平成7年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
県議会の活動
議 事 日 程 第五号 平成七年十二月十五日(金曜日)
午前十時開議
第一 議案第百四十七号から議案第百七十三号まで(質疑・委員会付託)
第二 一般質問
第三 請願付託
会議に付した事件
一 議案第百四十七号から議案第百七十三号まで(質疑・委員会付託)
二 一般質問
三 請願付託
四 休会決定の件
出 席 議 員(四十七人)
1 番 大 沢 広太郎
2 番 木 下 善 之
3 番 小 川 武
4 番 吉 井 和 視
5 番 下 川 俊 樹
6 番 井 出 益 弘
7 番 藁 科 義 清
8 番 門 三佐博
9 番 永 井 佑 治
10 番 新 島 雄
11 番 向 井 嘉久藏
12 番 佐 田 頴 一
13 番 和 田 正 一
14 番 阪 部 菊 雄
15 番 西 本 長 弘
16 番 馬 頭 哲 弥
17 番 長 坂 隆 司
18 番 井 谷 勲
19 番 高 瀬 勝 助
20 番 上 野 哲 弘
21 番 堀 本 隆 男
22 番 宇治田 栄 蔵
23 番 宗 正 彦
24 番 橋 本 進
25 番 谷 洋 一
26 番 玉 置 公 良
27 番 東 山 昭 久
28 番 尾 崎 要 二
29 番 野見山 海
30 番 木 下 秀 男
31 番 町 田 亘
32 番 中 山 豊
33 番 山 下 直 也
34 番 鶴 田 至 弘
35 番 森 正 樹
36 番 村 岡 キミ子
37 番 新 田 和 弘
38 番 平 越 孝 哉
39 番 森 本 明 雄
40 番 神 出 政 巳
41 番 松 本 泰 造
42 番 冨 安 民 浩
43 番 飯 田 敬 文
44 番 中 村 裕 一
45 番 松 本 貞 次
46 番 大 江 康 弘
47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
知 事 西 口 勇
副知事 梅 田 善 彦
出納長 中 西 伸 雄
知事公室長 野 見 典 展
総務部長 木 村 良 樹
企画部長 藤 谷 茂 樹
民生部長 木 村 栄 行
保健環境部長 鈴 木 英 明
商工労働部長 中 山 次 郎
農林水産部長 日 根 紀 男
土木部長 山 根 一 男
企業局長 中 村 協 二
以下各部次長・財政課長
教育委員会委員 上 野 寛
教育長 西 川 時千代
以下教育次長
公安委員会委員 中 尾 公 彦
警察本部長 青 山 幸 恭
以下各部長
人事委員会委員長
若 林 弘 澄
人事委員会事務局長
代表監査委員 天 谷 一 郎
監査委員事務局長
選挙管理委員会委員長
谷 口 庄 一
選挙管理委員会書記長
地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
事務局長 岩 垣 孝
次 長 中 西 俊 二
議事課長 松 田 捷 穂
議事課副課長 佐 竹 欣 司
議事班長 松 谷 秋 男
議事課主査 山 本 保 誠
議事課主事 長 尾 照 雄
総務課長 岡 山 哲 夫
調査課長 柏 木 衛
(速記担当者)
議事課主任 吉 川 欽 二
議事課主査 鎌 田 繁
議事課速記技師 中 尾 祐 一
議事課速記技師 保 田 良 春
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午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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【日程第一 議案第百四十七号から議案第百七十三号まで】
【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第百四十七号から議案第百七十三号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
36番村岡キミ子君。
〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。許可をいただきましたので、早速ご質問させていただきたいと思います。
着任早々で知事も大変でありましょうが、県民の要求の切実さから考えて、一日も早い実現をという願いを込めて具体的にご質問を申し上げていきたいと思います。
まず初めに、知事の公約であるライフアップ計画の実現とその具体的計画についてお尋ねを申し上げたいと思います。
多くの人々は健康や病気に対する不安が大きく、中でも高齢者は、経済的不安もさることながら、もし病気になったら、寝たっきりになったらと、介護や食事に不安がいっぱいであります。年老いても、ひとり暮らしになっても、たとえ障害を持っても、長年住みなれた地域で安心して住み続けられることを願い、医療や福祉サービスがいつでも気軽に安心して受けられることを強く望んでいるところであります。
知事の公約の一つであるライフアップ計画には、私も大いに期待をするものです。特に、一日二食の給食サービスや二十四時間型ホームヘルプサービスの一日も早い実現に期待を強く持つものですが、その実現のための具体的な計画等をお聞かせいただきたいと思います。
在宅介護が殊のほか困難な中、特別養護老人ホームの入所希望者の待機期間も今や六カ月から一年を超えることもあり、この間、家族が老健施設や病院を探し回らなければならないという事態が強まっています。また、介護のため退職せざるを得ない女性がふえていることからも、特に特別養護老人ホームの増設、同時にこの特別養護老人ホームの目標の見直しを急ぐことが今どうしても必要であると私は思うのですが、知事の所見を伺いたいと思います。
さらに、日本一の医療保健体制をつくるためとして、こども病院の建設を明らかにされました。これについても、若いお母さんたちの期待の声が高まっているところです。
私は、平成三年九月議会において、こども病院をつくってほしいと質問いたしました。当時の答弁は大変冷たく、否定的でもありました。その答弁は、現在県立医大その他小児科を標榜している病院で対応していただいている、今後もこれらの医療機関と緊密な連絡をとりながら対応していきたいということで、病院等の建設についての意向はいささかもございませんでした。
当時、西口知事は副知事の職にありました。これまでの経過の中で、この方針から、こども病院を建設すると思い切った公約に及んだその真意は何であったのでしょうか、ぜひ伺いたいと思います。そしてその計画は、いつの時期に、どのような規模で実現しようとお考えなのでしょうか。
日本一の保健・医療・福祉体制を整備するには、どうしても人的体制が大切です。特に、医療技術者を初めとしたマンパワーの育成に大きな力を集中しなければなりません。公約に福祉保健短大の設立計画が掲げられていますが、どのような内容を持つ短大なのでしょうか。具体的な計画等についてお示し願います。
以上、五点について知事の率直な考えを伺いたいと思います。
続いて、女性の地位向上と女性の県幹部登用の目標及びその育成計画について伺うものです。
ことしは戦後五十年、そして女性にとっては参政権獲得五十年の年でもあり、また平和憲法が成立して五十年という時期にあります。特に女性の解放という、五十年の歴史を刻んだ意義深い年でもございます。日本の女性が戦前のはかり知れない犠牲を払って得た人間としての自由、解放感と、自分自身の幸せのために自分たちの力を発揮することができる時代をつくり出した喜びを、この五十年という時代背景から強く感じ取ることができます。
戦後、日本の女性たちは社会的な役割を大きなものにしてまいりました。今や女性の数は総人口の五〇・九%、中でも働く女性は年々増加をして、あらゆる職場に進出をいたしております。不況であえぐ中小業者の女性たちは、夫とともに経営と生活を大きく支えて頑張っています。そして、女性事業主の割合も今や四〇%となっているのであります。さらに、現在の日本農業において中心的な役割を担っているのは女性たちだと言われてまいりました。実に、農業就業人口の六割を占めています。この方たちは、いずれも家事・育児をしながらという厳しい中で力いっぱい頑張っているのであります。今や、女性の労働なくしては日本の労働力は確保できないとまで言われております。
こうした女性の社会的役割の増大にもかかわらずその地位は一向に上がらない、大変低いのが日本の現実でもあります。賃金を初めとした昇任・昇格や就職における採用、雇用形態など、男女雇用機会均等法施行後十年になりますが、依然として男女差別は残っていると言わざるを得ません。この間、こうした職場における差別に対して不当性を訴えて裁判闘争に立ち上がり、女性の地位向上のためしっかり頑張っている女性たちもふえてまいりました。
近ごろ、女性の意識も変わってまいりました。結婚しても働き続けたいという女性がふえてまいっております。しかし、地位向上には至っていないのが現実です。
