平成7年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○副議長(木下秀男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(木下秀男君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中山 豊君。
 〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長の許可を得ましたので、質問を始めさせていただきます。
 せんだって、市民の生命・財産を守る一線確保のために消防長をとの海南市当局の求めに応じて直ちにこたえられたことに対して、地元選出議員の一員として人ごとのように思えない心境であることだけを、まずもって表明しておきます。
 県会での登壇質問は初めてのことゆえ、県民の要求が県会を通じてどのように反映されているか、何年か前からの議事録に目を通してみました。さすがに県議会だと、素直に感じました。弱いところを残しながらも広範な県民の要求を酌み取り、かつまた大所高所からの県勢活性化のための提言や、あるいはまた課題提起をされていることに触れ、触発もされ啓発もされたところで、以下の質問をさせていただきます。
 何しろ、四十分のうちに質問と二回までの再質問を交えて終わらなければならないということになっているようですから、かなり期間を置きながら当局の皆さんと粘り強くかつ継続的に論議を重ね、理解を深めながら実現を求めるものと、短期というか一気に解決を求める課題ということで区別してご答弁をいただくよう、まずもってお願いを申し上げます。与えられた時間の関係で直截的なお尋ねになることをあらかじめご了解いただきたいと思います。
 質問に入ります。
 道路整備についてであります。
 国道四百二十四号線の海南市地内の未整備区間の整備計画を明らかにしてほしいというのが一つであります。
 それとのかかわりで、具体的には、木津地区間は現道のままでは国道のていをなさない。何はさておいてもバイパスの法線をどうするのかはっきりさせていただかなければならない。このことをお尋ねするところであります。
 次に、上谷・ひや水地区間は工事の進行中ではあるけれども、来年度以降の取り組みについての展望と計画をお聞かせ願いたいと思います。
 次には、国道三百七十号線であります。すなわち、海南市から野上谷の交通体系をどのように構想されているかということを基本的なところでお尋ねしたいのですけれども、野上谷の交通路を整理しないまま野上鉄道を廃線してしまったというのは極めて残念なことであります。実にまずいことをしてしまったといまだに強く思っていることを述べながら、特に野上町と海南市区間をどのように体系立ったものにしようとしているのか、大筋のところで結構ですからご答弁願いたいと思います。
 さらに、阪井地区間の軌道敷を歩行者・自転車の専用道路と位置づけて具体化を進めているようだが、基本的な体系を構想するでもなく、ただ便宜的に事をなすやり方ではないかというふうに見えるので、これでは納得しがたいわけであります。バイパス構想があったこととも考え合わせ、十分なコンセンサスを求めておきたいところであります。
 かつてお示しになったバイパス構想というのは、今もなおかつ生きているものと承知していいのかどうかという点をはっきりさせていただきたいと思います。県の高い見識とリーダーシップが求められているところであろう、このようにも思います。
 次は、県道整備についてであります。
 海南市内に八本の県道が通っておりますが、これの整備がまたおくれているわけであります。住民の同意や協力の足らないところも原因しているのであろうとは思いますけれども、特に亀川地区内では秋月海南線、岩出海南線、小野田内原線の三本が重なり合っているところがあります。せめてこの区間だけでも直ちに拡幅整備をされたいわけであります。そうすれば、波及して順調に整備着工できる環境がつくり出されるであろう、このようにも思われるのであります。いかがなものでしょうか。それが一点。
 二点目は、秋月海南線のくも池の且来寄りの箇所を早急に整備されたい。もう地権者の同意が得られた部分もあるのではないかと推察するところですけれども、直ちに取り組まれたいわけであります。
 三点目、岩出海南線は岡田地区間に用水路のふたがけをするなど検討していただいたようですけれども、未実施であります。難しければ海南市都市計画街路黒江且来線に代替させて整備する方法をお考えいただいてはどうだろうか。このように提起しておきたいと思います。
 以上三件につき、土木部長からのご答弁をお願いします。
