平成7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(富田 豊君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 最初に、阪神大震災で亡くなられた方々、ご遺族の皆様に心より哀悼の意を表しますとともに、すべての被災者の皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。
 今なお不自由な避難生活をされている多くの方々が、一日も早く心の休まる日常生活を取り戻せるよう、国が責任を持って、住民の皆さんが強く望んでおられる仮設住宅の確保や営業の再開、町の復興を進められることを期待するものです。
 今回の地震は、戦後の近代都市を襲った初めての直下型地震でした。予想はされていても、その備えは全くといっていいほどとられてこなかった、都市の防災対策の不備を浮き彫りにするものとなりました。
 私は、民主医療機関連合会の皆さんと一緒に災害直後の東灘区に医療救援ボランティアに入りましたが、被害の大きさにただただ足がすくみ、涙がとまりませんでした。水や食料、医薬品、それらのどれもが不足し、公園でテント生活をする方々、傾いた家に住まわれ、何の援助も届いていないお年寄りの方々、皆さんが私どもに地震の恐ろしさを必死に訴えられたものです。経済大国と言われる日本が、実に災害に弱く、救援の体制も貧弱であることを実感いたしました。消防車が到着しても、水の備えがなかったために燃え尽きるのを見るしかなかった。その悔しさは、被災者の方はもちろん、消防署の方も同じだったと、私は強く思うのです。
 政府は、安全保障を言うなら、軍事力の強化などでなく、日本の国民の命と財産を守る防災対策、救援対策を政治の最重要課題とすべきだと、私は強く思うのです。
 私ども日本共産党は、六日に知事に対しまして、被災者救援活動を強めることや震災に関連した経済活動で大きな被害を受けられた業者の皆さんへの無利子の融資制度の実施など、経済援助、観光客のキャンセルで大きな打撃を受けた県内観光地への対策、被災者を県内の温泉地などへ招待する提案、地域防災計画の見直しなどを求めたところであります。
 今回の地震では、和歌山市も学校校舎にひび割れが起きたり、運動場に亀裂が走る、民家の屋根や壁が被害を受ける、そういった事例が多々ありました。
 私は、有功小学校や民家の被害、紀の川の河原で見つかったひび割れも見てまいりましたが、当局として被害の実態をつかんでおられると思います。地域別の被害結果が判明しているのであれば報告を願いますとともに、被害者への援助策を求めたいと思います。
 和歌山県は、過去に何度も大きな地震、津波による災害を受けた災害県でもあります。今後も、大地震が和歌山県を襲うとの警告が既に発せられているのです。本県が東京大学地震研究所に委託し、一九七二年に作成された「和歌山県における地震の調査研究報告書」は、次のように警告をいたしております。「和歌山にとって最も重要な南海道沖の巨大地震は、過去の例から見て今後も必ず発生すると考えられる」。本州外側地震帯と呼ばれる東海道、南海道沖を震源とする巨大地震は、連動しながら百年、二百年間隔で発生し、また両地震の数十年後には紀伊半島内陸を震源とするいわゆる紀伊大和地震が発生している歴史を持っています。同調査研究報告書は、さきの警告に続いて、一八九九年に発生した紀伊大和地震の四十五年前、一八五四年に起きた安政の大地震がマグニチュード八・四と推定される巨大地震であったことを指摘し、この報告書が出された一九七二年時点で、一九四六年の南海道沖地震から二十六年しかたっていないといって安心することはできないとも言っているのです。ことしは、既に南海道沖地震から四十九年目に入っております。本当に県民の生命と財産を守る震災、津波対策が緊急性を持っていることは疑いのないところではないでしょうか。
 阪神大震災では、既に二十年以上前に、学者、研究者から近畿中部を襲う地震が警告されていながら防災対策に真剣に取り組まれてこなかったことが指摘をされています。このような誤りを再び繰り返さないためにも、真摯な姿勢で防災対策に取り組まれることを希望したいと思います。まず知事には、防災対策に取り組まれる決意のほどを重ねてお示し願いたいと思います。
 県は、来年度予算で地域防災計画の見直しを計画されていますが、関係部長より、計画の見直しに当たって重視しようとしている点を明らかにされることを求めたいと思います。計画の見直しに当たって、ぜひ次の観点で取り組まれるよう、幾つかの提案と質問を行います。
 和歌山県のこれまでの防災計画では震度七の地震を想定しているわけですが、せっかく計画は立てても実際の防災事業には反映されてこなかったのが実態だと思うわけです。県の備蓄が、毛布七千六百十二枚、ズボン六百五着、ろうそく二十六本、これだけがいざというときに県民を助ける救助物資備蓄計画とあっては、震災対策計画が想定している大災害が発生したときに県民を守れるとはとても言えないと思うのです。