労働省発行の九五年版「女性労働白書」によりますと、賃金の男女格差は十年前の五一・八%から五〇・八%と下がったものの、今もって賃金は男性の半分で、格差是正の改善を見るに至っていない現状にあります。就職においても、今、超氷河期と言われる中で、女性の完全失業者数、失業率ともに過去最悪となっております。就職が決まっていない高卒・大卒の女子学生の問題は今や社会問題と化してまいり、深刻な状況にあります。この報告でも、年齢の若い人ほど失業者数、率ともに高くなってまいっております。
知事さん、本県における女性の地位はどうなっているのでしょうか、どのような対策をお考えになっていらっしゃいますか、教えてください。知事は、女性がはつらつとして活躍できる環境づくりを進めるため、女性一〇〇人委員会の設置準備費予算をこの議会に提案されているところであります。その具体的な発展を期待するものですが、しかし何よりも、県庁内における女性の幹部職員登用も同時に進めなければなりません。
人事課からいただいた資料を見てみますと、年々役付女性職員はふえているものの、課長や次長、部長といった職に発展しているとは言いがたく、平成七年度を見るとわずかに六名であります。しかも、この人たちが民生部、保健環境部に偏っているのもいかがなものかと思うわけです。今後、女性の幹部職員の育成に対する目標や計画はどのようにお考えになっておられるのでしょう。知事の女性職員に対する心意気を伺うものであります。ご答弁を求めます。
次に、フォレストシティ計画についてであります。
マスコミは、知事選挙期間中、選挙の焦点の一つとして、フォレストシティ計画とコスモパーク加太について各候補者の考えをアンケート調査し、その結果を報告いたしました。私の手元にあるのは毎日新聞十月二十八日付でありますが、知事、あなたはこのときのアンケートでフォレストシティ計画に対する考えには一言も触れられていません。地元住民の間では、新知事の考えに大変注目をいたしておるところです。この場から、改めてお尋ねをしたいと思います。
これまで仮谷知事は、フォレストシティ計画は燦黒潮リゾート構想の中の一つの計画と位置づけて、計画に係る審査を進めてまいりました。ご承知のとおり、和興開発株式会社は会社のもうけのためには法を犯すことにいささかの罪も覚えず、社長みずからその中心となってまいりました。その法違反に、先日、実刑判決が下されたところであります。また、地権者からさまざまな形で裁判に訴えられている現実もございます。さらに十二月八日のNHK等の報道によりますと、債権問題に絡んだ、開発区域の約半分にわたる土地が仮差し押さえをされる問題が発生しました。こうして次々と噴出する新たな問題に、地元の住民は驚くばかりであります。
今また、進入路変更にかかわって、隣接住民に対する説明会が行われております。全く形式的で、住民の疑問や不安にこたえるという姿勢はこれまで同様に、ないと言わざるを得ない状況にあります。もはや地元住民の間では、和興開発株式会社に対して、信用に値するところは一かけらもないと、厳しく言い切る人も多くなってまいりました。
このような状況のもと、知事はリゾート構想の計画に固持することはいかがなものかと考えるのであります。知事の思うところをお聞かせいただきたいと思います。
次に、保健所問題についてご質問を申し上げます。
昨年六月の国会において保健所法が廃止されました。そして、地域保健法が新たに制定をされたところです。この法改正を受け、県当局においても地域保健対策の見直しを進めているところとお聞きをいたしております。以下、今後の地域保健対策を進めるに当たって、関係部長のご見解を伺うものです。
地域保健法では、国が保健所や保健センターの整備と運営に関して助言または勧告することができるとして、中央の管理を強める方向にあります。これは、地域に密着した保健活動を進める上から言っても、問題を抱えたものであります。また、地方の時代とか地方分権が叫ばれる方向にも逆行していると言わざるを得ません。このことは、保健所の設置区域の設定でも明らかであります。
地域保健法では、医療法で定められている二次医療圏を考慮して保健所を設置するとされています。二次医療圏はもともと、それぞれの地域の必要ベッド数を定めるために設定されたものであり、公衆衛生の範囲と一致させることには無理があります。地域の人口で見ても医療圏ごとの格差は大きく、また面積や交通機関の整備状況など、保健所の設置は地域の実態に見合ったものでなくてはなりません。地域の自主性が尊重されるのは当然ではないでしょうか。
県として、保健所の設定については、二次医療圏だけにとらわれず地域の実態にふさわしい方向で臨むべきと考えますが、その基本的な方針をお聞かせ願いたいと思います。
現在保健所が行っている母子保健や乳幼児健診を移譲される市町村には、受け入れ状況に問題がございます。今、保健所を持つ和歌山市以外の四十九市町村のうちで保健センターを運営しているのは、高野口保健所管内ではゼロ、岩出保健所管内では粉河町だけです。海南保健所管内では野上町の一町だけ、湯浅保健所管内では有田市と金屋町の一市一町、御坊保健所管内では川辺町だけ、田辺保健所管内では田辺市と白浜、中辺路、南部町の一市三町、古座保健所管内と新宮保健所管内には保健センターを設置している市町村はありません。すべて合わせても、わずか九市町にすぎません。
幾つかの市町村では、今後保健センターを整備する計画があると聞いております。保健センターと保健所では、その体制も任務も大きな違いがあります。単に保健所の業務を保健センターへおろすことができるというだけのものではありません。このことは、住民の健康を守るためにも深く認識しておく必要があるのではないでしょうか。
保健所には、医師や保健婦、栄養士、各種技師、薬剤師などを配置することが義務づけられております。ところが保健センターにおいては、どんな人員を配置するかはその市町村の自由であり、運営も市町村任せとされております。もちろん、今後市町村の保健センターの充実が不可欠なことは言うまでもありませんが、財政力やマンパワー確保の問題から言っても、保健所を充実強化しながら保健センターと保健所の連携を強化する方向こそ、これからの高齢化社会には必要であると考えます。
私は、長年住民に親しまれてきた現在の保健所をそのまま残し、体制や機能の強化を図ることが必要だと考えているところです。例えば、精神保健相談員は県の八保健所に四人しか配置されておらず、一つの保健所で三日間相談を受けて二日間は別の保健所へ行っておりますが、こういう状態を改善し、一保健所には一人の相談員が必要です。乳幼児や母子健診の充実を図るためにも保健センターと保健所の連携を強化し、保健所の機能を弱体化させるのではなく、より高度な健診体制を築いていかなければなりません。
紀の国障害者プランでは、保健医療対策の推進に当たって、保健婦、看護婦、理学療法士、医療ソーシャルワーカー、言語聴覚療法技術者、臨床心理技術者など、専門的技術者の育成確保がうたわれております。また、障害の発生予防、早期発見及び研究の推進、医療・リハビリテーションの充実、精神保健対策の推進など、保健医療の充実を掲げているところです。
知事も、選挙の公約で日本一の保健医療体制を標榜されております。障害者プランの具体化として、保健所の充実はその一環だと考えるものです。県当局の見解をお示し願いたい。
また、現在庁内で進めておられる保健所についての見直し作業は、県職員はもとより市町村や住民の意見を十分に酌む必要があると考えますが、具体的な方策をお示し願いたいと思います。
次に、入院給食の問題について質問をしてまいります。
私は、昨年の二月議会、またこの九月議会にも入院給食費の県補助を求めてまいったところです。入院給食は医療の一部であり、それを、家でも食事をするのだから病院での食事代を取るのは当然という政府の仕打ちは医療の実態とかけ離れたものであることを再度指摘したいと思いますし、県にも和歌山市など県下の市町で実施している公費負担制度の導入を再度求めるものです。
本日の質問では、県の実施している福祉医療制度とのかかわりで、入院給食費の補助を求めるものであります。
現在、和歌山県が実施している福祉医療制度には、六十七歳から七十歳未満の老人医療費、重度心身障害児医療費、ひとり親家庭医療費、三歳児未満の乳幼児医療費の補助制度がございます。いずれも、市町村が実施する公費負担制度の二分の一を県が補助しているものであることは周知のとおりです。
さて、老人医療費補助金交付要綱第三条では、補助の対象が規定をされています。「この補助金は、市町村が次項に定める対象者に、医療保険各法その他法令の規定により医療に関する給付が行われた場合──つまり健康保険法などによる治療などが行われた場合──における当該医療に要する費用のうち対象者が負担する費用から老人保健法第二十八条に規定する一部負担金──この一部負担金は、老人保健法に基づく初診時の月初めの外来費千十円や入院費一日七百円です──に相当する額を控除した額の支給を行う」ときに、県が老人医療費その他を交付することになっています。つまり、この要綱によれば、患者が負担する費用として控除しているのは初診料や入院費だけであり、患者が入院給食の標準負担額一日六百円を支払い、これを市町村が補助した場合は県の補助制度の対象になることをあらわしていると私は考えるものです。
