平成8年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
平成八年三月十八日(月曜日)○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
18番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長にお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まずは、紀淡海峡大橋についてであります。
古来、紀伊・淡路・阿波・讃岐・伊予・土佐は南海道に属し、紀淡・鳴門の二海峡により本州・淡路・四国に分離されておりますが、一つの区分にまとめられて「南海道」とされております。一つにすべき何らかの共通性や関連性があったのではないかと考えられています。
一九九六年度当初予算案に初めて「一九九八年着工を目指す」と明記され、調査費も過去最高の五億一千四百万円がうたわれ、本年には紀淡連絡道路実現化県民大会も開催される見通しとなりました。平成三年度より建設省によって大阪湾環状道路の一環として経済調査が開始され、平成五年の第十一次道路整備五カ年計画に「事業の具体化を図る」とうたわれて、同年三月には現地の共同調査が建設省、兵庫県、そして和歌山県で開始されたわけであります。明石海峡大橋も平成十年(一九九八年)に完成が予想されまして、世界的なレベルの橋の技術者が三万人いらっしゃると聞いておりますが、豊予海峡大橋、東京湾口道路に先駆けて、ぜひ明石大橋完成後すぐにでも紀淡海峡大橋の建設に参画いただきたいものであります。
阪神・淡路大震災の教訓から、従来の国土軸の南側への新国土軸の建設は必要不可欠のものとなり、紀淡連絡道路の重要性は、単に大阪湾環状道路の一翼を担うだけでなく、日本の新しい物流体系を創造する根幹にかかわってまいります。
紀淡連絡道路の開通による大阪湾環状道路の完成によって、臨海部相互の人の交通、物流の集散がよくなり、混雑が緩和されます。環状型の交通施設整備により、それぞれ特徴を持った核となる都市間が相互に連携を持った自立型の都市形成が可能になります。第二阪和国道、京奈和自動車道とつながり、さらに海・陸・空の三位一体の物流を考えれば、阪神高速湾岸線が和歌山下津港まで南伸して紀淡連絡道路とつながれば、それこそ和歌山市周辺は日本で屈指の物流基地となり、関西国際空港の全体構想実現にも弾みがつきますし、その経済効果たるや、はかり知れないものがあると思います。
大阪湾口部に海からの物流拠点、すなわち和歌山下津港を整備することで湾内の船舶が減少し、安全性も確保されます。それとともに、大阪湾岸地域の災害時の代替路線となり、防災性が強化されます。和歌山県と徳島県の地域連携強化の役割を果たし、半島性の解消に少なからず寄与し、新たな地域活性化を呼び起こすに違いありません。しかしながら、一にも二にも地元機運の盛り上がりが必要であることは言うをまたないことでありますので、官民挙げての建設推進に拍車をかけていきたいものです。
そこで、質問いたします。
一、紀淡海峡大橋建設は、約一兆五千億円の国家的ビッグプロジェクトであります。平成四年には七府県九経済団体で紀淡海峡交流会議が設立され、新たな海峡交流圏の形成と紀淡海峡ルートの早期実現を図らんと鋭意推進されておりますが、大橋が完成すれば必ずや経済効果の波及があるであろう京都府、福井県、そして愛媛県にも、ぜひその構成員として入っていただいたらいかがでしょうか。
また、特に同じ太平洋側の玄関口である徳島県と和歌山県との連携は言うに及ばず、明石大橋の完成も二年後とめどがついてきて、淡路島の洲本市は言うまでもなく、兵庫県も最近かなりご熱心に取り組まれております。近畿の経済圏の中心的役割を担う大阪府からも、横山知事がここへ来てようやく大橋建設に前向きな発言をされました上は多大なるお力をおかりすべきだと思いますが、いかがでしょうか。そして、今和歌山県こそが実際にリーダーシップをとって建設推進を行うべきであります。西口知事の他府県との協調に向けてのお取り組みについてお聞かせください。
