平成8年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
37番新田和弘君。
〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
まず初めに、太平洋新国土軸及び紀淡連絡道路の推進についてお尋ねをいたします。
太平洋新国土軸は、東海から伊勢湾口、紀伊半島、紀淡海峡を経て四国、九州に至る新しい国土軸を形成するもので、本県はもちろんのこと、近畿圏さらには西日本全体の活性化に重要なものであります。また、昨年の阪神・淡路大震災による教訓からも、第一国土軸との相互補完、代替機能を高め、災害に強い多重型ネットワークを形成するためにも重要なものとなっています。
太平洋新国土軸に対する取り組みは、昭和四十年にワイズマン報告で第二東西道路構想が提案され、昭和四十四年の新全国総合開発計画において東海南海連絡道として位置づけられました。その後、昭和四十八年に中央新幹線、四国新幹線、九州横断新幹線の基本計画が決定されました。この具体化への取り組みとして、昭和五十四年に当時の仮谷県知事が紀淡海峡トンネル構想を発表し、昭和五十八年から日本鉄道建設公団が四国新幹線の海峡部分調査として毎年一億円を計上し、今年まで十五億円をかけて紀淡海峡の調査を行ってきています。
昭和六十二年の第四次全国総合開発計画において多極分散型国土の形成が提唱され、九州地方の西瀬戸インターブロック交流圏構想の位置づけ、及び長期的視点から九州・四国間交通体系を検討する、近畿地方の長期的視点から大阪湾環状交通体系の構想を検討する、さらに長期的視点から伊勢湾口部分を含む伊勢湾広域幹線道路網構想の検討を進めると四全総に明記されました。さらに昭和六十三年十二月に、鉄建公団が四国・九州海底トンネルは十年の工期で建設が可能と最終報告を行いました。
こうした新国土軸推進の状況を受けて、平成元年十一月に十七府県による第二国土軸シンポジウムが初めて大分県で開催され、平成二年十月には十七府県と八経済団体による新国土軸推進のための第二国土軸構想推進協議会が設立されました。
運輸省による鉄道軸への取り組みに加え、建設省が平成三年十一月に海峡横断道路プロジェクト技術調査委員会を設置し、紀淡海峡の海峡部分の技術的検討が行われ、さらに紀淡連絡道路を含む大阪湾環状道路の調査が開始されました。そして、平成五年からは紀淡連絡道路の調査を建設省と兵庫県と本県が共同して行い、地形、地質等の調査に取り組んできております。
平成五年五月の第十一次道路整備五カ年計画で、紀淡海峡道路を含む大阪湾環状道路、伊勢湾口道路が地域の活性化施策の推進とあわせて事業の具体化を図る、豊予海峡道路を含む西瀬戸地域の新たな交通軸は長期的視点からの調査を進めると明記されました。
平成六年六月に、この紀淡連絡道路を含む大阪湾環状道路の推進を強力に図るため大阪湾環状紀淡連絡道路推進協議会を設立させ、和歌山県知事が会長に就任いたしました。さらに、この年の六月に四全総の総合的点検報告において新たな国土軸構想の重要性が明記されたのを機に、これまでの第二国土軸から太平洋新国土軸に名称を改め、推進協議会も太平洋新国土軸構想推進協議会に改称し、推進に当たってきております。
こうした今日までの官民協力の努力により、平成六年十二月に紀淡連絡道路を初め伊勢湾口道路、豊予海峡道路が地域高規格道路の候補路線の指定を受けることになりました。さらに平成七年十二月には、新しい全国総合開発計画の基本的考え方に太平洋新国土軸を含めた四つの国土軸から成る新しい国土構造が提示されました。今後、本年秋の新しい全国総合開発計画の中間取りまとめに、さらに来年春の同計画の答申に太平洋新国土軸及び紀淡連絡道路がどう位置づけられるか、加えて来年夏にまとめられる第十二次道路整備五カ年計画に紀淡連絡道路の事業化、着工が明記されるか、極めて重要な時期を迎えております。
西口知事は、就任以来、新国土軸及び紀淡連絡道路の積極的な推進に取り組まれ、本年五月八日に三年ぶりに和歌山、奈良、三重の紀伊半島三県知事会議を那智勝浦町で開催し、太平洋新国土軸並びにこれを構成する紀淡海峡ルート等を新しい全国総合開発計画、及び次期道路整備五カ年計画等へ明確に位置づけるべく、三県が共同して国への要望活動を積極的に展開し、その実現を促進する等の共同コメントを発表いたしました。また西口知事は、五月三十日に横山大阪府知事を県庁に招待し、会談を行い、横山知事より紀淡連絡道路について、「完成すれば、近畿だけでなく四国や中国地方の瀬戸内海沿岸にも経済効果が及ぶものであり、近畿は一つとの考え方でやっていきたい」、と協力の表明があったと伺っております。