ある町では、入院時食事療養費が医療に関する給付に含まれないなどという、法律無視の弁解を行っているやに聞いております。例えば、昨年六月に改悪された健康保険法第四章の保険給付について定めた第四十三条の十七では、入院時食事療養費に関する規定が挿入され、一項では「療養ノ給付ト併セテ受ケタル食事療養ニ要シタル費用ニ付入院時食事療養費トシテ之ヲ支給ス」としています。入院時の食事療養費が保険給付の一部であることは明白であると思います。その二項では、入院時食事療養費の額が決められております。食事療養費は標準負担額である六百円を引いた金額と定められており、入院時食事療養を保険給付の一つと明記しているところです。したがって、和歌山市のように老人医療について入院給食費を市が負担している場合には、和歌山市から補助の申請があれば県の制度の補助対象となるのは当然だと思うのです。また、入院時食事療養が補助の対象となっていないと誤解している市町村には補助の対象となることを指導すべきであると考えますが、あわせて当局の見解を伺います。
重度心身障害児医療費でも、県の補助金交付要綱は、医療に関する給付が行われた場合に──重度心身障害児が医療行為を受けた場合にではありますが──その費用のうち対象者が負担する費用の支給を市町村が行い、患者負担分を補助したときに県が補助する対象とされております。これも、和歌山市を初め南部町、すさみ町では重度心身障害児者の入院給食費を公費負担しており、申請があれば県はその半分を補助すべきであるとしか考えられません。
この四月から実施されているひとり親家庭医療費についての県の補助金交付要綱では、その第三条で、補助金の対象となる事業は市町村が患者の一部負担金の支給を行う場合であるとし、その対象となる一部負担金とは、医療保険各法に規定する療養の給付、療養費、及び家族療養費を受ける者が負担すべき額とされています。療養の給付について定めた健康保険法第四十三条では、入院時食事療養は含まれないと明記しています。ところが、療養費の額について定めた第四十四条の三では、療養費として支給すべき額の中に、入院給食費の自己負担分を除いた額を含めることを定めております。この法文によって、療養費を受ける者が負担する金額が県の補助制度の支給対象となります。
家族療養費の項でも、患者の自己負担分──医療費の二割ないし三割でありますが──と食事療養の標準負担額六百円との合計額を控除した額を保険から給付すると定め、残りを患者が負担する額と決めております。この規定からも、患者の負担した入院時食事療養費は市町村が支払い、それを県に補助申請すれば県の制度の補助対象となると解釈するのが当然ではないでしょうか。
乳幼児医療費の補助対象規定は、ひとり親家庭医療費と同じ規定になっております。
このように、県が実施している福祉医療制度の要綱では、入院給食費の公費負担はその対象となることは明らかで、和歌山市などから補助申請があれば支給すべきだと考えるものです。また、県の要綱と同じ趣旨の補助規定を定めている市町村には公費負担を指導することが必要と考えるものですが、県当局の見解を求めます。
以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 村岡議員にお答えをいたします。
ライフアップ計画は、高齢者や障害者が地域社会で安心して自立した生活を送れる環境づくりを進めてまいりたいとの願いから提案したものでありますけれども、その中の一つの大きな柱として二十四時間型高齢者サービスの実現を位置づけておるところであります。
高齢者の皆さんが住みなれた家庭や地域で暮らし続けられるためには、現在整備を進めているホームヘルパーあるいはショートステイといったサービスの量を単に拡充するだけではなくて、利用者の立場に立って、二十四時間型のホームヘルプサービスや一日二食の給食サービスといったきめの細かい事業を実施していくことが必要であろうと考えてございます。
また、特別養護老人ホームにつきましては、本県においては県民の強いご要望におこたえして着実な整備を進めておりまして、平成五年度における高齢者人口当たりの整備率は全国で十二位、近畿圏では一位となっており、さらに平成十一年度までの目標をおおむね達成する状況にございます。しかし、本年四月現在での入居希望者が依然七百名以上あるという事実も認識をしておりまして、今後の整備方針につきましては、本年十月に県議会において内閣総理大臣等に提出された「特別養護老人ホームの整備拡充に関する意見書」の趣旨を尊重しながら検討していきたいと考えております。
次に、子供の健康の保持増進を図るために、県としては従来から各種保健サービスの充実、医療施設の整備に努めてきたところでございますが、来るべき少子・高齢化社会における県勢発展を考えてまいりますときに、次代を担う子供たちが健康に生まれ、幸せに生きていける環境づくりは、より一層重要な課題であろうと考えております。このために、母子保健医療施策全般の充実に向けて、全国の状況や専門家の皆様方のご意見を参考にしながら、健診等母子保健施策の見直し、こども病院の建設、県立医科大学の充実など、本県にふさわしい医療体制のあり方について早急に調査研究を進めてまいりたいと考えております。
次に、急速な高齢化、増大する介護需要に対しまして、優秀な専門技術と知識を備えた介護サービスを提供する必要がございます。このため、県といたしましては、現に施設等において介護に従事している職員を対象に講習会等を行い、資格取得の促進に努めておるところでございます。
また、平成八年四月に県立医科大学看護短期大学部を開設して一学年八十人規模の看護職員の養成をいたしますとともに、さらに同年四月には、和歌山市内において県が建設支援をしている民間の介護福祉士養成施設が一学年八十人規模で開設をされます。これらの施設の充実によりまして、より資質の高い人材の確保が図られるものと考えてございます。
今後、ご質問ございました医療・福祉・保健分野のマンパワーの養成計画について十分検討を進めていきたいと考えております。
次に、女性問題であります。
我が国の女性の地位向上は戦後の歴史とともに歩んできたと申せると思いますし、この五十年の間に法制度面での男女平等の確立は格段の進展が見られたと考えております。しかしながら、社会慣習や意識の中に固定的な性別役割意識が根強く残っていることや、また女性の社会参加する機会が十分確保されていないことなどが女性の能力発揮を阻んでいる状況にあることも事実であろうと思います。
人間の能力は男女の区別によって規定されるべきものではなく、男女がともに個性と能力を生かしてこそ調和のとれた社会が形成できるものであるということを基本理念といたしまして、審議会等への女性の参画促進、また意識啓発等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、女性の地位向上のためにも、女性職員の県幹部登用については、適材適所を基本にこれまで以上に積極的に行っていきたいと思いますが、このためには、まず職場研修などを通じて職員の意識改革を行いますとともに、役付職員にすることによって能力開発を行い、さらに管理職としての訓練を行いながら、女性職員を順次県幹部として登用していきたいと考えております。
最後に、フォレストシティ計画についてであります。
私は、和歌山県をすぐれたリゾート地として整備し、リゾート産業を県の基幹産業に育てていかなければならないと考えております。そのために、農山漁村の豊かな地域資源を生かしながら自然や文化と触れ合えるふるさとリゾートの実現に努めたいと考えておりますが、さらに海岸域を中心に、民間活力の導入を基本とした燦黒潮リゾート構想の推進についても努めてまいりたいと考えております。
燦黒潮リゾート構想は、平成二年に国土庁を初めとする関係六省庁により承認されたものでございますが、この構想の中で、紀泉地域は関西国際空港に近く、緑豊かな都市近郊型リゾート地として整備することとしておりまして、フォレストシティ計画はその中の一部でございます。
燦黒潮リゾート構想は、おおむね十年間を目標とした構想でありますので、今後とも長期的な視点に立って推進を図ってまいりたいと考えております。
以上であります。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長鈴木英明君。
〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 保健所の充実強化についてお答えいたします。
まず、保健所の設定についての基本的な考え方でございます。
国の地域保健対策の推進に関する基本的な指針によりますと、保健・医療・福祉の有機的な連携を図るため、保健所の規模拡大及び機能強化を図ることが求められております。その所管区域につきましては、二次医療圏または老人保健福祉圏とおおむね一致した区域とすることとされております。
次に、保健所の充実及び保健所の見直しと住民の意見聴取についてでございます。
地域保健の見直しに係る関係諸法の改正に伴い、母子保健の三歳児健診等の住民に身近な保健サービスは、平成九年度から市町村に移譲されることとなります。これに伴って市町村が実施するサービスにつきましては、市町村の求めに応じて専門的な立場から援助に努めるなど、保健所が果たす役割も変化してまいります。
