平成7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

議 事 日 程 第三号 平成七年六月二十七日(火曜日)
     午前十時開議
 第一 議案第八十五号から議案第百一号まで(質疑)
 第二 一般質問
会議に付した事件
 一 議案第八十五号から議案第百一号まで(質疑)
 二 一般質問
出 席 議 員(四十五人)
 1 番 大 沢 広太郎
 2 番 木 下 善 之
 3 番 小 川   武
 4 番 吉 井 和 視
 5 番 下 川 俊 樹
 6 番 井 出 益 弘
 8 番 門   三佐博
 9 番 永 井 佑 治
 10 番 新 島   雄
 11 番 向 井 嘉久藏
 12 番 佐 田 頴 一
 13 番 和 田 正 一
 14 番 阪 部 菊 雄
 15 番 西 本 長 弘
 16 番 馬 頭 哲 弥
 17 番 長 坂 隆 司
 18 番 井 谷   勲
 19 番 高 瀬 勝 助
 20 番 上 野 哲 弘
 21 番 堀 本 隆 男
 22 番 宇治田 栄 蔵
 23 番 宗   正 彦
 24 番 橋 本   進
 25 番 谷   洋 一
 26 番 玉 置 公 良
 27 番 東 山 昭 久
 28 番 尾 崎 要 二
 29 番 野見山   海
 30 番 木 下 秀 男
 31 番 町 田   亘
 32 番 中 山   豊
 33 番 山 下 直 也
 34 番 鶴 田 至 弘
 35 番 森   正 樹
 36 番 村 岡 キミ子
 37 番 新 田 和 弘
 38 番 平 越 孝 哉
 39 番 森 本 明 雄
 40 番 神 出 政 巳
 41 番 松 本 泰 造
 42 番 冨 安 民 浩
 43 番 飯 田 敬 文
 45 番 松 本 貞 次
 46 番 大 江 康 弘
欠 席 議 員(二人)
 7 番 藁 科 義 清
 44 番 中 村 裕 一
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良
 副知事 梅 田 善 彦
 出納長 中 西 伸 雄
 知事公室長 野 見 典 展
 総務部長 木 村 良 樹
 企画部長 藤 谷 茂 樹
 民生部長 木 村 栄 行
 保健環境部長 江 口 弘 久
 商工労働部長 中 山 次 郎
 農林水産部長 日 根 紀 男
 土木部長 山 根 一 男
 企業局長 中 村 協 二
  以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
    岩 崎 正 夫
 教育長 西 川 時千代
  以下教育次長
 公安委員会委員長
    西 本 貫 一
 警察本部長 西 川 徹 矢
  以下各部長
 人事委員会委員長
    水 谷 舜 介
  人事委員会事務局長
 代表監査委員 天 谷 一 郎
  監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
    谷 口 庄 一
  選挙管理委員会書記長
  地方労働委員会事務局長
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 岩 垣   孝
 次 長 中 西 俊 二
 議事課長 松 田 捷 穂
 議事課副課長 佐 竹 欣 司
 議事班長 松 谷 秋 男
 議事課主査 山 本 保 誠
 議事課主事 長 尾 照 雄
 総務課長 岡 山 哲 夫
 調査課長 柏 木   衛
 (速記担当者)
 議事課主任 吉 川 欽 二
 議事課主査 鎌 田   繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(橋本 進君) これより本日の会議を開きます。
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 【日程第一 議案第八十五号から議案第百一号まで】
 【日程第二 一般質問】
○議長(橋本 進君) 日程第一、議案第八十五号から議案第百一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 14番阪部菊雄君。
 〔阪部菊雄君、登壇〕(拍手)
○阪部菊雄君 お許しを得まして、一般質問をいたします。
 本来私は、毎年九月議会で過去八回、この壇上で質問をいたしました。今回、橋本・伊都地方の市町村長より「仮谷知事にぜひ篤とお願いしてほしい」というご命令がございましたので、あえてこの六月議会に質問をさせていただくことになりました。
 仮谷知事も、今期五期をもって出馬しないと正式に声明されました。顧みれば、五期二十年という長い年月にさまざまな苦難や喜びもあったことでしょう。しかし、昨年、世界リゾート博の大成功、待望久しかった関西国際空港の開港等、本県にとって大きな波及効果がありました。知事が、「やればできる」という自信を県民に与えました。また本年、NHKの大河ドラマ「八代将軍吉宗」が大ヒットしており、まことにおめでたい限りであります。
 さて本論、二つの件について知事の所見をお伺いいたします。
 去る五月三十一日、伊都郡町村及び橋本市医療保健福祉広域推進協議会の総会がございました。私たち地元議員全員が参加しましたが、その会議の中で、長い長い年月の懸案でございました、そしてまた重要議題でございます、心身障害者更生施設の設置に関することがありました。本件については、知事のご配慮により本年度の当初予算に調査費を計上していただき、ようやく前進しようとしており、心から感謝申し上げる次第でございます。また、去る十三日、本件について市町村長一行が知事に御礼を兼ね、さらに早期実現方、陳情を申し上げたところでございます。
 市町村長の真実の願望は、県で現在調査中でありますが、県営の福祉施設として運営してほしいというのが本音であります。仮谷知事の大英断をもってこれが実現できるよう、橋本・伊都郡五名の議員、衷心よりお願いするとともに、知事のお考えをお伺いするものであります。
 また、その後の調査について、部長より経過のご報告をお願いするものであります。
 さらにもう一つ、去る六月八日、美里町、花園村両町村より陳情のございました町村道長谷花園線の県道昇格についてであります。
 本路線は、ご承知のとおり、国道三百七十号線と国道四百八十号線を結び、貴志川上流と有田川上流部を連結する最短道路で、地域振興と住民の利便ははかり知れないものがあります。昨年、知事から花園村の地蔵峠のトンネル調査費をいただき、花園村民挙げて感激しておるところでございますが、長谷花園線の県道昇格も仮谷知事のご在任中に実現させていただきたく、知事のご所見をお伺いするものであります。
 平成四年九月議会で、花園村地蔵峠から美里町に通ずるトンネルの実現を強く要望いたしたところでありますが、そのとき、あわせて特段にお願いいたしました、九度山町の河南農道から慈尊院についてでございます。
 紀の川に架橋して国道二十四号線と結び、目下進行中の八号線バイパスを経由、河北の広域農道に連結する極めて重要な路線としてご提案申し上げたのでございますが、ふるさと農道緊急整備事業として、全幅十一・五メーター、延長千四百五十メーターが事業認定されました。平成十年か十一年までに完成させなければならないと仄聞いたしておりますが、その進行について農林水産部長にお伺いするものであります。さらに、河北広域農道より北、伊都農協信太支所まで計画延長してほしいと思いますが、あわせて所見をお伺いいたします。
 去る一月十七日の未明、阪神・淡路大震災という極めて不幸な大惨事が突発し、多数の死者、負傷者、家屋倒壊等があり、心からご冥福と一日も早き復興を祈るものであります。この大震災により、国土軸が壊滅的打撃を受けました。このことにより、第二国土軸構想すなわち太平洋新国土軸構想の早期実現に大きな弾みがつきました。現在の進行状況と、大いに関連する京奈和高規格道路の橋本・高野口間の十一・三キロメートルの進捗状況、あわせて国道三百七十一号線の進捗について、土木部長にお伺いするものであります。
 さらに、橋本市新橋本橋の架橋と紀伊丹生川ダムがいつごろ着工されるのか、お答えいただきたいと思います。
 以上をもちまして、大変短うございますが、私の第一回の質問といたします。ありがとうございました。
○議長(橋本 進君) ただいまの阪部菊雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 阪部議員にお答え申し上げます。
 橋本・伊都地方に心身障害者の更生施設を設置せよ、そして特に県営でやれというお話でございます。
 お話ございましたように、私も伊都地方の県会議員の皆さんや町村長さんからかねて陳情をいただいており、こうした施設が伊都・橋本地域で必要であることは認識してございまして、設置しなければならないということで、現在、調査費を計上させていただいておるわけでございます。
 ただ、話ございましたように県営でやるのがいいのか、また民間でやらすのがいいのかということでございますが、最近の情勢として、民間の施設でやる方がサービス面からもいいのではないかという意見が、本県だけじゃなしに全国的に相当強いわけでございます。
 ただ、民間でやったら施設が不十分になるんじゃないかという問題等もありますけれども、そうした問題については国、県等においても補助制度を行ってございまして、どちらに利点があるかということを十分調査するし、またその調査の過程において、地元の皆さんや施設へ入所する人たちから見た場合にどちらがいいかということについて、十分検討させていただいてやらなければならないと思っております。
 いずれにしても、やらなければならない重要課題でございますので、阪部議員のご提言を十分踏まえて検討させていただきたいと思っております。
 それから、花園と美里を結ぶ長谷花園線でございます。
 これはちょうど国道と国道を結ぶ路線でもありまして、周辺の道路網の整備から重要だと思っております。またこの道路は、かねてから花園、美里にとって重要な道路でございまして、さきには林道でございました。そして、町村道に移りました。そして、県道にしてくれというわけでございます。
 私は、県道にするにやぶさかでないわけでございますけれども、それを進める上においてはやはり道路の登記が一番重要な課題でございますので、この未登記の処理を早急にやっていただきたいと思うわけでございます。未登記処理がスムーズにいくならば、じきにできるわけでございますけれども、この処理が非常に難しゅうございますので、地元の村長としても精力的に取り組んでいただかなければならないのではないかと思うわけでございます。
 現在、話ございましたように、トンネル等の調査を行っております。これは、登記がおくれた場合に並行してやれるようにしているものでございまして、両面作戦でやっておるわけでございます。ぜひ地元の未登記処理ということにつきまして、格段の配慮を賜りたいと思います。
