平成7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(鶴田至弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 仮谷知事が迎えました最後の議会で質問するに当たり、まず知事の長期の労苦にご慰労を申し上げたいと思います。また、仮谷県政二十年の間、一貫して野党の立場にあった日本共産党県議団として、私どもが抱き続けてきた批判的観点から二十年を振り返り、私どものご意見を申し上げ、知事の所信をお伺いするものであります。
 この二十年の間、国際的にも国内的にも、まさに多事多難の時代であり、地方政治を預かる首長においても、まことに苦労の多い時代でもあったかと思われます。先日、広報公聴課が作成した「写真でみる和歌山県 発展のあゆみ」というパンフレットを眺めながら、和歌山県が実に多くの事業を行い、どのように県土づくりに努めてきたかが一覧でき、その努力の過程に思いを深くしたところでもあります。行政と県民の努力を改めて見た思いでもあります。仮谷知事の行政がこの中に一定の役割を果たしてきたことを評価することに、野党といえどもやぶさかではございません。
 しかし同時に、今日現在もコスモパーク加太が一日四百万円の利子払いをせざるを得ず、今なおむき出しの赤土の姿をさらしているのを見るにつけ、あるいはまた住金の埋立地にLNG火力発電の計画の進行を見るにつけ、私たちが抱いてきた批判的見地をこれまた改めて確認する思いでもございます。成果は成果として評価しつつ、同時に県政の根底で、県政が国の政治や巨大企業との関係でその主体性が貫かれたのか、住民本位・住民福祉の立場が貫かれたのかを質問し、知事がこれらの問題を次期知事にどう引き継いでいかれるのかをお尋ねしたいと思います。
 知事が着任する以前の小野・大橋県政の県勢浮揚の基本政策は、北部臨海工業地帯の造成とそこへの大企業の進出・拡張の促進に置かれておりました。一九五八年から一九六八年の間だけでも、臨海地帯の埋め立てとその整備のために、国の資金、県市費等、当時の金額にして実に三千億近い資金が投じられました。ちなみに一九五八年の県の当初予算が百三十四億円だったことを考えると、この金額がいかに巨大なものであったかがわかります。
 国の政治が大企業の拡張策を大々的に応援し、地方の財力をその策に呼応させるという仕組みが国策として推進され、和歌山県としてもその中に組み込まれ、また率先して呼応した図式であったと思われます。そこには、大きな企業が来れば働き口もふえる、仕事もふえる、県がそこに肩入れをするのも、いずれは県民の福祉につながることだという理由があったと思います。
 私は、県政が企業を誘致することに反対したり、あるいは大企業の企業活動を否定したりするものではありませんが、その過程における巨大企業への県政の余りにも偏重したサービスとその大企業の社会的責任放棄に対する県行政の甘い容認、その反動としての県民福祉の圧迫を批判するものでありますが、知事は従来のそのような大企業優遇策を基本的に引き継がれました。そして、国論を二分し、結局は住民から猛反対を受けた原子力発電の誘致の試みにまで進んだわけであります。
 その任期の後半では、国策としても失敗した、大企業を中心としたリゾート開発政策の一端を担いましたが、それは県土乱開発、大企業優遇型の県政となり、大企業の得手勝手や県民の反発を受けて、その大半は残念ながら成功をいたしておりません。そして、その結果、現在どのような状況が生まれているでしょうか。
 北部臨海工業地帯に進出膨張した主要企業、住金和歌山、住金海南、鴻池運輸、東燃、丸善、富士興産の主要五社の二十年前、一九七四年の雇用者は一万六千七百人でありました。しかし、一九九四年では九千五百八十人と、実に七千百二十人の減少になっております。地方公共団体の血税をも吸収しながら膨張した企業は、さまざまな社会的変動の中にあっても雇用の確保という社会的責任を全うするのが当然の義務であり、国としても県としても、その責任遂行を求め、努力するのがまた当然であろうかと思います。地方行政にいかほどの力があろうかという説もあるでしょうが、県民福祉の保障を責務とする行政にあってはそのために全力を傾けるべきであり、国にもしかるべき法的措置を要求するのが努めであろうかと思います。残念ながら、それはなされませんでした。
