平成7年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)
県議会の活動
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
36番中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 まず最初に、このたびの大震災で亡くなられた皆さんに心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました大勢の皆さんにお見舞いを申し上げる次第でございます。
地震対策についてお伺いするわけでございますが、ただいまの木下議員と重なっている部分もございますけれども、お許しをいただいて進めさせていただきたいと思います。
当初、ここでは震災直後に報道された避難所からの報告を朗読する予定でした。しかし、こういう悲しい悲しい出来事は既に多くのマスコミでも取り上げられておりますし、最後まで読める自信もありませんので、やめておきます。しかし、今回の震災で亡くなられた人の数だけ、被災された人の数だけ、同じような悲しい物語があることは想像にかたくありません。そう思うとき、「政治って一体何だ」と、私は自分自身に問いただしたくなります。
私たちの技術には限界があることを知っています。そして、政治がやらなければならないことがたくさんあることも知っております。しかし、こんなことにならないようにするのが政治の最も根本的で大切な仕事ではなかったかと思います。
はるか七十年も前、関東大震災直後に過密を促進する都市政策の誤りを指摘した人がおりました。実に五十年前の南海道地震直後にも、政治における科学性の貧困を指摘した人もおりました。そして今回のことでも、数年前に警告を発した学者もおりました。私たちは、もう何回も同じ過ちを繰り返してきております。今度こそ、このあしき鎖を断ち切らねばと考えます。特に、私たち政治家や行政担当者が地震の本当の姿を知って対応すれば、何千、何万という人々の生命を救うことができるのであります。
知事は、この大震災を経験し、どのような感想をお持ちでしょうか。そして、来るべき南海道地震や東海地震についてどのようにご認識しておられるのでしょうか。また、防災計画の見直しをされると聞いておりますが、どのような姿勢で取り組まれるのでしょうか。さらに、具体的にどのような点を見直されるのでしょうか。
今、巷間、素朴な疑問というか不安の声もささやかれております。あの悲惨な状況を見れば、だれしも自分の身の回りは大丈夫かと心配するのも当然であります。例えば、阪和高速の高架橋はどうか、高度成長期の埋立地はどうか、大きなダムや橋梁は大丈夫か、などであります。このような県民の不安を払拭するためには、県内のあらゆる施設を直ちに点検する必要があります。どのような方針でしょうか。
次に、鉄道の高規格化についてお伺いをしたいと思います。
まず、JR紀勢線のスピードアップについて伺います。
その必要性については論をまたないところでありますが、仮谷知事のご英断で初めて調査費が計上されたのは平成四年度であります。以降三カ年にわたり、本県単独、大阪府との共同、運輸省直轄の三本立ての調査を続け、新年度において十四億円余の県負担金を計上し、いよいよ着工されるものと期待をしております。
今後の取り組みについてお答えをいただきたいのですが、これに関し、最近、あたかも自分が手がけているかのごとく発言をし、文書で配布している人がおるやに聞いております。大勢の先輩、同僚の皆さんとともに奥羽路にまで足を運び、真剣にお願いしてきた者として、全く心外に思います。どうか、仮谷知事に置かれては信じる道をお進めくださるようお願いいたします。
さて、もう一本、本県にはJR和歌山線もございます。五年前の初当選時、総務委員会にて和歌山線のことを申し上げたとき、やっと冷房化したばかりで、とても高規格化など無理だと言われました。しかしその後、県議会でも議論が深まり、昨年秋のダイヤ改正では快速電車が導入され、人気も上々と聞きます。鶏と卵の話ではありませんが、まず便利になればお客は必ず乗ってくれます。やれることからやっていく、その姿勢が大切であります。どのような方針で臨まれるのでしょうか。
次に、高速道路の紀南延伸について伺います。
昨年、リゾート博開幕前に一部開通した湯浅御坊道路吉備─井関間は、全線の三分の一の距離にもかかわらず大変すばらしい効果を発揮し、いつものひどい渋滞を解消いたしました。時間的にも心理的にも、紀南がまた一歩近くなりました。この際、早期の全線開通をお願いしておきたいと思います。