さらに六月二十四日には、和歌山放送の主催で「二十一世紀への架け橋 紀淡海峡大橋実現に向けて」とのテーマで放送があり、西口知事初め多数の関係者が登場し、紀淡海峡大橋の早期実現への意見が述べられました。この日の放送で、建設省の脇雅史近畿地方建設局長が紀淡連絡道路について、来年夏にまとめる第十二次道路整備五カ年計画での事業化、着工明記について最大限の努力をすると力強い前向きの姿勢を示していただき、私も放送を聞いていて大変うれしく思った次第であります。
去る六月二十六日には、七府県三市でつくる大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会の平成八年度総会が東京で開催され、新しい会長に横山大阪府知事が就任し、今後、近畿、四国の関係府県などが協力して事業に取り組むことを確認したと伺っております。
紀淡連絡道路が明石海峡大橋に次ぐ関西の大型プロジェクトとしてオール関西の事業に位置づけられたことは、実現に向かって加速がついたことになり、和歌山の私たちにとっても大変喜ばしいことであります。関西国際空港を核として大阪湾環状交通体系の確立を目指し、関西と四国が海峡交流圏を築き、港湾機能の拡充によりアジアに向けての国際交流圏を目指して、本県が二十一世紀に飛躍発展してほしいと願う気持ちは百万県民の願望であると実感しております。
そこで、西口知事にお尋ねいたします。
一、太平洋新国土軸構想と二十一世紀への本県のビジョンを知事はどう考えているか。
二、太平洋新国土軸の推進及び大阪湾環状道路となる紀淡連絡道路の実現に向けて今後どう取り組まれるのか。
以上二点、お尋ねをいたします。
次に、新国土軸と大阪湾環状道路となる京奈和自動車道及び北バイパスを含めた第二阪和国道を今後どう推進されていかれるのか、土木部長にお尋ねをいたします。
次に、マルチメディアの発展に対応した文教施策の推進についてお尋ねをいたします。
今日、新聞やテレビ等の従来のメディアに加え、パソコンやワープロ、さらにそれらを結ぶ光ファイバー等の高度情報通信網、衛星通信、衛星放送等の情報通信手段が発達するとともに、世界的な情報ネットワークの構築が進められています。特に、情報のディジタル化により、文字、映像、音声等の多様な情報が一体的に取り扱いでき、多様で大量の情報交換を可能とするいわゆるマルチメディアが登場したことにより、教育の分野においてもマルチメディアの適切、効果的な活用が求められています。
文部省では、平成六年六月から、有識者から成るマルチメディアの発展に対応した文教施策の推進に関する懇談会を開催し、平成七年一月に「マルチメディアの発展に対応した文教施策の推進について」をまとめ、教育、学術、文化、スポーツにおける情報化の推進に取り組んでいるところであります。
本県においては、本年五月に「紀伊半島の明日を拓く人づくりネットワークの推進」をテーマに、和歌山、奈良、三重の教育長が那智勝浦町のグリーンピア南紀に集まり、第一回紀伊半島三県教育長会議を開催しました。この会議では、光ファイバー通信網を使ったテレビ会議で県境を超えた学校間の交流や、衛星通信を使って大学の公開講座を公民館で学べるシステムを導入し、早期に三県で実施できるよう求める要望書をまとめ、今年度中に文部省に提出するため今後も協議していく等、マルチメディアを活用した教育の推進が図られました。
さらに本年、文部省のマルチメディア国際交流推進研究指定校に串本町立大島中学が指定を受け、トルコ共和国のメルシン市のオゼル・トロス校とインターネットを通じて交流授業を二学期から開始されることは、県民にとって大変喜ばしいことであります。串本町とトルコ共和国とは、明治二十三年九月にトルコ軍艦エルトグロール号が大島の樫野崎灯台沖で座礁、沈没したとき、当時の大島島民の方々が直ちに救助活動に従事し、生存者の保護や遺体、遺品の収集に当たられた等の縁により、百年以上にわたる友好親善の歴史を経て、平成六年に串本町とトルコ共和国メルシン市との間で姉妹都市提携が結ばれています。今回のマルチメディア国際交流推進研究指定校の決定を機に、若い中学生が交流し、串本町とトルコ共和国のメルシン市との友好親善が一層深まることを期待しています。