○議長(橋本 進君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 議員ご質問の調査の進捗状況でございますが、現在、基本データ、既存資料の収集、分析を行っているところであり、今後、施設の需要の将来予測、関係者のアンケート調査、他府県の事例等の調査検討を踏まえ、有識者の意見を伺いながら、どのような施設がどこにどれだけ必要なのか、特に整備の促進が必要な地域でどのような効果的、具体的な整備手法や支援策があるか等について調査検討するものでございます。
 調査期間は六カ月程度を要する見込みでございますので、今年末までに調査結果のとりまとめができるものと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) ふるさと農道緊急整備事業についてお答えをいたします。
 この事業は、伊都郡地域のアクセス整備を図るために、紀の川右岸と左岸の広域農道を結ぶ、九度山町慈尊院から高野口町大野の橋梁を含む六百メートルと、高野口町上中と下中の間の八百五十メートルの道路の新設でございます。
 事業費は約三十一億円で、事業期間は本年度から平成十一年度までの五カ年を予定してございまして、今後、早期完成に努めてまいります。本年度は、測量設計及び用地買収を行う予定としてございます。
 また、上中からの道路計画延伸については、土木部とも協議をしながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 阪部議員にお答えいたします。
 太平洋新国土軸構想についてのご質問に関連してでございます。
 太平洋新国土軸構想の進捗状況については、さきに国から提示された第四次全国総合開発計画の点検結果において、太平洋新国土軸を初めとする新たな国土軸の必要性や意義が認められ、また現在策定中である新たな全国総合開発計画においても最重要課題の一つとなってございます。
 その中で、議員のお話にございましたように、このたびの阪神・淡路大震災により、災害に強い安全な国土構造を構築していく観点から多軸型の国土形成への認識が深まり、太平洋新国土軸の必要性がより高まったところでございます。今後とも、関西はもとより、西日本一帯の広域的な活性化を図るため、関係府県ともども力を合わせ、その実現化に取り組んでまいる所存でございます。
 京奈和自動車道の橋本道路については、平成元年度に事業化され、平成三年度より用地買収に着手しております。この道路は、橋本市内で十六地区、高野口町で五地区を通過しますが、ほぼ全線に公図の混乱が見受けられ、公図訂正に日時を要しております。しかしながら、昨年度末には高野口町の努力により町内の公図訂正は終了いたしました。また橋本市内についても、市当局の協力を得ながら、早期に公図訂正が行えるよう努力を続けているところであります。
 現在、用地面積が確定して用地買収に入っているのは橋本市内の六地区のみでございますが、来年度からの一層の用地買収の促進のため、本年度は、地元のご協力をいただきながら用地買収を促進するとともに、積極的に公図の訂正等の作業を行う予定と聞いております。今後とも、予算の増額について国に強く要望してまいります。
 次に、国道三百七十一号については、橋本バイパスとして延長約六・五キロメートルについて平成元年度より事業化を行い、重点路線としてその整備を進めているところでございます。この道路は、現在用地買収を積極的に行っているところであり、本年度末の用地の進捗はおおむね四〇%となる予定でございます。本年度は、用地買収を促進するとともに、土捨て場への進入路の工事に着手することとしております。今後とも地元のご協力をいただきながら、事業の促進に努力してまいります。
 次に、仮称・新橋本橋架橋については、昨年度に引き続き橋脚部の地質調査並びに橋脚を含む区間の予備設計を実施するとともに、河川協議にも着手することとしております。早期に必要な調査を終了し、河川協議、都市計画決定の変更等、関係機関との協議を進めた上、早期に着工すべく努力してまいります。
 次に、紀伊丹生川ダムの建設についてでございますが、紀の川支川・紀伊丹生川に治水と利水を目的としたダムとして、平成元年度より建設省が実施計画調査を進めており、昨年度、ダムの高さ等、基本的な諸元の概要が決まったところでございまして、それらの諸元をもとに地元に計画の説明をしている段階でございます。県としても国に対して早期建設着手を強く要望しており、今後とも建設省に協力しつつ、地元関係者のご理解が得られるよう努力してまいります。
 最後に、長谷花園線については、花園村において峠部のトンネルを含むルートの検討を行ったところでありますが、この区間は地形が急峻で道路の勾配等についてより詳細な検討が必要でありますので、県としても地元町村と一体となって、図面の作成、ルートの検討を続けているところであります。今後、整備手法等も含め、調査検討を進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 14番阪部菊雄君。
○阪部菊雄君 ただいま、知事さんから非常に前向きなご答弁をちょうだいいたしました。
 特に、一番問題の福祉施設の問題でございますけれども、部長からのお話では、現在調査を行っており、年末までに出せるのではないかということでございます。市町村長並びに我々五名の県会議員、一生懸命汗を流して頑張っておりますので、ぜひひとつ早期実現のためにお力添えをちょうだいいたしたいと思います。
 さらにまた、地蔵峠のトンネルと並行して長谷花園線でございますけれども、これもいわゆる町村道では大変難しいと思いますので、知事さんがおっしゃいましたように、両町村にお話ししていただいて、できれば知事さんご在任中に県道に昇格するようにひとつご配慮賜れば大変ありがたいと思うわけでございます。
 以上、要望しておきます。
○議長(橋本 進君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で阪部菊雄君の質問が終了いたしました。
○議長(橋本 進君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番鶴田至弘君。
 〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 お許しをいただきましたので、通告に従って質問をさせていただきます。
 まず最初に、戦後五十周年に当たり、知事の所信をお尋ねしたいと思います。
 戦後五十年が経過いたしました。地球上のどこかで常に戦禍が絶えない中にあって、日本がここまで直接戦争に巻き込まれることなく平和を維持し得たことは、まことに同慶にたえないところでありますが、ひとえに、過去の忌まわしい歴史を反省し、平和憲法を守ることに大きな国民的意思の統一があったことがその礎になっているところであろうと思います。この五十周年に当たり、国会では国会決議が行われ、我が和歌山県でも平和祈念事業が行われることになりました。
 ところで、私は、過日の国会運営上でも極めて異常な形で行われた国会決議がその内容の上でも大きな過誤を犯しているのではないかと考えるものであり、知事がこの決議をどう評価しているのか、すなわち知事が過去の戦争をどう考えているかによって、県が行う平和祈念事業にも、これからのことも含めて影響を与えるものと考え、知事の所信をただすものであります。
 以下、国会決議について私の感ずるところを述べておきたいと思います。
 本来、戦後五十年の節目の国会に問われていたのは、侵略戦争を引き起こした日本が深い反省と真剣な謝罪の意思を内外に示すことでした。ところが、国会決議は次のように記述されています。すなわち、「世界の近代史上における数々の植民地支配や侵略的行為に思いをいたし、我が国が過去に行ったこうした行為や他国民とくにアジアの諸国民に与えた苦痛を認識し、深い反省の念を表明する」となっています。
 「反省」という言葉があるものの、わざわざ冒頭に「世界の近代史上における数々の植民地支配や侵略的行為に思いをいたし」とつけ加え、その上で「我が国が過去に行ったこうした行為」としか述べていません。これは、植民地支配と侵略的行為が世界的に行われていたことが一般的風潮であり、日本もその中にあっただけだという論理であります。これでは、「列強がみんなやっていた。日本だけが悪いことをしたのではない」という論法で、「どっちもどっちだ」と侵略戦争を免罪することになります。侵略国であった日本とその侵略に反対して立ち上がった諸国家を同列に論ずるのは、侵略を開始した天皇制政府の責任を免罪する暴論であります。
 当然のことですが、この決議に対して世界のあちこちから批判や非難の声が上がり始めています。マスコミに報道されたその一部を紹介いたしますと、アメリカの「ワシントン・ポスト」は「戦争中の日本の残虐行為への反省がない」と評し、イギリスの「タイムズ」は「他の国々を侵略し、無数の人々を弁解の余地のない残酷さで扱ったという事実を認めることを日本はいまだに拒否しているという疑惑を裏づける」と論評をいたしております。もう一つ、オーストラリアの「シドニー・モーニング・ヘラルド」は、「決議文は日本の植民地支配と侵略的行為について深い反省を表明しているが、その文章は、日本はそのような行為を行った多くの国家の一つにすぎないという意味になっており、いかなる謝罪の言葉もない」と厳しく批判していると伝えています。
 このように、決議文は過去への「反省」という言葉はあるものの、「侵略戦争」を認めず、その歴史を「侵略的行為」という言葉に歪曲し、本来の深い反省から遠いものになっていると思います。したがって、当然の帰結として被侵略国に対する謝罪の言葉は一言もないものになっています。まさに、世界に対して開き直ったという感じがあります。
 このような決議を知事はどう評価されますか。国会決議は国の運営の方向に影響を与え、我々の生活にも深いつながりがありますから、知事としての所信をお尋ねしておきたいと思うのであります。
 また、県が主催する平和祈念行事も近く催され、七月十三日には県下戦争犠牲者への追悼式も行われます。この式には、この国会決議をつくられた県選出の国会議員も参加して追悼の辞を述べられることになっています。知事も式辞を述べられることになっておりますが、いかなる認識のもとにこの式典を主催されるのか、お尋ねをいたします。
 なお、この平和祈念事業は、映画会、パネル展示なども行われると聞いています。私は、過去幾度か県がそのような行事を行うことを求めてきたところであり、その点については大いに評価するところでありますが、その内容と規模についてまだまだ不十分だと考えています。百八万の県民を対象とした大きな規模の平和祈念行事があってしかるべきだと思いますし、この夏の一過性の行事にとどまることなく、創意を発揮した反戦・平和の啓発があるべきだと思います。いかがお考えでしょうか、所見をお伺いしたいと思います。
