平成7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第四号 平成七年六月二十八日(水曜日)
     午前十時開議
 第一 議案第八十五号から議案第百一号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十五号から議案第百一号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十四人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川   武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 8 番 門   三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島   雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 17 番 長 坂 隆 司
 18 番 井 谷   勲
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗   正 彦
 24 番 橋 本   進
 25 番 谷   洋 一
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山   海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田   亘
 32 番 中 山   豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森   正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
 47 番 和 田 正 人
欠 席 議 員(三人)
 7 番 藁 科 義 清
 16 番 馬 頭 哲 弥
 44 番 中 村 裕 一
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 梅 田 善 彦
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 民生部長 木 村 栄 行
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
    岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代
  以下教育次長
 公安委員会委員 高 垣   宏
 警察本部長 西 川 徹 矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
    水 谷 舜 介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
    谷 口 庄 一
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣   孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 長 尾 照 雄
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木   衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田   繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第八十五号から議案第百一号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第八十五号から議案第百一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 35番森 正樹君。
 〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 おはようございます。
 中国六朝宋の人、五柳先生とも称され、田園詩人でもありました陶淵明いわく、「盛年 重ねては来たらず 一日 再び晨なり難し 時に及んで当に勉励すべし 歳月 人を待たず」。その意味は、歳月は速やかに過ぎ去ってしまうもので、人を待ってはいない、光陰は速やかに過ぎ去ってすぐに老人になるから、若いうちにやるべきことを努力してやりなさいということであります。
 四年前に初当選をさせていただいて、あっという間に四年間が過ぎ去りました。むだな時間を費やしたことが多く、反省しきりでございますが、再び多くの県民の皆様の信任をいただいて二期目の当選を果たさせていただきました。四年前にも決して劣らない感激でいっぱいでございますが、初心に立ち返り、県勢の発展と県民福祉の向上のために微力を尽くして励んでまいりたいと考えております。先輩・同僚の皆様、並びに仮谷知事初め当局の多くの皆様、どうか温かいご理解とご支援を賜りたいと存じます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 初めに、関西国際空港の問題についてでございます。
 去る六月五日、仮谷知事を初め、大阪府知事、大阪市市長、大阪商工会議所会頭、関西国際空港株式会社社長らが出席して開かれた全体構想推進協議会において、全体構想二期工事のうち、大阪府、大阪市など地元自治体が埋め立てなどの土地造成を、関西国際空港株式会社が第二ターミナルビルなどの施設整備をそれぞれ行う、いわゆる上下分離方式を採用することで基本合意したところでございます。また、これを受けて翌六日には、航空審議会の関係者へのヒアリングが行われたのであります。第七次空港整備五箇年計画いわゆる七空整期間中、すなわち二○○○年(平成十二年度)までの着工に向けて大きく動き出したところでございますが、これから来年秋の航空審答申、閣議決定までいよいよ正念場を迎えることとなるのでございます。言いかえれば、すなわち関西国際空港が真にアジアのハブ空港としてその位置を不動のものにし、はたまた我が国の正真正銘の空の表玄関としてその地歩を確保するための極めて重大な産みの苦しみのときを、これから一年有余迎えるわけでございます。
 そこで、知事並びに企画部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 一点目、第七次空港整備五箇年計画の中に、関西国際空港全体構想二期工事が盛り込まれるのは確定と考えていいと思いますけれども、いかがでありましょうか。加えて、いわゆる七空整期間中の早い段階での工事着手を実現するためにはどうすればいいのか。我が和歌山にとりましては、そういう方向で早い時期に着工されることが望ましいわけでございますが、そのための課題は何かあるのでしょうか。
 二点目、去る五日に行われた全体構想推進協議会、並びに翌六日の航空審議会ヒアリングに関してご報告を賜りたいと思います。
 三点目、土地造成と施設建設の上下分離方式をとることがほぼ決まったと言ってもいいわけですが、この方式による二期工事の事業費の総額と地元自治体の負担額をほぼどの程度と算出されているのか、またそのうち本県の負担分は一体どのぐらいになるのでしょうか、お教えをいただきたいと思います。
 四点目、第二ターミナルビル等、上物の施設工事の事業主体等について、運輸省や大阪府、大阪市等はどう考えているのでありましょうか。
 五点目、第六次空港整備五箇年計画の中で課題として指摘され続けてきた、一、事業費の抑制、二、地元負担のあり方、三、開発利益の還元など地元協力のあり方について、七空整が明年度から始まろうという現時点において、改善、改良への成果はあらわれているのでありましょうか。
 六点目、関西国際空港がアジアのハブ空港として不動の地位を確保するためには、今後なお幾つかの難問をクリアしていかなければなりませんけれども、気になるアジアの主要なライバル空港の現況はどうなっているのか、現在つかんでおられる状況についてご報告をいただきたいと思います。
 七点目、二期工事の中で本県が強く要望している南海、JRの直通乗り入れ便の実現、南海・泉佐野、JR・日根野の両駅のホームの改良等の実現のめどについて、あわせてご報告をいただきたいと思います。
 以上、明快なご答弁をお願いしたいと思います。
 次に、下水道網整備についてお尋ねをいたしたいと思います。
 我が国における下水道の概念は既に弥生時代に見られるとされておりますけれども、古来、し尿を有力な肥料として農地還元してきた習慣があり、したがって便所はおおむねくみ取り式であり、下水路や河川にし尿が流出することは少なく、汚染の程度も軽微であったために下水道建設が進まなかったとされております。平安時代に、高野山において沢水や井戸水を利用した水洗便所が存在した事実は、例外中の例外と言えると思います。ヨーロッパにおいても、近世に至るまで下水道や水洗便所の存在はなく、パリを初めとするヨーロッパの主要な都市にあっても、各家庭は毎朝、表の通りへふん尿を投げ捨てたと言われております。下水道網の整備を含む衛生思想の普及は、プロテスタントの拡大・流布と軌を一にしていると言われておりますが、これは公共的倫理観の確立と関係のあることでありまして、なるほどと思うところでございます。
 我が国の本格的な下水道は、一九○○年(明治三十三年)の下水道法の制定と前後して、東京都、大阪市、仙台市、広島市、名古屋市で着手されたことに始まるのであり、大正時代に不況対策として十一都市で、また昭和初期には失業対策として三十余都市でそれぞれ下水道事業に着手し、全国に広まっていったのであります。戦後、一九五八年(昭和三十三年)に下水道法の抜本的改正が行われました。都市環境の改善を図り、都市の健全な発達と公衆衛生の向上に寄与することを目的として合流式下水道の整備が進められました。また、一九七○年(昭和四十五年)の下水道法の改正によって公共用水域の保全に資することがうたわれ、今日見られる下水道体系が形成されたのであります。加えて一九九四年(平成六年)、すなわち昨年、安全かつ良質な水道水の供給を確保することを目的として水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律が制定され、水道原水水質保全事業の一つに下水道事業が位置づけられたのであります。
