平成6年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
○議長(平越孝哉君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
45番浜本 収君。
〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 通告に従って質問をいたします。
第一点は、被爆者援護法の制定について知事の見解を求めます。
ご承知のように、我が国は来年、人類史上初めての被爆国として五十周年という歴史的な節目を迎えます。この節目にこそ、被爆者団体などが悲願にしてきた国家補償に基づく被爆者援護法の成立を図ることは、戦後処理の一つとして私たちに問われている使命だと私は思います。
一九四五年八月六日と九日に広島、長崎に原爆が投下され、その年の末までに亡くなられた方は約三十万人、幸いにして生き延びることのできた生存被爆者は現在三十四万人と言われています。しかし、現在でもがんはふえ続け、がんにかかった被爆者や身寄りのない被爆孤老など、大きな悩みを抱えております。韓国人被爆者に対する救援や被爆二世、三世への対策も必要になっています。
このような現状を改善するためには、国家補償の原則に基づく原爆被爆者援護法の制定が急がれなければなりません。今、広島や長崎でも、国家補償に基づく被爆者援護法の制定を求める運動はかつてない高まりを見せております。ご承知のように、ことし三月には、広島の七つの被爆者団体が党派や民族の壁を越えて国家補償に基づく被爆者援護法の制定を求める合同組織を発足させ、統一集会を開いたのであります。
この背景の一つには原爆で亡くなった人々の五十回忌があったが、五十回忌のことし八月六日までに原爆による死没者と遺族に国が償うための援護法を実現してほしいという声がより高まり、国が起こした戦争によって原爆の惨禍を受けた死亡者と被爆者に対して国が責任をとり補償することで再び原爆の被爆者をつくらないあかしと誓いにしてほしい、そしてその誓いを亡くなった人々の墓前に報告したいという願いが、援護法を求める人々の願いともなったのであります。五十回忌までの実現の願いは満たされなかったが、来年の被爆五十年までにはぜひ実現してほしいと、高齢化した被爆者たちはその実現を待ち続けているのであります。被爆五十周年という歴史的な節目に、人類史上初めての被爆国として、国の責任で起こした戦争によって起きた被爆者を国家補償に基づき援護していくということは、けだし当然の理であろうと私は思います。
原水禁和歌山県民会議はこれまで、国家補償の原則に基づく原爆被爆者援護法の制定に賛同してほしいとして、和歌山市初め県下五十市町村のうち四十三の首長の賛同署名を国に提出したが、一方、全国自治体の七四%すなわち二千四百五十七の地方議会も、国家補償に基づく被爆者援護法の制定を決議しているところであります。また、県内の被爆者手帳の交付者五百十六名も、この援護法の制定に期待を寄せているのであります。
戦後五十年、かつての日本軍国主義のアジア侵略への反省と戦後処理が問われているとき、また未来に向けて非核、不戦による国際貢献を目指す日本の次の世代に対しても、いつまでも負の遺産を残すことのないようにすることが私たちの務めではないでしょうか。原爆被爆者援護法の制定についての知事の見解を求めた次第であります。
次に、南紀新白浜空港の跡地利用の進め方についてご質問をいたします。
去る九月十一日、南紀白浜空港跡地利用についての白浜空港フォーラムが、白浜・田辺青年会議所の若い皆様方の熱意のもとに現空港の広場で行われました。コーディネーターには慶応大学の草野教授が、またパネリストとして県土木部長、二階、野田両代議士、田辺市長、白浜町長が参加され、それぞれの方の意見が開陳され、盛況の中に自由討議が行われたのでありますが、案内状をいただいた私も炎天下、およそ三百余名の参加者の皆様とともに、ある種の期待を持って参加したのであります。
せっかくのいい試みだけに、この跡地利用という投げかけに対していいアイデアなり方向が示されるのかなと内心思っていたのでありますが、「跡地の利用は紀南の活性化と新空港の需要増につながるようにすべきだ」とか「跡地利用懇話会を設置し検討していく」といった、ごく一般的なお話がされただけで、つまり今後の進め方や有効な跡地利用の必要性がそれぞれの立場で話されるだけに会は終始したのであります。