 続いて、地震防災についてお尋ねをいたします。
 去る二月議会では多数の方々が地震防災について質問をされ、当局もその時点での到達点について答弁をされました。阪神大震災から積極的に教訓を学び、真剣に対応していこうとされた点については深く共感するところではありましたが、幾つかの点では首をかしげざるを得ない点も残されました。ついては、さきの議会での当局の答弁の上に立って、私なりに幾つかの質問をさせていただきます。
 防災計画の見直しと公的・私的建造物の耐震力の点検と改善の指導、地震防災対策の完備についてでありますが、その時間的リミットを明確にする必要があるのではないでしょうか。地震は必ず起こるということはわかっていますが、いつ起こるかはわからない。百年、千年の幅を持ってその危険が予知されるというまことに漠たるものであります。したがって、防災計画がつくられても、いつその対策が完了するかわからないままであったり、緊急性がなかなか実感として伴わないという面があります。
 大災害を目の当たりにしたときは「すわ一大事」と意気込むけれども、時間が経過するとだんだんと忘れてくる。震度七を予測する防災計画を持っている和歌山県が地震災害のために備蓄していた毛布やズボンがわずかしかなかったことは、その端的な例かもわかりません。あるいは、県民への防災啓発パンフレットも発行していながら、相当年月を経過し、その存在すら県民に余り知られていないということなども例になるかもしれません。このような例は気がつけば直ちに正すことができる性質のものでありますが、震度七で想定された被害への対策、その被害を出さないためのインフラ整備や津波対策など、必要とされる数多くの大きな対策について考えてみますと、そのテンポの遅さにまことに胸を痛めるものであります。
 津波対策やライフライン等、既に論じられてきたところでありますが、防災計画で必要とされてきた研究テーマ一つとっても、掲げられただけでほとんど研究されないままに十年を経過しているという事実は、防災とは忘れられやすいテーマであることを物語っています。阪神大震災直後のことだけに今は「そんなことはない」「おろそかにされることはない」と言っても、現実は今日の決意どおりにはいかないという過去の歴史があります。このような轍を踏まないためにも、私は県が防災対策年次計画を策定し、着実にそれを追求することが必要だと思います。そして、その防災事業の完成年度を、予測される中では最も近いと言われる南海道大地震を視野に置いて、「政治の責任における災害はゼロである」と言い得る体制を完備していくことが必要ではなかろうかと思います。
 地震がいつ来るかは、今のところわかりません。南海大地震以前にも直下型のそれがあるかもわかりません。したがって、一定のめどは恣意的につくって対応することが必要となります。政治としては、その仕事のために一定の想定が必要であります。その点をどのように考えておられるか。南海大地震襲来の危険性については、平成五年の中村裕一議員や本年二月の幾人かの議員の質問で、早ければ二〇一〇年説もあるとされています。学説によっていろいろありますが、大体このあたりを視野に入れて必要なあらゆる対策に着手することが必要ではないでしょうか。もちろん、多額の資金も必要となるでしょうが、年次計画を持って進めている先進県もあるわけですから、当局の考えをお伺いしたいと思います。
 次に、防災計画の策定に当たっては住民の参加が不可欠であろうと思いますので、その点についてお尋ねをいたします。
 県レベルで行う防災行政と市町村の行う防災行政の役割分担はおのずから違いますし、住民との直接的なかかわりは市町村により多くゆだねられるところでありますが、その違いを超えて大所高所からの責任は県が負わなければなりませんので、あえて市町村の役割に当たる点も含めてお尋ねをいたします。
 防災計画の策定に当たっては、高度な専門的知識が必要です。その専門家によって防災の骨格をつくることは当然必要なことではありますが、災害から守られるべきは住民であります。住民の意向がどれだけ生かされるか、それがどれだけ反映しているかは非常に大切なことであろうと思われます。
 避難場所一つとってみても、そこに到達するまでにいろいろな障害がある。障害者や高齢者の要望は、健常な人が考えつかない思いがあります。昼間の災害であれば、家庭と職場に切り離されている人々の要求はまた違ったものがあります。このような面を考えると、住民の知恵と協力なしには防災計画に緻密さは生まれないし、実効を伴わないことになります。一たん大災害が起こるようなことになれば、逆に行政の方から住民にさまざまな協力の要請もしなければなりません。行政と住民の一体となった取り組みが必要で、したがって防災計画の段階から住民参加が求められます。防災計画作成に住民参加をどう生かそうとされているのか、お伺いいたします。
 次は、消防防災課に専門職員を配置すること、並びに県及び県下市町村を含め、防災関係職員を大幅増員すること等を求めてお尋ねをいたします。
 防災に関する専門職員を県に配置すること等については、去る二月議会においても議員の方から、震災対策室の設置を含め提言のあったところであります。当局の答弁は「参考にしながら研究する」というもので、余り積極的な答弁ではなく、実際、新年度に当たっても職員三名が消防防災課に増員されたと聞くにとどまりました。
 実際にそのような課なり室を置いているところは、大地震を経験した福井とか東海大地震を迎え撃つ東京、静岡、千葉あたりと聞きますが、和歌山県がおくれをとってよいという理由は何もありません。県は国に対して地震防災対策強化地域に指定されることを求めましたが、ならば、みずからもその行政において積極的、先進的な姿勢を示すべきだと思います。
 私は、さしあたり消防防災課に防災の専門的知識を持った方、あるいはそのような方が得られないならば、そのような専門家を養成する立場で特別な任務を持った職員を配置し、知識と経験を蓄積していくような体制をつくるべきだと思います。そのような措置こそが防災対策に大きな活を入れる手段にもなろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
 また、消防防災課には二十四時間体制がしかれるべきだと思いますが、いかがでしょうか。去る六月六日、幾度か強い地震が和歌山市周辺にありました。深夜には震度四を記録したとお聞きしましたが、その際、消防防災課の職員が四名、深夜県庁にはせ参じたそうであります。我々が不安を抱きながらも家で眠りの続きをむさぼっていたときに職員の皆さんが寝ずの体制をしかれたと聞いて、大変心を打たれました。この部署に当たられている職員の皆さんに心からの御礼を申し上げたいと思います。
 同時に、今申し上げたように、この部署には二十四時間体制がしかれるべきではないかという思いを新たにした次第です。夜間勤務の必要なところでは、どこでも人は配置されます。消防防災課に配置されていないというのは、その必要が認められていないということでしょうか。地震は夜来ないという前提になっているのです。そこに油断はないでしょうか。そこまで人を配置するのはもったいない、そこまでする金はないという思いはわからないわけではありませんが、そこに防災対策の特殊性があります。極端に言えば、大地震が起こらない限り、地震対策の措置というのはほとんどがむだなものです。そのむだを承知の上で行うのが防災行政というものではないでしょうか。最低限、二十四時間体制をしかれるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、県下の消防職員の体制も、残念ながら随分と不足しています。これは二月議会でも指摘されたところでありまして、国の基準に照らしても県下では約八百人も不足しています。県の消防学校などでも、人員不足が常々言われています。行政改革という人減らし政策がこういう面で否定的な影響を及ぼしていますが、県民の安全を守るということは行政の第一義的任務であります。人を惜しんではなりません。今後の方針をお聞かせください。
 続いて、県や市町村職員の防災意識の向上と知識の向上、訓練等についてお尋ねをいたします。
 一たん大震災に見舞われたときは、県や市町村で働く方々の役割や任務というのは極めて大きなものがあります。とりわけ大災害に見舞われれば、庶民にとって県庁や市町村に勤める方々はまさに頼みの綱であり、命の綱とさえ思えます。この期待にこたえていただかなくてはなりません。
 阪神・淡路大震災で県庁や市役所の職員が集まれたのは数時間後で、二〇%前後と聞かされました。みずからも傷つき、家族を失った職員の方々も多数おられるでしょうから単純に論ずるわけにはまいりませんが、兵庫県庁や神戸市役所があの危機に際してその指導力を十分に発揮できなかったことは事実であります。
 私自身、あのような大災害の中に身を置けば、おのれの責務をどれだけ全うできたか、まことに心もとないところでありますが、災害が大であればあるほどに、全体の奉仕者たる公務員の任務は、職員に対する住民の期待は大きくなってまいります。その期待にこたえられるように、職員の防災教育は充実されなければなりません。全体の奉仕者たる方々のその職場、持ち場における研修とともに、県のあるいは市町村の防災対策なり計画なりを熟知されていることが危機に当たっての大きな力になろうかと思います。
 ついては、そのような立場からの日常的な研修が必要であろうと思いますが、当局のお考えと施策を明らかにしていただきたいと思います。
 引き続き、学校における防災、特に大地震への対応についてお尋ねをいたします。
 阪神大震災後、幾人かの教育関係者にお目にかかり、子供を預かっている時間帯にあのような大地震に遭遇したら十分な対応ができるだろうかと話し合いましたが、大方のところは非常に困難だとの感想を抱きました。私たちはまだ、子供の在校時の大震災の経験を幸いにも持ってはおりません。しかし、それは同時に、いかなる事態が発生するか、教師はどう対応して子供を導くか、全く経験がないということでもあり、まことに不安でもあります。
 過日、新聞で東京・新宿の子供たちが防空ずきんをかぶって避難訓練をしている報道がありました。私も戦時中、幼稚園、小学校一年生のときには防空ずきんをかぶって地に伏せる訓練を幾度も幾度も受けたことを思い出し、いささか暗い気持ちをよぎらせたわけでありますが、訓練とはそのようなものだと思います。災害時に身を守るためにこのような防災教育をどう実施するか、教員はどのように対応すべきなのか、学校の施設のあり方はこれでいいのか等々、生活経験の少ない子供を預かっているところですから、特殊な対応が必要であろうかと思いますし、また家庭の方でも、子供を預けている学校にどう対応していくべきなのかも全く未知の分野であります。
 これらの点を関係当局はどのようにお考えになり、どのような施策を講じようとされているのか、現在時点でのお考えをお示しいただきたいと思います。