 言うまでもなく下水道の役割は、一、汚水の排除による生活環境の改善向上、二、雨水の排除による浸水の防除、三、公共用水域の水質の保全が主たるものでございます。
 ところで下水道には、公共下水道、特定環境保全公共下水道、流域下水道、農業集落排水施設、漁業集落排水施設、小規模集合排水処理施設、合併処理浄化槽、コミュニティープラント等がありますが、地域の人口規模、人口稠密度、市町村の財政力等々を十分に踏まえつつ、効率的、経済的なシステム選択を行うことが望まれます。
 以上、申し上げた諸点を踏まえ、数点にわたって基本的な問題についてお尋ねをいたしますので、関係する三人の部長の明快な答弁を求めるものでございます。
 第一点、従来、公共下水道普及率が行政水準をあらわす指標として用いられてまいりましたけれども、一九九二年(平成四年)策定された生活大国五カ年計画において、下水道整備を促進するほか、地域の実情に応じ、コミュニティープラント、集落排水施設の整備を進めることにより、おおむね二○○○年には排水が公共的主体により衛生処理される人口の割合を七割を超える程度に増加させるとしております。この観点から自治省では、さまざまな汚水処理システムを含めた汚水衛生処理率を一九八八年(昭和六十三年)から調査・公表しておりますが、まことに残念ながら、本県は全国四十七都道府県中、唯一の一けた台、断トツの最下位八・三%でございます。このことについて、市町村を指揮監督する立場にある県当局としてどのように考えておられるのでしょうか、率直なご意見をお聞かせいただきたい。
 第二点、農業集落排水施設では、秋田、山形、新潟、富山、石川、長野、滋賀などが先進県であり、漁業集落排水施設では、新潟、鳥取、島根、山口などで普及が進んでおります。またコミュニティープラントでは、宮城、福島、茨城、群馬、石川、奈良、岡山、長崎などが高普及率を誇り、合併処理浄化槽では、茨城、千葉、静岡、三重、広島などで進んでいるのでございますが、本県はどの一つをとっても下位に低迷しているところでございます。生活大国五カ年計画にいう二○○○年に衛生処理される人口の割合を七割とするとの目標達成には到底届かないと思いますけれども、少しでもこの目標に近づくために、地域の実情に合わせて今後数年どう取り組んでいかれるおつもりでありますか、お聞かせをいただきたいと思います。
 第三点、特定環境保全公共下水道は、下水道整備緊急措置法に基づき、従来、下水道整備は都市計画事業として行うものに限られていたのでありますが、都市計画区域外においても下水道整備の必要があると認められ、一九七五年(昭和五十年度)からスタートしたものでございます。特定環境保全公共下水道はこの目的によって、自然保護下水道と農山漁村下水道に分けられております。国立公園、国定公園等における、湖沼、ダム湖周辺の水質保全を目的として実施されるのが自然保護下水道であり、農村集落からの生活排水等により農業用水などの公共用水域の水質悪化に対処するために行われるのが農山漁村下水道であります。現在、全国で都道府県営九事業が進められております。なかんずく、一九八六年(昭和六十一年度)よりおおむね千人未満の規模でも水質保全の面で特に緊急に下水道整備が必要な地区において実施できるよう採択基準が改定されましたが、自然環境に恵まれた地域や農山漁村を多く抱えている本県は、この特定環境保全公共下水道の整備拡充に最も力を入れるべきではないかと思います。そうした意味で、県直営事業を含めて今後積極的に取り組んでいくべきであると思いますが、いかがでございましょうか、そのご存念をお示しいただきたいと思います。
 第四点、いまだに県下市町村の中にし尿の海洋投棄を行っているところがありますが、速やかに処理施設の実現に取り組むなど海洋投棄を一日も早く中止すべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
 第五点、各システムを効率的に採用することによって望ましい生活基盤整備、住環境の実現が強く求められているわけでありますが、県下五十市町村それぞれにおいて下水道整備計画が策定され、県としても当然トータルプランを立案しておられると思いますが、どうでありましょうか。
 第三に、看護婦問題について触れたいと思います。
 言うまでもなく、制度上の看護婦が出現するのは、イギリス・ロンドンの病弱婦人病院において有名なナイチンゲール女史が院長に任命されたときであり、一八五三年のことであります。我が国において正規の看護婦が成立するのは一八八七年(明治二十年)前後のことで、東大病院、慈恵会医大病院、桜井女学校、日本赤十字社などで看護婦養成所が開設されたころからでございます。以来、今日までほぼ百十年の歴史が流れたのでございますが、この間、看護婦として医療に携わり、死の床に臨み、くじけそうになる患者を励まし、また病から立ち直ろうとする病人を支えて希望のともしびを掲げた人たちは一体何万人に上ったのでございましょうか。
 私も、子供のころ大変病弱で何度も入院し、一度は生死の境をさまよった者といたしまして、温かく激励してくれた看護婦さんの姿は今も脳裏に焼きついて離れがたいのであります。人の生死を扱う医療の現場にあって、常にその第一線で働く看護婦の皆さんは、病に苦しみ、病と闘う患者にとっては心強い存在であり、天使と申し上げても過言ではないと思います。
 しかしながら、巷間言われているごとく、医療の現場はまことに厳しい職場であり、慢性的な人材不足が叫ばれ、職場環境の改善が訴えられてきたことは、皆さん周知のとおりでございます。百八万県民の一人一人が例外なく、ひとしくより良質な医療の提供を受けられるようにすることは、県民の健康を守り、県民福祉の増進のために本県に課せられた重大な責務でありますが、以下、数点にわたり保健環境部長にお尋ねをいたしたいと存じます。
 第一点、慢性的な看護婦不足の実態について、どの程度の不足が生じているのか、またこの数年その傾向は改善されているのかどうか。平成三年末に作成された看護職員需給見通しの数値目標と現実との格差はどうなっているのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
 第二点、看護婦確保のためにこれまでどのような努力をし、また今後対応していかれるのでしょうか。
 第三点、マンパワー確保のためにナースバンクが設置されておりますが、その現状はどうなっているのでありましょうか。また、ナースバンクに登録していない潜在看護婦が非常に多いと聞いておりますけれども、その実態と今後の対策はどう考えておられるのでしょうか。
 第四点、潜在看護婦の把握について、これまでどのような取り組みをしてこられたのか、また今後していこうとされるのか、あわせてつかんでおられる実態についてもご報告をいただければ幸いであります。
 第五点、潜在看護婦のうち、未就業年数の長い人たちは、仮に現場に復帰しても、昨今の医療技術の進歩や新しい医療知識の吸収、把握といった面で、日進月歩で変わりつつある医療現場で適応することが極めて困難であると思われるが、どうか。また、そのような潜在看護婦の現場復帰に当たって再教育の必要があると思われるが、その方策はあるのかないのか、加えて法制面での問題はないのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
 第六点、看護婦の皆さんが快適に働けるように職場環境の改善はぜひとも必要でありますが、公立・私立を問わず、病院、診療所、医院等において、県としてどう指導し、改善を進めていくおつもりでございましょう。取り組みの基本的姿勢と施策についてお答えをいただきたいと思います。
 最後に第七点、県内の各級看護婦養成機関の卒業生のうち、約一○%の人たちが県外医療機関へ就職している実態がございます。一方で、県内各医療機関では慢性的な看護婦不足を訴えている現実にかんがみ、県としても責任を持って、これら優秀な人材の県外流出を防止する手だてを講じるべきであると思いますが、いかがでありましょうか。
 以上、るる申し上げましたけれども、最後に簡潔なご答弁をお願い申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森議員にお答え申し上げます。
 議員質問の関西国際空港全体構想に関する諸問題のうち、第七次空港整備五箇年計画に全体構想二期工事が盛り込まれると思うがどうか、また第七次空港整備五箇年計画中の早い時期の工事着手の課題ということについて、私から答弁させていただきます。
 去る五月二十五日に関西国際空港全体構想推進協議会の代表委員会が開催されましたが、これは統一選挙後初めての会議でございまして、六月六日の航空審議会のヒアリングに出席するために意見調整をどうするかということでございました。しかし、当日は結論を得られずに持ち越しになり、六月五日に再度開催いたしまして種々の問題を検討した結果、六月六日のヒアリングにおいて地元の熱意を示さないと八月の中間取りまとめにおいてよい結果が出ないのではないかという結論に達したわけでございます。そうした観点から、国がやることになっている第一種空港を地方自治体がやることについての法制度上の問題、またそれを地方自治体が行うことについては起債等、財政的問題がございますので、そうした問題について運輸省、自治省で十分話し合って解決点を見出さなければなりません。運輸大臣も自治大臣も前進的な考えを持っておるけれども、それをクリアしていただくことを条件として、大阪府と大阪市を中心とする関係地方公共団体が用地造成の事業主体になるなど、全体構想を積極的に推進することで合意いたしました。ヒアリングでは川上関経連会長、山田大阪府知事が出席して、それに基づく意見を表明したわけでございます。
