平成8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第三号 平成八年七月三日(水曜日)
午前十時開議
第一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで(質疑)
第二 一般質問
会議に付した事件
一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで(質疑)
二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
1 番 大 沢 広太郎
2 番 木 下 善 之
3 番 小 川 武
4 番 吉 井 和 視
5 番 下 川 俊 樹
6 番 井 出 益 弘
7 番 藁 科 義 清
8 番 門 三佐博
9 番 永 井 佑 治
10 番 新 島 雄
11 番 向 井 嘉久藏
12 番 佐 田 頴 一
13 番 和 田 正 一
14 番 阪 部 菊 雄
15 番 西 本 長 弘
16 番 馬 頭 哲 弥
17 番 谷 洋 一
18 番 長 坂 隆 司
19 番 高 瀬 勝 助
20 番 堀 本 隆 男
21 番 宇治田 栄 蔵
22 番 宗 正 彦
23 番 橋 本 進
24 番 井 谷 勲
25 番 玉 置 公 良
26 番 上 野 哲 弘
27 番 東 山 昭 久
28 番 尾 崎 要 二
29 番 野見山 海
30 番 木 下 秀 男
31 番 町 田 亘
32 番 中 山 豊
33 番 山 下 直 也
34 番 鶴 田 至 弘
35 番 森 正 樹
36 番 村 岡 キミ子
37 番 新 田 和 弘
38 番 平 越 孝 哉
39 番 森 本 明 雄
40 番 神 出 政 巳
41 番 松 本 泰 造
42 番 冨 安 民 浩
43 番 飯 田 敬 文
44 番 中 村 裕 一
45 番 松 本 貞 次
46 番 大 江 康 弘
47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
知 事 西 口 勇
副知事 山 下 茂
出納長 高 瀬 芳 彦
知事公室長 野 見 典 展
総務部長 中 山 次 郎
企画部長 藤 谷 茂 樹
生活文化部長 中 村 協 二
福祉保健部長 鈴 木 英 明
商工労働部長 日 根 紀 男
農林水産部長 平 松 俊 次
土木部長 長 沢 小太郎
企業局長 佐 野 萬瑳義
教育委員会委員長
山 本 昭
教育長 西 川 時千代
公安委員会委員 中 尾 公 彦
警察本部長 青 山 幸 恭
人事委員会委員長
若 林 弘 澄
代表監査委員 天 谷 一 郎
選挙管理委員会委員長
谷 口 庄 一
以下、各部局次長・事務局長・財政課長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 西 畑 彰 久
次 長 中 西 俊 二
議事課長 佐 竹 欣 司
議事課副課長 島 光 正
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主査 山 本 保 誠
議事課主事 大 浦 達 司
総務課長 塩 路 義 和
調査課長 湊 孝太郎
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時四分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、知事から発言を求められておりますので、これを許可いたします。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) お許しをいただきまして、一言おわびを申し上げます。
昨日午後、職員が平成五年九月ごろの県立医科大学の医療廃棄物の処理に伴う容疑により逮捕されました。今後、捜査の状況等を見守りながら厳正に対処いたしたいと思いますが、まことに遺憾でございまして、議員各位を初め、県民の皆様方に深くおわびを申し上げます。
今後、全職員に対し、なお一層綱紀粛正の徹底を図ってまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
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【日程第一 議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び報第一号から報第五号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第八十六号から議案第九十七号まで、及び知事専決処分報告報第一号から報第五号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
3番小川 武君。
〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 おはようございます。
通告に従いまして、質問に入ります。
去る六月二日から六月十六日までの十五日間、平越孝哉議員を団長とする県議会欧州視察団の一員として参加させていただきました。飛行距離二万二千百十一キロ、バス移動千二百キロ、船による移動二百七十キロ、電車移動四百五十キロ、歩行距離九十六キロ、計二万四千百二十七キロメートル、全行程を天候に恵まれ、病気や事故もなく視察することができ、先般、無事帰国いたしたわけであります。
今回の視察団は、平越孝哉議員を団長とし、下川俊樹、尾崎要二、宇治田栄蔵、佐田頴一、新島雄、谷洋一、野見山海、高瀬勝助、井谷勲の各議員と私を含めた十一名の議員団であり、欧州視察の興奮と記憶がさめやらぬ間、先輩・同僚議員の了解を得まして、以下、簡略にご報告申し上げます。
まず、最初の訪問先であるピレネーオリアンタル県についてであります。
六月三日の午前九時、フランス・ピレネーオリアンタル県の県都ペルピニアン市に向け、スペインのバルセロナをバスで出発いたしました。バルセロナからペルピニアンまでは高速道路でつながっており、二時間ほどで到着いたしました。途中、スペインからフランスへ国境を越えましたが、バスをおりることもなく、パスポートをチェックされることもなく、バスが徐行するだけで国境を通過することができました。EUすなわち欧州連合発足後、EU各国間の移動は非常に簡単になっていることを体験いたしました。
友好提携都市のピレネーオリアンタル県については、知事も以前に訪問されているのでご存じのことと思いますが、フランス南端に位置し、ピレネー山脈のふもと、地中海に面し、スペインと接していて、面積は和歌山県より少し狭く、九十六県あるフランスの県の中でも小さい方であります。標高二千七百八十四メートルのカニグー山を初めとするピレネー山脈の山々と紺碧の地中海の海岸が続き、自然に恵まれ、広く長く続く純白の海岸では、シーズン前ではありましたが、たくさんの人々がパラソルを広げておりました。聞くところによりますと、七月から八月のシーズン時期には百万人以上の人々がヨーロッパ各地から同地を訪れ、あふれる太陽を肌にたっぷり受け、長期のバカンスを楽しむということであります。
また、歴史的遺産も多く見られ、今回訪れたマジョルカ宮殿も、フランス地中海沿岸西側一帯を領土としたマジョルカ王の王宮として十三世紀に建てられたもので、正面には歓迎のため日の丸も掲げられ、心温まる気配りに触れた気がいたします。また、ペルピニアン市内では、市庁舎などで彫刻家・マイヨールの作品を見ることができ、芸術を通じた交流なども今後大いに期待できると感じました。
当地は、歴史的には十七世紀まではスペインのバルセロナを首都としたカタロニア王国の支配下にあったため、人種的、文化的にも今もつながりが深く、ピレネーオリアンタル県では、フランス語とともにカタロニアの言葉・カタラン語やスペイン語を話す人も多いと聞かされました。ピレネーオリアンタル県の県都ペルピニアンにも、スペインのバルセロナにも、同じカタロニアの旗が掲げられており、当地方独特の歴史を感じさせられたところであります。
県庁舎で行われた会談では、ピレネーオリアンタル県側よりルネ・マルケス議長、マリー・セシル・ポンス議員、ピュイ官房長官が出席し、マルケス議長と平越孝哉議員を代表とする我々十一名があいさつをし、これからも両県の友好を深めていくことを確認し、それぞれの県についての意見交換をいたしたところであります。
それによりますと、ピレネーオリアンタル県の人口は約三十六万人で、県都ペルピニアン市の人口は十万五千人であります。議員数は三十名で、うち女性議員は三名、任期は六年で、三年ごとに半数が改選されます。選挙区数は三十で、すべて一人の小選挙区制であります。議会の開催は年六回から八回で、会期は八日間程度、必要に応じ招集されるとのことであります。知事イコール議長であり、任期は三年、議員の中から選ばれ、行政の責務はすべて議長が負うとのことで、同じ地方自治を担当する立場でありながら、フランスと日本ではその制度に違いがあることを感じました。現在のマルケス知事は一九八八年から知事の職にあるとのことであります。
市街の状況は、建物の高さがほぼ一定であり、町並み保存のため新築・改築の場合は国の許可が必要で、海とか山の方になるほど制限が厳しくなっており、建築できる場所・できない場所が厳しく分けられております。農業では、和歌山で桃の生産が盛んなように、桃の生産はフランスで一番とのことでありますが、あいにくことしは天候の関係で十日以上生育がおくれているとのことでありました。
県庁での会談後、マジョルカ宮殿や市庁舎等、市内を視察し、ピレネーオリアンタル県の歴史と文化に触れることができました。マジョルカ王宮跡の中庭は千五百人収容できる劇場として利用されております。また、市内中央部にある中世に市内を取り囲んでいた城壁の門に当たる建物は、博物館として使用されております。
夜には、ルネ・マルケス議長、エミール・パレス第一副議長、ジャン・レド副議長、フランソワーズ・バラト副議長、マリー・セシル・ポンス議員、ピュイ官房長官が出席し、ピレネーオリアンタル県の主催により懇談会が開催され、友好を深めてまいったところであります。友好提携調印から三周年を迎えた和歌山県とピレネーオリアンタル県との交流について、ルネ・マルケス議長を初めピレネーオリアンタル県の皆様には、この姉妹縁組を殊のほか喜んでいただいていることを肌で感じました。我々も、ヨーロッパの他の都市とは違った親近感を持って接することができた次第であります。友好提携後、世界リゾート博を大きな契機として、その後、県民各層の幅広い交わりがあってこそ、こうした親近感が生まれるものであろうと感じたところであります。