 また同時に、学校に学ぶ児童生徒は未来の社会の中心的な構成者になるわけです。彼らが防災に対してどのような思想や知識を持って社会生活を営んでいくか、それは行政にも直接反映するわけですから、ある意味では極めて大きな影響を持つと言えるでしょう。そういう意味においての防災教育をどう考えておられるのか、お示しいただきたいと思います。
 続いて、進行中、企画中の幾つかの大規模開発、大型建造物に関してお尋ねをいたします。このうちの幾つかは去る二月議会でも論じられたところでありますが、納得のいかない点がありますので、重ねてお尋ねします。
 一番目は、和泉山脈の開発・フォレストシティ開発を中心とした問題です。これらの開発計画の直下には中央構造線が走っており、それを軸にして数多くの活断層の存在が確認されています。幾度も指摘し、当局も承知しているところでありますが、阪神・淡路大震災の悲劇の大きな原因の一つには、この活断層への対応の仕方が極めて不適切であったこと、卑近な言葉で言えば活断層をなめてかかったところにも大きな原因がありました。私たちが二度とその轍を踏まないためには、活断層の徹底調査とその上への建造物を抑制することであります。
 そこで、さきの議会で、そうした地域の開発については完全な調査によって安全対策がとられるまでは開発の対象地にすべきではない、開発計画は凍結すべしと要望してきたわけであります。それに対する答弁は、「関係部局から事業者に注意喚起を促す」とか「十分な耐震設計を行うよう事業者を指導する」と言うにとどまりました。これで、阪神・淡路大震災からの教訓を学んだということになるでしょうか。
 国の方で詳細な検討が今加えられているときでもあります。したがって、開発申請中のものは、その審査は新しく改変される法や基準のもとで行い、事業が進行中のものについても凍結し、この地の開発等は基本的に検討し直すべきではないかと考えるわけです。わざわざ活断層の上や周辺の開発です。阪神大震災の教訓を学び、百年の後に悔いを残さぬためには、慎重過ぎることはありません。いま一度お尋ねいたしますが、このような危険があらかじめ予測し得るところへの開発計画は当面凍結されるよう指導されるのが、住民の安全、県民の安全を守る上での行政の責任ではないでしょうか。
 次は、土地の液状化等で心配されることについてお尋ねをいたします。
 和歌山市の人工島マリーナシティに、近くマンションの建設が予定されていると聞きます。やわらかな埋立地盤の上に大きな建造物をつくることは、土地の液状化による危険が最近とみに明らかになってきていますし、阪神大震災におけるポートアイランドの現実はその端的な例であろうかと思います。
 マリーナシティは大丈夫かというのは、近在の者の共通した危惧であります。こういう危惧のあるところでの建設等は、造成地の液状化とその被害の教訓を酌み尽くした上でなされるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、新しく建設されつつある医科大学の建設地も、河口に面した砂地あるいは沼地だったところであります。もちろん、近代建築技術の粋を結集して建設されるのであろうとは思いますが、二十五日の新聞の報ずるところによれば、阪神大震災の際の建造物の破損の原因が鉄とコンクリート相互の化学作用にあるというふうな新しい説も紹介されています。まだまだ教訓とすべき科学技術上の問題も出てこようと思いますが、そのような研究成果をどう取り入れながらこの進行中のプロジェクトに対応していくのか、軟弱地盤への対策等をどうクリアしようとしているのか、お示しいただきたいと思います。
 地震対策関係として、最後に、和歌山市と関西電力によって進められようとしている西防埋立地へのLNG基地並びに発電所についてお尋ねをいたします。
 かの埋立地は、埋立資材が建築廃材等が相当部分を占め、マリーナシティ等と比べても不安定な地盤であることが素人なりにわかります。このような不安定な地盤の上にLNG基地等を建設することは、危険この上ないものと考えられます。
 LNGについては、当局の皆さん方は随分と安全なガスということを強調されますが、LNGの安全神話に相当侵されているようにも思います。LNGが一万キロリットル流出し、LNG特有のファイアボール現象──「火の玉現象」と言われる現象ですが──が起こったとき、直径九百メートルの火の玉となって一分半燃え続き、半径七キロメートル、したがって直径十四キロメートル以内の人間がやけどを負い、五キロメートル以内では人間は重度の火傷を負い、木造家屋は全焼すると言われ、それが爆発を伴えば隣接するLNGタンクの爆発をも誘導するという研究もあります。
 LNGは、公害という面では重油などよりもはるかに低公害で十分活用されるべき資源であるとは考えますが、地震災害を考えるとき、あえてこのような軟弱な地盤で、かつ活断層付近に設置することは安全対策上危惧されるところであり、導入されるべきではないと思われます。関西電力と和歌山市が行おうとしているLNG基地と発電所の誘致は、考え直すよう指導されるべきではないでしょうか。
 以上をお尋ねして、第一問といたします。
○議長(橋本 進君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 戦後五十年に当たっての国会の決議等についての質問でございます。
 国会決議につきましては、過去の戦争を反省し、未来の平和への決意を表明する目的でなされたものと承知してございます。
 さきの戦争が多くの犠牲者を伴った悲惨な戦争でございますし、また私も、終戦を外地で迎え、戦争被害の最大であった世代でございます。それゆえに、再びこのような戦争を繰り返さないためにも、県民一人一人が平和のとうとさを十分理解することが大切であり、平和を支える柱として自由と民主主義をなお一層進めていかなければならないと思っております。
 追悼式においては、ただいま申し上げた認識に立って祈念してまいりたいと思います。なお、七月には映画会、写真パネルの展示等の祈念事業を実施することにいたしております。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 地震防災対策についてのご質問でございます。
 第一点、防災対策事業について年次計画を定めてはどうかというご質問でございますが、本県の防災対策については、県地域防災計画の中で特に「震災対策計画編」を策定し、直下型地震及び南海道地震を想定した地震発生後の応急対策を定めているところでございます。
 この計画については毎年見直しを図っているところでございますが、このたびの大震災を教訓に、去る二月に庁内に和歌山県地域防災計画検討連絡会議なるものを設置し、職員の動員配備体制、情報収集・伝達体制、広域防災体制、防災設備の整備等々について委員のご意見等を伺いながら、現在見直し作業を実施しているところでございます。また既存建築物の耐震性のチェックについても、建築関係団体と連携して相談窓口を設置することといたしております。
 次に、防災計画の策定に住民の意見をということでございますが、災害時における人命の安全確保を図る上で、住民組織の果たす役割は極めて大きいと考えております。
 県は、地域防災計画の中でも自主防災組織の位置づけを定めていますけれども、今回の大震災にかんがみ、県下の自治会、防火クラブ、各企業の自主防災組織等の関係団体の育成にこれまで以上に努めているところでございます。また、防災計画の策定に際しては、これらの団体を含め、住民の方々のご意見を十分取り入れてまいりたいと考えております。
 それから、消防防災課に専門的知識の蓄積をということでございますけれども、消防防災課には防災経験を考慮しながら職員の配置をしているところでございまして、また専門的な知識の面については、地震研究所や各大学の教授等から知識を得るという形で、日常、専門的知識の習得に努めているところでございます。
 次に防災職員の体制についてでございますけれども、県下の防災担当職員約三十名にポケットベルを常時携帯させるとともに、コンピューターと電話回線を接続した県防災職員緊急通報システムというものを形づくって緊急時に備えております。さらには、今回の大震災を教訓に、緊急を要する地震災害については、近くに居住している職員を直ちに登庁させ応急対策をとれる体制づくりを現在鋭意進めているところでございます。
 それから、職員の防災意識の高揚でございますけれども、今年度の新規事業として職員用の防災ハンドブックを作成し、これを活用した防災研修を実施するなど、積極的な取り組みを行っているところでございます。
 それから、防災のための職員の増員をというご提言でございますけれども、防災関係職員の増員については、このたびの大震災の教訓を生かして、去る四月一日付で消防防災課に新たに防災担当課長補佐を一名、防災担当職員を二名、そしてまた防災ヘリコプターの導入準備ということで派遣消防職員二名の計五名を増員し、消防組織の強化を図っているところでございます。
 また、市町村等の消防職員の体制については、効率的な勤務体制をとることにより通常の火災や事故等には現在十分対応できるようになっているわけでございますけれども、今後とも関係機関に対し、消防力の充実に努めるよう、これまで以上に指導してまいりたいと考えております。
 最後に、県立医大の施設の地震防災対策の関係でございますけれども、医科大学移転整備事業における各施設の耐震防災性能については、大震災時においても人命の安全を確保できることを前提に、建物の崩壊あるいは内装仕上げ材や設備機器の崩落を防止できるよう設計しているところでございます。また建設地の地盤の関係についても、計画当初から調査して十分把握しており、附属病院の液状化対策についても、建築躯体をできるだけ軽くするよう鉄骨構造とするとともに、基礎ぐいを鋼管で補強し、十分な変形性能を有する構造になっております。
 なお、建設技術への新しい提案については、その都度国から適切な対応策が示されますので、建設中ではございますけれども、可能な限りこういうものにも対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) 地震防災対策についてのご質問で、住友金属工業埋立地へのLNG火力発電所の立地についてでございます。
 西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会の中間報告では、最終判断のためには通商産業省の環境影響調査要綱等に基づく調査の実施が必要であるとされております。これを受けて、平成七年四月に事業者から、地元の同意等が整った旨、及び阪神・淡路大震災を踏まえ環境調査とともに安全性の検討も実施する旨の報告がなされています。