 最初に、何といっても消防力を抜本的に強めることが重要だと思います。消防車両は、国の基準では百八十六台が必要であるのに対して、現在配備されているのは百二十八台、六八・八%の配備しか行われておりません。消防署員はといえば、二千十八人の基準に対して千二百四十二人、六一・五%です。また、耐震防火水槽の配備を調べて驚きました。和歌山市に五十九基、有田市が七基、那智勝浦町が八基、その他で二基、合わせて七十六基というではありませんか。
 震災計画では、和歌山市、田辺市、新宮市での地震による出火件数が予測されております。例えば和歌山市の場合、中央構造線沿いの和歌山市近傍でマグニチュード七の地震が起きたときに三十八・九件の火災が発生し、一時間後には風速四メートルのときで一万六千七百六十六棟、予測地域の三五・七%が焼失することが予測されています。風速八メートルの風が吹いたケースでは、二万二千六棟、四六・二%の家屋が焼失する予測です。この予測でも大変なものですが、現在、民家が密集し、人口が急激にふえている紀の川の北岸部や和歌川東部は当時の想定地域には含まれておりませんから、市内全域に予測を拡大するとすれば焼失家屋がさらにふえ、この数倍に達するのではないでしょうか。
 また、阪神大震災では住民の方々の飲み水まで不足する事態が続いています。和歌山市内を初め人口密集地には地震に強い井戸を準備しておき、いざというときには飲み水や消防水利として利用できるようにすることが求められていると考えますが、いかがでしょうか。
 こういった観点から、国基準以上の消防力を早急に整備することを求めたいと思います。また、財源確保のために国に対しても強力に働きかけることを求めます。
 次に、震度七の大地震に備えた公共施設や建築物、個人住宅の耐震性の強化、点検の問題であります。
 学校、病院など公共施設が震度七に耐えられるかどうか、電力、ガス、水道、通信などのライフラインの耐震性の強化が必要と思うのです。県は震度七の地震が起きることを前提に震災対策を策定しているわけですが、県関係の公共施設の耐震性はどのように設計されているのでしょうか。ライフラインの耐震性についても、どのような指導をされているのでしょうか。
 また、和歌山県にとって、津波対策は地震そのものへの対策以上に重要と思われる点もあります。今度、私どもが要望させていただきました緊急情報衛星同報システムを設置されるということですが、南海道沖の地震では、地震発生から数分後には津波の第一波が到達すると予想されているのであり、沿岸部の住民などに一秒でも早く津波の警戒を知らせるために沿岸自治体との協力、訓練などを要望します。また、過去の津波がどの地点にまで到達したのかの調査を行って、津波にも耐え得る防波堤の整備を早める必要があります。
 当局の資料によれば、和歌山下津港では、磯ノ浦、内海、戸坂の地点、そして湯浅広港、由良港、田辺市文里港の新庄地区、那智勝浦町の浦神地区、串本町の大島港、日置海岸、漁港では比井、三尾、印南、切目、南部町山内、田辺市芳養湾、白浜町の綱不知、これらの港湾や漁港で高潮対策の突堤や護岸、水門などの整備が進められていますが、津波対策としてこれで大丈夫なのかどうか、新たに対策をとる地域が必要ではないのか、再検討を求めるものです。
 また、ため池やダムの安全性についても、住民の方々の不安が強まっております。阪神大震災では、高速道路の倒壊はないとか、高層マンションは安心、新幹線は大丈夫といった安全神話がもろくも崩れ去ったわけであります。これまでの安全神話にとらわれることなく、安全性の確認を進めることが最も重要です。県下には四十七のダムがあり、形式別には重力コンクリート式が八カ所、アーチ式ダムが二カ所、アース式が残りの三十七カ所あります。ダムについては、県が八○年三月に発行した「地震の被害想定報告書」ではアースダムの耐震性に問題があると指摘しています。ところが、九三年度に修正された震災対策計画には、ダムについての記述を見ることができませんでした。アースダムの大部分を占めているため池については対策の重要性が指摘されていますが、これらのため池は一八○○年以前につくられたものも多く、兵庫県南部地震では淡路島の多くのため池で亀裂等が発生いたしました。ため池の耐震性の強化へ抜本的な改修を、住民に負担をかけない形で早急に進めていく必要があると思いますが、当局の見解を求めます。
 また、住民が不安を感じている大型ダムについても、直下型地震が起きた場合の耐震性を再検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 私は、今回の地震の要因とも言われている野島断層を現地で見させてもらいました。活断層の活動した地震の被害の大きさを改めて知ることができました。幅一・五メートル、長さ九キロに及び、民家の倒壊や水田などの地割れ、高さ一メートルに及ぶ高低差、すさまじいとしか言いようのない破壊力です。活断層への注意を怠ることの重大な危険を感じて帰ってまいりました。
