平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成七年九月二十七日(水曜日)
     午前十時開議
 第一 議案第百四号から議案第百三十七号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第百四号から議案第百三十七号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十七人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川   武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 7 番 藁 科 義 清
 8 番 門   三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島   雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 長 坂 隆 司
 18 番 井 谷   勲
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗   正 彦
 24 番 橋 本   進
 25 番 谷   洋 一
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山   海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田   亘
 32 番 中 山   豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森   正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 44 番 中 村 裕 一
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(なし)
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 民生部長 木 村 栄 行
 保健環境部長 鈴 木 英 明
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
    岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代
  以下教育次長
 公安委員会委員 中 尾 公 彦
 警察本部長 青 山 幸 恭
  以下各部長
 人事委員会委員長
    若 林 弘 澄
  人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
    谷 口 庄 一
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣   孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 長 尾 照 雄
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木   衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田   繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第百四号から議案第百三十七号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第百四号から議案第百三十七号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 42番冨安民浩君。
 〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、私は、県勢浮揚に向けて、また大変複雑多岐にわたる今日の社会経済情勢の中での問題点について、いささか質問をさせていただきます。
 本県の置かれた地理的ハンディキャップの解消、すなわち高速交通体系の整備による半島性からの脱却は県勢浮上を目指す本県の悲願でもあり、それゆえ県政の最重点施策として、仮谷知事を先頭に県議会も、またあるときは県民も一丸となって取り組みを重ねてまいりました。その結果、高速道路は国土幹線軸への直結を見、紀南延伸も着々と進みつつあります。全体構想実現への運動の展開は残るとしても、関西国際空港の開港、また明春の南紀白浜空港の開港と、その解消に向けて着々と成果が実りつつあり、そうしたことが複合的に有効作用、相乗効果を生み出しての昨年のリゾート博の大成功、また本年の吉宗ブームと、今まさに本県にとってフォローの風が起こりつつあります。今、この風をより確かならしめるためには、道路は人、物を運び、産業、文化をも興すとするならば、その構想線上に本県が位置する太平洋新国土軸構想の実現化が求められるところであります。
 太平洋新国土軸構想は、今さら申し上げるまでもございませんが、既存の本土国土軸幹線道路に中央高速道と東海地域で直結し、奈良、和歌山、淡路、四国を経て九州でつなぐ幹線8の字ルートであり、かつて国連調査団のワイズマン氏が「日本の均衡がとれた国土形成上、不可欠」と提唱された構想であります。この構想の最大の難関は、和歌山・淡路島と豊予海峡問題であります。
 和歌山・淡路間、すなわち紀淡海峡については、知事の先鞭で昭和五十八年度より毎年一億円の予算を計上して日本鉄道建設公団が海底トンネル構想で調査を続けておりますが、既に十四年目を迎えた今日、実現に向けての調査報告なり調査の完了時期の目安すら明示がなされていませんし、建設省の連絡橋としての調査完了もこのままではいつになるやら、おおよそ見当すらつけがたいのが現状であると思います。折しも国の方では、首相の諮問機関である国土審議会──会長は元国土庁事務次官の下河辺氏でございます──において、平成九年度春の決定を目指し、目標年次を二〇一〇年としての国の開発計画を盛り込んだ第五次全国総合開発計画の策定作業中であります。
 ちなみに、全国総合開発計画とは、一九五〇年に制定された国土総合開発法に基づき、社会資本の整備、地域開発のあり方などをその時代時代の社会経済情勢の変化に応じ、七年あるいは十年置きに長期的、総合的に方向づける基本計画であります。その計画に、例えば国土の有効利用並びに均衡のとれた国土形成の観点から、「太平洋国土軸の実現に努めるべき」というような明文化をさせ、それをてことして猛運動を展開しない限り、まさににおいもし、音もすれど形は見えずの状況が続くと思いますが、企画部長のご所見をお伺いいたします。
 なお、この問題につきましては、昨日の同僚・上野議員の質問といささか重複した点もありましたことをご了承いただきたいと思います。
 次に、昨今の経済景気状況を取り巻く中での見通しと、それに基づいての本県の産業育成方針、施策についてお尋ねをいたします。
 我が国の経済は、いわゆるバブル崩壊後、著しい下落、停滞が続き、まさにその出口が見えないのが現状であると思います。各産業は一部の特殊分野を除いて軒並み厳しい状況下に置かれ、まさに生き残りをかけての厳しい闘いを強いられているのが現下の状況であると思います。
 もとをただせば、戦後、我が国の産業は、おおむね国民の勤勉性や終身雇用体制がもたらす労働集約型で、廉価でよい品物を製造し、他国に優位性を保ち、対外依存──まさに技術の対外依存と言っても過言ではないと思いますが、そうした形態で成長を重ねてきたわけであります。そうした産業育成方針と企業形態が対外諸国との貿易摩擦を生み、対外依存からいわゆる内需中心へそのシフト転換を迫られる結果となり、それがあの元日銀総裁の前川さんが発表された前川レポートでございます。
 企業は、対外依存分を内需へ切りかえたり合理化等の対策を実施してまいりましたが、貿易摩擦の解消には至らず、ついには為替の操作によってその解消を迫られ、また近年のNIES諸国等の物すごい追い上げにより国内企業が今あえいでいるというのが今日的状況であると思います。
 こうした状況を踏まえて、国はたび重なる財政金融政策を実施してまいりました。つい先般は、もうこれ以上引き下げられないという〇・五%まで公定歩合を引き下げました。まさにこれ以上の金融政策は今後望むべくもございません。
 また、今月末に再開される臨時国会には十四兆二千二百億円もの、本年度二度目の超大型補正予算が上程されます。その速やかなる成立と日本の経済に及ぼす大なる効果を期待するものでありますが、一説には、百兆円にも及ぶという金融機関の不良債権の処理が解決しないと景気に大きな影響力を持つ民需は期待できず、景気は回復しないと言われていますし、先ほど申し上げましたように、日本の今日的イミテーション産業形態は既にもう限界に来て、その構造転換が行われない限り景気は停滞の域を脱出できないとも言われています。
 金融機関の不良債権処理や産業の構造転換はそう簡単だとは思いませんし、時間を要す問題だと考えます。このような状況の中での商工労働部長のご所見と、今後の景気動向についてどう考えるか、忌憚のないご意見をお尋ねいたします。
 本県におきましても、国の景気政策に乗った取り組みや県独自の施策が実施されてまいりました。その効果のほどは認めるところでありますが、今日的状況を踏まえたとき、今まさにそのときどきで救済する政策とあわせて、少し長期的に、五年なり十年なりちょっと先を見た、今後芽を出す新技術産業や本県独自の特色ある産業を生み出す施策が求められているところであります。
 そこで、本年三月に作成された和歌山県産業活性化ビジョンを拝読しますと、本県産業振興の視点として独自産業の導入育成、人材の育成確保が柱として盛られておりますが、これはまさに時宜を得た施策であり、大いにその実現の促進を求めるものであります。その実現方法、また実現していく上での工業技術センター等の役割をどう考えておられるか、商工労働部長のご所見を賜りたいと存じます。
 次に、警察問題について若干質問なり要望を申し上げたいと思います。この問題は、国においては新進党が大蔵省あるいは自治省、警察庁に要求している問題でございます。
 近年、我が国は、バブル崩壊後の後遺症いまだいえずとは申せ、少なくとも経済一流国として内外ともに認めるところであり、その要因として国民の勤勉性、教育の徹底普及等が考えられますが、これも、もちろん警察官による治安維持活動が根底にあってのことであるのは、ひとしく認めるところであります。警察官による犯罪の抑止や摘発を通じての法秩序の維持は、住民の命や財産を守るのみにとどまらず、自由で濶達な経済活動を遂行していく上での絶対条件であります。しかるに、昨今のオウム真理教をめぐる無差別テロ的な残忍非道な諸事件、また多発する銃器を用いた事件、あるいは自由の履き違えによる自己中心的な、おおよそ見当もつきがたいような事件等、住民の安全を脅かし、法秩序を破壊する凶悪犯罪の多発により治安維持が揺らぎつつあるのが今日的状況であります。治安維持が揺らぐと社会は混乱を来しますし、また社会の混乱から犯罪が多発する傾向にあります。こうしたことを考え合わすとき、警察官に課せられた使命は極めて大きく、それゆえ警察官の職務遂行上考え得る万全の対策を講じることは何にも増して肝要であると思います。
 本県におきましても、平成元年の湯浅信用金庫事件、また平成五年の阪和銀行の事件等、警察官の徹底捜査活動にもかかわらずいまだ犯人の検挙を見ていない事件等があり、いま一度警察活動の基盤である警察官の大幅増員を含めての警察の治安活動体制の見直し、またその整備が必要と考えますが、就任早々の県警本部長の見解をお尋ねいたします。
 また、昨今の犯罪は銃器等による凶悪犯罪が多いが、そうした犯罪捜査に当たる警察官の安全を確保する機材や、あるいはオウム事件に見られるような、おおよそ通常人が想像できない化学的物質を用いた事件の発生に対応し得る機材等の整備状況について説明を求めます。また、整備がなされているとしても、その整備状況が十分かどうか、答弁を求めます。
 なお、県警本部長の答弁を受けての総務部長の所見、並びに予算的措置をどう取り扱うか、答弁を求めます。
 折しもまさに戦後五十年、政治・経済を中心にあらゆる分野が原点に戻っての見直しを迫られる中、安定した社会存立の最大基盤である治安維持の使命を負う警察活動もさまざまな角度から見直し、補充を求められていると考えていることを私見として申し添えます。
 最後に、仮谷知事におかれましては、五期二十年間、まさに県勢浮揚に向け、また県民の幸せ実現に向けて県民的立場でご努力、ご尽力なされたことに対し、深く感謝を申し上げるものでございます。
 今、知事の胸のうちを去来するのは何でありましょうか。就任当時の、オイルショックを伴った極度の財政難の中での県政の切り盛りなのでしょうか。はたまた、本県を内外にアピールしたリゾート博の大成功からの充実感なのでしょうか。あるいは、知事としての重責を果たし得ようとしている安堵感なのでしょうか。政治家の評価は後世にゆだねるとするならば、仮谷知事のご功績は必ずや後世に高くその評価をいただけるものと確信いたすものであります。
 仮谷知事、あなたは県政の最高責任者として厳しく、またあるときには人情味豊かな人間として対処されてまいりました。おかげさまで、私のふるさと日高郡・御坊市も道路網を中心に種々整備が整いつつあります。まさに二十一世紀に向けてのさらなる飛躍への体制が整いつつあります。日高郡市民の一人として厚く御礼を申し上げ、私の一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 冨安議員にお答え申し上げます。
 太平洋新国土軸における現状と今後についてでございますが、昨年六月に国が取りまとめた第四次全国総合開発計画の総合的点検調査部会報告におきまして、「二十一世紀に向けた国土構造の形成に関するビジョンとして重要な意義がある」と明記され、また昨年十一月に策定作業が開始された次期全国総合開発計画におきましても、新たな国土軸が主要なテーマとして取り上げられているところでございます。
 このような取り組みと並行いたしまして、国土庁では本年度、新たな国土の軸・地域連携軸に関する調査が実施されており、来年度予算に広域的な交流圏の形成に向けた多軸循環型交通システムのあり方に関する調査が要求されているなど、具体的な取り組みが行われてございます。