 また、私も先日、政府への来年度の要望で運輸省にも参りまして全体構想について陳情したわけでございますけれども、そうしたヒアリング等々の地元の熱意というものを大いに感じていただいて、大きな弾みがついたのではないかと思っておるところでございます。
 次に、早期着工についてでございます。
 まず第一の問題は、第七次空港整備五箇年計画に早期着工を盛り込むことが必要でございます。この第七次空港整備五箇年計画に盛り込まないと、八次空整で中部地方の空港が上がってくるだろうと思います。向こうの熱意も非常に強いということがございますので、これを七次空整へのせていただくことがまず肝要であります。そのためには、県会の皆さんや国会の皆さんの力をかりまして、先ほど申しました国においての法制度や地方財政の課題を解決してもらうことが必要でございます。そしてまた、これは関西全体の問題でございますし、事業主体は大まかに大阪府、大阪市と決めておりますけれども、地元協力についての問題をどの程度にするか等々、諸課題があるわけでございます。これらについても現在検討を重ねつつございますけれども、国の制度が決定し、整備計画にのせられたならば、早急に解決していかなければならないと思っております。
 他の問題は、部長から答弁させていただきます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 森議員ご質問の、関西国際空港全体構想に関する諸問題についてお答え申し上げます。
 六月五日の関西国際空港全体構想推進協議会代表委員会及び六月六日の第七次空港整備五箇年計画の航空審議会のヒアリングについては、ただいま知事からお答え申し上げたとおりでございます。
 次に、上下分離方式による二期工事の事業費総額と地元負担額についてでございます。
 関西国際空港の二期計画における事業費の確定、負担割合については、今後調整すべき問題点でございまして詳細に申し上げることはできませんが、推進協議会における実現化方策報告書によりますと、空港施設に六千五百億円、二期計画の用地造成に一兆二千九百億円、総建設費が一兆九千四百億円となってございまして、空港施設に三○%の出資金、用地造成費に無利子資金を七○%程度導入する必要があるとされてございます。したがいまして、出資金を含む無利子資金が一兆九百八十億円、有利子資金八千四百二十億円が必要になるものと試算されてございます。今後は、負担割合等について、県議会のご意見をいただきながら推進協議会の場において調整してまいりたいと考えてございます。
 次に、第二ターミナルビル等、上物の施設工事、事業主体についてでございます。
 第二ターミナルビル等の空港施設については、一期事業における民間活力導入の成果を生かして、国、関係地方公共団体及び民間が協力して整備すると推進協議会で合意されたところでございますので、一期同様、関西国際空港株式会社が行うことになると考えてございます。
 次に、第六次空港整備五箇年計画の課題である地元協力のあり方については、推進協議会において検討を重ねてきた結果、港湾事業等の公共事業の導入や事業の円滑な実施を図るための協力体制の確立などを盛り込んだ実現化方策報告書を受け、全体構想を積極的に進めることの合意をいたしました。これを受け、航空審議会のヒアリングで説明いたしましたので、地元の熱意が十分伝わったものと考えてございます。
 次に、アジアの諸空港の現況についてでございます。
 香港のチェク・ラップ・コック国際空港については、総面積千二百四十八ヘクタール、三千八百メートルの滑走路二本、韓国の新ソウル・メトロポリタン空港については、総面積四千七百四十三ヘクタール、四千メートル級の滑走路四本を整備する計画であり、両空港とも既に第一期計画として滑走路一本の整備に着手しており、新香港空港は一九九七年、また新ソウル・メトロポリタン空港は一九九九年に開港の予定と聞いてございます。シンガポールのチャンギ国際空港については、総面積千六百六十三ヘクタール、滑走路二本で既に供用されてございますが、現在、第三滑走路が建設中であり、また既に二棟ある旅客ターミナルビルに加え、第三旅客ターミナルビルの建設計画も進行中であると聞いてございます。
 また中国においても、上海に総面積四千ヘクタール、四千メートル級の滑走路四本を有する新空港を整備する計画があり、台湾においても、台北・中正国際空港が千二百ヘクタール、滑走路三本で既に供用されてございますが、現在、第二期工事として第二旅客ターミナルビル等を建設中であると聞いてございます。さらに、マレーシアやタイにおいても新空港の建設計画が進められるなど、アジア各国で空港の新設・拡張計画が進められてございます。
 次に、関西国際空港の直通乗り入れ列車の実現等についてでございます。
 これまで、県議会の皆様方のご協力もいただきながら、直通列車の運行や乗り継ぎの利便性の向上などを強く要望してまいりました。その結果、JR西日本においては日根野駅におけるすべての快速列車の停車、和歌山方面からの同一ホーム乗りかえ、あるいはJR西日本の日根野駅、南海電鉄の泉佐野駅へのエレベーター設置など、乗り継ぎ時の利便性の向上に一定の成果がなされたところでございます。さらにJR西日本では、七月一日からの夏の行楽シーズンの間、日根野駅に停車するくろしお号を現在の三往復から五往復にふやされ、また七月十五日より和歌山発の快速電車の増発も行われることとなってございます。
 県といたしましては、今後も空港利用者の利便性の向上を図るため、直通列車の運行や南海の直通列車運行に不可欠である泉佐野駅の連続立体交差事業の推進等について、二期工事の内容が具体化される過程の中で国や事業者に対する積極的な働きかけを行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 森議員の下水道網の整備についてのご質問のうち、三点についてお答えいたします。
 まず、汚水衛生処理率が悪いことと、その対策についてでございます。
 議員ご指摘の汚水処理施設の汚水衛生処理率は平成四年度末で八・三%となっておりますが、このうち下水道の整備について見てみますと、平成六年度末の普及率は六・一%で、全国平均と比べ、おくれているのが現状でございます。これは、本県が海に面して山地が大部分を占めており、排水等が容易であることなどが要因と考えられます。また、下水道整備には多額の事業費を要しますので、財政的に厳しい市町村において着手に踏み切れないといった状況も見られるところでございます。
 このため県といたしましては、整備促進を図るため平成七年度から市町村に対し補助する制度を設けたところであり、また流域下水道事業を推進することとしているところでございます。さらに、平成八年度を初年度とする第八次下水道整備五箇年計画を策定することとしており、今後これに基づいて県下の下水道整備を積極的に促進してまいります。また、農業集落排水施設、コミュニティープラント等の整備についても、同様に整備を進めてまいることとしております。
 次に特定環境保全公共下水道については、これまで六町で事業を実施し、二町で供用開始をしているところでございます。山間部を多く抱えている本県においては、都市計画区域外で行われる特定環境保全公共下水道の必要性が今後ますます増大するものと考えております。その際、過疎地域の町村では財政負担が大きな課題でございまして、県といたしましても、現在、本宮町において県代行事業を行っているところでございます。今後、この過疎代行制度も活用しながら、特定環境保全公共下水道の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、トータルプランに関するご質問についてでございます。
 下水道などの処理については、建設省所管の公共下水道、特定環境保全公共下水道だけでなく、農林水産省所管の農業集落排水、漁業集落環境整備等、また厚生省所管のコミュニティープラント、合併浄化槽などの整備を行っているところでございます。このため、農山漁村地域等も含めた市町村全域を対象として、これらの下水処理施設の整備を計画的かつ効率的に実施していくため、全県域汚水適正処理構想について現在関係部局と市町村が協議を重ねておりまして、本年度内策定を目途としているところでございます。今後は、この処理構想に基づいて、これら下水道整備にかかわる各種事業を効率的に活用し組み合わせながら下水道整備の促進を図ってまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 下水道の整備についてのお尋ねのうち、農業集落排水事業、漁業集落排水事業の取り組みについてお答えいたします。
 農業集落排水事業については、昭和五十九年度から着手し、これまでに三市十二町一村、二十七地区で約七千三百戸を実施しているところでございます。この間、農業集落排水事業を推進するため、全国で唯一、農村地域の女性で組織する和歌山県農業集落排水推進協議会も設立されるなど実施に向けての意欲が高まってきており、実施市町村数も年々増加の傾向にございます。県といたしましては、二○○○年には農業振興地域内の約二万八千戸、また二○一○年には約四万八千戸の整備を行うことを目標といたしてございます。
 漁業集落排水事業については、平成六年度から着手し、これまでに二市二町で六地区、約二千百戸を実施するとともに、本年度新たに二地区において事業着手のための基本計画策定調査を進めております。
 農業集落排水事業、漁業集落排水事業については、今後とも積極的に事業実施の啓発と促進に努め、計画的な整備を図ってまいります。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 森議員ご質問の下水道網の整備についてでございます。
 コミュニティープラントについては、現在、三市町に千七百人分のコミュニティープラントが設置されてございます。補助条件等から見て市町村の希望に沿わない面もあり、将来の伸びは余り期待できませんが、公共下水道や農業集落排水処理施設等の補完施設として設置を誘導してまいりたいと考えてございます。