そこで、次に関心があるのは、料金は一体幾らになるかということです。国幹道並みとも聞いておりますが、本当のところはどうでしょうか。今、吉備─井関間渋滞解消と申し上げましたが、実は昨年の夏、料金所では若干の混雑がありました。ですから、今度全線開通となっても料金所だけは混雑するのではと心配をいたします。料金は未確定とお答えになるでしょうが、海南湯浅道路の端数二十円がどうしてもつきまとい、料金支払いに時間がかかることが今から予想されます。混雑緩和策として端数の切り上げ、切り下げ、ともに難しいようですから、この際、前売り券を出してみてはと考えます。現在、前売りはカードと回数券しかありませんし、販売所の数も少なく、一時的な行楽客には大変不向きです。そこで、紀南のホテルやドライブイン、土産品店で海南─御坊間の通しの前売り券を売ってもらうのです。観光立県を目指す本県にとって、これぐらいの親切、あっても不思議ではないと思うのですが、いかがでしょうか。
さて、御坊まで開通しますと、本県の高速道路総延長は五十三キロとなります。これを通れば和歌山市まで三十分、関空まで六十分、大阪市内へは九十分と、大体鉄道と同じぐらいの時間で移動ができます。そこで、もうそろそろ高速バスを導入してみてはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。さきに鉄道を早くしろと言っておいて今度は高速バスかと言われるかもしれませんが、やはり競争のないところには進歩はないと思うのであります。関空バスの例もありますし、一度ご検討をいただきたいと思います。
今度は御坊─南部間ですが、この間は地元協力体制として御坊市長を会長に市町村はもとより地区単位まで組織化し、早く完成できるよう頑張っていただいております。大方のところでは調査測量の同意も得て、去る二十三日にはくい打ち式も行われました。私も、くいを打ちながら着実な前進を実感いたしました。
しかし、今後は地元との設計協議も含め、それまでにいろいろ要望が出てくるでしょう。これを地元のエゴと見るか、それとも当然の地元策と見るかで、随分取り組み方が違ってまいります。かつて、地元要望をエゴととらえ、地元との信頼関係が薄れ、遅くなった事例もございます。どうかそのようなことのないよう、積極的なお取り組みを期待いたします。
次に、国際交流についてであります。
私事になりますが、留守がちの我が家に帰りますと、時折、私の四歳の次男が「イッツ・ア・テーブル」などと発音し、びっくりさせられることがございます。最近、御坊のような田舎町でも外国の人をよく見かけるようになりました。もちろん観光客ではなく、それぞれ仕事を持っているようで、本当に国際化を肌で感じるようになりました。
さて、私ども開政クラブもお手伝いし、ご当局においてお進めいただいております米国フロリダ州との交流も既に三カ年が過ぎ、多くの人々が行き来しました。昨年の秋には平越議長、田島秘書課長がお出かけをいただき、再選されたチャイルズ知事にお祝いを述べていただきました。そして七年度では、いよいよ友好提携のための予算が計上されました。お世話になった大勢の皆さんにお礼を申し上げ、今後どのような手順で進められるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
もとより、フロリダ州との交流は州政府という法人とおつき合いをするのではなく、やはり相手は人です。人には任期もあり、寿命もあります。フロリダの近況を伺いますと、ファーマー長官は連邦政府に栄転され、トム・ドラン氏は亡くなり、国際交流委員長は最近、高齢で退任されました。また、窓口として二度の来県を果たされたアイダンソン局長も近々ご退任とのことであります。
相手が変われば、文化交流だけでは長続きしないと思います。しかし、民間をも巻き込んだ経済交流になれば簡単にやめられません。そこで、もっとお互いを知るために、この友好提携を機会に、まず第一段階として人事交流から始めてみてはと思いますが、いかがでございましょうか。
なお、地震のところでご質問をし忘れておりましたので、最後になりましたが、させていただきたいと思います。
地震直後から、本県では観光産業を初めさまざまな影響が出てきておるわけでございますが、早期に回復するものもあれば、間違えば後々まで影響を及ぼすものもございます。木材産業や林業への影響というのは、まさにそんなものではないかと思うんです。
今回の被害の原因の多くは木造家屋の倒壊にあると聞きます。そうすれば、我々素人からすれば、木造住宅は地震に弱いのではないか、木造住宅には住めないなと、こうなりはしないかということであります。そういう意味において、昔から「木の国」と言われ、林業、木材が盛んな本県にとりましては大変関心のあるところであります。業界からは既に新しければ大丈夫だというご意見も寄せられておりますが、木造住宅は本当に大丈夫なんでしょうか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○議長(平越孝哉君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村議員にお答え申し上げます。