 今後は、地元関係府県から成る太平洋新国土軸構想推進協議会を中心に、次期全国総合開発計画等へのより明確な位置づけや関連調査の促進などについて、県議会の皆様方のご協力を得ながら、さらに積極的な要望活動を展開してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 本県の産業育成方針、施策等についての二点にお答え申し上げます。
 まず、景気の現状と今後の景気動向についてでございますが、バブル崩壊後の景況につきましては、全国的に緩やかに回復基調をたどってきたところへ急激な円高等の景況が顕在化したため、回復基調が足踏みから弱含みへと修正されるなど、先行きに対する不透明感が広がっている状況と考えてございます。
 このような中で、今後の本県経済の状況につきましては、比較的明るい動きを見せていた新車登録台数及び新設住宅着工戸数などが四月から対前年度比マイナスに転じたまま低迷してございます。七月の県の有効求人倍率も〇・六二倍であり、依然厳しい状況が続いていると判断してございます。
 議員ご指摘のとおり、今後の景気につきましては、これまでの循環型景気変動とは異なり、為替相場の変動、金融問題、企業の技術格差等、構造的な要因が絡み合い、予断を許さないものと考えてございます。
 県といたしましては、このような厳しい状況に対処するため、景気・雇用対策本部で緊急円高対策を発表し、県の制度融資の貸付利率を過去最低の水準に引き下げるなどの充実を図って景気対策に努めるとともに、雇用の確保に努めているところでございます。
 産業の育成につきましては、中小企業の創造的事業活動促進や新分野進出を円滑に行えるよう支援してまいる所存でございます。
 今後とも、景気の状況及び国等の動きを十分見守りながら、県内中小企業の経営基盤の安定、雇用の確保のため、諸施策を積極的に推進してまいります。
 続きまして、和歌山県産業活性化ビジョンの中の施策等の実現方法と工業技術センターの役割についてお答えいたします。
 和歌山県産業活性化ビジョンにつきましては、二十一世紀初めの本県産業の望ましい姿を展望し、今後の取り組むべき施策の方向性を示したものでございます。議員が例示された人材の育成確保等を含めまして、七つの具体的な基本方針を示してございます。
 例えば、創造的企業への総合的支援ということで、創造的な企業に対する展開、創業支援を目指すことや、国際的な産業活動への支援システムの整備として海外情報拠点の整備、いわゆる海外事務所等の整備を掲げてございます。
 今後、施策の具体化につきましては、一つ一つ着実に推進してまいる所存でございます。
 こうした中で、工業技術センターにつきましては、研究開発の充実を図るため、平成八年度完成を目指して再編整備事業を進める一方で研究開発型のセンターに移行を進め、地場産業においてこれまで蓄積された技術を生かした新製品、高付加価値化製品の開発を積極的に支援するため、産・官共同研究や企業への技術指導を一層強力に行い、県内企業の振興、活性化を図ってまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 警察本部長青山幸恭君。
 〔青山幸恭君、登壇〕
○警察本部長(青山幸恭君) 冨安議員のご質問にお答えいたします。
 最近における国際化あるいは高度情報化社会の進展や科学技術の急速な発達に加え、複雑多様化する社会経済活動を反映して犯罪も複雑巧妙化するとともに、国際化、広域化、スピード化するなど、質的に大きく変化しております。また、犯罪史上例のないオウム真理教による一連の凶悪、特異な犯罪を初めとして、企業幹部や市民をねらったけん銃使用犯罪の続発等、治安情勢は一段と厳しくなってきております。
 本県においても、このような傾向が警察事象全般にわたって顕著になっているとともに、県民の安全に対するニーズが高まり、それらに伴って警察業務も増加の一途をたどっております。
 警察といたしましては、県民生活の安全と平穏の確保は県民に対する最大の福祉であり、また社会経済活動発展の基盤になるという認識のもとに、凶悪犯罪の増加や犯罪の質的変化等に対処するため、機動捜査隊の所属としての独立や銃器対策室の設置等の機構改革を初め、広域初動捜査体制の確立、専門捜査員制度の導入、あるいは高度な科学技術を活用した機材の導入や機動力の強化等を図っているところでございます。
 また、デスク部門の警察官を思い切って削減し、第一線に一人でも多くの警察官を配置する一方、警察官の資質を高めるための諸施策を推進してきたところでございます。
 そのような中で、交通巡視員の警察官への切りかえ、一般職員の増員のほか、岩出、和歌山西警察署等の庁舎の建てかえ、警察情報の中核となるテクニカルセンターの建設、さらには情報・通信機材等の整備について、県知事、県議会の皆様の格別なるご理解、ご支援を賜ってきたところでございます。
 しかしながら、本県におきましては、治安のバロメーターとも言える刑法犯の発生件数を見ると、人口十万人当たりの発生率及び警察官一人当たりの負担指数は全国平均を大きく上回っているほか、関西国際空港の開港や阪和高速道路の国土軸との直結と紀南延伸等により府県間の人、物の流れが活発化し、それに伴って警察事象も増加しております。
 このような情勢の中で、県民生活の安全と平穏を確保するためには警察官の絶対数が不足し、現行の定員内では十分対応し切れない厳しい状況にあります。このため、警察官の増員につきまして、警察庁に対して強く要求しているところでございます。
 また、サリン事件等の犯罪に対応できる特殊被服、あるいは銃器使用犯罪の捜査等に必要な防弾チョッキ等の防護用装備や大規模災害発生時の救出救助用機材等の整備、さらには機動力強化のための捜査用車両の増強等を計画的に進めておりますが、これらの装備資機材についても必ずしも十分とは言えない状況にあります。このため、今後とも国や知事部局、県議会の皆様方のご理解を得ながら、装備資機材の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 警察関係の予算措置についてのご質問でございますが、警察装備の整備につきましては、国費で対応されるものと県の予算で対応しているものがございます。このうち県の予算分につきましては、厳しい財政状況下にはございますけれども、県警予算として七年度当初予算で対前年度四・六%の伸びを確保するなど、適切な対応を図ってきているところでございます。
 今後につきましても、安全な社会生活の確保が最重要課題の一つであるという認識のもとに、近年の大きな社会情勢の変化に合わせて、財政事情等も踏まえながら緊急性の高いものから的確に対応してまいりたいと考えております。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番冨安民浩君。
○冨安民浩君 いろいろご答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 今日の経済状況の中での見通しについては、おおむね商工労働部長から今ご答弁をいただいたような考え方だと思います。景気については非常に難しいので楽観論、悲観論があると思いますが、商工労働部長のご見解が今世間で言われておることだと思います。
 日本の今日までの経済というのは、その縮図としての和歌山県もそうであったと思いますが、効率だけを求めて技術力に力を置かず、まさにイミテーションをしながら労働集約型で競争に打ちかってきた、そういう産業形態だったと思うのです。そして今、その転換を迫られて、技術力を持った産業形態の形成が求められております。そうしていかないと、先ほど申しましたように、為替で幾らでも操作させられるような状況ができつつあるわけなんです。
 今日まで技術力というのは、まさにもう民間任せで、民が主導でやってきたわけでございます。この和歌山県の状況を考えたとき、その民主導が大きな花を咲かせている有名な企業もありますが、蓄積力の弱い本県の企業としては、官が民と一緒に力を合わせて新しいものをつくり出していく、本県独自のものをつくり出していくという──今全く芽が出ておらない中でも、芽が出そうなものがいっぱいあるわけです。例えば、私の支持者の中に、今、炭を中心に健康産業の一つの枠組みの中で進出していこうという企業もあるわけでございます。先ほど私が工業技術センターの役割をどう考えているかと申し上げましたのは、工業技術センター等が中心になって民と非常に接触しやすい状況をつくりながら、デスク上の技術じゃなくして、本当に民の実際的な、求められる技術力を一緒になって生み出していくことがまさにこれから求められておると思いますので、どうかその点にお心をいただきまして遂行していただきたいと思います。
 それから総務部長のご答弁でございますが、財政責任者としてはまさにもう非の打ちどころのないご答弁だと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、戦後五十年を迎えた今、社会あるいは経済全体をにらんだ中で何にプライオリティーを置くべきか、そんなことを考える時期に来ていると思うのです。従来どおりの、対前年度比何%あるいは対前年度比どれだけの伸びという構図は、もう通用しない。国においても経済政策について、このかじ取り役を担われている経済企画庁長官の宮崎勇さんが公共事業の配分見直しを迫られていると言われているときでございますので、本県の財政配分については、どうか総務部長の識見に基づいた、時代に合った格段のご配分を要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で冨安民浩君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長にお許しをいただきまして、伝統の和歌山県議会で初めて質問に立たせていただきます。
 仮谷知事のご在職最後の議会において、新人で若輩者の私が登壇させていただくことに感激を覚えますとともに、私の上の方に座っていらっしゃる橋本議長におかれましては、私がまだ国会事務所の使い走りをしていたときに、ある料理屋で議長にお会いさせていただいた際、私に対して、「長坂よ、おまえも政治家になりたいのだったら県議会へ来い」と力強く、温かいお言葉をちょうだいいたしましたことを今も覚えております。このたび四月の選挙において、橋本先生の胸もおかりして選挙を戦わせていただき、幸い、おかげさまで当選させていただきました。そして今ここで、上の方から見守っていただきながら質問させていただくことにも感慨無量のものがございます。
 それでは本題に入らせていただき、以下四点、質問いたします。
 まず最初に和歌山下津港の港湾整備について、和歌山港区から和歌の浦地域にかけてであります。
 和歌山下津港は県下唯一の特定重要港湾であり、近畿圏の太平洋への玄関口に位置すると言える港であります。さきの六月議会で、また昨日も中山議員がご質問されましたが、それにも関連して質問させていただきたいと思います。
 阪神・淡路大震災の後、大阪湾における神戸港、大阪港の代替機能を持つ港であるととみに注目されはいたしましたが、もともと明治時代には沿岸航路の定期船寄港地として栄えたところであり、大阪湾の窓口というロケーションから考えれば、それこそ日本で代表的な港湾に生まれ変われるところであります。
 折しも本年四月六日には、中埠頭(通称・万トンバース)に県内初めてのコンテナ用の荷役クレーンと大型フォークリフトの導入が発表されました。七月二十四日にはチュンキュン海運の定期コンテナ便が開設され、九月六日からは同じ韓国の、世界一周航路を持つチョーヤンシッピングの定期コンテナ船が和歌山下津港に就航し、いよいよ週二便の寄港体制ができたわけであります。航路の選択幅が広がり、在庫を少なくすることができ、また悪天候による欠航などのトラブルがあってもカバーできるなど、利用する客や荷主のメリットは大きくなります。
 まだまだ満船になるほど和歌山下津港自体に集荷能力がない現状でありましょうが、コンテナの陸上輸送料金等、大阪港や神戸港に運ぶことを考えればコストも安価につきますし、中継するための時間的おくれを差し引いてもメリットは出てきます。和歌山周辺以外の荷主もやがて注目してきて、貨物量はふえる可能性が大きいと思われます。また、関空ともあわせ、従来の輸送手段を、また生産拠点を再考する荷主も増加することでしょう。
 ただ、これだけで満足していては不十分だと思われます。近畿自動車道の南伸や太平洋新国土軸構想のような将来の交通アクセスも考慮に入れて、それこそ太平洋側を代表するような港湾に変貌させる長期計画のもと、港湾整備を推進していただきたいものであります。
 例えば横浜の本牧埠頭は、従来の山下埠頭をしのぐコンテナバースを擁し、ガントリークレーンが林立し、ストラッドルキャリアがカニ歩きをしております。近年、埠頭内まで首都高速道路が伸びて、一時東京港に押されていた貨物量も盛り返してきております。これは、和歌山下津港にとっても、これから学ぶべきよき見本であると思われます。
 さて、県が鋭意推進されている土地利用計画には、西浜地区と雑賀崎地区の埋め立て、土地造成がございます。しかしながら、その背後には、片男波から新和歌浦、田の浦、そして雑賀崎へと続く、海岸美日本一とうたわれたこともある和歌の浦地域が控えております。私もこの夏の終わりに、観海閣、万葉館、健康館から始まって養翠園まで、和歌の浦の楽しさ、美しさ再発見とばかりに、海岸線をぐるり一周歩いてまいりました。瀬戸内海国立公園の一部であり、かつて大阪の奥座敷として栄え、今でも和歌山マリーナシティへの観光と相まって観光客の多い景勝地であり、和歌山市内で有数の漁港もあれば、いそ釣り場もあります。最近温泉の出たところもあり、今後、往時のように、いやそれ以上に観光スポットとして脚光を浴びる可能性のある地域であります。ぜひウオーターフロントと海洋・海岸環境保存を並立できる港湾整備であることを要望する次第です。
 港湾施設と雑賀崎の間には、私が小学生のころ遠浅で東洋一の海水浴場と言われた、そして徳川家の庭園である養翠園を擁する水軒地区があります。和歌山下津港が本格的な太平洋側の外港として今後機能するならば、水軒地区は景勝地・和歌の浦と接触する緩衝地帯となるべきであります。ここに、自然と人造物との融合ポイントとして、国際会議場、魚釣り公園等の臨海公園施設があればと、切に願うものであります。もちろん、水軒川の水質浄化も一つの前提条件であります。東京ディズニーランド近くにある葛西臨海水族園は、水族館、臨海公園、人工の浜、ホテルなどから成るウオーターフロントならではの施設であり、これも一つの参考になると思われます。
 さて、以上の意見を踏まえて質問させていただきたいと思います。
 一、和歌山下津港雑賀崎・西浜地区土地造成事業に続いて、長期的視野に立って、外航航路の充実のため、コンテナターミナルの拡張、ガントリークレーンの設置などの外貿港としての今後の港湾整備についてお聞きいたしたいと思います。