 一方当局は、雇用の場の創出のため、独自の努力として企業誘致に努めてまいりました。この間、六十数社を誘致し、二千九百人弱の雇用を創出いたしました。この努力は多としつつも、大企業グループの雇用減には追いつかず、さらに民間企業の事業所数は最盛期の六万四千五百四十三事業所から六万一千八百九十九へと二千六百余の事業所が減少し、それに伴い従業員数も全体として七千七百人の減少を見ております。国土軸から隔たり、京阪神の経済圏との競争力という点から見ても大きな困難はあったでしょうが、この現実は厳しい評価が下されなければならないでしょう。
 この間、地場産業、中小企業は時代のあらしに翻弄され、県行政への支援、援助を求めたところでございますが、県はそれへの一定の対応をしたものの、その要望にはこたえ切れませんでした。さきに紹介した事業所数の変遷がそれを示しているかと思います。中小零細企業への援助策の少なさは、例えばマリーナシティ造成に五百六十五億円を投入し、その主要部分を一企業に二百数十億円で売却するサービスぶりと比べれば、その差の大きさは覆うべくもありません。
 大企業への甘さという点では、ほかにも西防の埋立地の転用問題にも見られます。知事が「遺憾、遺憾」と言っている間に、既成事実のようにLNG発電計画が進行し、検討委員会は追認の場の感もあります。コスモパーク加太では、一千二百億円の土砂を八百億円で関空会社に売り渡し、一日四百円の差額赤字の利子払いを今なお続けている姿も、その甘さの一例でありましょう。
 一方、農村の問題を考えてみますと、農業従事者人口が激減をいたしました。これは、県土を平均して発展させていくという立場から考えると極めて憂慮すべき事態であります。これも基本的には、責任は国策にあるのは言をまちません。減反を初め、農産物の自由化、木材の無制限の輸入政策等々を一つの原因としながら、その後を文字どおり野となれ山となれと、後は地方自治体の努力に任せるという国の無責任さにあろうかと思います。地方としても農村の疲弊を防止するために一定の努力がなされたのでしょうが、それは有効に機能しませんでした。その結果、農業従事者はこの二十年間に二万人減少いたしました。都市隣接部で人口が若干増加した八団体を除く三十五町村では、この二十年間に実に四万二千人の人口が減少をいたしました。「コミュニティーとして成り立たない」という嘆きさえ聞こえる昨今であります。明らかに県土の平均的な発展が大きく阻害され、いびつなものになっていることを物語っており、主要な責任は国政であるとしても、地方行政としての責任は免れ得ないでしょう。
 直接的な福祉の問題をとってみても、大橋県政時代の福祉政策から見ても大きな後退が見られました。「まごころ県政」を称しましたが、国の行政改革の方向に従い──国の行政改革は主として福祉政策と教育政策をねらい打ちという感がございましたが──八五年には、寝たきり老人、重度障害者、長期入院患者、老人ホーム入所者への見舞金をあっさりと削り取ってしまいました。国保への補助金の少なさ、乳幼児の医療費助成への所得制限、対象年齢の切り下げ等々にあらわれました。最近でも、入院給食費自己負担への一部補助を国策であることを理由に拒否されたことなども、国策追随と県民要望への温かさの欠如として指摘されなければならないのではないでしょうか。
 このような基本的に大企業優遇策に傾いた行政の中で、一人当たりの県民所得は低下の一方となり、一九六〇年代では全国順位十位であったものが一九九三年では三十七位に低下するということになりました。この数字は直接的に県民の懐ぐあいを示すものではないにしても、その一つの重要な目安であることを考えると、この低下傾向は極めて大きな問題だと言えるでしょう。
 最後に、平和と民主主義の問題について一言つけ加えておきたいと思います。
 極めて特殊な人を除いて、日本が戦争に巻き込まれることを歓迎する人などはいるはずもなく、知事もみずからの経験の上から平和を希求することをしばしば言明され、私もいささかもそれを疑う気持ちはございませんが、核兵器等の問題についてはその実験・使用に反対を表明しつつも核兵器即時廃絶の立場をとらず、究極的廃絶──そのうちいつかという立場にとどまっておられること、和歌山県の非核宣言を「実効性を疑う」として拒否するなど、県民の願いと遠く離れたことはまことに残念なことでありました。
