐車場が不足しているようで、路上駐車が目立ち、また市内の交通として市電が走っているのが目につきました。市内中心部にあるドゥオモは十四世紀から十八世紀にかけて建設された大理石づくりの建物で、内部の見学は無料であり、維持、修繕等は公費で賄われているということであります。また、ドゥオモの近くにあるスカラ座は世界最高のオペラハウスで、十二月から翌年七月までがシーズンで、毎日のようにオペラが上演されております。
 経済の中心地でありながら、歴史の保存、文化の振興に力を入れているのが感じられます。ガイドさんより、ジプシーによるすりや置き引きの注意を受けておりましたが、ドゥオモ前の広場でジプシーの少年が捕まり、そのポケットから財布が幾つも出てくる光景を目撃いたしました。警官や「ポリス」と書いた車をところどころで見かけましたが、治安は悪化しているようであります。
 ウイーンへは、ミラノから定員五十人程度のプロペラ機でアルプスを越えての移動でありました。「音楽の都」と言われているように、音楽家やその他の著名人の墓が一カ所にまとめられ、今では観光地にもなっております。また、市内の公園には音楽家の像が置かれており、市内中心部にある国立のオペラ座ではシーズン中は毎日オペラが上演され、チケットを入手するのが難しいということでありました。ウイーン到着の夜、苦労してオペラ座のチケットを手に入れてもらい、鑑賞に行く機会を得ました。さすが本場のオペラの迫力に圧倒されたわけであります。
 ウイーン市内視察の折、ガイドさんから、ウイーンでは著名人がいろいろな言葉を残しているが、その一つとして次の言葉を紹介してくれました。「優しさを忘れたら男をやめるべし、おしゃれを忘れたら女をやめるべし、好奇心と冒険心を忘れたら人間をやめるべし」。その言葉に感心し、そういう言葉が似合うウイーンの文化的な雰囲気というものも感じられたわけであります。郊外には有名なウイーンの森が広がっており、緑が豊かでよく整備されており、展望台からは市内が一望でき、市民の憩いの場となっているということであります。
 ウイーンからブダペストへは、ドナウ川を五時間ほどの船旅。途中二カ所、ダムのため水門があり、水位調整のため一カ所では五メートル下がるのに三十分かかり、二カ所目では四十五分かけて十八メートルも下がるという珍しい体験をいたしました。ドナウの川岸には日光浴等、自然を楽しんでいる人の姿が多数見えました。冬の間は昼の時間が少ないが、夏には日が沈むのが夜の十時ごろになるため、夏の間にはしっかりと日光浴を楽しむということであります。ブダペスト市内はドナウ川を挟んでブダ地区とペスト地区に分かれており、市内には古い建物がたくさん残されております。
 夕食のため、市内のレストランまでタクシーを使用しました。観光客相手にはメーターを操作して料金を多目に請求すると注意されておりましたが、実際、ホテルで聞いていた料金の倍ほど請求されました。旧体制崩壊後の急速な自由化の弊害の一つであると思いました。夜の九時になってもレストランや喫茶店、一部の店が開店しており、社会主義時代では到底考えられないことだと話してくれました。
 プラハは「百塔の町」と呼ばれているように、市内には旧市庁舎や教会など、多くの塔がそびえておりました。市内を流れているモルダウ川は、チェコの作曲家・スメタナの「わが祖国」にも取り上げられており、ヨーロッパで一番古い石づくりのカレル橋があり、両岸にはプラハ城等、古い建物も多く、長い歴史を物語っておりました。
 プラハからドイツのドレスデンまでは、バスで移動しました。古い生活習慣をこの目で見るために、幹線道路を外れ、エルベ川沿いにザクセンアルプスと言われる地方を特に回ってもらいました。道路沿いのところどころで窓ガラスが割れた廃屋と思われるような家屋があり、人がまだ住んでいるといいます。旧体制のころ、住宅は国有であったため、壊れても個人は修理をせず、国も最小限の修理しかできなかったためだと説明されました。旧体制が崩壊してからは、都市部では西側との商売をいち早く始めて裕福になる者も多く出現しているが、田舎ではまだまだ経済的発展に取り残されているということであります。ドレスデンでは、ホテルの前にある聖母教会が第二次世界大戦で破壊されたままになっておりましたが、再建の計画ができ、一部工事を始めていました。旧東ドイツの時代には戦争からの復興がおくれていたが、今後、復興が急進展するだろうとのことでありました。