このため、本年十一月に設置した、県内の関係団体や市町村の代表及び学識経験者等で構成する和歌山県地域保健対策会議において、地域保健の広域的、専門的かつ技術的拠点としての保健所の所管区域や機能強化方策等についてご審議をいただき、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
なお、県といたしましては、県立保健所職員の専門性を高めるとともに、市町村の地域保健業務に従事する関係職員の研修や小規模町村の保健婦等の人材確保のための支援を行い、市町村に移譲された保健業務も含め、市町村保健センター等との連携を図りながら、全体として保健サービスの低下を招くことがないよう十分配慮してまいりたいと考えております。
次に、入院給食費補助についてでございます。
入院時の食費負担につきましては、入院されている方と在宅で療養されている方との均衡を図り、今後予想される高齢化社会に向けての各種施策を推進するため健康保険法が改正され、昨年十月から実施されたところでございます。
本改正に伴い、入院時の食事の費用については従来の療養の給付から切り離され、入院時食事療養費という別個の給付制度となりました。この改正の趣旨を踏まえて、県の補助要綱においても入院時食事療養費の自己負担額は対象外としております。
なお、入院時食事療養費の自己負担額を助成している市及び町におきましては、独自に新たな条例等を制定して実施しているところでございます。
以上です。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
36番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、答弁をいただきました。
フォレストシティ問題については、仮谷前知事とほとんど変わらないという態度ですね。それはあなたの方針ですからそうなんでしょうが、ただ、知事は許可権者でもあるわけです。今まで和興開発株式会社が計画したフォレストシティ計画はさまざまな問題を抱えていて、先ほども申し上げたように今なおいろんな問題が噴出している状況の中で、幾ら紀陽銀行がバックについているからといえ、資金力にせよ、信用度の問題にせよ、本当に和興開発株式会社という一企業にゆだねていいのかどうかというところに来ていると私たちは思っているんです。今、そういう判断が知事に求められている時期であろう、そして、こういう企業に和歌山の将来を託していいのかどうか、大きな問題として考えていただかなければいけないと思っています。
今、慎重に審査をやっていただいていると思いますけれども、しかしちまたでは、さまざまな問題が噴出し始めてくるだろうと言われています。そういう中でもあえてこれを固持されるのは大変な危険を冒すことになりはしないかと、私たちは大変危惧をいたしております。これは答弁を求めませんけれども、そういう問題を十分把握されて検討していっていただきたいとお願いをしておきます。
それから、入院給食費の問題や保健所の問題等については非常に細かい問題でありますので、ここで論議をするわけにはいかないと思います。本会議では問題提起だけにしておきますが、細かな問題については常任委員会等で論議をしていきたいと思います。
それから、女性の幹部登用の問題です。私が平成元年に質問したときからすれば随分と頑張っていただいておると思うのですが、この議場には、両わきをずうっと見ても女性はだれもいません。私は非常に寂しい。県政を進めていく上で、とりわけ女性の政策問題を進めていく上では、女性の幹部がその論議の中に加わって意見を思う存分言えるようにしていただきたい。女性の地位向上、女性の持つ悩み、また今何が必要なのかということを日常の行政の中で反映させていただくには、女性の幹部登用がどうしても必要です。そういう点では、知事も女性に対する見方が随分積極的だなというふうに私たちは思っているんですが、ぜひ今後、幹部登用を急いでほしいと思います。そして、役付の人は随分とふえてきておりますけれども、女性だから民生や衛生のところでいいんだというような感覚はもうやめてほしい。あらゆるところで女性の能力を発揮していただくためにも、この県の機構の中で各課にわたって女性の幹部を育てていただきたいということをお願いしておきます。
こども病院の問題ですが、日本一の保健医療体制ですから、これはどうしても必要な部分だと思うんです。研究をして、早い時期に結論を出したいというお話だったと思うんですが、一生懸命研究したけれども医大などの中核病院で事が足りるというようなところにとどまってほしくないと思います。他府県から引っ越してこられた方々は、痛切にそれを思っていらっしゃるようです。そういう点からも、子供たちが病気になったときには安心して受け入れてもらえる子供専門病院をつくるという立場は一歩も後退しないでいただきたいとお願いをしておきます。
以上です。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
18番井谷 勲君。
〔井谷 勲君、登壇〕(拍手)
○井谷 勲君 皆さん、おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
歴史と伝統ある和歌山県議会において初めて一般質問の機会を得ましたことを心から厚く御礼申し上げるとともに、今後とも先輩議員、同僚議員を初め皆様のご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願いする次第でございます。
既にご承知のとおり、十一月三十日の日経新聞によりますと、去る十一月二十九日、国では、首相の諮問機関である経済審議会が一九九五年度から二〇〇〇年度の中期を目指した新しい経済計画として「構造改革のための経済社会計画──活力ある経済・安心できるくらし」を村山首相に答申し、バブル崩壊後の経済の低迷を克服して活力を取り戻すには、規制緩和を進め、企業や生活者が自己責任で自由に活動できる経済社会への改革が急務であると強調しております。
その計画の骨子は六項目で、「経済社会構造の抜本的改革に伴う痛みは、企業、消費者、国が応分の負担をすべきだ」、「経済的規制は原則自由・例外規制とし、社会的規制は必要最小限にとどめる」、「高コスト構造の是正はエネルギー、物流など十分野で数値目標を含めた行動計画を作成する」、「住宅は平均床面積百平方メートル、建築費の三分の一軽減を目指す」、「成長分野の七業種で二〇〇〇年までに四百二十一万人の新規雇用を創出できる見通し」、「九六年度以降の実質成長率は年平均三%、二〇〇〇年度の完全失業率は二・七五%の見通し。構造改革に失敗すれば、成長率は一・七五%に」と、厳しいものになっております。これを受けて政府は、十二月一日、新計画を閣議決定し、中期的な経済運営の基本方針とするとしております。
一方、県におきましては、過日、県行政改革推進委員会──会長は前和歌山大学学長の小野朝男──における審議内容とこれまでの検討結果を踏まえ、今後おおむね三年をめどに実施する行政改革の基本的な考え方を和歌山県の「行政改革大綱」として発表されました。
今回の行政改革は、地方分権の時代を迎え、地方の果たすべき役割がますます重要となっており、全国に先んじて進行する高齢化、過疎化への対策を初め、若者を中心とした県民意識の多様化、産業構造の変化などに対応した簡素で効率的な行政の確立を目指したものであり、その重点項目は以下の六項目であります。事務事業の見直し、組織機構の見直し、定員管理及び給与の適正化推進、職員の能力開発と創造性あふれる職場づくり、行政の情報化の推進など行政サービスの向上、会館等公共施設の設置及び管理運営であります。
二十一世紀を間近に迎え、新たな国際秩序の模索や経済のボーダーレス化──いわゆる国境なしです──地球環境問題の顕在化に加え、国内的には産業の空洞化や出生率の低下など、社会経済構造が大きな転換期にあるとき、和歌山県に西口新知事が誕生したのでございます。
厳しく、そして不確実性の時代の中にあって生活を重視し、個性を重んじる、真に豊かさを実感できる生活者重視の社会が求められる今日、県民のための県政を標榜し、開かれた県政、開かれた県庁を三S(スピード・シャープ・サービス)で推進されようとしている西口知事に大きな期待を持つとともに、二十一世紀を和歌山の時代にすべく、強いリーダーシップを遺憾なく発揮していただきたいものと思うのでございます。
前置きが長くなりましたが、これより四点ばかり質問させていただきます。
第一点は、府県間道路の整備についてであります。
今までずっと「関西は京阪神の三極」と言われてきましたが、関西国際空港の開港と世界リゾート博の成功の結果、西口知事の提唱される「関西は京阪神和の四極」構想も実現性を帯びた話となってまいりました。私も、ぜひそうなってほしいものと熱望する一人であります。そのためには、西口知事が知事選で公約された和歌山百万都市圏計画が必要不可欠であります。和歌山県が関西圏の重要な一翼として発展するには、関西国際空港を近くに持つという利点を生かして魅力的な都市圏を建設する必要があります。そのためには、和歌山市から橋本市に至る紀北地域を緑で結ばれた一つの都市圏としてとらえ、大阪湾岸における一大拠点として都市改造を進め、この地を関西の新たな核となる百万都市圏に発展させ、二十一世紀に対応したすぐれた居住圏として位置づけることはもちろん、都市型リゾート産業の拠点をつくる必要があると思います。