二、さて、明石海峡大橋の中央径間すなわちスパン、橋脚間の距離が千九百九十メートルと世界最大規模であります。紀淡海峡大橋となると二千五百メートル前後の、いやそれ以上のスパンが必要となると聞いております。紀淡海峡は明石海峡と比べ水深が深く、太平洋とつながっていて、どうしても波が高いなど、厳しい自然環境下にあります。四年ほど前に建設省の方にお尋ねしたとき、今の技術ではまだクリアされない、今後の技術の進歩を待たねばならないと述べられておりました。震災については、活断層の直上から百メートルほどずらせば問題ないと言われておりますが、むしろ台風など強風に対する耐風安定性の確保が重要であると伺っております。このような技術的問題について県当局はどうお考えですか。世界に目を転じても、今後メッシーナ海峡やジブラルタル海峡へも橋をかけようという機運があり、現在では懸念するに及ばないと思いますが、大震災の教訓もあってあえて言及させていただきました。今後の完成までの事業計画の概略とあわせてお答えください。
三、紀淡連絡道路建設に当たっては、地ノ島と沖ノ島の友ケ島が非常に重要性を帯びてくると考えます。加太から友ケ島に至る海峡部は潮通しがよく、味がよいとして、日本で有数の天然タイの好漁場であります。同じく明石ダイで有名な明石海峡大橋という実例もあることですし、漁場環境への配慮は十二分に行っていただきたいと思います。
大鳴門橋初め昨今の大橋は、陸から見ても、海から見ても、また橋の上から見ても、すばらしい自然と融合した景観となっております。瀬戸内海国立公園内とはいえ、島という四方八方を海に囲まれた利点を生かして、これを契機に、友ケ島をそのままの自然美を生かした海洋保養地と位置づけてみてはいかがでしょうか。大橋から友ケ島へ上りおりできる附帯道路をつくってみてもおもしろいと思います。また、和歌浦湾と一体となった海洋レクリエーションとして、加太、友ケ島、和歌の浦、和歌山マリーナシティ、そして下津に至るまでのクルーズやヨットレース開催と、夢も広がります。海上から見る加太周辺、和歌浦湾というのは、本当にすばらしい眺望であります。ぜひ大橋建設とあわせてご検討いただきたいと思います。
次に、和歌山港の課題であります。
阪神・淡路大震災の後、日本の地方港と韓国の釜山港を結ぶ新航路が相次いで誕生しました。昨年九月までに新たに和歌山、舞鶴、新潟など二十二航路が加わり、計四十七航路となっております。港湾料金の低さなどからコンテナ貨物の中継港としての釜山港の活況はともかくとして、地方港の整備は実に急ピッチであります。本年秋には五万トン級大型コンテナ船が就航できる設備を擁する大分港が大分県を挙げて生まれ変わり、去る二月一日に国際物流ターミナルをオープンさせた松山港にも二〇〇〇年には水深十三メートルのコンテナ埠頭ができ、また震災直後に神戸港の代替的機能を強いられた舞鶴港もガントリークレーンを備え、五万トン級の船が着岸できる埠頭を整備中であります。
和歌山港においては、昨年七月にコンテナ船の定期就航が開設されて以来、週二便の寄港体制ができました。貯木場の埋め立てが平成十年に終了すればコンテナ船用のマイナス十三メートル岸壁も整備され、いよいよ本格的なコンテナ荷役のできるガントリークレーン設置も現実味を帯びてまいります。大阪湾の一番湾口にある地理的利点をぜひ生かしたいものです。
昨年末には早速ジブクレーンを一基購入いただいたわけでありますが、五、六千トンクラスのコンテナ船となると荷役が困難となります。また、冷凍貨物を積むリーファーコンテナに対応できる設備もありません。アジアのみならず欧米においても二十四時間荷役が常識になりつつある今日、夜間でも荷役できる照明設備も必要であります。さらに、近くにフェリー乗り場、中央市場、そして化学工場、製材工場などを控え、大型トラックやコンテナトレーラーが行き交う中、事故も起こっており、ぜひとも信号機の設置など道路交通の安全性を確保していかねばなりません。また、道路には本港への誘導表示もなく、ドライバーが右往左往することも少なくありません。コンテナを積みおろしできる場所は木材とすみ分けしながら埋め立てによって確保していけるとしても、肝心の貨物を入れる倉庫、上屋が今後の貨物量の増加も見込むと全く不足してまいります。それに、和歌山県は皮革工業も盛んであるにもかかわらず、和歌山港には動物検疫所がありません。とにかく、以上のような物理的条件がそろわないと貨物というものはなかなか集まりません。
そこで、以下四点について土木部長にお伺いいたします。