 二、さきに申しました韓国の船会社以外に和歌山下津港へ参入をうかがっている船会社等がありますか。また、現在の港湾施設で週何日まで稼働可能ですか。貨物量はどれくらいまで取り扱い可能ですか。
 三、貨物量の増加に伴い、コンテナのドレージ陸上輸送によって交通渋滞が起こるのは目に見えております。市街から和歌山下津港和歌山港区へ通ずる、大型トレーラーが頻繁に通れるバイパス道路を将来計画として検討していただきたいが、どうですか。
 四、従来、ウオーターフロントとリゾート開発という観点は、多くが自然環境の破壊を前面に打ち出しておりました。生産空間としての港湾、生活空間としての港湾、交通空間としての沿岸、港湾のコンテナヤード等、総合的利用などを組み合わせて明確なるビジョンのもとに開発計画を打ち出していただきたいと思いますが、埋め立てに当たって、自然環境に及ぼす環境についてどうお考えですか。背後に和歌山が誇るべき景勝地を控えていることを念頭にご答弁ください。
 五、先ほど、港湾施設と雑賀崎の景勝地との間の水軒地区の土地利用について私の個人的意見を述べさせていただきましたが、ぜひ近い将来の課題としてご一考願いたいと思います。
 以上五点、土木部長にお聞きいたします。
 第二に、和歌山県における救急医療体制についてであります。
 救急医療は、短時間に、限られた医療資源のもとで患者の状態を的確に判断し、救命に必要な治療を行うことであり、医の原点と言われています。そして近年、救急医療体制については、交通事故の増加、老齢人口のアップに伴う脳血管疾患、心臓疾患の増加等によって国民の関心も高まっております。
 厚生省救急医療体制検討会や自治省消防庁救急業務研究会で精力的に審議されて平成三年四月十八日に成立した救急救命士法により、救急現場とその搬送途上における医療の確保に向けて大きく前進した次第であります。
 我が国の救急医療体制については、計画的な整備推進により、量的にはおおむね基本的水準を達成しつつあります。問題点としてまず、初期救急医療体制は量的にはおおむね充足してきましたが、救急医療施設が地域によって偏在していること、救急診察の空白の時間帯があること等の問題があります。二次救急医療体制については、救急告示病院や病院群輪番制病院、共同利用型病院によりほぼ全国をカバーするまでになりましたが、地域によっては輪番に参加する病院の数が限られているため、それらの少数の病院には過度の負担となっているケースもあり、一般患者の診察に影響が及ぶのではないかと危惧されております。三次救急医療体制については、救命救急センターの整備がおおむね人口百万人に一カ所を基準に進められていますが、そのカバーする範囲がかなり広いこともあって、地域によっては高次救急医療のニーズに十分こたえられていないところもあります。
 さて、和歌山県においては、今般、救急のエキスパートでいらっしゃる鈴木英明さんを県保健環境部長にお迎えすることができ、今後の救急医療体制の整備に十分な期待が持てるところであります。
 初期救急医療については、休日夜間急患センターや在宅当番医制によって行政当局が鋭意尽力されており、特にことし十月一日にオープンになる和歌山市夜間休日応急診療センターにも、一県民、一市民の立場で注目していきたいと思います。しかしながら、和歌山県においても患者を受け付けてもらえない空白の時間帯があり、早急に三百六十五日体制、二十四時間体制を検討していただきたいものであります。
 二次救急医療については、入院を必要とする患者の受け入れになりますが、和歌山市においては十八の病院による病院群輪番制によりかなり充実はされているものの、県内となると北高南低の状況があり、医療においては北も南も機会均等になるべく尽力していただきたいと思います。
 三次救急医療については、和歌山県赤十字救命救急センターが本年より七十四床となり、全国でも最大規模の施設として生まれ変わり、今後フル稼働されたときの効果に十分期待を寄せるものでありますが、現状の専任医師等スタッフの人数の問題、患者の受け入れ状況に不安も感じている次第であります。和歌山県民を大阪や泉州まで搬送していかなくてもよいような体制を速やかに構築していただきたいものです。
 そこで質問に入らせていただきますが、保健環境部長及び総務部長にお伺いいたします。
 一、県下の和歌山市以外の地域の二次病院で、県下六つの二次医療圏の充実の必要性から、中核病院が救急医療機関として十分に機能を発揮されているのかどうかについて県はどうお考えですか。どう改善されていくのですか。
 二、平成十年度には和歌山県立医科大学が移転されますが、移転した和歌山県立医科大学附属病院では、現在夜間三床しか稼働していない救急医療体制をどれだけの規模で整備されるのですか。
 三、和歌山県赤十字救命救急センターは、七十四床の規模で、専属の医者や看護婦・看護士はどれくらい置かれるのですか。ちなみに、全国でも有数の救急医療規模を誇る杏林大学附属病院で三十床、背後の補助ベッドを入れて七十床、専任医師だけで二十数名、夜間は三人で当直、手術が入れば一人プラスされます。また、泉州救命救急センターでは、救急ベッドが八床、背後の補助ベッドを入れて三十床、そこに専属医師が二十二名置かれております。
 四、和歌山県赤十字救命救急センターは、現在のところ四十四床で稼働されているとのことですが、それでも満床状態が多い状況の中で、救命救急センターの機能として、一週間から十日ぐらいで、回復しかけた患者をできるだけ二次医療機関へ戻すシステムはとれないものでしょうか。
 五、財団法人和歌山県救急医療情報センターは、患者のたらい回しを防止すべく、各救命医療施設並びに各消防本部をオンライン化し、救急医療施設から常時必要な情報を得るとともに、各消防本部に対しては、診療科別の医師の配置状況、空床の確保状況等の救急医療施設の応需体制に関する情報を提供されていますが、救急救命士に対する指示を行ったり患者の症状に応じた適切な医療機関を紹介するための医師を当センターに常駐させられないものでしょうか。
 六、阪神・淡路大震災の教訓から、防災設備の整備として防災ヘリコプター導入が決定されたわけですが、さきに述べたように、和歌山県は第二次救急医療体制において北高南低の状況にあります。現在は八尾市から救急用のヘリコプターが飛び立つことになっており、今度県で導入するヘリコプターは南紀白浜空港の倉庫へ保管するそうですが、これも紀南における第二次救急医療体制に大きな力を発揮するのではないかと期待しております。お聞きしたいのは、現在、救命救急センターである日赤和歌山医療センターにはヘリコプターの離発着場所がありません。県下をカバーすべき第三次救急医療施設へ重症患者をヘリコプターで搬送する場合、どのような手順で搬送されるのですか。その際、どのような人を添乗させるのですか。
 七、最近、救命救急センターを人口三十万人に一カ所の割合で設置することも論議されておりますが、紀南における第三次救急医療施設の設置の必要性についてどうお考えですか。
 三番目に、関西国際空港開港後の和歌山県の関空利用について質問させていただきます。
 去年の九月四日に関西国際空港が開港して、一年が経過いたしました。日本初の二十四時間空港、世界初の海上空港と鳴り物入りでオープンし、国際ハブ空港として、我が国をめぐる国際航空需要を中心的に受け持つ機能とあわせて、グローバルな空の結節点としての機能を有しております。先般の航空審議会の中間取りまとめにおいて、全体構想のうち二期事業にも早期着手が明確に打ち出され、いよいよ平行滑走路の建設も実現に向かうのであります。
 和歌山県におきましても、知事が先頭に立って関西国際空港全体構想の建設促進に邁進されてきた次第でありますが、一年を経過し、今まで行政主導で持ってきた関空というステージを、今度は百八万県民が創意工夫でフルに利用していかなければなりません。手をこまねいて関空効果というものを待っていてもビジネスチャンスはつかめません。これからは、我々県民が持ち場持ち場で県勢浮揚のために関空をいかに活用するかが問われてまいります。和歌山県当局としては、今後の各産業振興のためにどのように関空の利用をご示唆いただくのか、お伺いしたいと思います。
 一、まず農林水産部長にお伺いいたしたいのですが、関空開港後、関空への食料品の輸入状況において、円高も手伝っていると思いますけれども、七割が魚介類で、生鮮マグロが多くなっております。これは、本県のマグロ漁業を逆に圧迫する結果になっていないかと憂慮するものであります。水産業全体の振興を考えて輸入の増加に対抗すべく、養殖など栽培漁業等、どのような改善策をお考えか、お聞きしたいと思います。
 また、臨空農業の推進として、県が第三次中期実施計画において、一、空港及び臨空都市への対応、二、機内食等の供給、三、フライト農業の推進などを挙げられておりますが、現在までの状況をお聞かせ願いたいと思います。
 二、次に工業に絞って商工労働部長にお伺いいたします。県内の製造業は、急激な円高や輸入製品との競合といったマイナス要因などから低調な状況が続いております。関空からの総輸出で見れば、ことし二月までの輸出実績では、半導体等電子部品が大幅増、織物用糸、繊維製品、金属製品、有機化合物もかなりの増加となっております。この品種を見れば、和歌山を代表する工業製品もかなり含まれております。空港までの陸送による物流コストの低減、そして輸送時間の短縮を考えれば、和歌山県の関空発の輸出も、和歌山下津港のコンテナ取り扱いと相まって伸展するのではないかと思われます。国内外の厳しい状況の中、和歌山県の工業の発展にとって関空を利用した工業製品の輸出は大きな役割を担うものだと思いますが、現在の輸出状況と今後の輸出振興策をお伺いします。
 第四点目に、和歌山県における青少年の道徳・倫理教育についてお伺いします。
 二十一世紀到来までカウントダウンの段階を迎えている昨今、青少年による無差別殺人等の凶悪犯罪や、子供を死へと追いやるような陰湿化したいじめ問題が後を絶ちません。生命をとうとぶ気持ち、そしてよい悪いの区別の欠如にほかならないこの現象は、将来の日本を背負って立つべき青少年の教育におけるゆゆしき大問題だと思います。今こそ、幼少のころからの道徳・倫理教育をもう一度見直す時期ではないでしょうか。一番大切なことは親の常日ごろのしつけであることは、申すまでもありません。幼少のころ身についた性格というものは、なかなか変えられるものではありません。道徳教育を行うためには、教える側の親の資質も問われます。私も幼少の子供を持つ親として、しつけ、教育の難しさを実感している次第であります。
 物質的な豊かさを求める今日、共働きの家庭が少なくない中、家庭での教育が非常に手薄なものになりがちであります。そこで、保育園、幼稚園、そして小学校の先生の役目、責任というものが大きくならざるを得ません。道徳とは、人間がまさに道理を真っすぐな心で体認し、体得するところに成り立つものであり、個人内面の心情によって受けとめられた倫理であります。
 学習指導要領に、学校において道徳教育を進めるに当たっては、教師と児童生徒及び児童生徒相互の人間関係を深めるとともに家庭や地域社会との連携を図るとあります。道徳教育は、まさに家庭でも学校でも必要欠くべからざるものであります。道徳教育によって、生命の尊重・健康・安全、正直と誠実、親切・同情、信頼・友情、日本人としての自覚を持って国を愛し国家の発展に尽くそうとする、また国際的視野に立って世界の平和と人類の幸福に貢献するように努めるといった精神を身につけていくのであって、決して戦前の修身教育への逆コースではありません。
 道徳教育に反対される方の中には、精神主義を復活して民主憲法改悪への足がかりとし、ついには忠君愛国を鼓吹することによって国民を戦争の方向へ導くものであるという議論をされる人もいらっしゃいますが、国民みんなが要望するのは道徳の政治化ではなく逆に政治の道徳化であって、普遍妥当的で中正な徳目の徹底による、すなわち善悪をはっきりわきまえた、道理を真っすぐな心で実践することによる政治の浄化であります。
 知事が常々言われている、県民だれもがゆとりと豊かさを実感できる社会を実現するためにも道徳教育というものにいま一度焦点を当てていただいて、保育園、幼稚園から高等学校までの道徳教育の一貫化をご指導いただきたいものであります。
 そこで第一点、仮谷知事に質問させていただきます。五期二十年にわたって県勢発展にご尽力、ご貢献なされましたが、現在の無節操な犯罪が増加する中、和歌山県においても決して例外だとは言えないのではないかと思います。長い間県政を担当してこられて、今後、心の豊かさを実感できるような県土づくりのためにも、青少年の道徳意識の向上について知事のご所見を伺いたいと思います。
 二、道徳教育においては、人間教育の出発点として道徳性の芽生えを培う幼児教育、みずから考えて行動していけるような自立性を育成する小学校教育、人間としての生き方についての自覚を持たせる中学校教育、そして人間としてのあり方、生き方についての自覚を深めさせる高等学校教育と続いてくると思いますが、幼・小・中・高一貫した道徳教育という観点から、和歌山県における道徳教育の理念と現状について教育長にお伺いいたしたいと思います。
 以上、大きく四つの項目で第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 長坂議員にお答え申し上げます。
 私に対しまして、二十年県政を担当しての青少年の道徳意識について所感を伺うということでございました。
 私は、県政の主要施策として、二十一世紀をつくる人づくりを主眼に努力しているわけでございますが、その中で青少年の健全育成には積極的に取り組んでまいったわけでございます。
 二十年を顧みますと、社会の潮流も大きなさま変わりを見せておりますが、昔から「子供は親の鏡」と言われるように、いつの時代においても、青少年の意識や行動はそのときどきの大人社会から大きな影響を受けております。最近の状況を見ますと、必ずしも青少年にとって好ましいとは言い切れない社会環境の変化と相まって、その道徳意識にも変化を生じているのが現況でございます。
 こうした中で、あすの和歌山を担う青少年が健やかに成長するように、自然や人との触れ合いを深めていくとともに、人間としての基本として道徳に関する感性を高めていくことが非常に大事なことであるという考えのもとに進めておるわけでございます。そのためには、子供のあり方のみならず大人自身の生き方や社会のあり方をも問い直し、大人一人一人が青少年の育成に対する責任を自覚することが求められているのが現況でございます。