 日本の過去の侵略戦争についても、侵略戦争であったことの反省の弁を拒むなど、明確な反戦平和の姿勢で県民をリードする点ではおくれをとっていたと評したく、この点でも遺憾の念を抱かざるを得ませんでした。
 幾つかの点を申し述べましたが、今指摘いたしました点は県政を評価する上で重要な視点であろうかと思います。概して言えば、県民と行政の努力の中で多くの前進もございましたし、知事もその中で大きな役割も果たされましたが、県政の基本的な問題として、国策への追随と大きな企業への多大のサービスと甘さ、それに比して相対的な意味で県民生活への行政サービスの薄さが指摘されるのではないでしょうか。知事の所感をお伺いいたします。
 次に、官官接待についてお尋ねをいたします。
 和歌山市の市民団体の調査によりますと、一九九三年度(平成五年度)の和歌山県東京事務所の事務打ち合わせ経費と称する省庁役人の接待、事務打ち合わせ経費は、二百四十八件で総額二千五百万円、一件平均十万円、一人当たり経費一万四千円となると述べております。また、贈答品の支出は一千五十万円となっており、中央省庁への接待、贈答は約三千五百万円が支出されたことになります。また、一回の会食で最高額が百五万円、一人当たりの最高額が四万三千八百円、二次会と思われる支出二十五回、三次会と思われるもの一回と報告をされております。ごく一般的な県民の常識で言えば、県が中央省庁の役人を接待するということ自体が理解しがたいことですが、その回数、金額がいかにも多額であり、一体どうなっているのかという疑問が当然のこととしてわいてまいります。
 そこでお尋ねをいたしますが、平成五年度において県が支出した中央省庁に対する接待費は全体としてどれだけのものになっているのかをお示しいただきたいと思います。先ほど申し上げた、和歌山県で判明した食糧費の金額は東京事務所、秘書課、財政課を若干含んだものですが、宮城、広島、岩手、徳島、福岡の五県ではすべての食糧費が判明しています。これら五県の場合は、東京事務所、財政課、秘書課の食糧費支出は食糧費全体の一八・二%、全体の約五分の一だそうであります。この平均値で和歌山県を考えてみますと食糧費で約二億三千万円ぐらいかと推定されますが、当局が発表しない限り、正確なものは不明であります。全体で幾らになっていますか、お示しください。また、このうち中央省庁に対する接待費は幾らになっていますか、お示しください。なお、平成六年分についても同様に明らかにしていただきたいと思います。
 次に、過去の接待における行政効果についてお尋ねをいたします。
 報道や聞き及ぶところによれば、接待によって予算獲得が有利になるとか、国の情報を得るために有効だとか言われていますが、県当局として従来の接待でどのような効果を上げたと思いますか。接待によって獲得し得た補助金あるいは情報はどのようなものであったのか、具体的に例示していただきたいと思います。
 接待に当たる県当局の皆さん方の心情は、「この酒も県民の福祉向上のため」と、時には苦い酒に酔いを殺して飲んでおられることもあろうかと、そのご苦労に思いをはせることもありますが、接待行為に行政効果を認めるならば、接待上手が仕事上手であり、他府県との接待行為で競い勝つことこそ行政手腕ということになります。和歌山県は他の府県に比べて接待費は少ない方だと聞いておりますが、それでは補助金や情報獲得に負けるのではないかという心配をしなければならないことになります。
 このように、接待に行政効果を認めるならば明らかにわいろの性格を持つものと言わざるを得ませんし、もしそのような効果がないのだとすれば、明らかにこれは税金のむだ遣いと言わざるを得ません。いかがお考えでしょうか。
 なお、酒を飲みつつ行う接待というのは公務に入るのか、私的行為なのかもお示しいただきたいと思います。
 目下、食糧費の問題で会計検査院が幾つかの府県を検査中と聞いております。通常の検査の枠内で追加的に食糧費を調査するというのが大阪、島根、秋田の三県と言われておりましたが、九月十九日に島根県に特別検査が入りました。食糧費に多額の公共事業補助金が使われていたということで、補助金の目的外使用の疑いによる検査とのことであります。今週は秋田県が予定されているとのことですが、九月六日に行われた参議院決算委員会の中で、通常の検査は終わっているが追加的に食糧費について調査する対象として、沖縄、宮城、茨城と和歌山が取りざたされていました。この点について、どのような実情になっておるのか、どのように認識されておられるのかをお尋ねいたします。
