平成8年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第六号 平成八年三月十八日(月曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十二号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第一号から議案第八十二号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川  武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門  三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島  雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 谷  洋 一
 18 番 長 坂 隆 司
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 堀 本 隆 男
 21 番 宇治田 栄 蔵
 22 番 宗  正 彦
 23 番 橋 本  進
 24 番 井 谷  勲
 25 番 玉 置 公 良
 26 番 上 野 哲 弘
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山  海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田  亘
 32 番 中 山  豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森  正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 西 口  勇
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 民生部長 木 村 栄 行
 保健環境部長 鈴 木 英 明
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
   山 本  昭
 教育長 西 川 時千代
 以下教育次長
 公安委員会委員 高 垣  宏
 警察本部長 青 山 幸 恭
 以下各部長
 人事委員会委員長
   若 林 弘 澄
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
   谷 口 庄 一
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣  孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 長 尾 照 雄
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木  衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
○議長(橋本 進君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
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 【日程第一 議案第一号から議案第八十二号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第一号から議案第八十二号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 42番冨安民浩君。
 〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので質問を始めたいと思いますが、質問に入る前に、まず西口知事にお願いをしておきたいと思います。
 西口知事は、昨年秋、県民の厳粛なる審判の結果、二十一世紀の新しい和歌山県土づくりの推進という県民の大きな期待の中で知事に就任されました。選挙に至る前一年間あるいは当選後の日程等を見てみますと、非常に厳しい日程をこなされております。ほどほどの緊張とゆとりの中でこそすばらしい仕事ができるわけでございますから、どうか知事におかれてはその点に十分お心を置いていただきまして、新しい和歌山県の創造に向けて懸命の努力を払われることをお願いしておきたいと思います。
 以下、質問を始めたいと思います。
 西口知事が県政を推進していく上での座標軸である、和歌山県に住んでいる人すべてがどの地域にあっても、どの立場にあっても和歌山県に住んでよかったと心温まり、また県外の人にとっては訪れたくなり、住みたくなる和歌山県土づくりを目指して、就任後初めての平成八年度予算編成を終えられました。時折しも変革のさなか、長引く長期不況等がもたらす県税収入の落ち込みにより地方財政を取り巻く環境極めて厳しい中での予算編成であり、諸方を駆使しての熟慮の中での編成だということが行政改革をにらんだ組織の見直しや事務事業の大幅見直し等にかいま見ることができ、今、この時期における和歌山県政遂行の最高責任者としての、時代は厳しくともきちっと役目を果たすという意気込みと知事自身の細心かつ緻密な人柄が随所にしのばれる予算編成だと感じます。
 そこで、西口知事にお伺いをいたします。
 知事、あなたの県政推進の座標軸である、どの地域の人も和歌山県に住んでよかったと言える心温まる県土づくりは、本県のそれぞれの地域の持つ長所やポテンシャルを最大限に生かし、足らざるを補う施策の推進に尽きると思いますが、和歌山県職員として、また昨年の知事選前に県内各地を隅々まで再三訪問されて知り尽くされていると思いますが、予算編成面でどう取り組まれているか、お尋ねをいたします。
 次に、先日、先輩議員の質問に対する答弁の中で、地方財政を取り巻く環境著しく厳しい折、予算執行に際し、最少の投資で最大の効果を上げるべく取り組むと申されました。これは財政運営の鉄則でありますが、今まさにその鉄則に触れようとしておる財政的に厳しい中にあり、今日的課題でありますが、どういうふうに取り組まれるか、お聞きをしたいと思います。
 そもそも、我が国経済は効果運営により大筋右肩上がりの成長を遂げてまいりましたが、貿易アンバランス等に起因する外圧等により、我が国の経済政策は海外依存型政策から内需拡大型政策の遂行を余儀なくされ、異常低金利による過剰流動性が株、土地の投機や、ゲーム的対象としたバブル経済を生み、そのバブル崩壊後の不況が今日まで長期に続いているのが現状でございます。
 経済企画庁の二月の月例経済報告や日銀の経済報告によると、景気は回復基調との発表がなされていますが、従来の在庫調整がもたらす景気循環型による回復基調ではなく、民間企業の血のにじむリストラによる回復であり、おのずと中身が違ってきていると思います。
 我が国の本格的景気回復は日本経済全体の経済スキームあるいは産業スキームが変わらないと望めないと思いますし、景気回復の頼みの綱である個人消費が一向に伸びないのが現状であります。
 昨日、新聞を見ておりますと、「『価格破壊』6割が歓迎」という題目で、こういう内容が出ております。結論から申し上げますと、今景気が伸びないから個人消費も伸びない。その裏づけとして、個人所得が伸びない。それがどういう現象を生んでおるかというと、価格破壊であります。価格破壊は、なるほどいいことでございますが、一方で製造業者のリストラを推進する雇用面の不安も醸し出しておるわけでございます。こうした不況が続くとおのずと税収が落ち込み、予算執行に際し、知事の言う、最少の投資で最大の効果を生む取り組みが求められます。どう具体的に取り組まれるか、例を挙げての答弁を願います。
 次に、西口知事は、本県のそれぞれの市町村の活力が和歌山県の活力になると申されております。まさしく、言われるとおりであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 日高郡市の発展は、御坊市の牽引なくしてあり得ません。今、日高地方には、日高郡市の発展に大きく寄与すると確信する日高港湾整備と御坊第二火力誘致の二大プロジェクトを控えており、関係者の方にはそれぞれの立場で推進方努力を傾けていただいておりますが、県としての取り組み、支援はどうか。踏み込んだ、地元関係者が元気づく答弁を期待するものであります。
 さて、西口知事は就任直後の昨年十二月の知事所信表明において、県民に言うべきことは言うと申されました。折しも、一昨年のリゾート博の大成功、またNHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」の放映等、和歌山県に向かってフォローの風が吹いてきたなという感をいたしております。今日までの経済運営、いわゆる都会に物、人、金を集めて効率よく運営していく、そうした経済スキームが今外圧から壊れようとし、一方では税収不足という面もあるわけでございますが、地方にとっては激しいアゲンストの風がいささかやみつつある今日でございます。そうした中におきまして、新しい和歌山県土づくりをにらんで西口知事は今県民に何を言おうとしておるのか、何を言いたいのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 さて、念願の高速道路の問題でございます。
 半島性からの脱却、すなわち国土幹線自動車道への直結を目標に、その完成に向けて猛運動を展開し続けてまいった日高郡市民にとっては待望久しかった近畿自動車道湯浅・御坊間延長十九・四キロメートルが、来る三十日、全面供用開始となります。その財源内容を見ますと、総事業費はおおむね九百五十億円で、一般財源五百五十億円、日本道路公団分二百億円、県費持ち出し二百億円であり、諸方を駆使しての道路とはいえ、県費持ち出しの多額さを考えますとき、この完成にかける並並ならぬ県当局の決意──半島性の脱却、道路網の整備は仮谷前知事の県政遂行の大きな柱であったわけでございますが、そうしたことがしのばれる一方、国において均衡のとれた国土形成をうたいながらも、利用者負担軽減化をうたい文句に採算性重視の見地から本県への財政的負担の大きさに地理的ハンディキャップを感じ、いささか納得しかねますが、とにもかくにも完成までこぎつけた長年にわたる関係者の皆様方に一住民の立場からも心から感謝を申し上げ、この上は、この道の有効活用に向けての管内地方道路の整備促進、諸施策の実施、さらなる南への延伸を願うものであります。
 御坊・南部間道路総延長二十一キロメートルにつきましては、平成五年十一月に施行命令が下され、同六年十一月に路線発表がなされました。当該市町村では、市町村レベルでの整備促進を図るべく、御坊市長柏木氏を会長として、県、当該市町村長、議長、並びにこの路線の事業主体である日本道路公団大阪建設局田辺出張所長にも参画をいただき、私ども日高郡市選出の四名の県議も加わり、近畿自動車道松原すさみ線御坊南部間建設促進連絡協議会を間髪を入れずに設立し、種々その促進方を協議しておるところであります。
 関係者の機敏なる対処、ご努力により、ごく一部地域を除いて測量はおおむね順調と聞いており、先日の森議員の質問に対する知事答弁での、道路は用地買収が済めば完了したも同然という弁をかりますと、一日も早い全体測量の実施、地元の理解による設計協議を経ての用地買収の完了を願うばかりであります。
 さて、これから地元との設計協議の段階を迎えるわけですが、通常、道路完成には地元との設計協議が一番時間を要すわけでありまして、この路線に限っては、その必要の緊急性からも用地地権者並びに関係地区住民の同意を願うばかりであります。
 用地買収が済めば、いよいよ工事着手になるわけであります。工事用道路の大半が市町村道を使用する予定となっておりますが、これらの拡幅について、事業主体である日本道路公団は、採算面重視の立場から建設費削減の名目で、機能回復によるつけかえ道路を除き、用地費並びに工事費について当該市町村に負担を申し入れているようであります。
 知事にお尋ねをいたします。
 この道路の果たす役割を考えますとき、工事用事業費を財政力の弱い町村に負担させることなく県が引き受けられないかどうか。また、この道路建設に伴う排水処理対策等についても同等の扱いを願えないものか。前向きの答弁を求めます。また、一部測量に入れない地域について、現状と見通しを土木部長にお尋ねいたします。
 これで質問を終わりますが、なお本年三月末、その時期時期の知事の県政推進の基本理念に基づいて、それぞれの立場で県政推進のために献身的な努力をいただいた県職員の皆様方に心から感謝を申し上げ、退職後もそれぞれ違った立場で和歌山県推進のためにご尽力くださいますことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 冨安議員にお答えをいたします。
 まず第一に、和歌山新時代の創造に関してであります。
 私が常に申し上げている和歌山新時代の創造につきましては、県政の究極の目的でもあろうと思います。どの地域におきましても、どの立場にありましても、和歌山に住んでよかったと思えるふるさとづくりを目指しておるわけでございます。
 こうした観点から、八年度の予算編成におきましても、自然と調和した、安全で美しく快適な町づくり、地域のポテンシャルを生かしながら多彩な文化が花開くふるさとづくりを推進いたしまして、個性光る、魅力ある地域づくり、和歌山づくりに努めていきたいと考えてございます。
 具体的な事業といたしましては、市町村が取り組む個性的な、そして魅力あるふるさとづくりを支援するための輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業の創設、さらに豊かな自然を活用しながら宿泊施設、文化交流施設等の整備を支援する和歌山ふるさとリゾート推進事業の創設、また山村地域活性化のための山村21創造事業の創設などがございます。
 次に、地方自治の本旨である、最少の経費で最大の効果を上げるための取り組みでございます。
 現下の経済情勢から県税収入の伸びが期待できない中で新たな行政需要に対応していくためには、行政改革大綱の理念に沿って、既存事業の制度・施策について徹底した見直しによる経費の節減とともに、冨安議員にもお世話になりましたけれども、今般改善をした合併処理浄化槽整備の効率的な執行など、むだのない、簡素で効率的な行政システムの確立が肝要であると考えてございます。
 八年度予算の編成に当たっても事務事業等の積極的な見直しを行ったところでございますけれども、行政改革の推進のためには職員一人一人の心の持ち方が大事であろうし、常々職員に対しても意識改革や発想の転換などを強く要請しておるところでございます。
 今後とも、県民の皆様方の声に常に耳を傾けながら、県民の立場に立って、社会の変化に対応した、簡素で効率的な行財政運営に努めますとともに、県民の皆さんには厳しい財政状況の中であることもご理解をいただきまして、なお一層のご協力をお願いしたいと思っております。
 次に、日高地方の取り組みについてであります。
 まず、日高港の整備につきましては、日高港が紀伊水道の入り口に位置するという有利な立地条件を生かしながら、高速道路の南伸ともあわせて、新たな物流拠点及び産業立地の拠点形成を目指すものでございますので、御坊・日高地域はもとより、県勢の飛躍発展を図る上で最も重要なプロジェクトであると思ってございます。