一、前述のような和歌山港の現下の設備状況では、とても神戸港、大阪港の代替的機能を果たす港湾とは申せません。また、設備が小さい分、積み込みには時間がかかり、速さが売り物の将来のテクノスーパーライナーの寄港候補地としても問題が出てくるのではないかと懸念されます。木工は和歌山の主要地場産業であり、和歌山港が基本的に木材の製品港としての重要性を持っていることを尊重しながら、具体的に今後の港湾設備の整備計画をお示し願いたいと思います。
二、現在、チュンキュン海運、チョーヤン商船を合わせて一週間当たり二十フィートコンテナ六十本、六十TEUくらいの取扱量で、ほとんどが輸入貨物であると聞きます。それも、化学原料、繊維、野菜がほとんどと承っております。釜山港向け輸出が少ない中、空のコンテナのまま戻すのは余りに非効率であり、県としても船会社並びに港湾運送業者の皆様と絶えず連携をとりながら、全県挙げての貨物獲得に全力を尽くすべきだと考えます。しかしながら和歌山にも、中国、台湾、香港向けなど他国向けの貨物は少なくありません。ただ、和歌山港に本船が入らない分、大阪港や神戸港まで輸送せざるを得ない状況であります。それこそ徳島港、今治港、松山港などと協力して、同業者が業界で共同して船腹予約を行うとか、共同で仕向け地別の船を呼ぶ努力も必要ではないかと考えますが、いかがですか。
三、首都圏の海運貨物取扱業者にも問い合わせてみましたが、コンテナ船が就航し始めたとはいえ、和歌山港に対する認識、意識は残念ながら希薄であります。しかし、企業、荷主は物流コスト削減に躍起となっております。前述のように、他の地方港も整備を急ぐ中、和歌山港も近畿における太平洋岸の玄関港としての地の利を生かして、例えば着岸料や荷役費用など港湾コストの再検討、二十四時間日祭日稼働システム、迅速な荷役、通関等々、他港にないようなセールスポイントを検討し、官民挙げてポートセールスを展開していけないでしょうか。
四、本港内への本船の入出港、接岸時の荷揚げ、荷おろし作業が効率よくスムーズに行われるためには、港内の岸壁の水深維持は必要不可欠であります。有機汚泥や土砂のしゅんせつなど、水深の維持のためにどのような対策を講じておられますか。
三番目に、大災害時への備えと対応についてであります。
昨年一月十七日未明に起こった阪神・淡路大震災の後、本県においてもこのような大規模直下型地震に係る地域防災計画について見直し作業を推進されていることと存じます。平成八年度当初予算案にも防災対策として二十七件、八億六百万円が盛り込まれており、願わくは新しい県防災計画を一刻も早くお示しいただきたいと思います。
一、いよいよ本年三月九日に、県が六億二千三百七十万円を投入して購入された十五人乗りの防災ヘリコプター「きしゅう」が運航を開始いたしました。この三月中には消防庁救急救助課主催で、防災ヘリコプターについて、どういう患者を優先して運ぶべきか運用を決める会議があると聞きます。
そもそも防災ヘリコプターというものは、あくまで人命救助が第一義であります。防災のときのみならず、救急のときどう動かすかが問題であります。和歌山県立医科大学附属病院、日本赤十字病院、そして和歌山労災病院といった三次救急医療体制を備えた病院の受け入れ体制も今後十分検討いただきたいものであります。
川崎医大の小浜教授によれば、防災ヘリというだけではだめだ、救急を主たる目的としたヘリコプターでないと人命救助には役立たないと提唱され、全国レベルで検討されたと伺っております。しかし現状は、ほとんどが防災用のヘリであり、救急でほとんど機能しておりません。長崎県、鹿児島県では専ら海上自衛隊のヘリコプターがそれに充てられ、島根県は例外的に七十回中四十回救急で出動されておりますが、それは隠岐島からの患者搬送が専らでありました。
和歌山県の地形は南北に長く、山が多く、交通の不便さから陸の孤島になっている地域が少なくありません。過疎地が多く、明らかに大都市とは異なった和歌山県の憂うべき特殊性があるのです。
そこで、提案いたします。
防災ヘリコプターではなくて「防災救急ヘリコプター」と命名してください。それでないと、本当に救急目的で率先して動かすことができないと思うからであります。また、目下、ヘリの出動命令が発せられて飛び立つまで三十分の手続がかかっております。救急の場合、せめて十五分以内に飛び立てるような特例を設けてほしいと思います。さらに、ヘリコプターの出動要請をしたときの経路がスムーズにいくよう、できるだけ早急にマニュアルづくりを進めていただきたい。以上三点、お答え願います。
二、和歌山県の大震災における備えについてであります。