 和歌山県においては補助金が食糧費、接待費に回されるということはありませんか。もしそういうことであれば明らかに法律違反ということであり、まことに遺憾なことであります。この点、実情はどうなっているのかをお示しいただきたいと思います。
 るる申し上げましたが、官官接待の問題の根本には、国との関係で地方自治を貫くかどうかという根本的な問題があります。国の実情や補助金が中央官僚の接待なしでは思うようにとれないということは、まさに中央官僚の前に隷属した地方の姿を目の当たりにするようで極めて腹立たしい思いを禁じ得ないものでありますが、それだけに問題の根本は国の方にもあることは明らかであります。地方が頭を低くして中央官僚を接待するのは、幾分にも「我が県に格段のご配慮を」という思いがあるのでしょう。同時に、「他府県がやっているのだから、我が県もそうしなければ不利な立場に陥るかもしれない。県益のために二次会へもどうぞ」ということになっておられるのかと思いますが、その上にあぐらをかいて接待を受ける官僚の姿は、思い浮かべるだけでも不快であります。
 新聞等に報じられる政府側の談話では、「それによって特別の配慮がされることはない」、「地方の実情をじっくり聞けるよい機会」などと語っています。接待で地方の実情をじっくり聞きたいなら省庁の方で地方を接待すればよいわけでありまして、県が中央省庁から一度でも接待を受けたことがありますか。あれば教えてください。多分ないのではないかと思いますが、いずれにしても、官僚を接待しなければ情報にしろ予算にしろ効果的に引き出し得ないということは、国の一方的な地方支配であり、地方の国への屈辱的な隷属であり、地方自治の精神から大きくかけ隔てた姿だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 この際、国の省庁接待は毅然とおやめになってはいかがですか。ついでにお聞きしておきますが、県と市町村の関係の中で県が市町村から接待を受けたことがありますか。あるいは、その有無によって市町村に対する情報提供等に格差が生じるというようなことがあったでしょうか。
 八月十七日付で出された総務部長の通知、「食糧費の適切な執行について」なる文書では、「食糧費の一般的削減に心がけよ」とか「会食などでは出席者を最小限にとどめよ」とか「余り派手な飲み食いをするな」等々を述べていますが、結局、省庁接待を存続させ、ついてはできるだけ安上がりでかつ効果的接待を期すという内容であります。これでは、世論のほとぼりが冷めれば、ずるずるとまた接待費の上昇が予想されます。地方自治体の国への従属をみずからの手で温存しているという姿でありまして、大変残念なことだと思っております。
 もちろん、他府県の動きも複雑で、ごく一部では全廃を目指すというところもありますが、大方は削減の方向を打ち出しているようであり、また一部には「従前どおり。何が悪いのか」と変な開き直りをしているところもあります。全体として意思の統一は府県レベルでは図られておりません。他府県もまた世論の動向と周辺の団体の動きを見ているようであります。この状況は、いずれまた大規模な官官接待の根を残すことになります。
 和歌山県が地方自治の精神に沿って、全国に先駆けて接待中止を表明し、さらに全国に呼びかけ、全国の都道府県が一致して自治体としての尊厳を守るべく、その先鞭を和歌山県がつけてはいかがでしょうか、お尋ね申し上げます。
 続いて、接待問題に関連して情報公開についてお尋ねをいたします。
 この接待費問題は、一部の県が自主的に公開した以外はすべて市民団体の情報公開条例を活用した開示請求によって公になったものであります。行政が秘匿していたものがこの条例によって明らかにされたことは、情報公開が行政の透明度を高める上で大いに役立つことを証明したものとして大変喜ばしいことであり、また行政当局にとっても、行政改革のメスの入れどころの一つを明らかにしたものとしても、大いに役立つことと思います。
 しかし、これも全国的に見ますと接待先の省庁名を明らかにしないという不完全なものであり、大きな弱点を持っておりました。その中で我が和歌山県が、一部ではありますが省庁名を明らかにしたことは全国的に高く評価され、今後の情報公開の先駆を示しました。ところが、八月二十一日──この日は総務部長がさきの通達を出した四日後のことでありますが──接待省庁名は開示しないことを決めたそうであります。非開示に当たっては明確な理由の存在することが条例の精神上必要とされていますが、非開示決定の通知文書ではそれは明らかにされておりません。報道の解説的な記事によると、県が省庁名を公表した後、予定していた省庁からの接待をキャンセルされるなど影響が出始めたからだとあります。