阪神・淡路大震災についてどう思うかということでございます。
犠牲者が五千四百人を超えるこのたびの阪神・淡路大震災は戦後最悪の大惨事でございまして、お亡くなりになられた方々に、またそのご遺族に哀悼の意を表したいと思いますし、また被災された皆さん方に心からお見舞いを申し上げます。
昭和二十一年に南海道地震がございました。昭和二十八年の大水害など、数々の災害の恐ろしさと苦しさというものを経験してきた本県としては、一月十七日午後には早速救援対策本部を設置し、消防隊員を派遣いたしました。翌日には毛布を送るなど迅速な対応をとるとともに、その後も県民の皆さん方のご協力を得ながら、毎日、海上と陸上の両面から救援物資の輸送や医師及び土木技術者等職員の派遣など、種々の救援対策に取り組んできたところでございます。今後も、被災者の方々が一日も早く平静な生活に戻れるよう、国及び兵庫県の要請等を踏まえ、時期を失することなく総力を挙げて対応してまいる考えでございます。
本県では、過去の大災害の経験を踏まえて和歌山県地域防災計画基本計画編及び震災対策計画編を整備しており、災害対策に取り組んでおることは先ほど述べたとおりでございます。このたびの大震災の被害を教訓に、この計画の見直しを早い機会に行うとともに、県民の方々及び関係機関とともに防災訓練等を重ねまして、災害に対する認識を深め、被害を最小限に食いとめるよう必要な措置を講じてまいりたいと思います。
過日も近畿の知事会議がございましたけれども、関西地方は関東地域、東海地域に比べて地震に対する広域体制がおくれておるやに感ずるわけでございまして、こうした今度の大災害を大きな教訓として、先ほども申しましたように、近畿全般の広域体制もつくってまいりたいと考えておるわけでございます。また、私は和歌山県は災害では進んでおると思っていた。しかし、危機管理対策として兵庫の実情を見て、ああした直下型の地震があった場合、情報伝達の基盤がやられる、交通の基盤がやられる等、予想せざることがございますので、二重、三重の対策を考えておかなければならないのではないかと、こういう点を強く感じておるところでございます。
それから、来るべき南海地震その他の地震についての認識と今回の防災計画の見直しに取り組む姿勢でございます。
平成五年二月の本会議において中村議員が南海道地震に関する質問をされたことを私も記憶しているところでございますけれども、今回、不幸にも阪神・淡路大震災に接し、改めて地震災害への対策の必要性に深く思いをいたしているところでございます。
以前にもお答えしましたが、県では、防災会議に地震部会を設け、被害の想定や地震、津波の調査を行うとともに、この結果を踏まえ、震災対策計画編を作成しているところでございます。また、南海道地震の経験をもとに一昨年には国際津波シンポジウムを開催するとともに、昨年の世界リゾート博覧会においても砂防シンポジウムを開催するなど、常日ごろから地震対策について特に配慮をしてまいったところでございますけれども、今回発生したような直下型の大規模地震については必ずしも十分の検討がなされているとは言えないわけでございますから、今後、この震災で得られた経験をもとに、情報システムの確立や広域応援体制の整備などの点を踏まえ、真剣に危機管理の対応策の見直しを図ってまいりたいと思っております。
私の感想として、先ほども関西が関東地域におくれておると言いましたけれども、行政面においても、一般住民の感覚においてもそういう点があるやに見受けられるわけでございまして、この面を踏まえて啓発活動も進めてまいりたいと思っております。
なお、木材産業の問題については後ほど部長から答弁いたしますけれども、私もこの点について、和歌山は木が重点でございますので、技術的に見ましたところ、やはり戦後の建築技術上の問題──そして木材業者の皆さんが来られたときにも、木材は切って早期に使うよりある程度の期間寝かして強くして生かす方がいいのではないか、木造というのはそう弱くないんだということを業界自体も発言すべきじゃないかと申し上げたんですけれども、こうした今の時期ですから、業界から申し上げるのはもうちょっとしてからにしたい、逆なでになるようなことではいけないという意見もございました。だから、そうした業界と建築関係の観点の両面から、十分な対策を重ねてまいりたいと思っております。
それから、鉄道の高規格化の問題でございます。