紀の川流域の百万都市圏を形成するためには、京奈和自動車道を早期に完成させ、和歌山市と橋本市間の交通機能を強化することが必要であると考えております。また、この地域のより一層の活性化を図るためには、和歌山市、橋本市を経て京都市、大阪市、神戸市を環状に結ぶ関西大環状道路の形成や紀淡連絡道路を含む太平洋新国土軸の早期事業化がぜひとも必要であります。その上、大阪と和歌山の時間距離をいかに短縮するかが必要であると、紀北方面の住民はもちろんのこと、県民の大多数の人が考えており、その核となる府県間道路の整備が急務であります。
県当局においては、昭和六十二年に締結された紀の川利水に関する協定等を踏まえ、阪和開発連絡協議会等の場で両府県が協力して府県間道路の整備に努めておられますが、府県間道路の進捗状況について土木部長にお尋ねいたします。
一、県道泉佐野岩出線の根来バイパスについては、急ピッチで工事が進められ、近く完成するように聞いておりますが、その時期と根来工区以南、和歌山バイパスまでの区間の進捗状況並びに今後の見通しをお聞かせ願いたい。また、未着手となっている根来から府県境までの区間における事業化の時期並びに今後の見通しについて、あわせてお願いいたします。
二、県道泉佐野打田線については、和歌山県側は一次改良がほとんど完成しており、残っていた府県境部の一部も工事が進んでおりますが、特に犬鳴山付近の大阪府側の進捗状況をお聞かせ願いたい。
三、平成五年度に国道昇格された国道四百八十号については、平道路が既に事業化されておりますが、今後の進め方及び大阪府の状況についてお伺いしたい。
最後に国道三百七十一号の橋本バイパスについて質問を予定しておりましたが、昨日、地元先輩である向井議員が質問され、知事及び土木部長より前向きな答弁をいただきましたので、事業の促進要望にとどめておきます。
第二点として、紀の川流域の農業についてお尋ねいたします。
戦前・戦後の農業の動きを直接肌で感じてきた私には、人一倍、農業に対する情念とも言うべき熱い思い入れがあります。昭和五十年に農協組合長に就任して以来、これまで二十年間農業の現場で農家とともに汗を流し、知恵を絞りながら地域農業の振興に懸命に取り組んでまいりました。この間、農業を取り巻く新しい波は、地域を越え、県を越え、そして国を越え、大きく国際化の波となって怒濤のように押し寄せてまいっております。それは、昭和六十一年のグレープフルーツジュースを初め、平成三年の生鮮オレンジ、平成四年の果汁の自由化であり、先般のガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意に見られる米の部分開放や農林水産物の関税引き下げであり、さらには地域環境問題などであります。
一方、私の住む紀の川流域に目を移しますと、より一層現実的な波を見ることができるのであります。都市化の進展などに伴い、農家数は昭和五十年の三万三十一戸から平成七年には二万一千百八十五戸へと二九%減少し、また農地を見ますと、昭和五十年の二万三千四百五十ヘクタールから平成五年には一万九千三百三ヘクタールへと一八%減少しております。さらに、いずこも同じように若い後継者が不足し、あるいは基盤整備の立ちおくれが見られるなど、その環境には厳しいものがございます。
しかし、悲観したものでもございません。農業を取り巻く厳しい環境下にあって紀の川流域の農業には力強さがあり、これまで時代とともに歩みながらその質を変え、しぶとく生き残り、そして今日、品目によっては全国有数の産地を形成するに至っております。例えば、意欲ある後継者を中心に、カーネーションやバラの産地形成、またミカン園地再編対策事業を契機としたミカン、ハッサクから桃、柿の落葉果樹への一大転換、加えてホウレンソウやミツバに代表される軟弱野菜など、施設園芸の導入などによって紀の川流域の農業生産は依然として維持されておるのであります。
このように、地の利を生かした農業生産が今日も営まれておりますことは、県当局初め市町村、農業団体、生産者が一つのスクラムのもとに結集したたまものであり、改めて関係者の努力に対し敬意を表するものであります。
しかしながら、二十一世紀の農業に思いをはせるとき、農業は今、戦後最大の大きな転換期を迎えていると言っても過言ではないのであります。農業に押し寄せる自由化の波とともに、農業構造の持つ内部崩壊の危機をいかに乗り越え、二十一世紀に希望の持てる農業をいかに構築していくかが問われているのであります。紀の川流域の農業もこの例外ではございません。これまで農業とかかわりを持ち、農業への思い入れが強い一人としてその責任を痛感するとともに、真に考え、アクティブに行動していく時期にあると認識しております。
そこで、農林水産部長にお尋ねいたします。二十一世紀に向かって紀の川流域の農業をどのように振興されようとしているのか、そのお考えをお示し願いたい。
三点目でございますが、農業振興に関連し、近畿大学における農業関係専門学科の設置についてであります。
和歌山県は果樹王国と言われますように、非常に農業の盛んな県であります。例えば平成四年度の統計でありますが、果実の粗生産額は千五十五億円で全国一位、また十アール当たり生産農業所得で全国平均の二倍の十九万円のほか、専業農家率についても二〇%を超え、他府県に比べて高いものとなっております。しかし、地域の実情を見ますと、高齢化が進む中で農業生産の担い手が不足してきております。加えて、本県特有の急傾斜地に広がる果樹園という厳しい現状がございます。また、輸入農産物が増加する中で、安全やおいしさを求める消費者ニーズに対応した農業生産が求められています。こうした課題の中で、本県農業の将来にとって、地域の核となる若い担い手を確保していくことが発展の最大のかぎを握っていると言っても過言ではありません。
そこで私は、高度な農業技術を開発する高等教育機関がこの和歌山にできないものか、そして現在ある県の研究試験機関と共同で本県農業の生産性、収益性の向上につながる研究や技術開発ができないものかと考えるわけです。研究成果や開発される技術が農家経営に反映され、農業が魅力あるものになってこそ農業後継者が育っていくかと思うからです。
幸い、那賀郡に近畿大学が開学しております。平成九年四月には現在の生物理工学部に二学科が増設され、さらに農学部に水産関連二学科が設置されるなど、子供数の減少により学科増設が難しい中、大学側も和歌山キャンパスの充実には非常に力を注いでいるように聞き及んでおります。これはこれとしてぜひとも実現していただきたいのですが、今後の課題として、将来、和歌山キャンパスに果樹や野菜、花卉等の園芸学科など農業関係の専門学科を設置していただくよう大学側に要請していってほしいものと考えるわけでございます。企画部長のお考えをお聞きしたいと思います。
四点目、下水道問題でございます。
那賀郡は、今、県都和歌山市に隣接しているという立地条件もあって、ベッドタウン化が進んでおります。さらにまた、関西新空港の開港のインパクトを受けて幹線道路網の整備が進み、大阪都心部から一時間以内の通勤圏に位置しております。このため大阪からの転入者も多いと聞いており、人口増加には目をみはるものがあります。まさに那賀郡は関西の人口集中地の一つに入ろうとしていると言っても過言ではありません。
こうした都市化の進展に伴い、生活排水等の汚水が増大し、さらにまた産業排水等の汚水と相まって、河川など公共用水域の水質汚濁が進んでいることも否めない事実であります。このため、下水道の整備は急務の課題であります。しかしながら、流域下水道事業は長期間にわたる事業であり、また終末処理場を含む広い用地を必要とするだけに、地元の理解と協力が何よりも事業のかなめとなることは申すまでもございません。
このような状況の中で県は、紀の川上流部の紀の川流域下水道伊都処理区については、関連する一市三町や関係機関と連携を密にし、早期供用開始を目指して意欲的に努力しておられると伺っておりますが、紀の川中流部の那賀郡六町を対象とした紀の川第二流域下水道那賀処理区の事業着手時期、関係六町の取り組みなどについて、現在の進捗状況を土木部長にお伺いいたします。
以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの井谷勲君の質問に対する当局の答弁を求めます。
土木部長山根一男君。
〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 井谷議員にお答えいたします。
まず、府県間道路の整備に関するご質問の三点についてでございます。
第一点目の県道泉佐野岩出線の道路整備につきましては、重点事業として取り組んでいるところでありまして、大阪府県境までの六・五キロメートルを四工区に分割して促進を図っております。