西口知事も三年前、副知事として直接調印に携わってこられたことでもあり、両県の関係についての思いもまた格別なものがあろうかと思いますが、今後、同県との交流をどのように進めていくのか、知事の所見をお聞きしたいと思います。
次に、花王スペイン工場についてであります。
花王和歌山工場は、世界じゅうにある花王の工場の中で一番大きい規模ということであり、和歌山県の地元企業の一つと言ってよいと思います。その花王がスペインのバルセロナで優秀な企業に成長していることを視察し、非常にうれしく、心強く思った次第であります。
六月四日、バルセロナ近郊のサンティガにある花王スペイン工場視察のため、午前九時半にペルピニアン市のホテルを出発し、花王スペイン工場に午後一時に到着いたしました。工場の概要の説明を受けた後、フロッピーディスク製造工場を見学いたしました。
説明によりますと、花王スペイン工場は一九七〇年に進出して以来、二十六年が経過し、年間の売り上げは約二百億ペセタで、当初はスペイン国内のマーケットのみが対象でしたが、現在はマーケットもEU全体に拡大し、出荷高の三五%がスペイン国内向け、六五%が輸出されている状況ということであり、EUにおける花王の生産基地になれるようにさらに事業規模を拡大するよう努力しているとのことであります。主力商品は柔軟剤の原料とフロッピーディスクで、そのほかに複写機のトナーや古紙のインク除去の薬剤等、各種化学薬品を生産しております。
勤務時間は、事務部門が八時十五分から十七時十五分までで、工場は交代制で二十四時間操業であるとのことであります。超過勤務は余りしないようで、多くなると役所から雇用人数をふやすよう注意されるということであります。日本人社員は五人だけで、あとは現地の人を雇用しているとのことであります。地域社会への貢献ということに常に注意しているという説明がありました。
花王が進出を決めたのは、バルセロナを中心とするカタロニア地方は、地の利を生かした海運・商業国家としての古い歴史を持ち、スペインでの産業革命の発祥の地である等、もともと経済先進地域で、現在でもスペインで一番経済が発展している地域であり、教育レベルも高く、勤勉で質の高い労働力も得られ、インフラも整っており、他のヨーロッパ諸国にも近く、また気候や風土、それに人情までが日本と似ており住みやすいという理由によるということであります。
続きまして、ヨーロッパ諸国の概要についてであります。
ヨーロッパでは、一九九三年に発効したマーストリヒト条約によりEUが発足し、現在加盟国は十五カ国となり、西欧のほとんどの国が加盟しております。人口が三億人を超える巨大な市場ができ、今後統一が進めば経済も高成長すると思われますが、加盟各国の利害関係の衝突等により、現時点では順調には進んでいないようであります。失業率は西欧平均で約一〇%と依然として高い水準にあり、外国人労働者、経済難民の流入等による治安の悪化も依然として大きな問題であります。東欧では、旧体制崩壊後、政情不安等に悩まされており、市場型経済の導入等、経済改革に取り組んでいるところでありますが、本格的な回復にはまだまだ至っていないといった状況であります。
次に訪問先の都市の様子でありますが、まずバルセロナは、一九九二年のオリンピック開催によりインフラが整備され、空港は広く明るく新しい。そして、その空港からホテルまでバスで移動しましたが、道路も広く、快適でありました。市内は旧市街と新市街に分けることができ──新市街といっても十八世紀後半に建設されたものでありますが──格子状に道路が整備され、道幅も広いが、駐車場の不足により道の両側に路上駐車され、実際に車が走れる道幅は非常に狭くなっております。旧市街は道幅が狭いのですが、それでも路上駐車がひどく、二重、三重に駐車されている場所も多いわけです。市内には一戸建ての建物はなく、すべて集合住宅であり、一階部分が店舗やオフィスとなっており、二階以上が住居になっております。築後百年を経過している建物が多く、古い建築物がよく保存されております。建築家のガウディの誕生したところであり、彼の設計した建物が公園として残されており、聖家族教会に至ってはいまだに建設中で、完成するまであと百年以上かかると言われております。
オリンピックが開催された競技場があるモンジュイックの丘は、現在もバルセロナのスポーツと文化の中心地となっており、休日には市民の憩いの場になっております。スペインでは昼休みに時間をゆったりととるため、店舗等もその間閉められ、昼食も自宅でとることが多く、ラッシュの時間帯が一日に四回あると言われております。また、スペインといえば闘牛でありますが、バルセロナでは余り人気がなく、闘牛場も二カ所で、余り開催されていないようであります。バルセロナはカタロニア地方の中心地で、スペイン語と同時にカタラン語も公用語として使われているように、独立の気風が強いと現地ガイドさんの説明にありました。
ミラノは国土の北部に位置し、イタリア経済の中心地であります。建物は古い石づくりのものであり、薄暗い色が多く、道幅も狭く、曲がりくねっており、雑然とした中にも町の活気を感じました。ここも駐車場が不足しているようで、路上駐車が目立ち、また市内の交通として市電が走っているのが目につきました。市内中心部にあるドゥオモは十四世紀から十八世紀にかけて建設された大理石づくりの建物で、内部の見学は無料であり、維持、修繕等は公費で賄われているということであります。また、ドゥオモの近くにあるスカラ座は世界最高のオペラハウスで、十二月から翌年七月までがシーズンで、毎日のようにオペラが上演されております。
経済の中心地でありながら、歴史の保存、文化の振興に力を入れているのが感じられます。ガイドさんより、ジプシーによるすりや置き引きの注意を受けておりましたが、ドゥオモ前の広場でジプシーの少年が捕まり、そのポケットから財布が幾つも出てくる光景を目撃いたしました。警官や「ポリス」と書いた車をところどころで見かけましたが、治安は悪化しているようであります。
ウイーンへは、ミラノから定員五十人程度のプロペラ機でアルプスを越えての移動でありました。「音楽の都」と言われているように、音楽家やその他の著名人の墓が一カ所にまとめられ、今では観光地にもなっております。また、市内の公園には音楽家の像が置かれており、市内中心部にある国立のオペラ座ではシーズン中は毎日オペラが上演され、チケットを入手するのが難しいということでありました。ウイーン到着の夜、苦労してオペラ座のチケットを手に入れてもらい、鑑賞に行く機会を得ました。さすが本場のオペラの迫力に圧倒されたわけであります。
ウイーン市内視察の折、ガイドさんから、ウイーンでは著名人がいろいろな言葉を残しているが、その一つとして次の言葉を紹介してくれました。「優しさを忘れたら男をやめるべし、おしゃれを忘れたら女をやめるべし、好奇心と冒険心を忘れたら人間をやめるべし」。その言葉に感心し、そういう言葉が似合うウイーンの文化的な雰囲気というものも感じられたわけであります。郊外には有名なウイーンの森が広がっており、緑が豊かでよく整備されており、展望台からは市内が一望でき、市民の憩いの場となっているということであります。
ウイーンからブダペストへは、ドナウ川を五時間ほどの船旅。途中二カ所、ダムのため水門があり、水位調整のため一カ所では五メートル下がるのに三十分かかり、二カ所目では四十五分かけて十八メートルも下がるという珍しい体験をいたしました。ドナウの川岸には日光浴等、自然を楽しんでいる人の姿が多数見えました。冬の間は昼の時間が少ないが、夏には日が沈むのが夜の十時ごろになるため、夏の間にはしっかりと日光浴を楽しむということであります。ブダペスト市内はドナウ川を挟んでブダ地区とペスト地区に分かれており、市内には古い建物がたくさん残されております。
夕食のため、市内のレストランまでタクシーを使用しました。観光客相手にはメーターを操作して料金を多目に請求すると注意されておりましたが、実際、ホテルで聞いていた料金の倍ほど請求されました。旧体制崩壊後の急速な自由化の弊害の一つであると思いました。夜の九時になってもレストランや喫茶店、一部の店が開店しており、社会主義時代では到底考えられないことだと話してくれました。
プラハは「百塔の町」と呼ばれているように、市内には旧市庁舎や教会など、多くの塔がそびえておりました。市内を流れているモルダウ川は、チェコの作曲家・スメタナの「わが祖国」にも取り上げられており、ヨーロッパで一番古い石づくりのカレル橋があり、両岸にはプラハ城等、古い建物も多く、長い歴史を物語っておりました。
プラハからドイツのドレスデンまでは、バスで移動しました。古い生活習慣をこの目で見るために、幹線道路を外れ、エルベ川沿いにザクセンアルプスと言われる地方を特に回ってもらいました。道路沿いのところどころで窓ガラスが割れた廃屋と思われるような家屋があり、人がまだ住んでいるといいます。旧体制のころ、住宅は国有であったため、壊れても個人は修理をせず、国も最小限の修理しかできなかったためだと説明されました。旧体制が崩壊してからは、都市部では西側との商売をいち早く始めて裕福になる者も多く出現しているが、田舎ではまだまだ経済的発展に取り残されているということであります。ドレスデンでは、ホテルの前にある聖母教会が第二次世界大戦で破壊されたままになっておりましたが、再建の計画ができ、一部工事を始めていました。旧東ドイツの時代には戦争からの復興がおくれていたが、今後、復興が急進展するだろうとのことでありました。
ドレスデンからベルリンへ行く途中、磁器で有名なマイセンへ立ち寄り、工房を見学いたしました。製作の過程が説明つきで、丁寧に見学できるようになっております。我々の見学のときには日本語による説明があり、日本人以外の人に対してはヘッドホンを使用しておりました。小さい磁器一つでも何十万円もするような高級品をつくっていますが、ブランド名を生かし、観光に対しても力を入れている様子をうかがうことができました。