私は、せっかく一生懸命に討議を積み重ね、我がことのように取り組んでいただいた主催者の方々に心から感謝をした次第でありますが、以下、次の諸点について若干の意見を述べ、質問をいたします。
一、なぜこの会に県議会を代表する議長なり空港議連の会長なりの出席が求められなかったのか。それは主催者が決めたことだと言って済ませることなのか。事前に主催者の皆さんと話し合ってその出席を求めるといった提言なり方法がとれなかったのかどうか、少し疑問に思ったので尋ねた次第であります。お答えによっては再質問をいたします。
二、討議の内容なり各パネラーの意見に賛否の批判を持つことは自由だが、もし万が一、私があの壇上で意見を述べよと問われたとしたらどう答えただろうかと自問自答もし、現時点でパネラーの方々がそのものずばりの答えを行うのは無理からぬことだとの感想を私は持ったが、既にメンバーが発表された跡地利用懇話会の内容なり進め方、めど等についてぜひ答えられたいのであります。この懇話会の協力委員にも、県会の代表者はどなたも入ってございません。ですから、最初に申し上げたように、主催者が勝手にそうするのは自由でありますが、そういうことに対する提言をそのときも怠っておるやに思う。その考え方が後に、懇話会の中に県議会の代表者が入っていないと。これは、私は大変不思議に思ったのであります。
執行者と議会はおのずから別である、議会をそんなところへ入れることはという理論は、私も承知をしてございます。しかし、過去におけるいろんなこの種の審議会等には、かなり県議会の代表者が参加をいたしております。医大の跡地の問題のときには、今海南市長になられております石田さんが総務委員長であり、私が当時厚生委員長をさせていただいておりました関係で、あの会議には何回となく審議委員の一人として参加をいたしました。今後そういう立場でこの懇話会を進めていくのか、あるいはこの際もう切って捨てていくという立場でやっていくのか。
答弁のすり合わせをずっと聞いておりますと──「すり合わせ」と言うと失礼でありますけれども──いろんなご意見がなされます。「いや、決してそんなことはありません」と言います。「専門家の方を懇話会の委員にたくさん入れているんです」と、こういう話をなされておりました。県議会には専門家は一人もございません。だからこの人たちをほったんか、こうも思いますし、何かその辺に統一した理論がないような気がして、私は甚だ不愉快であります。
本会の席上、田辺市の脇中市長は「五十ヘクタールの土地をまとめて利用できる機会は、紀南地方ではもう二度とない。若い人や婦人、一般市民の意見も十分に聞いて、その利用を検討してほしい。空港までのアクセス道路の整備や、飛行機を十分利用できる、軽く小さく付加価値の高い商品をつくれる産業を育成することが重要なテーマだ。市町村の行政区画の枠を越えた活用方法をも検討していかなければならない」との意見開陳がなされましたが、この意見を受けたコーディネーター草野教授は「跡地利用の決め方が大変気にかかる」として、懇話会のあり方の全きことに期待されていたが、これらの指摘も踏まえて、今後の懇話会のあり方について答えられたいのであります。
また、以前、企画部では跡地利用の件については庁内にワーキングを設け、白浜町内外の関係者の意見等も聴取しながら取り組んでいくとの方向を示されたが、懇話会との関係はどうなっていくのか、お答えを願いたいと思います。
三、以前も当議場でも、あるいは属していた総務委員会でも何回か申し上げましたが、跡地の総面積は約五十ヘクタール、うち県有地は三十三ヘクタール、町有地は約十四ヘクタールだが、この町有地の扱いはどうなさるつもりなのか、あわせて答えられたいのであります。私有地でなくて大変幸せだったと思います。しかし、約五十ヘクタールのうち十四ヘクタールが白浜の町有地である。そのことを、何か既成の五十ヘクタールの中で物を考えて、これをどうする、あれをどうすると。人の土地があるんじゃと言うんや。そういうことについて行政的にきちっとして早く解決すべきではないかということを申し上げたことがあるんですが、「あんた、白浜の町長だったとしたら──何か、なりたがってるみたいやけど、そうじゃないんで──どうですか」と。わしやったら、高く買うてもらう。今の町長さんなり白浜の人はどう考えているか知らんけれども、私だったら県に高く買い上げてもらう。なぜかと言うと、白浜町の空港は町の財政を大変圧迫している。少しでもそれに補てんをしていきたいから、私だったらそうするだろうなと申し上げたことがあるんです。そのことの可否論は別といたしまして、そういう点についてはけじめをつけ、きちんとしていくのが行政のあるべき態度ではないか。白浜空港は平成七年度の早い段階で完成するといった方針との関係で、この跡地利用の結論なりその執行の早からんことを念じながら質問とした次第であります。