粉河加太線より北側の一・二キロメートルは、根来バイパスとして平成八年度供用の予定としております。また、粉河加太線より南側、和歌山バイパスまでを、森工区の一・四キロメートル、備前工区の〇・八キロメートルについて、それぞれ用地買収を進めております。この両工区の用地買収の進捗率は、面積で約五〇%となっております。また、未着手となっている府県境までの押川工区三・一キロメートルにつきましては、現在公図訂正の作業を行っており、平成八年度より事業着手できますよう、国に対し要望しております。
今後とも、これらの工区について、大阪府とも連携しつつ、早期整備に向けて鋭意努力していきたいと考えております。
二点目の泉佐野打田線につきましては、和歌山県側はおおむね一次改良済みとなっておりますが、現在、府県境付近の線形不良区間の整備を大阪府とともに行っているところであります。また大阪府では、この工区のほか、大木一工区の六百メートル、野田工区の一キロメートルで整備を行っておりますが、これらの工区のうち約八百メートルは既に供用済みとなっております。残る区間は地籍が混乱しておりまして、現在も鋭意公図訂正の作業を進めており、終了した箇所から順次用地買収を行っているところでございます。
今後とも、大阪府に対し、早期整備ができますよう働きかけてまいります。
三点目の国道四百八十号につきましては、平道路を平成六年度に事業化いたしまして、現在、用地測量及び土質調査を実施するとともに、一部用地買収にも着手することとしております。大阪府側につきましても、路線測量、詳細設計を実施し、さらに平成七年度から用地買収に着手することとしております。また、府県境から国道百七十号までの区間を公共事業として平成八年度に新規採択されますよう、国に要望中であると聞いております。
今後とも、府県間道路は重要でございますので、大阪府とも相協力しながら早期整備に全力を尽くしてまいります。
次に、紀の川第二流域下水道那賀処理区の進捗状況についてでございます。
下水道整備は、その整備を急務として積極的に進めているところでございます。那賀郡六町を対象とした紀の川第二流域下水道那賀処理区につきましては、関係六町で推進協議会を設置していただいておりまして、これを通じて協議調整を進めているところでございます。基本計画の策定をほぼ終了し、現在、終末処理場、ポンプ場の位置等について関係町と検討を行っているところであります。
今後、終末処理場、ポンプ場の計画を固めますとともに、地元との連携が必要でございますので、地元調整等を十分に行い、都市計画決定等の法手続を進め、早期に事業着手できるよう取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 紀の川流域の農業振興についてお答えいたします。
二十一世紀を控え、オレンジの輸入自由化やウルグアイ・ラウンド農業合意に見られる国際化の進展、また担い手の問題など、農業は非常に重要な時期を迎えていると認識しております。
こうした中で、国におきましては、二十一世紀に向けた新しい農政の方向として新政策が打ち出され、土地利用型を中心とした農政が展開されつつございます。県におきましても、将来に向けて力強い農業を切り開いていくため、地域の農業者や学識経験者の方々のご意見もいただきながら、二〇一〇年を目標に人と基盤の整備に重点を置き、本県の独自性を生かした二十一世紀農業振興計画を本年五月に策定したところでございます。この中で、県内を四地域に区分した地域別の生産振興方向を示し、紀の川流域におきましては、大都市圏に近いという特性を生かした、野菜、花の施設園芸などによる都市近郊型農業の推進、桃や柿を主体とした落葉果樹産地の育成などを図ってまいることとしてございます。また、農業生産の核となる中核農家の経営モデルとして、農業所得一千万円、労働時間千八百時間の実現を目指した、水耕トマトによる野菜経営や桃とバラの複合経営などを示してございます。
これらの実現を図るため、農道や園地改良などの生産基盤の整備、農家の近代的な資本装備を進めるとともに、さらにウルグアイ・ラウンド国内対策を有効に取り入れながら紀の川流域の農業振興に努めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 井谷議員にお答え申し上げます。
議員お話しのように、今回、近畿大学当局のご理解により、水産関連二学科を設置していただくことになっております。奈良市にある近畿大学農学部は平成元年に移転整備されたばかりでありますので、さらに本県に農業関係の学科を設置していただくことは近々には難しい状況ではなかろうかと考えますが、本県農業の振興のためには高等教育・研究機関との連携が必要と認識しておりますので、既存の施設における研究機能の拡充といったことを含めて、議員ご提案の趣旨は大学側に伝えてまいりたいと存じます。
なお、今回のキャンパス拡充では遺伝子工学科の設置が予定されておりますので、農業関係の研究も行っていただけるものと期待しております。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 再質問がございませんので、以上で井谷勲君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時三十分休憩
─────────────────────
午後一時四分再開
○議長(橋本 進君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
4番吉井和視君。
〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 平成七年度の最後の議会を務めさせていただくこと、心から感謝を申し上げます。
私、今度で八回目の登壇になるわけですけれども、今まで前の仮谷知事に対して質問をさせていただいた内容にも少し、再度質問させていただくことをご了解願いたいと思います。知事がかわれば当然、知事として、政治家としての政治使命といったものも変わってくるだろうということで、改めて質問をさせていただく内容もございます。
そこで、地方分権についてまず最初に質問をさせていただきます。
「輝けわかやま」、「信頼と変革の県政」をスローガンに初当選された西口新知事は、仮谷五期県政をバトンタッチし、戦後四人目の知事になられたことを心から祝福させていただきます。西口知事は、かつての三人の知事が経験されたことのない、地方自治の大変革の時代の知事であろうと思います。さきの所信表明の中でも、「和歌山県はある意味では極めて重要な時期にあると私は認識をいたしております」と述べられました。また、「和歌山の時代である」とも強調されました。
「地方の時代」という言葉が使われて大変久しくなりましたが、今まさにそのときであります。明治維新以来続いた東京一極集中の中央集権型行政システムが既に制度疲労を起こし、大変革が期待されている時代であります。大化の改新、建武の中興、明治維新に次ぐ歴史的な改革のときでもあります。そのときに新知事に就任された西口知事は、歴史的な使命と大きな責任があるわけであります。地方を豊かにし、よりよい町を築き、知事の言う、和歌山に住んでよかったということにするためには、地方分権が必要であります。
そこで、地方分権について質問をいたします。
平成五年六月の衆参両院で地方分権の推進に関する決議が採択されたことに始まり、昨年暮れに閣議決定、それから本年五月に地方分権推進法が制定され、そして分権推進委員会が発足いたしました。これにより、本格的に地方分権について推進されていき、二十一世紀の行政のあり方が検討されるという、歴史的な作業が開始されたわけであります。
私は、さきの六月議会におきまして、この地方分権推進法の制定により県が取り組むべき課題について何点か質問をさせていただきました。特に、分権の受け皿づくりを促進するための市町村の合併問題について、合併特例法の改正により、住民発議制の導入等、今までと違った環境になったこと、そして、住民の課題、また住民のニーズが多様化している現在、市町村の規模がこれでよいのかと質問をさせていただきました。
西口知事は、昨年、一年有余の間、県内をくまなく歩き、さまざまな問題について県民とじかに話されたと聞いております。高齢化社会の問題、過疎対策の問題、景気対策、地域住民が一番望んでおられる生活産業道路の問題等、さまざまな課題について熱い要望を受けたと思います。多くあり過ぎる要望を解決するためには限られた予算であり、効率のよい政策が必要であります。
そこで、必ず地方がよくなる、地方の暮らしがよくなる地方分権の推進を図り、今後の地方自治のあり方を検討すると同時に、市町村の一体的な整備、市町村の行財政基盤の確立強化を図るためにも、市町村の合併を進めることが一つの有効な方策であると思います。県下全域を歩かれた西口知事に、再度、今後の市町村の将来像についてご所見をお伺いいたします。
今回の地方分権推進は、明治維新、そしてまた戦後の改革に次ぐ大きな行政改革のときであります。特に、県民福祉の中でも、本県の高齢化対策については深刻なものがございます。この高齢化社会に対応するためには、中央集権型行政システムを改革しなければなりません。県の迅速な推進体制を期待するものであります。
そこで、県はこのたび、県行政改革推進委員会の審議を踏まえ、県行政改革大綱を発表されました。県の地方分権時代に果たすべき役割を整理したもので、簡素で効率的な行政の実現のため取り組むべき視点を何点か明らかにしたものでありますが、これに対する知事の決意のほどをお伺いいたします。