ベルリンでは、旧東ベルリンにあるホテルに宿泊いたしました。冷戦時代には東と西とを分けていたベルリンの壁のほとんどが撤去されてはいるものの、当時の痛ましい多くの犠牲者の様子を現地で聞きました。その思いが記念碑的に残されており、その表面は絵画や落書きで埋め尽くされておりました。旧東ベルリン側では第二次世界大戦時の弾痕がある壁などがまだ残っており、復興は西側に比べておくれているようであり、市内を見学していて店舗が多くにぎやかなのは西の方で、東側は寂しいような感じを覚えました。東・西ドイツが統一され、数年後には首都がベルリンに移されることになっているためか、旧東ベルリンのあちらこちらが工事中であり、復興は急ピッチに進んでいる様子であります。ギリシャ・ローマ時代の美術品や中近東の遺跡等を展示しているペルガモン博物館を見学いたしました。その内容もすばらしかったのですが、戦時中、展示品を破壊されないように何よりも優先的に守られてきたことに感動させられました。
フランクフルトは、六十七万人の人口で四百五十の銀行があり、俗に「バンクフルト」と呼ばれている商業の都市であります。見本市会場等が整備されており、見本市が開かれているときには多くの人が訪れ、どこのホテルもいっぱいになるとのことであります。市内は古い建物と高層ビルが混在しており、雑然とした感じがいたしました。
以上、ヨーロッパの古い歴史と伝統のある主要都市を視察してまいりました。しかし、世界じゅうどこへ行っても、和歌山ほど風土、気候、人情のいいところはないと痛感いたしました。そして、ヨーロッパのよいところは学び、和歌山県の今後の町づくりをしていかなければならないと決意して帰国した次第であります。甚だ簡単ではございますが、報告とさせていただきます。
なお、個人的に感じたことであります。西欧、東欧の主要都市を視察して、給料の水準は日本の方が格段に高い、その給料の割に、生活に追われているという感がいたしました。ヨーロッパでは、給料水準は日本の六〇から七〇%、東欧では十分の一ぐらいであるのに、生活の充足感があるように感じました。いずれの都市でもよく見られた光景、老人、婦人、子供たちが緑豊かな公園等で伸び伸び日光浴を楽しむ姿を見て、生活を楽しんでいるという感じを持ちました。
ベルリンでは面積の四四%が緑地であるとの説明もあり、また、ドイツの小さい町では自分の庭の木を切るにも許可が必要であり、住民もまたこれを過剰な規制だとは思っていない、むしろ当然のことと受けとめているとのことであります。また、自分の家の庭やベランダに花を植え、年に一回その美しさを競うお祭りがあり、これに入賞することが大変な栄誉であるという話も聞きました。
ヨーロッパの美しい町並み、それは、歴史と伝統もさることながら、町づくりにかける行政と住民が一体となった長年の努力の結果であると言えるのではないでしょうか。我が国でも歴史的な町並みの保存とか町並み景観といった取り組みが先進的になされているところもありますが、急速に高齢化社会に入りつつある本県の現状を踏まえ、今後の社会資本整備、とりわけコミュニティー施設としての公園や緑地を初めとする生活重視の公共財をいかに充実していくか、また、すばらしい町並み景観をつくり上げていくために地域住民と一体となった町づくりの機運をいかに高めていくか、ヨーロッパの町づくりに学ぶべきところもあると考えます。土木部長のご意見をお伺いしたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの小川武君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 小川議員の大変参考になる視察報告を拝聴させていただきました。その中で、フランス・ピレネーオリアンタル県との友好交流の今後の進め方についてのお尋ねでございます。
私が当時の宗県議会議長とともにピレネーオリアンタル県を訪問し、マジョルカ宮殿でマルケス知事と友好提携の調印を行ってから三年を経過するわけであります。この間、和歌山市中央商店街がペルピニアン市商店街と友好提携を締結し、交流を行ってきたところであります。また、世界リゾート博記念事業として、昨年四百名、本年も三百二十名の中学生がピレネーオリアンタル県を訪問して、現地の中学生とお互いの文化の紹介を図るなどして交流を深めているところでございます。このほか、ピレネーオリアンタル県でのペルピニアンフェア、あるいは本県での世界観光フォーラムにそれぞれが参加するとともに、経済、文化、観光等の各分野にわたっても積極的に交流を行ってまいりました。
このたび、三周年の節目に県議会議員有志の皆さんが訪問をされてマルケス知事との意見交換あるいは視察をされましたことは、今後の交流に大変役立つものと考えてございます。この秋にはマルケス知事の来県の話もございますので、今後の進め方についてよく話し合いをいたしまして、相互の発展を図るためにより積極的な交流を重ねていきたい、そのように考えております。
以上であります。
○議長(橋本 進君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 小川議員にお答えいたします。
一点目のコミュニティー施設としての公園等の充実についてでございますが、公園や緑地は緑により都市の環境を守るとともに、先般の阪神・淡路大震災でもありましたように延焼防止や避難地としても役立ち、公園自体が都市景観を形づくり、健康・レクリエーションや精神的充足の場として利用されており、議員ご指摘のように住みよい町づくりのために重要な施設でございます。
和歌山県は、山や海等の自然に恵まれていたこと、従来個々の住宅の庭が緑の確保の役割を果たしていたこと、町づくりに当たって強い規制をかけることが難しかったことなどから、公園や緑地を初めとする緑豊かな空間が十分にあるとは言えない状況でございます。
公園や緑地は近年その重要性が高まっており、県でつくる広域的な公園や市町村でつくる近隣公園や街区公園などの身近な公園など、県と市町村が相まって重点的にその整備を進めているところでございます。特に市町村の整備する公園については、県から県民生活環境整備重点化事業の一つとして補助金を出して整備促進を図っているところでございます。
議員の貴重なご意見を踏まえ、今後とも県民の皆様のご理解を得ながら、市町村とも協力して公園等の整備促進に努めてまいりたいと考えてございます。
二点目の町並み景観についてでございますが、すばらしい町並み景観をつくり上げていくことは、住みよい生活環境を創造するという点からも、また観光・リゾートをてことした振興を図るという点からも必要なことでございます。こうした魅力ある県土づくりを進めるため、今年度の新規事業として「輝のくに景観づくり調査事業」を進めており、本県独自の景観条例の制定を目指して、県民の皆様の啓発、公共施設の景観対策、町づくりの中での景観への取り組み方針等について検討を行うことといたしております。
議員ご指摘のすばらしい町並みの形成には、県民の皆様のご理解を得るとともに一体となった取り組みが必要であります。具体的な町づくりの中で地域住民の方々とともに進めていくものであると考えてございますので、こうした町づくりに密接に関係する市町村とも協力いたしまして、よりよい景観づくりに努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で小川武君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
33番山下直也君。
〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。
第一問として、本県が掲げるベイフロンティア構想に関連をいたし、何点か質問をさせていただきたいと思います。
この構想において紀伊水道は、大阪湾の玄関に位置し、大阪湾や瀬戸内地域へ出入りする船舶の通過する、従来から近畿の物流の中心的航路であり、二十一世紀の物流をリードしていく地域として位置づけされ、海陸一体の高度な複合物流拠点として整備していくとされております。ちなみに、本県で生まれ、常日ごろより紀伊水道を眺めて育った私にとりましても、意を同じくいたし、大いに期待すべき構想と感じております。
大阪湾海上交通の負担軽減、陸上高速交通網と連携した物流の効率化、大規模地震等の災害に備えたリスク分散、この三つを大きな柱とする構想は、時を見据え、時代を見据えた非常にタイムリーな構想として評価をいたしたいと思いますが、ここで一つ気になることがございます。と申しますのは、本県に隣接する大阪府において、大阪府地方港湾審議会が堺泉北港の港湾計画をこのほど了承、水深十四から十五メートルのバースを設け、四万から五万トン級の大型船が接岸できるようになるとのことで、現在、二〇〇五年の完成を目指していると聞いております。このように、既に港湾の整備開発に動き始めた状況において、本県でも堺泉北港の今後の動向を視野に入れ、対応していく方策が急務と考えられるわけであります。特に、ベイフロンティア構想は太平洋新国土軸、また大阪府が進めるウオーターフロント計画等にも関連して大変重要な役割を持つ構想であると私は考えております。
そこで、お尋ねをいたします。
まず、ベイフロンティア構想の中、和歌山下津港湾の今後の取り組みについてお尋ねをいたしたいと思います。さらに、大阪湾の入り口に位置し、外洋に面するという本県の立地特性を生かし、一度に一千トンもの貨物を積んで時速百キロの高速で海上を疾走する超高速貨物船・テクノスーパーライナーについて、和歌山下津港を寄港地とする航路の誘致が重要であると思われますが、このテクノスーパーライナーの取り組み状況についてお聞かせを願いたく思います。
続きまして、関西国際空港第二期工事に伴う土取りについてお尋ねをいたします。
一期工事では、ご承知のとおり、計約一億七千八百万立方メートルの埋立用土砂を、和歌山県土地開発公社が用地買収した加太地区、大阪府阪南市、兵庫県の淡路島の三カ所から採取したわけであり、そのうち加太地区からは全体の三分の一強の土砂を供給し、さらに今もって土砂搬出施設等も残っている現状を考えると、当然、二期工事においても本県加太地区の隣接地から採取されることになるのではと考えますが、どうなのか。
ちなみに、四月九日の衆議院運輸委員会において、土砂採取についてどう考えているかとの質問に対し、航空局長から、土を具体的にどこからどういう形で提供していただくかは用地造成会社と地元との話し合いの問題であり、関西国際空港の基礎になる重要な問題と認識をいたし、したがって局面局面に応じてしかるべく判断をしていくとの答弁がありましたが、これに対し、知事のご所見を賜りたいと思います。