 なお、LNG発電所の立地については、今後、環境影響評価の手続、検討委員会の判断等、さまざまな段階があるものと認識しております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 鶴田議員の大規模開発についてのご質問にお答えいたします。
 都市計画法では開発行為に係る技術基準が定められており、これに基づいて安全性などの審査を行っております。さきの阪神・淡路大震災の後、開発事業の安全確保について建設省などで調査検討が進められていると聞いており、県としてもこの動向を踏まえ、耐震安全性の確保について慎重に対処する必要があると考えてございます。
 フォレストシティ計画についても、都市計画法に基づいた審査に加え、開発地域における断層の分布などの地質調査を行うとともに、大地震時の安全性の再確認を行うよう求めているところでございます。今後とも十分な対策により安全性が確保されるよう、引き続き事業者を指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 企業局長中村協二君。
 〔中村協二君、登壇〕
○企業局長(中村協二君) 鶴田議員の地震防災対策についてのご質問のうち、マリーナシティの造成地盤の液状化対策についてお答えをいたします。
 地盤の液状化は、埋め立てた土砂の粒径が〇・一ミリメートルから一ミリメートル程度の範囲の場合に起こりやすくなると言われておりますが、当マリーナシティの建設に当たっては、液状化の起こりにくい粒径の大きい土を多く使用しております。わかやま館建設時に行った地質調査においても粒径が二ミリメートル以上の礫が約六〇%を占めており、液状化に対しての特別な対策を必要とせずに建設できております。
 今後、建設を予定しているマンション、ホテル等の設計時には、阪神・淡路大震災での被災状況等を踏まえた液状化の検討はもちろん必要となりますが、さきに行った地質調査の上からも、マリーナシティは液状化の起こりにくい地盤であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 教育長西川時千代君。
 〔西川時千代君、登壇〕
○教育長(西川時千代君) 学校での防災教育と訓練についてお答えいたします。
 教育委員会といたしましては、今回の震災直後、学校に対し文書で通知を出すとともに、学校安全担当者研究協議会を通じ、指導の強化と徹底を図っているところでございます。
 学校においては、防災教育に関する教職員の認識を一層高めるとともに、防災本部を設け、通報連絡班、避難連絡班などの組織の設置はもちろんのこと、平素から薬品棚やロッカー、あるいは体育施設などの落下転倒防止のための固定化や補修など、校舎内外の安全点検を行うこと、さらには、議員ご指摘の家庭や地域社会と連携した防災教育活動にも取り組むことが必要であると考えます。
 特に、児童生徒に対する今後の指導については、今回の大震災を教訓として、災害の現状等を正確に伝え、より一層の理解を深めさせるとともに、大地震などの災害はいつでもどこでも起こり得ることを前提に、授業などの教育活動中や登下校時を想定した避難訓練を計画的に実施し、災害時には被害を最小限に食いとめるため安全かつ迅速に避難することが重要であるとの観点から、従来の指導内容等を再点検し、見直しを図ってまいりたいと考えてございます。
 また、防災教育の教材については、従前からの地域に根差した、例えば「稲むらの火」などの教材や本県における過去の災害の歴史や教訓からも学ぶとともに、今後新しい教材を積極的に活用し、開発するよう指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、再質問をさせていただきます。
 まず最初に、知事にお尋ねをしたいと思います。
 国会決議の評価をお尋ねしたわけでございますが、知事の答弁は、この決議は過去の戦争を反省して未来の平和への決意を表明したものだとおっしゃられました。私がこの決議にどういう点で危惧を抱いたかは第一問の中で申し述べましたけれども、いま一度お聞きいただきたいのは、なぜこの決議の冒頭に「世界の近代史上における数々の植民地支配や侵略的行為に思いをいたし」という文言が入れられているかということです。日本が過去にみずから引き起こした侵略戦争を本当に反省しているかどうかが問われていると思うんですが、ここにこういうような文言を入れることによって、「どっちもどっちだ。自分らも悪かったか知らんけれども、よそも悪いやないか」という開き直りがある、本当の反省がされていないという問題があるのではないかという指摘を私はしておるわけです。また、日本の侵略戦争を反省し、被侵略国に率直に謝罪するということが欠落しておる。そこに本当の反省が行われていないのではないかと私は危惧すると申し上げたわけです。知事はそういう点については触れられませんでしたが、いかがお考えでしょうか。本来、日本の過去のあの戦争が侵略戦争であったと知事自身お認めになるのかどうか、そういう点も含めてご答弁をいただきたいと思います。
 ご案内いただいた五十周年の平和祈念事業の実施要項には、「戦争で亡くなられた方々に追悼の意をささげるとともに、戦争と平和に関する県民の意識を高揚していく」とあります。結構なことだと思うんですが、さきに申し上げたように、そういう戦争に対してどのような評価をされているのか。その知事のお考え次第で、このような今後の行政にも大きな影響を与えていくだろうと、私はそう思うわけです。したがってお聞きしておるわけですので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
 私は今回、七月に企画されている県の行事について、多くの点で同意を表明したいと思います。ただ、過去を反省し、今後の平和な世界を建設していくという上で、百八万県民を対象とするようなもっと規模の大きな企画があってもいいのではないかと思うわけです。和歌山県の反戦・平和の事業が一層進められていくことを望むわけでありますが、そういう点も含めてお答えをいただければと思います。
 次に、防災計画でございます。
 総務部長の答弁では、私のお伺いしたいことが少しそらされております。一つは、私は南海大地震を視野に入れ、年次計画として防災計画を策定する必要がないのかとお聞きしているわけです。防災というものは非常に息の長い課題でもあり、また同時に忘れ去られていく、希薄になっていくという面がありますから、やはり明確な計画を持って着実に進めていかないと事は進展しないだろうと。そういうことを根拠に、年次計画を持ってはどうかと申し上げておるわけです。その点についてどうお考えになるか、お答えいただきたいと思います。
 それから、県の体制、市町村の体制についてです。
 この春、県の消防防災課に数名の職員をふやしたことについては、私も承知しているところであります。私が求めているのは、それ以上に人が必要なのではないか、人をふやすことを惜しまないという決意が行政当局に必要なのではないかということをお尋ね申し上げているわけです。本当に今の体制で大丈夫だというのだったら、先ほどの答弁でいいんです。しかし、そうじゃないでしょう。やはりもっと人が欲しいという思いがあると思うんです。無制限にふやせと言っているわけではないんです。しかし、必要ならば、その必要性を認めてどうふやしていくかという行政がなければならないと思いますので、その点をお聞きしたいと思います。
 二十四時間の体制にも触れましたが、これについても、県民の立場から見れば当然そうあってほしいと思うんです。いろんな制約がある点についてはわかるわけですが、あえて防災については人を惜しんではならないと申し上げているところであります。こういう点も、阪神大震災の教訓を本当に深めていくという立場に立てば、そういう方向が出てくるのではないかと思います。
 市町村の体制については、二月の議会でもお話がありましたけれども、総務部長の答弁は二月の答弁と微妙に──やはりもう既に決意が緩んできていますよ。二月の答弁はこうなんです。「これについても、国の基準をもとに充実に努めるよう指導し、──ここからです──必要な財源については、国に対してこれまで以上に要望を強めてまいりたい」と、ここまで言っているんです。今度はそれがないですね。やはりもう、だんだんと希薄になってきているんです。和歌山県の総務部長として、県民に完全に責任を持ち切るというところに立っておられないんですよ。そういう点をひとつご反省をいただきたいと思いますし、さらにどういう姿勢で進めていくかということについてお尋ねをいたします。
 マリーナシティ、それから医大、LNG等の問題については、時間の関係がありますので、また別の機会にお尋ねをいたします。
 フォレストシティと和泉山脈の開発についてです。
 土木部長にお尋ねをいたしますが、先ほどのような姿勢で本当に県民の安全を保障していただけますか。十分な耐震設計を行うように指導する、業者に注意を喚起するということだけで本当にいいと思われますか。
 今、国の方で詳細に調査をして新しい基準をつくろうかという段階になっているんですが、そういう基準ができない間でも事は進んでいるんです。そういう状況にあるわけですから、一たんその段階でストップして、新しい基準なり今後深められた教訓なりをもって対応していくと。活断層の真上にある事業ですから、当局としては、現在進行中のものについては新たな基準ができるまではせめてストップをして、活断層上の建設そのものを全体として考え直していく、見直していくという態度が必要ではないのかと私は思うんです。そうでないと、住民の安全を考えた、本当に県民に責任を持つという姿勢ではないのではないかと思うんです。私たちはあなたに命を預けているわけですから。
 そういう立場でお願いをしたいと思うんです。行政というのはそういうことなんですね。住民の安全に行政が責任を持つ、この姿勢がどこまで貫かれるか、この視点から県行政を進めていただきたいと思いまして、いま一度の答弁を求めるところであります。
○議長(橋本 進君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鶴田議員にお答え申し上げます。
 国会決議の問題ですけれども、先ほど答弁したとおりでございます。
○議長(橋本 進君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 防災計画の年次計画をということでございますが、防災計画の見直しに際しては、今、緊急を要するものと中長期を要するものに具体的に分けて検討しているところであり、この検討結果が出てくれば、それぞれの施策についていつごろまでにやるかということもまたおのずから明らかになってまいりますし、六月に地震防災対策特別措置法なるものが新しく制定され、この中で五カ年計画をつくっていくことになっておりますので、こういうものとの関連も見ながら対応してまいりたいと存じます。