 さて本県の震災対策計画では、県北部を東西に走る中央構造線について、「この断層は、二億年前から活動し現在まで続いているという世界的にも最も大規模な断層である。最近、数万年間の平均変位速度は一年当たり五ないし十ミリメートルとされているが、常時動いているのではなくて、地震のときに瞬間的に変位するものである」、こう述べた後、続いて「活動するたびに多くの破砕帯が生じており、防災、開発上で大いに配慮が必要であろう」。中央構造線上で開発計画を立てる場合に大いに配慮しなければならないことは自明のことであるわけです。阪神大震災の最大の教訓の一つが、この活断層上の開発に当たって余りにも地震対策を軽視してきた結果であり、行政の責任は重大であります。
 和泉山脈の南ろくにはフォレストシティ計画を初め大規模開発計画がメジロ押しです。私どもは、もちろん開発すべてに反対するものではありませんが、住民に危険が及ぶような計画を見過ごすことはできないのであります。今、住民の皆さんは、もし大地震が起こったならという不安がいっぱいの毎日を過ごしています。中央構造線沿いに明らかになっているだけでも、鳴滝断層、根来断層、磯ノ浦断層、桜池断層、五条谷断層などがありますが、県としてそれに伴う破砕帯の地質調査をこれまでに実施されたことがあるのでしょうか。あるのでしたら、その結果をお示し願います。
 私どもは、活断層については、推定地域を含めて全面的な地質調査を要求してまいりました。そうした地域の開発については、調査によって安全対策がとられるまでは、この際すべての開発計画を凍結することを求めます。関係部長からのお答えを求めます。
 なお、県中部には有田川構造線や御坊萩構造線、南部には本宮断層帯などがあり、それぞれの中には活断層か活断層らしき断層が少なからず存在しているとも言われています。
 次に、石油コンビナートなどの防災問題について質問を申し上げます。
 震災の後、和歌山市の松江地域からは、住友金属の構内にある危険物質、タンクの安全性について不安の声が上がっております。住金構内では、地震によって第四高炉のガスを排出する管にひびが入ったため操業を一時ストップさせましたが、高炉からはBガスと呼ばれるガス、転炉からはKガスと呼ばれる一酸化炭素を多く含んだ致死性のガスも発生すると聞いています。住金には、Kガスの四万キロタンク、Bガスは十五万キロ、十万キロそれぞれ一つ、コークス炉から出るCガスの十五万キロタンクがあると聞きました。また、労働者からはクレーンが地震で倒れたらどうなるのかと不安が訴えられています。現に、神戸製鋼所では二人の方が死亡されているわけであります。もしも災害が起きれば、従業員はもとより周辺住民の命に直接かかわる危険な物質を扱う職場については、安全性を高めるためにも、耐震性の観点から職場の安全性を県行政としても監視、点検する必要があると考えます。当局の見解を求めたいと思います。
 兵庫県南部地震では、人工島のポートアイランドや六甲アイラインドで液状化現象が確認されています。住金埋立地にLNG火力発電所を建設するような計画は、埋立免許の経緯からいっても、私どもは大企業の横暴ではないかと批判をしているわけですが、人口密集地に近いこのような人工地盤の地域に危険なLNG施設を設置することは到底許されない見解を、改めてここに表明いたします。人工地盤に立地する石油コンビナート等の耐震性について、現地調査や安全基準の再検討が必要だと思うわけですが、総務部長いかがでしょうか。
 最後に、観測体制の問題です。
 かつて、白浜町には一九五三年の大水害を教訓に気象通報所が設置され、白浜町民はいつかは測候所に格上げされるものと期待をしていたわけですが、気象庁はこれを廃止してしまいました。兵庫県の地震でも、震源地に最も近い洲本測候所が夜間無人体制に縮小され、最も大事な観測地点から通報がおくれるという事態を招きました。災害が起きたときには一時的には体制の強化が図られても、年月がたつと忘れてしまうような誤りを繰り返さないために、県として政府に観測体制の強化を強く要望されることを期待します。同時に、県としての観測体制を整備する必要があるのではないでしょうか。和歌山県は、予知連の特定観測地域には含まれておりませんが、その観測地域に隣接しているわけです。県として、中央構造線上や震災対策計画で震度五以上の揺れを想定しているような地域には、震度計や深井戸震度計など必要な観測施設を整備することが必要だと考えます。総務部長の見解を求めます。
 私たち和歌山県民が安心して住み続けられる町づくりが、地域住民の合意のもとに、かつ計画的に進められることを強調し、次の質問に移りたいと思います。
 次に、障害者対策の二点についてお尋ねをいたします。
 平成七年度予算において、心身障害者及び精神障害者小規模共同作業所に対する運営補助費増額が行われました。関係者の方々にとっては大変うれしいことであります。そして、さらに発展させるために大きな励みともなったことでありましょう。しかし、近畿他府県と比較してみると依然として最下位にあり、安定した作業所運営のため今後一層の増額を願うものであります。