 次に合併処理浄化槽でございますが、家庭雑排水も合わせて処理でき、公共下水道並みの水質が確保できることから、県といたしましても普及に力を入れているところでございます。平成五年度の設置基数は二千六百二十六基となってございまして、今後数年は同程度以上の設置を推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、し尿の海洋投棄の現状と対応についてでございます。
 し尿の海洋投棄については、海域の環境保全及び漁場保全の立場から、紀伊水道への投棄禁止と陸上処理に速やかに切りかえること等、指導を行ってきたところでございます。その結果、昭和五十一年では十七市町村が海洋投棄を行っていましたが、平成七年六月現在では四市町となってございます。当該四市町においては陸上処理に切りかえるべく鋭意努力され、平成六年三月には建設のための地元同意を得ており、平成十一年度には陸上処理施設が完成する見通しでございます。
 続いて、看護婦問題についてお答えいたします。
 看護婦等の充足については、平成十二年を目標にした和歌山県看護職員需給見通し達成のため、諸施策を実施してございます。看護婦等の不足の現状でございますが、平成六年末の需給見通しでは約千百人の不足を見込んでいたのに対しまして、同年末の看護職員従事者届によりますと約七百人余りの不足となっており、看護婦等の充足については順調に推移していると考えてございます。
 看護婦等の確保対策については、養成力の強化、離職防止、再就業の促進を三つの柱として取り組んでいるところでございます。特に養成力の強化については、議員各位のお力添えをいただき、本年四月に県立なぎ看護学校を新宮市に開校したところでございます。また、平成八年度には県立医科大学看護短期大学部が開学予定であり、看護婦の確保並びに質の高い看護サービスを提供できるものと考えてございます。
 潜在看護婦等の就業促進を図るナースバンク事業については、平成六年度末の登録者は五百四十七人、再就職者は百二十三人となっており、年々増加の傾向にございます。
 潜在看護婦等の把握については、平成六年一月に県内全世帯約三十六万戸に対するアンケートによる実態調査を行い、八百六十四人を把握したところでございます。また、離職者に各病院を通じて離職者調査票の提出を求め、ナースバンクと連携をとり、登録を推進しているところでございます。今後とも、潜在看護婦等の把握に努めてまいりたいと考えてございます。
 未就業年数の長い看護職員は、未就業年数が長いほど職場復帰には困難が伴うものであると考えてございます。潜在看護婦等の再就業に当たり法的な制限はございませんが、再就業を支援するため、国庫補助を受け、最近における看護についての知識及び技術を習得するための再就業看護婦等講習会の実施、並びに情報の提供、相談等をナースセンターに委託し、実施してございます。
 看護婦等がよりよい環境のもとで就業できる取り組みといたしましては、看護婦勤務環境改善施設整備事業を初め、子供を持つ看護婦等のため、院内保育所を設置する病院等に対する補助を行っているところでございます。
 看護学生の就業時の県内定着策といたしましては、修学資金の貸与を行っているところでございます。さらにこの制度の拡充を図り、県内就業を促進してまいりたいと考えてございます。今後とも、県民に適切な医療が提供されるよう、必要な看護婦等の確保に努めてまりいたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 35番森 正樹君。
○森 正樹君 今回の関西国際空港全体構想に絡む知事のご答弁は、いつにも増して大変積極的で、前へ向いたご発言をいただきました。いろんな思いがその裏にあることは、私も、関西国際空港の問題をライフワークとして十数年言い続けてきた者としてよくわかる──と言えば大変語弊がございますが、感じるものがございました。
 知事おっしゃるとおり、我が国の空港整備の方針は明らかに間違っていると私も思います。前にもこの席で申し上げたので、あのときにおられた方はご存じだと思いますが、隣の韓国は、新ソウル・メトロポリタン空港をつくるために、日本の空港整備法に当たる航空局法という法律を改正して、国がそのすべての責任のもとに新しい空港を建設するんだということで、わざわざ法律を強化したのであります。ところが日本は、逆に空港整備法を改悪いたしまして、運輸大臣が設置するとなっていた第一種空港を、例えば成田は公団が設置する、そして関西国際空港は関西国際空港株式会社が設置する、そういう形で地方に負担を押しつけ、国の責任を放棄したと私は言いたいのであります。国の基幹施設をつくるのに何が需要でありますか。何が地方負担でありますか。国の施設ですから、国が責任を持ってやるのが当たり前であります。私は、そういうことを言い続けてまいりました。
 今、アジアのさまざまな空港が実現に向けて動き出しております。例えば、新ソウル・メトロポリタン空港は、関西国際空港一期計画のほぼ十倍の埋め立てをしているのであります。将来就航するであろうHSCTでさえ離発着が可能な滑走路ができるのであります。関西国際空港はだめなんですよ。そういう意味で、これらアジアのライバル空港に負けないためには、何としても七空整の中で早い時期に二期工事に着手されなければいけないわけであります。そうした意味で、これは和歌山だけではなくて関西全体、そして日本全体の利益のために、国益のために何としてもやらなければならない、そう私は言い続けてきたわけであります。
 知事がヒアリングの席で、また五日の協議会の中で一番先輩知事として最も強くご発言をいただいたということは、いろんな方面から漏れ承っております。そういう意味で心強く感じて、先ほど冒頭に申し上げたわけでございます。本当の意味で関西国際空港がアジアのハブ空港になるために、何としても七空整の早い段階で着手されるように、また当然のこととして全体構想すべてがきちっとした形で方向づけされるように、微力でございますが今後私も努力をしたいと思いますし、どうか県挙げて当たっていただきたい、そのようにお願いをするところでございます。
 それから、下水道のことについて。
 土木部長、和歌山県は土地が急峻で山が迫っているのでというようなことを理由の一つとしておっしゃいました。それをおっしゃるならば、例えば、日本アルプス、南アルプスを擁する長野県の汚水衛生処理率は二六・七%であります。それから、同じように紀伊半島を有する三重県を申し上げましょう。二二・六%であります。それから、和歌山に次いで悪いわけでありますが、高知県は一二・四%。さらには、その隣の愛媛県は二五・一%です。同じように急峻な山地を有する県であっても、このように和歌山よりはるかに進んでいるところもたくさんあるのであります。
 やはり私は、私を含めてこの問題に取り組む我々の見通しの甘さというものがあったと思います。現実に、八・三%ということで全国最下位なんでありまして、これほど不名誉なことはございません。これを二○○○年に七割は無理ですけれども、何としてもそれに近いところまで持っていけるようにそれぞれの立場で──いろんな方法がございますから、それぞれの市町村、それぞれの地域で各システムを効率的に採用していただいて、何らかの形で汚水処理をしていく、し尿の処理をしていく、そういう中で汚水衛生処理率を上げていかなければならないと思いますし、その努力をぜひお願いしたいと思います。
 あと十五分ほど時間がございます。この残り時間を九月議会に持ち越してはだめですかと先ほど事務局にお願いしたら、それはだめですと言われました。これで終わりますけれども、私の申し上げたさまざまな意見はすべて要望でありますが、強い意見として申し上げておきますので、どうぞよろしく今後の対応をお願いしたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、通告に従い、質問を申し上げていきたいと思います。
 まず最初に、梅の生育不良についてお尋ねをいたします。
 この問題につきましては、馬頭哲弥議員や野見山海議員がさきに質問されてきたところでございます。日本共産党日高地方議員団と田辺市会議員団及び私ども県会議員団は、合同の生育不良被害の現地調査を行ってまいりました。そしてこの六月二十二日、私自身、現地で南部川村の市井川という地区の梅生産農家の五人の方々に、いろいろご苦労されていることなどを聞いてまいりましたので、そういった住民の皆さん方の要望を中心にして質問を申し上げていきたいと思います。
 田辺市、南部川村、南部町は、県最大の梅の生産地であります。それも、日本一であります。栽培農家数や栽培面積、及び収穫量をとっても日本一という状況にあります。今、全国で農業後継者がいなくて困っているときに、この南部川村では多くの後継者を生み出し、生産意欲が高まっていることを大変うれしく思うところでありますが、とりわけ農家にとっては最大の喜びと思います。
 この地での梅の品種は南高というのが主でありまして、古城そして小梅が生産されております。梅の加工業者は、紀南地方に百社以上あります。そして、そこで働く労働者は数千人余り、それに販売や流通関係を含めると大変な数になりますし、雇用の面からも大きな役割を果たしていると思います。三市町村の梅は、和歌山県にとってはミカンに次ぐ本県の特別重要産業ではないかと思います。
 最近、健康食品志向と自然食品ブームの中で、高品質でおいしい梅を求める人が多くなりました。梅ジュースや梅酒、梅ゼリーなど、加工品の生産も多岐にわたっています。そして、年々その消費も伸びてきているのではないでしょうか。県は、これまで梅開発パイロット事業にも力を入れ、関係市町村や農協とともに随分力を注いでこられました。
 改めてお尋ねをいたしますが、梅は県農政にとってどのような位置づけになっているのでしょうか。その波及効果をどのようにお考えになっておられるのでしょうか。そして、パイロット事業の面積と総事業費についてもお聞かせ願いたいと思います。