 これまで、地元や関係者の方々のご協力も得ながら漁業補償交渉を行ってまいりました。いまだ一部の漁業協同組合の同意が得られず、まことに残念でありますけれども、工事の着手ができない状態でございます。しかし、県としましては、本事業の重要性、緊急性にはいささかも変化はないと認識をしておりまして、今後とも引き続き関係者の理解を得るなど、私も先頭に立って早期事業着手に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
 御坊第二火力発電所につきましては、平成六年三月の御坊市議会の誘致決議の後、平成六年十二月から事業者による環境影響調査が行われてまいりました。この二月で現況調査が終了し、現在予測調査が行われているところでございます。県といたしましては、従来から申し上げている電源立地の基本的な考え方を踏まえて、地域振興の立場から強く対応していくことといたしております。
 日高地方の発展は、議員お話しのプロジェクトはもとより、湯浅御坊道路や南紀白浜空港の活用、御坊テクノパークの整備推進、地方拠点都市づくりの促進などの施策展開を図ることによりまして、若者が集う活気のある地域となるように今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、知事が県民に伝えたいことは何なのかということであります。
 これも繰り返し申し上げておるところでありますけれども、県民の皆さんには少し心の持ちようを変えていただきまして、和歌山はだめだという意識から少し自信を持っていただきたい、そういうことを訴えたいわけであります。
 和歌山には和歌山のよさがあります。季節季節には県外からたくさんの人々が、緑豊かな山々、青く澄んだ海、清く潤いのある川、あるいはふるさとの深い歴史文化、人々の心の温かさなど、ありのままの和歌山に安らぎや憩いを求めて私たちのふるさとを訪れていただいておるわけであります。私は、今の和歌山が十分魅力を持っているあかしであろうと思いますし、お話にありました世界リゾート博の成功も、私たちはやればやれるんだという自信とともに和歌山の魅力を再確認させてくれたものと思います。
 これからの社会は、ますますゆとりや豊かさが求められる時代であります。そうした時代に和歌山の魅力はさらに輝きを増すものと思いますので、まずそこに住んでいる皆さんにこの和歌山のよさを理解していただきたいと思うわけであります。そして、そのよさにさらに磨きをかけ、一方、道路整備などを初め、足りないところは積極的に補う努力をしてまいらなければならないと思っております。
 県勢の発展は県民の皆さんとともにあるわけでありますので、県民の皆さんには常に県政に関心を持っていただき、一層のご協力をいただくように切にお願いを申し上げたいと思っております。
 次に、高速道路の南伸にかかわっての町村負担の問題でございます。
 道路審議会によって平成七年十一月に出された「今後の有料道路制度のあり方について」の中間答申の中で、高速道路の早期整備のためには、日本道路公団の自助努力等とあわせて、公的助成の拡大の必要性が盛り込まれたわけでございます。この中で、公的助成の一環として、国と地方の一層の連携のもとに地方からの支援の拡大を図ることが必要とされております。我が県における高速道路の早期整備を図るためには、この答申を前向きにとらえていくことが必要であると考えております。
 なお、工事用道路として市町村道の整備等を要請されているところであります。
 市町村の負担を県が肩がわりできないかというご質問でありますけれども、市町村への財源的な圧迫が大きくなることも心配されるわけであります。そのような状況を十分お聞きをしながら、今後どのような方策があるのかということを検討してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 冨安議員にお答えいたします。
 まず、高速道路の南伸に関しまして、現状と見通しについてでございます。
 近畿自動車道松原すさみ線の御坊・南部間約二十一キロメートルにつきましては、現在日本道路公団により事業が進められており、県といたしましても、地元の県会議員の皆様を初め、市や町とともに構成する建設促進連絡協議会を通じて地元調整等に努力しているところでございます。
 ご質問の現状と見通しでございますが、十七地区のうち四地区について路線測量等が未実施となっております。そのうち一地区については、今年度中に測量に入る予定となっております。また、測量設計が完了した一部地区については既に設計協議に入っておりまして、平成八年度にはいよいよ用地買収に入る予定となっております。残る区間についても設計協議を急ぐとともに、測量未実施の三地区についても、今後とも地元及び市や町の協力を得ながら、早い時期に路線測量が実施できるよう鋭意努力してまいります。
 なお、事業の進捗を図りますためには、円滑な用地の取得や十分な地元のご協力がぜひとも必要であります。今後とも、地元の皆様方のご理解を得ながら早期整備に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番冨安民浩君。
○冨安民浩君 ただいまご答弁いただいたことにつきまして、数点要望しておきたいと思います。
 知事が平成八年度の予算編成の中で一つの柱とされている輝けわかやま・二十一世紀ふるさとづくり事業の五億円の予算措置の運用面についてであります。
 この予算措置は、それぞれの地域が持っておるポテンシャルあるいは埋もれた文化・伝統を生かして特色あるものを出していただきたい、こうしたことが知事のねらいだと思います。そこで、箇所数だけをふやすというような──それぞれの地域からいろいろ出てくると思うのでございますが、箇所数だけに対応するというような予算執行ではなくして、しっかり精査した中で、これが本当に和歌山のよさだということでそれぞれの市町村においてよく検討した中で出てきたものをぜひ実行していただきたい。例えば私の選挙区の中で、これは相談しておらないわけでございますが、龍神村において今温泉がまあまあですけれども、しかし木材がご承知のような情勢の中で、龍神の持つ地理的条件を生かし、あるいはその醸し出す雰囲気を生かして芸術村でもやってみたいというような声があるわけでございます。村長さんはこの事業でそうしたことに取り組まれるのかどうかわかりませんが、私は大変おもしろい発想だと思います。数だけをふやすんじゃなくて、シーリングの一億円を使って思い切ってやってみなさいと、そういうような予算面での運用をお願いしておきたいと思います。
 次に、高速道路の南伸の問題でございます。
 私はいつも高速道路の南伸について思いますのは、海南湯浅線が四十八年に一部地域の反対で着工できなかった、その間にオイルショックがたび重なって工事費が四倍になったというような過去の例を振り返りますとき、やはりこの道路は何が何でも早く延ばさなければいけないし、それだけに県の取り組み、それにかける姿勢、地区住民のご理解をいただく努力というのが求められると思いますので、どうか過去のそうした事柄にも心をいたしながら、ぜひこの推進方をお願いしておきまして、私の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で冨安民浩君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長にお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まずは、紀淡海峡大橋についてであります。
 古来、紀伊・淡路・阿波・讃岐・伊予・土佐は南海道に属し、紀淡・鳴門の二海峡により本州・淡路・四国に分離されておりますが、一つの区分にまとめられて「南海道」とされております。一つにすべき何らかの共通性や関連性があったのではないかと考えられています。
 一九九六年度当初予算案に初めて「一九九八年着工を目指す」と明記され、調査費も過去最高の五億一千四百万円がうたわれ、本年には紀淡連絡道路実現化県民大会も開催される見通しとなりました。平成三年度より建設省によって大阪湾環状道路の一環として経済調査が開始され、平成五年の第十一次道路整備五カ年計画に「事業の具体化を図る」とうたわれて、同年三月には現地の共同調査が建設省、兵庫県、そして和歌山県で開始されたわけであります。明石海峡大橋も平成十年(一九九八年)に完成が予想されまして、世界的なレベルの橋の技術者が三万人いらっしゃると聞いておりますが、豊予海峡大橋、東京湾口道路に先駆けて、ぜひ明石大橋完成後すぐにでも紀淡海峡大橋の建設に参画いただきたいものであります。
 阪神・淡路大震災の教訓から、従来の国土軸の南側への新国土軸の建設は必要不可欠のものとなり、紀淡連絡道路の重要性は、単に大阪湾環状道路の一翼を担うだけでなく、日本の新しい物流体系を創造する根幹にかかわってまいります。
 紀淡連絡道路の開通による大阪湾環状道路の完成によって、臨海部相互の人の交通、物流の集散がよくなり、混雑が緩和されます。環状型の交通施設整備により、それぞれ特徴を持った核となる都市間が相互に連携を持った自立型の都市形成が可能になります。第二阪和国道、京奈和自動車道とつながり、さらに海・陸・空の三位一体の物流を考えれば、阪神高速湾岸線が和歌山下津港まで南伸して紀淡連絡道路とつながれば、それこそ和歌山市周辺は日本で屈指の物流基地となり、関西国際空港の全体構想実現にも弾みがつきますし、その経済効果たるや、はかり知れないものがあると思います。
 大阪湾口部に海からの物流拠点、すなわち和歌山下津港を整備することで湾内の船舶が減少し、安全性も確保されます。それとともに、大阪湾岸地域の災害時の代替路線となり、防災性が強化されます。和歌山県と徳島県の地域連携強化の役割を果たし、半島性の解消に少なからず寄与し、新たな地域活性化を呼び起こすに違いありません。しかしながら、一にも二にも地元機運の盛り上がりが必要であることは言うをまたないことでありますので、官民挙げての建設推進に拍車をかけていきたいものです。
 そこで、質問いたします。
 一、紀淡海峡大橋建設は、約一兆五千億円の国家的ビッグプロジェクトであります。平成四年には七府県九経済団体で紀淡海峡交流会議が設立され、新たな海峡交流圏の形成と紀淡海峡ルートの早期実現を図らんと鋭意推進されておりますが、大橋が完成すれば必ずや経済効果の波及があるであろう京都府、福井県、そして愛媛県にも、ぜひその構成員として入っていただいたらいかがでしょうか。
 また、特に同じ太平洋側の玄関口である徳島県と和歌山県との連携は言うに及ばず、明石大橋の完成も二年後とめどがついてきて、淡路島の洲本市は言うまでもなく、兵庫県も最近かなりご熱心に取り組まれております。近畿の経済圏の中心的役割を担う大阪府からも、横山知事がここへ来てようやく大橋建設に前向きな発言をされました上は多大なるお力をおかりすべきだと思いますが、いかがでしょうか。そして、今和歌山県こそが実際にリーダーシップをとって建設推進を行うべきであります。西口知事の他府県との協調に向けてのお取り組みについてお聞かせください。
 二、さて、明石海峡大橋の中央径間すなわちスパン、橋脚間の距離が千九百九十メートルと世界最大規模であります。紀淡海峡大橋となると二千五百メートル前後の、いやそれ以上のスパンが必要となると聞いております。紀淡海峡は明石海峡と比べ水深が深く、太平洋とつながっていて、どうしても波が高いなど、厳しい自然環境下にあります。四年ほど前に建設省の方にお尋ねしたとき、今の技術ではまだクリアされない、今後の技術の進歩を待たねばならないと述べられておりました。震災については、活断層の直上から百メートルほどずらせば問題ないと言われておりますが、むしろ台風など強風に対する耐風安定性の確保が重要であると伺っております。このような技術的問題について県当局はどうお考えですか。世界に目を転じても、今後メッシーナ海峡やジブラルタル海峡へも橋をかけようという機運があり、現在では懸念するに及ばないと思いますが、大震災の教訓もあってあえて言及させていただきました。今後の完成までの事業計画の概略とあわせてお答えください。
 三、紀淡連絡道路建設に当たっては、地ノ島と沖ノ島の友ケ島が非常に重要性を帯びてくると考えます。加太から友ケ島に至る海峡部は潮通しがよく、味がよいとして、日本で有数の天然タイの好漁場であります。同じく明石ダイで有名な明石海峡大橋という実例もあることですし、漁場環境への配慮は十二分に行っていただきたいと思います。
 大鳴門橋初め昨今の大橋は、陸から見ても、海から見ても、また橋の上から見ても、すばらしい自然と融合した景観となっております。瀬戸内海国立公園内とはいえ、島という四方八方を海に囲まれた利点を生かして、これを契機に、友ケ島をそのままの自然美を生かした海洋保養地と位置づけてみてはいかがでしょうか。大橋から友ケ島へ上りおりできる附帯道路をつくってみてもおもしろいと思います。また、和歌浦湾と一体となった海洋レクリエーションとして、加太、友ケ島、和歌の浦、和歌山マリーナシティ、そして下津に至るまでのクルーズやヨットレース開催と、夢も広がります。海上から見る加太周辺、和歌浦湾というのは、本当にすばらしい眺望であります。ぜひ大橋建設とあわせてご検討いただきたいと思います。
 次に、和歌山港の課題であります。
 阪神・淡路大震災の後、日本の地方港と韓国の釜山港を結ぶ新航路が相次いで誕生しました。昨年九月までに新たに和歌山、舞鶴、新潟など二十二航路が加わり、計四十七航路となっております。港湾料金の低さなどからコンテナ貨物の中継港としての釜山港の活況はともかくとして、地方港の整備は実に急ピッチであります。本年秋には五万トン級大型コンテナ船が就航できる設備を擁する大分港が大分県を挙げて生まれ変わり、去る二月一日に国際物流ターミナルをオープンさせた松山港にも二〇〇〇年には水深十三メートルのコンテナ埠頭ができ、また震災直後に神戸港の代替的機能を強いられた舞鶴港もガントリークレーンを備え、五万トン級の船が着岸できる埠頭を整備中であります。
 和歌山港においては、昨年七月にコンテナ船の定期就航が開設されて以来、週二便の寄港体制ができました。貯木場の埋め立てが平成十年に終了すればコンテナ船用のマイナス十三メートル岸壁も整備され、いよいよ本格的なコンテナ荷役のできるガントリークレーン設置も現実味を帯びてまいります。大阪湾の一番湾口にある地理的利点をぜひ生かしたいものです。
 昨年末には早速ジブクレーンを一基購入いただいたわけでありますが、五、六千トンクラスのコンテナ船となると荷役が困難となります。また、冷凍貨物を積むリーファーコンテナに対応できる設備もありません。アジアのみならず欧米においても二十四時間荷役が常識になりつつある今日、夜間でも荷役できる照明設備も必要であります。さらに、近くにフェリー乗り場、中央市場、そして化学工場、製材工場などを控え、大型トラックやコンテナトレーラーが行き交う中、事故も起こっており、ぜひとも信号機の設置など道路交通の安全性を確保していかねばなりません。また、道路には本港への誘導表示もなく、ドライバーが右往左往することも少なくありません。コンテナを積みおろしできる場所は木材とすみ分けしながら埋め立てによって確保していけるとしても、肝心の貨物を入れる倉庫、上屋が今後の貨物量の増加も見込むと全く不足してまいります。それに、和歌山県は皮革工業も盛んであるにもかかわらず、和歌山港には動物検疫所がありません。とにかく、以上のような物理的条件がそろわないと貨物というものはなかなか集まりません。