次に、有害鳥獣駆除対策についてご質問をいたします。
県林業課による平成五年度の有害鳥獣駆除状況調査によれば、猿による県下二十七市町村の被害届による被害金額は二千九百六十二万円、シカによる県下二十三市町村のそれは四千五百九十一万円、イノシシによる県下三十三市町村のそれは四千百五十一万五千円であります。また、平成六年四月からこの八月三十一日までの調査では、猿による県下二十七市町村の被害届による被害金額は一千百八十八万二千円、雄ジカによる県下二十市町村のそれは二千二百七十六万六千円、イノシシによる県下二十市町村のそれは六百八十六万八千円であります。
六月の上旬、私は白浜町の農業地帯である富田地区、通称「谷」と呼ばれている地区でありますが、そこの方からぜひシカによる被害状況を見てほしいとの誘いを受け、西牟婁県事務所の係の方と現地に出かけましたが、田植えの完了した後の稲がシカに食い荒らされ、田んぼにはシカの足跡が残っている状態を見せつけられたのであります。
ちなみに、当地区は農家戸数三十五戸、面積約十町歩の農村だが、猿、シカ、イノシシ等が年間無差別に出没し、水稲、野菜、花、ミカン、柿等を食い荒らし、その日の午後にも私は白昼公然と六匹の雌ジカがハウスの花を食い荒らすところに遭遇しましたが、夜は二メートルばかりの防御さくを飛び越えてさっさと稲を食べるなど、住民はその対策に苦慮しているのが現状であります。
雌ジカは特に保護されているだけに、住民はただシカを追うだけ、見ているだけで、どうにもならない。直接これを捕獲することができないのか。「シカの保護が大事なのか、米が大事なのか」「もっとこのことに的確な方策が立てられないのか」「災害等による被害は共済制度の適用である程度カバーできるが、これらの有害鳥獣からの被害は届けるだけでどうにもならない」といったさまざまな意見が田んぼのあぜ道で十人ばかり集まってきて、お互いにそれこそ炎天下で私を挟んで討論をされておりました。
私は答えるすべもなく、ただ黙って聞いておったんですが、農民の方々は大変詳しい。条例がどうだ、何がどうだと、いろんな話を現地で教えていただきました。県事務所の係の方も大変熱心な方ではございました。しかし、答えるといっても、ちょっと答えたらぱっとやられるから答えにくいというか、そういう場面に私は遭遇したのであります。
私たち地方の県会議員は、特にそういう問題が常にあります。現地へ行く。みんなが寄ってくる。「選挙頼むで」というわけにはいかん。そこでいろんな話がなされる。わからんことがある。わからんことがあるから聞いていく。そして、その聞いて学んだことを私は今、この議場で訴えておるのであります。野外ミニ集会での場のことをここで取り上げておるのでありますが、そういう意見が交わされます。
話を変えます。熊野川町の町営森林浴エリア──「瀞の里」と言うんですか──では、十年ほど前に六百本のクリを植栽したが、このクリを目当てに数多くの猿が集まるようになり、町が収穫する前に子連れの猿が集団で姿を見せ、木に登り、枝ごと折って持ち帰るので被害はふえるばかり。そこで、町の商工課はクリ取りの参加者を町民から募って猿からの被害を少なくしようとのことであります。「猿に負けるな」というスローガンか何かを掲げておったようであります。
また、猿軍団にかかしが効果があるようだとして、中辺路町の山寺の和尚さんが手づくりのかかしをクリ林につくったり、また猿カニ合戦にちなんで農作物を食い荒らす猿対策にカニの絵を田畑に設置するなど。「カニの絵が秋風に揺れている」といった地方紙の記事に私は驚いたりもしましたが、これは事実であります。
こういった有害鳥獣駆除の対策はどうなっているのか。また、有害鳥獣駆除事業のための県の補助制度はどうなっているのか。また、先ほど述べたように天災等の被害は共済制度である程度防げるが、有害鳥獣による被害への補償はどうなっているのか。また、平成五年度の被害届による補償額はどのくらいか。それは被害総額の何%に当たるのか。今後のより効果ある対策に期待し、質問といたした次第であります。