 それから職員の増員の関係でございますが、これについては限られた定数の中で対応しているところでございます。しかしながら、できるだけ経験のある職員を配置していこうと考えておりますし、またこのようにして配置された職員についても、早期に専門的な知識を獲得できるよう、国での研修を受けたり、また大学教授、専門家等々との日常の接触の中で専門的な知識の修得に努めているところでございます。
 次に二十四時間体制はということでございますが、先ほどもお答えしましたように、県としては可能な中で即応体制をとっておりますし、また今回の震災にかんがみ、さらに強力な即応体制をとる方向で現在検討を進めております。ご質問の趣旨については、全国的な動きも見ながら今後研究してまいりたいと考えております。
 それから市町村の体制で、先ほど後退しているのではないかという話がありましたが、同じことを何回も繰り返しては失礼かと思ってあえて申さなかったわけでございまして、いずれにしても、市町村についても市町村の消防力の基準を充足していくよう強力に指導していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) お答えいたします。
 計画の審査においては、先ほどお答えしたように、都市計画法に基づく技術基準による審査はもちろんのこと、大地震による二次的災害が生じないよう、重要な構造物等について耐震性能の再確認を行わせるとともに、区域内の断層の分布等の確認のための地質調査も行わせているところでございます。現在、建設省などで被害状況を把握するための調査検討も行われており、今後その結果を受けて必要に応じて基準の見直しなどがなされるものと考えております。
 基本的には申請時点の基準で審査を行うこととなっておりますが、より安全な宅地開発が行われるような基準改正があれば、これに基づき適切な指導を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
 いずれにしても、これらを踏まえて十分な安全性を確保した開発事業が行われるよう、安全性を確保する観点から引き続き事業者を指導していきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(橋本 進君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(橋本 進君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(橋本 進君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十六分休憩
  ─────────────────────
 午後一時六分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番玉置公良君。
 〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 私は、さきの選挙で県民の皆様方に温かいご支持をいただきまして初当選いたしました玉置公良でございます。
 私は、紀南・西牟婁を歩く中で、数多くの県政の課題を肌で感じてまいりました。和歌山県の活性化のためには、主要なプロジェクトを積極的に行って人口の減少と高齢化の進行を緩和していく施策が充実されていくことも重要だと考えますが、全国平均を上回って高齢化が進行する地域の多い和歌山県としては、健康で安心して暮らしていける医療、保健、福祉の施策を充実させていく町づくりが最重要課題だと肌で感じてまいりました。この和歌山を、安心して住める、全国どこに出しても恥ずかしくない、誇りのある県にしていかなくてはならないと思います。
 地方の時代、分権の時代というのは、それぞれの県や町が知恵を出して、「うちの県なら安心して住み続けられるからずっと住んでください」、あるいは「県外へ出ていった人も安心して戻ってきてください」、そういう県や町を早くつくったところが勝ちであります。今までは、若い人が出ていったという過疎化でありました。これからの過疎化は、「医療や福祉がないから不安だ。それなら息子の住んでいる県外へ出た方が安心だ」ということで生まれる、お年寄りも出ていく過疎化であります。
 町が活気づくには、住民がいてくれなければいけません。工場をつくっても、不況になると現実に逃げていく場合も出てきます。会社や工場をたくさんつくることも大事ですが、それだけでは地域に人は残りません。これからは何が必要なのか。私は、安心してその地域に住めるという町づくりが大切であると思います。
 それは、医療、保健、福祉が充実されるということであります。これから健康で安心して暮らせる医療、保健、福祉の町づくりの中の四点に絞って私の意見を述べ、県当局のご見解を賜りたいと思います。
 最初に、施設福祉における特別養護老人ホームの設置について質問いたします。
 ご承知のように、厚生省の新ゴールドプランでは特別養護老人ホームを二十四万人分から二十九万人分に拡大することとなっています。高齢者の自立を支援し、支援を必要とするすべての高齢者に対して必要なサービスを提供するのが今回の新ゴールドプランの基本理念であることから、本県が平成五年に策定した老人保健福祉計画については県内の状況を見ながら随時計画の見直しを実施していただき、タイムリーな行政の対応をお願いしておきたいと思います。
 ご承知のとおり、本県の人口の高齢化は深刻で、全国平均を上回るペースで推移しています。特に六十五歳以上の高齢者は、平成六年で全体の一七・五%が平成十二年には全体の二一・三%となり、全国平均の一七%を四・三%上回る予測となっています。とりわけ紀南・西牟婁では、平成六年で既に三〇・一%の中辺路町を筆頭に、高齢化が大きく進んでいます。
 そのような中にあって、本県の特別養護老人ホームの整備状況は、平成六年四月現在におきまして四十三施設、入所定員数は二千七百二十五名となっています。私は西牟婁から選出されましたが、地域での要望の中でも、特別養護老人ホームの整備は県民の皆様にとって切実な問題であります。先日、特別養護老人ホームへの入所の相談に行きますと、入所を待機されている方が六月一日現在で西牟婁郡では百三名、田辺市では百三十四名の方がいらっしゃることをお聞きし、唖然といたしました。私に相談が来る中で一番多いのが、この入所の相談でございます。本当に、現場では家族が泣いています。
 確かに、在宅サービスの充実や老人保健施設の整備等で幾分かは緩和されるであろうと思いますが、昨年も百名近い待機者があり、現実にことしもこれだけの入所待機者の数を見るとき、この地域での特別養護老人ホームの整備は急務であると私は考えます。県独自の補助金で建設を促進していくぐらいの決断が必要であると考えます。
 平成五年五月に策定された和歌山県老人保健福祉計画では、平成十二年を目標に特別養護老人ホームの必要床数が全県下で三千床、田辺・西牟婁地方では四百四十床となっています。これでは、現行数の四百六十床よりも低い数値となります。圏域内の相互利用ということについても、田辺・西牟婁に隣接をする御坊・日高並びに新宮・東牟婁圏域においてもほぼ同じ状況であり、これだけの待機者を抱えることは圏域内の相互利用や在宅サービスの充実だけで解決できる問題ではありません。
 いつでも、どこでも、だれでも利用できるサービスの質と量を計画的に整備していくのがこの計画の基本理念だと私は考えています。入所が必要なのに施設がないという状況をぜひとも解決すべきであると思いますが、県当局、民生部長のご見解をお伺いしたいと思います。
 続いて、新介護システムのモデル地域の設定と支援について質問をさせていただきます。
 ことしの二月二十六日の朝日、毎日等の新聞に衝撃的な調査結果が報道されました。その内容は、次のようなものであります。「在宅介護の家族、半数が老人虐待 『ときどき憎しみを感じる』三三%」、「介護が必要な在宅の高齢者に対して、おむつの交換や食事の世話の放棄、暴言・暴力などの『虐待』を経験したことがあるという家族が半数に上る」、「家族の介護負担のストレスが一因だけに、在宅介護への支援策の不十分さを浮き上がらせたともいえそうだ」と記されています。これは、連合(日本労働組合総連合会)が一九九四年十月から十二月にかけて、地方連合会を通じて五十五歳以上の要介護者を抱える世帯に対して調査票を配布したもので、回収は二千四百枚、現実を直視した立場からの、我が国ではかつて類例のない大変貴重な調査と言えると思います。
 今や、高齢者介護対策は待ったなしのところまで来ていると言えます。そうした意味で、高齢者、障害者が長く住みなれた地域を離れることなく在宅のままで福祉が受けられる在宅福祉問題が、今大きな課題となっていると私は思います。
 和歌山県は、他の府県に比べて非常に早いペースで高齢化が進み、その中でも障害を持った高齢者が増加をしております。そのような中で、介護を必要とする世帯を支援し、要介護者を寝たきりにさせない施策というものが非常に必要になってくるものと考えます。
 そこで、在宅ケアの推進として、在宅三本柱であるホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ、そして訪問看護等がありますが、これらを単品として提供するのではなく、各サービスを一つのパッケージとして提供することが今求められています。そのためには、それぞれのサービスの関係者の方々が一つのケアチームをつくり、必要なサービスを組み合わせて、それを継続的に提供していくことが大事であります。
 そこで問題となるのが、介護サービスに関係する職種も多く、また違った組織に属していることから、往々にして関係者の方々の調整に時間がかかったり、お互いの連携がうまくいかないという問題がございます。こうした問題を克服するために、ケア担当の方々が利用者側の立場に立って本人や家族のニーズを的確に把握し、その結果を踏まえ、ケアチームを編成する関係者が一緒になってケアの基本方針であるケアプランを策定し実行していくシステム、いわゆるケアマネジメントを確立する必要があると私は考えます。
 つきましては、既に市町村には高齢者サービス調整チームが設置をされていますが、さらに利用者のニーズに合わせた介護システムを考えていく必要があり、このような新介護システムについて、本県において一定の地域を指定してモデル地域をつくってはどうか。そのために、県においても、モデル地域となる市町村に対して財政的支援や専門職の派遣、また関係機関の調整等の支援を積極的に行っていただきたいと考えています。
 この新介護システムにつきましては、大阪府阪南市が非常にすばらしいシステムをつくっていますので、そのノウハウを学んでくることも大切かと考えています。県のお考えをお聞かせください。
 続いて、第三点目は介護休業制度の確立について質問をいたします。