 ついては、七月二十五日に省庁名の一部を開示して以来、八月に非開示を決定した日までの三十日ほどの間にキャンセルした省庁はどことどこでしょうか、明らかにしてください。名前を出されると困るということで慌てうろたえる官僚の姿がこの行為の中に見え隠れしてこっけいでありますが、これ自体をとっただけでも、官僚接待がうさん臭いものであることをしのばせるものであります。
 問題にしたいのは、それによって県がとった非開示決定の態度でもあります。県も一緒になってうろたえてしまったという姿です。後ろめたくなければ省庁に堂々とキャンセルを抗議すればいい。それができずに、せっかくの情報公開をあたふたと閉ざしてしまった。条例の制定目的は、その第一条に、県民に県政の内実を知らせ、県民が県行政に協力できるよう信頼を持ってもらえるように開示することだとあります。あたふたと非開示にすることは、明らかにこの目的と矛盾をいたします。
 条例の九条八号の非開示にし得る条件、県の機関または国等の行う交渉、渉外、その他の事務事業であって、開示することによって当該事務事業の目的が損なわれると認められるものは非開示にできるという条項が適用されたようでありますが、省庁名の開示が、しかも過去の事業に関する省庁名の開示がなぜ非開示の理由になるのか、またどのような目的が損なわれるようになるのかは、公式には説明がございません。職名の開示についても、公務員がその職責において対応するときには、それは個人としての仕事ではなく公務としてのそれであり、その職名の開示は個人情報ではありません。
 思うに、開示することを相手が、すなわち国の省庁側が嫌がるから、さらに和歌山県以外の都道府県がみんなまだ開示をしていないのだからうちだけ先走ることはないじゃないかという、極めて行政の恣意的判断による以外にはないと考えざるを得ないのであります。これは条例の基本的精神と相入れませんし、具体的に条例違反でもあります。非開示を取り消し、開示されるよう求めたいと思いますが、当局の見解をお伺いいたしまして、第一問を終わらせていただきます。
○議長(橋本 進君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 県政二十年を振り返ってということでございますが、先ほど馬頭議員にお答え申し上げたように、私は「まごころ」を政治信条として県政を行ってきたわけでございます。
 就任当時は、オイルショック等により経済環境が非常に悪化して、財政は非常に難しい時代でございました。また産業構造においても、臨海工業地帯から内陸産業へと、鉄鋼、石油等が非常に厳しく急激な変化を要求された時代でもありました。また、行政需要も多様化する中において、いかにこたえていくかということが一番の重要な課題でございました。
 そうした中で私は、今何をなすべきか、何を決定しなければならないか、県民が最も望んでいるのは何なのかを真剣に考え、特に本県の発展を阻害している半島性の脱却のため、交通網の整備や地場産業の振興、企業誘致などの諸施策を積極的に推進してまいったわけでございます。その間、鶴田議員初め共産党の皆さんからも、いろいろ批判もございました。先ほどのご意見の中にも、私も意見がたくさんございます。しかし、きょうはただ、批判を激励と受けとめる心境に立ち至っているわけでございます。
 それから、今後の知事に望むことでございます。
 これも先ほど馬頭議員にお答え申し上げたように、二十一世紀になると、価値観が大きく変わってまいります。日本も和歌山も大きな変動の時代を迎え、特に二十一世紀はアジアの時代だと言われております。アジアと最も交渉が深かったのは関西地方でございます。私は、その関西地方の中での和歌山の比重というものは、なおさら一層増してくると思うわけでございます。
 そうした中で和歌山の発展をいかにするかということについては、先見性と実行力、決断力、加うるに人格、識見、これが要求されると思ってございまして、次の知事になる人に私は大いなる期待を持っておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 中央省庁等の懇談会についてのご質問でございます。