 さて、前置きが長くなりました。知事さん、これはきのうの午後三時ごろ秋津川の谷川という地域でとった、生育不良に陥った梅です。(現物を示す)よく見てください。これが枝です。これは成木だそうですけれども、現地からけさ持ってきていただいたんです。こういうしぼんだ梅がそのまま落ちるのを待つという状況になっています。全く生き生きとしたところがありません。そして、葉っぱも小さくて元気がない。こういうものが生育不良症だそうです。こちらが健木です。非常に生き生きとしていますし、見た目でもすごく立派やなと思うと思います。現地では今の時期、こういう元気な梅がたくさんはぐくまれているのがごく普通だったんですが、突如として十年前から病気に侵されてきたわけです。
 こういったものを見ていただいたわけですけれども、生育不良の梅の木は、素人の私が現場に行っても、あっ、この木がそうだなとわかるほど大変な状況でありました。葉っぱは小さくて黄色く、新芽の出る時期なのに新しい枝は全く見られませんでした。果実も小さく、しぼんだまま落下もしないで、じっと耐えているという哀れな姿でありました。現在も、その状況はふえていると言われています。
 原因究明のため、平成三年から専門家や研究所の研究家、大学、試験場などの知識と技術を集中して調査研究が続けられていますが、まだ確固とした原因が明らかになっておりません。今の段階では、三つの原因説が言われています。その一つが栽培管理説です。二つには病原菌説です。三つには環境説だと言われています。
 生育不良は県が積極的にパイロット事業を進めてきた地域に多発しているという現象もあります。田辺では上芳養、秋津川であり、南部川村では上南部、高城地区、南部町では西・東の岩代、中の川であります。ですから、なお一層原因究明を急がなければなりません。県は主体性を発揮して思い切った体制の強化を図り、見通しを持つことが緊急的課題だと考えるものですが、いかがでしょうか。
 農家の皆さんは、生育不良は今も広がっているよ、早く原因を突きとめてほしいと、強い口調で私に訴えられました。これまでの調査研究は農政側が主体で行われたところですが、大気汚染による被害発生が原因ではないだろうかと、住民の多くの方々が思っていらっしゃいます。農家の疑問の深まりを解くためにも、農林水産部と環境調整課による特別対策委員会をつくって共同の調査研究を願うものでありますが、ご所見をお聞かせ願いたいと思います。
 農家の方は、私にこのようなことも訴えられました。「今まで、役場の指導でこの三年間、土壌改善や剪定や改植などを一生懸命やってきて一定の樹勢の回復は見られたが、どうして広がっているのだろう。また、科学的なことはよくわからないけれども、ここで小さいときから暮らした者から見たら、十一年前に関電の御坊火力発電所ができてからおかしな枯れ方が起こってきた。できるまではなかったんやで。それまでは、この市井川一帯は春は山々が真っ白になるほど山桜が咲いたもんや。それはそれはきれいなもんやったで。そやけど、見てみい、桜もみんな枯れてしまって一本もないようになってしまった」と山々を指さして、「九九%、わしは火電やと思うがな」と、この方は、日々の暮らしの中での変化を機敏にとらえ、しかもごく自然に気づいたままを語ってくれました。そのため、大気濃度測定地点をふやしてほしいと強く求めていらっしゃいます。
 田辺で言えば、石神、古屋谷などの高い地帯や谷川、竹藪などの低い地帯にもぜひとも観測地をふやしてほしいという切実な願いです。そして、今、生育不良が起ころうかという不安になっている三栖地域にもぜひともふやしてほしいという願いがあります。南部川村の市井川地区でも、山頂に近いほどこの発生が広がっています。そして、激しいと言われています。だから、山頂、中腹、低地にまんべんなく測定器の配置がどうしても必要だと訴えられています。毎日、発生していないか、大丈夫かと不安いっぱいです。保健環境部長、生産農家の皆さん方の不安にこたえてください。誠意ある答弁を期待するものです。
 御坊火力発電所は、昭和五十九年から稼働しております。田辺市、南部川村の被害園地は、発電所に向かって直線上にあります。そして、その距離も二十五キロ前後離れたところにあります。そして、季節風が吹いてくる北東方向にあり、濃い霧が出た後に梅畑の樹勢が衰えていることから酸性霧が原因としか考えられない。そう言われながら、土壌改良も何もしていないところでも、収量を上げ、被害が起こっていないという変な現象がある、こう皆さんは述べていらっしゃいます。
 疑問の深まる理由を考えれば、今稼働している火力発電所の煙突は高さが二百メートルあります。大気中に排出される二酸化硫黄や窒素酸化物、ばい煙はさらに六百メートルの高さまで噴き上げられ、その後、一時停滞した後に風に乗って飛散し、大体二十五キロ地点に降下すると言われていること、そして周囲の山の高さなどを考え合わせれば、なるほどとうなずけるものです。火力発電所に対する疑問に、大気汚染測定値が基準値以下だからその原因ではないと、数値だけで反対することが妥当なのでしょうか。納得せよと、住民にその数値を押しつけることになりませんか。住民のこうした、早く原因を究明してほしい、安心して梅づくりを進めていきたいとの思いの強まる中で、新たな第二火力発電所の建設計画が始まっています。原因究明が何よりも重要かつ緊急ということから、関連してお尋ねをいたします。
 現稼働中の発電所は調整火力発電所で、電力が不足したときに発電するのだそうです。しかし、第二火力発電所はベース火力といって、ずっとたき続けるものだそうです。煙突から出る汚染物は、単純計算で今の六・八倍も排出されることになると言います。しかも、重油と硫黄分の多いオリマルジョンという燃料を使うのだそうですから、この影響はどうなのでしょうか。本当に、原因がつかめていない今日で、農家の皆さんの大気汚染に対する疑問と不安が極めて強まってきています。まず、何よりも早く原因を究明するための努力を優先することだと思うのですが、農林水産部長、いかがでしょう。
 第二火力発電所計画を一時凍結するよう関電に対して申し入れ、生産農家の切実な声を伝える努力を望むものであります。意のあるところをお聞かせください。
 続いて、引揚者住宅についてお尋ねをいたします。
 国、県は、終戦後、海外からの引揚者あるいは戦争被災者の住宅困窮者の方々に対し、住宅対策を実施してまいりました。和歌山市の砂山地区に新生寮と和歌山厚生住宅、第二応急住宅を、そして松江地区に松江厚生住宅などを国有地や県有地に建設し、その対応を行ってきました。このことによって、引揚者の皆さん方の生活基盤を築く上で大きな役割を果たしてきたところです。
 これらの住宅は、いずれも築後四十年以上を経ており、極めて老朽化が進み、台風や地震などによる災害にはとても耐えられるものではありません。このことを大変危惧するものです。
 中でも新生寮は、当時の兵舎や厩舎の利用という条件からも、過去二回発生した火災に見られたように、甚大な被害を招くことは明らかです。さらに、トイレや炊事場も共同利用ということで、五十年前の旧態依然のままでもあります。このように、防災面、衛生面からしても、この近代社会の中にあって、人が人として文化的な生活を営む住宅の保障とは到底言えない実態にあります。
 こうした現状を打開するため、個々の条件に即して退去対策の努力が行われているようであります。ましてや、国や県の提供となる公営住宅として見るならば、管理責任者としての大きな責任と早急な対策が問われる極めて緊急的な問題であることを指摘したいと思います。
 厚生省の援護局は、昭和四十年十一月二十二日と二十四日に「引揚者住宅の譲渡について」と、「引揚者住宅の滅失報告並びに用途廃止について」の通知を行い、その後、昭和五十三年六月二日に引揚者住宅事業を終了するという通知を出しました。こういう経過をたどってきています。
 恐らく本県においても、種々の住民への提案や話し合いも繰り返し行われてきたのでありましょう。しかしながら十分な解決に至らず、今なお、お互いの話し合いが続けられているところと聞いております。年々入居者も減り、現在では新生寮、和歌山厚生住宅合わせて十七世帯となっております。松江厚生住宅に三十四世帯が暮らしておられます。不良住宅だからいつまでに退去してくださいと言われても、入居者にとっては、あの戦後の苦しい、厳しい生活の中で家族をはぐくんできた生活基盤の原点であります。できるものなら一生ここで住み続けたかったと言いながら退去していかれたお年寄りもたくさんございます。私は、その方々の言葉が大変胸に痛みを覚えるものです。
 さて、今後退去を進めるに当たって、二、三点提案を申し上げ、ご意見を伺うものです。
 その一点として、不良住宅のため、あるいは国有地、国有財産返還のためであるならば、特別措置としての方法を検討すべきではないでしょうか。また、公営住宅の一般募集とするならば、抽せんに当たるまで入居を保障すべきだと思います。
 第二点として、高齢者や病弱者が多くおられます。こういう方々のためには、公的福祉施設や援護施設への入居対策を当事者の合意のもとに行うべきではないでしょうか。今は一般民間アパートへの誘致だけが進められておるようですけれども、このことについても十分な配慮をいただきたいと思います。そして、決して強制的退去を求めないでいただきたいと思います。そのことによって、夜も眠れないという方も出てきている現状にありますし、過去にもそういう方の相談をたくさん受けました。だからなおさらのこと、強制的な退去は決して行わないでほしいと考えます。このことについても、民生部長の意のあるところを伺いたいと思います。
 最後に、県はこの広大な土地利用について具体的な計画をお持ちなのでしょうか。地主である財務局は、国としての具体的な土地利用計画は今のところはない、県のビジョンを示していただければ相談に乗る、こう申しておられます。このことからも、地域にふさわしい、住民要求をくみ上げた計画づくりを進めていただきたいと願うものですが、いかがでしょうか。このことについても、民生部長のご所見を伺いたいと思います。
 第一回の質問を終わります。
○議長(橋本 進君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 梅の生育不良についてお答えをいたします。
 まず一点目の、梅の位置づけと波及効果についてであります。