 そこで、以下四点について土木部長にお伺いいたします。
 一、前述のような和歌山港の現下の設備状況では、とても神戸港、大阪港の代替的機能を果たす港湾とは申せません。また、設備が小さい分、積み込みには時間がかかり、速さが売り物の将来のテクノスーパーライナーの寄港候補地としても問題が出てくるのではないかと懸念されます。木工は和歌山の主要地場産業であり、和歌山港が基本的に木材の製品港としての重要性を持っていることを尊重しながら、具体的に今後の港湾設備の整備計画をお示し願いたいと思います。
 二、現在、チュンキュン海運、チョーヤン商船を合わせて一週間当たり二十フィートコンテナ六十本、六十TEUくらいの取扱量で、ほとんどが輸入貨物であると聞きます。それも、化学原料、繊維、野菜がほとんどと承っております。釜山港向け輸出が少ない中、空のコンテナのまま戻すのは余りに非効率であり、県としても船会社並びに港湾運送業者の皆様と絶えず連携をとりながら、全県挙げての貨物獲得に全力を尽くすべきだと考えます。しかしながら和歌山にも、中国、台湾、香港向けなど他国向けの貨物は少なくありません。ただ、和歌山港に本船が入らない分、大阪港や神戸港まで輸送せざるを得ない状況であります。それこそ徳島港、今治港、松山港などと協力して、同業者が業界で共同して船腹予約を行うとか、共同で仕向け地別の船を呼ぶ努力も必要ではないかと考えますが、いかがですか。
 三、首都圏の海運貨物取扱業者にも問い合わせてみましたが、コンテナ船が就航し始めたとはいえ、和歌山港に対する認識、意識は残念ながら希薄であります。しかし、企業、荷主は物流コスト削減に躍起となっております。前述のように、他の地方港も整備を急ぐ中、和歌山港も近畿における太平洋岸の玄関港としての地の利を生かして、例えば着岸料や荷役費用など港湾コストの再検討、二十四時間日祭日稼働システム、迅速な荷役、通関等々、他港にないようなセールスポイントを検討し、官民挙げてポートセールスを展開していけないでしょうか。
 四、本港内への本船の入出港、接岸時の荷揚げ、荷おろし作業が効率よくスムーズに行われるためには、港内の岸壁の水深維持は必要不可欠であります。有機汚泥や土砂のしゅんせつなど、水深の維持のためにどのような対策を講じておられますか。
 三番目に、大災害時への備えと対応についてであります。
 昨年一月十七日未明に起こった阪神・淡路大震災の後、本県においてもこのような大規模直下型地震に係る地域防災計画について見直し作業を推進されていることと存じます。平成八年度当初予算案にも防災対策として二十七件、八億六百万円が盛り込まれており、願わくは新しい県防災計画を一刻も早くお示しいただきたいと思います。
 一、いよいよ本年三月九日に、県が六億二千三百七十万円を投入して購入された十五人乗りの防災ヘリコプター「きしゅう」が運航を開始いたしました。この三月中には消防庁救急救助課主催で、防災ヘリコプターについて、どういう患者を優先して運ぶべきか運用を決める会議があると聞きます。
 そもそも防災ヘリコプターというものは、あくまで人命救助が第一義であります。防災のときのみならず、救急のときどう動かすかが問題であります。和歌山県立医科大学附属病院、日本赤十字病院、そして和歌山労災病院といった三次救急医療体制を備えた病院の受け入れ体制も今後十分検討いただきたいものであります。
 川崎医大の小浜教授によれば、防災ヘリというだけではだめだ、救急を主たる目的としたヘリコプターでないと人命救助には役立たないと提唱され、全国レベルで検討されたと伺っております。しかし現状は、ほとんどが防災用のヘリであり、救急でほとんど機能しておりません。長崎県、鹿児島県では専ら海上自衛隊のヘリコプターがそれに充てられ、島根県は例外的に七十回中四十回救急で出動されておりますが、それは隠岐島からの患者搬送が専らでありました。
 和歌山県の地形は南北に長く、山が多く、交通の不便さから陸の孤島になっている地域が少なくありません。過疎地が多く、明らかに大都市とは異なった和歌山県の憂うべき特殊性があるのです。
 そこで、提案いたします。
 防災ヘリコプターではなくて「防災救急ヘリコプター」と命名してください。それでないと、本当に救急目的で率先して動かすことができないと思うからであります。また、目下、ヘリの出動命令が発せられて飛び立つまで三十分の手続がかかっております。救急の場合、せめて十五分以内に飛び立てるような特例を設けてほしいと思います。さらに、ヘリコプターの出動要請をしたときの経路がスムーズにいくよう、できるだけ早急にマニュアルづくりを進めていただきたい。以上三点、お答え願います。
 二、和歌山県の大震災における備えについてであります。
 大震災が起こるとNTT回線、また携帯電話も使用できなくなるときがあり、ラジオ、テレビ、そして防災無線をフルに活用しなければなりません。大災害時、情報はどこが取りまとめて住民に知らせるかが問題になってきます。各地の消防局、医師会、そしてラジオやテレビ放送局は絶えず情報を取り合うことが絶対重要であります。そして、できる限り市町村の中でもきめ細かく、医者、看護婦が地区単位で駆けつけられるような体制が必要であります。また、近隣の市町村への移動・移送、または県外への広域的な移動・移送体制を事前に徹底させておいて、病院相互の助け合いがとれるようにしておかねばなりません。そして、県内に不足する物資があれば、全国に対して救援をお願いしなくてはなりません。避難所については、阪神・淡路大震災の教訓から、ぜひ救護所機能をあわせ持つ形で整備できるようにしておくべきであります。大震災、大災害が起こったときの情報網、そして食料、薬や医療資機材などの備蓄体制について、県は具体的にどのような方策をお持ちですか。
 三、パニック状態の大災害時に特別扱いは難しいとはいえ、障害者、高齢者、妊産婦、そして幼児などへの配慮というものは、備えの意味で重要であります。大災害時の障害者対策についてはいかが検討されておりますか。
 四、大災害時には三次医療機関の役割が大変重要であります。和歌山県立医科大学附属病院や和歌山県赤十字救命救急センターは人命救助にとって責任重大であり、事前の有効的利用体制を整えておくべきと考えます。ともすれば二次医療機関に過重な負担を強いることが少なくない現状の中、大災害時の三次救急医療についてどのような体制を検討されておりますか。
 五、本年二月二十日、福井と三重、徳島を含む近畿二府七県は、大規模災害が発生したときに備え、相互に応援するため、近畿二府七県震災時等の相互応援に関する協定を締結いたしました。これは阪神大震災を教訓にしたもので、被災府県に成りかわって他府県が生活必需物資の提供や職員の派遣などの応援要請を行う必要事項が定められております。
 昨年十一月二十五日、滋賀県湖東地域において近畿府県合同防災訓練が行われたことをもとに締結されたものと思いますが、このとき、各府県はもちろん、各地消防長会、市町村、消防本部、各地トラック協会、日本赤十字社各支部、自衛隊、関係企業、病院関係、医師会関係、放送機関、学校、自治会や奉仕団、防災会などの地元地区団体など計三百十八機関が参加され、地震災害総合訓練を実施し、地震時に迅速、的確に対応できる体制の確立と県民の防災意識の高揚を図ることが目的とされました。気になったのは、和歌山県からは県、県消防長会が参加されただけでありました。滋賀県側の意向があるとしても、活断層の通る和歌山県にとって、官民問わず危機感が希薄過ぎるのではないかと憂慮いたしておりました。しかし、本年度当初予算案に総合的、実践的な近畿の合同防災訓練を和歌山県において実施すべく五千万円が計上されたことで少しほっとした次第でありますが、去年の滋賀県の合同防災訓練では、かなり広域にわたり、時間をかけて細かく訓練がなされております。我々県民の安全確保につながる和歌山県の本年における一大イベントと受けとめ、和歌山県のやる気、心意気をぜひ全国にデモンストレートできるものであってほしいものです。
 去年の滋賀県で行われた合同訓練をもとに、和歌山県の持つ特殊性を考慮して、真に実効性のある訓練にするため、どのような構想をお持ちでしょうか。各関係部長よりご答弁願います。
 最後に、先輩議員の先生方も常日ごろご尽力されている県立武道館建設についてであります。
 紀州徳川藩祖・頼宣公は武芸をこよなく愛した方であったと存じます。後の居合いの田宮流、柔の関口流の隆盛の基礎は、我が郷土和歌山県において形づくられたのでありまして、名君吉宗公も武道に深いご理解があったと聞きます。また、合気道の創始者・植芝盛平氏も田辺出身であります。日本の武道の歴史を語る上で紀州五十五万五千石の和歌山県は非常に重要な位置を占めているわけでありまして、歴史的にもそれにふさわしい武道館を持つことに大きな意義があるのではないでしょうか。
 さて、現在の和歌山市和歌浦西二丁目にある和歌山県立武道館は昭和四十四年四月一日に開設されたものでありまして、昭和四十六年の黒潮国体時には練習会場として用いられたのであります。以来、毎週水曜日と年末年始以外は朝九時から夜九時までオープンされ、九〇%の利用率を誇っております。しかしながら、雨漏りなど老朽化してきており、畳四百畳、六百九十七・五八平米の広さの武道場しかなく、全国レベルの大会を行うとしても、柔道なら柔道、剣道なら剣道、一種目でせいぜい二面しかとれません。父兄用の観覧席や冷暖房設備もなければ、駐車場も五台くらいしか収容できない広さです。武道場全体を大会に使用すると、ミーティングルーム、練習場もなくなります。
 近年、女性の武道愛好家もふえて、県当局も更衣室、便所の確保にも苦慮されてきました。また、隣には県職員研修所があって、職員の皆様がそれぞれ二、三年に一度、忙しい公務の合間を縫って約一週間研修されるわけですが、その際に騒音など何かと支障を来しているのではないかと憂慮する次第です。
 施設の老朽化も進む中、和歌山県内の武道の振興のみならず、体育施設の見直しと相まって、和歌山県が誇れる、老若男女を問わず親しめる、武道を愛する人々が心のよりどころとなるような総合武道館の建設が必要ではないかと思われます。
 西口知事が昨年の県知事選挙のときにも提唱されていたスポーツ王国和歌山を目指して、国際試合の可能な、各武道が練習できる施設を持った県立武道館の建設をぜひ早期に実現していただきたいものであります。各種国際大会の誘致、そして二回目の国体開催も近い将来の課題でありましょう。多目的ホールも平成九年七月オープンを目標に建設が推進されておりますが、練習場もなく、多分に興行的な色彩が強く、どうしても武道とは相入れないものであるとうかがいます。
 一、県当局におかれましても、各地の武道等体育施設の視察にも行かれていると聞きます。県は武道館の機能と施設整備についてどうお考えか、お聞かせください。
 二、できるだけ多くの方々に武道に楽しく親しんでいただき、みずから実践して利用していただくことが武道館の使命でありましょうが、そのためにも立地条件が重要になってまいります。前に申し述べました紀州藩と武道のかかわりを考えて、和歌山城周辺への設置は理想でありましょうが、自動車のみならず、青少年教育の立場から徒歩や自転車を利用する学校生徒に広く利用してもらえる場所を選ぶことが肝要だと考えます。県当局のご意見をお伺いしたいと思います。
 三、現在、和歌山県武道振興会には十団体が参画され、日ごろ武道の振興発展に多大に寄与されております。武道施設を含めた総合体育施設を建設するとなれば国の補助もかなり変わってくるとうかがいますが、武道に加えて、和歌山県でも有力な競技であるレスリングやフェンシングなどはともかくとして、球技ともなりますと、すみ分けを厳密にしておかないと何かしら支障が出てくると思われます。その点、県はどうお考えですか。
 以上四項目、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 長坂議員にお答えをいたします。
 紀淡海峡大橋についてのご質問であります。
 紀淡連絡道路は太平洋新国土軸を形成しておりまして、同時に大阪湾環状道路、さらには関西大環状道路のかなめとなるわけでありまして、関西圏の交流や連携を促し、活性化を図るために大変重要な道路であろうと思うわけであります。そのために、近畿と四国の広域的な相互交流を深めるとともに、その交流を支える紀淡海峡ルートの早期実現を目指しまして、紀淡海峡を中心に、一日交流圏エリアに位置している大阪府、兵庫県を初めとする近畿、四国の七府県九経済団体によって紀淡海峡交流会議を設置し、積極的な活動を行っておるところでございます。また、太平洋新国土軸構想推進協議会あるいは大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会などにおきましても、広域的かつ幅広い活動を展開しているところでございます。
 また、大阪府や関経連などの積極的な参画が極めて必要であろうということから十分連携しながら進めているところでございますけれども、お話にありましたように、先日も大阪府知事は議会で、次期全国総合開発計画及び次期道路整備五カ年計画における着工の位置づけについて、府が主体的な役割を担って国に強く働きかけていくという旨の表明をされたと伺っております。
 県といたしましては、今後とも関係府県と連携をさらに深め、十分協調しながら、その中心になり、地元の機運の高揚を初めとして、紀淡連絡道路の実現に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
 以上であります。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 長坂議員にお答えいたします。
 まず、紀淡海峡大橋についてのご質問のうち、技術的問題と今後の事業計画についてでございます。
 ご指摘のとおり、紀淡海峡大橋は長大なスパンとなりまして、さらに風や潮流等の気象・海象条件が厳しい外海に面しているために、大橋建設には、明石海峡大橋よりさらに高度な技術が必要となります。このため、平成三年度から建設省による調査が開始されまして、平成五年度からは和歌山県、兵庫県、建設省が共同で現地調査を開始しておりますが、平成六年十二月には紀淡連絡道路調査委員会が開催されまして、学識経験者の方々から、紀淡海峡大橋については技術的に十分可能であるという意見が出されております。
 なお、事業計画についてでございますが、引き続き紀淡連絡道路の海峡部及び陸上部のルートの環境現況調査や長大橋の技術的な検討などに加えまして、事業主体、事業手法などについての検討を深めた後、事業化の運びになると考えてございます。
 今後とも、国とともに調査を促進し、早期に事業着手されるよう国に対し強く働きかけてまいります。
 次に、友ケ島の活用に関してでございます。
 加太から友ケ島周辺の海域につきましては、タイを初めとする良好な漁場であるため、現在県が実施している紀淡連絡道路の現地調査に際しても、漁業協同組合と十分協議し、協力をいただきながら進めているところであります。今後とも、関係機関とも十分連携を図りながら計画を進めてまいります。
 また、この地域は瀬戸内海国立公園に位置づけられているため、景観面で十分配慮する必要があります。また一方では、観光振興といった観点も重要であると考えておりますので、ご提言の趣旨を生かしながら検討を進めてまいります。
 次に、和歌山港の課題四点についてでございます。