また、県の財政負担を軽減するため、土砂採取の事業主体は──一期工事のときは県主体であったわけですが──二期工事についてはどうするのか。民間業者に委託をするのか、もしくは第三セクター方式での実施も検討中とのことでありますが、改めて知事のご見解をお聞きしたいと思います。
次いで、コスモパーク加太についてお尋ねをいたします。
この件につきましては、過去、何人もの先輩・同僚議員から質問がありました。それだけに、この地における利用計画というものは大変難しいものがあることは十分理解できるところであります。そこで、一つの案としてお聞きいただきたく、また提案をさせていただきたいわけでありますが、この地を一大ジャンクション用地として計画されてはどうかということであります。
今、本県は京奈和自動車道の建設促進と紀淡連絡道路の位置づけ、さらに第二阪和国道や阪神高速湾岸線の南伸等、道路行政において極めて重要な時期を迎えており、この各事業が進められるに従い、一大拠点となるべきジャンクション用地選定の問題は、時期が早い遅いはあるでしょうが、決して避けて通れない問題であります。したがいまして、苦しい中、コスモパーク加太の地を企業等に細切れで売却したり開発することよりも、将来の本県の重点地域に生まれ変われるべきポイントとしてご活用されることが何よりも望ましいのではないかと考えます。よって、以上のことから関係部長にお尋ねをいたします。
一点目、今現在、コスモパーク加太の利用計画についてどういう計画をお持ちなのか、また現況についてお尋ねをいたします。
二点目として、この地を今申したように太平洋新国土軸と既存の国土軸の接点としてお考えをいただき、コスモパーク加太の有効利用としてジャンクション用地を考えていただきたく、そのことによりこの地の付加価値が一層高まり、さらに、二期工事に伴う土取り跡地についてもなおさら同じことが言えると考えますが、県当局のご見解をお伺いいたしたく思います。
次に、観光立県和歌山についてお尋ねをいたします。
過日、「毎日新聞」において、大阪市此花区桜島二とその周辺の臨海部工場地帯を再開発し、ここに日本最大級のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」、通称「USJ」を建設する計画が本格的に動き始めたとの記事が掲載されておりました。
私は市議会議員当時、このテーマパークを和歌山市に誘致すべく、アメリカ・フロリダ州オーランドを視察したことがあり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが大阪此花区に決定を見たときは大変残念に思いました。ユニバーサル・スタジオはアメリカの映画会社MCA社のテーマパークであり、アメリカ・カリフォルニアやフロリダ両州にある、ヒット映画「ジョーズ」や「キングコング」、「ジュラシック・パーク」等を活用したアトラクションやショーが売り物のテーマパークであります。
現在、大阪では一九九八年秋に着工、二〇〇一年春の開業を目指し、地元大阪市や地権者の住友金属工業、日立造船等で企画調査会社・大阪ユニバーサル企画を設立、本年三月、資本金四十億円の事業会社といたし、さらに地元有力企業の参画を得て今も着々と進行中であると聞いております。
また、大阪市西区においてプロ野球団・近鉄バッファローズのホームグラウンドである大阪ドームが平成九年三月の完成を目指しており、さらに堺市においては新日鉄がテーマパーク「シーワールド」を検討中とのこと。次いで、大阪南港のコスモスクエア地区には運河をつくり、アジア太平洋トレードセンターや九九年度に完成する海洋博物館とともに新しい観光スポットづくりが進められており、加えて泉南地域においても、株式会社和歌山ドームの人工スキー場計画をしのぐ大規模な室内人工スキー場が計画されていると聞き及んでおります。これらすべてが現実のものとなってまいりますと、観光立県を目指す和歌山としては非常に厳しい状況に追い込まれるのではないかと感じます。よって、本県の対応とこれからの計画などをお聞かせいただきたいと思います。
また、昨年九月の本会議一般質問においてお聞きいたしましたが、これからのことを踏まえて再度、株式会社和歌山ドームの人工スキー場計画のその後の進捗状況と今後の見通しをお聞かせください。
以上、お話をしてまいりました大阪府が目指すウオーターフロントの充実に、すばらしい海を含めたすぐれた自然景観を有する本県としてどう対応されていくのか。先般、知事が海洋立県を目指し、神戸や横浜のような文化的機能を持ち、若者が集まるような和歌山下津港にしたいと語られておりましたが、海洋リゾートを考える本県といたし積極的な対応が急がれるものと考えますが、いかがでしょうか。これについてお答えをいただきたいと思います。
なお、関連することとして、昨年九月、私は一般質問におきまして、本県に観光大学誘致についてということでお尋ねをいたしました。その際、県当局より、地域の観光イメージ向上につながることから誘致について運輸省に要望したとお聞きをいたしましたが、その後の状況についてご報告をいただきたいと思います。
続きまして、アジア諸国との交流についてお尋ねをいたします。
なお、この問題に関しましては、昨年九月、先輩議員からアジア諸国に対する県としての姿勢について、また本県の交流している国々との今後の交流について質問されておりますが、私は今回、香港駐在員の派遣についてという観点から質問をさせていただきたいと思います。
本県は、一九八四年四月十八日に中国山東省と友好提携を、続いて一九九三年九月十五日にフランス共和国ピレネーオリアンタル県と、さらに一九九五年十月四日にアメリカ合衆国フロリダ州と姉妹提携を、また、本年五月二十日にメキシコ合衆国シナロア州と友好提携を結んでおられます。提携に当たっては歴史的背景があり、それぞれに観光、文化、経済、農林水産業、教育等、幅広い分野でその地域の特徴に合わせた交流を積極的に推進し、相手国と本県の相互の発展を図りたいとの趣旨に従い、友好また姉妹提携を結んでこられたものと考えます。
事実、本年四月十日から、田辺市の紀南文化会館におきまして、世界観光フォーラム出席のため、中国山東省から馮蘭海山東省外事弁公室副主任が、フランス・ピレネーオリアンタル県からルイ・ピュイッチュ・ピレネーオリアンタル県議会官房長官が、アメリカ・フロリダ州からチャールズ・ランソン・フロリダ州国際交流委員会副会長の各代表団が一堂に集まり、各国それぞれの友好を深めていただき、本県にとっても実り多きものとなりましたが、それはそれといたし、昨年三月三十日よりNHKにおいてアジアの動向についての番組が始まっており、加えて書籍の中にも数々のアジアを題材としたものが目につき、最近「二十一世紀はアジアの時代」という言葉をよく耳にいたすわけでございます。また、本県と韓国釜山との船による定期航路も開設され、加えて全日空では、関西国際空港発のミャンマー、ヤンゴン、ホーチミン線を新たに開設、さらにインドへの路線開設を目指すとのことであります。また、民間団体においても東南アジアとの交流は盛んに行われており、例えば、私が所属しておりました青年会議所につきましても、和歌山JCは香港の沙田JC、韓国の議政府JCと、また海南JCはフィリピンのサンファンJC、那賀JCは韓国済州島と、白浜・田辺JCは韓国南釜山と、それぞれ姉妹提携を結んでおり、加えて私の友人の中にもビジネスで中国、ベトナムやシンガポールへ出かける方たちが結構多いわけであり、そんな中、なぜ県や市は東南アジア諸国との友好または姉妹提携をしていないのか、とりわけシンガポールについては、すばらしい港湾と空港を持っており、交易、観光等の意味においても和歌山県との友好・姉妹提携は今後考えられないものか、などと尋ねられたことがあります。
そんな中、二十一世紀に向けた本県地域経済の活性化を図るため、県内企業とのつながりの深いアジア地域、すなわち中国及び東南アジアの情報を収集し、県内企業の国際的な活動を支援するという目的に基づき本県職員を香港へ派遣するとのことであり、将来的には日本貿易振興会、通称ジェトロ香港センターへ入居を考えているとのお話をお聞きいたしました。その内容は、県内製品の紹介や宣伝、市場調査、現地県人会の事務局活動、県産業・観光等のPR活動等、非常に有意義なものと考えます。
もちろん、香港については一九九七年七月一日、主権がイギリスから中国に返還されるわけでありますが、一九八四年の英中共同宣言で合意のなされた一国二制度を保障する基本法が香港特別行政区に適用され、五十年間、現行の経済・行政法の各制度が維持されることは確実となり、アジア地域の経済拠点都市として金融センター的機能を兼ね備え、人・物・情報を仕入れる極めて重要な東南アジア全般をフォローする窓口としての役割を担っているものと考えます。
現在、日本より大阪府、兵庫県初め二十八都道府県が世界八十一カ所に情報拠点を設置いたし、アジア地域には四十五カ所、うち香港には十三府県が職員を派遣しているとのことであります。
以上のことから、何点かお尋ねをいたします。
まず、この先、東南アジア諸国との友好・姉妹提携についてどのようなお考えをお持ちなのか、知事のご所見をお伺いいたします。
次いで、ジェトロ香港センターへの入居見込みについて、現段階の状況はどうなのか、またそれまでの間どのようにするのか、派遣職員一名となっているが将来的には増員も考えておられるのかどうか、関係部長にお尋ねをいたしたいと思います。
以上、前段、関空二期工事に伴う土取りについて、またコスモパーク加太について、観光について、アジア諸国との交流について等お聞きをしてまいりましたが、これらの問題はいずれもベイフロンティア構想に何らかの形でかかわっていく、そういう大変重要なことばかりと考えます。よって、県当局におかれましては前向きなご答弁をお願いいたしたく思います。
次に、和歌山県民はもちろんのこと、全国各地の皆さん方が非常に心を痛めており、問題となっております病原性大腸菌O157について、何点かお尋ねをいたします。
六月二十二日付「毎日新聞」によりますと、病原性大腸菌O157が感染拡大され、十五都府県で患者数千四百四十二名、うち大阪で七名が発症しているとの記事が掲載されており、今も全国的にこの被害が拡大されております。