 二番目、貴志川ふるさと振興水辺環境整備事業についてお尋ねいたします。
 過日、海南市の水防協議会総会がありました。その中で、重要水防区域、特に警戒を要する区域を検討する中で、この工事箇所が危険でないのか、警戒を要する区域でないのかとの提起があり、いろいろ説明もあったけれども十分にされなかったということが一つの原因で、結局、当局が預かり対処するとのことで、ようやくその会議が終わったという状況でもありました。
 そこで、四百二十四号線で流水が冠水することがないのかという質問が出されました。四百二十四号線で冠水したりすると、海南市の東部地区を南北に走る幹線道路が閉ざされていくわけでありますから、大変なことになります。二つ目は、かつて別院という箇所で富士興産の廃油やピットを放棄・埋設した地区がありますが、工事によって水の流れが変わってそれをかき起こし、下流に影響を及ぼす心配はないのかと、この二点からの質問がありました。測量設計の過程で十分考えてくれていることとは思うけれども、この議場を通じて、心配されている地区民や海南市民に的確にご答弁をお願い申し上げたいところであります。
 さらにつけ加えて申しますと、あの地区は、沖野々奥ノ谷というかなり大きな深い谷からの流水が四百二十四号線をくぐり抜けて、工事箇所から貴志川に合流する地点でもあります。貴志川の本流が冠水する危険もさることながら、奥ノ谷からの流水が貴志川の本流に支えられ、流れ切れないでオーバーフローして四百二十四号線を冠水するという心配もされているので、そのことも含めてご答弁をお願い申し上げます。土木部長にお願いいたします。
 三点目、いわゆる農業問題にかかわるお話ですけれども、新政策のもとでの和歌山県の農政はどうなるのかというところからのご質問であります。
 新政策をまとめて言うならば規模拡大を基本としたものであって、新政策が求める内容は和歌山県の立地条件などに合わせて果たしてうまいこといくのかと、こういうところであります。
 私見を申し上げるとするならば、和歌山県に新政策を引き入れて国の言うがままになるような農業政策は和歌山県の農業問題解決への手だてには到底ならないであろう、もしやるとしたら大変困難な状態を農業者に強いることになるのではないかと思うと同時に、和歌山県の農業を壊滅的な打撃に追い込んでしまうことにもなりかねないであろうと、私自身は思っているところであります。
 和歌山県には和歌山の農業があってしかるべきであります。その発想から和歌山県の農業をどのようにして構築していくかというのが和歌山県政の担うべき主要な課題であろうと思われるわけであります。
 最初の議員の質問に答えて知事はいろいろ述べられ、和歌山県政についてのお話もあれこれ聞かされましたけれども、農業についてどうするか、どうしてきたかということに触れてのお話は、私が聞き落としたのかどうか知りませんが、ちょっと印象に残るような話でなかったということほどに、農業の問題は和歌山県にとっても大変難しい課題であると同時に真剣に取り組まなければならない課題であろうという認識をしているところであります。その立場から、県がおつくりになっている基本方針というのがあり、それを受けて各地方自治体は農業の活性化のための基本構想というものをつくられておりますけれども、県の基本方針と各自治体の持っている農業基本方針、基本構想がどのように機能し合って和歌山県の農業が振興し発展するようになるのか、まず県が期待している中身についてお聞かせ願いたいのであります。
 さらに、新政策のもとで打ち出している認定農業者制度なるものがありますけれども、それが和歌山県の農業構想にどのような影響と効果を期待することができるのか。このあたりも明確にお答え願いたいわけであります。
 三つ目は、その中で各市町村の農業委員会──県では農業会議というのがあります──初め農業団体はどういう役割を担ってくれるとお考えなのか。今日の状況から見れば、農業委員会及び農業団体は的確にそれらに対応しているような立ち働きがうかがえないのが残念だと思っているところからのご質問であります。
 四番目は、新政策とのかかわりの中で、農林水産省が打ち出している中山間地域総合整備広域連携事業というのがありますが、この事業を和歌山県としてどのように具体化して取り入れ、和歌山県の農業を構築させるのに役立てようとお考えになっているのか。それらについてもご質問したいところであります。
 以上、新政策にかかわって四点のご質問については、農林水産部長にお願いしたいと思います。
 四番目は、中央児童相談所の今日的な活動の状況についてお尋ね申し上げます。
 中央児童相談所と身体障害者福祉センターの統合移転の状況とその統合移転作業の到達度を、まずもってお聞かせ願いたいと思います。