 まず第一点、食糧費と懇談会との関係についてでございますが、平成五年度、六年度の県全体の食糧費の総額については、他の科目とともに需用費の中に含まれてございますので、食糧費だけを取り出して算出することが困難でございます。把握いたしておりません。
 また、そのうち中央省庁に対する懇談会の経費でございますが、先般開示したように、東京事務所がこの支出の中心と思料されまして、それについては先ほど議員のご質問の中にあったとおりでございます。
 現在、食糧費のあり方については、全国的な動きも踏まえつつ鋭意検討中でございますので、ご了解いただきたいと存じます。
 次に、懇談会への出席が公務に当たるかどうかということ、そしてまた懇談会の効果がどういうところにあるかというご質問でございますが、中央省庁と懇談の機会を持つことは、国に地方の実情を知らせたり国の考え方や方針等の情報を獲得する等の面において効果があったものと考えております。その具体的な内容はどういうものかということでございますが、これは多年にわたるものでございますし多種多様にわたるものでもございますので、これといって特定できるものではございません。ご了承いただきたいと思います。
 また、こうした行為が公務に当たるのかどうかというご質問でございますけれども、中央省庁との懇談に出席して情報を得ることは公務に当たるというふうに考えております。
 次に、会計検査院の検査に関連してのご質問でございますが、会計検査院の追加調査については、幾つかの他の県で行われているという報道以上のことは現在のところ承知しておりません。
 次に、公共事業の補助金を食糧費、また懇談会経費に転用していないかというご質問でございますけれども、これまでのところ把握はしておりません。しかしながら、今後、食糧費全体の見直しの中で十分に検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、地方自治と懇談会の関係についてのご質問でございますが、これまで中央省庁との懇談の場を持つことは本県行政にとって有用な面があったということは、先ほどご答弁申し上げたとおりでございます。しかしながら、地方分権というものが時代の大きな流れとなっている中で、今後はこの問題についても見直しを行っていくことが必要であると考えております。
 次に、本県が全国に先駆けて懇談会の中止を打ち出してはどうかというご質問ですが、この問題については現在いろいろな動きがございます。今後、全国的な動向等も踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、中央が地方を対象に懇談会を開催したことはあるかというご質問でございますが、このようなことについては状況を特に調べたことはございませんので、ご了承いただきたいと思います。
 なお、本県と県下の市町村の関係でございますけれども、これについては、本県の場合、県の職員が出張等した場合の対応についても、社会通念から逸脱するようなことは行われていないというふうに承知しております。
 次に、同じく情報公開についてのご質問でございます。開示から非開示に転換した理由、また全面開示できないかという趣旨のご質問かと思いますが、まず情報公開については、懇談会をキャンセルした省庁はどこかというご質問について、特に和歌山県を対象として懇談会がキャンセルされたという事実はございません。また、国においても今回の問題が起こって以降、各種会合の出席については慎重に対応されているということを承知いたしております。
 次に、省庁名の開示から非開示に転換した理由でございますが、前回の開示後の状況から、相手方出席者の省庁名については今後行政を運営していく上で支障を来すおそれがあると判断し、公文書の開示に関する条例第九条第八号に該当するため非開示としたものでございます。
 次に、条例の精神からして、以後、省庁名等は全面開示にすべきではないかというご質問でございますけれども、この制度の運用に当たっては他県の運用状況といったものを十分勘案しつつ、今後とも常に適正な運用に努めてまいる所存でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 先ほど、私の質問の中で数字が一カ所間違っておりました。コスモパーク加太にかかわる借金の利息を一日「四百円」と申し上げたそうですが、「四百万円」でございますので、訂正させていただきます。