 梅は、本県農業の基幹作目として、日高、紀南地域を中心に積極的に振興を図ってまいりました。平成六年における栽培面積は約四千ヘクタール、生産量は約五万五千トンで、全国の生産の約五○%を占め、粗生産額は百八十五億円でございまして、いずれも全国第一位でございます。また、健康食品としての梅干し、梅ジュース等の加工業が地場産業としての広がりを見せ、梅干し出荷額約四百億円、これにかかわる就業者約二千人と、日高、紀南地域の重要な産業であります。
 次に二点目の、梅開拓パイロット事業の面積と事業費についてであります。
 田辺市、南部町、南部川村の三市町村において、十地区で約二百七十ヘクタール、九十六億七千万円の事業を実施してきたところでございます。
 次に、原因究明のための体制とその見通しでございます。
 梅の生育不良については、昭和六十年ごろから南部川村、田辺市で発生が見受けられ、平成二年ごろから多くなってまいりました。このため、暖地園芸センター、果樹園芸試験場、農林水産技術会議果樹部会を初め、地元の梅病害虫特別対策協議会が連携を図りながら、剪定による樹勢の維持、適正着果及びかん水の励行、有機物の施用による土づくりなどの技術対策を講じてまいったところでございます。しかしながら、その後も生育不良の発生が見られ、大気の影響を心配する農家の声も高まってまいるとともに、調査研究の中で、最近、梅の根の生育に影響すると考えられるシュードモナス菌も新しく見つかってございます。こうしたことから、平成六年において県、地元市町村、農協等で組織する県うめ生産対策協議会を設置するなど、原因究明に向けての体制の強化に努めてございます。
 現時点では生育不良の原因究明には至ってございませんが、今後これら体制を十分に機能させるとともに、大学や国の試験場等の協力もいただき、早期の原因究明に努力してまいる所存でございます。
 なお、本年の発生状況でございますが、昨年の干ばつ時に比べて本年は適当な降雨量もあり、田辺・南部郷梅病害虫特別対策協議会の現地巡回調査では、比較的少なくなっているとの報告を受けてございます。
 次に、大気汚染に対する疑問が深まる中で、公害研究センターを含めた両担当課による特別対策委員会を設置してはどうかとのお尋ねでございます。
 先ほど申し上げました県うめ生産対策協議会を中心に、関係部局の協力もいただきながら、多角的に原因究明の調査研究に取り組んでいるところでございます。
 最後に、関西電力の第二火力発電所の計画に関するご質問でございますが、農林水産部といたしましては、梅などの農作物に与える影響を第一義といたしまして、環境影響調査のほか、農家の意向をも踏まえながら、大気環境調査や栽培試験など十分な調査が行われるよう、事業者に対して強く要請をいたしております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 保健環境部長江口弘久君。
 〔江口弘久君、登壇〕 
○保健環境部長(江口弘久君) 村岡議員ご質問の梅の生育不良について、御坊火力発電所大気汚染に疑問が深まっているがどうこたえるか、また大気環境測定地点の増設をということでございます。
 まず、大気汚染の現状についてご説明申し上げます。
 田辺市の直近測定局である南部町役場を初め、御坊周辺地域局については、御坊火力発電所の運転開始前から二酸化硫黄、二酸化窒素等の測定を行ってまいりましたが、濃度の変化がほとんど見られず、環境基準をかなり下回っている現状でございます。
 なお、地元からの要望も踏まえ、今年度さらに田辺市秋津川地区において移動測定車による大気汚染の測定を実施することとしております。
 酸性雨についても、一昨年から田辺市上芳養、秋津川、三栖地区で調査を実施しておりますが、県内及び全国の平均的な状況と大差のない結果となってございます。今後とも、関係部局等と連携を図りながら、状況の把握に努めてまいりたいと考えております。
 次に、大気環境測定点の増設の件でございますが、当面の間は移動測定車により計画的に行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 引揚者住宅問題についてお答えいたします。
 引揚者住宅は、海外からの引揚者等で特に住宅に困窮した方に対し、昭和二十一年から応急的に兵舎の改修を行い、四施設を設置し、引揚者等の経済的自立を支援したところであります。
 現在までに、多くの方々が自主的に持ち家を購入したり、他の住宅施設に転居されているところであります。県といたしましては、これまで空き家の撤去や出し屋部分の除去等、建物の維持管理に努めてまいりました。しかしながら、近年、建物の老朽化が著しく、昨年十二月に実施した住宅不良度採点調査で当該住宅は不良住宅と判定されたところであり、管理上、不良住宅に今後も引き続き入居していただくわけにはまいりませんので、現在も転居先が決まっていない方々に対して、なお自主的な住みかえをお願いしているところです。個別の事情をお聞きする中で、公営や民間住宅並びに福祉施設への入所等、入居者の住みかえの支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、引揚者住宅の跡地利用計画については、土地所有者である国の意向や住みかえの進捗状況を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 今、それぞれの市町村が一生懸命努力をしていらっしゃる姿を私も現地で見てまいりました。そして、お話も聞いてまいったのであります。
 そういう中で、それぞれの行政側も、原因がわからないだけに農家の皆さんの不安が一層強まっている、長引けば長引くほど大変な事態になるのではないかという思いをお持ちなんです。本当に、現地はもう最大限の努力を傾けていらっしゃいます。その対応として、県も暖地園芸センターやら果樹園芸試験場での支援が行われているんです。しかし、原因がわからない間は、土を改良するとか、そういう対症療法でいく以外はないという今の時点だと思うんです。対策会議だとかなんとかというのはできていますけれども、本当にこれが十分機能をしているかどうかが今後の原因究明の中で試されるところだと思うんです。そういう点で、住民の皆さんが不安を持っている部分について、県が本当にまじめにひざを交えて耳を傾け、その中で対策を考えると。
 今、住民の皆さんが一番不安に思っていらっしゃる──不安というよりも疑問に思っていらっしゃるのは、やはり大気説です。関電から排出される汚染物についての不安が解けないんですね。このことをどうやって解明するかが大きなかぎだと思うんです。病原菌説とか栽培管理説については一定度進むと思うんですけれども、大気公害については企業が自主的に行う検査ですから、立入検査をしたとしても、本当にそれなのかと思っても、数字が出てくればなかなかそうは言えないと思います。保健環境部長も、基準値以下であるということを言われました。数値はそうだと思うんですが、住民が長年の生活の中でおかしいんじゃないかという部分についても、きちっと答えられるように努力をしていただきたいと思います。せっかく、この地域では後継者もたくさん育ってきていることですから、今後こういうものが長引いたり広がっていくことによってまた後継者不足を生んでいくのではないかと、私は非常に心配します。そういった点での努力を重ねてお願いしておきたいと思います。
 それと、厚生住宅です。
 これは、重ねてお願いをしておきますけれども、新生寮というのは見れば見るほど気の毒な住宅です。ここに十四世帯ですか、まだ残っていらっしゃいます。この方々は、ほとんど病弱か高齢者です。この方々に、もっと積極的に特別対策をとるなどの力を注いでいただきたい。ただ、本人の希望もあろうと思いますので、強制は求めませんけれども。あるいは公共住宅を望まれる方は、経済的な問題も含めて低家賃で入りたいという希望もありますから、ぜひそういった点での特別の配慮をお願いしたいと思います。
 以上、要望といたします。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十三分休憩
  ─────────────────────
 午後一時五分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番木下善之君。
 〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 本席より一般質問のでき得ますことを大変光栄に存じております。議長のお許しをいただきまして、通告に従い、一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、道路整備と下水道対策について仮谷知事にお尋ねをいたします。
 道路は、我が国が二十一世紀に向け、豊かさとゆとりの実感ができる生活大国の実現に向けて最重要な役割を果たす社会資本であります。国の道路整備水準は欧米に比べて質量ともに大きな格差があり、したがって国は、第四次整備計画において一万四千キロネットワークの実現に向け、今世紀中には、一般国道、自動車専用道路も含め、高規格幹線道路網九千キロメートルの供用を目指しているようであります。
 さて、本県の道路整備でありますが、半島という広域な立地条件の中にあって、また中山間地域を抱え、今日の道路設置の採択基準からして、投資額の割には延長の点で伸びの少ないのが実態でなかろうかと存じます。しかしながら仮谷知事には、多くの橋をかけトンネルを抜き、地域間格差の是正と活性化のため限られた財源で効率的な運用をなされ、また国道昇格を初め高規格道路の誘致等、和歌山新時代に向けて最大の努力を払ってこられたことも事実でございます。一方、急速な時代の変遷もあって、一人一台と言われるほどの欧米並み以上の車社会が到来し、道路整備が追っつかなくなったことも事実でありますが、二十一世紀に向け、県民ひとしくさらなる道路整備の促進を願望しているところであります。
 さて、伊都・橋本地域については、本県北東の玄関口であって、大都市圏大阪との距離はわずか五十キロ圏内にありながら、国道三百七十一号、同四百八十号等、特に大阪府側も含め、整備がおくれていると考えております。本道路は、本県東部はもとより、中紀、南紀の発展に大きく影響をもたらすものでありまして、東部の最重要路線と位置づけております。