 まず第一点目の、和歌山下津港の今後の港湾設備の整備計画についてでございます。
 荷役機械などの諸設備について具体的に申し上げますと、まずガントリークレーンでございますが、平成八年度に設計に着手の上、貨物動向などを見きわめながら、現在工事中の西浜地区の水深十三メートル岸壁への設置を検討してまいりたいと考えております。
 次に上屋につきましては、今後のコンテナ貨物の動向などを勘案し、早期整備の必要性を感じておりますが、現状では土地の手当てが困難でございますので、今後、新たな造成地も含め、対応を検討してまいりたいと考えております。
 また、夜間の照明設備や冷凍コンテナ用のコンセントについては平成八年度に整備を図ってまいる所存であり、動物検疫体制についても、早期に家畜伝染病予防法に基づく動物検疫指定港として指定されますよう、関係機関に要望してまいりたいと考えております。
 なお、臨港道路については、平成六年度に本港地区の港橋から水軒大橋に至る一号臨港道路の拡幅四車線化を図るなど、交通の安全性確保に努めているところでございますが、一部未整備箇所が残っておりますので、議員ご指摘の案内板などとあわせて、今後整備を進めてまいる所存でございます。
 次に、二点目の韓国向け以外の本船招致についてでございます。
 現在の和歌山・釜山間コンテナサービスについては貨物量も順調に推移しておりますが、中国を初め香港や台湾など、新たな航路開設に対する荷主サイドのニーズも高まってきております。しかしながら、航路の誘致には十分な貨物量の確保が必要であり、このことが大きな課題となっております。こうしたことから、議員ご提言の、他港の同業者との共同による船腹予約や仕向け地別配船などは、集荷力の向上が見込まれ、新たな航路誘致の促進に寄与し得るものと考えられますが、荷主企業や港運事業者などの企業活動における取り組みが重要でありまして、県としても必要に応じて支援してまいりたいと考えております。
 次に、三点目のポートセールスについてでございます。
 ポートセールスについては、主に京阪神の荷主企業、海運会社などを対象として個別訪問等を行っているところでございますが、さらに利用促進を図るため、平成五年度、六年度、七年度の三カ年にわたり、県内港湾を紹介するポートフォーラムを大阪市内で開催しております。
 こうした中で、特に和歌山下津港は大阪港、神戸港などに比べて岸壁使用料や荷役料金等、港湾利用にかかる諸費用が割安であること、また船待ち時間が少なく通関もスムーズであることなどを利点として売り込んでいるところでございます。また来年度には、一層の利用拡大を図るため、商社などの本社機能が集中する東京と今後の貿易拡大が見込まれる中国においてポートフォーラムを開催し、和歌山の港湾を大いにPRしてまいりたいと考えております。
 四点目の、港内の岸壁水深の維持についてでございます。
 港内の岸壁水深の維持につきましては、定期的に深浅測量を実施し、必要に応じて適宜しゅんせつ工事を実施しているところであります。すなわち、平成七年度においては、本港地区や内港地区の有機汚泥等を合わせて、およそ四万立方メートルのしゅんせつを行ってございます。今後とも、大型船が入港する中で、注意を払いながら規定水深の確保に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 大災害時の備えと対応ということで、まず第一点、防災ヘリコプターの有効活用ということでございます。
 今月の九日から運航を開始したこのヘリコプターは、消防業務全般に幅広く利用するという目的で整備したものでございまして、救命救急活動は防災活動と並ぶ重要な活動であると考えております。
 また、お説のように、幾らヘリコプターの導入を図っても出動までの手続に時間がかかっては十分な機能を果たし得ないという認識のもとに、できる限り短時間で出動できるよう、市町村長等からの要請は南紀白浜空港の防災航空センターへ直接電話またはファクスにより行えるようなシステムということを考えております。
 まだ始まったところでございますので、活動上不都合な点がございましたら、今後とも適宜適切に見直しを行い、このヘリコプターが真に役立つよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、大震災時の情報網と備蓄体制についてのご質問でございます。
 大震災が発生した場合には、災害直後における被害状況等、情報の迅速な収集伝達、そしてこれを受けての緊急応急対策ということが最も重要なポイントであると考えております。このため、本県でも地域防災計画の見直しを行い、防災行政無線や防災ヘリコプター、警察ヘリコプター等を有効に活用した情報の収集伝達体制の整備を現在鋭意進めているところでございます。
 また、このほかにも、今後の課題といたしまして、衛星を利用した通信手段の複数化、病院や避難所への無線設備の整備拡充も進めてまいりたいと考えております。
 次に医療機関との連携でございますが、救急医療情報センターの機能を全国ネットワークに再編強化いたしまして、災害時の救急医療に係る総合的な情報収集や提供が支障なく行えるような体制づくりも現在検討しているところでございます。
 緊急物資の備蓄につきましては、食料品、毛布、ポリシートなどの備蓄を行っておりますが、今後も市町村や関係機関と必要な種類、数量などの調整を図りながら進めてまいりたいと考えております。
 また、医療資機材等の備蓄につきましても、最大拠点病院を中心にその体制の整備に努めるとともに、医薬品については、医薬品取扱業者等と連携した大規模災害時における医薬品等供給システムの構築を現在検討しているところでございます。
 次に、近畿府県の合同防災訓練についてでございます。
 この防災訓練は、去る二月二十日付で締結された近畿二府七県震災時等の相互応援に関する協定に基づき、毎年各府県持ち回りで実施することになっておりまして、第一回が昨年の十一月に滋賀県で実施され、第二回が今回和歌山県で実施することとなったということでございます。
 訓練の内容につきましては、昨年は第一回でございましたので、いろいろ反省点等も出てきております。こういうものに十分配慮するとともに、和歌山県の地勢上の特色等も取り入れつつ、真に有意義な訓練とするため、今後、関係機関、関係府県と調整をとりながら早急に内容を詰めてまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 長坂議員にお答えをいたします。
 大災害時に備えた障害者対策についてでございます。
 障害者は、日常の生活環境の中で、その有する能力を活用しながら生活しており、一たび災害によりその一部でも崩壊すると大きな障壁となって自由な行動を奪われ、生命の危機を招きます。何よりも迅速な救助、避難体制の充実を図る必要があります。
 このため、在宅で生活する障害者の救援を行う上で、まず障害者の種別や家庭状況等、その状況を把握するとともに、地域での交流を活発にし、緊密なコミュニティーの形成を図っていく必要があります。同時に、災害状況や避難場所等の情報伝達方法並びに介護者や避難手段等の避難誘導方法など、地域住民、関係機関との連携を強化しながら、地域の実情に合った地域ぐるみの避難協力体制を確立しておく必要があると考えております。
 また、障害者施設ではスプリンクラー、消火栓等の防災設備や避難路の整備を図るとともに、施設独自の防災計画に基づき、定期的に防災訓練、避難訓練、夜間訓練を実施しているところでございます。
 今後とも、その充実を図るとともに、関係機関との連絡網の充実や周辺住民との交流、ボランティアとの連携など、救援体制の強化を図るよう指導してまいりたいと思っております。
 県地域防災計画の見直しに当たっては、こうした観点に立って、一般対策に加え、障害者、高齢者等、災害弱者に配慮した計画となるよう検討を行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 大災害時の三次救急医療についてのご質問にお答えいたします。
 昨年五月、厚生省の阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する研究会によって出された震災時における医療対策に関する緊急提言の中では、二次医療圏ごとに災害医療の拠点病院を選定し、重症者の受け入れ搬送機能及び医薬材料等の備蓄機能の整備を図ることとされております。また、都道府県に原則一カ所、基幹災害拠点病院を選定し、拠点病院の機能に加えて、後方支援的な機能をも備えるよう整備すべきこととされております。
 国におきましては、平成八年度からこれらについて事業化が図られる予定でございます。本県におきましては、この制度を積極的に活用し、これらの拠点病院の整備を図り、災害救急医療体制を充実させていく中で、三次救急医療についても可能な限り対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 県立武道館の建設についてお答えいたします。
 武道は伝統を重んじたスポーツでありますし、また世代を超えて活動のできる生涯スポーツでもあります。こうしたことから武道館は、武道を通して心豊かな人間としてみずから磨き、成長する活動の場や指導者の養成、研修、各種武道教室などの事業を実施する機能を有するものと考えてございます。
 現施設は、競技会等に使用できるよう工夫しながら多くの武道愛好家にご利用いただいているところでありますが、開館後約二十七年が経過してきていることから老朽化するとともに、増加する女性の利用に十分な対応ができないなどの課題が生じております。
 武道館は、子供から高齢者に至るまでの幅広い武道愛好者が活動する拠点として利用者のニーズにこたえられ、普及・振興の中核となる施設として整備することが大切であります。
 なお、体育施設において武道競技と球技などが併用する場合には、利用競技種目数や施設の広さなどについて慎重に検討する必要があると考えてございます。
 今後、武道館につきましては、関係部局と体育施設全般のあり方や設置について研究を進める中で考えてまいりたいと考えます。
 以上です。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 18番長坂隆司君。
○長坂隆司君 一点だけ要望させていただきます。
 他県が昨今建設されている武道館というのは、総事業費、大体五十億円から百億円はかかっております。厳しい財政の中、ぜひ建設推進をお願いいたしたいと思います。
 武道の強さと施設の大きさは、一概に比例するとは申せないと思います。よき指導者に恵まれること、そしてあくまで競技者本人の熱意、やる気、努力によるものだと思います。二十一世紀を支えて立つ青少年の心身の健全なる鍛練・育成の立場からも、今後の武道の教育と振興に県を挙げて全力を尽くしていただきたいこと、そして必然的に新しい武道館建設を推進し、できるだけ早期に実現されるよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十七分休憩
 ─────────────────────
 午後一時四分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 4番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 それでは、質問をさせていただきます。
 まず、地方分権についてであります。
 この地方分権については、私は二回目の質問をさせていただくわけであります。とにかく、連立政権に咲いたあだ花に終わらないためにも、今が正念場であるということでさせていただきます。
 先日も、玉置公良議員、森本明雄議員から質問がございまして、知事からも前向きの答弁がありました。若干ダブるところがあるかもわかりませんけれども、再度質問をさせていただきます。
 地方分権委員会による審議がスタートし、本年度末には分権委員会による中間報告がなされる予定と聞いております。また最近、地方六団体から機関委任事務等の廃止を求める要望書が提出されるということもあり、地方分権に向けての本格的な論議が中央、地方ともに展開されているところであります。今、地方がなすべきことは、まず分権の受け皿づくりであり、また地方分権推進の世論を喚起する努力をすることであります。今、何が問題で、どのようにすれば地方がよくなるのかということを整理し、そのことを国に対し強く要求することが必要であると思います。西口知事は、今議会所信表明の中で、高らかに「地方分権の推進を県民運動にまで高めたい」という強い調子で語っておられ、さらに「平成八年はまさに地方分権が実効性のあるものになるか否かの正念場の年」と位置づけております。
 最近、地方六団体の地方分権推進本部は、各省庁の機関委任事務制度の維持に対する反論をまとめ、国の地方分権推進委員会に提出いたしました。各省庁が全国的な行政の整合性、統一性を確保するために機関委任事務が必要であると主張しているのに対し、それは縦割り行政の中での整合性の話と厳しく批判し、地方分権推進委の検討試案に沿って、機関委任事務をあくまで廃止するよう求めました。これからは、地方分権の試金石である機関委任事務の是非について、中央省庁と地方との戦いであります。
 そこで知事に、地方六団体の要望書についてどのように評価され、今後どのような決意で取り組まれるのか、お尋ねしたいと思います。
 既に、二人の議員からもこの種の質問がされておりまして答弁があったわけでありますが、決意というのは日に日に高まるものと思いますので、再度答弁をいただきたいと思います。
 次に、社会福祉と地方分権についてでありますが、特に本県の深刻である高齢者対策についてお尋ねいたしたいと思います。
 本県の高齢化率は高く、全国平均より十年早いスピードで高齢化が進んでおります。この対策として、若者の流出を防ぎ、定住させる対策も必要であり、また地域でボランティアを育成し、地域ぐるみの福祉空間の形成という地域福祉の充実が緊急の課題であります。国と地方公共団体の役割分担で、国の主張としては、老人ホーム等の施設基準の設定を例示し、国は基本的な制度の企画立案や全国的に確保されるべき最低基準の設定を行い、地方は実施機関であるとしております。これに対して地方六団体は、国が例示する老人ホーム等の施設基準の設定は基本的、最低基準とは言いがたい、基本的、最低基準という名目で詳細、画一的な関与を行う国の意識がここに象徴的にあらわれているという強い反論をいたしております。
 施設整備と施設運営について、国庫補助制度等によらない地方独自の自立した施策が今最も求められていると思うのであります。地域の実情に合った設置基準や運営基準がどうしても必要であると考えられます。国の権限移譲や地方自主財源の確保という地方分権そのものが高齢者対策であると考え、また地方分権を進めることが本県の福祉政策にとっても緊急の課題であると考えますが、さまざまな福祉現場の現状と課題について、民生部長に所見をお伺いしたいと思います。
 続いて、介護保険について質問をさせていただきます。
 最近の新聞の中に、連日この介護保険についての記事が掲載されております。そこで、介護保険の必要性、あるいはまたどのように論議されていくかについて質問をさせていただきます。
 老人保健福祉審議会の中間報告を受け、公的介護保険創設に向けて作業が急ピッチで進められているようであります。審議会の答申を近く受け、厚生省は来年度からこの介護保険のスタートを目指していると聞きます。超高齢化社会を控え、高齢者への介護サービスを公的に提供しようということに関しては、だれも反対する者はいないと思います。