また文部省では、平成七年度から僻地学校と都市部の学校等とを光ファイバーによって接続し、テレビ会議システム等の情報通信設備の活用による同時双方向の授業のあり方に関する研究開発を行っており、平成八年度は新たに山間地等の普通科高校と都市部の専門学校とを光ファイバーにより接続する事業が行われることになりました。本県では、全国に先駆けて八年度から文部省の研究委託事業を受け、僻地学校マルチメディア活用方法研究開発事業に取り組むことになり、実践校には県立南部高等学校龍神分校普通科が、実践協力校として県立御坊商工がなり、光ファイバーを活用したテレビ会議システム等で、両校生徒を対象とした対話型の授業、学校間連携による学習成果や交流が期待されております。
そこで、教育長にお尋ねをいたします。
一、和歌山、奈良、三重の三県教育長会議のテーマとなった「紀伊半島の明日を拓く人づくりネットワークの推進」を今後どう進められるのか。
二、本県におけるマルチメディアの発展に対応した文教施策は今後どう推進されるのか。
以上二点、お尋ねいたします。
次に、テレビ、ラジオのメディアを利用した新しい高等教育システムとして大きな期待を担って発足した放送大学は、本年で設置十二年目を迎え、学生数は今や五万八千人を数え、これまでに約六千七百人の卒業生を送り出しています。
放送大学の当面する最大の課題は、放送エリアの全国化であり、現在の放送エリアである関東地域以外にも全国放送が実施できるまでの暫定措置として、平成七年度までに全国で二十六カ所に放送大学の地域学習センターを設置し、放送エリア以外の人々の学習ニーズにこたえるよう努力してきています。平成五年五月に、電波監理審議会答申において次期放送衛星の事業主体として放送大学が適当との提言を受け、平成六年度以降の予算においても次期放送衛星を利用した全国化への準備に要する経費が認められてきております。
放送大学は、生涯学習の中核的機関として、国民の高等化、多様化する全国的な生涯学習ニーズに対応し、教育の機会均等を確保するために対象地域の全国化への拡大が推進されてきております。このため、本県においても全国放送開始までの間、地域学習センターで放送授業を収録したビデオ等を利用し、広く大学教育の機会を提供し、生涯学習に対する要望にこたえるべく、県内に放送大学の地域学習センターを設置されてはと思いますが、教育長の見解をお尋ねいたします。
次に、魅力あるすぐれた教員の確保と教員の資質向上についてお尋ねいたします。
先日、県内のある中学校の二年生A、B、C三クラスのクラス写真を見せていただく機会がありました。校長先生と担任の先生を中心に、生徒が三十人ぐらい写っている三枚の写真でした。私は、一枚の写真に注目しました。生徒の表情が明るく、生き生きと感じられたので、「このクラスのみんなは感じがいいですね」と聞いてみると、「このクラスは、担任の先生が熱心な人で生徒をぐんぐんとリードし、よくまとまっており、授業も大変やりやすいクラスです。写真を見てもやっぱりわかりますか」との答えでした。一瞬をとらえた一枚の写真にも教師と生徒の日常の信頼のきずなが光って見えるのかと思って、その写真を注目した次第です。
現在、学校教育においては、個性重視の教育や自己教育力の育成の観点からも、さらにいじめや不登校など生徒指導上の問題に対応するためにも大きな質的転換が求められています。教育のあり方は結局は教師次第である、また子供にとって教師こそ最大の教育環境であるとの、教師の立場の重要性が指摘されております。
文部省は、平成六年三月から教員採用等に関する調査研究を実施し、平成八年四月に教員採用等の改善について審議のまとめを発表しました。この審議のまとめを受けて文部省では、本年四月に各都道府県教育委員会に対して、教員採用等の改善について諸方策を示した通知を発送したところであります。
文部省の調査研究協力者会議の座長を務めた東京家政学院大学の河野重男氏は、「教員採用等の改善の視点」の論文で、幼児教育者である倉橋惣三さんの一文を引用されて、次のように述べています。「廊下で泣いている子がいる 涙はふいてやる 泣いてはいけないと言う なぜ泣くのかと尋ねる 弱虫ねと言う 随分いろいろのことは言いもし してやりもするが ただ一つしてやれないことがある 泣かずにいられない心持ちへの共感である」、「今日の学校の当面している最大の課題であるいじめや登校拒否の問題の解決のためにも、教師に望まれる資質能力として何よりも大事なのは、豊かな人間性からにじみ出る信頼感と一人一人の子供の気持ちに共感するカウンセリングマインドだ」と述べています。
文部省の審議のまとめにおいても、教員採用の改善の基本方向として、筆記試験の成績を重視するよりも、人物評価を重視する方向に選考のあり方を移行させ、選考方法の多様化、選考尺度の多元化を図っていくことを提言しています。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