大震災が起こるとNTT回線、また携帯電話も使用できなくなるときがあり、ラジオ、テレビ、そして防災無線をフルに活用しなければなりません。大災害時、情報はどこが取りまとめて住民に知らせるかが問題になってきます。各地の消防局、医師会、そしてラジオやテレビ放送局は絶えず情報を取り合うことが絶対重要であります。そして、できる限り市町村の中でもきめ細かく、医者、看護婦が地区単位で駆けつけられるような体制が必要であります。また、近隣の市町村への移動・移送、または県外への広域的な移動・移送体制を事前に徹底させておいて、病院相互の助け合いがとれるようにしておかねばなりません。そして、県内に不足する物資があれば、全国に対して救援をお願いしなくてはなりません。避難所については、阪神・淡路大震災の教訓から、ぜひ救護所機能をあわせ持つ形で整備できるようにしておくべきであります。大震災、大災害が起こったときの情報網、そして食料、薬や医療資機材などの備蓄体制について、県は具体的にどのような方策をお持ちですか。
三、パニック状態の大災害時に特別扱いは難しいとはいえ、障害者、高齢者、妊産婦、そして幼児などへの配慮というものは、備えの意味で重要であります。大災害時の障害者対策についてはいかが検討されておりますか。
四、大災害時には三次医療機関の役割が大変重要であります。和歌山県立医科大学附属病院や和歌山県赤十字救命救急センターは人命救助にとって責任重大であり、事前の有効的利用体制を整えておくべきと考えます。ともすれば二次医療機関に過重な負担を強いることが少なくない現状の中、大災害時の三次救急医療についてどのような体制を検討されておりますか。
五、本年二月二十日、福井と三重、徳島を含む近畿二府七県は、大規模災害が発生したときに備え、相互に応援するため、近畿二府七県震災時等の相互応援に関する協定を締結いたしました。これは阪神大震災を教訓にしたもので、被災府県に成りかわって他府県が生活必需物資の提供や職員の派遣などの応援要請を行う必要事項が定められております。
昨年十一月二十五日、滋賀県湖東地域において近畿府県合同防災訓練が行われたことをもとに締結されたものと思いますが、このとき、各府県はもちろん、各地消防長会、市町村、消防本部、各地トラック協会、日本赤十字社各支部、自衛隊、関係企業、病院関係、医師会関係、放送機関、学校、自治会や奉仕団、防災会などの地元地区団体など計三百十八機関が参加され、地震災害総合訓練を実施し、地震時に迅速、的確に対応できる体制の確立と県民の防災意識の高揚を図ることが目的とされました。気になったのは、和歌山県からは県、県消防長会が参加されただけでありました。滋賀県側の意向があるとしても、活断層の通る和歌山県にとって、官民問わず危機感が希薄過ぎるのではないかと憂慮いたしておりました。しかし、本年度当初予算案に総合的、実践的な近畿の合同防災訓練を和歌山県において実施すべく五千万円が計上されたことで少しほっとした次第でありますが、去年の滋賀県の合同防災訓練では、かなり広域にわたり、時間をかけて細かく訓練がなされております。我々県民の安全確保につながる和歌山県の本年における一大イベントと受けとめ、和歌山県のやる気、心意気をぜひ全国にデモンストレートできるものであってほしいものです。
去年の滋賀県で行われた合同訓練をもとに、和歌山県の持つ特殊性を考慮して、真に実効性のある訓練にするため、どのような構想をお持ちでしょうか。各関係部長よりご答弁願います。
最後に、先輩議員の先生方も常日ごろご尽力されている県立武道館建設についてであります。
紀州徳川藩祖・頼宣公は武芸をこよなく愛した方であったと存じます。後の居合いの田宮流、柔の関口流の隆盛の基礎は、我が郷土和歌山県において形づくられたのでありまして、名君吉宗公も武道に深いご理解があったと聞きます。また、合気道の創始者・植芝盛平氏も田辺出身であります。日本の武道の歴史を語る上で紀州五十五万五千石の和歌山県は非常に重要な位置を占めているわけでありまして、歴史的にもそれにふさわしい武道館を持つことに大きな意義があるのではないでしょうか。