 この制度は、従来の施設介護等を含めた介護サービスの質的、量的向上ということと、将来、高齢者に対する公的サービスや増大する医療費の財政的な行き詰まりの解消対策という二つのねらいがあると思います。前者はともかくとして、後者は、極端に言えば税金の増額としての保険料徴収であると思います。かつて、細川内閣で国民福祉税という構想がありましたが、これも将来増大するであろう高齢者対策等の財源確保が困難と予想されたために出されたものであります。
 将来の高齢者に対する財源確保という問題は避けて通ることのできない問題でありますが、この公的介護保険についての総理府世論調査によりますと、七○%がこの保険制度を知らないということであります。知っていると答えたのはわずか一三%、聞いたことがあるが一四%であります。このような低い認知度の中では、法律の施行を急がず、もっと国民に対して今後の福祉サービスの水準を示し、財源についても国民負担をどうするのかという議論が必要ではないかと思うわけであります。
 例えば、西暦二○○○年時点におけるサービスの給付水準は七兆七千億円であり、これに対する保険料が二分の一と計算して、成人一人当たり年に三万八千百円という試算が出されておりますが、これは国民一律負担でよいのか、この辺の論議が大切であろうと思います。また、公的介護制度創設そのものの賛否についても、もっと広く国民のコンセンサスが必要であると思います。最近、公的介護保険を始めたドイツでは、二十年という歳月をかけて議論し、国民のコンセンサスを得たと聞いております。また一方、制度創設による保険料徴収ということより、新税か消費税のアップ等による財源で社会保障としての福祉サービスを望む声もあると聞いております。
 そこで、お尋ねいたします。この公的介護保険制度案について、厚生省から県に説明があっただろうと思いますが、まずどのように思われるのか、知事にお伺いいたします。
 伝え聞くこの制度案には、さまざまな問題点があるように思います。例えば、家庭で家族が介護することが一番望ましいことと考えますが、それに対する支援はどうするのか、二番目に、定額保険料は低所得者にとって負担が大きいのではないか、三番目に、全国画一的な基準による介護サービスにならないか等の問題があります。
 市町村に対してもこの制度の説明会があったと思いますが、県の役割として市町村及び県民の意見を集約する必要があると思います。今後どのように取り組むのか、お伺いいたします。
 続いて、電源立地についてお伺いいたします。
 今、二十一世紀の世界都市関西をどのように構築するかが問われております。すばるプランの推進を初め、紀伊半島振興計画、ベイエリア開発計画など、県域を超えた広域的な取り組みが進められております。世界都市関西の構築の中で、それぞれの地域の役割が重要となってきております。和歌山がどのような役割を担い、どのような位置で県勢の発展を目指していくのかという政策決定を今しておかなければなりません。折しも、二十一世紀初頭の県の目指す方向性を決定する第五次県長期総合計画を策定すべく審議がスタートしたところであります。
 そこで、県のエネルギー資源対策における電源立地構想についてでありますが、今世紀の締めくくりとしての県の第四次長期総合計画において、県の方針としてこのように記されております。「適地性・安全性・地元の同意という三原則を堅持し、立地地域を総合的に整備し、住民の福祉と地域振興の立場から、原子力発電所等の電源立地を促進する」とあります。この三原則を堅持しての電源立地の促進は、県民の合意を得ることができず、余り進展せずに二十一世紀を迎えようとしております。近畿の新時代、世界都市関西構想の中で、和歌山県が電源対策の役割を担うことで、ベイエリア構想等の中で県益の確保、県勢の発展を目指していくことも一つの方法であります。
 西口知事は、次期長期総合計画の中でエネルギー政策としての電源立地をどのように位置づけて進んでいくのか、お尋ねいたします。
 続いて、リサイクル行政についてお尋ねいたします。
 生産、流通、建設等あらゆる企業活動と消費において、ごみ、不要物を捨てることが簡単になされてきたため、この狭い日本で産業廃棄物やごみの処理、処分に困り、日本列島が自家中毒を起こすようになってきたのであります。従来どおりの行為では環境劣化と資源枯渇で、どうにもならないことになるということでリサイクル法もでき、究極的には産業革命以来の大量生産、大量消費、大量廃棄という過程を、生産、回収、再利用という過程に変革することを目指さなければなりません。特に問題となるのは、大量に発生する産業廃棄物の処理についてであります。
 県においては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、県産業廃棄物処理計画を平成六年四月に策定し、この問題に取り組んでおりますが、中間処理、最終処分場の確保、リサイクル全般にわたって具体的な取り組みがうまくいっていないのではないかと思います。産業廃棄物における処理責任については排出業者にあるわけでありますが、県は適正処理の総合的指導の役割を担っており、県内の廃棄物の状況を把握し、廃棄物が適正に処理されるよう対策を講じる責任があるわけであります。どうしても公共関与が避けて通れないわけであります。
 そこで、県の産業廃棄物処理計画の中で、公共関与処理の推進四項目を挙げております。一、最終処分場の設置が著しく困難な地域における最終処分場確保対策としてフェニックス事業に参加する、二、産業廃棄物公共関与処理機関の設立を検討する、三、第三セクターが産業廃棄物の適正かつ広域的な処理を行う場合に事業費等の支援を行えるよう基金を造成する、四、市町村の廃棄物処分場に一般廃棄物とあわせて産業廃棄物を処分するための廃棄物処分場の確保を促進する、以上の公共関与処理の推進についての取り組み状況はどうか、もっと積極的な公共関与が必要ではないか、お尋ねいたします。
 また、リサイクル法に伴う取り組みについてはどうか。さらに、昨年六月に成立した容器包装リサイクル法についても県の取り組みが重要であります。市町村等の取り組み及び県の指導はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 また、県内におけるリサイクル産業の育成も重要であろうかと思います。リサイクル運動からリサイクル産業育成へと推進していくためには行政がさまざまな支援をしていかなければならないと考えますが、どのように取り組むのか、お伺いいたします。
 最後に、ミカン対策について質問させていただきます。
 昨年十二月末に、農林水産省は果樹振興基本方針を示したところであります。これは、十年後の果実の需要見通しを立て、生産の目標を策定したものでありますが、今回策定された基本方針では、需要を全面的に見直し、平成十七年度の総需要量を現状より九十万トン多い八百一万トンと見込まれています。ウルグアイ・ラウンド農業合意の受け入れに伴う国際化に対応するため、かなり強気に対抗する内容となっていることは、大いに評価しているところであります。しかしながら、すべての品目が生産の拡大もしくは維持の方向で示されている中で、温州ミカンだけが縮小となっているところに問題があります。
 ご承知のとおり、ミカンは本県農業粗生産額の約二割を占めるとともに、全国第二位の生産県で、果樹王国和歌山の基幹品目であります。また、昨年の六月議会でミカン農業の将来について力強い答弁をいただきました。それだけに、今回の基本方針が本県二十一世紀農業振興計画に基づくミカンの振興を図る上で影響を及ぼすことのないよう、またミカンの振興施策にブレーキがかかることのないよう要望しておきたいと思います。
 さて、二年続きの干ばつにより、七年産のミカンは大変な減収となり、ミカン農家の経営は大変苦しくなっているところであります。生産者の間では、おいしいものをつくれば必ず売れるという自信がついたという声もあります。また、ミカンの改植等に積極的な取り組みをされている農家も見受けられます。
 こうした農家が現在苦慮していることは、ミカンの木が大変弱っているため、どうすれば樹勢を回復させることができるか、また改植に当たって有望な品種は何かということであります。こうしたことについて、試験研究、また普及団体が一体となって取り組んでいただいていることと思いますが、その内容についてお伺いいたします。
 最後に、支援活動の一層の強化をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
 まず、地方分権についてでございます。
 行政は、住民に身近なところで能率的かつ総合的に実施されるべきであり、そのためには行政執行の責任はできる限り住民に身近なところが負うことが必要であると考えております。しかしながら機関委任事務制度には、地方が事務を実施していながら決定権が地方にないために、住民側から見れば責任の所在がはっきりしないという弊害がございます。私は、制度そのものを廃止すべきであると考えております。こういった考えから、昨年末に地方分権推進委員会に対して機関委任事務制度の廃止を要望したところでございます。
 今般、地方六団体が地方の総意として地方分権推進委員会に対し機関委任事務制度を廃止すべきことを申し入れるとともに、機関委任事務制度を維持しようとする国の意見に対し、逐一その問題点を指摘したことは、大いに意義があることだと思っております。
 今月末に提出される予定の地方分権推進委員会の中間報告においても機関委任事務制度の廃止が打ち出されると聞いてございますので、今後は制度廃止に向けてあらゆる機会を通じて国への働きかけを行ってまいりたいと思っております。決意は、日に日に高まっております。
 次に、公的介護保険制度であります。
 高齢者の介護を社会的に支えるシステムとして厚生省が今国会へ提出を目指している公的介護保険については、現在老人保健福祉審議会で審議されているところであり、事業主体、負担割合、対象受給者、保険料の算定及び徴収方法等についてまだ固まっていない状況でございます。
 今後、制度案の内容等について各市町村及び県民への情報提供に努め、必要に応じ、国に対しても制度の決定、円滑な実施に向けて要望してまいりたいと考えてございます。
 県といたしましては、寝たきり等の要介護者の増加に伴う深刻な問題に対処するために、県民の皆さんが安心できる公的介護保険制度の確立が必要であろうと考えております。
 次に、電源立地等についてであります。
 新たな長期総合計画については、去る二月二十七日に第一回和歌山県長期総合計画審議会を開催いたしまして、計画策定について諮問させていただいたところでございます。今後、審議会や専門委員会等での審議を踏まえまして、平成九年十二月を目途に、県民の皆さんが豊かさを実感できる二十一世紀初頭の県政の指針として策定したいと考えてございます。
 電源の立地につきましては、平成二十二年度を目標年次とする次期長期総合計画を策定する過程において、議員ご指摘の近畿圏における本県の役割、県勢の発展をどう展望していくかなどを含めて、各界各層の皆様のご意見を十分承りながら検討されていくものと考えておりますが、私といたしましては、国のエネルギー政策の動向を見きわめながら地域振興の立場で対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 吉井議員にお答えをさせていただきます。
 地方分権と社会福祉についてでございますが、本県における高齢者福祉対策については、高齢化が進み、山間部、過疎地域が多いという和歌山県の実情に即した高齢者サービスの充実に努めているところでございます。
 しかし、全国知事会等六団体が地方分権推進委員会に提出した「改革の方向」に対する意見書にも述べられているように、本県においても、ショートステイ施設を単独で実施する場合は最低四十人が必要となっているため整備が進みにくいといった現状があります。さらに、各種補助金の申請事務等にも多大の労力と時間を要しております。
 今後、地域の実情に合い、県民の期待にこたえられる福祉サービスが提供できるよう、福祉の分野についても、機会をとらえ、地方分権の推進について国に要望してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) リサイクル行政についてのご質問のうち、三点につきましてお答えいたします。
 まず、産業廃棄物処理計画に基づく公共関与についてのご質問でございます。
 フェニックス計画につきましては、八月からの参加を目指し、現在積み出し基地の建設が進められているところでございます。
 次に、新しい公共関与処理機関の設立についてでございますが、財団法人和歌山環境保全公社の将来構想と連動しつつ検討を進めているところでございます。
 また、市町村と民間事業者が共同出資して第三セクターを設立し、広域処分場を設置する場合、関連公共施設整備等の支援を行えるよう基金を造成中でございます。
 さらに、市町村が産業廃棄物を受け入れることにつきましては、地域の状況や市町村の事情など難しい面もございますが、県といたしましては今後とも十分協議してまいりたいと考えてございます。
 なお、より積極的な公共関与が必要ではないかとの議員のご指摘でございますが、産業廃棄物の処理責任が排出事業者にございます中で、県といたしましては、公共がどこまでどういう内容の関与を行うべきかについて関係者と協議しつつ、十分検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、リサイクル法に伴う取り組みについてのご質問でございます。
 リサイクル法では、再生資源として利用すべき廃棄物として、コンクリート塊等の建設副産物を初め、自動車、電気製品、缶、瓶などが指定され、建設、通産、農林等六省庁の主務大臣が再生資源の利用に関し事業者を指導し、また再生資源の利用が不十分な事業者に対しては主務大臣が勧告や命令を行うこととなっております。県といたしましては、産業廃棄物処理計画において、リサイクル法を受けて関係各部が関係事業者を指導することと位置づけてございます。
 また、リサイクル法とは別に、ごみの減量及びリサイクルを促進するために、環境月間や環境衛生週間などの機会に各種啓発を行うとともに、市町村が実施する先進的なごみ減量リサイクル事業に対し補助を行っております。
 次に、容器包装リサイクル法についてのご質問でございます。
 容器包装リサイクル法が昨年六月十六日に公布され、分別収集等については平成九年四月一日から施行されることになっております。この法律では、容器包装廃棄物について、消費者、市町村、事業者の三者が役割分担をし、廃棄物の減量化と再生利用を図ることが基本となってございます。
 今後、厚生省、通産省など、国の関係五省庁から容器包装廃棄物の分別収集、再商品化の促進に関する基本方針が示されることとなっており、その基本方針に基づき、市町村が分別収集する容器包装廃棄物の種類などを盛り込んだ分別収集計画を策定することになっております。
 市町村の分別収集体制の整備等、困難な問題もございますが、県といたしましては、市町村や各種団体への説明会を実施するとともに、必要な情報の提供や市町村間の計画調整を行うことなどにより、市町村による分別収集計画が円滑に策定されるよう指導してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) リサイクル産業の育成についてお答えします。