この菌は、一九八二年、アメリカにおいて初めて分離され、日本においては一九九〇年、埼玉県浦和市の事例が最初とのことであり、五月の末ごろ岡山県邑久町にて第一号の発症者が出たのが今回の発端とされておりますが、特に乳幼児やお年寄りなど抵抗力の弱い人が感染をいたしますと症状がひどく、中でも小学生三人が死亡していることは見過ごせない点であります。残念ながら、この集団食中毒が続発する理由はいまだ不明とのことであり、大量発症した岡山・岐阜両県におきましても感染ルートはいまだ突きとめられていない状態であります。
厚生省は、都道府県に被害の拡大防止と原因究明を徹底するよう文書で申し入れ、消費者向けパンフレットを配布するなど、発生防止を訴えているところであります。また県当局におかれましても、県内各保健所にビラを置き、食べ物の十分な加熱や用便後の消毒などの徹底を呼びかけておられると聞いております。
しかし、現実に六月二十八日現在、岡山県で八百六十八人、岐阜県にて三百八十五人、広島県百九十一人、愛知県三十九人、福岡県五十三人、大阪府六十五人、兵庫県十人、奈良県三人と、いまだ有症者はふえ続け、その対策に苦慮しているのが現状であります。
そんな中、和歌山市におきましてもサルモネラ菌による集団食中毒が発生いたし、二十四日までに五百六名の症状を持った方が出たわけであります。これはO157との関係がないとのことでありますが、加えて本日、発熱、下痢等の症状にて新たに十六名の発症者が出たとの報道があり、以上のことから、何点かにわたり関係部長にお尋ねをいたしたいと思います。
まず、和歌山県下で今日、O157はあるのかどうか、また本県にてO157が発生した場合どんな対策を考えておられるのか、次いで、一般の食中毒に関しても今日までどのような対策をとってこられたのか、あわせてお尋ねをいたしたいと思います。
また、岡山県環境衛生課には「プールの水は大丈夫なのか」などの問い合わせの電話もかなりあるとのことから、今後、季節柄、本県遊泳プールの衛生管理に検討を要するものと考えますが、この点、県当局の対応はいかがなものか、お尋ねをいたします。
なお、この問題につきましては、過去に有田地方でのコレラ発症の例もあり、生鮮食料品や食品業界に影響が出ることのないように、これらに対する対応もお考えをいただき、よっていたずらに混乱させることのないよう、必要以上に騒ぎが拡大されることのなきよう、一日も早く県民の不安を取り除くため、県当局として敏速かつできる限り冷静に対処いたし、問題解決に当たっていただきたいことを申し添えさせていただきたいと思います。
最後になりましたが、最近、車で市内を走っておりますと、一つ気になることがございます。県の土木工事の看板が目につくわけなんですが、「平成七年度事業」となっているのが多く見受けられます。これは多分、昨年の国の大型補正によるものと考えられるわけでございますが、土木の職員さんの残業がかなり多いとの声も聞かれます。
そこで、行政改革に逆行するものかもしれませんが、土木の技術職員の数をふやしていただくということはできないものなんでしょうか。この場をおかりいたし、できることならふやしていただきたいとご要望申し上げます。
いま一つ、過日、泉大津に用があり阪和自動車道を走行中、気がついたことがございました。私は昨年九月議会の一般質問再質問におきまして、阪和自動車道阪南・和歌山間においてナトリウム灯の設置を要望させていただいたわけですが、その後、県当局のご報告どおり、雄山トンネルを中心としてナトリウム灯が点灯されているのを見、大変うれしく感じました。知事の敏速かつ積極的なご努力に対し心からお礼を申し上げ、私の一般質問を終わりとさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 山下議員にお答えをいたします。
まず、関西国際空港に関連してであります。
関西国際空港の全体構想は、本県の飛躍発展のためにも必要不可欠なプロジェクトでございまして、二期事業については、用地造成会社への出資を含む一期以上──約百億に近い予算でありますが──の協力を行うことにしてございます。
埋立用土砂の採取については、この六月に関西国際空港用地造成会社が設立をされたばかりでございまして、まだ具体的な協議を進める段階には至ってございません。今後、用地造成会社と協議をしながら、一期事業に係る土砂採取の経験を踏まえ、住民のコンセンサスあるいは環境問題、事業の採算性等を総合的に勘案して、ご質問のございました採取の場所、事業主体等について、慎重に、しかも時期を失せずに本県としての対応を、全体構想を積極的に推進する立場から検討してまいりたいと考えております。
次に、アジア諸国との友好提携などについてでありますけれども、関西国際空港の開港によるアジア諸国との航空路線の増加も考えてまいりますと、時間的にも距離的にも非常に近くなったわけでありまして、今後あらゆる分野での交流が活発化することが予想されるわけです。また、本県におきましても、平成六年に開催されました世界リゾート博に、既に友好提携をしている中国山東省を初め、韓国、タイ、フィリピン等のアジア各国からの参加、協力も得たわけでございます。議員からお話がございましたけれども、近年のアジアの発展は大変目覚ましいものがございまして、私もよく申し上げるわけでありますけれども、二十一世紀はまさにアジアの時代だと言われており、相互の交流を図ることは大変有効だと考えております。
そういった意味で、アジア諸国との友好提携について私も極めて重要だと考えており、これまでにいろいろ調査検討を行ってきたわけですけれども、まだ特定の国、地域に絞り込むまでには至ってございません。しかし、本年九月にアジア諸国の経済や情報の拠点である香港に駐在員を派遣する予定もございますので、各方面からのさまざまな情報等を含め、今後、積極的、具体的に進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 山下議員にお答えいたします。
まず、ベイフロンティア構想に関連しての和歌山下津港湾の今後の取り組みについてでございます。
堺泉北港は大阪湾内にある特定重要港湾の一つであり、主要な外貿公共係留施設としてガントリークレーン二基を備えた水深十二メートル岸壁が三バースあり、外貿コンテナ航路も本年五月より、同港と中国寧波港との間に、また六月より韓国釜山港との間に開設されております。さらに、本格的な外貿機能の拡充を図るため、水深十四から十五メートルのコンテナバース二バースが平成八年三月の港湾計画に位置づけられておるところでございます。
一方、和歌山下津港におきましては、水深十メートルの通称万トンバースで昨年七月と九月より釜山港との間で外貿コンテナ航路が二航路開設されており、平成八年六月までのコンテナ取扱量は二十フィートコンテナ換算で約三千四百個となっております。また、本年秋に和歌山下津港の友好港である中国の青島港でポートフォーラムを開催し、新規航路の誘致に取り組んでまいります。
次に今後の考え方についてでありますが、和歌山下津港が海の国際軸とも言える太平洋航路により近接した位置にあるというメリットを生かし、大水深の岸壁や十分な広さのコンテナヤードなどを有する外貿ターミナルを次期の港湾計画に位置づけ、大阪湾諸港と機能分担しながら、二十一世紀の近畿圏の経済を担う港としての発展を目指してまいりたいと考えております。
次に、コスモパーク加太に関連してのご質問でありますが、高規格道路のジャンクション等については、一般的な考え方として、高速道路や一般国道等の主要な幹線道路と連結することがございます。このようなことから、議員ご指摘の紀淡連絡道路についても大阪湾環状道路などネットワーク全体で考えていく必要があると考えられます。したがって、コスモパーク加太に関連するジャンクション等につきましても、将来的にネットワークの必要性及び地形的な条件などを含め、私どもなりに検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 山下議員にお答えをいたします。
テクノスーパーライナーの取り組み状況についてでございますが、本県では全国に先駆けて、我が県が有する有利な立地特性を生かし、関西圏におけるテクノスーパーライナー航路を開設するための取り組みを行っているところでございます。
国では、平成七年度までの開発実験に引き続き、本年度、テクノスーパーライナーの円滑な事業化を図るため、航路の具体的なモデル計画を作成するなど、総合的な調査に取り組んでございます。本県といたしましては、今年度、関係事業者等に参画をいただいた検討組織を設置し、航路設定の可能性の高い南九州を相手先と想定し、事業者の意向を反映した具体的な貨物輸送システムを検討しているところでございます。今後は、その検討内容を国に提言し、和歌山下津港等を寄港地とするテクノスーパーライナー航路が早期に開設されるよう関係機関等へ強く働きかけてまいる所存でございます。
次に、現在のコスモパーク加太の利用計画につきましては、リゾート、研究開発、居住の三つの機能を持つ国際的複合都市の整備を基本目標としているところでございます。昨秋より着手している幹線道路整備により東西にほぼ二等分され、西側区域にはスポーツ、レクリエーション、リゾート、観光、国際交流などの交流型エリア整備を、また東側区域については、居住を基本としながら、研究などの企業活動、あるいは公共的施設などの定住型エリア整備を目指してまいりたいと考えてございます。現在、この中で決定しているのは西側において人工スキー場がございますが、今後については前段申し上げた基本目標を踏まえつつ、社会経済及び周辺状況の変化などに柔軟に対応してまいりたいと考えてございます。
ドーム型人工スキー場計画の進捗状況については、事業主体の株式会社和歌山ドームが施設の建築確認申請を提出できる段取りで進めており、近々造成工事に県土地開発公社が着工する予定でございます。開業時期については、現時点では平成九年の夏過ぎになるものと会社より聞いてございます。施設につきましては、全長約三百メートル、全幅三十六メートルから六十三メートル規模で、スノーボードも利用可能な人工スキー場とスノーランド、附帯施設としてレストラン、駐車場等が約七・五ヘクタールに整備され、年間入場者予想は約四十万人の計画で、当初の計画どおり進めていると聞いてございます。