 現在、県下には障害を持つ人々の働く場づくりとしての共同作業所が、大変な苦労を伴いながら前進をしてまいりました。その数も五十三カ所となりましたが、認可基準を満たせず、努力の続けられている無認可小規模共同作業所が多数あります。そして、今なお新たに増設されている現実でもあります。今や無認可小規模共同作業所は県下に三十四カ所となり、お互いが共同しながら、バザー活動や古紙回収による収益活動、あるいは街頭カンパで運営への理解と協力を訴えるなどのさまざまな活動が積極的に行われているわけであります。もちろん、行政への訴えもたびたび行われている現状であります。また、それぞれの作業所の自主製品の販売ルートづくりも努力が続けられているようでありますが、厳しい状況に立たされているのが現実であります。
 小規模共同作業所の認定基準は定員二十名以上で、用地確保には借地は認められず、自己資金の確保に大変困難なことなどから、認可作業所にするのは容易なことではございません。こうした作業所で働く指導員や職員の献身的な労働に支えられて成り立っているのが実態でもあります。また、作業所もアパートの一室であったり、地権者の善意で場所を提供していただくなど、働く場としては極めて貧弱な状況でもあります。
 障害を持つ方々は、どこに行くにも同伴者の援助が必要であります。そのために、交通手段として車による送迎体制は不可欠であります。自動車税の負担も大変な状況と言えます。ぜひ自動車税の減免措置を心から願うものであります。既に、この自動車税の減免については、京都府、大阪府、奈良県、兵庫県等で実施をされているところでありますが、総務部長、わずかでありますけれども、ぜひこの自動車税の減免をお認めいただけないものでしょうか、ご意見をお伺いいたします。
 次に、民生部長にお尋ねをいたします。
 授産施設や小規模共同作業所では、さまざまな製品をつくり、販売活動を行っています。例えば、キーホルダー、印鑑ケース、ポケットティッシュカバー、ダスター、ポーチ、名刺印刷など、一生懸命心を込めてつくり、働いていることの喜びを持ちながら時間をかけて頑張っています。これらについては、平成五年十二月、県障害福祉課によって「ふれあいショップ和歌山」という大変美しいカタログがつくられました。しかし、その注文等の実績が進んでいないやに聞いております。作業所の方も、さまざまな催し物会場等に参加して販売活動を展開したり、ビラをつくって地域にまいたりなどの宣伝や注文活動も行っているようでありますが、しかし活用についてはなかなか難しい現状にあります。そこで、提案して積極的な協力を求めるものであります。
 このカタログはどんなところに配付されているでしょうか。この間の実績についてお聞かせ願いたいと思います。また、県主催のさまざまな行事、完成記念式典、その他の記念品を要する行事などで、ぜひその一品に加えていただき、障害者への励ましにしてみてはいかがでしょうか。また、イベント等の一角に展示コーナーを設けて販売するなどの方法を検討してみてほしいものです。実のある答弁を民生部長にお願いいたします。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 震災対策に取り組む知事の決意ということでございます。
 先日もお答えいたしたわけでございますけれども、今回の阪神・淡路大震災に接して、私も改めて地震災害への対策のなお一層の重要性、必要性を痛感したところでございます。
 和歌山県は、過去、幾多の災害を得ておるわけでございます。それゆえに、災害対応についての先進県と自負しておったわけでございますけれども、今回の阪神・淡路大震災で貴重な経験を得ました。このような、かつてない直下型の地震ということで、その教訓をもとにいたしまして、大規模地震が発生した場合に災害に即応できるように、予防、応急、復旧対策等について十分な危機管理組織をつくってまいりたい。現在、和歌山県地域防災計画があるわけでございますけれども、これの全面的な見直しを行い、震災対策に真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○副議長(富田 豊君) 総務部長木村良樹君。
 〔木村良樹君、登壇〕
○総務部長(木村良樹君) 震災対策についてのご質問のうち、四点についてお答え申し上げます。
 まず、本県の被害状況とその対応でございます。
 二月二十三日現在、県で取りまとめたところでは、死者、家屋の全半壊は皆無でございまして、負傷者が七名、かわら、窓ガラス等の家屋被害が百七十一件となっております。これらの被害状況をもとに、本県では県災害見舞金支給に係る支給基準により、負傷者に対し見舞い金を支出したところでございます。また教育機関については、県立学校十八校、市町村立学校三十一校で建物の外壁や窓ガラス等の破損の被害が出ており、直ちに補修を実施したところでございます。
 次に、消防力の強化と整備についてのご質問でございます。
 今回の阪神・淡路大震災では、地震による水道施設の破損により消火栓が使えないなど、消防水利の機能低下や交通渋滞による初期消火のおくれにより、とうとい生命や貴重な財産が失われたことは記憶に新しいところでございます。