紀勢本線のスピードアップや新型車両の導入については、平成四年度より調査費を計上させていただき、本県の重点施策と位置づけて鋭意取り組んでいるわけでございまして、議員の皆さん方のご指摘によりそうした形をとっておるわけでございます。
早期事業化を図るためにはまず地元の熱意が前提であると申し上げておりましたけれども、昨年の十二月六日に沿線の三十八市町村の総意により紀勢本線活性化促進協議会の設立を見たことは非常にうれしい限りでございまして、事業化に向けての前提が整った次第でございます。県としては、こうした地元の機運の高まりを踏まえ、JR西日本との方針を取り決め、沿線市町村や経済団体とともに、早期事業化を図る観点から十四億二千五百万円を今回予算計上したわけでございます。今後、JR西日本を初めとする関係機関と細部の調整を行うとともに、地元のご支持をいただき、早期着工に向けて努力する所存でございます。
他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(平越孝哉君) 副知事梅田善彦君。
〔梅田善彦君、登壇〕
○副知事(梅田善彦君) 防災計画について、どういう点を見直すのかということについてお答えを申し上げます。
和歌山県地域防災計画は、先ほども総務部長からお答えをいたしましたように、いわゆる風水害等を主として対象とした基本計画編、それから地震災害を対象とした震災対策計画編とから成ってございます。防災計画については、毎年、和歌山県防災会議を開催して計画の見直し、また必要に応じて修正を図っているところでございますが、このたびの阪神・淡路大震災を教訓として、この両計画の点検、検討を行うため、去る二月十三日に和歌山県地域防災計画検討連絡会議を開催して、現在、全庁的に見直し作業に入っておるところでございます。
見直しについての問題点としては、大きく分けますと、一つには早期に検討をすべき課題、もう一つは中長期的に検討すべき課題というふうに分かれると思いますが、今回の教訓を糧にして、以下申し上げる十項目について指示をいたしております。
まず一番目は、本部の中枢機能がこうした事態発生の場合に計画どおりに働くのかどうか、初動時の指揮命令機能がうまく稼働するかどうかということ。
二番目は、初動時の要員確保対策であります。要員確保が計画どおりにいくかどうかということ。
三番目は、情報の収集・伝達機能がうまく働くかどうかということへの検討。
四番目は、広域的な体制がとれるか。市町村間あるいは府県間というふうなものを超えた体制、また自衛隊の救援バックアップ体制がうまく働くかどうかということ。
五番目は、防災関係施設、例えば避難場所、水利施設、通信施設等の配置並びに耐震性は大丈夫かということ。
六番目は、被災者の収容体制、また生活必需物資の確保対策、さらに備蓄物資とその配置はどうかという問題。
七番目は、医療衛生面での対応、そしてその機能は十分かという問題。
八番目は、高齢者あるいは身体障害者等、災害弱者に対する対策、ボランティアを効率的に活用できるかどうかというふうな問題点。
九番目は、防災計画の啓発普及を図るための日ごろの活動が十分であるかどうかということ。
十番目は、防災訓練と自主防災組織の強化など。
こういうふうなもろもろの問題点が考えられるわけでありますが、今後十分に議論を重ね、また専門学者等の意見も聞きながら、本県防災計画の見直しに結びつけてまいりたいと考えております。
二番目は、既存施設の点検の必要性という問題でございます。
ダム、橋、港湾施設、公共建築物等の重要構造物については過去の経験に基づいて技術基準が定められており、これらによって耐震設計を行っているところでございます。これらの施設についても定期的に点検調査を行い、また随時、補修や補強を行っているところでございます。
しかしながら、今回の地震による橋あるいは港湾施設、建築物の被害は極めて甚大なものでございまして、今回の地震災害の実態を踏まえ、現在国においては耐震設計の基準を見直す方向で検討に入っていると聞いております。その検討結果により、橋、港湾施設、官公庁並びに学校等の公共建築物等の施設の点検を行い、計画的に耐震対策を行ってまいりたいと考えております。各施設の整備に係る年次計画については、施設の位置あるいは施設の重要度等を勘案して整備方針を整備し、できるだけ早期に耐震対策を講じられるよう努力をいたしてまいります。
さらに、現在、あの惨状を見て非常に不安を持たれておる地域もあるやに聞いてございます。早急に関係市町村と協議をして、現地調査等、対応をしてまいりたいと考えます。
以上です。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 中村裕一議員にお答えいたします。