 知事からご答弁をいただきました。私どもと意見が相当異なったままで平行したことについては大変残念に思うわけでございますが、今後またひとつ、そういう意見も酌み入れられる行政が展開されることを我々は期待しているわけでございます。
 いずれにしろ、非常に困難な時代に長期にわたって首長を務められたご苦労に対しまして、心からのご慰労を申し上げたいと思います。
 それでは、官官接待の問題につきまして再質問をさせていただきます。
 先ほど、ご答弁の中で、食糧費等については全体は掌握されていない、需用費の中に含まれておってつかむのが難しいというお話がございましたが、これは民間団体でも調査をして明らかにできるところですから、やる気があればすぐ簡単にできることであって、それができないというのは怠慢じゃないですか。やる気がないんだというふうに思われます。これだけ大きな世論の関心を買っている問題ですから、直ちに調査をして県民の前に明らかにすることが当局の任務ではなかろうかと思います。
 食糧費の問題を鋭意検討中とおっしゃられましたが、どのような立場で検討しているのかも明らかにしていただきたいと思います。全体を掌握もしていない中で「検討中」というのも、これまたおかしな話です。もう少し真剣な対応を望みたいと思います。
 それから行政効果の問題についてですが、このような接待行為の中で多くの成果があったというお話でございました。たくさんあったと言うんだったら少しは例示していただいてもいいんじゃないかと思いますが、例示もできないというのは一体どういうことですか。
 それからまた、そのような情報は宴席がなければとれない情報なんですか。もしそうだとすれば、これは非常に不思議なことなんです。宴会がなければ国の方は情報を出さないということであれば、もってのほかだと思うんです。この問題は、国の方が悪いんです、もともとは。だから、そういう前提で聞くんですけれども、そういうことに地方がずるずると巻き込まれて宴席の中だけでの情報収集というようなことに陥っていくと、これは大変なことになると思います。まさにわいろ政治に発展しかねないわけで、こういう点は基本的に改めることが必要ではないかと思います。先ほど、こういう問題も見直していきたいというお話がございましたが、もう少しそういう点には厳正に対処されることを期待したいと思います。
 酒を飲みながら公務ができるというのは不思議な話だと思うんですよ。そうであれば、どういう公務でもそういうことが適用されるのかということになります。私的行為として宴席を設けるのであれば、それはやられたらいいと思います。公務としてやられるのは大変不謹慎な話ではないかと思います。
 中央と地方の関係で私が一番強調したかったのは、やはりこのような国の情報操作です。宴席の中で情報を出したり出さなかったりというのは、まさに情報の操作です。これはもう民主主義に根底から反することでありまして、国と地方との関係の中で地方自治というものが大きく阻害されている姿であろうかと思います。基本的にこれをやめていくという方向を打ち出されることが、地方自治体の基本的な立場であろうかと思います。いま一度、総務部長の見解をお聞きして、全国に先駆けて廃止されていくことを表明されるよう期待したいと思います。
 非開示の問題ですが、これも本当に不可解なことであります。一たん開示をした後で、国の方から──何があったのかわからないんです。キャンセルされたことはないという話ですから、何があったのかわからないんだけれども、これは和歌山県にとって不利になるという判断をされて非開示にすると。これは、条例の中にもそういうことをしてはいけないということがあるんです。明白な事例がなければそういうことはしてはいけないというのが基本的な精神だと思います。また、その条例を策定した情報公開懇話会の文書の中にも、このような事態にどう対応するかということで、「情報自体が行政の運営にかかわるものであるだけに、ややもすれば開示、非開示の判断は、実施機関の恣意に流れやすく、かくては制度の趣旨目的を没却しかねない。したがって、その運用に当たっては合議制機関等関係情報、意思形成過程情報の場合と同様、行政の恣意を疑われることのないよう、客観的・明白な場合に限定すべきである」というふうに打ち出しているわけです。