 本県の主要地場産業である繊維、ボタン、皮革製品等を製造する際に発生する副産物の再利用等につきましては、県工業技術センターを中心に企業等と共同研究を進めるとともに、製品化支援等を行ってございます。
 具体的には、パイル織物の製造工程中から発生する繊維くずからアンモニア臭を効率よく吸着する脱臭炭化繊維の開発支援、プラスチックボタン製造時に発生する副産物を再利用しての土木・建設資材等への再利用技術の確立や、米ぬかから米サラダ油を抽出する工程中から香料・化粧品の紫外線吸収剤等に利用されるフェルラ酸の抽出に成功し、一部商品化するなど、大きな成果を上げてございます。
 また、昨今の状況を踏まえまして、昨年十一月に「新しい環境問題と環境技術、環境ビジネス」をテーマに講演会を開催し、百十名の参加をいただいているところでございます。
 県といたしましても、地球環境と産業活動のあり方を重視しまして、今後ともこうした研究や研究成果の商品化を推進するとともに、これらを生かした新しい産業の創造・育成策や支援体制につきましても検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) ミカン対策についてでございますが、平成七年産は二年続きの干ばつにより小玉傾向でございまして、生産量が少なく、市場では他県産に比べて高価格に推移したものの、ミカン生産農家にとりましては厳しいものがございました。
 また、樹勢も低下しており、平成八年産への影響も懸念されることから、これまで農林水産技術会議果樹部会において樹勢回復のための技術対策を決定し、普及センターや農協等を通じて農家への普及に努めるとともに、共同水槽等に助成を行うなど、干ばつ対策に取り組んでいるところでございます。
 また、議員お話しのように、国の果樹農業振興基本方針では温州ミンはやや減少させることとしてございますが、県といたしましては果樹王国和歌山を堅持していく観点から、平成十七年を目標とする高品質生産に重点を置いた県の果樹農業振興計画の策定に取り組んでいるところでございます。
 今後、極わせ種では由良早生、なかてではニュー則村、おくてでは丹生系温州等の有望品種の導入を図るとともに、低コスト・省力化のための基盤整備を進めるなど、産地の体質強化に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 4番吉井和視君。
○吉井和視君 答弁ありがとうございました。
 一点だけ要望をさせていただきます。
 介護保険についてでありますが、先日、共産党の村岡さんからも質問がありまして、村岡さんのご主張と私と似通っているところがあるんですけれども、問題はこれから財源をどう確保するかということであろうかと思います。そして、認知度が低いということは大変な問題であります。県民の中でも、この問題について制度を知らないという人が相当多いと思います。
 そこで、県の役割として、いろんな情報を国からいただいて、その中で市町村とこれから行う役割についていろいろ協議してもらい、問題点について国や福祉審議会へ反映していけるように提出してもらうという今の時点での作業が大切であろうと思いますので、その点を要望させていただきます。
 以上で、終わらせていただきます。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番新田和弘君。
 〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、税制改正と高コスト構造是正についてお尋ねをいたします。
 作家の堺屋太一氏は、今日の日本をとらえて、「大変な時代になった。日本は、これまで右肩上がりの時代にあったから景気の上昇時は長く、下降期は短く、それになれた日本人はこうした状況を当然と信じてきた。しかし、これからの経済はゼロ成長の年が特に不況で悪いわけではない。今後は、いわゆるうつむきかげんの時代を迎えた」と指摘しています。この指摘は、企業の売り上げも、各施設の規模も、個人の所得も、押しなべて拡大の時代から大きくならない時代に、つまり拡大志向からローコスト志向に変わらなければならないことを意味しております。
 経済企画庁は、昨年十一月に二十一世紀に向けた経済計画「構造改革のための経済社会計画 活力ある経済・安心できるくらし」を策定しました。この策定に当たった経済審議会会長の平岩外四氏は、「羅針盤が指し示した方向は構造改革でした。新たな時代の潮流に沿う形に我が国経済社会の抜本的な構造改革を実行し、経済の活性化、安心できる暮らしの実現を図ることを目指しています」と述べております。こうした時代背景を受けて、今後の税負担のあり方がいかにあるべきか問われるところであります。
 平成六年に行われた税制改革では、活力ある福祉社会の実現を目指す視点に立ち、個人の所得課税を見直し、六年度は五・五兆円の特別減税を実現する、個人住民税は一年限りの特別減税措置として、二十万円を限度として所得額の二○%の減税を実施する、七年度は三・五兆円の制度減税に加えて特別減税二兆円を実施する、個人住民税は二万円を限度として、個人住民税額の一五%の減税を実施する、八年度においても特別減税をあわせ行うことにより、六年度と同程度の減税を実施するとなっています。これに対して、消費課税は消費税の税率が四%に引き上げられることになり、さらに地方分権の推進、地域福祉の充実のため、現行の消費譲与税にかわって地方消費税(都道府県税)一%を創設し、消費税率は合わせて五%に引き上げる、この改正は平成九年四月一日からで、なお必要があると認めるときは平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずるとしています。
 一方、資産課税の代表とも言える固定資産税は、平成六年に評価がえが行われ、土地評価の均衡化、適正化の推進として地価公示価格の七割程度を目標にしたため、地価の下落傾向にもかかわらず評価額が引き上げられる結果となりました。このため、地価下落に対する方策として、評価額の上昇率に応じた特別措置や負担調整率の適用によって税負担の緩和が図られてきたところであります。平成九年は固定資産税の評価がえの年に当たり、今日なお地価公示価格の下落が続いており、評価額は当然、六年度に比べて下がるものと予測されています。しかし、税負担となると、特別措置や負担調整率の適用によっては必ずしも下がるとは予測できないものであります。
 そこで、西口知事にお尋ねをいたします。うつむきかげんの時代と言われるとき、時代背景を受けて、平成九年度は税制改正で所得税の特別減税をどうするか、消費税率は適当か、固定資産税の評価と税負担はどうあるべきか、注目されるところであります。西口知事は、厳しい財政事情の中、地方の自主財源確保の上から九年度の税制改正に対して、所得、消費、資産への課税はどうあるべきとお考えになっているか、お尋ねをいたします。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、消費譲与税にかわる地方消費税一%の本県の税収見込みと県下市町村への配分はどうか。
 二、平成九年度の評価がえと路線価格等の公開はどう指導するのか。
 三、建設省が平成六年十二月に公共工事の建設費の縮減に関する行動計画を策定しているが、本県では今後どう推進していくのか。
 以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、紀の川大堰事業に関連してお尋ねをいたします。
 紀の川大堰の建設は、昭和五十三年三月に治水目的で国が計画した事業でありますが、関西国際空港への利水が絡み、昭和六十一年十二月に国の予算で事業化が決定いたしました。昭和六十二年十二月に、和歌山、大阪両知事が紀の川利水に関する協定書に調印し、紀の川分水が決定いたしました。
 こうした経過で、紀の川大堰は治水、利水両目的の事業として、平成五年三月に本体第一期工事の入札が行われました。この第一期工事は平成七年末に堰柱コンクリート二基が概成し、第二期工事として堰柱コンクリート三基が平成七年十二月に発注されたところであります。紀の川大堰の関連事業である新六箇井堰撤去、河道掘削、JR阪和線紀の川橋梁のかけかえ、北田井ノ瀬橋のかけかえ、取水施設の改築など、平成十一年の完成が期待されるところであります。
 また紀の川リバーサイドグリーンベルト構想は、平成三年十月に国、県、和歌山市が一体となって策定した構想であり、紀の川大堰の建設により河口から岩出橋までの約十六キロの区間、約三百ヘクタールを、生態系に優しい自然に満ちた河川を創造し、市民の憩いの場として公園等を整備するとしております。整備の基本方針は、一、河川区域内にある不法占用を撤去する、二、河川区域内にある民地を順次買収する、三、生態系に優しい河川の創造を行う、四、高水敷を親水性を持った魅力ある公園として整備するの四点を柱に、平成十一年の完成を目指しております。この計画主体である県と和歌山市は紀の川緑地基本構想策定委員会を設置し、平成四年から二カ年で都市緑化技術開発機構に調査委託し、紀の川緑地基本計画調査なる報告書を平成七年三月に受けたところであります。
 そこで、西口知事にお尋ねをいたします。知事の公約に、紀の川大堰の建設を推進し、紀の川リバーサイドグリーンベルトの整備を掲げています。紀の川リバーサイドグリーンベルトの事業計画の策定と事業化をどう推進されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、土木部長にお尋ねいたします。
 一、紀の川大堰の進捗状況と完成予定はどうか。
 二、紀の川大堰の関連工事等はどう進められるのか。
 三、左岸側の取りつけ道路及び都市計画道路六十谷手平線など周辺道路整備をどう推進されるのか。
 四、河川敷内にある不法占用の是正と民地の買収状況はどうか。
 以上四点、お尋ねをいたします。
 次に、紀の川分水についてお尋ねをいたします。
 昭和六十三年十二月に、和歌山県は大阪府との間で紀の川利水に関する協定書及び紀の川利水に関する覚書を協定、確認してきています。それによりますと、和歌山県は紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの整備等により、平成十二年を目途に毎秒約四トンを上限として水資源の確保に努めているところであります。ただし、当分の大阪への分水は毎秒三トンとするとなっております。このため、大阪府は地域整備協力費総額百七十億円を支払う、分水の前提となる紀の川大堰建設費七百億円のうち、大阪府は二百九十一億円を負担するとなっております。去る三月十三日の県議会一般質問で日根農林水産部長は、紀の川の農業用水について、「県としては、施設の改修と農業用水の安定確保に加え、紀の川用水等の余剰水が有効に利用されることにより受益者の負担金が軽減されるよう流域市町や関係土地改良区との調整を図るとともに、国との協議を進め、事業の早期実施に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます」と答弁されています。この答弁から判断すると、平成八年から二カ年で国営の二事業の全体実施設計において、紀の川の農業用水に余剰水が生じるため、農業用水の見直しを国と協議して利水に転用することで利水権者より事業費の一部を負担していただき、受益者の負担金の軽減に積極的に取り組むと、余剰水を利水に転用する方針と受けとめられるわけであります。
 そこで、西口知事にお尋ねをいたします。県内の利水に関係する大滝ダムが平成十一年に完成し、紀の川大堰も平成十一年に完成することになれば、紀の川大堰の新規水源として毎秒○・二九トンが発生することになり、加えて農業用水の見直しによる利水のための余剰水が生ずれば、平成十二年から大阪への当面三トンの分水量が生じるとの見解にならないかと心配するところであります。紀の川分水に対する知事の見解をお尋ねいたします。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、紀の川の農業用水の余剰水を見直し、利水に変更する作業をどう進められているのか。
 二、紀の川分水に伴う取水口及び導水管の用地について、本県ではどう検討されているのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、高野口町における赤痢の集団発生についてお尋ねをいたします。
 去る二月二十七日、高野口の町会議員さんから電話があり、赤痢が集団発生し、感染者が二十二人になりました、町では防疫対策本部が設置され、感染者十名を出した小学校では二十七日から全校が閉鎖され、大変なことになっております、原因がはっきりしないのですが、保育園児や小学校の低学年の子供に感染者が多いので全く困っています、とのことでした。早速、健康対策課と保健体育課に感染防止の対策をお願いし、その後の対応の報告をいただいてまいりました。
 今回の赤痢の集団発生は、最初、一月三十一日に三歳の保育園児が赤痢に感染し隔離され、二月の初旬に一応終息したかに見えました。しかし、二月二十二日になって新たに保育園児二名と小学生一名が赤痢に感染していることが判明し、まことに残念なことですが、保育所、小学校が二次感染への場となり、三月十五日現在では、高野口町内の保育所、幼稚園、小学校とその家族を含めて計四十三人の赤痢感染者が出ております。
 町防疫対策本部では、感染防止のため、諸施設の徹底した消毒の実施と検便による潜在保菌者の発見に全力を挙げて努めております。さらに、住民不安の解消と感染拡大の防止のために、三月五日、高野口産業文化会館で「赤痢などによる子供の下痢症について」と題した緊急講演会が、県立医大小児科の小池通夫教授、微生物学の宮本博行教授を迎えて開催されました。席上、小学校の方から、「私たちの学校から職員の患者が出ました。職員全員の座布団やカーテンを袋に詰めて処分しましたが、今後どうしていっていいかわからない」と、現場の対応に悩まれている学校の訴えがありました。
 今回の赤痢の集団発生に対して、三点の指摘がなされております。一つは、なぜ冬場にもかかわらず発生したのか、その原因。また、二月初めの段階で防止できなかったのか。二点目は、衛生上安全であるはずの小学校や保育所がなぜ感染の場になって集団発生となったのか、幼稚園や中学校など大丈夫なのか、感染した子供たちは、学校が再開されるといじめの対象にならないだろうか。三点目は、二カ月にわたる赤痢禍問題で、高野口町のパートの人がしばらくやめてくれないかと言われたり、各種宴会の予約の取り消し、生鮮食料品等を販売する店を初め各商店ではお客が激減して売り上げががた落ちになり、これから春から夏場に向かうため、県による一日も早い安全宣言、終息宣言をしてもらわないとたまらない等の不安の訴えがあります。
 県健康対策課では、症状が表にあらわれない健康な保菌者と園児らが何らかの形で接触して感染した可能性がある、さらに小学校や保育所で子供同士の接触により集団的に広まったと判断しております。学校等での集団感染の例は、平成五年に尼崎市で、平成六年に東大阪市であり、ほぼ毎年発生例が報告されているとのことであります。
 そこで、保健環境部長並びに教育長にお尋ねをいたします。
 一、今回の赤痢集団発生の原因と防疫対策はどう実施してきたのか。
 二、赤痢禍に対する学校等における対策と、今後、感染児童へのいじめ等に対する対策はどうか。