 本県においても、消防水利の多くの部分は消火栓によっており、またご指摘の防火水槽についても、県下に現在三千九百余基整備されているわけでございますが、その中には耐震性が十分でないものもあるというのが現状でございます。
 本県では、今回の被災地と異なりまして、河川や水路等、自然の水利を利用できる有利性があるわけでございますけれども、今後、十分な耐震性を有する防火水槽の整備であるとか、井戸水の活用を初めとする災害時の消防水利の見直しを改めて進めてまいりたいと考えております。
 また、水利とあわせて問題となった電気、ガス、水道などのいわゆるライフラインの確保でございますが、現在行っている震災対策計画の見直しの中で関係機関と十分協議しながら今後のあり方を検討してまいりたいと思います。
 最後に、県下の市町村の消防職員や消防車両などの消防力の増強の関係でございます。
 これについても、国の基準をもとに充実に努めるよう指導し、必要な財源については、国に対しこれまで以上に要望を強めてまいりたいと考えております。
 それから、石油コンビナートの防災関係でございます。
 さきの地震の際、和歌山市内の特定事業所で配管の架台の損傷とガス放出管の変形という二件の被害が報告されております。
 県では、地震発生後、県内石油コンビナート等特別防災区域内における特定事業所や高圧ガス事業所に対し、被害状況を把握し、事業所内設備の点検を実施するよう指導したところでございます。
 コンビナートの防災については、ご案内のように、現在、石油コンビナート等災害防止法により地震時におけるコンビナート災害想定の手法が定められており、これらに基づき耐震性を含めた震災対策が既に講じられているところでございますけれども、今後、今回の震災の阪神地区コンビナートへの影響についても十分検討し、防災体制の整備に生かしていきたいと考えております。
 最後に、観測体制の強化についてでございます。
 本県における地震の観測については、和歌山地方気象台が五カ所、東京大学地震研究所が二十一カ所の計二十六カ所で行われております。
 今回の地震では、地域によっては発生後大分時間がたってから震度の修正がなされたということも聞いておりますし、また地震計が被害を受けて機能しなかったところもあると伝えられております。今後、本県における観測についても、箇所や観測方法について、より充実した体制がとれるよう関係機関に要望を強めてまいりたいと考えております。
 次に障害者対策の関係で、無認可の小規模共同作業所の自動車税の減免措置についてでございます。
 ご案内のように、認可された心身障害者、精神障害者施設については、社会参加支援の側面から所有の送迎用自動車について県条例で自動車税の課税免除を行っているところでございます。
 ご質問の認可されていない共同作業所の自動車税については、条例の規定もあり、また他の課税されている施設との均衡等、種々の問題もございますが、今後、ご指摘にもありました他府県での実施の状況等を検討して対応してまいりたいと考えております。
 なお、身体障害者等が所有する自動車や身体障害者の方等が使用するために構造変更を行った自動車については、既に減免の制度があるということを付言しておきたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 震災対策のご質問、三点についてお答えいたします。
 まず、公共の建築物、個人の建築物の耐震性についてでございます。
 建築物については建築基準法に基準が定められており、耐震基準は、地震時の建築物の被害に関して新たな事実が判明するに従って順次基準が強化されてきております。今回の震災における建築物の被災状況については、建設省などで詳細な調査が進められており、その結果に応じて必要な措置がとられるものと考えております。
 昭和五十六年以降、最新の基準が適用された建築物については、今回の地震においても大きな被害は受けていないと言われてございます。一方、旧基準によるものは深刻な被害であったと言われており、今後、旧基準による古い建築物の診断及び耐震性能強化のための改修が課題となるのではないかと思っております。
 学校、庁舎など公共建築物の設計については、建築基準法などに基づく基準により行っているところでありますが、国の検討結果を踏まえ、県としても必要な対策を講じてまいります。
 既存の公共建築物については、それぞれ管理者において耐震性の診断を行い、必要な対策を講じることが望ましいので、関係機関と十分協議をしてまいります。また民間建築物については、県民からの耐震性に関する相談を受ける体制づくりも必要と考えており、現在、その実施方法について建築士会など関係団体と協議をしておるところでございます。
 次に、ダム、津波、港湾などの諸対策についてでございます。
 議員ご質問の地震対策については、各分野における国の技術基準等に基づき、それぞれ耐震設計を行ってきているところであります。