 青少年は国の宝でございますし、県の宝でもございます。道徳問題については、お話ございましたように、今後とも青少年健全育成のために、行政はもとより、家庭、また保育園・幼稚園等学校、地域、職場などが相互に連携を図りながら、県民すべてがこれに参加する県民総ぐるみ運動として考えていくことが必要ではないかと考えております。過日、四百人の中学生を欧州へ研修旅行させたのも、未来を眺め、世界を眺めて青少年の健全育成に役立てばと思ってやったところでございます。
 以上です。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 長坂議員の和歌山下津港に関するご質問五点についてお答えいたします。
 まず、外貿港としての今後の港湾整備についてでございますが、和歌山下津港を近畿圏の外港として位置づけ、大阪湾海上交通の負荷の軽減、陸上高速交通網と連携した物流の効率化、大規模地震等の災害に備えたリスク分散を図るため、和歌山下津港の外貿コンテナ機能の充実を図る必要があると考えております。このため、大水深の岸壁、十分な広さを有したコンテナヤード、高能率の荷役機能を備えた外貿コンテナターミナルを次期港湾計画に位置づけるべく、検討を行っているところでございます。
 また、荷役機械につきましては、現在県で年内使用を目指してジブクレーンを整備中でありますが、ガントリークレーンの設置についても、現在工事中の西浜地区の水深十三メーター岸壁に平成十年度設置を目途に調査を進めているところでございます。
 次に、和歌山下津港における新規航路開設の見込みなどについてでございますが、ご承知のとおり、現在、和歌山・釜山サービスが週二便体制で行われています。
 なお、現時点において新たに参入を表明している船会社はございませんが、県としては、今後とも港湾機能の拡充に努めてまいりますとともに、中国、東南アジア、さらには欧州、北米など、世界に広がる航路網の充実を目指して引き続き航路誘致に努めてまいりたいと考えております。
 また、和歌山下津港におけるコンテナの取扱能力でございますが、現在、荷役はトラッククレーンにて行っていますが、先ほどお答えいたしましたように、年内には県で整備中のジブクレーンなどが稼働する予定でございますので、これにより荷役能力が大きく向上することとなります。またコンテナヤードについては、木材との利用調整を図ることで拡張することも十分可能でございます。
 次にバイパス道路についてでございますが、和歌山下津港のコンテナ貨物量の増加に伴い、大型トレーラー等の車両が増加すると予想されます。その対策としまして、第二阪和道路へのルートとしての臨港道路・紀の川右岸線ほかを位置づけているほか、本港区及び北港区と周辺地域を結ぶ臨港道路のネットワークや京奈和自動車道へのアクセスを含めて、極力一般市街地の道路を通過させずに幹線道路へアクセスできるよう、次期港湾計画に向けて検討しているところでございます。
 次に、埋め立てに当たっての自然環境に関してですが、これからの和歌山下津港の整備の理念として、物流と産業と、さらに生活機能がほどよく調和した総合的な港湾空間の創造を目指したいと考えているところでございます。
 さらに、環境問題につきましては、平成六年十月に運輸省が新たな港湾環境政策として掲げた環境と共生する港湾、エコポートを目標としたいと考えております。すなわち、自然に溶け込み生物に優しい港、積極的に良好な自然環境を創造する港、アメニティーが高く人々に潤いと安らぎを与える港、環境に与える負担が少なく環境管理の行き届いた港という考えを和歌山下津港の整備に際しても踏襲いたしますとともに、和歌山の有するすぐれた景観や歴史的特性に適合し、これを生かした、環境に優しい港湾計画を策定し、その整備に努力してまいりたいと考えております。
 最後に水軒地区の土地利用についてでございますが、ご指摘の和歌山港の背後地水軒地区は、現在、工業地域として用途指定されております。しかし、瀬戸内海国立公園指定地域や都市公園など風致景観を保護する地域とも近接しておりますので、このことを念頭に置きながら土地利用を考えていく必要があると思っております。
 なお、南海和歌山港駅周辺について、海の玄関口としてふさわしい地区に再整備し、議員ご指摘のような、市民が憩い交流することのできる場にしていくことを構想しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) 和歌山県における救急医療体制についてのご質問にお答えいたします。
 まず、県下の和歌山市以外の地域の第二次病院が救急医療機関として十分に機能を発揮されているかどうかについてでございますが、地域の中核となる基幹病院及び中核病院につきましては、すべての病院を救急病院として告示しており、その地域の救急医療に中心的な役割を果たしていただいていると考えております。
 今後は、それぞれの地域の救急医療ニーズに対応するため、他の病院等との連携により救急患者のより円滑な受け入れを図れるよう関係機関に協力を要請するなど、一層の救急医療体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、和歌山県赤十字救命救急センターの人的体制についてのご質問ですが、和歌山県赤十字救命救急センターは、七十四床のうち、改築中の部分があり、現在四十四床で運営を行っております。その人的体制につきましては、センターの専属として救急医療の専門医一名を配置するとともに、日本赤十字社和歌山医療センターの医師が、昼間は八人、夜間は三人でセンターの専任として従事しております。さらに、一般診療に当たっている医師八人を午後からセンターの医師として従事させ、それ以外の医師がオンコール体制により、必要に応じて手術等に参加する旨、報告を受けております。
 また、看護婦は五十七人がセンターの専属として配置されており、今後、改築後に向けて医師、看護婦の体制を充実させていく予定と聞いております。
 次に、同センターの機能として、回復しつつある患者をできるだけ二次医療機関に戻せないものかというご質問ですが、一般に救命救急センターは、その本来の機能を十分発揮していただくため、入院された患者については、急性期を過ぎ、安定期に移行すれば二次医療機関等に速やかに転院していただくのが原則と考えております。したがいまして、同救命救急センターに対してより一層努力するよう要請するとともに、病院間の連携が円滑に図れるよう関係団体とも協議してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山県救急医療情報センターにおける医師の常駐についてのご質問でございます。
 まず、救急救命士への指示についてでございますが、救急救命士制度につきましては、現在、和歌山市と田辺市のみで運営されているのが現状であります。したがいまして、当面は患者を収容する医療機関で救急救命士への指示を行っていただきたいと考えております。
 また、和歌山県救急医療情報センターへの医師の常駐につきましては、厚生省において、さきの阪神・淡路大震災を受けて救急医療情報センターのあり方が検討されているところであり、今後、その動向等を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、第三次救急医療施設へ重症患者をヘリコプターで搬送する場合の手順と添乗者についてのご質問でございますが、紀南地方等で発生した重篤救急患者を和歌山市へ搬送する場合、市町村長が県に対してヘリコプターの出動を要請するとともに、近くの臨時ヘリポートを確保し、そこへ患者を救急車で搬送いたします。これを受けて県では和歌山市内の受け入れ病院を確認し、和歌山市の紀の川右岸河川敷を臨時ヘリポートとして確保の上、和歌山市消防局にヘリポートと受け入れ病院間の患者搬送を依頼いたします。これらの手配が完了後、県が航空会社に出動を要請することにより、患者搬送が行われます。また、ヘリコプターには医師等が必ず同乗することになっております。さらに、今年度末には防災ヘリコプターの運航開始が予定されており、より一層円滑な救急患者の搬送が図れるものと考えております。
 なお、大規模災害時のように、一度に多数の傷病者が発生した場合には、これらに加えて自衛隊等にも搬送を要請してまいりたいと考えております。
 最後に、紀南における三次救急医療施設の設置についてのご質問でございますが、三次救急医療施設としてある救急救命センターの整備基準につきましては、都道府県でおおむね人口百万人に一カ所であり、例外的な運用で人口三十万人以上の二次医療圏で認められているところもございます。
 紀南地方における三次救急医療体制の確保は重要な課題でございますが、現在、国立南和歌山病院等を中心に高次救急医療体制が運営されており、今後より一層総合的な救急医療体制の整備充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 現在建設中の和歌山県立医科大学の救急医療体制がどのような規模になるのかというご質問でございますが、県立医科大学は将来の医学、医療の高度化等に対応できる医師の育成や医学の研究機関として、また附属病院は高度及び特殊専門医療を担う県民医療の中核施設としてその機能を充実すべく現在移転整備事業を進めていることは、ご案内のとおりでございます。
 救急医療体制につきましても、中央診療部門に救急部を設置するとともに、現在三床の救急用ベッドを十五床に、また重篤患者を収容するICUを六床から十床に、CCUを三床から五床に増床することにいたしております。
 また、遠隔地からの重篤救急患者搬送に対応するため、新しくできる病院の屋上にはヘリポートを設置することにしております。
 さらに、大学でございますので、教育面でも、卒業前や卒業後の救急医療の研修、そしてまた救急医療専門医の養成等についても計画されているということでございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 関西国際空港開港後の本県の同空港利用に関するご質問のうち、水産物の輸入の増加に対する対抗手段、改善策について、臨空農業の推進についての現在までの状況についてお答えいたします。
 最近の水産物の輸入量は年々増加傾向にあり、平成六年では全国で約三百三十万トン、またこのうち五%程度、約十六万トンが航空機による輸入となっております。関西国際空港における輸入量は開港後十一カ月で約三万トンとなっており、このうち、生マグロ、エビ、アワビ等、高級魚種では本県漁業と競合するところがございます。
 こうしたことから、県といたしましては、活魚流通の推進、地域水産物のブランド化、栽培漁業の振興等を初め、直販事業への展開など、京阪神に近いという特性を生かしながら総合的な漁業対策を進めてまいりたいと存じます。
 なお、水産物の輸入につきましては、全国的な問題でありますので、秩序ある輸入体制の確立、水産物の産地表示、価格の安定対策等を国に対して強く要望してまいる所存でございます。
 次に、臨空農業の推進についての現在までの状況でございますが、生鮮農産物の供給基地を整備するため、紀の川流域を中心に施設園芸を推進してきたところでございまして、現在、ホウレンソウ、バラ、柿など、約百ヘクタールの施設化が図られております。また、空港島やアクセス道路などに、ツツジ等約十六万本の県産緑化木が供給されてございます。
 次に、機内食や空港島への食材の供給につきましては、機内食会社など三社に生鮮野菜等を供給するとともに、県産ジュースについても年間百三十キロリットルを供給してございます。
 また、フライト農業につきましては、輸送コスト等、難しい問題もございますが、柿、桃等の産地では北海道向け航空輸送に取り組まれております。
 いずれにいたしましても、関西国際空港の立地を最大限に生かしながら地域の活性化を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 関西国際空港を利用した工業製品の輸出状況と今後の輸出振興策についてお答えします。
 本県を生産地とする工業製品等の関西国際空港からの輸出状況でございますが、大蔵省関税局が平成六年十月一日から一週間行った輸出入貨物に係る物流動向調査の結果によりますと、本県の航空輸出の総量は十トン、金額で九千万円で、主な品目は、電気製品、原料別製品が上位を占めてございます。このうち、関西国際空港からの輸出数量は約七トン、金額で六千九百万円で、約七〇%を占めてございます。主な輸出先は、韓国、シンガポール、タイなどのアジア諸国が数量で三四%、金額で四一%、以下、金額ベースではアメリカ、ドイツの順となってございます。
 なお、平成六年の県内の輸出状況は、輸出額で約一千四百六十六億円で、品目別では鉄鋼が一番多く、機械機器、化学工業製品等となってございます。これらの輸送につきましては、輸送コストの関係でほとんど海上輸送されておりまして、一部の電子部品、機械部品、サンプル等が航空機を利用されてございます。しかし、本県の工業の発展にとって関西国際空港の果たす役割は大きく、その有効利用を考慮に入れて新たな展開が必要であると考えてございます。
 このため、企業においては新分野への進出や高付加価値製品の開発、技術改善に取り組むとともに、県においても工業技術センターを中心とした技術指導や支援を行うなど、産・官・学が一体となって産業の振興を図り、あわせて関西国際空港からの輸出振興を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 道徳教育の理念と現状についてお答えいたします。
 来る二十一世紀の社会は、少子化、高齢化、国際化等が一層進展するものと予測されます。このような状況の中で、教育においては、高齢者や社会的に弱い立場にある人々への思いやりや優しさ、ボランティア精神、異なる文化を理解し尊重する態度などを幼いころから育てることが重要であると受けとめてございます。
 本県では、小・中・高等学校等において、発達段階に応じ、動物の飼育や草花の栽培、ビデオ教材や副読本などを活用した道徳の時間、さらに公民科や家庭科等で道徳性をはぐくむ学習を行っております。
 こうしたさまざまな学習や活動を通して、優しさや思いやりの心、自分や他人の命を大切にする態度、さらに自分自身をより深く見詰め、人間としてのあり方、生き方を真に求めていく子供の育成を図っております。また、道徳教育推進校や勤労体験学習総合推進地域の指定などの施策を講じているところであります。
 最近では、緑化運動への参加や河川の清掃、養護老人ホーム等福祉施設への訪問など、生徒が自主的に奉仕活動に参加する姿勢が育ってきている状況がございます。
 今後とも生涯学習社会を展望し、家庭、地域との連携を図りながら、真に豊かで住みよい社会の担い手を育成するよう、道徳教育の一層の充実に努めてまいる所存であります。