 私自身、二つの施設の統合には一定の意見を持っておるけれども、既に統合移転事業が進められているという過程にありますから控えさせてもらうことにしながらも、中央児童相談所の今日の姿を見ていると、問題を抱え悩みを持っている子供やご父兄の方たちを受け入れて十分に活動できるような、あるいはまた信頼してあそこをお訪ねするにふさわしいような相談所かということには、かねがね、これはまずい話だというふうに思っておりました。県が子供の問題についてそれほど力を入れておるのに、それに対応する施設ではないのではないかということを常々思っていただけに、また、このたび二つの施設が統合されて移転するという状況になっているとはいえ、新しく装いを変えて県民の負託に沿えるような中央児童相談所にすることについては強い関心を持っていただけに、今日の事業の到達点をお示し願いたいと思います。
 さらに、オウム真理教の児童を受け入れているようですけれども、受け入れられている相談所として活動の問題点と教訓をお聞かせ願えたらありがたい、このように思っているところです。
 児童福祉法初め医師法、薬剤師法、薬事法などにも触れると同時に、ひいては自衛隊法までにも触れるようなオウム真理教に対し、議会挙げて直ちに解散をという中央への要求決議、申請決議をしていただきたいというふうな気持ちさえ持ちながら、この二つの質問をしているところであります。民生部長のご見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次は、和歌山下津港港湾計画についてであります。
 計画改定作業の状況と主な内容についてお聞きしたいというのが一つであります。特に和歌山下津港の県勢発展から見た位置づけはどうなっているのか、その主なところをお聞かせ願いたいと思います。
 六月二十四日の各紙が伝えるところ、釜山、和歌山港の間に定期コンテナ航路が開設された、第一船が七月二十四日寄港する、物流の効率化、中国など外航拡大の足がかりとなり神戸港などの物流の補完効果が期待される、とありました。また、阪神大震災以前から既に県は取り組んでおられて、県内産業振興を図るため検討を始め、外航コンテナ航路誘致のポートセールスを進めていたとありました。
 通告項目にある外航コンテナの導入については既に取り組みが進められているという理解をした上で、次の質問をしたいと思います。
 そうなってくると、物流基地構想を壮大なものにという思いをいたすものですけれども、いかがなものか、まずもってお尋ねいたします。
 テクノスーパーライナーの寄港についてもかなり積極的な取り組みをなさっているようですけれども、今日の状況をお聞かせください。
 三つ目は、マリーナシティ計画以前の段階で日用家庭用品業界を初め地場産業界に向けてとったアンケートとの関連での物流基地構想はどうなったのか。そして、今日どういうふうにお考えになっているのか。
 既にアンケートをとった段階でお考えになっていたそのことと全く違って、マリーナシティがつくられて今日に来ているわけですけれども、その当時の地場産業に対する振興計画とのかかわりで考えられたお話は、今もなおかつ県政遂行の過程で大事にされようとしているのか。そのあたりを率直にお述べいただきたいと思います。
 和歌山下津港港湾計画については改定作業中だというので、次の観点で対処してほしいと思います。
 それは、大阪湾の外港的機能としての評価と県勢発展への展望をするとき、神戸国際港の補完効果などというスケールではなくて、東海・近畿いわば西日本圏を背景にした県勢浮揚策として考え、構想すべきだと思うのですけれども、いかがなものか。
 県は、ある時代には北部臨海工業地帯というものを構想し、ある時代には燦黒潮リゾート構想などを打ち出してきたけれども、いずれも県民の納得する効果を得たということにはなかったようにも人々からよく聞くわけであります。
 今日、第二国土軸を考えるなら、大きなスケールで和歌山下津港港湾計画の改定をされるべきではないかとも思うのですけれども、所見をお聞きしたいと思います。これは政策的な大きな課題にもなることですから知事に答弁を求めるのが本来だけれども、冒頭に述べたように、理解を深めながら長期にわたって──一期四年があるので──それを詰めていくという課題のうちに入るかと思うので、さわりの部分であるから、知事からの答弁もさることながら部長にお願い申し上げたいと思います。
 次に、海草県事務所の位置についてであります。
 和歌山操車場駅跡地へのメーンアリーナ、第二アリーナ施設すなわち多目的ホールなどの建設計画により、海草県事務所の移転計画はどうなったのかというご質問であります。その経緯についてお聞きしたいと思います。