 ドレスデンからベルリンへ行く途中、磁器で有名なマイセンへ立ち寄り、工房を見学いたしました。製作の過程が説明つきで、丁寧に見学できるようになっております。我々の見学のときには日本語による説明があり、日本人以外の人に対してはヘッドホンを使用しておりました。小さい磁器一つでも何十万円もするような高級品をつくっていますが、ブランド名を生かし、観光に対しても力を入れている様子をうかがうことができました。
 ベルリンでは、旧東ベルリンにあるホテルに宿泊いたしました。冷戦時代には東と西とを分けていたベルリンの壁のほとんどが撤去されてはいるものの、当時の痛ましい多くの犠牲者の様子を現地で聞きました。その思いが記念碑的に残されており、その表面は絵画や落書きで埋め尽くされておりました。旧東ベルリン側では第二次世界大戦時の弾痕がある壁などがまだ残っており、復興は西側に比べておくれているようであり、市内を見学していて店舗が多くにぎやかなのは西の方で、東側は寂しいような感じを覚えました。東・西ドイツが統一され、数年後には首都がベルリンに移されることになっているためか、旧東ベルリンのあちらこちらが工事中であり、復興は急ピッチに進んでいる様子であります。ギリシャ・ローマ時代の美術品や中近東の遺跡等を展示しているペルガモン博物館を見学いたしました。その内容もすばらしかったのですが、戦時中、展示品を破壊されないように何よりも優先的に守られてきたことに感動させられました。
 フランクフルトは、六十七万人の人口で四百五十の銀行があり、俗に「バンクフルト」と呼ばれている商業の都市であります。見本市会場等が整備されており、見本市が開かれているときには多くの人が訪れ、どこのホテルもいっぱいになるとのことであります。市内は古い建物と高層ビルが混在しており、雑然とした感じがいたしました。
 以上、ヨーロッパの古い歴史と伝統のある主要都市を視察してまいりました。しかし、世界じゅうどこへ行っても、和歌山ほど風土、気候、人情のいいところはないと痛感いたしました。そして、ヨーロッパのよいところは学び、和歌山県の今後の町づくりをしていかなければならないと決意して帰国した次第であります。甚だ簡単ではございますが、報告とさせていただきます。
 なお、個人的に感じたことであります。西欧、東欧の主要都市を視察して、給料の水準は日本の方が格段に高い、その給料の割に、生活に追われているという感がいたしました。ヨーロッパでは、給料水準は日本の六〇から七〇%、東欧では十分の一ぐらいであるのに、生活の充足感があるように感じました。いずれの都市でもよく見られた光景、老人、婦人、子供たちが緑豊かな公園等で伸び伸び日光浴を楽しむ姿を見て、生活を楽しんでいるという感じを持ちました。
 ベルリンでは面積の四四%が緑地であるとの説明もあり、また、ドイツの小さい町では自分の庭の木を切るにも許可が必要であり、住民もまたこれを過剰な規制だとは思っていない、むしろ当然のことと受けとめているとのことであります。また、自分の家の庭やベランダに花を植え、年に一回その美しさを競うお祭りがあり、これに入賞することが大変な栄誉であるという話も聞きました。
 ヨーロッパの美しい町並み、それは、歴史と伝統もさることながら、町づくりにかける行政と住民が一体となった長年の努力の結果であると言えるのではないでしょうか。我が国でも歴史的な町並みの保存とか町並み景観といった取り組みが先進的になされているところもありますが、急速に高齢化社会に入りつつある本県の現状を踏まえ、今後の社会資本整備、とりわけコミュニティー施設としての公園や緑地を初めとする生活重視の公共財をいかに充実していくか、また、すばらしい町並み景観をつくり上げていくために地域住民と一体となった町づくりの機運をいかに高めていくか、ヨーロッパの町づくりに学ぶべきところもあると考えます。土木部長のご意見をお伺いしたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの小川武君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 小川議員の大変参考になる視察報告を拝聴させていただきました。その中で、フランス・ピレネーオリアンタル県との友好交流の今後の進め方についてのお尋ねでございます。