一、教員採用の改善についての通知を受けて、本県における教員採用の改善を今後どう進められるのか。
二、教員の資質向上へ今後どう取り組まれるのか。
以上二点お尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新田議員にお答えをいたします。
まず、太平洋新国土軸を生かした本県のビジョンについてでございます。
太平洋新国土軸が整備されることにより、東海から紀伊半島、四国、九州へと至る地域が連結され、西日本の南部に新たな広域交流圏が形成されることになるわけでございます。また、大阪湾環状交通網、関西大環状交通網、さらに関西国際空港や和歌山下津港等と相まって、和歌山県は陸・海・空の交通の結節点として西日本の広域交流圏の要衝部に位置することになるわけでございます。このような有利な地理的条件を積極的に活用いたしまして、人・物・情報が行き交う新たな拠点を形成するために、物流拠点の形成、交流施設の整備を図ってまいりたいと考えております。同時に、本県の豊かな自然、歴史、文化を活用した快適な居住空間を形成してまいりたいと思います。このことがまた、私が提唱しております新たな紀泉百万都市圏を形成することにもつながると考えてございます。
また、太平洋新国土軸整備の効果を紀北のみならず県下一円に広く波及させるためには、四国との連携のもとに、近畿の海上物流を担う地域としてベイフロンティア構想を推進してまいりたいと考えております。今後、このような太平洋新国土軸構想の推進を通じて、「安らぎ」をキーワードとした県土づくりを進めて、和歌山を二十一世紀のライフスタイルを体現できる地域として整備を進めてまいりたいと考えてございます。
次に、太平洋新国土軸及び紀淡連絡道路の実現に向けた今後の取り組みについてでございます。
議員ご指摘のように、太平洋新国土軸及びそのかなめとなる紀淡連絡道路の早期実現を図るためには、新しい全国総合開発計画への明確な位置づけ──来年の春ごろ策定されると聞いております──さらに、新たな道路計画への事業化の位置づけがぜひとも必要だと思います。
先ほどお話ございましたように、脇地建局長から先日、大変力強い発言をいただいております。そのためには、関係府県や地元経済界を含む広域的かつ官民一体となった地元からの働きかけが重要であると考えてございます。私も、この六月には紀淡海峡交流会議、大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会などに出席をいたしまして、国土庁や建設省の幹部との懇談を通じて地元の熱い期待を述べさせていただいたところでございます。
特に、太平洋新国土軸の一環となる紀淡連絡道路の実現のためには、和歌山、徳島だけでなくてオール関西で取り組むことが大変大事だということから、先般、大阪府知事との懇談も行いました。両県が協力して紀淡連絡道路の実現化に取り組むことを確認いたしたわけであります。さらに、関西経済連合会においても推進組織の設立の準備をされており、まさに官民一体となったオール関西の取り組みへと広がってきておるわけでございまして、大変心強く思っているところでございます。
今後、紀淡海峡交流会議等を通じた官民一体となった広域的な推進活動、紀淡連絡道路を活用した地域活性化施策の展開、建設省、兵庫県とともに行っている調査の継続、紀淡連絡道路の実現に向けた本県におけるイベントの開催などに取り組むとともに、関係府県や経済界と引き続き協力をしながら、新しい全国総合開発計画あるいは道路計画への明確な位置づけに向けて、これまで以上に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
○議長(橋本 進君) 土木部長長沢小太郎君。
〔長沢小太郎君、登壇〕
○土木部長(長沢小太郎君) 新田議員にお答えいたします。
京奈和自動車道については、太平洋新国土軸の一翼を担うとともに、大阪湾を中心とした関西大環状道路を構成する重要な道路として認識してございます。
このうち、橋本道路十一・三キロメートルについては、平成元年度に事業化され、現在、鋭意用地買収が進められているところであります。また、紀北東道路十六・九キロメートルについては、平成五年度に事業化され、現在、都市計画決定の準備を進めているところでございます。残る打田町から和歌山市までの紀北西道路約十四キロメートルについても、建設省において都市計画決定に向けた調査が進められており、県といたしましても早期に事業化されるよう要望しているところでございます。今後とも、建設省に対し事業促進を強く要望していくとともに、全力で建設省を支援していきたいと考えております。