さて、現在の和歌山市和歌浦西二丁目にある和歌山県立武道館は昭和四十四年四月一日に開設されたものでありまして、昭和四十六年の黒潮国体時には練習会場として用いられたのであります。以来、毎週水曜日と年末年始以外は朝九時から夜九時までオープンされ、九〇%の利用率を誇っております。しかしながら、雨漏りなど老朽化してきており、畳四百畳、六百九十七・五八平米の広さの武道場しかなく、全国レベルの大会を行うとしても、柔道なら柔道、剣道なら剣道、一種目でせいぜい二面しかとれません。父兄用の観覧席や冷暖房設備もなければ、駐車場も五台くらいしか収容できない広さです。武道場全体を大会に使用すると、ミーティングルーム、練習場もなくなります。
近年、女性の武道愛好家もふえて、県当局も更衣室、便所の確保にも苦慮されてきました。また、隣には県職員研修所があって、職員の皆様がそれぞれ二、三年に一度、忙しい公務の合間を縫って約一週間研修されるわけですが、その際に騒音など何かと支障を来しているのではないかと憂慮する次第です。
施設の老朽化も進む中、和歌山県内の武道の振興のみならず、体育施設の見直しと相まって、和歌山県が誇れる、老若男女を問わず親しめる、武道を愛する人々が心のよりどころとなるような総合武道館の建設が必要ではないかと思われます。
西口知事が昨年の県知事選挙のときにも提唱されていたスポーツ王国和歌山を目指して、国際試合の可能な、各武道が練習できる施設を持った県立武道館の建設をぜひ早期に実現していただきたいものであります。各種国際大会の誘致、そして二回目の国体開催も近い将来の課題でありましょう。多目的ホールも平成九年七月オープンを目標に建設が推進されておりますが、練習場もなく、多分に興行的な色彩が強く、どうしても武道とは相入れないものであるとうかがいます。
一、県当局におかれましても、各地の武道等体育施設の視察にも行かれていると聞きます。県は武道館の機能と施設整備についてどうお考えか、お聞かせください。
二、できるだけ多くの方々に武道に楽しく親しんでいただき、みずから実践して利用していただくことが武道館の使命でありましょうが、そのためにも立地条件が重要になってまいります。前に申し述べました紀州藩と武道のかかわりを考えて、和歌山城周辺への設置は理想でありましょうが、自動車のみならず、青少年教育の立場から徒歩や自転車を利用する学校生徒に広く利用してもらえる場所を選ぶことが肝要だと考えます。県当局のご意見をお伺いしたいと思います。
三、現在、和歌山県武道振興会には十団体が参画され、日ごろ武道の振興発展に多大に寄与されております。武道施設を含めた総合体育施設を建設するとなれば国の補助もかなり変わってくるとうかがいますが、武道に加えて、和歌山県でも有力な競技であるレスリングやフェンシングなどはともかくとして、球技ともなりますと、すみ分けを厳密にしておかないと何かしら支障が出てくると思われます。その点、県はどうお考えですか。
以上四項目、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 長坂議員にお答えをいたします。
紀淡海峡大橋についてのご質問であります。
紀淡連絡道路は太平洋新国土軸を形成しておりまして、同時に大阪湾環状道路、さらには関西大環状道路のかなめとなるわけでありまして、関西圏の交流や連携を促し、活性化を図るために大変重要な道路であろうと思うわけであります。そのために、近畿と四国の広域的な相互交流を深めるとともに、その交流を支える紀淡海峡ルートの早期実現を目指しまして、紀淡海峡を中心に、一日交流圏エリアに位置している大阪府、兵庫県を初めとする近畿、四国の七府県九経済団体によって紀淡海峡交流会議を設置し、積極的な活動を行っておるところでございます。また、太平洋新国土軸構想推進協議会あるいは大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会などにおきましても、広域的かつ幅広い活動を展開しているところでございます。
また、大阪府や関経連などの積極的な参画が極めて必要であろうということから十分連携しながら進めているところでございますけれども、お話にありましたように、先日も大阪府知事は議会で、次期全国総合開発計画及び次期道路整備五カ年計画における着工の位置づけについて、府が主体的な役割を担って国に強く働きかけていくという旨の表明をされたと伺っております。
県といたしましては、今後とも関係府県と連携をさらに深め、十分協調しながら、その中心になり、地元の機運の高揚を初めとして、紀淡連絡道路の実現に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 長坂議員にお答えいたします。