 そういう点を考えますと、先ほどの総務部長の答弁では、客観的・明白な、そういう状況がどうであったのかということが全くわからないままにあるんです。だから、開示後何があったのか、なぜ県益が損なわれると思ったのか、何が損なわれるのか、客観的・明白に示していただきたいと思うんです。それがもし示せないのであれば、恐らくこの非開示の措置は条例に違反していると思います。そういう措置はきっぱりと取りやめて全面的に開示される方向を打ち出していただきたいと思います。
 もともと、この情報公開条例の目的自身が、いかに県民の信頼を県政に寄せてもらうか、そのために県政をいかに透明にするかということなんです。第一条にそういうふうにうたっているわけです。それとも明らかに逆行する姿であろうと思いますので、その点はどうお考えになっておられるのか、いま一度、総務部長の答弁を求めます。
○議長(橋本 進君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) ただいまの再質問にお答え申し上げます。
 まず食糧費の総額でございますが、これについては先ほど申し上げたとおりでございますので、ご了承いただきたいと思います。食糧費のあり方全体については現在検討中でございますので、よろしくお願いいたします。
 それから、どういう効果があったか例示してほしいということでございますけれども、県政はずっと毎年、幾百もの施策を行ってきており、そういう事柄全般にわたって、やはり国との円滑な関係が非常に効果をもたらしてきたということはあると考えておりますので、これがどうというようなことは差し控えたいと考えております。
 それから、宴会がなければだめなのかというお話でございますが、国との関係で宴会だけが大きな役割を果たしているわけではございませんで、日ごろからの職員の各省庁等との話し合いとかいろいろな会合等々が主な役割を果たしていることは申すまでもないことでございますけれども、この懇談会の場も、先ほども申し上げたように、地方の実情を知らせるとか、また一つの人間関係をつくっていくという意味で非常に有用であったということは否めないことかと思います。ただ、繰り返しになりますが、今後、地方分権の流れの中でやはり考えていかなければならない問題があれば十分検討していかなければならないということだと思います。
 次に、懇談会に出席しているのは公務かというご質問でございます。職員は職務命令に基づいてそういう懇親会に出席し鋭意努力しているわけでございますので、当然のことながら公務であると考えております。
 それから、中央の情報操作じゃないかというご質問かと思いますけれども、中央は別に情報操作をするというようなことを考えているわけではないと思います。先ほども申したように、人間関係を求め、また地方の状況を知って国の施策の中に生かしていきたいということ、これは地方公共団体の望みであるとともに国の方の望みでもあるというのが今の時代かと思いますけれども、いずれにしても、地方分権という中で節度ある対応というものを今後考えていきたいと考えております。
 それから、非開示にしたことについての問題でございますけれども、これについては行政運営上の支障があったということで、当局の方がそういうふうに判断して今回非開示にいたしましたので、ご理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 34番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 あえてお答えにならなかったのかと思いますけれども、非開示の理由です。何があったのかを明確にしなければ非開示にしてはならないというふうに懇話会の方でも言っているんですよ。だから、何があったのか、それをもう少し詳しく言ってください。今のじゃ答弁になっていません。
○議長(橋本 進君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) ただいまの何があったかというご質問でございますが、これは諸般の事情ということで、和歌山県が公開して以降いろいろな動きがあり、その中で私どもが適正と考え、判断したことでございますので、ご了解いただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十分休憩
 ─────────────────────

このページの先頭へ