 津波対策については、防波堤や高潮対策として整備してまいりました護岸、水門などが効果を有しているものと考えておりますが、さらに安全性の向上を図るため、現在、新たな対策の必要性などについて検討しているところでございます。この検討は当面は湯浅広港を対象としておりますが、今後、津波被害を受けた他の海岸についても行っていく予定としてございます。
 次にダムについては、綿密な地質調査のもと、活断層などのない堅固な岩盤を選定し、耐震設計がなされてございます。完成後もダム本体の点検を常に行い、安全を確認してございます。今回の兵庫県南部地震において被災地近傍のいずれのダムも安全性を脅かす変状は発生していませんが、今後ともさらに安全性について調査を進めてまいります。
 いずれにいたしましても、橋梁、トンネルなどを含め、国においては、より安全を期するとの観点から所要の検討を実施すると聞いてございます。県におきましても、これらの動向を踏まえて必要な措置を講じてまいる所存でございます。
 最後に、大規模開発に関連するご質問についてでございます。
 五ヘクタール以上の開発行為については、開発計画の内容に関し、大規模開発事前協議会に諮り、関係部局からの意見を徴することとなっておりまして、区域及び周辺に断層などが存在する場合には、関係部局から事業者に注意喚起を促すとともに、詳細な調査を行うように指導を行っております。
 なお都市計画法では、開発行為に係る技術基準が定められており、これに基づく審査を行うとともに、断層付近などの開発計画について大規模な地震で被害の出る可能性のあることを考慮し、十分な耐震設計を行うよう事業者を指導しております。
 今回の阪神・淡路大震災における構造物等の被害状況については、建設省などで詳細な調査及び検討が進められていると聞いておりますので、これらの結果も見ながら、耐震安全性の確保について特に慎重に対処してまいります。
 具体的には、現在、法に定められた技術基準に照らしての審査に加え、事業者に対して大規模な地震における重要構造物の挙動についての再検討を行わせており、十分な安全性が確保できるよう指導してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 農林水産部長日根紀男君。
 〔日根紀男君、登壇〕
○農林水産部長(日根紀男君) 今回と同様の直下型地震に備えた諸対策についてのお尋ねのうち、ため池の問題についてお答えいたします。
 本県のため池は、総数五千九百カ所余りございます。そのうち、県の防災計画において下流の民家、公共施設等への影響を勘案して、重要水防箇所として二百十四カ所を指定してございます。その安全性については、管理者である市町村等が毎年点検してございます。
 今回と同様の直下型地震に備えた対策については、現在、国において専門家等により被害状況の把握とともに、技術的検討を含めた実態調査を行っておりますので、今後、国の動向も見きわめながら県内のため池の安全性の確保に努めてまいる所存でございます。
○副議長(富田 豊君) 企画部長宮市武彦君。
 〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 村岡議員にお答えいたします。
 和泉山脈の地質調査の有無とその結果についてでございます。
 和泉山脈における地質調査については、昭和四十九年度から昭和五十五年度までに実施いたしてございます。なお、土地分類調査を行った結果、表層部の断層及び推定断層が確認されてございます。この調査によりますと、和泉山脈の南ろくに沿って中央構造線が東西方向に走っており、この中央構造線に沿い、なお幾つかの断層が存在してございます。
 開発計画の事前協議に際しては、計画地内に断層があると推定される場合には、関係部局に対し防災対策について意見を付しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 民生部長南出紀男君。
 〔南出紀男君、登壇〕
○民生部長(南出紀男君) 村岡議員の、「ふれあいショップ和歌山」の製品活用についてお答え申し上げます。
 現在、県内には障害者の自立訓練と働く場の確保のため、法定の授産施設と法定外の小規模作業所がございます。それぞれ、一般企業から受注した仕事を行うとともに、入所者、利用者の励み、働きがいづくりと安定した収入の確保を図るため、オリジナルの製品づくりに取り組んでございます。
 こうしたオリジナル製品については、個々の施設等での販路の拡大には困難な点も多い状況を踏まえ、平成五年度に製品カタログを二千部作成し、県庁内各部局、市町村及び社会福祉協議会など各種団体へ配付するなど、販路開拓の支援を行ってきたところでございます。
 その結果、県政モニターを務めていただた方々への記念品に用いたほか、毎年開催している心身障害児者親子のつどいでも参加者の記念品として使用するなど、活用に努めているところでございます。また、世界リゾート博でのふれあいの店の出店の助成を行ったほか、毎年十二月、JR和歌山駅前で開設する福祉の店への助成も行っております。