 これは、私がただ単にうわさというふうな形で耳に入れて、それがまことしやかに県の計画の中にあったと思い込みをしているのか、思い込みでなかったのか。そのあたりも含めて的確にお答えください。
 海南・海草一市二町の議連からの要求として何年か前からこの問題について当局に申し上げてきているけれども、その一市二町の議連からの申し入れについてはどのように受けとめられているか。その認識をお示し願いたいと思います。
 海草郡が和歌山市を包む状態であったころの事務所の位置──言うなれば、和歌山市を包んで加太から直川、有功、安原、岡崎と、ずうっと海草郡でした。その時分は、県庁内に海草県事務所が所在するということは住民にとってみれば当たり前の話だというふうにして、違和感を感ずる者はだれもいなかったと思います。しかし、長い歴史と社会の発展の過程で海南市、野上町、美里町、下津町という県事務所の所管する地域がここに残り、ほかは全部和歌山市に合併という状態になって、以降今日まで県事務所が県庁の中、しかも和歌山市の県庁の中にあるということは、だれが考えたとしても不自然ではないかと思われているところであります。
 今回は、だからこうしろというところまでの突っ込んだ要求を掲げての質問は差し控えることにして、県庁の所在地、県庁の敷地内に海草県事務所が所在するということは、今日の行政区を見るときに果たして妥当かどうかということについての認識だけをお求めいたしたいと思います。これも長期にわたって皆さんといろいろ論議をし協議を重ねて、しかるべき地域の人たちが考えて、それは当たり前だろうというところにご判断いただけるように持っていきたいということをまずもって申し上げながら、海草県事務所の現在の位置は果たしてみんなが納得できるような位置なのかどうかということについての認識をお聞かせ願いたいと思います。総務部長の答弁になるのでしょうか、ご期待しておきます。
 以上、私の質問とさせていただきます。終わります。
○副議長(木下秀男君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 中山議員にお答えいたします。
 まず、道路整備についての三点でございます。
 国道四百二十四号の未整備区間の計画についてでございますけれども、木津地内の未整備区間、約一・○キロメートルにつきましては、沿道に人家が集中しておりますので、バイパスとして法線の検討を進めているところでございます。平成七年度は、地元関係者のご協力を得ながら測量調査に入りたいと考えているところでございます。
 上谷地内につきましては、特殊改良一種事業で整備を進めておりまして、工事中の区間は平成七年度に完成予定となっております。続く区間につきまして、地元関係者のご協力を得ながら測量調査を行い、整備を進めてまいります。
 ひや水地内の狭小部につきましては、物件補償に難航している状況でありますが、今後とも地元関係者のご協力を得ながらその整備に努力してまいります。
 次に、国道三百七十号の野上谷の交通体系についてでございます。
 野上電鉄株式会社による電車とバスで構成されていましたが、平成六年三月、野上電鉄株式会社の解散により大十株式会社によるバス輸送への転換が図られ、通勤・通学の輸送の確保がされたところでございます。
 ご指摘の野上町と海南市間のうち海南市阪井地内の未整備区間は沿線に人家が集中しておりますので、将来的にはバイパスとして計画し、国道四百二十四号に連絡させるべく整備を進める必要があると考えているところでございます。
 また、これに続く野上町内では、野上電鉄の廃線敷を利用し、バイパスとして道路整備を進めることとしております。
 なお、現国道三百七十号の阪井地内は道路幅員が狭小な上、自動車の交通量が一日一万一千六百台を超えるなど、通行が大変ふくそうし、自転車・歩行者等の通行が危険な状態であります。その緊急的な対策として沖野々地内を拡幅整備するとともに、交通安全確保の観点から野上電鉄の廃線敷を利用して、景観にも配慮した自転車・歩行者専用道路の整備を進めることとしているところでございます。
 今後さらに構造の詳細などについても地元説明会等を開催するなどして、関係者の方々のご理解を得ながら整備を進めてまいります。
 次に、県道秋月海南線など、県道の重なり部分の整備等についてでございます。
 ご指摘の区間につきましては、且来地内で県道秋月海南線ほか二路線が重複しているところでありますが、その両端部に位置する紺屋橋及び且来交差点部の改良については平成七年に完成の見込みでございます。
 なお、中間部分につきましては、沿道に人家が並んでいますので、地元関係者のご協力を得ながら今後調査測量してまいります。