 以上です。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 17番長坂隆司君。
○長坂隆司君 二点、要望させていただきます。
 まず第一点目は、多数の医師を擁し、施設整備もすぐれている公立の大学附属病院、和歌山で言えば和歌山県立医科大学附属病院も、その主たる使命は教育や研究にあるとしても、救急医療を実施することが教育面における臨床実習や臨床研究の充実にもつながることであり、そのための条件を整備した上で第三次救急医療施設として地域の期待にこたえるべきであると思います。
 次に、和歌山県における青少年の道徳・倫理教育についてでありますが、さきにも述べましたように、家庭における幼少のころのしつけ、道徳教育というものは人間形成の上で一番大切な出発点だと思われますので、三歳児から六歳児ぐらいまでの幼児を持つ家庭に対し、近い将来、親と子の道徳教育のようなセミナーの実施を和歌山県の方でぜひご検討いただきたいと要望いたします。
 以上、要望でございます。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十四分休憩
  ─────────────────────
 午後一時五分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、質問を申し上げてまいります。
 まず初めに、フォレストシティ計画についてでございます。
 去る七月十日、大阪地方裁判所は、フォレストシティにかかわる用地不正買収事件に対して、国土利用計画法及び所得税法違反として最も重い刑にさらに加重した有罪判決を下しました。その判決内容は、事業主体である和興開発株式会社に、会社の業務として起こったものであるとして国土利用計画法違反、罰金刑五百万円、そして元社長前田喬氏に、国土利用法、所得税法違反で懲役二年六カ月、罰金一億一千万円、ただし、この罰金を完納することができないときは金三十万円を一日に換算した期間を労役場に留置すると厳しい口調で判決文を読み上げ、さらに元専務理事であった東山紀男氏に対し、懲役六カ月と二年間の執行猶予を言い渡しました。判決の中で裁判長は、「両法律違反を犯す動機やその犯行のあり方は、法の規制よりも企業の経済的活動を優先する発想によるものである。法の目的に正面から背反し、かつその規制の趣旨をもなくすものであって同情の余地はない」と、きっぱりと断罪いたしました。用地買収における犯行の一つ一つに、また脱税方法のやり方一つ一つについて、詳しくその罪の重大さを明らかにされたところです。ここではその詳細について申し上げられませんが、裁判長は、「巧妙かつ大胆な手口で、しかも悪質かつ卑劣であって同情の余地はない」と、これにもきっぱりと繰り返し断言しているのであります。
 一般的に企業は経済活動を優先するものですが、それはあくまでも法を守った上でのことであります。和興開発株式会社は、金もうけのために社長みずから積極的に、しかも主体的に法を犯し、手段を選ばぬ犯行を重ねてきたのであります。ですから、私たち県民は絶対に容認することはできません。まさに、法をも恐れぬ反社会的企業そのものの体質が県民の前に暴かれたのであります。特に、県や税務署に対し故意に不法行為を頻繁に繰り返したもので、極めて悪質企業と言わざるを得ません。もはや、和興開発に対する社会的信頼は犯罪企業の汚名とともに失われたことになります。
 この際、県はフォレストシティ計画の開発許可に係る審査以前の問題として、企業としての資質や社会的信用について根本から見直すことが急がれなければなりません。事件発覚後、メーン銀行である紀陽銀行から社長を初め役員を派遣し、一新したかのように企業のイメージチェンジを図ろうとしていますが、犯罪企業であることの汚名は将来的にも決して県民の脳裏から消えることはないでしょうし、紀陽銀行そのものも問われることになります。和興開発株式会社及び元社長、役員等の犯罪行為に明確な有罪判決が下された今、知事、企画部長、土木部長、農林水産部長はどのような所見をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
 ところで、新聞報道によりますと、このほど進入路の計画変更申請が行われたようであります。県は、その申請内容を承知しているのでしょうか。承知しているならば、具体的計画を示されたいと思います。
 報道記事の計画図から見てみると直接影響を受けるであろう住民に、何ら説明が行われてきておりません。こうした道路変更によって隣接となる住民の同意は必要ないのでしょうか。また、進入路変更によって鳴滝不動さんの水がれは改善されるのでありましょうか。私たちは、いかなる方法であったとしても、開発をやめない限り、鳴滝さんの水がれは改善されないと思います。また、環境アセスメントの再調査の必要性はないのか、関係部長の答弁を求めます。
 既に、フォレストシティ問題が論議され始めてから五年以上が経過いたしております。開発計画地域である和歌山市園部・六十谷・直川地区住民に対しての計画説明が、いまだに行われないという状況もございます。また、住民の疑問や不安に果たしてこれまで答えてきたのでしょうか。和興開発はこの二年間というもの、県が最小限、住民同意が必要と指定した自治会にさえもまだ説明が行われていない現状にあります。一方では、開発推進のため進入路の計画を進めるという、住民に説明も全くなくこういう事態が進んでいます。余りにも住民不在の姿勢が改まっていないのではないでしょうか。こういうところに、住民からの信頼が寄せられるはずはありません。私は和興開発株式会社に対して、地域住民をばかにするなと言いたいのです。県はこれまでどのような指導をされてきたのでしょうか、お答えいただきたい。
 県は、有罪判決を受けた、いわば社会的信用を失った企業である和興開発株式会社が計画申請しているフォレストシティ計画を、燦黒潮リゾート構想の重点整備地区の一つの計画として今後もなお推進するお気持ちですか、明確な答弁を願うものです。
 一月十七日に起こった阪神大震災、この活断層による地震で多くのとうとい命が奪われ、今なお被災者のご苦労が続いているところです。私たちも、さまざまな教訓を学び取りました。災害を最小限に食いとめるための対策が急がれるところと痛感しています。中でも、フォレストシティ計画のある和泉山系は中央構造線上にあり、活断層、破砕帯の多発地帯という特徴が以前から指摘をされ、私どももそのことを訴えてまいりました。震度七に耐え得るフォレストシティ計画の改善策について県はどのような指導を行ってこられたのでしょうか。具体的にお示し願いたいと思います。
 次に、老人福祉についてお伺いをいたします。
 国民の九割が老後に不安を感じております。寝たきりや痴呆症になったときの不安はトップを占めると言われています。とりわけ、介護に苦しむ家族の切実な困難を解決することは、一刻の猶予もできない課題となってまいりました。
 先日、八十歳の至って見るからに元気そうなお年寄りが、「みんなに迷惑をかけるから長生きしとうないわ。ぽっくり死にたいな」と言われましたので、「どうして」と聞きますと、「何も楽しいことないもん」と。私は、返す言葉が見つかりませんでした。本来なら長生きは喜びであるはずなのに、迷惑だと感じさせていることに責任を感じたからです。実に悲しい現実です。
 本県の高齢者人口は一七・六%、在宅の寝たきり老人は三千六百八十九人、特養ホームなど施設に入って寝たきりになっているお年寄りが九百二十三人です。介護に疲れ果てた家族の崩壊、孤独死、特養ホームの入所希望者、待機者がこの四月一日で七百六十七名と、ふえてまいっています。病院を追われる高齢者など、私たちの周りで高齢者をめぐる深刻な事態は、その深刻さを増すばかりであります。
 政府は、国策として二○○○年に向けて高齢者介護対策を抜本的に拡充するとして、今年度から新ゴールドプランを発足させました。しかし、この中身を見てみますと、一定の改善は見られるものの、在宅サービス、福祉施設の整備目標は質量ともにまだまだ不十分です。高齢者や家族の願いにはほど遠い内容と言わざるを得ません。相変わらず家族頼みの介護であったり、ボランティアに期待するという内容であります。
 例えば、ホームヘルパーを一・七倍にふやして十七万人にしても、原案は二十万人でありましたから、三万人もカットしていることになります。この十七万人は、市町村の老人保健福祉計画の集計値に置きかえただけのものであります。この目標が達成されたとしても、デンマークの五分の一の水準と言えます。しかも、その七割は身分不安定な非常勤職員という安上がりの計画で、肝心な専門職員の確保や財源保障に見るべき改善が示されていないところに問題があります。しかし、高齢者の在宅介護にせよ、介護問題は放置できないところまで来ていますから、本県のゴールドプランの目標達成は急がねばなりません。いろいろな支援策があるにもかかわらず、県民にそのメニューが知らされていないため、サービスを十分利用することができないでいます。県民への広報活動をどのように行われてきたのか、伺いたいと思います。
 私は、先日、在宅介護で肉体的、精神的にもう限界ぎりぎりで、それでもなお介護を続けなければならないという、必死の思いで頑張っている七人の方々の集まりに参加をさせていただくことができました。そのご苦労を紹介して改善策を求めたいと思います。
 寝たきり老人の年齢は、八十歳以上が四人、七十歳代が二人、六十歳代が一人、主に介護している方は、お嫁さんが五人、娘さんが二人、いずれも三十歳代後半から四十歳代の年齢であります。兄弟はあっても、よほどのときでないと交代はしてもらえない人、また寝たきりになって同居した人、別居のまま通いながら大変な介護をしている人、そして一人住まい、老人世帯、同居と、さまざまでありました。具体的に事例を申し上げます。
 まず一つの事例は、七十歳の母親であります。若いときから関節リューマチで病院通いをしておりました。家では、寝たり起きたりの状況でありました。しかし七年前、右足関節骨折を起こして寝たきりとなりました。父親が定年時期で退職直後でもあったので介護をしてこられましたが、その父親が胃がんを発病され、入院、手術と相なったために介護ができなくなりました。それで、大阪で働いていた娘さんが長い間勤めていた職場を退職し、家族五人全員が帰ってきて母親の介護をすることになりました。それから七年余りになります。退職せざるを得なかったこの娘さんは、もっと早く介護休暇が制度化されていたなら退職しなくてもよかっただろうにと言われているんです。早く介護休暇を実施してほしい、四年後の実施ではもう遅い、こう訴えていらっしゃいます。
 母親は、病状も進んできております。手の関節の変形、また首の周りの痛みも常にあります。スプーンを手に持つのも大変です。全身の皮膚も、表皮が薄くなっているために少しの刺激で出血しやすくなりました。おむつ交換するだけでも、優に三十分はかかるようであります。支給されているおむつのやわらかいものでも出血をするそうです。そして、おむつや寝巻き、あるいはシーツのしわでさえも出血をするようになっています。さらに、難聴も進み、ごく最近、補聴器も大きなものと交換いたしました。体位交換するときでも、よほど慎重にしない限りすぐ骨折をするという事態にあります。ホームヘルパー派遣を頼みたいけれども、家の中に他人が入ることにちゅうちょをしていたこの娘さんは、二年前、五年間続けた介護で体はくたくたになって、もうこれ以上続けられないというところまで参りました。二年前、週二回のホームヘルパーサービスと月一回の家庭奉仕員のサービスを受けるためには大きな決意が要りました。今は、大変助かっているとおっしゃっています。しかし、この娘さんは、家族の面倒も見なければならないという状態の中で、とにかくゆっくり眠りたいという要求が強くあるし、外出、外泊もままならないという状況にあります。
 二つ目の事例でありますが、八十歳の義理のお母さんを介護していらっしゃる方です。このお母さんは、痴呆症で一人住まいです。十年前、風邪をこじらせてから寝たきりとなりました。介護者は四十九歳で、介護しているお母さんのお家から約三百メートル離れたところに自宅を構えて、そこで自営業を行い、その事務員として働きながら、このお母さんの介護のために、朝、昼、夕の食事の介助、おむつ交換、清拭、洗濯、掃除と、十年間続けてまいりました。ノイローゼぎみになったときもあったそうです。この十年間、一度も外泊したことがないということで、今、週一回のデイサービスを受けているそうです。夫が施設に入れることを大変嫌がるために在宅介護をしなければならない、そういう状況にもあるわけです。このお母さんは、いつも失禁しているために、腰の周りはおむつが外れてしまってじゅくじゅくで、床ずれが治りにくくなっている現状にあります。自宅で介護したけれども、環境が変わったためかパニック状態に陥り、仕方なくまたもとの自宅に帰さざるを得なかったそうです。早朝あるいは夕方、一日わずか十五分でいいからヘルパーの派遣を何とかしてほしい、しかし早朝から来てくれる人があるだろうか、こういう心配もしています。
 これらはごく一部の例でありますが、わずか一時間余りの短い時間の中で、実に多くの切実な悩みや要求が出されました。
 例えば、サービスを受ける手続の簡素化、サービスを提供する行政のお恵み的な姿勢が数多く見受けられる、皮膚科、リハビリ、看護などでの専門職員の訪問サービスをしてほしい、福祉タクシーの台数をもっとふやしてほしいし、たやすく乗れるようにしてほしい、介護手当の支給や介護休暇の早期実施、ホームヘルパーの派遣は必要な回数と必要な時間を、おむつの支給は病状が変わるたびにその条件に応じて変更をできるようにしてほしい等々、在宅福祉を充実させ、行政がもう一度こういった大変な方々の願いを実現させるために検討を願うものでありますが、いかがでしょうか。
 さて、特別養護老人ホームの目標は、和歌山県は三千床であります。これは、早くも達成しつつあります。しかし、入所希望者は日を追うごとにふえていると聞いております。改めて、目標の見直しが急務となってきたのではないでしょうか。多くの入所待機者が半年や一年もの間待たなければならないという異常な事態は、急いで解決すべきです。民生部長、いかがでしょう。
 また、三千床を目標とした老健施設の問題であります。今、三千の目標に対して千七百床達成したことになっていますが、設置希望者も多いと聞いております。さきの六月議会においてもこの問題が問われたわけですけれども、設置希望の申し込みを制限というよりも、もうストップしていると伺いました。目標達成はもう目前にあるのではないでしょうか。これまた見直しが必要となっているのではありませんか。保健環境部長の答弁を求めます。