次に、第二阪和国道でございます。
和歌山と大阪の連携を強化するとともに、関西国際空港へのアクセスとして、また市内の交通渋滞緩和のためにもぜひとも必要な道路であります。そのうち大谷から元寺町間の和歌山北バイパス二・二キロメートルについては、引き続き用地買収を促進するとともに、本年度から一部道路工事に着手する予定と聞いております。新南海橋も含め、平成十年度を初年度とする次期道路整備五カ年計画内にも供用できるよう国に強く要望しているところであります。さらに、大谷から府県境までの二・五メートルについても、早期事業着手に向け国に対して強く要望してまいります。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 教育問題五点についてお答えいたします。
初めに、「紀伊半島の明日を拓く人づくりネットワーク」についてでございます。
このことをテーマに、本年五月、三県知事会議を受けて、三重県、奈良県に呼びかけて三県教育長会議を開催いたしました。今回の会議では、本県が提案した光ファイバー等による県域を超えた学校間の交流、衛星通信を利用した公民館講座の共同実施についての国への要望などを含めた五項目について合意したところであります。こうした合意事項の実現に向けて、近々、三県の関係課長会議で検討することとしており、今後、紀伊半島の教育の一層の振興に向けて努力してまいりたいと考えております。
二点目の、マルチメディアの発展に対応した文教施策の推進についてでございます。
高度情報通信社会の進展を踏まえ、学校教育においては、生徒が情報を主体的に選択し活用するとともに積極的に発信することができる基礎的な資質や能力を育成していく必要があると考えております。そのため、従前から県立学校において情報に関するハード面やソフト面の整備充実を進めるとともに、市町村に対してもコンピューターを計画的に導入するよう指導しているところでございます。
さらに、本年度から南部高校龍神分校と御坊商工高校との間で開始するテレビ会議システムによる連携については、文書処理、英会話などの授業の実施を検討しているところであります。また、串本町大島中学校とトルコ共和国オゼル・トロス校とのインターネットを活用した国際交流についても、中東諸国との交流として注目を集めております。こうした取り組みは、情報教育を推進するだけでなく、僻地教育の振興にもつながるものと期待しております。
今後、学校教育においては、マルチメディアに対応した情報処理教室の整備やインターネットの活用など、さらには社会教育、文化、スポーツなどにおいても、関係部局との連携を図りながら、各分野の特色に応じた適切な施策を推進してまいります。
次に、放送大学地域学習センターの設置についてであります。
多様化、高度化する県民の学習ニーズにこたえる生涯学習推進の基盤整備を図るためにも、地域学習センターの役割は大変重要であると考えております。教育委員会といたしましては、文部省が計画しているこの放送大学について、県内の大学との連携を図りながら、立地条件や施設規模等を考慮し、設置に向けて検討を進めてまいる所存であります。
次に、教員の採用についてであります。
本県では、二度にわたる面接やすべての校種での実技検査、一芸に秀でた資質を有する教員の採用等、工夫改善を図ってきております。特に本年度は、高等学校の工業において教員免許状を所有していなくても受験できるよう改善したところであります。今後とも、議員ご指摘の文部省通知にあります選考方法の多様化、選考尺度の多元化を図るよう努めてまいる所存であります。
次に、教員の資質向上についてであります。
教員には、教科指導等に関する実践的な指導力はもとより、子供の心を理解し、その悩みを受けとめる力や、子供や保護者から共感が得られるような豊かな人間性が求められます。このため、県教育研修センターにおける講座の充実を図るとともに、より高度な専門的知識、能力を持つ教員を育成するため、大学院等に多くの教員を派遣してきております。本年度は、新たに民間企業や社会福祉施設への長期派遣研修をスタートさせ、より視野の広い教員を育成してまいります。また、研修講座にカウンセリングやいじめ問題等に関する内容をより多く取り入れるなど、今後とも教員の資質向上に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十分休憩
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