次に、大阪府が進めるウオーターフロントの充実に対する本県の対応と計画についてでございますが、本県にはすぐれた景観を有する海岸線があり、テーマパーク・ポルトヨーロッパを核とする和歌山マリーナシティや和歌公園、白崎海洋公園、東急田辺リゾート等の海を生かしたリゾート施設が整備されつつあり、美しい海や山を体験するスキューバダイビング、海水浴、キャンプ等の入り込み客も増加してございます。
自由時間の増大や都市住民の自然志向を背景に、近年、高速道路を中心とする高速交通体系の整備が進み、都市住民との交流の機会がさらにふえてくることが予想されます。そのため、和歌山県ならではの特性を生かしたリゾート需要はますます大きくなってくると思われますので、環境の保全に留意しつつ、長期滞在型のリゾートの核となる施設の立地を促進するとともに、自然や文化と触れ合うことによって心の豊かさが享受できる「安らぎの和歌山」を形成していきたいと考えてございます。
また、本県のウオーターフロントの充実を図るため、関西国際空港の全体構想や紀淡連絡道路の充実を視野に入れ、大阪府や徳島県との連携を密にして、リゾートや先端産業の集積をも図る、いわゆるベイフロンティア構想を調査検討してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長日根紀男君。
〔日根紀男君、登壇〕
○商工労働部長(日根紀男君) 観光大学の設置についてのその後の状況でございますが、運輸省では昨年、観光大学問題検討委員会を設置して種々検討がなされました。本年度は、その検討内容等を踏まえて観光産業における人材育成等に関する調査が実施されているところでございます。この調査では、幅広い見地から観光産業における人材育成等のあり方について調査検討を行っていくこととされておりまして、その中で有識者から成る懇談会と研究会を設け、それぞれ基本的な方向とその具体的な検討を行っているとのことでございます。県といたしましては、今後とも国の調査の経緯を見守りながら積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
次に、アジア諸国との交流についてのうち、ジェトロ香港センターの状況と駐在員についてでございます。
経済の国際化の進展に伴い、中国、アジア地域をにらんだ海外展開が県内企業においても活発になってきてございます。このような県内企業の国際的な活動を支援するため、香港に海外駐在員を本年九月から一名派遣することといたしました。駐在場所につきましては、当面、県内企業の現地駐在員事務所を使用させていただく予定でございますが、将来的には日本貿易振興会(ジェトロ)香港センターの都道府県共同事務所を考えてございます。
なお、同センターへの駐在についてはジェトロ全体の定員の問題がございますので、県としては国並びにジェトロ本部に定員枠拡大の働きかけを行っているところでございます。
なお、派遣職員の増員の問題につきましては、将来の問題として今後検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 生活文化部長中村協二君。
〔中村協二君、登壇〕
○生活文化部長(中村協二君) 山下議員にお答えをいたします。
病原性大腸菌O157の現状につきましては、本年五月末ごろから全国的にO157による集団食中毒が相次ぎ発生いたしております。
本県におきましては、昨年十一月、食中毒事例ではありませんが、病原性大腸菌O157の検出事例がありました。また、発生した場合の対応については、保健所を中心として医師会、病院協会及び関係機関等と連携を密にし、原因物質の究明に努め、汚染源の排除、二次汚染の防止等、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
次に、食中毒の発生防止については食品衛生の最重要課題として日ごろから積極的に取り組んでいるところでありますが、残念なことに、和歌山市内において最近、二件の食中毒の発生がありました。したがいまして、特にこの時期、食中毒の発生しやすい季節でもございますので、夏季食品一斉取り締まりを実施いたし、食品関係営業者等に対する監視指導の強化及びより一層の衛生管理の徹底を図るとともに、県民に対して清潔、加熱または冷却、迅速等、食中毒予防三原則の徹底を図ってまいりたいと存じます。
また、特に病原性大腸菌O157による食中毒に対しては、食品の十分な加熱調理及び手指や調理器具の洗浄、消毒等を実施することで未然防止及び拡大防止に有効であることから、リーフレット、ラジオ等を通じて正しい知識の普及啓発に努めているところでございます。
最後に、遊泳プールの衛生対策につきましては、厚生省通達に基づき、O157を含む大腸菌群に対し塩素滅菌を行うことで十分その安全確保を図るよう指導を行っているところでございます。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十八分休憩
─────────────────────
午後一時三分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
12番佐田頴一君。
〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 ただいま、議長より一般質問並びに質疑への発言のお許しをいただきましたので、通告に従い、執行部に対し質問をしてまいりたいと存じます。
私は、過去に何度か前仮谷知事に対し、この壇上より質問をさせていただいたことがありますが、西口知事に対しては初めてでありますので、まずはお手やわらかにお願いをしておきたいと思います。
さて、西口知事は今回の知事選挙に当たり、県民に対し一三六の公約を約束されているので、ぜひこの公約の中身について詳細に、特に紀北百万都市構想の基本的な考え方についてお聞きしたいと思っていますが、この問題は次回に回し、今その対策処理に緊急を要する四つの問題点について質問をしてまいります。
まず、地方分権の問題点と市町村合併の推進についてであります。
昨年の地方分権推進法の成立で地方分権の機運が高まり、二十一世紀に向けて、それぞれの地域の特性を生かした活力ある郷土づくりを目指し推進されようとしているが、分権論議は一般住民にはわかりづらく、具体像はまだはっきりと浮かんできていないのが現状であります。今後、地方分権の論議が正念場を迎える中で、先日、県議会側も、地方分権推進に関する調査研究会委員が決まり、発足されるようで、大変結構なことであると思います。一方、分権を求める地方自治体の市町村の頼りなさが昨今指摘されています。
今、分権を実現するよい機会が到来してきていても、肝心の権限移譲を受ける自治体側の市町村のうち、受け入れ態勢側の体制がまだまだ確立しておらず、逆に地方分権をありがた迷惑に思っている市町村が大変多いと言われているのも現状であります。現に、主として分権を強く望んでいる自治体は都道府県と大都市であり、小規模市町村では、今市町村に権限を移譲されてきても行財政能力や人的確保に限界があり、直ちに受け入れ態勢のないまま権限だけ移譲されても、当事者である市町村が地方分権の恩恵を生かされないままとなりかねないことになります。
一例を挙げていきます。地域保健法改正で近く保健事業も県から市町村に分権されること、特別養護老人ホームへの入所事務処理も県から既に市町村に移行されていますし、国民健康保険は全国の市町村のうち三分の二が単年度で赤字を出して一般会計で補てんされていること。
次に、次期国会で厚生省が目指す公的介護保険導入は、そのサービスする機関も、保険料徴収も、その運営の主体もすべて市町村という形で検討されており、高齢者の多い市町村ほど赤字が膨らみ続け、新たな市町村の苦悩が続くことになりますが、国や厚生省はそんな実態を理解しているのだろうかと疑問に思います。住民の介護を受ける権利の確保や運営機関の市町村の重い差額負担は当然となり、財源不足、受け入れ施設の整備、人材確保への対応など、これからの高齢化社会に対応できる体制は、どれをとっても都道府県以外、今の市町村規模ではとても無理であり、さらに農林、建設、教育などの部門をとっても、国の補助基準率と実勢価格の差に大きな隔たりがある以上、市町村の財源持ち出しが大きくなるばかりで、財源を圧迫し続けることになります。国はいつも制度改正と言っては面倒な仕事だけを地方に押しつけ、市町村が望まない仕事だけ移譲されますが、地方自治体の負担を増し、財源の足りない事業ばかりを権限移譲という美名のもとに移譲されては、弱小市町村はたまったものではありません。また地方分権とは、地方がみずからの創意と責任のもとに、企画、立案、調整、実施等を一貫して対応でき、豊かな地域づくりができる体制、行政の即応性、柔軟性、総合性を増し、住民の多様なニーズにこたえることができることが地方分権の利点であると強調されても、財源確保の伴わない分権移譲はなかなか納得できにくいのであります。地方交付税制度のあり方や税体制の再構築の解決の問題、これらが市町村側の消極的な態度の理由であり、積極性に欠ける理由となっています。
次に、機関委任事務を全面的廃止と、地方分権推進委が中間報告している問題であります。
去年、大津市で職員九百四名を対象に地方分権アンケート調査を実施し、その結果がまとめられているが、その結果は、国庫補助金と機関委任事務に係る仕事量を合わせると全仕事量の二○%を超えることがわかった。それに対する国の負担する給与費は全体のわずか○・八%であり、国の仕事を地方が受け持っても、その財源の手当てはごく少しだけということであります。市町村にとっての権限移譲は、国の財政を仕組みを変えない限り、甘い見通しに基づく対応だけでは多くの自治体が苦境に陥ってしまう矛盾を指摘したいと思います。
しかし、新しい時代の流れとして二十一世紀には、好むと好まざるとにかかわらず権限移譲の時代が迫ってきております。これに対応するため、来年四月に中核市へ移行できるよう政令による指定を受けるべく和歌山市も準備を進めており、今、重大な岐路に立たされております。これを解決するためには、新しい時代に合った受け皿づくりの体制、現在の市町村を新しい適正規模の市町村につくりかえる必要に迫られているのではないでしょうか。それは、新しい市町村合併の推進であります。