 また、くも池付近の且来地内寄りの箇所につきましては、前年度に引き続き用地買収を進め、解決すれば一部工事に着手する予定としてございます。
 県道岩出海南線の岡田地内につきましては、拡幅整備をすることとしておりますので、今後とも地元のご協力が得られるよう努力してまいります。
 なお、ご指摘の海南市都市計画道路黒江且来線につきましては、現在海南市域で施行中の海南駅高架化事業や築地阪井線などの進捗等も勘案しながら、今後海南市と協議しつつ検討してまいりたいと考えております。
 次に、貴志川ふるさと振興水辺環境整備事業についてのご質問でございます。
 ふるさと振興水辺環境整備事業は、治水機能の向上を図ることも目的としながら、水辺空間の環境整備を行う事業でございます。海南市別院地内で進めている貴志川の整備につきましても、地元からの強い要望もございまして、のりすその洗掘防止対策など治水効果の向上を図るとともに、現地の利用状況を尊重して、より水に親しめるよう計画したものでございます。
 下流に対する流れにつきましては、平成五年度から実施している緩傾斜の低水護岸で流水を安全に誘導し、議員ご指摘のような道路や下流の地域に影響が出ないように、また周辺の支川の流下能力等も十分チェックしながら設計を行っているところでございます。
 次に、和歌山下津港港湾計画についての五点のご質問のうち、計画改定作業の状況と主な内容についてでございます。
 和歌山下津港の現行の港湾計画は昭和六十年に策定されておりますが、現在、これを改定すべく作業中でございます。
 今後の和歌山県の発展を図る上で、和歌山下津港を初めとする港湾や海を活用していくことが重要であると認識しているところでございます。このことを踏まえ、新計画の策定に際しましては、和歌山下津港が大阪湾の玄関口に位置し、二十四時間世界に開かれた関西国際空港や第二国土軸に近接しているといった特性を生かして、近畿圏の外港機能を担うべきものと考えております。
 また、都市活動の基盤充実や産業機能の充実、さらには快適なウオーターフロントの形成といったような面からも和歌山下津港に多様な要請が寄せられておりますので、これらの機能をも積極的に付加してまいりたいと考えております。
 物流基地構想についてでございますが、和歌山下津港を近畿圏の外港として位置づけ、大阪湾の負荷の軽減、陸上高速交通網と連携した物流の効率化、大規模地震等災害時のリスク分散の三つの観点を踏まえて和歌山下津港の物流機能の強化を図ることとし、これを和歌山下津港の新計画に位置づけてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、外航コンテナの導入についてでございます。これは今回の港湾計画改定の柱の一つでございまして、大水深の岸壁、十分な広さを有した埠頭用地、高能率の荷役機械を備えた外貿コンテナターミナルを位置づけるとともに、これを陸上高速輸送網と結びつけるためのアクセス道路の整備を検討してございます。さらに、これらの施設整備とあわせて、外貿コンテナ航路の誘致に向けて今後ともポートセールスに努力してまいりたいと考えているところであります。
 テクノスーパーライナーの寄港についてでございますが、現在研究が進められているテクノスーパーライナーは、これからの海上高速輸送の主役になるものと期待されております。和歌山下津港についても、大阪湾の玄関口に位置するという特性を踏まえてテクノスーパーライナーを寄港させ、大阪湾内の負荷の軽減と物流のスピードアップを図るべく、計画上対処してまいりたいと考えております。
 最後に、マリーナシティ計画段階で日用家庭用品業界にとったアンケートとの関連についてのご質問でございます。
 昭和五十八年に実施した、和歌山下津港背後の中小企業を対象としたアンケート調査を踏まえて、昭和六十年の和歌山下津港港湾計画の中に企業移転用地が位置づけられたところでございます。その後、不況等の社会経済情勢の変化から企業移転が危ぶまれたこと、及び海洋性レクリエーションに対する要請の高まりなどからマリーナを核とした和歌山マリーナシティ計画に変更し、事業化を図ったところでございます。
 なお、企業の移転希望等につきましては、平成五年に再度調査を行い、改めて必要な移転用地等を新計画において確保すべく検討を行っているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) いわゆる新政策のもとでの和歌山県農政についての四点のお尋ねにお答えいたします。
 規模拡大を中心とした国の新政策は、本県の実態に合わない面もございます。県といたしましては、県内を四地帯に区分し、それぞれの地域特性を生かした、環境と調和した収益性の高い農業を推進することといたしてございます。このため、二〇〇〇年の平成十二年を目標とする、農業所得や総労働時間などを明示した農業経営基盤強化法に基づく県の基本方針を策定し、平成六年二月に公表いたしてございます。