四つ目、世界リゾート博後の観光政策とリゾート形成についてと題して、以下数点、質問をいたします。
県観光課が九月五日に発表したことしの夏、七月、八月の県内主要観光地の人出状況は、宿泊客、日帰り客合わせて四百八十八万二千六百五十三人、昨年同期に比べて四八・一%の大幅増で、昭和五十九年に調査を始めて以来、伸び率、人数ともに最高を記録した。しかし、那智勝浦町と白浜町の宿泊客は、冷夏の影響で大幅減だった昨年をも下回った。和歌山市はリゾート博の効果で宿泊客、日帰り客ともに大幅に増加し、宿泊客は約五割増加、日帰り客は昨年の二倍を超え、ここ十年来で最高の人出となった。また、高野町もリゾート博への行き帰りの客が目立ち一一・二%増、龍神村も二・九%増を示した。しかし、何回も繰り返しますが、那智勝浦町の八月の宿泊客は約七%減少し、白浜町は約三%の減少を示した。
七%だとか、三%だとか、あるいはアドベンチャーワールドではどれだけとか、そういう資料がございますが、これは金額にしてみると、民間にとっては大変なことであります。「三%」と言えば、「ああ、三%ぐらいか」ということにはなりますけれども、金額にすると大変なことであります。
先ほど述べたように、県全体ではことしの夏の県内主要観光地人出状況は昨年比四八%増を示す一方、紀南地方では不振ぶりが目立ったが、それはリゾート博と伊勢志摩スペイン村など大型テーマパーク等の影響がもたらしたものと考えられます。したがって、部分的にはリゾート博の効果は県全域に及ばなかったという見方もあり得るが、リゾート博は成功裏のうちに閉幕し、その成功は関西国際空港の開港と連動しつつ、今後の県の観光、リゾートの発展を促進するものと私も思うのであります。
そこで、私は以下数点、観光政策とリゾート形成について質問をいたします。
一、県観光課は、平成六年以降二十一世紀に向けて、今後の観光振興の方向と施策を明らかにするために和歌山県観光振興計画策定事業として本年度一千三百万を計上しているが、世界リゾート博後の観光振興のあり方を構築する上で時宜に適した極めて重要な取り組みであります。計画策定の基本方針と現状の進捗状況を明らかにされたいのであります。また、企画部を中心に進めている燦黒潮リゾート構想の推進状況と内陸地域リゾート形成促進の現状等、あわせて答えられたいのであります。
私は以前本会議で、県と上富田町がいわゆるグリーンツーリズムの考えを導入した新しいタイプのリゾート形成を進めることについて質問を行ったが、県企画部は、隣接する白浜温泉には年間三百五十万の観光客が訪れる、したがって、この農村型リゾートと連動させることで白浜の観光客もふえ、また上富田町の活性化にもつながるとの認識を示したが──これは合うていると思いますが──その後の進捗状況が見えてこない。上富田町へ時々行っても、そういう話は町民の中で、全くと言っていいのでしょうか、聞かれない。この四月ですか、新聞ではもう間もなくできそうなことを大きく載せていただいておりましたが、ミニ集会でそういう話をしても、みんな「それ、どこの話な」というような顔をする。こういう現状であります。それはなぜなのか、その点についても明らかにされたいのであります。
二、今、私は商工労働部と企画部のそれぞれの計画策定やリゾート形成促進の現状についてお尋ねをしたが、現在、企画部と商工労働部に分離して対策されている観光とリゾートを一体的な施策体系として確立し本県の観光行政を推進する上で、この際、観光部の設置をぜひ検討すべしと思うが、見解を求めるものであります。
三、今期九月定例議会に、NHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」が平成七年一月から放映されるに伴い、観光の振興のため、和歌山県のPRと県下各地への誘客を図るための全国キャラバン・シンポジウム等を実施するとして一億五千万が計上されているところだが、私はこの大河ドラマが、世界リゾート博を行った、そして見事に成功させた和歌山県を全国に大きく宣伝するであろうことに期待するものであります。
以前私は、和歌山を売り出すための一つの方法として、県出身の歌手・坂本冬美さんに歌を歌ってもらうようにしてはと提言したこともあったが、今回の大河ドラマは、今日の宣伝のあり方の一つとしてテレビ、マスコミの果たす役割は極めて有効かつ重要なものであるだけに、期待を寄せ、また時宜に適したものと思うが、ロケ地に指定されている舞台を持つ県下各市町村との協力体制はどうなっているのか、伺っておくものであります。