和歌山県内の五十市町村の形に合併したのは昭和三十年で、現在は既に合併してから四十年が経過しています。この間、高度経済成長を契機として道路網の整備、交通・通信手段の著しい発達、また社会経済情勢の変化に伴い日常生活圏が拡大し、市町村や住民生活をめぐる状況も大きく変化している。そのため近年、地方分権の時代と相まって、市町村合併の可否についての新たな課題が生じており、合併への活発な動きが必要となってきています。
既に那賀郡では広域行政推進議員連盟結成の動きがあり、地方分権の推進の動きとあわせ、行政能力を有し、地域発展の牽引力を持つ適正な新しい市町村の誕生を積極的に推進しようとの声が大変多いのであります。現在の市町村の合併特例法が制定されて三十年が経過しましたが、平成七年三月三十一日に合併特例法が十年間延長されており、今回の合併特例法は市町村の合併はあくまでも自主的と指摘されているものの、国は合併推進を今までのように単純に市町村任せにしておけばよいという行政主導による合併スタンスを否定して住民発議制度、すなわち市町村長の意向にかかわりなく有権者の一定数の署名を集めれば市町村長に対し合併の可否を決める合併協議会の設定を請求できる仕組みが新たに加えられていること、また都道府県に対しても関係市町村の合意形成のため重要な役割を果たすことが必要であるとして、市町村に対し積極的に指導、応援等を行うべきであるとしているが、これらの問題点も含めて、知事の地方分権と町村合併の推進についての考え方を、まずお聞かせいただきたい。
続いて、貝塚市と粉河町を結ぶ府県間広域農道の整備促進についてであります。
二十一世紀を控えて、新しい郷土づくりに向けた活力ある地域づくりを推進するための核となる貝塚市と粉河町川原地区を結ぶ連絡道の建設は、戦後五十年、ずっとこの地方に住む人々の夢でありました。この道路を実現するため、大阪府南部・和歌山県那賀郡東部府県道路整備促進等の期成同盟会が発足して既に二十年以上も経過していますが、いまだにその方向づけさえも確定しておらず、この地域の整備は著しく立ちおくれており、他の地域の整備を横目で眺めながらやきもきしているのがこの地域に住む住民の心境であります。
平成八年四月三十日、総会を開催して会長職も那賀町長より粉河町長に交代し、この地方に絶対不可欠な貝塚市と粉河町を結ぶトンネル構想も含めた幹線道路の整備実現に一層力を入れようと、意欲を燃やしているところであります。これから二十一世紀を間近に控えて、関西国際空港も既に開港され、まさに国際化時代を迎えるときに当たり、紀の川流域中間部の発展の絶好機としてとらえ、府県間道路の整備を早急に進めてほしいと考えております。こうした情勢の中にあって、近年、当地においては紀の川地区広域農道が完成し、大阪府側においても金剛広域農道、ふるさと農道泉州基幹農道等の広域農道が一部実現または計画中であります。
そこで、ウルグアイ・ラウンド事業などを活用したウルグアイ・ラウンド関連事業として、新たな農業、農村の活性化、農業基盤の促進を図ることを目的に広域農道の整備を緊急に促進し、農業の振興と定住環境の改善に資するためにこの道路の整備推進を図りたいと考えております。すなわち、南北縦貫府県間広域農道の促進であります。和泉葛城山系の北側の広域農道と南側の紀の川広域農道の両広域農道をトンネルで直結する広域農道整備は、和歌山県、大阪府間相互の農産物物流の促進を初め、農村と農村、都市と農村との交流を深め、これによって新しい都市近郊農業としても発展できる重要な事業となります。もしこの道路が完成するとなると、長い夢が実現し、那賀地方への農業並びに社会経済に及ぼす効果ははかり知れないものになります。こうした観点から、農村関係の事業、特にウルグアイ・ラウンド関連事業を活用した府県間広域農道に焦点を絞り、県と大阪府関係市町村との連携を密にして早急にこの事業を採択するよう農林水産省に対し強力に要請をしていただき、この計画の一日も早い実現を図ってほしいと思います。
まず、この広域農道の基本的な取り組みについて、知事のご所見と見通しをお尋ねしたいと思います。
次に、農林水産部長にお尋ねします。
ウルグアイ・ラウンド関連事業として国に採択を要請していただくとしても、この法律は時限立法のため余り時間がありません。総額六兆百億円の限定予算であるため、和歌山県側から早急に大阪府側へこの事業の提案と要請をしていただき、早急に阪和協議会で検討できるよう努力をお願いしたい。既に農林水産省へは岸本衆議院議員と地元町長も打診しており、先般も、西口知事に対して真剣に取り組んでくれるよう陳情したところであります。
また、この事業の財源問題についても、現行法律の中で一番有利な事業は広域営農団地農道整備事業であると考えます。その補助率は国が五○、県が四一・二五、市町村が八・七五%ですが、交付税の裏打ち助成を入れると、国が八八、県が九・九、市町村が二・一%となり、県も市町村もこの程度の地元負担は可能となる資金であります。農林水産省に対するこれからの対策や大阪府への対応について、財源問題も含めて部長の考え方と見通しについてお聞きしたいと思います。
続いて、県立新看護婦等養成所建設の内容についてであります。
高齢化社会の到来で今後ますます増大する介護に対する対応は、病院の中だけでなく、地域や在宅での看護サービスの充実が広く求められ、看護婦の需給についての適正な供給を確保する必要な方策を講じる時期に来ています。お互いに年をとって、病院や施設、在宅でもよりよい看護を受けられるかどうか、看護婦養成所の充実が問題となります。
昨年、新宮市に県立なぎ看護学校や県立医科大学看護短期大学が相次ぎ開校されましたが、県議会においても紀北地方への看護婦養成所設置について請願が採択され、県においても県立高等看護学院の将来構想の中で検討されていたが、紀北地域の紀の川筋として初めて那賀町地域に県立高等看護学院を建設するという計画は全く時宜を得たものであり、町民挙げて歓迎し、特に国や県の施設が全くない町であるため、仮谷志良前知事、西口知事のご英断に対し、心から深く感謝をしているところであります。
さて、近年、小病院や診療所など比較的小規模の病院に対する看護婦の派遣が難航し、その確保が大変難しく、慢性的な看護婦不足が生じているとされています。また、市町村では身近な保健福祉サービスの拠点づくりを急がれているが、在宅福祉事業のショートステイやホームヘルプ事業等にも医療経験のある看護婦の展開が不可欠となり、要介護者の増大に対応した看護婦や介護職員が必要であり、住民の健康意識の高まりの中で、健康医療の内容説明を適切に行い得る人材の確保が必要な時代となりつつあります。そのため、保健・看護の育成をより早く目指さなければならない時代が到来してきております。
幸い、学校教育法に定める短期大学として、本年、県立医科大学附属看護短期大学が完成され、平成八年四月一日に開校されているが、入学競争率は六・○八倍と高い競争率だったと聞くし、また最近、男性が看護分野に進出していることも含めて、将来を見越し、優秀なフレッシュな男女の県内高校生を迎えられるような立派な学校の受け入れ態勢の計画を整えてほしいと思います。
厚生省は、現在の看護婦・看護士養成課程に、保健婦、保健士や助産婦養成のためのカリキュラムを統合した新しい看護職員の養成制度を導入することなどを含めた見直し策をまとめ、現行制度では、三年程度の看護婦養成学校を卒業しても、保健婦や助産婦の資格を取るためには新たにそれぞれの保健婦、助産婦の養成学校に一年間通わなければならなかったが、平成九年四月から新しく実施される養成課程では、四年間で看護婦になるための教育と保健婦や助産婦になるための教育を統合して行い得ることになり、これにより病院内の看護だけでなく、在宅での看護や地域での保健医療、福祉についての知識も兼ね備えた看護職員を効率的に養成できる新制度が採用されることとなっています。
そこで、今回建設される県立高等看護学院に、看護婦養成課程とともに、ぜひとも保健婦、助産婦の養成課程も含めた総合看護学院として、さらに男性の受け入れ態勢の整備を計画の中に入れていただくよう検討してほしいと思いますが、知事のご所見を承りたいと思います。
次に、新看護婦等養成所建設の内容について詳細に担当部長にお聞きします。
恵まれた自然環境の中で快適な学生生活をエンジョイしていただき、資質のよい人材を受け入れるためには、快適なキャンパスライフが必要であります。主な施設として、講義室、実習室などの校舎と管理棟、図書館、女性の多い学校ですから生け花、華道などに利用できる娯楽室、運動場、体育館などを兼ね備え、さらにビデオ、インターネットを利用して他看護学院との情報交換のできる施設も、今の時代ではぜひ必要であります。今後、検討されていく看護学院の内容について、養成学科の内容、募集定員、建設の用地、建物、スポーツ施設等の面積、開校予定日、総事業費の見込みについてもお聞かせ願いたいと思います。
最後、華岡青洲記念館建設についてであります。
和歌山県は歴史的に偉大な先駆者を多く生んだ土地柄ですが、八代将軍吉宗、紀南の南方熊楠、紀北の華岡青洲と、日本の中にあって現在もその名を高く評価されている人物がおります。紀北の華岡青洲は、十九世紀の初め、今を去る約二百年昔、那賀町平山に日本最大の医療施設であった医学校を設立、その名を春林軒と言い、難病に悩む患者はもとより、我こそは郷土の医者たらんと志した青年も春林軒を目指し、延べ千八百人の医者が詰めかけたという。中でも、当時世界で初めて全身麻酔下での乳がん手術を成功させた偉業が全国的に知れ渡ったためであります。
昭和二十九年、この偉大な青洲先生の功績が世界外科医学で認められ、米国シカゴ市にある人類の福祉と世界外科学会に貢献した偉大なる人物として栄誉館に祭られ、その栄誉を永久的に表彰され、世界の医学史に「医聖」の名をとどめています。日本で初めて世に出たのは、有吉佐和子の小説「華岡青洲の妻」で詳細に全国に紹介されたときからであります。
平成三年、那賀町では、県立医科大学とともに、世界外科学会の先覚者としてこの偉大な先生の業績を顕彰し、その精神を長く後世に伝えるべく医聖華岡青洲顕彰会を結成するとともに、青洲誕生地に記念館建設並びに春林軒塾の復元を目指すために記念館建設募金推進委員会を結成し、広く全国募金運動を展開して今日に至っていますが、最近の不景気の世の中、募金運動もなかなか成果が上がりにくいのが現況であります。しかし、今年から町主体で春林軒復元に着手すると聞いているが、国及び県の支援を受けることが財源上、一番大切な問題と考えております。