 三、町民は一日も早い県による安全宣言を強く期待しているが、今後の対応はどうか。
 以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、総合学科及び学校間連携の取り組みの拡大についてお尋ねをいたします。
 去る三月一日に、県立和歌山高等学校の卒業式に参加いたしました。案内された校長室に入ると、正面に和歌山の風景を描いた花瓶やつぼが並んでいました。最初は校長先生のご趣味かなと思っていましたが、伺ってみるとすべて生徒作品とのこと、生徒一人一人を大切にする教育に取り組まれている姿勢を実感しました。式は明るい雰囲気で進みましたが、普通科第十六回、情報科学科第七回、両科にとっては最後の卒業生であり、感慨深いものを感じました。
 振り返ると、和歌山高校は、指導困難な状況から学校の活性化を図ろうと、平成二年から三年間、ビジョン委員会を設置し、検討を重ね、平成四年の終わりに文部省の総合学科の考え方が県教育委員会より示されました。平成五年四月に北澤校長先生を迎え、総合学科設置へ本格的な取り組みを開始、しかし真っ先に在校生の保護者より反対の声があり、何回も何回も開かれた説明会、会議に次ぐ会議、大変な一年間の後、平成六年四月、全国初の総合学科設置校としてスタート、二年目を迎える平成七年の入試では競争率一・七六倍と、県下のトップとなる盛況となりました。待望の新しい総合学科実習棟が完成し、授業にも一段と活気がみなぎり、着実な成果を上げております。本年四月から、全学年がそろった総合学科として新たな出発を迎える今、高校改革を目指して努力を積み重ねてこられた先生方初め関係者の皆様に改めて敬意を表したいと思います。
 卒業式の後、校長先生からぜひごらんになってくださいと、鉄筋四階建て延べ二千平方メートルある実習棟を案内していただきました。一番印象に残ったのは、和歌山高校がインターネットを授業に取り入れる通産省の百校プロジェクトの対象校であり、和歌山大学と回線をつなぎ世界に情報を発信・受信できる通信実習室を備えていることでした。七年度の総合学科の成果として、インターハイや国体に出場する選手が登場、また英語検定や情報処理検定などライセンス取得に挑戦する目的を持って頑張る生徒が増加してきているとのことでした。特に昨年夏に、語学研修と国際理解を深める目的で、オーストラリアのパースにある高等学校へ十八人の生徒が初めて三週間の短期留学をしました。参加した生徒の梅本知佳さんは、次のような感想を述べております。
 私と出会った、たくさんの人が私を幸せにしてくれました。私は絶対にこの体験を忘れません。お別れの日、さびしくて涙を流しながら強く抱きしめあった、あの温もりも忘れない。英語だけでなく、たくさんの事を学び、心温かい人々に出会えて、たくさんの物を得ました。「知佳を帰したくない」といったMomの言葉は、本当にうれしかった。私は必ずオーストラリアの私の家に帰ります。私に関わった、すべての人に感謝の気持ちを込めて、ありがとうを言いたい。みんなの親切は一生忘れません。私の人生観は変わり人間的に成長したと思います。星がきらきらと輝いているように、私も輝いていた三週間。あなたに会えてよかった。
 と結んでおります。
 さらに、昨年十一月十六日から四日間、和歌山で開催され、十四万人が参加した第五回全国産業教育フェアにおいて、パソコン部と英語部がインターネットを通じてアメリカのゴア副大統領から電子メールのメッセージをいただくことに挑戦しました。最初、アメリカ大使館にお願いしたそうですが、APECの開催時期と重なり不可能に近い状況のようでした。生徒と先生方の熱意で、幸いにも大使館の親切な職員さんの努力もあって、開催日の前日に待望のゴア副大統領からのメッセージが届き、生徒たちの夢が実現して大喜びとなり、読売新聞にも報道されました。ここで、そのメッセージを紹介させていただきます。
 President Clinton and I want to congratulate the students of Wakayama High School for developing and demonstrating new, exciting ways to use the lnternet.
As you Know, the lnternet is a prototype of the Global lnformation lnfrastructure which one day will provide high-speed data, voice, and interactive video to billions of people around the world. The lnternet and the Global lnformation lnfrastructure will enable the United States and Japan to build even closer and stronger relations now and in the years to come. By enhancing global communications, the Global lnformation lnfrastructure will promote cooperation between people around the globe in research, education, and dozens of other fields. l wish you and all the other students participating in the lndustrial Education Fair great success.
 翻訳いたしますと、「クリントン大統領と私は、全国産業教育フェアの開催に当たり、和歌山高等学校の生徒がインターネットを使った新しい画期的な取り組みをされたことを心からお祝い申し上げます。 ご存じのように、インターネットは地球規模の情報ネットワークの代表です。いつか、それはハイテクのデータやボイス、ビデオを世界じゅうの大勢の人々に提供できるに違いありません。そして、インターネットと地球規模の情報ネットワークは、現在や未来、アメリカと日本の関係をさらに緊密に築き上げることができるでしょう。また、国際交流が盛んになるにつれ、研究や教育、他のさまざまな分野で地球上の人々との協力が促進できます。インターネットを通して、全国産業教育フェアの開催の成功を心からお祈り申し上げます」。
 私は、こうした成果を伺いまして、先生と生徒が総合学科の新しい伝統をつくるため、ともに汗を流して頑張ってきたことを感じた次第であります。
 平成七年六月の文部省時報で文部省の木曽職業教育課長は、将来どれくらい総合学科をつくるかの質問に答えて、「これは、まさに都道府県がどれくらいつくる意思があるかということにかかっている問題だろうと思います。ただ、今の普通科や職業学科が抱えている問題を見た場合、現在、全国に五千ぐらいの高校があるわけですけれども、千や二千、総合学科ができてもおかしくないと思っています」と述べております。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、平成八年度で、総合学科の全学年がそろいます。この二年間の実績を総括し、今後、県下各地に総合学科を増設するのにどう取り組まれるのか。
 二、総合学科を中核に、周辺の高等学校との学校間連携を図られてはどうか。
 三、インターネットの授業への導入の拡大を図り、各学校間の情報ネットワークづくりを推進されてはどうか。
 以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、国際理解教育、外国語教育の推進についてお尋ねをいたします。
 歌手の藤山一郎さんの自伝に、イギリス軍の捕虜として収容されていたとき、アコーディオンでイギリスの民謡「庭の千草」や「旅愁」を歌い、毎晩大受けであったそうですが、ある日、思わぬクレームがついたそうです。ミスター藤山、あしたからはスコットランドの歌だけでなくアイルランドの歌も歌ってくれとのこと。日本では、イギリス民謡といえば、主としてスコットランドの歌ばかりが導入されていたのです。翌日からはアイルランドの「ダニーボーイ」を歌って、大拍手を受けました。日本人には理解できないことだが、イギリスのデリケートな国民感情に改めて気がついたとありました。
 「国際理解」という用語が急速に広まったのは、ユネスコによって国際教育の理念が打ち出されてからであると言われております。昭和五十七年に日本ユネスコ国内委員会が国際理解教育の手引きを示し、国際理解教育の基本目標は人権の尊重、他国文化の理解、世界連帯意識の育成であると明言しました。
 昭和六十一年に臨時教育審議会から出された教育改革に関する第二次答申で、まず日本人が日本自体のことを知り、その上で世界にはいかなる異なった生活、習慣、価値観が存在しているかを具体的に学ぶ必要があり、互いの相違を認識しつつ、同時に協力、協調の精神を養っていくことが大切であると強く訴えました。
 二十一世紀は情報化、国際化の時代であるとの臨教審の考え方が学習指導要領の柱に据えられ、その基本方針の一つに国際理解教育の推進と我が国の伝統と文化の尊重を挙げ、教科書等の内容の改善を行い、国際化に対応した緊急かつ抜本的な教育の改革を小学校段階から求めているところであります。また、これまでの外国語学習は活字中心の受信型の学習であり、国際化が進展する中で、外国語による積極的なコミュニケーション能力の育成を図るため、相手の言葉をよく聞き、正しく理解した上で、自分の考えをはっきり話す会話中心の発信型の外国語学習への転換が求められております。
 指導要領においては、中学校の授業時間数を週当たり一時間ふやして四時間に改善、高校ではオーラルコミュニケーションの新科目を設けました。平成八年度の国の予算では、中学校、高等学校の英語教員の資質向上を図るため、イギリス、アメリカなどの大学へ、二カ月派遣事業を百九十人、六カ月派遣事業を九十四人、十二カ月派遣事業を三十六人にするとともに、外国青年招致事業におけるALTを四千四百人から四千八百人に増加させ、外国語教育の充実を目指しております。さらに、公立小学校で英語学習を含めた国際理解教育を推進するため、現在十四の研究開発学校を八年度は四十七校に拡大し、各県で一校ずつ実践に取り組むことにしています。指定校では、週一ないし二時間程度英語の授業を実施、対象はおおむね四年生以上を想定し、児童に日常会話程度の英語力を身につけさせ、同時に国際理解を深めさせることをねらっております。
 そこで教育長に、一、本県における公立小学校に対する外国語教育の導入をどう推進されるのか、二、本県における英語担当教員の指導力向上とALTの増員による英語教育の充実をどう図られるのか、以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、教育、文化、スポーツにおける国際交流、協力として、国、地方公共団体、民間団体等により、さまざまな形態の国際交流、協力が行われています。さらに近年は、ユネスコやOECD、APEC等の国際機関を通じた国際協力も重要になってきております。
 昨年十一月に、文部省とOECD(経済協力開発機構)が主催をし、第四回OECD・JAPANセミナーが「統合学習と学校から職業への移行」をメーンテーマに和歌山県で開催されました。十四カ国から二十一名の代表者と日本から十四名、計三十五名が参加、パネルディスカッションや公開セミナーが行われ、第五回全国産業教育フェアも見学していただき、日本の職業教育、とりわけ和歌山県の教育を国際的に知っていただくよい機会となりました。
 青少年の国際交流活動としては、県高校生海外生活体験事業として、平成七年度にカナダとニュージーランドに合わせて五十人が三週間派遣されました。また、世界リゾート博記念財団が、昨年八月に県中学校海外研修事業として四百名の中学生を八日間、イギリス、スペイン、フランスに派遣し、語学研修と国際理解、協力の精神を養ってきたところであります。留学生の交流では、耐久高等学校、星林高等学校、那賀高等学校など県下の各高校で留学生の受け入れや派遣を行い、語学研修と国際理解を進めているところであります。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 一、本県における青少年の国際交流、協力事業を今後どう推進されるのか。
 二、今日、高校生の修学旅行が国際化を反映し、韓国やアメリカなど海外へ行く学校がふえてきております。本県においても、高校の修学旅行を見直し、国際理解と国際交流などを考慮して海外への修学旅行の導入を検討されてはどうか。
 以上二点、お尋ねをいたしまして、第一問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 新田議員のご質問にお答えをいたします。
 まず、税制改革等についてでございます。
 平成六年の税制改革において、活力ある福祉社会の実現を目指し、さまざまな視点から税制の見直しが行われたところでございます。地方税についても、平成七年度から個人住民税の負担軽減を先行実施するとともに、地方分権の推進、地域福祉の充実等のために、地方消費税が平成九年四月に導入されることとなってございます。この結果、平成九年度には現行以上に所得、消費、資産の間で均衡のとれた税体系になるものと思っております。
 今後は、都道府県税の中で大きなウエートを占めている法人関係税が景気に大きく左右される不安定な構造となっていることから、その安定財源化が課題となっておるわけであります。現在、政府税制調査会において、我が国経済が国際化する中で、法人課税のあり方について、課税ベースを広げ、税率を引き下げる方向で論議されておりますけれども、景気の変動に左右されない法人関係税収入の確保が不可欠であることから、このような対応策が早急に検討されるように、国に対して要望を続けてまいりたいと思っております。
 次に、紀の川リバーサイドグリーンベルト構想についてでございます。
 紀の川大堰の建設に伴って整備される高水敷を県民の皆様方の憩いの場として公園整備しようとするものでございます。ゆとりと潤いのある生活環境を創造することにより魅力ある都市圏を実現することは和歌山の発展のために必要でございまして、その整備を精力的に推進してまいりたいと考えてございます。
 現在、事業に向けての問題点の詰めを関係機関と進めているところでございますけれども、今後、和歌山県全体の中での公園整備としての位置づけ、また紀の川大堰の事業の進捗なども踏まえて、和歌山市、岩出町との連携のもとに事業化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、大阪分水についてでございます。
 大阪分水については、昭和六十一年に大阪府より正式要請がございました。分水の前提として、紀の川流域の水需要の確保をすることで、関係各位のご理解のもと、昭和六十二年に紀の川利水に関する協定を交わし、当分の間、毎秒約三立方メートルを上限とすることで同意しているところでございます。分水を行うに当たりましては、紀の川大堰、紀伊丹生川ダムの水資源開発施設を建設して新たに開発することで分水に対応することになっております。この考え方に現在は変更はございませんし、これら水資源開発施設の早期完成を目指して進んでまいりたいと考えてございます。
 お話にございました農業用水の余剰水については、紀の川流域の水需要の確保のために活用してまいりたいと考えてございます。