 本年六月五日、介護休業法が制定をされ、一九九九年から施行されるようになりました。附帯決議の中で「介護休業制度が義務化されるまでの間においても、各事業所における可能な限り早期の介護休業制度の導入を推進するため、中小企業に対する配慮を行いつつ、事業主に対する格段の相談、指導、援助に努めること」とうたわれています。公的介護システムの充実とともに、家族に囲まれた温かい介護環境をつくっていくためには、これを支援する雇用システムをつくり上げていくことも欠くことのできない重要な課題であります。
 現在、介護休業については八割強の民間会社で制度がなく、また中小企業ではその普及がおくれているのが現状でございます。この附帯決議にうたわれているように、介護休業制度の実施に向けて、介護のための勤務時間の短縮等を行う企業に対する支援など、仕事と介護の両支援等を推進していくことが求められていると考えます。
 これらのことについて、県内の実態はどうか、そして、これからの県としての具体的な相談、指導、援助等の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
 続いて、最後の四点目は、紀南地方への医療、保健、福祉の人材育成専門学校の設置についてお伺いします。
 施設福祉や在宅福祉の充実のために重要なことは、何といってもマンパワーの育成と確保であります。私は、高齢化、そして過疎化を逆手にとり、和歌山の紀南地方を福祉先進地として、日本一の医療、保健、福祉の人材育成を進めることが紀南の町おこしのかぎであると思います。時代は進んでおります。先に知恵を出した町が勝ちであります。これからの町おこしは、ハード面から人材づくりというソフト面への取り組みが大変重要であると私は思います。
 具体的には、社会福祉士、介護福祉士、作業療法士、理学療法士等の高齢社会を支える専門職の育成を行う養成機関や専門学校を県が主体的に新設、充実することであります。現状は、例えば理学療法士で言えば、全国的には一万三十五名、平成十一年には約二万三千八百名が必要だと言われています。作業療法士で言えば、現在は四千六百八十九名であり、平成十一年には約一万五千八百名必要になると言われています。本県においては、平成五年八月現在で理学療法士が百二十二名、作業療法士が二十三名であり、全国に比例して今後確実にその需要がふえてくることが考えられます。
 これから、医療技術の進歩、医療施設における初期のリハビリテーションの充実、在宅でのリハビリテーションへのニーズの高まりやそれに伴うリハビリの変化も考えられます。老人性痴呆疾患病床、精神薄弱者の福祉分野、職業リハビリテーション、小規模作業所などの必要性があり、今後ますます需要がふえてくる分野でございます。
 しかし本県の現状は、残念ながら、昭和五十二年度から行われている理学療法士・作業療法士修学資金貸与制度という支援と、和歌山市に建設が計画されている介護福祉士養成のみの民間の学校に二千万円の補助を行うというものが中心であります。本県が高齢者福祉先進県となっていくために、マンパワーの人材育成が介護システムの構築と介護の安心基盤づくりのために最も重要な課題であると私は考えます。そして、そのことが紀南の過疎化を解決し、若者が定着できるキーワードになると確信をします。
 紀南の過疎化が進む決定的な原因は、若者が定着しないことでございます。その原因は、大きく言って二つあると思います。一つは地元に働く場がないこと、二つ目は、地元に大学がなく九〇・六%が県外に出ていくことであると思います。残念ながら、この数字は全国一の割合でございます。
 最近行われた和歌山県出身者の就職意識調査結果──平成八年三月大学卒業予定者でございますけれども──によりますと、県内に就職を希望する者が五一・二%とトップで、県外就職希望者はわずか一四・五%であります。希望する職業としては、「専門的・技術的職業」の五二・五%がトップになっています。
 これらのことからも言えるように、紀南地方への専門学校の新設は、医療、保健、福祉分野での地元での就職先が今後ますますふえていくことに対応でき、しかも、高校を卒業して県外へ出ていかなくても地元で進学ができるのであります、私の知り合いにも月々二十万近く仕送りをしている人がありますが、親が高い仕送りをしなくて済むようになり、若者が定着していくのであります。地元の学校の先生方や父母の方々、また社会福祉関係の職場に携わる人たちと話をする中で大変要望の多いのが、この専門学校なのであります。
 そして、日本一でなくても、全国的にすぐれている内容であれば、県外からも紀南に入学し、将来も住みついて人口がふえてくるというプラス面が出てくるわけであります。また、あえて紀南への設置を提案するのは、他府県の事例を見ても、県外や和歌山市の専門学校へ行けばほとんど地元に戻ってこない実態であります。地元紀南に設置してこそ、成果があらわれてくるのであります。
 全国平均より十年高齢化が早いと言われる本県は、その高齢化対策、とりわけ人材育成についても十年他府県より進んでいると胸を張れるよう、ぜひとも知事の英断で紀南への専門学校の設置をお願いするものでございます。
 続いて、新南紀白浜空港ジェット化の開港に向けて質問いたします。
 県知事を初め県当局、関係議員、関係市町村、また地元関係者の方々の精力的な取り組みの中で、平成七年度中にいよいよ開港されることになりました。地元出身の議員として、そのご労苦に対して心から感謝を申し上げます。
 さて、新南紀白浜空港ジェット化については、当地域の観光の振興、地場産業の活性化、先端産業の誘致、農林水産業の市場拡大にその効果が期待をされており、開港が待たれています。私は、ジェット化に伴う活用について、一つは、ジェット化により距離と時間がなくなり、紀南に在住し自然を慈しみながら大都市部の仕事ができる業種、例えばデザインなどの知的産業の誘致、二つは、紀南を文化発信の基地としていくために、例えばフランスの観光地・ニースのように、紀南の恵まれた気候、自然、宿泊収容施設、アクセス網をもとに、文化の発信基地としての国際会議やシンポジウムの招致、三つは、国際観光誘致等による国際チャーター便、いわゆる海外からの直接乗り入れの促進、四つは、ジェット機輸送による長所を生かした生鮮品などの輸送ルートの確立、などを考えていかなくてはならないと思います。
 開港を間近に控えて、今まで苦労をしながら取り組んでこられた知事としての感想と、その効果についてどのようなことを考えられているのか、お伺いをします。
 続いて、千八百メートル滑走路のジェット化によって航空機利用客はどうなっていくのか。
 平成元年十一月に出された和歌山県算出予測値では平成十二年時点で三十五万五千八百人と予測されていますが、現状の利用客は平成三年をピークに減少しており、平成六年度は七万九千三百九十四人と、残念ながら八万人を切りました。千八百メートル滑走路での航空機利用客の見通し、及び新しい路線はどうなるのか、お伺いをいたします。
 同時に、平成八年度中に二千メーター滑走路についての調査検討が考えられていますが、その効果等についてお伺いをいたします。
 最後に、南紀白浜空港跡地利用についての現時点での検討状況と県としての考え方をお伺いいたします。
 以上、これから安心して暮らせる医療、保健、福祉の先進県を目指して、及び新南紀白浜空港ジェット化開港に向けての私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 玉置議員にお答え申し上げます。
 医療、保健、福祉の先進県を目指して三つの観点から質問がございましたけれども、人材育成の面について、一点、私から答弁させていただきます。
 お話ございましたように、高齢化が進み、またゴールドプランの展開等に伴い、理学療法士、介護福祉士の必要性はなお一層増してくるということ、私も同感でございます。県としては貸与金制度等を行って人材確保に努めておるところでございますが、理学療法士、作業療法士については、本県からの養成校への進学状況や県の貸与金制度の利用状況等から見ておおむね順調に養成されている現状でございまして、県内への育成施設の設置については、現在の状況では慎重な検討を要するのではないかと思ってございます。また、介護福祉士については、県も支援する中で、来年四月に県内で初めての養成施設の設置が予定されておりまして、私たちも大いに期待しているところでございます。
 議員ご指摘のように、高齢化社会を支える人材の育成ということ、私も同感でございまして、特に看護婦の問題については、新宮に看護学校を開設しましたし、また短期大学の開設も予定して現在進めつつございまして、そうした面について努力しているわけでございます。
 紀南地方にそうしたものを設置したらどうかというご提言がございましたが、貴重なご意見でございまして、私も、これからの社会形成の上においては福祉施設を各地域に充実することの方が重要な課題であると考えてございまして、そうした問題について検討していかなければならないのではないかと思っております。
 特に、今までは公的学校が多うございましたけれども、各種専門学校の設置ということがよく言われてございます。アメリカ等はその方向に進んでおりますし、日本でも今後そうした形で進んでいくと私は信じてございまして、そうした点と絡み合わせ、ご提言の趣旨を踏まえて勉強してまいりたいと思ってございます。
 それから、南紀新空港の開港を控えての感想と効果についてでございますが、新空港は紀南地方と東京の首都圏とを結ぶ重要なアクセスでございますので、私は県政の最重点課題として取り組んでまいったわけでございます。
 まず、ジェット化するについて、場所が問題でございました。四カ所調査をさせていただいたわけでございますけれども、その過程において、本議場で藁科議員に「新空港の場所を探したけれども、青い鳥は手元にあった」とお答えし、白浜のことを発表させていただいたことを思い起こすわけでございます。白浜や付近が熱望する中、昭和六十三年に事業にかからしていただいた次第でございまして、それから八カ年を経て開港する運びとなったわけでございます。
 いろいろのことが思い出として浮かんでくるわけでございます。工事にかかった当時、バブルに進もうとしていたため、土地の買収に非常に難しい問題がございました。そうした面について、地元の市町村長さんや県会議員さん、有力な皆さん等、大変多くの皆さんにいろいろお世話になったわけでございます。特に、白浜町の三点セットの移転については相当な苦労があり、迷惑もかけたわけでございます。そうした点に思いをいたすとき、関係の皆さんにただただ感謝申し上げたい気持ちでいっぱいですし、とりわけ県議会の皆さんには、全員で白浜空港の利用促進議員連盟をつくって強力にご支援をいただいたこと、本当にありがたく、厚く御礼を申し上げたいと思っております。