そこで、関係部長にお尋ねします。
一、文化財保護事業の一環として、文化庁並びに県文化財課の指導のもと遺跡復元に伴う発掘調査を行ったが、史跡として国の指定が受けられるかどうか、その場合の補助の内容はどうか。
二、半島振興法の改正の中で、国及び地方公共団体は地域に伝承さてきた文化的所産の保存及び活用に努めるとともに、地域における文化の振興に適切に配慮するとある。半島振興法を利用してもっと充実したものが計画できないかどうか。
三、農村資源活用農業構造改善事業として本年採択されたが、華岡青洲誕生地の特色を生かしながら、健康と文化の町づくりを柱に安全で健康な農産物の産地づくりを推進し、地域特産品の開発や都市住民との総合交流施設をつくるため二カ年で五億六千万円の事業を予定しているが、この事業の性格上、一層のご支援を要望しておきたいと思います。
最後に、知事にお願いしたいと思います。
輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業として、町づくり推進に五億円の予算を計上されておりますが、関西国際空港の開港や京阪神への交通、道路網の整備、文化遺産に対する認識の高まりの中で、この地域が飛躍的な発展を迎えることを期待して、新しい町づくりの核とする華岡青洲関連事業のこの計画に対し全面的なご支援をお願いしたいと思います。知事のご所見を承りたいと思います。
以上、第一回の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 佐田議員にお答えをいたします。
地方分権にかかわる問題でございますけれども、町長をお務めになられたご経験に基づくご質問でございます。
地方分権と市町村合併についてであります。
地方分権については、かねてから全国知事会を初め地方六団体を通じて地方自治体が国に要望いたしまして、ようやく昨年五月に地方分権推進法が制定されたところでございます。議員ご承知のように、地方分権推進委員会の中間報告が本年三月に出されました。その報告によりますと、国と地方の役割分担、機関委任事務制度の廃止、地方税財源の充実確保等、地方自治体にとっては大変重要な課題について議論されたところでございます。地方分権推進委員会の勧告については、年内に出される予定と聞いてございます。特に財源問題については、極めて重要なことでございますので、今後とも地方分権推進委員会に強く要望していかなければならないと思っております。
ご質問にございましたように、地方分権を推進するためには、地方公共団体の行政体制等の整備も大変必要なことだと思います。また、市町村の合併も広域行政と同様にその一方法であろうかと思います。しかし、市町村の合併の特例に関する法律では、議員ご承知のとおり住民発議による合併への道が開けておるわけであります。各地域の地理的、歴史的条件を踏まえながら、個々の市町村において自主的な合併の機運が高まった場合には県としても積極的に支援していきたいと考えております。
次に、貝塚市と粉河町を結ぶ府県間道路についてでございます。
二十一世紀を間近に控えて、関西国際空港が既に開港されました。まさに国際化時代を迎えるに当たりまして、紀の川流域全体の発展のためには府県間道路の整備はますます必要なことであろうと思っております。多くの路線がございますけれども、粉河町と貝塚市を結ぶ府県間道路については、過去にも林道を中心とした議論がございましたけれども実現に至っておりません。最近のさまざまな状況にかんがみまして、今後、阪和連絡協議会あるいは大阪府と協議をしながら、農林道も含め、事業実施の可能性について農林水産省とも協議をしながら、その手法、方策を研究してまいりたいと考えております。
詳細については、農林水産部長から答弁いたします。
次に、高等看護学院に関連してであります。
今後の本格的な少子高齢社会の到来を控えて、看護職員の確保は大変重要な課題であります。こうした要請にこたえるために、県立高等学院を医聖華岡青洲先生が活躍された那賀郡那賀町に移転し、看護の道を目指す学生の教育環境を整備充実することにしたわけでございます。平成十一年四月の開校を目指して総事業費約三十億円を見込むプロジェクトとして計画し、県民が安心できる保健医療基盤の充実に努めてまいりたいと考えているところであります。
他の問題については、担当部長からお答えをいたします。
次に、医聖華岡青洲記念館に対する輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業の助成についてであります。
この輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業については、私が当選してから提唱した事業でありますけれども、市町村等が特定の政策課題に基づいて計画的に実施する個性的で魅力あるふるさとづくりへの取り組みを支援するために今年度から創設した、市町村の単独事業に対する支援措置でございます。
目下、多くの市町村から要望が出されてございます。議員ご質問のございました華岡青洲関連事業については、町のご要望がありました段階でその事業内容等について詳しく伺いたいと考えておるところでございます。
以上であります。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長平松俊次君。
〔平松俊次君、登壇〕
○農林水産部長(平松俊次君) 佐田議員ご質問の本県と大阪府を結ぶ道路整備の取り組みについては、府県間の協力調整が大きな課題でございます。
さきにも知事から大阪府知事にこのことについて話をいたしたところでございますが、知事答弁にもございましたように、今後、阪和開発連絡協議会の動向を踏まえ、事業手法を初めとする諸課題について十分研究を行ってまいりたいと考えております。
また、ご提案の広域営農団地農道整備事業でございますが、これは定められた営農団地内の幹線農道の整備を行うものとなってございまして、紀の川地域の広域営農団地においても、紀の川の右岸、左岸に広域農道を建設し、農作物等は広域農道から県道泉佐野岩出線あるいは国道三百七十一号を経て京阪神等へ出荷する計画として承認されたものでございます。こういったことから、府県間連絡道路の整備に広域営農団地農道整備事業を適用することは困難かと考えております。
以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 福祉保健部長鈴木英明君。
〔鈴木英明君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木英明君) 県立新看護婦等養成所建設の内容についてお答えをいたします。
新たに建設される県立高等看護学院の内容についてでございますが、高校卒業から看護婦になるコースである全日制の看護学科、准看護婦から看護婦になるコースである定時制の看護学科、看護婦から保健婦になるコースである保健学科及び看護婦から助産婦になるコースである助産学科を設置し、一学年定員でそれぞれ五十名、四十五名、二十名、十五名、合計百三十名の学生を募集してまいりたいと考えております。規模については、建設の用地として有効面積で約一万五千五百平方メートルの平地を確保し、延べ床面積で約六千三百平方メートルの校舎、体育館を建築し、グラウンド、テニスコートといった約七千七百平方メートルの屋外運動施設を整備することを計画しております。これは、現在地と比較して建築の延べ床面積で約三倍の面積となり、また体育館、グラウンド、テニスコートについては新たに設けることとなります。
議員ご指摘のとおり、学生の学習環境はもちろん、学校生活を充実できるゆとりの教育を視野に入れ、魅力ある養成所づくりを図ってまいりたいと考えております。
保健婦、助産婦の養成については、県内で唯一の養成機関として、より高度の専門的知識、技術を習得できる学習環境を整備してまいりたいと考えております。
また、男性の受け入れ態勢の確立についてでございますが、現在、男性も看護サービスを担う重要なマンパワーとなっていることから、新設される看護学院においても、看護学科及び保健学科で男子学生の受け入れ態勢を整えてまいりたいと考えております。
以上です。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 佐田議員ご質問の半島振興法の活用についてでございますが、ご指摘にございましたとおり、昨年の半島振興法の改正により、地域文化の振興等に関する規定が新たに追加されてございます。しかしながら、現状では法に基づく具体的な支援措置が明確でなく、現在、半島地域振興対策協議会、全国半島振興市町村協議会等、全国的な取り組みとして国に対して強く要望を行っているところでございます。また県といたしましても、去る六月二十七日に来年度の政府予算に関して県選出国会議員並びに関係省庁に対し、知事を先頭に精力的な要望活動を行ったところでございますして、今後とも半島地域における文化の振興に努力してまいりたいと存じます。
○副議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 春林軒塾にかかわって、二点についてお答えいたします。
春林軒塾跡の発掘調査についてでございますが、この調査は平成七年度に文化庁の指導のもと、那賀町教育委員会が文化財保存事業の一環として実施したものであります。当該施設は、防火、排水など安全衛生面ですぐれた設計思想に基づいて建てられた、他に類を見ない住居兼病院であります。さらに、塾生を指導するいわゆる医学校の性格をあわせ持つ、我が国医学史上、極めて重要な文化財であることが判明いたしました。このため、春林軒塾を中核施設として史跡にふさわしい環境を整えるよう町に対して指導するとともに、国指定史跡となるよう文化庁に積極的に働きかけてまいりたいと存じます。
なお、補助の内容については、母屋の移築が完了し国指定となった後は、指定地内において環境整備を行う場合、国庫補助五○%を得て事業を実施することになります。
以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で佐田頴一君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後一時四十六分散会