 各市町村におきましては、この基本方針を踏まえ、農業委員会や農協の意見を聞きながら、地域の実情に即した農業経営の指標等を示した基本構想を策定しているところでございます。
 認定農業者制度は、基本構想を策定した市町村において、みずからの創意工夫に基づき経営の改善を計画的に進めようとする農業者を市町村長が認定するものでございまして、認定農業者には、低利資金融資や農地の優先的なあっせんなど、支援措置が講じられることとなってございます。
 本県といたしましては、将来にわたる地域農業の担い手の確保・育成を図る観点から、認定農業者制度を活用してまいる所存でございます。
 また、農業団体の役割につきましては、認定されようとする農業者の経営改善計画に対する指導・助言や認定農業者の経営目標を達成する過程で支援するなど、重要な役割を担うものでございます。
 次に、中山間地域総合整備広域連携事業をどのように取り入れ、具体化しようとしているかというお尋ねでございます。
 中山間地域につきましては、ご承知のように、県土保全や水資源の涵養等、大きな役割を果たしておりまして、大半が中山間地域である本県にとって総合的な振興がより重要と考えてございます。
 このため、平成二年度から生産基盤及び生活環境を総合的に整備する中山間地域総合整備事業を実施してございます。さらに平成七年度からは、ウルグアイ・ラウンド対策として、従来の事業とあわせて、キャンプ場とかクアハウス、特産物販売センター等を地方単独事業で実施することができる広域連携型が導入されました。
 本県におきましては、本年度から桃山町及びその周辺市町村で実施することとなってございますし、今後、県下各地で当事業を積極的に推進してまいります。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 民生部長木村栄行君。
 〔木村栄行君、登壇〕
○民生部長(木村栄行君) 中央児童相談所の統合移転の状況についてお答えをいたします。
 高齢化、核家族化等、社会情勢が大きく変化しつつある中で、児童や障害者の福祉ニーズは高度化、多様化してきております。このようなことから、中央児童相談所と身体障害者福祉センターの統合整備を平成五年度から進めてまいりましたが、年内に子ども・障害者相談センターとして開設する予定でございます。
 あわせて、相談体制の充実を図るため、福祉専門職員等の強化をするとともに、新たにセンター内に設置する多目的ホール等を活用し、地域に開かれた福祉施設としての充実に努めてまいる所存でございます。これにより、児童の健全育成や障害者の自立、社会参加に一層効果的に対応するとともに、相談者のライフステージに一貫して対処できる福祉の拠点として整備してまいりたいと存じます。
 次に、オウム真理教関連の児童を受け入れた中央児童相談所の活動ですが、四月二十五日に山梨県中央児童相談所からケース移管を受けて以降、オウム真理教関連児童三名を本県中央児童相談所で一時保護しております。
 児童相談所では、専門医及び専門職員により児童の心身の状況を診察・観察するとともに処遇方針を検討中でありますけれども、現時点における児童の課題としては、個人差もありますが、基本的な生活習慣や対人関係等の綿密なケアや訓練が必要であると考えております。
 児童相談所といたしましては、オウム真理教をめぐる現在の社会情勢を考慮し、職員の勤務体制の強化など、児童の保護のため最善の策を講じているところでございます。
 今後とも、オウム真理教に関連する情勢の推移をも見きわめながら、児童の人権、プライバシーの保護等に配慮しつつ、児童にとって最も適切な処遇を図ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(木下秀男君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 海草県事務所の位置についてのご質問でございますが、平成三年ごろ、和歌山操車場駅跡地の活用策の一つとして和歌山・海草地方の総合庁舎計画がございました。その後、種々検討の結果、多目的ホール及び健康福祉センターの充実を図ることとなったところでございます。
 また、県事務所の移転につきまして、以前より海南・野上・美里議会議員連絡協議会から要望をいただいているところでございます。県といたしましても、地方機関のあり方については、県民へのサービスを考え、管轄区域や機構の見直しも含め、幅広く検討してまいりたいと考えております。