 京奈和自動車道等高規格道路を初め、県道、市町村道に至る、それぞれの機能を持つ各種道路の整備についてのお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、下水道の問題であります。
 本日午前中の森議員からの質問にもございましたように、本県の下水道普及率は大変低い状況にあり、全国平均の五○%、お隣の奈良県四四%に比べ、本県は六%であります。低調であることはそれなりの理由もあろうかと存じますが、下水道の普及は文化水準のバロメーターとも言われております。
 水質の保全を初め、本県の河川、海、自然環境は立派です、さすが和歌山はすばらしいところと言っていただけるように、下水道も重点施策として取り上げ、内部体制の充実と普及率の向上に向けてお取り組みを願いたいとするものであります。
 平成二年度に完成し、仮谷知事が県下第一号のテープカットをされたと言われる、農業集落排水事業を実施された美浜町和田地区を視察いたしました。本事業は農業振興地域における農村下水道事業でありますが、大変立派になされてございます。けさからのお話でありますと、それを核として、それぞれの地域において多くの事業が実施されておるやにも聞いております。伊都・橋本地域におきましても、いよいよ本年度から採択されて実施の運びとなってございますが、今後、これらの問題について一層積極的に推進を図っていくべきと考えます。また、紀の川流域下水道の一日も早い供用開始を特に希望するところであります。
 道路整備と下水道は根幹をなす最重要課題と受けとめていただき、積極県政の柱としてお取り組みをお願いする次第であります。仮谷知事のご答弁をいただきたく、よろしくお願いをいたします。
 続いて、土木部長にお尋ねをいたします。
 紀の川流域下水道伊都処理区の供用開始に向けてでありますが、本事業は昭和五十四年度より一市三町を区域として計画処理人口十二万一千人の流域において行われており、浄化センター十九ヘクタールの用地取得に相当な期間を要しているのが現状であります。この用地取得には大変なご苦労があったと思いますが、残りの未買収地の取得に向けてなお一層の努力をお願いするところであります。
 流域内にある橋本市の現在造成途上の宅地も、本事業の進捗が遅延することによって、造成が進んでも下水道待ちとなってくることもあり得るわけでございまして、県と市の間において今後この点を十分協議され、開発の全体計画に狂いのなきよう希望するところであります。
 とにかく、流域関係住民は下水道完備を一日千秋の思いで待っていることの上に立って本事業の推進に当たっていただき、事業予算の積極的な獲得等、特段の努力を願いたいのであります。本下水道の現況と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
 次に伊都処理区の幹線管渠についてでありますが、公共下水道から流域下水道への変更認可でございます。
 幹線管渠は年々延伸されておるようで、布設の一部に途中まだ十分できていない地域があるようでございますけれども、先端は高野口と橋本の境界まで布設されております。上流に向け、県営の流域下水道によって幹線管渠をさらに延伸されることについてお尋ねをいたします。
 さらに、供用開始時点において極力管渠を橋本市街地まで延伸されることは、浄化センターの機能を高めるとともに環境保全の面からも受益者に多大の効果をもたらすことにもなりますので、特段の努力をお願いいたしたいのでございます。
 次に、道路交通網の整備についてであります。昨日、阪部議員の一般質問にもございましたが、あえて申し上げておきます。
 国道三百七十一号バイパスの着工時期及び完成見込み年次、並びに同バイパスの大阪府側の着工めどと国道三百七十一号大阪府側の現道拡幅についてであります。
 知事にも申し上げましたが、ご承知のとおり国道三百七十一号は、河内長野市を起点に、橋本、高野山を経て串本へ通ずる、本県東部を縦貫する幹線道路であります。近年、橋本市においては宅地開発が進み、また関西国際空港の開港と相まって交通量が急激な増加を示し、平日の時間帯によって、あるいは休日等、大変な交通停滞が発生しております。
 橋本市の宅地開発の全体的なおくれをなした最大の原因は、四十八年のオイルショックを初め、社会経済環境の変化もあったと考えますが、ほかに大きな原因の一つとして交通網の未整備があります。
 参考例といたしまして、住宅分譲展示会には、その大半が休日に家族とともに車で来られますが、大阪の方の多くの意見として、環境はすばらしいが府県間道路が大変悪く、三重県の名張の方が、距離は橋本の倍あっても近鉄及び名阪国道を利用するため時間が同じで、確実性が高いと言われ、大阪北部あるいは奈良、三重の近鉄沿線に変更されるケースが実に多いところであります。しかしながら、今年の夏に南海電鉄の橋本駅まで複線化による開通見通しがついたこと、さらに国道三百七十一号の事業化と相まって、今日になってようやく住宅供給も幾分安定しつつあるようでございます。
 過日も、隅田A団地二百七十二ヘクタール、四千八百戸の工事が着手され、年内に三つの団地、延べ百七十三ヘクタール、三千六百戸の着工が予定され、新規に約三万人を計画されているわけでございますが、入居はお一人お一人の判断によるところが大であります。
 以上の点から、用地取得は国道三百七十一号バイパスにおいてもある程度なされてございますが、工事着手は、それぞれの地域における諸事業推進の上で、一つの起爆剤として大きな期待がかかっておるものであります。一日も早く、できれば平成八年度内に着工を希望するところであり、あわせて大阪府側にも同時着工をされるよう強い要請を願いたいのであります。
 大阪府側の六・五キロのほとんどはトンネルと橋梁のようでございまして、南海電鉄と並行して設置されるやに聞き及んでおります。用地の取得が少なければ工事に入れるのではないかという考えを持っております。
 特に本問題につきましては、本県と大阪府の間において昭和六十二年に紀の川利水に関する協定が締結され、紀の川流域整備振興事業を創設、この基金の運用により水源地域の整備を初め流域整備、特に府県間道路の整備を進めることとなっており、大阪府側に対しても、分水を念頭に、国道三百七十一号、四百八十号等の早期着工を希望するところであります。
 次に、国道三百七十一号の大阪府側の現道改良、拡幅の件でございます。
 新線バイパスの完成まで相当時間を要するものとして、現道に頼らざるを得ないわけでございます。したがいまして、年次改修計画についても強い要望を願うものであります。先般も現地を見させていただきましたが、ショートカットの拡幅も比較的に消極的ではないかと思いました。再三の要望をお願いするところであります。
 次に、国道二十四号から国道三百七十一号間の市脇・清水間架橋の現況と事業採択についてでございます。
 本問題については、地元協議会初め、市を挙げて県、国へ向けての陳情活動を展開し、十幾年の歳月が経過しました。おかげで平成六年度より県のボーリング調査等が開始され、関係地域ではそれなりの評価をされているところであります。平成七年度の調査の概要と今後の進め方についてお尋ねをいたします。
 なお、対岸の清水地内には、数戸の移転を初め、用地買収の先行取得が可能な体制をおつくりいただきたく、事業化の早期実現を願うところであります。
 次に、国道三百七十号、国道四百八十号の九度山・高野山間の線形改良についてでございます。
 橋本・高野山間の国道三百七十一号バイパスは、ダム関連等、今後の課題となってまいります。この新ルート開通までの間、現行の線形局部改良を行う必要があると思うが、どうお考えでしょうか。
 本線は、昔、有料道路としてその機能が果たされておりましたが、今日では一車線が主体で、しかも百カ所以上のカーブがあって、多くの方が車酔いされる道路であります。改良、拡幅等、あるいは部分供用等、投資の割に効果が少ない一面もあるが、関西国際空港の開港に伴い、和歌山を世界に向けて売り出さなければなりません。その一つの高野山であります。こうした中で、受け皿として大変弱いのではないか。対策についてどうお考えなのか、伺うものであります。
 次に、国道四百八十号線については、おかげをもって改修計画も進んでおるところでありますが、高野山へ通ずる志賀地内の梨子木トンネルの調査結果と今後の取り組みについてお尋ねいたします。本線は関西国際空港からの一つのルートでもありますだけに、前向きの答弁をお願いする次第であります。
 次に、京奈和自動車道橋本道路の着工時期及び京奈和自動車道の事業費増額についてであります。
 京奈和自動車道は、京都、奈良を経て和歌山市に通ずる総延長百二十キロメートルの高規格幹線道路と位置づけされ、本県においては、奈良県境から高野口間の橋本道路区間十一・三キロが平成元年度に事業化され、高野口・打田町間の紀北東道路は平成五年度に事業化されまして、紀北西道路については近く事業化されるやに聞き及んでおります。
 さて、橋本道路は平成三年より用地取得のための調査に入られ、事業費として平成三年より数億の単位で今日に至っております。本区間である十一・三キロの事業費概算は九百五十六億円と聞き及んでおりますが、この金額からすると相当な歳月を要するものと考えるわけでございまして、思い切った予算の増強について国への要請を切望するところでございます。
 第二国土軸構想が浮上して久しいところであり、平成二年に第二国土軸構想推進協議会が関係十七府県において結成され、以降、紀淡海峡連絡道等の調査検討をされている中にあって、ことし一月の阪神大震災により、現在の国土幹線の機能が長期にわたって麻痺した点を反省し、国は太平洋新国土軸を重要路線と位置づけされております。その役割を果たす京奈和自動車道の早期完成に向け、国へ積極予算を仕組まれるよう強く要請をするところであります。
 本事業の着工は関係地域の活性化に大きな期待と希望をもたらすものと考えますので、大型予算の見込みが立ってまいりますと早期に着工されることを希望する次第であります。