まず、紀淡海峡大橋についてのご質問のうち、技術的問題と今後の事業計画についてでございます。
ご指摘のとおり、紀淡海峡大橋は長大なスパンとなりまして、さらに風や潮流等の気象・海象条件が厳しい外海に面しているために、大橋建設には、明石海峡大橋よりさらに高度な技術が必要となります。このため、平成三年度から建設省による調査が開始されまして、平成五年度からは和歌山県、兵庫県、建設省が共同で現地調査を開始しておりますが、平成六年十二月には紀淡連絡道路調査委員会が開催されまして、学識経験者の方々から、紀淡海峡大橋については技術的に十分可能であるという意見が出されております。
なお、事業計画についてでございますが、引き続き紀淡連絡道路の海峡部及び陸上部のルートの環境現況調査や長大橋の技術的な検討などに加えまして、事業主体、事業手法などについての検討を深めた後、事業化の運びになると考えてございます。
今後とも、国とともに調査を促進し、早期に事業着手されるよう国に対し強く働きかけてまいります。
次に、友ケ島の活用に関してでございます。
加太から友ケ島周辺の海域につきましては、タイを初めとする良好な漁場であるため、現在県が実施している紀淡連絡道路の現地調査に際しても、漁業協同組合と十分協議し、協力をいただきながら進めているところであります。今後とも、関係機関とも十分連携を図りながら計画を進めてまいります。
また、この地域は瀬戸内海国立公園に位置づけられているため、景観面で十分配慮する必要があります。また一方では、観光振興といった観点も重要であると考えておりますので、ご提言の趣旨を生かしながら検討を進めてまいります。
次に、和歌山港の課題四点についてでございます。
まず第一点目の、和歌山下津港の今後の港湾設備の整備計画についてでございます。
荷役機械などの諸設備について具体的に申し上げますと、まずガントリークレーンでございますが、平成八年度に設計に着手の上、貨物動向などを見きわめながら、現在工事中の西浜地区の水深十三メートル岸壁への設置を検討してまいりたいと考えております。
次に上屋につきましては、今後のコンテナ貨物の動向などを勘案し、早期整備の必要性を感じておりますが、現状では土地の手当てが困難でございますので、今後、新たな造成地も含め、対応を検討してまいりたいと考えております。
また、夜間の照明設備や冷凍コンテナ用のコンセントについては平成八年度に整備を図ってまいる所存であり、動物検疫体制についても、早期に家畜伝染病予防法に基づく動物検疫指定港として指定されますよう、関係機関に要望してまいりたいと考えております。
なお、臨港道路については、平成六年度に本港地区の港橋から水軒大橋に至る一号臨港道路の拡幅四車線化を図るなど、交通の安全性確保に努めているところでございますが、一部未整備箇所が残っておりますので、議員ご指摘の案内板などとあわせて、今後整備を進めてまいる所存でございます。
次に、二点目の韓国向け以外の本船招致についてでございます。
現在の和歌山・釜山間コンテナサービスについては貨物量も順調に推移しておりますが、中国を初め香港や台湾など、新たな航路開設に対する荷主サイドのニーズも高まってきております。しかしながら、航路の誘致には十分な貨物量の確保が必要であり、このことが大きな課題となっております。こうしたことから、議員ご提言の、他港の同業者との共同による船腹予約や仕向け地別配船などは、集荷力の向上が見込まれ、新たな航路誘致の促進に寄与し得るものと考えられますが、荷主企業や港運事業者などの企業活動における取り組みが重要でありまして、県としても必要に応じて支援してまいりたいと考えております。
次に、三点目のポートセールスについてでございます。
ポートセールスについては、主に京阪神の荷主企業、海運会社などを対象として個別訪問等を行っているところでございますが、さらに利用促進を図るため、平成五年度、六年度、七年度の三カ年にわたり、県内港湾を紹介するポートフォーラムを大阪市内で開催しております。
こうした中で、特に和歌山下津港は大阪港、神戸港などに比べて岸壁使用料や荷役料金等、港湾利用にかかる諸費用が割安であること、また船待ち時間が少なく通関もスムーズであることなどを利点として売り込んでいるところでございます。また来年度には、一層の利用拡大を図るため、商社などの本社機能が集中する東京と今後の貿易拡大が見込まれる中国においてポートフォーラムを開催し、和歌山の港湾を大いにPRしてまいりたいと考えております。