 オリジナル製品については、種類、数量、納期等の課題もありますが、障害を持つ方々の励みにもなり、また障害者問題に対する理解と認識を深めていただく上からも意義のあることでございますので、県や市町村、公的機関が関係するイベント等において記念品として活用され、販路の拡大に寄与できるよう、なお一層努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきました。
 地震対策については、急がなければならないものと長期的に計画しなければならないものがあり、そして大変お金もかかるということはよく承知しているわけです。しかし、今度の地震の中で一番教訓となったのは水問題だと思うんです。水は命と言われるほど、非常に重要な問題だったと思います。それで、そういった問題については、備蓄も含めて住民が安心できるものをできるだけ早く確立していただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、命にかかわる問題が今度の対策の一番の決め手だと私たちは思っています。そういう点で見れば、水を初めとして、生きていく上での最低限必要なものは緊急的に整備をすることだと思います。
 先ほども申し上げたように、避難場所の問題とか──先日、副知事が十点の問題について検討を加えていくと申し述べられました。この十点の中で、五、六、七、八についてです。五番目は、避難所の問題です。それから、ライフラインの問題。六番目に、生活物資や備蓄の問題をおっしゃいました。それから、七番目に医療、衛生面での確保をどうするのかということを申されました。あと、災害に最も弱い人たち、弱者対策をどうするかという点です。
 この問題については、そこで暮らしている住民の皆さんたちの避難場所をどこにすれば一番いいのか、どういうものが本当に足らなかったのか、病院はどこが救急体制をとればいいのかということ。これは市町村がやることだと思うんですけれども、その地域にどういう弱い方々がいらっしゃるのかというのは住民が一番よく知っているわけですから、机上の計画にしないで、ぜひ地域住民の皆さん方の意見を十分聞くということを前提につくり上げていただきたいと思います。
 今、避難場所と指定してあるところなんかについても、地域によっては非常に危険な場所を避難場所に指定しているところもありますので、そういう点については、住民の皆さん方の意見を聞いてきちっと決めていただきたいと思います。決して机上のものであってはならないということです。
 それから、地質調査の問題です。
 長年にわたって地質調査をしていらっしゃったことについては承知していますけれども、しかしそれは五十五年度までですから、もう今から十五年前になりますよね。その後、研究が進んでいろんな本も出ているし、いろいろな形での調査報告とか研究報告がされているわけです。
 平成五年、地質調査所の地域地質研究報告「和歌山及び尾崎地域の地質」というのが発行されているわけですけれども、これと五十五年当時の調査を比べてみると、随分はっきりしてきたところ、ふえているところ、不確かだがあるだろうというような区分が明らかになってきている点もあります。そういう点で、和泉山脈の地質調査において、ぜひそういう新しいものを取り入れた基準の見直し、指導の強化をやっていただきたいと思います。そのことがどうしても必要だと思います。
 とりわけ和泉山脈の地質については、兵庫県の災害が起こってから住民は非常に敏感になっております。そして、和泉山脈の八割方を開発するという計画がありますし、もう既に許可をされた部分もあります。しかも、そこには二十七階建ての高層建築物が幾つも建ち並ぶような計画やゴルフ場の計画、あるいは今までの開発計画基準の中で盛り土の部分でも経験をしたことのないような無謀な計画、盛り土によってのり面が百三十メートルにも及ぶような開発計画がやられようという事態に至っているわけです。こういう点から、今、住民は、行政の行う一つ一つの許可行為に非常に敏感になっているし、不安いっぱいの状況であります。今、学習会とか、現地調査をするとか、断層を見に行くとかの催し物をやると、資料が足らないほどたくさんの方々が参加をするという非常に関心の高い状況になっております。その不安を取り除くためにも、こういった地質調査については、住民が本当に理解を示せるような行政の対応が今求められていると思います。その点でもしっかりとやっていただきたいと思います。
 きのうの「ニュース和歌山」に「和歌山の活断層」という記事が載っておりましたけれども、この中で地震対策というのは「転ばぬ先の杖を備えたいものである」と最後に書いてありますが、まさにそのとおりだと思うんです。ですから、そういう点を本当に住民の今の不安にこたえるという意味から、しっかり見きわめていただきたいと思います。
 それと、開発です。