 次に、公営住宅の新改築について土木部長にお尋ねをいたします。
 県営住宅の新改築計画について、本県の持ち家比率は六九・六%と全国平均六一・三%に比べて高く、全国第二十五位となっております。県営住宅の千世帯当たり全国平均は二○・四戸で、本県は一三・四戸とやや低い状態でありますが、持ち家比率の高いことによるものと考えられます。
 県は、県下一円に県営住宅を位置づけされ、それぞれ管理運営をなされておりますが、今後の県営住宅の新改築計画についてお尋ねをいたします。
 次に紀北地域への設置の考え方でありますが、県営住宅比率は、県平均千世帯当たり一三・四戸に比べ、橋本市は四・八戸、伊都地方もこれに準じておるのが実態であります。このことは何が原因しているのか、市町村営に依存しているのか知りたいのでございますが、橋本市においては、現在、京奈和、三百七十一号両線の立ち退きや各河川改修による移転、市街地の区画整理事業等、さまざまな事業が展開しつつあります。こうした中で、県営住宅の設置について紀北の関係市町村とも協議検討されるよう切望するところであります。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下善之議員にお答え申し上げます。
 道路の整備と下水道対策についてでございます。
 道路整備並びに下水道整備は生活基盤の根幹をなすものでございまして、県としても重点施策として取り組んでおるところでございます。また道路整備につきましては、半島性を克服するため、最重点施策として高規格幹線道路を初めとする国道、県道、農道、林道、市町村道の推進を図るとともに、連関性を持たせ、生活基盤や生活環境、産業振興の整備を進めているところでございます。
 また、お話ございましたように、橋本を中心とする伊都地方は人口が急増している地帯でございまして、京奈和自動車道を初め、府県間道路である国道三百七十一号、国道四百八十号、さらに三百七十号等、整備を進めることが何よりも必要なことであり、推進しているところでございます。
 特に、これを推進するに当たって国の援助が必要でございまして、国に対して強く要望していきます。ありがたいことには、近畿地建の局長であった橋本さんが、今度、道路局長になられました。二年間近畿におられて、橋本を初め和歌山県内の道路の実情について非常に詳しいわけでございますので、そうした点を頼りにして、なお一層府県間道路の整備を図っていきたい、そしてまた大阪府との連携を密にして積極的に進めてまいりたいと、かように思っておるところでございます。
 また、下水道の整備につきましては、けさほど森議員からも話がございましたように、おくれているのが現実でございまして、是が非でもこのおくれている点を取り返し、下水道を推進することによって、生活環境の改善や公共用水域の水質保全等について十分な配慮をしてまいりたいと思います。下水道を積極的に推進するために、ことしの四月に下水道室を下水道課に改定して積極的に取り組んでいるところでございます。
 また、話ございましたように、下水道だけではなしに、農業集落排水合併浄化槽との連携を図りつつ、県内の下水道整備ということで努力してまいりたいと思っておるところでございます。
 特に紀の川流域下水道の伊都処理区は計画がおくれているということについて、私もまことに残念に思っておりまして、早期供用開始に向けてこれからなお一層全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 木下善之議員にお答えいたします。
 まず、下水道に関する二点についてでございます。
 紀の川流域下水道伊都処理区の現状につきましては、幹線管渠では、全体延長十三・六キロメートルのうち、平成六年度末で八・〇キロメートルが完成しており、進捗率は五九%でございます。
 一方、終末処理場の用地につきましては、地元地権者の方々と話し合いを進めておりまして、現在、全体面積十九・〇ヘクタールのうち十二・〇ヘクタール、六三%、その中で一期計画として七・〇ヘクタールのうち五・二ヘクタール、七四%の買収を済ませております。
 今後、一期計画内の用地買収を進め、本年度中には終末処理場の建設に取りかかれるよう努力するなど、早期供用開始に向けて全力で取り組んでまいることとしております。
 次に幹線管渠の延伸につきましては、平成四年度に下水道法による事業認可基準が見直され、一定の条件の範囲内で延伸が可能となったところでございます。現在、橋本市と協議中でありますが、処理場の建設時期、関係市・町の負担割合等の課題もありますので、これらについて今後検討することとしております。
 次に、道路交通網の整備についての三点でございます。
 まず、国道三百七十一号につきましては、橋本バイパスとして、国道二十四号から府県境まで延長約六・五キロメートルについて平成元年度に事業化を行い、重点路線として整備を進めているところでございます。七年度末の用地の進捗は、おおむね四〇%の見込みでございます。本年度は、用地買収とあわせて土捨て場への進入路の工事に着手することとしており、本格的な工事については、用地買収の状況を踏まえ、検討したいと考えております。
 また、大阪府側につきましては、府県界から河内長野市石仏までの延長約六・一キロメートルについて平成四年度に事業化され、現在、全区間にわたって路線測量、詳細設計を実施中であります。この道路の必要性については、大阪府にも十分なご理解を得ているところでございます。
 工事の着工時期につきましては、今後の用地取得の状況に左右されますが、阪和開発連絡協議会で連携を密にし、大阪府の工事着手を強く要望してまいります。
 なお、大阪府の現道につきましては、天見地内では平成五年度に三百二十メートルの区間の現道拡幅が完成されているほか、三百五十メートルの歩道設置も平成三年度より着手されております。また、見坂地内の四百八十メートルについても平成五年度より線形改良を行っており、本年度中には完成予定と聞いておるところでございます。県としましても、国道三百七十一号の整備促進について今後とも強く要望してまいります。
 次に、国道三百七十一号の市脇・清水間の架橋につきましては、国道三百七十一号橋本バイパスの延伸部として、また高野山から高野龍神スカイラインなどを経て紀南に通じる重要な道路の一部として、積極的に調査を進めております。
 本年度は、昨年度に引き続き、橋脚部の地質調査並びに橋梁を含めた区間の予備設計を実施いたしますとともに、河川協議にも着手することとしております。今後、早期に必要な諸調査を終了し、河川協議、都市計画決定の変更などを急ぐ必要がありますが、地元の絶大なご協力が必要でありますので、またこの点についてよろしくお願いいたします。これらの手続の進捗状況を踏まえながら、早期に用地買収や工事に着手できるよう努力してまいります。
 次に、旧高野山有料道路約十七キロメートルにつきましては、一応の改良済みでありますが、勾配がきつく、カーブも多いため、大型バス等の離合の困難な箇所も多く、昭和六十二年の無料開放以来、突角部の切り取りや側溝整備などによる幅員の確保、防災工事などを実施してまいりました。今後とも快適な走行ができるよう、その対策を進めてまいります。
 また、四百八十号のかつらぎ町と高野町の境部の梨子木峠付近につきましては、トンネルを含めた概略ルートの検討を行ったところでございます。今後は、さらに詳細な諸調査を急ぎますとともに、早期に事業化できるよう努力してまいります。
 四点目の京奈和自動車道につきましては、高規格幹線道路の一部として太平洋新国土軸の一環をなすものでございまして、本県にとっても非常に重要な道路であると考えております。
 橋本道路十一・三キロメートルにつきましては、平成元年度に事業化され、平成三年度より用地買収が進められておりますが、全線に公図の混乱が見受けられ、公図訂正の作業が急がれているところでございます。このため、用地買収の体制につきましては、国道橋本事務所を設置し、用地専任の職員を置き、橋本市の職員の方と一緒にこれらの作業を進めているところでございます。
 本工事の着手につきましては、今後の用地取得の状況によりますので、地元の市及び町と協力して一層の用地取得促進に努力し、早期に工事に着手できますよう、国に対し強く要望してまいります。
 また、紀北東道路約十六・九キロメートルにつきましては、平成五年度に事業化され、現在、都市計画決定のための作業を急いでおります。今後ともこれらの諸調査を促進し、橋本道路とあわせて、議員の皆様方のご支援をいただきながら、予算の増額等を含め、より一層の事業促進を国に対し強く要望してまいります。
 最後に、公営住宅の新改築に関する二点のご質問についてでございます。
 公営住宅は、所得の低い方に対し低廉な家賃で供給していく必要があり、第六期住宅建設五箇年計画に基づき推進しているところでございます。基本的には、公営住宅は地域の実情に詳しいそれぞれの市町村に事業主体となっていただいておりますが、県営住宅はそれを補完するものと考えております。
 議員ご質問の県営住宅の新改築計画につきましては、老朽化した団地の建てかえを主要事業として推進し、居住環境の向上を図っていくことが重要であると考えております。
 なお、紀北地域の人口急増地域につきましては、需要の実態を十分踏まえ、市町村の協力を得ながら、用地の確保等、新規団地の建設も含めて取り組んでまいりたいと考えております。
 近年、高齢者や障害者にとっても住みやすい住宅や住環境の整備、定住人口確保のための住宅供給等の必要性が問われておるところでございまして、昨年度と今年度の二年をかけ、きのくに住宅マスタープランの策定に取り組んでいるところでございます。その基本的方向を踏まえて第七期五箇年計画に反映させ、整備を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(木下秀男君) 再質問がございませんので、以上で木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十一分散会

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