まずJR和歌山線をどうするかということでございますが、紀北地区と県都和歌山市を結ぶ重要な鉄道であると認識してございます。
和歌山線については、昭和五十九年十月に電化が完成し、橋本─和歌山間において十分程度の時間短縮が図られ、それ以後、昭和六十三年三月にはデータイム三十分間隔の運行や、平成六年九月には和歌山線では初めての一部快速運転がなされたところでございます。さらに、新型二二一系電車の投入等、一定の利便性の向上が図られ、利用者の好評を得ているところでございます。今後県としては、旅客需要等の調査や利用促進策の検討を行い、快速電車の増発等、さらなる利便性の向上に向けてJR西日本等関係機関に働きかけてまいりたいと考えてございます。
次に、高速バス導入についてでございます。
紀勢本線の沿線地域においては鉄道が唯一の高速交通機関であるため、議員ご指摘の高速バスの導入は県民の方々にとってまことに意義あることと考えてございます。しかしながら、事業者において以前高速バス導入について検討をいただいた経緯がございまして、需要採算面で非常に厳しいところがあると伺ってございます。
高速交通機関の複数化、公共輸送サービスの多様化は県民の皆様の利便性の向上を図る上で重要であると考えております。今後、県としては、湯浅御坊道路の開通を契機に事業者に対して働きかけてまいりたいと考えてございます。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 中村議員にお答えいたします。
まず、高速道路の紀南延伸についてでございます。
湯浅御坊道路の通行料金については、正式には供用開始時に発表されますが、当区間については、ご指摘のとおり国幹道並みの料金水準で現在検討中と聞いてございます。
次に、渋滞対策についてのご提案に関連して、高速道路の前売り通行券としては現在、十一枚、六十枚、百枚つづりの回数券が発売されてございます。この回数券については、県内では和歌山インターチェンジ、吉備インターチェンジの料金所で発売されている状況でございます。回数券については、議員ご指摘のとおり、料金所での渋滞緩和に効果があると考えてございますので、販売所をふやす方法や一般的には販売場所を知らない方も多い状況でございますので、そのPR等も含めて道路公団に対して質問の趣旨を伝えるなど、努力してまいりたいと思ってございます。
次に御坊─南部間の推進については、近畿自動車道紀勢線の御坊市─南部町間については、地元県会議員の方々や関係市町村のご協力を得て、昨年十二月に御坊─南部間建設促進連絡協議会を結成し、事業の促進を図ってきたところでございます。現在、市町村、地元自治会並びに地権者の方々に事業内容を説明してきており、この二月二十三日にはお話のように御坊市でくい打ち式が行われましたが、これにより今後の整備促進に弾みがつくものと期待しているところでございます。
今後、インターへのアクセス道路の整備計画などについて十分話し合いをするとともに、設計協議の段階での地元からのいろいろな要望に対しては十分な説明をすることによりご理解を得て早期に解決していくことが肝要でございますので、関係市町村の協力を得ながら、日本道路公団に要望する等、誠実に対応してまいりたいと思っております。
最後に、震災に関連して木材産業への影響などについてでございます。
阪神・淡路大震災における戸建て住宅の被害については、終戦前後の建築など古いものについて特に大きな被害が出ていると聞いてございます。木造住宅についても、適切に現在の基準に従って建築されたものの被害は大きくないと言われてございます。直後に一部で報道されたように、木造建築はすべて耐震性能が劣るというわけではないと考えてございます。なお、プレハブ住宅に被害が余り出ていないのは、プレハブ方式での住宅供給の歴史が浅くて古いものがないことも一つの要因ではないかと考えてございます。また最近の報道では、新しい基準による木造住宅が十分な耐震性能を確保しているということも言われておる状況でございます。こういったことが十分に理解していっていただければ、木材の需要減退という木材産業への大きな影響も出ないのではないかと考えております。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 知事公室長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○知事公室長(野見典展君) 中村裕一議員の米国フロリダ州との交流についてのご質問にお答えをいたします。
まず、いつごろ友好提携を締結するかについてでございます。