 老人福祉を充実させるためには、高齢者がたとえ障害を持っても、住みなれた家や地域で安心して暮らせるようにすることです。そのためには、だれでも、いつでもどこでも必要なサービスを受けられるよう、国、県、市町村の責任で保健、福祉、医療のネットワークを地域につくり上げることが大切ではないでしょうか。保健、福祉の施設は歩いていける範囲内、中学校区ごとなどの生活圏域に整備し、行政機関や専門的医療機関などと常に連係プレーができるようにし、交通網の整備、相談窓口も一本化し、総合的に行うようにしたいものです。いわば、地域サービスセンターを生活圏域ごとに設置し、ケースワーカーを初め専門職員を配置し、ホームヘルプサービスや訪問看護もここで計画をし調整をしてチームを組んで訪問できるように、また住民の自主的ボランティア活動とも連携しながら地域のネットワークを発展させたいと願うものです。民生部長の所見をお聞かせください。
 続いて、入院給食費の県費助成についてお尋ねをいたします。
 十分な審議も尽くさないで、入院給食費の一部を患者の自己負担とする改悪法案を実施して一年が経過しようとしています。一日六百円、来年の十月一日からは一日八百円となります。医療現場では「薬よりも食事を」と言われるように、入院給食は病気の治療食でもあります。多くの専門家の意見や圧倒的国民の声も、医療保険を適用せよ、自己負担反対ということでした。にもかかわらず強行した法律であります。中でも、老後の経済的保障である年金者や、全く経済活動のできない重度障害者、乳幼児からも徴収するという法は、到底納得できるものではありません。ましてや、法実施に当たって厚生省は、地方自治体の助成は不適切だと都道府県知事に文書を出し、助成した場合、国保事業への国庫支出を減らすなどと圧力をかけ、国民の願いに背いてまいりました。しかし、多くの国民の要求は切実です。国民の運動の中で、当初二十三道府県で始まった助成は、本日時点で、いずれかの方法で二十八の都道府県あるいは政令都市で広がってまいりました。中でも、群馬県、栃木県の全市町村では助成が実施に移され、県民に大変喜ばれていると聞いております。
 和歌山県下のあるご夫婦のお話ですが、定年退職後、夫が胃がんの発病で、ことしに入って二カ月ずつ二回入院を繰り返した。その間、奥さんも肝硬変から肝がんへと移行し、三年前から数回の入退院を繰り返していると言います。医療費は高額受領委任払いにできるけれども、給食費はできないため、高額医療受任費と給食費を合わせて少なくとも一カ月八万一千円は払わなければならない。これは、厚生年金の約半分のお金になるそうです。これからも入退院を繰り返すことになるだろうと思うと経済的不安は募るばかりです、何とか給食費の六百円は助成をしてほしい、お互い夫婦で介護し合えることなく大変情けないと、寂しくつぶやくように語っておられたのが印象的でした。せめて、今県が実施している福祉医療を適用している弱者の方々に助成の再考を願うものですが、いかがでしょうか。
 申し添えますが、助成をすることは不適切という厚生省の文書に対し、我が党が国会で追及をいたしましたところ、厚生省は助成は各自治体の自主的判断と述べていることからも、再考を求めるものです。
 最後に、目前に迫ってまいりました県知事選挙に関連して質問を申し上げます。
 県庁内で、管理職の指揮のもと、現職知事の後援会活動が行われてきた問題については、私どももこれまでたびたび本議場で取り上げてまいりました。八年前には、田辺の土木事務所で職員に担当業者を割り当てるなど、建築、土木業者を巻き込んだ体制がとられていたことが発覚いたしました。四年前には、幹部職員が就業時間中に公然と知事の後援会事務所に出入りしたり、後援会加入申し込み用紙が就業時間中に配布され記入を促されたとか、回収されたその用紙をコピーするために庁内の複写機が使用されたなど、さまざまな事例が寄せられたわけです。県民への奉仕者であるべき県庁の職員が一政治家に奉仕する姿は公務員の自殺行為であると、厳しく申し上げたいと思います。
 ところが、今また、これにも倍するほどの誤りが繰り返されています。今回は昨年末まで副知事を務めてこられた方の後援会活動ですが、「ここまで繰り返し指示がおりてくることはなかった」という声が上がっています。
 一例を申しますと、庁内は、今、部局単位で七つの班に編成されているようです。一班は五名で構成し、九月には日曜日を除くほぼ毎日、夜間の行動が割り当てられており、一日に三班、十五人が夜間の行動に出かける体制がつくられているようです。昼間の活動の拠点が県管理の会館内の一室に設けられているやに聞き及んでいます。出先機関でも、管理職が選挙対策の幹部を務め、建築、土木の業者対策などで采配を振るっているとの訴えが寄せられています。職場では、親戚や知人を後援会へ紹介するようカードを回したり、年休をとってほしいといった要請まで行われているということです。
 知事は四年前、我が党の鶴田至弘議員の質問に対して、「選挙というのはいろいろなことがある。選挙をやる者になってみたら、いろいろある」と答弁をされました。庁内での後援会活動、それがどれほどのことかと言わんばかりのお答えでありました。
 私どもは、職員の皆さんがみずからの政治信条に基づき、自発的な意思で行われる活動に口を挟むものではありません。しかし、仕事の上での関係を利用して、人の政治信条、心の中にまで踏み入ってあれこれと指示をする、これを「いろいろある」と見過ごすわけにはまいりません。職員に忍従を強いることは許されることではありません。いろいろされる方にとっては、苦痛以外の何物でもないことでしょう。民主主義を保障する重要な機会である選挙において、個人の思想、良心の自由を侵す行為は恥ずべきものと言わざるを得ません。
 今、町じゅうに「変える」とか、「変革」とかいった文字が躍っています。政治を変えてほしいという県民の願いを反映したものと言えるでしょう。この際、知事選挙のたびに繰り返される県庁ぐるみの活動はきっぱり廃止する、これが求められると思うんです。総務部長の見解を求めます。
 以上で、第一回を終わります。
○副議長(木下秀男君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 フォレストシティ計画について、有罪判決が決まったわけでございますが、それに対する見解でございます。
 フォレストシティ計画の事業主体である和興開発株式会社が国土利用計画法違反で本年七月に大阪地方裁判所で有罪判決を受けたことについては、まことに遺憾なことだと思っております。
 なお、現在、前社長については大阪高等裁判所に控訴していると聞いてございます。また事業者においては、事件後、社長以下役員の交代など信用回復に向けた努力がなされており、このことは一定の評価がなされてよいのではないかと考えてございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の中でフォレストシティ計画を推進するのかということでございます。
 燦黒潮リゾート構想の中で重点整備地区の一つである紀泉地域は、関西国際空港にも近く、また都市近郊に位置するという、極めて高い優位性を持っている地域でございます。空港のインパクトを最大限に生かした国際交流型のリゾート空間として、質の高い滞在施設や集会施設、スポーツ、レクリエーション施設などを整備する計画でございます。フォレストシティ計画は、その中の一部でございます。
 リゾート整備は、本県の資源を生かした効果的な地域振興策でございますので、今後とも燦黒潮リゾート構想に基づき、長期的な視点に立って着実な推進に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 村岡議員のフォレストシティ計画についてのご質問、四点についてお答えいたします。
 まず、有罪判決に対する見解についてでございます。
 本計画の事業者並びに元社長などが本件の用地取得に関連して有罪判決を受けたことから、信用面の審査を慎重に行う必要があると考えてございます。事業者においては、事件後、社長以下、役員の交代など信用回復に向けて努力がなされているところでございますので、新体制による誠実な事業執行への姿勢などを十分見きわめて判断してまいります。
 次に、進入路変更計画についてでございます。
 進入道路の計画変更について、正式な申請はなされておりませんが、現在、事業者側で事前の協議がなされていると聞いております。事業の推進については地域住民の理解のもとで進めるのが望ましいと考えており、進入路の変更を行う場合においても、変更計画の内容を関係する地域住民等に十分説明を行い、理解を得るように事業者を指導してまいります。
 お滝の水がれについては、基本的には都市計画法の審査対象とはなっておりませんので、当事者間で話し合った上で解決していくべき問題と考えてございます。
 次に住民合意については、開発に伴うトラブルを未然に防ぐため、開発区域に隣接する自治会の同意を得るよう事業者に指導を行っておりますが、本計画については現時点においてもなお同意の得られていない自治会がありますので、これらの自治会に引き続き説明を行い、誠意を持って対応するよう事業者を指導してまいりたいと考えております。事業者の体制も改められたことも踏まえ、今後の経過を見きわめ判断いたしてまいります。
 最後に、地震災害対策についてでございます。
 フォレストシティ計画については、周辺に活断層などがあることを踏まえ、安全な計画で確実な施工がなされるべきであると考えております。事業者に対しては、さきの阪神・淡路大震災を踏まえ、計画されている調整池などの重要構造物や高盛り土が大震災時に区域外などに二次的災害を及ぼさないよう設計されているかを現行の耐震基準に加え、十分な検討を行うよう指示しております。また、工事の施工管理についても工程ごとのチェック体制の確立を指導しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 村岡議員ご質問の和興開発株式会社の国土利用計画法違反事件については、同法を無視した行為であり、まことに遺憾なことと考えてございます。
 県といたしましては、司法の処分とは別に、無届け取引等に該当した関係者に対し、国土庁通達で示されている無届取引等事務処理基準に基づき、昨年九月十四日に行政処分を行ったところでございます。また和興開発株式会社に対しては、国土利用計画法を遵守するとともに、今後このようなことがないよう強く指導を行ったところでございます。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 有罪判決に対する農林水産部長の見解でございますが、林地開発許可申請者の信用に係る重要なことと受けとめてございます。事件後、社長以下役員の交代等もございましたので、今後とも事業者としての社会的信用について十分留意するよう指導しているところでございます。
○副議長(木下秀男君) 保健環境部長鈴木英明君。
 〔鈴木英明君、登壇〕
○保健環境部長(鈴木英明君) まず、フォレストシティ計画に係る進入路変更計画についてのご質問でございます。
 計画の変更がなされる場合は、その内容を調査の上、事業者に対し環境保全について必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
 次に老人福祉について、入所施設と目標の見直しについてのご質問でございます。
 老人保健施設の整備目標については、平成五年に策定した老人保健福祉計画の中で国の水準を上回る目標を設定し、平成十一年度までに三千床を整備することといたしました。これに基づき、各圏域単位にそれぞれ目標を設定し、計画的に整備を図っているところでございます。
 また、本県の老人保健施設の整備状況でございますが、本年九月一日現在、十九施設、千四百四十一床が整備されております。また建設中を含めると、今年度末には二十二施設、千七百床となる予定でございます。
 議員ご指摘の老人保健施設の整備目標の見直しについては、現在、設定した目標に向けて整備中であり、現時点では考えてございませんが、今後、国の動向を見ながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、入院給食費補助についてのご質問でございます。
 入院時の食事負担については、家庭でも要している程度の食事の費用を基準としており、また所得に応じて自己負担額の軽減が講じられているところでございまして、入院されている方と在宅で療養されている方との負担の公平化を図り、今後予想される高齢化社会に向けての各種施策を推進するため、昨年十月に国において実施されたところでございます。県といたしましても、この趣旨を踏まえ、入院時の食費負担をお願いすることといたしました。
 県といたしましては、平成七年度から新規事業として老人保健施設の整備促進のための助成制度の創設を初め、少子化対策としての乳幼児医療費無料化の対象年齢の引き上げや母子家庭医療費助成制度に父子家庭も対象とするなど、さまざまな保健福祉施策の推進を図ることとしたところでございます。今後とも、優先度の高い施策から計画的、総合的な保健福祉政策を進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 在宅福祉の充実についてであります。
 高齢者の方が地域、家庭で家族や友人に囲まれ、健やかな生活を送れるよう、和歌山県老人保健福祉計画に基づき、ホームヘルパー、ショートステイ、デイサービスといった在宅福祉事業の充実を図り、本人や介護する家族の負担の軽減に努めているところであります。
 また、必要なときに必要なサービスを受けていただけるためにこうした制度のさらなる周知が必要との観点から、「県民の友」九月号で高齢者対策の紹介を行うとともに、おむつ給付など利用者の利便性の向上を図りました。
 今後とも、国が昨年十二月に策定した新ゴールドプランの基本理念である利用者本位の考えに基づき、事業を実施する市町村と相談しながら、ホームヘルプ事業の利用時間、回数の弾力化など、利用者の選択の幅を広げられるよう努めてまいります。さらに、今後は在宅福祉サービスの一層の充実を図っていくとともに、福祉用具の普及推進、高齢者、障害者の住みよい町づくりの推進等、在宅での生活を支援する施策の充実に努めてまいる所存であります。
 次に、入所施設と目標の見直しについてであります。