 土木部長から答弁がございました。私たちは、今この時期に住民の不安にこたえるためにも、フォレストシティ計画みたいな大規模な計画については一たん凍結をしていただきたい。土木部長は、今、建設省が詳細な調査や検討を進められている、これらの結果を見ながらと言うているんですが、この結果によって基準が恐らく変わるであろうと私たちは思っています。今、国会の討論を聞いていても、基準の見直しはやらなければならないだろうと言っていますから、恐らく基準が変わるだろうということからも、凍結をするのがごく自然な形だと思うんです。実質的に凍結というような状況になるだろうと思いますけれども、県として、地震災害から県民の命や財産を守っていく上からも安全な開発を進めていくことが、住民にとっても開発業者にとっても非常に親切な行政のあり方だと思うんです。開発を急ぐことの方が、よほど危険きわまりない対策になるのではないかと思います。ぜひ、予防という点からも、行政の姿勢としてきっぱりと凍結を決めていただきたいと思うわけです。
 その点で、安全であればよろしいというような、十分な安全性が確保できるように指導してまいりたい、すなわち安全だったらいいんだというような軽い気持ちの答弁では、住民や業者が不安に思っていることにこたえていないと思います。もう一回凍結の問題について、本当に県民の皆さん方の不安にこたえるのか、それとも現状で進めていくのか、こういう点についてお答えを願いたいと思います。
 それから障害者対策で、無認可の小規模作業所の方々に対する自動車税の減免措置についてです。
 これは、近畿でやっていないのは滋賀県と和歌山県だけです。他府県の動向を見きわめながら、検討しながらということですけれども、総務部長、和歌山県はもうおくれているのよ。そういう点から見て、本当に喜びを持ちながら一生懸命頑張っている障害者たち、あるいは低賃金や重労働の中で頑張っている人たちのささやかな願いだと思うのです。ぜひ、早急に検討していただいて対応していただきたいと思います。
 それから、ふれあいショップです。
 これは非常に立派なパンフレットで、私たちも好感を持っています。中を見てみると、障害者の人たちが本当に一生懸命やっている姿がよくわかる内容になっているんです。これを人に上げるのはなあという気持ちを持つ可能性もあると思いますけれども、働く意欲を持ちながら、そして本当にここしか働くところがないと、そういう中でこの人たちが生きがいを求めながら、一人の人間として、一人の働き手として頑張っている品物です。そういう点で、今でもやっていただいているんですけれども、もっと活用の方法、販路の拡大を行政側で積極的に進めていただくように、重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○副議長(富田 豊君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長山根一男君。
 〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) ご質問にお答えいたします。
 さきにお答えしましたとおり、十分な安全性の確保を図るように考えてございまして、そのため重要構造物の再チェックなどについて指導しているところでございます。また現在、国において被害状況を把握するための調査も行われており、今後、基準の見直しなどの必要性も含めて具体的な検討がなされると聞いておるところでございます。
 審査についても、基本的には申請時点の基準で審査を行うことになっておりますけれども、より安全な宅地開発が行われるような基準改正があれば、その趣旨に基づいて必要な指導を行っていきたいと思っております。また現在、計画地内の断層についても、詳細に把握するための調査等も申請者に行わせているところでございます。
 いずれにしましても、安全性の確保は重要でございます。これらの調査結果、検討結果を踏まえて、特に慎重に対処してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(富田 豊君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 27番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、土木部長から答弁をいただいたんですが、それでは住民の不安にこたえるものに何にもなってないです。そのことを申し上げておきたいと思います。本当に住民、県民の不安にこたえて、地震災害から県民の命と財産、安全な暮らしを保障する、その前段としての要求をしているわけです。土木部長の答弁は、住民の願いにこたえたものではないということを明らかにしておきたいと思います。
○副議長(富田 豊君) 以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(富田 豊君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十七分休憩
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