本県とフロリダ州との関係については、平成四年にフロリダ州政府国際貿易開発局長が来県され、知事と会談されて以来、機会あるごとに交流を続けてまいりました。この間、平成五年九月には開政クラブの議員の皆さんがフロリダ州を訪問され、また昨年の世界リゾート博には州政府の代表団が来県されるなど、着実に交流を発展させてまいりました。特に昨年十一月、平越県議会議長にはフロリダ州を訪問の際に仮谷知事の親書を手渡していただくなどして、ロートン・チャイルズ知事と親しく懇談され、フロリダ州との友好をさらに発展させることができたことは、本県の国際交流を推進する上で意義深いことであったと考えてございます。
友好提携の時期については、平成七年度中にフロリダ州知事に来県をいただき、本県で友好提携の調印式を開催したいと考えてございますが、その時期についてはさらに打ち合わせを重ねてまいりたいと存じます。
次に、人事交流をしてはどうかとのご質問でございます。
フロリダ州との職員の交流については、フロリダ州との友好をさらに深め、また国際化に対応できる人材の育成という意味からも重要なことと考えてございます。今後、友好提携締結後の課題の一つとして十分検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
36番中村裕一君。
○中村裕一君 私たち地方の議員といいますか、議員の最も大きな仕事の一つは、この和歌山県のようなところなど過疎からの脱却というのが大きな仕事ではないかと思うのであります。
前に東京へ参りまして、東京の湾岸の開発を見てきました。東京湾岸道路というのもできてきておりまして、すさまじい開発をしております。我々、地方で一生懸命過疎化のことをやっているんですが、それ以上のことを都会ではやっている。だから、過疎化の取り組みをしていても、過疎・過密というのは過密をとめない限りなかなか解消しないのではないか、そんなに思うんです。
そう思うとき、実はここに子供の「ハメルンのふえふき」という絵本がございますが、ある日、町にあらわれたたくさんのネズミを退治するために笛吹きが笛を吹きながら川へ誘導していってネズミを全部川へはめてしまうという話でございます。私は、都会というのはきらきら光って人を引きつける、そんな魅力があると思うんです。どんどん人を引きつけておいて最後にぱんと破壊をする、そんなことになるのではないかなと心配をするわけでございますが、これを解消するのはまさに政治の責任であるというふうに私は思います。
そこで、和歌山県としては地震の被害が幾つか予測されるわけでありますが、一番明らかなのが南海地震ではないかなと思うのであります。しかも、時期は人によって諸説ありますが、確実に来るわけでございます。この南海地震の被害は経験的に津波と火災だと言われておりまして、津波対策についてはもう既に広川の方で始めていただいておりますが、まだたくさん残っております。火災対策ということになりますと、和歌山県の市街地は、都市計画の指定、用途区域、それから道路も、計画はありますが、まだできていないところがたくさんあります。もし火災が起きたら「焼けどまり」と言いまして、もうそこから燃えるものがないからそこで終わってしまう、「焼けどまり」で始めてとまるようなところ、例えば私の御坊などでは、北風の吹く冬の夕方、てんぷらなんかを各家庭ではしている可能性が高い。そんなときに地震が揺って火災が出ますと、全部燃えてしまわないと焼けどまりがない、そういうところもたくさんあるわけであります。
従来、都市計画事業というのは町づくりという観点からよく言われていたわけでありますけれども、私どもの和歌山は防災という観点からも、もう一回そういう方向を考えてみなくてはならんわけであります。そのためには随分時間もかかりますし、もちろんお金もたくさんかかるわけでありますが、早く計画をつくっていただいて早くそれを実現することが大事であると思いますので、どうかよろしく積極的なお取り組みをいただきたいと思います。
ほかに一点、高速道路に関してであります。
今、御坊─南部間については、積極的に道路公団も県市も協調し、地元の方でも頑張ってくれておりますが、高速道路というのは都市間交通というふうに聞いております。御坊から南部の町、もちろん町はたくさんありますが、都市といえばやっぱり田辺市であります。こういう議論は今までたくさんあったわけでございますが、どうぞ南部町から田辺市向いて早く事業化していただけますように、あわせてお願いをしておきたいと思います。
以上です。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
これで本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(平越孝哉君) 本日は、これをもって散会いたします。
午前十一時四十七分散会