 県の計画における施設整備については、ほぼ計画どおり進んでいるところでありますが、特別養護老人ホームについては、整備目標三千床に対して、七年度に国より採択いただいた施設を整備すると二千九百九十五床となり、ほぼ目標値に達することとなります。しかし、入所を希望されている方が県内において相当数見られるのも事実であります。こうした状況に対して、和歌山県老人保健福祉計画により入所希望者の状況や地域的なバランス等を考慮しながら、緊急性の高い地域から計画的に整備を進めているところでございます。
 今後の施策のあり方については、高齢者の皆さんができるだけ自立して住みなれた家庭、地域で暮らし続けられることが重要との観点から、在宅福祉サービスの充実や福祉用具の普及などに重点を置いて努めていくべきものと考えております。
 県としての特別養護老人ホームの整備目標の見直しについては、現在国において行われている公的介護保険制度の動向等をあわせ考えながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
 次に、保健、医療、福祉のネットワークづくりについてであります。
 高齢者福祉については、保健、医療、福祉が高齢者の状況に応じ、それぞれの立場で適切なサービスを提供することは無論でありますが、保健、医療、福祉が一体となって初めて高齢者福祉が達成できるものと考えています。
 このため県といたしましては、各市町村に医師、保健婦、福祉事務所などで構成するサービス調整チームを設置し、保健、医療、福祉の有機的な連携を図るとともに、高齢者が在宅で暮らし続けられるよう、介護する家族の身体的、精神的負担を軽減できる最も有効なサービスの助言、役所への利用手続の代行等を行う在宅介護支援センターを中学校区に一つずつ設置できるよう取り組んでいるところでございます。さらに、県下全体の保健、医療、福祉についての中央相談機関として和歌山県高齢者総合相談センター、いわゆるシルバー一一○番を設置しており、今後とも県民の皆さんが気軽に相談できる環境整備に努めてまいるとともに、サービス調整チーム、さらには地域の民生委員などの協力を得ながら総合的なサービス提供体制の充実を図っていく所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 選挙活動に関するご質問でございます。
 県職員には、地方公務員法により政治的行為の制限や職務専念義務が課されているところでございます。また公職選挙法においても、公務員の地位利用による選挙運動が禁止されているところでございます。
 もとより、個人としての勤務時間外の政治活動については県職員にも認められているところでございますけれども、これら法律の趣旨にかんがみ、いやしくも県民の批判を受けることないよう注意を払ってまいりたいと考えております。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 フォレストシティ問題については、民地開発や都計法、国土利用計画法を所管するそれぞれの部長から答弁をいただいたわけです。
 この判決については、いずれも重くとらえていらっしゃる、認識をしていらっしゃる、そういう点についてはそのとおりだと思います。しかし私は、今後とも企業そのものの体質は恐らく変わらないだろうと思います。なぜならば、金を出している紀陽銀行だって、今、新聞等マスコミが報道しているところによると、非常に危険な銀行だと指摘をされています。そして、これまで私たちがわずかな給料の中から少しずつためていった金がこういうところに使われていったということは許しがたいことだと思います。こういうところに融資をしていた紀陽銀行の責任も問われなければならない。そういう点から見ても、私たちは開発業者としても非常に危惧をしております。
 この取引、無届けや脱税については、当時の企画部長、土地利用計画そのものに直接責任を負った最高責任者が、それも企画部長室で印鑑を押したという裁判所での社長の証言、私も確かに聞きました。こういうことが行政と一体となって行われ、個人的といえども企画部長という資格の者が取引をやったということは許しがたい行政の姿勢であると私たちは思います。
 そういう中で、多くの住民の皆さんたちから、県も一緒にやったんと違うか、こういう疑問が今非常に高まってきています。そういう点でも、このような行政に対する反省そのものも改めて問われなければならないと思います。このことを指摘しておきたいと思います。
 知事、もう一回お答えください。
 ここは非常にいいところだ、だからリゾート構想に盛り込まれている具体的なものについては今後とも推進していくんだとおっしゃいました。私は、フォレストシティ計画そのものをリゾート構想の一つとして今後とも進めていくんですかと聞いているんですから、そこのところをすり違えないでください、ちゃんと答えてください。ちゃんと特定をしているんですから。そこに答弁を求めたいと思います。
 それから、福祉の問題です。
 これは、いい具体策をいっぱい持っているんです。ところが、県民の皆さんたちにはそれが知らされていない。だから、最大のサービスを受ける側の立場に立ち得ていない。そして、事務手続等についても非常にややこしい。これは、もっと簡素化するべきだと思います。
 車いすが欲しい、あるいは補聴器が欲しいんだと相談すると、その動けない患者さんをふれ愛センターに連れていきなさいなどと言う。そういうような非常に冷たい行政の姿勢は改めなければなりません。デンマークや北欧でも、あるいはもう日本全国各地でも、相談に来た人たちのところへ行政側のしかるべき専門家の皆さんがわざわざ出向いていって対応するという姿勢が積極的に行われていますから、和歌山県もやっているんだと言うのだったらそこまで突っ込んでほしい、そういうお願いをしておきたいと思います。
 それから、知事選挙でございます。
 今、盛んに行われているんですが、総務部長、今のあなたの答弁は非常に一般的な答弁であります。じゃ、今和歌山県で県庁の職員がそういう問題になるようなことは全くいたしておりませんと明言できますか。もう一回お答えください。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 フォレストシティ計画は燦黒潮リゾート構想の一部かということでございますけれども、私は先ほど、一部であると答えておるわけでございまして、燦黒潮リゾート構想に基づいてこれを推進すると申し上げたところでございます。
 ただ、フォレストシティ計画の取り扱いについては、先ほど各部長から答弁しましたように、法令を遵守して審査を行い、取り扱っていくということでございます。
○副議長(木下秀男君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 職員は法令に従って行動しているものと信じております。
 なお、先ほども申しましたように、政治的活動についても、個人として勤務時間外に行う行為は、これは許されておりますので、ご了解いただきたいと思います。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 36番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 それは、職員を信じていらっしゃるわけですからそのとおりだと思うわけですけれども。
 きょう、ゆたかで住みよい和歌山県をつくる会が十二時から記者会見をして、この問題について発表しています。その内容を見てみると、やはりこういう問題がしかとしてあると。私の手元に届けられたのにも、ちゃんとあるんです。組織を通じて、各部署から何名出してくださいというようなことがごく自然に行われている。これが事実とするならば、非常にゆゆしい問題だと思うんです。これは早速調査をして、厳然とした対処をしていただきたいと思うわけです。
 この点については、以前からもいろいろと私どものところに寄せられた問題ですし、勤務上の問題として、そういうふうに組織を使って職員の皆さんが動員されてくるということになれば、思想信条、良心そのものも剥奪することになりますし、憲法上の問題としても許せない問題だと思うんです。そういう点で、直ちに調査をしていただきたい。これは、委員会でも調査の経過について求めていきたいと思います。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番永井佑治君。
 〔永井佑治君、登壇〕(拍手)
○永井佑治君 お許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。
 先輩議員によって築かれ受け継がれてまいりました伝統と格式のある和歌山県議会で、初めて質問をさせていただきますので、お聞き苦しいところがあるかもしれませんが、ご容赦をお願いしたいと存じます。
 それでは、まず交通網の整備についてお伺いをいたします。
 本議会は、今期をもってご勇退を決意されている仮谷知事にとって最後の議会であります。知事が本県発展のため心血を注がれたこれまでのご労苦に対しまして心から敬意を表しますとともに、質問する機会を得ましたことを私は大変光栄に存じております。
 そこで、この機会に足跡を振り返り、その代表する業績を一つ挙げさせていただきたいと存じます。戦後、歴代知事が数多く手がけられた業績の中からそれぞれ一つを挙げることは、もとよりある意味では無謀であることを十分承知いたしておりますし、評価を誤ることになるかもしれませんが、また一方では、知事を親しみやすくし、身近なものにするものでもあると思います。
 そういう意味で、小野知事は二十八年水害を初めとするたび重なる台風や水害などの災害の復旧に力を尽くされ、災害に強い県土づくりをされました。また大橋知事は、高度経済成長期にあって数々のビジョンを描き、それを実行に移されましたが、中でも特に記憶に新しいのは国民体育大会の開催とその成功であります。国体道路を初めとして、県下各地の大会当時の施設が今でも県民に有効に利用されているのはご承知のとおりであります。
 さて仮谷知事でございますが、これまでの五期二十年間の数々の業績の中から私なりに一つ挙げることを許していただけるならば、広い意味での道づくりではないかと思います。本県は、半島なるがゆえにこれまで多くの面で不利な立場に置かれてまいりました。直接的に、また間接的に産業の振興をおくらせ、企業立地、企業誘致を難しくしてきましたのも、不便な半島であるという時間的制約のためであります。以前は、「東京から一番遠い県庁の所在地は」と言いますと「和歌山市だ」と言われたものでありますし、また近畿経済圏からも孤立をしておりました。
 今では、関西国際空港が開港し、高速道路も大阪、神戸と直結し、JRくろしお号の新大阪乗り入れも実現をいたしました。車で大阪、神戸まで約一時間、その近さを実感しておりますし、本当に便利になったと、県民、市民ひとしく喜んでいるところでございます。まさに本県は国土軸に直結し、半島性から脱却して今後の発展に大きな期待が寄せられているのであります。
 ところで、現在の一家族に二、三台が当たり前という車社会にありましてはなかなか道路の整備が追いつかないのが実情であるとは思いますが、さりとて都市の発展と活性化のためには道路網の整備が何といっても急務であると言わなければなりません。経済活動の道路への依存度の大きさは、さきの阪神・淡路大震災で阪神高速神戸線を初めとする幹線道路が壊滅的打撃を受けて寸断されましたが、そのことの経済に与えた影響ははかり知れないものがあり、幹線道路の復興が経済界から何よりも優先し強く望まれているのを見てもわかるところであります。
 翻って、我が県都和歌山市の東西幹線道路の整備状況を眺めてみますと、知事を初め県当局のご苦労と努力を認めるのにやぶさかではありませんが、都市計画道路四十路線のうち完成したのがわずか三路線、全く手をつけていない道路が六路線、残りの三十一路線は以前工事をした箇所があるかまたは現在工事中のものと思われます。しかも、計画決定を最初にしたのが古い話で昭和二十一年、今から五十年前。大幅な見直しをしたのが昭和四十年でありますから、このときからでも既に三十年が経過しており、直接的には和歌山市の問題であるといたしましても、行政の継続性を考えますと県にも今苦言を呈せざるを得ないのであります。県民、市民が行政に一番望んでいるのは道路の整備であります。
 このところ県市の仲が少々怪しくなっておりますが、和歌山市内幹線道路の整備は県市互いの協力と県のリーダーシップがなければ到底なし得ません。私の地元・宮地区を初めとする東部地域でも、住民が朝夕の交通渋滞で日々の生活に不便と不安を感じている実情を見るにつけ、また和歌山の発展と活性化を心から願う者の一人として、県がこの問題に本格的に取り組み、なお一層の努力をお願いし、たとえ年々少しずつではありましても改善されることを望んでやみません。
 そこで、まず知事にお尋ねをいたします。これまでの県政を振り返り、特に陸と海と空の道づくり、交通網の整備に取り組まれてきたご感想と、今後の本県の交通体系整備についての方向をお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、都市計画道路湊神前線の県施行部分、JRの東側から国体道路までについては、和歌山操駅の跡地に建設中の多目的ホールや健康福祉棟へのアクセス道路として、またその周辺整備の関係からも早期の完成が望まれているところでありますが、JRとの交渉、地元の意見等も含め今後の見通しはどうなっているのか、また南北の有本田尻線についてはどのように取り組んでいくのか、さらに、一つの路線で県施行部分と市施行部分とが入りまじっている道路があるが、事前に市と協議をしていないのか、またそのような場合いろいろな点で不都合が生じないか、お聞かせ願いたいと存じます。
 次に、関西国際空港埋立用土砂採取跡地であるコスモパーク加太の整備に関係してお尋ねをいたします。
 関西国際空港が開港一周年を迎えましたが、去る八月二十四日、航空審議会の空港航空保安施設整備部会が第七次空港整備五カ年計画の中間取りまとめという形で基本的な考え方を発表し、その中で、昨今の厳しい経済情勢には触れずに、「我が国においても、来るべき二十一世紀は経済、文化、社会等、国民生活を取り巻くあらゆる活動が諸外国との活発な交流を通じて展開していく時代になる」と考え、「今後、経済、社会全体が成熟し、従来のような右肩上がりの拡大基調を維持できなくなることが見込まれるが、こうした状況においても国際ハブ空港等は時期を失うことなく整備すべき社会資本の一つ」と位置づけて、「国際ハブ空港を中心とした国際交流拠点の整備を進めることが焦眉の急である」と述べ、基本的な方向を示すことによって、いよいよ関空の二期工事が全体構想の実現に向けて動き出そうとしております。