 その効果の問題についてでございますが、玉置議員お話しのいろいろな点があろうと思いますけれども、和歌山県の長期構想の中で、紀南発展の最大課題は、やはり持てる資源、自然景観、文化といったものを基点としてのリゾート・観光を活性化の一大柱にしていくことが重要な課題だと考えてございます。また、話ございましたように、首都圏が近くなりますし、パイプも太くなります。空港を活用した人的・物的交流をなお一層積極的に進めていくし、また当地方からの情報発信にも努力していくと、そのような形で考えているところでございます。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 特別養護老人ホームの設置についてお答えをいたします。
 本県における高齢化は全国より十年早く進んでいると言われている状況の中で、施設整備はもとより在宅サービスの充実を図ってきたところでございますが、入所を希望されている方が、田辺・西牟婁圏域を含め、県内において相当数見られるのが事実でございます。
 こうしたことから、これらの方々を処遇するための施設の整備についても、和歌山県老人保健福祉計画により、入所待機者等の状況や地域的なバランス等を考慮しながら緊急性の高い地域から計画的に整備を進めているところであり、老齢人口一万人当たりの定員で見ると和歌山県は近畿圏で第一位の整備状況を達成しているところでございます。
 県の計画では三千床の整備を目標としているところであり、先般、国から採択の内示をいただいた特別養護老人ホームの整備を完了すると二千九百九十五床まで整備が進むことから、今後の整備については、家庭復帰を促進する老人保健施設の整備充実を進めるほか、国の施設整備に対する取り組みの動向や在宅サービスの進捗状況もあわせて考えながら、計画の目標値について必要に応じ再検討を進めていくこととしており、また先日も国に対し、平成八年度政府予算等に関する要望の中で高齢者保健福祉施設の整備推進について盛り込み、陳情を行ってきたところでございます。
 なお、昨年十二月に国が公表した新ゴールドプランにおける整備目標の引き上げについては、全国の市町村の計画による目標値を合計したものであることから、基本的にはこのプランによって直ちに県計画や市町村計画の目標値を見直すことにはつながらないものと理解をしております。
 次に在宅介護について、介護をする家族の負担が大きい、苦労が非常に多いということでありますが、昨年六月に県がまとめた高齢者に対する意識調査においても、老後の生活で面倒を見てくれる人が少ないといった不安を抱えている人の割合が高くなっております。
 県の基本的な考え方としては、高齢者の多くの方々は、住みなれた地域、家庭で家族や友人に囲まれて生活を送りたいといった希望を持っておられ、ホームヘルパー、ショートステイ、デイサービスといった在宅福祉事業の充実を通じ、できるだけ本人や介護する家族の負担を軽減しようと努めているところでございます。
 これらのサービスの連携が大切であること、すなわちケアプラン、ケアチームを通じたケアマネジメントが重要であることについては、議員ご指摘のとおりでございます。このため、県においては、全市町村にサービス調整チームを設置し、保健、医療、福祉の有機的な連携を図るとともに、高齢者が在宅で暮らし続けられる、また介護する家庭の身体的・精神的負担を軽減できる最も有効なサービスを適時に受けられるよう、在宅介護支援センターを設置しているところでございます。これらの活動を通じ、高齢者ができるだけ住みなれた家庭、地域で暮らしていただけるよう、また、新ゴールドプランにもうたわれた利用者本位の総合的サービスの提供といった基本的理念を実現できるよう、計画的なサービス基盤の充実を図ってまいります。
 議員ご指摘のモデル地域の設定と当該地域への支援については、確かに先進的な取り組みを支援していくことは有意義と考えておりますので、個別の市町村の具体的な計画について、相談を受けた時点でその内容を十分検討させていただいた上、適切な支援手段を講じていきたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 商工労働部長中山次郎君。
 〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 介護休業制度の確立についてお答えを申し上げます。
 働く方に介護を必要とする家族が生じた場合、退職することなく働きながら介護を行うことができる介護休業制度が、育児休業等に関する法律の一部を改正する法律でもって本年六月公布され、平成十一年四月一日からすべての企業で導入が義務づけられることになったところでございます。
 本制度の導入状況は、平成六年度調査で本県は一五・一%となっており、今後、事業主に対する理解等、幾つかの課題があると考えてございます。このため、国では平成七年十月一日から制度導入企業に対して奨励金制度を設け、介護休業制度の早期導入促進を図ることとしてございます。
 県としても、本制度の施行に先立ち、本年四月から介護休業生活資金貸付制度を設け、介護休業取得者を支援しているところでございますが、今後、事業主や関係団体に対し、介護休業への理解と早期定着を図るため、各種セミナーの開催やパンフレットの配布等により、国等関係機関と連携を図りながら、一層の周知啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 玉置議員の新南紀空港の開港に向けてのご質問、二点についてお答えいたします。
 千八百メートル滑走路での利用客の見通し、及び新しい路線についてでございます。
 新空港になると、東京・白浜間の所要時間は現在の百分から六十分にと大幅に短縮されることとなります。また、乗客定員についても現在の六十四人から百三十四人にと、倍以上に改善されるわけでございます。また、運用時間についても現在の八時間から十一・五時間に延長することとしており、利便性の高いダイヤ編成も可能でございます。また、ジェット化に伴い、従来困難であった旅行会社のツアーの企画も可能となると言われてございまして、他空港においても、ジェット化されると時間短縮や快適性の向上などにより通常大幅な増加が見られているところでございますので、首都圏からの利用客については増加が図られるものと考えてございます。
 なお、より積極的に利用客の増加を図るため、去る四月二十一日には地元の市町村を初め関係諸団体の参加を得て新南紀白浜空港利用促進実行委員会を設立し、首都圏を中心に利用促進に向けたさまざまな事業を展開することとしております。
 次に新たな路線についてでございますが、新たな路線の開設については、現在、周辺需要や地域間交流の可能性なども含め、航空会社等、関係機関と協議を重ねているところでございますので、今後とも和歌山県新空港建設・利用促進議員連盟の皆様方のご支援についてよろしくお願い申し上げます。
 次に、滑走路の二千メーターへの延長についてでございます。
 さきの政府要望においても説明させていただきましたが、現在、平成八年度を初年度とする第七次空港整備五箇年計画に位置づけていただくべく、国に対して要望しているところでございます。滑走路の二千メーター化により、就航可能な航空機機材が新空港の小型ジェット機から中型ジェット機にまでふえることとなるわけでございまして、これによりなお快適性や利便性の向上が図られることとなり、利用客の増加につながるものと考えてございます。なお、議員ご質問の中にもございました海外からのチャーター便等も、より広範に可能となると考えてございます。
 県としては、紀南地方の拠点空港として滑走路の延長について積極的に取り組んでまいりたいと考えてございますので、この点についても、議員の皆様方におかれましては今後ともご支援、ご協力をお願いする次第でございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 企画部長藤谷茂樹君。
 〔藤谷茂樹君、登壇〕
○企画部長(藤谷茂樹君) ご質問の南紀白浜空港の現空港の跡地利用についてでございます。
 新空港との相乗効果が期待されること、紀南地域全体の活性化につながるものであること、また、できる限り民間活力の導入を図ってまいりたいとの基本的な視点に立って検討しているところでございますが、現状では民間資本の導入による恒久的整備といったことが困難な経済状況下にあることもございまして、さしあたり当面の現実的な対応として、恒久的整備のための諸条件が整うまでの間の暫定的利用の方策について、地元や関係の皆様方のご意見、ご協力をいただきながら一定の方向を導き出したいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番玉置公良君。
○玉置公良君 前向きのご答弁、ありがとうございました。
 ただ一点、紀南地方への医療、保健、福祉の人材育成専門学校の設置に絞って、要望だけ加えておきたいと思います。
 私は今でも、紀南に福祉大学をつくってほしいという要望を持っております。しかし、やはり現実的な対応として、具体的にまず専門学校をつくっていってほしい、そういった気持ちで今回質問をいたしました。
 私の地元の白浜はまゆう病院が去年の二月にオープンいたしました。私自身もかかわらせていただきましたけれども、今、理学療法士さんが五名、作業療法士さんが一名、働いてくれております。その方々はほとんど、実を言うと県外からわざわざ来ていただいたという状況でございました。また、一昨年、田辺市で行政として理学療法士さんを募集したわけですけれども、地元にいなくて和歌山市から来ていただいたということも聞いております。
 現実、やっぱり紀南には人がないんです。関係部局の方々はそれぞれ忙しいとは思いますけれども、もっと紀南の現場を歩いていただきながら、現場の人たちの悩みや声を聞いて実態を把握していただきたいと思います。
 私は、ただ単なる計算上の需要と供給を言っているのではないのであります。そのことによって若者が定着をし、そして紀南の活性化につながっていく、紀南に専門学校をつくることによってそういったことを総合的に考えてほしいと、こういったことを述べさせていただいたと思っています。
 後追い行政ではなくて、他府県よりも十年先を見越した人材育成や若者が定着できる町を──私自身も頑張ってまいります──一緒につくり出していこうではありませんか。人材の育成は市町村では困難でございます。民間任せでなく、県が主体的にこの問題に取り組んでほしいと思います。
 私自身、選挙期間中もこの問題を多く聞いてまいりました。今後とも、委員会さらには本会議等で意見反映をしてまいりたいと思っています。どうか、実現に向かってお願いをする次第でございます。
 以上、要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。
○副議長(木下秀男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十六分散会

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