四、観光を語る場合、人は必ず自然、歴史、文化といった視点と、その観光地で見る、遊ぶ、食べる、泊まる、土産、接遇、交通の便・不便等々の出会いの上で観光地の評価を行うが、県は県内のそれぞれの観光地の長所や欠陥、つまり特徴を正確に把握し、その短所は短所で補い、すぐれた点についてはすぐれた点を伸ばしていく、そういった指導を強めていくといった、より踏み込んだ行政指導を該当地との相互協力の上に立って高めていくという方策が必要ではないかと思うが、所見を伺うものであります。
今、県内の観光地の長所や短所つまり特徴を正確に把握してその指導を強めていくという行政指導を行う必要を述べたが、この七月十五日の朝、私は那智の火祭がカラーで全国紙の一面いっぱいに掲載された記事を見ました。七月十四日はまさに那智の火祭が行われた日であるから、七月十五日の朝刊はそのすばらしさを一面に掲載したのであります。また七月十四日は、ご承知かと思いますが、世界的にはフランス革命を記念したパリ祭の日でもあります。もちろんパリ祭は、その日もそうであったように、毎年新聞で取り上げられておりますが、那智の火祭はパリ祭と同じように全国紙に掲載されたのであります。
「那智の火祭 真夏を焦がし」と鳥羽一郎が絶叫する「熊野灘」は今多くの人々に歌われていますが、那智の火祭はその歴史と伝統に裏打ちされた熊野の宝であります。そんな高い評価を受けているこの那智の火祭は、まさにこの地方における観光地としての最大の特徴であり、長所であります。そういったものを今後大きく取り上げていく。そして物心──よく聞いてください──物心両面にわたって、頼まれなくても支援をしていく。これは、日本の新聞の一面に載せられておる。記者の感覚はすばらしいと思います。それほどいいものだという認識の上に立って、そういうものに対して県がより積極的に援助をしていく。そんな効果のある、いわば指導、宣伝を強めていく方策を私は特に望みます。
以上をもって、私の質問を終わります。最後の話は、最初提出したあれには書いておりませんでしたので、お答えいただく必要がないかと思います。どうもありがとうございます。
○議長(平越孝哉君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事仮谷志良君。
〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
被爆者援護法の制定についてでございますが、現在、連立与党内に戦後五十年問題のプロジェクトチームが発足し、その中で被爆者援護法について協議検討がなされていると伺ってございまして、早期に結論が出されることを期待しているところでございます。
県としては、従来から全国知事会を通じまして、被爆者に対する制度の改善、被爆者及び遺家族の実態に即した援護対策の確立を要望しているところでございます。
今後、国の検討結果を踏まえ、被爆者対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(平越孝哉君) 土木部長山根一男君。
〔山根一男君、登壇〕
○土木部長(山根一男君) 浜本議員にお答えいたします。
南紀新白浜空港の跡地利用の進め方についてのご質問、二点についてでございます。
まず、白浜空港フォーラムについてでございます。
議員ご指摘のフォーラムについては、「空港を核としたまちづくり」をテーマとして、白浜・田辺青年会議所により開催されたものでございます。フォーラムの内容、メンバー等については主催者サイドで決定されたものでございますが、県に対してもパネラーとしての依頼があり、こうした地元の熱意にこたえるため出席したところでございます。このように地元の皆様が空港に対して関心を持っていただくことは、ありがたいことであると思っております。
しかしながら、新空港建設には今日に至るまで空港議員連盟を初め多くの皆様に大変なご支援、ご協力を賜っており、今後、同様の催しが企画された場合、主催者側に対してこうした方々の参加をお願いするなど、幅広いご意見をいただけるよう努力することは非常に大切なことだと考えております。
県としては、ポートセールスなど新空港の利用促進などのため精いっぱい取り組んでまいりますが、今後とも新空港建設促進議員連盟の皆様方の全面的なご支援、ご指導をお願い申し上げる次第でございます。