 私が当時の宗県議会議長とともにピレネーオリアンタル県を訪問し、マジョルカ宮殿でマルケス知事と友好提携の調印を行ってから三年を経過するわけであります。この間、和歌山市中央商店街がペルピニアン市商店街と友好提携を締結し、交流を行ってきたところであります。また、世界リゾート博記念事業として、昨年四百名、本年も三百二十名の中学生がピレネーオリアンタル県を訪問して、現地の中学生とお互いの文化の紹介を図るなどして交流を深めているところでございます。このほか、ピレネーオリアンタル県でのペルピニアンフェア、あるいは本県での世界観光フォーラムにそれぞれが参加するとともに、経済、文化、観光等の各分野にわたっても積極的に交流を行ってまいりました。
 このたび、三周年の節目に県議会議員有志の皆さんが訪問をされてマルケス知事との意見交換あるいは視察をされましたことは、今後の交流に大変役立つものと考えてございます。この秋にはマルケス知事の来県の話もございますので、今後の進め方についてよく話し合いをいたしまして、相互の発展を図るためにより積極的な交流を重ねていきたい、そのように考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 土木部長長沢小太郎君。
 〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 小川議員にお答えいたします。
 一点目のコミュニティー施設としての公園等の充実についてでございますが、公園や緑地は緑により都市の環境を守るとともに、先般の阪神・淡路大震災でもありましたように延焼防止や避難地としても役立ち、公園自体が都市景観を形づくり、健康・レクリエーションや精神的充足の場として利用されており、議員ご指摘のように住みよい町づくりのために重要な施設でございます。
 和歌山県は、山や海等の自然に恵まれていたこと、従来個々の住宅の庭が緑の確保の役割を果たしていたこと、町づくりに当たって強い規制をかけることが難しかったことなどから、公園や緑地を初めとする緑豊かな空間が十分にあるとは言えない状況でございます。
 公園や緑地は近年その重要性が高まっており、県でつくる広域的な公園や市町村でつくる近隣公園や街区公園などの身近な公園など、県と市町村が相まって重点的にその整備を進めているところでございます。特に市町村の整備する公園については、県から県民生活環境整備重点化事業の一つとして補助金を出して整備促進を図っているところでございます。
 議員の貴重なご意見を踏まえ、今後とも県民の皆様のご理解を得ながら、市町村とも協力して公園等の整備促進に努めてまいりたいと考えてございます。
 二点目の町並み景観についてでございますが、すばらしい町並み景観をつくり上げていくことは、住みよい生活環境を創造するという点からも、また観光・リゾートをてことした振興を図るという点からも必要なことでございます。こうした魅力ある県土づくりを進めるため、今年度の新規事業として「輝のくに景観づくり調査事業」を進めており、本県独自の景観条例の制定を目指して、県民の皆様の啓発、公共施設の景観対策、町づくりの中での景観への取り組み方針等について検討を行うことといたしております。
 議員ご指摘のすばらしい町並みの形成には、県民の皆様のご理解を得るとともに一体となった取り組みが必要であります。具体的な町づくりの中で地域住民の方々とともに進めていくものであると考えてございますので、こうした町づくりに密接に関係する市町村とも協力いたしまして、よりよい景観づくりに努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で小川武君の質問が終了いたしました。

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