四点目の、港内の岸壁水深の維持についてでございます。
港内の岸壁水深の維持につきましては、定期的に深浅測量を実施し、必要に応じて適宜しゅんせつ工事を実施しているところであります。すなわち、平成七年度においては、本港地区や内港地区の有機汚泥等を合わせて、およそ四万立方メートルのしゅんせつを行ってございます。今後とも、大型船が入港する中で、注意を払いながら規定水深の確保に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 大災害時の備えと対応ということで、まず第一点、防災ヘリコプターの有効活用ということでございます。
今月の九日から運航を開始したこのヘリコプターは、消防業務全般に幅広く利用するという目的で整備したものでございまして、救命救急活動は防災活動と並ぶ重要な活動であると考えております。
また、お説のように、幾らヘリコプターの導入を図っても出動までの手続に時間がかかっては十分な機能を果たし得ないという認識のもとに、できる限り短時間で出動できるよう、市町村長等からの要請は南紀白浜空港の防災航空センターへ直接電話またはファクスにより行えるようなシステムということを考えております。
まだ始まったところでございますので、活動上不都合な点がございましたら、今後とも適宜適切に見直しを行い、このヘリコプターが真に役立つよう努めてまいりたいと考えております。
次に、大震災時の情報網と備蓄体制についてのご質問でございます。
大震災が発生した場合には、災害直後における被害状況等、情報の迅速な収集伝達、そしてこれを受けての緊急応急対策ということが最も重要なポイントであると考えております。このため、本県でも地域防災計画の見直しを行い、防災行政無線や防災ヘリコプター、警察ヘリコプター等を有効に活用した情報の収集伝達体制の整備を現在鋭意進めているところでございます。
また、このほかにも、今後の課題といたしまして、衛星を利用した通信手段の複数化、病院や避難所への無線設備の整備拡充も進めてまいりたいと考えております。
次に医療機関との連携でございますが、救急医療情報センターの機能を全国ネットワークに再編強化いたしまして、災害時の救急医療に係る総合的な情報収集や提供が支障なく行えるような体制づくりも現在検討しているところでございます。
緊急物資の備蓄につきましては、食料品、毛布、ポリシートなどの備蓄を行っておりますが、今後も市町村や関係機関と必要な種類、数量などの調整を図りながら進めてまいりたいと考えております。
また、医療資機材等の備蓄につきましても、最大拠点病院を中心にその体制の整備に努めるとともに、医薬品については、医薬品取扱業者等と連携した大規模災害時における医薬品等供給システムの構築を現在検討しているところでございます。
次に、近畿府県の合同防災訓練についてでございます。
この防災訓練は、去る二月二十日付で締結された近畿二府七県震災時等の相互応援に関する協定に基づき、毎年各府県持ち回りで実施することになっておりまして、第一回が昨年の十一月に滋賀県で実施され、第二回が今回和歌山県で実施することとなったということでございます。
訓練の内容につきましては、昨年は第一回でございましたので、いろいろ反省点等も出てきております。こういうものに十分配慮するとともに、和歌山県の地勢上の特色等も取り入れつつ、真に有意義な訓練とするため、今後、関係機関、関係府県と調整をとりながら早急に内容を詰めてまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 民生部長木村栄行君。
〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 長坂議員にお答えをいたします。
大災害時に備えた障害者対策についてでございます。
障害者は、日常の生活環境の中で、その有する能力を活用しながら生活しており、一たび災害によりその一部でも崩壊すると大きな障壁となって自由な行動を奪われ、生命の危機を招きます。何よりも迅速な救助、避難体制の充実を図る必要があります。