そして、地方分権推進の上で今後大切なことは、県民を巻き込んだ体制でなければ主体的な改革は困難であり、分権に向けて県民の盛り上がりが重要であるということであります。この点について、県のお取り組みをお伺いいたします。
また最後に、市町村との連携についても大変重要なポイントであります。その上で国に対して交渉を続けていかなければならないということでありますので、今後どのような計画で取り組むのかをお伺いいたします。
次に、知事の兼職についてお伺いをさせていただきます。これは、知事はいろんな団体の長を兼ねておられるということでの質問でございます。
高齢化社会への対応等、近年のさまざまな社会の変化、時代の変革にすぐ対応していただくために登場された西口知事であります。県政の大きな変革と、従来と違った県政へのリーダーシップを、県民は期待しております。
そこで、今まで声があっても余り論議がされなかった、余り問題とされなかったことについてでありますが、知事の団体等の兼職についてお尋ねしたいと思います。
知事の職務は大変な激務であるにもかかわらず、さまざまな職務を兼職されております。西口知事には、かつてない、時代が要請する大事業に着手していただかねばならない大変な時期であると思います。また、知事として兼職しない方がよいと判断されるものがあるかもしれませんので、一度全般的に見直し・検討をお願いしたいと思います。
続きまして、同和対策についてお伺いをさせていただきます。
これは、吉備町が行っている同和対策事業・ドーン計画の完了についての質問でございます。
昭和四十五年三月二十八日、この議場におきまして、吉備町からのドーン計画の請願を満場一致をもって採択していただきました。あれから二十五年、ことしの十一月十八日、吉備町民合意のもとに吉備町ドーン計画完結町民集会が開催されました。
そのドーン計画とは、吉備町から部落差別を完全になくするため、すべての町民の合意により計画・実施した同和対策事業であります。差別は部落の中の実態にある、差別は差別者の心の中のみを責めるだけの単純なものではない、この部落差別の中から差別に値する源を消去させ、「差別者のいない吉備町」ではなく「差別される部落民の存在しない吉備町」をつくらなければならないという、みずからも努力して差別されないよう頑張り、一日も早く完全解決をかち取りたいという地区住民の強い意志による出発でありました。
差別される者に責任がないというのは当然の理であり、差別は政治の責任であるというのが近代民主的理論であり、昭和四十年の同和対策審議会答申の崇高な精神でもあります。長い間、差別の中にあった地区住民としては、もう長い期間待てない、一日も早く差別から解放されたいと願う余り、従来になかったドーン計画の発想となったものであります。
今、地区は大きく変わりました。環境、生活、経済力、差別される実態が大きく解消されてまいりました。地区住民の切なる願いであったドーン計画の目指した「差別される部落民の存在しない吉備町」が、ここに実現しようといたしております。
二十五年の間、深い認識と理解のもとに吉備町の最優先課題として取り組んでいただいた町民に感謝しなければならないと同時に、昭和四十五年にこの県議会において吉備町ドーン計画の請願を採択していただき、国会請願に向けて国に対して要望していただいた当時の下西岩吉議長を初め、県議会の皆様に深く感謝を申し上げます。そのことの感謝と喜びが、このドーン計画完結集会であると確信いたしております。
この吉備町のドーン計画の完結に伴う町における単独事業の廃止は、吉備町民合意による自立宣言であります。もうほとんどの吉備町民の頭の中には、同和地区は存在いたしません。私は、そのことをこの議場から県下に、そしてまた日本国じゅうに宣言したい気持ちであります。
そこで、知事にお伺いいたします。この吉備町のドーン計画完結は和歌山県における同和行政の指針となるべきだと考えますが、今後の同和対策を含め、知事のご所見をお伺いいたします。
また、県下の同和対策の実態と今後の取り組みについて、部長よりお願いをいたします。
そして、同和問題の最後になりますけれども、十一月十八日にドーン計画完結町民集会が行われたときに配布されたパンフレットでありますが、この最後に「いま何故完結か」という町民からの言葉がありますので、それを少し読ませていただきます。
「『一日も早く同和問題の解決を』というのが住民の願いである。 今日完結の集会を開かせたのは、ひたむきにこの日を待ち望んできた住民の力である。 今回、『同和行政の終結』という言葉を敢えて用いず、吉備町の固有の名称である『ドーン計画の完結』という表現をしたのは、意見の異なる人々との摩擦を避けたいと思うからである。 地区の人々は個人施策から脱却する決意をした。ドーン計画が目的とした『差別される部落民の存在しない吉備町』が実現しようとしている。この機会を逸してはならない。住民を励まし、町民へ呼びかけ、差別のない吉備町をつくろう、それが今日の町民集会である」。
「策定以来、アッという間に四半世紀が過ぎた。今更のごとく時の経過の速さを感じる。未だこの事業が軌道に乗らず、先行き不透明な時期にいつも暖かく導いて下さった忘れることのできない諸先生方。 『全国の同和問題の解決は吉備町から──・』と起工式であいさつされた大橋正雄和歌山県知事。幾度も来町され住民を励まされた秋田大助自治大臣。 さらにドーンのネーミングにヒントを与えて下さった衆議院議員正示啓二郎先生。国会内閣委員会でこの請願採択に尽くされた衆議院議員辻原弘市先生。持家融資制度創設に奔走された参議院議員(当時)玉置和郎先生。 本日ここにドーン計画が所期の目的を達成し成功裡に完結の日を迎えたことをご報告し、深く感謝の意を表します。 また政府や県ご当局のみなさま方に長い間にわたってご指導賜りましたことにあらためてお礼申し上げ結びにかえます」。
最後になりますけれども、高速道路の紀南延長について質問をさせていただきます。
近畿自動車道湯浅・御坊間が、来年四月までに開通する予定であると聞いております。御坊以南は高速道路として四車線で事業化することになっております。そうすると、大阪から海南まで高速四車線で、海南・御坊間が高速でない二車線道路、御坊からまた四車線ということになると、海南・御坊間がネックとなり、非常に通行しにくい、連続性のない、一体性のない自動車道となるわけであります。観光立県・和歌山県の大切なエリアである紀南に快適な気分で安心して他府県から来県していただくためには、どうしても連続性のある道路でなければならないと考えます。
海南湯浅道路は昭和五十九年に開通してもう十年以上になり、通勤道路として通行が多くなり、土曜、日曜は渋停滞が余儀なくされております。近く国土開発幹線道路建設審議会が開かれるようでありますので、海南・御坊間の四車線高速道路化を国に対して積極的に働きかけるようお願いいたします。紀南への高速道路延長における県の意気込みと今後の取り組みをお聞かせください。
次に、内陸道路で、国道四百二十四号の改修についてお伺いします。
内陸縦貫道路としての国道四百二十四号の存在価値は、重要欠くことのできないものとなってきております。白馬トンネルの開通により新宮・和歌山間が三時間で通行できるようになり、その利用者は大変多くなってきております。以前にも本会議で取り上げましたが、金屋町から海南市間の現状は、非常に狭く、大型トラックが通行困難な道路でありますゆえに、地域住民としては多年の悲願としてトンネル化を望んでいるところであります。県においてもこのことについて、ずっと以前から国に対して要望を続けていただいていると思いますが、重点事項として取り上げていただきますようお願いいたします。国道四百二十四号の今後の改修計画をお伺いいたします。
以上で、質問を終わらせていただきます。
○議長(橋本 進君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 吉井議員にお答えをいたします。
地方分権全般にわたってのご質問でありますが、まず市町村の将来像についてであります。
議員ご指摘のように、本年四月、市町村の合併の特例に関する法律が改正されまして、市町村の自主的合併のための制度が拡充、延長されたところでございます。
地方分権の推進という時代の大きな流れの中で、住民に身近な地方公共団体である市町村がその行財政能力を強化していくということは、大変重要な課題であります。私といたしましても、このような意味で、市町村の自主的な合併は地方分権推進のための一つの有効な方策であると考えております。
しかしながら、合併という問題につきましては、個々の市町村の住民が自主的に判断していくことが重要でございまして、県といたしましては、このような状況を見守りながら積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、先日公表されました新行政改革大綱につきましては、地方分権の時代にふさわしい行政体制の整備を基本的視点といたしまして、自主的・自立的な県政の実現を目指すものでございます。地方分権を実のあるものにするためには、権限の移譲、権限に伴う財源、そしてこれを担う人材が必要と考えております。このうち、権限の移譲、財源の確保については、全国知事会等を通じて国に強力に働きかけを行ってきたところでございまして、また人材については、先日来申し上げておりますように、職員一人一人の意識改革に努めまして、地方分権を担うにふさわしい人材づくりに努めてまいりたいと思います。