 今回の事業は、ご承知のとおり、残る二本の滑走路のうち平行滑走路の建設とそれに関連する施設の整備でありますが、その手法が空港施設と用地造成の主体をそれぞれ別にする上下分離方式ということであり、本県の負担する費用の割合もふえるであろうと懸念されるところであります。また、二期工事の建設が予定される海域は一期工事に比べて水深も深く、また海底の地質も沖積層、洪積層の部分が厚いということで、埋立用土砂を二倍以上投入する必要があると言われております。
 本県も当然、一期工事のときと同様、土砂搬入の一翼を担い、土取りをすることになろうと思われますが、採取土砂の量が多い分、現在の二百六十ヘクタールより広い跡地ができる可能性も予想され、またその時点で跡地の活用を考えなければなりません。もっとも、二期工事の土砂採取跡地の利用については関西民間有力十八社で構成する紀泉国際森林都市構想推進協議会による森林都市建設構想なども言われていますが、まず先に解決しなければならないのがコスモパーク加太の取り扱いであります。
 お聞きしたところによりますと、現在ほぼ粗造成の段階まで整備がなされているということでありますので、次のことについてお伺いをしたいと思います。
 今議会にコスモパーク加太へのアクセス道路として八億円の補正予算を要求されておりますが、今後コスモパーク加太計画の推進に当たり、企業の誘致を含めて施設立地の促進に向けては、道路、上下水道、電気、ガス等のインフラ整備がまず必要であります。どういった考えのもとにインフラ整備を進めようとされているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、現下の厳しく長い経済的低迷を踏まえて、コスモパーク加太計画をこれまでの民間主導型から当面行政主体での取り組みに軌道修正されたと聞いておりますが、同計画がリゾート、リサーチ、レジデンスといった複合的な町づくりを目指す限り、民間企業の果たす役割は大きく、企業の進出を仰いでいくための取り組みがより重要になってまいります。依然として厳しい経済情勢の中で少しでも企業が進出しやすくするためには、コスモパーク加太を対象に、現行の企業誘致奨励金制度に準じた優遇制度を講じていく等の検討も必要ではないかと考えます。現行の企業誘致奨励金制度では、観光・レクリエーション施設等は対象外となっています。観光立県、リゾート立県をいやしくも標榜する本県がなぜ対象外にしているのかの議論については別の機会に譲ることといたしまして、当面、コスモパーク加太に限定して、リゾートといった分野に属する立地施設に対する優遇措置を前向きに検討されるお考えはないのかをお尋ねいたします。
 最後に、障害者の社会参加についてお伺いをいたします。
 障害者問題については、さきに玉置議員が福祉のまちづくり条例の関係で主にハード面について質問をされましたので、重複を避け、ソフト面に限ってお伺いをいたします。
 社会的立場の弱い人々にどれだけ配慮をするかということが一国の文化の成熟度をはかるバロメーターの一つであると言われておりますが、一カ月ぐらい前のある新聞に「障害があっても外に出ようよ」と題して、次のような投書が掲載をされておりました。
 「今夏も、二十四人(車いす利用者十一人)でアメリカ西海岸でのホームステイを体験した。介助犬ウィーバーと暮らすトム(二十八歳)は、自転車事故で頸椎四番損傷の電動車いす生活。病院でのリハビリ・スポーツ大会で会い、その後、大リーグ・パドレスの試合前、球場に来て私たちを励ましてくれた。両手先も不自由だが、元気いっぱい、スポーツ万能、雑誌の表紙を飾る好青年。南部なまりの黒人ジェリー(三十九歳)は、二十年前、病気で車いすに。四時間ごとにカテーテルでの排尿は私と同じ症状。日本語の勉強中で、日本で暮らしてみたいと言う。にこにことほほえみながら車で帰っていった。電動車いすのピーター氏は、ベトナム戦争で負傷。多数の車いす利用の学生が学ぶグロスモント大学でコンピューターを教えていて、私たちにハイテクの技術を見せてくれた。今回の受け入れ家庭のホストでもあり、球場に来るのも当然というバイタリティーに敬服。アメリカの障害者たちは、視線を気にせず、心行くまで『外』を楽しんでいます。重度の人でも、健常者との『区別』はありません。日本では『障壁』がたくさんあってためらうことの多い私たち、それでも思い切って外に飛び出してみましょうよ」と、こういった文であります。
 私も、わずか半月ぐらいの滞在でしたが、友人の世話でアメリカ人に溶け込んで生活をしたとき、同じことをこの目で見、感じてもおりましたので、全く共鳴をいたしました。投書の主は、京都市に住んでいる横本勝さんという五十四歳になる同志社高校の英語の先生であります。また、同氏は自身、腰椎の三番を損傷している車いす生活者で、両下肢は動かせませんが痛みだけは感じるということで、私が一番最初に電話でお話をしたときも、腰から下に針を千本ほど刺されたような痛みを感じているということでありました。
 横本さんは実に明るい性格の持ち主で、今のような状態になったのも自分の運命とあきらめて人生を十分楽しんでいるということで、先日話をしてくれたときも、この二十六日から福島へ行って障害者国体にアーチェリーの選手として出場するのだと、実に楽しそうに話しておられました。
 ご承知のとおり、アメリカではADA法(障害者法)等によって障害者のためのアクセスが徹底していて、例えばどんな小さなレストランでも車いす利用者のためのスロープをつけているように、全くといっていいほど不便を感じないということでありますし、また社会の見る目も健常者と全く区別がありません。国情や国民性の相違があるとはいえ、我が国の実情はと言いますと、私も障害者の保護者団体のお世話をさせていただいておりますが、まだまだ障害者を特別な目で見たり変な同情をしたりといったように、どうも社会の理解がいま一つで、どんなに明るい性格の持ち主でも障害者になるとどうしても嫌な思いをするので外に出なくなるといったような、内にこもりきりの傾向が強いようであります。
 障害者福祉については、制度的にも財政的にも十分と言うにはほど遠いものがありますが、施設の整備等ハード面と同様、重要なのは、障害者が人の目を気にせずに外に出られるような社会をつくることであります。障害を持っている人々に健常者と同様の生きがいや楽しみを与えることもまた、本当に血の通った行政の責務と言えるのではないでしょうか。ソフト面においても障害者に優しく住みよい県土づくりをされるよう、強く要望するゆえんであります。
 そこで、最後に、障害者の社会参加を促すための啓発活動や生きがい対策についてどのように考えておられるのかをお尋ねして、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの永井佑治君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 永井議員にお答え申し上げます。
 陸・海・空の交通網の整備についての知事の感想と、今後の交通体系の整備の方向についてでございます。
 私も、知事に当選させていただいてから、道路、高速道路、空港などの交通基盤の整備を県政の最重点施策として取り組んでまいったところでございます。高速道路は、知事就任当時は海南まで二十五キロの整備をされておりましたが、国の高速道路計画ではその区間しか認めていただいておりませんでしたので、海南から御坊までの間は一般有料道路として整備を進めてまいったわけでございます。その後、昭和六十二年の見直しで近畿自動車道が海南から新宮まで、また京奈和自動車道が和歌山から橋本まで追加されまして、多年の念願がかない、大変な喜びでございました。
 また関西国際空港については、本県を関係県とするためにまず取り組んだわけでございます。和歌山が外されておった。そしてまた、近畿が共同して関空を進めていく──兵庫県、大阪府、和歌山と、神戸市、大阪市と、お互いに意思が疎通していなかった。それを推進するために、関係府県知事や市長を和歌浦に呼んで湾岸サミットを開催したことなどが思い出の深いことでございます。
 また、特急くろしお号の新大阪駅乗り入れ、阪和自動車道の全通により、県内外の皆さん方から大変便利になったと評価をいただいており、昨年の世界リゾート博が大成功した大きな要因の一つではないかとも考えておるところでございます。
 さらに、海上交通としてテクノスーパーライナーの実験船が和歌山下津港に寄港して貨物輸送実験を行うなど、基地化、誘致に向けて大きく前進したものと確信しています。
 現在、湯浅御坊道路の整備、新南紀白浜空港、紀勢本線の高速化などの事業を進めておるわけでございますが、道路についても、現在和歌山県に国道が十一路線ございますけれども、そのうち五つの路線をこの間に昇格いたしまして、大きく前進したことも思い出深いことでございます。
 半島性の克服という観点からは、交通基盤の整備の見通しはある程度ついたのではないかと思っておるところでございます。今後は、県内の高速道路の整備、関西国際空港の全体構想の早期実現を進めるとともに、国土軸から離れていた本県を国土軸上に位置する地域とするため、太平洋新国土軸の実現に取り組んでいくことが重要ではないかと思っております。特に、太平洋新国土軸の要衝となる紀淡連絡道路は、大阪湾環状道路を形成するとともに京奈和自動車道ともつながりますので、和歌山県のみならず近畿全体の発展に大きく寄与するものであると考えておるわけでございまして、こうした交通基盤整備にご尽力いただきました国会議員、県会議員初め多くの皆さんに、心から感謝申し上げたいと思っております。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 永井議員の和歌山市内幹線道路の整備についてのご質問、三点についてお答えいたします。
 まず、都市計画道路湊神前線の国体道路より東側四百四十五メートルについては、県の事業として整備を進めてございます。当地区は人家が密集しており、商店や借地、借家の方も多いことから用地補償交渉が難航しておりましたが、重要な道路でもありますので、この対応に全力を挙げてきました結果、現在、解決のめどもつきつつあります。今後、早期の解決を図り、事業の促進に努めてまいります。
 次に都市計画道路有本田尻線については、JR紀勢線東部市街地の南北の幹線道路でございまして、JR和歌山駅東側付近は和歌山市で区画整理事業により整備を進めているところでございます。さらに、南側の区間については、今後、地元、和歌山市と調整を進めてまいります。
 最後に県施行と市施行の区分についてでございますが、都市計画事業は都市計画法により原則として市町村が施行することとなっており、市町村が施行することが困難または不適当な場合等に県で施行することができることとなっております。このため、技術的に高度で事業費の大きい連続立体交差事業及び整備後に県道になるような道路については、市町村と協議の上、県事業で実施しているところでございます。整備の進め方については、整備が円滑に進むよう今後とも地元市町村と十分に協議の上進めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 永井議員ご質問のコスモパーク加太計画については、従来からの開発目標であるリゾート、研究開発、居住の三つの機能を持つ国際的複合都市の整備を基本とし、社会経済の動向に柔軟に対応しながら推進してまいりたいと考えてございます。したがって、インフラ整備については、開発熟度を考慮に入れ、先行的かつ段階的に進めてまいりたいと考えてございます。
 当面、まず土地の利用価値の増進と施設立地の促進を図るため、平成九年度完成を目途に幹線道路の整備に着手すべく、今議会において補正予算を計上してお願いしているところでございます。その他のインフラ整備についても、道路整備とあわせて整備を進めるべく、関係機関との調整を図っているところでございます。
 次に企業に対する優遇措置についてでございますが、現在の厳しい社会経済情勢の中で企業の進出意欲は減退しているものと認識しており、コスモパーク加太への企業進出を促進するため優遇措置を講ずることも重要な取り組みの一つではないかと考えてございます。現行の優遇制度として、観光保養施設に対しては県の融資制度がございます。また、財団法人地域総合整備財団によるいわゆる「ふるさと融資」や総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法における特例措置による税の軽減等の優遇措置等がございますが、コスモパーク加太に地域を限定した新たな優遇制度についても研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 障害者の社会参加を促進するための啓発並びに生きがい対策について、お答えいたします。
 昭和五十六年に「完全参加と平等」を理念とした国際障害者年が定められ、これを契機として障害者に対する理解が深まるとともに、障害者の自立とさまざまな社会参加が図られてまいりました。障害者が社会の一員として積極的に社会参加を進めるために、ハード面では昭和六十一年に障害者等の住みよい生活環境整備指針を策定し、スロープや障害者用トイレ、点字ブロックの設置等、公共的な建築物、道路等の環境整備に努めてきたところでございます。またソフト面では、県民に障害者に対する正しい理解と認識を持ってもらうため、十二月九日の「障害者の日」を中心として、「県民の友」やラジオ、テレビの広報、あるいは県下各地での街頭啓発や「ふれ愛イベント」などの啓発活動を実施するとともに、スポーツ教室の開催など、障害者の社会への参加を支援する施策を実施し、成果を上げてきたところでございます。
 議員ご指摘のように、障害者が生きがいを持って生活し、自由にもっと町に出ていける社会的環境をつくり上げるためには、県民の正しい理解を得る啓発の一層の推進が必要と思われます。今後も、障害者と触れ合い共感する機会をつくる交流事業やハンディキャップの体験学習など、創意工夫を凝らした啓発活動を展開するとともに、文化活動やスポーツを通じて生きがいや喜びを分かち合え、ともに生きる社会の実現を図ってまいりたいと考えてございます。
 いずれにしても、障害を持つ人も障害を持たない人も、ともに社会の中で普通の生活が送れるような福祉の町づくりを積極的に推進してまいりたいと考えております。
 以上であります。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で永井佑治君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時三十八分散会

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