次に、跡地の町有地をどうするのかについてでございます。
白浜空港の跡地利用については現在検討が進められているところでございますが、町有地の扱いについては、その検討状況を踏まえて適切に対応していくことになります。なお、所有者である白浜町の意向は、当然のことながら尊重さるべきものと考えております。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 企画部長宮市武彦君。
〔宮市武彦君、登壇〕
○企画部長(宮市武彦君) 浜本議員にお答えいたします。
白浜空港の跡地利用懇話会の内容と進め方についてでございます。
まず、南紀白浜空港跡地利用懇話会の内容、あり方についてでございますが、懇話会は、地域開発、観光産業及び空港関連の実務家や学識経験者など八名の委員と土木部長、商工労働部長、そして私企画部長並びに白浜町長の四名の協力委員で構成してございます。この懇話会においては、各委員の専門的知識と経験に基づき、長期的観点から、新空港と相乗効果をもたらすとともに地域全体の活性化につながるような跡地利用策の提言、アドバイスをいただくことを考えてございます。
次に、懇話会の進め方、めどについてでございますが、県としては、今後の議論の進展状況に応じて適切に懇話会を進めていき、ここでの提言等を踏まえ、七年度以降、基本構想策定の検討を進めてまいりたいと考えてございます。
次に、庁内関係各課室によるワーキングと懇話会との関係でございますが、県から懇話会に参加している協力委員は庁内ワーキングの代表でございます。協力委員は、資料の作成や種々の調査などを行うとともに、懇話会において委員の求めに応じ意見を述べることになっております。庁内ワーキングは協力委員を補佐してございます。
今後とも、白浜町を初め、地元関係市町村と協力しながら白浜空港の跡地利用を考えてまいりたいと思ってございます。
次に、燦黒潮リゾート構想の推進状況と農村型リゾートの進捗状況でございます。
燦黒潮リゾート構想の推進状況でございますが、七十五プロジェクトのうち、協議中も含めて進展の見られるものは三十九プロジェクトで、進捗率は五二%となってございます。白浜町のコガノイ・ベイ・ホテル、南部町千里海岸の紀州南部ロイヤルホテル、リゾート博が開かれた和歌山マリーナシティのクラブハウス、フィッシャーマンズワーフなどが完成した主な施設でございます。
次に農村型リゾートについてでございますが、県においては市町村と共同で平成二年度から内陸地域リゾート形成促進調査を実施してございまして、現在、調査済み九町村中六町村で進展をしており、主なものには熊野川町のオートキャンプ場や中辺路町のアートサロンなどがございます。上富田町については四年度に調査を実施してございまして、計画に位置づけられている総合スポーツ施設や富田川の堤防沿いの遊歩道、コスモス園、文化会館等が現在整備中でございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 農林水産部長野見典展君。
〔野見典展君、登壇〕
○農林水産部長(野見典展君) 浜本議員にお答えをいたします。
有害鳥獣駆除対策についてでございますが、議員お話しのとおり、シカ、イノシシ、猿などによる被害は主な生息地の紀南地方で多く発生してございます。
有害鳥獣駆除対策については、地元関係者の申請に基づき、現地を調査の上、許可を行い、駆除を実施しているところでございます。また、被害を未然に防止するため市町村が行う電気さくや捕獲おりなどの設置に対し助成し、特に猿については臨機応変に対処するため許可の期間を長くするとともに、駆除に対し補助を行っているところでございます。
次に有害鳥獣の被害による共済制度でございますが、強制加入の水稲共済とミカン、梅などの果樹に対する任意加入の果樹共済とがあり、被害状況に応じ共済金が支払われることになってございます。平成五年度については、届け出があった共済対象被害額は三百七十万円の九五%、三百五十二万円が支払いされてございます。任意加入については、加入率が低いため、今後なお一層共済制度のPRに努めてまいりたいと存じます。
さらに、野生鳥獣の保護と農林水産業の振興との調和を図りながら、より効果的な駆除の方策や補助制度の充実を検討してまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 商工労働部長中山次郎君。