このため、在宅で生活する障害者の救援を行う上で、まず障害者の種別や家庭状況等、その状況を把握するとともに、地域での交流を活発にし、緊密なコミュニティーの形成を図っていく必要があります。同時に、災害状況や避難場所等の情報伝達方法並びに介護者や避難手段等の避難誘導方法など、地域住民、関係機関との連携を強化しながら、地域の実情に合った地域ぐるみの避難協力体制を確立しておく必要があると考えております。
また、障害者施設ではスプリンクラー、消火栓等の防災設備や避難路の整備を図るとともに、施設独自の防災計画に基づき、定期的に防災訓練、避難訓練、夜間訓練を実施しているところでございます。
今後とも、その充実を図るとともに、関係機関との連絡網の充実や周辺住民との交流、ボランティアとの連携など、救援体制の強化を図るよう指導してまいりたいと思っております。
県地域防災計画の見直しに当たっては、こうした観点に立って、一般対策に加え、障害者、高齢者等、災害弱者に配慮した計画となるよう検討を行っているところでございます。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長鈴木英明君。
〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 大災害時の三次救急医療についてのご質問にお答えいたします。
昨年五月、厚生省の阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する研究会によって出された震災時における医療対策に関する緊急提言の中では、二次医療圏ごとに災害医療の拠点病院を選定し、重症者の受け入れ搬送機能及び医薬材料等の備蓄機能の整備を図ることとされております。また、都道府県に原則一カ所、基幹災害拠点病院を選定し、拠点病院の機能に加えて、後方支援的な機能をも備えるよう整備すべきこととされております。
国におきましては、平成八年度からこれらについて事業化が図られる予定でございます。本県におきましては、この制度を積極的に活用し、これらの拠点病院の整備を図り、災害救急医療体制を充実させていく中で、三次救急医療についても可能な限り対応してまいりたいと考えております。
以上です。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 県立武道館の建設についてお答えいたします。
武道は伝統を重んじたスポーツでありますし、また世代を超えて活動のできる生涯スポーツでもあります。こうしたことから武道館は、武道を通して心豊かな人間としてみずから磨き、成長する活動の場や指導者の養成、研修、各種武道教室などの事業を実施する機能を有するものと考えてございます。
現施設は、競技会等に使用できるよう工夫しながら多くの武道愛好家にご利用いただいているところでありますが、開館後約二十七年が経過してきていることから老朽化するとともに、増加する女性の利用に十分な対応ができないなどの課題が生じております。
武道館は、子供から高齢者に至るまでの幅広い武道愛好者が活動する拠点として利用者のニーズにこたえられ、普及・振興の中核となる施設として整備することが大切であります。
なお、体育施設において武道競技と球技などが併用する場合には、利用競技種目数や施設の広さなどについて慎重に検討する必要があると考えてございます。
今後、武道館につきましては、関係部局と体育施設全般のあり方や設置について研究を進める中で考えてまいりたいと考えます。
以上です。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
18番長坂隆司君。
○長坂隆司君 一点だけ要望させていただきます。
他県が昨今建設されている武道館というのは、総事業費、大体五十億円から百億円はかかっております。厳しい財政の中、ぜひ建設推進をお願いいたしたいと思います。
武道の強さと施設の大きさは、一概に比例するとは申せないと思います。よき指導者に恵まれること、そしてあくまで競技者本人の熱意、やる気、努力によるものだと思います。二十一世紀を支えて立つ青少年の心身の健全なる鍛練・育成の立場からも、今後の武道の教育と振興に県を挙げて全力を尽くしていただきたいこと、そして必然的に新しい武道館建設を推進し、できるだけ早期に実現されるよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十七分休憩
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