 なお、赤痢問題については保健環境部長から答弁させていただきます。
 以上であります。
○副議長(木下秀男君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 税制改革についてのご質問のうち、まず第一点、地方消費税の税収見込みと市町村への配分はどうかということでございます。
 地方消費税については、地方分権の推進、地域福祉の充実等のため、現行の消費譲与税にかえて都道府県税として平成九年四月から導入されることとなっております。また地方消費税については、当分の間、税務署等において国の消費税とあわせて賦課徴収されることとなっており、税務署等の所在する都道府県に消費税額の二五%、お話にありましたように、消費税に換算して実質一%が払い込まれることになっております。さらに、各都道府県はこうして得た税収を消費に関連する指標を基準として他の府県との間で清算をし、清算後の金額の二分の一を人口、従業員数に案分して市町村に交付することになっております。
 本県の収入見込みでございますが、現時点では不確定な要素がございますけれども、いまちょっと試算してみたところでは、金額で約百八十億円が見込まれまして、この金額の二分の一に当たる約九十億円が市町村に配分される見込みとなっております。
 次に、固定資産税の評価がえと路線価格等の公開への指導についてのご質問でございます。
 まず、固定資産税の評価がえについては、平成九年度が次の評価がえの基準年度に当たることから、現在、各市町村で鋭意評価がえ作業を進めているところでございます。この評価がえの基本方針といたしましては、前回、平成六年度の評価がえと同様、土地評価の均衡化、適正化を推進するとの観点から、宅地について地価公示価格の七割程度を目標とするとされております。県といたしましては、このような基本方針のもとで、各市町村において引き続き地価の低下が続いている状況を十分踏まえた上で、適正な評価が行われるよう指導を行ってまいりたいと考えております。
 次に、路線価格の公開でございます。
 これは、プライバシーの問題がございますけれども、これに配慮しつつ、評価の適正の確保と納税者の評価に対する理解の促進を図るため、平成三年度以降、順次、公開地点数を拡大して実施してきているものでございまして、次の平成九年度の評価がえに当たっては、すべての路線価格と標準宅地の単位地積当たりの価格を公表、公開することとしておりますので、この事務が円滑に実施されるよう県として指導してまいりたいと考えております。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 新田議員にお答えいたします。
 まず、公共工事の建設費の縮減についてでございます。
 公共事業を取り巻く環境は、今、新しい時代を迎えており、建設市場の国際化、さらには市場競争を通じて、よいものを安くと求める国民のニーズへの的確な対応が求められております。
 このため建設省により、平成六年十二月に輸入資材の活用による資材費の低減、生産性の向上、技術開発の三つを柱とする公共工事の建設費の縮減に関する行動計画が策定されました。このため県においても、競争性を高める等の観点から、一般競争入札制度の採用等を導入することとあわせ、発注を平準化し、企業のコストを低減させるためのゼロ国債、ゼロ県債の活用、資源の有効活用を図るための再生資源の活用などに取り組んでいるところでございます。今後も、この趣旨を十分踏まえ、実施できるものから順次取り組みを行うとともに、あわせて公共事業の推進にかかわる業務の合理化、効率化にも努めてまいりたいと考えております。
 次に、紀の川大堰事業に関連してのご質問四点のうち、まず紀の川大堰の進捗状況と完成予定でございます。
 紀の川大堰は、建設省事業として昭和六十二年度から事業化され、低水護岸や工事用道路等の関連工事が進められてまいりました。平成五年三月から大堰本体工事が着手されましたが、基礎ぐい打設時における地下水対策のため工法変更を余儀なくされ、このため本体の完成がおくれることとなったと聞いてございます。現在のところ、右岸側より魚道及び堰柱八基のうちの二基を概成しております。引き続き、本年の出水期までに中央部の二基を概成すべく鋭意工事が進められており、残る工事についても順次着工し、堰本体工事の完成は平成十一年度の予定と聞いております。今後とも、国、県、市が協調して、地元関係者の協力を得ながら事業進捗が図れるよう努力するとともに、国に対し早期完成を強く要望してまいります。
 二点目の、紀の川大堰の関連工事については、堰本体工事の進捗を見ながら並行して進められております。県工事といたしましては、北田井ノ瀬橋のかけかえ事業に平成七年度より着手し、建設省では小豆島付近で低水護岸の工事を実施しております。また、JR橋梁の改築については、建設省とJRとの間で協議を進めておりまして、その後、地元説明に入る予定と聞いております。
 河床掘削については、紀の川大堰河道掘削に伴う環境保全対策検討委員会が設けられており、県も入って協議を進めておりますが、その中で掘削方法等について検討しているところでございます。
 なお、JR橋梁や旧堰撤去等の補償、関連工事については、本体完成後二年から三年かかる見込みとなってございます。今後とも、さらに事業促進が図れるよう国に働きかけてまいります。
 次に、紀の川左岸堤防を利用した県道有功天王線については、現在事業中の紀の川大堰建設に関連する区間、延長四百四十メートルの道路改良を実施しております。これより西側の国道二十四号までの区間については、おおむね二車線が確保されておりますが、路肩が狭い等の問題もあり、今後、交通の円滑な処理が必要でありますので、地元の方々のご協力をいただきながら、交差点の改良、自転車・歩行者道の設置、都市計画道路六十谷手平線の整備等について検討してまいりたいと考えております。
 最後に、紀の川下流部の河川区域内における不法占用対策については、昭和五十一年に紀の川環境整備推進本部を設置し、是正に努めてきたところであります。特に平成四年からその体制を強化し、不法占用棟数は昭和四十七年度末の九百二十七棟が平成八年二月末で残り四十四棟となっております。
 また、河川区域内にある民地の買収状況でありますが、紀の川河口から岩出橋までの民有地約四十七ヘクタールのうち、平成八年二月までに約二十二・一ヘクタールを買収しております。県といたしましては、今後ともこれらの整備について努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 紀の川大堰事業に関連して、農業用水の余剰水の利水への変更についてでございます。
 先日、木下善之議員にもお答え申し上げましたように、国において平成八年度から二カ年間で国営かんがい排水事業と国営農業用水再編対策事業の全体実施設計が進められることとなってございます。この中で水利用計画の見直しが行われることとなってございまして、紀の川流域の受益面積の減少や営農形態の変化等により余剰水が見込まれるものと考えてございます。この農業用水の余剰水を地域資源として有効に利用するため、都市用水等へ転用することについて、今後、関係部局と連携をとりながら取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 新田議員にお答え申し上げます。
 紀の川大堰の取水口については、河川管理者である建設省が関係者と協議の上、決定することとなってございます。取水形態については、大阪府と和歌山市の取水口を合わせて一つにするということで関係者の間で話し合いをしているところでございまして、その位置についても現在協議を進めていると聞いてございます。また、導水管のルートについては、取水口の位置が大阪府と和歌山市の間で合意された段階で、道路としての利便性を考慮して、関係者との調整を図りながら早期に決定できるように進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 赤痢対策についてのご質問のうち、経過と防疫対策の実施及び安全宣言について、一括してお答えをいたします。
 今回の集団発生は、まず一月三十一日に、高野口町内の保育園児が赤痢に感染したとの第一報がございました。このため、患者家屋や保育園の消毒を行い、患者家族、保育園児及び職員の検便を実施いたしました結果、同家族から二人の感染者が認められたものの、一たん終息をいたしました。しかしながら、二月二十二日から新たに同町内の保育園や小学校、その家族などから患者が発見され、三月十五日までに二十五家族四十三人の集団発生となったところでございます。
 今回の感染は、子供を中心とした接触感染によるものと考えられ、原因菌は赤痢菌の中でも比較的症状の軽いソンネ菌でございました。
 この事態に対し、関係市町では防疫対策本部を設置し、また関係機関相互の連絡調整を行い、迅速で適切な対策を講じるために、高野口保健所内に集団赤痢防疫対策連絡調整会議を設置いたしました。さらに、感染の拡大防止や潜在患者の発見に努めるために、他施設より保健婦や検査技師などを高野口保健所に派遣いたしまして、患者接触者を中心に検便や訪問調査を行うとともに、患者家屋や関係施設の消毒を実施してまいりました。また、患者の発生した施設については、適宜、休校や休園の措置をとってまいりました。さらに、県立医科大学の小池、宮本両教授による講演会を実施するなど、住民に赤痢に対する情報を提供し、不安を和らげるための啓発活動にも努めてきたところでございます。
 今後の見通しといたしましては、今回、患者の集団発生のあった施設については引き続き十分なフォローアップが必要と考えておりますが、高野口町内の一般住民からの集団的な感染のおそれは少ないものと考えております。県といたしましては、今後とも関係市町と緊密な連携のもと、一日も早い終息に向け鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 赤痢対策と総合学科など七点についてお答えいたします。
 まず、伝染病の予防については、従前から保健教育の充実や環境衛生づくりなどの一環として指導してきているところであります。
 高野口町の小学校における赤痢の罹患者数は、三月十五日現在、既に退院した者も含め、教職員一名、児童十四名となってございます。
 教育委員会では、赤痢発生の報告を受け、直ちに町教育委員会に対して、学校保健法等に基づき、防疫に関する消毒や手洗いの徹底、出席の停止などについて適切に対応するよう指導してまいりました。また、高野口町防疫対策本部の設置後、学校において検便や消毒、臨時休業などの措置がなされてきたところであります。
 今後は、県内すべての学校に対し、伝染病予防に関する通知の徹底を図るとともに、今回の事例が接触感染によるものと考えられていることから、手洗いなどの生活習慣が身につくよう、保健教育の一層の充実を図ってまいりたいと考えます。
 また、今回赤痢が発生した学校では、児童にこの病気を正しく理解させ、不安を解消し、いじめや嫌がらせなどにつながらないよう指導を続けてまいりたいと考えます。
 次に、和歌山高校の総合学科についてお答えいたしますが、二十一世紀の高校教育を視野に入れた新しいタイプの高校として設置し、生徒みずからが学びたい科目を選択し、自分の時間割りで学習することを基本として、一人一人の個性を伸ばす教育を進めてまいりました。
 設置以来、全教職員の懸命の努力によってご指摘のような困難性を克服し、着実に成果を上げてきてございます。特に、昭和六十二年に設置いたしました情報科学科の教育は総合学科にも受け継がれて特色の一つとなっており、全国産業教育フェアでもインターネットを活用した取り組みが大会を盛り上げ、評価を得ることができました。
 総合学科は、設置後まだ二年を経過したところでございますので、全体的な評価については今後に注目する必要もございますが、これからの高校教育のあり方に一つの方向性を示すことができたと考えてございます。こうしたことから、総合学科の設置については、これまでの成果を踏まえ、全県的な視野から積極的に検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 学校間連携については、これまで三校間あるいは五校間で実施し、平成八年度は新たに和歌山商業高校と和歌山ろう学校との間で計画しておりまして、特殊教育諸学校を含めた学校間連携は全国初の試みとして注目されてございます。多様な教育内容を持つ教育学科が学校間連携に参加することは、近隣の高校で学ぶ生徒の幅広い学習ニーズにこたえることができ、今後、総合学科が果たす役割の一つとして検討してまいりたいと考えてございます。
 また、インターネット等を活用したネットワークづくりについては、これからの新しい方向として国においても研究が始められておりますので、僻地学校などでも地域的な制約を超えて連携できる方途として研究を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、国際化に対応した教育、小学校における外国語教育についてでございます。
 本県においては、本年度、小学校二十四校で英語指導助手を活用して英会話やゲームなどを取り入れた教育を行ってございます。また、平成八年度には文部省の研究開発学校として西牟婁地方の小学校一校を指定し、全学年で発達段階に即した英会話等に関する指導を行い、積極的に研究することとしてございます。
 英語担当教員については、国の海外語学研修等への派遣、県教育研修センターでの実技研修講座などを実施し、指導力の向上に努めてございます。英語指導助手については、平成五年度二十四名、六年度二十六名、七年度三十一名と毎年増員を図り、会話能力を中心に英語教育の充実に努めてございます。こうした中で、中学生や高校生が外国人に対して、ごく自然に、かつ積極的に接することができるようになってきてございます。
 青少年の国際交流については、高校生海外生活体験事業や日中友好スポーツ交流事業、日独スポーツ少年団同時交流受け入れ事業等を実施しているところであります。
 なお、世界リゾート博記念財団主催の中学生をヨーロッパに派遣するテイクオフ21の事業は、多感な年ごろにある子供たちの経験と視野を広げ、国際感覚の基礎を培う上で効果的な活動であり、平成八年度も継続して実施されると聞いておりますので、教育委員会といたしましても、指導面を中心に協力してまいりたいと考えてございます。
 また、多くの高等学校で、これまでも留学生の受け入れ、外国の高校との姉妹校提携など積極的に国際交流活動を行っており、スポーツ、文化団体等での国際大会への参加や交流も増加しつつあります。
 こうした取り組みは、生徒に国際理解、国際協力の精神を培う上で効果的であると考えますので、事業の目的が達成され十分な成果が上げられるよう、今後さまざまな形で指導、助言を行っていく必要があると考えてございます。
 最後に、海外修学旅行については、平成七年度、全国で二十六の府県で実施されてございます。本県といたしましては、生徒の健康、安全の確保、保護者の経済的負担、さらに緊急時や非常時における対応のあり方等多面的に検討し、全国の状況等を参考にしながら検討してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十二分散会

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