○副議長(木下秀男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 32番中山 豊君。
○中山 豊君 再質問もさることながら、要望を中心にして幾つか申し上げておきたいと思います。前後するかもわかりませんが。
 中央児童相談所の統合移転の状況と移転計画等にかかわる事業の到達度をお示し願いたいというお話を申し上げたつもりですけれども。あれこれとお聞きしましたが、もう具体的に申しましょう。いつごろ完成して、いつごろ新しいところで事業開始がされるんだということを端的にお答え願えませんか。それが一つ。
 それからオウム真理教の問題ですけれども、保護されお預かりされてからまだ日も浅いことだから、問題点や教訓などと言うたってまだ所内でも十分まとめ上げた資料がないみたいですし、またそういう状況でもないみたいな感じだから、もうちょっと経過を見ながら、お教え願えるところがあったらお教え願うというふうな形でお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、和歌山下津港の計画改定の問題に絡んでの質問を幾つかさせてもらったんですが、要は、国際港としての神戸港の補完的役割を果たすためにというふうな狭い感じではなくて、和歌山県勢の浮揚化と発展のためにどうすべきなのかという点を改定作業の中で中心に据えながらご検討いだたくよう、この点は抜かりのないようにお願いしながら、再度いつかの機会にお尋ね申し上げることにしたいと思います。
 次は、土木部長のご答弁にかかわって申し上げたいと思います。
 三百七十号線についてご答弁をお聞きしていますと、阪井地区間の狭隘な部分については、将来的にはバイパスとして整備を計画しているんだということです。過去に示された法線の問題等については、果たしてそれが具体化されるかどうかは別にして、バイパスを構想して現道の交通渋滞を緩和するようにしていくことには変わりがないようですから、それはよくわかりました。
 それとの関連で、軌道敷は、当面緊急的な対策だということを前置きしながら、自転車・歩行者の専用道路に整備していくというお話のようですから、前段での話と関連させて、あれはまさに永久的なものではなくて緊急避難措置としてやるだけの話であって、やがて三百七十号線のあの地区間を整備するにはバイパス構想があるという点が明確にされたということでご理解申し上げて、それの推進方を要望しておきたいと思います。
 ふるさと振興水辺環境整備事業の問題です。ちゃんと設計しているし、そういう心配はないんだということがお答えのかいつまんだところだと思うんですが、先ほどご指摘を申し上げましたように、奥ノ谷に降った水などが四百二十四号線を抜けるときに貴志川の本流に支えられて冠水する危険性もありますので、そういう点も今後十分見直しながら、また七年度及び八年度の事業もあるようですから、そういう点でご賢察願えるようにお願いしておきたいと思います。
 もう少し時間があります。
 新政策にかかわってのお話です。認定農業者の問題とのかかわりのお話の中で、優良農家を育成し、和歌山県の農業を構築していく核的な存在として指導・助言していくと言うんだけれども、県もさることながら地方の自治体もなべて、農政指導を的確になさるような体制が本当にあるのかどうかということに至っては、僕は常々大変疑問に思っているところであります。農業委員会及び農業団体等を通じながら認定農業者を指導・助言していくと言うんだけれども、果たして本当にそう言われるほどに農業者が指導・助言に寄りかかっていって目指すべき方向に農業が構築されていくのかどうかという点については、大変疑問のあるところであります。
 あえて指摘申し上げておきたいんですけれども、農政の側面についてさらに納得しない部分がありますから、引き続いて今後も問題提起を申し上げていくことにいたしたいと思います。
 海草県事務所の問題については的確にはお答えいただけなかったけれども、幅広く検討していくというお話ですから、申し上げていることが幾らかは通じたようにお受けとめして、今回は終わりたいと思います。
 以上です。
○副議長(木下秀男君) ただいまの質問は要望といたしたいと思います。──以上で、中山豊君の質問が終了いたしました。
○副議長(木下秀男君) これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(木下秀男君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十九分散会

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