〔中山次郎君、登壇〕
○商工労働部長(中山次郎君) 世界リゾート博後の観光政策とリゾート形成についての四点のご質問にお答え申し上げます。
まず、県観光振興計画策定の基本方針と進捗状況についてでございます。
この計画は、世界リゾート博の開催や関西国際空港の開港を受けて、二十一世紀に向けて本県が取り組むべき観光振興の方向とその施策を明らかにしようとするものでございます。計画の内容は、これからの観光に対応するため、地域資源の見直しと新たな資源の掘り起こしを行い、多方面の皆様の意見を取り入れながら、今後の課題とソフト面、施設面、両面における具体的施策を盛り込み、県内の観光関連事業者、市町村、県が一丸となって取り組めるものとしたいと考えてございます。
現在、策定作業を鋭意進めているところでございますが、計画策定に当たっては、燦黒潮リゾート構想など観光振興に関連する構想、計画と整合を図りながら、年度内には策定を完了したいと考えてございます。
次に、観光部の設置についてでございます。
観光部という新たな部を設置することは、地方自治法で部の数に制約もございまして難しいものと考えてございますが、近年の観光については、今までの単に観光地をめぐる観光から長期滞在型観光へと変化してございまして、観光形態も多様化してございます。このような時代の中で、本県においても燦黒潮リゾート構想などによるリゾート構想が各地で推進されており、これからは本県の観光振興や地域づくりに極めて重要な役割を有するものであると認識してございます。
議員ご指摘のとおり、今後の観光行政推進については、観光施設や地域整備などのハード整備や観光宣伝等のソフト面の施策の実施に当たり、企画部を初め関係部局が一体となった総合的な取り組みにより推進していかなければならないと考えてございます。今後も、より一層連携のとれた観光行政の推進に努力してまいる所存でございます。
次に、大河ドラマ「吉宗」と市町村との協力体制についてでございます。
議員ご指摘のように、NHK大河ドラマ「八代将軍吉宗」が平成七年一月から放送されるこの機会を絶好の機会としてとらえ、本県観光地のさまざまなPR活動を展開し、県下各地へ誘客を図ることとしてございます。
本ドラマは、NHKがかつてない強力な体制のもとに制作を進められているようでございまして、ジェームス三木さんが脚本を書き、吉宗役に西田敏行さん、その守り役に本県出身の小林稔侍さん等が出演し、和歌山城のほか、高野山、紀の川、長保寺、煙樹海岸、白浜、那智の滝等、県内各地がドラマで紹介されることになってございます。このロケについては、エキストラの出演など地元市町村の積極的なご協力をいただき、本県での撮影も円滑に終了したところでございます。
また、本議会でお願いしている全国主要都市における観光PRキャラバンにも、市町村の参加について働きかけていきたいと考えてございます。さらに今後、県としても県下各地において吉宗にちなんだイベントを市町村ともども実施し、県内全域の盛り上げを図り、県と市町村が一体となって観光PRに努力し、誘客に努めてまいりたいと考えてございます。
最後に今後の観光行政についてでございますが、近年のライフスタイルの多様化により、観光地に多種多様な観光目的や魅力を求められるようになってきてございます。世界リゾート博においても、自然やさまざまな体験型イベントなど、来場者それぞれが自分なりの楽しみ方ができたことが好評の一因と考えてございます。
県内を見ましても、こうした観光ニーズに対応して特色ある観光づくりを行っている地域が数多くございます。漁業と結びつけた参加体験型観光、心の時代にふさわしく歴史、文化と観光、また新しいスポーツを観光に生かしている地域等もございますが、このようにほかでは味わえない特色を出すことが求められてございます。そのためには、世界リゾート博で得たノウハウを生かすなど、それぞれの地域がみずからの発想で地域の資源や産業と観光を結びつけた特色ある観光づくりを行う必要がありますし、県としてもPRや先駆的なイベントを実施するなど、地域と相携えて魅力ある観光地づくりの推進に努めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(平越孝哉君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
45番浜本 収君。