現在、国の地方分権推進委員会が来年三月に中間報告を内閣総理大臣に提出するために活発な議論を行っているところでございまして、地方分権の推進に向けて大変重要な時期を迎えておるわけでございます。
しかしながら、国民の地方分権への関心はいまひとつという状況でございます。議員ご指摘のとおり、地方分権の推進には世論の高まりが不可欠でございますので、本県でも地方分権の意義、地方分権に対応した行政運営のあり方等について議論を深めていただくために、県民に対する積極的な広報を行い、世論の喚起に努めてまいりたいと考えております。
また、地方分権の推進に当たりましては、県と市町村との連携の強化が必要でございます。住民に身近な行政は住民に身近なところで実施するという基本にのっとり、国に対しても必要な要望を行いますとともに、市町村ともども、地方分権にふさわしい行財政の体制づくりを進めてまいりたいと考えております。
次に、知事の兼職についてのお尋ねであります。
県行政と連携しながら事業を進める必要のある団体については、これまでも運営の円滑化等の観点から知事が代表者の職に就任してきたところでございますけれども、私といたしましても、この際、兼職が本当に必要かどうか、改めて十分検討していきたいと思っております。
次に、同和対策であります。
同和対策事業特別措置法が施行されて間もない昭和四十五年三月に、全国的にも注目されたいわゆる吉備町ドーン計画請願書がこの議場において満場一致で可決されましたことは、今お話しのとおりであります。国におきましては、これを契機に、特別措置法の対象でなかった小集落地区改良事業を初めとする諸施策が整備され、自来、四半世紀が経過いたしたわけであります。この間、関係者の不断のご努力と指導者の積極的なご指導のもとに、物的事業や非物的事業が順調に推移をいたしまして、格段の改善がなされました。その結果、町単独事業を順次廃止することの住民合意を得まして、今回の町民集会が開催されたものと受けとめてございます。
しかしながら、県下全体を見てみますと、なお物的、非物的の面において幾つかの課題のあることも事実でございます。私は、部落差別の存在する限り同和対策を続けていかなければならないことを基本としながら、差別のない社会を早急に実現するために積極的に取り組んでまいりたい、そのように強く考えてございます。
以上であります。
○議長(橋本 進君) 民生部長木村栄行君。
〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 吉井議員の質問にお答えいたします。
昭和四十年、同和対策審議会答申が出され、昭和四十四年の同和対策事業特別措置法施行以来、五度にわたる立法措置により、行政責務と国民的課題であるとの基本認識のもと、同和対策を積極的に推進してまいったところであります。その結果、住環境を初めとして相当の成果が見られ、明るい展望が開けつつあります。
その反面、一部の地域における住環境整備や中高年齢層を中心とした不安定就労、産業の振興、教育・啓発等の面において課題が残されていることも事実であります。
現行の地対財特法の期限が一年三カ月と迫った今日、これらの課題解決のため、より積極的に推進するとともに、昨年県が実施した同和地区実態調査の結果等を踏まえ、今後の同和対策のあり方をできるだけ早い時期に示してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 吉井議員にお答えいたします。
道路整備についてのご質問二点について、まず近畿自動車道の延長についてでございます。
ご指摘の海南から御坊までの間につきましては、将来的には四車線が必要であると考えているところでございます。また、近畿自動車道紀勢線の御坊から南部までの間は、四車線計画ではありますが、当面二車線の暫定供用の予定で進められておるところでございます。
海南湯浅道路につきましては、交通量の増加が著しく、また今後もさらにふえることが予想されますので、早期に四車線化が必要であると考えております。現在、国また関係市や町と協力して、来年中には四車線の都市計画決定をすべく、関係機関と協議を進めているところでございます。
なお、次期国幹審については来年中に開催される予定であると聞いておりまして、都市計画決定を行った上で整備計画に組み入れられるよう進めていきたいと考えているところでございます。今後、県としても、これらの区間を含めて、近畿自動車道紀勢線の南への延伸について努力してまいりたいと考えておるところでございます。
次に、国道四百二十四号につきましては、昨年五月の白馬トンネルの開通により、金屋町、吉備町を通り一般有料道路である海南湯浅道路に向かう車が大幅に増加しておりますので、これに対応するため、現在、修理川工区及び吉原工区で整備の促進を図っているところであります。また、ご指摘の金屋町・海南市間については、現在、金屋町側では金屋町内の最もネックとなっておる市街地を通過する部分のバイパスとして金屋工区、吉田工区で、また海南市側では上谷工区で整備を促進するとともに、西ケ峰地区、上谷地内等で待避所の設置や線形改良等の局部的な改良を行っているところであります。
なお、金屋町・海南市間は地すべり地等もあり、また地形的にも厳しい状況にありますので、将来的にはトンネル等の計画が必要になると考えております。当路線は現在事業中の箇所も多いので、今後の交通量の状況を勘案しながら整備方針の検討を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
4番吉井和視君。
○吉井和視君 少しだけ要望をさせていただきます。
地方分権の問題でありますけれども、地方分権は、総論については各政党それから国民世論賛成でありまして、各論になりますと多少違ってまいります。やっぱり、国民を巻き込んだそういう世論を高めていかなければ地方分権は成らないと思います。
地方分権をすると必ずよくなるということを前提に、よい町づくり──税金が効率よく使われることは間違いのない事実であります。そういうことで取り組んでいただくために、三重県ではたしか対策推進室を設置したように聞いております。本県でも一度、そのことについてご検討を願えたらと思います。
とにかく、連立政権のあだ花に終わらないように、みんなが努力していかなきゃならないと考えております。
もう一点、知事の兼職についてであります。
知事には大変失礼な質問でありましたけれども、知事が兼職しない方がその組織自体がいい方向に進む団体もあると思いますので、十分検討していただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上、要望にさせていただきます。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(橋本 進君) 次に、議題となった全案件のうち、議案第百六十八号平成六年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
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【日程第三 請願付託】
○議長(橋本 進君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
今期定例会の請願については、お手元に配付いたしております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(橋本 進君) 次に、お諮りいたします。十二月十八日、十九日は、各常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) ご異議なしと認めます。よって、十二月十八日、十九日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(橋本 進君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
職員から、これを申し上げます。
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総務委員会 第 一 委 員 会 室
厚生委員会 第 二 委 員 会 室
経済警察委員会 第 三 委 員 会 室
農林水産委員会 第 四 委 員 会 室
建設委員会 第 五 委 員 会 室
文教委員会 第 六 委 員 会 室
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○議長(橋本 進君) 次会は、十二月二十日再開いたします。
○議長(橋本 進君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後一時三十七分散会