○浜本 収君 私は、観光についてのご答弁は主題に合ったいいご答弁だったとは思いますが、何か、観光というものを産業としてとらえていくというような視点が足らないんじゃないかという気がしてならないんです。観光を産業としてとらえて、それを旺盛にすることによって、そういう観光産業をより高めていく。
例えば、一億から二億のお金をかけて熊野古道に道路等の整備を行った。これは画期的なことでありますが、その投資──これは熊野古道との関係で少しドライな言い方でありますけれども──その投資したことと、そこの地域の物産なりがそのことと連動して盛んになるというような姿は余り見られないなと思うんです。
というのは、夏に行ってみると、古道の道端には缶がいっぱいほられてある。せっかくつくったところに、来た人が飲んだコーヒーの缶などをほって回る。そしてそれを、高原というところの人々が日課のように集め回って処分している。限界もありますけれども、一生懸命なさっている。まさにボランティアですね。しかし、そのことによって中辺路町なりその付近の住民が潤う「産業」としては──もっと平たく言うと、もうけやなあかんと思うんです。生活と密着しないとだめや。だから何でもしたらええんやとは申し上げませんけれども。
いつか、岩手県の花巻へ行ったことがございます。有名な宮沢賢治の記念館があります。できた当初は、いわゆる歴史的な宮沢賢治をたたえるそういう記念館であった。しかし、行ってごらんなさい。今は観光の名物になっております。結果としてそうなっているんですけれども、全国の人々を集める観光の名物になっておる。
いま一つ申し上げます。最初に述べた長崎に、長崎医大の教授であった永井隆先生が住んでおられた小さな家があります。「この子を残して」や、歌にもなった「長崎の鐘」で余りにも有名でありますけれども、バスがそこを通ると、ここがそうだと必ずバスガイドさんがそのいわく因縁を説明されます。そして、「『長崎の鐘』を歌おう」とやって、乗っているみんなが大きな声で歌います。涙したという人もある。そうして旅の印象に強烈に訴えるんです。永井隆さんは、そういうつもりでそんなことをしたのではございません。しかし、結果としてそうなっている。そういうことは、あながち否定すべきことではないし、文化を冒涜するものでもありません。
そういう視点で──那智の火祭を取り上げたのも、そういうことについて怠りはないと思いますけれども、せっかく我々の熊野の自然、歴史が生んだこの那智の火祭が、繰り返しますけれども、パリ祭と同じように全国紙に載る。ちょっと大げさですけれども、それほどすごいなという評価を、県民が思っている以上によその人はしているわけです。
そういうことに、県が有効適切に対応していく。物心両面と申し上げましたが、そういう点について一生懸命にその市町村を励ましていって、観光の長所をずっと高めていく。そういう観光産業としてとらえる視点から、私はそのことを特に強調しておきたいのであります。
白浜空港の跡地問題については、今後多くの議論を起こしていくものと思います。ただ、紹介申し上げましたように、今後の進め方として、特に脇中市長さんが「一般の方々あるいは婦人といった方々のご意見も十分聞いて」ということを言われましたけれども、これはと思っておったら、中央から来られたその人が直ちにそれに飛びついた。そして──きょうは、原稿には書いてございませんし、そんなこと言うのはちょっと嫌やなと私は思ったんですが、その方はこう言いました。「従来の懇話会というのは金ばっかり使って、余り成功した例はない」と。そんな言い方はちょっとなと思ったんですけれども、そういう言い方をしていた。しかし、言わんとすることはわかるような気もするんです。
だから、脇中さんがそう言ったことに直ちに飛びついていくということは、脇中さんの言われていることが合っているなという感覚で、私もそう思いました。今後の進め方のあれとして、そういうことを視野に入れた立場で組織し、そういう立場でこのことをぜひとも成功させてほしいと申し上げます。要望といたします。
あと零分であります。終わります。
○議長(平越孝哉君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(平越孝哉君) この際、暫時休憩いたします。
午前十一時十七分休憩
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